(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】筋消耗疾患治療用の新規なハイブリッドACTRIIBリガンド捕集タンパク質
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20230727BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20230727BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230727BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230727BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230727BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230727BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230727BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230727BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230727BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230727BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20230727BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230727BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230727BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230727BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230727BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230727BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20230727BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230727BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230727BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230727BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20230727BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/705 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/17
A61P43/00 111
A61P19/08
A61P21/00
A61P9/00
A61P3/00
A61P13/12
A61P29/00
A61P37/06
A61P7/06
A61P25/04
A61P35/00
A61P21/04
A61P9/10
A61P11/00
A61P31/18
A61P31/04
A61P17/02
A61P3/10
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/28
C12N15/10 200Z
C12N15/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021139606
(22)【出願日】2021-08-30
(62)【分割の表示】P 2017554902の分割
【原出願日】2016-04-12
【審査請求日】2021-09-29
(32)【優先日】2015-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523139663
【氏名又は名称】アライヴゲン インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AliveGen Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハン,エイチキュー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シャオラン
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0348827(US,A1)
【文献】Journal of Neuromuscular Diseases,2014年,vol.1, supp.1,p.S91-S92, Abstract Number: PS1-14/#394
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/12
C12N 15/63
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12P 21/02
C07K 19/00
C07K 14/71
C12N 15/62
A61K 38/17
A61P 43/00
A61P 19/08
A61P 21/00
A61P 9/00
A61P 3/00
A61P 13/12
A61P 29/00
A61P 37/06
A61P 7/06
A61P 25/04
A61P 35/00
A61P 21/04
A61P 9/10
A61P 11/00
A61P 25/00
A61P 31/18
A61P 31/04
A61P 17/02
A61P 3/10
A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 25/28
C12N 15/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド可溶性アクチビンIIB受容体-細胞外ドメイン(ActRIIB-ECD)ポリペプチドを含む遊離タンパク質であって、
前記ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドが、配列番号:29のアミノ酸配列を含み、
前記ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドが、配列番号:44に記載のアミノ酸配列を含むペプチドリンカーに融合し、
前記ペプチドリンカーが、配列番号:118に記載のアミノ酸配列を含むヒンジリンカーに融合し、
前記ヒンジリンカーが、配列番号:43に記載のアミノ酸配列を含むヒトFc配列に融合している、ことを特徴とする遊離タンパク質。
【請求項2】
請求項
1に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする遊離核酸分子。
【請求項3】
請求項
2に記載の核酸分子を含むことを特徴とする組み換えベクター。
【請求項4】
請求項
3に記載の組み換えベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
【請求項5】
請求項
4に記載の宿主細胞において、前記宿主細胞が、哺乳動物細胞であることを特徴とする宿主細胞。
【請求項6】
ハイブリッドActRIIBタンパク質を作成する方法であって、請求項
5に記載の宿主細胞を、前記タンパク質の発現を促進する条件下で培養するステップと、前記タンパク質を回収するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項7】
薬学的に許容可能なキャリアと混合した治療的有効量の請求項
1に記載のタンパク質を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
対象におけるミオスタチン関連あるいはアクチビンA関連疾患の治療のための医薬の調製における請求項
7に記載の組成物の使用であって、前記ミオスタチン関連あるいはアクチビンA関連疾患が、骨疾患、筋消耗疾患、心臓血管疾患、代謝疾患、腎疾患、炎症性及び/又は自己免疫性疾患、線維性疾患、貧血、痛み、加齢、及び癌からなる群から選択されることを特徴とする使用。
【請求項9】
請求項
8に記載の使用において、前記筋消耗疾患が、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、筋炎、ICU筋疾患、薬物誘発性筋疾患(例えば、副腎皮質ステロイド筋疾患及びスタチン筋疾患)、アンドロゲン遮断療法、うっ血性閉塞性肺疾患、気腫、嚢胞性線維症、慢性心疾患、心臓萎縮、癌性悪質液、腎不全、尿毒症、タンパク質エネルギー消耗、拒食症、栄養不良、サルコペニア、AIDS、敗血症、火傷、糖尿病、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、手根管症候群、筋萎縮、慢性疾患(例えば、CHF、CKD、COPD、糖尿病)に関連する筋萎縮、非活動又は除神経による筋萎縮、及び、長期にわたるベッドでの静養、脊椎損傷、脳卒中、骨折、加齢、及び微小重力への露出による筋消耗からなる群から選択されることを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願のクロスリファレンス]
本出願は、2015年4月22日に出願した米国暫定出願第62/150,994号及び2015年12月2日出願した米国暫定出願第62/262,356号の利益を主張する。これらの出願は、引用により全体が本明細に組み込まれている。
【0002】
筋消耗とは、筋肉量の進行性消失、及び/又は、骨格筋または随意筋、心臓を制御する心筋(心筋症)、及び平滑筋を含む筋肉の進行性衰弱及び変性を意味する。慢性の筋消耗は、筋肉量の進行性消失、並びに、筋肉の衰弱及び変性を特徴とする症状(すなわち、長期にわたって持続する)である。筋肉量の消失は、筋タンパク質の変性速度が、筋タンパク質の合成速度を上回るときに生じる。
【0003】
筋消耗は、衰弱するとともに生命を脅かす病態であり、例えば、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、筋炎、脱神経性萎縮症、食欲不振-悪質液症候群、がん、リウマチ性関節炎、骨関節炎、糖尿病、筋肉減少性肥満、高齢者筋肉減少症、アンドロゲン除去、副腎皮質ステロイド筋疾患、炎症性腸疾患、肝硬変、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、慢性腎疾患、心的外傷、心筋症、慢性心不全、及びHIV感染を含む数々の慢性、神経性、遺伝性、炎症性、線維性、あるいは感染性の病的状態に関連している。筋消耗を引き起こすといわれているその他の症状には、慢性下背部痛、加齢、中枢神経系のダメージ、末梢神経損傷、化学的損傷、広範囲の火傷、人工股関節/膝関節置換手術、非活動性萎縮、微小重力への露出、長期入院がある。
【0004】
アクチビンIIA受容体(ActRIIA)及びアクチビンIIB受容体(ActRIIB)は、例えば、アクチビンA、ミオスタチン(GDF-8ともいう)、増殖分化因子-11(GDF-11)、及びBMP-3、BMP-6、BMP-9(GDF-2ともいう)や、BMP-10など、様々なその他の骨形成たんぱく質(BMPs)を含む、TGF-βファミリーメンバーのサブセットに対するII型受容体である。これらのTGF-βファミリーリガンドのActRIIA及び/又はActRIIBに対する結合は、細胞分化、細胞自然死、タンパク質の合成と分解、石化、造血、血管形成、ステロイド合成、癒着、遊走、細胞外マトリックス生成、及び、繊維成長を調節することができる。特異的反応は、TGF-βリガンドと受容体の型とレベル、並びに細胞の状態と環境に依存する。これらのリガンドの変化した発現は、様々な疾病および疾患に関連することが知られている。例えば、高い血清アクチビンレベルは、筋委縮、がん、慢性心疾患、慢性腎疾患、炎症、繊維症、貧血、骨量の減少及び加齢の症状に見られ、疾病の発病と進行に関与すると考えられている。
【0005】
ActRIIA及びActRIIBは、アクチビンA、アクチビンB、及びアクチビンABを含むアクチビンに対するII型受容体として知られてる。ActRIIBは、ミオスタチンに対する高親和性受容体であり、筋成長の重要な負の調節因子であり、したがって、筋肉量の調整に中心的な役割を果たす。
【0006】
様々なActRIIA-Fc及びActRIIB-Fc融合タンパク質が、臨床的に評価されてきている、あるいは現在評価されつつある。ActRIIA-Fc融合タンパク質(Acceleron Pharma社、ACE-011)は、多発性骨髄腫及び骨粗しょう症の溶骨性病巣を持つ患者において、臨床的に評価されてきた(Ph1、Ph2a)。残念なことに、有効性をアピールしつつも、骨粗しょう症の治療についてのACE-011の臨床的可能性は、安全性の問題(高赤血球増殖)によって阻まれていた。ACE-011は、現在は、転移性非小細胞肺癌(NSCLC)の患者における化学療法誘発性貧血に評価されている(Ph2/3)(Clinical Trials. Gov)。ActRIIB-Fc融合タンパク質(Acceleron Pharma社、ACE-031)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)における治療有効性について、臨床的に評価されてきた(Ph1、Ph2)。ACE-031は、ミオスタチン抗体、ペプチド抗体、プロペプチドなどのミオスタチン―選択的阻害剤によって引き起こされるものより、より顕著な有意な筋肉増加を示していた。残念ながら、筋肉の成長の効力を約束しているにもかかわらず、ACE-031の臨床的可能性は、DMD患者に見られる鼻と歯茎の出血における有害事象によって阻害されており、したがって、ACE-031には臨床試験差し止めがなされていた(Smith R.C. and Lin B.K., Curr Opin Support Palliat Care. 7(4): 352-360, 2013)。ActRIIB-Fc融合タンパク質(Acceleron Pharma社、ACE-083)は、現在のところ、筋肉内注射(Clinical Trials.gov)を介した局所送達を用いた健常者において、Ph1で評価されており、Atara Biotherapeutic社のActRIIB-Fc融合タンパク質(STM434)が卵巣がん又はその他の進行した固形癌の患者において評価する(進行中のPh1採用)ように設定されている(Clinical Trials. gov)。
【0007】
これらの進歩にもかかわらず、筋消耗疾病治療用の新規な治療法の提供への重要な要求がいまだに存在する。
【発明の概要】
【0008】
一の態様において、本発明は、ミオスタチン中和活性と、アクチビンA-中和活性を持続する、BMP9-中和が劇的に低減されている新規なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含むが、遊離した新規ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を提供する。様々な実施例において、このハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも一つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3,I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64.E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも2つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも3つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも4つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3,I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64.E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも5つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3,I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64.E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも6つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64.E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも7つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64.E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも8つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64.E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも9つが、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも10が、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも15が、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも20が、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、
L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも25が、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、アミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110の少なくとも30が、別のアミノ酸で置換されており、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドが、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。
【0009】
様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、配列番号:23、配列番号:24、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:29、配列番号:30、配列番号:31、配列番号:32、配列番号:33、配列番号:34、配列番号:35、配列番号:36、配列番号:37に記載のアミノ酸配列を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ActRIIBポリペプチドは、配列番号:3-37から選択されたアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が一致したアミノ酸配列を有するハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドであり、ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。
【0010】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:51、配列番号:52、配列番号:53、配列番号:54、配列番号:55、配列番号:56、配列番号:57、配列番号:58、配列番号:59、配列番号:60、配列番号:61、配列番号:62、配列番号:63、配列番号:64、配列番号:65、配列番号:66、配列番号:67、配列番号:68、配列番号:69、配列番号:70、配列番号:71、配列番号:72、配列番号:73、配列番号:74、配列番号:75、配列番号:76、配列番号:77、配列番号:78、配列番号:79、配列番号:80、配列番号:81、配列番号82、配列番号:83、配列番号:84、配列番号:85、配列番号:86、配列番号:87、配列番号:88、配列番号:89、配列番号:90、配列番号:91、配列番号:92、配列番号:93、配列番号:94、配列番号:95、配列番号:96、配列番号:97、配列番号:98、配列番号:99、配列番号:100、配列番号:101、配列番号:102、配列番号:103、配列番号:104、配列番号:110、配列番号:111、配列番号:112、配列番号:113、配列番号:114、配列番号115、配列番号:116、配列番号:117、からなる群から選択されたアミノ酸配列を含み、ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドは、配列番号:51-117から選択されたアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が一致したアミノ酸配列を有するハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドであり、ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。
【0011】
別の態様では、本発明のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドと少なくとも一の異種タンパク質を含み、ここではハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、異種タンパク質がFcドメインである。様々な実施例において、このFcドメインは、ヒトIgGFcドメインである。様々な実施例において、このFcドメインは、配列番号:38に記載のヒトIgG1重鎖定常領域配列由来である。様々な実施例において、Fcドメインが、配列番号:39に記載のアミノ酸配列を有するFcドメインである。様々な実施例において、Fcドメインが、配列番号:40に記載ヒトIgG2重鎖定常領域配列由来である。様々な実施例において、このFcドメインは、配列番号:41に記載のアミノ酸配列を有するFcドメインである。様々な実施例において、Fcドメインが、配列番号:42に記載ヒトIgG4重鎖定常領域配列由来である。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列を有するFcドメインである。
【0012】
様々な実施例において、異種タンパク質は、リンカー及び/又はヒンジリンカーペプチドによって、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドに付着している。このリンカー又はヒンジリンカーは、5、10、15、20、30、40またはそれ以上の比較的自由な二次構造を持つアミノ酸間の人工配列であってもよい。様々な実施例において、このリンカーは、G/S含有量が豊富である(例えば、リンカー中のアミノ酸の約60%、70%、80%、90%、又はそれ以上がGかSである)。様々な実施例において、このリンカーは、(GGGGS(配列番号:44))nモチーフを有しており、ここで、n=1-6である。様々な実施例において、配列番号:44に記載のアミノ酸配列を有するリンカーが、配列番号:118に記載のアミノ酸配列を有するヒンジリンカーと共に使用されて、ヒトIgG4Fc(配列番号:43)を、本発明のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチド(例えば、配列番号3-37又は51-117のいずれか)にリンクさせている。
【0013】
別の形態では、本発明は、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを含む有利核酸分子を提供する。様々な実施例において、このポリヌクレオチドは、配列番号3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列の一つをエンコードし、ここで、このハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、このポリヌクレオチドは、配列番号3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかに、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が一致したアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードし、ここで、このハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、このポリヌクレオチドは、配列番号3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかに、少なくとも90%が一致したアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードし、ここで、このハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、このポリヌクレオチドは、配列番号3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかに、少なくとも95%が一致したアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードし、ここで、このハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドへのBMP9の結合親和性は減少している。
【0014】
様々な実施例において、この遊離した核酸分子は、本明細書に記載したポリヌクレオチドを含んでおり、さらに、本明細書に記載の少なくとも一の異種タンパク質をエンコードするポリヌクレオチドを含む。様々な実施例において、この核酸分子は、さらに、本明細書に記載したリンカー又はヒンジリンカーをエンコードするポリヌクレオチドを含む。
【0015】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載した核酸を含むベクターを提供する。様々な実施例において、このベクターは、発現ベクターである。別の態様では、本発明は、本開示の核酸を含む遊離した細胞を提供する。様々な実施例において、この細胞は、本開示の発現ベクターを含む宿主細胞である。別の態様では、この宿主細胞を、タンパク質又はポリペプチドの発現を促進する条件下で培養することによって、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を製造する方法が開示されている。
【0016】
別の態様では、本発明は、薬学的に許容できるキャリアと混合した遊離ハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチド又はハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、有効量の本発明のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を患者に投与することによって、筋消耗疾病に罹患している患者における筋消耗疾患を治療するあるいは防止する方法を提供する。筋消耗疾患あるいは症状には、限定するものではないが、以下のものがある。筋ジストロフィー(DMD、Becker MD、Limb-Girdle MD及びFSHDなど)、筋炎(皮膚筋炎、封入体筋炎、若年性筋疾患、多発性筋疾患、など)、筋疾患(糖尿病性筋疾患又は薬物誘発性筋疾患などの遺伝性筋疾患及び後発性筋疾患を含む)、運動ニューロン疾患(ルー・ゲーリック病、筋萎縮性側索硬化症など)、重症筋無力症、神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、及びアルツハイマー病など)癌(すい臓がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、大腸がん、メラノーマ白血病、肺がん、前立腺癌、脳がん、膀胱がん、頭頸部がん)に関連する筋消耗、慢性心疾患(CHF)に関連する筋消耗、慢性腎臓病(CKD)、肝不全、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、嚢胞性線維症、関節リウマチ、骨粗しょう症、肝繊維症、肝硬変、トラウマ(火傷又はオートバイ事故など)、骨折、組織移植(心臓、肺、肝臓、又は腎臓移植など)、ICU救命救急診断、除神経(まひ、又は脊髄損傷など)、アンドロゲン遮断療法、副腎皮質ステロイド治療、感染症(エイズ又は結核など)、長期にわたるベッドでの静養、筋肉減少性肥満、及び加齢に関連する筋肉減少。
【0018】
また、本明細書には、対象に心臓血管疾患を治療する方法が開示されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、心臓血管疾患は、心不全、心臓委縮、心筋線維化、肺高血圧症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋梗塞、不整脈、心臓弁疾患、心筋症、心膜疾患、大動脈疾患、及びマルファン症候群、から選択される。
【0019】
また、本明細書には、対象における代謝障害の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、代謝障害は、肥満、脂質異常症、筋肉減少性肥満、非アルコール性脂肪肝炎など非アルコール性脂肪肝、アルコール性脂肪肝、インスリン耐性、糖尿病、及びメタボリックシンドローム、並びに、糖尿病性筋疾患、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、及びヘモクロマトーシスから選択される。
【0020】
また、本明細書には、対象における癌、又はがん転移の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この癌は、すい臓がん、胃がん、卵巣がん、大腸がん、メラノーマ、白血病、骨髄異形成症候群、肺がん、前立腺癌、脳癌、膀胱がん、頭頸部癌、又は、横紋筋肉腫から選択される。
【0021】
また、本明細書には、対象における自己免疫疾患の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この疾患は、多発性硬化症、全身性硬化症、糖尿病(1型)、糸球体腎炎、重症筋無力症、乾癬、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、クローン病、潰瘍性結腸炎、及び原発性胆汁性肝硬変から選択される。
【0022】
また、本明細書には、対象における関節炎の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この関節炎は、関節リウマチ、変形性関節症から選択される。
【0023】
また、本明細書には、対象における拒食症の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この拒食症は、神経性無食欲、及び食欲不振性悪質液から選択される。
【0024】
また、本明細書には、対象における肝疾患の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎、肝繊維症又は肝硬変、肝臓疾患、自己免疫性肝炎、及び肝細胞癌から選択される。
【0025】
また、本明細書には、対象における器官又は組織移植方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この移植は、心臓、腎臓、肝臓、肺、すい臓、腸、及び胸腺の期間移植、又は、骨、腱、角膜、皮膚、心臓弁、神経、及び血管の組織移植から選択される。
【0026】
また、本明細書には、対象における貧血の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この貧血は、鉄分欠乏性貧血、鉄分過剰、地中海貧血、溶血性貧血、鎌状細胞貧血、悪性貧血、ファンコニ貧血、及び再生不良貧血(癌に関連する貧血、化学療法誘発性貧血など)から選択される。
【0027】
また、本明細書には、対象における繊維症の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この繊維症は、間質性肺炎、イディオタイプ肺線維症、嚢胞性線維症、肝繊維症、肝硬変、心筋繊維症、腎繊維症、骨髄繊維症、特発性腹膜後線維化症、腎性線維化性皮膚症、炎症性大腸炎、ケロイド、強皮症、又は関節繊維症から選択される。
【0028】
また、本明細書には、対象における痛みの治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この痛みは、神経因性疼痛、体性痛、内蔵痛、炎症性痛、がん性痛、肺痛、又は関節痛から選択される。
【0029】
また、本明細書には、対象における骨疾患の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この骨疾患は、骨粗しょう症、骨軟化症、骨形成不全症、進行性骨化性線維異形成症、コルチコステロイド誘発性骨量減少、骨折、又は骨への転移から選択される。
【0030】
また、本明細書には、対象における加齢症状の治療方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この加齢症状は、高齢者のフレイル、加齢に関連したサルコペニア、又は変形性関節症から選択される。
【0031】
また、本明細書には、対象における組織修復又は器官の再生用幹細胞成長を誘発する方法が提供されており、この方法は、治療的有効量の本発明の医薬組成物を、それが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例では、この対象がヒト対象である。様々な実施例において、この幹細胞は、筋幹(衛星)細胞、心臓幹細胞、骨髄由来間葉幹細胞、及び多能性幹細胞から選択される。
【0032】
別の態様では、本発明は、個々に記載した疾患又は症状の治療用薬剤製造用のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質の二つの例示的な分子構造を示す図である。
【
図2】
図2は、AG-0003のアミノ酸配列(配列番号:5)を有するハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質と、AG-0005のアミノ酸配列(配列番号:7)を有するハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質についてのミオスタチン無毒化(左側パネル)、アクチビンA無毒化(中央パネル)、及びBMP9無毒化(右側パネル)能を、ベンチマークとしての野生型ActRIIB-Fcタンパク質(WT)と比較した評価に使用した細胞ベースアッセイの結果を示すグラフである。
【
図3】
図3は、AG-0014のアミノ酸配列(配列番号:16)を有するハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質と、AG-0027のアミノ酸配列(配列番号:29)を有するハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質についての、ミオスタチン(左上)、アクチビンA(右上)、及びBMP9(右下)の細胞ベースの中和活性を、ベンチマークとしての野生型ActRIIB-Fcタンパク質(WT)と比較した評価に使用した細胞ベースアッセイの結果を示すグラフである。実施例で述べるとおり、ミオスタチン中和活性、アクチビンA中和活性、アクチビンB中和活性は、C2C12-CAGA-lucレポーターアッセイを使用して検査し、BMP9中和活性は、C2C12-BRE-lucレポーターアッセイを使用して分析した。
【
図4】
図4は、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)をそれぞれ、容量10mg/kgを1週間に1回皮下注射した9週齢のオスC57BI/6マウスの筋肉量に関する効果を示すグラフである。体重は、0日目、5日目、12日目、及び18日目に記録した(群当たり、n=6/8)。Excel Student T-TESTを行って、統計的分析をした。
***:P<0.001vs.ビークル群。
【
図5】
図5は、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)をそれぞれ、容量10mg/kgを1週間に1回皮下注射した9週齢のオスC57BI/6マウスの筋肉量に関する効果を示すグラフである(群あたり、n=6/8)。各動物から個々の腓筋を切除して、最後の解剖の間に検量した。Excel Student T-TESTを行って、統計的分析をした。
***:P<0.001vs.ビークル群。
【
図6】
図6は、マウス腹腔のエバンスブルー血管透過性試験の画像を示す。各群の外科的に露出させた腹腔の代表的な画像を、図にラベルを付けて示す。8週齢のオスBalbCマウスに、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)をそれぞれ、容量10mg/kg、1週間に1回皮下注射した。投与の2週間後に、各群の動物(n=4)に尾静脈から200μlのエバンスブルー染料(PBS中0.5%、pH7.2)を注入した。エバンスブルー染料注入後90分で解剖を行った。
【
図7】
図7は、マウスの睾丸のエバンスブルー血管透過性試験画像を示す。各群から切除した睾丸器官の代表的な画像を、図にラベルを付けて示す。8週齢のオスBalbCマウスに、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)をそれぞれ、容量10mg/kg、1週間に1回皮下注射した。投与の2週間後に、各群の動物(n=4)に尾静脈から200μlのエバンスブルー染料(PBS中0.5%、pH7.2)を注入した。エバンスブルー染料注入後90分で解剖を行った。
【
図8】
図8は、マウスの肺のエバンスブルー血管透過性試験画像を示す。各群から切除した肺組織の代表的な画像を、図にラベルを付けて示す。8週齢のオスBalbCマウスに、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)をそれぞれ、容量10mg/kg、1週間に1回皮下注射した。投与の2週間後に、各群の動物(n=4)に尾静脈から200μlのエバンスブルー染料(PBS中0.5%、pH7.2)を注入した。エバンスブルー染料注入後90分で解剖を行った。
【
図9】
図9は、異なる処置群における湿肺組織(左側パネル)と睾丸組織(右側パネルの、mg当たりの浸出したエバンスブルー染料の量を、図にラベルを付けて示した棒グラフである。8週齢のオスBalbCマウスに、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)をそれぞれ、容量10mg/kg、1週間に1回、処置した。投与の2週間後に、各群の動物(n=4)に尾静脈から200μlのエバンスブルー染料(PBS中0.5%、pH7.2)を注入した。エバンスブルー染料注入後90分で解剖を行って、睾丸及び肺の組織を回収した。これらの組織を検量して、個々にホルムアミドの入ったバイアルに入れて、エバンスブルー染料を抽出した。55℃で24時間培養したのち、サンプルを遠心分離にかけて、分光光度計を用いて波長610nmで、各サンプルの水相の吸収度を測定した。Excel Student T-TESTを行って、統計的分析をした。
*:P<0.05。
【
図10】
図10は、AG-0014(配列番号:16)、AG-0023(配列番号:25)、AG-0024(配列番号:26)、AG-0025(配列番号:27)、AG-0027(配列番号:29)、AG-0028(配列番号:30)、AG-0029(配列番号:31)、及びAG-0035(配列番号:37)を含む複数の例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質についての、BMP9の細胞ベース中和活性を、ベンチマークとしての野生型ActRIIB-Fcタンパク質(野生型)のものと比較した結果を示すグラフである。BMP9-中和活性は、C2C12-BRE-lucレポーターアッセイを用いて分析した。
【
図11】
図11は、いくつかの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質間のミオスタチン中和IC
50値の、WT ActRIIB-Fcタンパク質のものに対する差を示す図である。個々のタンパク質のミオスタチン中和活性は、CAGA-lucレポーター培地を用いて検査し、IC
50値は、Prismソフトウエアを用いて計算した。このグラフは、AG-0014(配列番号:16)、AG-0023(配列番号:25)、AG-0024(配列番号:26)、AG-0027(配列番号:29)、AG-0028(配列番号:30)、及びAG-0029(配列番号:31)を含む例示的なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質の各々のミオスタチン中和IC
50値におけるパーセンテージの差を野生型ActRIIB-Fcと比較して示す。
【
図12】
図12は、AG-0014(配列番号:16)とAG-0027(配列番号:29)を含む2つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のBMP9結合に関するELISA分析の結果を、野生型ActRIIB-Fc並びに濃度を上げた野生型ActRIIA-Fcと比較して示す。KinEXA器具(Sapidyne Instruments)を用いて、自動ELISAを行った。20μg/mlのBMP9を、Sapidyne Instruments社が推奨する実験手順を用いて、NHS-活性セファロース4高速流ビーズ(GE Healthcare)に結合させた。WT ActRIIB-Fc、WT ActRIIA-Fc、及び各ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を、図に示すように、100pM、1nM及び10nMの濃度でBMP9の結合を試験した。野生型及びハイブリッドタンパク質は、BMP9-被覆ビーズ上に捕集され、Alexa Fluor 647-ラベル化ヤギ非ヒト-Fc抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.)によって検出された。BMP9結合シグナルは、KinEXA Proソフトウエア(Sapidyne Instruments)を用いて記録した。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、非筋肉関連サイトカインのシグナル伝達に影響することなく、マルチ悪質液(萎縮-誘発)サイトカインの作用を選択的にブロックするように設計された複数サイトカインアンタゴニストとして機能する融合タンパク質として遺伝的に改変された、新規な遊離ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を提供する。様々な実施例において、このハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに比べて、ミオスタチンとアクチビンAに結合可能であるが、BMP9に対しては低い(すなわち、ミオスタチン中和活性と、アクチビンA中和活性を維持しているが、非常に低いBMP9中和性を示す)結合親和性を示す(したがって、BMP9中和性が低い)遊離したハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドを含む。本発明は、部分的に、BMP9への有意に低い結合を示す(したがって、BMP9中和性が低い)ように改変されているが、ミオスタチンとアクチビンに対する中和活性は強いままである、ハイブリッド可溶性ActRIIBリガンド捕集タンパク質が、現在入手可能であるミオスタチン阻害剤より安全かつより有効であるミオスタチン阻害剤を提供するであろうという、発明者の独自の洞察力に基づいている。特に、発明者らは、ActRIIB細胞外ドメイン(ECD)内のアミノ酸残基を、ActRIIA ECDからの対応するアミノ酸残基で選択的に置換するように改変したハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドが、BMP9を超えてミオスタチンとアクチビンA(筋肉成長の重要な負の調節因子)を優先的に中和する新規なハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドを提供できると主張している。BMP9は、多くの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たし(例えば、Tillet E, et al., Front Genet. 8; 5:456, 2015参照)BMP9信号伝達は、正常な血液の血管系/透過性を維持するのに必須であることが示されている(例えば、David L., et al., Circ Res. 25;102(8):914-22, 2008)。このように、本明細書に記載した新規なハイブリッド可溶性ActRIIBリガンド捕集タンパク質は、BMP9に強く結合して中和する現在のActRIIB-Fc分子で治療した対象に見られる鼻及び歯茎からの出血を防ぐことができると主張している。これらの新規ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質によって提供される治療上の利点は、安全であり、重篤な筋肉減少と悪質液の逆転に、また、筋委縮、骨量減少、炎症、及び線維化を伴う広範囲にわたる慢性異化疾患の治療に有効である次世代の治療を提供する。
【0035】
定義
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本明細書では、アミノ酸残基のポリマを意味しており、同じ意味で使われている。様々な実施例において、「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、α炭素がペプチド結合を介してリンクしているアミノ酸の鎖である。この鎖の一端(アミノ末端)にある末端アミノ酸は、したがって遊離アミノ基を持ち、この鎖の他端(カルボキシ末端)にある末端アミノ酸は、遊離カルボキシル基を持つ。本明細書で用いられているように、用語「アミノ末端」(略して、N-末端)は、ペプチドのアミノ末端にあるアミノ酸上の遊離αアミノ基、あるいは、ペプチド内のその他の位置にあるアミノ酸のαアミノ基(ペプチド結合に関与する場合のイミノ基)を意味する。同様に、用語「カルボキシ末端」は、ペプチドのカルボキシ末端の遊離カルボキシル基、又は、ペプチド内のその他の位置にあるアミノ酸のカルボキシル基を意味する。ペプチドは、また、限定するものではないが、アミド結合と逆に、エーテルで結合したアミノ酸などのペプチド模倣体を含むポリアミノ酸を基本的に含んでいる。
【0036】
本発明のポリペプチドは、いずれかの方法でまた何らかの理由で修飾されたポリペプチドを含む。これは、例えば、(1)タンパク質分解に対する影響を低減する、(2)酸化に対する影響を低減する、(3)タンパク質複合体を作る結合親和性を変える、(4)結合親和性を変える、及び(5)その他の物理化学的又は機能的特性を増加させるあるいは改変するためである。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(例えば、保存アミノ酸置換)は、天然に発生する配列(例えば、分子間接触を作るドメイン外のポリペプチド部分において)で作ることができる。「保存アミノ酸置換」とは、アミノ酸のポリペプチドの、機能的に同様のアミノ酸での置換を意味する。以下の6つの基は、それぞれ、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を含む。
1) アラニン(A)、セリン(S)とスレオニン(T)
2) アスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)
3) アスパラギン(N)とグルタミン(Q)
4) アルギニン(R)とリジン(K)
5) イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、とバリン(V)
6) フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、とトリプトファン(W)
【0037】
「非保存的アミノ酸置換」は、これらのクラスのうちの一つの員を他のクラスからの員で置換することを意味する。このような変化を作るにあたっては、様々な実施例によれば、アミノ酸の疎水性度(hydropathic index)を考えることができる。各アミノ酸は、その疎水性と電荷特性が割り振られている。これは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2):グルタミン酸塩(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸塩(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)である。
【0038】
タンパク質の相互に作用する生物学的機能を増大させる際のアミノ酸疎水性度の重要性は、この分野で理解されている(例えば、Kyte et al., 1982, J. Mol. Biol. 157:105-131を参照)。ある種のアミノ酸は、同様の疎水性度、又は疎水性スコアを持つ他のアミノ酸と置換でき、それでも同じ生物学的活性を維持できることが知られている。疎水性度に基づいて改変を行う場合、様々な実施例においては、疎水性度が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれている。様々な実施例において、疎水性度が±1以内であるアミノ酸が含まれており、また、様々な実施例において、疎水性度が±0.5位内であるアミノ酸が含まれている。
【0039】
また、この分野では、アミノ酸様のものの置換は、特に、これによって作られた生物学的な機能性タンパク質又はペプチドは、本明細書に開示したような免疫学的な実施例に使用することを意図している場合、疎水性度に基づいて効果的に行われると理解されている。様々な実施例において、その隣のアミノ酸の疎水性によって制御されるタンパク質の最大局所平均疎水性度は、その免疫原性及び抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と関係している。
【0040】
以下の疎水性度の値が、これらのアミノ酸残基に割り当てられている。アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸塩(+3.0±.1);グルタミン酸塩(+3.0±.1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0・4);プロリン(+0.5±.1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);及びトリプトファン(-3.4)。同様の疎水性度の値に基づいて変化を作るにあたっては、様々な実施例において、疎水性度の値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれており、様々な実施例において、±1以内であるアミノ酸の置換が含まれており、様々な実施例において、±0.5以内であるアミノ酸の置換が含まれている。
【0041】
【0042】
当業者は、良く知られた技術を用いて、本明細書に記載のポリペプチドの好適な変異体を決定することができる。様々な実施例において、当業者は、活性に重要であると考えられていない領域をターゲットにすることによって、活性を壊すことなく変形することができる分子の適切な領域を認識することができる。その他の実施例では、当業者は残基と、同様のポリペプチド間で保存される分子の部分を認識することができる。更なる実施例では、生物学的活性又は構造に重要である領域でさえも、生物学的活性を壊すことなく、あるいは、ポリペプチド構造に悪影響を与えることなく、保存的アミノ酸置換を行うことができる。
【0043】
さらに、当業者は、活性及び構造に重要である同様のポリペプチド中の残基を同定する構造・機能研究をレビューすることができる。このような比較に鑑みて、当業者は同様のポリペプチド中の活性又は構造に重要であるアミノ酸残基に対応するポリペプチド中のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者は、このようにして予測した重要なアミノ酸残基の化学的に同様であるアミノ酸置換を決めることができる。
【0044】
当業者はまた、同様のポリペプチド中のその構造に関連する三次元構造とアミノ酸配列を分析することができる。このような情報に鑑みて、当業者は、三次元構造に対するポリペプチドのアミノ酸残基のアラインメントを予測できる。様々な実施例において、このような残基は、その他の分子との縦横な相互作用に関与することがあるため、当業者は、ポリペプチドの表面にあると予測されたアミノ酸残基を激変させないように選択することができる。さらに、当業者は、所望の各アミノ酸残基における単アミノ酸置換を含む試験変異体を生成することができる。この変異体は、次いで当業者に知られている活性アッセイを用いてスクリーニングすることができる。このような変異体は、好適な変異体についての情報を集めるのに使用できる。例えば、特定のアミノ酸残基の変化によって破壊された、望ましくなく低減された、あるいは不適切な活性となったことを発見したら、このような変化を伴う変異体を除去することができる。換言すると、このようなルーチン実験から集めた情報に基づいて、当業者は、単独であるいはその他の突然変異と組み合わせて更なる置換を防止するべきであるアミノ酸を容易に決めることができる。
【0045】
本明細書で使用されている用語「ポリペプチド断片」及び「短縮ポリペプチド」は、対応する全長タンパク質と比較して、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端が欠落しているポリペプチドを意味する。所定の実施例では、断片は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000のアミノ酸長である。所定の実施例では、断片は、最大で1000、最大で900、最大で800、最大で700、最大で600、最大で500、最大で450、最大で400、最大で350、最大で300、最大で250、最大で200、最大で150、最大で100、最大で50、最大で25、最大で10、あるいは最大で5のアミノ酸長である。断片は、さらに、一方のあるいは両端に、一またはそれ以上の追加のアミノ酸を含んでいてもよく、これは、例えば、異なる天然発生タンパク質(例えば、Fc又はロイシンジッパードメイン)からのアミノ酸配列、あるいは、人工アミノ酸配列(例えば、人工リンカー配列)を含んでいてもよい。
【0046】
本明細書で使用されている用語「ポリペプチド変異体」、「ハイブリッドポリペプチド」、及び「異種ポリペプチド」は、別のポリペプチド配列に対して、一またはそれ以上のアミノ酸残基がアミノ酸配列に挿入されている、アミノ酸配列から欠如している及び/又はアミノ酸配列内で置換されている、アミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。所定の実施例では、挿入する、欠如した、あるいは置換されたアミノ酸残基の数が、例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、又は少なくとも500アミノ酸長である。本発明のハイブリッドは、溶融タンパク質を含む。
【0047】
ポリペプチドの「派生物」は、化学的に修飾されたポリペプチドであり、例えば、ポリエチレングリコール、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、リン酸化反応、及びグリコシル化といった別の化学的部分との接合などである。
【0048】
用語「%配列同一性」は、用語「%同一性」と同じ意味で使われており、配列アラインメントプログラムを用いて整列させたときの、2またはそれ以上のペプチド配列間のアミノ酸配列同一性レベル、または2またはそれ以上の核酸配列間の核酸配列同一性レベルを意味する。例えば、ここで使用されているように、80%同一性は、規定のアルゴリズムによって決められる80%の配列同一性と同じことであり、所定の配列が、別の長さの別の配列と少なくとも80%同一であることを意味する。所定の実施例では、この%同一性は、例えば、所定の配列に対する、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、あるいは少なくとも99%又はそれ以上の配列同一性から選択される。所定の実施例では、この%同一性は、例えば、約60%から約70%、約70%から約80%、約80%から約85%、約85%から約90%、約90%から約95%、あるいは約95%から99%の範囲にある。
【0049】
用語「%配列相同性」は、用語「%相同性」と同じ意味で使われており、配列アラインメントプログラムを用いて整列させたときの、2またはそれ以上のペプチド配列間のアミノ酸配列相同性レベル、または2またはそれ以上の核酸配列間の核酸配列相同性レベルを意味する。例えば、ここで使用されているように、80%相同性は、規定のアルゴリズムによって決められる80%の配列相同性と同じことであり、所定の配列が、別の長さの別の配列と少なくとも80%相同であることを意味する。所定の実施例では、この%相同性は、例えば、所定の配列に対する、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、あるいは少なくとも99%又はそれ以上の配列相同性から選択される。所定の実施例では、この%相同性は、例えば、約60%から約70%、約70%から約80%、約80%から約85%、約85%から約90%、約90%から約95%、あるいは約95%から99%の範囲にある。
【0050】
二つの配列間の同一性の決定に使用できる例示的コンピュータプログラムには、限定するものではないが、例えば、BALSTN、BLASTX、及びTABLASTX、BLASTP及びTBLASTNなどの一連のBLASTプログラムがあり、これらはNCBIウエブサイトで、インターネット上で好適に入手可能である。また、Altschul et a.,J.Mol. Biol. 215:403-10,1990 (特に、公開初期設定w=4、t=17に関して)、及びAltschul et al., Nucleic Acids Res., 25:3389-3402, 1997を参照。GenBank Protein Sequences 及びその他のパブリックデータベースにあるアミノ酸配列に対して、所定のアミノ酸配列を評価する場合、配列検索は、通常、BLASTPプログラムを用いて行われる。BLASTXプログラムは、GenBank Protein Sequences及びその他のパブリックデータベースにあるアミノ酸配列に対するすべてのリーディングフレーム中で翻訳された核酸配列の検索に好ましい。BLASTPとBLASTXの両方とも、11.0のオープンギャップペナルティのデフォルトパラメータと、1.0の拡張ギャップペナルティを用いて稼働し、BLOSUM-62マトリックスを利用している。Id.参照。
【0051】
パーセント配列同一性の計算に加えて、BLASTアルゴリズムは、二つの配列の相似性の統計的分析も実行する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5787, 1993参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の一測定法は、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、二つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然に生じる確率の表示を提供する。例えば、テスト核酸と基準核酸の比較においてその最小和確率が例えば約0.1より小さい、約0.01より小さい、あるいは約0.001より小さい場合、核酸が基準配列に類似であると考えられる。
【0052】
ここで使用されている用語「異種」は、例えば、既存の天然の組成物又は状態を別の源由来のものと置き換えることによって達成された、野生型あるいは天然にみられるものではない組成物又は状態を意味する。同様に、そのタンパク質が天然に発現される有機体以外の有機体内のタンパク質の発現は、異種発現システムと異種タンパク質に寄与する。
【0053】
ここで使用されている用語「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的にあるいは部分的にエンコードされた一又はそれ以上のポリペプチドを含み、腫瘍抗原に対する特異性、又は病的状態において過剰に発現した分子に対する特異性を有するタンパク質を意味する。一般に認められている免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン 及びミュー定常領域遺伝子、並びに、これらの遺伝子の亜類型及び無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖(LC)は、カッパ又はラムダに分類される。重鎖(HC)は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンに分類され、これらは免疫グロブリンのクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEをそれぞれ規定する。典型的な免疫グロブリン(例えば、抗体)の構造的ユニットは、四量体を含む。各四量体は、二つの同一のポリペプチド鎖対からなり、各対は、一の「軽」(約25kD)鎖と一の「重」(約50-70kD)鎖を有する。各鎖のN-末端は、主に抗原認識を行う約100乃至110の可変領域又はそれ以上のアミノ酸を規定する。
【0054】
ここで使用されている用語「Fc領域」は、免疫グロブリン重鎖のC-末端領域を規定しており、無傷の抗体のパパイン分解によってつくることができる。Fc領域は、天然配列Fc領域又は異形Fc領域である。免疫グロブリンのFc領域は通常、二つの定常領域、CH2ドメインとCH3ドメインを含み、選択的にCH4ドメインを含む。抗体のFc部分は、例えば、サイトカイン誘導、ADCC、貧食、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び抗体の半減期/クリアランス率と抗原-抗体複合体(例えば、新生児のFcR(FcRn)は、エンドソーム中で、酸性pHでIgGのFc領域に結合してIgGを分解から保護し、これによってIgGの長い血清半減期に寄与する)といったいくつかの重要なエフェクター機能を仲介する。抗体エフェクター機能を変えるFc部分におけるアミノ酸残基の置換は、この分野では公知である(例えば、Winter et al. U.S. Patent No. 5,648,260及び5,624,821参照)。
【0055】
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドユニットからなるポリマを意味する。ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)やリボ核酸(RNA)、並びに核酸類似体などの、天然に発生する核酸を含む。核酸類似体には、非天然に生じる塩基を含むもの、天然に発生するリン酸ジエステル結合以外のその他のヌクレオチドとリンクしているヌクレオチド、あるいは、リン酸ジエステル結合以外のリンケージを介して付着した塩基を含むものが含まれる。したがって、ヌクレオチド類似体には、例えば、限定することなく、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロトリエステル、ホスホロアミド酸、ボラノリン酸、メチルホスホン酸、キラル-メチルホスホン酸、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNAs)、その他が含まれる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成器を使って合成することができる。用語「核酸」は、通常、大きなポリヌクレオチドを意味する。用語「オリゴヌクレオチド」は、通常、短いポリヌクレオチド、一般的に約50ヌクレオチドを超えないポリヌクレオチドを意味する。ヌクレオチド配列がDNA配列(すなわち、A、T、G、C)で表示される場合、これは「U」が「T」に代わっているRNA配列(すなわち、A、U、G、C)も含むと解される。
【0056】
ここでは、ポリヌクレオチド配列を記載するのに従来の記述法が使用されている。一本鎖ポリヌクレオチド配列の左端が、5’端であり、二重鎖ポリヌクレオチド配列の左方向は、5’方向と呼ばれる。発生期RNA転写産物へのヌクレオチドの5’乃至3’の追加方向は、転写方向と呼ばれる。そのDNAから転写されたmRNAと同じ配列を有するDNA鎖の配列であり、RNA転写産物の5’から5’端に位置する配列は、「上流配列」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有するDNA鎖の配列であって、コードするRNA転写体の3’から3’端である配列は、「下流配列」と呼ばれる。
【0057】
「相補性」とは、二つのポリヌクレオチドの相互作用表面の位相的互換性又は互いのマッチングを意味する。したがって、二つの分子は、相補的であると記載することができ、さらには、接触表面特性が互いに相補的である。第1のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が第2のポリヌクレオチドのポリヌクレオチド結合パートナ―のヌクレオチド配列と実質的に同一である場合、あるいは、緊縮ハイブリダイゼーション条件下で、第1のポリヌクレオチドが第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズされている場合、第1のポリヌクレオチドは第2のポリヌクレオチドと相補的である。
【0058】
「特異的にハイブリッド形成する」あるいは「特異的ハイブリダイゼーション」あるいは「選択的にハイブリッド形成する」とは、その配列が、複合混合物(例えば、全細胞)DNA又はRNA中に存在する場合の、緊縮条件下での特定の核酸配列への選択的な核酸分子の結合、二重化、あるいはハイブリッド形成を意味する。用語「緊縮条件」とは、プローブがその目標サブシーケンス、あるいは比較的小さいその他の配列、又は全くそれではないその他の配列に、選択的にハイブリッド形成する条件を意味する。サザンハイブリッド化及びノースハイブリッド化といった核酸ハイブリダイゼーションのコンテキストにおける「緊縮ハイブリダイゼーション」及び「緊縮ハイブリダイゼーション洗浄条件」は、配列に依存しており、異なる環境パラメータの下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションへの更なるガイドは、Tijssen, 1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, part 1, chapter 2, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”, Elsevier, N. Y.; Sambrook et al., 2001, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 3. Sup. Rd ed., NY; 及びAusubel et al., eds., Current Edition, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, NYに見ることができる。
【0059】
一般的に、高緊縮ハイブリダイゼーションと洗浄条件は、規定のイオン強度とpHにおける特定配列の熱溶融点(Tm)より約5℃低くなるように選択される。このTmは、目的の配列の50%が完全にマッチングしたプローブにハイブリッド形成する温度である(既定のイオン強度とpHの下)。非常に緊縮した条件は、特定のプローブについてのTmと同じになるように選択される。サザン又はノーザンブロットでフィルタ上に約100を超える相補的残基を有する相補的核酸のハイブリダイゼーションについての緊縮ハイブリダイゼーション条件の一例は、42℃で1mgのヘパリンを伴う50%のフォルマリンであり、一晩ハイブリダイゼーションが行われる。高緊縮洗浄条件の一例は、72℃で約15分間の、0.15M NaClである。緊縮洗浄条件の一例は、65℃で15分間の0.2×SSC洗浄である。SSCバッファについての説明は、Sambrook et al.を参照。高緊縮洗浄に先立って低緊縮洗浄を行って、バックグラウンドプローブ信号を除去できる。例えば100のヌクレオチドを超える二本鎖用の例示的な緊縮洗浄媒体は、45℃で15分間の1×SSCである。例えば、100ヌクレオチドを超える二本鎖用の例示的な低緊縮洗浄は、40℃で15分間の4-6×SSCである。一般的に、特定のハイブリダイゼーションアッセイ中の無関係なプローブについて観察される信号対ノイズ比の2倍(又はそれ以上)の信号対ノイズ比が、特定のハイブリダイゼーションの検出を表している。
【0060】
「プライマー」は、指定のポリヌクレオチドテンプレートに特異的にハイブリッド形成することができ、相補ポリヌクレオチドの合成の開始点を提供するポリヌクレオチドを意味する。このような合成は、ポリヌクレオチドプライマーが、合成が誘発される条件下、すなわちヌクレオチド、相補ポリヌクレオチドテンプレート、及びDNAポリメラーゼなどの重合化用試薬の存在下に置かれると生じる。プライマーは通常一本鎖であるが、二本鎖であってもよい。プライマーは、通常デオキシリボ核酸であるが、様々な合成したあるいは天然に生じるプライマーが多くのアプリケーションに使用される。プライマーは、ハイブリダイズ形成して合成を開始する部位として作用するテンプレートに相補であるが、そのテンプレートのそのままの配列を反映する必要はない。このような場合、プライマーのテンプレートに対する特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件の緊縮性に依存する。プライマーは、例えば、発色部分、放射性部分、あるいは蛍光部分でラベル化することができ、検出可能な部分として使用される。
【0061】
ポリヌクレオチドに関連して使用する「プローブ」は、別のポリヌクレオチドの指定された配列に特異的にハイブリッド形成できるポリヌクレオチドを意味する。プローブはターゲットの相補ポリヌクレオチドに特定的にハイブリッド形成できるポリヌクレオチドを意味するが、テンプレートのそのままの相補配列を反映する必要はない。このような場合、ターゲットへのプローブの特異的ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーション条件の緊縮性に依存する。プローブは、例えば、発色部分、放射性部分、あるいは蛍光部分でラベル化することができ、検出可能な部分として使用される。プローブが相補ポリヌクレオチドの合成開始点を提供する場合、プローブはプライマーであってもよい。
【0062】
「ベクター」は、それにリンクした別の核酸を細胞内に導入するのに使用できるポリヌクレオチドである。あるタイプのベクターは、「プラズミド」であり、これは、追加の核酸セグメントが結合しうる直鎖又は環状の二重鎖DNA分子を意味する。別のタイプのベクターは、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)であり、個々では、追加のDNAセグメントをウイルスのゲノムに導入できる。所定のベクターは、導入されるホスト細胞内で自己複製することができる(例えば、複製の細菌起源を含む細菌ベクターや、遺伝子副体哺乳動物細胞ベクター)。その他のベクター(非遺伝子副体哺乳動物細胞ベクター)は、ホスト細胞に導入されるとホスト細胞のゲノムに一体化され、それによって、ホストゲノムと共に複製される。「発現ベクター」は、選択したポリヌクレオチドの発現を案内できる型のベクターである。
【0063】
「調節配列」は、操作可能にリンクされている核酸の発現(例えば、レベル、タイミング、又は発現位置)に影響する核酸である。調節配列は、例えば、調整した核酸に直接影響を及ぼす、あるいは、一またはそれ以上の分子(例えば、調節配列及び又は核酸に結合したポリペプチド)の動きを介して影響を及ぼすことができる。調節配列の更なる例は、例えば、Goeddel, 1990, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. 及びBaron et al. 1995, Nucleic Acids Res. 23:3605-06に記載されている。ヌクレオチド配列は、調節配列がヌクレオチド配列の発現(例えば、レベル、タイミング、又は発現の位置)に影響する場合、調節配列に「操作可能にリンクされ」る。
【0064】
「ホスト細胞」とは、本発明のポリヌクレオチドを発現させるのに使用できる細胞である。ホスト細胞は、例えば、大腸菌などの原核生物であってもよく、あるいは、例えば、単細胞真核生物(例えば、イースト又はその他のカビ類)、植物細胞(例えば、タバコ又はトマトの植物細胞)、動物細胞(例えば、ヒト細胞、サル細胞、ハムスター細胞、ラット細胞、マウス細胞、又は昆虫細胞)、又はハイブリドーマであってもよい。通常は、ホスト細胞は、培養細胞であり、ポリぺプチドをエンコードする核酸で形質転換する、あるいは核酸導入することができ、ついで、ホスト細胞中で発現できる。フレーズ「組み替え型ホスト細胞」は、発現すべき核酸で形質転換した又は核酸導入したホスト細胞を記載するのに使用することができる。ホスト細胞は、核酸を含むが、調整配列がホスト細胞に導入されて核酸と操作可能にリンクされない限り、所望のレベルでそれを発現しないホスト細胞である。用語「ホスト細胞」は、特定の対象細胞のみならず、このような細胞の子孫又は潜在的子孫を意味すると解される。所定の改変は、例えば、突然変異又は環境の影響によって世代を超えて生じうるため、このような子孫は実際は親細胞と同一ではないが、本明細書で使用している用語の範囲内では、含まれる。
【0065】
用語「遊離分子」(ここで、この分子は、例えば、ポリペプチドやポリヌクレオチドである)は、その複製起源又は派生源によって、(1)自然状態においてそれを伴う天然に関連する成分に関連しない分子、(2)実質的に同じ種からのその他の分子がない分子、(3)異なる種からの細胞によって発現した分子、あるいは(4)自然に生じない分子である。したがって、化学的に合成された分子、又は自然界に起源する細胞と異なる細胞系で発現する分子は、天然に関連する成分から「遊離」される。分子は、また、この分野でよく知られている精製技術を用いて遊離することによって、自然に関連する分子がほぼなくなっている。分子の純度又は均一性は、この分野でよく知られたいくつもの手段によって試験できる。例えば、ポリペプチドサンプルの純度は、ポリアクリルアミドゲル電子泳動を用いるとともに、このゲルをこの分野でよく知られた技術で染色してポリペプチドを可視化して試験を行うことができる。所定の目的のために、HPLC又はこの分野で精製するのによく知られているその他の手段を用いて、より高い解像度を提供することができる。
【0066】
タンパク質又はポリペプチドは、サンプルの少なくとも約60%乃至75%が単一種のポリペプチドを示す時、「実質的に純粋」である、「実質的に均質」である、あるいは「実質的に精製」されている。ポリペプチド又はタンパク質は、単量体、又は重量体であってもよい。実質的に純粋なポリペプチド又はタンパク質は、通常、タンパク質サンプルの約50%、60%、70%、80%、又は90%W/Wを、より一般的には約95%、好ましくは99%以上の純度になる。タンパク質の純度又は均質性は、この分野でよく知られている様々な手段で表示される。タンパク質サンプルのポリアクリルアミドゲル電気泳動とそれに続くこの分野でよく知られている染料を用いてこのゲルを染色した時の単一ポリペプチドバンドの可視化などである。所定の目的のために、HPLC又はこの分野で精製するのによく知られているその他の手段を用いて、より高い解像度を提供することができる。
【0067】
「リンカー」は、二つの別の分子を、共有結合又はイオン結合、ファンデルワール結合、又は水素結合で結合する分子を意味する。例えば、5’末端にある位置の相補配列と、3’末端にある別の相補配列にハイブリッド形成し、これによって二つの非相補配列を結合する核酸分子である。「開裂可能なリンカー」は、分解又は切断されて、開裂可能なリンカーで結合されている二つの成分を分離できるリンカーを意味する。開裂可能なリンカーは、通常、酵素、典型的にはペプチダーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、などによって開裂する。開裂可能なリンカーは、また、例えば、温度、pH、塩濃度、その他といった環境的きっかけによっても開裂することがある。
【0068】
本明細書で使用されている用語「ラベル」又は「ラベル化した」は、抗体中の別の分子の組み込みを意味する。一実施例では、ラベルは、例えば、放射線標識アミノ酸の組み込み、あるいは、マークを付けたアビジン(例えば、蛍光マーカー又は光学的方法又は熱量測定方法によって検出できる酵素活性を含むストレプトアビジン)で検出できるビオチニル部分のポリペプチドへの付着といった、取り外し可能なマーカーである。別の実施例では、このラベル又はマーカーは、例えば、薬物複合体又は毒など、健康回復に効果のあるものでありうる。ポリペプチド及びグリコプロテインをラベル化する様々な方法がこの分野で知られており、使用することができる。ポリペプチドのラベルの例には、限定するものではないが、ラジオアイソトープ又はラジオヌクレオチド(例えば、3H,14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In,125I、131I)、蛍光ラベル(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素ラベル(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、生物素基、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)によって認識されたあらかじめ決められたポリペプチドエピトープ、ガドリニウムキレートなどの磁性剤、百日咳毒素、タクソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-ジヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロパノロール、及びプロマイシン、及びこれらの類似体又は同族体、がある。いくつかの実施例では、ラベルは様々な長さのスペーサアームによって付着して、起こりうる立体障害を低減する。
【0069】
「医薬組成物」は、動物における医薬的用途に適した組成物を意味する。医薬組成物は、薬理学的な有効量の活性薬剤と薬学的に許容可能なキャリアを含む。「薬学的な有効量」とは、所望の薬学的結果を生み出すことができる薬剤の量を指し示す。「薬学的に許容可能キャリア」とは、標準薬学的キャリア、ビークル、バッファ、及びリン酸緩衝生理食塩水などの賦形剤、5%のデキストロース水溶液、及びオイル/水又は水/オイルエマルジョンなどのエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤及び/又は補助薬のいずれかを意味する。適切な薬学的キャリアと剤形は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 21st Ed. 2005, Mack publishing Co., Easton. に述べられている。「薬学的に許容可能な塩」は、薬学的用途に適した化合物に処方できる塩であり、例えば、金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、その他)と、アンモニア又は有機アミンの塩である。
【0070】
用語「治療する」、「治療している」及び「治療」は、生物学的疾患及び/又は少なくとも一のそれに伴う症状を和らげる又はなくす方法を意味する。本明細書で使用されているように、病気、疾患及び/又は状態を「和らげる」とは、重症度及び/又はその病気、疾患、又は状態の症状の発生頻度を低減することを意味する。さらに、本明細書における「治療」への言及は、治癒的、緩和的、及び予防的治療を含む。
【0071】
本明細書に記載されている発明の態様及び実施例は、「からなる」及び/又は「実質的にからなる」態様及び実施例を含む。
【0072】
「約」との記載は、本明細書中の値又はパラメータが、その値又はパラメータ自体に向けられる変動を含む(及び記載している)。例えば、「約X」との記載は、「X」の記載を含む。
【0073】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されているように、単数形の記載は、コンテキストが明らかに述べていない限り複数形を含む。本明細書に記載されている発明の対応及び変形例は、「からなる」及び/又は「実質的にからなる」態様と変形例を含む。
【0074】
アクチビン受容体ポリペプチド
本明細書で使用されているように、アクチビンIIB型受容体(ActRIIB)は、受入番号NP_001097.2(配列番号:45)及びその異形を有するヒトアクチビン受容体を意味する。用語「野生型ActRIIB-ECD」は、ActRIIBの細胞外ドメイン、アミノ酸1乃至134(シグナル配列付)、又は配列番号45のアミノ酸19乃至134(シグナル配列無)(ここでは、配列番号:46)を意味する。用語アクチビンIIA型受容体(ActRIIA)は、受入番号UniProtKB/Swiss-Prot P27037.1(配列番号:47)のヒトアクチビン受容体と、その異形を意味する。用語「野生型ActRIIB-ECD」は、ActRIIAの細胞外ドメイン、アミノ酸1乃至135(シグナル配列付)、又は配列番号46のアミノ酸20乃至135(シグナル配列無)(ここでは、配列番号:48)を意味する。
【0075】
可溶性ハイブリッドActRIIBポリペプチド
本発明は、野生型ActRIIB-ECD及び野生型ActRIIA-ECD由来の新規なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを提供する。このハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチドは、欠失野生型ActRIIB-ECDの一またはそれ以上のアミノ酸を、欠失野生型ActRIIA-ECDからのアミノ酸で、そのアミノ酸レベルで、二つの欠失ActRIIECDドメイン間の配列アラインメントに基づく対応する位置において、置換することで特異的に改変されている。一またはそれ以上のアミノ酸の置換は、特に、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを提供する目的で選択される。これは、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドと比べてBMP9中和の著しい低減を示すが、強いミオスタチンとアクチビンAの中和は完全に維持する。
【0076】
様々な実施例において、新規なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドの作成に使用したActRIIBの欠失細胞外ドメインは、配列番号:1に記載の110のアミノ酸配列を有する。
【0077】
様々な実施例において、新規なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドの作成に使用したActRIIAの欠失細胞外ドメインは、配列番号:2に記載の110のアミノ酸配列を有する。
【0078】
様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、アミノ酸配列番号:1を有するハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含み、ここでは、少なくとも一のアミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、L48、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、F84、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、あるいはT110が、野生型ActRIIA-ECD配列(配列番号:2)の対応する位置で置換されており、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAを結合することができるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに対するBMP9について結合親和性の低減を示す。
【0079】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:3を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0080】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:4を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0081】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:5を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0082】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:6を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、及びN72が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0083】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:7を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、及びN72が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0084】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:8を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0085】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:9を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0086】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:10を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、A68、T69、E70、E71、及びN72が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0087】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:11を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、F58、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0088】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:12を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、及びF84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0089】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:13を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、及びF84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0090】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:14を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、及びL33が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0091】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:15を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、L14、E15、S20、L22、及びR24が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0092】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:16を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、及びL33が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0093】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:17を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L14、E15、S20、L22、及びR24が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0094】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:18を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、L14、E15、S20、L22、及びR24が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0095】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:19を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、L14、E15、及びS20が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0096】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:20を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、L14、及びE15が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0097】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:21を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L14とE15が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0098】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:22を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0099】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:23を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y36、S38、及びK51が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0100】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:24を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、及びF58が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0101】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:25を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E70が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0102】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:26を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、F58が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0103】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:27を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、F58とE70が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0104】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:28を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、Q29、F58、及びE70が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0105】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:29を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、F58、及びE70が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0106】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:30を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28とE70が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0107】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:31を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0108】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:32を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0109】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:33を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、及びR24が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0110】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:34を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y36、S38、R40、S42、T45、及びK51が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0111】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:35を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q64とE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0112】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:36を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、F84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0113】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:37を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28とF58が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0114】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:51を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、E26、E28、Q29、及びL33が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0115】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:52を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、及びR24が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0116】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:53を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、及びR24が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0117】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:54を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、及びE26が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0118】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:55を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、E26、E28、Q29、及びL33が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0119】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:56を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、及びK51が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0120】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:57を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、及びK51、F58が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0121】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:58を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0122】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:59を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、及びF58、が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0123】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:60を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74、が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0124】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:61を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、及びF84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0125】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:62を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74、が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0126】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:63を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0127】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:64を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0128】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:65を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、及びK51が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0129】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:66を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、E26、E28、Q29、L33、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0130】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:67を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、E26、E28、Q29、L33、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、及びF84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0131】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:68を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、及びF84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0132】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:69を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0133】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:70を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、Y36、S38、R40、S42、T45、L48、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0134】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:71を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0135】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:72を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、I6、Y7、Y8、L14、E15、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、F58、Q64、E65、A68、T69、E70,E71、N72、及びQ74が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0136】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:73を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0137】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:74を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、K51、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0138】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:75を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、L48、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0139】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:76を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、T45、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0140】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:77を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、T45、L48、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0141】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:78を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、T45、L48、K51、Q64、及びE65が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0142】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:79を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q64、E65、及びF84が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0143】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:80を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R88、T90、H91、L92、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0144】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:81を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0145】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:82を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、F58、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、R88、T90、H91、L92、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0146】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:83を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、Q64、E65、A68、T69、E70、E71、N72、Q74、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0147】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:84を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0148】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:85を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、K51、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0149】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:86を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、L48、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0150】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:87を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、T45、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0151】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:88を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、T45、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0152】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:89を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L48、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0153】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:90を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、K51、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0154】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:91を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、A68、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0155】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:92を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、A68、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0156】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:93を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0157】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:94を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E71、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0158】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:95を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、N72、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0159】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:96を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q74、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0160】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:97を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、Q29、A68、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0161】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:98を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q29、T69、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0162】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:99を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0163】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:100を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、Q29、K51、T69、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0164】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:101を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、Q29、L48、K51、T69、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0165】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:102を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、T45、L48、K51、T69、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0166】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:103を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、Q29、L48、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0167】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:104を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、L33、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0168】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:105を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L33、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0169】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:106を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、T45、L48、Q64、E65、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0170】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:107を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L33、T45、T69、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0171】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:108を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L33、L48、T69、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0172】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:109を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L33、T45、L48、E70、R88、T90、H91、L92、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0173】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:110を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、L48、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0174】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:111を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、T45、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0175】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:112を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0176】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:113を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、L48、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0177】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:114を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0178】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:115を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E28、L48、T79、E70、R88、T90、H91、L92、E94、A95、G96、G97、P98、E99、V100、Y102、E103、P105、P106、T107、A108、及びT110が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0179】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:116を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、R3、I6、Y7、Y8、L14、E15、S20、L22、R24、E26、E28、Q29、L33、Y36、S38、R40、S42、T45、K51、F58、Q64、E65、A68、T69、E71、N72、Q74、及びF84、が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0180】
様々な実施例において、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、アミノ酸配列番号:117を含み、ここでは、配列番号:1のアミノ酸残基、E26、E28、Q29、L33、F56、及びE68が、配列番号:2の対応する位置におけるアミノ酸残基で置換されている。
【0181】
異種タンパク質-Fcドメイン
もう一つの態様では、ハイブリッドActRIIリガンドトラップは、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドと、このActRIIB-ECDポリペプチドに直接又はリンカー配列を介して付着された少なくとも一の異種タンパク質を含み、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップと呼ばれる融合タンパク質を形成する。本明細書で使用されているように、用語「融合タンパク質」は、組み換えDNA技術を用いて付着させた異種ポリペプチドを有するタンパク質を意味する。様々な実施例において、異種タンパク質は、限定するものではないが、ポリヒスチジンタグ、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、タンパク質A、タンパク質G、蛍光タンパク質、マルトース結合タンパク質(MBP)、ヒト血清アルブミン又はFcポリペプチド、あるいはFcドメインである。様々な実施例において、FcドメインはヒトIgG Fcドメインである。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号:38に記載されたヒトIgG1重鎖定常領域配列由来である。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号:39に記載されたアミノ酸を有するFcドメインである。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号:40に記載されたヒトIgG2重鎖常領域配列である。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号:41に記載されたアミノ酸を有するFcドメインである。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号:42に記載された記載されたヒトIgG4重鎖定常領域配列由来である。様々な実施例において、Fcドメインは、配列番号:43に記載されたアミノ酸を有するFcドメインである。
【0182】
リンカー
ハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、選択的に、「リンカー」又は「ヒンジリンカー」配列をさらに含んでいてもよい。リンカーは、主にハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドと異種タンパク質間の、あるいは、2又はそれ以上のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチド間のスペーサとして作用する。様々な実施例において、異種タンパク質は、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドにリンカー又はヒンジリンカーペプチドによって付着している。リンカーおよび/又はヒンジリンカーは、二次構造が比較的自由である5、10、15、20、30、40又はそれ以上のアミノ酸間の人工配列であってもよい。様々な実施例において、このリンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、及びリシンから選択されたアミノ酸を含む。様々な実施例において、リンカーはほとんどが、グリシンやアラニンなどの立体障害のないアミノ酸と、ポリグリシン(特に、(Gly)5,(Gly)8,poly(Gly-Ala))と、ポリアラニンでできている。様々な実施例において、リンカーは、G/S含有量が多く(例えば、リンカー中の少なくとも約60%、70%、80%、90%、又はそれ以上のアミノ酸は、G又はSである)。様々な実施例において、リンカーは、(GGGGS(配列番号:44)nモチーフを有しており、ここでn=1-6である。このようなリンカー及びヒンジリンカーは、この分野では広く記載されている(例えば、US8,410,043号(Sun et al)であり、これは、このようなリンカーを教示する目的で本明細書に引用により組み込まれている。)様々な実施例において、配列番号:44に記載のアミノ酸配列を有するリンカー及び配列番号:118に記載のアミノ酸配列を有するヒンジリンカーは、ヒトIgG1 Fc(配列番号:39)又はヒトIgG4 Fc(配列番号:43)を、本発明のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドにリンクさせるのに使用されている。
【0183】
リンカーは、また、非ペプチドリンカーでもよい。例えば、--NH--(CH2)S-C(O)--などのアルキルリンカー、ここで、s=2-20を用いることができる。これらのアルキルリンカーは、さらに、低アルキル(例えば、C1-C6)低アクリル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH2、フェニル、その他といった非立体障害基で置換されていてもよい。
【0184】
ハイブリッドActRIIBリガンドトラップの様々な成分は、所望する機能に合致する態様で構成することができる。例えば異種タンパク質は、C末端をハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドに配置することができ、あるいは、代替的に、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、C末端を異種ドメインに配置することができる。ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドドメインと、異種ドメインは隣接している必要はなく、追加のドメイン又はアミノ酸配列が、それぞれのドメインに対するあるいはドメイン間のC末端又はN末端に含まれていてもよい(すなわち、上述のリンカーを含んでいてもよい)。新規ActRIIBリガンドトラップの例示的な分子構造を
図1に示す。
【0185】
ハイブリッドActRIIBリガンドトラップをエンコードする合成DNAカセットの例示的構造は、一般的に、以下の要素を含むとされている。1)N末端に配置したシグナルペプチド(又はリーダー配列)であり、ActRIIB(例えば、配列番号:49)の天然シグナルペプチド、あるいは、分泌タンパク質の処理と分泌を調節できる(例えば、ヒト免疫グロブリン軽鎖リーダー配列(配列番号50)を、代理シグナルペプチドとして使用することによって、CHO細胞中にハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が十分異分泌される)代理シグナルペプチド、のいずれであってもよい;2)シグナルペプチド配列に融合したハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチド配列(例えば、配列番号:3-37又は51-117のいずれか一つ);3)ペプチドリンカー配列(例えば、配列番号:44)とヒンジリンカー配列(配列番号:118)、及び4)ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチド配列に、ペプチド/ヒンジリンカーによって融合したFcドメイン(例えば、配列番号:39、41、又は43)。
【0186】
本発明の様々な実施例では、限定するものではないが、表2に記載のハイブリッドActRIIBリガンド補集タンパク質を含む。
【0187】
ポリヌクレオチド
更なる態様では、本発明は、本発明のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを含む遊離核酸分子を提供する。対象の核酸は、一本鎖であっても、二本鎖であってもよい。このような核酸は、DNA又はRNA分子である。DNAは、例えば、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、PCRで増幅したDNA、及びこれらの組み合わせを含む。ActRIIBポリペプチドをエンコードするゲノムDNAは、多数の主が入手可能であるゲノムライブラリーから入手できる。合成DNAは、重なったオリゴヌクレオチド断片を化学合成して、そのフラグメントを集合させてコーディング領域と隣接する配列の一部又はすべてを再構築して入手することができる。RNAは、原核生物発現ベクターから得られる。これは、T7プロモータとRNAポリメラーゼを用いるベクターなど、mRNAの高レベルな合成を行う。cDNAは、ActRIIBを発現する様々な組織から遊離したmRNAから調製したライブラリィから得られる。本発明のDNA分子は、完全な遺伝子並びにポリヌクレオチドとその断片を含む。完全な遺伝子は、また、N末端シグナル配列をエンコードする配列を含んでいてもよい。
【0188】
このような核酸は、例えば、新規なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを作成する方法に使用することができる。様々な実施例では、ポリヌクレオチドは、配列番号:3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかをエンコードする。ここで、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAを結合できるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに対するBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、ポリヌクレオチドは、配列番号:3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかに少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、あるいは99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードする。ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAを結合することができるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに対するBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、このポリヌクレオチドは、配列番号:3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかに少なくとも90%同一であるポリペプチドをエンコードする。ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAを結合することができるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに対するBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、このポリヌクレオチドは、配列番号:3-37又は51-117に記載のポリペプチド配列のいずれかに少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをエンコードする。ここで、ハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAを結合することができるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに対するBMP9の結合親和性は減少している。様々な実施例において、本発明の核酸配列は、遊離されていても、組み換え型であっても、及び/又は異形核酸配列と融合していても、あるいはDNAライブラリィ内にあるものでもよい。
【0189】
様々な実施例において、本発明は、緊縮条件又は緩和条件下で、本明細書に記載したポリヌクレオチドのポリペプチドエンコード領域をハイブリッド形成する核酸分子を提供している。ここで、エンコードしたポリペプチドは、配列番号:3-37又は51-117に記載したアミノ酸配列を含み、エンコードしたポリペプチドは、ミオスタチンとアクチビンAを結合することができるが、野生型ActRIIB-ECDポリペプチドに対するBMP9の結合親和性は減少している。当業者は、DNAのハイブリダイゼーションを促進する適当な緊縮条件が変わることを容易に理解できる。例えば、6.0倍の塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)を約45℃でハイブリダイゼーションを行い、次いで、2.0倍のSSCの洗浄を50℃で行うことができる。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃で約2.0×SSCといった低い緊縮から、50℃で約0.2×SSCといった高い緊縮で、選択することができる。さらに、洗浄工程における温度は、約22℃の室温での低緊縮状態から、約65℃での高緊縮状態へ上げることができる。両温度及び塩ともに、変えることができ、温度又は塩濃度は一定に保つ一方で、その他の変数は変化する。一の実施例では、本発明は、室温で6×SSVの低緊縮条件でハイブリッド形成し、次いで、室温で2×SSCの洗浄を行う。
【0190】
様々な実施例において、遊離した核酸分子は、本明細書に記載したポリヌクレオチドを含み、さらに、本明細書に記載した少なくとも一の異種タンパク質をエンコードするポリヌクレオチドを含む。様々な実施例において、核酸分子はさらに、本明細書に記載したリンカーまたはヒンジリンカーをエンコードするポリヌクレオチドを含む。
【0191】
様々な実施例において、本発明の組み換え核酸は、発現構造において一またはそれ以上の調節ヌクレオチドに操作可能にリンクすることができる。調節配列は、この技術分野において認識されており、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリヌクレオチドを直接発現するように選択される。したがって、用語「調節配列」は、促進、強化、及びその他の発現コントロール要素を含む。例示的な調整配列は、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。通常、この一またはそれ以上の調節ヌクレオチド配列は、限定するものではないが、プロモータ配列、リーダー又はシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始及び終了配列、翻訳開始及び終了配列、及びエンハンサー又はアクチベーター配列を含む。この分野で知られている構成及び誘発プロモータは、本発明の意図するものである。このプロモータは、天然発生プロモータ、あるいは一またはそれ以上のプロモータの要素を組み合わせたハイブリッドプロモータである。発現構造は、プラズミドなどのエピソームの細胞内にあるか、あるいは、発現構造は、クロモソーム内に挿入することができる。様々な実施例において、発現ベクターは、選択可能なマーカー遺伝子を含んでおり、変形したホスト細胞を選択することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、この分野でよく知られており、使用するホスト細胞に応じて変化する。
【0192】
本発明の更なる態様では、対象となる核酸が、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドをエンコードし、少なくとも一の調節配列に操作可能にリンクされている核酸配列を含む発現ベクターに提供される。用語「発現ベクター」は、ポリヌクレオチド配列からポリペプチドを発現させるプラズミド、ファージ、又はベクターを意味する。ホスト細胞中の発現に好適なベクターは、容易に入手可能であり、核酸分子は標準的な組み換えDNA技術を用いてベクター内に挿入される。このようなベクターは、DNA配列の発現をコントロールする様々な発現コントロール配列を含んでおり、この配列は操作可能にリンクした時に、これらのベクター内でハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドをエンコードするDNA配列を発現するのに使用することができる。このような有益な発現コントロール配列には、例えば、SV40の初期及び後期プロモータ、tetプロモータ、アデノウイルス又はサイトメガロウイルス最初期プロモータ、RSVプロモータ、lacシステム、trpシステム、TAC又はTRCシステム、発現がT7RNAポリメラーゼによって行われるT7プロモータ、ラムダファージの主オペレータ及びプロモータ領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ又はその他の糖分解酵素のプロモータ、例えば、PhoSなどのホスファターゼ酸のプロモータ、酵母a-接合因子のプロモータ、バキュロウイルス系のポリヘドロンプロモータ、及び原核細胞又真核細胞は又はそのウイルスの遺伝子発現を制御することが知られているその他の配列、及びこれらの組み合わせがある。発現ベクターの設計は、転換するホスト細胞の選択及び/又は発現を望むタンパク質のタイプといった要因に依存すると考えらえる。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数と、抗生物質マーカなど、ベクターによってエンコードされたその他のタンパク質の発現をコントロールする能力も考慮すべきである。vActRIIBの発現に適している例示的な発現ベクターは、pDSRa(引用により組み込まれているWO90/14363号に記載されている)とその派生物であり、vActRIIBポリヌクレオチド、ならびにこの分野でよく知られているあるいは以下に説明する更なる適切なベクターを含む。
【0193】
本発明の組み換え核酸は、クローン遺伝子又はその一部を、原核細胞、真核細胞(イースト、鳥類、昆虫類、哺乳類)又は両方の発現に適したベクター内に結合することによって生成することができる。組み換えActRIIBポリペプチドの生成のための発現ビークルは、プラズミドとその他のベクターがある。例えば、適切なベクターは、大腸菌などの原核細胞内に発現させる、pBR322-由来プラズミド、pEMBL由来プラズミド、pEX-由来プラズミド、pBTac-由来プラズミド、及びpUC-由来プラズミド、といったタイプのプラズミドを含む。
【0194】
哺乳類発現ベクターは、バクテリア内のベクタの伝達を容易にする原核生物配列と、真核細胞内で発現される一またはそれ以上の真核生物転写ユニットの両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neo及びpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのうちのいくつかは、pBR322などの細菌プラズミドからの配列で修飾され、原核細胞と真核細胞の両方における複製及び薬物耐性選択を容易にする。代替的に、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV-1)や、エプスタイン・バール・ウイルス(pHEBo、pREP-由来、及びp205)などのウイルスの派生物は、真核細胞中のタンパク質の一過性の発現に用いられる。その他のウイルス性(レトロウイルス性を含む)発現システムは、以下の遺伝子治療送達システムの記載に見られる。プラズミドの調製及びホスト器官の形質転換用いられる様々な方法は、この分野ではよく知られている。原核細胞と真核細胞、並びに一般的な組み換え手順のためのその他の適切な発現システムについては、Molecular Cloning A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. By Sambrook, Fritsch and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) Chapters 16 and 17 を参照されたい。いくつかの場合、バキュロウイルス発現システムの使用によって、組み換えポリペプチドを発現させることが望ましい。このようなバキュロウイルス発現システムの例には、pVL-由来ベクター(pVL1392、pVL1393、及びpVL941など)、pAcUW-由来ベクター(pAcUW1など)、及びpBlueBac由来ベクター(B-gal含有pBlueBacIIIなど)、がある。
【0195】
様々な実施例において、ベクターは、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)及びpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wis.)などのCHO細胞中の対象となるハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドの製造用に設計されている。明らかなように、対象の遺伝子構造を用いて、培地内で増殖した細胞中の対象のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを発現させることができる。例えば、精製用に、融合タンパク質又は変異タンパク質を含む、タンパク質をつくることができる。
【0196】
本発明は、さらに、一またはそれ以上の対象のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドについてアミノ酸配列(例えば、配列番号:3-37又は51-117)をコードするヌクレオチド配列を含む組み換え遺伝子を用いて増殖させたホスト細胞に関する。このホスト細胞は、原核細胞又は真核細胞であってもよい。例えば、本発明のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現システムを用いて)、酵母、あるいは哺乳動物細胞内で発現することができる。その他の適切なホスト細胞は当業者に公知である。
【0197】
したがって、本発明は更に、対象のハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを製造する方法に関する。例えば、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドをエンコードする発現ベクターで増殖したホスト細胞は、適切な条件下で培養して、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを発現させることができる。ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドが分泌され、細胞とハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドを含む媒体との混合物から単離される。代替的に、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドは細胞質によって、あるいは細胞膜画分内に残り、細胞が培養され、溶解されて、タンパク質が単離される。細胞培地は、ホスト細胞、媒体、及びその他の副産物を含む。細胞培地の適切な媒体は、この分野でよく知られている。
【0198】
本発明のポリペプチドとタンパク質は、この分野でよく知られているタンパク質精製技術によって生成することができる。これらの技術には、一のレベルで、タンパク性及び非タンパク性画分の粗分別が含まれる。ペプチドポリペプチドをその他のタンパク質から分離して、対象のペプチド又はポリペプチドを、クロマトグラフィー技術と電気泳動技術を用いてさらに精製して、部分的又は完全な精製(あるいは、均質に精製)を行うことができる。本明細書で使用されている用語「単離したポリペプチド」あるいは「精製したポリペプチド」は、その他の成分から単離可能な成分を意味し、ここで、ポリペプチドは、天然に入手できる状態に対してどのような度合にも生成される。精製したポリペプチドは、したがって、天然に生じる環境から脱したポリペプチドである。一般的に「精製した」とは、分別を行って、様々なその他の組成物を取り除いたポリペプチド組成物を意味し、その組成物は、実質的に、その発現した生物学的活性を維持している。用語「実質的に精製した」を使用する場合、この表示は、ポリペプチド又はペプチドがその組成物の主成分を、その組成物中のタンパク質の約50%、約60%、約70%、約80%、約85%、あるいは約90%またはそれ以上を成しているペプチド又はポリペプチド組成物を意味する。
【0199】
精製に適した様々な技術が当業者に知られている。これらには、例えば、硫酸アンモニウム、PEG、抗体(免疫沈降)、その他、又は熱変性とそれに続く遠心分離、親和性クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー(タンパク質Aカラム)、イオン交換、ゲルフィルタレーション、逆相、水酸リン石灰、疎水性相互作用クロマトグラフィー;等電点電気泳動法;ゲル電気泳動、及びこれらの技術の組み合わせがある。この分野で一般的に知られているように、様々な精製ステップを行う順序は変更することができ、所定のステップは除外することができ、結果として実質的に精製されたポリペプチド組成物を調整する適切な方法となると考えられている。
【0200】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、薬学的に許容可能なキャリアの混合物中に遊離ハイブリッド可溶性ActRIIBポリペプチド又はハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を含む医薬組成物を提供する。このような薬学的に許容可能なキャリアは当業者に良く知られており、理解されるとともに、広く記載されている(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A.R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company, 1990)。この薬学的に許容可能なキャリアは、組成物の、例えば、pH、オスモル濃度、粘度、溶状、色、等張性、順序、無菌状態、安定性、分解又は放出速度、吸収又は透過率を変更、維持、又は保存する目的で含めることができる。このような医薬組成物は、ポリペプチドの物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、インビボでのクリアランス速度に影響する。適切な薬学的に許容可能なキャリアには、限定するものではないが、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジンなど);抗菌剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、硫化ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなど);バッファ(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris-HCl、クエン酸塩、リン酸塩、その他の有機酸);増量剤(マンニトール又はグリシン)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;二糖類及びその他の糖質(グルコース、マンノース、又はデキシトリン);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン);着色剤、香料添加剤及び希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン);低分子ポリペプチド;塩形態カウンターイオン(ナトリウムなど);保存料(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチル・アルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸又は過酸化水素);溶剤(グリセリン、プロピレングリコール又はポリエチレングリコール);糖アルコール(マンニトール又はソルビトール);懸濁化剤;界面活性剤又は湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパールなど);安定性強化剤(スクロース又はソルビトール);等張化強化剤(ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは、塩化ナトリウム又は塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール)など);送達ビークル、希釈剤、賦形剤及び/又は補助薬。
【0201】
医薬組成物の重要なビークル又はキャリアは、実際、水性であっても非水性であってもよい。例えば、適切なビークル又はキャリアは、注入用の水、生理食塩水液、又は人工脳脊髄液であり、場合によって非経口投与用組成物に通常使用されるその他の物質で補填されている。中性緩衝食塩水、又は血清アルブミンを混合した食塩水は更なる例示的ビークルである。その他の例示的医薬組成物は、pH約7.0-8.5のTrisバッファ、あるいはpH約4.0-5.5のアセテートバッファを含み、これらはさらに、ソルビトール又はそれに替わる適切なものを含む。本発明の一実施例では、所望の純度の選択された組成物を、凍結乾燥させたケーキ状のあるいは水溶液状の任意の製剤エージェント(Remington’s Pharmaceutical Sciences, supra)と混合することによって保存用に調整することができる。さらに、治療用組成物は、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて凍結乾燥物として調製することができる。最適な治療用組成物は、当業者によって、例えば、意図した投与ルート、送達フォーマット、及び所望の投与量に依存して決められる。
【0202】
非経口投与を行う場合、治療用医薬組成物は、発熱物質フリーな状態であり、薬学的に許容可能なビークルに所望のActRIIBポリペプチドを含む非経口的に許容できる水溶液である。非経口注入に特に適したビークルは、滅菌蒸留水であり、その中にポリペプチドが、適切に保存された滅菌した等張液として調製されている。様々な実施例において、注入可能な投与に適した製剤処方は、水溶液、好ましくはHanks溶液、Ringer溶液などの、生理学的に相溶性のあるバッファ、あるいは、生理学的緩衝食塩水に調製されている。水性懸濁注射液は、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトール、又はデキシトランなどの懸濁液の粘度を高める物質を含んでいてもよい。さらに、活性成分の懸濁液は、適切な油性懸濁注射液として調製してもよい。選択的に、この懸濁液は、適切な安定化剤、又はその成分の可溶性を高める物質を含み、高濃度な溶液の調製を行うようにしても良い。
【0203】
様々な実施例において、治療用医薬組成物は、コロイド分散システムを用いて目的の送達を行うように調製することができる。コロイド分散システムには、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフエア、ビーズ、及び、水中油型エマルジョンを含む脂質ベースのシステム、ミセル、混合ミセル、及びリポソームがある。リポソーム生成に使用される脂質の例には、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミンなどのホスファチジル基化合物、スフィンゴ脂質、セレブロシド、及びガングリオシドがある。説明に使用するリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、及びジステアロイルホスファチジルコリン、がある。目的のリポソームは、例えば、器官特異性、細胞特異性、及び細胞小器官特異性に基づいていてもよく、この分野で知られている。
【0204】
様々な実施例において、医薬組成物の経口投与が意図されている。この態様で投与される医薬組成物は、タブレットやカプセルなどの固形投与形式での配合に通常用いるこれらのキャリアと共に、あるいはこれらのキャリアを伴わずに調製することができる。固形投与形式(カプセル、タブレット、ピル、糖衣錠、粉体、粒体、その他)では、本発明の一またはそれ以上の治療用化合物が、一またはそれ以上の薬学的に許容可能なキャリアと混合されている。このキャリアは、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム、及び/又は:(1)例えば、スターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、及び/又はアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの保湿剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ポテトスターチ又はタピオカスターチ、アルギン酸、所定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコールやグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤;(8)カオリンやベントナイトクレイなどの吸収剤;(9)カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの潤滑剤;及び(10)着色剤のいずれかである。カプセル、タブレット、及びピルの場合、医薬組成物は、また、緩衝材を含んでいてもよい。同じタイプの固形組成物は、ラクトース又は乳糖、並びに高分子ポリエチレングリコール、その他などの賦形剤を用いてソフト及びハードカプセル中に充填剤として用いることもできる。経口投与用の液状投与形態には、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤がある。活性成分に加えて、液状投与形態は、水やその他の溶液、可溶化剤、及びエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、オイル(特に、綿実油、ピーナッツオイル、コーン油、胚芽油、オリーブ油、キャストール油、ごま油)、グリセロール、テトラフィドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、などの乳化剤、及びこれらの混合物を含んでいてもよい。不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、湿潤剤、乳化及び懸濁化剤、甘味料、香味料、着色剤、香料、及び保存料などの補助剤を含んでいてもよい。
【0205】
様々な実施例において、医薬組成物の皮膚又は粘膜への局所投与が意図されている。局所製剤は、さらに、皮膚又は角質層浸透強化剤として有効であることが知られている一またはそれ以上の様々な薬剤を含んでいてもよい。これらの例は、2-ピロリドン、N-メチルー2-ピロリドン、ジメチルアセタミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチル又はイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、及びアゾンである。この処方を美容上許容可能にする追加薬剤をさらに含めることができる。これらの例は、脂肪、ワックス、オイル、染料、香料、保存料、安定化剤、及び界面活性剤である。この分野で知られている角質溶解薬を含めるようにしてもよい。例は、サリチル酸及び硫黄である。局所あるいは経皮投与の剤形には、パウダー、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、パッチ、及び吸入がある。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容可能なキャリアと、及び、なんらかの保存料、バッファ、又は必要な促進剤と混合することができる。軟膏、ペースト、クリーム、及びジェルは、本開示の主題成分(例えばハイブリッドActRIIBリガンドトラップ)に加えて、動物性及び植物性脂質、オイル、ワックス、パラフィン、スターチ、トラガカント、セルロースは生物、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0206】
本明細書で使用を意図している更なる医薬組成物には、徐放又は放出制御剤形のポリペプチドを含む剤形を含む。リポソームキャリア、生物浸食微粒子又は多孔ビーズ及び蓄積注射など、様々なその他の徐放又は放出制御手段を調製する技術が当業者に知られている。
【0207】
治療的に使用する有効量の医薬組成物は、例えば、治療のコンテキストと目的に応じて異なる。当業者には、治療に適した投与レベルが、部分的に送達する分子、ポリぺプチドが使用されていることの表示、投与経路、及び患者のサイズ(体重、表面積又は器官サイズ)や状態(年齢及び全体的な健康状態)に応じて変化することは自明である。したがって、医師は、投与量を滴定し、投与経路を修正して最適な治療効果を得ることができる。典型的な投与量は、上述した要因に応じて、約0.1mg/kg乃至最大で約100mg/kg又はそれ以上の範囲である。ポリペプチド組成物は、注射又は静脈内投与が好ましい。長時間作用型医薬組成物は、特定の剤形の半減期とクリアランス率に応じて3日又は4日ごと、隔週、あるいは二週間ごとに投与できる。投与頻度は、使用する剤形におけるポリぺプチドの薬物動態に依存するであろう。通常、組成物は、投与が所望の効果を達成するまで投与される。組成物は、したがって、単回投与で、あるいは時間をかけた複数回投与(同じ又は異なる濃度/投与量)で、あるいは持続注入で投与することができる。さらに、適切な投与量の改良もルーチンで行われる。適切な用量は、適切な用量反応データを使用して確定することができる。
【0208】
医薬組成物の投与ルートは、例えば、経口、静脈内、腹腔内、大脳内(脳実質内)、脳室内、筋肉内、眼球内、動脈内、門脈内、病巣内ルートによる注射を介して、髄内、髄腔内、心室内、経皮的、皮下、又は腹腔内;並びに鼻腔内、溶腸、局所的、舌下腺、尿道、膣内、あるいは直腸の手段で、徐放システムによって又はインプランテーション装置による。所望の場合は、組成物は、ボーラス注入法によって、あるいは連続的に注入することによって、あるいはインプランテーション装置によって投与することができる。代替的に又は追加で、所望の分子を吸収させたあるいはカプセルに入れた、メンブレン、スポンジ又はその他の適切な材料を局所的に埋め込むことによって投与できる。インプランテーション装置を用いる場合は、この装置を適切な組織又は器官に埋め込んで、所望の分子を、核酸、徐放ボーラス、あるいは、連続投与によって送達することができる。
【0209】
治療的使用
別の態様では、本発明は、対象におけるミオスタチン関連のあるいはアクチビンA関連の疾病の治療方法を提供するものであり、この方法は、薬学的に許容可能なキャリア中に治療的に有効量の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを対象に投与するステップを具える。重要なことは、本発明の医薬組成物は、体重のパーセンテージとして無駄のない筋肉量を増加させ、体重のパーセンテージとして脂肪量を減らすのに使用することができるが、現存のActRIIB-Fc融合タンパク質ベースの治療法で報告されている安全性の問題を回避していることである。
【0210】
本発明は、対象における筋消耗疾患を治療する方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の本発明の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具え、このような投与が筋肉量の消失及び/又は筋肉機能の消失を少なくする。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、限定するものではないが、筋ジストロフィー(DMD、ベッカーMD、Limb-Girdle MD、MyotonicMD及びFSHD)、筋炎、筋疾患(遺伝性及び後天性筋疾患を含む)、運動ニューロン疾患(ルー・ゲーリック病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など)、神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、及びアルツハイマー病など)癌(すい臓がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、大腸がん、メラノーマ白血病、肺がん、前立腺癌、脳がん、膀胱がん、頭頸部がん)に関連する筋消耗、慢性心疾患(CHF)に関連する筋消耗、慢性腎臓病(CKD)、肝不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、感染症(エイズ、結核、敗血症)、関節リウマチ、トラウマ(火傷又はオートバイ事故など)、ICU救命救急診断、除神経(まひ、又は脊髄損傷など)、長期にわたるベッドでの静養、筋肉減少性肥満、及び加齢に関連する筋肉減少、を含む様々な筋疾患の治療に使用できる。
【0211】
また、本発明は、対象に心臓血管疾患を治療する方法を提供するものであり、これは、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを、対象に投与するステップを具え、この投与によって、筋肉量の消失及び/又は筋肉機能の消失を少なくする。特に本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、心臓血管疾患は、心不全、心臓委縮、肺高血圧症、心筋炎、冠動脈疾患、心筋梗塞、不整脈、心臓弁疾患、心筋症、心膜疾患、大動脈疾患、及びマルファン症候群の治療に使用できる。
【0212】
本発明は、対象における心機能障害又は心不全の治療方法を提供するものであり、対象に有効量のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。この変調は、対象の心機能を少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、あるいは少なくとも95%、改善する。心機能の改善は、1)心臓から拍出される血液量と拍出効率に焦点を当てた心拍出機能と、2)心筋収縮強度に焦点を当てた心筋機能を測定する心臓エコー検査によって評価できる。
【0213】
本発明は、対象の代謝異常を治療する方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量の発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、肥満、脂質異常症、糖尿病、インスリン耐性、筋肉減少性肥満、脂肪症、及びメタボリックシンドローム、並びに、糖尿病性筋疾患、腎症、神経障害、網膜症、骨量減少、耐糖能異常、高血糖、及びアンドロゲン欠乏から選択される代謝障害の治療に使用できる。
【0214】
本発明は、対象のがん細胞を治療する方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。この投与は、がん細胞の成長及び/又は増殖を防ぐ。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、癌として特徴付けられた障害の治療に使用できる。固形癌に限定するものではなく、乳がん、気道癌、脳癌、生殖器癌、消化器癌、尿管癌、眼癌、肝臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、甲状腺癌、副甲状腺癌およびその遠隔転移、リンパ腺腫、サルコーマス、多発性骨髄腫及び白血病などがある。乳がんの例は、浸潤性腺管癌に限定することなく、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、非浸潤性小葉癌を含む。気道の癌の例は、小細胞肺癌や非小細胞肺癌に限定するものではなく、気管支線種及び胸膜肺芽腫を含む。脳癌の例は、脳幹及びハクレングリオーマ(hypophthalmic glioma)に限定することなく、小脳星状細胞腫、大脳星細胞腫、髄芽細胞腫、上位細胞腫、並びに神経外胚葉性腫瘍と松果体腫瘍を含む。男性生殖器の癌は、限定するものではないが、前立腺がんと、精巣癌を含む。女性生殖器の癌は、限定するものではないが、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、窒癌、外陰癌、並びに子宮肉腫を含む。消化器官の癌は、限定するものではないが、肛門癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌、小腸癌、及び唾液腺癌を含む。尿管の腫瘍は、限定するものではないが、膀胱癌、陰茎癌、腎臓癌、腎盂癌、尿管癌、尿道癌を含む。目の癌は、限定するものではないが、眼球内メラノーマや、網膜芽細胞腫を含む。肝臓癌の例は、限定するものではないが、肝細胞癌(線維層板型異形を伴う又は伴わない肝細胞上皮性悪性腫瘍)、胆管癌(肝内胆管腺腫)及び、肝細胞癌と胆管癌の混合を含む。皮膚癌は、限定するものではないが、扁平上皮癌、カボジ肉腫、悪性メラノーマ、メルケル細胞癌、および非メラノーマ皮膚癌を含む。頭頸部の癌は、限定するものではないが、上咽頭癌、口唇癌および口腔癌を含む。リンパ腫には、限定するものではないが、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病、中枢神経系のリンパ腫を含む。非上皮性悪性腫瘍は、限定するものではないが、柔組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、及び横紋筋肉腫を含む。白血病は、限定するものではないが、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、を含む。所定の実施例では、癌は、アクチビンA、ミオスタチン、TGF-βや、GDF15などの形質転換増殖因子βファミリーメンバーの高い発現を伴う癌である。例えば、すい臓癌、胃癌、卵巣癌、結腸直腸癌、メラノーマ白血病、肺癌、前立腺癌、脳癌、膀胱癌、及び頭頸部癌である。
【0215】
本発明は、対象における慢性腎臓疾患(CKD)を治療する方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具え、この投与によって、筋肉量の消失及び/又は筋肉機能の消失を少なくする、あるいは腎臓の繊維症を抑制する。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、腎不全、間質性線維症、腎臓透析並びにCKDに伴うタンパク質エネルギィ消耗(PEW)を含むCKDの治療に使用できる。この変更は、対象のCKD又はPEWを、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、あるいは少なくとも95%、改善する。腎臓機能の改善は、尿中のタンパク質/クレアチン比(PCR)および糸球体ろ過率(GFR)を測定することによって評価できる。PEWの改善は、アルブミンの血清レベルと、炎症性サイトカイン、タンパク質合成及び分解速度、体重、筋肉量、物理的活性及び栄養上の転帰を測定することによって評価できる。
【0216】
本発明は、対象の自己免疫疾患の治療方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、多発性硬化症、糖尿病(1型)、糸球体腎炎、重症筋無力症、乾癬、全身性硬化症、全身性紅斑性狼瘡エリテマトーデス、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変から選択された自己免疫疾患の治療に使用できる。
【0217】
本発明は、対象の関節炎の治療方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、関節リュウマチ及び変形性関節症から選択される関節炎の治療に使用できる。
【0218】
本発明は、対象の拒食症の治療方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、神経性無食欲と食欲不振性悪質液症候群から選択される拒食症の治療に使用できる。
【0219】
本発明は、対象の肝疾患の治療方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性脂肪肝、肝硬変、肝不全、自己免疫性肝炎、及び肝細胞癌から選択される肝疾患の治療に使用できる。
【0220】
本発明は、対象の器官又は組織移植方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。特に、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップは、様々な実施例において、この移植は、心臓、腎臓、肝臓、肺、すい臓、腸、及び胸腺の器官移植、又は、骨、腱、角膜、皮膚、心臓弁、神経、及び血管の組織移植から選択される移植の治療に使用できる。
【0221】
本発明は、対象の貧血の治療方法を提供するものであり、対象に、薬学的に許容可能なキャリア中の治療的に有効量(単剤療法あるいは組み合わせ治療レジメンのいずれか)の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。様々な実施例において、この貧血は、癌に関連する貧血、化学療法誘発性貧血、慢性腎疾患に関連する貧血、鉄分欠乏性貧血、地中海貧血、鎌状細胞貧血、再生不良貧血、骨髄異形成症候群を含む様々な貧血疾患から選択される。
【0222】
本発明は、対象の繊維症の治療方法を提供するものであり、この方法は、治療的に有効量の本発明の医薬組成物をそれが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例において、対象はヒト対象である。様々な実施例において、この繊維症は、肺線維症(イディオタイプ肺線維症及び嚢胞性線維症)など、肝繊維症(非アルコール性脂肪性肝炎、及び肝硬変など)、心筋繊維症(心筋梗塞、拡張機能障害、又は心臓弁疾患など)、腎繊維症(間質性繊維症など)、骨髄繊維症、特発性腹膜後線維化症、腎性線維化性皮膚症、クローン病、ケロイド、硬化症、及び関節繊維症から選択される。
【0223】
本発明は、対象の痛みを治療する方法を提供するものであり、この方法は、治療的に有効量の本発明の医薬組成物をそれが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例において、対象はヒト対象である。様々な実施例において、この痛みは、神経因性疼痛、炎症性痛、がん性痛から選択される。
【0224】
本発明は、対象の骨疾患を治療する方法を提供するものであり、この方法は、治療的に有効量の本発明の医薬組成物をそれが必要な対象に投与するステップを具える。一実施例において、対象はヒト対象である。様々な実施例において、この骨疾患は、骨軟化症、骨粗しょう症、骨形成不全症、進行性骨化性線維異形成症、コルチコステロイド誘発性骨量減少、骨折、又は骨への転移から選択される。
【0225】
本発明は、対象における筋肉量及び/又は筋肉機能の消失を抑制する方法を提供するものであり、対象に有効量のハイブリッドActRIIBリガンドトラップを投与するステップを具える。変更は、対象の筋肉量及び/又は筋肉機能の消失を、少なくとも5%、10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、あるいは少なくとも90%低減させる。筋肉量及び筋肉機能の消失の抑制は、画像技術と物理的強度テストを用いて評価できる。筋肉量を評価する画像技術の例には、二重エネルギーX線吸収法(DEXA)、磁気共鳴撮像法(MRI)、及びコンピュータ断層撮像法(CT)がある。筋肉機能試験の例には、握力試験、階段を上る試験、簡易身体能力バッテリィ試験(SPPB)、及び6分間歩行、並びに、呼吸筋の強度の測定に用いられる最大吸気圧(MIP)及び最大呼気圧(MEP)がある。
【0226】
「治療上の有効量」又は「治療上の有効投与量」は、投与している治療薬剤の、治療を行っている疾患の一またはそれ以上の症状をある程度軽減するであろう量を意味する。
【0227】
治療上の有効投与量は、初期には、IC50を決定することによって細胞培養アッセイから推定できる。次いで、投与量は動物モデルで調製されて、細胞培養で決定したIC50を含む循環血漿濃度範囲を達成する。このような情報を用いて、ヒトにおける有用投与量をより正確に決定することができる。結晶中のレベルは、例えば、HPLCによって測定できる。正確な成分、投与ルート、及び投与量は、個々の医師によって、患者の状態を見て選択することができる。
【0228】
投与量レジメンを調整して、最適な所望の反応(例えば、治療上のあるいは予防上の反応)を提供できる。例えば、単一ボーラスを投与したり、時間をかけて投与量を複数回に分けて投与したり、治療の状態の緊急度によって表示されるとおりに投与量を徐々に減らすあるいは増やすことができる。投与を容易にして、均一にするために、投与ユニット形式の非形状組成物を調整することは特に有益である。本明細書で使用されている投与単位フォームは、治療を行う哺乳動物対象に対する単一投与に適した物理的な分散ユニットを意味しており、各ユニットは、必要な薬学的キャリアを伴って所望の治療効果を生むように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与量ユニットフォームについてのスペックは、主に、抗体の独自の特性と、達成すべき特定の治療効果又は予防効果によって主に決まる。
【0229】
したがって、当業者には、本明細書に提供された発明に基づいて、この投与量及び投与レジメンが、この治療分野でよく知られている方法によって調整されることは自明である。すなわち、最大許容投与量は、容易に設定することができ、各薬剤を投与する時間的条件が対象に検出可能な治療上の利益を提供できるので、対象に対する測定可能な治療上の利益を提供する有効量も、決定できる。このように、所定の投与量と投与レジメンが本明細書に例示されているが、これらの例は、本発明を実施するに際して対象に提供できる投与量と投与レジメンを限定するものではない。
【0230】
投与量の値は、緩和すべき症状のタイプと重症度によって変わり、単回投与と複数回投与を含むことに留意すべきである。さらに、特定の対象については、特定の投与レジメンは、個々の必要性と、組成物を投与する者あるいはその投与を管理するものの専門的な決定にしたがって、長期にわたって調整すべきであり、本明細書に記載されている投与量の範囲は、例示にすぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲及び実施を制限するものではないと解される。さらに、本発明の組成物についての投与レジメンは、疾患のタイプ、対象の年齢、体重、性別、医学的症状、症状の重症度、投与経路、及び使用する特定の抗体を含めて、様々な要因に基づいて作成される。したがって、投与レジメンは、広い範囲で変わるが、標準的方法を用いてルーチンで決めることができる。例えば、投与量は、毒性効果及び/又は実験室での値といった臨床効果を含む、薬物動態又は薬物動的パラメータに基づいて調整することができる。したがって、本発明は、当業者によって決定される対象内投与量増加に及ぶ。適切な投与量とレジメンの決定は、関連分野において公知であり、本明細書で開示された教示があれば、当業者によって理解されると解される。
【0231】
治療的又は予防的有効量の本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップの例示的かつ非限定的な毎日の投与範囲は、0.001乃至100mg/kg、0.001乃至90mg/kg、0.001乃至80mg/kg、0.001乃至70mg/kg、0.001乃至60mg/kg、0.001乃至50mg/kg、0.001乃至40mg/kg、0.001乃至30mg/kg、0.001乃至20mg/kg、0.001乃至10mg/kg、0.001乃至5mg/kg、0.001乃至4mg/kg、0.001乃至3mg/kg、0.001乃至2mg/kg、0.001乃至1mg/kg、0.010乃至50mg/kg、0.010乃至40mg/kg、0.010乃至30mg/kg、0.010乃至20mg/kg、0.010乃至10mg/kg、0.010乃至5mg/kg、0.010乃至4mg/kg、0.010乃至3mg/kg、0.010乃至2mg/kg、0.010乃至1mg/kg、0.1乃至50mg/kg、0.1乃至40mg/kg、0.1乃至30mg/kg、0.1乃至20mg/kg、0.1乃至10mg/kg、0.1乃至5mg/kg、0.1乃至4mg/kg、0.1乃至3mg/kg、0.1乃至2mg/kg、0.1乃至1mg/kg、1乃至50mg/kg、1乃至40mg/kg、1乃至30mg/kg、1乃至20mg/kg、1乃至10mg/kg、1乃至5mg/kg、1乃至4mg/kg、1乃至3mg/kg、1乃至2mg/kg、1乃至1mg/kg体重、である。投与量の値は、緩和すべき症状のタイプと重症度によって変わる。さらに、特定の対象については、特定の投与レジメンは、個々の必要性と、組成物を投与する者あるいはその投与を管理するものの専門的な決定にしたがって、長期にわたって調整すべきであり、本明細書に記載されている投与量の範囲は、例示にすぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲及び実施を制限するものではないと解される。
【0232】
様々な実施例において、投与する総投与量は、例えば、約1乃至1000μg/ml、約1乃至750μg/ml、約1乃至500μg/ml、約1乃至250μg/ml、約10乃至1000μg/ml、約10乃至750μg/ml、約10乃至500μg/ml、約10乃至250μg/ml、約20乃至1000μg/ml、約20乃至750μg/ml、約20乃至500μg/ml、約20乃至250μg/ml、約30乃至1000μg/ml、約30乃至750μg/ml、約30乃至500μg/ml、約30乃至250μg/ml、の範囲の血漿抗体濃度を達成する。
【0233】
本発明の医薬組成物の毒性指数及び治療指数は、細胞倍他又は実験動物での標準医薬手順によって決定できる。例えば、LD50(母数の50%になる致死量)及びED50(母数の50%における治療的有効投与量)を決定する手順である。毒性及び治療有効投与量間の投与量率は、治療指数であり、LD50/ED50の比率で表すことができる。治療指数が大きい組成物が、一般的に好ましい。
【0234】
ハイブリッドActRIIBリガンドトラップの医薬組成物の投与頻度は、治療と、治療を受けている特定の疾患の特性によって決まる。対象は、週ごと、あるいは月ごとといった一定間隔で、所望の治療結果が達成されるまで治療を受けることができる。例示的な投与頻度は、限定するものではないが、1週間に一度連続して;1週間に一度、隔週で;2週間に一度;3週間に一度;2週間連続して弱く、次いで1カ月に一度;3週間連続して弱く、次いで1カ月に一度;毎月;2カ月に一度、3カ月に一度;4カ月に一度;5カ月に一度;6カ月に一度、あるいは毎年;である。
【0235】
組み合わせ治療
本明細書で使用されているように、「組み合わせ投与」、「組み合わせ投与した」、あるいは「組み合わせて」の用語は、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップと一またはそれ以上のその他の治療薬剤を意味し、投与は、以下のことを意味しそれを含む:このような成分が単一の投与形態に製剤されており、対象にほぼ同時にこの成分を放出する場合、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップと治療薬剤のこのような組み合わせを、治療の必要に応じて対象へ同時投与すること;このような成分が、別の投与形態で互いから離れて製剤されており、対象によってほぼ同時に摂取される場合、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップと治療薬剤のこのような組み合わせを治療の必要に応じて対象にほぼ同時に投与し、その時その成分が、対象にほぼ同時に放出されること;このような成分がこのような成分が、別の投与形態で互いから離れて製剤されており、各投与間に有意な時間インターバルをもって対象によって連続的に摂取される場合、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップと治療薬剤のこのような組み合わせを治療の必要に応じて対象にシーケンシャルに投与し、この成分は、対象に実質的に異なる時間に放出されること;及び、このような成分が、制御された態様で放出される単一投与形態で製剤されている場合、本発明のハイブリッドActRIIBリガンドトラップと治療薬剤のこのような組み合わせ治療の必要に応じて対象にシーケンシャルに投与され、この成分は、対象に、同時に、連続して、及び/又は、同時に及び/又は異なる時間に重なって放出され、各部分が同じ又は異なるルートで投与できること;を意味しており、これらを含む。
【0236】
別の態様では本発明は、対象の筋消耗疾患を治療する方法に関するものであり、a)本発明の治療上有効量のハイブリッドActRIIBリガンドトラップと;b)第2の薬剤の組み合わせを投与するステップを具える。この組み合わせ治療は、第2の薬剤を単独で使用する治療に抵抗があり、難治性である、筋消耗疾患に対して特に有効である。様々な実施例において、第2の薬剤は、成長ホルモン、グレリン、IGF1、TNF-α及びTNF-α、IL-6、IL-1、及びそれらの受容体などの炎症性サイトカインに対するアンタゴニスト、及びミオスタチンとアクチビンA及びその受容体に対するその他のアンタゴニストから選択される。
【0237】
様々な実施例において、この組み合わせ治療は、同じ医薬組成物中あるいは別の医薬組成物中にある、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップと第2薬剤組成物を同時に投与するステップを具える。様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物と第2薬剤組成物は、シーケンシャルに投与される。すなわち、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物が、第2薬剤組成物の投与前にあるいは投与後に、投与される。
【0238】
様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物と第2薬剤組成物の投与は同時に行われる。すなわち、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物の投与期間と、第2薬剤組成物の投与期間が互いに重なっている。
【0239】
様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物と第2薬剤組成物の投与は同時ではない。例えば、様々な実施例において、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物の投与は、第2薬剤組成物の投与の前に終了している。様々な実施例において、第2薬剤組成物の投与は、ハイブリッドActRIIBリガンドトラップ組成物の投与の前に終了している。
【0240】
本発明をより完全に説明するべく以下の実験例を提供するが、これらは、本発明の範囲を限定するものではない。
【0241】
実験例1
当業者に良く知られている組み換えDNA技術にしたがって、本発明のポリペプチドを調整することができる。この例では、ハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドの調製を一般的に述べる。
【0242】
様々なハイブリッドActRIIB-ECDポリペプチドを、ヒトActRIIB細胞外ドメイン内の選択した位置において複数のアミノ酸残基を、そのアミノ酸レベルにおける配列アラインメントに基づく対応する位置にあるヒトActRIIB細胞外ドメインから取り出したアミノ酸残基で置換することによって作成した。ハイブリッドActRIIBポリペプチドをエンコードするDNA発現カセットを、部位特異的突然変異生成を用いて精製し、次いで、ヒト免疫グロブリン軽鎖シグナルペプチドをエンコードするcDNA断片を5’末端に、及びヒトFcによってペプチドリンカーをエンコードするDNA断片を3’末端に、フレーム単位で配置することによって、Fc融合タンパク質構成物に改変した。
【0243】
実験例2
この実験例では、
図1に示す構造のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質について一般的に述べる。
【0244】
各々がシグナルペプチドリーダー配列(配列番号:49又は50)を含む様々なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質をエンコードする合成DNAカセット、実験例1から作成したハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチド(又は野生型ActRIIB-ECD配列)、ペプチドリンカー配列(配列番号:44)、ヒンジリンカー配列(配列番号:118)、及びFcドメイン配列(配列番号:39、41又は43)をクローン化して、Freedom pCHO 1.0とpcDNA3.1発現ベクター(Life Technologies)とする。
【0245】
安定して形質転換を行うために、様々なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質をエンコードするpCHO1.0発現ベクターを、FreeStyle MAX Reagent (Life Technologies)を用いて、それぞれCHO-S細胞に形質転換した。形質転換の48時間後に、シェーカー型CO2インキュベータ中で37℃で、3-7週間選択した、ピューロマイシンとメトトレキサート(MTX)を含む、細胞が血清を含まないCD FortiCHO培地中で細胞が成長した。細胞の成長能力が90%を超えるまで、30Mのピューロマイシンと500nMのメトトレキサートを含む安定したプールが作成された。希釈クローニングに続いて、製造者が推奨するプロトコル(Life Technologies)を実行することによって、安定したクローンを作成した。一過性形質転換を行うために、様々なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質をエンコードするpcDNA3.1発現プラズミドを、ExpriFectamine293形質転換試薬(Life Technologies)を用いて、それぞれ、Expi293細胞内に形質転換した。
【0246】
形質転換に続いて、安定的に形質転換したCHO-S細胞を、CO2シェーカー型インキュベータ中、37℃で、グルコースを添加して、最大14日間、完全に血清を含まないCD FortiCHO媒体中で成長させた。調製した媒体は、タンパク質精製用に回収した。一過性形質転換したExpi293細胞は、Expi293発現媒体中で、CO2シェーカー型インキュベータ中、37℃で、最大7日間培養し、媒体をタンパク質精製用に回収した。
【0247】
精製を行うために、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を含む馴化培地を、Hitrapタンパク質A高性能カラムを介して、AKTA FPLC(GE Healthcare)を用いて、精製した。ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、酢酸バッファ(pH3.6)で溶出し、1MTris-HCL(pH8.0)で中和し、次いで、バッファ交換を行った。タンパク質濃度は、分光光度計(Beckman)を用いて測定した。
【0248】
実験例3
この例では、7つのハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のミオスタチンとBMP9の結合活性を評価する。
【0249】
ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のミオスタチンと、BMP9の結合活性を、まず、Octect Red (ForteBio)を用いて分析した。精製したタンパク質又は調整した媒体を、個別にAHCバイオセンサーに、最大量で積み込んだ。基本的な洗浄フェーズに続いて、センサーを10nMのミオスタチン又はBMP9にそれぞれ露出させて、結合ステップを行い、次いで分解ステップを行った。すべての実験は、1000rpmで振動させて行った。結合活性は、ForteBio社のソフトウエアを用いて、Kd/Ka比を用いて計算したKDで分析した。
【0250】
結果
ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を、野生型ActRIIB-ECD-Fc融合タンパク質と比較して、ミオスタチンとBMP9に対する結合特性を調べた。結果は、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、野生型ActRIIB-ECD-Fc融合タンパク質に比べてBMP9に対する結合親和性が極めて低いことを示す。多数のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が劇的に低くなったBMP9に対する結合親和性を示しており、これは、野生型ActRIIB-ECD-Fcタンパク質のものより100倍以上弱く、一方で、ミオスタチンとの結合親和性は強いままであり、これは野生型ActRIIB-ECD-Fcタンパク質のものと同様である。Octet Red社の分析によって得られた予備的な結合データの概要を表3に示す。
【0251】
【0252】
結合平衡除外法(KinExA)によって、AG-0014とAG-0027を分析した(Sapidyne Instruments, Inc.)。Sapidyne Instruments社によって推奨された実験手順にしたがって、20-30μg/mlのミオスタチン、アクチビンA、又はBMP9を個別に、NHS-Activated Sepharose 4 Fast Flow beads (GE Healthcare)に結合させた。リガンドが2.5倍の連続希釈法で滴定され、各ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質の濃度は、一定に保たれた。溶液は、室温で最大24時間インキュベートすることによって、均衡状態に届き、次いで、KinExA3000マシーン上で、リガンドで被覆したセファロースビーズであらかじめパックしたフローセルを通した。ビーズに捕獲された自由ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質を、Alexa Fluor 647でラベル化したヤギ非ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc.)で検出した。リガンド結合親和性の値(KD)は、KinExA Proソフトウエア(Sapidyne Instruments)を用いて計算した。
【0253】
結果
KinExA社の分析によって得られた予備的結合データの概要を表4に示す。このデータは、野生型ActRIIBと同様に、二つの例示ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、ミオスタチンとアクチビンAの両方について、一桁のpM範囲で、高い親和性を有することを示している。しかしながら、二つのハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、BMP9に対して一桁のpM範囲で強い結合親和性を示す野生型ActRIIB-ECD-Fcとは反対に、BMP9に対する結合が検出できていないことを示している。
【0254】
【0255】
実験例4
この例では、ミオスタチン/アクチビンAシグナリングアッセイと、BMP9シグナリングアッセイについて、述べている。これらは、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のミオスタチン/アクチビンA-ブロック活性と、BMP9-ブロック活性をそれぞれ定量化するのに使用した。
【0256】
ミオスタチン/アクチビンAのシグナリングを評価するために、CAGA配列(Dennler et al, EMBO 17:3091-3100, 1998)を12反復したレポータ構成を、pGL3-lucレポータベクター(Promega)にクローン化した。改変したpGL3-CACA12-lucベクターを、C2C12細胞に安定的に形質転換して、ルシフェラーゼレポータ細胞株、C2C12-CAGA-lucを作った。これは、ミオスタチン又はアクチビンAで媒介したSmad3/4シグナリングを検出できる。ミオスタチン-及びアクチビンA-中佐活性を測定するために、4nMの組み換えミオスタチン又はアクチビンAを、濃度を上げた様々なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質、並びに野生型ActRIIB-Fcタンパク質(コントロールとして)で、室温で1時間、前インキュベートした。続いて、反応混合物をC2C12-CAGA-luc細胞培地に加えた。CO2インキュベータ内で、37℃、5時間のインキュベーションを行った後、C2C12-CAGA-lucレポータ培地のルシフェラーゼ活性を、LuminoSkan Ascent (Thermo Scientific)を用いて測定した。
【0257】
Smad1/5/8-シグナリングを検知するBMP反応素子(BRE)を含むルシフェラーゼレポータで安定的に形質転換したC2C12細胞中で、BMP9のシグナリングを試験した(Korchynski et. al., J. Biol. _Chem. 277:4883-4891, 2002)。特に、二つの反復BMP-反応素子(Briter et al, PLos One, 2012)を合成して、pGL3-lucベクター(Promega)にクローン化した。次いで、pGL3-2XBRE-lucベクターを、C2C12細胞株に安定的に形質転換した。安定的に形質転換したレポーター細胞株、C2C12-BRE-lucを用いて、BMP9で媒介したSmad1/5/8シグナリングを定量化した。BMP中和活性を測定するために、4nMのBMP9を高濃度の様々なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質、並びに野生型ActRIIB-ECD-Fc融合タンパク質(コントロールとして)を室温で1時間、前インキュベートした。次いで、反応混合物をC2C12-BRE-lucレポータ培地に加えた。CO2インキュベータ中で、37℃、5時間のインキュベーションの後に、C2C12-BRE-lucレポーター培地のルシフェラーゼ活性を、Luminoskan Ascent(Thermo Scientific)を用いて測定した。
【0258】
結果
この結果は、野生型ActRIIB-ECD-Fcタンパク質と比較して、二つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、強いミオスタチン-及びアクチビンA-中和活性を維持しているが、BMP9-中和活性は際立って低いことを示した(
図2参照)。
図2は、2つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質、AG-0003(配列番号:5)及びAG-0005(配列番号:7)について、ミオスタチン、アクチビンA、及びBMP9に対する細胞ベースの中和活性を、野生型コントロールActRIIB-ECD-Fcタンパク質のものと比較して示す。
【0259】
実験例5
この例では、実験例4で述べたミオスタチン/アクチビンAシグナリングアッセイ、及びBMP9シグナリング活性を用いて、以下のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のミオスタチン/アクチビンA-ブロック活性と、BMP9-ブロック活性をそれぞれ定量化した:AG-0003(配列番号:5)、AG-0014(配列番号:16)、AG-0023(配列番号:25)、AG-0024(配列番号:26)、AG-0025(配列番号:27)、AG-0027(配列番号:29)、AG-0028(配列番号:30)、AG-0029(配列番号:31)、及びAG-0035(配列番号:37)。
【0260】
結果
この結果は、野生型ActRIIB-ECD-Fcタンパク質に比べて、これらのハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のうちのいくつかは、強いミオスタチン-及びアクチビンA-中和活性を維持しているが、BMP9-中和活性が著しく低下していることを示した。
図3は、2つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質、AG-0014及びAG-0027について、ミオスタチン、アクチビンA、及びBMP9に対する細胞ベースの中和活性を、野生型コントロールActRIIB-ECD-Fcタンパク質のものと比較して示す。
【0261】
また、表5及び6に示すように、野生型ActRIIB-ECD-Fc融合タンパク質(WT ActRIIB-Fc)に比べて、様々な例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、細胞ベースのSmad1/5/8BRE-lucレポーターアッセイ中で、劇的に低減したBMP9-中和活性を示し、一方で、細胞ベースのSmad2/3CAGA-lucレポーターアッセイ中で、ミオスタチン、アクチビンA、及びアクチビンBに対しては強い中和活性を維持していた。表5は、細胞ベースのミオスタチン、アクチビンA、アクチビンB、及びBMP9に対する、二つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質AG-0014(配列番号:16)及びAG-0027(配列番号:29)それぞれのIC
50の値を、野生型ActRIIB-Fcのものと比較して示す。表6は、いくつかの例示的なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のBMP9-及びミオスタチン-中和活性を、野生型ActRIIB-Fcのものと比較して、アウトライン化したものである。野生型ActRIIB-Fcと比較して、ハイブリッドタンパク質AG-0003(配列番号:5)、AG-0004(配列番号:6)、AG-0005(配列番号:7)、AG-0014(配列番号:16)、AG-0023(配列番号:25)、AG-0024(配列番号:26)、AG-0025(配列番号:27)、AG-0027(配列番号:29)、及びAG-0028(配列番号:30)は、BMP9-中和活性が劇的に低減した、あるいは、実質的にBMP9-中和活性を示さなかった(
図10も参照);AG-0003(配列番号:5)、AG-0005(配列番号:7)、AG-0014(配列番号:16)、及びAG-0027(配列番号:29)は、完全なミオスタチン-中和活性を維持していたが、一方で、、AG-0004(配列番号:6)、AG-0023(配列番号:25)、AG-0024(配列番号:26)、AG-0025(配列番号:27)、及びAG-0028(配列番号:30)は、ミオスタチン-中和活性の消失を示した(
図11も参照)。総合すると、これらの結果は、様々なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質の、ミオスタチン/アクチビンA-媒介Smad2/3シグナリングを、BMP9-媒介Smad1/5/8シグナリングに、最小の衝撃であるいはまったく衝撃なく、優先的にブロックする能力を示している。
【0262】
【0263】
【0264】
実験例6
この例では、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)とAG-0027(配列番号:29)を、それぞれ、10mg/kgの容量で、1週間に一度、皮下注射した9週齢のオスC57BI/6マウスの体重と筋肉量の影響を評価した。体重は、0日目、5日目、12日目及び18日目に記録した。グループ当たり、n=6/8.体重変化の値を、0日目のベースラインからの体重増加率として計算した。各動物から個々のふくらはぎの筋肉を切除して、最終解剖の間に検量した。値は、ビークル群に比較して各処理群の平均ふくらはぎ筋肉量の増加率として表した。
図4及び表7に記載したように、野生型ActRIIB-Fcと同様に、二つの例示的ハイブリッドリガンド捕集タンパク質の各々の投与によって、マウスの体重増加が著しく見られた。
【0265】
【0266】
図5及び表8に記載したように二つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質AG-0014(配列番号:16)とAG-0027(配列番号:29)の投与によって、それぞれ、野生型ActRIIB-Fcと同様に、著しいマウスの筋肉量増加がみられた。
【0267】
【0268】
実験例7
この例では、PBS(ビークル)、野生型ActRIIB-Fc(WT)、AG-0014(配列番号:16)とAG-0027(配列番号:29)を、それぞれ、10mg/kgの容量で、1週間に一度、皮下注射した8週齢のオスBalbCマウスの、腹腔、睾丸、及び肺組織における効果を評価した。処置の2週間後に、200μlのEvansブルー染料(PBS中0.5%、pH7.2)を各動物群(n=4)に尾静脈を介して注入した。Evansブルー染料注入後90分で解剖した。各群の外科的に露出させた腹腔、切除した睾丸器官、及び切除した肺組織の代表的な画像を、
図6-8に、それぞれラベル化して示す。青色は、血管組織の漏れを示す。睾丸と肺組織を検量して、フォルムアミドを含むバイアルに個別において、Evansブルー染料を抽出した。55℃で24時間インキュベーションしたのち、サンプルを遠心分離した。各サンプルの水性相の吸収を、分光光度計を用いて波長610nmで測定した。別の処置群における湿潤肺組織(左側パネル)と睾丸組織(右側パネル)のmg当たりの滲出したEvansブルー染料の量を
図9に示す。
【0269】
重要なことは、
図6-9に示すように、二つの例示的ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質の投与によって、野生型ActRIIB-Fcタンパク質と比べて、処置した動物で評価したすべての組織において、血管の漏れのレベルが著しく減っていることである。
【0270】
実験例8
自動ELISA分析を行って、野生型ActRIIB-Fc(WT ActRIIB-Fc)と野生型ActRIIA-Fc(WT ActRIIA-Fc)と比較して、異なる濃度におけるハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質のBMP9結合を特性化した。
図12に示すように、二つの例示的ハイブリッドタンパク質AG-0014(配列番号:16)とAG-0027(配列番号:29)が、それぞれ、WT ActRIIB-FcとWT ActRIIA-Fcと比較して、BMP9-結合の大幅な低下を示した。これらのデータは、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、WT ActRIIB-FcとWT ActRIIA-Fcと異なる、顕著なBMP9結合選択性を有することを示している。
【0271】
このデータは、本明細書で説明したハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、多くの萎縮誘発性サイトカインと強く結合し、中和することを示している。また、重要なことは、ハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質が、筋肉に対する選択制を劇的に改善したことである。すなわち、筋肉の萎縮誘発性サイトカインの作用を強くブロックする一方で、非筋肉に関連するサイトカインのシグナリングを無傷のまま維持し、したがって、非筋肉細胞の正常な生理学的機能を維持する。上述したように、BMPは、多くの生理学的プロセスにおいて重要な役割を果たし、BMP9シグナリングは、正常な血管構造/透過性を維持するにあたり不可欠であることが示された。BMP9シグナリングを受容してミオスタチンとアクチビンのシグナリングに優先的に拮抗することによって、BMP9を強く中和する本発明のハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、既存の溶性ActRIIBタンパク質より、より有効でより安全な治療を提供している。すなわち、多くの萎縮誘発性サイトカインを同時に選択的にターゲットにして、非筋肉に関連するサイトカインのシグナリングの干渉を避けることによって、これらのハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、優れた筋肉成長の有効性と改良された安全性プロファイルを持つ、比類ない臨床候補を提供し、これによって、筋消耗、悪液質、及びフレイルに有効なそのクラスで最高の治療となる可能性を提供している。このように、これらの新規なハイブリッドActRIIBリガンド捕集タンパク質は、加齢性筋肉減弱症、癌悪液質、慢性疾患(CHF、CKD、COPD、糖尿病、その他)に関連する筋委縮、非活動又は除神経による筋委縮、薬物誘発性筋疾患、様々な筋炎、神経筋疾患、及び神経変性疾患を含む、広範囲にわたる臨床的適応を有すると考えられる。
【0272】
ここに開示して請求したすべての物及び方法は、本発明に鑑みて過度な実験を行うことなく作成し、実行することができる。本発明の物及び方法は、好ましい実施例の形で述べられているが、当業者は本発明の精神と範囲から外れることなく、この物及び方法に変形を加えることができることは自明である。当業者に自明であるこのような変形及び均等物は、現存するあるいは後に開発されるかどうかにかかわらず、特許請求の範囲で規定した本発明の精神及び範囲内にあるものと考えられる。本明細書中に記載した、全ての特許、特許出願、及び公開された文献は、本発明に関連する当業者のもののレベルを表している。全ての特許、特許出願、及び公開された文献は、個々の文献が特別に及び個別に、全ての目的のために、また全体が引用によって組み込まれていると表示されるかのように、全体が引用によって本明細書に組み込まれている。本明細書中に説明的に記載した発明は、本明細書に特に開示されていない要素が欠如していても適切に実行することができる。したがって、本発明は好ましい実施例と最適な図面によって特に記載されているが、本明細書に開示した変更及び変形は、当業者によって行う言うるものであり、このような変更及び変形は、特許請求の範囲によって規定した本発明の範囲内にあるものと考えらえる。
【0273】
シーケンスリスト
添付のシーケンスリストに記載された核酸及びアミノ酸配列は、37C.F.R.1.822に規定されているように、ヌクレオチド塩基の標準略号とアミノ酸の3文字標記を用いて示されている。
【0274】
配列番号:1は、欠失野生型ヒトActRIIB-ECDポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0275】
配列番号:2は、欠失野生型ヒトActRIIA-ECDポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0276】
配列番号:3-37は、様々なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0277】
配列番号:38は、ヒト免疫グロブリンγ-1(IgG1)重鎖定常領域のアミノ酸配列である。
【0278】
配列番号:39は、IgG1 Fcドメインのアミノ酸配列である。
【0279】
配列番号:40は、ヒト免疫グロブリンγ-2重鎖定常領域のアミノ酸配列である。
【0280】
配列番号:41は、IgG2 Fcドメインのアミノ酸配列である。
【0281】
配列番号:42は、ヒト免疫グロブリンγ-4重鎖定常領域のアミノ酸配列である。
【0282】
配列番号:43は、IgG4 Fcドメインのアミノ酸配列である。
【0283】
配列番号:44は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列である。
【0284】
配列番号:45は、ヒトActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0285】
配列番号:46は、野生型ヒトActRIIB細胞外ドメインのアミノ酸配列である(配列番号:45の19-134)。
【0286】
配列番号:47は、ヒトActRIIAポリペプチドのフルレングスアミノ酸配列である。
【0287】
配列番号:48は、野生型ヒトActRIIA細胞外ドメインのアミノ酸配列である(配列番号:47の20-135)。
【0288】
配列番号:49は、ActRIIB天然シグナルペプチドのアミノ酸配列である。
【0289】
配列番号:50は、免疫グロブリン軽鎖シグナルペプチドのアミノ酸配列である。
【0290】
配列番号:51-117は、様々なハイブリッド可溶性ActRIIB-ECDポリペプチドのアミノ酸配列である。
【0291】
配列番号:118は、ペプチドリンカーのアミノ酸配列である。
【0292】
【配列表】