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特許7320696粘着テープの供給装置及び供給方法並びにシート材の剥離装置及び剥離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】粘着テープの供給装置及び供給方法並びにシート材の剥離装置及び剥離方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230728BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20230728BHJP
   B65H 23/14 20060101ALI20230728BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230728BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65H41/00 Z
B65H23/14
C09J7/38
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018175034
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020047767
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000132954
【氏名又は名称】株式会社タカトリ
(72)【発明者】
【氏名】池田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山内 義夫
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-310035(JP,A)
【文献】特開2009-141314(JP,A)
【文献】特開2009-277864(JP,A)
【文献】特開2013-219087(JP,A)
【文献】特開2007-307866(JP,A)
【文献】特開2009-283742(JP,A)
【文献】特開2004-307122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B65H 41/00
B65H 23/14
C09J 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープを巻き回した供給リールから前記粘着テープを引き出して案内する粘着テープの供給装置において、
前記供給リールを固定するリール固定手段と、
前記供給リールからの粘着テープの供給に追従して昇降する昇降ローラと、
前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを挟持して固定するテープ固定手段と、
前記粘着テープを引き出す引き出し手段と、を備え、
前記引き出し手段で粘着テープを引き出した後、前記リール固定手段と前記テープ固定手段で前記粘着テープを固定した状態で、前記粘着テープの引き出しによって追従移動した前記昇降ローラを粘着テープの引き出し方向に引っ張るように強制的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とする粘着テープの供給装置。
【請求項2】
被着体の表面に仮着されたシート材に粘着テープを供給する供給リールと、前記シート材を表面にして保持する保持テーブルと、前記供給リールから供給された前記粘着テープを折り返す剥離板とを備え、前記シート材に前記粘着テープを貼り付けて、前記保持テーブルと剥離板とを相対的に移動させることで、前記粘着テープを前記剥離板で折り返すことにより、前記シート材を前記粘着テープと一体に剥離するシート材の剥離装置において、
前記供給リールを固定するリール固定手段と、
前記供給リールからの粘着テープの供給に追従して昇降する昇降ローラと、
前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを挟持して固定するテープ固定手段と、
記シート材と対向するように前記粘着テープを引き出す引き出し手段と、を備え、
前記引き出し手段で、前記粘着テープを引き出した後、前記リール固定手段と前記テープ固定手段で前記粘着テープを固定した状態で、前記粘着テープの引き出し方向に引っ張るように前記昇降ローラを強制的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とするシート材の剥離装置。
【請求項3】
粘着テープを巻き回した供給リールから粘着テープを引き出して案内する粘着テープの供給方法において、
前記供給リールから粘着テープを隣接するガイドローラを経由して前記粘着テープに追従して昇降自在な昇降ローラに巻き掛け、
前記供給リールから粘着テープを引き出すことで、前記粘着テープに追従して移動した昇降ローラを、
前記供給リールの回転を固定すると共に前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを固定した後、前記粘着テープの引き出し方向に引っ張るように前記昇降ローラを強制的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とする粘着テープの供給方法。
【請求項4】
供給リールに巻回された粘着テープを剥離板上に引き出し、シート材が仮着された被着体を保持テーブルに保持した状態で前記剥離板上の粘着テープと前記シート材を貼り付けた後、前記保持テーブルと剥離板とを相対的に移動させることで、前記粘着テープを前記剥離板で折り返すことにより、前記シート材を前記粘着テープと一体に剥離するシート材の剥離方法において、
前記供給リールから粘着テープを隣接するガイドローラを経由して前記粘着テープに追従して昇降自在な昇降ローラに巻き掛けた後、前記粘着テープを剥離板上に引き出すようにしておき、
前記供給リールから粘着テープを引き出し、前記粘着テープに追従して移動した昇降ローラを、前記供給リールの回転を固定すると共に前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを固定した後、前記粘着テープの引き出し方向に引っ張るように前記昇降ローラを強制
的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とするシート材の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の基板やシート材に粘着テープを貼り付けるために基板やシート材上に粘着テープを供給する粘着テープの供給装置及び供給方法に関する。さらに、偏光板や有機EL(以下、OLEDという。)等の被着体表面に仮着された保護シート上に粘着テープを供給して、前記保護シート上に粘着テープを貼り付け、前記粘着テープと一体に保護シートを剥離するシート材の剥離装置及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハ(以下、ウエハという。)等の基板の表面に貼り付けられた保護シートや偏光板の表面を保護する保護シートに剥離テープを貼り付けて、この剥離テープと一体に前記保護シートを剥離することが行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
最近では、OLEDパネルの製造に当たり、OLED表面に仮着されている保護シートを剥離し、OLED表面に偏光板等の光学シートを貼り付けることが行われている。
しかし、前記OLEDは、柔軟性があり、また、その表面に仮着されている保護シートは剛性を有する樹脂材料で形成されているため、前記保護シートは、剥離が困難となっている。
【0004】
従って、粘着性のある剥離テープで被着体から前記保護シートを剥離する場合、粘着力が低い剥離テープを用いると、前記保護シートの剛性に負けて、剥離テープが保護シートから剥がれて剥離ミスが発生する問題があった。そこで、前記保護シートを剥離するに当たり、粘着力が強い剥離テープが用いられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-114384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように被着体から保護シートを剥離するに当たり、粘着力が強い剥離テープを用いた場合、前記剥離テープを供給する際に、前記剥離テープの粘着力により、供給リールに剥離テープが貼り付いた状態で送り出される。そのため、粘着テープの供給不良が生じ、装置を停止させて剥離テープの貼り付きを解消する必要があり、装置の稼働率が低下する問題がある。そこで、このように粘着力の強い剥離テープを用いた場合であっても、剥離テープを円滑に供給し、装置の停止時間を最小限にする必要がある。また、適宜の粘着力を有する剥離テープを保護シート上に貼り付けることにより、前記保護シートを円滑に剥離させる必要もある。
【0007】
上記のような課題に鑑み、本発明は、各種粘着テープを円滑に供給するテープの供給装置及び供給方法を提供すると共に各種シート材の剥離装置及び剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、粘着テープを巻き回した供給リールから前記粘着テープを引き出して案内する粘着テープの供給装置において、
前記供給リールを固定するリール固定手段と、
前記供給リールからの粘着テープの供給に追従して昇降する昇降ローラと、
前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを挟持して固定するテープ固定手段と、
前記粘着テープを引き出す引き出し手段と、を備え、
前記引き出し手段で粘着テープを引き出した後、前記リール固定手段と前記テープ固定手段で前記粘着テープを固定した状態で、前記粘着テープの引き出しによって追従移動した前記昇降ローラを粘着テープの引き出し方向に引っ張るように強制的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とする粘着テープの供給装置。
【0009】
請求項2の発明は、被着体の表面に仮着されたシート材に粘着テープを供給する供給リールと、前記シート材を表面にして保持する保持テーブルと、前記供給リールから供給された前記粘着テープを折り返す剥離板とを備え、前記シート材に前記粘着テープを貼り付けて、前記保持テーブルと剥離板とを相対的に移動させることで、前記粘着テープを前記剥離板で折り返すことにより、前記シート材を前記粘着テープと一体に剥離するシート材の剥離装置において、
前記供給リールを固定するリール固定手段と、
前記供給リールからの粘着テープの供給に追従して昇降する昇降ローラと、
前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを挟持して固定するテープ固定手段と、
記シート材と対向するように前記粘着テープを引き出す引き出し手段と、を備え、
前記引き出し手段で、前記粘着テープを引き出した後、前記リール固定手段と前記テープ固定手段で前記粘着テープを固定した状態で、前記粘着テープの引き出し方向に引っ張るように前記昇降ローラを強制的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とするシート材の剥離装置である。
【0010】
請求項3の発明は、粘着テープを巻き回した供給リールから粘着テープを引き出して案内する粘着テープの供給方法において、
前記供給リールから粘着テープを隣接するガイドローラを経由して前記粘着テープに追従して昇降自在な昇降ローラに巻き掛け、
前記供給リールから粘着テープを引き出すことで、前記粘着テープに追従して移動した昇降ローラを、
前記供給リールの回転を固定すると共に前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを固定した後、前記粘着テープの引き出し方向に引っ張るように前記昇降ローラを強制的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とする粘着テープの供給方法。
【0011】
請求項4の発明は、供給リールに巻回された粘着テープを剥離板上に引き出し、シート材が仮着された被着体を保持テーブルに保持した状態で前記剥離板上の粘着テープと前記シート材を貼り付けた後、前記保持テーブルと剥離板とを相対的に移動させることで、前記粘着テープを前記剥離板で折り返すことにより、前記シート材を前記粘着テープと一体に剥離するシート材の剥離方法において、
前記供給リールから粘着テープを隣接するガイドローラを経由して前記粘着テープに追従して昇降自在な昇降ローラに巻き掛けた後、前記粘着テープを剥離板上に引き出すようにしておき、
前記供給リールから粘着テープを引き出し、前記粘着テープに追従して移動した昇降ローラを、前記供給リールの回転を固定すると共に前記昇降ローラの下流側で前記粘着テープを固定した後、前記粘着テープの引き出し方向に引っ張るように前記昇降ローラを強制
的に移動させ、前記供給リールに貼り付いて送り出された粘着テープを引き剥がすようにしたことを特徴とするシート材の剥離方法。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び3の発明によれば、粘着テープを繰り出す際にその粘着力により、供給リールに粘着テープが巻き付いた場合であっても、昇降ローラを粘着テープの引き出し方向に引っ張るように移動させるので、巻き付いた部分の粘着テープが引き剥がされ、供給不良が解消される。
【0013】
請求項2及び4の発明によれば、被着体に強固に貼り付いたシート材を剥離する際に、粘着力の強い粘着テープを用いても、供給リールに巻き付いた粘着テープを引き剥がすことができるので、シート材剥離に適した各種の粘着テープを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】は、本発明の粘着テープ供給装置を適用したシート材剥離装置の平面図である。
図2】は、図1のA-A方向断面矢視図である。
図3】は、図1の右側面図である。
図4】は、図2のB-B方向矢視図である。
図5】は、本発明の粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置の動作説明図である。
図6】は、本発明の粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置の動作説明図である。
図7】は、本発明の粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置の動作説明図である。
図8】は、本発明の粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置の動作説明図である。
図9】は、本発明の粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置の動作説明図である。
図10】は、本発明のシート材剥離装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である粘着テープ供給装置を適用したシート材剥離装置について図1から図4に基づいて説明する。
図示のように、シート材剥離装置2は、剥離テープとなる粘着テープTを供給する粘着テープ供給装置1と、剥離ユニット30等を備えて構成されている。
【0016】
図2から図4のように前記粘着テープ供給装置1は、機台3と、前記機台3の幅方向に所定の間隔を空けて立設された支持枠4、4と、両支持枠4、4上に水平に設けられた支持台5に囲まれて形成されている。
【0017】
また、前記粘着テープ供給装置1は、前記粘着テープTが巻回された供給リール10と、前記粘着テープTを案内するガイドローラ11aと、前記ガイドローラ11aで案内された粘着テープTが巻き掛けられると共に粘着テープTの供給に追従して昇降自在な供給側昇降ローラ12と、前記供給側昇降ローラ12を経由した後、前記粘着テープTが巻き掛けられるガイドローラ11bと、テープ引き出し手段となる剥離ユニット30等を備えて構成されている。
【0018】
前記供給リール10は、一方の支持枠4に軸支され、前記支持枠4に設けられたモータ15が、適宜のプーリとベルトを介して接続されている。前記モータ15は、前記供給リール10に適宜の引っ張り力を付与し、前記粘着テープTの繰り出しを制限すると共に、前記粘着テープTに適宜の張力を付与するようになっている。また、前記供給リール10の軸を押圧することで前記軸を固定する固定手段23が設けられ、前記固定手段23に接続されたシリンダ24の作用で前記回収リール14の軸を押圧して回転を防止するようになっている。
【0019】
前記供給リール10は、本実施形態においては、細幅で比較的粘着力が強い剥離テープとしての粘着テープTが巻回されている。前記粘着力は、例えば有機ELパネル(以下OLEDという。)の表面保護として仮着されているセパレータ(シート材に相当。)を剥離できる程度あれば良いが、セパレータの剛性が高い場合やOLEDの柔軟性が高く、セパレータが剥がれ難い場合は、粘着力を上げても良い。
【0020】
前記粘着テープTは、ガイドローラ11b、11cを経由し、支持板5の開口5aを介してガイドローラ31aに導かれた後、剥離ユニット30に供給されるようになっている。前記剥離ユニット30に導かれた粘着テープTは、ガイドローラ31dを経由し、開口5bを介して回収側昇降ローラ13に巻き掛けられ、ガイドローラ11dを経て回収リール14に巻き取られるようになっている。
【0021】
前記供給側昇降ローラ12は、スライダ16に固定された支持板に軸支され、前記スライダ16は、前記支持枠4の上下方向に沿って立設された昇降ユニット17に接続されている。前記昇降ユニット17は、上下方向のレール17aが設けられ、適宜の駆動源(例えばシリンダやモータ。)で前記スライダ16を強制的に下降させることが可能になっている。従って、前記スライダ16の下降により、前記供給側昇降ローラ12が下降して前記粘着テープTを引き出し方向に引っ張るようになっている。また、前記供給側昇降ローラ12は、上昇時に自由状態となり、掛け渡された粘着テープTの供給に追従して上昇可能になっている。
【0022】
前記ガイドローラ11cは、前記供給側昇降ローラ12の下流側に位置し、前記ガイドローラ11cの近傍に粘着テープTを挟持して固定するテープチャック18(本発明のテープ固定手段に相当。)が設けられている。前記テープチャック18は、シリンダ19が接続され、前記シリンダ19により開閉可能になっている。
【0023】
前記回収側昇降ローラ13は、スライダ20に固定された支持板に軸支され、前記スライダ20は、支持枠4の上下方向に沿って設けられた軸21に昇降可能に軸支されている。また、前記スライダ20は、掛け渡された粘着テープTの供給に追従して昇降動するようになっている。従って、前記スライダ20の昇降動に伴って、前記回収側昇降ローラ13は昇降動するようになっている。
【0024】
前記回収リール14は、モータ22が接続され、粘着テープTと剥離されたシート材Sを巻き取るようになっている。また、前記回収リール14の軸を押圧することで前記軸を固定する固定手段25が設けられ、前記固定手段25に接続されたシリンダ26の作用で前記回収リール14の軸を押圧することで回転を防止するようになっている。
【0025】
本発明のテープ引き出し手段を兼ねる剥離ユニット30についての詳細は後述する。本発明におけるテープ引き出し手段は、前記供給側昇降ローラ1の下流側で、粘着テープTを引き出せる機構であれば各種のものが採用できる。例えば、粘着テープTを挟持して前記粘着テープTを供給する方向に移動して引き出すものや、前記粘着テープTを巻き取ることによって引き出すものを採用できる。

【0026】
以上が、本発明の粘着テープ供給装置1の構成であり、次にこの粘着テープ供給装置1を適用したシート材剥離装置2について以下に説明する。
本実施形態においては、OLEDの表面に保護シートとしてのシート材Sが仮着された被着体6から前記シート材Sを剥離する場合を例として説明する。
【0027】
前記シート材剥離装置2は、前記粘着テープ供給装置1の上部となる支持板5上に立設されている。また、前記シート材剥離装置2は、前記被着体6をその下面で吸着保持する保持テーブル27と、前記被着体6に仮着されたシート材Sに粘着テープTを貼り付けて前記粘着テープTと一体にシート材Sを剥離する剥離ユニット30と、複数のガイドローラ31a、31d等を備えて構成されている。
【0028】
前記支持板5上には、その幅方向と垂直に適宜の間隔を空けて2枚の側板37、37が立設されている。前記側板37、37の内側上部には、それぞれ対向するようにレール38、38が、前後方向(図示左右方向)に沿って敷設されている。
【0029】
前記保持テーブル27は、裏面側に図示しない適宜の吸着孔が穿設され、前記被着体6を吸着保持するようになっている。また、前記保持テーブル27は、図示しない適宜の駆動機構により水平動自在に構成され、前記被着体6を剥離ユニット30上に搬送するようになっている。
【0030】
本発明のテープ引き出し手段も兼ねる前記剥離ユニット30は、支持枠35、35間に形成され、前記支持枠35、35の外側側面には、スライダ39、39が設けられている。前記スライダ39、39は、それぞれ前記レール38、38に嵌合し、前記レール38、38に沿って移動可能になっている。また、一方の側板37には、前記レール38に沿ってボールネジ40が設けられ、前記ボールネジ40の一端にモータ41が接続されている。また、前記支持枠35の一方には、ナット部材42が設けられ、前記ナット部材42は、前記ボールネジ40に螺合している。従って、前記モータ41を正逆駆動することで前記剥離ユニット30は、前記レール38に沿って水平動自在になっており、その前進の際に前記粘着テープTを引っ張って引き出すようになっている。
【0031】
また、前記剥離ユニット30は、前記粘着テープTに貼り付けられたシート材Sを急激に折り返すことにより、前記シート材Sを粘着テープTと一体に剥離させる剥離板32と、粘着テープTを案内する2つのガイドローラ31b、31cと、前記ガイドローラ31cに掛け渡された粘着テープTを挟持して固定するテープチャック33等を備えて構成されている。
【0032】
前記剥離板32は、矩形状の薄板で形成され、両側面が支持枠35、35に支持されている。また、前記剥離板32の下面の前方先端部は鋭角に形成され、粘着テープTを急激に折り返すことにより、前記粘着テープTに貼り付いたシート材Sを被着体6から剥離するようになっている。
【0033】
前記ガイドローラ31aは、支持板5上に立設された2本の支柱7、7間に軸支され、供給された粘着テープTを剥離板32上に水平に案内するようになっている。
【0034】
また、前記支持枠35、35間の前方部で前記剥離板32の下方にガイドローラ31bが軸支され、後方に向けて前記粘着テープTを案内するようになっている。また、前記ガイドローラ31bの後方には、ガイドローラ31cが前記支持枠35、35間に軸支され、前記粘着テープTを前方のガイドローラ31dへと案内するようになっている。
【0035】
前記ガイドローラ31cの後方には、支持板36が、前記支持枠35、35間に懸架
され、前記支持板36にシリンダ34が固定されている。前記シリンダ34にはテープチャック33が、前記ガイドローラ31cと対向するように設けられ、前記テープチャック33は、前記シリンダ34の作用により、前記粘着テープTをガイドローラ31cとの間で挟持して固定するようになっている。
【0036】
前記ガイドローラ31dは、支持板5の前方に立設された2本の支柱8、8の上部に軸支されており、前記ガイドローラ31cから案内された粘着テープTを下方の回収側昇降ローラ13に案内するようになっている。またガイドローラ31dの前方側にはテープチャック43が設けられ、前記支柱8、8間の支持枠に設けられたシリンダ44に接続されている。前記テープチャック43は、前記シリンダ44の作用により、前記粘着テープTを前記ガイドローラ31dとの間で挟持して固定するようになっている。
【0037】
前記粘着テープTは、前記テープチャック33を閉じて前記粘着テープTを固定した状態で前記剥離ユニット30を前進させることにより、引き出されるようになっている。
【0038】
以上が、本発明の粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置の構成であり、次に図5から図10に基づいて粘着テープTの供給動作及びシート材の剥離動作について説明する。
【0039】
図5は、前記シート材剥離装置2での剥離動作の初期状態を表し、前記剥離ユニット30が前進位置に位置する。なお、この初期状態に先立ち保持テーブル27の下面に被着体6を吸着保持し、剥離板32上に前記被着体6を搬送する。前記被着体6は、図10のように頂点部の一つが先端となるように剥離板32上の粘着テープT上に位置させられ、前記被着体6の対角線方向と粘着テープTの供給方向が一致するように被着体6が粘着テープT上に押し付けられ、貼り付けされる。このとき、テープチャック18及び43は、閉じられ粘着テープTが固定される。また、供給側の固定手段23及び回収側の固定手段25も閉じられ、供給リール10及び回収リール14が固定される。また、供給側の昇降ローラ16は、下降位置に位置し、回収側昇降ローラ13は、上昇位置に位置する。
【0040】
次に図6のように保持テーブル27を固定状態で剥離ユニット30を後退させると、前記被着体6は、保持テーブル27に保持されたままであるので、粘着テープTが引っ張られて剥離板32の先端部分で急激に折り返され、シート材Sが粘着テープTと一体に剥離される。
【0041】
図7のように前記テープチャック18及び43が解放され、前記テープチャック33が閉じられる。また、前記固定手段23が解放される(前記固定手段25は閉じた状態)。この状態で前記剥離ユニット30二点鎖線位置から実線位置へと前進する。これにより、供給リール10から粘着テープTが引っ張られ、供給側昇降ローラ12が追従して上昇する。このとき、前記粘着テープTの粘着力が高いときは、モータ15でバックテンションを付与していても、粘着テープTが剥がれずに図示のごとく巻き付いた状態となる場合がある。なお、図示の粘着テープTの弛みは、理解を容易にするため、誇張して描いていることに留意されたい。一方、回収側の供給側昇降ローラ12は、粘着テープTに追従して下降していく。
【0042】
次に図8のようにテープチャック18及び45が閉じてガイドローラ11c及び31d間の粘着テープTが固定され、テープチャック33が解放される。
【0043】
図9のように固定手段25が解放され、回収リール14が巻き取り駆動されることにより、回収側昇降ローラ13が粘着テープTに追従して上昇する。前記回収側昇降ローラ13が所定量上昇すると、図示しない適宜のセンサが検知して、巻き取りを停止する。一方、供給リール10は、固定手段23が閉じて固定され、この状態で、供給側昇降ローラ12が強制的に下降端に下降され、供給リール10に巻き付いた粘着テープTが剥離されて弛みが解消される。このように、強制的に供給リール10に巻き付いた粘着テープTを剥離するので、特に被着体6から剥離し難いシート材Sであっても粘着テープTの粘着力を上げて、剥離することができる。
【0044】
上記により、シート材剥離装置2が初期状態に復帰し、次の被着体6が搬送されてシート材Sの剥離に供される。前記工程を繰り返し行うことで連続して被着体6からシート材Sが剥離される。
【0045】
以上が、本発明の一実施形態に係る粘着テープ供給装置及びシート材剥離装置であるが、本発明は上記の実施形態に限定されず、発明の範囲内で適宜の変更ができる。例えば、本実施形態においては、シート材の剥離装置として粘着テープ供給装置を適用したが、粘着テープを各種基板に貼り付けることに適用することもできる。また、本実施形態においては、細幅の粘着テープを用いたが、粘着テープの幅は、適宜変更できる。その他、強粘着で供給時に供給リールからテープが剥がれ難い各種の粘着テープや接着テープに好ましく利用できる。なお、本発明は、強粘着のテープに限らず、各種のテープに広く適用できる。
【符号の説明】
【0046】
S シート材
T 粘着テープ
1 粘着テープ供給装置
2 シート材剥離装置
3 機台
4 支持枠
5 支持台
5a 開口
5b 開口
6 被着体
7 支柱
8 支柱
10 供給リール
11a ガイドローラ
11b ガイドローラ
11c ガイドローラ
11d ガイドローラ
12 昇降ローラ
13 昇降ローラ
14 回収リール
15 モータ
16 スライダ
17 昇降ユニット
17a レール
18 テープチャック
19 シリンダ
20 スライダ
22 モータ
23 固定手段
24 シリンダ
25 固定手段
26 シリンダ
27 保持テーブル
30 剥離ユニット
31a ガイドローラ
31b ガイドローラ
31c ガイドローラ
31d ガイドローラ
32 剥離板
33 テープチャック
34 シリンダ
35 支持枠
36 支持板
37 側板
38 レール
39 スライダ
40 ボールネジ
41 モータ
42 ナット部材
43 テープチャック
44 シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10