(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20230728BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230728BHJP
H05K 5/04 20060101ALI20230728BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H05K7/14 E
H02M7/48 Z
H05K5/04
H05K7/20 D
(21)【出願番号】P 2019112359
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児島 慎二
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-190592(JP,A)
【文献】実開平05-055389(JP,U)
【文献】特開2009-289811(JP,A)
【文献】特開2006-126786(JP,A)
【文献】特開2018-060828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0225454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H02M 7/48
H05K 5/04
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路を構成する複数の回路部品を内部に収容する電気機器用の筐体であって、
前記複数の回路部品を内部に収容する金属製の本体と、樹脂製のホルダと
、前記本体に固定される取付部材とを備え、
前記複数の回路部品は回路基板を含み、
前記回路基板は、前記本体の外部からの直接的な操作を受け付ける受付部及び前記本体の外部から目視可能な表示部の少なくとも一方を有し、
前記ホルダは前記回路基板を保持し、前記回路基板は前記ホルダを介して前記本体に取り付けられて
おり、
前記ホルダは、前記取付部材を介して、前記本体に取り付けられており、
前記ホルダ及び前記取付部材の一方には凹部が設けられ、前記ホルダ及び前記取付部材の他方には前記凹部に嵌る突起が設けられており、
前記ホルダは、前記凹部に前記突起が嵌るように前記取付部材に差し込み接続される、
筐体。
【請求項2】
前記突起が前記凹部に嵌った状態で、前記ホルダの一部に当たることで前記ホルダの移動を規制する押さえ部材を更に備える、
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
前記押さえ部材は、前記複数の回路部品のうちの前記回路基板以外の回路部品、及び、前記回路基板以外の回路部品を保持するための保持部品のいずれかである、
請求項2に記載の筐体。
【請求項4】
前記ホルダは、前記回路基板を保持するための取付フックを有し、
前記取付フックに設けられた爪が、前記回路基板の周縁部に引っ掛かることによって、前記回路基板が前記ホルダに保持される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項5】
前記ホルダは、前記回路基板の周りを囲む壁を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項6】
前記回路基板が前記受付部を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項7】
前記ホルダは、外部からの押し力を受けて前記本体の内側に移動し、外部からの押し力を前記受付部に伝える可動部を有する、
請求項6に記載の筐体。
【請求項8】
前記複数の回路部品が発熱部品を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の筐体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の筐体と、
前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品とを備える、
電気機器。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の筐体と、
前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品とを備え、
前記複数の回路部品が、電力変換を行う電力変換回路の部品を含む、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置に関する。より詳細には、本開示は、回路部品を収容する筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、直流電力を交流電力に電力変換する電装部品(回路部品)を、金属製の筐体の内部に収納した電力変換装置を開示する。電力変換装置は、電装部品として、設定部及び表示部等を有する電力変換器を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電力変換装置において、筐体の外部から設定部の操作、又は、表示部の目視が可能な場合、筐体の外部からユーザが触れる可能性がある設定部及び表示部が実装された回路基板と、その周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが要求される。
【0005】
本開示の目的は、回路基板と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが可能な筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の筐体は、電気回路を構成する複数の回路部品を内部に収容する電気機器用の筐体である。前記筐体は、前記複数の回路部品を内部に収容する金属製の本体と、樹脂製のホルダと、前記本体に固定される取付部材とを備える。前記複数の回路部品は回路基板を含む。前記回路基板は、前記本体の外部からの直接的な操作を受け付ける受付部、及び、前記本体の外部から目視可能な表示部の少なくとも一方を有する。前記ホルダは前記回路基板を保持し、前記回路基板は前記ホルダを介して前記本体に取り付けられている。前記ホルダは、前記取付部材を介して、前記本体に取り付けられている。前記ホルダ及び前記取付部材の一方には凹部が設けられ、前記ホルダ及び前記取付部材の他方には前記凹部に嵌る突起が設けられている。前記ホルダは、前記凹部に前記突起が嵌るように前記取付部材に差し込み接続される。
【0007】
本開示の一態様の電気機器は、前記筐体と、前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品とを備える。
【0008】
本開示の一態様の電力変換装置は、前記筐体と、前記筐体の内部に収容される前記複数の回路部品とを備え、前記複数の回路部品が、電力変換を行う電力変換回路の部品を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、回路基板と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが可能な筐体、それを備える電気機器、及び電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る筐体を備える電力変換装置の一部破断した斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の電力変換装置を前側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電力変換装置の斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の電力変換装置を後側から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の電力変換装置の要部の断面図である。
【
図6】
図6は、同上の電力変換装置の要部の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の電力変換装置が備えるホルダの取付方法を説明する斜視図である。
【
図8】
図8は、同上の電力変換装置を用いる電力変換システムのシステム構成図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態の変形例1に係る電力変換装置を前側から見た分解斜視図である。
【
図10】
図10は、変形例1の電力変換装置を後側から見た分解斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態の変形例2に係る電力変換装置が備える本体の分解斜視図である。
【
図13】
図13は、変形例2の電力変換装置が備える本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
本実施形態の筐体1は、
図1~
図4に示すように、電気回路が有する複数の回路部品110を内部に収容する電気機器用の筐体1である。
【0013】
筐体1は、複数の回路部品110を内部に収容する金属製の本体2と、樹脂製のホルダ60とを備える。
【0014】
複数の回路部品110は回路基板115(
図5及び
図6参照)を含む。回路基板115は、本体2の外部からの直接的な操作を受け付ける受付部(本実施形態では押釦スイッチSW1)、及び、本体2の外部から目視可能な表示部(本実施形態では例えば発光ダイオードLD1)を有する。なお、回路基板115は受付部と表示部との両方を備えるものに限定されず、受付部と表示部との少なくとも一方を有していればよい。
【0015】
ホルダ60は回路基板115を保持し、回路基板115はホルダ60を介して本体2に取り付けられている。
【0016】
ここで、受付部は、筐体1を備える電気機器の動作状態を切り替えるための操作を受け付けており、例えば電気機器を動作又は停止させる操作、又は、電気機器の出力を変化させるための操作等を受け付ける。なお、受付部が直接的な操作を受け付けるとは、ユーザの身体(例えば手指等)による操作を直接受け付けるものに限定されず、ユーザによって直接操作される他の部材を介してユーザの操作を間接的に受け付けるものも含み得る。また、表示部は、筐体1を備える電気機器の動作状態等を表示しており、例えば電気機器が動作中であるか停止中であるかを表示したり、電気機器に異常が発生しているか否かを表示したりする。
【0017】
回路基板115は受付部及び表示部を有しているので、筐体1の外部からユーザが受付部又は表示部に触れる可能性がある。ここで、受付部及び表示部を有する回路基板115は樹脂製のホルダ60に保持され、回路基板115はホルダ60を介して本体2に取り付けられているので、回路基板115と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることができる。
【0018】
(2)詳細
(2.1)構成
以下、本実施形態に係る筐体1、及び、それを備える電気機器について
図1~
図8を参照して詳しく説明する。以下の説明では、
図1~
図3におけるX軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向(奥行き方向)、Z軸方向を上下方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Y軸方向の正の向きを前側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、筐体1を備える電気機器の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0019】
筐体1は電気機器に備えられる。換言すれば、電気機器は、筐体1と、筐体1の内部に収容される複数の回路部品110とを備える。本実施形態では、筐体1を備える電気機器が、例えば、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置100である場合を例に説明するが、電気機器は電力変換装置100に限定されない。電力変換装置100は、筐体1と、筐体1の内部に収容される複数の回路部品110とを備えており、複数の回路部品110は、電力変換を行う電力変換回路101(
図9参照)の部品を含んでいる。
【0020】
筐体1を備える電気機器(電力変換装置100)は、例えば住宅等の施設の屋外の壁300(
図1及び
図3参照)等に設置される。本体2は、例えば、壁300に固定された取付部材8を介して、壁300に取り付けられる。
【0021】
ここで、電力変換装置100を備えた電力変換システム200について
図8を参照して説明する。
【0022】
電力変換システム200は、1以上(図示例では例えば2つ)の太陽光発電モジュール201と、電力変換装置100と、リモートコントローラ202と、分電盤203と、を備えている。電力変換装置100は、住宅等の施設の壁300に取り付けられるように構成されている。電力変換装置100は、例えばDC-DCコンバータ及びDC-ACコンバータ等の電気回路を含み、太陽光発電モジュール201から出力される直流電力を交流電力に変換する。電力変換装置100は、電力変換した交流電力を分電盤203に出力し、分電盤203を介して負荷機器205に供給する。負荷機器205は、例えば施設において使用される照明器具、空調機器、テレビジョン等である。電力変換装置100が出力する交流電力のうち負荷機器205で使用されない余剰の交流電力は商用交流電源204に逆潮流させることもできる。電力変換装置100はリモートコントローラ202と電気的に接続されており、リモートコントローラ202を用いて電力変換装置100の駆動条件の設定、及び、太陽光発電モジュール201の発電量の確認等を行うことができるように構成されている。
【0023】
電力変換装置100は、太陽光発電モジュール201から出力される直流電力で蓄電池ユニット206を充電してもよく、蓄電池ユニット206から放電させた直流電力を交流電力に電力変換して分電盤203に出力してもよい。なお、電力変換装置100は、太陽光発電モジュール201と組み合わせられるものに限定されず、燃料電池システム、風力発電システム等の発電システムによって発電される直流電力を交流電力に電力変換するものでもよい。
【0024】
また、電力変換装置100は、受付部としての押釦スイッチSW1と、表示部としての複数の発光ダイオードLD1とが実装された回路基板115を有している。押釦スイッチSW1は、例えばユーザによる運転操作又は停止操作を受け付ける受付部の機能を有している。複数の発光ダイオードLD1は、例えば電力変換装置100が動作中か停止中かを表示したり、電力変換装置100に異常が発生しているか否かを表示したりする表示部の機能を有している。回路基板115は、外部からの押釦スイッチSW1の操作と、外部からの発光ダイオードLD1の目視とが可能な状態でホルダ60を介して本体2に取り付けられている。
【0025】
以下では、電力変換装置100の構成について、より具体的に説明する。
【0026】
電力変換装置100は、
図1及び
図2に示すように、電気回路(上述の電力変換回路101等)を構成する複数の回路部品110を筐体1の内部に収容する。電力変換回路101は、例えばDC-DCコンバータ回路、及び、DC-ACコンバータ等の回路を含む。
【0027】
筐体1は、本体2と、カバー3とを備える。
【0028】
本体2は、アルミニウム又はその合金等の板金に絞り加工を施すことによって、前面に開口21を有する箱状に形成されている。本体2は、矩形板状の後板22と、後板22の全周から前方に突出する側板23と、側板23の前端から外側に向かって突出する外鍔部24とを備えている。本体2において、後板22と側板23とで囲まれる収容スペース20に複数の回路部品110が収容される。本体2には、本体2に収容されている複数の回路部品110の前側を覆う樹脂カバー27が配置されている。
【0029】
カバー3は、例えばアルミニウム又はその合金等の板金に絞り加工を施すことによって形成されている。カバー3は、本体2の開口21を塞ぐために、本体2の外鍔部24に被せた状態で例えばねじ等を用いて本体2に取り付けられる。外鍔部24には環状のパッキンが配置されており、カバー3はパッキンを介して本体2に固定されているので、本体2とカバー3との間の隙間から水又は埃等の異物が入り込む可能性を低減することができる。
【0030】
また、本体2の後部の右下には、後板22と下側の側板23とにかけて貫通孔25が設けられている。本体2の後板22及び側板23には、貫通孔25が設けられた部位の周囲に、下方及び後方に突出する突出部4が設けられている。突出部4の下部には開口が設けられており、突出部4の下部の開口を塞ぐ蓋部材5が突出部4に取り付けられている。また、突出部4の後面には電線挿入口43が設けられており、本体2の後方から突出部4の電線挿入口43に挿入された電線は貫通孔25を通して収容スペース20に挿入される。ここで、収容スペース20には、回路部品110として、端子台111が貫通孔25の上側に収容されており、複数(例えば4つ)の開閉器112が収容スペース20の左下に左右方向に並べて収容されている。本体2の外部から電線挿入口43と貫通孔25とを通して収容スペース20に挿入された電線は、端子台111及び開閉器112等に接続されている。
【0031】
本体2の後板22には、貫通孔25の上側の部位に中空のヒートシンク兼用ケース6が取り付けられ、ヒートシンク兼用ケース6の左側にヒートシンク7が取り付けられている。ヒートシンク兼用ケース6は、例えばアルミニウム又はその合金等で形成されており、前面が開口した箱状に形成されている。本体2の後板22には、ヒートシンク兼用ケース6が取り付けられる部位に、ヒートシンク兼用ケース6の前面よりも小さい第1貫通部が設けられている。この第1貫通部によって本体2の収容スペース20とヒートシンク兼用ケース6の内部とは繋がっており、ヒートシンク兼用ケース6の内部にも1以上の回路部品110(例えばトランス及びACリアクトル等の大型部品)が収容されている。また、本体2の後板22には、ヒートシンク7が取り付けられる部位に第2貫通部が設けられており、複数の回路部品110に含まれる発熱部品が第2貫通部を通してヒートシンク7に熱的に結合されている。ここで、発熱部品とは、通電中に当該部品が発生する熱が、当該部品で放熱可能な熱に比べて大きい部品であって、当該部品を使用中に当該部品の温度が定格温度を超えないようにするためにヒートシンク等の放熱対策を必要とする部品である。回路部品110に含まれる発熱部品としては、DC-DCコンバータ又はDC-ACコンバータに用いられるIPM(Intelligent Power Module)のようなスイッチング素子、トランス、又はリアクトル等の部品がある。
【0032】
ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の後面には、筐体1を取付部材8に引っ掛けるための皿ねじ11(
図4参照)が1つずつ取り付けられている。また、ヒートシンク7の上面及び下面には、それぞれねじ穴を有する固定片12及び固定片13が設けられている(
図2及び
図4参照)。
【0033】
上述のように、本体2の内部には、受付部である押釦スイッチSW1と表示部である複数の発光ダイオードLD1とが実装された回路基板115が収容されている(
図5参照)。この回路基板115は、
図5及び
図6に示すように、樹脂製のホルダ60を介して本体2の例えば右側の側板23に取り付けられている。なお、本実施形態では、本体2の側板23に取付部材70(
図7参照)が固定されており、この取付部材70に回路基板115を保持したホルダ60が取り付けられる。換言すれば、筐体1は、本体2に固定される取付部材70を更に備え、ホルダ60は、取付部材70を介して、本体2に取り付けられている。
【0034】
取付部材70は、本体2の右側の側板23に取り付けられる。取付部材70は、帯板状の板金に例えばプレス加工を施すことによって形成されている。取付部材70は、側板23に取り付けられる矩形板状の中央片71と、中央片71の長手方向における両端部から一方向にそれぞれ突出する第1側片72及び第2側片73とを一体に備えている。
【0035】
中央片71には、ホルダ60に設けられた可動部64に対応する部位に、中央片71を厚み方向に貫通する貫通孔74が設けられている。第1側片72には、ホルダ60の突起69が挿入される孔75が設けられている。第2側片73には、ホルダ60の突起67が挿入される孔76が設けられている。
【0036】
また、中央片71には、本体2の右側の側板23に設けられた2個の突起233が挿入される2個の丸孔711が設けられている。この取付部材70は、本体2の突起233が丸孔711内に挿入されるように、中央片71を本体2の側板23に配置した状態で、本体2に対して溶接等の方法で接合される。なお、本体2の右側の側板23には、取付部材70の貫通孔74と対応する部位に、側板23を厚み方向に貫通する貫通孔235が設けられている。また、側板23には、取付部材70に取り付けられたホルダ60に保持される回路基板115の発光ダイオードLD1に対応する部位に、側板23を厚み方向に貫通する4個の貫通孔232が設けられている。
【0037】
ホルダ60は、例えばポリスチレン(PS)又はポリプロピレン(PP)等の合成樹脂の成形品である。ホルダ60は、回路基板115の実装面と対向する矩形板状の平板部61と、平板部61の外周部の全体から厚み方向の片側に突出する枠部62とを有する。この枠部62は回路基板115の周りを囲む壁となる。つまり、ホルダ60は、回路基板115の周りを囲む壁(枠部62)を有しているので、ホルダ60に保持された回路基板115と、回路基板115の周囲にある金属部品との間の電気的絶縁性を高めることができる。
【0038】
回路基板115と対向する平板部61の一面には、短辺方向の一端側に、回路基板115を支持する一対の円柱部611が長辺方向の両側に設けられている。また、平板部61の一面には、短辺方向の他端側に、回路基板115を支持する一対の円柱部612,613が長辺方向の両側に設けられており、円柱部612,613の先端には回路基板115の孔1151(
図6参照)に嵌る突起が設けられている。
【0039】
平板部61の中央部には、回路基板115に実装されている押釦スイッチSW1と対向する部位に丸孔63が設けられている。丸孔63には、平板部61の厚み方向に移動可能な円盤状の可動部64が配置されている。可動部64の周面には、一対の支持アーム65の一端がそれぞれ結合されており、一対の支持アーム65の他端は丸孔63の周縁部分にそれぞれ結合されている。すなわち、可動部64は一対の支持アーム65を介して平板部61に取り付けられており、一対の支持アーム65が撓むことによって、可動部64は平板部61の厚み方向において移動することができる。ホルダ60に回路基板115が保持された状態では、回路基板115に実装された押釦スイッチSW1の操作子に可動部64が対向しており、可動部64が回路基板115側に押されると、可動部64によって押釦スイッチSW1の操作子が押されることになる。
【0040】
平板部61には、回路基板115に実装されている4個の発光ダイオードLD1の投影位置に、平板部61を厚み方向に貫通する貫通孔がそれぞれ設けられ、各貫通孔の周縁部から回路基板115に向かって円筒状の筒体66が突出している。ホルダ60に回路基板115が保持された状態では、回路基板115に実装された複数の発光ダイオードLD1の各々が対応する筒部66の内側に配置される。
【0041】
また、ホルダ60の枠部62には、回路基板115をホルダ60に取り付けるための受け片621と取付フック622とが設けられている。受け片621を上下方向から見た形状はL字形である。受け片621は、後側の枠部62の先端部分に設けられ、回路基板115の後側の端部に引っ掛かる。取付フック622は、前側の枠部62の先端部分に設けられている。取付フック622は前後方向において撓み可能であり、取付フック622の先端には回路基板115の前側の端部に引っ掛かる爪6221が設けられている。
【0042】
また、ホルダ60の後側の枠部62の外側面(後面)には、取付部材70の孔76に挿入される突起67が設けられている。また、ホルダ60は、前側の枠部62よりも更に前側に配置される外側壁623を有している。外側壁623と前側の枠部62との間には取付部材70の第1側片72が挿入される孔68が設けられ、外側壁623の内側面(後面)には、取付部材70の孔75に挿入される突起69が設けられている。
【0043】
ここで、ホルダ60を用いて回路基板115を本体2に取り付ける方法について説明する。
【0044】
まず、ホルダ60に回路基板115を取り付ける場合、押釦スイッチSW1及び発光ダイオードLD1が実装された面を平板部61に向けた状態で、ホルダ60の受け片621と円柱部611との間に回路基板115の後側の端部を斜めに差し込む。受け片621と円柱部611との間に回路基板115の後側の端部が差し込まれた状態で、回路基板115と受け片621との接触部位を回転中心として、回路基板115の前側の端部をホルダ60の平板部61に近付ける向きに回路基板115を回転させる。このとき、回路基板115の前側の端部が取付フック622の爪6221に当たり、爪6221を前側に押すことによって、取付フック622が前側に撓められる。そして、回路基板115の前側の端部が爪6221を越える位置まで回路基板115が回転すると、取付フック622が撓められる前の状態に戻り、取付フック622の爪6221が回路基板115の前側の端部と引っ掛かる。このとき、回路基板115の一方の面(平板部61との対向面)に円柱部611,612,613が接触し、回路基板115の反対側の面に受け片621及び爪6221が接触しており、ホルダ60に回路基板115が保持された状態となる。このように、ホルダ60は、回路基板115を保持するための取付フック622を有し、取付フック622に設けられた爪6221が、回路基板115の周縁部(前端部)に引っ掛かることによって、回路基板115がホルダ60に保持される。したがって、本実施形態では、ねじ止め作業を行うことなく、回路基板115をホルダ60に保持させることができる。
【0045】
次に、回路基板115が取り付けられたホルダ60を本体2に取り付ける方法について説明する。まず、ホルダ60の平板部61を取付部材70の中央片71に対して斜めに傾けた状態で、ホルダ60の後側の枠部62に設けられた突起67を第2側片73の孔76に挿入する。突起67が孔76に挿入された状態で、ホルダ60の前側を中央片71に近付け、ホルダ60の貫通孔68に第1側片72を挿入し、外側壁623の後面の突起69を第1側片72の孔75に挿入させる。これにより、ホルダ60の突起69,67がそれぞれ取付部材70の孔75,76に嵌った状態となり、ホルダ60が取付部材70(すなわち本体2)に取り付けられた状態となる。このように、本実施形態では、ホルダ60に突起67,69が設けられ、取付部材70に突起67,69が嵌る凹部(孔76,75)が設けられている。そして、ホルダ60は、凹部(孔76,75)に突起67,69が嵌るように取付部材70に差し込み接続されており、溶接又はネジ止め作業を必要とせずにホルダ60を取付部材70に取り付けることができる。なお、ホルダ60に突起が設けられ、取付部材70に突起が嵌る凹部が設けられることは必須ではなく、ホルダ60及び取付部材70の一方には凹部が設けられ、ホルダ60及び取付部材70の他方には凹部に嵌る突起が設けられてもよい。そして、ホルダ60は、凹部に突起が嵌るように取付部材70に差し込み接続されればよい。
【0046】
ホルダ60に回路基板115が保持された状態では、回路基板115に実装された押釦スイッチSW1の操作子が可動部64と対向する。そして、回路基板115を保持したホルダ60が取付部材70を介して本体2に取り付けられた状態では、可動部64が、取付金具70の貫通孔74と本体2の貫通孔235とを通して本体2の外側に露出している。可動部64が本体2の外部から押されると、可動部64は外部からの押し力を受けて本体2の内側に移動して、押釦スイッチSW1の操作子を押しており、本体2の外側から可動部64を介して押釦スイッチSW1を間接的に操作することができる。つまり、本実施形態では、回路基板115が受付部(押釦スイッチSW1)を有している。回路基板115は樹脂製のホルダ60を介して本体2に取り付けられるので、ユーザが直接的又は間接的に触れる可能性がある回路基板115と周囲の金属部品(例えば本体2等)との間の電気的絶縁性を高めることができる。なお、本実施形態では、ホルダ60が、外部からの押し力を受けて本体2の内側に移動し、外部からの押し力を受付部(押釦スイッチSW1)に伝える可動部64を有しており、受付部は、ホルダ60が有する可動部64を介して間接的に操作を受け付けることができる。
【0047】
また、ホルダ60に回路基板115が保持された状態では、回路基板115に実装された発光ダイオードLD1が、ホルダ60に設けられた筒体66の内側に配置される。そして、回路基板115を保持したホルダ60が取付部材70を介して本体2に取り付けられた状態では、本体2の外側から、本体2の貫通孔232と、筒部66の内側の孔とを通して発光ダイオードLD1の発光を目視可能な状態となる。
【0048】
なお、本体2の側板23の外側面には、貫通孔235,232が開口する部位に、矩形板状のメンブレンシート234が貼り付けられている。メンブレンシート234は、可視光に対して透過性を有し、かつ、可撓性を有する合成樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等)で形成されている。したがって、ユーザはメンブレンシート234を介して可動部64を押すことで、可動部64を介して押釦スイッチSW1の操作子を押すことができる。よって、回路基板115は、受付部である押釦スイッチSW1により、本体2の外部からの操作を受け付けることができる。また、ユーザはメンブレンシート234を通して発光ダイオードLD1の発光(すなわち表示部の表示)を目視可能である。
【0049】
なお、ホルダ60を取付部材70から取り外す場合、第1側片72を後側に押して、突起69を第1側片72の孔75の外に出す。突起69が孔75の外に出た状態で、ホルダ60の前側が側板23から離れる方向に、ホルダ60の後端部を回転中心としてホルダ60を回転させることで、ホルダ60を取付部材70から取り外すことができる。
【0050】
また、ホルダ60から回路基板115を取り外す場合は、取付フック622を前側に押して、取付フック622の爪6221を前側に移動させることで、爪6221が回路基板115の前側の端部に引っ掛かった状態を解除する。その後、回路基板115の前側がホルダ60の平板部61から離れる方向に、回路基板115と受け片621との接触位置を回転中心として回路基板115を回転させると、回路基板115をホルダ60から取り外すことができる。
【0051】
ところで、本実施形態では、本体2の側板23に溶接等の方法で固定された固定金具118に、金属板からなる保持部品117が取り付けられている。この保持部品117には、保持部品117に圧入固定されたスペーサを介して回路基板116がねじ固定されている。ここで、固定金具118に保持部品117が取り付けられた状態では、保持部品117がホルダ60の一部(外側壁623の前面)に接触しており、ホルダ60を回転させることができないので、取付部材70からのホルダ60の取り外しが規制される。したがって、ユーザがメンブレンシート234を介して可動部64を押すことによって、回路基板115が側板23から離れる方向に押されたとしても、ホルダ60を取付部材70から外れにくくできる。なお、固定金具118から保持部品117を取り外せば、保持部品117によってホルダ60の移動が規制された状態を解除でき、ホルダ60を取付部材70から取り外すことができるようになる。
【0052】
このように、本実施形態の筐体1は、突起67,69が凹部(孔76,75)に嵌った状態で、ホルダ60の一部に当たることでホルダ60の移動を規制する押さえ部材(例えば保持部品117)を更に備えている。したがって、押さえ部材である保持部品117を本体2に取り付けることによって、ホルダ60が本体2に取り付けられた状態を保持することができる。
【0053】
ここで、押さえ部材は、ホルダ60に保持される回路基板115以外の回路部品(例えば回路基板116)を保持するための保持部品117であるので、回路部品を保持する保持部品117を押さえ部材に兼用できる。なお、押さえ部材は保持部品117に限定されず、ホルダ60に保持される回路基板115以外の回路部品(例えば回路基板又は単体の部品等)でもよい。すなわち、押さえ部材は、複数の回路部品110のうちの回路基板115以外の回路部品、及び、回路基板115以外の回路部品を保持するための保持部品117のいずれかであればよく、回路部品又はその保持部品で押さえ部材を兼用できる。
【0054】
本実施形態の筐体1は取付部材8を用いて壁300に取り付けられる。取付部材8は、壁300にねじ等で固定される背板81と、背板81の左側縁及び右側縁からそれぞれ前方に突出する横ガード82と、背板81の下側縁から前方に突出する下ガード83とを備える。
【0055】
背板81には、壁300に固定するためのねじを通す複数の孔84が設けられている。背板81は、複数の孔84にそれぞれ通されたねじを用いて壁300に固定される。背板81の上側縁には、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の後面に固定された2つの皿ねじ11のねじ部がそれぞれ挿入される2つの引掛溝85が設けられている。背板81には、突出部4の電線挿入口43に繋がる貫通孔86が設けられている。
【0056】
本体2に設けられた皿ねじ11のねじ部を引掛溝85に挿入すると、皿ねじ11の頭部が引掛溝85の周縁部分に引っ掛かることによって、本体2が取付部材8に取り付けられる。本体2を取付部材8に取り付けた状態で、下ガード83の丸孔87(
図2参照)に通した取付ねじを、ヒートシンク7の下部に配置された固定片13のねじ孔にねじ込むことによって、本体2を取付部材8に固定する。本体2が取付部材8に取り付けられた状態では、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の側面が横ガード82によって覆われ、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の下面が下ガード83によって覆われる。したがって、取付部材8に設けられた横ガード82及び下ガード83によって、高温になるヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7にユーザが触れる可能性を低減できる。横ガード82及び下ガード83は、本体2を壁300に取り付けるための取付部材8に一体に設けられているので、部品の数を削減できる。また、筐体1の施工時又は分解時に作業が必要になる部品の数が少なくなるので、作業性が向上するという利点もある。
【0057】
また、本体2には、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上面を覆う上ガード9が固定される。上ガード9の丸孔91に通した取付ねじを、ヒートシンク7の上部に配置された固定片12のねじ孔にねじ込むことによって、上ガード9が本体2に固定される。本体2に上ガード9を固定すると、上ガード9によってヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上面が覆われるので、高温になるヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上面にユーザが触れる可能性を低減できる。この上ガード9は、金属部品の表面を樹脂材料で覆うことによって形成されている。上ガード9の表面は樹脂材料で覆われているので、上ガード9の表面が樹脂材料で覆われていない場合に比べて、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7等の許容外郭温度を高めに設定できる。
【0058】
(2.2)取付方法
本実施形態の筐体1を有する電気機器を、設置場所である壁300に取り付ける取付方法について説明する。本体2には、電気回路を構成する複数の回路部品110が収納されており、本体2の後面221にはヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7が予め取り付けられているものとする。
【0059】
まず、電気機器の設置場所である壁300に、取付部材8をねじ等で固定する。壁300には、電線400を通すための貫通孔301が設けられており、取付部材8は、取付部材8に設けられた貫通孔86が壁300の貫通孔301と連続するように、壁300に固定される。
【0060】
壁300に取付部材8が固定されると、本体2を取付部材8の上方から下方に降ろし、本体2の後面に設けられた皿ねじ11のねじ部を引掛溝85内に挿入させることによって、本体2を取付部材8に引っ掛ける。そして、取付部材8の下ガード83に設けられた丸孔87に取付ねじを通し、この取付ねじをヒートシンク7の下側に設けた固定片13のねじ孔にねじ込むことによって、本体2を取付部材8に固定する。また、ヒートシンク兼用ケース6及びヒートシンク7の上側に上ガード9を被せ、上ガード9の丸孔91に通した取付ねじを、ヒートシンク7の上側に設けた固定片12のねじ孔にねじ込むことによって、本体2に上ガード9を固定する。
【0061】
ここで、壁300の裏側に配線された電線を電気機器に接続する隠蔽配線を行う場合、壁300の貫通孔301から電線挿入口43を通して突出部4の内部に挿入した電線を貫通孔25を通して本体2の内部に挿入する。そして、本体2の内部に挿入された電線を、本体2の内部に収容された端子台111及び開閉器112等の回路部品110に接続することによって、筐体1を有する電気機器に対して外部からの電線を接続することができる。
【0062】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0063】
(3.1)変形例1
変形例1の電力変換装置100Aについて
図9~
図11を参照して説明する。
【0064】
上記実施形態で説明した電力変換装置100は屋外に設置されるタイプであるが、変形例1の電力変換装置100Aは、屋内及び屋外のいずれにも設置可能なタイプの電力変換装置である点で、上記実施形態と相違する。なお、電力変換装置100Aの構成は上記実施形態の電力変換装置100と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0065】
変形例1の電力変換装置100の筐体1は、例えば施設の屋内又は屋外の壁に固定される取付部材8を用いて、屋内又は屋外の壁に取り付けられる。
【0066】
変形例1の電力変換装置100Aが備える筐体1は、複数の回路部品110を内部に収容する本体2を備えている。本体2には、上記の実施形態で説明した回路基板115がホルダ60を介して取り付けられている。これにより、変形例1においても、回路基板115と、その周囲の金属部品との電気的な絶縁性を高めることができる。なお、
図9及び
図10の31は本体2とカバー3との間に配置されるパッキンである。
【0067】
(3.2)変形例2
変形例2の筐体1が備える本体2Aについて
図12及び
図13を参照して説明する。なお、本体2A以外の構成は変形例1の電力変換装置100Aと同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0068】
上記の実施形態及び変形例1では、突出部4の下面に取り付けられる蓋部材5に電線管を接続するための孔が設けられているのに対して、変形例2では本体2Aの下側の側板23の後部に複数の丸孔231が左右方向に沿って設けられている。複数の丸孔231には電線管600が接続され、電線管600内の電線が丸孔231を通して本体2Aの内部に挿入され、本体2Aの内部に収容された回路部品に接続される。ここで、下側の側板23には、前端部から丸孔231が設けられた部位の前側まで凹んだ凹部28が設けられている。本体2Aには、
図13に示すように、左右の側板23の間を連結する板状の連結板29が例えばねじ等の締結部材を用いて取り付けられており、この連結板29を用いて凹部28が閉塞される。
【0069】
変形例2の本体2Aに電線管600を用いて配線する場合、本体2Aから連結板29を取り外した状態で、丸孔231に電線管600を接続し、電線管600内の電線を本体2A内に挿入して、本体2Aの内部に収容された回路部品に接続する。その後、本体2Aに連結板29を取り付け、本体2Aにカバー3を取り付けることによって筐体1が組み立てられる。
【0070】
このように、変形例2の本体2Aでは、連結板29を外した状態で、電線管600に通した電線の配線作業が行えるので、電線を曲げる作業を行う際に側板23の前側縁が邪魔になりにくく、電線の配線作業を容易に行うことができる。また、電線の配線作業を終えた後は、本体2Aに連結板29を取り付けることで、本体2Aの強度アップを図ることができる。
【0071】
(3.3)その他の変形例
上記実施形態及び変形例1、2では、回路基板115に受付部として押釦スイッチSW1が設けられているが、受付部は押釦スイッチSW1に限定されない。受付部は、ディップスイッチ、ボリュームスイッチ又はタッチスイッチ等のユーザの操作を受け付ける部品でもよい。
【0072】
上記実施形態及び変形例1、2では、回路基板115に表示部として発光ダイオードLD1が設けられているが、表示部は、光、文字、又は図記号等の視覚的な表示を行うデバイスであればよく、例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ装置でもよい。
【0073】
上記実施形態及び変形例1、2では、回路基板115の押釦スイッチSW1(受付部)を操作するための可動部64と、表示部である発光ダイオードLD1とがメンブレンシート234で覆われているが、受付部及び表示部は本体2の外部に露出していてもよい。
【0074】
上記実施形態及び変形例1、2では、本体2が絞り加工で形成されているが、本体2は板金に曲げ加工又は溶接加工を施すことによって形成されてもよい。
【0075】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の筐体(1)は、電気回路を構成する複数の回路部品(110)を内部に収容する電気機器用の筐体(1)である。筐体(1)は、複数の回路部品(110)を内部に収容する金属製の本体(2)と、樹脂製のホルダ(60)とを備える。複数の回路部品(110)は回路基板(115)を含む。回路基板(115)は、本体(2)の外部からの直接的な操作を受け付ける受付部(SW1)、及び、本体(2)の外部から目視可能な表示部(LD1)の少なくとも一方を有する。ホルダ(60)は回路基板(115)を保持し、回路基板(115)はホルダ(60)を介して本体(2)に取り付けられている。
【0076】
この態様によれば、回路基板(115)は樹脂製のホルダ(60)を介して金属製の本体(2)に取り付けられるので、回路基板(115)と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが可能な筐体(1)を提供することができる。
【0077】
第2の態様の筐体(1)は、第1の態様において、本体(2)に固定される取付部材(70)を更に備え、ホルダ(60)は、取付部材(70)を介して、本体(2)に取り付けられている。
【0078】
この態様によれば、ホルダ(60)を取付部材(70)を用いて本体(2)に取り付けることができる。
【0079】
第3の態様の筐体(1)では、第2の態様において、ホルダ(60)及び取付部材(70)の一方には凹部(75,76)が設けられ、ホルダ(60)及び取付部材(70)の他方には凹部(75,76)に嵌る突起(69,67)が設けられている。ホルダ(60)は、凹部(75,76)に突起(69,67)が嵌るように取付部材(70)に差し込み接続される。
【0080】
この態様によれば、溶接又はねじ止め作業を行うことなくホルダ(60)を本体(2)に取り付けることができる。
【0081】
第4の態様の筐体(1)では、第3の態様において、突起(69,67)が凹部(75,76)に嵌った状態で、ホルダ(60)の一部に当たることでホルダ(60)の移動を規制する押さえ部材を更に備える。
【0082】
この態様によれば、押さえ部材がホルダ(60)の一部に当たることによって、ホルダ(60)が取付部材(70)に取り付けられた状態を保持できる。
【0083】
第5の態様の筐体(1)では、第4の態様において、押さえ部材は、複数の回路部品(110)のうちの回路基板(115)以外の回路部品、及び、回路基板(115)以外の回路部品(110)を保持するための保持部品(117)のいずれかである。
【0084】
この態様によれば、回路基板(115)以外の回路部品、及び、保持部品(117)のいずれかで押さえ部材を兼用できる。
【0085】
第6の態様の筐体(1)では、第1~5のいずれかの態様において、ホルダ(60)は、回路基板(115)を保持するための取付フック(622)を有する。取付フック(622)に設けられた爪(6221)が、回路基板(115)の周縁部に引っ掛かることによって、回路基板(115)がホルダ(60)に保持される。
【0086】
この態様によれば、ねじ止め作業を行うことなく回路基板(115)をホルダ(60)に取り付けることができる。
【0087】
第7の態様の筐体(1)では、第1~6のいずれかの態様において、ホルダ(60)は、回路基板(115)の周りを囲む壁(62)を有する。
【0088】
この態様によれば、回路基板(115)と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることができる。
【0089】
第8の態様の筐体(1)では、第1~7のいずれかの態様において、回路基板(115)が受付部(SW1)を有する。
【0090】
この態様によれば、ユーザが触れる可能性がある回路基板(115)と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることができる。
【0091】
第9の態様の筐体(1)では、第8の態様において、ホルダ(60)は、外部からの押し力を受けて本体(2)の内側に移動し、外部からの押し力を受付部(SW1)に伝える可動部(64)を有する。
【0092】
この態様によれば、受付部(SW1)は、ホルダ(60)が有する可動部(64)を介して間接的に操作を受け付けることができる。
【0093】
第10の態様の筐体(1)では、第1~9のいずれかの態様において、回路部品(110)が発熱部品を含む。
【0094】
この態様によれば、回路基板(115)と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが可能な筐体(1)を提供することができる。
【0095】
第11の態様の電気機器は、第1~10のいずれかの態様の筐体(1)と、筐体(1)の内部に収容される回路部品(110)とを備える。
【0096】
この態様によれば、回路基板(115)と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが可能な筐体(1)を備える電気機器を提供できる。
【0097】
第12の態様の電力変換装置(100)は、第1~10のいずれかの態様の筐体(1)と、筐体(1)の内部に収容される回路部品(110)とを備え、回路部品(110)が、電力変換を行う電力変換回路(101)の部品を含む。
【0098】
この態様によれば、回路基板(115)と周囲の金属部品との間の電気的絶縁性を高めることが可能な筐体(1)を備える電力変換装置(100)を提供できる。
【0099】
第2~第10の態様に係る構成については、筐体(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 筐体
2 本体
60 ホルダ
62 枠部(壁)
64 可動部
67,69 突起
70 取付部材
75,76 孔(凹部)
100 電力変換装置
101 電力変換回路
110 回路部品
115 回路基板
117 保持部品
622 取付フック
6221 爪
LD1 発光ダイオード(表示部)
SW1 押釦スイッチ(受付部)