(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信方法及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 40/12 20090101AFI20230728BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20230728BHJP
【FI】
H04W40/12
H04W84/18
(21)【出願番号】P 2020020579
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 陽平
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 俊浩
(72)【発明者】
【氏名】村田 智洋
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0074161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0262758(US,A1)
【文献】特開2008-131649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置であって、
無線メッシュネットワークにおいて第1ノードが送信した第1フレームを受信する受信回路と、
前記第1フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報に含まれる前記第3ノードが前記無線通信装置を示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する制御回路と、
を具備する、無線通信装置。
【請求項2】
前記第1フレームは、送信承認、データ信号、又は、前記データ信号の受信完了を示す信号である、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
無線通信装置であって、
無線メッシュネットワークにおいて第2フレームを受信する受信回路と、
前記第2フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードを示す第3情報が含まれ、前記第3情報が前記無線通信装置を示す場合、前記無線通信装置と共に送信を行う第3ノードを示す第1情報を前記第2フレームに設定する制御回路と、
前記第2フレームを、前記無線リンクの受信先ノードへ送信する送信回路と、
を具備する、無線通信装置。
【請求項4】
無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードを示す第3情報と、前記第
2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報と、を含む第3フレームを生成する制御回路と、
前記第3フレームを前記第2ノードと前記第3ノードとに送信する送信回路と、
を具備する、無線通信装置。
【請求項5】
無線通信装置は、
無線メッシュネットワークにおいて第1ノードが送信した第1フレームを受信し、
前記第1フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報に含まれる前記第3ノードが前記無線通信装置を示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する、
無線通信方法。
【請求項6】
無線メッシュネットワークにおいて第1フレームを送信する第1ノードと、
前記第1ノードが送信した前記第1フレームを、通信品質が閾値未満の無線リンクへ送信する第2ノードと、
第3ノードと、を具備し、
前記第3ノードは、
前記第1ノードが送信した前記第1フレームを受信し、
前記第1ノードから受信した前記第1フレームに、前記第2ノードと共に送信を行うノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報が前記第3ノードを示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置、無線通信方法及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線通信装置(又は、ノード、無線ノード、無線機、又は、無線通信端末とも呼ぶ)が相互に通信を行うことにより、網の目状に形成される無線ネットワークである「無線メッシュネットワーク」について様々な検討がなされている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、無線メッシュネットワークにおいてスループットを向上する方法については検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、無線メッシュネットワークにおけるスループットを向上できる無線通信装置、無線通信方法及び無線通信システムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、無線通信装置であって、無線メッシュネットワークにおいて第1ノードが送信した第1フレームを受信する受信回路と、前記第1フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報に含まれる前記第3ノードが前記無線通信装置を示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する制御回路と、を具備する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施例によれば、無線メッシュネットワークにおけるスループットを向上できる。
【0009】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】無線ネットワークの動作例を示すシーケンス図
【
図5】無線ネットワークの動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本開示は以下の実施の形態により限定されるものではない。
【0012】
無線メッシュネットワークには、例えば、インフラストラクチャに依存しない、拡張性が高い、通信のエネルギ効率が高い、冗長性があるためロバスト性が高い、といった利点がある。例えば、特許文献1では、複数のメッシュポイント(例えば、ノードに相当)によって構成される無線メッシュネットワークの冗長性を有効に活用するためのメッシュポイントの送信タイミングの制御に関する技術が開示されている。
【0013】
図1は、無線ネットワークの構成例を示す図である。
図1に示す無線ネットワーク10は、例えば、ソースノード(換言すると、送信元ノード)と、ノード1~ノード6と、シンクノード(換言すると、宛先ノード)と、を含む無線メッシュネットワークである。
【0014】
例えば、無線ネットワーク10は、各ノードが受信した信号(例えば、フレーム)の内容に基づいて自律的に通信を行うシステムでよい。換言すると、無線ネットワーク10は、特定のノードが他のノードに指示して通信を制御する集中型のシステムでなくてよい。
【0015】
例えば、
図1において線でつながっているノードは、通信可能なノード(換言すると、通信可能な距離に位置するノード)を示す。また、
図1における線の太さは、ノード間の通信品質(例えば、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio))を示す。
【0016】
図1において、ソースノード(第1ノード)及びノード1~ノード3は、例えば、ノード1(第2ノード)とノード4との距離と比較して、それぞれ距離が近く、通信品質が高い環境下で通信可能である。同様に、
図1において、シンクノード及びノード4~ノード6は、例えば、ノード1とノード4との距離と比較して、それぞれ距離が近く、通信品質が高い環境下で通信可能である。換言すると、
図1において、ノード1とノード4とは通信可能な距離に位置しているが、ソースノード及びノード1~ノード3(又は、シンク(sink)ノード及びノード4~ノード6)と比較してノード間の距離が遠く、通信品質が低い可能性がある。
【0017】
ここで、通信品質(例えば、SNR)が高いほど、安定した通信又は高速通信が可能となり得る。一方、通信品質が低いほど、無線通信のビットエラーレート(BER:Bit Error Rate)は高くなり、データを失う確率が高くなるので、例えば、無線メッシュネットワークにおいてスループットは低減し得る。
【0018】
例えば、
図1に示す無線ネットワーク10において、ノード1とノード4との間の通信では、他のノード間の通信と比較して、通信品質が低い可能性が高く、データを失う確率が高くなり得る。この場合、ノード1とノード4との間の通信においてデータ再送が発生しやすくなり、無線ネットワーク10のスループットが低下し得る。
【0019】
以下、ノード間(例えば、ノード1とノード4との間)の通信においてデータ再送が発生する一例について説明する。
【0020】
[前提]
例えば、無線ネットワーク10では、各ノードが以下の情報を保持していることを想定する。
(a)宛先ノード(例えば、ソースノード又はシンクノード)へデータフレームを転送するための次の中継ノード(換言すると、次の中継先)に関する情報。例えば、
図1において、ソースノードは、ノード1を次の中継先とした情報を保持し、ノード1は、ノード4を次の中継先とした情報を保持し、ノード4は、シンクノードを次の中継先とした情報を保持する状態について説明する。なお、
図1において、ソースノードは、他のノードを介してノード1に中継してもよいし、ノード4は、他のノードを介して、シンクノードに中継してもよい。例えば、各ノードは、少なくとも宛先へ向かう次の中継先が記載されたルーティングテーブルを参照して次の中継先を決定してもよい。
(b)各ノードと通信可能である他のノード、及び、各ノードと通信可能である他のノードとの間の通信品質に関する情報(例えば、RSSI:Received Signal Strength Indicator)
(c)ノード間で同期する時間(換言すると、タイミング、タイムステップ又は基準時間)に関する情報
【0021】
[パケット送信例]
図2は、
図1に示す無線ネットワーク10における無線信号(又は、パケット又はフレームとも呼ぶ)の送信例を示すシーケンス図である。
図2に示す横軸のタイムステップ(以下、「t」と表す)毎の動作例を以下に記載する。
【0022】
t1において、例えば、ソースノードは、宛先がシンクノードであるデータ通信を行うための送信予約フレーム(例えば、送信予約信号とも呼ぶ)をノード1へ送信する。
【0023】
t2において、例えば、ノード1、及び、ノード1の周辺に位置するノード2及びノード3は、ソースノードからの送信予約フレームを受信する。ノード1は、例えば、ソースノードからシンクノード宛ての信号(ここでは、送信予約フレーム)の中継ノードがノード1であると判断し、ノード4へ送信予約フレームを転送してよい。換言すると、ノード2及びノード3は、例えば、ソースノードからシンクノード宛ての信号(ここでは、送信予約フレーム)の中継ノードがノード1であると判断し、送信予約フレームを転送しなくてよい(例えば、破棄する)。以降、各ノードは、受け取った信号が自ノード宛でなく、かつ、自ノードが中継先でない場合、受け取った信号を転送しなくてよい(例えば、破棄する)。
【0024】
t3において、例えば、ノード4は、ノード1からの送信予約フレームを受信する。そして、ノード4は、送信予約フレームをシンクノードへ転送してよい。
【0025】
t4において、シンクノード、及び、ノード4と通信可能なノード1、ノード5及びノード6は、送信予約フレームを受信する。シンクノードは、受信した送信予約フレームがシンクノード宛てであると判断(換言すると、認識)し、宛先がソースノードである送信承認フレーム(例えば、送信承認信号とも呼ぶ)をノード4へ送信してよい。
【0026】
t5において、ノード4、及び、ノード4の周辺に位置するノード5及びノード6は、シンクノードからの送信承認フレームを受信する。ノード4は、例えば、シンクノードからソースノード宛ての信号(ここでは、送信承認フレーム)の中継ノードがノード4であると判断し、ノード1へ送信承認フレームを転送してよい。
【0027】
t6において、ノード1は、ノード4からの送信承認フレームを受信する。そして、ノード1は、送信承認フレームをソースノードへ転送してよい。
【0028】
t7において、ソースノード、及び、ノード1と通信可能なノード2、ノード3及びノード4は、送信承認フレームを受信する。ソースノードは、受信した送信承認フレームがソースノード宛てであると判断し、宛先がシンクノードであるデータフレーム(例えば、データ又はデータ信号とも呼ぶ)をノード1へ送信してよい。
【0029】
t8において、ノード1、及び、ノード1と通信可能なノード2及びノード3は、ソースノードからのデータフレームを受信する。ノード1は、例えば、ソースノードからシンクノード宛ての信号(ここでは、データフレーム)の中継ノードがノード1であると判断し、ノード4へデータフレームを転送してよい。
【0030】
t9において、例えば、ノード1と通信可能なソースノード、ノード2及びノード3は、ノード1からのデータフレームを受信する。一方、例えば、ノード4では、ノード1からのデータフレームは受信されない(換言すると、データをロスする)。ここで、データフレームのサイズは、例えば、送信予約フレーム又は送信承認フレームといった他のフレームのサイズと比較して大きい可能性が高い。このため、例えば、
図2に示すように、他のノード間の通信品質と比較して低いノード1とノード4との間の通信では、送信予約フレーム又は送信承認フレームの送受信ができても、データフレームの送受信に失敗する可能性があり得る。
【0031】
t15において、ソースノードは、例えば、データフレーム送信(例えば、t7)から当該データフレームに対する受信完了フレーム(例えば、受信完了信号とも呼ぶ)を受信するまでの期間に関する規定値(例えば、Retransmission Time Out(RTO)と呼ぶ)を経過しても受信完了フレームを受信していないため、宛先がシンクノードであるデータフレームをノード1へ送信(換言すると、再送)してよい。
【0032】
t16において、ノード1、及び、ノード1と通信可能なノード2及びノード3は、データフレームを受信する。ノード1は、例えば、ソースノードからシンクノード宛ての信号の中継ノードがノード1であると判断し、ノード4へデータフレームを転送してよい。t17において、例えば、t9と同様、ノード1と通信可能なソースノード、ノード2及びノード3は、データフレームを受信する。一方、t9と同様、ノード4では、例えば、ノード1からのデータフレームは受信されない(換言すると、データフレームをロスする)。
【0033】
以降、ソースノードは、例えば、RTO毎にデータフレームの再送を繰り返してよい。例えば、データ再送毎にRTOの長さは、より長く(例えば、2倍に)設定されてよい。
【0034】
このように、
図2において、ノード1とノード4との間の通信に失敗してデータフレームの再送が繰り返されることによって、例えば、他のノードの通信を妨害し得るので、無線ネットワーク10のスループットは低下し得る。
【0035】
そこで、本開示の一実施例では、無線ネットワーク10においてスループットを向上する方法の一例について説明する。
【0036】
例えば、本開示の一実施例に係る無線ネットワーク10において、ソースノードと通信可能なノード1~ノード3は、シンクノード宛ての無線信号(例えば、データフレーム)を協力中継(例えば、同時送信、協力送信又は協調送信とも呼ぶ)してよい。同様に、例えば、シンクノードと通信可能なノード4~ノード6は、ソースノード宛ての無線信号(例えば、受信完了フレーム)を協力中継してよい。複数のノードによる協力中継によって、受信側のノードにおける受信電力(換言すると、通信品質)を向上でき、無線信号の再送を抑制できるので、無線ネットワーク10のスループットを向上できる。
【0037】
なお、以下では、協力中継を行う可能性のあるノードを含むグループを「Collaboノード(又は、中継グループ)」と呼ぶ。
図1では、ノード1、ノード2及びノード3を含むグループを「Collaboノード1」と呼び、ノード4、ノード5及びノード6を含むグループを「Collaboノード2」と呼ぶ。各Collaboノード内の少なくとも2つのノードは、他のCollaboノードに対して無線信号を協力中継してよい。なお、「Collabo」は「Collaboration」(協力又は協調)の略記である。
【0038】
図3は、本開示の一実施例に係るノード(例えば、無線通信装置に相当)の構成例を示すブロック図である。
図2に示すソースノード、ノード1~ノード6及びシンクノードそれぞれは、例えば、
図3に示すノード100の構成を有してよい。
【0039】
図3に示すノード100は、例えば、送受信部111と、制御部112と、を備えてよい。
【0040】
送受信部111は、例えば、制御部112による制御に従って、無線信号(例えば、上述した送信予約フレーム、送信承認フレーム、データフレーム又は受信完了フレーム)の無線送信及び無線受信の少なくとも一つを行う。
【0041】
例えば、送受信部111は、ノード100宛ての無線信号、又は、他のノード宛ての無線信号を受信してよい。また、例えば、送受信部111は、他のノード宛ての無線信号を送信又は転送(換言すると中継)してよい。
【0042】
なお、送受信部111における無線通信方式は、例えば、無線ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、LPWA、又は、ミリ波帯を用いた方式(例えば、WiGig(登録商標))でもよく、他の無線通信方式でもよい。
【0043】
制御部112は、例えば、無線信号の送信、受信又は転送を制御する。
【0044】
例えば、制御部112は、上述したように、無線信号を転送する次の中継ノードに関する情報、ノード100と通信可能な他のノードに関する情報、他のノードとノード100との間の受信品質(例えば、RSSI)に関する情報、又は、同期時間に関する情報を保持してよい。
【0045】
制御部112は、例えば、無線信号が入力された場合、又は、他のノードから無線信号を受信した場合、次の中継ノードへの転送を制御してよい。例えば、制御部112は、他のノードから無線信号(例えば、データフレーム又は受信完了フレーム)を受信した場合、無線信号に含まれる協力中継に関する情報に基づいて、ノード100が無線信号の中継ノード(換言すると、中継機)ではない場合に当該無線信号を中継(換言すると、協力中継)するか否かを決定してよい。
【0046】
また、制御部112は、例えば、他のノードから受信する無線信号(例えば、送信予約フレーム又は送信承認フレーム)に基づいて、協力中継に関する情報を当該無線信号に含めてよい。協力中継に関する情報には、例えば、無線信号の中継ノードのうち、他のノードと協力して中継を行う中継ノード(以下では、「ボトルネックノード(第2ノード)」と呼ぶ)に関する情報、又は、中継ノードと共に送信(協力中継)を行うノード(以下では、「同時送信ノード(第3ノード)」と呼ぶ)に関する情報が含まれてよい。
【0047】
[フレーム構成例]
上述した無線ネットワーク10におけるフレーム構成(又はフレームフォーマット)の例について説明する。
【0048】
【0049】
無線ネットワーク10では、例えば、
図4に示すフレームのように、ソースノード(第1ノード)からシンクノードへのデータ通信において、ソースノードがシンクノードへ「送信予約フレーム」を送信し、ソースノードがシンクノードからデータの「受信完了フレーム」を受信する場合、各ノード100は、例えば、以下の4種類のフレームに基づいて動作してよい。
【0050】
<(a)送信予約フレーム>
送信予約フレームは、例えば、ソースノードからシンクノードへデータ送信を予約する際に使用されるフレームである。
【0051】
図4に示す送信予約フレームには、例えば、フレーム種別(例えば、「送信予約」)を示すフィールド、及び、送信元ノードと宛先ノードと次の中継ノードとを示すフィールドが含まれてよい。
【0052】
また、
図4に示す送信予約フレームには、例えば、送信元ノードと宛先ノードとの間の中継ノードのうち、通信不可になり得るノード(例えば、ボトルネックノード)を示すフィールドが含まれてよい。ボトルネックノードは、例えば、通信相手(例えば、ノード100が通信可能なノードの何れか)との間の受信品質(例えば、RSSI)が閾値未満の中継ノードでもよい。ボトルネックノードを示すフィールドには、例えば、ソースノード側(例えば、
図1に示すCollaboノード1)のボトルネックノード、及び、シンクノード側(例えば、
図1に示すCollaboノード2)のボトルネックノードがそれぞれ示されてよい。
【0053】
また、
図4に示す送信予約フレームには、例えば、ボトルネックノードの判断基準であるRSSI(換言すると、RSSIの閾値)を示すフィールドが含まれてよい。なお、ボトルネックノードの判断基準が、RSSI以外の基準であれば、その基準をこのフィールド(RSSIフィールド)に記載してもよい。
【0054】
例えば、
図4に示す送信予約フレームを受信した中継ノード(例えば、
図1のノード1)は、中継ノードが、送信予約フレームを受信したときに測定したRSSIと、送信予約フレームに記載のRSSIとを比較し、ボトルネックノードであると判断した場合、送信予約フレームのボトルネットノードフィールドに、自中継ノードを識別する情報(例えば、ノードID)を追加して、送信予約フレームを次の転送先へ送信してよい。
【0055】
<(b)送信承認フレーム>
送信承認フレームは、例えば、シンクノードからソースノードへデータ送信予約を承認する際に使用されるフレームである。
【0056】
図4に示す送信承認フレームには、例えば、フレーム種別(例えば、「送信承認」)を示すフィールド、及び、宛先ノードと次の中継ノードとを示すフィールドが含まれてよい。
【0057】
また、
図4に示す送信承認フレームには、例えば、ボトルネックノード(例えば、ソースノード側及びシンクノード側)を示すフィールドが含まれてよい。送信承認フレームに含まれるボトルネックノードに関する情報は、例えば、シンクノードが受信した送信予約フレームに含まれるボトルネックノードに関する情報と同じでもよい。
【0058】
また、
図4に示す送信承認フレームには、例えば、ボトルネックノードと無線信号を協力中継(以下、便宜的に、同時送信)するノード(例えば、同時送信ノード)を示すフィールドが含まれてよい。同時送信ノードを示すフィールドには、例えば、ソースノード側の同時送信ノード(例えば、
図1に示すCollaboノード1のノード2とノード3)、及び、シンクノード側の同時送信ノード(例えば、
図1に示すCollaboノード2のノード5とノード6)が示されてよい。
【0059】
例えば、
図4に示す送信承認フレームを受信した中継ノード(例えば、例えば、
図1に示すCollaboノード1のノード1)は、中継ノードがボトルネックノードである場合、送信承認フレームに、中継ノードと協力中継する同時送信ノードを識別する情報(例えば、
図1に示すCollaboノード1のノード2とノード3のノードID)を追加して、送信承認フレームを次の転送先へ送信してよい。
【0060】
例えば、
図1に示すCollaboノード2のノード4は、中継ノードとしてボトルネックノードである場合、送信承認フレームに、中継ノードと協力中継する同時送信ノードを識別する情報として、
図1に示すCollaboノード2のノード5とノード6のノードIDを追加する。また、
図1に示すCollaboノード1のノード1は、中継ノードとしてボトルネックノードである場合、送信承認フレームに、中継ノードと協力中継する同時送信ノードを識別する情報として、
図1に示すCollaboノード1のノード2とノード3のノードIDを追加する。
【0061】
<(c)データフレーム>
データフレームは、例えば、ソースノードからシンクノードへデータを送信する際に使用されるフレームである。
【0062】
図4に示すデータフレームには、例えば、フレーム種別(例えば、「データ」)を示すフィールド、宛先ノードと次の中継ノードとを示すフィールド、及び、ペイロード(換言すると、データ部)を示すフィールドが含まれてよい。
【0063】
また、
図4に示すデータフレームには、例えば、同時送信ノード(例えば、ソースノード側及びシンクノード側)を示すフィールドが含まれてよい。データフレームに含まれる同時送信ノードに関する情報は、例えば、ソースノードが受信した送信承認フレームに含まれる同時送信ノードに関する情報と同じでもよい。なお、同時送信ノードを示すフィールドは、シンクノード側の情報が省略されてもよい。
【0064】
例えば、
図4に示すデータフレームを受信したノード100は、ノード100が中継ノードではない場合でも、ノード100が同時送信ノードである場合には、データフレームを転送してよい。これにより、データフレームは、中継ノード、及び、同時送信ノードによって同時送信される。
【0065】
<(d)受信完了フレーム>
受信完了フレームは、例えば、シンクノードからソースノードへデータ受信の完了を通知する際に使用されるフレームである。
【0066】
図4に示す受信完了フレームには、例えば、フレーム種別(例えば、「受信完了」)を示すフィールド、及び、宛先ノードと次の中継ノードとを示すフィールドが含まれてよい。
【0067】
また、
図4に示す受信完了フレームには、例えば、同時送信ノード(例えば、シンクノード側)を示すフィールドが含まれてよい。受信完了フレームに含まれる同時送信ノードに関する情報は、例えば、シンクノードが受信したデータフレームに含まれるシンクノード側の同時送信ノードに関する情報と同じでもよい。なお、受信完了フレームは、データフレームに含まれる同時送信ノードに関する情報をそのままコピーしてもよいので、ソースノード側、シンクノード側の両方の情報を含めてもよい。
【0068】
例えば、
図4に示す受信完了フレームを受信したノード100は、ノード100が中継ノードではない場合でも、ノード100が同時送信ノードである場合には、受信完了フレームを転送してよい。これにより、受信完了フレームは、中継ノード、及び、同時送信ノードによって同時送信される。
【0069】
なお、
図4に示すフレームにおいて、同時送信ノードを第1の情報と称し、宛先、次中継を第2の情報と称し、ボトルネックノードを第3の情報と称する。
【0070】
なお、
図4に示すフレームにおいて、同時送信ノードを含む送信承認フレーム、データフレーム、受信完了フレームを第1のフレームと称する。また、
図4に示すフレームにおいて、ボトルネックノード、同時送信ノードを含む送信承認フレームを第2のフレームと称する。また、
図4に示すフレームにおいて、同時送信ノードを含むデータフレーム、受信完了フレームを第3のフレームと称する。
【0071】
以上、フレームの構成例について説明した。なお、
図4に示すフレーム構成は一例であり、各フレームの構成は
図4に示す例に限定されない。
【0072】
次に、無線ネットワーク10の動作例について説明する。
【0073】
図5は、本開示の一実施例に係る無線ネットワーク10(例えば、
図1)の動作例を示すシーケンス図である。
図5に示す横軸のタイムステップ(以下、「t」と表す)毎の動作例を以下に記載する。
【0074】
t1において、例えば、ソースノードは、宛先がシンクノードであるデータ通信を行うための送信予約フレームをノード1へ送信してよい。送信予約フレームには、例えば、ボトルネックノードの判定するためのRSSI(換言すると、閾値)、送信元ノード(例えば、ソースノードのID)、宛先ノード(例えば、シンクノードのID)、及び、次の中継ノード(例えば、ノード1のID)を示す情報が含まれてよい。なお、t1においてソースノードから送信される送信予約フレームには、ボトルネックノードに関する情報を含まなくてもよいが、ソースノードが送信予約フレーム送信時に、ボトルネックノードが既知の場合は、ソースノードが送信予約フレームにボトルネックノードを含めて送信してもよい。
【0075】
t2において、例えば、ノード1、及び、ノード1の周辺に位置するノード2及びノード3は、ソースノードからの送信予約フレームを受信する。ノード1は、例えば、ソースノードからシンクノード宛ての信号の中継ノードがノード1であると判断し、ノード4へ送信予約フレームを転送してよい。例えば、t2において中継ノード1から送信される送信予約フレームには、次の中継ノード(例えば、ノード4のID)を示す情報が追記されてよい。
【0076】
t3において、例えば、ノード4は、ノード1からの送信予約フレームを受信する。このとき、例えば、ノード4において、ノード1から受信した信号の受信品質(例えば、RSSI)が閾値未満であるとする。この場合、ノード4は、送信予約フレームにおいて、ソースノード側のボトルネックノードにノード1を追加(換言すると、追記又は設定)し、シンクノード側のボトルネックノードにノード4を追加してよい。そして、ノード4は、送信予約フレームをシンクノードへ転送してよい。換言すると、ノード4は、通信品質が閾値未満の無線リンク(以下、「ボトルネックリンク」とも呼ぶ)へ無線信号を送信するボトルネックノードを示す情報を、送信予約フレームの受信先ノードへ送信してよい。
【0077】
t4において、シンクノード、及び、ノード4と通信可能なノード1、ノード5及びノード6は、送信予約フレームを受信する。シンクノードは、受信した送信予約フレームがシンクノード宛てであると判断してよい。そこで、シンクノードは、例えば、送信予約フレームに含まれるボトルネックノード(例えば、ソースノード側:ノード1、シンクノード側:ノード4)を、送信承認フレームにコピーしてよい。また、シンクノードは、送信承認フレームにおいて、宛先ノードをソースノードに設定し、次の中継ノードをノード4に設定してよい。そして、シンクノードは、送信承認フレームをノード4へ送信してよい。
【0078】
t5において、ノード4、及び、ノード4の周辺に位置するノード5及びノード6は、シンクノードからの送信承認フレームを受信する。ノード4は、例えば、シンクノードからソースノード宛ての信号の中継ノードがノード4であると判断してよい。
【0079】
また、ノード4は、例えば、送信承認フレームに、ボトルネックノードに関する情報が含まれ、ボトルネックノードに関する情報がノード4を示す場合、ノード4がシンクノード側のボトルネックノードであると判断してよい。そこで、ノード4は、例えば、シンクノード側の同時送信ノード(換言すると、ノード4と共に送信を行うノード)を設定する。例えば、ノード4は、ノード4との間の受信品質(例えば、RSSI)が閾値以上のノードを同時送信ノードに決定してよい。
図5に示す例では、ノード4は、ノード5及びノード6を同時送信ノードに決定してよい。
【0080】
ノード4は、例えば、送信承認フレームにおいて、シンクノード側の同時送信ノードに、ノード5及びノード6を追加(換言すると、追記又は設定)してよい。また、ノード4は、例えば、次の中継ノードをノード1に設定してよい。
【0081】
そして、ノード4は、ノード1へ送信承認フレームを転送してよい。
【0082】
t6において、ノード1は、ノード4からの送信承認フレームを受信する。
【0083】
また、ノード1は、例えば、送信承認フレームに、ボトルネックノードに関する情報が含まれ、ボトルネックノードに関する情報がノード1を示す場合、ノード1がソースノード側のボトルネックノードであると判断してよい。そこで、ノード1は、例えば、ソースノード側の同時送信ノード(換言すると、ノード1と共に送信を行うノード)を決定してよい。例えば、ノード1は、ノード1との間の受信品質(例えば、RSSI)が閾値以上のノードを同時送信ノードに決定してよい。
図5に示す例では、ノード1は、ノード2及びノード3を同時送信ノードに決定してよい。
【0084】
ノード1は、例えば、送信承認フレームにおいて、ソースノード側の同時送信ノードに、ノード2及びノード3を追加してよい。
【0085】
そして、ノード1は、送信承認フレームをソースノードへ転送する。
【0086】
t7において、ソースノード、及び、ノード1と通信可能なノード2、ノード3及びノード4は、送信承認フレームを受信する。ソースノードは、受信した送信承認フレームがソースノード宛てであると判断する。
【0087】
t7において、ソースノードは、例えば、送信承認フレームに含まれる同時送信ノード(例えば、ソースノード側:ノード2及びノード3、シンクノード側:ノード5及びノード6)を、データフレームにコピーしてよい。また、ソースノードは、データフレームにおいて、宛先ノードをシンクノードに設定し、次の中継ノードをノード1に設定する。そして、シンクノードは、データフレームをノード1へ送信する。
【0088】
このように、ソースノードからシンクノードへの送信予約フレームの送信において、ソースノードとシンクノードとの間の伝送経路におけるボトルネックノードが特定される。また、シンクノードからソースノードへの送信承認フレームの送信によって、ボトルネックノードにおける同時送信ノードが特定される。
【0089】
このように、ソースノードは、例えば、ボトルネックリンクへデータフレームを送信するノードを示す情報(例えば、中継ノードを示す情報)に加え、同時送信ノードに関する情報を含むデータフレームを生成し、生成したデータフレームをCollaboノード1内のノードへ送信する。
【0090】
t8において、ノード1、及び、ノード1と通信可能なノード2及びノード3は、ソースノードからのデータフレームを受信する。
【0091】
ノード1は、例えば、ソースノードからシンクノード宛ての信号の中継ノードがノード1であると判断する。そこで、ノード1は、例えば、次の中継ノードをノード4に設定し、ノード4へデータフレームを転送する。
【0092】
また、ノード2及びノード3は、データフレームの中継ノードがノード4であると判断する。また、ノード2及びノード3は、例えば、受信したデータフレームに含まれる同時送信ノードに関する情報がノード2及びノード3それぞれを示す場合、ノード2及びノード3がソースノード側の同時送信ノードであると判断する。そこで、ノード2及びノード3は、例えば、ソースノードから受信したデータフレームの送信先である次の中継ノードをノード4(換言すると、ボトルネックリンクの受信先ノード)に設定し、ソースノードから受信したデータフレームをノード4へ送信する。
【0093】
図5に示すt8におけるノード1~ノード3それぞれの送信処理により、データフレームは、ノード1、ノード2及びノード3から同時送信される。データの同時送信により、ノード4では、データフレームの受信電力又は受信品質(例えば、SNR)が向上するので、ノード4においてデータフレームを正常に受信できる可能性が高くなる。換言すると、例えば、単一のノード(例えば、ノード1)による送信では受信側のノード4においてデータ受信しない場合でも、複数のノード(例えば、ノード1~3)による同時送信では、受信側のノード4においてデータ受信する可能性が高くなる。
【0094】
なお、
図5では、ノード2,3はノード4に送信するが、ノード2,3が、ノード5,6に送信してよく、ノード5,6は、受信したデータフレームをシンクノードに転送するように、設定してもよい。
【0095】
t9において、例えば、ノード4は、ノード1~ノード3からのデータフレームを受信する。そして、ノード4は、データフレームをシンクノードへ転送する。
【0096】
t10において、シンクノード、及び、ノード4と通信可能なノード5及びノード6はデータフレームを受信する。シンクノードは、受信したデータフレームがシンクノード宛てであると判断する。そこで、シンクノードは、例えば、データフレームに含まれる、シンクノード側の同時送信ノード(例えば、ノード5及びノード6)を、受信完了フレームにコピーしてよい。また、シンクノードは、受信完了フレームにおいて、宛先ノードをソースノードに設定し、次の中継ノードをノード4に設定する。そして、シンクノードは、受信完了フレームをノード4へ送信する。
【0097】
このように、シンクノードは、例えば、ボトルネックリンクへ受信完了フレームを送信するノードを示す情報(例えば、中継ノードを示す情報)に加え、同時送信ノードに関する情報を含む受信完了フレームを生成し、生成した受信完了フレームをCollaboノード2内のノードへ送信する。
【0098】
t11において、ノード4、及び、ノード4と通信可能なノード5及びノード6は、シンクノードからの受信完了フレームを受信する。
【0099】
ノード4は、例えば、シンクノードからソースノード宛ての信号の中継ノードがノード4であると判断する。そこで、ノード4は、例えば、次の中継ノードをノード1に設定し、ノード1へ受信完了フレームを転送する。
【0100】
また、ノード5及びノード6は、例えば、受信した受信完了フレームの中継ノードがノード4であると判断する。また、ノード5及びノード6は、例えば、受信完了フレームに含まれる同時送信ノードに関する情報がノード5及びノード6それぞれを示す場合、ノード5及びノード6がシンクノード側の同時送信ノードであると判断する。そこで、ノード5及びノード6は、例えば、シンクノードから受信した受信完了フレームの送信先である次の中継ノードをノード1(換言すると、ボトルネックリンクの受信先ノード)に設定し、シンクノードから受信した受信完了フレームをノード1へ送信する。
【0101】
図5に示すt11におけるノード4~ノード6それぞれの送信処理により、受信完了フレームは、ノード4、ノード5及びノード6から同時送信される。受信完了フレームの同時送信により、ノード1では、受信完了フレームの受信電力又は受信品質(例えば、SNR)が向上するので、ノード1において受信完了フレームを正常に受信できる可能性が高くなる。換言すると、例えば、単一のノード(例えば、ノード4)による送信では受信側のノード1においてデータ受信しない場合でも、複数のノード(例えば、ノード4~6)による同時送信では、受信側のノード1においてデータ受信する可能性が高くなる。
【0102】
t12において、ノード1は、受信完了フレームを受信する。そして、ノード1は、受信完了フレームの中継ノードがノード1であると判断し、受信完了フレームをソースノードへ転送する。
【0103】
t13において、ソースノード、及び、ノード1と通信可能なノード2及びノード3は、受信完了フレームを受信する。ソースノードは、受信した受信完了フレームがソースノード宛てであると判断し、ソースノードからシンクノードへのデータ送信処理を終了する。
【0104】
このように、無線ネットワーク10では、通信品質(例えば、SNR)が閾値未満になり得るリンク(例えば、ボトルネックリンクと呼ぶ)において、複数のノード100による同時送信により、ボトルネックリンクにおけるパケットロスの発生を低減し、データの再送を抑制できる。データ再送の抑制により、無線ネットワーク10におけるスループットを向上できる。
【0105】
また、各ノード100は、データフレーム又は受信完了フレームに含まれる同時送信ノードに関する情報に基づいて、ノード100がデータフレーム又は受信完了フレームの中継ノードではない場合にデータフレーム又は受信完了フレームを他のノードへ中継(換言すると、同時送信)するか否かを個別に(換言すると、自律的に)決定できる。
【0106】
[ノードの動作例]
次に、上述した無線ネットワーク10における各ノード(例えば、ノード100)の動作例について説明する。
【0107】
以下では、通信のトリガとなるソースノードの動作例、及び、他のノード(例えば、中継ノード又は宛先ノード(シンクノード))の動作例についてそれぞれ説明する。
【0108】
<ソースノードの動作例>
図6は、ソースノード(例えば、ノード100)の動作例を示すフローチャートである。
【0109】
図6において、ソースノードは、例えば、送信予約フレームを生成し、中継ノードへ送信する(S11)。ソースノードから送信される送信予約フレームには、例えば、宛先ノード(例えば、シンクノード)、送信元ノード(例えば、ソースノード)、及び、次の中継ノードに関する情報(例えば、ノードIDを示す情報)、及び、RSSIに関する情報(例えば、閾値)が含まれてよい。換言すると、ソースノードから送信される送信予約フレームにおいて、ボトルネックノードを示すフィールドにはノードが示されなくてよい。
【0110】
ソースノードは、送信予約フレームを送信後、送信承認フレームの受信待ち状態になる。
【0111】
ソースノードは、送信承認フレームを受信した否かを判断する(S12)。送信承認フレームを受信しない場合(S12:No)、ソースノードは、一定時間待機した後(S13)、S11の処理に戻り、送信予約フレームを再送してよい。
【0112】
一方、ソースノードは、送信承認フレームを受信した場合(S12:Yes)、データフレームを生成し、中継ノードへ送信する(S14)。ソースノードから送信されるデータフレームには、例えば、宛先ノード(例えば、シンクノード)、次の中継ノードに関する情報(例えば、ノードIDを示す情報)、同時送信ノードに関する情報、及び、データ(ペイロード)が含まれてよい。例えば、ソースノードは、受信した送信承認フレームに記載されている「同時送信ノード」に関する情報をデータフレームにコピーしてよい。
【0113】
ソースノードは、テータフレームを送信後、受信完了の受信待ち状態になる。
【0114】
ソースノードは、受信完了フレームを受信した否かを判断する(S15)。受信完了フレームを受信しない場合(S15:No)、ソースノードは、一定時間(例えば、RTO)待機した後(S16)、S14の処理に戻り、データフレームを再送してよい。一方、ソースノードは、受信完了フレームを受信した場合(S15:Yes)、送信処理を終了する。
【0115】
<中継ノード及びシンクノードの動作例>
図7は、シンクノード、中継ノード又は同時送信ノード(例えば、ノード100)の動作例を示すフローチャートである。ノード100は、例えば、無線信号(例えば、送信予約フレーム、送信承認フレーム、データフレーム、及び、受信完了フレームの何れか)を受信した場合に
図7に示す処理を開始してよい。
【0116】
図7において、ノード100は、受信したフレーム(例えば、宛先ノードに関する情報)に基づいて、ノード100が宛先ノード(例えば、シンクノード)であるか否かを判断する(S101)。ノード100が宛先ノードの場合(S101:Yes)、ノード100は、宛先ノード(例えば、シンクノード)に関する処理(例えば、後述するS301~S304)を行う。
【0117】
[中継ノードに関する処理]
ノード100が宛先ノードではない場合(S101:No)、ノード100は、例えば、受信したフレーム(例えば、中継ノードに関する情報)に基づいて、ノード100が中継ノードであるか否かを判断する(S102)。
【0118】
ノード100が中継ノードである場合(S102:Yes)、ノード100は、受信したフレームが送信予約フレームであるか否かを判断する(S103)。
【0119】
フレームが送信予約フレームの場合(S103:Yes)、ノード100は、例えば、受信品質(例えば、RSSI)が閾値以上であるか否かを判断する(S104)。換言すると、ノード100は、ノード100によるデータ通信に対してRSSIが十分であるか否かを判断する。RSSIが閾値未満の場合(S104:No)、ノード100は、例えば、送信予約フレームにおいて、送信予約フレームの送信元ノードのIDを、ソースノード側のボトルネックノードに設定し、ノード100のIDを、シンクノード側のボトルネックノードに設定する(S105)。
【0120】
S105の処理後、又は、RSSIが閾値以上の場合(S104:Yes)、ノード100は、フレーム(ここでは、送信予約フレーム)に次の中継ノードを設定し、次の中継ノードにフレームを送信する(S106)。
【0121】
図7に示すS103において、フレームが送信予約フレームではない場合(S103:No)、ノード100は、受信したフレームが送信承認フレームであるか否かを判断する(S107)。
【0122】
フレームが送信承認フレームの場合(S107:Yes)、ノード100は、例えば、受信した送信承認フレームに含まれるボトルネックノードに関する情報に基づいて、ノード100がボトルネックノードであるか否かを判断する(S108)。ノード100がボトルネックノードである場合(S108:Yes)、ノード100は、例えば、送信承認フレームにおいて、同時送信ノード(例えば、ノードID)を設定する(S109)。この際、ノード100は、例えば、同時送信時の中継先を送信承認フレームに設定してよい。
【0123】
例えば、ノード100は、ノード100と通信可能なノードのうち、ノード100との間のRSSIが閾値以上のノードを同時送信ノードに決定(換言すると、設定又は選択)してよい。また、ノード100は、ノード100がソースノード側のボトルネックノードである場合には、ソースノード側の同時送信ノードを設定し、ノード100がシンクノード側のボトルネックノードである場合には、シンクノード側の同時送信ノードを設定してよい。
【0124】
S109の処理後、又は、ノード100がボトルネックノードではない場合(S108:No)、ノード100は、フレーム(ここでは、送信承認フレーム)に次の中継ノードを設定し、次の中継ノードにフレームを送信する(S106)。
【0125】
S107において、フレームが送信承認フレームではない場合(S107:No)、ノード100は、受信したフレームがデータフレームであるか否かを判断する(S110)。フレームがデータフレームの場合(S110:Yes)、ノード100は、フレーム(ここでは、データフレーム)に次の中継ノードを設定し、次の中継ノードにフレームを送信する(S106)。
【0126】
一方、フレームがデータフレームではない場合(S110:No)、ノード100は、受信したフレームが受信完了フレームであるか否かを判断する(S111)。フレームが受信完了フレームの場合(S111:Yes)、ノード100は、フレーム(ここでは、受信完了フレーム)に次の中継ノードを設定し、次の中継ノードにフレームを送信する(S106)。
【0127】
[同時送信ノードに関する処理]
S102において、ノード100が中継ノードではない場合(S102:No)、ノード100は、例えば、ノード100は、受信したフレームがデータフレームであるか否かを判断する(S201)。
【0128】
ノード100は、受信したフレームがデータフレームである場合(S201:Yes)、ノード100がソース側の同時送信ノードであるか否かを判断する(S202)。ノード100がソース側の同時送信ノードの場合(S202:Yes)、ノード100は、フレーム(ここでは、データフレーム)に次の中継ノードを設定し、次の中継ノードにフレームを送信する(S106)。一方、ノード100がソース側の同時送信ノードではない場合(S202:No)、ノード100は、
図7に示す処理を終了する。
【0129】
また、S201において、ノード100が受信したフレームがデータフレームではない場合(S201:No)、ノード100は、例えば、受信したフレームが受信完了フレームであるか否かを判断する(S203)。
【0130】
ノード100が受信したフレームが受信完了フレームである場合(S203:Yes)、ノード100がシンク側の同時送信ノードであるか否かを判断する(S204)。ノード100がシンク側の同時送信ノードの場合(S204:Yes)、ノード100は、フレーム(ここでは、受信完了フレーム)に次の中継ノードを設定し、次の中継ノードにフレームを送信する(S106)。一方、フレームが受信完了フレームではない場合(S204:No)、ノード100は、
図7に示す処理を終了する。
【0131】
[シンクノードに関する処理]
S101において、ノード100が宛先ノード(例えば、シンクノード)の場合(S101:Yes)、ノード100は、受信したフレームが送信予約フレームであるか否かを判断する(S301)。
【0132】
フレームが送信予約フレームの場合(S301:Yes)、ノード100は、送信承認フレームを生成し、中継ノードへ送信する(S302)。例えば、ノード100は、送信予約フレームにソースノード側及びシンクノード側のボトルネックノード(例えば、ノードID)が含まれる場合、ボトルネックノードを送信承認フレームにコピーしてよい。また、送信承認フレームには、例えば、宛先ノード(例えば、ソースノード)、及び、次の中継ノードが含まれてよい。ノード100は、例えば、送信承認フレームを送信後、ソースからのデータフレームの受信待ち状態になる(換言すると、受信処理を終了する)。
【0133】
一方、フレームが送信予約フレームではない場合(S301:No)、ノード100は、受信したフレームがデータフレームであるか否かを判断する(S303)。
【0134】
フレームがデータフレームの場合(S303:Yes)、ノード100は、受信完了フレームを生成し、中継ノードへ送信する(S304)。例えば、ノード100は、データフレームに含まれるシンクノード側の同時送信ノード(例えば、ノードID)を受信完了フレームにコピーしてよい。また、受信完了フレームには、例えば、宛先ノード(例えば、ソースノード)、及び、次の中継ノードが含まれてよい。ノード100は、例えば、フレームがデータフレームで無い場合(S303:No)又はS304の処理後、受信処理を終了してよい。
【0135】
以上、無線ネットワーク10における動作例について説明した。
【0136】
本実施の形態では、ノード100は、無線信号(例えば、データフレーム又は受信完了フレーム)に、通信品質が閾値未満の無線リンク(例えば、ボトルネックリンク)へ無線信号を送信するノードと共に送信を行うノードを示す情報(例えば、同時送信ノードに関する情報)がノード100を示す場合、受信した無線信号の送信先を、ボトルネックリンクの受信先ノードに設定する。そして、ノード100は、上記受信先ノードへ、無線信号を送信(換言すると、協力送信)する。
【0137】
複数のノードによる協力中継(例えば、同時送信)によって、例えば、受信品質が閾値未満のリンク(換言すると、データをロスする可能性が高いボトルネックリンク)における受信品質を向上でき、無線信号(例えば、データフレーム)の再送を低減できるので、無線ネットワーク10におけるスループットを向上できる。
【0138】
また、無線ネットワーク10における複数のノード100それぞれは、転送されるフレームに含まれる情報に基づいて、同時送信を個別に制御する。よって、本実施の形態によれば、無線ネットワーク10において各ノード100が同時送信制御を自律的に行うので、無線ネットワーク10における複雑さの増加を抑制できる。
【0139】
以上より、本実施の形態によれば、無線メッシュネットワークにおけるスループットを向上できる。
【0140】
以上、本開示の一実施例について説明した。
【0141】
なお、送信予約フレームに含まれるRSSIの閾値は、例えば、送信データのサイズ、ノードの位置情報、ノードの移動方向、ノードの向き、ノードのハードウェア情報(例えば、アンテナ構成等)といった情報の少なくとも一つに基づいて決定されてもよい。
【0142】
また、上述した実施の形態では、ボトルネックノード(換言すると、ボトルネックリンク)の判断基準にRSSIを用いる場合について説明したが、ボトルネックノードの判断基準は、RSSIに限定されず、他の情報でもよい。例えば、ボトルネックノードは、ノードの位置情報、ノードの移動方向、ノードの向き、通信履歴、又は、ノードのハードウェア情報(例えば、アンテナ構成等)といった情報の少なくとも一つに基づいて決定されてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態では、例えば、同時送信ノードは、ノード間のRSSIが閾値以上のノードである場合について説明した。この閾値は、例えば、ソースノード側のボトルネックノードとシンクノード側のボトルネックノードとの間のRSSIに応じて変化させてもよい。例えば、ソースノード側のボトルネックノードとシンクノード側のボトルネックノードとの間のRSSIが低いほど、同時送信ノードの判定におけるRSSIの閾値は低い値でもよい。この閾値の設定により、例えば、ソースノード側のボトルネックノードとシンクノード側のボトルネックノードとの間のRSSIが低いほど、ボトルネックノードに対する同時送信ノードがより多く設定されやすくなり、同時送信による受信品質をより向上できる。
【0144】
また、同時送信ノードに設定されるノード数は、例えば、ボトルネックノードである中継ノードにおける通信品質(例えば、RSSI)に基づいて決定されてもよい。例えば、中継ノードの通信品質が低いほど、同時送信ノードに設定されるノード数は多くてもよい。この同士送信ノード数の決定により、フレームを受信するノードでは、同時送信による受信品質の過不足なくフレームを受信できる。
【0145】
また、本実施の形態において、ノード100は、例えば、ボトルネックリンクにおけるフレームの送受信を繰り返し、ボトルネックリンクにおける送信に参加する同時送信ノードを、複数回のフレーム送受信に基づいて決定してもよい。この場合、例えば、シンクノード側のボトルネックノードは、データフレームを受信後に、ソースノード側のボトルネックノードに対して、同時送信ノードの追加依頼に関する情報を送信してもよい。または、シンクノードは、受信完了フレームの送信前に、同時送信ノードの追加依頼に関する情報を含むフレームを、ソースノード宛てに送信し、当該フレームの伝送経路に相当する各ノードは、同時送信ノード追加依頼のフレームに基づいて、同時送信動作を制御してもよい。
【0146】
また、上述した実施の形態では、同時送信ノードの判断基準にRSSIを適用する場合について説明したが、同時送信ノードの判断基準は、RSSIに限定されず、他の情報でもよい。例えば、同時送信ノードは、ノードの位置情報、ノードの移動方向、ノードの向き、通信履歴、又は、ノードのハードウェア情報(例えば、アンテナ構成等)といった情報の少なくとも一つに基づいて決定されてもよい。
【0147】
また、上述した実施の形態において説明した無線ネットワーク10の構成は一例であり、限定されない。例えば、無線ネットワーク10内のノード数、Collaboノード(換言すると、グループ)の数、Collaboノード内のノード数、及び、各ノード間の通信環境(換言すると、接続関係)のうち少なくとも一つは
図1に示す例と異なってもよい。
【0148】
また、上述した実施の形態において、例えば、ボトルネックノードに関する情報、及び、同時送信ノードに関する情報は、
図4に示す各フレームに含まれる場合に限定されず、他のフレームに含まれてもよい。
【0149】
また、通信に関与した各ノードは、ボトルネックリンク又は同時送信ノードの情報を記憶し、流用してもよい。例えば、各ノードは、データフレームが大きく複数続く場合の通信、又は、時間が経過した後の別の通信において、ボトルネックリンク又は同時送信ノードの情報を利用してよい。
【0150】
また、受信品質は、RSSIに限定されず、例えば、SNR、Signal to Interference and Noise Ratio(SINR)、又は、ビットエラー率(又はパケットエラー率)といった受信信号の品質に関する情報でもよい。
【0151】
また、上述した実施の形態では、複数のノードによる同時送信について説明したが、複数のノードによる送信処理は同時送信に限定されず、例えば、単一又は複数のノードによるビームフォーミングが適用されてもよい。
【0152】
また、データフレームの送信に関わるノードは、データフレームの送信に関わると判断した後、他ノードの通信のための送信をすることをしないようにフレームの受信待ちに入っても良い。例えば、送信予約フレームを中継したノードは、送信予約フレームの中継後は、フレームの受信待ちに入ってよい。また、同時送信ノードは、送信承認フレームを受信し、送信承認フレームに同時送信ノードとして追記されていることを確認した後、同時送信のデータ待ち状態に入ってもよい。
【0153】
また、上述した実施の形態では、一例として、
図5に示すように、データフレーム及び受信完了フレームに対して同時送信が適用される場合について説明したが、同時送信が適用されるフレームは、データフレーム及び受信完了フレームに限定されない。例えば、送信予約フレーム、送信承認フレーム、データフレーム及び受信完了フレームのうち少なくとも一つに同時送信が適用されてもよい。例えば、データフレームといった他のフレームと比較してフレームサイズが大きいフレームに対する同時送信の適用により、パケットの再送を抑制し、スループットを向上できる。また、例えば、受信完了フレームといった他のフレームと比較して重要度の高いフレームに対する同時送信の適用により、フレームを送受信できる可能性(換言すると、リンクの信頼性)を高くすることができる。
【0154】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0155】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0156】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、SSI(Small Scale Integration)、MSI(Middle Scale Integration)、システムLSI、スーパーLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0157】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0158】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により,LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0159】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0160】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0161】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0162】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0163】
以上の説明において、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0164】
(実施の形態のまとめ)
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、無線通信装置であって、無線メッシュネットワークにおいて第1ノードが送信した第1フレームを受信する受信回路と、前記第1フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報に含まれる前記第3ノードが前記無線通信装置を示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する制御回路と、を具備する。
【0165】
本開示の一実施例において、前記第1フレームは、送信承認、データ信号、又は、前記データの受信完了を示す信号である。
【0166】
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、無線通信装置であって、無線メッシュネットワークにおいて第2フレームを受信する受信回路と、前記第2フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードを示す第3情報が含まれ、前記第3情報が前記無線通信装置を示す場合、前記無線通信装置と共に送信を行う第3ノードを示す第1情報を前記第2フレームに設定する制御回路と、前記第2フレームを、前記無線リンクの受信先ノードへ送信する送信回路と、を具備する。
【0167】
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードを示す第3情報と、前記第2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報と、を含む第3フレームを生成する制御回路と、前記第3フレームを前記第2ノードと前記第3ノードとに送信する送信回路と、を具備する。
【0168】
本開示の一実施例に係る無線通信方法において、無線通信装置は、無線メッシュネットワークにおいて第1ノードが送信した第1フレームを受信し、前記第1フレームに、前記無線メッシュネットワークにおいて通信品質が閾値未満の無線リンクへ無線信号を送信する第2ノードと共に送信を行う第3ノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報に含まれる前記第3ノードが前記無線通信装置を示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する。
【0169】
本開示の一実施例に係る無線通信システムは、無線メッシュネットワークにおいて第1フレームを送信する第1ノードと、前記第1ノードが送信した前記第1フレームを、通信品質が閾値未満の無線リンクへ送信する第2ノードと、第3ノードと、を具備し、前記第3ノードは、前記第1ノードが送信した前記第1フレームを受信し、前記第1ノードから受信した前記第1フレームに、前記第2ノードと共に送信を行うノードを示す第1情報が含まれ、前記第1情報が前記第3ノードを示す場合、前記第1ノードから受信した前記第1フレームの送信先を示す第2情報を、前記無線リンクの受信先ノードに設定する。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本開示は、無線通信システムに適用できる。
【符号の説明】
【0171】
10 無線ネットワーク
100 ノード
111 送受信部
112 制御部