(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 5/20 20180101AFI20230728BHJP
F25C 1/147 20180101ALI20230728BHJP
【FI】
F25C5/20 Z
F25C1/147 J
F25C5/20 304
(21)【出願番号】P 2020004963
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 将嗣
(72)【発明者】
【氏名】河野 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森沢 拓矢
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-18784(JP,A)
【文献】特開平11-83257(JP,A)
【文献】特開2010-203742(JP,A)
【文献】特開平10-49746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/147
F25C 5/20
G07F 13/00 ~ 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、氷を製造する製氷部、及び当該製氷部で製造された氷を貯える貯氷庫を収納し、氷の供給が要求されると、前記貯氷庫の氷放出口を開放して、前記氷放出口に接続された落下ガイド、及び当該落下ガイドの直下に配設されたシュータを介して氷を外部に放出する製氷機であって、
前記落下ガイドは、前記氷放出口から前方の斜め下方向に向かって延在する断面U字型の案内溝を構成しており、
前記案内溝の平面視における横幅は、上方から下方に向かうにつれて小さくなっている、
製氷機。
【請求項2】
前記落下ガイドの下端部は、平面視において、中央領域が左右両端の領域よりも、後方側に凹んだ形状を呈する、
請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記落下ガイドは、自身の下端部が前記シュータの貫通孔内に位置するように、配設されている、
請求項1又は2に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内に、小片状の多数の氷(以下、単に氷と称する)を製造する製氷部、及び当該製氷部で製造された氷を貯える貯氷庫を収納し、氷の供給が要求されると、貯氷庫の氷放出口を開放して、氷放出口に接続された落下ガイド、及び当該落下ガイドの直下に配設されたシュータを介して氷を外部に放出する製氷機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の製氷機においては、貯氷庫から氷を外部に放出した際に、当該氷が製氷機の容器載置台に載置された容器内に適確に投入されるようにする要請がある。
【0005】
特に、近年、ショートグラスやビールジョッキ等、様々な高さの容器に氷を供給可能とするため、製氷機の容器載置台とシュータとの間の距離を広げる設計が検討されており、このような構成においては、貯氷庫からシュータを介して外部に放出された氷が容器外に飛散する傾向が一層高くなる。
【0006】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたもので、外部に放出する氷の飛散を抑制することを可能とする製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本開示は、
筐体内に、氷を製造する製氷部、及び当該製氷部で製造された氷を貯える貯氷庫を収納し、氷の供給が要求されると、前記貯氷庫の氷放出口を開放して、前記氷放出口に接続された落下ガイド、及び当該落下ガイドの直下に配設されたシュータを介して氷を外部に放出する製氷機であって、
前記落下ガイドは、前記氷放出口から前方の斜め下方向に向かって延在する断面U字型の案内溝を構成しており、
前記案内溝の平面視における横幅は、上方から下方に向かうにつれて小さくなっている、
製氷機である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る製氷機によれば、外部に放出する氷の飛散を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】一実施形態に係る製氷機の構成を示す側面断面図
【
図4】一実施形態に係るシュータの構成を示す斜視図
【
図5】一実施形態に係るシュータの構成を示す正面図
【
図6】一実施形態に係るシュータの構成を示す側面図
【
図7】一実施形態に係る製氷機の筐体に形成されたシュータの取り付け構造を示す正面図
【
図8】一実施形態に係る製氷機の筐体に形成されたシュータの取り付け構造を示す斜視図
【
図9】一実施形態に係る製氷機において、筐体にシュータを取り付けた状態を示す正面図
【
図10】一実施形態に係る製氷機において、筐体にシュータを取り付けた状態を示す側面断面図
【
図11】一実施形態に係る落下ガイドを用いた場合の氷の放出態様と、従来技術に係る落下ガイドを用いた場合の氷の放出態様との相違を示す図
【
図12】一実施形態に係る落下ガイドを用いた場合の氷の放出態様と、従来技術に係る落下ガイドを用いた場合の氷の放出態様との相違を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
各図には、各構成の位置関係を明確にするため、共通の直交座標系(X、Y、Z)を示している。以下では、X軸のプラス方向は製氷機の前面方向(以下、「前方向」とも称する)を表し、Y軸のプラス方向は製氷機の側面右側方向(以下、「右方向」とも称する)を表し、Z軸のプラス方向は製氷機の上方向(以下、「上方向」と略称する)を表すものとして説明する。
【0012】
[製氷機の全体構成]
以下、
図1~
図3を参照して、一実施形態に係る製氷機の全体構成について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る製氷機1の構成を示す図である。
図2は、本実施形態に係る製氷機1の構成を示す側面断面図である。
図3は、本実施形態に係る製氷機1の外観を示す斜視図である。
【0014】
製氷機1は、製氷部10、冷却装置20、貯水タンク30、貯氷庫40、ドレンパン50、及び、コントローラ60等を備えている。尚、これらは、製氷機1の筐体1M内に収納されている。又、製氷機1の筐体1Mには、シュータ100が着脱可能に取り付けられている(
図8等を参照して後述)。
【0015】
製氷部10は、ステンレス製の冷却円筒11、当該冷却円筒11内に回転可能に配設されたオーガ(即ち、回転刃)12、及び、オーガ12を駆動させるモータ13等を有する。そして、冷却円筒11の外壁には、冷却装置20の蒸発器21がパイプ状に巻き付けられ、冷却円筒11内の水を冷却可能となっている。冷却円筒11内には、貯水タンク30から、製氷用の水が送出される。つまり、製氷部10は、貯水タンク30から冷却円筒11内に送出された水を、冷却円筒11内で冷却して氷を生成する。冷却円筒11内で生成された氷は、オーガ12にて小片状に切断された後、冷却円筒11の上部に接続された貯氷庫40内に移動させられる。
【0016】
冷却装置20は、蒸発器21、膨張弁22、凝縮器23、及び圧縮器24を有し、冷凍サイクルを構成する。この冷却装置20から導出する蒸発器21は、製氷部10の冷却円筒11に配管されており、冷却装置20は、蒸発器21に冷媒を循環供給することにより冷却円筒11を冷却するように構成される。
【0017】
貯水タンク30は、製氷部10に製氷用水を供給する。貯水タンク30には、送水管Lcが接続されており、貯水タンク30内に貯溜された製氷用水は、当該送水管Lcを介して製氷部10に導入される。又、貯水タンク30には、水道管Laから延在する吸水口Lbが接続されており、貯水タンク30には、水道管Laから適宜給水が行われる。
【0018】
貯氷庫40は、製氷部10で製造された氷を貯える。貯氷庫40は、冷却円筒11と接続されており、貯氷庫40には、当該貯氷庫40の底面に形成された連通孔を介して、冷却円筒11で生成された氷が供給される。
【0019】
貯氷庫40は、当該貯氷庫40の前面下部に形成された氷放出口40a、氷放出口40aを開閉するシャッタ40b、氷放出口40aに接続された落下ガイド40c、及び、貯氷庫40内に配設されたアジテータ40dを有している。
【0020】
氷放出口40aは、貯氷庫40内に蓄積した氷を外部に放出するための開口である。氷放出口40aは、シャッタ40bの作動によって、開閉される。
【0021】
シャッタ40bは、氷放出口40aを開閉する扉である。シャッタ40bは、例えば、ソレノイドにより制御され、ユーザから氷放出指令を受け付けたときに、氷放出口40aを閉鎖した状態から、氷放出口40aを開放した状態に切り替える。
【0022】
落下ガイド40cは、上端部40caが氷放出口40aに接続され、下端部40cbがシュータ100の直上又はシュータ100の貫通孔100a内に配設されている(
図7を参照して後述)。落下ガイド40cは、氷放出口40aから前方の斜め下方向に向かって延在する案内溝を構成し、氷放出口40aから放出された氷を、シュータ100内に案内する。落下ガイド40cが構成する案内溝は、例えば、長手方向に直交する切断面がU字(又はコ字)の形状を呈している。換言すると、落下ガイド40cが構成する案内溝は、滑り台状に形成されている。
【0023】
アジテータ40dは、貯氷庫40内に蓄積された氷群を撹拌して、氷同士が相互に固結するのを防止すると共に、貯氷庫40内に蓄積された氷を氷放出口40a側に移動させる。尚、アジテータ40dは、貯氷庫40内で、貯氷庫40の底部中央付近に回転可能に配設されている。
【0024】
ドレンパン50は、製氷部10や貯水タンク30を洗浄する際に、これらに貯留する水の排出先として機能する。又、ドレンパン50は、筐体1Mの容器載置台1Mb(
図3を参照)の直下に配設され、容器載置台1Mbに載置された容器等から溢れた水等を回収する。
【0025】
コントローラ60は、製氷機1の各部と通信することで、これらを制御したり、これらからデータを受信したりする。
【0026】
コントローラ60は、例えば、筐体1Mの前面に配された操作部(例えば、操作ボタン)1Ma(
図3を参照)を介して、ユーザの操作を受け付ける構成となっている。
【0027】
筐体1Mは、前面側に、ユーザの操作を受け付ける操作部1Ma、氷を提供する対象の容器を載置するための容器載置台1Mb、及び、シュータ100を配置するための窪み部1MR等を有している(
図3を参照)。尚、窪み部1MRは、容器載置台1Mbの直上に形成されており、窪み部1MR内に取り付けられたシュータ100から放出された氷が、容器載置台1Mbに載置された容器に投入される構成となっている。
【0028】
尚、ユーザは、容器載置台1Mbに自身の容器を載置した状態で、操作部1Maを操作することで、貯氷庫40のシャッタ40bを作動させて、貯氷庫40から氷を放出させ、容器内に氷を投入することが可能となっている。このとき、ユーザが、操作部1Maにおいて、「氷のみ」を選択して放出ボタンを押すと、コントローラ60は、シャッタ40bを開放状態として、貯氷庫40内の氷を外部に放出させる。又、ユーザが、操作部1Maにおいて、「氷・水」を選択して放出ボタンを押すと、コントローラ60は、シャッタ40bを開放状態として、貯氷庫40内の氷を外部に放出させると共に、シュータ100に支持された水パイプLd(
図1を参照)から水を放出させる。
【0029】
[シュータの取り付け構造]
以下、
図4~
図10を参照して、本実施形態に係る製氷機1のシュータ100の取り付け構造について、説明する。シュータ100は、筐体1Mの窪み部1MR内において、筐体1Mに対して、着脱可能に取り付けられている。
【0030】
図4は、本実施形態に係るシュータ100の構成を示す斜視図である。
図5は、本実施形態に係るシュータ100の構成を示す正面図である。
図6は、本実施形態に係るシュータ100の構成を示す側面図である。
【0031】
図7は、本実施形態に係る製氷機1の筐体1Mに形成されたシュータ100の取り付け構造を示す正面図である。
図8は、本実施形態に係る製氷機1の筐体1Mに形成されたシュータ100の取り付け構造を示す斜視図である。
【0032】
図9は、本実施形態に係る製氷機1において、筐体1Mにシュータ100を取り付けた状態を示す正面図である。
図10は、本実施形態に係る製氷機1において、筐体1Mにシュータ100を取り付けた状態を示す側面断面図である。
【0033】
シュータ100は、筒形状を呈し、貯氷庫40の氷放出口40aから放出された氷が、製氷機1の容器載置台1Mbに載置された容器内に落下するように、当該氷を案内する。即ち、シュータ100は、貯氷庫40の氷放出口40aから放出される氷の通過経路を形成し、当該氷の放出方向を規制する。シュータ100は、貯氷庫40の氷放出口40aの下方、より詳細には、落下ガイド40cの直下に配設されている。
【0034】
シュータ100は、上下方向に沿って形成された貫通孔100aと、自身の上部に左右両側に形成された鍔部100bと、自身の後面に形成された突起部100cと、自身の前面に形成された水パイプ支持部100dと、を有している(
図4~
図6を参照)。
【0035】
貫通孔100aは、貯氷庫40の氷放出口40aから放出された氷を通過させるための案内孔である。貫通孔100aの形状は、任意であるが、貫通孔100aは、例えば、楕円形状を呈している。
【0036】
シュータ100の貫通孔100aを形成する壁部の上部側には、貫通孔100aに通ずる窓を形成する切り欠き部100aaが設けられている。切り欠き部100aaは、落下ガイド40cを挿通させるための窓であり、シュータ100が筐体1Mに対して取り付けられた際には、落下ガイド40cの下端が、切り欠き部100aaを介して、貫通孔100a内に配設される(
図10を参照)。かかる構成によって、シュータ100の貫通孔100aと落下ガイド40cの案内溝とが連通し、落下ガイド40cから落下する氷が、確実にシュータ100の貫通孔100a内に投入されるようになっている。
【0037】
鍔部100bは、筐体1Mに配設されたスライド案内部1Msと係合するように形成されている。鍔部100bは、シュータ100の上部の左右両側に形成されている。
【0038】
突起部100cは、筐体1Mの嵌合部1Mtと嵌合する形状を呈している。本実施形態では、突起部100cは、円柱状の突出形状を呈している。又、突起部100cの外側面には、凹凸構造(ここでは、凹形状)の嵌合受部100caが形成されている。
【0039】
水パイプ支持部100dは、水道管Laから延在する水パイプLdを支持する。かかる構成により、製氷機1は、シュータ100の位置から、氷に加えて水を提供し得るようになっている。
【0040】
筐体1Mは、自身の前面に形成された窪み部1MRと、窪み部1MR内に左右に対になって形成されたスライド案内部1Msと、窪み部1MR内の当該スライド案内部1Msの下方に配設された嵌合部1Mtと、を有する。
【0041】
窪み部1MRは、例えば、筐体1Mの容器載置台1Mbの上方で、筐体1Mの前面に、氷放出口40aに通ずるように形成されている。
【0042】
スライド案内部1Msは、シュータ100の鍔部100bと係合可能に形成され、シュータ100を筐体1Mの前面の位置から落下ガイド40cの直下の位置まで案内する。スライド案内部1Msは、例えば、窪み部1MR内において、筐体1Mの前面から落下ガイド40cの直下の位置まで延在するように、左右に対になって配設されたスライド案内溝である。スライド案内部1Msは、シュータ100を係止した際に、当該シュータ100が落下ガイド40cの直下に位置するように配設されている。
【0043】
嵌合部1Mtは、スライド案内部1Msの下方で、且つ、シュータ100を筐体1Mに対して取り付けた際に、シュータ100の突起部100cと対向する位置に形成されている。嵌合部1Mtは、凹凸構造を呈し、シュータ100の突起部100cと嵌合して、シュータ100を位置決めする。本実施形態では、嵌合部1Mtは、円柱形状の突起部100cと嵌合する円柱形状の溝構造を呈している。
【0044】
又、嵌合部1Mtは、溝の内側面に、シュータ100の嵌合受部100caと嵌合する第2嵌合部1Mtaを有している。第2嵌合部1Mtaは、例えば、凸形状を呈し、シュータ100が筐体1Mに対して取り付けられた際には、シュータ100の突起部100cの外側面に形成された凹状の嵌合受部100caと嵌合する。ここで、第2嵌合部1Mtaと嵌合受部100caとの嵌合は、シュータ100の固定状態を安定化するように機能する。
【0045】
本実施形態に係る製氷機1において、シュータ100を筐体1Mに取り付ける作業は、以下の通りである。
【0046】
シュータ100を筐体1Mに取り付ける際には、ユーザは、まず、シュータ100の鍔部100bを、筐体1Mのスライド案内部1Msに係合させる。そして、ユーザは、シュータ100を後方に向けて移動させ、シュータ100の鍔部100bを、筐体1Mのスライド案内部1Msの奥まで押し込む。又、この際、ユーザは、シュータ100の突起部100cが、筐体1Mの嵌合部1Mtに嵌め合った状態となるように、シュータ100の姿勢を調整する。
【0047】
この状態で、ユーザは、シュータ100の突起部100cを、筐体1Mの嵌合部1Mt側に更に押し込む。これによって、シュータ100の突起部100cの嵌合受部100caが、筐体1Mの嵌合部1Mtに形成された第2嵌合部1Mtaと嵌合し、シュータ100は、筐体1Mに固定された状態となる。
【0048】
[落下ガイドの構成]
以下、
図7、
図11、
図12を参照して、本実施形態に係る製氷機1の落下ガイド40cの構成について、説明する。
【0049】
落下ガイド40cは、
図7に示すように、上端部40caが氷放出口40aに接続され、下端部40cbがシュータ100の貫通孔100a内に位置するように、配設されている。そして、落下ガイド40cは、シュータ100と共に、貯氷庫40の氷放出口40aから放出される氷の放出方向を規制する。つまり、貯氷庫40の氷放出口40aから放出された氷は、落下ガイド40cに沿って滑り落ちた後、シュータ100内を通って、容器載置台1Mbに向かって落下する。
【0050】
ここで、落下ガイド40cは、氷放出口40aから前方の斜め下方向に向かって延在する案内溝40ccを構成する。落下ガイド40cが構成する案内溝40ccは、例えば、長手方向に直交する切断面がU字(又はコ字)の形状を呈している。換言すると、落下ガイド40cが構成する案内溝40ccは、滑り台状に形成されている。そして、案内溝40ccの平面視における横幅(即ち、溝幅)は、上方から下方に向かうにつれて、小さくなっている。
【0051】
又、落下ガイド40cの下端部40cbは、平面視において、中央領域が左右両端の領域よりも後方(より詳細には、後方且つ上方)に凹んだ形状を呈する。ここでは、落下ガイド40cの下端部40cbは、後方側に弧状に切り欠かれた形状を呈している。これにより、氷放出口40aから落下ガイド40cの下端部40cbの中央領域までの間の距離(
図7のta)は、氷放出口40aから落下ガイド40cの下端部40cbの左右両端の領域までの間の距離(
図7のtb)よりも小さくなっている。
【0052】
落下ガイド40cの当該形状は、氷の放出方向を、より高精度に制御するべく設定されている。具体的には、案内溝40ccの平面視における横幅を、上方から下方に向かうにつれて小さくすることによって、落下ガイド40cから落下する氷が、落下ガイド40cの直下の方向から左右方向に飛散することを抑制する。又、落下ガイド40cの下端部40cbを、平面視において、中央領域が左右両端の領域よりも後方に凹んだ形状とすることによって、落下ガイド40cから落下する氷が、落下ガイド40cの直下の方向から勢いよく前方に飛散することを抑制する。
【0053】
図11、
図12は、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合の氷の放出態様と、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合の氷の放出態様との相違を示す図である。
【0054】
図11Aは、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合の氷の放出態様を正面から見た図であり、
図11Bは、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合の氷の放出態様を正面から見た図である。又、
図12Aは、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合の氷の放出態様を横側から見た図であり、
図12Bは、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合の氷の放出態様を横側から見た図である。尚、各図には、容器載置台1Mbに載置された容器P1の一例を示している。
【0055】
ここで、従来技術に係る落下ガイド40c’は、平面視における横幅(即ち、案内溝40cc’の横幅)が、上方から下方に向かう各位置で同一となっている。又、従来技術に係る落下ガイド40c’の下端部40cb’は、中央領域が左右両端の領域よりも後方に凹んだ形状となっていない。
【0056】
通常、貯氷庫40の氷放出口40aから放出される氷は、貯氷庫40内で回転動作をするアジテータ40bに押し出されるように放出される。そのため、当該氷は、氷放出口40aから放出された際には、落下ガイド40c’の直下の方向(即ち、落下ガイド40c’の延在方向)から左右に傾いた方向(典型的には、アジテータ40bの回転方向)(
図11Aでは、右方向)に向かって落下する。従って、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合、当該氷は、落下ガイド40c’から下方に落下する際にも、落下ガイド40c’の延在方向(即ち、落下ガイド40c’の直下の方向)から左右方向に飛散する。そして、当該氷は、シュータ100から下方に落下する際、自身の慣性又はシュータ100の壁部との衝突により、シュータ100の直下の方向から左右方向に飛散することになる(
図11Aを参照)。
【0057】
又、貯氷庫40の氷放出口40aから放出される氷は、アジテータ40bに押し出されるように放出されるため、その一部は、アジテータ40bからの押し出し力によって、勢いよく前方に向かう。そのため、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合、当該氷は、落下ガイド40c’から下方に落下する際にも、勢いよく前方に向かい、当該氷は、シュータ100から下方に落下する際、自身の慣性又はシュータ100の壁部との衝突により、シュータ100直下の方向から前後方向に飛散することになる(
図12Aを参照)。
【0058】
この点、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合、氷放出口40aから放出される氷は、落下ガイド40cから下方に落下する際、落下ガイド40cによって、その放出方向が当該落下ガイド40cの直下の方向に規制されることになる(
図11Bを参照)。又、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合、氷放出口40aから放出される氷は、落下ガイド40cの下端部の中央領域が左右両端の領域よりも後方(より詳細には、後方且つ上方)に凹んだ形状となっているため、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合と比較して、早い段階で落下ガイド40cから落下し、落下ガイド40cの直下の方向に向かうことになる(
図12Bを参照)。
【0059】
このような理由から、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合、氷放出口40aから放出される氷は、落下ガイド40cから落下してシュータ100を通過して下方に放出される際、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合と比較して放出方向が規制され、当該氷の大半がシュータ100直下の方向に放出されることになる。
【0060】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る製氷機1によれば、シュータ100から放出される氷が、製氷機1の容器載置台1Mbに配設された容器の外側にはみ出して、外部に飛散することを抑制することができる。
【0061】
尚、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いた場合の氷の飛散度合いと、従来技術に係る落下ガイド40c’を用いた場合の氷の飛散度合いの相違は、特に、シュータ100の長さ(シュータ100の長手方向の長さを表す。以下同じ)を短縮した場合に顕著に表れる。換言すると、本実施形態に係る落下ガイド40cを用いることによって、氷の飛散を抑制することができることから、製氷機1の容器載置台1Mbからシュータ100までの距離を大きくすることが可能となる。これにより、製氷機1を、様々な高さの容器(例えば、ショートグラスや、ビールジョッキ)に適用可能となる。
【0062】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示に係る製氷機によれば、貯氷庫からシュータを介して外部に放出する氷の飛散を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 製氷機
10 製氷部
20 冷却装置
30 貯水タンク
40 貯氷庫
40a 氷放出口
40b シャッタ
40c 落下ガイド
40ca 上端部
40cb 下端部
40cc 案内溝
40d アジテータ
50 ドレンパン
60 コントローラ
100 シュータ
100a 貫通孔
100b 鍔部
100c 突起部
100d 水パイプ支持部
1M 筐体
1MR 窪み部
1Ms スライド案内部
1Mt 嵌合部
1Mta 第2嵌合部
La 水道管
Lb 吸水口
Lc 送水管
Ld 水パイプ