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  • 特許-量子ドット拡散板及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】量子ドット拡散板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20230728BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230728BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230728BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B5/20
F21V3/00 320
F21V3/00 530
G02F1/13357
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022091114
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】522223349
【氏名又は名称】広東瑞捷新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】REGENCY ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 58, ASEAN road, Duzhu village, Puzi, Lilin town, Zhongkai high-tech zone, Huizhou City, Guangdong Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鄭日新
(72)【発明者】
【氏名】王興礼
(72)【発明者】
【氏名】梁満意
(72)【発明者】
【氏名】何小磊
【審査官】加藤 範久
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108107496(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113176623(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103293575(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111650775(CN,A)
【文献】特開2005-263829(JP,A)
【文献】特表平11-507881(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108387957(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103852817(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114019595(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108299802(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113156708(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
F21V 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドット層を含む量子ドット拡散板であって、
前記量子ドット層の上表面及び下表面は、保護層により覆われ、
前記量子ドット層の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%、チタン白粉0.2~5%であり、
前記保護層の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%であり、
前記量子ドットの粒径は2~12nmであることを特徴とする、量子ドット拡散板。
【請求項2】
前記量子ドット層の数は、少なくとも1層であることを特徴とする請求項1に記載の量子ドット拡散板。
【請求項3】
前記量子ドット層及び前記保護層のプラスチック原料は、PS、PC、PMMA、MS、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の量子ドット拡散板。
【請求項4】
請求項1に記載の量子ドット拡散板の製造方法であって、
成分が同じ保護層の原料を2つと、量子ドット層の原料を1つとを準備するステップと、
前記保護層の原料と前記量子ドット層の原料とを別々に均一に混合するステップと、
混合済みの前記保護層の原料と前記量子ドット層の原料とをそれぞれスクリュー押出し装置に投入して加熱し、溶融状態にするステップと、
最後に前記スクリュー押出し装置のダイヘッドから押出し、前記保護層の原料及び前記量子ドット層の原料を片状方式で押出し、前記保護層により前記量子ドット層の表面を覆うステップと、を含むことを特徴とする、量子ドット拡散板の製造方法。
【請求項5】
前記保護層及び前記量子ドット層の原料は、前記スクリュー押出し装置に含まれる3段の加熱領域の段階的加熱により、加熱・混合して溶融状態を形成し
前記加熱領域の第1段温度は140~220℃であり、
前記加熱領域の第2段温度は160~240℃であり、
前記加熱領域の第3段温度は180~260℃であることを特徴とする請求項に記載の量子ドット拡散板の製造方法。
【請求項6】
前記ダイヘッドから押出される温度を140~220℃の範囲に制御することを特徴とする請求項に記載の量子ドット拡散板の製造方法。
【請求項7】
前記保護層及び前記量子ドット層の原料は、前記スクリュー押出し装置複数の原料供給口に同時に別々に投入して押出することを特徴とする請求項に記載の量子ドット拡散板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板に関し、特に、量子ドット拡散板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光拡散板は、化学的手段又は物理的手段により、光線が伝搬途中で屈折率が異なる2つの媒質に当たったときに、屈折、反射及び散乱の物理的現象を発生させ、PMMA(Poly Methyl Methacrylate)、PC(Polycarbonate)、PS(Polystyrene)、PP(Polypropylene)などの基材基礎中に無機又は有機の光拡散剤が添加されるか、基材表面の微細パターン構造のアレイ配列を介して人為的な方式により光線を調整し、光線に異なる方向の屈折、反射及び散乱を発生させて光の進路を変え、入射光を十分に散乱させて光学拡散効果が得られるため、光拡散板は液晶表示、LED照明及び結像表示システムに広く利用されてきた。
【0003】
現在、市販されているテレビジョンに利用するバックライトモジュールにとって、業界のバックライトに対する均一度の要求が上がり続け、拡散板のヘイズもそれに伴って高くなっている。しかし、ヘイズが高まると、拡散板自体の光透過率が低下し、拡散板の光度が低下してしまうため、バックライトモジュールに設ける電球又はフィルムを増やして光度を高めなければならず、最終的にバックライトモジュール全体のコストが増えてしまうことがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成したものである。
本発明の主な目的は、高光度で、バックライトモジュール全体のコストが少ない量子ドット拡散板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かくして、本発明の要旨は、次の(1)~(9)に記載の通りのものである。
(1)量子ドット層を含む量子ドット拡散板であって、
前記量子ドット層の上表面及び下表面は、保護層により覆われ、
前記量子ドット層の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%、チタン白粉0.2~5%であり、
前記保護層の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%であることを特徴とする、量子ドット拡散板。
(2)前記量子ドットの粒径は2~12nmであることを特徴とする前記(1)に記載の量子ドット拡散板。
(3)前記量子ドット層の数は、少なくとも1層であることを特徴とする前記(1)に記載の量子ドット拡散板。
(4)前記量子ドット層及び前記保護層のプラスチック原料は、PS、PC、PMMA、MS、又はこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする前記(1)に記載の量子ドット拡散板。
(5)前記量子ドット層及び前記保護層の原料にPS耐熱剤をそれぞれ加え、
前記PS耐熱剤の質量%は0.1~3%であることを特徴とする前記(1)に記載の量子ドット拡散板。
(6)前記(1)に記載の量子ドット拡散板の製造方法であって、
成分が同じ保護層の原料を2つと、量子ドット層の原料を1つとを準備するステップと、
前記保護層の原料と前記量子ドット層の原料とを別々に均一に混合するステップと、
混合済みの前記保護層の原料と前記量子ドット層の原料とをそれぞれスクリュー押出し装置に投入して加熱し、溶融状態にするステップと、
最後に前記スクリュー押出し装置のダイヘッドから押出し、前記保護層の原料及び前記量子ドット層の原料を片状方式で押出し、前記保護層により前記量子ドット層の表面を覆うステップと、を含むことを特徴とする、量子ドット拡散板の製造方法。
(7)前記スクリュー押出し装置は、3段の加熱領域を含み、
前記加熱領域の第1段温度は140~220℃であり、
前記加熱領域の第2段温度は160~240℃であり、
前記加熱領域の第3段温度は180~260℃であることを特徴とする前記(6)に記載の量子ドット拡散板の製造方法。
(8)前記ダイヘッドから押出される温度を140~220℃の範囲に制御することを特徴とする前記(6)に記載の量子ドット拡散板の製造方法。
(9)前記スクリュー押出し装置は、多種類の異なる原料を前記スクリュー押出し装置に投入するのに用いる複数の原料供給口を有することを特徴とする前記(6)に記載の量子ドット拡散板の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る量子ドット拡散板及びその製造方法は、量子ドット層の上下表面を保護層により覆うとともに、保護層を同様にプラスチック原料、無機拡散剤その他材料の組合せにより構成し、保護層に光拡散機能を付与するとともに、量子ドット層を保護し、水気や酸素が量子ドット層に侵入することを防ぎ、量子ドット層中の量子ドットが劣化することを防ぐ。また、量子ドット層を量子ドット、チタン白粉その他材料により構成し、チタン白粉を増量することにより、チタン白粉中のチタン元素は、量子ドット拡散板の拡散効果を高め、元々バックライト中の濾過された光を変換し、バックライトの利用率を高めるとともに、チタン及び量子ドットの原料成分を調整することにより、拡散板内の量子ドットのスペクトルを変化させ、様々な帯状バックライトに適応させ、量子ドット拡散板の適用の自由度を大幅に高め、光度を高めるとともに、バックライトモジュール全体のコストを減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る量子ドット拡散板を示す構造図である。
図2図2は、従来の拡散板モジュールのスペクトル分布図である。
図3図3は、量子ドット拡散板モジュールのスペクトル分布図である。
図4図4は、LCDのスペクトル分布図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る量子ドット拡散板の製造方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の目的、特徴及び効果をより分かりやすくするために、具体的な実施形態について図に基づいて詳しく説明する。
【0009】
図1を参照する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る量子ドット拡散板は、量子ドット層10と、量子ドット層10の上表面及び下表面を覆う保護層20と、を含む。
【0010】
量子ドット層10の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%、チタン白粉0.2~5%である。
【0011】
保護層20の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%である。
【0012】
量子ドット層10の上下表面を覆う保護層20は、同様にプラスチック原料、無機拡散剤その他材料からなり、保護層20が光拡散性能を有するとともに、量子ドット層10に保護作用を付与し、水気や酸素が量子ドット層10中に浸入することを防ぎ、量子ドット層10中の量子ドットが劣化(degradation)することを防ぐ。
【0013】
量子ドット層10は、量子ドット、チタン白粉その他材料の組み合わせからなり、チタン白粉を増やすことにより、チタン白粉中のチタン元素により量子ドット拡散板の拡散効果を高め、先にバックライト中の濾過された一部の光を変換し、バックライトの利用率を高めるとともに、チタン及び量子ドットの原料成分を調整することにより、拡散板内の量子ドットのスペクトルを変化させ、様々な帯状バックライトに適用させ、量子ドット拡散板の適用の自由度を大幅に高め、光度を高めるとともに、バックライトモジュール全体のコストを減らすこともできる。
【0014】
上述した手段において、量子ドットの粒径は2~12nmであり、小さめの量子ドットを用いると、量子ドットとチタン白粉とをより均一に混合することができるため、量子ドット拡散板の拡散効果を高めることができる。量子ドット層10の数は少なくとも1層であり、実際の生産過程では、規格毎のニーズに応じて量子ドット層10の数を増やすか、量子ドット層10とその他の機能層とを組み合わせて使用してもよい。
【0015】
量子ドット層10及び保護層20のプラスチック原料は、PS、PC、PMMA、MS(Methyl methacrylate-styrene)、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。量子ドット層10及び保護層20の原料にはPS耐熱剤が増量される。PS耐熱剤の質量%は0.1~3%である。添加するPS耐熱剤を増やすと、量子ドット拡散板を主体とする耐熱性能が高まり、使用過程でLEDライトが照射される際、温度が高すぎて量子ドット拡散板が変形してしまうことを防ぐことができる。
【0016】
実施例1の量子ドット拡散板中の各層の配合は、量子ドット層10の各原料の質量%で、プラスチック原料90%、安定剤0.5%、有機シリコン1%、無機拡散剤2%、拡散油1%、スチレン-ブタジエン共重合体0.5%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物2%、量子ドット0.5%、チタン白粉2.5%である。
【0017】
保護層20の各原料の質量%は、プラスチック原料93%、安定剤0.5%、有機シリコン1%、無機拡散剤2%、拡散油1%、スチレン-ブタジエン共重合体0.5%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物2%である。
【0018】
従来の拡散板の質量%は、プラスチック原料93%、安定剤0.5%、有機シリコン1%、無機拡散剤2%、拡散油1%、スチレン-ブタジエン共重合体0.5%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物2%である。
【0019】
実施例1の量子ドット拡散板及び従来の拡散板をLEDモジュールに設置し、55インチ(139.7cm)に24個の電球を均等に配置した条件下で、正確に組立ててバックライト光源を設置し、電源スイッチをオンし、エラーの有無を検査した後、30分間予熱し、板材をバックライト光源上の真ん中に載置し、BEF下の固定テスト領域に位置させ、補正後の光度計で測定し、光度色座標(x,y)及び光度LVデータを記録し、測定した数値は次表(1)の通りである。
【0020】
表(1):従来の拡散板及び量子ドット拡散板の5個の異なる位置のデータ表
【0021】
表(2):量子ドット拡散板を従来の拡散板と比べた5個の位置数値上昇の%/比率
【0022】
上述した量子ドット拡散板及び従来の拡散板が用いる5個の位置は、板材の同じ位置にあり、それぞれ板材の対応した4つの角部及び4つの角部の対角線が交差する焦点位置である。
【0023】
図2図3及び図4を参照する。図2は、従来の拡散板のスペクトル分布図である。図3は、量子ドット拡散板のスペクトル分布図である。図2及び図3を比べると分かるように、図3中には3つのピークがあり、黄色領域中で量子ドットにより吸収されて赤色に変換されるため、発光効果が好ましく、従来の拡散板の光が黄色領域のスペクトルにより吸収され、光利用率が低下する。図4は、量子ドット拡散板を液晶表示スクリーン上に取付けたスペクトル分布図である。図3を組み合わせると、量子ドット拡散板が液晶表示スクリーン上で良好な色彩表現が得られることが分かる。
【0024】
量子ドット拡散板のバックライトスペクトルデータは以下の通りである。
藍色ピーク波長450nm半価幅430~450nmと普通バックライトとの差異は大きくない。
緑色ピーク波長530nm半価幅520~550nm。
赤色ピーク波長630nm半価幅610~640nm。
【0025】
このことから分かるように、量子ドット拡散板は、従来の拡散板の光度LVと比較し、約10%高く、色域が約6%高い。
【0026】
図5を参照する。図5に示すように、上述した量子ドット拡散板の製造方法は、以下のステップ(a)~(d)を含む。
(a)成分が同じ保護層の原料を2つと、量子ドット層の原料を1つとを準備する。
(b)保護層の原料と量子ドット層の原料とを別々に均一に混合する。
(c)混合済みの保護層の原料と量子ドット層の原料とをそれぞれスクリュー押出し装置に投入して加熱し、溶融状態にする。
(d)最後にスクリュー押出し装置のダイヘッド(die head)から押出し、保護層の原料及び量子ドット層の原料を片状方式で押出し、保護層により量子ドット層の表面を覆う。
【0027】
量子ドット材料のインサイチュー成長(in-situ growth)の特長と、量子ドット拡散板を押出して製造する方式とを組み合わせ、原料中にチタン白粉を直接加え、その後に行う混合、加熱溶融の工程においてチタン白粉を量子ドット層に均一に混合させることができるため、別途工程を増やす必要がなく、生産コストも増大せず、チタン白粉中のチタン元素材料を量子ドット拡散板中に添加することができる。
【0028】
量子ドットフィルムを別途表面に貼り合わせる従来技術と比べ、インサイチュー共押出(in-situ co-extrusion)の製造方式は、量子ドット材料をより均一に分散させることができるだけでなく、光変換率を高めることができる上、この技術では工程を別途増やす必要もない。最も基本的な原料コストの他には、生産コストが別途発生せず、1つの量子ドット拡散板を直接用いるだけで様々な光学効果が得られる。
【0029】
スクリュー押出し装置は、3段の加熱領域を含む。加熱領域の第1段温度は140~220℃であり、加熱領域の第2段温度は160~240℃であり、加熱領域の第3段温度は180~260℃である。
【0030】
段階的加熱方式により、保護層及び量子ドット層の原料を十分に加熱・混合して溶融状態を形成するとともに、ダイヘッドから押出される温度を140~220℃の範囲に制御し、保護層及び量子ドット層の押出し過程でも依然として溶融状態に維持されるため、ダイヘッドの通りがスムーズである。
【0031】
また、スクリュー押出し装置は、多種類の異なる原料をスクリュー押出し装置に投入するのに用いる複数の原料供給口を有し、多種類の異なる原料を同時に別々に投入して押出し、多層板を押出し製造してもよい。上述したように増加した量子ドット層は、1組の量子ドット層の原料を同期で増加させることにより、同期で押出すことができる。
【0032】
上述したことから分かるように、本発明に係る量子ドット拡散板及びその製造方法は、量子ドット層10の上下表面を保護層20により覆うとともに、保護層20を同様にプラスチック原料、無機拡散剤その他材料の組合せにより構成し、保護層20に光拡散機能を付与するとともに、量子ドット層10を保護し、水気や酸素が量子ドット層10に侵入することを防ぎ、量子ドット層10中の量子ドットが劣化することを防ぐ。量子ドット層10を量子ドット、チタン白粉その他材料により構成し、チタン白粉を増量することにより、チタン白粉中のチタン元素は、量子ドット拡散板の拡散効果を高め、元々バックライト中の濾過された光を変換し、バックライトの利用率を高めるとともに、チタン及び量子ドットの原料成分を調整することにより、拡散板内の量子ドットのスペクトルを変化させ、様々な帯状バックライトに適用させ、量子ドット拡散板の適用の自由度を大幅に高め、光度を高めるとともに、バックライトモジュール全体のコストを減らすこともできる。
【0033】
当該分野の技術を熟知する者が理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0034】
10 量子ドット層
20 保護層
【要約】
【課題】高光度で、バックライトモジュール全体のコストが少ない量子ドット拡散板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】量子ドット拡散板は、量子ドット層10を含む。量子ドット層10の上表面及び下表面は、保護層20により覆われる。量子ドット層10の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%、量子ドット0.01~1%、チタン白粉0.2~5%である。保護層20の各原料の質量%は、プラスチック原料90~99%、安定剤0.01~1%、有機シリコン0.1~3%、無機拡散剤0.1~3%、拡散油0.1~3%、スチレン-ブタジエン共重合体0.1~2%、ケイ酸マグネシウム塩類鉱物0.1~6%である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5