(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】基板をボンディングするためのボンディング装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
(21)【出願番号】P 2021567847
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2019062234
(87)【国際公開番号】W WO2020228940
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591004412
【氏名又は名称】ズス・マイクロテック・リソグラフィ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Lithography GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー,ジョージ
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/162272(WO,A1)
【文献】特開2018-093018(JP,A)
【文献】特開2010-267708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチャック(24)、第2のチャック(26)、第1のガス圧力調整器(38)、移動可能な第1の支持要素(68)、および第1の支持要素(68)のための第1の作動装置(72)を含む、基板をボンディングするためのボンディング装置であって、
第1のチャック(24)は、第1の基板(12)を保持するための第1の保持面(46)を含み、第1の保持面(46)は、第1のガス圧力調整器(38)に流体的に接続された第1の圧力ポート(50)を有し、
第1の支持要素(68)は、第1の圧力ポート(50)の中で少なくとも部分的に移動可能に取り付けられて、
第1のアクチュエータ(72)は、第1の支持要素(68)が第1の保持面(46)の上に突出しない格納位置と、第1の支持要素(68)が第1の保持面(48)の上に第2のチャック(26)に向かって突出する拡張位置との間で
、第1の支持要素(68)を移動させることができることを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
ボンディング装置(10)は、第2のガス圧力調整器(40)、第2の支持要素(70)、および第2の支持要素(70)のための第2のアクチュエータ(74)を含み、
第2のチャック(26)は、第2の基板(14)を保持するための第2の保持面(48)を含み、第2の保持面(48)は、第2のガス圧力調整器(40)に流体的に接続された第2の圧力ポート(52)を有し、
第2の支持要素(70)は、第2の圧力ポート(52)の中で少なくとも部分的に移動可能に取り付けられて、
第2のアクチュエータ(74)は、第2の支持要素(70)が第2の保持面(48)の上に突出しない格納位置と、第2の支持要素(70)が第2の保持面(48)の上に第1のチャック(24)に向かって突出する拡張位置との間で
、第2の支持要素(70)を移動させることができることを特徴とする請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
ボンディング装置(10)は、第1のガス圧力調整器(38)および第1のアクチュエータ(72)および/または第2のガス圧力調整器(40)および第2のアクチュエータ(74)に電気的および/または無線で接続された制御ユニット(32)を含み、
制御ユニット(32)は、第1のガス圧力調整器(38)を制御して、第1の圧力ポート(50)に第1のガス圧力でガスを供給し、第1のアクチュエータ(72)を介して第1の支持要素(68)の動きを制御するように構成され、および/または制御ユニット(32)は、第2のガス圧力調整器(40)を制御して、第2の圧力ポート(52)に第2のガス圧力でガスを供給し、第2のアクチュエータ(74)を介して第2の支持要素(70)の動きを制御するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のボンディング装置。
【請求項4】
第1のチャック(24)および/または第2のチャック(26)は、それぞれの保持面(46、48)から延びる、特にそれぞれのチャック(24、26)を通って完全に延びる開口部(58)を有し、それぞれの保持面(46、26)に隣接する開口部(58)の一部は、それぞれ圧力ポート(50、52)であり、特にそれぞれの支持要素(68、70)は開口部(58)に取り付けられ、供給チャネル(62)は圧力ポート(50、52)を形成する部分からそれぞれのチャック(24、26)の裏面または周面まで延びて設けられたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のボンディング装置。
【請求項5】
第1の圧力ポート(50)および第1の支持要素(68)を有する第1のチャック(24)と、第2のチャック(26)とを含
むボンディング装置(10)を用いて第1の基板(12)を第2の基板(14)にボンディングするための方法であって、
a)第1の基板(12)を第1の圧力ポート(50)を覆うように第1のチャック(24)の上に配置し、第1の基板(12)の端部を第1のチャック(24)に固定する工程、
b)第2の基板(14)を第2のチャック(26)の上に配置し、第2の基板(14)を第2のチャック(26)に固定する工程、
c)第1の基板(12)が第2の基板(14)に向かってたわむように、第1の圧力ポート(50)に第1のガス圧でガスを供給する工程、
d)第1の支持要素(68)を拡張位置に移動させて、第1支持要素(68)が第1チャック(24)の上方で第2チャック(26)に向かって突出する工程、および、
e)第1の基板(12)と第2の基板(14)とが少なくとも互いに接触するまで、第1のチャック(24)と第2のチャック(26)とを互いに対して相対的に移動させる工程、を含む方法。
【請求項6】
a)第2の基板(14)が第1の基板(12)に向かってたわむように、第2のチャック(26)の第2の圧力ポート(52)に第2のガス圧を有するガスを供給する工程、および、
b)第2の支持要素(70)を拡張位置に移動させて、第2の支持要素(70)が第2のチャック(26)の上方で第1のチャック(24)に向かって突出する工程、を特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第1の支持要素(68)および/または第2の支持要素(70)は、たわんだ第1の基板(12)またはたわんだ第2の基板(14)に接触するまでそれぞれ移動し、それぞれの基板(12、14)のたわみ量が支持要素(68、70)の位置に基づいて測定され、特にそれぞれのガス圧がそれぞれの基板(12、14)の測定したたわみ量に基づいて調整されることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
特に基板(12、14)の最初の接触の後に、第1の支持要素(68)は、第1の基板(12)に追加の機械的圧力を加えるように作動し、および/または、
特に基板(12、14)の最初の接触の後に、第2の支持要素(70)は、第2の基板(14)に追加の機械的圧力を加えるように作動することを特徴とする請求項5~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
機械的圧力が加えられた後で、基板(12、14)が互いに完全に接触する前に、第1の支持要素(68)および/または第2の支持要素(70)は、特に格納位置まで引き込まれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
チャック(24、26)の移動中に、第1のガス圧力および第2のガス圧力が制御されて、最初の接触後の第1の基板(12)と第2の基板(14)との間の入射角(α)が0.1°と1.5°との間、特に0.4°と0.8°との間に保持され、および/または入射角(α)が基板(12、14)間の最終平面(P)により均等に分割されることを特徴とする請求項5~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
第1のチャック(24)、第1の支持構造(20)、第2のチャック(26)および第2の支持構造(22)を含
む、基板をボンディングするためのボンディング装置であって、
第1のチャック(24)は第1の支持構造(20)に取り付けられて、第1のチャック(24)は第1の支持構造(20)から熱的に絶縁され、
第2のチャック(26)は第2の支持構造体(22)に取り付けられて、第2のチャック(26)は第2の支持構造体(22)から熱的に絶縁されたことを特徴とするボンディング装置。
【請求項12】
第1のチャック(24)および/または第2のチャック(26)は、取り付け要素(42)によりそれぞれの支持構造(20、22)に取り付けられ、第1のチャック(24)および/または第2のチャック(26)はそれぞれの支持構造(20、22)から離間されたことを特徴とする請求項11に記載のボンディング装置。
【請求項13】
ボンディング装置(10)は、第1のチャック(24)および第2のチャック(26)の温度を均熱化するように構成された少なくとも1つのチャック調節装置(30)を含み、
特に、第1のチャック(24)および第2のチャック(26)は、それぞれ少なくとも1つの調節チャネル(78)を含み、チャック調節装置(30)は、第1のチャック(24)の少なくとも1つの調節チャネル(78)と第2のチャック(26)の少なくとも1つの調節チャネルを同じ調節回路(80)内に含む調節回路(80)を含むことを特徴とする請求項11または12に記載のボンディング装置。
【請求項14】
第1チャック(24)および/または第2チャック(26)は、加熱素子(94)、特に閉ループ加熱素子を含むことを特徴とする請求項13に記載のボンディング装置。
【請求項15】
ボンディング装置(10)は、ガス調節装置(34)を含み、
第1チャック(24)は、第1の基板(12)を保持するための第1の保持面(46)を含み、第1の保持面(46)は、ガス調節装置(34)に流体的に接続された第1の圧力ポート(50)を有し、
第2チャック(26)は、第2の基板(14)を保持するための第2の保持面(48)を含み、第2の保持面(48)は、ガス調節装置(34)に流体的に接続された第2の圧力ポート(52)を有することを特徴とする請求項11~14のいずれか1つに記載のボンディング装置。
【請求項16】
ガス調節装置(34)は、少なくとも1つのチャネル(66)を有する調節材料(65)を含み、少なくとも1つのチャネル(66)は、第1の圧力ポート(50)および/または第2の圧力ポート(52)と流体的に接続されていることを特徴とする請求項15に記載のボンディング装置。
【請求項17】
第1のチャック(24)および/または第2のチャック(26)は、それぞれのチャック(24、26)のそれぞれの圧力ポート(50、52)に関連する温度センサ(60)を含むことを特徴とする請求項11~16のいずれか1つに記載のボンディング装置。
【請求項18】
第1のチャック(24)および第2のチャック(26)を含
むボンディング装置(10)を用いて第1の基板(12)を第2の基板(14)にボンディングするため
の方法であって、
a)第1のチャック(24)および第2のチャック(26)の温度を均熱化する工程、
b)第1の基板(12)を第1のチャック(24)の上に配置し、第1の基板(12)を第1のチャック(24)に固定する工程、
c)第2の基板(14)を第2のチャック(26)の上に配置し、第2の基板(14)を第2のチャック(26)に固定する工程、および、
d)第1の基板(12)と第2の基板(14)とが少なくとも互いに接触するまで、第1のチャック(24)と第2のチャック(26)とを互いに対して相対的に移動する工程、を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
第1のチャック(24)および第2のチャック(26)を、チャック(24、26)が互いに直接接触するまで互いの方向に移動させ、特に、少なくともそれらの温度が等しくなるまでチャック(24、26)を接触させたまま保持することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1のチャック(24)および第2のチャック(26)の温度は、チャック調節装置(30)を用いて均熱化されることを特徴とする請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
チャック調節装置(30)の同じ調節回路(80)を用いて、第1のチャック(24)の少なくとも1つの調節チャネル(78)と第2のチャック(26)の少なくとも1つの調節チャネル(78)に調節液(82)を循環させることにより均熱化が行われることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
それぞれのチャック(24、26)において、チャック調節装置(30)の加熱素子(94)、特に閉ループ加熱素子を用いて、第1のチャック(24)および/または第2のチャック(26)を加熱することにより、均熱化が行われることを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
第1のチャック(24)は第1の圧力ポート(50)を含み、および/または第2のチャック(26)は第2の圧力ポート(52)を含み、基板(12、14)が互いに向かってたわむように、第1のガス圧力を有するガスが第1の圧力ポート(50)に供給し、および/または第2のガス圧力を有するガスが第2の圧力ポート(52)に供給することを特徴とする請求項18~22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
それぞれの圧力ポート(50、52)に到達する前に、特にそれぞれのチャック(24、26)と接触することにより、ガスが調節されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ガスは、ガス調節装置(34)によって調節され、第1の圧力ポート(50)および第2の圧力ポート(52)に導かれたガスは、ガス調節装置(34)の共通のガス調節材料(65)を通って、特に共通のガス調質材料(65)の温度は制御されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ボンディング装置(10)は少なくとも2つのガス温度センサ(61)を含み、ガス温度センサ(61)のそれぞれは第1の圧力ポート(50)または第2の圧力ポート(52)に関連付けられ、ガス温度センサ(61)はそれぞれの関連する圧力ポート(50、52)に導かれたガスの温度を測定することを特徴とする請求項23~25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
ボンディング装置(10)は少なくとも2つのチャック温度センサ(63)を含み、チャック温度センサ(63)のそれぞれは第1のチャック(24)または第2のチャック(26)に関連付けられ、チャック温度センサ(63)はそれぞれのチャック(24、26)の温度を測定することを特徴とする請求項18~26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
第1のガス圧力および第2のガス圧力は、第1の圧力ポート(50)に導かれたガスの測定温度、第2の圧力ポート(52)に導かれたガスの測定温度、第1のチャック(24)の測定温度、第2のチャック(26)の測定温度、またはいずれかの温度の組み合わせに基づいて制御されることを特徴とする請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
チャック(24、26)の移動中に、第1のガス圧および第2のガス圧が制御されて、最初の接触後の第1の基板(12)と第2の基板(14)との間の入射角(α)が、0.1°と1.5°との間、特に0.4°と0.8°との間に保持され、および/または入射角(α)が基板(12、14)の最終平板(P)によって均一に分割されることを特徴とする請求項18~28のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をボンディングするボンディング装置および基板のボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造において、デバイス全体のサイズを小さくするために、基板、特に構造体を持つウエハのボンディングは一般的な技術である。
【0003】
ボンディングには、基板同士を強く押し付けてボンディングする、いわゆる直接ボンディングや融着ボンディングが知られている。
【0004】
ボイドや歪みを避けるために、一方のウエハを他方のウエハに向けて中心をたわませるボンドフロント伝搬法(bond front propagation method)が知られている。最初のボンディングの後、ボンドフロントまたはボンディング波は2枚の基板間で入射角を持ちながら外側に移動する。
【発明の概要】
【0005】
しかし、2枚のウエハのスケールの歪みによる誤差は依然として生じている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、スケール歪みを低減し、ボンディング品質を向上させる基板ボンディング装置および基板ボンディング方法を提供することにある。
【0007】
この目的のために、基板をボンディングするためのボンディング装置が提供される。このボンディング装置は、第1のチャックと、第2のチャックと、第1のガス圧力調整器と、第2のガス圧力調整器と、制御部とを含む。第1のチャックは、第1の基板を保持するための第1の保持面を有し、第1の保持面は、第1のガス圧力調整器に流体的に接続された第1の圧力ポートを有する。第2のチャックは、第2の基板を保持するための第2の保持面を有し、第2保持面は、第2のガス圧力調整器に流体的に接続された第2の圧力ポートを有している。制御ユニットは、第1のガス圧力調整器および第2のガス圧力調整器に電気的および/または無線で接続されており、制御ユニットは、第1のガス圧力調整器および第2のガス圧力調整器を互いに独立して制御するように構成されている。
【0008】
第1の基板のたわみ(deflection)をもたらすガス圧を、第2の基板のたわみをもたらす第2のガス圧と独立して制御することにより、従来であればスケール歪みを生じていたであろう様々な状況を考慮することが可能となる。
【0009】
ガス圧は、12~25mbarの範囲内であってもよい。例えば、第1の圧力ポートと第2の圧力ポートに加えられる圧力は互いに異なる。
【0010】
ボンディング装置は、融着ボンディングおよび/または直接ボンディングのための装置であってもよい。
【0011】
第1の基板および/または第2の基板は、例えば半導体ウエハ、特にシリコンウエハであってもよい。基板の一方または両方は構造を有してもよい。
【0012】
チャックおよび/または基板は、互いに平行および/または同心である。特に、チャックは、互いに対して移動可能である。
【0013】
例えば、制御ユニットは、第1の基板の少なくとも1つの特性および/または第2の基板の少なくとも1つの特性、特に、基板の公称サイズおよび/または直径、基板の実際のサイズおよび/または直径、基板の剛性のような機械的特性、および/または基板の温度のような環境特性にアクセスすることが可能である。制御ユニットは、第1の基板の少なくとも1つの特性、第2の基板の少なくとも1つの特性、または第1の基板および第2の基板の少なくとも1つの特性に応じて、第1のガス圧力調整器および/または第2のガス圧力調整器を制御するように構成される。このようにすれば、ガス圧によるたわみをさらに正確に制御できる。
【0014】
制御ユニットは、それぞれの特性が格納されているデータベース、またはそれぞれの特性を受け取るためのユーザインタフェイスを用いて、第1の基板の少なくとも1つの特性および/または第2の基板の少なくとも1つの特性へのアクセスを有してもよい。それぞれの特性は、測定され、データベースに格納され、および/またはユーザインタフェイスに供給される。
【0015】
実施形態において、第1の圧力ポートおよび/または第2の圧力ポートは、中心に、特にそれぞれの保持面またはチャックの領域の中心に配置され、および/または第1の圧力ポートと第2の圧力ポートが整列して、それぞれの基板の回転対称なたわみおよび/または基板の最良の重なりを生じさせる。
【0016】
安定かつ確実なプロセスのために、チャック、特に保持面は、基板を固定するための保持手段、特に真空手段、静電手段または機械的クランプ手段で構成される。
【0017】
十分なたわみを許容するために、保持手段、特に少なくとも1つの真空溝は、それぞれの保持面のエッジ部分に設けられる。
【0018】
エッジ部分は、特に、基板とチャックのそれぞれの半径方向外側の5%~20%に相当する領域である。
【0019】
真空手段は、真空源に接続されてもよい。
【0020】
十分なガス圧を供給するために、ボンディング装置は少なくとも1つのガス圧力源を備え、特に、少なくとも1つのガス圧力源は、第1のガス圧力調整器および第2のガス圧力調整器に流体的に接続される。
【0021】
例えば、ガス圧力源、例えばコンプレッサーは、それ自体が圧力調整器である。この場合、第1のガス圧力源と第2のガス圧力源とが必要である。
【0022】
上述の目的のために、第1の圧力ポートを有する第1のチャックと第2の圧力ポートを有する第2のチャックとを含むボンディング装置を用いて、第1の基板と第2の基板とをボンディングする方法が提供される。本方法は、以下の工程:
a)第1の基板を、第1の圧力ポートを覆う第1のチャックの上に配置し、第1の基板のエッジ部分を第1のチャックに固定する工程、
b)第2の基板を第2の圧力ポートを覆うように第2のチャックの上に載せ、第2の基板のエッジ部分を第2のチャックに固定する工程、
c)第1圧力ポートに第1ガス圧のガスを供給し、第2圧力ポートに第2ガス圧のガスを供給して、基板を互いにたわませる工程、および、
d)少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板とが互いに接触するまで、第1のチャックと第2のチャックとを互いに向かって相対的に移動させる工程、を含み、
第1のガス圧と第2のガス圧は、互いに独立して制御される。
【0023】
基板が互いに完全に接触する前に、チャックの移動が停止してもよい。例えば、チャック間の距離は、移動が停止したときに、基板の一方の厚さの5倍未満である。
【0024】
ボンディング装置の文脈で説明した特徴および利点は、方法にも適用され、その逆もまた然りである。例えば、上述したようなボンディング装置を本方法に用いてもよい。
【0025】
例えば、ガス圧は同時に印加され、および/または基板とチャックは互いに同心である。
【0026】
たわみをより正確に制御するために、本方法は、以下のさらなる工程:
a)第1の基板の少なくとも1つの特性および/または第2の基板の少なくとも1つの特性、特に、それぞれの基板の公称サイズおよび/または直径、それぞれの基板の実際のサイズおよび/または直径、それぞれの基板の剛性のような機械的特性、および/またはそれぞれの基板の温度のような環境特性を測定する工程、および、
b)第1の基板の少なくとも1つの特性に応じて、第2の基板の少なくとも1つの特性に応じて、または第1の基板および第2の基板の少なくとも1つの特性に応じて、第1のガス圧および/または第2のガス圧を制御する工程、を含んでもよい。
【0027】
実施形態において、基板の接触部分は、それぞれの基板の圧力ポートにあり、接触部分は、第1のガス圧および第2のガス圧が加えられたときに、最大のたわみを受け、チャックが互いに向かって移動したときに、第1の基板および第2の基板は、最初に、それぞれの接触部分と接触する。したがって、接触部によって初期接触および初期結合がなされることが保証される。
【0028】
スケール歪みをさらに低減するために、チャックの移動中に、初期接触後の第1の基板と第2の基板との間の入射角が0.1°と1.5°との間、特に0.4°と0.8°との間に保持されるように、および/または入射角が基板間の最終平面によって均等に分けられるように、第1のガス圧および第2のガス圧が制御される。第1および/または第2のガス圧の制御ユニットは、ボンディング波の伝搬プロセス中にそれぞれの圧力値を変更するようにプログラム可能であってもよい。
【0029】
例えば、ボンディング中は入射角が一定に保たれる。ボンディング時には、ボンディング波が半径方向外側に伝搬するため、角度が半径方向外側に移動することがある。
【0030】
高精度な結果を得るためには、接触部分が一直線になるように、第1の加圧ポートと第2の加圧ポートが一直線になるようにしてもよい。圧力ポートが基板の中心にある場合もある。
【0031】
さらに、上述の目的のために、第1のチャック、第2のチャック、第1のガス圧力調整器、移動可能な第1の支持要素、および第1の支持要素のための第1のアクチュエータを含む、基板をボンディングするためのボンディング装置が提供される。第1のチャックは、第1の基板を保持するための第1の保持面を有し、第1の保持面は、第1のガス圧力調整器に流体的に接続された第1の圧力ポートを有する。第1の支持要素は、第1の圧力ポートの中に少なくとも部分的に移動可能に取り付けられ、第1のアクチュエータが、第1の保持面の上に突出しない格納位置と、第1の支持要素が第1の保持面の上に第2のチャックに向かって突出する拡張位置との間で、第1の支持要素を動かすことができる。
【0032】
支持要素によって、ガス圧の機能を制御および/または支持することができ、プロセスの精度をさらに向上させることができる。
【0033】
ボンディング装置はまた、上述したようなボンディング装置の少なくとも1つの、例えば全ての特徴を、上述した利点とともに備えてもよく、その逆もまた可能である。
【0034】
実施形態において、ボンディング装置は、第2のガス圧力調整器と、第2の支持要素と、第2の支持要素のための第2のアクチュエータと、を含む。第2のチャックは、第2の基板を保持するための第2の保持面を含み、第2の保持面は、第2のガス圧力調整器と流体的に接続された第2の圧力ポートを有する。第2の支持要素は、少なくとも部分的に第2の圧力ポートの中に移動可能に装着され、第2のアクチュエータは、第2の支持要素が第2の保持面の上に突出しない格納位置と、第2の支持要素が第2の保持面の上に第1のチャックに向かって突出する拡張位置との間で、第2の支持要素を動かすことができる。このようにすれば、ボンディング初期点をさらに正確に、かつ局所的に高い界面圧力で制御することができ、十分なボンディング開始を確保できる。
【0035】
第1のアクチュエータおよび/または第2のアクチュエータは、電気モータ、ピエゾアクチュエータ、空気圧式アクチュエータ、および/または油圧式アクチュエータであってもよい。
【0036】
第1の支持要素および/または第2の支持要素は、例えばピンのような細長い部材でもよい。
【0037】
一態様において、ボンディング装置は、第1のガス圧力調整器および第1のアクチュエータに、および/または第2のガス圧力調整器および第2のアクチュエータに、電気的および/または無線で接続されている制御ユニットを含み、制御ユニットは、第1のガス圧力調整器を制御して第1の圧力ポートに第1のガス圧でガスを供給し、第1のアクチュエータを介して第1の支持要素の動きを制御するよう構成され、および/または制御ユニットは、第2のガス圧力調整器を制御して第2の圧力ポートに第2のガス圧でガスを供給し、第2のアクチュエータを介して第2の支持要素の動きを制御するよう構成されている。このようにすれば、ボンディング工程を詳細に制御することができる。
【0038】
支持要素と加圧ポートの両方を、同じ箇所に配置するために、第1のチャックおよび/または第2のチャックは、それぞれの保持面から延びる開口部、特にそれぞれのチャックを完全に貫通して延びる開口部を有し、それぞれの保持面に隣接する開口部の一部がそれぞれの加圧ポートであり、特にそれぞれの支持要素が開口部に取り付けられ、供給チャネルが加圧ポート形成部分からそれぞれのチャックの裏面または周面まで延びて設けられても良い。
【0039】
裏面は、特に保持面とは反対側である。
【0040】
圧力調整器は、圧力ポートにガスを供給するために供給チャネルに流体的に接続されてもよい。
【0041】
実施形態において、第1の圧力ポートおよび/または第2の圧力ポートは、中心に、特にそれぞれの保持面またはチャックの領域の中心に配置され、および/または第1の圧力ポートと第2の圧力ポートが整列して、それぞれの基板の回転対称なたわみおよび/または基板の最良のオーバーラップを生じさせる。
【0042】
安定かつ確実なプロセスのために、チャック、特に保持面は、基板を固定するための保持手段、特に真空手段、静電手段または機械的クランプ手段で構成されている。
【0043】
十分なたわみを可能にするために、保持手段、特に少なくとも1つの真空溝は、それぞれの保持面のエッジ部分に設けられている。
【0044】
エッジ部分は、特に、基板とチャックのそれぞれの半径方向外側の5%から20%に相当する領域である。
【0045】
真空手段は、真空源に接続されてもよい。
【0046】
十分なガス圧を供給するために、ボンディング装置は少なくとも1つのガス圧源を含み、特に、少なくとも1つのガス圧源は、第1のガス圧調整器および第2のガス圧調整器に流体的に接続されている。
【0047】
例えば、ガス圧力源、例えばコンプレッサーは、それ自体が圧力調整器である。この場合、第1のガス圧力源と第2のガス圧力源が必要である。
【0048】
さらに、上述の目的のために、第1の圧力ポートおよび第1の支持要素を有する第1のチャックと第2のチャックとを含むボンディング装置を用いて、第1の基板を第2の基板にボンディングするための、方法が提供される。本方法は、以下の工程:
a)第1の基板を、第1の圧力ポートを覆う第1のチャックの上に配置し、第1の基板のエッジ部分を第1のチャックに固定する工程、
b)第2の基板を第2のチャックの上に配置し、第2の基板を第2のチャックに固定する工程、
c)第1の基板が第2の基板に向かってたわむように、第1のガス圧を有するガスを第1の圧力ポートに供給する工程、
d)第の1支持要素を伸長位置に移動させ、第1の支持要素が第1チャックの上方で第2チャックに向かって突出させる工程、および、
e)第1の基板と第2の基板とが少なくとも互いに接触するまで、第1のチャックと第2のチャックとを互いに向かって相対的に移動させる工程、を含む。
【0049】
基板が互いに完全に接触する前に、チャックの移動を停止してもよい。例えば、チャック間の距離は、移動が停止しときに、一方の基板の厚さの5倍以下である。
【0050】
ボンディングデバイスおよび/または方法の実施形態の上述の文脈で説明した特徴および利点は、方法にも適用され、その逆もまた同様である。例えば、上述のようなボンディングデバイスを本方法に用いてもよい。
【0051】
初期接触点の制御精度をさらに向上させるために、本方法は、以下のさらなる工程:
a)第2の基板が第1の基板に向かってたわむように、第2のチャックの第2の圧力ポートに第2のガス圧を有するガスを供給する工程、および、
b)第2の支持要素を伸長位置に移動させ、第2の支持要素を第2のチャックの上方で第1のチャックに向かって突出させる工程、を含んでも良い。
【0052】
第1支持要素および/または第2支持要素の移動は、それぞれの圧力ポートでガスを供給するのと同時に、またはそれぞれの圧力ポートでそれぞれのガス圧が確立された後に起こってもよい。
【0053】
本発明の一態様では、第1の支持要素および/または第2の支持要素は、たわんだ第1の基板またはたわんだ第2の基板に接触するまでそれぞれ移動され、それぞれの基板のたわみ量が支持要素の位置に基づいて測定され、特にそれぞれのガス圧が、測定したそれぞれの基板のたわみ量に基づいて調整される。これにより、支持要素の移動を正確に制御することができる。
【0054】
それぞれの支持要素を用いた第1のガス圧および/または第2のガス圧の閉ループ制御が設定されてもよい。
【0055】
実施形態において、特に基板の最初の接触の後、第1の支持要素は、第1の基板に追加の機械的圧力を加えるように作動し、および/または、特に基板の最初の接触の後、第2の支持要素は、第2の基板に追加の機械的圧力を加えるように作動する。この機械的圧力により、基板の初期ボンディングが保証される。局所的に、すなわち支持要素によって係合された箇所に圧力を加えることにより、ボンディングの初期点、これによりボンディング波の起点を正確に制御することができる。
【0056】
機械的圧力は、それぞれのガス圧を超えることがある。
【0057】
例えば、両方の支持要素を作動させて機械的圧力を加えることができる。
【0058】
また、一方の支持要素のみを動かし、他方の支持要素を所定の位置にロックして、例えばそれぞれの基板に接触して支持することも考えられる。
【0059】
機械的圧力が加えられても、たわみはガス圧のみによって引き起こされてもよい。
【0060】
一態様において、第1の支持要素および/または第2の支持要素は、機械的圧力が加えられた後で、基板が互いに完全に接触する前に、特に格納位置まで格納される。このようにして、支持要素は、一旦基板が最初に接着されると、接着プロセスを妨げない。
【0061】
格納された位置では、支持要素は、それぞれのチャックの表面またはそれぞれの保持面の上に突出することはない。
【0062】
実施形態において、基板の接触部分は、それぞれの圧力ポートにあり、接触部分は、第1のガス圧力および第2のガス圧力が加えられたときに最大のたわみを受け、第1の基板および第2の基板は、チャックが互いに向かって移動したときに、それぞれの接触部分と最初に接触する。したがって、接触部によって初期接触が行われることが保証される。
【0063】
スケール歪みをさらに低減するために、チャックの移動中、初期接触後の第1の基板と第2の基板との間の入射角が0.1°と1.5°との間、特に0.4°と0.8°との間に保持され、および/または入射角が基板間の最終平面によって均一に分割されるように、第1のガス圧力および第2のガス圧力が制御される。第1および/または第2のガス圧のための制御ユニットは、ボンディング波の伝搬プロセス中にそれぞれの圧力値を変更するようにプログラム可能であってもよい。
【0064】
例えば、ボンディング中は入射角が一定に保たれる。ボンディング中は、ボンディング波が半径方向外側に伝搬しても良く、したがって角度は半径方向外側に移動しても良い。
【0065】
高精度な結果を得るためには、接触部分が一直線になるように、第1の加圧ポートと第2の加圧ポートを一直線にしてもよい。加圧ポートは、基板の中心部にあってもよい。
【0066】
上述の目的のために、基板をボンディングするためのボンディング装置がさらに提供される。ボンディング装置は、第1のチャックと、第1の支持構造体と、第2のチャックと、第2の支持構造体とを含む。第1のチャックは、第1の支持構造体を熱的に絶縁するように、第1の支持構造体に取り付けられ、第2のチャックは、第2の支持構造体を熱的に絶縁するように、第2の支持構造体に取り付けられる。
【0067】
チャックを熱的に隔離することによってチャックの温度を正確に制御することで、基板がチャック上に配置されるとチャックの温度になると仮定されるので、異なる温度および/または異なる熱膨張係数による基板のスケール歪みを回避することができる。
【0068】
ボンディング装置はまた、言及された利点を有する上述のボンディング装置および/または方法の実施形態の少なくとも1つの、例えば全ての特徴を有してもよく、その逆もまた然りである。
【0069】
一態様において、第1のチャックおよび/または第2のチャックは、取り付け要素によってそれぞれの支持構造体に取り付けられ、第1のチャックおよび/または第2のチャックは、それぞれの支持構造体から間隔を空けて配置される。このようにして、チャックとそれぞれの支持構造体との間の熱絶縁は、チャックと支持構造体との間の距離、すなわち空気、ガス、真空によって達成される。
【0070】
熱によるスケール歪みをさらに低減するために、ボンディング装置は、第1のチャックと第2のチャックの温度を均熱化するように構成された少なくとも1つのチャック調節装置(chuck tempering device)を含む。
【0071】
本開示内では、均熱化とは、温度差を1℃未満、特に0.5℃未満、とりわけ0.1℃未満にすることを意味する。
【0072】
実施形態において、第1のチャックおよび第2のチャックはそれぞれ少なくとも1つの調節チャネルを含み、チャック調節装置は、第1のチャックの少なくとも1つの調節チャネルおよび第2のチャックの少なくとも1つの調節チャネルを同じ調節回路に含む調節回路を含み、チャックが熱的に均一化されることを保証する。
【0073】
代替的にまたは追加的に、第1のチャックおよび/または第2のチャックは、発熱体、特に閉ループ発熱体を含み、ボンディング装置を簡略化することができる。
【0074】
チャックおよび/または基板の間の温度差を回避するために、ボンディング装置はガス調節装置を含んでも良い。第1のチャックは、第1の基板を保持するための第1の保持面を含み、第1の保持面は、ガス調節装置に流体的に接続された第1の圧力ポートを有する。第2のチャックは、第2の基板を保持するための第2の保持面を含み、第2の保持面は、ガス調節装置に流体的に接続された第2の圧力ポートを有する。
【0075】
一態様において、ガス調節装置は、少なくとも1つのチャネルを有する調節材料からなり、少なくとも1つのチャネルは、第1の圧力ポートおよび/または第2の圧力ポートに流体的に接続されている。ガスを同じ調節材料に導くことで、第1の圧力ポートおよび第2の圧力ポートに導かれるガスが同じ温度を持つことが保証される。
【0076】
ガスおよび/またはチャックの温度を制御するために、第1のチャックおよび/または第2のチャックは、それぞれのチャックのそれぞれの圧力ポートに関連する温度センサを含む。
【0077】
実施形態において、第1の圧力ポートおよび/または第2の圧力ポートは、中心に、特にそれぞれの保持面またはチャックの領域の中心に配置され、および/または第1の圧力ポートと第2の圧力ポートが整列し、それぞれの基板の回転対称なたわみおよび/または基板の最良のオーバーラップを生じさせる。
【0078】
安定かつ確実なプロセスのために、チャック、特に保持面は、保持手段、特に真空手段、静電手段、または基板を固定するための機械的クランプ手段で構成される。
【0079】
十分なたわみを許容するために、保持手段、特に少なくとも1つの真空溝は、それぞれの保持面のエッジ部分に設けられる。
【0080】
エッジ部分は、特に、基板とチャックのそれぞれの半径方向外側の5%から20%に相当する領域にある。
【0081】
真空手段は、真空源に接続されてもよい。
【0082】
十分なガス圧を供給するために、ボンディング装置は少なくとも1つのガス圧源を含み、特に、少なくとも1つのガス圧源は、第1のガス圧調整器および第2のガス圧調整器に流体的に接続される。
【0083】
例えば、ガス圧力源、例えばコンプレッサーは、それ自体が圧力調整器である。この場合、第1ガス圧力源と第2ガス圧力源とが必要である。
【0084】
上述の目的のために、さらに、第1のチャックと第2のチャックとを含むボンディング装置を用いて、第1の基板を第2の基板にボンディングする方法が提供される。本方法は、以下の工程:
a)第1のチャックと第2のチャックの温度を等しくする工程、
b)第1の基板を第1のチャックの上に配置し、第1の基板を第1のチャックに固定する工程、
c)第2の基板を第2のチャックの上に配置し、第2の基板を第2のチャックに固定する工程、および、
d)第1の基板と第2の基板とが少なくとも互いに接触するまで、第1のチャックと第2のチャックとを互いに向かって相対的に移動させる工程、を含む。
【0085】
また、基板同士が完全に接触する前にチャックの動きを止めてもよい。例えば、チャック間の距離は、移動停止時に基板の一方の厚さの5倍以下である。
【0086】
ボンディング装置および方法の実施形態の上述の文脈で説明した特徴および利点は、方法にも適用され、その逆もまた然りである。例えば、上述のようなボンディングデバイスは、本方法に使用されてもよい。
【0087】
例えば、均熱化および/または調節は、少なくとも基板がチャック上に配置されるまで、特に基板が初期接触を行うまで、または基板が完全にボンディングされるまで継続される。
【0088】
簡単かつ効率的な方法でチャックを均一にするために、第1のチャックと第2のチャックは、チャックが互いに直接接触するまで互いに向かって移動され、特にチャックは、少なくともそれらの温度が均一になるまで接触した状態に保持される。
【0089】
非常に正確な温度均一化のために、第1のチャックと第2のチャックの温度は、チャック調節装置を用いて均熱化される。
【0090】
一態様において、チャック調節装置の同じ調節回路を用いて、第1のチャックの少なくとも1つの調節チャネルと第2のチャックの少なくとも1つの加熱チャネルに調節液を循環させることにより、均熱化が行われる。このように、非常に精密な均熱化が行われる。
【0091】
追加的または代替的に、均熱化は、チャック調節装置の加熱素子、特に閉ループ加熱素子を用いて、第1のチャックおよび/または第2のチャックをそれぞれのチャック内で加熱することによって行われる。このように、ボンディング装置を簡略化できる。
【0092】
実施形態において、第1のチャックは第1の圧力ポートを含み、および/または第2のチャックは第2の圧力ポートを含み、第1の圧力ポートに第1のガス圧のガスが供給され、および/または第2の圧力ポートに第2のガス圧のガスが供給されて、基板が互いに対してたわみ、ボンディングの不正確さを低減する。
【0093】
ある態様では、ガスは、それぞれの圧力ポートに到達する前に、特にそれぞれのチャックとの接触によって調節され、ガスによる温度差を減少させることができる。
【0094】
正確な調節には、ガスはガス調節装置によって調節され、第1の圧力ポートおよび第2の圧力ポートに導かれたガスは、ガス調節装置の共通のガス調節材料を通り、特に共通のガス調節材料の温度は制御される。
【0095】
調節(tempering)は、特に、第1の圧力ポートにおけるガスと第2の圧力ポートにおけるガスとが、等しい温度を有するように行われる。
【0096】
別の態様では、ボンディング装置は、少なくとも2つのガス温度センサを含み、ガス温度センサの各々は、第1の圧力ポートまたは第2の圧力ポートに関連付けられ、ガス温度センサは、それぞれの関連する圧力ポートに向けられたガスの温度を測定する。このようにして、温度差および例えばスケール歪みをさらに低減できる。
【0097】
チャックの温度を密接に制御するために、ボンディング装置は、少なくとも2つのチャック温度センサを含んでよく、チャック温度センサの各々は、第1のチャックまたは第2のチャックに関連付けられ、チャック温度センサは、それぞれのチャックの温度を測定する。
【0098】
実施形態において、第1のガス圧力および第2のガス圧力は、第1の圧力ポートに向けられたガスの測定温度、第2の圧力ポートに向けられたガスの測定温度、第1のチャックの測定温度、第2のチャックの測定温度またはいずれかの温度の組合せに基づいて制御される。このようにすれば、ボンディングの精度をさらに高めることができる。
【0099】
実施形態において、基板の接触部は、それぞれの圧力ポートにあり、接触部は、第1のガス圧および/または第2のガス圧が加えられたときに最大のたわみを受け、第1の基板および第2の基板は、チャックが互いに向かって移動したときに、それぞれの接触部と、最初に接触する。したがって、初期接触が接触部によって行われることが保証される。
【0100】
さらにスケール歪みを低減するために、チャックの移動中に、最初の接触後の第1の基板と第2の基板との間の入射角が0.1°と1.5°の間、特に0.4°と0.8°の間に保持され、および/または基板間の最終平面で入射角が均等に分割するように第1のガス圧力および第2のガス圧力が制御される。第1および/または第2のガス圧のための制御ユニットは、ボンディング波の伝搬プロセス中にそれぞれの圧力値を変更するようにプログラム可能でもよい。
【0101】
例えば、ボンディング中は入射角が一定に保たれる。ボンディング中は、ボンディング波が半径方向外側に伝搬することがあり、したがって角度は半径方向外側に移動する。
【0102】
高精度な結果を得るためには、接触部分が一直線になるように、第1の加圧ポートと第2の加圧ポートが一直線になるようにしてもよい。
【0103】
圧力ポートは、基板の中心でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
さらなる特徴および利点は、以下の説明、および参照される添付図面から明らかになるであろう。
【0105】
【
図1】本発明にかかるボンディング装置を模式的に示す。
【
図2】本発明にかかるボンディング装置の第2の実施形態を示す。
【
図3a】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【
図3b】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【
図3c】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【
図3d】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【
図3e】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【
図3f】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【
図3g】本発明にかかる方法の様々な工程中の、
図1または
図2にかかるボンディング装置のチャックを示す。
【発明を実施するための形態】
【0106】
図1には、第1の基板12と第2の基板14とをボンディングするためのボンディング装置10が模式的に示されている。
【0107】
ボンディング装置10は、例えば、融着ボンディングまたは直接ボンディングのためのボンディング装置である。基板12、14は、例えば、半導体、特にシリコンからなるウエハであってもよい。
【0108】
基板12、14の一方または両方は、特に他方の基板12、14と対向する面に、マイクロ構造またはナノ構造のような構造を有していてもよい。
【0109】
ボンディング装置10は、内部にプロセスチャンバ18を規定するハウジング16を含む。ボンディング装置10のプロセスチャンバ18内には、第1の支持構造20、第2の支持構造22、第1のチャック24および第2のチャック26が配置されている。
【0110】
チャック24、26は、鉛直方向に移動しても互いに平行である。さらに、チャック24、26は、互いに同心円状であってもよい。
【0111】
チャック24、26は、円形であってもよく、および/または、100mm、150mm、200mm、300mmおよび/または450mmの基板またはウエハを収容するための直径を有してもよい。
【0112】
単語「第1」および「第2」は、本発明の文脈では、異なるサブコンポーネントを互いに区切るために使用される。これは、ある構成要素が第2のサブ構成要素を含む場合に、その構成要素が実際に2つのサブ構成要素からなることを必ずしも意味しない。
【0113】
ボンディング装置10は、プロセスチャンバ18の外側に、真空源28、チャック調節装置30、制御ユニット32、ガス調節装置34、圧力源36、第1ガス圧力調整器38および第2ガス圧力調整器40をさらに含む。
【0114】
なお、プロセスチャンバ18の内部には、前述の構成要素のうち1つ以上の構成要素が配置されていることも勿論考えられる。例えば、第1のガス圧力調整器38および第2のガス圧力調整器40は、より正確なガス圧力制御のために、プロセスチャンバ18内、特にそれぞれのチャック24、26の近くまたは中に配置されてもよい。
【0115】
第1チャック24および第1支持構造体20は、ボンディング装置10の下部ユニットを形成している。同様に、第2のチャック26と第2の支持構造22は、ボンディング装置10の上部ユニットを形成する。上部ユニットは、下部ユニットの上方に配置され、チャック24、26は、互いに向き合っている。
【0116】
上部ユニットおよび下部ユニットは、例えばロッドなどの取り付け要素42を含んでもよく、この取り付け要素によって、第1チャック24は第1支持構造体20に取り付けられ、第2チャック26は第2支持構造体22に取り付けられる。
【0117】
例えば、取り付け要素42は、熱伝導率の低い材料である。
【0118】
取り付け要素42により、チャック24、26は、それぞれの支持構造体20、22から間隔を空けて配置される。したがって、それぞれの支持構造体20、22と直接接触することはない。
【0119】
チャック24、26とそれぞれの支持構造体20、22との間の間隙のために、チャック24、26はそれぞれの支持構造体20、22から熱的に隔離されている。
【0120】
隙間には、プロセスチャンバ18の雰囲気が存在してもよい。雰囲気は、空気、窒素のようなガス、または真空であってもよい。
【0121】
図1の実施形態において、上部ユニットは、取り付け要素42に結合されたチャックアクチュエータ44をさらに備える。チャックアクチュエータ44によって、第2チャック26は、第1チャック24に向かって垂直に移動してもよい。
【0122】
このように、第1チャック24と第2チャック26は、相対的に移動可能である。
【0123】
支持構造体20、22は、順に、ハウジング16に取り付けられてもよい。
【0124】
チャック24、26はそれぞれ、他方のチャック26、24に面する表面に少なくとも1つの圧力ポートを有する保持面を構成している。すなわち、第1チャック24は、第1圧力ポート50を有する第1保持面46を有し、第2チャック26は、第2圧力ポート52を有する第2保持面48を有する。
【0125】
もちろん、本発明によるボンディング装置10は、加圧ポートおよび支持要素を備えるチャック24、26を1つだけ備えてもよいことは、考えられることである。
【0126】
加圧ポート50、52は、例えば、それぞれの保持面46、48またはチャック24、26の領域の中央に配置される。例えば、第1圧力ポート50と第2圧力ポート52とは、互いに整列して配置される。
【0127】
チャック24、26は、それぞれの保持面46、48に、基板12、14を固定するための保持手段54をさらに含む。
【0128】
図1に示す実施形態では、保持手段54は、保持面46、48の半径方向外縁部分に配置された少なくとも1つの真空溝56である真空手段である。
【0129】
例えば、エッジ部分は、チャック24、26の半径方向外側の5%から20%に相当する部分と規定される。保持手段54、ここでは真空溝56は、真空源28に流体的に接続されている。
【0130】
チャック24、26には、開口部58が設けられており、この開口部58は、例えば、それぞれのチャック24、26の厚さ全体を通って延びている。
【0131】
開口部58は、チャック24、26の領域の中心に設けられ、それぞれの保持面46、48に開口してもよい。
【0132】
開口部58のうち、それぞれの保持面46、48に開口する部分、すなわち保持面46、48に隣接する部分は、チャック24、26のそれぞれの圧力ポート50、52を形成している。
【0133】
各チャック24、26について、それぞれの圧力ポート50、52に関連して、温度センサ60が設けられている。例えば、温度センサ60は、開口部58のうち保持面46、48に隣接する部分に設けられる。
【0134】
温度センサ60は、気体温度センサ61を含んでもよいし、気体温度センサ61であってもよい。気体温度センサ61は、例えば、それぞれの圧力ポート50、52に配置され、または、それぞれの圧力ポート50、52の中に配置される。
【0135】
代替的にまたは追加的に、温度センサ60は、チャックの温度を測定するように適合されたチャック温度センサ63を含むかまたはそれであってもよい。
【0136】
各チャック24、26において、供給チャネル62が開口部58からそれぞれのチャック24、26の裏面まで延びており、裏面とは、他のチャック26、24から離れる方向に面するチャック24、26の面である。
【0137】
もちろん、供給チャネル62がそれぞれのチャック24、26の外周面まで延びていることも考えられる。
【0138】
裏面において、供給チャネル62は、それぞれのチャック24、26に関連する圧力調整器38、40に流体的に接続されている。したがって、第1チャック24の供給チャネル62は、第1ガス圧力調整器38に流体的に接続されており、第2チャック26の供給チャネル62は、第2ガス圧力調整器40に流体的に接続されている。
【0139】
圧力調整器38、40は、順に、ガス調節装置34に流体的に接続され、最後に圧力源36に流体的に接続される。
【0140】
ガス調節装置34は、調節モジュール64と、2つのチャネル66を有する調節材料65を含む。
【0141】
圧力源36から第1のガス圧力調整器38への流体接続と、圧力源36から第2のガス圧力調整器40への流体接続は、それぞれチャネル66のうちの1つによって提供される。
【0142】
もちろん、調整材料65が1つのチャネルのみからなり、第1ガス圧力調整器38および第2ガス圧力調整器40に向かう流体接続が調節材料65を通過した後に、圧力調整器38、40に向かう途中で分岐または分断されることも考えられる。
【0143】
上部ユニットおよび下部ユニットはそれぞれ、少なくとも1つの支持要素、すなわちそれぞれ第1の支持要素68および第2の支持要素70を含む。さらに、第1の支持要素68および第2の支持要素70には、それぞれ第1のアクチュエータ72および第2のアクチュエータ74が設けられる。
【0144】
アクチュエータ72、74は、それぞれのチャック24、26に、またはそれぞれの支持構造20、22に取り付けられてもよく、例えば電気モータ、ピエゾアクチュエータ、空気圧アクチュエータ、および/または油圧アクチュエータでもよい。
【0145】
支持要素68、70は、少なくとも部分的に、それぞれのチャック24、26の開口部58内に配置されている。支持要素68、70は、ピンのような細長い要素でもよい。
【0146】
支持要素68、70は、例えばベアリング76によって、開口部58内に移動可能に取り付けられている。
【0147】
供給チャネル62は、圧力ポート50、52とベアリング76との間で開口部58から延びている。
【0148】
第1支持要素68と第2支持要素70は、垂直方向に同一直線上に配置されている。
【0149】
支持要素68、70は、
図1および
図2に示すように、支持要素68、70がそれぞれの保持面46、48またはチャック24、26の上に突出しない格納位置を取ることができる。
【0150】
さらに、支持要素68、70は、アクチュエータ72、74によって、支持要素68、70がそれぞれの保持面46、48の上方に部分的に突出する拡張位置に移動してもよい。
【0151】
もちろん、1つ以上の、特に連続した拡張位置が存在する。
【0152】
図1に示す第1の実施形態において、チャック24、26は、チャック調節装置30と流体連通している少なくとも1つの調節チャネル78をそれぞれさらに含む。
【0153】
調節チャネル78は、それぞれのチャック24、26の全体を通して、例えば螺旋状に、または複数の円形に延びてもよい。
【0154】
チャック調節装置30は、調節流体82を有する調節回路80と、流体ポンプ84と、流体調節モジュール86とを含む。
【0155】
少なくとも1つの調節チャネル78の両方が同じ調節回路80に含まれるように、調節回路80は調節チャネル78を含む。
【0156】
調節回路80内の調節流体82は、流体調節モジュール86によって調節され、流体ポンプ84を介して調節回路80に送られても良い。
【0157】
制御ユニット32は、真空源28、チャック調節装置30、ガス調節装置34、圧力源36、圧力調整器38、40、チャックアクチュエータ44、温度センサ60および/または第1および第2のアクチュエータ72、74と、電気的および/または無線で接続されている。制御ユニット32は、これらの構成要素の全てまたは各々を制御するように構成されている。
【0158】
制御ユニット32は、基板12、14の特性を含むデータベースへのアクセスを有する。データベースは、制御ユニット32内に、または制御ユニット32がアクセス可能なサーバ上に、配置されてもよい、すなわち、格納されてもよい。
【0159】
追加的または代替的に、制御ユニット32は、チャック24、26に位置する基板12、14の特性を含むユーザ入力を受け取るためのユーザインタフェイス88を含む。
【0160】
図2は、ボンディング装置10の第2実施形態を模式的に示す。第2実施形態のボンディング装置10は、第1実施形態のボンディング装置10に概ね対応しているので、以下では、異なる点についてのみ説明する。同一かつ機能的に同一の構成要素には、同一の参照数字が付されている。
【0161】
第1実施形態のボンディング装置10と第2実施形態のボンディング装置10との第1の相違点は、保持手段54が静電保持手段90として設けられるという態様である。また、静電保持手段90は、それぞれのチャック24、26の端部部分に設けられていてもよい。
【0162】
もちろん、保持手段54は、機械的なクランプ手段でもよい。
【0163】
第2の異なる態様は、圧力調整器38、40に関する。第2実施形態では、圧力調整器38、40は、それぞれ、コンプレッサーのような圧力源である。
【0164】
言い換えれば、2つの圧力源36が設けられ、それぞれ第1ガス圧力調整器38および第2ガス圧力調整器40である。
【0165】
さらに、第1実施形態と異なる点として、ガス調質装置は、チャック24、26の供給チャネル62を含む受動的な装置であることが挙げられる。
【0166】
供給チャネル62は、この第2実施形態では、調節部92を有する。調節部92は、供給チャネル62の長さを、圧力ポート50、52をそれぞれの圧力調整器38、40に単に直接および/または効率的に接続するために必要な距離よりも長く延びている。
【0167】
さらに、第1の実施形態と異なって、下部ユニットはまた、チャックアクチュエータ44を含んでおり、そのため、また第1のチャック24は、第2のチャック26に向かって垂直方向に、すなわち上方に、移動することができる。
【0168】
さらに別の異なる態様において、チャック調整装置30は、チャック24、26を調整ために、両方のチャック24、26内に配置された加熱素子94を含む。チャック調節装置は、閉ループ制御の装置であってもよい。
【0169】
もちろん、本発明によるボンディング装置10が、第1および第2の実施形態の特徴の組み合わせを含むことも可能である。
【0170】
例えば、ボンディング装置10は、第1の実施形態に従って提供されるが、第2の実施形態の上述した態様のうちの1つまたは複数が実装されてもよい。
【0171】
図3a~
図3gには、本発明にかかるボンディング装置10を用いて基板12、14をボンディングする方法が例示されている。
図3a~
図3gでは、方法を明確にするために、チャック24、26および支持要素68、70のみが示され、従来よりも細部は示されていない。
【0172】
ボンディング装置10の初期位置は、
図3aに示されている。両チャック12、14は互いに離れており、支持要素68、70はその引っ込んだ位置にある。
【0173】
チャック24、26には、まだ基板12、14は存在しない。
【0174】
本方法の一実施形態では、基板12、14がチャック24、26上に配置される前に、チャック24、26の温度は均等化され、第1のチャック24と第2のチャック26との間の温度差が1℃未満、特に0.5℃未満に低減される。例えば、温度差を0.1℃未満にすることができる。
【0175】
すなわち、第1チャック24と第2チャック26とを熱平衡にする。
【0176】
温度を平衡させるために、チャック調節装置30は、チャック24、26の温度を同じ温度に制御する。なお、チャック調節装置30は、制御部32によって順番に制御されてもよい。
【0177】
このように、チャック調節装置30は、特に閉ループ方式で、発熱体94を用いてチャック24、26の一方または両方を加熱する。
【0178】
代替的にまたは追加的に、チャック調節装置30は、共通調節回路80の流体ポンプ84を作動させて、調節流体82が両チャック24、26の少なくとも一つの調節チャネル78を通って循環するようにする。このように、チャック24、26は、チャック24、26が同じ調節回路80の一部であるため、調節流体82が両方のチャック24、26で同じ温度となる。
【0179】
なお、チャックの均熱化は、チャック温度センサ63を用いて制御してもよい。
【0180】
さらに、本発明によるボンディング装置は、チャック調節装置30を備えない場合もあるので、チャック24、26の直接接触が達成されるまでチャック24、26を互いに向かって移動させることによっても、第1チャック24と第2チャック26の温度を均一化することができる(
図3b参照)。
【0181】
移動は、チャックアクチュエータ44によって行われ、制御ユニット32を介して制御される。
【0182】
チャック24、26は、チャック24、26の温度が等しくなるまで、互いに直接接触した状態に保持される。チャック24、26の温度は、温度センサ60、特にチャック温度センサ63を用いて測定することができる。
【0183】
もちろん、調整装置30が存在する場合でも、チャック24、26を互いに直接接触させてもよい。これにより、均熱化工程を高速化することができる。
【0184】
チャック24、26の温度が均一化されると、すなわち温度差が1℃より小さく、特に0.5℃より小さく、例えば0.1℃より小さくなると、チャック24、26は互いに遠ざけられる。
【0185】
その後、ボンディング装置10は、基板12、14を搭載することができる。
【0186】
図3cに見られるように、第1の基板12は第1のチャック24の第1の保持面46に載置され、第2の基板14は第2のチャック26の第2の保持面48に載置される。
【0187】
基板12、14は、互いに同心円状に配置され、チャック24、26とも同心円状に配置される。
【0188】
基板12、14が保持面46、48に載置されると、保持手段54が作動する。
【0189】
したがって、真空源28が真空溝56に真空にしてもよいし、静電保持手段90に電力を供給してもよい。
【0190】
その結果、第1基板12は、その端部において第1保持面46の端部に固定され、第2基板14は、その端部において第2保持面48の端部に固定される。
【0191】
基板12、14をボンディング装置10に配置する前または配置中に、基板12、14の特性を測定し、制御部32に提供してもよい。
【0192】
これは、測定された特性を、ユーザインタフェイス88を介して制御ユニット32に入力することにより、または測定された特性をデータベースに格納することにより行われてもよい。
【0193】
基板12、14の特性は、それぞれの基板12、14の公称サイズおよび/または公称直径、それぞれの基板12、14の実際のサイズおよび/または直径、それぞれの基板12、14の剛性のような機械的特性を含んでもよい。さらに、基板12、14の特性は、それぞれの基板12、14の温度のような環境特性も含んでもよい。
【0194】
測定された特性の少なくとも1つに応じて、制御ユニット32は、圧力源36および/または圧力調整器38、40を制御して、第1の圧力ポート50に第1のガス圧力を有するガス、例えば圧縮空気または窒素を供給し、第2の圧力ポート52に第2のガス圧力を有するガス、例えば圧縮空気または窒素を供給する。例えば、圧力は同時に加えられる。ガスの流れは、
図3d、
図3e、
図3fに矢印で示されている。
【0195】
温度センサ60、特にチャック温度センサ63の測定値は、制御ユニット32によって、第1および第2のガス圧を決定するために使用されてもよい。
【0196】
例えば、第1の圧力ポート50におけるガスの第1のガス圧は、第1の基板12の特性に基づいて決定され、第2の圧力ポート52におけるガスの第2のガス圧は、第2の基板14の特性に基づいて選択される。
【0197】
もちろん、両基板12、14の特性を用いて、第1のガス圧と第2のガス圧を決定してもよい。
【0198】
したがって、第1のガス圧と第2のガス圧は、最も可能性に高いのは、互いに異なっていてもよく、これは制御ユニット32が第1のガス圧調整器38と第2のガス圧調整器40を互いに独立して制御することを意味する。
【0199】
第1のチャック24と第2のチャック26との間、ひいては第1の基板12と第2の基板14との間の温度差を大きくしないために、第1の圧力ポート50と第2の圧力ポート52に加えられるガスは、ガス調質装置34を用いて同様に熱的に均一化される、すなわちガスはそれぞれの圧力ポート50、52に達する前に調節される。
【0200】
これは、第1の実施形態によるボンディング装置10において、第1の圧力ポート50に向けられたガスおよび第2の圧力ポート52に向けられたガスが導かれる調節材料65によって行われてもよい。第1の圧力ポート50に導かれたガス流と第2の圧力ポート52に導かれたガス流は、調節モジュール64によって一定温度に保持された同じ調節材料65を流れるため、両ガス流は同じ温度を有する。
【0201】
代替的にまたは追加的に、第2実施形態によるボンディング装置10では、調節のためにチャック24、26を介してガスが導かれる。特に供給チャネル62の調節部分92のために、ガスがチャック24、26を通って移動しなければならない道のりが長いために、ガスはそれぞれのチャック24、26の温度になると推測される。チャック24、26が均的に均一化されているので、第1および第2の圧力ポート50、52に導かれるガスもまた熱的に均一化され、したがって調節される。
【0202】
圧力ポート50、52におけるガスの温度は、温度センサ60を用いて測定することもできる。
【0203】
温度の調節および/または均熱化、すなわちガス調節装置34およびチャック調節装置30の機能は、少なくとも基板12、14がチャック24、26に載置されるまで、例えば基板が初期接触および/または初期ボンディングをするまで継続される。より好ましくは、均熱化および調節は、基板12、14が完全にボンディングされるまで継続する。
【0204】
図3dに見られるように、基板12、14は、それぞれの圧力ポート50、52の上方で互いの方へたわむ。たわみ量、すなわち変位は、それぞれ第1のガス圧または第2のガス圧に依存する。
【0205】
圧力ポート50、52の上方または下方に垂直に位置する部分は、基板の接触部96を形成し、最も大きなたわみを受ける。
【0206】
圧力ポート50、52が整列しているため、接触部分96も整列している。
【0207】
特に、第1および第2のガス圧力は、基板12、14のたわみが等しくなるように、および/または接触部分96が一致するように選択される。
【0208】
第1および第2のガス圧が加えられたと同時に、または好ましくはその後に、第1の支持要素68および第2の支持要素70は、それぞれの保持面46、48の上に突出するように垂直に移動し、即ちそれらの拡張位置へ移動する。
【0209】
支持要素68、70は、それぞれのたわんだ基板12、14、より正確にはそれぞれの基板12、14の接触部分96に接触するまで移動する。
【0210】
アクチュエータ72、74、または適切なセンサは、それぞれの接触部分96のたわみ量が測定され得るように、支持要素68、70が移動した量を決定してよい。たわみ量は、第1および第2の基板12、14について異なってもよい。
【0211】
測定値に基づいて、第1のガス圧および/または第2のガス圧が制御部32によって調整されてもよい。このように、閉ループ制御が達成されてもよい。
【0212】
図3eに示す次の工程では、接触部分96が互いに接触するまで、すなわち初期接触が行われるまで、一方のチャックのみまたは両方のチャックを動かすことによって、チャック24、26は互いの方に移動する。
【0213】
接触は、必ずしも基板が互いに結合することを意味しないこと、すなわち、初期接触と初期結合は異なる時点で起こることを理解することが重要である。
【0214】
基板12、14の初期接触がなされる少し前、その時、またはその後に、一方または両方の支持要素68が、それぞれのアクチュエータ72、74によって作動し、それぞれの基板12、14に機械的圧力を加える。
【0215】
ガス圧に加えて追加の機械的圧力を加えることにより、基板12、14は、支持要素68、70の間の位置、好ましくは基板12、14の中央でボンディングを開始することが保証される。機械的圧力は、それぞれのガス圧を超える。
【0216】
もちろん、支持要素68、70の一方のみが作動し、他方の支持要素70、68は所定の位置にロックされているが、それぞれの基板が接触していることも考えられる。
【0217】
例えば、支持要素68、70によって加えられる機械的圧力は、さらなるたわみをもたらさず、最初のボンディングを確実にするためにのみ使用されることは注目に値する。たわみは、ガス圧のみによって引き起こされる。
【0218】
基板12、14が初期ボンディングされると、いわゆるボンディング波またはボンディング前線が形成される。ボンディング波における基板12、14は、
図3eの拡大部分に見られるように、入射角αを有する。
【0219】
入射角αは、基板12、14の既にボンディングされた部分によって規定される平面Pの両側で延びている。この平面Pは、この発明の文脈では最終平面と呼ばれる。
【0220】
制御ユニット32が、第1の基板12と第2の基板14との間の入射角αを0.1°と1.5°との間、特に0.4°と0.8°との間に保持するように第1のガス圧および第2のガス圧を制御しながら、チャック24、26をさらに互いに向かって移動させる。特に、入射角αは一定に保たれる。
【0221】
さらに、制御部32は、第1のガス圧を第2のガス圧とは異なって制御することで
入射角αが最終平面Pによって均等に分割されるようにする。
【0222】
チャックが移動すると、また、結合波は半径方向外側に伝播し、これにより、入射角は半径方向外側に移動する(
図3fを参照)。
【0223】
もちろん、制御ユニット32は、伝搬プロセス中に第1および/または第2のガス圧の値を変更するようにプログラム可能であってもよい。
【0224】
支持要素68、70は、初期ボンディングが発生した後であるが基板12、14が互いに完全に接触する前に、アクチュエータ72、74によって格納位置まで引き込まれる。
【0225】
チャック24、26の移動とガス圧の制御は、基板12、14が互いにほぼ完全に接触するまで続けられる。その後、チャック24、26の移動は停止するが、基板12、14が完全にボンディングされるまでボンディング波は伝播し続ける(
図3g)。
【0226】
例えば、チャック24、26間の距離は、移動停止時に基板12、14の厚さの5倍以下である。
【0227】
そして、ボンディングが完了する。これにより、その後、チャック24、26を互いに遠ざけ、保持手段54を解除し、ガスの供給を停止し、ボンディングされた基板12、14をボンディング装置10から取り出してもよい。
【0228】
支持要素68、70の使用により、基板12、14が最初に結合する点が所望の位置、すなわち基板12、14の中心にあることが保証される。
【0229】
また、チャック24、26の間、ひいては基板12、14の間の均熱化により、熱膨張による歪みも解消できる。
【0230】
さらに、第1の圧力を第2のガス圧力と独立して差動制御することにより、入射角を、平面Pを中心に所望かつ対称に保持することができる。これらのいずれか1つ、特に3つの要素すべてが、第1の基板12と第2の基板14の高精度なボンディングにつながる。