(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】収納キャビネット及び収納家具
(51)【国際特許分類】
A47B 77/08 20060101AFI20230728BHJP
A47B 81/00 20060101ALI20230728BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A47B77/08 Z
A47B81/00 F
A47B97/00 M
(21)【出願番号】P 2019103345
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上本 哲司
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】西村 侑馬
(72)【発明者】
【氏名】宮内 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】久保田 篤優
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-163054(JP,U)
【文献】特開2005-253515(JP,A)
【文献】特開平05-137619(JP,A)
【文献】特開2006-334128(JP,A)
【文献】実開昭48-009221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/08
A47B 97/00
A47B 81/00、81/04、81/06
E05D 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成される収納空間と、前記収納空間と前方の外部空間とを通じさせる開口と、を有するキャビネット本体と、
前記開口を開閉する扉と、
前記収納空間に収納される電気機器に給電を行うための給電部と、
前記給電の入切を切替える操作を行うための切替操作部と、
前記収納空間内に収納され、前記電気機器が載置される、前記切替操作部とは別体の載置部と、を備え、
前記切替操作部は、前記給電を入とする入位置と、前記給電を切とする切位置との間を移動可能に構成され、
前記切替操作部は、
前記入位置に位置している状態で、前記開口を閉塞していない前記扉が前記開口を閉塞する方向に移動するのを規制する閉塞規制部を構成し、
前記切位置に位置している状態で、前記閉塞規制部を構成しない
ものであり、
前記載置部は、前端部が前記キャビネット本体の前端部より前側に位置する載置部引出位置と、前記前端部が前記キャビネット本体の前記前端部より前側に位置しない載置部収納位置との間を移動可能に構成される
収納キャビネット。
【請求項2】
前記扉は、回転軸となる左右方向の一端部が前記キャビネット本体の前端部に位置し、左右方向の他端部が回転可能に構成されており、
前記切替操作部は、
前記キャビネット本体の下端部に位置し、
前記入位置では、前端部が前記キャビネット本体の前端部より前側に位置しており、
前記切位置では、前記前端部が前記キャビネット本体の前記前端部より前側に位置しない
請求項1に記載の収納キャビネット。
【請求項3】
前記扉は、前記回転軸となる前記一端部が前記キャビネット本体の前記前端部に位置する扉引出位置と、前記一端部が前記キャビネット本体の前記前端部より後側に位置する扉収納位置との間を移動可能に構成される
請求項
2に記載の収納キャビネット。
【請求項4】
前記扉として、左側の扉及び右側の扉を備え、
前記左側の扉の前記回転軸は前記キャビネット本体の左端部に位置し、前記右側の扉の前記回転軸は前記キャビネット本体の右端部に位置しており、
前記切替操作部の左右方向の長さは、前記収納空間の左右方向の長さを含む所定の長さ範囲内にある
請求項3記載の収納キャビネット。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の収納キャビネットと、前記収納キャビネットの下側に位置して前記収納キャビネットを載置する下段キャビネットと、を備え、
前記下段キャビネットは、内部に形成される下段収納空間と前方の外部空間とを通じさせる下段開口を有する下段キャビネット本体と、前記下段開口を開閉する下段扉と、前記下段開口を閉塞する前記下段扉と前記下段キャビネット本体の前面との間に配置されるパッキンと、を有し、
前記入位置にある前記切替操作部は、前記パッキンの前側に位置する
収納家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納キャビネット及び収納家具に関し、更に詳しくは、キャビネット本体、扉、給電部を備える収納キャビネットと、収納キャビネット及び下段キャビネットを備える収納家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収納部と、開閉扉と、電源コンセントと、リミットスイッチと、を備えた家電収納キャビネットが知られている(例えば特許文献1参照)。この家電収納キャビネットにあっては、収納部が開閉扉によって完全に閉塞されると、リミットスイッチにより、電源コンセントからスチームレンジへの電力の供給が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される従来例にあっては、電源コンセントからの電力の供給を停止する意図がなくても、不用意に開閉扉が閉まってしまうと電源コンセントからの電力の供給が停止してしまうものであった。
【0005】
本開示は上記従来の問題点に鑑み、給電を切とする意図がないのに不用意に扉を閉じてしまって給電が切となってしまうのを抑制する収納キャビネット及び収納家具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る一形態の収納キャビネットは、キャビネット本体と、扉と、給電部と、切替操作部と、を備える。前記キャビネット本体は、内部に形成される収納空間と、前記収納空間と前方の外部空間とを通じさせる開口と、を有する。前記扉は、前記開口を開閉する。前記給電部は、前記収納空間に収納される電気機器に給電を行うためのものである。前記切替操作部は、前記給電の入切を切替える操作を行うためのものである。前記切替操作部は、前記給電を入とする入位置と、前記給電を切とする切位置との間を移動可能に構成される。前記切替操作部は、前記入位置に位置している状態で、前記開口を閉塞していない前記扉が前記開口を閉塞する方向に移動するのを規制する閉塞規制部を構成し、前記切位置に位置している状態で、前記閉塞規制部を構成しない。
【0007】
また、本開示に係る一の形態の収納家具は、前記収納キャビネットと、前記収納キャビネットの下側に位置して前記収納キャビネットを載置する下段キャビネットと、を備える。前記下段キャビネットは、内部に形成される下段収納空間と前方の外部空間とを通じさせる下段開口を有する下段キャビネット本体と、前記下段開口を開閉する下段扉と、前記下段開口を閉塞する前記下段扉と前記下段キャビネット本体の前面との間に配置されるパッキンと、を有する。前記入位置にある前記切替操作部は、前記パッキンの前側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る収納キャビネット及び収納家具にあっては、給電を切とする意図がないのに不用意に扉を閉じてしまって給電が切となってしまうのを抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る収納キャビネットの扉を開いた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の収納キャビネットの要部断面図である。
【
図3】
図3は、同上の収納キャビネットの載置部移動機構を説明する要部断面図である。
【
図4】
図4は、同上の収納キャビネットの載置部が載置部引出位置にある状態の要部断面図である。
【
図5】
図5は、同上の収納キャビネットの扉移動機構の斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の収納キャビネットの扉が扉収納位置にある状態の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の収納キャビネットの扉移動機構の動作を説明する要部断面図である。
【
図8】
図8は、同上の収納キャビネットの扉を閉じた状態の斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の収納キャビネットの切替操作部が入位置にある状態の斜視図である。
【
図10】
図10は、同上の収納キャビネットの切替操作部が入位置にある状態の要部断面図である。
【
図11】
図11Aは、同上の収納キャビネットの操作部支持部を説明する要部断面図である。
図11Bは、同上の操作部支持部のレール部材の斜視図である。
【
図12】
図12は、一実施形態に係る収納家具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る収納キャビネット及び収納家具について、実施形態に基づいて説明する。なお、本開示に係る収納キャビネット及び収納家具の実施形態は、下記実施形態に限定されるものではなく、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
本実施形態に係る収納キャビネット1及び収納家具6について、
図1~
図13に基づいて説明する。
【0012】
(1)概要
図1に示すように、収納キャビネット1は、キャビネット本体2と、扉3と、給電部11と、切替操作部4と、を備える。キャビネット本体2は、内部に形成される収納空間20と、収納空間20と前方の外部空間とを通じさせる開口21と、を有する。扉3は、開口21を開閉する。給電部11は、収納空間20に収納される電気機器に給電を行うためのものである。切替操作部4は、給電の入切を切替える操作を行うためのものである。
【0013】
切替操作部4は、給電を入とする入位置と(
図9及び
図10参照)、給電を切とする切位置(
図1及び
図2参照)との間を移動可能に構成される。切替操作部4は、入位置に位置している状態で、開口21を閉塞していない扉3が開口21を閉塞する方向に移動するのを規制する閉塞規制部を構成し、切位置に位置している状態で、閉塞規制部を構成しない。
【0014】
本実施形態に係る収納キャビネット1にあっては、開口21を閉塞していない扉3が開口21を閉塞する方向に移動しても、扉3が閉塞規制部を構成する切替操作部4に当たって扉3が閉じるのが規制され、電気機器への給電が切となることが抑制される。
【0015】
図13に示すように、収納家具6は、収納キャビネット1と、収納キャビネット1の下側に位置して収納キャビネット1を載置する下段キャビネット7と、を備える。下段キャビネット7は、内部に形成される下段収納空間73と前方の外部空間とを通じさせる下段開口74を有する下段キャビネット本体71と、下段開口74を開閉する下段扉75と、下段開口74を閉塞する下段扉75と下段キャビネット本体71の前面との間に配置されるパッキン72と、を有する。入位置にある切替操作部4は、パッキン72の前側に位置する。
【0016】
本実施形態に係る収納家具6にあっては、切替操作部4が入位置にある場合、使用者がパッキン72の前側よりパッキン72の方を見ても、切替操作部4に隠れてパッキン72が見えない。
【0017】
(2)詳細
(2.1)構成
図1及び
図2に示すように、収納キャビネット1は、キャビネット本体2と、扉3と、給電部11と、切替操作部4と、を備える。
【0018】
(2.1.1)キャビネット本体
キャビネット本体2は、内部に形成される収納空間20と、収納空間20と前方の外部空間とを通じさせる開口21と、を有する。キャビネット本体2は、天板22、側板23、底板26及び背板27により構成される。なお、本開示における前後左右については、
図1に示すように定義する。すなわち、平面視における収納キャビネット1の中心部からみて、開口21は一方向にのみ形成されており、この開口21が形成されている方を前方とするとともにその反対を後方とする。また、左方及び右方については、前方から後方をみたときの左方及び右方とする。
【0019】
天板22及び底板26は、平面視矩形状をしたものである。側板23は、側面視矩形状をしたものである。背板27は、正面視矩形状をしたものである。天板22、側板23、底板26及び背板27は、木質材、樹脂等、適宜の材料により板状に形成され、適宜の厚みに形成される。
【0020】
本実施形態では、収納キャビネット1は、電気機器が載置される載置部5を更に備える。載置部5は、平面視矩形状をした板状のもので、底板26と略同じ形状をしているが、底板26より若干小さく形成されている。載置部5は、底板26等と同様の材料により板状に形成され、適宜の厚みに形成される。載置部5は、収納空間20内に収納されるもので、底板26から若干の間隔をあけた上方に配置される。
【0021】
本実施形態では、キャビネット本体2が載置部5を備えるため、収納空間20は、天板22、側板23、載置部5及び背板27により囲まれる部分となる。
【0022】
載置部5に載置される電気機器としては、炊飯器、電子レンジ又はオーブントースター等が挙げられるが、特に限定されない。
【0023】
本実施形態では、
図3に示すように、載置部5は、載置部移動機構51により、前後方向に移動可能に構成される。載置部移動機構51は、固定側レール部材52、中間レール部材53及び移動側レール部材54により構成される。固定側レール部材52は、側板23(特に、後述する第1の側板24)の収納空間20を向く面に取り付けられる。移動側レール部材54は、載置部5の側板23を向く端面に取り付けられる。中間レール部材53は、固定側レール部材52と移動側レール部材54とにそれぞれ相対移動可能に嵌まり合っている。載置部5は、載置部移動機構51により、
図2に示す載置部収納位置と、
図4に示す載置部引出位置との間を移動可能に構成される。
図2に示す載置部収納位置は、載置部5の前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置しない。また、
図4に示す載置部引出位置は、載置部5の前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置する。
【0024】
(2.1.2)扉
図1に示すように、扉3は、収納キャビネット1の開口21を開閉する。扉3は、正面視矩形状をしたものである。本実施形態では、収納キャビネット1は、扉3として、左側の扉3及び右側の扉3を備えている。左側の扉3の回転軸30(
図7参照)となる左右方向の一端部は、キャビネット本体2の左端部に位置する。また、右側の扉3の回転軸30となる左右方向の端部は、キャビネット本体2の右端部に位置している。扉3は、天板22等と同様の材料により板状に形成され、適宜の厚みに形成される。キャビネット本体2と扉3とにより、筐体が構成される。
【0025】
本実施形態では、
図5に示すように、扉3は、扉移動機構31により、前後方向に移動可能に構成される。扉移動機構31は、レール部材32、移動部材33及び回転部材34により構成される。レール部材32は、上片321、縦片322、下片323、前片324及び後片325を有する。レール部材32は、側板23に沿うように、天板22及び底板26にそれぞれ取り付けられる。移動部材33は、ローラ331を有する。ローラ331は、レール部材32に挿入され、レール部材32の長手方向に沿って移動可能となる。これにより、移動部材33は、前後方向に移動可能となる。また、前片324により、ローラ331の前方への移動が規制され、後片325により、ローラ331の後方への移動が規制される。
【0026】
回転部材34は、移動部材33に連結される回転部341を有する。回転部341は、軸と軸受のうちの一方を有し、軸と軸受のうちの他方は移動部材33に形成される。回転部材34には、扉3の回転軸30となる側の端部が取り付けられる。
【0027】
図6に示すように、左右の側板23はそれぞれ、内側の第1の側板24と、外側の第2の側板25とを有する二重構造をなしている。第1の側板24と第2の側板25と間の空間が、扉収納空間となる。扉3は、回転軸30となる一端部が、キャビネット本体2の前端部より後側に位置する扉収納位置に収納される。
【0028】
また、扉3は、
図1に示すように、回転軸30となる一端部がキャビネット本体2の前端部に位置する扉引出位置に引出される。すなわち、扉3は、扉移動機構31により、扉引出位置と扉収納位置との間を移動可能に構成される。
【0029】
扉収納位置から扉引出位置まで引き出された扉3は、
図7に示すように、回転部341により、回転軸30を中心に回転する。すなわち、扉3は、回転軸30となる一端部が、キャビネット本体2の前端部に位置した状態で、左右方向の他端部が回転可能に構成されている。扉3の他端部を回転させることにより、
図8に示すように、扉3が収納キャビネット1の開口21を閉じる状態となる。
【0030】
(2.1.3)給電部
図1に示すように、給電部11は、収納空間20に収納される電気機器に給電を行うためのものである。具体的には、給電部11は、電気機器が有する電源コードのプラグの栓刃が差し込まれるコンセントである。給電部11には、外部の商用電源等の電源より電力が供給される。
【0031】
(2.1.4)切替操作部
図9及び
図10に示すように、切替操作部4は、給電の入切を切替える操作を行うためのものである。切替操作部4は、平面視矩形状をした板状のもので、載置部5等と同様の材料により形成され、適宜の厚みに形成される。本実施形態では、切替操作部4の左右方向の長さは、収納空間20の左右方向の長さを含む所定の長さ範囲内にある。ここで、所定の長さ範囲内とは、収納空間20の左右方向の長さから、これよりも若干(例えば5mm~3cm)短い長さまでの範囲をいうが、特に限定されない。
【0032】
切替操作部4は、キャビネット本体2の下端部に位置する。具体的には、切替操作部4は、底板26の上側でかつ載置部5の下側の空間に配置される。
【0033】
図11A及び
図11Bに示すように、切替操作部4は、操作部支持部41により支持され、かつ、前後方向に移動可能に構成される。操作部支持部41は、レール部材42及び挿入部47により構成される。レール部材42は、上片43、縦片44、下片45及び前片46を有する。レール部材42は、第1の側板24の収納空間20を向く面に取り付けられる。挿入部47は、切替操作部4の側板23を向く端面に取り付けられる。挿入部47は、レール部材42に挿入され、レール部材42の長手方向に沿って移動可能となる。これにより、切替操作部4は、前後方向に移動可能となる。また、前片46により、挿入部47の前方への移動が規制される。
【0034】
切替操作部4は、給電を入とする
図10に示す入位置と、
図2に示す給電を切とする切位置との間を移動可能に構成される。キャビネット本体2は、切替操作部4の位置により、給電の入切が切り替えられる切替部12を有する。切替部12は、例えばリミットスイッチ等により構成されるが、特にリミットスイッチに限定されない。
【0035】
また、切替操作部4は、
図2及び
図10に示すように、位置保持機構48により、入位置と切位置がそれぞれ保持される。位置保持機構48は、いわゆるハート型カムにより構成されるが、特にハート型カムに限定されない。
【0036】
図9及び
図10に示すように、切替操作部4は、入位置では、前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置している。切替操作部4は、入位置に位置している状態で、開口21を閉塞していない扉3が開口21を閉塞する方向に移動するのを規制する閉塞規制部を構成する。すなわち、扉3に面する端部が、扉3が閉じるのを規制している。
【0037】
また、
図1及び
図2に示すように、切替操作部4は、切位置では、前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置しない。切替操作部4は、切位置に位置している状態では、閉塞規制部を構成しない。これにより、
図8に示すように、扉3を閉じることができる。
【0038】
(2.1.5)収納家具
図12及び
図13に示すように、収納家具6は、収納キャビネット1と、収納キャビネット1の下側に位置して収納キャビネット1を載置する下段キャビネット7と、を備える。
【0039】
下段キャビネット7は、下段キャビネット本体71と、下段扉75と、パッキン72と、を有する。下段キャビネット本体71は、天板、側板、底板及び背板により構成される。下段キャビネット本体71は、全体の形状及び大きさにおいて、収納キャビネット1と略同じに形成される。下段収納空間73は、天板、側板、底板、背板及び下段扉75により囲まれる部分である。下段キャビネット本体71は、内部の下段収納空間73と前方の外部空間とを通じさせる下段開口74を有する。下段扉75は、下段キャビネット本体71の下段開口74を開閉する。下段キャビネット本体71は、下段扉75として、左側の下段扉75及び右側の下段扉75を備えている。左側の下段扉75の回転軸となる左右方向の端部は、下段キャビネット本体71の左端部に位置する。また、右側の下段扉75の回転軸となる左右方向の端部は、下段キャビネット本体71の右端部に位置している。
【0040】
パッキン72は、下段開口74を閉塞する下段扉75と、下段キャビネット本体71の前面との間に配置される。本実施形態では、下段キャビネット本体71の前端面に、正面視環状をしたOリングからなるパッキン72が取り付けられる。
【0041】
入位置にある切替操作部4、すなわち前方に突出している切替操作部4は、パッキン72の上側でかつパッキン72の前側に位置する。これにより、収納家具6の前方に位置する使用者は、切替操作部4が入位置にある場合、パッキン72の上側でかつパッキン72の前側よりパッキン72の方を見ても、切替操作部4に隠れてパッキン72が見えない。
【0042】
(2.2)動作
使用者は、
図8に示すように扉3が開口21を閉じている状態から、電気機器を使用しようとする場合、まず、
図1に示すように扉3を開ける。この状態では、切替操作部4が切位置にあり、電気機器への給電は行われていない。
【0043】
次に、使用者は、切替操作部4を入位置にまで引き出す。本実施形態では、キャビネット本体2はいわゆるハート型カムからなる位置保持機構48を有している。このため、使用者は、切位置にある切替操作部4を後方に押すことにより、切替操作部4は一旦後方に後退した後、
図9及び
図10に示すように、切替操作部4は入位置にまで前進する。切替操作部4は入位置にまで前進すると、リミットスイッチからなる切替部12を押す力がなくなって給電の入切が切り替えられ、電気機器への給電が入となる。また、使用者は、必要に応じて、載置部5を引き出して、電気機器をキャビネット本体2より前方に位置させる(
図4参照)。
【0044】
切替操作部4が入位置にある状態では、切替操作部4は閉塞規制部を構成しており、扉3が開口21を閉塞する方向に移動しても、扉3が切替操作部4の端面に当たって、扉3が閉じるのが規制される。電気機器への給電を切とする意図がない場合、使用者が不用意に扉3を閉じようとしても扉3が閉じることはなく、電気機器への給電は切とならない。これにより、従来例のように、電気機器への給電を切とする意図がないのに不用意に扉3を閉じてしまって、電気機器への給電が切となってしまうのが抑制される。
【0045】
使用者が電気機器への給電を切とする場合、使用者は、
図1及び
図2に示すように、切替操作部4を切位置にまで押し込む。これにより、電気機器への給電は切となる。
【0046】
切替操作部4が切位置にある場合、切替操作部4は閉塞規制部を構成しないため、使用者は扉3を回転させて、開口21を閉塞することができる。
【0047】
(3)変形例
天板22、底板26、載置部5及び切替操作部4の平面視における形状、側板23の側面視における形状、扉3及び背板27の正面視における形状は、特に限定されない。
【0048】
天板22、側板23、底板26、背板27、載置部5、切替操作部4及び扉3の材質、大きさ、厚みは、特に限定されない。
【0049】
キャビネット本体2が載置部5を備えない場合には、収納空間20は、天板22、側板23、底板26及び背板27により囲まれる部分となる。
【0050】
載置部5は、上述したような載置部移動機構51によらずに前後方向に移動可能に構成されてもよい。また、載置部5は、前後方向に移動可能に構成されなくてもよい。
【0051】
載置部収納位置は、載置部5の前端部がキャビネット本体2の前端部と前後方向における位置が同じとなる位置であってもよい。
【0052】
扉3は、左側の扉3と右側の扉3とに分割されていなくてもよい。また、扉3は、上下方向に伸びる回転軸30を中心に回転するが、回転軸30の伸びる方向は左右方向であってもよく、特に限定されない。
【0053】
扉3は、上述したような扉移動機構31によらずに前後方向に移動可能に構成されてもよい。また、扉3は、前後方向に移動可能に構成されなくてもよい。
【0054】
切替操作部4の位置は、キャビネット本体2の下端部でなく、キャビネット本体2の上端部等であってもよく、特に限定されない。
【0055】
下段キャビネット本体71は、全体の形状及び大きさにおいて、収納キャビネット1と略同じに形成されなくてもよい。また、下段キャビネット本体71は、収納キャビネット1と同じものであってもよい。
【0056】
下段扉75は、左側の扉3と右側の扉3とに分割されていなくてもよい。
【0057】
パッキン72は、Oリングに限定されない。
【0058】
(まとめ)
以上、上述した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の収納キャビネット1は、キャビネット本体2と、扉3と、給電部11と、切替操作部4と、を備える。キャビネット本体2は、内部に形成される収納空間20と、収納空間20と前方の外部空間とを通じさせる開口21と、を有する。扉3は、開口21を開閉する。給電部11は、収納空間20に収納される電気機器に給電を行うためのものである。切替操作部4は、給電の入切を切替える操作を行うためのものである。切替操作部4は、給電を入とする入位置と、給電を切とする切位置との間を移動可能に構成される。切替操作部4は、入位置に位置している状態で、開口21を閉塞していない扉3が開口21を閉塞する方向に移動するのを規制する閉塞規制部を構成し、切位置に位置している状態で、閉塞規制部を構成しない。
【0059】
第1の態様によれば、開口21を閉塞していない扉3が開口21を閉塞する方向に移動しても、扉3が閉塞規制部を構成する切替操作部4に当たって扉3が閉じるのが規制され、給電が切となることが抑制される。
【0060】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、収納キャビネット1は、収納空間20内に収納され、電気機器が載置される載置部5を更に備える。載置部5は、前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置する載置部引出位置と、前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置しない載置部収納位置との間を移動可能に構成される。
【0061】
第2の態様によれば、電気機器をキャビネット本体2より前方に位置させることができ、電気機器を操作しやすい。
【0062】
第3の態様では、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様は、扉3は、回転軸30となる左右方向の一端部がキャビネット本体2の前端部に位置し、左右方向の他端部が回転可能に構成されている。切替操作部4は、キャビネット本体2の下端部に位置する。切替操作部4は、入位置では、前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置しており、切位置では、前端部がキャビネット本体2の前端部より前側に位置しない。
【0063】
第3の態様によれば、扉3の一端部が回転軸30となり、扉3の他端部が回転してキャビネット本体2の開口21を閉じるものにおいて、切替操作部4がキャビネット本体2の前端部より前側に位置するだけで、閉塞規制部を構成することができる。
【0064】
第4の態様では、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、扉3は、回転軸30となる一端部がキャビネット本体2の前端部に位置する扉引出位置と、一端部がキャビネット本体2の前端部より後側に位置する扉収納位置との間を移動可能に構成される。
【0065】
第4の態様によれば、電気機器の使用時に扉3を収納することができて、扉3が邪魔にならない。
【0066】
第5の態様では、第4の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、収納キャビネット1は、扉3として、左側の扉3及び右側の扉3を備える。左側の扉3の回転軸30はキャビネット本体2の左端部に位置し、右側の扉3の回転軸30はキャビネット本体2の右端部に位置している。切替操作部4の左右方向の長さは、収納空間20の左右方向の長さを含む所定の長さ範囲内にある。
【0067】
第5の態様によれば、一の切替操作部4により、左側の扉3及び右側の扉3の閉塞規制部を構成することができる。
【0068】
第6の態様の収納家具6は、第3~第5のいずれかの態様の収納キャビネット1と、収納キャビネット1の下側に位置して収納キャビネット1を載置する下段キャビネット7と、を備える。下段キャビネット7は、内部に形成される下段収納空間73と前方の外部空間とを通じさせる下段開口74を有する下段キャビネット本体71と、下段開口74を開閉する下段扉75と、下段開口74を閉塞する下段扉75と下段キャビネット本体71の前面との間に配置されるパッキン72と、を有する。入位置にある切替操作部4は、パッキン72の前側に位置する。
【0069】
第6の態様によれば、切替操作部4が入位置にある場合、使用者がパッキン72の前側よりパッキン72の方を見ても、切替操作部4に隠れてパッキン72が見えない。
【符号の説明】
【0070】
1 収納キャビネット
11 給電部
2 キャビネット本体
20 収納空間
21 開口
23 側板
3 扉
30 回転軸
4 切替操作部
5 載置部
6 収納家具
7 下段キャビネット
71 下段キャビネット本体
72 パッキン
73 下段収納空間
74 下段開口
75 下段扉