(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】エピタキシャルデバイス及びエピタキシャルデバイス用のガス吸気構造
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
C23C16/455
(21)【出願番号】P 2022515557
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(86)【国際出願番号】 CN2020113708
(87)【国際公開番号】W WO2021052203
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】201910882912.9
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520266443
【氏名又は名称】ベイジン・ナウラ・マイクロエレクトロニクス・イクイップメント・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing NAURA Microelectronics Equipment Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Wenchang Avenue Beijing,Economic-Technological Development Area,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】シャー、ジェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、レイレイ
【審査官】篠原 法子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-173226(JP,A)
【文献】特開2010-080824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0050325(US,A1)
【文献】特開2012-089888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00 -16/56
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャルデバイスであって:
チャンバと;
処理対象の被加工物を担持するために前記チャンバ内に回転可能に配設されたサブマウントと、処理ガスを前記処理対象の被加工物の処理対象の表面に提供するために前記チャンバの側壁に配設されたガス吸気構造であって、前記ガス吸気構造は:
第1の処理ガスを前記処理対象の表面全体に第1の方向に沿って提供するように構成された複数の第1のガス吸気通路であって、前記第1の方向は前記処理対象の表面に平行である、複数の第1のガス吸気通路と;
第1の方向に沿って前記処理対象の表面の両側の縁にそれぞれ第2の処理ガスを提供するように構成された2つの第2のガス吸気通路であって、少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、前記2つの第2のガス吸気通路間に配設される、2つの第2のガス吸気通路とを含む、ガス吸気構造と;
前記ガス吸気構造とは反対側の前記チャンバの側壁に配置された排気構造とを含む、ここにおいて、前記第1の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含み、前記第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のための前記ガスを含み、または含まず、前記第2の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量が、前記第1の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量より少なく、
第2の処理ガスは、処理対象の表面の両側の縁でエピタキシャル反応のためのガスを希釈されるように構成される
エピタキシャルデバイス。
【請求項2】
前記複数の第1のガス吸気通路から流出する前記第1の処理ガスの流量が、前記2つの第2のガス吸気通路から流出する前記第2の処理ガスの流量と同じである、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項3】
前記複数の第1のガス吸気通路が、第2の方向に沿って均等に配置され、前記第2の方向は、前記処理対象の表面に平行であり、前記第1の方向に対して垂直である、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項4】
第2の方向の前記複数の第1のガス吸気通路の総分布距離が、前記処理対象の表面の直径以上であり、前記第2の方向は、前記処理対象の表面に平行であり、前記第1の方向に垂直である、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項5】
それぞれの第2のガス吸気通路が、複数の補助ガス吸気配管を含み;
前記複数の補助ガス吸気配管が、等辺多角形の形状で配置され;
前記等辺多角形の最低点及び前記複数の第1のガス吸気通路の最低点が、同じ平面内にある、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項6】
第2の方向の前記2つの第2のガス吸気通路の総分布距離の、前記処理対象の表面の直径に対する比が、0.8から1.4の間の範囲にあり、前記第2の方向は、前記処理対象の表面に平行であり、前記第1の方向に対して垂直である、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項7】
それぞれの第1のガス吸気通路が、約5mmから30mmの間の距離だけ、隣接する第1のガス吸気通路から離間される、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項8】
それぞれの第1のガス吸気通路の直径の、それぞれの第2のガス吸気通路の直径に対する比が、60から6の間の範囲にある、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項9】
前記第1の処理ガスが、キャリアガスと、前記エピタキシャル反応のための前記ガスと、ドーパントガスとを含み;
前記キャリアガスが、窒素又は水素の少なくとも1つを含み;
前記エピタキシャル反応のための前記ガスが、シラン、二塩化シラン、三塩化シラン、又は四塩化ケイ素の少なくとも1つを含み;
前記ドーパントガスが、ホスフィン、ジボラン、又はアルシンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項10】
前記第2の処理ガスが、キャリアガス、前記エピタキシャル反応のための前記ガス、又はドーパントガスの少なくとも1つを含み;
前記キャリアガスが、窒素又は水素の少なくとも1つを含み;
前記エピタキシャル反応のための前記ガスが、シラン、二塩化シラン、三塩化シラン、又は四塩化ケイ素の少なくとも1つを含み;
前記ドーパントガスが、ホスフィン、ジボラン、又はアルシンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のエピタキシャルデバイス。
【請求項11】
エピタキシャルデバイス用のガス吸気構造であって:
第1の処理ガスを処理対象の表面全体に第1の方向に沿って提供するように構成された複数の第1のガス吸気通路であって、前記第1の方向は前記処理対象の表面に平行である、複数の第1のガス吸気通路と;
第1の方向に沿って前記処理対象の表面の両側の縁にそれぞれ第2の処理ガスを提供するように構成された2つの第2のガス吸気通路であって、少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、前記2つの第2のガス吸気通路間に配設される、2つの第2のガス吸気通路とを含む、
ここにおいて、前記第1の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含み、前記第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のための前記ガスを含み、または含まず、第2の処理ガスは、処理対象の表面の両側の縁でエピタキシャル反応のためのガスを希釈されるように構成され、前記第2の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量が、前記第1の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量より少な
く、
それぞれの第2のガス吸気通路が、複数の補助ガス吸気配管を含み;
前記複数の補助ガス吸気配管が、等辺多角形の形状で配置され;
前記等辺多角形の最低点及び前記複数の第1のガス吸気通路の最低点が、同じ平面内にある
ガス吸気構造。
【請求項12】
前記複数の第1のガス吸気通路から流出する前記第1の処理ガスの流量が、前記2つの第2のガス吸気通路から流出する前記第2の処理ガスの流量と同じである、請求項
11に記載のガス吸気構造。
【請求項13】
それぞれの第2のガス吸気通路が、3つの補助ガス吸気配管を含み;
前記3つの補助ガス吸気配管が、等辺三角形の形状で配置される、請求項
11に記載のガス吸気構造。
【請求項14】
それぞれの第1のガス吸気通路の直径の、それぞれの第2のガス吸気通路の前記直径に対する比が、60から6の間の範囲にある、請求項
11に記載のガス吸気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、半導体技術の技術分野に関し、より詳細には、エピタキシャルデバイス及びエピタキシャルデバイス用のガス吸気構造に関する。
背景
[0002]シリコンエピタキシ装置では、エピタキシャル反応のための均一な濃度の処理ガスが、通常、ガス吸気部からチャンバ内に導入され、処理ガスは、サブマウントによって担持されたウェーハの表面上を水平に流れてエピタキシャル層を成長させ、次いで、排気ガス出口を退出してチャンバの外に出る。シリコン源によってもたらされるガス濃度及びガス温度が固定される条件下では、処理ガスのガス流量は、エピタキシャル層の膜厚さの分布に影響を与える主な要因である。エピタキシャル層の厚さの均一性を確実にするために、サブマウントを回転可能にすることが必要である。しかし、ウェーハ及びサブマウントの同時回転中、制御されない処理ガスの流れが、ウェーハ及びサブマウントの接合部に現れることがあり、それにより、ウェーハの周縁にあるエピタキシャル層の厚さを制御することは極めて難しく、エピタキシャル層の厚さ分布が均一であることを確実にすることは難しい。
概要
[0003]本開示は、エピタキシャルデバイス及びエピタキシャルデバイス用のガス吸気構造を提供して、背景セクションにおいて説明された技術的問題、たとえばウェーハの縁においてエピタキシャル層の厚さが不均一になる現象を解決する。
【0002】
[0004]本開示の1つの側面は、エピタキシャルデバイスを提供する。エピタキシャルデバイスは、チャンバと、処理対象の被加工物を担持するためにチャンバ内に配設されたサブマウントと、処理ガスを処理対象の被加工物の処理対象の表面に提供するためにチャンバの側壁に配設されたガス吸気構造と、ガス吸気構造とは反対側のチャンバの側壁に配置された排気構造とを含む。ガス吸気構造は:エピタキシャル反応のためのガスを含む第1の処理ガスを処理対象の表面全体に第1の方向に沿って提供するように構成された複数の第1のガス吸気通路であって、この場合第1の方向は、処理対象の表面に平行である、複数の第1のガス吸気通路と;第2の方向に沿って間隔をあけて配置され、処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域にそれぞれ対応する2つの第2のガス吸気通路であって、この場合少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、2つの第2のガス吸気通路間に配設され、それぞれの第2のガス吸気通路は、第2の処理ガスを対応する調整領域に第1の方向に沿って提供し、第2の処理ガスは、調整領域を流れ抜けるエピタキシャル反応のためのガスの濃度を調整するように構成され、第2の方向は、第1の方向に垂直であり、処理対象の表面に平行である、2つの第2のガス吸気通路とを含む。
【0003】
[0005]いくつかの態様では、第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含み;第2の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量は、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量より少ない。
【0004】
[0006]いくつかの態様では、処理対象の表面の半径の、第2の方向の2つの調整領域のそれぞれの幅に対する比は、約15以上である。
【0005】
[0007]いくつかの態様では、複数の第1のガス吸気通路から流出する第1の処理ガスの流量は、2つの第2のガス吸気通路から流出する第2の処理ガスの流量と同じである。
【0006】
[0008]いくつかの態様では、複数の第1のガス吸気通路は、第2の方向に沿って均等に配置される。
【0007】
[0009]いくつかの態様では、第2の方向の複数の第1のガス吸気通路の総分布距離は、処理対象の表面の直径以上である。
【0008】
[0010]いくつかの態様では、それぞれの第2のガス吸気通路は、複数の補助ガス吸気配管を含み;複数の補助ガス吸気配管は、等辺多角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置され;等辺多角形の最低点及び複数の第1のガス吸気通路の径方向断面の最低点は、同じ平面内にある。
【0009】
[0011]いくつかの態様では、第2の方向の2つの第2のガス吸気通路の総分布距離の、処理対象の表面の直径に対する比は、0.8から1.4の間の範囲にある。
【0010】
[0012]いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路は、約5mmから30mmの間の距離だけ、隣接する第1のガス吸気通路から離間される。
【0011】
[0013]いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路の直径は、それぞれの第2のガス吸気通路の直径よりも大きく;それぞれの第1のガス吸気通路の直径の、それぞれの第2のガス吸気通路の直径に対する比は、60から6の間の範囲にある。
【0012】
[0014]いくつかの態様では、第1の処理ガスは、キャリアガスと、エピタキシャル反応のためのガスと、ドーパントガスとを含み;キャリアガスは、窒素又は水素の少なくとも1つを含み;エピタキシャル反応のためのガスは、シラン、二塩化シラン(silicon dichlorodihydrogen)、三塩化シラン(silicon trichlorohydrogen)、又は四塩化ケイ素(silicon tetrachloride)の少なくとも1つを含み;ドーパントガスは、ホスフィン、ジボラン、又はアルシンの少なくとも1つを含む。
【0013】
[0015]いくつかの態様では、第2の処理ガスは、キャリアガス、エピタキシャル反応のためのガス、又はドーパントガスの少なくとも1つを含み;キャリアガスは、窒素又は水素の少なくとも1つを含み;エピタキシャル反応のためのガスは、シラン、二塩化シラン、三塩化シラン、又は四塩化ケイ素の少なくとも1つを含み;ドーパントガスは、ホスフィン、ジボラン、又はアルシンの少なくとも1つを含む。
【0014】
[0016]本開示の別の側面は、エピタキシャルデバイス用のガス吸気構造を提供する。ガス吸気構造は:エピタキシャル反応のためのガスを含む第1の処理ガスを処理対象の被加工物の処理対象の表面に第1の方向に沿って提供するように構成された複数の第1のガス吸気通路であって、この場合第1の方向は、処理対象の表面に平行である、複数の第1のガス吸気通路と;第2の方向に沿って間隔をあけて配置され、処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域にそれぞれ対応する2つの第2のガス吸気通路であって、この場合少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、2つの第2のガス吸気通路間に配設され、それぞれの第2のガス吸気通路は、第2の処理ガスを対応する調整領域に第1の方向に沿って提供し、第2の処理ガスは、調整領域を流れ抜けるエピタキシャル反応のためのガスの濃度を調整するように構成され、第2の方向は、第1の方向に垂直であり、処理対象の表面に平行である、2つの第2のガス吸気通路とを含む。
【0015】
[0017]いくつかの態様では、第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含み;第2の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量は、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量より少ない。
【0016】
[0018]いくつかの態様では、複数の第1のガス吸気通路から流出する第1の処理ガスの流量は、2つの第2のガス吸気通路から流出する第2の処理ガスの流量と同じである。
【0017】
[0019]いくつかの態様では、それぞれの第2のガス吸気通路は、複数の補助ガス吸気配管を含み;複数の補助ガス吸気配管は、等辺多角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置され;複数の第1のガス吸気通路の径方向断面の最低点は、同じ平面内にある。
【0018】
[0020]いくつかの態様では、それぞれの第2のガス吸気通路は、3つの補助ガス吸気配管を含み;3つの補助ガス吸気配管は、等辺三角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置される。
【0019】
[0021]いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路の直径は、それぞれの第2のガス吸気通路の直径より大きく;それぞれの第1のガス吸気通路の直径の、それぞれの第2のガス吸気通路の直径に対する比は、60から6の間の範囲にある。
【0020】
[0022]本開示によって提供されるガス吸気構造は、第1の処理ガスを処理対象の被加工物の処理対象の表面に提供し、第2の処理ガスを処理対象の表面の両側に位置する周囲領域に提供することができる、複数の第1のガス吸気通路及び2つの第2のガス吸気通路を含む。第2の処理ガスは、調整領域を流れ抜けるエピタキシャル反応のためのガスの濃度を調整するように構成され、それによって処理対象の表面全体上に形成されるエピタキシャル層の厚さ分布の均一性を改善する。第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、同じ方向に入るため、第1の処理ガス及び第2の処理ガスは円滑に流れ、乱流は生成されず、これは、エピタキシャル層の厚さ分布を制御するのに有益である。
【0021】
[0023]本開示の態様によって提供されるエピタキシャルデバイスは、本開示の態様によって提供されるガス吸気構造を採用することによって、処理対象の表面全体上に形成されるエピタキシャル層の厚さ分布の均一性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】[0024]
図1は、本開示のいくつかの態様によるエピタキシデバイスの概略上面図である。
【
図2】[0025]
図2は、本開示のいくつかの態様によるエピタキシデバイスの概略側面図である。
【
図3】[0026]
図3は、本開示のいくつかの態様によるガス吸気構造の概略図である。
【
図4】[0027]
図4は、本開示のいくつかの態様による別のガス吸気構造の概略図である。
【
図5】[0028]
図5は、本開示のいくつかの態様による別のエピタキシデバイスの概略上面図である。
【
図6】[0029]
図6は、本開示のいくつかの態様によるガス吸気方法のフロー図である。
【0023】
態様の詳細な説明
[0030]さまざまな態様又は例が、本開示のさまざまな特徴を示すために提供される。構成要素及び構成の具体的な例が、本開示を簡単にするために以下で説明される。理解され得るように、説明は例示的であるように意図されており、本開示を限定するようには意図されていない。たとえば、以下の説明では、第2の特徴上に又は特徴にわたって第1の特徴を形成することは、第1の特徴及び第2の特徴が互いに直接的に接触するいくつかの態様と、第1の特徴及び第2の特徴が互いに直接的に接触しないように、第1の特徴と第2の特徴との間に追加の構成要素が形成されるいくつかの態様とを含んでもよい。さらに、本開示は、参照記号及び/又は番号をさまざまな態様において再使用してもよい。そのような再使用は、簡潔及び明確にするためであり、それ自体、論じられる異なる態様及び/構成間の関係を表すものではない。
【0024】
[0031]さらに、空間的関係の用語、たとえば「下方」、「下」、「下側」、「上方」、「上」などは、1つの構成要素又は特徴と別の構成要素又は特徴との関係を図に示されるように説明することを容易にするために使用されてもよい。これらの空間的関係の用語は、図に示される配向に加えて、ユーザ又は動作におけるデバイスの多くの異なる配向を包含するように意図される。デバイスは、他の配向(たとえば、90度に又は他の配向に回転にされる)で配置されてもよく、これらの空間的関係の用語は、それにしたがって解釈されなければならない。
【0025】
[0032]本出願の幅広い範囲を記載するために使用される数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体的な例において記載される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、そのような数値は何れも、個々の試験方法の結果生じる標準偏差を固有に含む。ここで使用されるとき、用語「約」は、通常、実際の値が特定の値又は範囲のプラス又はマイナス10%、5%、1%、又は0.5%内にあることを指す。或いは、用語「約」は、実際の値が、本出願が関係する当業者によって理解されるような、平均の許容可能な標準偏差内にあることを指す。実験に基づく例以外、別途明示的に述べられない限り、ここで使用されるすべての範囲、量、数値、及び割合(たとえば材料の量、時間長さ、温度、作動状態、数量比などを説明する)は、「約」によって修飾されることを理解されたい。したがって、別途そうではないと述べられない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲において開示される数値パラメータは、近似的な数値であり、必要に応じて変更されてもよい。最低限、これらの数値パラメータは、示されるような有効桁数、及び従来の丸み付けを適用することによって得られる数値を指すように解釈されなければならない。数値範囲は、ここでは、1つの終点から別の終点まで、又は2つの終点間として表される。別途示されない限り、ここであげられる数値範囲は、終点を含む。
【0026】
[0033]既存の技術では、エピタキシャル層の厚さ分布の均一性を改善するために、シリコンエピタキシデバイスのチャンバ組立体は、主要処理ガス及び補助処理ガスをチャンバ内に異なる方向から導入するための主要ガス吸気構造及び補助ガス吸気構造を含む。しかし、主要処理ガス及び補助処理ガスがチャンバに入った後、主要処理ガス及び補助処理ガスの流れは、主要処理ガス及び補助処理ガスが互いに相互作用するときに妨げられる。その結果、形成されるエピタキシャル層の厚さ分布を制御することは難しい。
【0027】
[0034]本開示は、上記で言及された状況を考慮して作成され、薄膜形成方法と、エピタキシャル方法を使用するエピタキシャルデバイスとを提供し、それによってエピタキシャル層の均一な厚さ分布を確実にしながら、安定したエピタキシャル層成長速度を達成することができる。さらに、本開示は、エピタキシャルデバイス用のチャンバ組立体を提供し、これは、ガス吸気構造を含む。いくつかの態様では、ガス吸気構造は、複数の第1のガス吸気通路と、2つの第2のガス吸気通路とを含む。2つの第2のガス吸気通路は、処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域にそれぞれ対応して、第2の方向に沿って間隔をあけて配置される。少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、2つの第2のガス吸気通路間に配設される。それぞれの第2のガス吸気通路は、第2の処理ガスを調整領域に第1の方向に沿って提供するように構成される。これらの構成要素の改良により、処理対象の表面上に形成されるエピタキシャル層の厚さ分布の均一性が改善され、それによって製品品質が改善される。
【0028】
[0035]
図1及び
図2は、本開示のいくつかの態様によるエピタキシャルデバイスの概略図である。いくつかの態様では、エピタキシャルデバイスは、処理対象の被加工物の処理対象の表面を処理するように、たとえば処理対象の被加工物(たとえばウェーハ)の処理対象の表面上にエピタキシャル層を形成するように構成される。
図1及び
図2に示すように、エピタキシャルデバイスは、チャンバ4と、被加工物6を担持するためにチャンバ4内に配設されたサブマウント5と、ガス吸気構造1と、排気構造7とを含む。ガス吸気構造1は、チャンバ4の側壁に配設され、処理ガスを処理対象の被加工物6の処理対象の表面に提供するように構成される。排気構造7は、処理ガスを排出するために、ガス吸気構造1の反対側のチャンバ4の側壁に配設される。
【0029】
[0036]いくつかの態様では、
図1に示されるように、上方から見たとき、サブマウント5の上側表面の直径は、処理対象の被加工物6の処理対象の表面の直径より大きく、それにより、処理対象の被加工物6がサブマウント5の上側表面上に置かれたとき、サブマウント5の上側表面の一部(すなわち処理対象の被加工物6の外側に位置する領域)は、処理対象の被加工物6によって覆われない。いくつかの態様では、サブマウント5は、回転され得る。サブマウント5が回転すると、処理対象の被加工物6は連帯的に回転する。いくつかの態様では、サブマウント5は、処理対象の被加工物6を加熱してもよく、それによって、エピタキシャル層が、所定の温度において処理対象の被加工物6上に形成されてもよい。
【0030】
[0037]ガス吸気構造1は、複数の第1のガス吸気通路2と2つの第2のガス吸気通路3とを含む。複数の第1のガス吸気部2は、第1の処理ガスを処理対象の被加工物6の処理対象の表面に第1の方向X1に沿って提供するように構成される。第1の処理ガスは、エピタキシャル反応に合わせて構成されたガスを含む。第1の方向X1は、処理対象の被加工物6の処理対象の表面に平行である。具体的には、第1の方向X1は、処理対象の表面に平行な径方向の1つである。2つの第2のガス吸気通路3は、第2の方向X2に沿って間隔をあけて配置され、少なくとも1つの第1のガス吸気通路2は、2つの第2のガス吸気通路3間に配設される。第2の方向X2は、処理対象の被加工物6の処理対象の表面に平行であり、第1の方向X1に垂直である。加えて、2つの第2のガス吸気通路3はそれぞれ、処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域61に対応する。それぞれの第2のガス吸気通路3は、第2の処理ガスを2つの調整領域61の1つに第1の方向X1に沿って提供するように構成される。第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のために2つの調整領域のそれぞれを通って流れるガスの濃度を調整するように構成される。
【0031】
[0038]実用的な用途では、第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、上記で説明されたガス吸気構造1を使用することによって、同時に又は交互にチャンバ4内に導入され得る。第1の処理ガス及び第2の処理ガスがチャンバ4内に同時に導入されるとき、第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、第1の方向X1に沿って複数の第1のガス吸気通路2及び2つの第2のガス吸気通路3に入り、すなわち、第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、同じ方向に入る。第1の処理ガス及び第2の処理ガスがそれぞれ、処理対象の表面及び調整領域61上を第1の方向X1に沿って進んだ後、第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、続いて第1の方向X1に沿って排気構造7に入り、そのため、乱流は発生しない。第1の処理ガスを進めることに加えて、エピタキシャル反応のために2つの調整領域61のそれぞれを流れ抜けるガスの濃度が、第2の処理ガスを2つの調整領域61のそれぞれ内に進めることによって調整されてもよい。したがって、調整領域61に隣接する縁と、処理対象の表面の中央領域との間のエピタキシャル反応のためのガスの濃度の差は、低減される。
【0032】
[0039]たとえば、エピタキシャルデバイスが処理対象の被加工物6の処理対象の表面を処理するように構成されるとき、サブマウント5は、処理対象の被加工物6を連帯的に回転させるように駆動する。処理対象の被加工物6の処理対象の表面の両側に位置する調整領域61を流れ抜けるガスの突発的な流量変化が、発生することがある。これにより、処理対象の表面の中央領域内に形成されるエピタキシャル層の厚さは、調整領域61に隣接する縁内に形成されるエピタキシャル層の厚さとは異なる。具体的には、処理対象の表面の縁内に形成されるエピタキシャル層の厚さは、処理対象の表面の中央領域内に形成されるエピタキシャル層の厚さより厚い。この場合、エピタキシャル反応のために調整領域61を流れ抜けるガスの濃度が、第2の処理ガスによって希釈されてもよく、それによって、処理対象の表面の縁内に形成されるエピタキシャル層の厚さは薄くなる。したがって、処理対象の表面上に形成されるエピタキシャル層の厚さの分布均一性は、改善される。
【0033】
[0040]いくつかの態様では、第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含み、第2の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量は、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量より少ない。このようにして、第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のために調整領域61を流れ抜けるガスの濃度を希釈するように機能する。実用的な用途では、第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含まなくてもよく、エピタキシャル反応のために調整領域61を流れ抜けるガスの濃度を調整することができる任意のガスであることができる。
【0034】
[0041]いくつかの態様では、第2の処理ガスは、第1の処理ガスが処理対象の表面上を流れることを確実にするために、処理対象の表面の両側に位置する調整領域61においてガスカーテンを形成するようにさらに構成される。
【0035】
[0042]
図1に示されるように、調整領域61は処理対象の表面の縁の外側に位置することに留意されたい。しかし、本開示は、
図1に示される配置によって限定されない。実用的な用途では、調整領域61の範囲は、特定の制限を有さない。たとえば、調整領域61は、処理対象の表面の縁の内側に位置してもよく、又は処理対象の表面の縁の外側と内側の両方に位置してもよい。
【0036】
[0043]いくつかの態様では、処理対象の表面の半径Rsの、第2の方向の2つの調整領域61のそれぞれの幅に対する比は、約15以上である。
【0037】
[0044]いくつかの態様では、第1のガス吸気通路2から流出する第1の処理ガスの流量は、第2のガス吸気通路3から流出する第2の処理ガスの流量と同じである。このようにして、第1の処理ガス及び第2の処理ガスを第1の方向X1に沿って流すことに加えて、第1のガス吸気通路2から流出する第1の処理ガスの流量を、第2のガス吸気通路3から流出する第2の処理ガスの流量と同じにすることにより、ガスは、乱流を生じさせずに処理対象の表面全体上を円滑に流れ、それによって処理対象の表面全体上に均一な厚さを有するエピタキシャル層を形成する。
【0038】
[0045]いくつかの態様では、複数の第1のガス吸気通路2は、第2の方向X2に沿って均等に配置される。このようにして、それぞれの第1のガス吸気通路2から出た第1の処理ガスを第1の方向X1に沿って流すことに加えて、複数の第1のガス吸気通路2は、第2の方向X2に沿って均等に配置され、それによって、処理対象の表面上の異なる位置を通って流れる第1の処理ガスを均等に分布させることができる。複数の第1のガス吸気通路2の配置密度は、具体的な要求事項にしたがって柔軟に調整されてもよい。たとえば、複数の第1のガス吸気通路の配置密度は、パラメータ、たとえば処理対象の被加工物6のサイズ、チャンバ4の空間的寸法、ガスの流量などにしたがって調整されてもよい。
【0039】
[0046]いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路2は、約5mmから30mmの間の距離だけ、隣接する第1のガス吸気通路2から分離される。
【0040】
[0047]いくつかの態様では、第2の方向Xに沿って配置された複数の第1のガス吸気通路2の総分布距離Dg2は、処理対象の表面の直径Dsより大きく、それによって、複数の第1のガス吸気通路2から出た第1の処理ガスは、処理対象の表面全体上を流れることができる。総分布距離Dg2は、2つの最も外側の第1のガス吸気通路2間の第2の方向X2の最大距離を指す。
【0041】
[0048]いくつかの態様では、ガス吸気構造1と処理対象の表面との間の第3の方向Yの距離は、第1の処理ガスが処理対象の表面全体と効果的に反応できる限り、本開示によって限定されない。第3の方向Yは、処理対象の表面に垂直である。
【0042】
[0049]いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路2の中心及びそれぞれの第2のガス吸気通路3の中心は、第3の方向Yに処理対象の表面から同じ距離にあり、すなわち、それぞれの第1のガス吸気通路2及びそれぞれの第2のガス吸気通路3は、処理対象の表面に対して同じ高さに位置する。
【0043】
[0050]いくつかの態様では、第1の処理ガスは、キャリアガスと、エピタキシャル反応のためのガスと、ドーパントガスとを含む。キャリアガスは、窒素(N2)又は水素(H2)の少なくとも1つを含む。エピタキシャル反応のためのガスは、シラン(SiH4)、二塩化シラン(SiH2Cl2)、三塩化シラン(SiHCl3)、又は四塩化ケイ素(SiCl4)の少なくとも1つを含む。ドーパントガスは、ホスフィン(PH3)、ジボラン(B2H6)、又はアルシン(AsH3)の少なくとも1つを含む。
【0044】
[0051]いくつかの態様では、第2の処理ガスは、キャリアガス、エピタキシャル反応のためのガス、又はドーパントガスの少なくとも1つを含む。第2の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量は、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量より少ない。キャリアガスは、窒素(N2)又は水素(H2)の少なくとも1つを含む。エピタキシャル反応のためのガスは、シラン(SiH4)、二塩化シラン(SiH2Cl2)、三塩化シラン(SiHCl3)、又は四塩化ケイ素(SiCl4)の少なくとも1つを含む。ドーパントガスは、ホスフィン(PH3)、ジボラン(B2H6)、又はアルシン(AsH3)の少なくとも1つを含む。
【0045】
[0052]第2の処理ガスは、調整領域61内のエピタキシャル反応のためのガスの濃度を調整するように構成される。たとえば、第2の処理ガスは、調整領域61内のエピタキシャル反応のためのガスを希釈してもよく、それによって、調整領域61内のエピタキシャル反応のためのガスの濃度は、低減される。いくつかの態様では、第1の処理ガスの組成及び流量が固定されている条件下で、第2の処理ガスのキャリアガス濃度及びそれぞれの第2のガス吸気通路3の位置を調整することにより、エピタキシャル反応のためのガスの濃度及び希釈領域が、変更され得る。
【0046】
[0053]いくつかの態様では、調整領域61内のエピタキシャル反応のためのガスが希釈される必要がある場合、それぞれの第2のガス吸気通路3は、第2の処理ガスの安定した流れを対応する調整領域61に提供するように構成され得る。たとえば、それぞれの第2のガス吸気通路3から流出する第2の処理ガスの流量は、固定される。
【0047】
[0054]いくつかの態様では、異なる処理条件では、第1の処理ガスは、第2の処理ガスの流量が固定されるときに第2の処理ガス中のキャリアガス濃度を調整することによって適切に希釈され得る。いくつかの態様では、第2の処理ガスのキャリアガスは、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスを希釈するように構成される。いくつかの態様では、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの濃度が、希釈された領域内で突然低下しすぎることを防止するために、第2の処理ガス中に含まれるキャリアガス及びエピタキシャル反応のためのガスの割合が適切であることを確実にしなければならない。いくつかの態様では、第2の処理ガスは、キャリアガスとドーパントガスとを含むが、エピタキシャル反応のためのガスは含まない。
【0048】
[0055]いくつかの態様では、第1の処理ガス中、エピタキシャル反応のためのガスの割合はa%であり、キャリアガスの割合は、(100-a)%である(ドーパントガスが追加的にカウントされる)。第2の処理ガス中、エピタキシャル反応のためのガスの割合はb%であり、キャリアガスの割合は、(100-b)%である(ドーパントガスが追加的にカウントされる)。a及びbは、正数である。aは100より小さく、bより大きい。したがって、含有量mを有する第1の処理ガスが含有量nを有する第2の処理ガスと混合されると、エピタキシャル反応のための混合されたガスの濃度がx%であると仮定して、x%は、(am+bn)/(m+n)に等しく、xはaとbとの間にある。第2の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量が、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量より少ない場合、第2の処理ガスは、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスを希釈し、それによって処理対象の表面にわたって形成されるエピタキシャル層の厚さ均一性を改善することが、前述の説明から分かり得る。
【0049】
[0056]
図3は、本開示のいくつかの態様によるガス吸気構造の概略図である。いくつかの態様では、
図3に示されるように、それぞれの第2のガス吸気通路3の直径は、それぞれの第1のガス吸気通路2の直径より小さく、それにより、第2のガス吸気通路3から流出する第2の処理ガスの分布領域の幅は、第2の方向X2に比較的狭くなり、第1のガス吸気通路2から流出する第1の処理ガスの分布領域を占有せず、それによって、第1の処理ガスが処理対象の表面とのエピタキシャル反応を実行することを確実にする。いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路2の直径の、それぞれの第2のガス吸気通路3の直径に対する比は、60から6の間の範囲にある。
【0050】
[0057]いくつかの態様では、それぞれの第1のガス吸気通路2の出口の中心及びそれぞれの第2のガス吸気通路3の出口の中心は、同じ平面上に位置する。たとえば、それぞれの第1のガス吸気通路2の出口の中心及びそれぞれの第2のガス吸気通路3の出口の中心は、平面P1上に位置する。平面P1は、処理対象の表面に平行である。いくつかの態様では、第2の方向X2の2つの第2のガス吸気通路3の総分布距離Dg1の、処理対象の表面の直径Dsに対する比は、0.8から1.4の間の範囲にある。総分布距離Dg1は、2つの最も外側の第2のガス吸気通路3間の第2の方向X2の最大距離を指す。
【0051】
[0058]いくつかの態様では、第2の方向X2の2つの第2のガス吸気通路3の総分布距離Dg1は、Ds±50mmに等しく、この場合Dsは、処理対象の表面の直径である。いくつかの態様では、第2の方向X2の2つの第2のガスの吸気通路3の総分布距離Dg1は、第2の方向X2の複数の第1のガス吸気通路2の総分布距離Dg2より小さい。
【0052】
[0059]
図3に示される態様では、それぞれの第1のガス吸気通路2及びそれぞれの第2のガス吸気通路3は、独立した配管にそれぞれ接続されてもよく、それぞれの独立した配管は、第1の処理ガスを対応する第1のガス吸気通路2に独立的に提供し、又は第2の処理ガスを対応する第2のガス吸気通路3に提供することに留意されたい。しかし、これは、本開示の態様を限定するものではない。いくつかの他の態様では、複数の第1のガス吸気通路2は、同じ配管に接続されてもよく、この配管は、第1の処理ガスをそれぞれの第1のガス吸気通路2に同時に提供する。2つの第2のガス吸気通路3は、別の同じ配管に接続されてもよく、この配管は、第2の処理ガスをそれぞれの第2のガス吸気通路3に同時に提供する。複数の第1のガス吸気通路2のそれぞれ及び2つの第2のガス吸気通路3のそれぞれから流出する第1の処理ガス及び第2の処理ガスの流量が同じである限り、これらの配管構成は、本開示の態様の範囲内に含まれる。
【0053】
[0060]
図4は、本開示のいくつかの態様による別のガス吸気構造の概略図である。いくつかの態様では、
図4に示されるように、第2の処理ガスの流れを分散させることが、第1の処理ガスの流れを円滑に保つのに有益である。たとえば、それだけに限定されないが、それぞれの第2のガス吸気通路3は複数の出口を有し、それぞれの第2のガス吸気通路3は補助ガス吸気配管を含み、補助ガス吸気配管は複数の出口を有する。或いは、それぞれの第2のガス吸気通路3は複数の補助ガス吸気配管を含み、それぞれの補助ガス吸気配管は単一の出口を有する。たとえば、
図4に示されるように、それぞれの第2のガス吸気通路3は、3つの補助ガス吸気配管31を含む。それぞれの補助ガス吸気配管31は、単一の出口を有する。第2の処理ガスが同じ流量でそれぞれの出口から流出する限り、これらの態様は、本開示の範囲内に含まれる。
【0054】
[0061]いくつかの態様では、複数の補助ガス吸気配管は、等辺多角形、たとえばそれだけに限定されないが等辺三角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置され、等辺多角形の一辺及び複数の第1のガス吸気通路2の径方向断面の最低点は、同じ平面にある。たとえば、等辺多角形の一辺及び複数の第1のガス吸気通路2の径方向断面の最低点は、同じ平面P2にある。たとえば、
図4に示されるように、3つの補助ガス吸気配管31は、等辺三角形における径方向断面の形状を形成するように配置される。等辺三角形の底側は、たとえば、それだけに限定されないが、複数の第1のガス吸気通路2の径方向断面の最低点と同じ平面P2に位置する。
【0055】
[0062]実用的な用途では、エピタキシャルデバイスは、処理対象の被加工物6を処理するための他のデバイス又は構成要素を有してもよい。たとえば、エピタキシャルデバイスは、サブマウント5上に担持された処理対象の被加工物6の温度を所定の処理温度に調整するための加熱デバイスを含んでもよい。たとえば、加熱デバイスは、サブマウント5内に配設される。図を簡潔にするために、
図1及び
図2は、本開示の態様の説明に関連付けられたデバイス及び構成要素のみを示している。
【0056】
[0063]
図5は、本開示のいくつかの態様による別のエピタキシデバイスの概略上面図である。いくつかの態様では、
図5に示されるように、第2の方向X2の2つの第2のガス吸気通路3の総分布距離Dg1は、第2の方向X2の複数の第1のガス吸気通路2の総分布距離Dg2より大きい。換言すれば、
図5に示されるように、ガス吸気構造1を上から見た図で見たとき、複数の第1のガス吸気通路2は、2つの第2のガス吸気通路3間に配設される。この場合、ガス吸気構造1によって提供される第1の処理ガスはすべて、処理対象の表面の両側に第2の処理ガスによって形成されたガスカーテン間に閉じ込められる。いくつかの態様では、第2の方向X2の2つの第2のガス吸気通路3の総分布距離Dg1は、処理対象の表面の直径Dsより大きい。いくつかの態様では、第2の方向X2の2つの第2のガス吸気通路3の総分布距離Dg1は、第2の方向X2の複数の第1のガス吸気通路2の総分布距離Dg2より大きく、第2の方向X2の複数の第1のガス吸気通路2の総分布距離Dg2は、処理対象の表面の直径Dsより大きい。
【0057】
[0064]本開示はまた、ガス吸気方法、特にエピタキシャルデバイスのためのガス吸気方法を提供する。
図6は、本開示のいくつかの態様によるガス吸気方法のフロー図である。
図6に示される工程は、説明される順序通りに実行される必要はなく、実質的に同じ結果を得ることができれば、他の順序で又は同時に実行されてもよい。ガス吸気方法8は、以下の工程を含む。
【0058】
[0065]工程81において、第1の処理ガスが、処理対象の被加工物6の処理対象の表面全体に第1の方向X1に提供される。
【0059】
[0066]工程82において、第2の処理ガスが、処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域61それぞれに第1の方向X1に提供される。いくつかの態様では、ガス吸気方法8は、
図1、
図2、又は
図5に示されるようなエピタキシャルデバイスにおいて実行される。
【0060】
[0067]いくつかの態様では、第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、同時に提供される。第2の処理ガスは、たとえば、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスを希釈するために、調整領域61を流れ抜けるエピタキシャル反応のためのガスの濃度を調整するように構成される。
【0061】
[0068]いくつかの態様では、第1の方向X1は、処理対象の表面の径方向に平行であり、処理対象の表面の上方に位置する。第1の処理ガス及び第2の処理ガスは、処理対象の表面に対するエピタキシャル反応を引き起こすことができる。いくつかの態様では、ガス全体がチャンバ1内で円滑に流れることを保つために、処理対象の表面を流れ抜ける第1の処理ガスの流量は、調整領域61を流れ抜ける第2の処理ガスの流量と同じである。
【0062】
[0069]本開示は、以下の態様に関してさらに説明される。しかし、これらの態様は、説明的であるように意図されるにすぎず、本開示の限定として解釈されてはならないことを理解されたい。
【0063】
[0070]態様1
[0071]第1の処理ガスは、第1の方向X1に沿って複数の第1のガス吸気通路2を通ってチャンバ4内に導入されて、チャンバ4内でサブマウント5によって担持された処理対象の被加工物6の処理対象の表面と第1の処理ガスのエピタキシャル反応を引き起こす。第1の処理ガスの流量は、1分あたり約50標準リットル(SLM)である。第1の処理ガス中に含まれるエピタキシャル反応のためのガスの濃度は、約4%である。それと同時に、エピタキシャル反応のためのガスを含まない第2の処理が、第1の方向X1に沿って2つの第2のガス吸気通路3を通ってチャンバ4内に導入されて、第2の処理ガスを処理対象の表面の両側の調整領域61に提供する。第2の処理ガスの流量は、約3SLMである。
【0064】
[0072]エピタキシャル反応のためのガスは、シリコン源を含む。
【0065】
[0073]処理対象の被加工物6は、ウェーハである。調整領域61を流れ抜けるエピタキシャル反応のためのガスの平均濃度は、約3.5%である。エピタキシャル成長後、エピタキシャル層の縁から3mmの距離にあるエピタキシャル層の厚さは、エピタキシャル層の縁から10mmの距離にあるエピタキシャル層の厚さより約1%厚い。
【0066】
[0074]比較例1
[0075]第1の処理ガスは、第1の方向X1に沿って複数の第1のガス吸気通路2を通ってチャンバ4内に導入されて、チャンバ4内でサブマウント5によって担持された処理対象の被加工物6の処理対象の表面と第1の処理ガスのエピタキシャル反応を引き起こす。第1の処理ガスの流量は、1分あたり約50標準リットル(SLM)である。第1の処理ガス中に含まれるエピタキシャル反応のためのガスの濃度は、約4%である。それと同時に、ガスは、2つの第2のガス吸気通路3を通ってチャンバ4内に導入されない。エピタキシャル反応のためのガスは、シリコン源を含む。
【0067】
[0076]処理対象の被加工物6は、ウェーハである。エピタキシャル成長後、エピタキシャル層の縁から3mmの距離にあるエピタキシャル層の厚さは、エピタキシャル層の縁から10mmの距離にあるエピタキシャル層の厚さより約4%厚い。
【0068】
[0077]態様1と比較例1を比較することにより、第1の処理ガスが複数の第1のガス吸気通路2を通って導入される間、エピタキシャル反応のためのガスを含む、又は含まない第2の処理ガスが、2つの第2のガス吸気通路3を通って導入され、それによって処理対象の被加工物6の処理対象の表面全体上に形成されるエピタキシャル層の厚さの分布均一性を改善することが分かり得る。
【0069】
[0078]本開示の態様は、ガス吸気構造と、関連するエピタキシャルデバイスとを提供する。本開示によって提供されるガス吸気構造は、複数の第1のガス吸気通路2と2つの第2のガス吸気通路3とを含む。複数の第1のガス吸気通路2は、第1の処理ガスを処理対象の被加工物6の処理対象の表面に提供する。2つの第2のガス吸気通路3は、第2の処理ガスを処理対象の表面の両側に位置する周囲領域に、複数の第1のガス吸気通路と同じ方向に提供する。第1の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含む。第2の処理ガスは、エピタキシャル反応のためのガスを含む、又は含まない。第2の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量は、第1の処理ガス中のエピタキシャル反応のためのガスの含有量より少ない。本開示の態様によって提供されるガス吸気構造は、第1の処理ガス及び第2の処理ガスが円滑に流れるようにし、それによって処理対象の表面全体上に形成されるエピタキシャル層の厚さ分布の均一性を改善する。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
エピタキシャルデバイスであって:
チャンバと;
処理対象の被加工物を担持するために前記チャンバ内に配設されたサブマウントと、 処理ガスを前記処理対象の被加工物の処理対象の表面に提供するために前記チャンバの側壁に配設されたガス吸気構造であって、前記ガス吸気構造は:
エピタキシャル反応のためのガスを含む第1の処理ガスを前記処理対象の表面全体に第1の方向に沿って提供するように構成された複数の第1のガス吸気通路であって、前記第1の方向は前記処理対象の表面に平行である、複数の第1のガス吸気通路と;
第2の方向に沿って間隔をあけて配置され、前記処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域それぞれに対応する2つの第2のガス吸気通路であって、少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、前記2つの第2のガス吸気通路間に配設され、それぞれの第2のガス吸気通路は、第2の処理ガスを前記対応する調整領域に前記第1の方向に沿って提供し、前記第2の処理ガスは、前記調整領域を流れ抜ける前記エピタキシャル反応のための前記ガスの濃度を調整するように構成され、前記第2の方向は、前記第1の方向に垂直であり、前記処理対象の表面に平行である、2つの第2のガス吸気通路とを含む、ガス吸気構造と;
前記ガス吸気構造とは反対側の前記チャンバの側壁に配置された排気構造とを含む、エピタキシャルデバイス。
[C2]
前記第2の処理ガスが、前記エピタキシャル反応のための前記ガスを含み;
前記第2の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量が、前記第1の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量より少ない、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C3]
前記処理対象の表面の半径の、前記第2の方向の前記2つの調整領域のそれぞれの幅に対する比が、約15以上である、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C4]
前記複数の第1のガス吸気通路から流出する前記第1の処理ガスの流量が、前記2つの第2のガス吸気通路から流出する前記第2の処理ガスの流量と同じである、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C5]
前記複数の第1のガス吸気通路が、前記第2の方向に沿って均等に配置される、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C6]
前記第2の方向の前記複数の第1のガス吸気通路の総分布距離が、前記処理対象の表面の直径以上である、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C7]
それぞれの第2のガス吸気通路が、複数の補助ガス吸気配管を含み;
前記複数の補助ガス吸気配管が、等辺多角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置され;
前記等辺多角形の最低点及び前記複数の第1のガス吸気通路の径方向断面の最低点が、同じ平面内にある、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C8]
前記第2の方向の前記2つの第2のガス吸気通路の総分布距離の、前記処理対象の表面の直径に対する比が、0.8から1.4の間の範囲にある、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C9]
それぞれの第1のガス吸気通路が、約5mmから30mmの間の距離だけ、隣接する第1のガス吸気通路から離間される、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C10]
それぞれの第1のガス吸気通路の直径が、それぞれの第2のガス吸気通路の直径より大きく;
それぞれの第1のガス吸気通路の前記直径の、それぞれの第2のガス吸気通路の前記直径に対する比が、60から6の間の範囲にある、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C11]
前記第1の処理ガスが、キャリアガスと、前記エピタキシャル反応のための前記ガスと、ドーパントガスとを含み;
前記キャリアガスが、窒素又は水素の少なくとも1つを含み;
前記エピタキシャル反応のための前記ガスが、シラン、二塩化シラン、三塩化シラン、又は四塩化ケイ素の少なくとも1つを含み;
前記ドーパントガスが、ホスフィン、ジボラン、又はアルシンの少なくとも1つを含む、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C12]
前記第2の処理ガスが、キャリアガス、前記エピタキシャル反応のための前記ガス、又はドーパントガスの少なくとも1つを含み;
前記キャリアガスが、窒素又は水素の少なくとも1つを含み;
前記エピタキシャル反応のための前記ガスが、シラン、二塩化シラン、三塩化シラン、又は四塩化ケイ素の少なくとも1つを含み;
前記ドーパントガスが、ホスフィン、ジボラン、又はアルシンの少なくとも1つを含む、C1に記載のエピタキシャルデバイス。
[C13]
エピタキシャルデバイス用のガス吸気構造であって:
エピタキシャル反応のためのガスを含む第1の処理ガスを処理対象の被加工物の処理対象の表面に第1の方向に沿って提供するように構成された複数の第1のガス吸気通路であって、前記第1の方向は前記処理対象の表面に平行である、複数の第1のガス吸気通路と;
第2の方向に沿って間隔をあけて配置され、前記処理対象の表面の両側の縁に隣接する2つの調整領域にそれぞれ対応する2つの第2のガス吸気通路であって、少なくとも1つの第1のガス吸気通路は、前記2つの第2のガス吸気通路間に配設され、それぞれの第2のガス吸気通路は、第2の処理ガスを前記対応する調整領域に前記第1の方向に沿って提供し、前記第2の処理ガスは、前記調整領域を流れ抜ける前記エピタキシャル反応のための前記ガスの濃度を調整するように構成され、前記第2の方向は、前記第1の方向に垂直であり、前記処理対象の表面に平行である、2つの第2のガス吸気通路とを含む、ガス吸気構造。
[C14]
前記第2の処理ガスが、前記エピタキシャル反応のための前記ガスを含み;
前記第2の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量が、前記第1の処理ガス中の前記エピタキシャル反応のための前記ガスの含有量より少ない、C13に記載のガス吸気構造。
[C15]
前記複数の第1のガス吸気通路から流出する前記第1の処理ガスの流量が、前記2つの第2のガス吸気通路から流出する前記第2の処理ガスの流量と同じである、C13に記載のガス吸気構造。
[C16]
それぞれの第2のガス吸気通路が、複数の補助ガス吸気配管を含み;
前記複数の補助ガス吸気配管が、等辺多角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置され;
前記等辺多角形の最低点及び前記複数の第1のガス吸気通路の径方向断面の最低点が、同じ平面内にある、C13に記載のガス吸気構造。
[C17]
それぞれの第2のガス吸気通路が、3つの補助ガス吸気配管を含み;
前記3つの補助ガス吸気配管が、等辺三角形の径方向断面形状に対応する形状を形成するように配置される、C16に記載のガス吸気構造。
[C18]
それぞれの第1のガス吸気通路の直径が、それぞれの第2のガス吸気通路の直径より大きく;
それぞれの第1のガス吸気通路の前記直径の、それぞれの第2のガス吸気通路の前記直径に対する比が、60から6の間の範囲にある、C13に記載のガス吸気構造。