(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】センサ装置、減速機、構造物、センサ装置が実行する方法、センサシステムおよび銘板
(51)【国際特許分類】
G01D 21/00 20060101AFI20230728BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20230728BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20230728BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20230728BHJP
【FI】
G01D21/00 M
G08C17/00 Z
G08C19/00 G
H02J50/20
(21)【出願番号】P 2021551320
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2020036956
(87)【国際公開番号】W WO2021065926
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】P 2019182542
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 清
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】井上 博之
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/068295(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/100870(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214100(US,A1)
【文献】特開平11-56818(JP,A)
【文献】特開2018-104068(JP,A)
【文献】特開2017-157212(JP,A)
【文献】特開2012-53819(JP,A)
【文献】特開2010-237017(JP,A)
【文献】特開2017-83328(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187473(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00
G08C 17/00
G08C 19/00
H02J 50/20
G01B 7/16 -7/24
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と、
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置され、
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶し、
前記センサ部は、前記対象物の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記センサ部の測定結果をもとに前記出力部から出力される情報を生成する処理部をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記出力部は、通信により前記情報を外部機器へ出力し、
前記発電部は、前記通信により生じる起電力をもとに電力を供給すること
を特徴とする請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方に対する電力の供給または遮断を制御する電力供給制御部をさらに備えること
を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記処理部は、動作クロック数が高いほど演算能力が高まるものであり、処理内容に応じて動作クロック数を変更可能であること
を特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項6】
蓄電部をさらに備え、
前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方は、前記発電部から供給される電力と前記蓄電部から供給される電力とにより作動すること
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記センサ部は、異なる種類の物理量を測定する複数のセンサを有すること
を特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記センサ部は、離れて配置された複数のセンサであって、同じ種類の物理量を測定する複数のセンサを有し、
前記処理部は、前記複数のセンサの測定結果をもとに前記情報を生成すること
を特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記発電部は、複数の発電手段を有すること
を特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記出力部は、電子ペーパーを含むこと
を特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記出力部は、アンテナを含むこと
を特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項12】
少なくとも前記歪みゲージが配置される部分は、伸縮性のある材料で構成され、前記対象物に接着により固定されること
を特徴とする請求項1から
11のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項13】
減速機構と、
前記減速機構を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と、
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶し、
前記センサ部は、前記ケースの歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とする減速機。
【請求項14】
所定の物理的構造と、
前記物理的構造の状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と、
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置され、
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶し、
前記センサ部は、前記物理的構造の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とする構造物。
【請求項15】
所定の物理構造を有する対象物に接触するセンサ装置が、
前記対象物に関する状態を測定する検知ステップと、
前記検知ステップでの測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力ステップと、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記検知ステップと前記出力ステップの少なくとも一方の処理を実行させる電力を供給するステップと、
前記検知ステップでの測定結果または前記出力ステップで出力される情報を記憶部に記憶させるステップと、
を実行し、
前記記憶させるステップでは、前記検知ステップでの複数の測定結果または前記出力ステップで出力される複数の情報を記憶させ、
前記記憶させるステップでは、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶させ、
前記センサ装置は、前記対象物の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記センサ装置が、前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とする方法。
【請求項16】
所定の指示が入力された場合に、前記記憶部に記憶されたデータを消去するステップを前記センサ装置がさらに実行することを特徴とする請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
部品に取り付けられたセンサ装置が実行する方法であって、
前記部品の輸送中または保管中における前記部品に関する状態をセンサ装置自身が発電した電力を使用して検知するステップと、
検知結果に基づく情報を外部へ出力するステップと、
前記検知するステップでの測定結果または前記出力するステップで出力される情報を記憶部に記憶させるステップと、
を含み、
前記記憶させるステップでは、前記検知するステップでの複数の測定結果または前記出力するステップで出力される複数の情報を記憶させ、
前記記憶させるステップでは、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶させ、
前記センサ装置は、前記部品の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記センサ装置が、前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とする方法。
【請求項18】
所定の物理構造を有する対象物と、
前記対象物に取り付けられたセンサ装置と
を備え、
前記センサ装置は、
前記対象物に関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と、
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部とを含み、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置され、
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶し、
前記センサ部は、前記対象物の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とするセンサシステム。
【請求項19】
所定の物理構造を有する対象物と、
前記対象物に取り付けられた複数のセンサ装置と
を備え、
前記複数のセンサ装置のそれぞれは、
前記対象物に関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と、
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部とを含み、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置され、
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶し、
前記センサ部は、前記対象物の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とするセンサシステム。
【請求項20】
物品に取り付けられ、当該物品に関する情報が表示される銘板であって、
前記物品の状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と、
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部と
を備え、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置され、
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶し、
前記センサ部は、前記物品の歪みを測定する歪みゲージを含み、
前記歪みゲージの測定結果が所定の大きさと方向の応力を示す場合、本センサ装置の外面に対する操作により生じた応力と判定することを特徴とする銘板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理技術に関し、特にセンサ装置、減速機、クローラ用走行ユニット、流体バルブ、流体シリンダ、流体ポンプ、流体コンプレッサ、電動モータ、電動アクチュエータ、構造物、センサ装置が実行する方法、センサシステムおよび銘板に関する。
【背景技術】
【0002】
機械コンポーネント内部にセンサを設け、そのセンサの出力を有線通信にて機械コンポーネント外部の電気回路へ送信することにより機械コンポーネントの状態を監視する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、機械コンポーネント内部に設けたセンサに電力を供給するための配線が新たに必要となる。そのため、機械コンポーネントの製造に要するコストや期間が増加する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、1つの目的は、機械コンポーネントに関する状態を効率的に把握可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のセンサ装置は、対象物に関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。センサ部と出力部と発電部とがシート状に一体に設けられており、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置される。
【0007】
本発明の別の態様もまた、センサ装置である。この装置は、対象物またはその周囲の温度、湿度および振動を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を無線通信により外部へ出力する出力部と、Wi-Fi(登録商標)の電波またはNFC(Near Field Communication)の電波または光をもとに発電し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、減速機である。この減速機は、減速機構と、減速機構を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、クローラ用走行ユニットである。このクローラ用走行ユニットは、クローラの動作を制御する走行制御部と、走行制御部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、流体バルブである。この流体バルブは、流体の流れを制御するバルブ部と、バルブ部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、流体シリンダである。この流体シリンダは、流体を収納するシリンダ部と、シリンダ部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、流体ポンプである。この流体ポンプは、流体の流れを制御するポンプ部と、ポンプ部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、流体コンプレッサである。この流体コンプレッサは、流体に圧力を与える圧縮部と、圧縮部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、電動モータである。この電動モータは、電気エネルギを力学的エネルギに変換するモータ部と、モータ部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させるための電力として当該電力を供給する発電部とを備える。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、電動アクチュエータである。この電動アクチュエータは、電気エネルギをもとに動作する駆動部と、駆動部を収納するケースと、ケースに関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、構造物である。この構造物は、所定の物理的構造と、物理的構造の状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。センサ部と出力部と発電部とがシート状に一体に設けられており、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置される。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、方法である。この方法は、所定の物理構造を有する対象物に接触するセンサ装置が、対象物に関する状態を測定する検知ステップと、検知ステップでの測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力ステップと、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、検知ステップと出力ステップの少なくとも一方の処理を実行させる電力を供給するステップと、を実行する。
【0018】
本発明のさらに別の態様もまた、方法である。この方法は、部品に取り付けられたセンサ装置が実行する方法であって、部品の輸送中または保管中における部品に関する状態をセンサ装置自身が発電した電力を使用して検知するステップと、検知結果に基づく情報を外部へ出力するステップとを含む。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、センサシステムである。このセンサシステムは、所定の物理構造を有する対象物と、対象物に取り付けられたセンサ装置とを備える。センサ装置は、対象物に関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを含む。センサ部と出力部と発電部とがシート状に一体に設けられており、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置される。
【0020】
本発明のさらに別の態様もまた、センサシステムである。このセンサシステムは、所定の物理構造を有する対象物と、対象物に取り付けられた複数のセンサ装置とを備える。複数のセンサ装置のそれぞれは、対象物に関する状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを含む。センサ部と出力部と発電部とがシート状に一体に設けられており、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置される。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、銘板である。この銘板は、物品に取り付けられ、当該物品に関する情報が表示される銘板であって、物品の状態を測定するセンサ部と、センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、センサ部と出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備える。センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置される。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、装置、システム、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、機械コンポーネントに関する状態を効率的に把握可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例のセンサ装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図2】
図1のセンサ装置の回路構成例を示す図である。
【
図3】
図1のセンサ装置を含むセンサシステムの構成を示す図である。
【
図4】センサ装置によるセンシング処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】センサ装置によるセンシング処理の別例を示すフローチャートである。
【
図6】センサ装置による情報出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】センサ装置による情報出力処理の別例を示すフローチャートである。
【
図8】センサ装置による情報出力処理の別例を示すフローチャートである。
【
図9】センサ装置による初期化処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10(a)】減速機に対するセンサ装置の第1取付例を示す図である。
【
図10(b)】減速機に対するセンサ装置の第1取付例を示す図である。
【
図10(c)】
図10(a)と
図10(b)のセンサ装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図11(a)】減速機に対するセンサ装置の第1取付例を示す図である。
【
図11(b)】減速機に対するセンサ装置の第1取付例を示す図である。
【
図11(c)】
図11(a)と
図11(b)のセンサ装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図17(a)】クローラ用走行ユニットに対するセンサ装置の取付例を示す図である。
【
図17(b)】クローラ用走行ユニットに対するセンサ装置の取付例を示す図である。
【
図17(c)】
図17(a)と
図17(b)のセンサ装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図18(a)】油圧バルブに対するセンサ装置の取付例を示す図である。
【
図18(b)】油圧バルブに対するセンサ装置の取付例を示す図である。
【
図18(c)】
図18(a)と
図18(b)のセンサ装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図19(a)】空圧シリンダに対するセンサ装置の取付例を示す図である。
【
図19(b)】空圧シリンダに対するセンサ装置の取付例を示す図である。
【
図19(c)】
図19(a)と
図19(b)のセンサ装置の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図20】複数個のセンサ装置の連携の例を示す図である。
【
図21】複数個のセンサ装置の連携の例を示す図である。
【
図22】変形例のセンサシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上記特許文献1に記載の技術は、機械コンポーネント内部にセンサを配置する場所を設ける必要があり、さらに、そのセンサに電力を供給するための配線が必要になる。そのため、機械コンポーネントの製造に要するコストや期間が増大する可能性がある。
【0026】
そこで実施例では、機械コンポーネント(部品等)の表面に取り付けられる銘板をセンサ装置として活用する。実施例におけるセンサ装置、言い換えれば、機械コンポーネントに取り付けられる銘板は、機械コンポーネントの輸送中または保管中、言い換えれば、機械コンポーネントの製造後、実使用前における当該機械コンポーネントに関する状態をセンサ装置自身が発電した電力を使用して検知する。そして、検知結果に基づく情報を外部へ出力する。
【0027】
より具体的には、実施例におけるセンサ装置は、(1)取り付けられた機械コンポーネントの状態や当該機械コンポーネントの周辺環境の状態を測定する(検知するとも言える)センサ部と、(2)センサ部の測定結果(検知結果とも言える)に基づく情報を出力する出力部と、(3)センサ部や出力部を動作させるための電力をWi-Fi(登録商標)電波等により自家発電する環境発電部を備える。これにより、機械コンポーネント内部にセンサの配置場所を確保することや、センサへの電力供給のための新たな配線が不要になる。すなわち、機械コンポーネントに関する状態を把握可能にする一方で、当該機械コンポーネントの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0028】
図1は、実施例のセンサ装置10の機能ブロックを示すブロック図である。同図は、実施例のセンサ装置10が備える機能ブロックの一例を示している。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0029】
センサ装置10は、銘板として、所定の物理構造を有する物品(以下「対象物」とも呼ぶ。)の表面に取り付けられる。センサ装置10は、センサ部12、処理部14、出力部16、記憶部18、指紋センサ20、環境発電部22、蓄電部24を備える。センサ装置10は、銘板として、その表面(外側の面)に当該対象物に関する情報を表示する。また、センサ装置10において、
図1に示す各機能ブロックに対応する部材はシート状に一体に設けられる。シート状とは、センサ装置10の厚み方向の長さが、センサ装置10の縦方向の長さと横方向の長さのいずれよりも短いことを意味する。例えばセンサ装置10の縦方向の長さと横方向の長さが数センチメートルであるときに、センサ装置10の厚み方向の長さが4ミリメートル以下である。また望ましくはセンサ装置10の厚み方向の長さが1ミリメートル以下である。さらに望ましくはセンサ装置10の厚み方向の長さが0.5ミリメートル以下である。銘板として対象物の表面に取り付けられるため、厚みが薄いほうが対象物からの突出量が少なくなるのでより望ましい。センサ装置10の筐体は、柔軟性(可撓性)が高い素材で形成されてもよく、柔軟性(可撓性)が低い素材で形成されてもよい。
【0030】
センサ部12は、対象物に接触(近接も含む)するよう設けられ、センサ装置10が取り付けられる対象物に関する状態を測定する。対象物は、様々な種類の電子機器、電気機器、機械装置、部品または完成品であってもよい。センサ部12は、測定結果(検知結果)に基づく信号(以下「検知信号」とも呼ぶ。)を処理部14へ出力する。
【0031】
センサ部12により測定される対象物に関する状態は、対象物そのものの状態(対象物の内部または表面のいずれか一方または両方の状態)と対象物の周囲(言い換えれば対象物を取り巻く環境)の状態のいずれか一方、または両方であってもよい。また、対象物に関する状態は、1つの種類の物理的状態または物理量であってもよく、複数の種類の物理的状態または物理量の組合せであってもよい。例えば、対象物に関する状態は、振動(言い換えれば3軸加速度)、温度、湿度、音、超音波、歪み、気圧、照度、GPS(Global Positioning System)(例えばGPSを用いて計測された位置データ)、BLE(Bluetooth Low Energy)(「Bluetooth」は登録商標)ビーコン(例えばBLEビーコンを用いて計測された位置データ)、浸水度合い、風力のいずれか1つ、またはこれらの任意の組合せであってもよい。さらにまた、対象物に関する状態は、化学的状態を含んでもよい。化学的状態は、例えば、匂い、酸性、中性、アルカリ性、またはアレルゲンなど特定の化学物質の存在有無であってもよい。
【0032】
処理部14は、センサ部12の測定結果であり、実施例ではセンサ部12から出力された検知信号をもとに出力部16から出力される情報(以下「出力情報」とも呼ぶ。)を生成する。処理部14は、センサ部12から出力された検知信号をもとに所定の演算(例えば各種フィルタ処理や、人工知能機能による異常診断処理等)を実行し、演算結果を含む出力情報を生成してもよい。これにより、出力情報のデータ量を低減することができる。
【0033】
出力部16は、センサ部12の測定結果に基づく情報であり、実施例では処理部14により生成された出力情報を外部へ出力する。記憶部18は、センサ部12の測定結果(実施例では検知信号)または出力部16から出力される情報(実施例では出力情報)を記憶する。実施例では、記憶部18は、処理部14により生成された出力情報を記憶し、さらに、センサ装置10の操作が許可された操作者(言い換えればセンサ装置10を操作する権限を有する操作者)の指紋データを記憶する。
【0034】
記憶部18は、センサ部12の複数の測定結果(例えばセンサ部12から出力された複数の検知信号)または複数の出力情報を記憶可能な記憶容量を備えてもよい。記憶部18は、複数の測定結果または複数の出力情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶してもよい。時間とともに変化する値は、時間経過とともに変化する値とも言え、時間とともにカウントアップまたはカウンタダウンされるカウンタ値や時刻値であってもよい。これにより、複数の測定結果または複数の出力情報を時系列に保持することができる。
【0035】
例えば、処理部14は、センサ部12の複数の測定結果に基づいて生成した複数の出力情報を、リアルタイムクロック(またはGPS装置)から出力される時刻値と対応付けて記憶部18に格納してもよい。処理部14は、記憶部18に格納された複数の出力情報を時刻値をもとに集計または集約し、集計結果または集約結果に基づく新たな出力情報を生成してもよい。この場合、出力部16は、個々の測定結果に基づく個々の出力情報とともに、または個々の出力情報に代えて、上記新たな出力情報を外部に出力してもよい。
【0036】
なお、センサ部12が複数のセンサを含む場合、記憶部18は、各センサの検知信号(または各検知信号に基づく出力情報)を上記カウンタ値や時刻値等に基づき関連付けて保持してもよい。または、記憶部18は、各センサの検知信号(または各検知信号に基づく出力情報)を別々に保持してもよい。
【0037】
また、記憶部18は、センサ部12の識別情報(識別番号)を検知信号または出力情報と対応付けて記憶してもよい。センサ部12が複数のセンサを含む場合、記憶部18は、各センサの識別情報と対応付けて、各センサの検知信号またはその信号に基づく出力情報を記憶してもよい。また、記憶部18は、対象物の識別情報(製品種別でもよい)をさらに記憶してもよい。また、記憶部18は、処理部14と独立して設けられてもよく、センサ装置10から取り外し可能に構成されてもよい。
【0038】
出力部16は、表示部としての電子ペーパーや液晶ディスプレイを含んでもよく、処理部14により生成された出力情報を電子ペーパーや液晶ディスプレイに表示させてもよい。出力部16が電子ペーパーや液晶ディスプレイにより構成される場合、出力部16は、タッチパネルを含むことが好ましい。この場合、通常時には、出力部16は、銘板に表示すべき情報(デフォルト情報とも言え、例えば製品名や製造メーカの情報を含む)を表示させてもよい。一方、タッチパネルを介して所定の操作が入力された場合、出力部16(処理部14)は、センサ部12の検知結果や、記憶部18に記憶された出力情報を表示するよう画面表示内容を更新してもよい。
【0039】
また、出力部16は、通信部としてのアンテナを含んでもよい。この場合、出力部16は、Wi-Fi、BLEまたはNFC等を利用して、処理部14により生成された出力情報を外部装置へ送信してもよい。
【0040】
指紋センサ20は、センサ装置10の操作者の指から指紋を読み取るセンサである。指紋センサ20は、電子ペーパーまたは液晶ディスプレイを含む出力部16と一体化されてもよい。
【0041】
環境発電部22は、センサ装置10の周囲の環境(外部環境)に存在するエネルギを電力に変換(いわゆる環境発電)し、センサ部12と出力部16の少なくとも一方(実施例では
図1の各部)を動作させるための電力として当該電力(発電した電力)を供給する。例えば、
図1のセンサ部12、処理部14、出力部16、記憶部18、指紋センサ20は、環境発電部22から供給された電力をもとに動作する。環境発電部22は、温度、湿度、Wi-Fi等の電波、センサ装置10の周囲からの電磁波(放射線や宇宙線を含み、電動モータ等から発せされる電磁ノイズも含む。)、振動、音(超音波含む)、光(可視光、赤外光、紫外線を含む。)、流体や粉体の流れ(風や波など)のうち少なくとも1つのエネルギをもとに発電してもよい。
【0042】
例えば、環境発電部22は、「http://gigazine.net/news/20190129-wifi-rectenna/」や「http://news.mit.edu/2019/converting-wi-fi-signals-electricity-0128」等に記載された技術を用いて、Wi-Fiの電波を直流電流に変換してもよい。また、環境発電部22は、近距離無線通信(NFC等)により生じる起電力をもとに各部へ電力を供給してもよい。このような通信機能を含む環境発電部22は、データ通信と発電を時分割で実行してもよく、言い換えれば、交互に実行してもよい。
【0043】
蓄電部24は、環境発電部22により発電された電気を蓄積し、蓄積した電力を
図1の各部に供給する。例えば、
図1のセンサ部12、処理部14、出力部16、記憶部18、指紋センサ20は、環境発電部22から供給された電力をもとに動作可能であり、さらに、蓄電部24から供給された電力によっても動作可能である。蓄電部24は、キャパシタ(電気二重層コンデンサを含む)であってもよく、二次電池(例えばリチウムイオン電池、固体リチウムイオン電池、空気電池等)であってもよい。
【0044】
処理部14は、認証部30、電力供給制御部32、情報生成部34、更新部36を含む。認証部30は、指紋センサ20により読み取られた操作者の指紋データが、記憶部18に予め記憶された権限ある操作者の指紋データに一致する場合、操作者の認証に成功したと判定する。処理部14は、認証部30が操作者の認証に成功したと判定した場合、その操作者の操作に応じて、出力部16から出力情報を出力させる。
【0045】
電力供給制御部32は、
図1の各部に対する電力の供給または遮断を制御する。
図2は、
図1のセンサ装置10の回路構成例を示す。同図の例では、環境発電部22は、複数の発電手段として、第1発電部22aと第2発電部22bを含む。例えば、第1発電部22aは、熱電変換素子を用いた発電手段であってもよく、第2発電部22bは、光電池を用いた発電手段であってもよい。電圧制御部40aは、第1発電部22aから供給される電圧を制御し、電圧制御部40bは、第2発電部22bから供給される電圧を制御する。例えば、電圧制御部40aと電圧制御部40bは、各発電部から供給される電圧が所定の範囲内の高さになるよう変圧する。
【0046】
センサ装置10は、
図1の各部に対する電力の供給または遮断を制御するための複数のスイッチを含む。これらのスイッチは、半導体スイッチであってもよく、機械式リレーであってもよい。また、これらのスイッチは、処理部14と電気的に接続される。処理部14の電力供給制御部32は、第1発電部22aにより発電された電気および第2発電部22bにより発電された電気を蓄電部24に蓄積させる場合、スイッチ42aをオンに切り替える。また、電力供給制御部32は、蓄電部24からセンサ部12、記憶部18、出力部16へ電力を供給する場合、スイッチ42aをオンに切り替える。
【0047】
処理部14の電力供給制御部32は、センサ部12に電力を供給する場合、スイッチ42bをオンに切り替え、一方、センサ部12への電力供給を遮断する場合、スイッチ42bをオフに切り替える。また、電力供給制御部32は、記憶部18に電力を供給する場合、スイッチ42cをオンに切り替え、一方、記憶部18への電力供給を遮断する場合、スイッチ42cをオフに切り替える。また、電力供給制御部32は、出力部16に電力を供給する場合、スイッチ42dをオンに切り替え、一方、出力部16への電力供給を遮断する場合、スイッチ42dをオフに切り替える。
【0048】
図1に戻り、情報生成部34は、センサ部12から出力された検知信号をもとに出力部16から出力される出力情報を生成する。既述したように、情報生成部34は、検知信号をもとに各種フィルタ処理や、人工知能機能による異常診断処理等の演算を実行し、演算結果を含む出力情報を生成してもよい。また、情報生成部34は、記憶部18に記憶された複数の検知信号または複数の出力情報を集約または集計して新たな出力情報を生成してもよい。
【0049】
更新部36は、記憶部18に記憶されたデータを更新する。例えば、更新部36は、センサ部12から出力された検知信号または情報生成部34により生成された出力情報を記憶部18に格納する。また、記憶部18の初期化を指示する所定の指示が入力された場合、更新部36は、記憶部18に記憶されたデータを消去(言い換えれば初期化)する。上記所定の指示は、出力部16が通信機能を有する場合、外部機器から通信を介して入力されてもよい。また、出力部16がタッチパネル機能を有する場合、上記所定の指示は、タッチパネルに対する操作者の操作により入力されてもよい。
【0050】
処理部14は、動作クロック数が高いほど演算能力が高まるプロセッサ(例えばMCU(Micro Control Unit)等)であって、かつ、処理内容に応じて動作クロック数を変更可能なプロセッサにより実現されてもよい。この場合、
図1の処理部14内の複数の機能ブロックに対応する複数のモジュールが実装されたコンピュータプログラムが、記憶部18等の記憶領域に格納されてもよい。そして上記プロセッサがそのコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、各機能ブロックの機能が発揮されてもよい。また、プロセッサは、低い演算能力で十分な処理(例えば電力供給制御部32の処理)は、相対的に低い動作クロックで実行し、高い演算能力が求められる処理(例えば情報生成部34の処理)は、相対的に高い動作クロックで実行してもよい。プロセッサの動作クロックの高低は、各機能ブロックに対応するコンピュータプログラムにより規定されてもよい。
【0051】
別の態様として、処理部14は、単位時間あたりの消費電力量が異なる複数のコアを備えるプロセッサにより実現されてもよい。環境発電部22と蓄電部24からの供給電力が所定の閾値未満である場合、処理部14は、相対的に消費電力が小さいコアを使用してデータ処理(各機能ブロックの処理)を実行してもよい。一方、環境発電部22と蓄電部24からの供給電力が上記閾値以上の場合、処理部14は、相対的に消費電力が大きいコアを使用してデータ処理(各機能ブロックの処理)を実行してもよい。これにより、環境発電部22と蓄電部24から供給される電力を効率的に使用することができる。
【0052】
なお、センサ装置10では、センサ部12と出力部16と環境発電部22とのうち少なくとも2つが重ねて配置される。これによりセンサ装置10のサイズを小さくでき、センサ装置10を対象物に取り付けやすくなる。例えば、出力部16が電子ペーパーの場合、出力部16の領域として縦方向および横方向にある程度のサイズの領域(情報表示領域)を確保する必要がある。この場合、厚み方向における出力部16の直下の位置にセンサ部12および環境発電部22を配置してもよい。
【0053】
図1の処理部14、記憶部18、指紋センサ20、蓄電部24は、必須の構成ではない。例えば、センサ部12の測定結果を加工せずに出力部16から出力させる場合、処理部14は無くてもよい。また、センサ部12の測定結果を即時に出力部16から出力させる場合、記憶部18は無くてもよい。また、操作者の認証が不要であれば、指紋センサ20と、処理部14の認証部30は無くてもよい。また、環境発電部22により発電された電気の蓄積が不要であれば、蓄電部24は無くてもよい。
【0054】
センサ装置10の典型例を説明する。センサ部12は、対象物またはその周囲の複数種類の物理量(例えば温度と湿度と振動)を測定する複数のセンサを含んでもよい。出力部16は、センサ部12の測定結果に基づく出力情報をWi-FiまたはNFC等の無線通信により外部へ出力してもよい。環境発電部22は、Wi-Fiの電波またはNFCの電波または光(太陽光や照明光)をもとに発電し、センサ部12と出力部16の少なくとも一方に電力を供給してもよい。
【0055】
図3は、
図1のセンサ装置10を含むセンサシステム50の構成を示す。センサシステム50は、センサ装置10と端末装置54を含む情報処理システムである。端末装置54は、スマートフォン、PC、ドローン、センサ装置10を読み取る定置されたゲートのいずれかでもよい。センサ装置10は、出力部16としてアンテナ(言い換えれば通信部)を含み、端末装置54宛に出力情報を送信する。端末装置54は、センサ装置10から送信された出力情報をアンテナ52を介して取得する。端末装置54は、複数の対象物に取り付けられた複数のセンサ装置10から出力情報を取得し、各出力情報を出力元のセンサ装置10と対応付けてクラウド(クラウド上のデータベース等)に保存してもよい。
【0056】
以上の構成によるセンサ装置10の動作を説明する。
図4は、センサ装置10によるセンシング処理の一例を示すフローチャートである。対象物に関する状態を検知すべきタイミングに至った場合(S10のY)、処理部14の電力供給制御部32は、センサ部12へ電力を供給する(S11)。処理部14は、センサ部12から出力された検知信号を取得する(S12)。処理部14の更新部36は、検知信号を記憶部18に保存する(S13)。処理部14の電力供給制御部32は、センサ部12への電力供給を停止する(S14)。対象物に関する状態を検知すべきタイミングでなければ(S10のN)、S11以降の処理をスキップする。センサ装置10は、本図のセンシング処理を繰り返し実行する。なお、処理部14は、S10の判断処理を行わずに、S11以降の処理を繰り返し実行してもよい。
【0057】
図5は、センサ装置10によるセンシング処理の別例を示すフローチャートである。対象物に関する状態を検知すべきタイミングに至った場合(S20のY)、処理部14の電力供給制御部32は、センサ部12へ電力を供給する(S21)。処理部14は、センサ部12から出力された検知信号を取得する(S22)。処理部14の情報生成部34は、検知信号に対してフィルタ処理等を実行して出力情報を生成する(S23)。処理部14の更新部36は、出力信号を記憶部18に保存する(S24)。処理部14の電力供給制御部32は、センサ部12への電力供給を停止する(S25)。対象物に関する状態を検知すべきタイミングでなければ(S20のN)、S21以降の処理をスキップする。センサ装置10は、本図のセンシング処理を繰り返し実行する。なお、S20の判断処理を行わずに、S21以降の処理を繰り返し実行してもよい。
【0058】
図6は、センサ装置10による情報出力処理の一例を示すフローチャートである。同図は、出力部16としての電子ペーパーの表示内容を更新する処理を示している。ここでの電子ペーパーは、表示内容の更新には電力供給が必要だが、表示内容の維持には電力供給が不要であるものとする。なお、電子ペーパーは、通常時、製品名や製造メーカ名等のデフォルト情報を表示してもよい。
【0059】
出力部16に一体化されたタッチパネルに対して表示切り替えを指示する所定の操作が入力された場合(S30のY)、処理部14の電力供給制御部32は、電子ペーパーに電力を供給する(S31)。処理部14は、記憶部18に記憶された出力情報を取得して出力部16に渡す(S32)。出力部16は、処理部14から渡された出力情報を表示するように電子ペーパーに電圧を印加することにより電子ペーパーの表示内容を更新する(S33)。タッチパネルに対して表示切り替えを指示する操作が未入力であれば(S30のN)、出力部16は、電子ペーパーの表示内容を変更せず維持させる(S34)。
【0060】
なお、電子ペーパーの表示内容の更新契機は、タッチパネルでの操作に制限されない。例えば、NFC等による環境発電部22から電力が供給されたことを契機に電子ペーパーの表示内容を更新してもよい。また、外部装置からの表示更新指示を通信を介して受け付けたことを契機に電子ペーパーの表示内容を更新してもよい。
【0061】
図7は、センサ装置10による情報出力処理の別例を示すフローチャートである。ここでは、出力部16が、NFC機能を有し、受信回路(発電機能を含む)と送信回路を含むものとする。出力部16の受信回路は、環境発電部22として機能する。具体的には、受信回路は、外部装置から送信されたデータ送信要求を受信すると(S40のY)、その通信により生じた起電力をもとに電力を処理部14へ提供する。処理部14の電力供給制御部32は、出力部16の送信回路に電力を供給する(S41)。処理部14は、記憶部18に記憶された出力情報を取得して出力部16の送信回路に渡す(S42)。送信回路は、出力情報を要求元の外部装置へ送信する(S43)。処理部14の電力供給制御部32は、出力部16の送信回路への電力供給を停止する(S44)。データ送信要求を未受信であれば(S40のN)、S41以降の処理をスキップする。なお、S40の判断処理を行わずに、S41以降の処理を実行してもよい。
【0062】
図8は、センサ装置10による情報出力処理の別例を示すフローチャートである。本図は
図6に対応するが、ここでのセンサ装置10は、検知信号または出力情報を記憶する記憶部18を備えない。出力部16に一体化されたタッチパネルに対して表示切り替えを指示する所定の操作が入力された場合(S50のY)、処理部14の電力供給制御部32は、センサ部12に電力を供給する(S51)。処理部14の情報生成部34は、タッチパネルに入力された操作内容に応じて、センサ部12からの検知信号を取得し、検知信号をもとに出力情報を生成する(S52)。出力部16は、処理部14により生成された出力情報を表示するように電子ペーパーに電圧を印加することにより電子ペーパーの表示内容を更新する(S53)。タッチパネルに対して表示切り替えを指示する操作が未入力であれば(S50のN)、出力部16は、電子ペーパーの表示内容を変更せず維持させる(S54)。
【0063】
図9は、センサ装置10の初期化処理の一例を示すフローチャートである。通信を介して初期化指示(言い換えれば記憶データの消去指示信号)が入力された場合、または、操作者による操作を介して初期化指示が入力された場合(S60のY)、処理部14の更新部36は、記憶部18に記憶されたデータを消去することにより記憶部18を初期化する(S61)。更新部36は、データ消去が完了すると、データ消去(すなわち初期化)が完了した旨の通知を出力部16に渡す。出力部16は、その通知を通信を介して要求元の外部装置へ送信し、または、電子ペーパー等の表示部に表示させる(S62)。初期化指示が未入力であれば(S60のN)、S61以降の処理をスキップする。
【0064】
様々な物品へのセンサ装置10の取付例を説明する。以下の各例におけるセンサ装置10においても、既述したように、センサ部12と出力部16と環境発電部22がシート状に一体に設けられる。また、センサ部12と出力部16と環境発電部22のうち少なくとも2つが重ねて配置される。
【0065】
図10(a)と
図10(b)は、減速機100に対するセンサ装置10の第1取付例を示す。
図10(a)に示すように、減速機100は、減速機構102と、減速機構102を収納するケーシング104と、センサ装置10を備える。
図10(b)に示すように、センサ装置10は、ケーシング104の表面に接着するよう取り付けられる。
【0066】
図10(c)は、
図10(a)と
図10(b)のセンサ装置10の機能ブロックの一例を示す。センサ装置10は、複数のセンサとして第1センサ12aと第2センサ12bを備える。第1センサ12aと第2センサ12bは、互いに異なる種類の物理量を検知するセンサである。第1センサ12aは、温度、湿度、音、超音波、歪み、気圧、照度、GPS信号、BLEビーコン、浸水度合い、風力のいずれかを検知するものであってもよい。また、第2センサ12bは、上記複数種類の物理量のうち第1センサ12aとは異なる種類の物理量を検知するものであってもよい。
【0067】
第1センサ12aと第2センサ12bは、減速機100本体側に配置され、言い換えれば、ケーシング104側に配置され、ケーシングに関する状態を検知する。例えば、第1センサ12aは、減速機100のケーシング104の振動を検知する振動センサであってもよい。また、第2センサ12bは、減速機100のケーシング104の温度を検知する温度センサであってもよい。蓄電部24は、キャパシタ(電気二重層コンデンサを含む)であってもよい。透明アンテナ60は、環境発電部22として、Wi-Fi電波をもとに発電するものであってもよい。
【0068】
処理部14は、第1センサ12aから出力された検知信号と、第2センサ12bから出力された検知信号とに基づいてケーシング104の状態を導出し、ケーシング104の状態からさらに減速機構102の状態を推定してもよい。例えば、処理部14は、振動センサから出力された検知信号と、温度センサから出力された検知信号とに基づいてケーシング104の振動と温度を導出し、ケーシング104の振動と温度からさらに減速機構102の振動と温度を推定してもよい。処理部14は、その推定結果を時系列に集計した出力情報を生成し、外面側(例えば銘板の表面側)に配置された出力部16に出力情報を表示させてもよい。
【0069】
図11(a)と
図11(b)は、減速機100に対するセンサ装置10の第2取付例を示す。ここでのセンサ装置10は、締結部62を備え、締結部62がケーシング104内部に挿入されることによりケーシング104の表面に固定される。締結部62は、ネジ、ピンまたはリベットであってもよく、例えば金属製のネジであってもよい。センサ装置10の筐体は、ケーシング104に密着するよう可撓性材料(例えば金属の薄板等)で構成されることが望ましい。
【0070】
図11(c)は、
図11(a)と
図11(b)のセンサ装置10の機能ブロックの一例を示す。センサ装置10は、複数のセンサとして超音波センサ66aと超音波センサ66bを備える。超音波センサ66aと超音波センサ66bは、締結部62に接続され、言い換えれば、締結部62に接触するように配置される。これにより、締結部62が減速機100本体内部の状態を精度よく検知するためのプローブとしても機能する。このように、同じ種類の物理量を検知する複数のセンサ(ここでは超音波センサ66aと超音波センサ66b)を離れた位置に設けることにより、三角測量を用いて異常が生じている箇所を推定することができる。
【0071】
なお、複数の超音波センサに代えて複数の音波センサを用いてもよい。また、超音波センサとともに、または超音波センサに代えて歪みゲージを用いてもよい。ケーシング104の曲面にセンサ装置10を配置することで、歪み量が増大され、減速機100本体内部の歪みを精度よく検知することができる。
【0072】
蓄電部24は、キャパシタ(電気二重層コンデンサを含む)であってもよい。光電池64(言い換えれば太陽電池)は、環境発電部22として、照明等の光をもとに発電するものであってもよい。処理部14は、超音波センサ66aから出力された検知信号と、超音波センサ66bから出力された検知信号をもとに、三角測量の原理を利用して、減速機100本体内部の異常発生箇所を示す出力情報を生成してもよい。
【0073】
図12は、
図10(a)と
図10(b)のセンサ装置10の機能ブロックの別例を示す。ここでは、
図10(c)のセンサ装置10と異なる点を説明する。本図のセンサ装置10は、出力部16として、電子ペーパー(すなわち表示部)ではなくアンテナ68(すなわち通信部)を備える。出力部16は、処理部14により生成された出力情報を含む信号を外部装置へ送信する。また、アンテナ68は、環境発電部22として、Wi-Fi電波やNFCにより発電し、各部へ電力を供給する機能も備える。センサ装置10の印字面は、外部から視認可能な面である。印字面には、銘板に記載される事項が印字され、例えば、製造者名称、減速機型番、製造年月日等が印字される。
【0074】
図13も、
図10(a)と
図10(b)のセンサ装置10の機能ブロックの別例を示す。同図のセンサ装置10は、複数種類のアンテナを備える点で
図12のセンサ装置10と異なる。Wi-Fiアンテナ72は、環境発電部22として、Wi-Fi電波をもとに発電する。一方、BLEアンテナ70は、出力部16として、外部装置との通信を行う。相対的に受信電力が大きいWi-Fiで発電し、省電力のBLEで送受信することで、発電および電力消費の効率を高めることができる。
【0075】
図14も、
図10(a)と
図10(b)のセンサ装置10の機能ブロックの別例を示す。
図12のセンサ装置10と同様に、アンテナ68は、通信部として機能するとともに、第1の発電部としても機能する。熱電変換素子78は、ゼーベック効果、ペルチエ効果またはトムソン効果を利用して、減速機100内部から伝導した熱エネルギを電気エネルギに変換する素子であり、第2の発電部として機能する。湿度センサ76は、センサ装置10の外面側(すなわち印字面側)に設けられ、減速機100周囲の湿度を検知する。
【0076】
歪みゲージ74は、減速機100本体(ケーシング104)の変形を動的に計測するものである。そのため、センサ装置10の筐体うち少なくとも歪みゲージが配置される部分は、伸縮性のある材料(伸縮可能な材料とも言え、例えば樹脂フィルム等)で構成されることが望ましい。また、
図14のセンサ装置10は、
図10(b)に示したように、減速機100のケーシング104に接着により固定される。
【0077】
なお、歪みゲージ74は、センサ装置10の外面(印字面)に対する操作者のタッチ等により生じた応力を検知するタッチセンサとしても機能する。処理部14は、歪みゲージ74において所定の大きさと方向の応力が検知された場合、検知情報の出力指示が入力されたと判定してもよい。処理部14は、湿度センサ76により検知された湿度と、歪みゲージ74により検知された歪みとに基づく出力情報を生成し、アンテナ68を介して出力情報を外部装置へ送信してもよい。
【0078】
図15も、
図10(a)と
図10(b)のセンサ装置10の機能ブロックの別例を示す。光電池64は、第1の発電部として、照明等の光エネルギを電気エネルギに変換する。アンテナ79は、第2の発電部として、減速機100本体側から伝搬される電磁ノイズを受信して発電する。アンテナ79に代えて熱電変換素子78を用いて温度差発電してもよい。なお、アンテナ79を設ける副次的な効果として、アンテナ79が電磁ノイズを吸収するため、センサ装置10を電磁シールドとして用いることができる。
【0079】
図14および
図15で示すように、異なる方式の複数の発電部を設けることにより、一方の発電量が不足しても全体として必要な電力を充足しやすくなる。また、
図15のセンサ装置10では蓄電部24(キャパシタ等)を設けないため、センサ装置10の小型化を図ることができる。
【0080】
図16は、
図11(a)と
図11(b)のセンサ装置10の機能ブロックの別例を示す。浸水計82は、浸水度合い(浸水有無)を検知するセンサである。浸水計82を設けることで、減速機100本体が浸水したか否かを確認可能になる。例えば、1台のロボットに複数の減速機100が鉛直方向に取り付けられる場合、複数の減速機100に取り付けられた複数のセンサ装置10からの出力情報を集約することで、当該ロボットにおいてどの高さまで浸水したかを把握することができる。
【0081】
照度計80は、減速機100の外面(外部側)に設けられ、減速機100周囲の照度を検知する。照度計80の検知結果に基づく減速機100周囲の照度を出力情報に含めることにより、携帯電灯を持つ作業員(点検作業員等)が近くに来たかどうかを把握可能になる。また、減速機100の近くの照明が切れているかどうかを把握可能になる。
【0082】
図17(a)と
図17(b)は、クローラ用走行ユニット110に対するセンサ装置10の取付例を示す。
図17(a)に示すように、クローラ用走行ユニット110は、クローラの動作を制御する走行制御部112と、走行制御部112を収納するケーシング114と、センサ装置10を備える。ケーシング114は、油圧供給部116を含む。
図17(b)に示すように、センサ装置10は、締結部62を備える。センサ装置10は、締結部62がケーシング114(ここでは油圧供給部116)内部に挿入されることによりケーシング114(ここでは油圧供給部116)の表面に固定される。
【0083】
図17(c)は、
図17(a)と
図17(b)のセンサ装置10の機能ブロックの一例を示す。熱電変換素子78は、環境発電部22として、作動油の温度を利用して発電する。蓄電部24は、例えばキャパシタである。アンテナ86は、出力部16として機能する。アンテナ86は、クローラ用走行ユニット110の筐体(金属体)をアンテナとして利用して外部装置と無線通信する。変形例として、センサ装置10は、公知の人体通信技術、ハンドシェイク通信技術または電界通信技術を使用して外部装置と通信してもよい。
【0084】
処理部14は、振動センサ84から出力された検知信号をもとにケーシング114(ここでは油圧供給部116)の振動量を導出し、その振動量からさらに走行制御部112またはクローラの振動量を推定してもよい。処理部14は、その推定結果をアンテナ86から外部装置へ送信させてもよい。
【0085】
図18(a)と
図18(b)は、油圧バルブ120に対するセンサ装置10の取付例を示す。
図18(a)に示すように、油圧バルブ120は、作動油(鉱物油等)の流れを制御するバルブ部122と、バルブ部122を収納するケーシング124と、センサ装置10を備える。
図18(b)に示すように、センサ装置10は、締結部62を備える。センサ装置10は、締結部62がケーシング124内部に挿入されることによりケーシング124の表面に固定される。
【0086】
図18(c)は、
図18(a)と
図18(b)のセンサ装置10の機能ブロックの一例を示す。熱電変換素子78は、環境発電部22として、作動油の温度を利用して発電する。蓄電部24は、例えばキャパシタである。この例でのセンサ装置10は、出力部16としてタッチパネル付き電子ペーパーを備えるが、
図17(c)のセンサ装置10と同様に、油圧バルブ120の筐体(金属体)をアンテナとして利用してもよい。
【0087】
処理部14は、振動センサ84から出力された検知信号をもとにケーシング124の振動量を導出し、その振動量からさらにバルブ部122の振動量を推定してもよい。処理部14は、その推定結果を出力部16の電子ペーパーに表示させてもよい。なお、センサ装置10は、油圧バルブ120に限らず、様々な種類の流体バルブ(空気圧バルブ、水圧バルブ等)に取り付けられてよいことはもちろんである。
【0088】
図19(a)と
図19(b)は、空圧シリンダ130に対するセンサ装置10の取付例を示す。
図19(a)に示すように、空圧シリンダ130は、空気を収納するシリンダ部132と、シリンダ部132を収納するケーシング134と、センサ装置10を備える。
図19(b)に示すように、センサ装置10は、締結部62を備える。センサ装置10は、締結部62がケーシング134内部に挿入されることによりケーシング134の表面に固定される。
【0089】
図19(c)は、
図19(a)と
図19(b)のセンサ装置10の機能ブロックの一例を示す。音力/振動発電部88は、環境発電部22として、シリンダ部132における圧縮空気の排気音または振動のエネルギを電気エネルギに変換する。蓄電部24は、ここではリチウムイオン電池、固体リチウムイオン電池または空気電池等の二次電池である。この例でのセンサ装置10は、出力部16としてタッチパネル付き電子ペーパーを備えるが、
図17(c)のセンサ装置10と同様に、空圧シリンダ130の筐体(金属体)をアンテナとして利用してもよい。
【0090】
処理部14は、振動センサ84から出力された検知信号をもとにケーシング134の振動量を導出し、その振動量からさらにシリンダ部132の振動量を推定してもよい。処理部14は、その推定結果を出力部16の電子ペーパーに表示させてもよい。なお、センサ装置10は、空圧シリンダ130に限らず、様々な種類の流体シリンダ(油圧シリンダ、水圧シリンダ、機械式シリンダ等)に取り付けられてよいことはもちろんである。
【0091】
次に、複数個のセンサ装置10を備えるセンサシステムの例を説明する。
図20は、複数個のセンサ装置10の連携(言い換えれば協働)の例を示す。
図20の例では、1つの減速機に1つのセンサ装置10が取り付けられる。具体的には、第1減速機100aに第1センサ装置10aが取り付けられ、第2減速機100bに第2センサ装置10bが取り付けられ、第3減速機100cに第3センサ装置10cが取り付けられている。第1センサ装置10a、第2センサ装置10b、第3センサ装置10cの出力部16は、Wi-Fi等を利用する通信部を含む。第1センサ装置10a、第2センサ装置10b、第3センサ装置10cは、互いに通信可能に構成される。
【0092】
例えば、第1センサ装置10aの通信部は、端末装置54から情報提供要求を受け付けた場合、第2センサ装置10bと第3センサ装置10cへ情報提供要求を送信してもよい。第2センサ装置10bの通信部は、処理部14により生成された出力情報(例えば第2減速機100bの温度情報)を第1センサ装置10aへ送信してもよい。第3センサ装置10cの通信部は、処理部14により生成された出力情報(例えば第3減速機100cの温度情報)を第1センサ装置10aへ送信してもよい。第1センサ装置10aの通信部は、自装置で生成された出力情報(例えば第1減速機100aの温度情報)と、第2センサ装置10bから送信された出力情報と、第3センサ装置10cから送信された出力情報を一括して端末装置54へ送信してもよい。この態様によると、端末装置54は、1つのセンサ装置10に対して要求すれば、複数個のセンサ装置10が生成した、複数個の減速機100に関する状態を示す複数の出力情報を取得できる。
【0093】
図21も、複数個のセンサ装置10の連携の例を示す。
図21の例では、1つの減速機100に複数個のセンサ装置10(この例では第1センサ装置10aと第2センサ装置10b)が取り付けられる。第1センサ装置10aと第2センサ装置10bの出力部16は、Wi-Fi等を利用する通信部を含む。第1センサ装置10aと第2センサ装置10bは、互いに通信可能に構成される。
【0094】
例えば、第1センサ装置10aの通信部は、端末装置54から情報提供要求を受け付けた場合、第2センサ装置10bへ情報提供要求を送信してもよい。第2センサ装置10bの通信部は、処理部14により生成された出力情報(例えば減速機100の第2部分の温度情報や振動情報)を第1センサ装置10aへ送信してもよい。第1センサ装置10aの通信部は、自装置で生成された出力情報(例えば減速機100の第1部分の温度情報や振動情報)と、第2センサ装置10bから送信された出力情報を一括して端末装置54へ送信してもよい。この態様によると、端末装置54は、1つのセンサ装置10に対して要求すれば、複数個のセンサ装置10が生成した、1つの減速機100の複数箇所に関する状態を示す複数の出力情報を取得できる。例えば、端末装置54は、1つの減速機100の複数箇所で検知された振動量に応じて、三角測量の原理を用いて、減速機100における異常箇所を特定することができる。
【0095】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。これら実施例は例示であり、実施例に記載の各構成要素や各処理プロセスの組合せには既述の変形例以外にもいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0096】
変形例を説明する。センサ装置10は、上記実施例では言及しない様々な物品に取り付け可能である。例えば、センサ装置10は、流体ポンプ(油圧ポンプ、水圧ポンプ、空気ポンプ等)の銘板として取り付けられてもよい。この流体ポンプは、流体の流れを制御するポンプ部と、ポンプ部を収納するケーシングと、センサ装置10を備えてもよい。センサ装置10は、ケーシングに取り付けられてもよい。センサ装置10は、ケーシングに関する状態を検知することにより、ポンプ部に関する状態(例えば温度や振動等)を推定し、推定結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0097】
また例えば、センサ装置10は、流体コンプレッサ(エアーコンプレッサ、ガスコンプレッサ等)の銘板として取り付けられてもよい。この流体コンプレッサは、流体に圧力を与える圧縮部と、圧縮部を収納するケーシングと、センサ装置10を備えてもよい。センサ装置10は、ケーシングに取り付けられてもよい。センサ装置10は、ケーシングに関する状態を検知することにより、圧縮部に関する状態(例えば温度や振動等)を推定し、推定結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0098】
また例えば、センサ装置10は、電動モータの銘板として取り付けられてもよい。電動モータは、電気エネルギを力学的エネルギに変換するモータ部と、モータ部を収納するケーシングと、センサ装置10を備えてもよい。センサ装置10は、ケーシングに取り付けられてもよい。センサ装置10は、ケーシングに関する状態を検知することにより、モータ部に関する状態(例えば温度や振動等)を推定し、推定結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0099】
また例えば、センサ装置10は、電動アクチュエータの銘板として取り付けられてもよい。この電動アクチュエータは、電気エネルギを力学的エネルギに変換する駆動部と、駆動部を収納するケーシングと、センサ装置10を備えてもよい。センサ装置10は、ケーシングに取り付けられてもよい。センサ装置10は、ケーシングに関する状態を検知することにより、駆動部に関する状態(例えば温度や振動等)を推定し、推定結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0100】
また例えば、センサ装置10は、家具の銘板として取り付けられてもよく、言い換えれば、センサ装置10が取り付けられた家具が実現されてもよい。センサ装置10は、家具の筐体(外側の面)に取り付けられてもよい。センサ装置10は、家具(家具の筐体)に関する状態を検知し、検知結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0101】
また例えば、センサ装置10は、物品の配送に用いられるトレイの銘板として取り付けられてもよく、言い換えれば、センサ装置10が取り付けられたトレイが実現されてもよい。センサ装置10は、トレイに関する状態を検知することにより、そのトレイで配送中の物品に関する状態を推定し、推定結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0102】
また例えば、センサ装置10は、物品の包装材に取り付けられてもよく、言い換えれば、センサ装置10が取り付けられた包装材が実現されてもよい。センサ装置10は、包装材の外側の面に取り付けられてもよい。センサ装置10は、包装材に関する状態を検知することにより、その包装材により包装された物品に関する状態を推定し、推定結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0103】
また例えば、センサ装置10は、食器の銘板として取り付けられてもよく、言い換えれば、センサ装置10が取り付けられた食器が実現されてもよい。センサ装置10は、食器に関する状態を検知し、検知結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0104】
また例えば、センサ装置10は、家電機器の銘板として取り付けられてもよく、言い換えれば、センサ装置10が取り付けられた家電機器が実現されてもよい。センサ装置10は、家電機器の筐体(外側の面)に取り付けられてもよい。センサ装置10は、家電機器の筐体に関する状態を検知することにより、機器部分に関する状態(例えば温度や振動等)を推定し、検知結果を示す出力情報を外部へ出力してもよい。
【0105】
センサ装置10は、所定の物理的構造を有する様々な構造物に銘板として取り付けられてもよい。この場合、センサ装置10のセンサ部12は、構造物の物理的構造に関する様々な状態を測定する。構造物は、既述した家具、トレイ、包装材、食器または家電機器であってもよく、また、建材、自動車部品、鉄道車両部品、航空機用部品船舶用部品、産業用ロボット用部品または建設機械用部品であってもよい。
【0106】
別の変形例を説明する。本変形例のセンサ装置10は、遠隔地に設置された無線基地局との長距離無線通信が可能な出力部16(通信部)を備えてもよい。
図22は、
図3に対応するものであり、変形例のセンサ装置10を含むセンサシステム50の構成を示す。変形例のセンサシステム50では、センサ装置10は、遠隔地に設置された無線基地局を介して、クラウド上の機器と直接データを送受信する。例えば、センサ装置10は、自装置で生成した出力情報をクラウド上のデータベースサーバ56へ直接送信し、その出力情報をデータベースサーバ56に保存してもよい。
【0107】
さらに別の変形例を説明する。センサ装置10と、センサ装置10が取り付けられる部品等(以下「母機装置」とも呼ぶ。)の少なくとも一方には、セキュリティ強化のための要素(ハードウェアおよびソフトウェア)が実装されることが望ましい。セキュリティ実装は、例えば、パスワード認証や、公開鍵暗号方式による通信を含んでもよい。
【0108】
セキュリティ実装の例を説明する。(1)母機装置とセンサ装置10(銘板)間の通信(無線または有線)は、セキュリティ強度が低くなる可能性がある。そこで、母体装置におけるセンサ装置10の取付面(銘板取付面)に穴を空け、その穴にセンサ装置10を配置してもよい。これにより、母機装置とセンサ装置10間の通信を外部機器が盗聴することが困難になる。このように、ハードウェアの工夫によって母体装置とセンサ装置10間での通信の漏洩可能性を低減することで、母体装置とセンサ装置10間の通信は低セキュリティでの運用が可能になる。
【0109】
(2)センサ装置10と外部基地局(クラウド)間の通信(無線)には、高いセキュリティが求められる。4Gや5G等の無線通信システムはいわゆる閉域網であるため問題は生じない。一方、Wi-Fi等の場合は、少なくともパスワード認証が実装され、より好適には公開鍵暗号方式による通信が実装されることが望ましい。
【0110】
さらに別の変形例を説明する。母機装置とセンサ装置10は有線接続されてよく、母機装置は、センサ装置10へ電力を供給し、センサ装置10は、母機装置から供給される電力(電圧)をもとに母機装置における電源の正常性を監視してもよい。センサ装置10は、母機装置から所定の電力(電圧)が供給されない場合、そのことを検出して、母機装置の電源異常を示す出力情報を記憶し、またはその出力情報を外部へ出力してもよい。なお、母機装置は、センサ装置10が動作するための電力を供給してもよい。センサ装置10は、母機装置から電力が供給されない場合、環境発電部22または蓄電部24から提供される電力により動作してもよい。
【0111】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0112】
なお、実施例および変形例に記載の技術は、以下の態様によって特定されてもよい。
[項目1]
対象物に関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備え、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることを特徴とするセンサ装置。
この態様によると、機械コンポーネント等の対象物に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。これにより、対象物に関する状態を把握可能にする一方で、当該対象物の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。また、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることにより、センサ装置のサイズが小さくなり、対象物への取付が容易になる。
【0113】
[項目2]
前記センサ部の測定結果をもとに前記出力部から出力される情報を生成する処理部をさらに備えること
を特徴とする項目1に記載のセンサ装置。
この態様によると、センサ部の測定結果を加工して一層有益な情報を外部へ出力することができる。また、センサ部の測定結果を集約した情報を生成可能であり、外部へ出力する情報量を低減することができる。
【0114】
[項目3]
前記センサ部の測定結果または前記出力部から出力される情報を記憶する記憶部をさらに備えること
を特徴とする項目1または2に記載のセンサ装置。
この態様によると、センサ部の測定結果または出力部から出力される情報を保存しておき、適切なタイミングで出力することが可能になる。
【0115】
[項目4]
前記記憶部は、前記センサ部の複数の測定結果または前記出力部から出力される複数の情報を記憶可能であり、
前記記憶部は、前記複数の測定結果または前記複数の情報を時間とともに変化する値と関連付けて記憶すること
を特徴とする項目3に記載のセンサ装置。
この態様によると、複数の測定結果または複数の情報を時系列で保持でき、また、時系列での分析や集計が可能になる。
【0116】
[項目5]
前記出力部は、通信により前記情報を外部機器へ出力し、
前記発電部は、前記通信により生じる起電力をもとに電力を供給すること
を特徴とする項目1から4のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、NFC等を利用して、通信とともに発電を実現することができる。
【0117】
[項目6]
前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方に対する電力の供給または遮断を制御する電力供給制御部をさらに備えること
を特徴とする項目1から5のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、発電された電力を効率的に使用することができる。
【0118】
[項目7]
前記処理部は、動作クロック数が高いほど演算能力が高まるものであり、処理内容に応じて動作クロック数を変更可能であること
を特徴とする項目2に記載のセンサ装置。
この態様によると、発電された電力を効率的に使用することができる。
【0119】
[項目8]
蓄電部をさらに備え、
前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方は、前記発電部から供給される電力と前記蓄電部から供給される電力とにより作動すること
を特徴とする項目1から7のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、発電部から供給される電力が一時的に少なくなってもセンサ部や出力部の動作を継続することができる。
【0120】
[項目9]
前記センサ部は、異なる種類の物理量を測定する複数のセンサを有すること
を特徴とする項目1から8のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、多くの種類の物理量に基づく多様な情報を出力することができる。
【0121】
[項目10]
前記センサ部は、離れて配置された複数のセンサであって、同じ種類の物理量を測定する複数のセンサを有し、
前記処理部は、前記複数のセンサの測定結果をもとに前記情報を生成すること
を特徴とする項目2に記載のセンサ装置。
この態様によると、複数のセンサの測定結果をもとに対象物に関する多様な情報を出力することができる。例えば、センサ装置が対象物の表面に取り付けられる場合(銘板の場合等)、複数のセンサにより測定された対象物の表面または表面近傍の物理現象をもとに、対象物内部の物理現象を精度よく推定することができる。
【0122】
[項目11]
前記発電部は、複数の発電手段を有すること
を特徴とする項目1から10のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、1つの発電手段から得られる電力が少なくなった場合でも、他の発電手段から得られる電力により動作を継続することができる。
【0123】
[項目12]
前記出力部は、電子ペーパーを含むこと
を特徴とする項目1から11のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、電力消費を抑えつつ外部へ情報を出力することができる。
【0124】
[項目13]
前記出力部は、アンテナを含むこと
を特徴とする項目1から12のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、通信により外部装置へ情報を送信することができる。
【0125】
[項目14]
本センサ装置を前記対象物に固定するための、前記対象物の内部に挿入される締結部をさらに備え、
前記センサ部は、前記締結部と接続されていること
を特徴とする項目1から13のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、締結部がプローブとして機能するため、センサ部を対象物内部に設けることなく、対象物内部の物理現象を取得することができる。
【0126】
[項目15]
前記センサ部は、歪ゲージを含み、
少なくとも歪ゲージが配置される部分は、伸縮性のある材料で構成され、前記対象物に接着により固定されること
を特徴とする項目1から14のいずれかに記載のセンサ装置。
この態様によると、対象物の歪みに関する情報を取得することができる。
【0127】
[項目16]
対象物またはその周囲の温度、湿度および振動を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を無線通信により外部へ出力する出力部と、
Wi-Fi(登録商標)の電波またはNFC(Near Field Communication)の電波または光をもとに発電し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とするセンサ装置。
この態様によると、機械コンポーネント等の対象物に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。これにより、対象物に関する状態を把握可能にする一方で、当該対象物の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0128】
[項目17]
減速機構と、
前記減速機構を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする減速機。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を減速機に新たに設けることが不要になる。これにより、減速機に関する状態を把握可能にする一方で、当該減速機の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0129】
[項目18]
クローラの動作を制御する走行制御部と、
前記走行制御部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とするクローラ用走行ユニット。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線をクローラ用走行ユニットに新たに設けることが不要になる。これにより、クローラ用走行ユニットに関する状態を把握可能にする一方で、当該クローラ用走行ユニットの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0130】
[項目19]
流体の流れを制御するバルブ部と、
前記バルブ部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする流体バルブ。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を流体バルブに新たに設けることが不要になる。これにより、流体バルブに関する状態を把握可能にする一方で、当該流体バルブの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0131】
[項目20]
流体を収納するシリンダ部と、
前記シリンダ部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする流体シリンダ。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を流体シリンダに新たに設けることが不要になる。これにより、流体シリンダに関する状態を把握可能にする一方で、当該流体シリンダの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0132】
[項目21]
流体の流れを制御するポンプ部と、
前記ポンプ部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする流体ポンプ。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を流体ポンプに新たに設けることが不要になる。これにより、流体ポンプに関する状態を把握可能にする一方で、当該流体ポンプの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0133】
[項目22]
流体に圧力を与える圧縮部と、
前記圧縮部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする流体コンプレッサ。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を流体コンプレッサに新たに設けることが不要になる。これにより、流体コンプレッサに関する状態を把握可能にする一方で、当該流体コンプレッサの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0134】
[項目23]
電気エネルギを力学的エネルギに変換するモータ部と、
前記モータ部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させるための電力として当該電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする電動モータ。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を電動モータに新たに設けることが不要になる。これにより、電動モータに関する状態を把握可能にする一方で、当該電動モータの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0135】
[項目24]
電気エネルギをもとに動作する駆動部と、
前記駆動部を収納するケースと、
前記ケースに関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備えることを特徴とする電動アクチュエータ。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を電動アクチュエータに新たに設けることが不要になる。これにより、電動アクチュエータに関する状態を把握可能にする一方で、当該電動アクチュエータの製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0136】
[項目25]
所定の物理的構造と、
前記物理的構造の状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部と
を備え、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることを特徴とする構造物。
この態様によると、センサへの電力供給のための配線を家具に新たに設けることが不要になる。これにより、家具に関する状態を把握可能にする一方で、当該家具の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。また、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることにより、センサ装置のサイズが小さくなり、対象物への取付が容易になる。
【0137】
[項目26]
所定の物理構造を有する対象物に接触するセンサ装置が、
前記対象物に関する状態を測定する検知ステップと、
前記検知ステップでの測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力ステップと、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記検知ステップと前記出力ステップの少なくとも一方の処理を実行させる電力を供給するステップと、
を実行することを特徴とする方法。
この態様によると、機械コンポーネント等の対象物に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。これにより、対象物に関する状態を把握可能にする一方で、当該対象物の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0138】
[項目27]
前記検知ステップでの検知結果または前記出力ステップで出力される情報を記憶部に記憶させるステップと、
所定の指示が入力された場合に、前記記憶部に記憶されたデータを消去するステップと、
を前記センサ装置がさらに実行することを特徴とする項目26に記載の方法。
この態様によると、外部からの指示に基づき記憶部に記憶されたデータを消去することにより、センサ装置の再利用を実現できる。例えば、ある対象物で使用されたセンサ装置を他の対象物に取り付けて使用することができる。
【0139】
[項目28]
部品に取り付けられたセンサ装置が実行する方法であって、
前記部品の輸送中または保管中における前記部品に関する状態をセンサ装置自身が発電した電力を使用して検知するステップと、
検知結果に基づく情報を外部へ出力するステップと
を含む方法。
この態様によると、機械コンポーネント等の対象物に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。これにより、対象物に関する状態を把握可能にする一方で、当該対象物の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。
【0140】
[項目29]
所定の物理構造を有する対象物と、
前記対象物に取り付けられたセンサ装置と
を備え、
前記センサ装置は、
前記対象物に関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを含み、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることを特徴とするセンサシステム。
この態様によると、機械コンポーネント等の対象物に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。これにより、対象物に関する状態を把握可能にする一方で、当該対象物の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。また、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることにより、センサ装置のサイズが小さくなり、対象物への取付が容易になる。
【0141】
[項目30]
所定の物理構造を有する対象物と、
前記対象物に取り付けられた複数のセンサ装置と
を備え、
前記複数のセンサ装置のそれぞれは、
前記対象物に関する状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを含み、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部とがシート状に一体に設けられており、前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることを特徴とするセンサシステム。
この態様によると、機械コンポーネント等の対象物に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。これにより、対象物に関する状態を把握可能にする一方で、当該対象物の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。また、対象物に複数のセンサ装置を取り付けることにより、対象物の複数箇所の状態を把握でき、対象物の複数箇所の状態に応じて、対象物の状態(内部状態等)を一層精度よく推定することが可能になる。さらにまた、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることにより、センサ装置のサイズが小さくなり、対象物への取付が容易になる。
【0142】
[項目31]
物品に取り付けられ、当該物品に関する情報が表示される銘板であって、
前記物品の状態を測定するセンサ部と、
前記センサ部の測定結果に基づく情報を外部へ出力する出力部と、
外部環境に存在するエネルギを電力に変換し、前記センサ部と前記出力部の少なくとも一方を動作させる電力を供給する発電部とを備え、
前記センサ部と前記出力部と前記発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることを特徴とする銘板。
この態様によると、機械コンポーネント等の物品に、センサへの電力供給のための配線を新たに設けることが不要になる。また、物品の筐体上や筐体内にセンサを格納するエリアを新たに確保することが不要になる。これにより、物品に関する状態を把握可能にする一方で、当該物品の製造に要するコストや期間の増大を抑制することができる。また、センサ部と出力部と発電部のうち少なくとも2つが重ねて配置されることにより、銘板のサイズが小さくなり、対象物への取付が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、センサを備える装置またはシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0144】
10 センサ装置、 12 センサ部、 14 処理部、 16 出力部、 18 記憶部、 22 環境発電部、 24 蓄電部、 32 電力供給制御部、 34 情報生成部、 36 更新部、 50 センサシステム、 62 締結部。