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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】独立式リアサスペンションシステム
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/06 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
E04F11/06
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019088639
(22)【出願日】2019-04-13
(65)【公開番号】P2020066987
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】107212111
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519162466
【氏名又は名称】沃爾奇動力機電股▲分▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No.49,Zhixiang 3rd St.,Dayuan Dist.,Taoyuan City 337,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【弁理士】
【氏名又は名称】蓑和田 登
(74)【代理人】
【識別番号】519162444
【氏名又は名称】中山 晴美
(72)【発明者】
【氏名】楊安陶
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-335117(JP,A)
【文献】再公表特許第2014/013682(JP,A1)
【文献】特開2016-196205(JP,A)
【文献】米国特許第7784807(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体構造、第一ロッド、第二ロッド、第三ロッド、第四ロッド、第五ロッド、ホイールハブ、第一ボールジョイント、第二ボールジョイント、第三ボールジョイント、第四ボールジョイント、第五ボールジョイント、第六ボールジョイント、第七ボールジョイント、第八ボールジョイント、第九ボールジョイント及び第十ボールジョイントを含み、
前記車体構造は前記第一ボールジョイントに接続し、前記第一ボールジョイントは前記第一ロッドに接続し、前記第一ロッドは前記第二ボールジョイントに接続し、前記第二ボールジョイントは前記ホイールハブに接続し、前記ホイールハブは前記第四ボールジョイントに接続し、前記第四ボールジョイントは前記第二ロッドに接続し、前記第二ロッドは前記第三ボールジョイントに接続し、前記第三ボールジョイントは前記車体構造に接続し、前記車体構造は前記第五ボールジョイントに接続し、前記第五ボールジョイントは前記第三ロッドに接続し、前記第三ロッドは前記第六ボールジョイントに接続し、前記第六ボールジョイントは前記ホイールハブに接続し、前記ホイールハブは前記第八ボールジョイントに接続し、前記第八ボールジョイントは前記第四ロッドに接続し、前記第四ロッドは前記第七ボールジョイントに接続し、前記第七ボールジョイントは前記車体構造に接続し、前記車体構造は前記第九ボールジョイントに接続し、前記第九ボールジョイントは前記第五ロッドに接続し、前記第五ロッドは前記第十ボールジョイントに接続し、前記第十ボールジョイントは前記ホイールハブに接続し、
前記第一ボールジョイント、前記第二ボールジョイント、前記第三ボールジョイント、前記第四ボールジョイント、前記第五ボールジョイント及び前記第六ボールジョイントは後輪の回転軸の前方に位置し、
前記第七ボールジョイント、前記第八ボールジョイント、前記第九ボールジョイント及び前記第十ボールジョイントは前記後輪の回転軸の後方に位置し、
前記第三ボールジョイントは前記第四ボールジョイントの前方に位置し、前記第五ボールジョイントは前記第六ボールジョイントの前方に位置し、
前記第一ボールジョイントは前記第二ボールジョイントの外側に位置し、前記第七ボールジョイントは前記第八ボールジョイントの外側に位置し、前記第九ボールジョイントは前記第十ボールジョイントの外側に位置し、
前記第五ボールジョイントは前記第三ボールジョイントの上方に位置し、前記第六ボールジョイントは前記第四ボールジョイントの上方に位置し、前記第七ボールジョイントは前記第九ボールジョイントの上方に位置し、
前記第八ボールジョイントは前記第十ボールジョイントの上方に位置する、
独立式リアサスペンションシステム。
【請求項2】
前記ボールジョイントの代用としてゴムブッシュを利用する、請求項1に記載の独立式リアサスペンションシステム。
【請求項3】
ホイールモーターが前記ホイールハブに剛性接続する、請求項1に記載の独立式リアサスペンションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は独立式サスペンションシステムに関し、特に、低床バスの独立式リアサスペンションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のディーゼルエンジンを動力源とする大型バスの中でも、特にホイールベースが4メートルを超えるバスは、乗客の乗降を便利にするため、車内フロアと路面の間の距離を短縮する必要がある。前軸と後軸の間に乗車空間を備えるために、車両の空間レイアウトが制限されるので、ディーゼルエンジンを後軸後方に配置する必要がある。後方配置のエンジン、後輪駆動のパワートレイン配置に関しては、センタータイプ又はオフセットタイプのディファレンシャルギアを組み合わせても車内フロアと路面の間の距離を短縮することはできないため、例えばMitsubishi Fuso Aero Star(登録商標)やHino Blue Ribbon(登録商標)のように、車内フロアの後軸の前方位置にステップ又はスロープを設けている。
【0003】
現在のディーゼルエンジンを動力源とする中型バスの中でも、特にホイールベースが4メートルに満たないバスは、前軸と後軸の間に乗車空間を備えるために、車両の空間レイアウトが制限されるので、エンジンを前軸前方に配置し、トランスミッションをエンジン後方に接続し、ディファレンシャルギアを後軸に配置し、シャフトによりトランスミッションとディファレンシャルギアを接続する。動力伝達経路は後軸に位置するディファレンシャルギアを経由する必要があるので、車内フロアはシャフトの上方に配置する必要がある。フロントエンジン、後輪駆動のパワートレイン配置に関しては、例えばMitsubishi Fuso Rosa(登録商標)やToyota Coaster(登録商標)のように、いずれも車内フロアと路面の間の距離を短縮できないので、現在の中型バスはいずれもドアの部分のフロアを低くし、乗客が車内に入ってステップを上がるようになっている。
【0004】
現在のディーゼルエンジンを動力源とする中型バスの中でも、特にホイールベースが4メートルに満たないバスは、前軸と後軸の間に乗車空間を備えるために、車両の空間レイアウトが制限されるので、エンジンを後軸後方に配置し、トランスミッションをエンジンの前方に接続し、ディファレンシャルギアを後軸に配置し、シャフトによりトランスミッションとディファレンシャルギアを接続する。動力伝達経路は後軸に位置するディファレンシャルギアを経由する必要があるので、後軸後方の車内フロアはシャフトの上方に配置する必要がある。乗客の乗降を便利にするために、例えばHino Poncho(登録商標)のように、前軸と後軸の間の車内フロアと路面の間の距離を短縮するとともに、車内フロアの後軸前方部分にステップ又はスロープが設けられる。
【0005】
現在の電気機械を動力源とする中型バスの中でも、特にホイールベースが4メートルに満たないバスは、前軸と後軸の間に乗車空間を備えるために、車両の空間レイアウトが制限されるので、電気機械を前軸前方に配置する。前部動力源、前輪駆動のパワートレイン配置に関しては、例えばTecnobus Electric Gulliverのように、乗客の乗降を便利にするために、前軸と後軸の間の車内フロアと路面の間の距離を短縮するとともに、車内フロアの後軸前方部分にステップが設けられる。
【0006】
現在の電気機械を動力源とする中型バスの中でも、特にホイールベースが4メートルに満たないバスは、前軸と後軸の間に乗車空間を備えるために、車両の空間レイアウトが制限されるので、電気機械を後軸後方に配置する。後部動力源、後輪駆動のパワートレイン配置に関しては、例えばHino Poncho(登録商標)のように、乗客の乗降を便利にするために、前軸と後軸の間の車内フロアと路面の間の距離を短縮するとともに、車内フロアの後軸前方部分にステップが設けられる。
【0007】
Mitsubishi Fuso Rosa(登録商標)、Toyota Coaster、Hino Poncho(登録商標)、Tecnobus Electric Gulliverのいずれも車内フロアにステップ又はスロープを設ける必要があり、車内全体がフラットフロアとなる低床中型バスを実現することはできない。
【0008】
現在の車両のサスペンション機構はタイヤ内側のフロアパネル構造に接続し、タイヤ内側のフロアパネル構造はより高い作用力に耐える必要がある。タイヤ内側のフロアパネル構造はより高い負荷作用力に耐える必要があるので、構造強度の要求を満たすためにタイヤ内側のフロアパネル構造の管材のサイズを増加させる。そのため初期のバスのフロアパネル構造はボディ・オン・フレーム方式の設計を採用し、例えば、Isuzu(登録商標)NQRの中型バスように、車体側面構造及び車体天井構造を取り付けていない時、フロアパネルの構造強度はエンジン、トランスミッション、ディファレンシャルギア、サスペンション要素を搭載する重量負荷に耐えられるものであった。
【0009】
現在の車両のサスペンション機構はタイヤ内側のフロアパネル構造に接続し、後軸の位置決めを行う時は、作業者が車両用リフトを利用して車両をリフトアップするか、床に掘ったピットを利用して車両下方の空間を確保し、車両下方の空間にいる作業員が後軸の位置決め作業を行う必要がある。
【0010】
サスペンション機構の設計を行う際は、タイヤの摩耗を低減するために、サスペンション圧縮プロセスにおいてキャンバー角はネガティブになり、サスペンション解放プロセスにおいてキャンバー角はポジティブになる。現在の車両のサスペンション機構はタイヤ内側に連結する車体構造であり、タイヤがサスペンション圧縮プロセス又はサスペンション解放プロセスにある時、タイヤと地面の接触点はサスペンション圧縮プロセス又はサスペンション解放プロセスにおいて内側に移動する傾向があり、輪距(Track)が減少すると方向転換時の車両の安定性が低くなる。
【0011】
現在の車両のサスペンション機構はタイヤ内側に接続するフロアパネル構造であり、タイヤが一側向きの作用力を受ける時、特にその一側向きの作用力が進行方向の右側に向かっている場合、ロアリンクとホイールハブを接続するジョイントと路面の間の距離は変わらず、アッパーリンクとホイールハブを接続するジョイントと路面の間の距離が大きくなるほど、外側に曲がるアッパーリンクが受ける張力及びロアリンクが受ける圧力は小さくなり、内側に曲がるアッパーリンクが受ける圧力及びロアリンクが受ける張力は小さくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、後軸部分の上方に位置する車内フロアと路面の間の距離を短縮する、低床バスの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、サスペンション機構が車体構造に接続する位置を変え、タイヤ内側の車体構造が受ける負荷作用力を分散させ、さらにフロアパネル構造の管材の幅を縮小し、後軸上方の乗車空間をより広くすることができる、低床バスの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【0014】
本発明のさらなる目的は、作業員が車両の両側でそれぞれ後軸位置決め作業を行うことで、後軸位置決め作業の時間を短縮するだけでなく、作業員が後軸位置決め作業を行う際の事故リスクを低減する、低床バスの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、タイヤの摩耗を低減するために、サスペンション圧縮プロセスにおいてキャンバー角がネガティブになり、サスペンション解放プロセスにおいてキャンバー角がポジティブになるようにして、サスペンション機構がタイヤ外側に連結する車体構造にすることで、タイヤがサスペンション圧縮プロセス又はサスペンション解放プロセスにある時、タイヤと地面の接触点はサスペンション圧縮プロセス又はサスペンション解放プロセスにおいて外側に移動する傾向を有するので、輪距(Track)が増加すると方向転換時の車両の安定性が高くなる、低床バスの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【0016】
本発明のさらなる目的は、サスペンション機構がタイヤ内側に接続するフロアパネル構造にすることで、タイヤが一側向きの作用力を受ける時、特にその一側向きの作用力が進行方向右側に向かっている場合、ロアリンクとホイールハブを接続するジョイントと路面の間の距離は変わらず、アッパーリンクとホイールハブを接続するジョイントと路面の間の距離が大きくなるほど、外側に曲がるアッパーリンクが受ける圧力及びロアリンクが受ける張力が小さくなり、内側に曲がるアッパーリンクが受ける張力及びロアリンクが受ける圧力が小さくなることにより、外側に曲がるサスペンションリンクに座屈(Buckling)現象が起こらないようにする、低床バスの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、より多くの数量のロッド及びジョイントを利用してタイヤの関連角度を設計目標により合うものにし、タイヤの摩耗を低減する、7本のロッドと10の個ジョイントの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【0018】
本発明のさらなる目的は、電気機械とホイールハブが剛性接続するホイールモーター、後輪駆動の電動バスの独立式リアサスペンションシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の目的を達成するため、本発明の好ましい実施例における低床バスの独立式リアサスペンションシステムは、車体構造、ロッド、ボールジョイント、ゴムブッシュ、ホイールハブ及び電気機械を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の独立式リアサスペンションシステムによれば、車内フロアと路面の間の距離を短縮でき、乗客の乗降が便利になり、軸ユニット上方の乗車空間が広くなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明第一実施例の等角図である。
図2】本発明第一実施例の側面図である。
図3】本発明第一実施例の背面図である。
図4】本発明第一実施例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0022】
図1から図4によれば、本発明は好ましい実施例において車体構造100、第一ロッド101、第二ロッド102、第三ロッド103、第四ロッド104、第五ロッド105、ホイールハブ106、第一ボールジョイント201、第二ボールジョイント202、第三ボールジョイント203、第四ボールジョイント204、第五ボールジョイント205、第六ボールジョイント206、第七ボールジョイント207、第八ボールジョイント208、第九ボールジョイント209及び第十ボールジョイント210を備える。
【0023】
図1から図4によれば、車体構造100は第一ボールジョイント201に接続し、第一ボールジョイント201は第一ロッド101に接続し、第一ロッド101は第二ボールジョイント202に接続し、第二ボールジョイント202はホイールハブ106に接続し、ホイールハブ106は第四ボールジョイント204に接続し、第四ボールジョイント204は第二ロッド102に接続し、第二ロッド102は第三ボールジョイント203に接続し、第三ボールジョイント203は車体構造100に接続し、車体構造100は第五ボールジョイント205に接続し、第五ボールジョイント205は第三ロッド103に接続し、第三ロッド103は第六ボールジョイント206に接続し、第六ボールジョイント206はホイールハブ106に接続し、ホイールハブ106は第八ボールジョイント208に接続し、第八ボールジョイント208は第四ロッド104に接続し、第四ロッド104は第七ボールジョイント207に接続し、第七ボールジョイント207は車体構造100に接続し、車体構造100は第九ボールジョイント209に接続し、第九ボールジョイント209は第五ロッド105に接続し、第五ロッド105は第十ボールジョイント210に接続し、第十ボールジョイント210はホイールハブ106に接続する。車体中心線001は車両の中心線である。
【0024】
図1から図4によれば、第一ボールジョイント201、第二ボールジョイント202、第三ボールジョイント203、第四ボールジョイント204、第五ボールジョイント205及び第六ボールジョイント206は後軸の前方に位置し、第七ボールジョイント207、第八ボールジョイント208、第九ボールジョイント209及び第十ボールジョイント210は後軸の後方に位置し、第三ボールジョイント203は第四ボールジョイント204の前方に位置し、第五ボールジョイント205は第六ボールジョイント206の前方に位置する。
【0025】
図1から図4によれば、第一ボールジョイント201は第二ボールジョイント202の外側に位置し、第七ボールジョイント207は第八ボールジョイント208の外側に位置し、第九ボールジョイント209は第十ボールジョイント210の外側に位置する。
【0026】
図1から図4によれば、第一ボールジョイント201、第二ボールジョイント202、第三ボールジョイント203、第四ボールジョイント204、第五ボールジョイント205及び第六ボールジョイント206は後輪の回転軸の前方に位置し、第七ボールジョイント207、第八ボールジョイント208、第九ボールジョイント209及び第十ボールジョイント210は後輪の回転軸の後方に位置し、第三ボールジョイント203は第四ボールジョイント204の前方に位置し、第五ボールジョイント205は第六ボールジョイント206の前方に位置する。
【0027】
図1から図4によれば、本発明は好ましい実施例においてボールジョイントの代用としてゴムブッシュを利用する。
【0028】
図1から図4によれば、本発明は好ましい実施例において電気機械をホイールハブ106に剛性接続する。
【符号の説明】
【0029】
001 車体中心線
002 タイヤ
100 車体構造
101 第一ロッド
102 第二ロッド
103 第三ロッド
104 第四ロッド
105 第五ロッド
106 ホイールハブ
201 第一ボールジョイント
202 第二ボールジョイント
203 第三ボールジョイント
204 第四ボールジョイント
205 第五ボールジョイント
206 第六ボールジョイント
207 第七ボールジョイント
208 第八ボールジョイント
209 第九ボールジョイント
210 第十ボールジョイント
図1
図2
図3
図4