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特許7320628フロイミダゾピリジン化合物の合成方法、フロイミダゾピリジン化合物の結晶形態およびそれらの塩の結晶形態
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】フロイミダゾピリジン化合物の合成方法、フロイミダゾピリジン化合物の結晶形態およびそれらの塩の結晶形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/147 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
C07D491/147
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021572485
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2020088121
(87)【国際公開番号】W WO2020244348
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】201910490418.8
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522168707
【氏名又は名称】ハンチョウ ハイライトゥル ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リァン コンシン
(72)【発明者】
【氏名】王来宝
(72)【発明者】
【氏名】劉海輝
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/067422(WO,A1)
【文献】特表2017-514832(JP,A)
【文献】特表2015-535288(JP,A)
【文献】国際公開第2018/112379(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物を調製するための方法であって、前記方法の合成経路は次の通りであり;
【化1】

前記方法は次の工程;
工程1:エタノール、式IVの化合物、式Vの化合物およびDIPEAを反応容器に加え、撹拌を開始する;
温度を65~90℃に上昇させるために加熱し、温度を維持し、一晩撹拌する;
反応を停止し、かつシステムの温度を15~30℃に下げる;
システムに水を滴下して加え、次いで、撹拌する;
濾過し、濾過ケーキを洗浄する;
濾過ケーキを乾燥させて、式IIIの化合物を得る;
工程2:テトラヒドロフラン(THF)、工程1で得られた式IIIの化合物、およびパラジウム炭素を反応容器に加える;
システムを窒素でパージし、次いで水素でパージする;
温度を20~35℃に維持し、水素圧0.1~1.0MPa下で16~120時間撹拌する;
反応が完了した後、反応液を濾過し、濾過ケーキを洗浄する;
濾液を合わせ、濃縮して、式IIの化合物濃縮物を得る;
工程3:THF、(R)-乳酸アミド、およびEtO-BFを第1の反応容器に加え、撹拌を開始し、後の使用のために溶解する;
前記式IIの化合物濃縮物およびエタノールを第2の反応容器に加え、前記第2の容器中の物質を40~85℃に加熱する;
第1の反応容器内の物質を第2の反応容器に滴下して加え、添加が完了した後、温度を40~85℃に維持し、混合した物質を第2の反応容器内で0.5~6時間反応させる;
反応が完了した後、システムのpH値を1~3に調整し、単一の有機溶媒または複数の有機溶媒で抽出し、有機相を廃棄し、無機アルカリ水溶液で水相のpHを9~10に調整し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して式Iの化合物を得る;
を含む、方法。
【請求項2】
前記工程1において、
エタノールの、前記式IVの化合物に対する体積質量比は5:1~20:1、好ましくは10:1であり
前記式IVの化合物、式Vの化合物およびDIPEAのモル比は1:1~1.1:2~3、好ましくは1:1.01:2.2であり
撹拌を開始した後、窒素保護下で、温度を65~90℃、好ましくは70~90℃、より好ましくは70~80℃に上昇させるように加熱し、温度を維持し、5~16時間、好ましくは10~16時間撹拌し、
前記反応の終了後、前記システムの温度を15~25℃に下げる;
前記システムに加えられる水の、前記式IVの化合物に対する体積質量比は10:1~20:1、好ましくは15:1であり、
前記システムに水を加えた後、2~6時間、好ましくは4時間、0~30℃、好ましくは5~15℃、より好ましくは5~10℃の温度で撹拌する;
前記濾過ケーキをエタノール溶液で洗浄し、エタノール溶液中のエタノール対水の体積比は1:1~1:2であり、好ましくは1:1.5~1:2である;エタノール溶液の、前記式IVの化合物に対する体積質量比は、2:1~10:1であり、好ましくは2:1~5:1であり、より好ましくは2:1~3:1であり;
前記濾過ケーキを真空下で乾燥させるか、または送風機を用いて45~55℃、好ましくは50℃の温度で乾燥させる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程2において、
THFの、前記式IIIの化合物に対する体積質量比は10:1~70:1であり、好ましくは20:1~70:1であり、
パラジウム炭素は5%Pd/C、炭素上の50%湿潤パラジウムであり、パラジウム炭素の、前記式IIIの化合物に対する質量比は0.15:1~0.16:1であり、好ましくは0.15:1であり、
温度を25~35℃に維持し、0.5~1.0MPaの水素圧下で24~96時間撹拌し、
濾過ケーキをTHFで洗浄し、前記式IIの化合物の濃縮物は、前記濾液と合わせて濃縮することによって得られ、THF中の前記式IIの化合物であり、洗浄のためのTHFと前記式IIの化合物との体積質量比は2:1~4:1であり、好ましくは2:1~3:1であり;好ましくはTHF中の前記式IIの化合物をエタノールと交換して、エタノール中の式IIの化合物を得て、ここで、エタノールと式IIの化合物との体積質量比は2:1~5:1であり、好ましくは2:1~4:1であり、より好ましくは2:1~3:1である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程3において、
THFの、前記式IIの化合物に対する体積質量比は6:1~12:1であり、
前記式IIの化合物、(R)-乳酸アミドおよびEtO-BFのモル比が1:4~5:4~5であり、
エタノールと前記式IIの化合物の濃縮物との体積質量比が10:1~16:1であり、好ましくは14:1であり、
前記式IIの化合物濃縮物およびエタノールを第2の反応容器に加えた後、窒素保護下で、第2の反応容器中の物質を40~85℃、好ましくは45~70℃、より好ましくは45~50℃に加熱し、
温度を45~70℃、好ましくは45~50℃に維持し、混合物質を第2の反応容器中で2~5時間、好ましくは3時間反応させ、
反応が完了した後、システムのpHを塩酸で1~3に調整し、塩酸は1M HClまたは12M HCl、好ましくは12M HClであり;前記無機アルカリ水溶液は飽和炭酸ナトリウム溶液または飽和炭酸カリウム溶液であり、好ましくは飽和炭酸カリウム溶液であり、
反応が完了した後、抽出に用いる有機溶媒はジクロロメタンまたは酢酸エチルであり、
濾過ケーキを真空下で乾燥する、または送風機を用いて50~55℃の温度で乾燥する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程3で得られた前記式Iの化合物をカラムクロマトグラフィーで分離および精製し、
溶離液として酢酸エチルとエタノールとの混合溶液を用いる、
請求項1~4のいずれかに記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤合成の分野に関し、特に、選択的JAK1/TYK2キナーゼ阻害剤としての化合物2-[(2R,5S)-5-[2-[(R)-1-ヒドロキシエチル]フロ[3,2-b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン-1-イル]テトラヒドロピラン-2-イル]アセトニトリル(以下、化合物Iと呼ぶ)の合成方法に関する。本発明はまた、化合物Iの結晶形態およびその塩ならびにそれらの調製方法に関する。さらに、本発明はまた、化合物Iの結晶形態および/またはその塩の結晶形態を含む医薬組成物および医薬製剤、ならびにJAK1/TYK2関連疾患および状態の治療における化合物Iの結晶形態およびその塩の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
プロテインキナーゼは複数の細胞プロセスを調節し、細胞機能を維持するのに重要な役割を果たすタンパク質のファミリーである。これらのキナーゼは、少なくとも以下:ヤヌスキナーゼファミリー(JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2)などの非受容体チロシンキナーゼ;血小板由来成長因子受容体(PDGFR)などの受容体チロシンキナーゼ;およびb-RAFなどのセリン/トレオニンキナーゼ、を含む。
【0003】
ヤヌスキナーゼファミリーには、4つの公知のファミリーメンバー:JAK1、JAK2、JAK3およびチロシンキナーゼ2(TYK2)が含まれる。これらの細胞質チロシンキナーゼは、膜サイトカイン受容体(共通のγ鎖受容体および糖蛋白130(gp130)膜貫通タンパク質など)に関連している(Murray、J. Immunol. 178 (5):2623-2629、2007)。約40のサイトカイン受容体はこれら4つのJAKファミリーメンバーとその7つの下流基質であるthe signal transduction activator of transcription(STAT)ファミリーメンバー(Ghoreschiら、Immunol Rev.228(l):273~287,2009)、の組み合わせによりシグナルを伝達する。その受容体に結合するサイトカインは、トランスおよび/または自己リン酸化によってJAKを活性化する。活性化されたJAKファミリーキナーゼはサイトカイン受容体残基をリン酸化し、Srcホモロジー2(SH2)を含むタンパク質(STAT因子および他の調節因子など)の結合部位を生成し、それらを活性化する。活性化されたSTATは細胞核に入り、生存因子、サイトカイン、ケモカイン、および白血球輸送の分子の発現を促進し始める(Schindlerら、J. Biol. Chem.282(28):20059-20063、2007)。JAK活性化はまた、ホスホイノシチド-3-キナーゼ(PI3K)およびプロテインキナーゼBによって媒介される経路によって細胞増殖を引き起こす。
【0004】
JAK3およびJAK1は共通のγ鎖サイトカイン受容体化合物の成分であり、2つのうちのいずれか1つを妨げることにより、炎症性サイトカイン(インターロイキン(IL)-2、4、7、9、15および21)のシグナル伝達を阻害することができる(Ghoreschiら、Immunol. Rev. 228(1):273-287、2009)。対照的に、病理学的に関連する他のサイトカイン(IL-6など)はJAK1にのみ依存する。したがって、JAK1ブロッキングは、多くの炎症誘発性サイトカインのシグナル伝達を阻害する(Guschin et al、EMBO J.14(7):1421-1429、1995)。関節リウマチ(RA)に対するIL-6受容体中和抗体-トシリズマブの臨床効果が報告されている(Maini et al、Arthritis Rheum.54(9):2817-2829、2006)。
【0005】
国際特許出願WO2018067422A1は選択的JAK1キナーゼ阻害剤としての1H-フロ[3,2-b]イミダゾ[4,5-d]ピリジン誘導体およびそれらの調製方法を開示しており、化合物Iおよびそれらの調製方法が開示されている。合成経路は以下の通りである。
【0006】
【化1】
【0007】
生物学的試験は化合物Iが強力で、かつ選択的なJAK1阻害剤であることを示し、IL-6誘導STAT3リン酸化の選択的阻害を示し、トロンボポイエチン誘導STAT3リン酸化の選択的阻害を示さなかった。しかしながら、国際特許出願WO2018067422A1は、TYK2の生物学的活性を示していない。さらに、開示された化合物Iの調製方法は、高温を伴い、かなり多くの不純物を製造し、かつ低い収率を有している。このため大規模生産には適していない。したがって、より穏やかな反応条件、より高い収率、より高い純度を有しており、かつ、大規模/工業的生産に適した化合物Iの調製方法を開発することが必要である。
【0008】
現在、先行技術において化合物Iの結晶形態およびその塩についての報告はない。総合的で、かつ系統的な多型スクリーニングおよび開発に最も適した結晶形の選択は、薬剤研究および開発において不可欠である。したがって、化合物Iおよびその塩の結晶形態をさらにスクリーニングし、良好な安定性および低い吸湿性を有する結晶形態を同定し、大規模生産に適しており、その薬剤のその後の開発のためのより多くの、かつより良好な選択肢を提供することが必要である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、穏やかな反応条件下、高い生成物収率および高い純度で、かつ、工業的製造に適した式Iの化合物(すなわち、化合物I)を調製する方法を提供することである。この方法の合成経路は以下の通りである:
【0010】
【化2】

前記方法は次の工程;工程1:エタノール、式IVの化合物、式Vの化合物およびDIPEAを反応容器に加え、撹拌を開始する;温度を65~90℃に上昇させるために加熱し、温度を維持し、一晩撹拌する;反応を停止し、かつシステムの温度を15~30℃に下げる;システムに水を滴下して加え、次いで、撹拌する;濾過し、濾過ケーキを洗浄する;
濾過ケーキを乾燥させて、式IIIの化合物を得る;工程2:テトラヒドロフラン(THF)、工程1で得られた式IIIの化合物、およびパラジウム炭素を反応容器に加える;システムを窒素でパージし、次いで水素でパージする;温度を20~35℃に維持し、水素圧0.1~1.0MPa下で16~120時間撹拌する;反応が完了した後、反応液を濾過し、濾過ケーキを洗浄する;濾液を合わせ、濃縮して、式IIの化合物濃縮物を得る;工程3:THF、(R)-乳酸アミド、およびEtO-BFを第1の反応容器に加え、撹拌を開始し、後の使用のために溶解する;前記式IIの化合物濃縮物およびエタノールを第2の反応容器に加え、前記第2の容器の物質を40~85℃に加熱する;第1の反応容器内の物質を第2の反応容器に滴下して加え、添加が完了した後、温度を40~85℃に維持し、混合した物質を第2の反応容器内で0.5~6時間反応させる;
反応が完了した後、システムのpH値を1~3に調整し、有機溶媒で抽出し、有機相を廃棄し、無機アルカリ水溶液で水相のpHを9~10に調整し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して式Iの化合物を得る;を含む。
【0011】
好ましい実施形態では、前記工程1において、エタノールの、前記式IVの化合物に対する体積質量比(mL/g)は5:1~20:1、好ましくは10:1であり、前記式IVの化合物、式Vの化合物およびDIPEAのモル比は1:1~1.1:2~3、好ましくは1:1.01:2.2であり、撹拌を開始した後、窒素保護下で、温度を65~90℃、好ましくは70~90℃、より好ましくは70~80℃に上昇させるように加熱し、温度を維持し、5~16時間、好ましくは10~16時間撹拌し、前記反応の終了後、前記システムの温度を15~25℃に下げる;前記システムに加えられる水の、前記式IVの化合物に対する体積質量比(mL/g)は10:1~20:1、好ましくは15:1であり、前記システムに水を加えた後、2~6時間、好ましくは4時間、0~30℃、好ましくは5~15℃、より好ましくは5~10℃の温度で撹拌する;前記濾過ケーキをエタノール溶液で洗浄し、エタノール溶液中のエタノール対水の体積比(mL/g)は1:1~1:2、好ましくは1:1.5~1:2である;エタノール溶液の、前記式IVの化合物に対する体積質量比(mL/g)は、2:1~10:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2:1~3:1であり;前記濾過ケーキを真空下で乾燥させるか、または送風機を用いて45~55℃、好ましくは50℃の温度で乾燥させる。
【0012】
好ましい実施形態では、前記工程2において、THFの、前記式IIIの化合物に対する体積質量比(mL/g)は10:1~70:1であり、好ましくは20:1~70:1であり、パラジウム炭素は5%Pd/C、炭素上の50%湿潤パラジウムであり、前記式IIIの化合物に対するパラジウム炭素の質量比(g/g)は0.15:1~0.16:1であり、好ましくは0.15:1であり、温度を25~35℃に維持し、0.5~1.0MPaの水素圧下で24~96時間撹拌し、濾過ケーキをTHFで洗浄し、前記式IIの化合物の濃縮物は前記濾液を合わせて濃縮することによって得られ、THF中の前記式IIの化合物であり、洗浄のためのTHFと前記式IIの化合物との体積質量比(mL/g)は2:1~4:1、好ましくは2:1~3:1(工程2において100%収率と計算された前記式IIの化合物の質量)であり;好ましくはTHF中の前記式IIの化合物をエタノールと交換して、エタノール中の式IIの化合物を得て、ここで、エタノールと式IIの化合物との体積質量比(mL/g)は2:1~5:1、好ましくは2:1~4:1、より好ましくは2:1~3:1(工程2において100%収率と計算された前記式IIの化合物の質量)である。
好ましい実施形態では、前記工程3において、THFの、前記式IIの化合物に対する体積質量比(mL/g)は6:1~12:1であり、前記式IIの化合物濃縮物、(R)-乳酸アミドおよびEtO-BFのモル比が1:4~5:4~5であり、エタノールと前記式IIの化合物の濃縮物との体積質量比(mL/g)が10:1~16:1、好ましくは14:1であり、前記式IIの化合物濃縮物およびエタノールを第2の反応容器に加えた後、窒素保護下で、第2の反応容器中の物質を40~85℃、好ましくは45~70℃、より好ましくは45~50℃に加熱し、温度を45~70℃、好ましくは45~50℃に維持し、混合物質を第2の反応容器中で2~5時間、好ましくは3時間反応させ、反応が完了した後、システムのpHを塩酸で1~3に調整し、塩酸は1M HClまたは12M HCl、好ましくは12M HClであり;前記無機アルカリ水溶液は飽和炭酸ナトリウム溶液または飽和炭酸カリウム溶液であり、好ましくは飽和炭酸カリウム溶液であり、反応が完了した後、抽出に用いる有機溶媒はジクロロメタンまたは酢酸エチルであり、濾過ケーキを真空下で乾燥する、または送風機を用いて50~55℃の温度で乾燥する。
【0013】
好ましい実施形態では、前記工程3で得られた前記式Iの化合物をカラムクロマトグラフィーで分離および精製し溶離液(VEA:VEtOH=100:1-30:1,mL/mL)として酢酸エチルとエタノールとの混合溶液を用いる。
本発明の別の目的は、以下で式Iの化合物の結晶形態1と呼ばれる式Iの化合物の結晶形態を提供することである。
【0014】
本発明の式Iの化合物の結晶形態1は、2θ角において8.5°±0.2°、14.8°±0.2°および16.1°±0.2°の特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する。
【0015】
好ましい実施形態では、式Iの化合物の結晶形態1のX線粉末回折パターンは、2θ角において8.5°±0.2°、14.8°±0.2°、16.1°±0.2°、17.1°±0.2°、18.8°±0.2°および19.6°±0.2°の特徴的なピークを示す。
さらなる好ましい実施形態では、式Iの化合物の結晶形態1のX線粉末回折パターンは、2θ角において8.5°±0.2°、14.8°±0.2°、16.1°±0.2°、17.1°±0.2°、18.8°±0.2°、19.6°±0.2°、23.8°±0.2°、25.3°±0.2°および26.1°±0.2°の特徴的なピークを示す。
限定的ではないが、式Iの化合物の結晶形態1のX線粉末回折データを表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の結晶形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを図1に示す。
【0018】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の結晶形態1の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを図2Aに示す。DSCサーモグラムは本発明の式Iの化合物の結晶形態1の初期融点が160.76℃であり、91.85℃での広い吸熱ピークが脱水溶媒ピークであることを示す。
【0019】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の結晶形態1の熱重量分析(TGA)サーモグラムを図3に示す。TGAサーモグラムは25℃~133℃で、本発明の式Iの化合物の結晶形態1の5.353%の重量損失工程があることを示し、これは、水分子1つの損失値の重量パーセンテージに相当する。
【0020】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の結晶形態1の動的蒸気収着(DVS)等温線プロットが図4に示されている。DVS等温線プロットは0%RH~95%RHからの水分吸収による本発明の式Iの化合物の結晶形態1の5.2%重量増加を示し、これは試料が吸湿性であるが、一方で脱着中に水を完全に除去することができない(2%残っている)ことを示す。
【0021】
本発明は式Iの化合物の結晶形態Iを調製する方法を提供し、特に、当該方法は以下のように記載される:
方法1:式Iの化合物を溶媒に溶解し、室温で撹拌し、前記式Iの化合物の前記溶液に水を加え、撹拌、濾過、および乾燥して、前記式Iの化合物の結晶形態Iを得る。
好ましい実施形態では前記溶媒がアセトン、メタノール、水、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記溶媒が好ましくはアセトン、またはメタノールおよび水の混合溶媒、またはアセトンおよび水の混合溶媒であり、前記メタノールおよび水の混合溶媒中のメタノールの水に対する体積比(mL/mL)が30:1~1:1、好ましくは9:1であり、前記アセトンおよび水の混合溶媒中のアセトン対水の体積比(mL/mL)が6:1~1:1、好ましくは4:1である。
【0022】
前記溶媒の前記式Iの化合物に対する体積質量比(mL/g)は20:1~45:1であり、前記式Iの化合物の溶液に加えられた水の前記式Iの化合物に対する体積質量比(mL/g)は20:1~90:1である。
【0023】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物を前記溶媒に50~60℃で溶解する。
【0024】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物を前記溶媒に溶解した後、室温で0.5~24時間撹拌し、好ましい実施形態では、前記式Iの化合物の前記溶液に水を加えた後、室温で0.5~24時間撹拌し、次いで5~15℃に冷却し、1~4時間撹拌する。
好ましい実施形態では、前記溶媒はTHF、メチルターシャリーブチルエーテル、水、アセトン、イソプロパノール、ジクロロメタン、エタノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物の前記懸濁液を室温または45~55℃、好ましくは50℃で撹拌する。
【0026】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物の前記懸濁液を光から離して保存し、6~10日間撹拌する。
【0027】
方法3:溶媒を式Iの化合物に加え、50~60℃で撹拌して溶解し、前記式Iの化合物の溶液を得て、前記溶液が熱い間に前記溶液を濾過し、次いで、冷却し、-20~10℃の間で濾液を結晶化させ、遠心分離し、次いで、固体を回収して前記式Iの化合物の結晶形態Iを得る。
【0028】
好ましい実施形態では、前記溶媒はアセトン、THF、ジクロロメタンおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物の前記溶液を前記溶液が熱い間に濾過した後、前記溶液を6℃/時間でゆっくり室温に冷却し、次いで-20~10℃で、好ましくは2~8℃で冷却し、結晶化させる。
【0030】
方法4:第1の溶媒を式Iの化合物に加え、超音波処理することによって式Iの化合物の過飽和溶液を得て、濾過し、前記濾液に第2の溶媒を加え、撹拌し、遠心分離し、次いで固体を回収して、前記式Iの化合物の結晶形態Iを得る。
【0031】
好ましい実施形態では、前記第1の溶媒はメタノール、エタノール、THF、アセトン、イソプロパノール、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記第2の溶媒は水、メチルターシャリーブチルエーテル、ジクロロメタン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
好ましい実施形態では、前記第1の溶媒と前記第2の溶媒との体積比(mL/mL)は1:5~1:20であり、好ましくは1:10である。
【0033】
本発明の別の目的は、式Iの化合物の結晶形態を提供することであり、特に、塩酸塩の結晶形態、硫酸塩の結晶形態、臭化水素酸塩の結晶形態、式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態を提供することである。これらは、以下、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A、硫酸塩の結晶形態B、臭化水素酸塩の結晶形態C、リン酸塩の結晶形態Dと称する。
【0034】
本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aは、2θ角において6.4°±0.2°、12.8°±0.2°、14.2°±0.2°および19.0°±0.2°の特徴的なピークを示すX線粉末回析パターンを有する。
【0035】
好ましい実施形態では、本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのX線粉末回折パターンは、2θ角において、6.4°±0.2°、8.5°±0.2°、11.6°±0.2°、12.8°±0.2°、14.2°±0.2°、17.1°±0.2°および19.0°±0.2°の特徴的なピークを示す。
【0036】
さらなる好ましい実施形態において、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのX線粉末回折パターンは、2θ角において、6.4°±0.2°、8.5°±0.2°、11.6°±0.2°、12.8°±0.2°、14.2°±0.2°、17.1°±0.2°、19.0°±0.2°、19.7°±0.2°、21.3°±0.2°および24.5°±0.2°の特徴的なピークを示す。
【0037】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのX線粉末回析データを表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのXRPDパターンを図5に示す。
【0040】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのDSCサーモグラムを図6に示す。
【0041】
本発明は式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aを調製するための方法を提供し、特に、この方法は以下のように記載される:式Iの化合物を溶媒に溶解し、式Iの化合物の溶液を得、塩酸を含むエタノールを前記式Iの化合物の前記溶液に撹拌しながら加え、撹拌し、次いで遠心分離し、固体を回収し、乾燥して、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aを得る。
【0042】
好ましい実施形態において、前記式Iの化合物を超音波処理下および加熱下で溶媒に溶解する。
【0043】
好ましい実施形態では、前記溶媒はエタノール、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0044】
好ましい実施形態では、前記エタノール中の塩酸の濃度は30~60mg/mLであり、好ましくは50mg/mLである。
【0045】
好ましい実施形態では、前記塩酸を含むエタノールを加えた後、室温で4~24時間撹拌する。
【0046】
式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bは、2θ角において、12.2°±0.2°、17.1°±0.2°、18.4°±0.2°および20.1°±0.2°の特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する。
【0047】
好ましい実施形態では、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのX線粉末回折パターンが2θ角において、12.2°±0.2°、17.1°±0.2°、18.4°±0.2°、19.6°±0.2°、20.1°±0.2°、20.6°±0.2°および22.1°±0.2°の特徴的なピークを示す。
【0048】
好ましい実施形態において、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのX線粉末回折パターンは、2θ角において、12.2°±0.2°、17.1°±0.2°、18.4°±0.2°、19.6°±0.2°、20.1°±0.2°、20.6°±0.2°、22.1°±0.2°、23.5°±0.2°、26.8°±0.2°および29.3°±0.2°の特徴的なピークを示す。
【0049】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのX線粉末回析データを表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのXRPDパターンを図7に示す。
【0052】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのDSCサーモグラムを図8に示す。
【0053】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのTGAサーモグラムを図9に示す。
【0054】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのDVS等温線プロットを図10に示す。
【0055】
本発明は、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bを調製するための方法を提供し、特に、この方法が以下のように記載される:式Iの化合物を溶媒に溶解して、前記式Iの化合物の溶液を得、硫酸を含むエタノールを前記式Iの化合物の溶液に撹拌しながら加え、撹拌し、次いで遠心分離し、固体を回収し、かつ、乾燥して、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bを得る。
【0056】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物を超音波処理下および加熱下で溶媒に溶解する。
【0057】
好ましい実施形態では、前記溶媒はエタノール、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノールおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0058】
好ましい実施形態では、前記エタノール中の硫酸の濃度は30~60mg/mL、好ましくは50mg/mLである。
【0059】
好ましい実施形態では、前記硫酸を含むエタノールを加えた後、室温で4~24時間撹拌する。
【0060】
本発明の式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態Cは、2θ角において6.3°±0.2°、12.6°±0.2°および18.9°±0.2°の特徴的なピークを示すX線粉末回析パターンを有する。
【0061】
好ましい実施形態では、式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態CのX線粉末回折パターンが、2θ角において6.3°±0.2°、8.5°±0.2°、12.6°±0.2°、18.9°±0.2°、21.3°±0.2°、24.4°±0.2°および25.2°±0.2°の特徴的なピークを示す。
【0062】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態CのX線粉末回析データを表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態CのXRPDパターンを図11に示す。
【0065】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態CのDSCサーモグラムを図12に示す。
【0066】
本発明は式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態Cを調製するための方法を提供し、特に、この方法は以下のように記載される:
式Iの化合物を溶媒に溶解して、前記式Iの化合物の溶液を得、式Iの化合物の上記溶液に臭化水素酸を含むエタノールを撹拌しながら加え、撹拌し、次いで遠心分離し、固体を回収し、乾燥して、式Iの化合物の臭化水素酸の結晶形態Cを得る。
【0067】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物を超音波処理下および加熱下で溶媒に溶解する。
【0068】
好ましい実施形態では、前記溶媒はエタノール、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノール、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0069】
好ましい実施形態において、前記エタノール中の臭化水素酸の濃度は30~60mg/mLであり、好ましくは50mg/mLである。
【0070】
好ましい実施形態では、前記臭化水素酸を含むエタノールを加えた後、室温で4~24時間撹拌する。
【0071】
式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dは、2θ角において6.1°±0.2°、10.9°±0.2°および12.2°±0.2°の特徴的なピークを示すX線粉末回折パターンを有する。
【0072】
好ましい実施形態では、式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのX線粉末回折パターンが、2θ角において6.1°±0.2°、10.9°±0.2°、11.7°±0.2°および12.2°±0.2°の特徴的なピークを示す。
【0073】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのX線粉末回析データを表5に示す。
【0074】
【表5】
【0075】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのXRPDパターンを図13に示す。
【0076】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形形態DのDSCサーモグラムを図14に示す。
【0077】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのTGAサーモグラムを図15に示す。
【0078】
限定的ではないが、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのDVS等温線プロットを図16に示す。
【0079】
本発明は、式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dを調製するための方法を提供し、特に、この方法が以下のように記載される:式Iの化合物を第1の溶媒に溶解して、前記式Iの化合物の溶液を得、リン酸を含むエタノールを前記式Iの化合物の溶液に撹拌しながら加え、撹拌し、次いで遠心分離し、固体を回収し、第2の溶媒を回収した固体に加え、撹拌し、次いで遠心分離し、固体を回収し、乾燥して、式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dを得る。
【0080】
好ましい実施形態では、前記式Iの化合物を超音波処理下および加熱下で第1の溶媒に溶解する。
【0081】
好ましい実施形態では、前記第1の溶媒はエタノール、アセトン、アセトニトリル、イソプロパノール、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。前記第2の溶媒はアセトンおよび水の混合溶媒であり、アセトン対水の体積比は7:1~9:1である。
【0082】
好ましい実施形態では、前記エタノール中のリン酸の濃度は、30~60mg/mLであり、好ましくは50mg/mLである。
【0083】
好ましい実施形態では、前記リン酸を含むエタノールを加えた後、室温で4~24時間撹拌し、第2の溶媒を加えた後、室温で一晩撹拌する。
【0084】
本発明はまた、式Iの化合物の結晶形態1、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B、式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態C、および/または式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dを含む医薬組成物、ならびに式Iの化合物の結晶形態1、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B、式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態C、および/または式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dを含む医薬製剤を提供する。
【0085】
本発明はまた、式Iの化合物の結晶形態1、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B、式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態C、および/または式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの、JAK1/TYK2関連疾患または状態を治療するための薬剤の調製における使用を提供する。ここで、疾患または状態は、自己免疫疾患もしくは障害、例えば関節リウマチまたは炎症性疾患もしくは障害、および癌または腫瘍増殖性疾患もしくは障害である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】本発明の式Iの化合物の結晶形態1のXRPDパターンである。
図2A】本発明の式Iの化合物の結晶形態1のDSCサーモグラムである。
図2B】本発明の式Iの化合物の結晶形態1の別のDSCサーモグラムである。
図3】本発明の式Iの化合物の結晶形態1のTGAサーモグラムである。
図4】本発明の式Iの化合物の結晶形態1のDVS等温線プロットである。
図5】本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのXRPDパターンである。
図6】本発明の式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態AのDSCサーモグラムである。
図7】本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのXRPDパターンである。
図8】本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのDSCサーモグラムである。
図9】本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのTGAサーモグラムである。
図10】本発明の式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態BのDVS等温線プロットである。
図11】本発明の式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態CのXRPDパターンである。
図12】本発明の式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態CのDSCサーモグラムである。
図13】本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのXRPDパターンである。
図14】本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのDSCサーモグラムである。
図15】本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのTGAサーモグラムである。
図16】本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのDVS等温線プロットである。
図17】高温および加速条件に2週間置いた後の、本発明の式Iの化合物の結晶形態1のXRPDオーバーレイである。
図18】高温および加速条件に2週間置いた後の、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのXRPDオーバーレイである。
図19】高温および加速条件に2週間置いた後の、本発明の式Iの化合物の結晶形態1のDSCオーバーレイである。
図20】高温および加速条件に2週間置いた後の、本発明の式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態DのDSCオーバーレイである。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下の実施例は本発明をさらに説明しているが、これらの実施例は本発明の範囲を制限または限定するものではない。
【0088】
本発明で使用される機器の情報および使用条件は、以下のとおりである。
【0089】
【表6】
【0090】
本発明で使用される材料および試薬に関する情報は、以下のとおりである。
【0091】
【表7】
【実施例
【0092】
〔式IIIの化合物の調製〕
【化3】
【0093】
(実施例1:式IIIの化合物の調製)
エタノール(4mL)、式IVの化合物(0.20g、1.0当量)、式Vの化合物(0.18g、1.0当量)、およびDIPEA(0.39g、3.0当量)を25mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを加熱還流(70~80℃)し、還流温度において一晩撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させた。水(4mL)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(15~20℃)で2時間撹拌した。次いで、当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(2mL、V/V、1:1)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、45~50℃の温度において16時間乾燥させ、約0.21gの黄色固体を得た。LC-MS純度は96.4%(214nm)、収率は69%であった。
MS-ESI:[M+1]:303.1
1H NMR (400MHz, CDCl3): 9.238 (s, 1H), 8.400 (d, 1H), 7.968 (d, 1H), 6.987 (d, 1H), 4.537-4.613 (m, 1H), 4.305-4.350 (m, 1H), 3.661-3.722 (m, 1H), 3.313-3.366 (m, 1H), 2.590-2.699 (m,2H), 2.407-2.454 (m, 1H), 1.815-2.035 (m, 1H), 1.688-1.806 (m, 2H).
【0094】
(実施例2:式IIIの化合物の調製)
エタノール(120mL、20V)、式IVの化合物(6.0g、1.0当量)、式Vの化合物(5.4g、1.01当量)およびDIPEA(11.7g、3.0当量)を250mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下で当該システムを70~80℃(内部温度)に加熱し、温度を維持して、当該システムを8時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させた。水(120mL、20V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(30mL、1:1)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50℃において16時間乾燥させ、約7.7gの黄色固体を得た。HPLC純度は95.5%、収率は84.3%であった。
【0095】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0096】
(実施例3:式IIIの化合物の調製)
エタノール(5mL、10V)、式IVの化合物(0.50g、1.0当量)、式Vの化合物(0.45g、1.01当量)およびDIPEA(0.98g、3.0当量)を25mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを70~80℃に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを5時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(5mL、10V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(1:1)(1.5mL、3V)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50℃において16時間乾燥させ、約0.54gの褐色固体を得た。HPLC純度は95.4%、収率は71%であった。
【0097】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0098】
(実施例4:式IIIの化合物の調製)
エタノール(5mL、10V)、式IVの化合物(0.50g、1.0当量)、式Vの化合物(0.45g、1.01当量)およびDIPEA(0.72g、2.2当量)を25mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを70~80℃に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを5時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(7.5mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で1時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、当該システムを2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(1:1)(1.5mL、3V)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50℃において16分間乾燥させ、約0.57gの褐色固体が得た。HPLC純度は91.4%、収率は75%であった。
【0099】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0100】
(実施例5:式IIIの化合物の調製)
エタノール(50mL、10V)、式IVの化合物(5.0g、1.0当量)、式Vの化合物(4.5g、1.01当量)およびDIPEA(7.2g、2.2当量)を250mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを70~80℃に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを5時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(75mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で1時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、当該システムを2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(1:1、15mL)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50℃において16時間乾燥させ、約6.6gの黄色固体を得た。HPLC純度は94.2%、収率は86.7%であった。
【0101】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0102】
(実施例6:式IIIの化合物の調製)
エタノール(180mL、10V)、式IVの化合物(17.8g、1.0当量)、式Vの化合物(16.0g、1.01当量)およびDIPEA(25.7g、2.2当量)を500mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを70~80℃に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを5時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(270mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で1時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、当該システムを2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(エタノール:水=1:1.5、v/v、40mL)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50℃において16時間乾燥させ、約23.0gの褐色固体を得た。HPLC純度は95.3%、収率は85.2%であった。
【0103】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0104】
(実施例7:式IIIの化合物の調製)
エタノール(1000mL、10V)、式IVの化合物(100g、1.0当量)、式Vの化合物(89.9g、1.01当量)およびDIPEA(143.2g、2.2当量)を3000mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを85~90℃(内部温度、約75℃)に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを10時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(1500mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で1時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(1:1.5、v/v、200mL)で洗浄し、送風機を使用して濾過ケーキを50℃において16時間乾燥させ、約130gの赤褐色固体を得た。HPLC純度は94.2%、収率85.5%であった。
【0105】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0106】
(実施例8:式IIIの化合物の調製)
エタノール(2000mL、10V)、式IVの化合物(200g、1.0当量)、式Vの化合物(179.7g、1.01当量)およびDIPEA(286.4g、2.2当量)を5000mLの三つ口フラスコに加えた。次いで、当該システムを撹拌し、窒素の保護下、当該システムを70~80℃(内部温度、約65~70℃)に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを16時間撹拌した。当該システムを室温(15~20℃)に冷却し、当該システムを還流させ、冷却中に固体を沈殿させ、水(3000mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で1時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(1:1.5、v/v、400mL)で洗浄し、送風機を使用して濾過ケーキを50℃において16時間乾燥させ、約251gの赤褐色固体を得た。HPLC純度は93.4%、収率は78.1%であった。
【0107】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0108】
(実施例9:式IIIの化合物の調製)
エタノール(5000mL、10V)、式IVの化合物(500g、1.0当量)、式Vの化合物(450g、1.01当量)およびDIPEA(723g、2.2当量)を20000mLの三つ口フラスコに加え、当該システムを撹拌した。窒素の保護下、当該システムを80~90℃(内部温度、約70~80℃)に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを16時間撹拌した。当該システムを室温(25~30℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(7500mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(25~30℃)で1時間撹拌した。当該システムを10~15℃に冷却し、当該システムを2時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキをエタノール溶液(1:1.5、v/v、1000mL)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50~55℃で24時間乾燥させて、約623gの生成物を得た。HPLC純度は93.7%、残留エタノールは0.5%、含量は93.1%、含量収率は76.2%であった。
【0109】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0110】
(実施例10:式IIIの化合物の調製)
エタノール(100mL、10V)、式IVの化合物(10.0g、1.0当量)、式Vの化合物(9.0g、1.01当量)およびDIPEA(14.3g、2.2当量)を500mLの三つ口フラスコに加え、当該システムを撹拌した。当該システムを70~80℃に加熱し、当該システムを還流させ、当該システムを16時間撹拌した。当該システムを室温(20~30℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させた、水(150mL、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(20~30℃)で2時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、当該システムを2時間撹拌した。当該システムを濾過し、当該システムをエタノール溶液(1:1.5、v/v、25mL)で洗浄し、濾過ケーキを真空下、50~55℃のオーブン中で16時間乾燥させて、約13.7gの生成物を得た。HPLC純度は93.7%、収率は90%であった。
【0111】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0112】
(実施例11:式IIIの化合物の調製)
エタノール(17kg、10V)、式IVの化合物(2.2Kg、1.0当量)、式Vの化合物(1.98Kg、1.01当量)およびDIPEA(3.19Kg、2.2当量)をR0462反応器に加え、当該システムを撹拌した。窒素の保護下、当該システムを75~80℃(内部温度、約70~80℃)に加熱し、当該システムを16時間撹拌し、当該システムを室温(15~25℃)に冷却し、冷却中に固体を沈殿させ、水(33Kg、15V)を当該システムに滴下し、当該システムを室温(10~15℃)で2時間撹拌した。当該システムを5~10℃に冷却し、4時間撹拌した。当該システムを濾過し、当該システムをエタノール溶液(エタノール:水=1:2、v/v、6.2Kg)で洗浄し、ジャケットにおいて≦-0.08MPaの真空条件下で45~55℃にて16時間濾過ケーキを乾燥させて、2.64Kgの褐色固体を得た。HPLC純度は94.0%、含量は93.4%、含量収率は79.04%であった。
【0113】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例1と一致する。
【0114】
〔式IIの化合物の調製〕
【化4】
【0115】
(実施例12:式IIの化合物の調製)
式IIIの化合物(5.0g)、THF(50mL、10V)およびパラジウム炭素(0.75g、10%Pd/C、50%水湿潤)を、100mLのステンレス鋼高圧反応器に連続的に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。当該システムの圧力を水素で0.50MPaに上げ、当該システムを25~35℃に加熱し、温度を維持し、当該システムを24時間撹拌した。反応液を珪藻土で濾過し、濾過ケーキをTHF(20mL)で洗浄し、濾液を濃縮乾固し、4.2gの褐色固体を得た。HPLC純度は94.9%、収率は93.3%であった。
MS-ESI:[M+1]:273.1
1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.988 (s, 1H), 7.688 (d, 1H), 6.805 (d, 1H), 4.190 - 4.338 (m, 3H), 3.584 - 3.648 (m, 1H), 3.147 - 3.206 (t, 1H), 2.594 - 2.651 (d, 2H), 2.318 - 2.364 (m,1H), 1.917 - 1.974 (m, 1H), 1.633 - 1.738 (m, 1H), 1.456 - 1.525 (m, 1H).
【0116】
(実施例13:式IIの化合物の調製)
式IIIの化合物(120.0g)、THF(2400mL、20V)およびパラジウム炭素(18g、10%Pd/C、50%水湿潤)を5000mLのステンレス鋼高圧反応器に連続的に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。当該システムの圧力を水素で0.50MPaに上げ、当該システムを25~35℃に加熱し、温度を維持し、当該システムを24時間撹拌した。反応液を珪藻土で濾過し、濾過ケーキをTHF(600mL)で洗浄し(TLCがほとんど蛍光を示さなくなるまで)、濾液を濃縮して、130gの黒色半油状固体を得た。HPLC純度は91.7%。収率は120.26%であった。HPLC純度
【0117】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0118】
(実施例14:式IIの化合物の調製)
式IIIの化合物(100.0g)、THF(2000mL、20V)およびパラジウム炭素(15.0g、10%Pd/C、50%水湿潤)を5Lステンレス鋼高圧反応器に連続的に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。当該システムの圧力を水素で0.5~1.0MPaに上昇させ、ジャケットの温度を30℃に設定し、当該システムの温度を維持しながら16時間撹拌した。反応液を珪藻土で濾過し、濾過ケーキをTHF(1000mL)で洗浄し、THF中において式IIの化合物3877gを得た。
後処理1:上記濾液(1820g、100%収率に従って計算した式IIの化合物約40g)をロータリーエバポレーターで(2~3V、80~120mL)に濃縮した。当該システムをエタノール(150mL×2)によって(2~3V、80~120mL)に交換した。エタノール中において式IIの化合物78gを得た。含量は47.25%、含量収率は92.14%であった。
【0119】
後処理2:上記濾液(450g、収率100%に従って計算した式IIの化合物約10g)をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、10.5gの茶褐色固体を得た。
【0120】
後処理3:上記濾液(450g、計算後の式IIの化合物約10g)をフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターで約30~40mL(3~4V)に濃縮した。濃縮残渣をエタノール(50mL×2)で約30~40mL(3~4V)に交換し、黒油状濃縮残渣を得た。濃縮残渣を次の反応工程に直接供した。
【0121】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0122】
(実施例15:式IIの化合物の調製)
THF(240mL、20V)、式IIIの化合物(12.0g)、およびパラジウム炭素(1.8g、5%Pd/C、50%水湿潤)を500mLの三つ口フラスコに連続的に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。室温(25~30℃)を維持した温度および水素圧(約0.1MPa)で当該システムを48時間撹拌した。反応液を濾過し、濾過ケーキをTHF(60mL)で洗浄し、合わせた濾液をロータリーエバポレーターで20~30mLに濃縮した。次いでエタノール(60mL×2)で20~30mLに交換し、エタノール中において式IIの化合物24gを得た。溶液を次の反応工程に直接使用した。
【0123】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0124】
(実施例16:式IIの化合物の調製)
THF(1500mL、15V)、式IIIの化合物(100g)、およびパラジウム炭素(15g、5%Pd/C、50%水湿潤)を5000mLの三つ口フラスコに連続的に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。室温(20~25℃)を維持した温度および水素圧(約0.1MPa)で当該システムを48時間撹拌した。反応液を濾過し、濾過ケーキをTHF(200mL)で洗浄し、合わせた濾液をロータリーエバポレーターで200~300mLに濃縮して、THF中において式IIの化合物185.6gを得た。HPLC純度は94.2%、含量は43.2%、含量収率は94.0%であった。
【0125】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0126】
(実施例17:式IIの化合物の調製)
THF(12400mL、20V)、式IIIの化合物(620g)、およびパラジウム炭素(93g、5%Pd/C、50%水湿潤)を20000mLの三つ口フラスコに連続的に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。室温(30~35℃)を維持した温度および水素圧(約0.1MPa)で当該システムを48時間撹拌した。反応液を珪藻土(200g)で濾過し、濾過ケーキをTHF(1200mL)で洗浄し、合わせた濾液をロータリーエバポレーターで1200~1800mLに濃縮して、THF中において式IIの化合物1664gを得た。HPLC純度は93.8%、含量は34.57%、含量収率は110.6%であった。
【0127】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0128】
(実施例18:式IIの化合物の調製)
THF(140ml、70V)、式IIIの化合物(2.0g)、およびパラジウム炭素(0.3g、5%Pd/C、50%水湿潤)を250mLの高圧反応器に加えた。高圧反応器を覆い、ナットをしっかりと締め付けた。当該システムを窒素で3回パージし、次いで水素で3回パージした。高圧反応器に水素を約0.50±0.05MPaの圧力まで充填し、次いで入口弁を閉じた。撹拌装置を500r/分の回転速度で始動させた。高圧反応器中の水素圧を25~35℃において0.5±0.05MPaに維持し、高圧反応器を撹拌し、当該システムを96時間反応させた。反応液を珪藻土(10g)で濾過し、濾過ケーキをTHF(60mL)で洗浄し、合わせた濾液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、1.8gの半油状固体を得た。HPLC純度は91.2%、収率は99.9%であった。
【0129】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0130】
(実施例19:式IIの化合物の調製)
THF(167Kg、70V)、式IIIの化合物(2.64Kg)、およびパラジウム炭素(0.4Kg、5%Pd/C、50%水湿潤)を500Lの高圧反応器に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。高圧反応器に水素を約0.50±0.05MPaの圧力まで充填し、次いで入口弁を閉じた。撹拌装置を始動させ、高圧反応器中の水素圧を25~35℃において0.5±0.05MPaに維持し、高圧反応器を撹拌し、当該システムを120時間反応させた。反応液をフィルタープレスし、濾過ケーキをTHF(13Kg)で洗浄し、合わせた濾液を減圧下(2V~3Vまで)で蒸留して、THF中において式IIの化合物11Kgを得た。HPLC純度は90.7%、含量は18.5%、含量収率は91.9%であった。
【0131】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0132】
(実施例20:式IIの化合物の調製)
THF(60mL、12V)、式IIIの化合物(5.0g)、およびパラジウム炭素(0.75g、5%Pd/C、50%水湿潤)を100mLのステンレス鋼高圧反応器に加えた。当該システムを窒素で5回パージし、次いで水素で5回パージした。高圧反応器に水素を約0.5~1.0MPaの圧力まで充填し、ジャケット温度を30℃に設定した。温度を維持しながら当該システムを42時間撹拌した。反応完了後、反応液を珪藻土で濾過し、濾過ケーキをTHF(100mL)で洗浄し、THF中において式IIの化合物197.8gを得た。溶液をロータリーエバポレーターで(2~3V、10~15mL)に濃縮して、当該システムをエタノール(25mL×2)で(2~3V、10~15mL)に交換した。エタノール中において得られた式IIの化合物を、次の反応工程に直接使用した。
【0133】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例12と一致する。
【0134】
〔式Iの化合物の調製〕
【化5】
【0135】
(実施例21:式Iの化合物の調製)
THF(60mL、12V)、(R)-乳酸アミド(6.6g、4.0当量)およびEtO-BF(13.9g、4.0当量)を250mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために三つ口フラスコ#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。式IIの化合物(5.0g、1.0当量)およびエタノール(80mL、16V)を別の250mLの三つ口フラスコ#2に加え、当該システムを窒素の保護下で70±5℃に加熱した。三つ口フラスコ#1中の材料を、シリンジを使用して10~20分以内に三つ口フラスコ#2に滴下した。当該システムを窒素の保護下で85±5℃(内部温度は72~75℃)に加熱して2時間反応させ、当該システムを室温に冷却し、反応液をロータリーエバポレーターで本質的に画分が流出しなくなるまで濃縮した。残留濃縮液に、1M HCl(80mL)を加え、pHを約1(pH試験紙で測定)とした。当該システムをDCMで4回抽出し(50mL×4)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で水相のpHを7~8に調整した。当該システムを室温で0.5時間撹拌し、濾過して、濾過ケーキを水(60mL)およびEA(10mL)でそれぞれ洗浄した。濾過ケーキを50℃で16時間真空乾燥し、4.3gの淡黄色固体を得た(純度95.0%)。固体をメタノール(30mL)で溶解し、4.1gのケイ素系金属エリミネータ(silicon based metal eliminator)および1.0gの活性炭を加えた。当該システムを50℃に加熱し、1時間撹拌し、次いで冷却し、濾過し、メタノール(30mL)で洗浄した。濾液をロータリーエバポレーターで本質的に画分が流出しなくなるまで濃縮した。メタノール(10mL)およびMTBE(25mL)を残渣に加え、当該システムを50℃に加熱し、0.5時間撹拌し、次いで冷却し、当該システムを10±5℃に冷却し、0.5時間撹拌した。濾過し、濾過ケーキをMTBE(25mL)で洗浄し、濾過ケーキを真空下50℃において16時間乾燥し、3.2gの淡黄色固体を得た。純度は97.9%であった。
MS-ESI:[M+1]:327.6
1H NMR (400MHz, CDCl3): 8.988 (s, 1H), 7.922 (d, 1H), 7.175 (d, 1H), 5.200-5.265 (m, 1H), 4.859-4.942 (m, 1H), 4.350-4.406 (t, 1H), 4.020-4.108 (m, 2H), 3.067 (d, 1H), 2.619-2.779 (m, 3H), 2.108-2.269 (m, 2H), 1.790-1.895 (m, 3H).
【0136】
(実施例22:式Iの化合物の調製)
THF(650mL、12V)、(R)-乳酸アミド(70.6g、4.0当量)およびEtO-BF(150.6g、4.0当量)を1000mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために三つ口フラスコ#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。式IIの化合物(54g、1.0当量)およびエタノール(860mL、16V)を別の2000mLの三つ口フラスコ#2に加え、当該システムを窒素の保護下で70±5℃に加熱した。三つ口フラスコ#1中の材料を1時間以内にゆっくりと三つ口フラスコ#2に加えた。当該システムを窒素の保護下で85±5℃(内部温度は72~75℃)に加熱して2時間反応させ、当該システムを室温に冷却し、反応液をロータリーエバポレーターで本質的に画分が流出しなくなるまで濃縮した。残留濃縮液に、1M HCl(450mL)を加え、pHを約1(pH試験紙で測定)とした。当該システムをDCMで4回抽出し(270mL×4)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で水相のpHを7~8に調整した。当該システムを室温で0.5時間撹拌し、濾過して、濾過ケーキを水(540mL)で洗浄した。MTBE(270mL)を濾過ケーキに加え、当該システムを室温で0.5時間撹拌し、濾過して、濾過ケーキをMTBE(108mL)で洗浄した。濾過ケーキを50℃で16時間真空乾燥し、49.2gの淡黄色固体を得た(HPLC純度94.2%)。固体をメタノール(380mL)で溶解し、ケイ素系金属エリミネータ(44g)および活性炭(5.4g)を加えた。当該システムを50℃に加熱し、1時間撹拌し、次いで冷却し、濾過し、メタノール(430mL)で洗浄した。濾液をロータリーエバポレーターで(80~110mL、1.5V~2V)に濃縮した。MTBE(540mL)を残渣に加え、当該システムを50℃に加熱し、1時間撹拌し、当該システムを10±5℃に冷却し、0.5時間撹拌した。濾過し、濾過ケーキをMTBE(270mL)で洗浄し、42.4gの濾過ケーキを得た(HPLC純度96.9%)。濾過ケーキを真空下50℃において16時間乾燥し、41.0gの淡黄色固体を得た。HPLC純度は96.7%、収率は63.3%であった。
【0137】
<式Iの化合物の精製>
式Iの化合物(41g)をメタノールに溶解した。シリカゲル(50g)を溶液に加え、後の使用のために当該システムを濃縮乾固した。シリカゲル(200g)をクロマトグラフィーカラムに加え、カラムをエアポンプで圧縮した。クロマトグラフィーカラムにシリカゲルと混合した式Iの化合物を加え、カラムをエアポンプで圧縮した。クロマトグラフィーカラムを溶離液(VMeOH:VDCM=1:100~1:30)で溶出し、特定の成分を回収し、濃縮乾固した。生成物を真空下で50℃において16時間乾燥させ、36gの灰白色固体を得たHPLC純度は98.5%であった。
【0138】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0139】
(実施例23:式Iの化合物の調製)
THF(60mL、6V)、(R)-乳酸アミド(13.2g、4.0当量)およびEtO-BF(27.9g、4.0当量)を100mLのつ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。式IIの化合物(10g、1.0当量)およびエタノール(100mL、10V)を別の250mLの三つ口フラスコ#2に加え、当該システムを窒素の保護下で70±5℃に加熱した。三つ口フラスコ#1の材料を20分以内に三つ口フラスコ#2にゆっくりと滴下した。当該システムを窒素の保護下で80±5℃(内部温度は72~75℃)に加熱し、0.5時間反応させ、当該システムを室温20~30℃に冷却し、反応液をロータリーエバポレーターで30~40℃において約50~80mLに濃縮した。当該システムに水(100mL、10V)を加え、本質的に画分が流出しなくなるまで30~40℃においてロータリーエバポレーターで当該システムを濃縮した。当該システムを20~30℃に冷却し、当該システムの温度を20~30℃に制御した。12M HCl(5.5g)を使用して当該システムのpHを2~3に調整し、当該システムを酢酸エチル(50mL×2、5V×2)で抽出し、有機相を廃棄し、水相をフラスコに移した。当該システムの温度を20~30℃に制御し、当該システムのpHを飽和炭酸カリウム溶液(23g)で8~9に調整した。当該システムの温度を20~25℃に制御し、当該システムを2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(50mL)およびMTBE(50mL)で洗浄した。濾過ケーキを送風機で50℃において24時間乾燥させ、18gの黄土色固体を得た。HPLC純度は93.5%であった。
【0140】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0141】
(実施例24:式Iの化合物の調製)
THF(120mL、12V)、(R)-乳酸アミド(13.2g、4.0当量)およびEtO-BF(27.8g、4.0当量)を250mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。式IIの化合物(10g、1.0当量)およびエタノール(140mL、14V)を別の500mLの三つ口フラスコ#2に加え、当該システムを窒素の保護下で40~45℃(内部温度)に加熱した。三つ口フラスコ#1の材料を1時間以内に三つ口フラスコ#2に滴下した。当該システムを窒素の保護下で40~45℃(内部温度)に維持し、4.5時間反応させ、当該システムを室温に冷却し、水(20mL、2V)を加えた。本質的に画分が流出しなくなるまで30~40℃においてロータリーエバポレーターで当該システムを濃縮した。当該システムを20~30℃に冷却し、当該システムの温度を20~30℃に制御した。12M HCl(3mL)を使用して当該システムのpHを2~3に調整し、当該システムを酢酸エチル(50mL×2、5V×2)で抽出し、有機相を廃棄し、水相をフラスコに移した。当該システムの温度を20~30℃に制御し、当該システムのpHを50%炭酸カリウム溶液(15mL)で8~9に調整した。当該システムの温度を20~25℃に制御し、当該システムを2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(50mL)およびアセトン(50mL)で洗浄した。粗生成物を粉砕し、水(50mL)を加えて20~25℃において1時間撹拌した。当該システムを濾過し、濾過ケーキを水(50mL)およびアセトン(50mL)で洗浄した。濾過ケーキを送風機で50℃において24時間乾燥させ、17.8gの黄土色固体を得た。HPLC純度は95.3%であった。
【0142】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0143】
(実施例25:式Iの化合物の調製)
THF(60mL、12V)、(R)-乳酸アミド(6.6g、4.0当量)およびEtO-BF(13.9g、4.0当量)を250mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために三つ口フラスコ#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。式IIの化合物(5g、1.0当量)およびエタノール(70mL、14V)を別の250mLの三つ口フラスコ#2に加え、当該システムを窒素の保護下で40~45℃(内部温度)に加熱した。三つ口フラスコ#1の材料を20分以内に三つ口フラスコ#2に滴下した。当該システムを窒素の保護下で40~45℃(内部温度)に維持し、3時間反応させ、当該システムを室温に冷却し、濾過した。濾過ケーキをTHF(10mL)で洗浄し、濾液に水(10mL、2V)を加えた。濾液をロータリーエバポレーターで10~20mL(2V~4V)に濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル(25mL×2)で交換し、約10~20mL(2~4V)に濃縮した。水(50mL、10V)を濃縮残渣に加えた。内部温度を20~25℃に制御し、12M HCl(4.1g)を使用して、当該システムのpHを1~2に調整した。活性炭(0.5g)を当該システムに加え、当該システムを室温において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(10mL)および1M HCl(10mL)で洗浄した。合わせた濾液を酢酸エチル(25mL×2)で抽出し、有機相を廃棄した。内部温度を20~25℃に制御し、当該システムのpHを飽和炭酸カリウム溶液(15g)によって9~10に調整した。内部温度を15~20℃に制御し、当該システムを1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(10mL)で洗浄した。濾過ケーキをアセトン水溶液(50mL、V/V=1:1)で1時間粉砕し、当該システムを濾過し、濾過ケーキをアセトン水溶液(10mL、V/V=1:1)で洗浄した。濾過ケーキを送風機で50℃において24時間乾燥させ、5.0gの淡灰色固体を得た。HPLC純度は95.6%、収率は83.5%であった。
【0144】
<式Iの化合物の精製>
5.0gの得られた固体およびメタノール(40mL)をフラスコに加え、室温において10分間撹拌し、材料を本質的に溶解し、溶液は透明であった。当該システムに活性炭(0.5g)およびシリカゲル(4.0g)を加えた。当該システムを50~55℃に加熱し、温度を維持し、当該システムを2時間撹拌し、次いでシリカゲル(5g)で濾過し、濾過ケーキをメタノール(50mL)で洗浄した。濾液をロータリーエバポレーターで5~10mLに濃縮し、濃縮残渣にMTBE(50mL)を加えた。当該システムを加熱還流し、1時間還流させ、当該システムを5~10℃に冷却し、温度を維持し、当該システムを1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをMTBEで洗浄した。濾過ケーキを真空下50℃において16時間乾燥オーブンで乾燥させて、3.0gの灰白色固体を得た。収率は60%、純度は97.9%であった。濾液を濃縮乾固して1.4gの黄色固体を得た。
【0145】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0146】
(実施例26:式Iの化合物の調製)
THF(55mL、12V)、(R)-乳酸アミド(5.9g、4.0当量)およびEtO-BF(12.6g、4.0当量)を250mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。式IIの化合物(4.5g、これは収率100%に従って計算した実施例20の式IIIの化合物5.0gである)およびエタノール(70mL、15.5V)を別の250mLの三つ口フラスコ#2に加えた。当該システムを窒素の保護下で加熱還流した。三つ口フラスコ#1の材料を一度に三つ口フラスコ#2に滴下した。窒素の保護下、当該システムを85±5℃(内部温度74~76℃)に加熱し、1時間反応させた。当該システムを室温に冷却し、濾過した。濾過ケーキをTHF(10mL)で洗浄し、濾液に水(10mL、2V)を加えた。濾液をロータリーエバポレーターで10~20mL(2V~4V)に濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル(25mL×2)で交換し、約10~20mL(2~4V)に濃縮した。水(50mL、10V)を濃縮残渣に加え、内部温度を20~25℃に制御し、12M HCl(3.6g)を使用して、当該のpHを1~2に調整した。活性炭(0.5g)を当該システムに加え、当該システムを室温において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(10mL)および1M HCl(10mL)で洗浄した。合わせた濾液を酢酸エチル(25mL×2)で抽出し、有機相を廃棄した。内部温度を20~25℃に制御し、当該システムのpHを飽和炭酸カリウム溶液(15g)によって9~10に調整した。内部温度を15~20℃に制御し、当該システムを1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(10mL)で洗浄した。濾過ケーキをアセトン水溶液(50mL、V/V=1:1)で1時間粉砕し、当該システムを濾過し、濾過ケーキをアセトン水溶液(10mL、V/V=1:1)で洗浄した。濾過ケーキを送風機で50℃において16時間乾燥させ、4.9gの淡灰色固体を得た。HPLC純度は94.5%であった。
【0147】
<式Iの化合物の精製>
得られた固体(4.9g)およびエタノール(100mL)をフラスコに加え、室温で10分間撹拌した。材料を本質的に溶解し、溶液は透明であった。シリカゲル(5.0g、1X)を当該システムに加えた。後の使用のために当該システムをロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、シリカゲルと混合した式Iの粗化合物をシリカゲルカラム(40g、8X)に通し、カラムを酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=100:1~30:1)で溶出させた。成分をTLCで試験し、生成物を含む成分を回収し、濃縮乾固した。0.5gの白色生成物を95.0%の純度で得、2.9gの淡黄色生成物を98.7%の純度で得た。酢酸エチル(30mL)およびエタノール(3mL)を2.9gの生成物を含むフラスコに加えた。当該システムを加熱還流し、当該システムを1時間還流し、当該システムを5~10℃に冷却し、温度を維持し、当該システムを1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(5mL)で洗浄した。濾過ケーキを真空下50℃において16時間乾燥オーブンで乾燥させ、2.3gの淡黄色~灰白色の固体を得た。HPLC純度は99.6%であった。0.1%を超える不純物は存在しなかった。工程2および3の全収率は42.7%であった。
【0148】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0149】
(実施例27:式Iの化合物の調製)
THF(120mL、12V)、(R)-乳酸アミド(13.2g、4.0当量)、およびEtO-BF(27.8g、4.0当量)を250mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。エタノール(140mL、14V)および実施例14の後処理3後に得られた濃縮残渣(式IIの化合物約10gを含む)を別の500mLの三つ口フラスコ#2に加えた。窒素の保護下、当該システムを45±2℃に加熱した。三つ口フラスコ#1の材料を一度に三つ口フラスコ#2に滴下した。窒素の保護下、当該システムを45±5℃(内部温度45℃)に加熱し、6時間反応させた。当該システムを室温に冷却し、濾過した。濾過ケーキをTHF(20mL)で洗浄し、濾液に水(20mL、2V)を加えた。濾液をロータリーエバポレーターで20~40mL(2V~4V)に濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル(50mL×2)で交換し、約20~40mL(2V~4V)に濃縮した。水(90mL、10V)を濃縮残渣に加え、内部温度を20~25℃に制御し、12M HCl(8.0g)を使用して、当該システムのpHを1~2に調整した。活性炭(1.0g)を当該システムに加え、当該システムを室温において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(20mL)および1M HCl(20mL)で洗浄した。合わせた濾液を酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を廃棄した。内部温度を20~25℃に制御し、当該システムのpHを飽和炭酸カリウム溶液(28g)によって9~10に調整した。内部温度を15~20℃に制御し、当該システムを1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(20mL)で洗浄した。濾過ケーキをアセトン水溶液(50mL、V/V=1:1)で1時間粉砕し、当該システムを濾過し、濾過ケーキをアセトン水溶液(10mL、V/V=1:1)で洗浄した。濾過ケーキを送風機で50℃において16時間乾燥させ、15.0gの淡灰色固体を得た。純度は92.4%であった。
【0150】
<式Iの化合物の精製>
得られた固体(10g)およびエタノール(100mL)をフラスコに加えた。当該システムを50~60℃に加熱し、50~60℃において30分間撹拌し、材料を本質的に溶解し、溶液は透明であった。当該システムにシリカゲル(20.0g、2X)を加え、後の使用のためにロータリーエバポレーターで当該システムを濃縮乾固した。シリカゲルと混合した式Iの粗化合物をシリカゲルカラム(100g、10X)に通し、本質的に先の不純物(former impurity)が存在しなくなるまでカラムを酢酸エチルで溶出した(約1.5L)。次いで、カラムを酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=100:1~30:1、最初の0.5LはVEA:VEtOH=100:1であり、次の1.5LはVEA:VEtOH=30:1)で溶出させた。成分をTLCで試験し、生成物を含む成分を回収した。特定の成分をロータリーエバポレーターで(50mL、5V)に濃縮した。溶媒を酢酸エチル(50mL×2)で(50mL、5V)に交換した。当該システムを5~10℃に冷却し、5~10℃において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを酢酸エチル(5mL)で洗浄した。母液を濃縮乾固して0.6gの生成物を得た。濾過ケーキを真空下50℃において16時間乾燥オーブンで乾燥させ、4.6gの灰白色の固体を得た。純度は98.1%であった。工程2および3の全収率は57.6%であった。
【0151】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0152】
(実施例28:式Iの化合物の調製)
THF(660mL、12V)、(R)-乳酸アミド(72g、4.0当量)、およびEtO-BF(153.5g、4.0当量)を1000mLの三つ口フラスコ#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。実施例16で調製したTHF中における式IIの化合物(127.3g、計算後の式IIの化合物55g)をフラスコに加えた。当該システムをEtOH(280mL×2)で交換し、120~180mLに濃縮し、濃縮残渣を2000mLの三つ口フラスコ#2に移した。エタノール(770mL、14V)を加え、窒素の保護下、当該システムを45~50℃(内部温度)に加熱した。三つ口フラスコ#1の材料を約1時間以内に三つ口フラスコ#2に滴下した。窒素の保護下、温度を45~50℃(本質的には約45℃)に維持し、3時間反応させた。当該システムを室温に冷却し、濾過した。濾過ケーキをTHF(60mL)で洗浄し、濾液に水(110mL、2V)を加えた。濾液をロータリーエバポレーターで110~220mL(2V~4V)に濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル(280mL×2)で交換し、110~220mL(2V~4V)に濃縮した。水(550mL、10V)を濃縮残渣に加え、内部温度を20~25℃に制御し、12M HCl(35g)を使用して、当該のpHを1~2に調整した。活性炭(5.5g)を当該システムに加え、当該システムを室温において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(110mL)および1M HCl(110mL)で洗浄した。合わせた濾液を酢酸エチル(280mL×2)で抽出し、有機相を廃棄した。内部温度を20~25℃に制御し、当該システムのpHを50%炭酸カリウム溶液(180g)によって9~10に調整した。内部温度を15~20℃に制御し、当該システムを2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(110mL)で洗浄した。濾過ケーキをアセトン水溶液(550mL、V/V=1:1)で2時間粉砕し、当該システムを濾過し、濾過ケーキをアセトン水溶液(110mL、V/V=1:1)で洗浄した。濾過ケーキを送風機で50℃において16時間乾燥させ、80gの淡灰色固体を得た。HPLC純度は96.4%、含量は50.32%、含量収率は61.1%であった。

【0153】
<式Iの化合物の精製>
得られた固体(80g)、シリカゲル(160g、2X)およびエタノール(800mL)をフラスコに加えた。当該システムを50~60℃に加熱し、50~60℃で30分間撹拌し、後の使用のためにロータリーエバポレーターで当該システムを濃縮乾固した。シリカゲルと混合した式Iの粗化合物をシリカゲルカラム(800g、10X)に通し、本質的に先の不純物が存在しなくなるまでカラムを酢酸エチルで溶出した。次いで、カラムを酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=100:1~30:1)で溶出させた。成分をTLCで試験し、TLCによって本質的に不純物を含まないことが確認された成分を回収し、特定の成分をロータリーエバポレーターで(~200mL)に濃縮した。濃縮残渣をメタノール(~200mL)で2回交換し、濃縮残渣をMTBE(~200mL)で2回交換し、MTBE(~300mL)を濃縮残渣に加えた。当該システムを加熱還流し、当該システムを1時間還流した。当該システムを5~10℃に冷却し、5~10℃において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをMTBE(30mL)で洗浄し、濾過ケーキを真空下50℃において16時間乾燥オーブンで乾燥させ、39gの淡黄色の固体を得た。HPLC純度は99.7%であり、0.1%を超える不純物は存在しなかった。
【0154】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0155】
(実施例29:式Iの化合物の調製)
THF(11Kg、12V)、(R)-乳酸アミド(1.64Kg、5.0当量)およびEtO-BF(3.50Kg、5.0当量)を100L反応器#1に加え、当該システムを撹拌した。後の使用のために#1中の材料を窒素の保護下で撹拌した。実施例19で調製したTHF中における式IIの化合物(5.4Kg)をエタノールで2回交換し(4.2Kg×2)、エタノール(11.2Kg、14V)を当該システムに加え、当該システムを100Lの反応器#2に移した。窒素の保護下、当該システムを45~50℃(内部温度)に加熱した。反応器#1の材料を約1時間以内に反応器#2に滴下した。窒素の保護下、当該システムの温度を45~50℃(内部温度)に維持し、3時間反応させた。THF(1.0Kg、12V)、(R)-乳酸アミド(0.16Kg、0.5当量)およびEtO-BF(0.35Kg、0.50当量)を5Lフラスコに加え、撹拌および溶解させた。溶液を反応器#2に滴下し、温度を維持しながら2時間反応させた。当該システムを室温に冷却し、濾過し、濾過ケーキをTHF(1.0Kg)で洗浄した。水(2Kg、2V)を濾液に加えた。濾液をロータリーエバポレーターで3L(2V~4V)に濃縮し、濃縮残渣を酢酸エチル(4Kg×2)で3L(2V~4V)に交換した。水(10Kg、10V)を濃縮残渣に加え、内部温度を20~25℃に制御し、12M HClを使用して当該システムのpHを1~2に調整した。活性炭(0.1Kg)を当該システムに加え、当該システムを室温において2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(2Kg)および1M HCl(2Kg)で洗浄した。合わせた濾液を酢酸エチル(3.90Kg×2)で抽出し、有機相を廃棄した。内部温度を20~25℃に制御し、当該システムのpHを50%炭酸カリウム溶液によって9~10に調整した。内部温度を15~20℃に制御し、当該システムを2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(2Kg)で洗浄した。濾過ケーキをアセトン水溶液(8.9Kg、V/V=1:1)で25~30℃において2時間粉砕した。当該システムを5~10℃に冷却し、その後2時間粉砕し、濾過し、濾過ケーキをアセトン水溶液(1.86Kg、V/V=1:2)で洗浄した。濾過ケーキを真空下50~55℃において乾燥させ、1.3Kgの固体を得た。含量は39.9%であり、HPLC純度は97.1%であった。
【0156】
<式Iの化合物の精製>
上記の固体(1.3kg)およびエタノール(6.50kg)をロータリーフラスコに加えた。当該システムを45~55℃に加熱し、45~55℃において30分間撹拌し、材料を本質的に溶解し、溶液は透明であった。シリカゲル(2.60kg)をロータリーフラスコに加え、フラスコを50~60℃の水浴中に入れ、本質的に流出する画分がなくなるまで減圧下に濃縮した。本質的に流出する画分がなくなるまで当該システムを酢酸エチル(6.50Kg)と交換し、その後、後の使用のために保存した。クロマトグラフィーカラムを調製および洗浄し、シリカゲルカラムにシリカゲル(13.00Kg、200~300メッシュ)を加えた。シリカゲルカラムを酢酸エチル(26.0kg)で圧縮した。調製した試料をシリカゲルカラムに加え、試料を均一に入れた。カラムを酢酸エチル(52.0Kg)で溶出させ、カラムを酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=100:1、65.6Kg)、酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=80:1、64.7Kg)、酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=50:1、123.1kg)、酢酸エチルとエタノールとの混合溶液(VEA:VEtOH=30:1、64.8kg)で溶出させ、HPLCによって純度≧99.0%の成分を回収した。HPLCによる純度≧99.0%の成分を反応器にポンプで送り込み、最低撹拌量まで濃縮した。メタノール4.0kgを反応器にポンプで送り込み、最低撹拌量まで濃縮した。6.50kg×5のMTBEを反応器にポンプで送り込み、最低撹拌量まで濃縮した。6.50kgのMTBEを反応器にポンプで送り込んだ。当該システムを加熱還流し、当該システムを1時間還流し、当該システムを5~10℃に冷却し、5~10℃において当該システムを2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをMTBE(1.3Kg)で洗浄した。260gの湿潤生成物が得られた。濾過ケーキを真空下50~55℃において16時間乾燥オーブンで乾燥させ、乾燥後にHPLC純度が100.0%である0.250Kgの生成物を得た。
【0157】
MS-ESIおよびH NMRデータは、実施例21と一致する。
【0158】
式Iの化合物の結晶形態1、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B、式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態C、および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dを調製する以下のすべての実施例において、式Iの化合物を出発材料として使用した。
【0159】
〔式Iの化合物の結晶形態1の調製〕
(実施例30)
式Iの化合物(172.6g)およびアセトン(2705g、~3500mL)を5000mLの三つ口フラスコに加えた。当該システムを50~60℃に加熱し、50~60℃において2時間撹拌した。当該システムを室温(25~30℃)に冷却し、室温(25~30℃)において24時間撹拌した。当該システムを減圧下で蒸留し、フラスコ中の液体の体積を約0.8~0.9Lに凝縮した。液体を15~25℃に冷却し、約4.3Kgの精製水を加えた。当該システムを室温で2時間撹拌した。次いで、5~10℃に冷却後、2時間撹拌した。当該システムを吸引濾過に供し、濾過ケーキを水で洗浄し、濾過ケーキを50~55℃において送風機で16時間乾燥させ、158.8gの灰白色固体を得た(収率92.0%)。試験に際して、灰白色固体は式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態1のXRPDパターン、DSCサーモグラム、TGAサーモグラムおよびDVS等温線プロットを、それぞれ図1、2A、3および4に示す。
【0160】
(実施例31)
式Iの化合物(100mg)を50~55℃においてアセトン(2mL)に溶解し、溶液は透明であった。溶液を室温に冷却し、約16時間撹拌し、水2mLを加えた。当該システムを室温で2時間撹拌し、10~15℃に冷却した。次いで、当該システムを2時間撹拌し、濾過し、固体を回収した。試験に際して、当該固体は式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態のXRPDパターンは図1と一致する。
【0161】
(実施例32)
式Iの化合物(200mg)を9mLのメタノール/水(9:1)に室温で溶解し、溶液は透明であった。式Iの化合物の結晶形態1の種結晶5mgを加え、固体を沈殿させ、当該システムを室温で一晩撹拌し、水(18mL)を当該システムに加えた。次いで、当該システムを室温で4時間撹拌し、5~10℃に冷却し、1時間撹拌し、吸引濾過に供し、真空下で乾燥させて(約50℃)、灰白色固体180mgを得た。試験に際して、灰白色固体は、式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態のXRPDパターンが図1と一致する。
【0162】
(実施例33)
実施例32と同様の結晶化法を採用した。結晶化溶媒をアセトン/水(4:1)に変えて、式Iの化合物の結晶形態1を調製した。結晶形態のXRPDパターンは図1と一致する。
【0163】
式Iの化合物の結晶形態1はまた、以下の方法で調製し得る。
【0164】
〔室温でのスラリー化および結晶化〕
(実施例34)
約20mgの式Iの化合物を秤量し、次いでガラス瓶に入れた。適量のTHFを加え、瓶を5分間超音波処理して懸濁液を得た。試料瓶をスズ箔紙で包んで瓶を光から保護し、瓶をラブクエーカーローテーター(Labquaker rotator)上に置き、室温で360度回転させた。懸濁液試料を10日目に遠心分離し、底部の固体残渣を回収し、溶媒を蒸発乾固させ、灰白色固体を得た。試験に際して、灰白色固体は、式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態のXRPDパターンが図1と一致する。
【0165】
(実施例35~40)
実施例34と同様の結晶化法を採用した。結晶化溶媒をメチルtert-ブチルエーテル、水、アセトン、イソプロパノール、ジクロロメタンおよびエタノールに変えて、式Iの化合物の結晶形態1を調製した。結果を以下の表6に示す。
【0166】
【表8】
【0167】
実施例35~40で調製した式Iの化合物の結晶形態1のXRPDパターンは図1と一致する。
【0168】
〔50℃でのスラリー化および結晶化〕
(実施例41)
約20mgの式Iの化合物を秤量し、次いでガラス瓶に入れた。適量のTHFを加え、瓶を5分間超音波処理して懸濁液を得た。試料瓶をスズ箔紙で包んで瓶を光から保護し、瓶を50℃の一定温度で振盪インキュベーター上に置き、懸濁液を粉砕した。懸濁液試料を10日目に遠心分離し、底部の固体残渣を回収し、溶媒を蒸発乾固させ、灰白色固体を得た。試験に際して、灰白色固体は、式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態のXRPDパターンが図1と一致する。
【0169】
(実施例42~45)
実施例41と同様の結晶化法を採用した。結晶化溶媒をメチルtert-ブチルエーテル、水、アセトンおよびイソプロパノールに変えて、式Iの化合物の結晶形態1を調製した。結果を以下の表7に示す。
【0170】
【表9】
【0171】
実施例42~45で調製した式Iの化合物の結晶形態1のXRPDパターンは図1と一致する。
【0172】
(実施例46)
実施例41と同様の結晶化法を採用した。結晶化溶媒をメタノールに変えて、式Iの化合物の結晶形態1を調製した。結晶形態のXRPDは図1と一致し、式Iの化合物の結晶形態1である。しかしながら、結晶形態のDSCは図2Bに示すように、約151℃で追加のピークを示す。
【0173】
〔飽和溶液の加熱-急冷および結晶化〕
(実施例47)
約30mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。適量のアセトンを瓶に加え、試料瓶を磁気加熱撹拌機(magnetic heating stirrer)に置いた。水浴の温度を50±2℃に制御し、回転速度を200rpmに制御し、試料を加熱して溶解を促進し、試料が溶解してから15分間温度を維持した。過飽和溶液を熱いときに0.45μmの膜で濾過し、連続した濾液を新しい瓶に移した。次いで、瓶を直ちに-20℃の冷蔵庫に一晩置き、固体が沈殿した溶媒システムを遠心分離し、次いで固体を回収し、溶媒を自然に蒸発乾固させて灰白色固体を得た。試験に際して、固体は式Iの化合物の結晶形態1であり、結晶形態のXRPDパターンは図1と一致する。
【0174】
(実施例48)
実施例47と同様の結晶化法を採用した。結晶化溶媒をTHFに変えて、式Iの化合物の結晶形態1を調製した。調製した式Iの化合物の結晶形態1のXRPDスペクトルは図1と一致する。
【0175】
〔飽和溶液の加熱-徐冷および結晶化〕
(実施例49)
約30mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。適量のアセトンを瓶に加え、試料瓶を磁気加熱撹拌機に置いた。水浴の温度を50±2℃に制御し、回転速度を200rpmに制御し、試料を加熱して溶解を促進し、試料が溶解してから15分間温度を維持し、過飽和溶液を熱いときに0.45μmの膜で濾過し、連続した濾液を新しい瓶に移した。次いで、6℃/hの速度で室温にゆっくりと冷却し、翌日冷蔵庫で約24時間(2~8℃)保存した。固体が沈殿した溶媒システムを遠心分離し、次いで固体を回収し、溶媒を蒸発乾固させて灰白色固体を得た。試験に際して、灰白色固体は、式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態のXRPDパターンが図1と一致する。
【0176】
(実施例50)
実施例49と同様の結晶化法を採用した。結晶化溶媒をジクロロメタンに変えて、式Iの化合物の結晶形態1を調製した。調製した式Iの化合物の結晶形態のXRPDパターンは図1と一致する。
【0177】
〔貧溶媒晶析〕
(実施例51~62)
約30mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。一定量の良溶媒を加え、瓶を室温において超音波処理に供して、試料を均一に分散させた。溶液が透明であれば、より多くの固体試料を加え、超音波処理を続けて溶解を促進し、良溶媒中において試料の過飽和溶液を得た。溶液を0.45μmの膜で濾過し、最初の濾液を廃棄し、連続した濾液を新しい瓶に移した。次いで、撹拌中に良溶媒の10倍量の貧溶媒を瓶に加えた。50rpmにおいて撹拌を維持し、固体が沈殿した溶媒システムを遠心分離し、灰白色固体を得た。実施例5162で調製した灰白色固体は式Iの化合物の結晶形態1である。結晶形態のXRPDパターンは図1と一致し、結果を以下の表8に示す。

【0178】
【表10】
【0179】
〔式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aの調製〕
(実施例63)
約200mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール4mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌(magnetic stirring)を行った。撹拌中、塩酸を含むエタノール1.32ml(エタノール中の塩酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物の塩酸塩の固体を得た。試験に際して、当該固体は式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aである。結晶形態のXRPDパターンおよびDSCサーモグラムを図5および6に示した。
【0180】
(実施例64)
約50mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール1mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中、塩酸を含むエタノール0.33ml(エタノール中の塩酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密閉して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物の塩酸塩の固体を得た。試験に際して、当該固体は式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aである。結晶形のXRPDパターンは図5と一致する。
【0181】
〔式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bの調製〕
(実施例65)
約200mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール4mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中、硫酸を含むエタノール1.4ml(エタノール中の硫酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物の硫酸塩の固体を得た。試験に際して、固体は式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bである。XRPDパターン、DSCサーモグラム、TGAサーモグラムおよびDVS等温線プロットを図7~10に示した。
【0182】
(実施例66)
約50mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール1mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中、硫酸を含むエタノール0.35ml(エタノール中の硫酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物の硫酸塩の固体を得た。試験に際して、固体は式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bである。XRPDパターンは図7と一致する。
【0183】
〔式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態Cの調製〕
(実施例67)
約200mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール4mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中、臭化水素酸を含むエタノール2.4ml(エタノール中の臭化水素酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物の臭化水素酸塩の固体を得た。試験に際して、固体は式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態Cである。XRPDパターンおよびDSCサーモグラムを図11および12に示した。
【0184】
(実施例68)
約50mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール1mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中、臭化水素酸を含むエタノール0.60ml(エタノール中の臭化水素酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物の臭化水素酸塩の固体を得た。試験に際して、固体は式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態Cである。結晶形態のXRPDパターンは図11と一致する。
【0185】
〔式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの調製〕
(実施例69)
約200mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール4mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中に、リン酸を含むエタノール1.56ml(エタノール中のリン酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。瓶を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を別の瓶に移し、3~4mlの混合溶媒(アセトン/水、9/1、V/V)を加え、室温で一晩磁気撹拌を行った。瓶を遠心分離し、固体を回収し、40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物のリン酸塩の固体を得た。試験に際して、当該固体は式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dである。XRPDパターン、DSCサーモグラム、TGAサーモグラムおよびDVS等温線プロットを図13~16に示す。
【0186】
(実施例70)
約50mgの式Iの化合物を秤量し、次いで瓶に入れた。エタノール1mLを加え、瓶を超音波処理に供して、試料が完全に溶解するまで加熱した。試料瓶を磁気加熱撹拌機に置き、磁気撹拌を行った。撹拌中に、リン酸を含むエタノール0.39ml(エタノール中のリン酸の濃度は50mg/mL)をゆっくりと滴下し、白色沈殿が生成した。を室温においてキャップで密封して1日間撹拌し、懸濁反応液を遠心分離し、回収した固体を別の瓶に移し、0.75~1mlの混合溶媒(アセトン/水、9/1、V/V)を加え、室温で一晩磁気撹拌を行った。瓶を遠心分離し、固体を回収し、40℃で一晩真空乾燥し、式Iの化合物のリン酸塩の固体を得た。試験に際して、当該固体は式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dである。結晶形のXRPDパターンは図13と一致する。
【0187】
<実験区分>
(実験例1 固体特性評価)
DSC、TGAおよびDVS試験を、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B、式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態C、および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dについて実施した。
【0188】
DSC試験の結果は、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B(図8)および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態D(図14)が単一およびより高い融点を有することを示した。これは結晶形態の熱安定性が比較的良好であることを示す。式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態A(図6)および式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態C(図12)の熱力学的挙動は複雑であり、それらの結晶性は低かった。したがって、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bおよび式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dについてのみ、さらなるDVSおよびTGAの特徴付けを実施した。
【0189】
DVS試験の結果は、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態B(図10)および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態D(図16)が一定の吸湿性を有することを示した。含水重量増加は、0%RHから95%RHまでで、それぞれ9.4%および4.7%であった。DVS試験の前後で、2つの塩の結晶形態に有意な変化はなかった。
【0190】
TGA試験の結果は、式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態D(図15)が44℃~120℃で2.862%の重量損失を有することを示した。
【0191】
前記4種の塩の結晶形態の特性評価の結果に基づき、式Iの化合物の結晶形態1との比較を下記表9に示す。
【0192】
【表11】
【0193】
結論として、式Iの化合物の塩酸塩の結晶形態Aおよび式Iの化合物の臭化水素酸塩の結晶形態Cは広い融解範囲を有し、融点は明らかではなく、式Iの化合物の硫酸塩の結晶形態Bの吸湿性は式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dよりも強い。式Iの化合物の結晶形態1および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dはより良好な結晶性、単一融点、および比較的低い吸湿性を有する。
【0194】
(実験例2 溶解度試験)
4試料、式Iの化合物の結晶形態1および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dをそれぞれ固有量で秤量し、それぞれ4mLの透明ガラス瓶に入れた。水1mL、擬似胃液(SGF)、空腹状態擬似腸液(FaSSIF)および満腹状態擬似腸液(FeSSIF)をそれぞれ加え、試料懸濁液を得、速やかに振盪機(37℃、200rpm)上に置いて振盪した。試料を5分後に観察し、試料または培地の量を補って、穏やかな懸濁液を得た。試料をそれぞれ30分、2時間、4時間および24時間で採取し、12000rpmで10分間遠心分離し、上清を回収し、適切に希釈し、次いで高速液体クロマトグラフィーにより試験した。クロマトグラフィー条件を表10に示した。
【0195】
【表12】
【0196】
試料の濃度を外部標準法によって計算した。試験の結果を表11に示す。
【0197】
【表13】
【0198】
その結果、FaSSIFおよびFeSSIF中の式Iの化合物の結晶形態1および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの平衡溶解度(24時間)に明らかな差はないことが示された。水およびSGFにおいて、式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの平衡溶解度(24時間)はそれぞれ、1.8mg/mLおよび30.18mg/mLであり、すなわち、式Iの化合物の結晶形態1の平衡溶解度の10倍および2倍であった。本発明の式Iの化合物の結晶形態1および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの溶解度は、医学上の要件を満たす。
【0199】
(実験例3 安定性試験)
式Iの化合物の結晶形態1の約1mgおよび式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの1mgを秤量し、それぞれを40mLの透明なガラス瓶に入れ、試料を加速条件下(40℃/75%RH、開放)および高温(60℃、密封)でそれぞれ安定性チャンバーに入れた。開けた試料は、瓶のキャップを取り外し、瓶の首を、相互汚染を避けるためにピンホールで突き刺したアルミニウム箔紙で覆った。閉じた試料は、各瓶をキャップで覆い、しっかりと密封した。希釈剤(アセトニトリル/水(1/1)(v/v))で希釈した後、それぞれ1週目および2週目に試料を採取し、表12のクロマトグラフィー条件に従って液相を注入して試料純度を決定した。
【0200】
【表14】
【0201】
試料純度は、面積正規化法を用いて計算した。試験結果を表13に示す。
【0202】
【表15】
【0203】
結果は、式Iの化合物の結晶形態1および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの試料の外観が2週間以内に変化せず、それらは灰白色の粉末であることを示した。純度に有意差はなく、総関連物質は増加しなかった。XRPDおよびDSC試験(図17~20)は0日目のものと比較して、2つの試料の結晶形態および最初の融点に有意差がないことを示した。これは、式Iの化合物の結晶形態1および式Iの化合物のリン酸塩の結晶形態Dの2週間の物理的および化学的安定性が、高温(60℃)および加速条件下(40℃/75%RH)であり、良好であることを示した。
【0204】
(実施例4 TYK2生化学試験)
式Iの化合物の適量を、TYK2生化学試験のために秤量した。
【0205】
この試験はReaction Biology Corp、Malvern、PA(Anastassiadisら、Nat Biotechnol.2011;29(11):1039-45)によって実施された。以下、この工程を簡単に説明する。
【0206】
試薬:
塩基性反応緩衝液:20mM Hepes(pH 7.5)、10mM MgCl、1mM EGTA、0.02% Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM NaVO、2mM DTTおよび1% DMSO。必要な補因子を各キナーゼ反応にそれぞれ加えた。
【0207】
反応工程:
1.新たに調製した塩基性反応緩衝液中に指定の基質を調製する。
【0208】
2.必要な補因子を上記マトリックス溶液に移す。
【0209】
3.指定されたキナーゼを基質溶液に移し、わずかによく混合する。
【0210】
4.式Iの化合物をDMSO中で音響技術(Echo550;ナノリットル範囲)を用いてキナーゼ反応混合物に移し、室温で20分間培養する。
【0211】
5.33P-ATP(比放射能: 10μCi/μl)を反応混合液に導入し、反応を開始させる。
【0212】
6.室温で培養し、キナーゼ反応を2時間実施する。
【0213】
7.P81イオン交換紙への反応をプロットする。
【0214】
8.フィルター結合アッセイでキナーゼ活性を試験する。
【0215】
試験結果は式Iの化合物も強力なTYK2阻害剤であり、そのIC50は10nM未満であることを示した。
【0216】
当業者は本明細書の説明の下で、本発明を理解し、いくつかの修正または変更を行うことができる。これらの修正および変更は、本発明の特許請求の範囲に定義される範囲内にあるべきである。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20