(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-26
(45)【発行日】2023-08-03
(54)【発明の名称】認証方法、認証システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230727BHJP
G06Q 10/30 20230101ALI20230727BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/30
(21)【出願番号】P 2022552482
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2021040071
(87)【国際公開番号】W WO2022092278
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2020183115
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020182850
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020182890
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】井出 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】米久保 秀明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】堀江 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 岳史
【審査官】青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-256016(JP,A)
【文献】特開2005-169898(JP,A)
【文献】特開2004-074507(JP,A)
【文献】特開2005-056127(JP,A)
【文献】特開2004-265106(JP,A)
【文献】特開2004-334538(JP,A)
【文献】特開2002-149804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムにより実行されるリサイクル品の認証方法であって、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量
を示す情報を
、前記コンピュータシステムと通信可能な端末装置から取得する第1取得工程と、
前記製造主体
における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量
を示す情報を
、前記端末装置から取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、
前記樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成することにより、前記樹脂製品に認証を付与する認証工程と
を含
み、
前記流入量は、前記製造主体による前記樹脂製品製造のための原料としての前記リサイクル樹脂の流入量を示す情報であり、
前記流出量は、前記樹脂製品に含まれる前記リサイクル樹脂の重量を示す情報、またはマスバランスアプローチにおけるリサイクル認証樹脂製品の流出量を示す情報であり、
前記認証条件は、前記流出量が前記流入量を超えないことである、
認証方法。
【請求項2】
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程と、を含み、
前記樹脂製品に含まれる前記リサイクル樹脂の重量は、前記樹脂製品の重量に前記リサイクル比率を乗じることにより算出される、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項3】
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置から、前記流入量として、前記リサイクル樹脂の使用量の情報を取得する、
請求項
1又は2に記載の認証方法。
【請求項4】
前記第2取得工程は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る
前記製造装置から前記樹脂製品の製造量の情報を取得する
ことを含む、
請求項
3に記載の認証方法。
【請求項5】
前記樹脂製品についての製造後ストック量
を示す情報を取得する製品在庫量取得工程と、
前記樹脂製品の出荷量を取得する出荷量取得工程を有し、
前記認証条件は、前記製造後ストック量と前記出荷量との総和が前記製造量を超えないことを
、前記樹脂製品に認証を付与するための条件としてさらに含む、
請求項
4に記載の認証方法。
【請求項6】
前記樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の在庫量である原料在庫量
を示す情報を取得する原料在庫量取得工程をさらに有し、
前記認証条件は、前記使用量と前記原料在庫量との総和が
、前記
樹脂製品の製造事業者が入荷するリサイクル樹脂の入荷量を超えないことを
、前記樹脂製品に認証を付与するための条件としてさらに含む、請求項
4に記載の認証方法。
【請求項7】
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を、前記端末装置から取得する第3取得工程をさらに含み、
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂の入荷量を、前記流入量として取得することを含み、
前記第2取得工程は、前記樹脂製品の出荷量を取得することと、前記出荷量に前記リサイクル比率を乗じることにより前記流出量を取得することを含み、
前記認証条件は、
関係式(A2):前記入荷量≧前記出荷量×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項8】
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂の入荷量を、前記流入量として取得することを含み、
前記第2取得工程は、前記樹脂製品の出荷量を取得することと、前記樹脂製品についての製造後ストック量
を示す情報を取得
することと、前記出荷量と前記製造後ストック量の総和を前記流出量として取得する
ことを含み、
前記認証条件は、
関係式(A3):前記入荷量≧前記出荷量+前記製造後ストック量
を満たすことを含む、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項9】
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を、前記端末装置から取得する第3取得工程をさらに含み、
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂の入荷量を、前記流入量として取得することを含み、
前記第2取得工程は、前記樹脂製品の出荷量を取得することと、前記樹脂製品についての製造後ストック量を示す情報を取得することと、前記出荷量及び前記製造後ストック量の総和に前記リサイクル比率を乗じることにより前記流出量を取得することを含み、
前記認証条件は、
関係式(A3-1):前記入荷量≧(前記出荷量+前記製造後ストック量)×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
請求項1に記載の認証方法。
【請求項10】
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂の入荷量を、前記流入量として取得することを含み、
前記第2取得工程は、
前記樹脂製品の出荷量を取得することと、前記樹脂製品の廃棄量を取得する
ことと、前記出荷量及び前記廃棄量の総和を前記流出量として取得することを含み、
前記認証条件は、
関係式(A4):前記入荷量≧前記出荷量+前記廃棄量
を満たすことを含む、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項11】
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を、前記端末装置から取得する第3取得工程をさらに含み、
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂の入荷量を、前記流入量として取得することを含み、
前記第2取得工程は、前記樹脂製品の出荷量を取得することと、前記樹脂製品の廃棄量を取得することと、前記出荷量及び前記廃棄量の総和に前記リサイクル比率を乗じることにより前記流出量を取得することを含み、
前記認証条件は、
関係式(A4-1):前記入荷量≧(前記出荷量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項12】
前記入荷量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する
ための同一の識別情報に対応付けられた前記リサイクル樹脂の累積入荷量である、請求項
6から11のいずれか一項に記載の認証方法。
【請求項13】
前記出荷量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する
ための同一の識別情報に対応付けられた前記樹脂製品の累積出荷量である、請求項
7から11のいずれか一項に記載の認証方法。
【請求項14】
前記製造主体は、樹脂製品の製造装置であり、 前記流入量は、
前記製造装置により使用された前記リサイクル樹脂の使用量
に基づいて取得され、前記流出量は、前記リサイクル樹脂を使用し
て前記製造装置により製造された
前記樹脂製品の製造量
に基づいて取得される、請求項1に記載の認証方法。
【請求項15】
前記製造主体は、樹脂製品の製造装置であり、
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置から、前記流入量として、前記リサイクル樹脂の使用量の情報を取得することを含み、
前記第2取得工程は、前記樹脂製品の製造量を取得することと、前記樹脂製品の廃棄量を取得することと、前記製造量及び前記廃棄量の総和を前記流出量として取得することを含み、
前記認証条件は、
関係式(B2):前記使用量≧前記製造量+前記廃棄量
を満たすことを含む、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項16】
前記製造主体は、樹脂製品の製造装置であり、
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程
を含み、
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置から、前記流入量として、前記リサイクル樹脂の使用量の情報を取得することを含み、
前記第2取得工程は、前記樹脂製品の製造量を取得することと、前記樹脂製品の廃棄量を取得することと、前記製造量及び前記廃棄量の総和に前記リサイクル比率を乗じることにより前記流出量を取得することを含み、
前記認証条件は、
関係式(B2-1):前記使用量≧(前記製造量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
請求項
1に記載の認証方法。
【請求項17】
前記コンピュータシステムは、複数のノード装置を含
むブロックチェーンネットワークを含み、前記複数のノード装置のそれぞれが、
他の前記ノード装置と前記
流入量を示す情報
及び前記流出量を示す情報を共有するための
、ブロックチェーンにおける合意形成処理を制御部により行うことと、
前記合意形成処理により合意形成された前記
流入量を示す情報
及び前記流出量を示す情報を記憶部に記憶することと
を含む、請求項1から
16のいずれか一項に記載の認証方法。
【請求項18】
複数の前記ノード装置のうち少なくとも一部の前記ノード装置において、
リサイクル品として認証された前記樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報に対して前記合意形成処理を前記制御部により行うことと、
前記合意形成処理が行われた前記認証情報を前記記憶部に記憶することと
を含む、請求項
17に記載の認証方法。
【請求項19】
プロセッサを備える認証システムであって、前記プロセッサが、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量
を示す情報を
、前記認証システムと通信可能な端末装置から取得する第1取得工程と、
前記製造主体
における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量
を示す情報を
、前記端末装置から取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、
前記樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成することにより、前記樹脂製品に認証を付与する認証工程と
を実行するように構成されて
おり、
前記流入量は、前記製造主体による前記樹脂製品製造のための原料としての前記リサイクル樹脂の流入量を示す情報であり、
前記流出量は、前記樹脂製品に含まれる前記リサイクル樹脂の重量を示す情報、またはマスバランスアプローチにおけるリサイクル認証樹脂製品の流出量を示す情報であり、
前記認証条件は、前記流出量が前記流入量を超えないことである、
認証システム。
【請求項20】
前記プロセッサが、
前記樹脂製品の製造事業者
が入荷するリサイクル樹脂の入荷量の情報を取得する入荷量取得工程と、
前記リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置から前記加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量の情報を取得する使用量取得工程と、
前記樹脂製品の製造事業者
が出荷する前記樹脂製品の出荷量の情報を取得する出荷量取得工程と、
前記認証工程として、
前記入荷量、前記使用量及び前記出荷量の情報に基づいて、前記使用量が前記入荷量を超えず、且つ前記出荷量が前記入荷量を超えないことを
さらに含む認証条件を満たす場合、前記樹脂製品が前記認証条件を満たすと判定する認証工程と、
を実行するように構成されている、請求項
19に記載の認証システム。
【請求項21】
前記認証条件を満たすことを条件に、前記樹脂製品が前記認証条件を満たすことを示す対象データを共有するために、複数のノード装置のうちの第1ノード装置から他の前記ノード装置に前記対象データを送信する共有工程をさらに有する、請求項
19又は20に記載の認証システム。
【請求項22】
複数のノード装置を
含むブロックチェーンネットワークを更に備え、
前記複数のノード装置のうちの第1ノード装置のプロセッサが、
前記入荷量取得工程と、
前記使用量取得工程と、
前記出荷量取得工程と、
前記認証工程と、
前記樹脂製品が前記認証条件を満たすと判定されたことを条件に、前記樹脂製品が前記認証条件を満たすことを示す対象データを他の前記ノード装置に共有するために、他の前記ノード装置に前記対象データを送信する共有工程と、
を実行するように構成されている、請求項
20に記載の認証システム。
【請求項23】
前記製造装置は、前記リサイクル樹脂の前記使用量を秤量可能に設けられた秤量部を備え、
前記使用量取得工程は、前記秤量部による秤量結果に基づいて前記使用量を取得する、
請求項
20に記載の認証システム。
【請求項24】
前記リサイクル樹脂の入荷伝票を読み取る第1読取装置を備え、
前記入荷量取得工程は、前記第1読取装置による前記入荷伝票の読み取り結果に基づく前記入荷量の情報を取得する、
請求項
20又は23に記載の認証システム。
【請求項25】
前記樹脂製品の出荷量の出荷伝票を読み取る第2読取装置を備え、
前記出荷量取得工程は、前記第2読取装置による前記出荷伝票の読み取り結果に基づく前記出荷量の情報を取得する、
請求項
20、23又は24のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項26】
プロセッサを備える認証申請システムであって、前記プロセッサが、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量
を示す情報を
取得する第1取得工程と、
前記製造主体
における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量
を示す情報を
取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量とを含む認証対象データを送信する認証申請工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たすか否かを示す認証結果を受信する受信工程と、
を実行するように構成されて
おり、
前記流入量は、前記製造主体による前記樹脂製品製造のための原料としての前記リサイクル樹脂の流入量を示す情報であり、
前記流出量は、前記樹脂製品に含まれる前記リサイクル樹脂の重量を示す情報、またはマスバランスアプローチにおけるリサイクル認証樹脂製品の流出量を示す情報であり、
前記認証条件は、前記流出量が前記流入量を超えないことである、
認証申請システム。
【請求項27】
前記認証申請システムが、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置をさらに備え、
前記プロセッサが、
前記第1取得工程において、前記流入量として、前記製造装置から前記リサイクル樹脂の使用量を示す情報を取得することと、
前記第2取得工程において、前記流出量として、前記製造装置から前記樹脂製品の製造量を示す情報を取得すること
を実行するように構成されている、請求項
26に記載の認証申請システム。
【請求項28】
前記製造装置は、前記リサイクル樹脂の前記使用量を秤量可能に設けられた秤量部を備え、
前記使用量取得工程は、前記秤量部による秤量結果に基づいて前記使用量を取得する、
請求項27に記載の認証申請システム。
【請求項29】
前記プロセッサが、
前記樹脂製品の製造事業者が入荷するリサイクル樹脂の入荷量の情報を取得する入荷量取得工程と、
前記樹脂製品の製造事業者が出荷する前記樹脂製品の出荷量の情報を取得する出荷量取得工程と
を実行するように構成されている、請求項26に記載の認証申請システム。
【請求項30】
前記リサイクル樹脂の入荷伝票を読み取る第1読取装置を備え、
前記入荷量取得工程は、前記第1読取装置による前記入荷伝票の読み取り結果に基づく前記入荷量の情報を取得する、
請求項
29に記載の認証申請システム。
【請求項31】
前記樹脂製品の出荷量の出荷伝票を読み取る第2読取装置を備え、
前記出荷量取得工程は、前記第2読取装置による前記出荷伝票の読み取り結果に基づく前記出荷量の情報を取得する、
請求項
29又は30に記載の認証申請システム。
【請求項32】
コンピュータシステムに、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量
を示す情報を
、前記コンピュータシステムと通信可能な端末装置から取得する第1取得工程と、
前記製造主体における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量
を示す情報を
、前記端末装置から取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、
前記樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成することにより、前記樹脂製品に認証を付与する認証工程と
を実行させるためのプログラム
であって、
前記流入量は、前記製造主体による前記樹脂製品製造のための原料としての前記リサイクル樹脂の流入量を示す情報であり、
前記流出量は、前記樹脂製品に含まれる前記リサイクル樹脂の重量を示す情報、またはマスバランスアプローチにおけるリサイクル認証樹脂製品の流出量を示す情報であり、
前記認証条件は、前記流出量が前記流入量を超えないことである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証方法、認証システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リサイクルに対する関心は高い。特に、資源を繰り返し利用するために資源を循環させる経済のあり方である循環経済(Circular economy)に対する関心が高まっている。特許文献1には、コンピュータシステムにより循環経済の運用を支援する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
循環経済への関心の高まりに伴い、資源のリサイクルを支援するための新規な技術が求められている。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、資源のリサイクルを支援するための新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の実施形態を含む。
[1]
コンピュータシステムにより実行されるリサイクル品の認証方法であって、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得する第1取得工程と、
前記製造主体又は異なる製造主体における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与する認証工程と
を含む、認証方法。
[2]
前記認証条件は、前記流出量が前記流入量を超えないことを含む、
上記[1]に記載の認証方法。
[3]
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(A1):前記流入量≧前記流出量×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
上記[1]又は[2]に記載の認証方法。
[4]
前記流入量は、前記樹脂製品の製造事業者における前記リサイクル樹脂の入荷量を含み、前記流出量は、前記リサイクル樹脂を使用した前記樹脂製品の出荷量を含む、上記[1]又は[2]に記載の認証方法。
[5]
前記認証条件は、前記入荷量が前記出荷量を超えないことを含む、
上記[4]に記載の認証方法。
[6]
前記流入量は、リサイクル樹脂の加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量をさらに含み、
前記認証条件は、前記使用量が前記入荷量を超えないことを含む、
上記[4]又は[5]に記載の認証方法。
[7]
前記第1取得工程は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置から、前記流入量として、前記リサイクル樹脂の使用量の情報を取得する、
上記[6]に記載の認証方法。
[8]
前記流出量は、加工後の樹脂製品の製造量をさらに含み、
前記認証条件は、前記製造量が前記使用量を超えないことを含む、
上記[6]又は[7]に記載の認証方法。
[9]
前記第2取得工程は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置から前記樹脂製品の製造量の情報を取得する、
上記[8]に記載の認証方法。
[10]
前記樹脂製品についての製造後ストック量の情報を取得する製品在庫量取得工程と、
前記樹脂製品の出荷量を取得する出荷量取得工程を有し、
前記認証条件は、前記製造後ストック量と前記出荷量との総和が前記製造量を超えないことをさらに含む、
上記[8]又は[9]に記載の認証方法。
[11]
前記樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の在庫量である原料在庫量の情報を取得する原料在庫量取得工程をさらに有し、
前記認証条件は、前記使用量と前記原料在庫量との総和が前記入荷量を超えないことをさらに含む、上記[6]から[10]のいずれか一項に記載の認証方法。
[12]
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(A2):前記入荷量≧前記出荷量×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
上記[4]から[11]のいずれか一項に記載の認証方法。
[13]
前記樹脂製品についての製造後ストック量の情報を取得する第4取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(A3):前記入荷量≧前記出荷量+前記製造後ストック量
を満たすことを含む、
上記[4]から[12]のいずれか一項に記載の認証方法。
[14]
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程と、
前記樹脂製品についての製造後ストック量の情報を取得する第4取得工程と、を含み、
前記認証条件は、
関係式(A3-1):前記入荷量≧(前記出荷量+前記製造後ストック量)×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
上記[4]から[13]のいずれか一項に記載の認証方法。
[15]
前記樹脂製品についての廃棄量の情報を取得する第5取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(A4):前記入荷量≧前記出荷量+前記廃棄量
を満たすことを含む、
上記[4]から[14]のいずれか一項に記載の認証方法。
[16]
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程と、
前記樹脂製品についての廃棄量の情報を取得する第5取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(A4-1):前記入荷量≧(前記出荷量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
上記[4]から[15]のいずれか一項に記載の認証方法。
[17]
第1業者が第2業者へ譲渡した前記リサイクル樹脂の譲渡量の情報を取得する第6取得工程を含み、
前記流入量は、前記第2業者が前記第1業者から入荷した前記リサイクル樹脂の入荷量であり、
前記認証条件は、前記第2業者が前記第1業者から入荷した前記リサイクル樹脂の前記入荷量が前記譲渡量を超えないことを含む、
上記[4]から[16]のいずれか一項に記載の認証方法。
[18]
前記入荷量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられた前記リサイクル樹脂の累積入荷量である、上記[4]から[17]のいずれか一項に記載の認証方法。
[19]
前記出荷量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられた前記樹脂製品の累積出荷量である、上記[4]から[18]のいずれか一項に記載の認証方法。
[20]
前記譲渡量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられた前記リサイクル樹脂の累積譲渡量である、上記[17]に記載の認証方法。
[21]
前記情報の取得は、前記コンピュータシステムと通信可能な端末装置から前記情報を取得することを含む、上記[1]から[20]のいずれか一項に記載の認証方法。
[22]
前記流入量は、使用された前記リサイクル樹脂の使用量であり、前記流出量は、前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の製造量である、上記[1]から[21]のいずれか一項に記載の認証方法。
[23]
前記認証条件は、前記使用量が前記製造量を超えないことを含む、
上記[22]に記載の認証方法。
[24]
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(B1):前記使用量≧前記製造量×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
上記[22]又は[23]に記載の認証方法。
[25]
前記樹脂製品についての廃棄量の情報を取得する第5取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(B2):前記使用量≧前記製造量+前記廃棄量
を満たすことを含む、
上記[22]から[24]のいずれか一項に記載の認証方法。
[26]
前記樹脂製品についてのリサイクル比率の情報を取得する第3取得工程と、
前記樹脂製品についての廃棄量の情報を取得する第5取得工程を含み、
前記認証条件は、
関係式(B2-1):前記使用量≧(前記製造量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率
を満たすことを含む、
上記[22]から[25]のいずれか一項に記載の認証方法。
[27]
第1業者が第2業者へ譲渡した前記リサイクル樹脂の譲渡量の情報を取得する第6取得工程を含み、
前記流入量は、前記第2業者が前記第1業者から入荷し、使用した前記リサイクル樹脂の使用量であり、
前記認証条件は、前記第2業者が前記第1業者から入荷した前記リサイクル樹脂の前記使用量が前記譲渡量を超えないことを含む、
上記[22]から[26]のいずれか一項に記載の認証方法。
[28]
前記使用量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられた前記リサイクル樹脂の累積使用量である、上記[22]から[27]のいずれか一項に記載の認証方法。
[29]
前記製造量は、同一の前記識別情報に対応付けられた前記樹脂製品の累積製造量である、上記[28]に記載の認証方法。
[30]
前記譲渡量は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられた前記リサイクル樹脂の累積譲渡量である、上記[27]に記載の認証方法。
[31]
前記情報の取得は、前記コンピュータシステムと通信可能な端末装置から前記情報を取得することを含む、上記[22]から[30]のいずれか一項に記載の認証方法。
[32]
前記コンピュータシステムは、複数のノード装置を含み、前記複数のノード装置のそれぞれが、
他の前記ノード装置と前記情報を共有するための合意形成処理を制御部により行うことと、
前記合意形成処理により合意形成された前記情報を記憶部に記憶することと
を含む、上記[1]から[31]のいずれか一項に記載の認証方法。
[33]
前記情報を取得することは、前記複数のノード装置の少なくとも一部の前記ノード装置の前記記憶部から前記情報を取得することを含む、上記[32]に記載の認証方法。
[34]
複数の前記ノード装置のうち少なくとも一部の前記ノード装置において、
リサイクル品として認証された前記樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報に対して前記合意形成処理を前記制御部により行うことと、
前記合意形成処理が行われた前記認証情報を前記記憶部に記憶することと
を含む、上記[32]又は[33]に記載の認証方法。
[35]
前記コンピュータシステムは、ブロックチェーンネットワークを含む、上記[1]から[34]のいずれか一項に記載の認証方法。
[36]
プロセッサを備える認証システムであって、前記プロセッサが、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得する第1取得工程と、
前記製造主体又は異なる製造主体における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与する認証工程と
を実行するように構成されている、認証システム。
[37]
前記認証システムが、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置をさらに備え、
前記プロセッサが、
前記第1取得工程として、
前記樹脂製品の製造事業者におけるリサイクル樹脂の入荷量の情報を取得する入荷量取得工程と、
前記製造装置から前記加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量の情報を取得する使用量取得工程と、
前記第2取得工程として、
前記樹脂製品の製造事業者における前記樹脂製品の出荷量の情報を取得する出荷量取得工程と、
前記認証工程として、
前記入荷量、前記使用量及び前記出荷量の情報に基づいて、前記使用量が前記入荷量を超えず、且つ前記出荷量が前記入荷量を超えないことを含む認証条件を満たす場合、前記樹脂製品が前記認証条件を満たすと判定する認証工程と、
を実行するように構成されている、上記[36]に記載の認証システム。
[38]
前記プロセッサが、
前記樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の在庫量である原料在庫量を取得する原料在庫量取得工程を実行するように構成されており、
前記認証条件は、前記使用量と前記原料在庫量との総和が前記入荷量を超えないことをさらに含む、上記[37]に記載の認証システム。
[39]
前記プロセッサが、
前記樹脂製品の製造主体における樹脂製品の製造量を取得する製造量取得工程と、
前記樹脂製品の製造主体における樹脂製品の在庫量である製造後ストック量を取得する製品在庫量取得工程と、
前記樹脂製品の出荷量を取得する出荷量取得工程を実行するように構成されており、
前記認証条件は、前記製造後ストック量と前記出荷量との総和が前記製造量を超えないことをさらに含む、
上記[37]又は[38]に記載の認証システム。
[40]
前記認証条件を満たすことを条件に、前記樹脂製品が前記認証条件を満たすことを示す対象データを共有するために、複数のノード装置のうちの第1ノード装置から他の前記ノード装置に前記対象データを送信する共有工程をさらに有する、上記[37]から[39]のいずれか一項に記載の認証システム。
[41]
複数のノード装置を更に備え、
前記複数のノード装置のうちの第1ノード装置のプロセッサが、
前記入荷量取得工程と、
前記使用量取得工程と、
前記出荷量取得工程と、
前記認証工程と、
前記樹脂製品が前記認証条件を満たすと判定されたことを条件に、前記樹脂製品が前記認証条件を満たすことを示す対象データを他の前記ノード装置に共有するために、他の前記ノード装置に前記対象データを送信する共有工程と、
を実行するように構成されている、上記[37]から[40]のいずれか一項に記載の認証システム。
[42]
前記製造装置は、前記リサイクル樹脂の前記使用量を秤量可能に設けられた秤量部を備え、
前記使用量取得工程は、前記秤量部による秤量結果に基づいて前記使用量を取得する、
上記[37]から[41]のいずれか一項に記載の認証システム。
[43]
前記リサイクル樹脂の入荷伝票を読み取る第1読取装置を備え、
前記入荷量取得工程は、前記第1読取装置による前記入荷伝票の読み取り結果に基づく前記入荷量の情報を取得する、
上記[37]から[42]のいずれか一項に記載の認証システム。
[44]
前記樹脂製品の出荷量の出荷伝票を読み取る第2読取装置を備え、
前記出荷量取得工程は、前記第2読取装置による前記出荷伝票の読み取り結果に基づく前記出荷量の情報を取得する、
上記[37]から[43]のいずれか一項に記載の認証システム。
[45]
プロセッサを備える認証申請システムであって、前記プロセッサが、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得する第1取得工程と、
前記製造主体又は異なる製造主体における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量とを含む認証対象データを送信する認証申請工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たすか否かを示す認証結果を受信する受信工程と、
を実行するように構成されている、
を含む、認証申請システム。
[46]
前記認証申請システムが、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る製造装置をさらに備え、
前記プロセッサが、
前記第1取得工程として、
前記樹脂製品の製造事業者におけるリサイクル樹脂の入荷量の情報を取得する入荷量取得工程と、
前記製造装置から前記加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量の情報を取得する使用量取得工程と、
前記第2取得工程として、
前記樹脂製品の製造事業者における前記樹脂製品の出荷量の情報を取得する出荷量取得工程と、
を実行するように構成されている、上記[45]に記載の認証申請システム。
[47]
前記製造装置は、前記リサイクル樹脂の前記使用量を秤量可能に設けられた秤量部を備え、
前記使用量取得工程は、前記秤量部による秤量結果に基づいて前記使用量を取得する、
上記[46]に記載の認証申請システム。
[48]
前記リサイクル樹脂の入荷伝票を読み取る第1読取装置を備え、
前記入荷量取得工程は、前記第1読取装置による前記入荷伝票の読み取り結果に基づく前記入荷量の情報を取得する、
上記[46]から[47]のいずれか一項に記載の認証申請システム。
[49]
前記樹脂製品の出荷量の出荷伝票を読み取る第2読取装置を備え、
前記出荷量取得工程は、前記第2読取装置による前記出荷伝票の読み取り結果に基づく前記出荷量の情報を取得する、
上記[46]から[48]のいずれか一項に記載の認証申請システム。
[50]
コンピュータシステムに、
樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得する第1取得工程と、
前記製造主体における前記リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する第2取得工程と、
前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与する認証工程と
を実行させるためのプログラム。
[51]
コンピュータシステムにより実行されるリサイクル品の認証方法であって、
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得することと、
前記供給情報に基づいて、前記樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定することと、
リサイクル樹脂が使用されていることを含む認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与することと
を含む認証方法。
[52]
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得することと、
前記供給情報に基づいて、前記樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定することと、
リサイクル樹脂が使用されていることを含む認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与することと
を更に含む、上記[1]から[35]のいずれか一項に記載の認証方法。
[53]
前記判定することは、前記供給情報に基づいて、前記樹脂製品の原料樹脂に関する第三者機関認証が得られているか否かを判断することを含み、
前記認証条件は、前記樹脂製品の前記サプライチェーン内の少なくとも一つの原料樹脂に関する第三者機関認証が得られていることを含む、上記[51]又は[52]に記載の認証方法。
[54]
前記認証条件は、回収された使用済み樹脂製品から製造されたリサイクル樹脂に前記第三者機関認証が得られていることを含む、上記[53]に記載の認証方法。
[55]
前記供給情報は、所定単位の前記リサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられた前記リサイクル樹脂を使用する樹脂製品のサプライチェーンに関する情報である、上記[51]から[54]のいずれか一項に記載の認証方法。
[56]
前記コンピュータシステムは、複数のノード装置を含み、前記複数のノード装置のそれぞれが、
他の前記ノード装置と前記供給情報を共有するための合意形成処理を制御部により行うことと、
前記合意形成処理により合意形成された前記供給情報を記憶部に記憶することと
を含む、上記[51]から[55]のいずれか一項に記載の認証方法。
[57]
前記供給情報を取得することは、前記複数のノード装置の少なくとも一部の前記ノード装置の前記記憶部から前記供給情報を取得することを含む、上記[56]に記載の認証方法。
[58]
複数の前記ノード装置のうち少なくとも一部の前記ノード装置において、
前記樹脂製品への認証情報に対して前記合意形成処理を前記制御部により行うことと、
前記合意形成処理が行われた前記認証情報を前記記憶部に記憶することと
を含む、上記[56]又は[57]に記載の認証方法。
[59]
前記供給情報を取得することは、前記コンピュータシステムと通信可能な端末装置から前記供給情報を取得することを含む、上記[51]から[58]のいずれか一項に記載の認証方法。
[60]
プロセッサを備える認証システムであって、前記プロセッサが、
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得することと、
前記供給情報に基づいて、前記樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定することと、
リサイクル樹脂が使用されていることを含む認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与することと
を実行するように構成されている、認証システム。
[61]
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得することと、
前記供給情報に基づいて、前記樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定することと、
リサイクル樹脂が使用されていることを含む認証条件を満たす場合、前記樹脂製品に認証を付与することと
を更に実行するように構成されている、上記[36]から[44]のいずれか一項に記載の認証システム。
[62]
コンピュータシステムに、
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得することと、
前記供給情報に基づいて、前記樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定することと、
リサイクル樹脂が使用されていると判定された場合、前記樹脂製品をリサイクル品として認証することと
を実行させるためのプログラム。
[63]
コンピュータシステムにより実行され、複数の事業者が参加するサプライチェーンにおける少なくとも樹脂製品又はリサイクル樹脂を含む樹脂の取引に関する判定方法であって、
第1事業者が出荷した前記樹脂の識別情報、前記樹脂の出荷先情報、前記樹脂の出荷量情報、又は前記樹脂の出荷タイミング情報のうち、少なくとも一部を含む出荷情報を第1端末装置を介して前記第1事業者から受信することと、
第2事業者が入荷した前記樹脂に関する入荷情報を第2端末装置を介して前記第2事業者から受信することと、
前記出荷情報と、前記入荷情報とに基づいて、前記取引の正当性に関する判定である取引判定を行うことと
を含む判定方法。
[64]
前記取引判定は、前記出荷情報と、前記入荷情報とが整合するか否かを判定することを含む、上記[63]に記載の判定方法。
[65]
前記入荷情報は、前記出荷情報を承認するか否かを示す承認情報を含み、
前記取引判定は、前記入荷情報に対応する前記承認情報に基づいて、前記樹脂の出荷の正当性を判定することを含む、上記[63]又は[64]に記載の判定方法。
[66]
前記取引判定は、前記サプライチェーンにおいて、前記第1事業者と、前記第2事業者との間で発生している前記樹脂の流通に伴う複数の取引の正当性に関する判定を行うことを含む、上記[63]から[65]のいずれか一項に記載の判定方法。
[67]
前記コンピュータシステムは、複数のノード装置を含み、前記複数のノード装置のそれぞれが、
他の前記ノード装置と前記出荷情報及び前記入荷情報を共有するための合意形成処理を制御部により行うことと、
前記合意形成処理により合意形成された前記出荷情報及び前記入荷情報を記憶部に記憶することと
を含む、上記[63]から[66]のいずれか一項に記載の判定方法。
[68]
前記コンピュータシステムは、複数のノード装置を含み、前記複数のノード装置のそれぞれが、
他の前記ノード装置と、前記取引判定の結果を示す取引正当性情報を共有するための合意形成処理を制御部により行うことと、
前記合意形成処理により合意形成された前記取引正当性情報を記憶部に記憶することと
を含む、上記[63]から[67]のいずれか一項に記載の判定方法。
[69]
複数の事業者が参加するサプライチェーンにおける少なくとも樹脂製品又はリサイクル樹脂を含む樹脂の取引に関する判定方法を実施するための、プロセッサを備える判定システムであって、
第1事業者が出荷した前記樹脂の識別情報、前記樹脂の出荷先情報、前記樹脂の出荷量情報、又は前記樹脂の出荷タイミング情報のうち、少なくとも一部を含む出荷情報を第1端末装置を介して前記第1事業者から受信することと、
第2事業者が入荷した前記樹脂に関する入荷情報を第2端末装置を介して前記第2事業者から受信することと、
前記出荷情報と、前記入荷情報とに基づいて、前記取引の正当性に関する判定である取引判定を行うことと
を実施するように構成されている、判定システム。
[70]
複数の事業者が参加するサプライチェーンにおける少なくとも樹脂製品又はリサイクル樹脂を含む樹脂の取引に関する判定方法を実施するために、コンピュータに、
第1事業者が出荷した前記樹脂の識別情報、前記樹脂の出荷先情報、前記樹脂の出荷量情報、又は前記樹脂の出荷タイミング情報のうち、少なくとも一部を含む出荷情報を第1端末装置を介して前記第1事業者から受信することと、
第2事業者が入荷した前記樹脂に関する入荷情報を第2端末装置を介して前記第2事業者から受信することと、
前記出荷情報と、前記入荷情報とに基づいて、前記取引の正当性に関する判定である取引判定を行うことと
を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、樹脂のリサイクルを支援するための新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態における情報処理システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図2】一実施形態におけるコンピュータシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態における樹脂のリサイクルの概要を説明するための概念図である。
【
図4A】一実施形態における樹脂のリサイクルの概要を説明するための概念図である。
【
図4B】一実施形態における樹脂のリサイクルの概要を説明するための概念図である。
【
図4C】一実施形態における樹脂のリサイクルの概要を説明するための概念図である。
【
図5A】第1の実施形態におけるブロックチェーンネットワークの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5B】一実施形態におけるブロックチェーンネットワークに記憶されたデータ構造の一例を示す概念図である。
【
図5C】一実施形態におけるブロックの構造の一例を示す概念図である。
【
図5D】一実施形態における樹脂製品情報データベースの一例を示す概念図である。
【
図6】第1の実施形態における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態におけるブロックチェーンネットワークの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態において、端末装置に表示される画像の一例を示す概念図である。
【
図9】第2の実施形態における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第3の実施形態におけるブロックチェーンネットワークの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】第3の実施形態における処理フローの一例を示すフローチャートである。
【
図12】第4の実施形態における情報処理システムの構成の一例を示す概念図である。
【
図13】一実施形態における製造装置の構成を説明するための概念図である。
【
図14】一実施形態における処理を説明するための概念図である。
【
図15】第4の実施形態における処理フローの一例を示すシーケンス図である。
【
図16】一実施形態における樹脂製品の製造工程の概要を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態における情報処理システムについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、又は各実施例を組み合わせる等して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。
【0010】
<システム構成>
図1を参照して、一実施形態における情報処理システムの構成の一例を説明する。情報処理システム1は、資源のリサイクルを支援するためのシステムである。情報処理システム1は、例えば、樹脂製品又は樹脂原料など、何らかの製品又は原料に関する情報を記憶管理し、製品にリサイクル品である旨の認証を与える否かの判定、又はリサイクル樹脂が移転(例えば、譲渡)されたか否かの判定を行う。情報処理システム1は、端末装置10a,10b,10c、及びブロックチェーンネットワーク20を備える。端末装置10a,10b,10c、及びブロックチェーンネットワーク20は、ネットワークNを介して相互に通信可能である。
図1に示す例において、情報処理システム1は、3つの端末装置を備えるが、端末装置の数は任意に設定され、2つ以下でも4つ以上であってもよい。端末装置10a,10b,10cは、それぞれ同様の構成を有してもよいし、異なる構成を有してもよい。一実施形態において、端末装置10a,10b,10cが互いに区別せずに参照される場合は、総称して端末装置10と称される。
【0011】
端末装置10は、情報処理システム1により提供されるサービスを利用するユーザにより使用される情報処理装置である。端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistants)、又は専用の情報処理装置であってもよい。
【0012】
ブロックチェーンネットワーク20は、ブロックチェーン技術を利用するためのプラットフォームである。ブロックチェーンネットワーク20は、ネットワーク上に存在する複数のコンピュータ(以下、「ノード装置」と称する。)によって処理される分散型システムを有する。ノード装置間の通信は、典型的には、P2P(Peer to Peer)により行われる。P2Pの採用により、一部のノード装置に不具合が発生しても、システム全体のダウンは発生しにくく、システム継続性が保たれる。ブロックチェーンでは、参加者間の取引情報がトランザクションとしてブロック単位でまとめられる。各ブロックはチェーン状につながれ時系列順に各ノード装置に記憶管理される。新たなブロックの承認は、分散ネットワークにおける合意形成処理によって形成される。ブロックチェーンの各ブロックには、前のブロックのハッシュ値が格納される。各ブロックが改ざんされると、ハッシュ値も変更されるため、後続のブロックのハッシュ値も変更が必要になる。そのため、ブロックチェーン技術を採用することにより、改ざんが困難な安全性の高いシステムを構築可能である。
【0013】
ブロックチェーンネットワーク20は、ノード装置200a,200b,200c,200dを含んで構成される。
図1に示す例において、ブロックチェーンネットワーク20に含まれるノード装置として、4つのノード装置が示されているが、ノード装置の数は任意に設定され、3つ以下でも5つ以上であってもよい。ノード装置200a,200b,200c,200dは、それぞれ同様の構成を有する。一実施形態において、ノード装置200a,200b,200c,200dが互いに区別せずに参照される場合は、総称してノード装置200と称される。
【0014】
変形例として、ブロックチェーンネットワーク20は、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティングなど、データを記憶し、処理を行う他の構成に置き換えられてもよい。また、ブロックチェーンネットワーク20単独ではなく、ブロックチェーンネットワーク20、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティングのうち、いずれか複数の組み合わせが採用されてもよい。
【0015】
ネットワークNは、無線ネットワーク及び有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、携帯電話網や、無線LAN、5G(5rd Generation)、4G(4th Generation)、LTE(Long Term Evolution)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0016】
<ハードウェア構成>
図2を参照して、一実施形態における情報処理システム1に含まれる端末装置10及びノード装置200などの情報処理装置を実現するためのコンピュータ100のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数のコンピュータ100により実現することも可能である。
【0017】
図2に示すように、コンピュータ100は、プロセッサ101と、メモリ103と、記憶装置105と、入力I/F107と、通信I/F109と、表示装置111とを備える。コンピュータ100は、上記構成のうち一部を備えなくてもよいし、上記構成に加えて他の構成を備えてもよい。
【0018】
プロセッサ101は、メモリ103に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ100における各種の処理を実行し、コンピュータ100における各構成を制御する制御部である。
【0019】
メモリ103は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ103は、プロセッサ101によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0020】
記憶装置105は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置105は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0021】
入力I/F107は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F107の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F107は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ100に接続されても良い。
【0022】
通信I/F109は、コンピュータ100の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F109は、例えば、NIC(Network Interface Card)等により実現される。
【0023】
表示装置111は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置111の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置111は、コンピュータ100の外部に設けられても良い。その場合、表示装置111は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ100に接続される。また、入力I/F107としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置111は、入力I/F107と一体化して構成することが可能である。
【0024】
<リサイクルの概要>
図3を参照して、資源のリサイクルの一例として、一実施形態における樹脂のリサイクルの概要を説明する。情報処理システム1は、資源のリサイクルを支援し、例えば、資源を循環させるためのプラットフォームとして機能する。
【0025】
図3に示す例において、樹脂のリサイクルには、リサイクル業者、樹脂メーカ、容器製造業者、メーカ、及び一般消費者が関与する。リサイクル業者は、回収された使用済み樹脂製品(例えば、プラスチックボトルなどの容器)を粉砕及び洗浄等することにより、リサイクル樹脂(例えば、リサイクルペレット)を生成する。樹脂メーカは、リサイクル業者から得たリサイクル樹脂を使用して樹脂製品を製造する。樹脂メーカが製造する樹脂製品としては、例えば、コンパウンドが挙げられる。ここでコンパウンドとは、リサイクル樹脂を含む樹脂組成物である。容器製造業者は、樹脂メーカから得たコンパウンドを使用して新たな樹脂製品(例えば、容器成形体)を製造する。内容物メーカは、容器製造業者から得た容器成形体に内容物を充填したものを商品として販売する。一般消費者は、内容物メーカにより販売されている商品を購入する。一般消費者による商品の消費又は使用の後、容器成形体は回収され、リサイクル業者による処理が行われる。
【0026】
図3及び
図4を参照して、本開示に使用される用語の意味又は概要を以下に説明する。
図4Aに示すように、情報処理システム1は、例えば製造主体が取り扱う樹脂の流入量及び流出量を管理する。
「製造主体」:製造主体とは、原料として流入した樹脂(例えば、リサイクル樹脂)を使用して樹脂製品を製造し、製造した樹脂製品を流出する主体である。製造主体の例は、樹脂製品を製造する任意の主体を含み、例えば、樹脂製品を製造する事業者、又は樹脂製品を製造する製造装置を含む。樹脂製品の製造には、容器成形体に内容物を充填することも含まれる。
【0027】
「流入」及び「流出」:流入は、製造主体に入ってくる樹脂である。流出は、製造主体から出ていく樹脂製品である。例えば、製造主体が樹脂メーカである場合、リサイクル樹脂であり、製造主体が容器製造業者である場合、コンパウンドである。なお、「流入」及び「流出」は、事業者への流入及び流出であってもよく、製造装置への流入及び流出であってもよい。流入量及び流出量における「量」の単位は、任意に設定可能である。「量」の単位は、例えば、g、kg又はトンなどの質量の単位であってもよい。
【0028】
「リサイクル樹脂」及び「樹脂製品」:樹脂製品の原料としての「リサイクル樹脂」と、当該「樹脂製品」は相対的な意味関係にある。例えば、
図3に示す例において、リサイクル業者は、回収されたリサイクル樹脂製品を「リサイクル樹脂」として使用して、リサイクルペレットを「樹脂製品」として製造する。また、樹脂メーカは、リサイクル業者により製造されたリサイクルペレットを「リサイクル樹脂」として使用して、コンパウンドを「樹脂製品」として製造する。また、容器製造業者は、樹脂メーカにより製造されたコンパウンドを「リサイクル樹脂」として使用して、容器を「樹脂製品」として製造する。
【0029】
「事業者」:事業者とは、入荷した樹脂を使用して樹脂製品を製造し、製造した樹脂製品を出荷する主体であり、製造主体の一態様である。
図3に示すリサイクル業者、樹脂メーカ、容器製造業者又はメーカを事業者と称する。しかしながら、便宜上、本開示において、メーカを事業者と称する場合がある。
図4Bに示すように、事業者は、樹脂製品を製造後、出荷前に樹脂製品をストックしている。当該樹脂製品の量を製造後ストック量と称する。また、事業者において、樹脂製品の製造時などに、何らかの理由でリサイクル樹脂又は樹脂製品の廃棄が生じる。当該廃棄の量を廃棄量と称する。
【0030】
「入荷」及び「出荷」:事業者におけるリサイクル樹脂の「流入」を「入荷」と称することがある。また、事業者による樹脂製品の「流出」を「出荷」と称することがある。
【0031】
「製造装置」:製造装置とは、原料としてリサイクル樹脂を使用して樹脂製品を製造する主体であり、製造主体の一態様である。製造装置としては、混合のための装置、成形のための装置、樹脂を分解するための装置、樹脂を重合するための装置、またはこれらの機能を組合せた装置を挙げられる。これらの混合のための装置としては、例えば、単軸押出機、2軸押出機などの押出機、ペレットを攪拌するミキサーなどが挙げられる。成形のための装置としては、射出成型機、ボトル成型機(ブロー成型機)、ラミネーター、フィルム製造装置、二軸延伸装置、紡糸装置、棒状の樹脂をペレット状に切断するカッターなどが挙げられる。樹脂を分解するための装置としては、リサイクル樹脂を油化する油化装置、リサイクル樹脂をクラッキングするクラッカーなどが挙げられる。
図4Cに示すように、製造装置において、樹脂製品の製造時に、何らかの理由でリサイクル樹脂の廃棄が生じる。当該廃棄の量についても廃棄量と称する。例えば、製造装置は、リサイクル業者が主に使用する、回収されたリサイクル樹脂製品を原料としてリサイクルペレットを製造する装置であってもよく、樹脂メーカが主に使用する、リサイクルペレットを原料として、コンパウンドを製造する装置であってもよい。リサイクルペレットを製造する装置としては、より具体的には、単軸押出機、2軸押出機などの押出機等が挙げられる。
【0032】
「使用」及び「製造」:製造装置におけるリサイクル樹脂の「流入」を「使用」と称することがある。また、製造装置におけるリサイクル樹脂の「流出」を「製造」と称することがある。
【0033】
「リサイクル比率」:リサイクル比率とは、樹脂製品全量に対するリサイクル樹脂量の比率である。
【0034】
「認証を付与する」:認証を付与するとは、認証条件が満たされる場合に、所定の情報或いは権限を与えることを意味する。認証は、画面上及び帳票等の出力先にリサイクル品であることを示すリサイクル認証であっても、ブロックチェーンネットワーク上の情報を書き換える権限であってもよい。
【0035】
「リサイクル」:リサイクルとは、廃プラスチック材を再利用することを意味する。リサイクルは、廃プラスチック材をプラスチック製品原料として再利用するマテリアルリサイクルであっても、廃プラスチック材を化学的に分解して化学製品の原料として再利用するケミカルリサイクルであってもよい。
【0036】
認証条件を満たす満たさないの判断は、バイオマス分野で適用されるマスバランスアプローチが採用されてもよい。マスバランスアプローチとは、製造される樹脂製品のうち、投入されたリサイクル原料の重量分をリサイクル樹脂とみなす方式である。例えば、製造された樹脂製品の原料の10%がリサイクル樹脂であり、他の原料がバージン樹脂等であった場合、マスバランスアプローチにより、製造された樹脂製品のうち、10%をリサイクル樹脂100%のリサイクル認証樹脂製品、残り90%を非認証樹脂製品とみなして認証処理がされてもよい。この場合、流出量は、リサイクル認証樹脂製品の流出量であり、流入量は、リサイクル樹脂の流入量である。
【0037】
以下、各実施形態に係る情報処理の一例を説明する。以下の説明において、
図1~
図4に示した各構成については、適宜参照する。
【0038】
1.第1の実施形態
本実施形態において、ブロックチェーンネットワーク20は、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得し、製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する。ブロックチェーンネットワーク20は、リサイクル樹脂の上記流出量が樹脂製品の上記流入量を超えない場合、樹脂製品をリサイクル品として認証する。本実施形態において、情報処理システム1、ブロックチェーンネットワーク20、又はブロックチェーンネットワーク20における1つのノード装置200を認証システムとして特定することができる。
【0039】
本実施形態の情報処理システム1は、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報と、製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報とに基づいて、樹脂製品をリサイクル品として認証するためのシステムである。情報処理システム1によれば、簡易な構成で樹脂製品をリサイクル品として認証することができる。また、リサイクル品として認証したことを示す認証情報を参照することにより、樹脂製品のユーザは、樹脂製品がリサイクル品であるか否かを確認することができる。すなわち、リサイクル品に関心の高いユーザは、信頼性の高い情報に基づいて、容易にリサイクル品を購入等することができ、その結果、リサイクル品の流通が促される。
【0040】
<機能構成>
図5Aを参照して、ブロックチェーンネットワーク20が有する機能の一例を説明する。
図5Aに示す例において、ブロックチェーンネットワーク20における各ノード装置200は、主な機能構成として、流入情報取得部202、流出情報取得部204、製造情報取得部206、認証部208、合意形成処理部210、及び記憶部212を備える。これらの機能は、例えば、各ノード装置200が有する制御部(プロセッサ101)が、記憶装置105に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。
【0041】
図5Bに、記憶部212が記憶する取引情報(transaction information)のデータ構造の一部を模式的に示す。なお、
図5Bに示すデータ構造は一例であり、取引情報は任意のデータ構造とすることが可能である。
【0042】
取引情報は流入と流出を含む。流出は、例えば日付、流出量、樹脂製品の識別情報(以下「樹脂製品ID」ともいう)、リサイクル比率、リサイクル認証、解錠条件が指定されている。解錠条件は、今回取引する樹脂製品を別の取引情報で使用する際に必要な条件である。また、取引情報は流入元及び流出先のいずれかを含んでいてもよい。流入元や流出先としては他の業者、 又は装置の種類等を含んでいてもよい。例えば原料ストック、複数のリサイクル樹脂ペレットを混合するミキサー、混練押出機、製造物ストックの順で保管及び処理される場合、原料ストック(流入:原料メーカから、流出:ミキサーへ、ミキサー(流入:原料ストックから、流出:混練押出機へ)、混練押出機(流入:ミキサーから、流出:製造物ストックへ(製造量))と記録されてよい。
なお、取引情報は、流入と流出とを複数含んでもよい。
【0043】
なお、ある取引情報で作成された流出のうち、未だ別の取引情報の流入で参照されていない樹脂製品をストック、又は廃棄として格納してもよい。
ストックは、例えば、日付、製造後ストック量、樹脂製品ID、リサイクル比率、リサイクル認証、解錠条件が指定されている。
廃棄は、例えば、日付、製造後ストック量、樹脂製品ID、リサイクル比率、リサイクル認証、解錠条件が指定されている。
【0044】
ここで取引情報T01では、1つの流入と2つの流出とを有している。流入には、今回取引する樹脂製品に使用されたリサイクル樹脂の識別情報(以下、「リサイクル樹脂ID」ともいう)、日付、流入量、リサイクル認証、解錠条件が指定されている。また、流出には、樹脂製品ID、流入量、リサイクル認証と、解錠条件が指定されている。解錠条件として、取引相手の公開鍵のハッシュ値が指定されていてもよい。解錠条件に指定されている公開鍵のハッシュ値が、流出で指定した樹脂製品の宛先(アドレス)であってもよい。
【0045】
詳細は後述するが、取引情報は合意形成処理によって検証され、承認されるとブロックと呼ばれる構造体に格納される。
【0046】
取引情報T02には、流入に、樹脂製品IDと、日付と、流入量と、リサイクル認証と、解錠条件とが設定されている。
【0047】
なお、取引情報の構造は
図4の例に限定されず、任意の構造でよい。
【0048】
次いで、
図5Cに、記憶部212が記憶するブロックチェーンのデータ構造の一部を模式的に示す。
図5Cは、時系列順に並んだブロックのうち、N+1番目のブロックの構造を示す図である。
【0049】
ブロックの「ヘッダー」には、例えば、N番目のブロックのダイジェスト、タイムスタンプ、ターゲット、ナンスが格納されてもよい。
【0050】
「N番目のブロックのダイジェスト」には、例えば、ブロックチェーンネットワーク上で、各ノード装置200及び端末10がそのN番目のブロックを一意に識別するための識別情報が格納される。N番目のブロックのダイジェストとしては、例えば、ブロックのハッシュ値を用いることができる。
【0051】
「タイムスタンプ」には、ブロックを作成した場合に付されるタイムスタンプ又はブロックナンバーに関する情報が格納される。
【0052】
「ターゲット」と「ナンス」は、例えば、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)、又はEndorsement-Ordering-Validationなどのアルゴリズムを用いて合意形成処理を行う場合に用いられる値である。「ターゲット」は、合意形成処理の難易度に関する値である。「ナンス」は、ブロックを作成するときに合意形成処理によって作成される任意の値である。
【0053】
合意形成処理について具体的に説明する。合意形成処理において、N+1番目のブロックのダイジェスト(ハッシュ値)に基づいてナンスを発見し、適切なナンスを発見すると、発見したナンスを格納してN+1番目のブロックを作成する。合意形成処理を行うブロックチェーンノードは、この適切なナンスを発見することを目的に、ナンスの値を変更しながら、繰り返しブロックヘッダーのダイジェストの計算を行う。
【0054】
さらに、ブロックチェーンがプライベート型やコンソーシアム型である場合には、合意形成処理が行われない構成でもよい。
【0055】
ブロックの「ボディ」には、複数の取引情報が格納されている。しかしながらこれに限定されず、「ボディ」には、一つの取引情報が格納されていてもよい。ブロックに格納された取引情報は、同じタイムスタンプデータを有する。
【0056】
なお、ブロックの構造は
図5Cの例に限定されず、任意の構造でもよい。
【0057】
リサイクル認証について以下に説明する。
【0058】
流入情報取得部202は、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得する。リサイクル樹脂の流入量とは、製造主体による樹脂製品製造のための原料としてのリサイクル樹脂の流入量である。上述のとおり、製造主体が事業者である場合、流入量は、例えば、当該事業者によるリサイクル樹脂の入荷量である。製造主体が製造装置である場合、流入量は、例えば、当該製造装置によるリサイクル樹脂の使用量である。
【0059】
流入情報取得部202は、ブロックチェーンネットワーク20の外部の装置(例えば、端末装置10)から送信された流入量の情報を取得してもよいし、ブロックチェーンネットワーク20における複数のノード装置200の少なくとも一部の記憶部212に予め記憶された流入量の情報を取得してもよい。流入情報取得部202は、第2実施形態の「供給情報」を取得して流入量の情報として処理してもよい。
【0060】
例えば、リサイクル業者の担当者は、端末装置10を操作して、回収された使用済み樹脂製品の量をリサイクルペレット製造のためのリサイクル樹脂の流入量として入力してもよい。樹脂メーカの担当者は、端末装置10を操作して、リサイクル業者から入荷したリサイクルペレットの量をコンパウンド製造のためのリサイクル樹脂の流入量として入力してもよい。容器製造業者の担当者は、端末装置10を操作して、樹脂メーカから入荷したコンパウンドの量を容器成形体製造のためのリサイクル樹脂の流入量として入力してもよい。上記のように各事業者の担当者により端末装置10を介して入力された流入量の情報は、ブロックチェーンネットワーク20に送信され、流入情報取得部202により取得される。
【0061】
流入情報取得部202により取得されるリサイクル樹脂の情報は、当該リサイクル樹脂に対応付けられたリサイクル樹脂の識別情報を含んでいてもよい。リサイクル樹脂の識別情報は、例えば、所定単位のリサイクル樹脂を識別する情報である。リサイクル樹脂の識別情報は、例えば、リサイクル製品の製造の1ロットに対して、1つの識別情報が対応付けられる。例えば、リサイクル業者は、リサイクルペレットの製造の1ロットに対して、1つの識別情報を対応付けてもよい。例えば、樹脂メーカは、コンパウンドの製造の1ロットに対して、1つの識別情報が対応付けてもよい。リサイクル樹脂の識別情報は、例えば、製造された樹脂製品のパッケージ又は取引書類に表示されてもよい。この場合において、識別情報とリサイクル樹脂の量の情報とが含まれた二次元コード(例えばQRコード(登録商標))などのコード画像が表示されたシールが樹脂製品のパッケージに貼られてもよい。リサイクル業者からリサイクルペレットを購入した樹脂メーカの担当者は、当該リサイクルペレットのパッケージに表示された二次元コードを読み込むことで、リサイクル樹脂の識別情報と、リサイクル樹脂の流入量とを端末装置10に入力することができるようにしてもよい。
【0062】
流入情報取得部202により取得されるリサイクル樹脂の流入量の情報は、リサイクル樹脂の同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂の累積流入量(又は、累積入荷量、累積使用量)であってもよい。例えば、流入情報取得部202は、異なるタイミングで取得した流入量の情報を集計し、同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂の累積流入量の情報を算出(取得)してもよい。
【0063】
流出情報取得部204は、製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する。上述のとおり、製造主体が事業者である場合、樹脂製品の流出量は、例えば、リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の当該事業者による出荷量である。なお、第1事業者が第2事業者へ出荷(譲渡)した樹脂製品の出荷量を譲渡量と称してもよい。製造主体が製造装置である場合、流出量は、例えば、リサイクル樹脂を使用した当該製造装置による樹脂製品の製造量である。
【0064】
流出情報取得部204は、ブロックチェーンネットワーク20の外部の装置(例えば、端末装置10)から送信された流出量の情報を取得してもよいし、ブロックチェーンネットワーク20における複数のノード装置200の少なくとも一部の記憶部212に予め記憶された流出量の情報を取得してもよい。
【0065】
例えば、リサイクル業者の担当者は、端末装置10を操作して、当該リサイクル業者が出荷したリサイクルペレットの量を樹脂製品の流出量として入力してもよい。樹脂メーカの担当者は、端末装置10を操作して、当該樹脂メーカが出荷したコンパウンドの量を樹脂製品の流出量として入力してもよい。容器製造業者の担当者は、端末装置10を操作して、当該容器製造業者が出荷した容器成形体の量を樹脂製品の流出量として入力してもよい。上記のように各事業者の担当者により端末装置10を介して入力された流出量の情報は、ブロックチェーンネットワーク20に送信され、流出情報取得部204により取得される。
【0066】
流出情報取得部204により取得される樹脂製品の情報は、当該樹脂製品に使用されたリサイクル樹脂に対応付けられたリサイクル樹脂の識別情報を含んでいてもよい。例えば、樹脂メーカの担当者は、コンパウンドの出荷の際に、当該コンパウンドの製造に使用されたリサイクル樹脂の識別情報を対応付けて、コンパウンドの出荷量を端末装置10に入力し、ブロックチェーンネットワーク20に送信してもよい。流出情報取得部204は、端末装置10から送信されたリサイクル樹脂の識別情報と、コンパウンドの出荷量の情報を取得する。
【0067】
流出情報取得部204により取得される樹脂製品の流出量の情報は、リサイクル樹脂の同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の累積流出量(又は、累積出荷量、累積譲渡量、累積製造量)であってもよい。例えば、流出情報取得部204は、異なるタイミングで取得した流出量の情報を集計し、同一の識別情報に対応付けられた樹脂製品の累積流入量の情報を算出(取得)してもよい。
【0068】
製造情報取得部206は、製造主体による樹脂製品の製造に関する情報を取得する。樹脂製品の製造に関する情報は、例えば、リサイクル比率の情報、製造後ストック量の情報、又は廃棄量の情報を含む。リサイクル比率、製造後ストック量及び廃棄量は既に説明したとおりである。
【0069】
製造情報取得部206により取得される情報は、流入情報取得部202又は流出情報取得部204と同様に、ブロックチェーンネットワーク20の外部の装置(例えば、端末装置10)から送信された情報を取得してもよいし、ブロックチェーンネットワーク20における複数のノード装置200の少なくとも一部の記憶部212に予め記憶された情報を取得してもよい。
【0070】
製造情報取得部206により取得される樹脂製品の製造に関する情報は、当該樹脂製品に使用されたリサイクル樹脂に対応付けられたリサイクル樹脂の識別情報を含んでいてもよい。
【0071】
また、製造情報取得部206により取得される製造後ストック量及び廃棄量の情報は、リサイクル樹脂の同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂についての、又は当該リサイクル樹脂を使用した樹脂製品についての製造後ストック量及び廃棄量であってもよい。例えば、製造情報取得部206異なるタイミングで取得した製造後ストック量及び廃棄量の情報を集計し、同一の識別情報についての製造後ストック量及び廃棄量の情報を取得してもよい。
【0072】
ブロックチェーンネットワーク20は、流入情報取得部202、流出情報取得部204、及び製造情報取得部206から取得された情報を格納する樹脂製品情報データベースを有していてもよい。
図5Dに示すように、樹脂製品情報データベースは、例えば、樹脂製品ID、樹脂製品の製造後ストック量、廃棄量、リサイクル比率、当該樹脂製品に使用されているリサイクル樹脂ID、リサイクル樹脂の認証情報、リサイクル樹脂の使用量、添加剤の種類、及び添加剤量等の情報が含まれていてもよい。
図5Dに示すデータは、表形式で表現されているが、当該データはブロックチェーン技術を使用して記憶される。樹脂製品情報データベースに基づいて認証を付与することで、処理が簡略化される。
【0073】
認証部208は、前記流出量と前記流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、樹脂製品に認証を与える。認証部208は、例えば、認証の対象となる樹脂製品についての流入情報取得部202により取得されたリサイクル樹脂の流入量の情報と、流出情報取得部204により取得されたリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報とに基づいて、樹脂製品に認証を与える。また、認証部208は、認証の対象となる樹脂製品についての製造情報取得部206により取得された製造主体による樹脂製品の製造に関する情報にさらに基づいて、樹脂製品に認証を与えてもよい。認証部208は、リサイクル品として認証した樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成する。以下に、樹脂製品をリサイクル品として認証する条件の例を示す。以下の条件に使用される値は、流入情報取得部202、流出情報取得部204、又は製造情報取得部206により取得された情報が示す値である。樹脂製品をリサイクル品として認証するために、以下に示す条件の1つが単独で使用されてもよいし、複数の条件が使用されてもよい。
【0074】
(1)製造主体の態様を特定しない条件
製造主体は、事業者、製造装置、又はその他の主体である態様を含みうるが、いずれの態様であるかを特定せずに適用可能な認証条件を以下に示す。(条件1-1)の場合、流出量は、樹脂製品中のリサイクル樹脂の重量を基準に判断してもよいし、上述のマスバランスアプローチにより判断してもよい。マスバランスアプローチを採用する場合、樹脂製品の流出量はリサイクル認証樹脂製品の流出量とする。(条件1-2)の場合、樹脂製品の流出量は、樹脂製品そのものの重量とし、リサイクル比率をかけることでリサイクル樹脂の流入量との整合を判断する。
【0075】
(条件1-1)
流出情報取得部204が取得した情報が示す樹脂製品の流出量が、流入情報取得部202が取得した情報が示すリサイクル樹脂の流入量を超えないこと。
【0076】
(条件1-2)
流入情報取得部202、流出情報取得部204、及び製造情報取得部206により取得された情報が示す流入量、流出量、及びリサイクル比率が次の関係式(A1)を満たすこと。
関係式(A1):前記流入量≧前記流出量×前記リサイクル比率
【0077】
(2)製造主体が事業者である場合の条件
製造主体が事業者であることにより、前記流入量が、リサイクル樹脂の入荷量であり、前記流出量が、リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の出荷量である場合に適用可能な認証条件を以下に示す。以下の(条件2-2)(条件2-4)の場合、流出量は、樹脂製品中のリサイクル樹脂の重量を基準に判断してもよいし、上述のマスバランスアプローチにより判断してもよい。
【0078】
(条件2-1)
次の関係式(A2)を満たすこと。
関係式(A2):前記入荷量≧前記出荷量×前記リサイクル比率
【0079】
(条件2-2)
前記入荷量、前記出荷量、及び製造情報取得部206により取得された情報が示す製造後ストック量が次の関係式(A3)を満たすこと。
関係式(A3):前記入荷量≧前記出荷量+前記製造後ストック量
【0080】
(条件2-3)
前記入荷量、前記出荷量、前記製造後ストック量、及び前記リサイクル比率が次の関係式(A3-1)を満たすこと。
関係式(A3-1):前記入荷量≧(前記出荷量+前記製造後ストック量)×リサイクル比率
【0081】
(条件2-4)
前記入荷量、前記出荷量、及び製造情報取得部206により取得された情報が示す廃棄量が次の関係式(A4)を満たすこと。
関係式(A4):前記入荷量≧前記出荷量+前記廃棄量
【0082】
(条件2-5)
前記入荷量、前記出荷量、前記廃棄量、及び前記リサイクル比率が次の関係式(A4-1)を満たすこと。
関係式(A4-1):前記入荷量≧(前記出荷量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率
【0083】
(条件2-6)
流出情報取得部204が取得した情報が示す流出量のうち、第1業者(例えば、リサイクル業者)が第2業者(例えば、樹脂メーカ)へ出荷(譲渡)したリサイクル樹脂の出荷量を第1譲渡量とする。また、流入情報取得部202が取得した情報が示す流入量のうち、第2業者が第1業者から入荷したリサイクル樹脂の入荷量を第1入荷量とする。このとき、第1入荷量が第1譲渡量を超えない場合。
【0084】
(3)製造主体が製造装置である場合の条件
製造主体が製造装置であることにより、流入情報取得部202が取得した情報が示す前記流入量が、リサイクル樹脂の使用量であり、流出情報取得部204が取得した情報が示す前記流出量が、リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の製造量である場合に適用可能な認証条件を以下に示す。以下の(条件3-2)の場合、流出量は、樹脂製品中のリサイクル樹脂の重量を基準に判断してもよいし、上述のマスバランスアプローチにより判断してもよい。
【0085】
(条件3-1)
前記使用量、前記製造量、及び製造情報取得部206が取得した情報が示すリサイクル比率が次の関係式(B1)を満たすこと。
関係式(B1):前記使用量≧前記製造量×前記リサイクル比率
【0086】
(条件3-2)
前記使用量、前記製造量、及び製造情報取得部206が取得した情報が示す廃棄量が次の関係式(B2)を満たすこと。
関係式(B2):前記使用量≧前記製造量+前記廃棄量
【0087】
(条件3-3)
前記使用量、前記製造量、前記廃棄量、及び製造情報取得部206が取得した情報が示すリサイクル比率が次の関係式(B2-1)を満たすこと。
関係式(B2-1):前記使用量≧(前記製造量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率
【0088】
(条件3-4)
流出情報取得部204が取得した情報が示す流出量のうち、第1業者が第2業者へ出荷(譲渡)したリサイクル樹脂の出荷量を第2譲渡量とする。また、流入情報取得部202が取得した情報が示す流入量のうち、第2業者が第1業者から入荷し製造に使用したリサイクル樹脂の使用量を第2使用量とする。このとき、第2使用量が第2譲渡量を超えない場合。
【0089】
(4)製造主体が事業者及び製造装置である場合の条件
製造主体が事業者及び製造装置であることにより、前記流入量が、リサイクル樹脂の入荷量及びリサイクル樹脂の使用量であり、前記流出量が、リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の出荷量である場合に適用可能な条件を以下に示す。以下の(条件4-1)(条件4-2)の場合、流出量は、樹脂製品中のリサイクル樹脂の重量を基準に判断してもよいし、上述のマスバランスアプローチにより判断してもよい。
【0090】
(条件4-1)
前記入荷量、及び前記使用量が次の関係式(C1)を満たすこと。
関係式(C1):前記入荷量≧前記使用量
【0091】
(条件4-2)
前記入荷量、及び前記累積使用量が次の関係式(C’1)を満たすこと。
関係式(C’1):前記入荷量≧前記累積使用量
【0092】
(条件4-3)
前記使用量、前記出荷量、前記製造後ストック量、前記廃棄量、及び前記リサイクル比率が次の関係式(C2)を満たすこと。
関係式(C2):(前記出荷量+前記製造後ストック量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率≧前記使用量
【0093】
(条件4-4)
認証部208は、異なる識別番号を付与された2以上のリサイクル樹脂が使用される樹脂製品を認証するとき、全てのリサイクル樹脂が上述の条件4-1又は条件4-2を満たす場合、且つ、前記使用量、前記出荷量、前記製造後ストック量、前記廃棄量、及び前記リサイクル比率が次の関係式(C3)を満たすこと。
関係式(C3):(前記出荷量+前記製造後ストック量+前記廃棄量)×前記リサイクル比率≧前記全てのリサイクル樹脂の総使用量
【0094】
合意形成処理部210は、対象データを共有するために他のノード装置200に送信し、所定の合意形成処理を行う。合意形成処理における合意形成アルゴリズムは、PBFT、又はEndorsement-Ordering-Validationなど、ブロックチェーンにおける任意のアルゴリズムを採用可能である。合意形成処理部210は、合意形成処理により、対象データの正当性を検証する。合意形成処理部210による合意形成処理により合意形成された場合、対象データが他のノード装置200に送信され、当該データは、自機及び他のノード装置200それぞれの記憶部212に記憶される。この結果、複数のノード装置200において、合意形成されたデータが共有され、分散して記憶される。
【0095】
合意形成処理部210は、例えば、流入情報取得部202、流出情報取得部204、及び製造情報取得部206により取得された情報に対して合意形成処理を行い、合意形成された場合、当該情報を自機及び他のノード装置200の記憶部212に記憶するように制御してもよい。また、合意形成処理部210は、認証部208により生成された認証情報に対して合意形成処理を行い、合意形成された場合、当該情報を自機及び他のノード装置200の記憶部212に記憶するように制御してもよい。
【0096】
記憶部212は、合意形成処理部210により合意形成されたデータを記憶する。記憶部212は、例えば、流入情報取得部202、流出情報取得部204、及び製造情報取得部206により取得された情報、並びに認証部208により生成された認証情報のうち、合意形成された情報を記憶する。
【0097】
<処理フロー>
図6を参照して、ブロックチェーンネットワーク20により実行される処理フローの一例を説明する。この処理は、ノード装置200のプロセッサ101が、記憶装置105に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。なお、この処理における各処理ステップについて、既に詳細を説明しているものについては、ここでは詳細な説明を省略する。
【0098】
まず、ステップS101において、プロセッサ101は、対象樹脂製品について、製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得する。流入量の情報は、予め当該情報を記憶した記憶装置105から、又は端末装置10から受信した情報から取得される。以降のステップにおいて取得される情報においても同様に取得される。
【0099】
ステップS102において、プロセッサ101は、対象樹脂製品について、製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報を取得する。
【0100】
ステップS103において、プロセッサ101は、ステップS101及びS102で取得した流入量及び流出量の情報に基づいて、対象樹脂製品が認証条件を満たすか否かを判定する。
【0101】
ステップS103で認証条件を満たすと判定されなかった場合(ステップS104のNo)、
図6に示す処理は終了し、認証条件を満たすと判定された場合(ステップS104のYes)、処理はステップS105に進む。
【0102】
ステップS105において、プロセッサ101は、対象樹脂製品をリサイクル品として認証し、対象樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成する。
【0103】
ステップS106において、プロセッサ101は、ステップS105で生成された認証情報に対して合意形成処理を行う。合意形成処理の内容は既に説明したとおりである。
【0104】
ステップS107において、プロセッサ101は、ステップS106の合意形成処理で合意形成された認証情報を記憶装置105に記憶し、
図6に示す処理を終了する。
【0105】
<変形例>
本実施形態における情報処理システム1(又は、端末装置10、ブロックチェーンネットワーク20、ノード装置200)を実装するためのプログラムは、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0106】
また、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20は、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティングなど、データを記憶し、処理を行う他の構成に置き換えられてもよい。この場合において、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティング(以下、「サーバ装置等」と称する。)は、
図5Aに示した流入情報取得部202、流出情報取得部204、製造情報取得部206、認証部208、及び記憶部212と同様の構成を有する。なお、本実施形態において、合意形成処理部210により合意形成された情報が記憶部212に記憶されることとしたが、本変形例においては、情報が合意形成されずに記憶部212に記憶される。
【0107】
2.第2の実施形態
本実施形態では、ブロックチェーンネットワーク20は、対象樹脂製品のサプライチェーンに関する情報に基づいて、対象樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定する。リサイクル樹脂が使用されていることを含む認証条件を満たす場合、対象樹脂製品に認証が付与される。
【0108】
本実施形態によれば、対象樹脂製品のサプライチェーンに関する情報に基づいて、対象樹脂製品はリサイクル品として認証することができる。
【0109】
以下に説明する本実施形態の内容は、適宜、他の各実施形態に適用可能である。本実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0110】
<機能構成>
図7を参照して、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20が有する機能の一例を説明する。本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20は、ノード装置220a,220b,220c,220dを含んで構成される。ノード装置220a,220b,220c,220dは、それぞれ同様の構成を有する。本実施形態において、ノード装置220a,220b,220c,220dが互いに区別せずに参照される場合は、総称してノード装置220と称される。
図7に示す例において、ブロックチェーンネットワーク20における各ノード装置220は、主な機能構成として、供給情報取得部222、使用判定部224、認証部226、合意形成処理部228、及び記憶部230を備える。これらの機能は、例えば、各ノード装置220が有する制御部(プロセッサ101)が、記憶装置105に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。
【0111】
供給情報取得部222は、樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得する。樹脂製品のサプライチェーンとは、樹脂製品についての原材料の調達、製造、在庫管理、物流、販売といった一連のプロセスの連鎖をいう。本実施形態においては特に、樹脂製品のサプライチェーンとは、
図3に示すように、回収された使用済み樹脂製品がリサイクル業者によって調達され、その後、樹脂が樹脂メーカ、容器製造業者、メーカ、及び一般消費者へと流れていくときの一連のプロセスの連鎖をいう。
【0112】
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報は、例えば、
図3に示すようなリサイクル業者、樹脂メーカ、及び容器製造業者などの各事業者において製造された樹脂製品についての情報を含む。樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報は、具体的には、上記の各事業者において製造された樹脂製品について、樹脂製品の識別情報、原料樹脂の識別情報、リサイクル品としての認証の有無、樹脂製品を製造した事業者名、樹脂製品のリサイクル比率、満たされた認証条件、及びリサイクル樹脂の組成などの情報を含んでもよい。
【0113】
樹脂製品の識別情報は、例えば、所定単位の樹脂製品を識別する情報である。例えば、樹脂製品の製造の1ロットに対して、1つの識別情報が対応付けられる。
【0114】
原料樹脂の識別情報(樹脂製品がリサイクルペレットである場合は、リサイクル樹脂の識別情報。以下同様。)は、例えば、所定単位の原料樹脂を識別する情報である。例えば、原料樹脂の製造の1ロットに対して、1つの識別情報が対応付けられる。原料樹脂の識別情報は、例えば、製造された樹脂製品のパッケージ又は取引書類に表示されてもよい。この場合において、識別情報及びその他の供給情報が含まれた二次元コードなどのコード画像が表示されたシールが樹脂製品のパッケージに貼られてもよい。例えば、リサイクル業者からリサイクルペレットを購入した樹脂メーカの担当者は、当該リサイクルペレットのパッケージに表示された二次元コード等を読み込むことで、原料樹脂の識別情報を含む供給情報を端末装置10に入力することができるようにしてもよい。
【0115】
リサイクル品としての認証の有無とは、対象樹脂製品が、本実施形態において後述する認証方法、他の実施形態において説明した認証方法、又は第三者機関認証などその他の方法により認証されているか否かを示す情報である。
【0116】
満たされた認証条件とは、対象樹脂製品がリサイクル品として認証されている場合に、当該認証において満たした認証条件を示す情報である。認証条件は、本実施形態において後述する認証条件、他の実施形態で説明した認証条件(例えば、第1の実施形態において認証部208の説明で示した認証条件)、又はその他の認証条件を含む。
【0117】
リサイクル樹脂の組成とは、対象樹脂製品に含まれるリサイクル樹脂の組成を示す情報である。リサイクル樹脂の組成は、例えば、対象樹脂製品に含まれるリサイクル樹脂の名称と、含まれているリサイクル樹脂の割合とによって示される。
【0118】
供給情報取得部222は、樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報を任意の場所から取得可能である。供給情報取得部222は、例えば、ブロックチェーンネットワーク20の外部の装置(例えば、端末装置10)から取得してもよいし、ブロックチェーンネットワーク20における複数のノード装置220の少なくとも一部の記憶部230に予め記憶された上記供給情報を取得してもよい。ブロックチェーンネットワーク20の記憶部230から供給情報が取得される場合、ブロックチェーン技術により信頼性が確保された情報を取得可能である。また、端末装置10から供給情報が取得される場合も、供給情報の元になる取引書類をスキャン等することで得られた情報を取得することにより、より信頼性が確保された情報を取得可能である。
【0119】
供給情報取得部222により取得される樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報は、当該樹脂製品に使用された原料樹脂に対応付けられた原料樹脂の識別情報を含んでいてもよい。原料樹脂の識別情報は、例えば、所定単位の原料樹脂を識別する情報である。例えば、原料樹脂の製造の1ロットに対して、1つの識別情報が対応付けられる。原料樹脂の識別情報は、例えば、製造された樹脂製品のパッケージに表示されてもよい。この場合において、識別情報と原料樹脂の量の情報とが含まれた二次元コードなどのコード画像が表示されたシールが樹脂製品のパッケージに貼られてもよい。例えば、リサイクル業者からペレットを購入した樹脂メーカの担当者は、当該ペレットのパッケージに表示された二次元コード等を読み込むことで、リサイクル樹脂の識別情報を含んだ供給情報を端末装置10に入力することができるようにしてもよい。
【0120】
使用判定部224は、供給情報取得部222により取得された供給情報に基づいて、樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定する。例えば、使用判定部224は、供給情報に、リサイクル樹脂の使用を示す情報、又はリサイクル樹脂の使用を示唆する情報が含まれているときに、樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されていると判定してもよい。使用判定部224は、供給情報取得部222により取得された信頼性の高い供給情報に基づいて樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定するため、信頼性の高い判断を行うことが可能である。
【0121】
また、使用判定部224は、供給情報取得部222により取得された供給情報に基づいて、樹脂製品の原料樹脂に関する第三者機関認証が得られているか否かを判断してもよい。樹脂製品の原料樹脂に関する第三者機関認証とは、その原料樹脂がリサイクル樹脂であることの第三者機関認証である。例えば、第三者機関認証された事業者により製造された原料樹脂は、第三者機関認証されているとみなしてもよい。使用判定部224は、製品樹脂の供給情報に、その原料樹脂がリサイクル樹脂であることの第三者機関認証が得られていることを示す情報が含まれている場合に、樹脂製品の原料樹脂に関する第三者機関認証が得られていると判断してもよい。使用判定部224は、供給情報に基づいて、上記第三者機関認証が得られていると判断されたときに、樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されていると判定してもよい。
【0122】
認証部226は、使用判定部224によりリサイクル樹脂が使用されていることを含む認証条件を満たす場合、樹脂製品に認証を付与する。すなわち、認証部226は、使用判定部224による信頼性の高い判断結果に基づいて、対象樹脂製品をリサイクル品として認証する。認証部226は、リサイクル品として認証した樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成する。
【0123】
また、認証条件は、供給情報取得部222により取得された供給情報に基づいて、樹脂製品のサプライチェーン内の少なくとも一つの原料樹脂に関する第三者機関認証が得られていることを含んでいてもよく、回収された使用済み樹脂製品から製造されたリサイクル樹脂に前記第三者機関認証が得られていることを含んでいてもよい。原料樹脂に関する第三者機関認証とは、その原料樹脂がリサイクル樹脂であることの第三者機関認証である。なお、第三者機関認証されたリサイクル業者により回収された使用済み樹脂製品から製造されたリサイクルペレットは、第三者機関認証されている原料樹脂と指定してもよい。
【0124】
合意形成処理部228は、対象データを共有するために他のノード装置220に送信し、所定の合意形成処理を行う。合意形成処理における合意形成アルゴリズムは、PBFT、又Endorsement-Ordering-Validationなど、ブロックチェーンにおける任意のアルゴリズムを採用可能である。合意形成処理部228は、合意形成処理により、対象データの正当性を検証する。合意形成処理部228による合意形成処理により合意形成された場合、対象データが他のノード装置220に送信され、当該データは、自機及び他のノード装置220それぞれの記憶部230に記憶される。この結果、複数のノード装置220において、合意形成されたデータが共有され、分散して記憶される。
【0125】
合意形成処理部228は、例えば、供給情報取得部222により取得された情報、及び認証部226により生成された認証情報に対して合意形成処理を行い、合意形成された場合、当該情報を自機及び他のノード装置220の記憶部230に記憶するように制御してもよい。
【0126】
記憶部230は、合意形成処理部228により合意形成されたデータを記憶する。記憶部230は、例えば、供給情報取得部222により取得された上記の供給情報、及び認証部226により生成された認証情報のうち、合意形成された情報を記憶する。
【0127】
樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報は、
図3に示した事業者間のリサイクル樹脂又は樹脂製品の取引又は移転の度に、事業者による端末装置10に対する入力に応じて、記憶部230に記憶されてもよい。また、供給情報は、樹脂製品のサプライチェーンを追跡可能なように、記憶部230に記憶されている。例えば、供給情報は、リサイクル樹脂の識別情報により、事業者間のリサイクル樹脂又は樹脂製品の取引又は移転を追跡可能なように記憶部230に記憶されている。この場合において、供給情報取得部222は、リサイクル樹脂の同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂を使用する樹脂製品のサプライチェーンに関する情報である供給情報を記憶部230から取得することが可能である。供給情報取得部222により記憶部230から取得された供給情報は、端末装置10に送信されて、端末装置10に表示できるようにしてもよい。
【0128】
図8を参照して、端末装置10に表示される樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を示す供給情報の例を説明する。
図8に示す画像80は、端末装置10の表示装置に表示された供給情報を示す画像である。画像80には、樹脂製品情報81、原料樹脂情報82、及びサプライチェーン情報83が示されている。
【0129】
樹脂製品情報81は、製品ID(樹脂製品の識別情報)、総合認証(樹脂製品が認証されているか否か)、及び樹脂組成(樹脂製品の組成)の情報を含む。原料樹脂情報82は、樹脂製品情報81に含まれる樹脂組成が示す原料樹脂の情報である。原料樹脂情報82は、樹脂ID(原料樹脂の識別情報)、認証(原料樹脂が認証されているか否かの情報)、樹脂メーカ(原料樹脂のメーカ)、リサイクル比率(原料樹脂に含まれるリサイクル樹脂の比率)、原料樹脂が満たしたリサイクル品の認証条件、原料樹脂のリサイクルペレット組成の情報、及び第三者機関認証(リサイクルペレットが第三者機関により認証されているか否かの情報)を含んでいてもよい。サプライチェーン情報83は、樹脂製品(樹脂1)のサプライチェーンを示している。サプライチェーン情報83によれば、樹脂メーカBは、リサイクル業者A1及びリサイクル業者A2から入荷した原料樹脂を使用して樹脂製品を製造し、完成品メーカCに当該樹脂製品を出荷したことが示されている。各サプライチェーンにおける認証状況を示してもよい。
【0130】
図8に示すような画面を参照するために、ユーザは樹脂製品又はそのパッケージに表示された二次元コードなどのコードを端末装置10のカメラ(図示せず)等を介して読み込むことにより、上記の供給情報にアクセスするアドレスを取得できるようにしてもよい。
【0131】
本実施形態によれば、ユーザは、端末装置10を介して樹脂製品のサプライチェーンに関する情報を確認可能であるため、樹脂製品がリサイクル品であるか否か、及びリサイクル樹脂に関する情報を容易に確認することができる。
【0132】
<処理フロー>
図9を参照して、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20により実行される処理フローの一例を説明する。この処理は、ノード装置220のプロセッサ101が、記憶装置105に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。なお、この処理における各処理ステップについて、既に詳細を説明しているものについては、ここでは詳細な説明を省略する。
【0133】
まず、ステップS201において、プロセッサ101は、対象樹脂製品について、サプライチェーンに関する情報を示す供給情報を取得する。供給情報は、予め当該情報を記憶した記憶装置105から、又は端末装置10から受信した情報から取得される。
【0134】
ステップS202において、プロセッサ101は、ステップS201で取得した供給情報に基づいて、対象樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されているか否かを判定する。例えば、プロセッサ101は、供給情報に、リサイクル樹脂の使用を示す情報、又はリサイクル樹脂の使用を示唆する情報が含まれているときに、樹脂製品にリサイクル樹脂が使用されていると判定する。
【0135】
ステップS202で使用されていると判定された場合(ステップS203のYes)、処理はステップS204へ進み、他の場合、
図9に示す処理は終了する。
【0136】
ステップS204において、プロセッサ101は、対象樹脂製品をリサイクル品として認証し、対象樹脂製品がリサイクル品であることを示す認証情報を生成する。
【0137】
ステップS205において、プロセッサ101は、ステップS204で生成された認証情報に対して合意形成処理を行う。合意形成処理の内容は既に説明したとおりである。
【0138】
ステップS206において、プロセッサ101は、ステップS205の合意形成処理で合意形成された認証情報を記憶装置105に記憶し、
図9に示す処理を終了する。
【0139】
<変形例>
本実施形態における情報処理システム1(又は、端末装置10、ブロックチェーンネットワーク20、ノード装置220)を実装するためのプログラムは、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0140】
また、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20は、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティングなど、データを記憶し、処理を行う他の構成に置き換えられてもよい。この場合において、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティング(以下、「サーバ装置等」と称する。)は、
図7に示した供給情報取得部222、使用判定部224、認証部226、及び記憶部230と同様の構成を有する。なお、本実施形態において、合意形成処理部228により合意形成された情報が記憶部230に記憶されることとしたが、本変形例においては、情報が合意形成されずに記憶部230に記憶される。
【0141】
3.第3の実施形態
本実施形態では、ブロックチェーンネットワーク20は、複数の事業者が参加するサプライチェーンにおける少なくとも樹脂製品又はリサイクル樹脂を含む樹脂(以下、樹脂製品又は原料樹脂を「樹脂」とも称する。)の取引に関する判定を行う。より具体的には、第1事業者が出荷した樹脂に関する出荷情報(例えば、樹脂の識別情報、樹脂の出荷先情報、樹脂の出荷量情報、又は樹脂の出荷タイミング情報のうち、少なくとも一部を含む情報)を第1事業者から受信し、第2事業者が入荷した樹脂に関する入荷情報を第2事業者から受信する。上記出荷情報と、上記入荷情報とに基づいて、取引の正当性に関する判定を行う。
【0142】
本実施形態によれば、複数の事業者からの情報に基づいて取引の正当性を判定するため、より信頼性の高い判定を行うことが可能である。その結果、事業者から取引についての誤った情報を受信することを抑止可能である。
【0143】
以下に説明する本実施形態の内容は、適宜、他の各実施形態に適用可能である。本実施形態において、他の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0144】
<機能構成>
図10を参照して、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20が有する機能の一例を説明する。本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20は、ノード装置240a,240b,240c,240dを含んで構成される。ノード装置240a,240b,240c,240dは、それぞれ同様の構成を有する。本実施形態において、ノード装置240a,ノード装置240b,240c,240dが互いに区別せずに参照される場合は、総称してノード装置240と称される。
図10に示す例において、ブロックチェーンネットワーク20における各ノード装置240は、主な機能構成として、出荷情報取得部242、入荷情報取得部244、取引判定部246、合意形成処理部248、及び記憶部250を備える。これらの機能は、例えば、各ノード装置240が有する制御部(プロセッサ101)が、記憶装置105に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。
【0145】
出荷情報取得部242は、複数の事業者が参加するサプライチェーンにおいて、第1事業者が出荷した樹脂(上述のとおり、樹脂製品又は原料樹脂を含む。)の識別情報、樹脂の出荷先情報、樹脂の出荷量情報、樹脂の出荷タイミング情報、又は樹脂の出荷に係る取引の識別情報のうち、少なくとも一部を含む出荷情報を、第1端末装置を介して第1事業者から受信する。当該出荷情報は、後述する合意形成処理の後、記憶部250に記憶されてもよい。
【0146】
本実施形態において、複数の事業者が参加するサプライチェーンとは、樹脂についての原材料の調達、製造、在庫管理、物流、販売といった複数の事業者が参加する一連のプロセスの連鎖をいう。本実施形態においては特に、複数の事業者が参加するサプライチェーンとは、
図3に示すように、回収された使用済み樹脂製品がリサイクル業者によって調達され、その後、樹脂が樹脂メーカ、容器製造業者、メーカ、及び一般消費者へと流れていくときの一連のプロセスの連鎖をいう。
【0147】
本実施形態において、第1事業者が出荷した樹脂とは、例えば、
図3に示す複数の事業者のうちのいずれかの事業者(例えば、リサイクル業者)が他の事業者(例えば、樹脂メーカ)に出荷した樹脂(例えば、ペレット)である。
【0148】
第1端末装置とは、第1事業者の担当者が使用可能な端末装置10(例えば、端末装置10a)である。例えば、第1事業者の担当者は、端末装置10aを操作して、第1事業者が出荷した対象樹脂の識別情報、樹脂の出荷先情報(例えば、出荷先の事業者を識別する情報)、樹脂の出荷量情報、又は樹脂の出荷タイミング情報(例えば、樹脂を出荷した日時)を含む出荷情報を入力し、当該出荷情報をブロックチェーンネットワーク20に送信する。出荷情報の入力方法の例として、第1事業者の担当者は、出荷する樹脂のパッケージ又は取引書類に表示された二次元コード等の画像コードを端末装置10aにより読み込むことで、当該出荷情報を端末装置10aに入力することができるようにしてもよい。または、第1事業者の担当者による操作に応じて、端末装置10aの記憶部に記憶された出荷情報をブロックチェーンネットワーク20に送信するようにしてもよい。ブロックチェーンネットワーク20に送信された出荷情報は、出荷情報取得部242により取得される。
【0149】
入荷情報取得部244は、第2事業者が入荷した樹脂に関する入荷情報を、第2端末装置を介して第2事業者から受信する。当該入荷情報は、後述する合意形成処理の後、記憶部250に記憶されてもよい。第2事業者が入荷した樹脂とは、例えば、
図3に示す複数の事業者のうち、上記の第1事業者とは異なる事業者(例えば、樹脂メーカ)が他の事業者(例えば、リサイクル業者)から入荷した樹脂(例えば、リサイクルペレット)である。
【0150】
第2端末装置とは、第2事業者の担当者が使用可能な端末装置10(例えば、端末装置10b)である。例えば、第2事業者の担当者は、端末装置10bを操作して、第2事業者が入荷した樹脂に関する入荷情報を入力する。
【0151】
第2事業者が入荷した樹脂に関する入荷情報は、例えば、第2事業者が入荷した樹脂の識別情報、樹脂の出荷元情報(第2事業者が入荷した樹脂を出荷した事業者の情報)、樹脂の入荷量情報、樹脂の入荷タイミング情報、又は樹脂の入荷に係る取引の識別情報のうち、少なくとも一部を含む情報である。当該情報は、出荷情報取得部242により取得された出荷情報に対応する情報であるため、以下の説明において、「対応情報」とも称する。例えば、第2事業者の担当者は、端末装置10bを操作して、第2事業者が入荷した対象樹脂の上記対応情報を入荷情報として入力し、当該入荷情報をブロックチェーンネットワーク20に送信する。上記対応情報の入力方法の例として、第1事業者の担当者は、入荷した樹脂のパッケージ等に表示された二次元コード等の画像コードを端末装置10bにより読み込むことで、当該対応情報を端末装置10bに入荷情報として入力してもよい。ブロックチェーンネットワーク20に送信された入荷情報は、入荷情報取得部244により取得される。
【0152】
また、第2事業者が入荷した樹脂に関する入荷情報は、他の例として、出荷情報取得部242により取得された第1事業者の出荷情報を承認するか否かを示す情報を含む。当該情報を以下の説明において、「承認情報」とも称する。例えば、第2事業者の担当者による操作に応じて、端末装置10bは、入荷情報取得部244により取得された第1事業者の出荷情報をブロックチェーンネットワーク20から受信し、表示部に表示する。第2事業者の担当者は、表示部に表示された出荷情報を確認し、当該出荷情報が第2事業者による入荷情報に照らして正当であるか否かを判断し、出荷情報を承認するか否かを示す承認情報を、端末装置10bを介してブロックチェーンネットワーク20に送信する。ブロックチェーンネットワーク20に送信された承認情報は、入荷情報取得部244により入荷情報として受信される。
【0153】
入荷情報取得部244が受信した第2事業者の入荷情報が、第1事業者の出荷情報を承認しないことを示していた場合、ブロックチェーンネットワーク20は、端末装置10を介してその旨を第1事業者に通知する。第1事業者は、当該通知に応じて、第1事業者の出荷情報を修正し、修正後の出荷情報を、ブロックチェーンネットワーク20に送信可能である。当該修正後の出荷情報は、出荷情報取得部242により取得される。
【0154】
取引判定部246は、出荷情報取得部242により第1事業者から受信した出荷情報と、入荷情報取得部244により第2事業者から受信した入荷情報とに基づいて、取引の正当性に関する判定である取引判定を行う。取引の正当性に関する判定は、例えば、出荷情報と入荷情報とが整合(又は対応)するか否かの判定、又は取引が実際に発生しているか否かの判定を含む。また、取引判定部246は、取引判定の結果を示す取引正当性情報を生成する。取引判定に使用される出荷情報及び入荷情報は、当該情報を予め記憶した記憶部250から取得されてもよい。
【0155】
入荷情報取得部244が、入荷情報として上記対応情報を受信した場合、取引判定部246は、まず、出荷情報取得部242が受信した出荷情報と、入荷情報取得部244が受信した入荷情報とが整合するか否かを判定する。例えば、出荷情報及び入荷情報として、次のような情報が受信されたとする。
・出荷情報
a1:第1事業者が出荷した樹脂の識別情報(樹脂製品又は原料樹脂の識別情報)
a2:樹脂の出荷先情報
a3:樹脂の出荷量情報
a4:樹脂の出荷タイミング情報
a5:樹脂の出荷に係る取引の識別情報
・入荷情報
b1:第2事業者が入荷した樹脂の識別情報(樹脂製品又は原料樹脂の識別情報)
b2:樹脂の出荷元(第2事業者が入荷した樹脂を出荷した事業者の情報)情報
b3:樹脂の入荷量情報
b4:樹脂の入荷タイミング情報
b5:樹脂の入荷に係る取引の識別情報
【0156】
この例において、
図3におけるリサイクル業者(第1事業者)と樹脂メーカ(第2事業者)との間の取引に関する取引判定を行う場合、取引判定部246は、出荷情報a1からa4と、入荷情報b1からb4との間の整合性を判断する。具体例として、次の判断結果に基づいて、整合性を判断する。出荷した樹脂の識別情報(a1)と、入荷した樹脂の識別情報(b1)とが対応するか否かが判断される。出荷先情報(a2)と、樹脂の出荷元情報(b2)とが対応するか否かが判断される。出荷量情報(a3)と、入荷量情報(b3)とが対応するか否かが判断される。出荷タイミング情報(a4)と、入荷タイミング情報(b4)とが一致する、又はその差異が配送期間等を考慮して正当な範囲内であるか否かが判断される。出荷に係る取引の識別情報(a5)と、入荷に係る取引の識別情報(b5)とが対応するか否かが判断される。取引判定部246は、整合すると判断した場合、取引は正当であると判定する。
【0157】
入荷情報取得部244が、入荷情報として上記承認情報を受信した場合、取引判定部246は、出荷情報取得部242により取得された出荷情報を承認することが示されていた場合、当該出荷情報に対応する取引は正当であると判定する。
【0158】
取引判定部246による判定で使用する出荷情報及び入荷情報は、サプライチェーンにおいて、直接取引が行われる第事業者の出荷情報及び入荷情報(例えば、
図3におけるリサイクル業者の出荷情報と、樹脂メーカの入荷情報)でなくてもよい。取引判定部246は、直接取引を行わない2つの事業者の出荷情報及び入荷情報(例えば、
図3におけるリサイクル業者の出荷情報と、容器製造業者の入荷情報)を使用し、直接取引を行わない2つの事業者の間で発生している樹脂の流通に伴う複数の取引の正当性を判定することも可能である。この場合において、例えば、取引判定部246は、第1事業者(リサイクル業者)の出荷情報が示す樹脂の出荷量情報(a3)と、第2事業者(容器製造業者)の入荷情報が示す樹脂の入荷量情報(b3)とを比較し、樹脂の入荷量情報(b3)が樹脂の出荷量情報(a3)を超えていない場合、サプライチェーンにおいて第1事業者(リサイクル業者)と、第2事業者(容器製造業者)の間で発生している樹脂の取引(すなわち、リサイクル業者と樹脂メーカとの間の取引、及び樹脂メーカと容器製造業者との間の取引)は正当であると判定してもよい。また、上記承認情報を使用する場合においても、取引判定部246は、直接取引を行わない2つの事業者の出荷情報及び入荷情報に基づいて、サプライチェーンにおいて、当該2つの事業者の間で発生している樹脂の流通に伴う複数の取引の正当性を判定してもよい。
【0159】
サプライチェーンにおいて、直接取引が行われる第事業者の出荷情報及び入荷情報に基づく取引の正当性に関する判定(第1判定)、直接取引を行わない2つの事業者の出荷情報及び入荷情報に基づく取引の正当性に関する判定(第2判定)について説明した。取引判定部246は、第2判定のみに基づいて、直接取引を行わない2つの事業者の間で発生している樹脂の流通に伴う複数の取引の正当性を判定するのではなく、第2判定に加えて、直接取引を行わない2つの事業者の間で発生している樹脂の流通に伴う複数の取引それぞれについての第1判定に基づいて、取引の正当性を判断してもよい。この場合において、取引判定部246は、第1判定及び第2判定の判定結果が取引は正当であることを示したときに、当該直接取引を行わない2つの事業者の間で発生している樹脂の流通に伴う複数の取引が全体で正当であると判定してもよい。
【0160】
合意形成処理部248は、対象データを共有するために他のノード装置240に送信し、所定の合意形成処理を行う。合意形成処理における合意形成アルゴリズムは、PBFT、又Endorsement-Ordering-Validationなど、ブロックチェーンにおける任意のアルゴリズムを採用可能である。合意形成処理部248は、合意形成処理により、対象データの正当性を検証する。合意形成処理部248による合意形成処理により合意形成された場合、対象データが他のノード装置240に送信され、当該データは、自機及び他のノード装置240それぞれの記憶部250に記憶される。この結果、複数のノード装置240において、合意形成されたデータが共有され、分散して記憶される。
【0161】
合意形成処理部248は、例えば、出荷情報取得部242が受信した出荷情報、入荷情報取得部244が受信した入荷情報、及び取引判定部246により生成された取引正当性情報に対して合意形成処理を行い、合意形成された場合、当該情報を自機及び他のノード装置220の記憶部250に記憶するように制御してもよい。
【0162】
記憶部250は、合意形成処理部248により合意形成されたデータを記憶する。記憶部250は、例えば、出荷情報、入荷情報、及び取引正当性情報のうち、合意形成された情報を記憶する。
【0163】
出荷情報、入荷情報、及び取引正当性情報は、
図3に示した事業者間のリサイクル樹脂又は樹脂製品の取引又は移転の度に、事業者による端末装置10に対する入力に応じて、記憶部250に記憶されてもよい。また、記憶部250に記憶された情報は、原料樹脂又は樹脂製品のサプライチェーンを追跡可能なように、記憶部250に記憶されている。例えば、出荷情報、入荷情報、及び取引正当性情報は、リサイクル樹脂の識別情報により、事業者間のリサイクル樹脂又は樹脂製品の取引又は移転を追跡可能なように記憶部250に記憶されている。この場合において、リサイクル樹脂の同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂を使用する樹脂製品のサプライチェーンに関する情報である供給情報が記憶部250から取得され、端末装置10に送信されて、端末装置10に表示できるようにしてもよい。
【0164】
<処理フロー>
図11を参照して、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20により実行される処理フローの一例を説明する。この処理は、ノード装置240のプロセッサ101が、記憶装置105に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。なお、この処理における各処理ステップについて、既に詳細を説明しているものについては、ここでは詳細な説明を省略する。
【0165】
まず、ステップS301において、複数の事業者が参加するサプライチェーンにおける少なくとも樹脂製品又は原料樹脂を含む樹脂の取引に関し、プロセッサ101は、第1事業者が出荷した樹脂の識別情報、樹脂の出荷先情報、樹脂の出荷量情報、又は樹脂の出荷タイミング情報のうち、少なくとも一部を含む出荷情報を、第1端末装置を介して第1事業者から受信する。
【0166】
ステップS302において、プロセッサ101は、第2事業者が入荷した樹脂に関する入荷情報のうち、ステップS301で受信した第1事業者の出荷情報に応じた入荷情報を、第2端末装置を介して前記第2事業者から受信する。
【0167】
ステップS303において、プロセッサ101は、ステップS301及びS302で受信した出荷情報及び入荷情報に基づいて、取引の正当性に関する判定である取引判定を行う。
【0168】
取引が正当であると判断された場合(ステップS304のYes)、処理はステップS305へ進み、その他の場合(ステップS304のNo)、
図11に示す処理は終了する。
【0169】
ステップS305において、プロセッサ101は、ステップS303における取引判定の結果を示す取引正当性情報を生成する。
【0170】
ステップS306において、プロセッサ101は、ステップS305で生成された取引正当性情報に対して合意形成処理を行う。合意形成処理の内容は既に説明したとおりである。
【0171】
ステップS307において、プロセッサ101は、ステップS306の合意形成処理で合意形成された取引正当性情報を記憶装置105に記憶し、
図11に示す処理を終了する。
【0172】
なお、
図11に示す処理において、ステップS303で取引が正当であると判断された場合のみ、取引正当性情報を記憶装置105に記憶することとしているが、これに限定されず、取引が正当でないと判断された場合であっても、そのことを示す取引正当性情報を記憶装置105に記憶してもよい。
【0173】
<変形例>
本実施形態における情報処理システム1(又は、端末装置10、ブロックチェーンネットワーク20、ノード装置240)を実装するためのプログラムは、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0174】
また、本実施形態におけるブロックチェーンネットワーク20は、サーバ装置、クラウドコンピューティング、又はエッジコンピューティングなど、データを記憶し、処理を行う他の構成に置き換えられてもよい。この場合において、サーバ装置等は、
図10に示した出荷情報取得部242、入荷情報取得部244、取引判定部246、及び記憶部250と同様の構成を有する。なお、本実施形態において、合意形成処理部248により合意形成された情報が記憶部250に記憶されることとしたが、本変形例においては、情報が合意形成されずに記憶部250に記憶される。
【0175】
4.第4の実施形態
本実施形態は、第1の実施形態に関連する実施形態であり、第1の実施形態と組み合わせて実現される。本実施形態は、リサイクル品の認証のために、例えば、第1の実施形態で説明された認証条件に加えて、又は当該認証条件に代えて、他の認証条件を適用する。
【0176】
以下に説明する本実施形態の内容は、適宜、他の各実施形態に適用可能である。本実施形態において、他の実施形態と同様の構成については、適宜、同じ符号を付してその説明を省略あるいは簡略化する。
【0177】
本実施形態において、
図1を参照して説明した情報処理システムが適用されてもよいが、本実施形態に係る情報処理システムは、樹脂製品を製造するための製造装置を備えてもよい。
【0178】
図12を参照して、本実施形態に適用可能な情報処理システム2について説明する。
図12に示すように、情報処理システム2は、端末装置10a,10b,10c、ブロックチェーンネットワーク20、製造装置30及びストレージ190を備える。すなわち、情報処理システム2は、
図1に示した情報処理システム1の構成に加えて、製造装置30を備える。端末装置10a,10b,10c、及びブロックチェーンネットワーク20は、ネットワークNを介して相互に通信可能である。端末装置10a、製造装置30及びストレージ190は、ネットワークを介して相互に通信可能である。また、端末装置10を介さずに、ブロックチェーンネットワーク20と、製造装置30との間で通信を行うことも可能である。
【0179】
製造装置30は、リサイクル樹脂を含む原料から樹脂製品を製造するための装置である。製造装置30を使用して、樹脂製品を製造する方法は、例えば、リサイクル樹脂を含む原料を混練して押し出す工程を有する。原料には、リサイクル樹脂の他、バージン樹脂が含まれていてもよい。
【0180】
図13を参照して、製造装置30の概略構成の例を説明する。製造装置30は、ミキサー150と、押出機160と、カッター170と、製品容器180とを備える。製造装置30は、ストレージ190と通信可能に接続している。変形例として、製造装置30は、ストレージ190を含んでもよい。
【0181】
ミキサー150は、その筐体内に攪拌翼151と、図示しない秤量センサ152とを備える。秤量センサ152は、ミキサー150に投入されたリサイクル樹脂の重量(すなわち、樹脂製品の製造に使用されるリサイクル樹脂の使用量)を秤量可能に製造装置30に設けられている。製造装置30は、秤量センサ152により秤量されたリサイクル樹脂の使用量の情報をストレージ190に送信する。樹脂製品の製造に使用されるリサイクル樹脂は一つのロットのものであっても複数のロットのものであってもよい。複数ロットのリサイクル樹脂が投入され使用される場合には、各ロットのリサイクル樹脂を投入後、投入されたリサイクル樹脂の総重量が秤量され、当該重量の情報がストレージ190に送信される。ストレージ190は、受信したリサイクル樹脂の重量の情報を当該リサイクル樹脂のロット情報(又は、リサイクル樹脂を識別するその他の識別情報)と対応付けて記憶する。ストレージ190は、ハードディスクなどの記憶媒体を備えて構成される記憶装置である。
【0182】
押出機160は、筐体161と、スクリュー162と、ホッパー163とを備える。スクリュー162は、筐体161内に備えられている。ホッパー163は、外部から筐体161内に原料を導入可能なように備えられている。筐体161にはヒータが備えられ(図示せず)、筐体161内部を高温にしてリサイクル樹脂を溶解できるように構成される。ホッパー163は、筐体161内に導入する原料を秤量する秤量センサ1631(図示せず)を備える。押出機160は、混錬された樹脂を棒状に加工するダイ164を備える。上述のミキサー150で攪拌されたリサイクル樹脂がホッパー163内に投入され、秤量センサ1631によりリサイクル樹脂のホッパー163への投入量が測定される。当該測定量の情報をストレージ190に送信する。ストレージ190は、受信した当該測定量の情報を、対応するリサイクル樹脂のロット情報など、リサイクル樹脂の識別情報と対応付けて記憶する。
【0183】
筐体161内に導入されたリサイクル樹脂は、スクリュー162により混錬され、ダイ164より押し出され、棒状に加工される。棒状に加工されたリサイクル樹脂は、後述のカッター170に送られる。
【0184】
カッター170は、棒状のリサイクル樹脂を切断する切断刃を備える(図示せず)。棒状のリサイクル樹脂は、短く切断され、ペレットの形状となる。以上の工程を経て得られたリサイクル樹脂ペレットは、樹脂製品として、製品容器180に収納される。
【0185】
ストレージ190は、ミキサー150及びホッパー163へのリサイクル樹脂の投入量(使用量)に加えて、樹脂製品の製造量の情報、及び樹脂製品の製造時におけるリサイクル樹脂の廃棄量の情報を記憶してもよい。
【0186】
この場合において、製品容器180に収納された樹脂製品の重量が製品容器180に設けられた秤量センサ1801(図示せず)により、樹脂製品の製造量が測定されてもよい。当該測定された製造量の情報は、秤量センサ1801からストレージ190に送信され、樹脂製品の原料となったリサイクル樹脂の識別情報と共にストレージ190に記憶されてもよい。
【0187】
また、製造装置30において、製品容器180など、製造装置30による樹脂製品の製造時におけるリサイクル樹脂の廃棄量を測定可能な位置に、秤量センサ1801(図示せず)が設けられ、秤量センサ1801によりリサイクル樹脂の廃棄量を測定してもよい。当該測定された廃棄量の情報は、秤量センサ1801からストレージ190に送信され、樹脂製品の原料となったリサイクル樹脂の識別情報と共にストレージ190に記憶されてもよい。廃棄となるリサイクル樹脂としては、スペックアウトした樹脂製品や、製造装置30を停止した場合に筐体161内に残存する樹脂が想定される。
【0188】
ストレージ190又はノード装置200に記憶された情報は、例えば、後述する認証条件を満たすか否かの判定に使用される。ストレージ190に記憶される情報は、ストレージ190又は製造装置30からブロックチェーンネットワーク20に送信され、いずれかのノード装置200の記憶部212に記憶されてもよい。
【0189】
ここで、本実施形態において、樹脂製品への認証の付与は、第1の実施形態と同様に行われる。例えば、情報処理システム2において、流入情報取得部202は、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報を取得し、流出情報取得部204は、上記製造主体又は異なる製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報をストレージ190から取得する。認証部208は、対象となる樹脂製品が、上記で取得された流出量と流入量との情報に基づく認証条件を満たす場合、当該樹脂製品に認証を付与する。また、本実施形態におけるリサイクル品の認証方法は、流入情報取得部202、流出情報取得部204、及び認証部208を含む各機能構成による処理ステップを含む。
【0190】
また、流入情報取得部202により取得される流入量は、樹脂製品の製造事業者におけるリサイクル樹脂の入荷量を含み、流出情報取得部204により取得される流出量は、リサイクル樹脂を使用した樹脂製品の出荷量を含む。
【0191】
<リサイクル樹脂の入荷から樹脂製品の出荷までの概略>
図14を参照して、本実施形態において、樹脂製品を製造する事業者が、リサイクル樹脂を入荷してから樹脂製品を出荷するまでの流れの一例を概略的に説明する。事業者Aは、樹脂製品の製造に使用するリサイクル樹脂を入荷する。入荷したリサイクル樹脂は、樹脂製品の製造のために製造装置30に投入され使用される。入荷したリサイクル樹脂のうち、使用されていないリサイクル樹脂は、在庫として管理される。製造された樹脂製品は、出荷される。製造された樹脂製品のうち、出荷されていない樹脂製品は、製造後のストック(樹脂製品の在庫)として管理される。
【0192】
上記の入荷、在庫、使用、製造、製造後のストック、及び出荷のそれぞれの量の情報は、対応するリサイクル樹脂のロット単位(又は、リサイクル樹脂若しくは樹脂製品を識別するその他の識別情報の単位、本開示における他の記載においても同様)でストレージ190又はノード装置200において記憶管理される。すなわち、入荷、在庫、使用、製造、製造後のストック、又は出荷のそれぞれの量の情報は、ロット単位で、入荷量、在庫量、使用量、製造量、製造後ストック量、又は出荷量としてストレージ190又はノード装置200で記憶管理される。
【0193】
また、リサイクル樹脂の入荷後、樹脂製品の出荷までの間に、何らかの理由により廃棄が生じることがある。例えば、リサイクル樹脂は、入荷後、製造に使用されずに廃棄されるものがある。また、製造装置30に投入されることにより使用されたリサイクル樹脂を含む原料は、樹脂製品の製造時において、廃棄されるものがある。さらに、樹脂製品が製造された後、当該樹脂製品のうち一部は、出荷されずに廃棄されるものがある。上記の廃棄の量は、廃棄量の情報として、対応するリサイクル樹脂のロット単位(又は、その他のリサイクル樹脂の識別情報の単位)においてストレージ190又はノード装置200で記憶管理される。上述の廃棄されたリサイクル樹脂又は樹脂製品をリサイクル(リワーク)し、樹脂製品の原料として使用する場合、流入情報取得部202は、当該廃棄される量における当該原料として入荷又は使用されるリサイクル樹脂の量を流入量として取得してもよい。
【0194】
例えば、入荷後、樹脂製品の製造前に廃棄されるリサイクル樹脂の廃棄量の情報は、端末装置10の入力I/F107等を介して入力され、端末装置10からノード装置200に送信され、記憶管理されてもよい。製造装置30による樹脂製品の製造時において廃棄されるリサイクル樹脂を含む原料は、製造装置30において秤量センサにより測定され、特定された重量の情報がノード装置200に送信され、記憶管理されてもよい。入荷後、製造後に廃棄される樹脂製品の廃棄量の情報は、端末装置10の入力I/F107等を介して入力され、端末装置10からノード装置200に送信され、記憶管理されてもよい。
【0195】
本実施形態において、上記の入荷量、在庫量、使用量、製造量、製造後ストック量、出荷量、又は廃棄量は、所定単位のリサイクル樹脂を識別する同一の識別情報に対応付けられたリサイクル樹脂の累積入荷量、累積在庫量、累積使用量、累積製造量、製造後の累積ストック量、累積出荷量、又は累積廃棄量であってもよい。
【0196】
<認証条件>
本実施形態において樹脂製品をリサイクル品として認証する条件(認証条件)の例、及びその前提を以下に説明する。本実施形態における認証条件は、当該認証のために単独で採用することが可能であり、また、他の実施形態で説明した認証条件と組み合わせて採用することが可能である。
【0197】
流入情報取得部202により取得される、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報は、リサイクル樹脂の加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量の情報を含んでもよい。流入情報取得部202により取得されるリサイクル樹脂の使用量の情報は、リサイクル樹脂の使用量を秤量可能に製造装置30に設けられた上述の秤量センサによる秤量結果に基づいていてもよい。上記認証条件は、上記使用量が上記入荷量を超えないことを含んでもよい。リサイクル樹脂の加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量は、例えば、樹脂製品の製造のためのリサイクル樹脂の製造装置30への投入量を含む。
【0198】
流入情報取得部202は、上記流入量の情報として、製造装置30から樹脂製品の製造のための上記リサイクル樹脂の使用量の情報を取得してもよい。上記のとおり製造装置30は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る装置である。流入情報取得部202は、例えば、製造装置30から直接、ストレージ190、又は記憶部212を介して、ブロックチェーンネットワーク20に送信された上記使用量の情報を上記流入量として取得する。
【0199】
流出情報取得部204により取得される、製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報は、加工後の樹脂製品の製造量の情報を含んでもよい。加工後の樹脂製品の製造量とは、製造装置30においてリサイクル樹脂が加工され製造される樹脂製品の製造量であってもよい。上記認証条件は、上記製造量が上記使用量を超えないことを含んでもよい。
【0200】
流出情報取得部204は、上記流出量として、製造装置30から樹脂製品の製造量の情報を取得してもよい。上記のとおり製造装置30は、リサイクル樹脂を加工して樹脂製品を得る装置である。流出情報取得部204は、例えば、製造装置30から直接、ストレージ190、又は記憶部212を介して、ブロックチェーンネットワーク20に送信された上記製造量の情報を上記流出量として取得する。
【0201】
流入情報取得部202により取得される、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報は、リサイクル樹脂の在庫量である原料在庫量の情報を含んでもよい。リサイクル樹脂の在庫量は、例えば、樹脂製品の製造に使用されるリサイクル樹脂の在庫量である。上記認証条件は、上記使用量と上記原料在庫量との総和がリサイクル樹脂の上記入荷量を超えないことを含んでもよい。
【0202】
流出情報取得部204により取得される、製造主体におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報は、樹脂製品についての製造後ストック量の情報を含んでもよい。また、流出情報取得部204により取得される流出量の情報は、製造主体における樹脂製品の製造量の情報を含んでもよい。また、流出情報取得部204により取得される流出量の情報は、樹脂製品の出荷量の情報を含んでもよい。上記認証条件は、上記製造後ストック量と上記出荷量との総和が前記製造量を超えないことを含んでもよい。
【0203】
流入情報取得部202により取得される、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報は、リサイクル樹脂の入荷量に代えて、リサイクル樹脂を出荷した製造主体における、出荷量の情報を含んでもよい。なお、出荷量はブロックチェーンネットワークに保存された値を用いてもよい。他の製造主体からの出荷量を入荷量として取り扱うことで、入荷量の不正入力を防止することができる。
【0204】
上記認証条件を組み合わせて適用する場合、次のような組み合わせであってもよい。前提として、流入情報取得部202は、樹脂製品を製造する事業者におけるリサイクル樹脂の入荷量の情報と、製造装置30から樹脂製品の製造のための加工に使用されるリサイクル樹脂の使用量の情報とを取得する。流出情報取得部204は、樹脂製品の製造事業者における樹脂製品の出荷量の情報を取得する。認証部208は、上記入荷量、上記使用量、及び上記出荷量の情報に基づいて、樹脂製品が認証条件を満たさすか否かを判定してもよい。満たされると判定された場合、認証部208は、対象の樹脂製品(例えば、出荷される樹脂製品)に認証を付与する。例えば、認証部208により対象の樹脂製品に認証が付与されることにより、対象の樹脂製品がリサイクル品として認証されたことを示す情報が記憶部212に記憶される。
【0205】
上記認証条件はさらに、次の条件の少なくともいずれか一つ、又はこれらの少なくとも一部の組み合わせを含んでもよい。
(条件A)上記入荷量≧上記出荷量+上記原料在庫量+製造前、製造時及び製造後の上記廃棄量
(条件B)上記使用量≧上記製造量+製造時の上記廃棄量
(条件C)上記入荷量≧上記使用量+上記原料在庫量+製造前の上記廃棄量
(条件D)上記製造量≧上記出荷量+上記製造後ストック量+製造後の上記廃棄量
【0206】
<処理フロー>
図15を参照して、本実施形態において、リサイクル樹脂の入荷から樹脂製品の認証までの間に情報処理システム2において実行される処理フローの一例を説明する。この処理は、情報処理システム2に含まれる各装置のプロセッサが記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを読み込み、実行することにより実現される。なお、この処理における各処理ステップについて、既に詳細を説明しているものについては、ここでは詳細な説明を省略する。
【0207】
ステップS401において、端末装置10は、リサイクル樹脂の入荷のための処理を行う。例えば、端末装置10は、入荷されたリサイクル樹脂のパッケージ等に付された入荷伝票を読み取ることにより、リサイクル樹脂の入荷量の情報を当該リサイクル樹脂の識別情報(例えば、ロット情報)と共に取得する。例えば、端末装置10は、入荷されたリサイクル樹脂のパッケージ等に付された入荷伝票を読み取ることにより、リサイクル樹脂の入荷量の情報を当該リサイクル樹脂の識別情報(例えば、リサイクル樹脂のロット情報)と共に取得する。端末装置10は、画像センサ又は信号センサなどの読取装置を備え、当該読取装置により、入荷伝票から入荷量の情報及びリサイクル樹脂の識別情報が取得されてもよい。読取装置による読み取りは、自動的に行われてもよいし、ユーザ操作に応じて行われてもよい。端末装置10は、取得された入荷量の情報及びリサイクル樹脂の識別情報をストレージ190に送信する。取得された入荷量の情報は、後述するブロックチェーンネットワーク20における認証処理により使用される。
【0208】
ステップS402において、ストレージ190は、端末装置10から受信した入荷量の情報及びリサイクル樹脂の識別情報を互いに対応付けて記憶する。
【0209】
ステップ403において、製造装置30は、製造装置30に投入されたリサイクル樹脂の量を使用量として秤量センサにより測定し、当該使用量の情報をストレージ190に送信する。また、製造装置30は、製造装置30により製造された樹脂製品の量を製造量として秤量センサにより測定し、当該製造量の情報をストレージ190に送信する。
【0210】
ステップS404において、ストレージ190は、製造装置30から受信した使用量及び製造量の情報を記憶する。
【0211】
ステップS405において、端末装置10は、樹脂製品の出荷のための処理を行う。例えば、端末装置10は、製造装置30により製造され出荷する樹脂製品のパッケージ等に付された出荷伝票を読み取ることにより、樹脂製品の出荷量の情報を当該樹脂製品の識別情報(例えば、樹脂製品のロット情報)と共に取得する。例えば、端末装置10は、出荷する樹脂製品のパッケージ等に付された出荷伝票を読み取ることにより、樹脂製品の出荷量の情報を当該樹脂製品の識別情報と共に取得する。端末装置10は、上述のとおり、画像センサ又は信号センサなどの読取装置を備え、当該読取装置により、出荷伝票から出荷量の情報及び樹脂製品の識別情報が取得されてもよい。読取装置による読み取りは、自動的に行われてもよいし、ユーザ操作に応じて行われてもよい。端末装置10は、取得された出荷量の情報及び樹脂製品の識別情報をストレージ190に送信する。取得された出荷量の情報は、後述するブロックチェーンネットワーク20における認証処理により使用される。
【0212】
ステップS406において、ストレージ190は、端末装置10から受信した情報に基づいて、出荷量の情報及び樹脂製品の識別情報を含む情報を製品関連量データとして特定する。ストレージ190は、受信した出荷量の情報及び樹脂製品の識別情報を互いに対応付けて記憶する。また、ストレージ190は、当該樹脂製品の製造に使用されたリサイクル樹脂の識別情報を当該樹脂製品の識別情報と対応付けて記憶する。樹脂製品の製造に使用されたリサイクル樹脂の特定は、任意の方法により行われる。例えば、ステップS405の出荷処理において、出荷伝票から取得された情報に基づいて、樹脂製品の識別情報とリサイクル樹脂の識別情報との間の対応関係が特定され、当該対応関係の情報がストレージ190に送信されてもよい。
【0213】
ステップS407において、ストレージ190は、樹脂製品の認証に必要な情報を製品関連量データとして端末装置10に送信する。樹脂製品の認証に必要な情報は、例えば、リサイクル品として認証するか否かの認証条件の判定に用いる情報を含む。ステップS407において送信される製品関連量データは、例えば、ストレージ190に記憶されたリサイクル樹脂の使用量及び樹脂製品の製造量の情報、並びに樹脂製品の識別情報を含む。
【0214】
ステップS408において、端末装置10は、ストレージ190から受信した製品関連量データに基づいて、認証対象データを生成する。認証対象データは、リサイクル品であるか否かの判定を行う対象となる樹脂製品に関するデータである。認証対象データは、例えば、樹脂製品の識別情報、及び認証条件を満たすか否かを判定するための情報(例えば、入荷量、使用量、及び出荷量の情報)を含む。
【0215】
ステップS409において、端末装置10は、ステップS408で生成した認証対象データをブロックチェーンネットワーク20に送信する。当該送信は、例えば、端末装置10のユーザ操作に応じて行われる。
【0216】
ステップS410において、ブロックチェーンネットワーク20は、認証対象データに基づいて、認証処理を実行する。認証処理は、ブロックチェーンネットワーク20に含まれるノード装置200により実行される。例えば、次のように実行される。
【0217】
複数のノード装置200のうち、ノード装置200aは、端末装置10から受信した認証対象データに含まれる情報(例えば、リサイクル樹脂の入荷量、リサイクル樹脂の使用量、及び樹脂製品の出荷量の情報を含む。)を取得する。ノード装置200aは、取得した当該情報に基づいて、対象となる樹脂製品が所定の認証条件を満たすか否かを判定することにより、対象となる樹脂製品に対する認証処理を実行する。ノード装置200aは、樹脂製品が認証条件を満たすと判定されたことを条件に、当該樹脂製品が認証条件を満たすことを示すデータ(対象データ)を他のノード装置200に共有するために、当該他のノード装置200に対象データを送信する。対象データの当該共有のために、上述の合意形成処理が行われるが、既に説明したため、ここでは合意形成処理の説明は省略する。
【0218】
ステップ411において、ブロックチェーンネットワーク20は、ステップS410における認証処理の結果を端末装置10に送信する。認証処理の結果は、対象となる樹脂製品が認証条件を満たしたか否かを示す情報を含む。
【0219】
ステップS412において、端末装置10は、ブロックチェーンネットワーク20から(すなわち、ノード装置200から)送信された認証処理の結果を受信する。
【0220】
ステップS413において、端末装置10は、受信した認証処理の結果を出力する。認証処理の結果の出力は、例えば、表示装置111への出力表示、又は外部装置への送信出力を含む。
【0221】
認証処理の結果、又は樹脂製品が認証条件を満たすことを示すデータは、トークンとして発行され、ハッシュ値として出力され、又は認証されていることを示す画像(バッジ)として出力されてもよい。また、認証処理の結果、又は樹脂製品が認証条件を満たすことを示すデータは、樹脂製品の納品書、伝票又はラベルなどの樹脂製品に関連する書類に認証マークなどとして、認証処理の結果が把握できるように印刷出力されてもよい。また、認証処理の結果、又は樹脂製品が認証条件を満たすことを示すデータは、RFIDタグ、電子メール、コード画像(例えば、バーコード)などに認証処理の結果が把握できるように電子的に出力されてもよい。
【0222】
以上のように
図15に示した処理によれば、端末装置10を含むシステムは、認証申請システムとして機能する。詳細には、端末装置10は、樹脂製品の製造主体におけるリサイクル樹脂の流入量の情報として、リサイクル樹脂の入荷量の情報(S401)と、リサイクル樹脂の使用量の情報(S408)とを取得する。端末装置10は、上記製造主体(事業者)におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報として、樹脂製品の出荷量の情報(S405)を取得する。端末装置10は、上記製造主体とは異なる製造主体(例えば、製造装置30)におけるリサイクル樹脂を使用した樹脂製品の流出量の情報として、樹脂製品の製造量の情報を取得する(S407)。端末装置10は、上記流出量と上記流入量とを含む認証対象データをブロックチェーンネットワーク20に送信する(S409)。端末装置10は、上記流出量と上記流入量との情報に基づく認証条件を満たすか否かを示す認証結果をブロックチェーンネットワーク20から受信する(S412)。
【0223】
<変形例>
本実施形態における情報処理システム1若しくは2、又は当該システムに含まれる装置を実装するためのプログラムは、光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0224】
また、本実施形態において、1つの製造装置により樹脂製品が製造される場合の例を説明したがこれに限定されない。情報処理システム2は、複数の製造装置30を備え、複数の製造装置30により樹脂製品が製造されてもよい。
【0225】
図16を参照して、複数の製造装置30により樹脂製品が製造される場合における流入量及び流出量について説明する。
図16は、原料X1、X2、Y1、Y2、Z1を投入してして、製造装置30a、30b、30cにより、樹脂製品Zを製造する場合の製造工程の例を示している。
【0226】
原料X1、X2、Y1、Y2、Z1のうち、少なくとも一部は、リサイクル樹脂を含む。原料X1、X2、Y1、Y2、Z1の一部は、バージン樹脂又は添加剤が含まれていてもよい。
図16に示す例において、製造装置30a、30b、30cに投入された原料X1、X2、Y1、Y2、Z1のうち、リサイクル樹脂の投入量が樹脂製品Zの製造のためのリサイクル樹脂の使用量である。リサイクル樹脂の使用量は、各原料の使用量と、各原料におけるリサイクル樹脂の含有率とに基づいて算出される。製造装置30cにより製造された樹脂製品Zの量が樹脂製品の製造量である。すなわち、この例において、樹脂製品の製造工程において、各製造装置に投入される原料におけるリサイクル樹脂の総量がリサイクル樹脂の使用量として特定され、最終的に製造される樹脂製品の量が製造量として特定される。
【0227】
図16に示す例において、原料X1、X2が製造装置30aに投入され、樹脂X’が製造される。次に、樹脂X’、原料Y1、Y2が製造装置30bに投入され、樹脂Y’が製造される。次に、樹脂Y’、原料Z1が製造装置30cに投入され、樹脂Zが製造される。この例において、原料X1、X2が樹脂であり、原料Y1、Y2が添加剤であり、原料Z1が樹脂であってもよい。この場合において、樹脂X’に対して原料Y1、Y2が添加されることにより得られた樹脂Y’に対して樹脂である原料Z1が積層された積層体が製造されてもよい。
【0228】
本実施形態において、リサイクル樹脂を加工等することにより樹脂製品を製造する場合におけるリサイクル品の認証の例を説明したが、これに限定されず、ケミカルリサイクル品の製造におけるリサイクル品の認証に対して、本開示における処理を適用してもよい。
例えば、ケミカルリサイクルにおける廃プラスチック材から油化されるリサイクルナフサを100%用いた場合、リサイクル比率100%とし、例えばリサイクルナフサ10%、石油ナフサ90%を用いた場合、10%リサイクル比率とする。また、100%リサイクルナフサ又は100%廃リサイクル材の原料から開重合により得られたモノマーは、100%リサイクル率のモノマーとする。なお、100%リサイクル比率のモノマーから重合される樹脂は、100%のリサイクル比率のリサイクル樹脂とする。なお重合時の収率が100%でない場合、例えば、収率60~70%であるとき、ロス分である30~40%を廃棄物として扱う。
【0229】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0230】
1 情報処理システム、10 端末装置、20 ブロックチェーンネットワーク、200 ノード装置、N ネットワーク