(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】発光装置、プロジェクター、およびディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/20 20060101AFI20230728BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20230728BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230728BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20230728BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20230728BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20230728BHJP
H01S 5/11 20210101ALI20230728BHJP
H01S 5/343 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H01S5/20
G03B21/14 A
G09F9/30 360
H01L33/08
H01L33/24
H01L33/32
H01S5/11
H01S5/343 610
(21)【出願番号】P 2021041217
(22)【出願日】2021-03-15
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】工藤 学
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/117056(WO,A1)
【文献】特開2020-170759(JP,A)
【文献】特開2020-161623(JP,A)
【文献】特開2020-141048(JP,A)
【文献】特開2020-057640(JP,A)
【文献】特開2020-024982(JP,A)
【文献】特開2020-024978(JP,A)
【文献】特開2019-149503(JP,A)
【文献】特開2019-040982(JP,A)
【文献】特開2018-190794(JP,A)
【文献】特開2018-133517(JP,A)
【文献】特開2018-133516(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062252(WO,A1)
【文献】特表2016-527706(JP,A)
【文献】特表2016-521459(JP,A)
【文献】特表2016-518703(JP,A)
【文献】特開2016-021556(JP,A)
【文献】特表2010-514207(JP,A)
【文献】国際公開第2010/023921(WO,A1)
【文献】特開2003-282942(JP,A)
【文献】特開平06-188450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027961(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104766910(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170901(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264260(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0042387(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0313514(US,A1)
【文献】国際公開第2012/075461(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0055390(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0222732(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0279242(US,A1)
【文献】Takao Oto, et al.,“Effects of Introduction of InGaN Quantum Structures on Structural and Optical Properties of InGaN Nanocolumns”,Physica Status Solidi B,2017年11月13日,Vol.255,No.5,1700481
【文献】Takao Oto, et al.,“Enhancement of light emission and internal quantum efficiency in orange and red regions for regularly arrayed InGaN/GaN nanocolumns due to surface plasmon coupling”,Applied Physics Letters,2017年09月28日,Vol.111,No.13,133110
【文献】Takao Oto, et al.,“Effect of structural properties on optical characteristics of InGaN/GaN nanocolumns fabricated by selective-area growth”,Applied Physics Express,2017年03月23日,Vol.10,No.4,045001
【文献】Takao Oto, et al.,“Influence of GaN column diameter on structural properties for InGaN nanocolumns grown on top of GaN nanocolumns”,AIP Advances,2016年11月15日,Vol.6,No.11,115214
【文献】Takao Oto, et al.,“Spatial emission distribution and carrier recombination dynamics in regularly arrayed InGaN/GaN quantum structure nanocolumns”,Japanese Journal of Applied Physics,2016年09月05日,Vol.55,No.10,105001
【文献】Katsumi Kishino, et al.,“Green-Light Nanocolumn Light Emitting Diodes With Triangular-Lattice Uniform Arrays of InGaN-Based Nanocolumns”,IEEE Journal of Quantum Electronics,2014年05月19日,Vol.50,No.7,p.538-547
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 33/00 - 33/64
C23C 16/00 - 16/56
C30B 1/00 - 35/00
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 99/00
F21W 102/00 -131/411
F21Y 101/00 -115/30
G03B 21/00 - 21/30
G09F 9/30 - 9/46
H01L 21/205
H01L 27/15
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記柱状部は、
第1導電型の第1半導体層と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記第1半導体層は、前記基板と前記発光層との間に設けられ、
前記発光層は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、
前記発光層は、c面と、ファセット面と、を有し、
前記c面および前記ファセット面は、前記発光層の前記基板と反対側の面を構成し、
前記ファセット面は、前記c面および前記発光層の側面に対して傾斜し、前記c面および前記発光層の側面と接続する面であり、
前記第2半導体層は、前記c面および前記ファセット面に設けられ、
前記第1半導体層は、第1部分と、前記第1部分よりも径が小さい第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記基板と前記第1部分との間に設けられ、
前記第1半導体層と前記発光層の積層方向からの平面視において、前記c面と前記第2部分が重なり、前記c面の径は前記第2部分の径よりも小さ
く、
前記平面視において、前記c面と重なる前記第2半導体層の不純物濃度は、前記ファセット面と重なる前記第2半導体層の不純物濃度よりも高い、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光層の径は、前記c面の径、および前記第2部分の径よりも大きい、発光装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が設けられている、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記基板には、開口部を有する絶縁層が設けられ、
前記第2部分は、前記開口部に設けられている、発光装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記絶縁層は、前記基板と前記第1部分との間に設けられている、発光装置。
【請求項6】
請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の発光装置を有する、プロジェクター。
【請求項7】
請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の発光装置を有する、ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、プロジェクター、およびディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーは、高輝度の次世代光源として期待されている。中でも、ナノコラムを適用した半導体レーザーは、ナノコラムによるフォトニック結晶の効果によって、狭放射角で高出力の発光が実現できると期待されている。
【0003】
例えば特許文献1には、第1半導体層と、第1半導体層とは導電型の異なる第2半導体層と、第1半導体層と第2半導体層との間に設けられた発光層と、を有する柱状部を備えた発光装置が記載されている。特許文献1では、第1半導体層および発光層は、c面と、ファセット面と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような柱状部を備えた発光装置において、柱状部の側面には結晶欠陥が発生し易い。結晶欠陥は、n型半導体層とp型半導体層との間の電流のリーク経路となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記柱状部は、
第1導電型の第1半導体層と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記第1半導体層は、前記基板と前記発光層との間に設けられ、
前記発光層は、c面と、ファセット面と、を有し、
前記第2半導体層は、前記c面および前記ファセット面に設けられ、
前記第1半導体層は、第1部分と、前記第1部分よりも径が小さい第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記基板と前記第1部分との間に設けられ、
前記第1半導体層と前記発光層の積層方向からの平面視において、前記c面と前記第2部分が重なり、前記c面の径は前記第2部分の径よりも小さい。
【0007】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0008】
本発明に係るディスプレイの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図2】本実施形態に係る発光装置の柱状部を模式的に示す断面図。
【
図3】本実施形態に係る発光装置の柱状部を模式的に示す平面図。
【
図4】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図5】本実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図6】本実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【
図7】本実施形態に係るディスプレイを模式的に示す平面図。
【
図8】本実施形態に係るディスプレイを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1. 発光装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
【0012】
発光装置100は、
図1に示すように、基板10と、積層体20と、第1電極40と、第2電極42と、を有している。発光装置100は、例えば、半導体レーザーである。
【0013】
基板10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板、SiC基板などである。
【0014】
積層体20は、基板10に設けられている。図示の例では、積層体20は、基板10上に設けられている。積層体20は、例えば、バッファー層22と、柱状部30と、を有している。
【0015】
本明細書では、第1半導体層32と発光層34の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、発光層34を基準とした場合、発光層34から第2半導体層36に向かう方向を「上」とし、発光層34から第1半導体層32に向かう方向を「下」として説明する。また、積層方向と直交する方向を「面内方向」ともいう。
【0016】
バッファー層22は、基板10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。バッファー層22上には、絶縁層24が設けられている。
【0017】
絶縁層24は、柱状部30を形成するためのマスク層として機能する。絶縁層24は、複数の開口部25を有している。開口部25は、絶縁層24を貫通する孔である。絶縁層24は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層、シリコン層、酸化チタン層、窒化チタン層、酸化アルミニウム層、酸化タンタル層、酸化ハフニウム層、ゲルマニウム層、などである。
【0018】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。柱状部30は、バッファー層22から上方に突出した柱状の形状を有している。言い換えれば、柱状部30は、バッファー層22を介して基板10から上方に突出している。柱状部30は、例えば、ナノコラム
、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の平面形状は、例えば、多角形、円である。
【0019】
柱状部30の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。柱状部30の径を500nm以下とすることによって、高品質な結晶の発光層34を得ることができ、かつ、発光層34に内在する歪を低減できる。これにより、発光層34で発生する光を高い効率で増幅できる。
【0020】
なお、「柱状部の径」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部30の径は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。また、柱状部を構成する各層の径についても、同様に、各層の平面形状が円の場合は、直径であり、各層の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。
【0021】
柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部30は、積層方向からみて、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部30は、例えば、三角格子状、正方格子状に配置されている。複数の柱状部30は、フォトニック結晶の効果を発現できる。
【0022】
なお、「柱状部のピッチ」とは、所定の方向に沿って隣り合う柱状部30の中心間の距離である。「柱状部の中心」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部30の中心は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0023】
柱状部30は、第1半導体層32と、発光層34と、第2半導体層36と、を有している。なお、柱状部30の詳細な形状等については、後述する。
【0024】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、基板10と発光層34との間に設けられている。第1半導体層32は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。
【0025】
発光層34は、第1半導体層32上に設けられている。発光層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。発光層34は、電流が注入されることで光を発生させる。発光層34は、例えば、ウェル層33と、バリア層35と、を有している。ウェル層33およびバリア層35は、不純物が意図的にドープされていないi型の半導体層である。ウェル層33は、例えば、InGaN層である。バリア層35は、例えば、GaN層である。発光層34は、ウェル層33とバリア層35とから構成されたMQW(Multiple Quantum Well)構造を有している。
【0026】
なお、発光層34を構成するウェル層33およびバリア層35の数は、特に限定されない。例えば、ウェル層33は、1層だけ設けられていてもよく、この場合、発光層34は、SQW(Single Quantum Well)構造を有している。
【0027】
第2半導体層36は、発光層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。第1半導体層32および第2半導体層36は、発光層34に光を閉じ込める機能を有するクラッド層である。
【0028】
なお、図示はしないが、第1半導体層32と発光層34との間に、i型のInGaN層からなるOCL(Optical Confinement Layer)が設けられていてもよい。また、図示はしないが、発光層34と第2半導体層36との間に、i型のInGaN層からなるOCLが設けられていてもよい。また、第2半導体層36は、p型のAlGaN層からなるEBL(Electron Blocking Layer)を有してもよい。
【0029】
発光装置100では、p型の第2半導体層36、不純物がドープされていないi型の発光層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極40と第2電極42との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、発光層34に電流が注入されて発光層34において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。発光層34で発生した光は、面内方向に伝搬し、複数の柱状部30によるフォトニック結晶の効果により定在波を形成して、発光層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0030】
なお、図示はしないが、基板10とバッファー層22との間、または基板10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、発光層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極42側からのみ光を出射できる。
【0031】
第1電極40は、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極40とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極40は、第1半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極40は、バッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極40は、発光層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極40としては、例えば、バッファー層22側から、Cr層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。
【0032】
第2電極42は、第2半導体層36上に設けられている。第2電極42は、積層体20の基板10とは反対側に設けられている。第2電極42は、第2半導体層36と電気的に接続されている。第2半導体層36は、第2電極42とオーミックコンタクトしていてもよい。第2電極42は、発光層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極42としては、例えば、ITO(indium tin oxide)などを用いる。
【0033】
1.2. 柱状部の詳細な形状等
図2は、柱状部30を模式的に示す断面図である。
図3は、柱状部30を模式的に示す平面図である。なお、
図3では、便宜上、第1半導体層32の第2部分32b、発光層34、および発光層34のc面35aのみを図示している。
【0034】
第1半導体層32、発光層34、および第2半導体層36は、例えば、III族窒化物半導体であり、ウルツ鉱型結晶構造を有している。
【0035】
第1半導体層32は、
図2に示すように、第1部分32aと、第2部分32bと、を有している。
【0036】
第1部分32aは、第2部分32bと発光層34との間に設けられている。第1部分32aは、第2部分32b上および絶縁層24上に設けられている。第1部分32aは、c面33aと、ファセット面33bと、を有している。c面33aは、基板10の主面と平行であり、ファセット面33bは、基板10の主面に対して傾いている。基板10の主面は、バッファー層22が形成されている面である。
【0037】
第2部分32bは、基板10と第1部分32aとの間に設けられている。第2部分32bは、
図1に示す例では、バッファー層22上に設けられている。第2部分32bは、
図1に示すように、絶縁層24の開口部25に設けられている。絶縁層24は、基板10と第1部分32aとの間に設けられている。
【0038】
積層方向からの平面視において(以下、単に「平面視において」ともいう)、第1部分32aと第2部分32bは重なっている。平面視において、第2部分32bは、第1部分32aの外縁の内側にのみ設けられている。第2部分32bの径D2は、第1部分32aの径D1よりも小さい。第1部分32aの径D1と第2部分32bの径D2が異なることによって、第1部分32aと第2部分32bの境界には、段差2が設けられている。
【0039】
なお、「第1部分の径」とは、第1部分32aの平面形状が円の場合は、直径であり、第1部分32aの平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。同様に、「第2部分の径」とは、第2部分32bの平面形状が円の場合は、直径であり、第2部分32bの平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。
【0040】
発光層34は、c面35aと、ファセット面35bと、を有している。平面視においてc面35aは、ファセット面35bに囲まれている。
図3に示すように、平面視において、c面35aと第2部分32bは重なっており、c面35aの径D3は、第2部分32bの径D2よりも小さい。例えば、平面視において、c面35aは、第2部分32bの外縁の内側にのみ設けられている。平面視において、c面35aの領域は、すべて第2部分32bと重なっている。
【0041】
なお、「c面の径」とは、c面35aの形状が円の場合は、直径であり、c面35aの形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。
【0042】
第2半導体層36は、発光層34のc面35aおよびファセット面35bに設けられている。なお、図示はしないが、発光層34と第2半導体層36との間にOCLなど他の層がある場合、第2半導体層36は、当該他の層を介してc面35aおよびファセット面35bに設けられてもよい。
【0043】
平面視においてc面35aと重なる第2半導体層36の不純物濃度は、平面視においてファセット面35bと重なる第2半導体層36の不純物濃度よりも大きい。すなわち、第2半導体層36は、不純物濃度の高い高濃度部分36aと、高濃度部分36aよりも不純物濃度の低い低濃度部分36bと、を有し、高濃度部分36aは平面視においてc面35aと重なり、低濃度部分36bは平面視においてファセット面35bと重なっている。第2半導体層36をエピタキシャル成長させると、c面35a上に成長する第2半導体層36の不純物濃度が、ファセット面35b上に成長する第2半導体層36の不純物濃度よりも高くなる。これにより、高濃度部分36aと、低濃度部分36bと、を有する第2半導体層36が形成される。
【0044】
高濃度部分36aは、例えば柱状部30の中心軸に沿って形成され、平面視において低濃度部分36bは、高濃度部分36aを囲んでいる。高濃度部分36aの不純物濃度は、例えば、5×1019cm-3程度である。低濃度部分36bの不純物濃度は、例えば、2×1019cm-3以下である。第2半導体層36の不純物濃度が高くなると、すなわち、GaN中にドープされるMgの濃度が高くなると、電気抵抗が低くなる。
【0045】
発光層34の径D4は、c面35aの径D3および第2部分32bの径D2よりも大きい。例えば、平面視において、第2部分32bは、発光層34の外縁の内側にのみ設けら
れている。
【0046】
なお、「発光層の径」とは、発光層34の平面形状が円の場合は、直径であり、発光層34の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。
【0047】
上記では、InGaN系の発光層34について説明したが、発光層34としては、出射される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。
【0048】
また、上記では、発光装置100が、フォトニック結晶の効果を利用した面発光レーザーである場合について説明したが、発光装置100は、LED(light emitting diode)、あるいは共振発光ダイオードなどの発光デバイスであってもよい。
【0049】
また、上記では、
図2において、第1半導体層32の第1部分32a、発光層34、第2半導体層36の径は同じであるが、これに限らず、第1部分32aの径と発光層34の径が互いに異なっていてもよいし、第1部分32aの径と第2半導体層36の径が互いに異なっていてもよいし、発光層34の径と第2半導体層36の径が互いに異なっていてもよい。また、第1半導体層32の第1部分32aの径は、積層方向において変化していてもよい。例えば、第1部分32aの径が積層方向において上方に向かって漸増していてもよい。また、発光層34の径は、積層方向において変化していてもよい。例えば、発光層34の径が積層方向において上方に向かって漸増していてもよい。また、第2半導体層36の径は、積層方向において変化していてもよい。例えば、第2半導体層36の径が積層方向において上方に向かって漸増していてもよいし、第2半導体層36の径が積層方向において上方に向かって漸減していてもよい。
【0050】
1.3. 作用効果
発光装置100では、第1半導体層32は、第1部分32aと、第1部分32aよりも径が小さい第2部分32bと、を有し、平面視において、発光層34のc面35aと第2部分32bが重なり、c面35aの径D3は第2部分32bの径D2よりも小さい。そのため、発光装置100では、結晶欠陥が発生し易い柱状部30の側面を流れる電流を低減できる。これにより、第1半導体層32と第2半導体層36との間の電流のリークを低減できる。その結果、発光装置100では、発光層34へ効率よく電流を注入できる。
【0051】
具体的には、発光装置100では、第1半導体層32が第1部分32aよりも径の小さい第2部分32bを有するため、柱状部30を流れる電流の経路において、発光層34よりも下における電流の広がり、すなわち、第1半導体層32における電流の広がりを低減できる。
【0052】
さらに、発光装置100では、発光層34のc面35aの径D3が第2部分32bの径D2よりも小さい。ここで、平面視においてc面35aと重なる高濃度部分36aの電気抵抗は、平面視においてファセット面35bと重なる低濃度部分36bの電気抵抗よりも低い。したがって、柱状部30を流れる電流の経路において、発光層34よりも上における電流の広がり、すなわち、第2半導体層36における電流の広がりを低減できる。
【0053】
このように、発光装置100では、柱状部30を流れる電流の広がりを低減できるため、柱状部30の側面を流れる電流を低減できる。
【0054】
また、発光装置100では、発光層34のc面35aの径D3が第2部分32bの径D2よりも小さい。そのため、発光装置100では、例えば、発光層34のc面35aの径
D3が第2部分32bの径D2以上である場合と比べて、段差2から発生した結晶欠陥を跨ぐ発光に寄与しない電流を低減できる。これにより、発光効率を向上できる。
【0055】
ここで、第1部分32aと第2部分32bの境界に形成される段差2には、結晶欠陥が発生しやすい。また、結晶欠陥を跨ぐ電流は、発光に寄与しない。発光装置100では、径D3が径D2よりも小さいため、例えば、径D3が径D2以上である場合と比べて、第1半導体層32の中心部に電流を集中でき、段差2から発生した結晶欠陥を跨ぐ電流を低減できる。
【0056】
発光装置100では、発光層34の径D4は、c面35aの径D3、および第2部分32bの径D2よりも大きい。そのため、発光装置100では、発光層34の側面を流れる電流を低減できる。これにより、第1半導体層32と第2半導体層36との間の電流のリークを低減できる。さらに、発光層34の側面を流れる電流を低減することにより、発光層34の側面での非発光再結合を低減できる。
【0057】
発光装置100では、第1部分32aと第2部分32bとの境界には段差2が設けられている。そのため、発光装置100では、第2部分32bの径D2を第1部分32aの径D1よりも小さくできる。
【0058】
発光装置100では、基板10には、開口部25を有する絶縁層24が設けられ、第2部分32bは、開口部25に設けられている。そのため、発光装置100では、第1部分32aおよび第1部分32aよりも径の小さい第2部分32bを有する第1半導体層32を容易に形成できる。
【0059】
発光装置100では、絶縁層24は、基板10と第1部分32aとの間に設けられている。そのため、発光装置100では、第1部分32aおよび第2部分32bを有する第1半導体層32を容易に形成できる。
【0060】
発光装置100では、平面視において、c面35aと重なる第2半導体層36の不純物濃度は、ファセット面35bと重なる第2半導体層36の不純物濃度よりも高い。そのため、発光装置100では、第2半導体層36を流れる電流の広がりを低減できる。
【0061】
2. 発光装置の製造方法
次に、本実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図4および
図5は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0062】
図4に示すように、基板10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0063】
次に、バッファー層22上に、複数の開口部25を有する絶縁層24を形成する。絶縁層24は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタ法などによる成膜、およびパターニングによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。開口部25の径によって、第2部分32bの径D2が決まる。
【0064】
図5に示すように、絶縁層24をマスクとしてバッファー層22上に、第1半導体層32をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。
【0065】
絶縁層24をマスクとして第1半導体層32をエピタキシャル成長させることによって、第2部分32bが開口部25内に形成され、第2部分32b上および絶縁層24上に第1部分32aが形成される。このようにして、第1部分32aと、第1部分32aよりも径が小さい第2部分32bと、を有する第1半導体層32が形成される。本工程では、第1半導体層32にc面33aおよびファセット面33bが形成されるように、成長温度および成長速度などの成長条件が調整される。
【0066】
次に、第1半導体層32上に発光層34をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。本工程では、発光層34にc面35aおよびファセット面35bが形成されるように、成長温度および成長速度などの成長条件が調整される。
【0067】
次に、発光層34上に第2半導体層36をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。c面35aおよびファセット面35bを有する発光層34上に第2半導体層36をエピタキシャル成長させることによって、c面35a上に不純物濃度の高い高濃度部分36aが形成され、ファセット面35b上に不純物濃度の低い低濃度部分36bが形成される。
【0068】
以上の工程により、柱状部30を有する積層体20を形成できる。
【0069】
次に、バッファー層22上に第1電極40を形成し、第2半導体層36上に第2電極42を形成する。第1電極40および第2電極42は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極40および第2電極42の形成順序は、特に限定されない。その後、基板10を所定の形状に切断する。
【0070】
以上の工程により、発光装置100を製造できる。
【0071】
3. プロジェクター
次に、本実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図6は、本実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0072】
プロジェクター900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0073】
プロジェクター900は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図6では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0074】
プロジェクター900は、さらに、筐体内に備えられている、第1光学素子902Rと、第2光学素子902Gと、第3光学素子902Bと、第1光変調装置904Rと、第2光変調装置904Gと、第3光変調装置904Bと、投射装置908と、を有している。第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置908は、例えば、投射レンズである。
【0075】
赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子902Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子902Rによって集光される。なお、第1光学素子902Rは、集光以外の機能を有していてもよい。後述する第2光学素子902Gおよび第3光学素子902Bについても同様である。
【0076】
第1光学素子902Rによって集光された光は、第1光変調装置904Rに入射する。第1光変調装置904Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第1光変調装置904Rによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0077】
緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子902Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子902Gによって集光される。
【0078】
第2光学素子902Gによって集光された光は、第2光変調装置904Gに入射する。第2光変調装置904Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第2光変調装置904Gによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0079】
青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子902Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子902Bによって集光される。
【0080】
第3光学素子902Bによって集光された光は、第3光変調装置904Bに入射する。第3光変調装置904Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置908は、第3光変調装置904Bによって形成された像を拡大してスクリーン910に投射する。
【0081】
また、プロジェクター900は、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bから出射された光を合成して投射装置908に導くクロスダイクロイックプリズム906を有することができる。
【0082】
第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。クロスダイクロイックプリズム906は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0083】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置904R、第2光変調装置904G、および第3光変調装置904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置908は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0084】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0085】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0086】
4. ディスプレイ
次に、本実施形態に係るディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係るディスプレイ1000を模式的に示す平面図である。
図8は、本実施形態に係るディスプレイ1000を模式的に示す断面図である。
図7には、便宜上、互いに直交する2つの軸として、X軸およびY軸を図示している。
【0087】
ディスプレイ1000は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0088】
ディスプレイ1000は、画像を表示する表示装置である。画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。ディスプレイ1000は、自発光型のディスプレイである。ディスプレイ1000は、
図7および
図8に示すように、回路基板1010と、レンズアレイ1020と、ヒートシンク1030と、を有している。
【0089】
回路基板1010には、発光装置100を駆動させるための駆動回路が搭載されている。駆動回路は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを含む回路である。駆動回路は、例えば、入力された画像情報に基づいて、発光装置100を駆動させる。図示はしないが、回路基板1010上には、回路基板1010を保護するための透光性の基板が配置されている。
【0090】
回路基板1010は、表示領域1012と、データ線駆動回路1014と、走査線駆動回路1016と、制御回路1018と、を有している。
【0091】
表示領域1012は、複数の画素Pで構成されている。画素Pは、図示の例では、X軸およびY軸に沿って配列されている。
【0092】
図示はしないが、回路基板1010には、複数の走査線と複数のデータ線が設けられている。例えば、走査線はX軸に沿って延び、データ線はY軸に沿って延びている。走査線は、走査線駆動回路1016に接続されている。データ線は、データ線駆動回路1014に接続されている。走査線とデータ線の交点に対応して画素Pが設けられている。
【0093】
1つの画素Pは、例えば、1つの発光装置100と、1つのレンズ1022と、不図示の画素回路と、を有している。画素回路は、画素Pのスイッチとして機能するスイッチング用トランジスターを含み、スイッチング用トランジスターのゲートが走査線に接続され、ソースまたはドレインの一方がデータ線に接続されている。
【0094】
データ線駆動回路1014および走査線駆動回路1016は、画素Pを構成する発光装置100の駆動を制御する回路である。制御回路1018は、画像の表示を制御する。
【0095】
制御回路1018には、上位回路から画像データが供給される。制御回路1018は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路1014および走査線駆動回路1016に供給する。
【0096】
走査線駆動回路1016が走査信号をアクティブにすることで走査線が選択されると、選択された画素Pのスイッチング用トランジスターがオンになる。このとき、データ線駆動回路1014が、選択された画素Pにデータ線からデータ信号を供給することで、選択された画素Pの発光装置100がデータ信号に応じて発光する。
【0097】
レンズアレイ1020は、複数のレンズ1022を有している。レンズ1022は、例えば、1つの発光装置100に対して、1つ設けられている。発光装置100から出射された光は、1つのレンズ1022に入射する。
【0098】
ヒートシンク1030は、回路基板1010に接触している。ヒートシンク1030の材質は、例えば、銅、アルミニウムなどの金属である。ヒートシンク1030は、発光装置100で発生した熱を、放熱する。
【0099】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクターやディスプレイ以外にも用いることが可能である。プロジェクターやディスプレイ以外の用途には、例えば、屋内外の照明、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。また、ヘッドマウントディスプレイの表示装置としても用いることができる。
【0100】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0101】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0102】
発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、
を有し、
前記柱状部は、
第1導電型の第1半導体層と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、
を有し、
前記第1半導体層は、前記基板と前記発光層との間に設けられ、
前記発光層は、c面と、ファセット面と、を有し、
前記第2半導体層は、前記c面および前記ファセット面に設けられ、
前記第1半導体層は、第1部分と、前記第1部分よりも径が小さい第2部分と、を有し、
前記第2部分は、前記基板と前記第1部分との間に設けられ、
前記第1半導体層と前記発光層の積層方向からの平面視において、前記c面と前記第2部分が重なり、前記c面の径は前記第2部分の径よりも小さい。
【0103】
この発光装置によれば、結晶欠陥が発生し易い柱状部の側面を流れる電流を低減できる。これにより、第1半導体層と第2半導体層との間の電流のリークを低減できる。
【0104】
発光装置の一態様において、
前記発光層の径は、前記c面の径、および前記第2部分の径よりも大きくてもよい。
【0105】
この発光装置によれば、第1半導体層の第1部分と第2部分との境界の段差から発生した結晶欠陥を跨ぐ発光に寄与しない電流を低減できる。
【0106】
発光装置の一態様において、
前記第1部分と前記第2部分との境界には段差が設けられていてもよい。
【0107】
この発光装置によれば、第2部分の径を第1部分の径よりも小さくできる。
【0108】
発光装置の一態様において、
前記基板には、開口部を有する絶縁層が設けられ、
前記第2部分は、前記開口部に設けられていてもよい。
【0109】
この発光装置によれば、第1部分、および第1部分よりも径の小さい第2部分を有する第1半導体層を容易に形成できる。
【0110】
発光装置の一態様において、
前記絶縁層は、前記基板と前記第1部分との間に設けられていてもよい。
【0111】
この発光装置によれば、第1部分、および第1部分よりも径の小さい第2部分を有する第1半導体層を容易に形成できる。
【0112】
発光装置の一態様において、
前記平面視において、前記c面と重なる前記第2半導体層の不純物濃度は、前記ファセット面と重なる前記第2半導体層の不純物濃度よりも高くてもよい。
【0113】
この発光装置によれば、第2半導体層を流れる電流の広がりを低減できる。
【0114】
プロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0115】
ディスプレイの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【符号の説明】
【0116】
2…段差、10…基板、20…積層体、22…バッファー層、24…絶縁層、25…開口部、30…柱状部、32…第1半導体層、32a…第1部分、32b…第2部分、33…ウェル層、33a…c面、33b…ファセット面、34…発光層、35…バリア層、35a…c面、35b…ファセット面、36…第2半導体層、36a…高濃度部分、36b…低濃度部分、40…第1電極、42…第2電極、100…発光装置、100R…赤色光源、100G…緑色光源、100B…青色光源、900…プロジェクター、902R…第1光学素子、902G…第2光学素子、902B…第3光学素子、904R…第1光変調装置、904G…第2光変調装置、904B…第3光変調装置、906…クロスダイクロイックプリズム、908…投射装置、910…スクリーン、1000…ディスプレイ、1010…回路基板、1012…表示領域、1014…データ線駆動回路、1016…走査線駆動回路、1018…制御回路、1020…レンズアレイ、1022…レンズ、1030…ヒートシンク