(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】アビラテロン酢酸エステルを含む組成物及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20230728BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230728BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20230728BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20230728BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230728BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230728BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230728BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61K31/58
A61P35/00
A61P13/08
A61K9/107
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/44
A61K9/48
(21)【出願番号】P 2022198156
(22)【出願日】2022-12-12
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】202111532017.8
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210049441.5
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522120635
【氏名又は名称】湖南慧▲澤▼生物医▲薬▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】易木林
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/057042(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105055314(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105535979(CN,A)
【文献】国際公開第2014/009434(WO,A1)
【文献】Recent Patents on Drug Delivery & Formulation,2016年,Vol.10,pp.235-244
【文献】The AAPS Journal,2020年,Vol.22:122,pp.1-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
A61K 9/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物であって、
前記組成物はアビラテロン酢酸エステルと、自己マイクロエマルジョンシステムとを含み、
前記アビラテロン酢酸エステルの質量百分率と前記自己マイクロエマルジョンシステムの質量百分率との比は4.3~4.8%:95.2~95.7%であり、
前記自己マイクロエマルジョンシステムは油相とエマルジョン相とを含み、
前記油相の質量百分率と前記エマルジョン相の質量百分率との比は、30%~38%:62%~70%であり、
前記油相は、グリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドとを含み、
前記グリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドとの質量比は2.5~3.63:1であり
前記エマルジョン相は、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油とジエチレングリコールモノエチルエーテルとを含み、
前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油と前記ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの質量比は1:2.25~2.5であ
り、
前記グリセロールモノリノレアートの含有量は、21.4~26.2wt%であり、
前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油の含有量は、17.7~19.7wt%である、
ことを特徴とする、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項2】
前記アビラテロン酢酸エステルの質量百分率と前記自己マイクロエマルジョンシステムの質量百分率との比は4.4~4.6%:95.4~95.6%であることを特徴とする、請求項1に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項3】
前記油相の質量百分率と前記エマルジョン相の質量百分率との比は、31%~35%:65%~69%であることを特徴とする、請求項1に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項4】
前記油相の質量百分率と前記エマルジョン相の質量百分率との比は、32%~34%:66%~68%であることを特徴とする、請求項3に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項5】
前記グリセロールモノリノレアートと前記中鎖トリグリセリドとの質量比は2.8~3.5:1であり、および/または、
前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油と前記ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの質量比は1:2.28~2.45であることを特徴とする、請求項1に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項6】
前記グリセロールモノリノレアートと前記中鎖トリグリセリドとの質量比は3.0~3.4:1であり、および/または、
前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油と前記ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの質量比は1:2.2
8~2.4である、ことを特徴とする、請求項5に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項7】
前記組成物における各成分の組成は、以下の通りである:
アビラテロン酢酸エステルが4.3~4.8wt%であり、グリセロールモノリノレアートが21.4~26.2wt%であり、中鎖トリグリセリドが6.2~9.6wt%であり、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油が17.7~19.7wt%であり、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが42.8~47.8wt%であることを特徴とする、請求項1に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項8】
前記組成物における各成分の組成は、以下の通りである:
アビラテロン酢酸エステルが4.4~4.6wt%であり、グリセロールモノリノレアートが22.0~26.0wt%であり、中鎖トリグリセリドが6.8~8.8wt%であり、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油が18.5~19.5wt%であり、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが43.0~47.2wt%であることを特徴とする、請求項1に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項9】
前記組成物は、酸化防止剤および/または防腐剤をさらに含み、
前記酸化防止剤および/または前記防腐剤の質量は、前記組成物の全質量の0.005%~0.1%であることを特徴とする、請求項7または8に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか1項に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物を含有するカプセル剤。
【請求項11】
前立腺癌を治療するための医薬製剤の調製における請求項1~
8のいずれか1項に記載のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアビラテロン酢酸エステル製剤の技術分野に関し、具体的にはアビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムと組成物及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
アビラテロン酢酸エステルは、白色から灰白色で、吸湿しない結晶性粉末であり、その化学名は(3β)-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン-3-イル酢酸エステル、その分子式はC
26H
33NO
2である。アビラテロン酢酸エステルは、生体内で17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)を阻害するためのアンドロゲン生合成阻害剤であるアビラテロンに転化される。アビラテロン酢酸エステルは、ドセタキセルを含む化学療法を受けた転移性去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の治療に、プレドニゾンと組み合わせて使用できます。しかし、アビラテロン酢酸エステルは、親油性化合物で、オクタノール/水分配係数が5.12(LogP)であり、含窒素芳香族のpKaが5.19であり、水にほとんど溶けず(0.01mg/ml未満)、浸透性が悪く、BCSクラスIV医薬品であり、経口吸収時のバイオアベイラビリティが非常に低い。
【化1】
【0003】
アビラテロン酢酸エステルの先発医薬品Zytigaは、錠剤である。Zytigaは1錠あたりアビラテロン酢酸エステル250mgを含有し、不活性成分として、コロイダルシリカ、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、乳糖・一水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポビドン、及びドデシル硫酸ナトリウムを含む。Zytigaは、経口バイオアベイラビリティが非常に低く(10%未満)、単回投与量が1000mgに達したが、10%未満の薬物だけが薬効を発揮することができる。
【0004】
また、アビラテロン酢酸エステルの吸収は食物の影響を受ける。市販の製剤では、食前の特定の時間帯にしか服用できないことが要求されている。Zytigaの説明書では、アビラテロン酢酸エステルを食物とともに投与すると、アビラテロンの全身曝露量が増加することが強調されている。アビラテロン酢酸エステルを低脂肪食事(脂肪7%、カロリー300)とともに投与すると、アビラテロンCmaxとAUC0-無限大はそれぞれ約7倍と5倍増加した。アビラテロン酢酸エステルを高脂肪食事(脂肪57%、カロリー825)とともに投与すると、CmaxとAUC0-無限大はそれぞれ約17倍と10倍増加した。食事の内容と組成の通常の変動、および、食事とともに服用することによる齎された曝露量の増加および変動を考慮すると、アビラテロンの血漿中濃度を制御するためには、空腹時に服用しなければならず、しかも記載された用量を服用する前の少なくとも2時間、および記載された用量を服用した後の少なくとも1時間に、食事をしてはいけない。アビラテロン酢酸エステルは、末期前立腺癌に対して良好な経口治療効果を示しますが、その溶解性が低く、浸透性が悪いという特性は製剤設計の障害となる。
【0005】
インドのSun Pharmaceutical Industries Ltdは、SoluMatrix微粒子技術を用いてYonsaを調製した。Yonsaは、アビラテロン酢酸エステルの溶出を促進できる改良型アビラテロン酢酸エステル錠剤を提供する。当該改良型アビラテロン酢酸エステル錠剤は、先発医薬品であるZytigaと比べて、経口バイオアベイラビリティが1倍向上した。Yonsaの投与量は500mgに削減されたが、薬物の結晶型と大きさを変え、薬物の溶出速度を高めただけで、消化管上皮細胞に対するアビラテロン酢酸エステルの浸透性を高めることができなかったため、Yonsaの経口バイオアベイラビリティは依然として低かった。
【0006】
特許文献CN107278152Aは、アビラテロン酢酸エステル5~40重量%、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト共重合体5~80重量%、デオキシコール酸ナトリウム0.1~50重量%を含むアビラテロン酢酸エステル複合体、その調製方法及びそれらを含む医薬組成物に関するものである。この複合体は食物の影響を低減させ、かつ空腹時に服用することを必要としなく、経口バイオアベイラビリティを最大5倍に高めることができるが、その複合体製剤の調製プロセスは複雑である。特許文献WO2021057042には、質量百分率で、アビラテロン酢酸エステル5~20%、油相20~50%、乳化剤20~60%、乳化助剤20~80%を含むアビラテロン酢酸エステルの自己マイクロエマルジョン組成物とその調製方法および使用が開示されている。この医薬組成物は、溶解過程において、完全に溶解するために、強力な機械的撹拌を必要とし、経口投与後のバイオアベイラビリティはまだ改善する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
従来技術の問題点などに対して、本発明の目的は、アビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステム、並びにそのシステムを用いてアビラテロン酢酸エステル組成物を調製する方法及び使用を提供することである。本発明のアビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムは、アビラテロン酢酸エステルに対して優れた溶解性と安定性を有し、アビラテロン酢酸エステルを上記システムに溶解してなる組成物は、アビラテロン酢酸エステルの吸収に対する食物の影響を著しく低減し、食前と食後の違いを減少させることができるため、空腹時および満腹時のいずれでも服用でき、服薬時間の制限を減少させることができる。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明に採用された技術方案は具体的に以下の内容である。
本発明の第1の実施形態によれば、アビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムを提供する。
【0009】
本発明は、アビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムを提供して、前記自己マイクロエマルジョンシステムは、油相とエマルジョン相( emulsion phase)とを含み、前記油相の質量百分率と前記エマルジョン相の質量百分率との比は、30%~38%:62%~70%であり、好ましくは31%~35%:65%~69%であり、さらに好ましくは32%~34%:66%~68%であり、例えば、30%:70%、31%:69%、32%:68%、32.5%:67.5%、33%:67%、33.5%:66.5%、34%:66%、34.5%:65.5%、35%:65%のうちのいずれかの質量比である。
【0010】
好ましくは、前記油相は、グリセロールモノリノレアート(CC)と中鎖トリグリセリド(MCT)とを含む。
好ましくは、前記エマルジョン相は、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)とジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)とを含む。
【0011】
好ましくは、油相において、前記グリセロールモノリノレアートと前記中鎖トリグリセリドとの質量比は2.5~3.63:1である。
好ましくは、エマルジョン相において、前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油と前記ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの質量比は1:2.25~2.5である。
好ましくは、油相において、前記グリセロールモノリノレアートと前記中鎖トリグリセリドとの質量比は2.8~3.5:1である。
好ましくは、エマルジョン相において、前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油と前記ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの質量比は1:2.28~2.45である。
好ましくは、油相において、前記グリセロールモノリノレアートと前記中鎖トリグリセリドとの質量比は3.0~3.4:1である。
好ましくは、エマルジョン相において、前記ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油と前記ジエチレングリコールモノエチルエーテルとの質量比は1:2.25~2.4である。
【0012】
本発明において、油相とエマルジョン相とを含む自己マイクロエマルジョンシステムにおいて、エマルジョン相が占める比率(wt%、油相とエマルジョン相からなる自己マイクロエマルジョンシステムの全質量に基づく)は大きいほど、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)/ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)の値も大きくなる。好ましくは、エマルジョン相が占める比率は1%増加または減少すると、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)/ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)の値は、それに応じて0.05増加または減少する。すなわち、エマルジョン相が占める比率は65wt%から70wt%段階的に(1段階当たり1wt%で)増加すると、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)/ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)の値は2.25から2.5段階的に(1段階当たり0.05で)増加する。逆に、エマルジョン相が占める比率は70wt%から65wt%段階的に(1段階当たり1wt%で)減少すると、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)/ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)の値は2.5から2.25段階的に(1段階当たり0.05で)減少する。
【0013】
本発明において、グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルなどを割合で混合し、均一に混合した後、前記の自己マイクロエマルジョンシステムを得ることができる。例えば:まず、グリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドを割合で混合し、油相を得る;その後、さらに、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油とジエチレングリコールモノエチルエーテルを割合で混合し、エマルジョン相を得る;最後に油相とエマルジョン相を均一に混合すればよい。
【0014】
本発明の第2の実施形態によれば、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物を提供する。
【0015】
本発明は、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物を提供し、当該組成物は、アビラテロン酢酸エステルと、第1の実施形態に記載された自己マイクロエマルジョンシステムとを含む。そのうち、アビラテロン酢酸エステルの質量百分率と自己マイクロエマルジョンシステムの質量百分率との比は、4.3~4.8%:95.2~95.7%であり、好ましくは4.4~4.6%:95.4~95.6%であり、例えば、4.3%:95.7%、4.4%:95.6%、4.5%:95.5%、4.6%:95.4%、4.7%:95.3%、4.8%:95.2%のうちのいずれかの質量比である。
【0016】
好ましくは、前記組成物の各成分の組成は、具体的には以下の内容である。
アビラテロン酢酸エステルは、4.3~4.8wt%であり、好ましくは4.4~4.6wt%である。アビラテロン酢酸エステルは、例えば、4.3wt%、4.4wt%、4.5wt%、4.6wt%、4.7wt%、4.8wt%のうちのいずれかである。
グリセロールモノリノレアートは、21.4~26.2wt%であり、好ましくは22.0~26.0wt%である。グリセロールモノリノレアートは、例えば、21wt%、21.2wt%、21.4wt%、21.6wt%、21.8wt%、22wt%、22.2wt%、22.5wt%、22.8wt%、23wt%、23.3wt%、23.5wt%、23.8wt%、24wt%、24.3wt%、24.5wt%、24.8wt%、25wt%、25.2wt%、25.4wt%、25.6wt%、25.8wt%、26wt%、26.2wt%のうちのいずれかである。
中鎖トリグリセリドは、6.2~9.6wt%であり、好ましくは6.8~8.8wt%である。中鎖トリグリセリドは、例えば、6.2wt%、6.3wt%、6.4wt%、6.5wt%、6.6wt%、6.7wt%、6.8wt%、6.9wt%、7.0wt%、7.1wt%、7.2wt%、7.3wt%、7.4wt%、7.5wt%、7.6wt%、7.7wt%、7.8wt%、7.9wt%、8.0wt%、8.2wt%、8.3wt%、8.4wt%、8.5wt%、8.6wt%、8.7wt%、8.8wt%、8.9wt%、9.0wt%、9.1wt%、9.2wt%、9.3wt%、9.4wt%、9.5wt%、9.6wt%のうちのいずれかである。
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油は、17.7~19.7wt%であり、好ましくは18.5~19.5wt%である。ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油は、例えば、17.7wt%、17.8wt%、17.9wt%、18.0wt%、18.1wt%、18.2wt%、18.3wt%、18.4wt%、18.5wt%、18.6wt%、18.7wt%、18.8wt%、18.9wt%、19.0wt%、19.1wt%、19.2wt%、19.3wt%、19.4wt%、19.5wt%、19.6wt%、19.7wt%のうちのいずれかである。
ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、42.8~47.8wt%であり、好ましくは43.0~47.2wt%である。ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、例えば、42.8wt%、43wt%、43.2wt%、43.3wt%、43.4wt%、43.5wt%、43.6wt%、43.7wt%、43.8wt%、44wt%、44.3wt%、44.5wt%、44.8wt%、45wt%、45.3wt%、45.5wt%、45.8wt%、46.1wt%、46.5wt%、46.8wt%、47.1wt%、47.5wt%、47.8wt%のうちのいずれかである。
【0017】
好ましくは、上記組成物は、任意に酸化防止剤および/または防腐剤をさらに含み、前記酸化防止剤および/または防腐剤の質量は、組成物の全質量の0.005%~0.1%である。「任意」とは、含むかまたは含まないかを意味する。
【0018】
本発明において、アビラテロン酢酸エステルを自己マイクロエマルジョンシステムに割合で溶解し、そして、酸化防止剤および/または防腐剤を任意に添加または添加せず、均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られる。例えば、グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリドおよびポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で(室温または加熱条件下)均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加えて、光を避けて攪拌して均一に混合し、最後にジエチレングリコールモノエチルエーテル及び任意の酸化防止剤および/または防腐剤を加えて、均一に混合すればよい。
【0019】
本発明の第3の実施形態によれば、アビラテロン酢酸エステル製剤を提供する。
【0020】
本発明は、アビラテロン酢酸エステル製剤を提供し、上記アビラテロン酢酸エステル製剤は、固形製剤と液体製剤とを含む。ここで、前記固形製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、フィルム製剤のうちの少なくとも一つを含むが、これらに限定されるものではない。前記液体製剤は、注射剤、軟カプセル、軟膏剤、坐剤、エアゾール剤のうちの少なくとも一つを含むが、これらに限定されるものではない。
【0021】
好ましくは、前記固形製剤は、内容物及び添加剤を粉砕、篩過、混合、造粒、打錠のうちの少なくとも一つの工程を経て調製して得られる。前記添加剤は、フィラー、吸着剤、粘着剤、滑剤、分散剤、崩壊剤、湿潤剤、香料、色料からなる群から選択される少なくとも一つである。前記内容物は、第1の実施形態に記載された自己マイクロエマルジョンシステム及びアビラテロン酢酸エステルであり、または、前記内容物は、第2の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物である。
【0022】
前記液体製剤は内容物と助剤からなる。前記助剤は、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、芳香剤、浸透圧調整剤、矯味剤からなる群から選択される少なくとも一つである。前記内容物は、第1の実施形態に記載された自己マイクロエマルジョンシステム及びアビラテロン酢酸エステルであり、または、前記内容物は、第2の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物である。
【0023】
本発明において、前記アビラテロン酢酸エステル製剤の調製方法は、当業者が当技術分野における一般的な製剤の調製方法に従って調製して対応する製剤を得ることである。前記調製方法は、例えば、前記方法に従ってアビラテロン酢酸エステルを含む組成物を調製し、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物を、軟カプセルまたは硬カプセルに密封し、好ましくは、各カプセルは前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物0.5~1mlを含有する、ことである。
【0024】
本発明において、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物においては、アビラテロン酢酸エステルの濃度を50~100mg/mLに制御でき、単回経口投与量が75~100mgである。アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は、水、生物学的に関連する媒体(例えばSGF、FessiF及びFassiF媒体)または胃腸液と混合されると、粒子径が250nm未満の高い透明度、均一な粒子径、および安定した性質を有するO/Wナノエマルジョンを自発的に形成することができる。室温で保存すると、内容物は安定した溶液として存在することができる。本発明の自己マイクロエマルジョン組成物の含有量は、影響因子の条件下(例えば、30℃±2℃、4℃、組成物に対して10wt%の水を添加すること、組成物に対して15wt%の水を添加すること)でも安定である。
【0025】
本発明の第4の実施形態によれば、薬物組成物を提供する。
【0026】
本発明は、薬物組成物を提供し、上記薬物組成物は、第2の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物および第3の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステル製剤のうちの一方と、プレドニゾンとを含む。すなわち、上記薬物組成物は、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物+プレドニゾンの組み合わせ、またはアビラテロン酢酸エステル製剤+プレドニゾンの組み合わせである。
【0027】
本発明の第5の実施形態によれば、第2の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物、または第3の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステル製剤、または第4の実施形態に記載された薬物組成物の使用を提供する。第2の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物、または第3の実施形態に記載されたアビラテロン酢酸エステル製剤、または第4の実施形態に記載された薬物組成物は、前立腺癌を治療するための医薬製剤の調製に使用される。
【0028】
好ましくは、前記前立腺癌は、転移性去勢抵抗性前立腺癌及び転移性高リスク去勢感受性前立腺癌からなる群から選択される一方または両方である。一般的に、本発明による薬物投与時間は食前又は食後のいずれでもよい。
【0029】
従来技術では、アビラテロン酢酸エステルは、BCSクラスIV医薬品として、低溶解性、低浸透性を有するため、剤形を開発する過程において、アビラテロンの溶解性を解決する必要があるだけでなく、吸収過程におけるアビラテロンの膜貫通の問題を解決することがより重要なものである。既存の剤形は、アビラテロン酢酸エステルの溶解度及び溶出に関する問題を効果的に解決することができるが、生体内での薬物の吸収および膜貫通に関する問題を効果的に解決できず、さらにバイオアベイラビリティを効果的に向上させることができない。また、既存の剤形は、アビラテロン酢酸エステルの吸湿析出に関する問題も効果的に解決できず、それによって安定性が低い。同時に、従来技術のアビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムは、油相とエマルジョン相との割合を合理的に制御しておらず、その結果、エマルジョン相中のジエチレングリコールモノエチルエーテルが多すぎる(毒副作用を引き起こす)か、または、少なすぎる(マイクロエマルションの形成が困難になる、あるいは不可能となる)ことになる。
【0030】
本発明において、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は、溶液系であり、経口投与後に胃腸液の存在下で、胃腸蠕動により自発的に分散してO/W型ナノエマルジョンを形成し、しかも透明度が高く、粒径が均一で、性質が安定である。ナノエマルジョンの粒径が小さいため、薬物の溶解を促進でき、生体内でのアビラテロンの膜透過性を高め、腸管上皮細胞へのアビラテロンの透過性を高め、それによって、吸収を著しく促進し、薬物のバイオアベイラビリティを著しく向上させることができる。また、本発明のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物は、アビラテロン酢酸エステルの吸収に対する食物の影響を著しく低減し、食前と食後の違いを減少させるため、空腹時および満腹時のいずれでも服用でき、服薬時間の制限を減少させることができる。
【0031】
本発明に提供される自己マイクロエマルジョンシステムは、疎水性、難吸収性または加水分解を起こしやすい薬物の担体として使用することができる。本発明の自己マイクロエマルジョンシステムは、室温でアビラテロン酢酸エステルの溶解度を高めることができると同時に、形成された均一で安定なアビラテロン酢酸エステルを含む薬物系は、生体内に入った後、自発的に分散してナノエマルジョンを形成することができ、生体内でのアビラテロン酢酸エステルの吸収膜貫通に関する問題を効果的に解決することができる。本発明者らは、深く研究することにより、本発明により調製されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物は、経口バイオアベイラビリティが大幅に向上するとともに、湿気環境または過湿環境における安定性が優れていることを見出した。自己乳化溶液は、マイクロエマルジョンに比べて安定性が高く、長期保存の要求を満たすことができるとともに、軟カプセルや硬カプセルなどの包装に直接入れることもできる。
【0032】
従来の技術と比較して、本発明の有益な技術的効果は以下の通りである。
1:本発明は特定の原料を使用して特定の割合で調製することにより、油相とエマルジョン相とを得て、次いで油相とエマルジョン相とを特定の割合で混合し、アビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシシステムが得られる。この自己マイクロエマルジョンシステムは、アビラテロン酢酸エステルに対して溶解度が高く、安定性が強く、胃腸蠕動により自発的に分散してO/W型ナノエマルジョンを形成し、透明度が高く、粒径が均一で、性質が安定である。本発明は、生体内でのアビラテロン酢酸エステルの膜透過性を大幅に向上させ、腸管上皮細胞へのアビラテロンの透過性を高め、それによって吸収を著しく促進し、薬物のバイオアベイラビリティを向上させる。
2:本発明において、アビラテロン酢酸エステルと自作の自己マイクロエマルジョンシステムとを採用して調製されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物は、アビラテロン酢酸エステルの吸収に対する食物の影響を著しく低減し、食前と食後の違いを著しく減少させるため、空腹時および満腹時のいずれでも服用でき、服薬時間の制限を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1はHP、RH40及び(CC:MCT=1:0)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図2】
図2はHP、RH40及び(CC:MCT=1:1)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図3】
図3はHP、RH40及び(CC:MCT=2:1)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図4】
図4はHP、RH40及び(CC:MCT=1:2)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図5】
図5はHP、RH40及び(CC:MCT=3:1)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図6】
図6はHP、RH40及び(CC:MCT=1:3)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図7】
図7はHP、RH40及び(CC:MCT=5:1)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図8】
図8はHP、RH40及び(CC:MCT=1:5)の使用量を割合で調整してプロットした三元相図である。
【
図9】
図9は比較例1~4のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物を4℃の条件下で24h放置した後のサンプル写真である。
【
図10】
図10は実施例2及び比較例1~4のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物を室温、且つ10wt%の水を添加した条件下で24h放置した後のサンプル写真である。
【
図11】
図11は実施例2及び比較例1~4のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物を室温、且つ15wt%の水を添加した条件下で24h放置した後のサンプル写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の技術案を例示的に説明するが、本発明が保護請求する範囲には、以下の実施例が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
試験1:自己マイクロエマルジョンシステムの構築試験。
【0036】
油相として、グリセロールモノリノレアート(CC)と中鎖トリグリセリド(MCT)とを異なる質量比(質量比が1:0、1:1、2:1、1:2、3:1、1:3、5:1、1:5である)で混合した。エマルジョン相として、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)とジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)とを異なる質量比(質量比が1:1、2:1、1:2、3:1、1:3である)で混合した。そして、更に、油相とエマルジョン相とを異なる質量比(質量比が9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、1:9である)で混合して混合系を得る。カール・フィッシャー滴定(Karl Fischer titration)法を用いて三元相図(
図1~8参照)を得て、アビラテロン酢酸エステル(API)に対する混合系の担持性能を検討した。
【0037】
図1~8からわかるように、油相としてグリセロールモノリノレアートを単独で用いることに比べて、油相としてグリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドを併用する方が効果的である(
図1~
図8に示すように、
図1は油相としてグリセロールモノリノレアートを単独で用いた場合の三元相図を示し、
図2~
図7はグリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドを異なる質量比で併用した場合の三元相図を示す。これで分かるように、
図1のマイクロエマルジョン領域面積は最小である。例えば、
図1と
図2を比較すると、グリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドを併用した場合、油相の使用量が50%であると、依然として、マイクロエマルジョンを形成することができるが、グリセロールモノリノレアートのみを使用し、かつ使用量が50%である場合、RH40とHPとの使用量の比をどう調整しても、マイクロエマルション状態を形成することができない)。したがって、本発明の自己マイクロエマルジョンシステムは、油相としてグリセロールモノリノレアート(CC)と中鎖トリグリセリド(MCT)との混合を使用した。同時に、測定から分かるように、アビラテロン酢酸エステルのグリセロールモノリノレアート(CC)に対する溶解度(25℃)は約62.9mg/gであり、アビラテロン酢酸エステルの中鎖トリグリセリド(MCT)に対する溶解度(25℃)は約28.4mg/gである。油相としてグリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドを併用する場合、より大きな薬物担持量を確保するために、油相におけるCCの使用量をできるだけ多くし、MCTの使用量をできるだけ少なくする必要がある。研究の過程において、エマルジョン相の使用量と混合比が変わらない場合、グリセロールモノリノレアートと中鎖トリグリセリドとの使用量の比が2:1から5:1に変化すると、三元相図中のマイクロエマルジョン領域面積が徐々に小さくなる(マイクロエマルジョン領域面積が小さいほど、マイクロエマルジョンが存在する領域の面積が小さくなることを示す。添加剤がこのマイクロエマルジョン領域内でエマルジョンされることしかできないため、添加剤の使用量が制限されている。そして、添加剤の使用量の制限は、APIの担持量に影響を与えやすいが、同時に、自己マイクロエマルジョンシステムの自己乳化効果にも影響を与える)ことを見出した。更に、さらなる試験と計算により、油相中のCC:MCTが2.5~3.63:1(好ましくは2.8~3.5:1であり、より好ましくは3.0~3.4:1である)である場合、アビラテロン酢酸エステルの担持効果は優れており(油相中のMCTの使用量が多すぎると、APIの担持量が著しく低下し、油相中のMCTの使用量が少なすぎると、エマルジョン領域面積が小さくなる)、かつ油相とエマルジョン相とからなる自己マイクロエマルジョンシステムの自己乳化効果が良いことを見出した。
【0038】
試験により、乳相としてポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)とジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)を併用する場合の効果は、乳相としてポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)を単独で用いる場合の効果よりも優れていることがわかった。これは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)は乳化促進の機能を発揮するとともに、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)の使用量を低減することができ、アビラテロン酢酸エステルの担持量を高めることができるからである。試験から分かるように、アビラテロン酢酸エステルのポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)に対する溶解度(25℃)は約24.7mg/gであり、アビラテロン酢酸エステルのジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)に対する溶解度(25℃)は約69.0mg/gである。エマルジョン相としてポリオキシエチレン40水添ヒマシ油(RH40)とジエチレングリコールモノエチルエーテル(HP)を併用する場合、自己マイクロエマルジョンシステムの乳化効果を確保しながら、より大きな薬物担持量を確保するために、エマルジョン相におけるRH40の使用量をできるだけ低くし、HPの使用量をできるだけ高くする必要がある。研究の過程において、油相の使用量と混合比が変わらない場合、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油とジエチレングリコールモノエチルエーテルとの使用量の比が1:1から1:3に変化すると、三元相図中のマイクロエマルジョン領域面積が徐々に小さくなることを見出した。更に、さらなる試験により、エマルジョン相中のRH40:HPが1:2.25~2.5である場合、アビラテロン酢酸エステルの担持効果が優れ、エマルジョン相と油相からなる自己マイクロエマルジョンシステムの自己乳化効果が良いとともに、乳化助剤(すなわちHP)が自己マイクロエマルジョンシステムに包まれて遮蔽され、毒性および副作用はほとんど生じないことがわかった。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、質量比CC:MCT=3.38:1で混合して油相を得、質量比RH40:HP=1:2.25で混合してエマルジョン相を得た。油相とエマルジョン相を異なる質量比で混合して混合系を得、混合系の乳化効果を検討した。油相とエマルジョン相とを混合する比率を表1に示す。
【0040】
【表1】
したがって、表1の測定結果から分かるように、エマルジョン相の使用量が≧60wt%(油相とエマルジョン相の全質量に対する)である場合、油相とエマルジョン相からなる混合系は自己乳化効果を達成することができ、自己乳化効果を確実に達成するとともに、乳化剤(すなわちRH40)の使用量を減らすために、油相とエマルジョン相との使用量の比をさらに最適化する必要がある。その結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
したがって、表2の測定結果から分かるように、水の使用量が100gである場合、油相とエマルジョン相からなる混合系(すなわち自己マイクロエマルジョンシステム)における油相の総量が35wt%であり、または35wt%未満であり、エマルジョン相の総量が65wt%であり、または65wt%より大きい必要がある。それによって、自己マイクロエマルジョンシステムの乳化効果は良好である。そして、自己乳化効果を確実に達成するとともに、乳化剤(すなわちRH40)の使用量を減らすために、自己マイクロエマルジョンシステムにおける油相の質量百分率とエマルジョン相の質量百分率との比は32wt%~35wt%:65wt%~68wt%であり、好ましくは33wt%~35wt%:65wt%~67wt%であり、より好ましくは35wt%:65wt%である(油相とエマルジョン相の全質量に対する)。
【0042】
試験2:自己マイクロエマルジョンシステムの薬物担持量の検討試験
【0043】
2.1:質量比CC:MCT=3.63:1で混合して油相を得、質量比RH40:HP=1:2.5で混合してエマルジョン相を得た。油相とエマルジョン相を質量比30wt%:70wt%で混合してアビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムを得た。この自己マイクロエマルジョンシステムを用いて、異なる質量含有量のアビラテロン酢酸エステル(API)を担持し、その結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
2.2:質量比CC:MCT=2.5:1で混合して油相を得、質量比RH40:HP=1:2.25で混合してエマルジョン相を得た。油相とエマルジョン相を質量比35wt%:65wt%で混合してアビラテロン酢酸エステルを担持するための自己マイクロエマルジョンシステムを得た。この自己マイクロエマルジョンシステムを用いて異なる質量含有量のアビラテロン酢酸エステル(API)を担持し、その結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
表3と表4からわかるように、本技術案に提供された自己マイクロエマルジョンシステムのアビラテロン酢酸エステルに対する最大有効薬物担持量は4.5wt%~4.8wt%(APIと自己マイクロエマルジョンシステムの総質量に対する)である。そして、薬物担持量の投与量を確保するために、研究および計算により得られたアビラテロン酢酸エステルの含有量は4.3wt%であり、または4.3wt%より大きいことが望ましい(含有量が低すぎると、患者の薬物服用量が増大するため、担体としての添加剤の服用量が増大し、毒性および副作用の発生を引き起こしやすい)。
【0046】
実施例1
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.118重量部(組成物の全質量の約4.30wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.722重量部(組成物の全質量の約25.85wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.991重量部(組成物の全質量の約7.66wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.973重量部(組成物の全質量の約19.13wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.196重量部(組成物の全質量の約43.06wt%である)。
【0047】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0048】
実施例2
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.704重量部(組成物の全質量の約25.78wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.986重量部(組成物の全質量の約7.64wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.174重量部(組成物の全質量の約42.98wt%である)。
【0049】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0050】
実施例3
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.248重量部(組成物の全質量の約4.80wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.683重量部(組成物の全質量の約25.70wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.979重量部(組成物の全質量の約7.61wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.950重量部(組成物の全質量の約19.04wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.140重量部(組成物の全質量の約42.85wt%である)。
【0051】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0052】
実施例4
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.523重量部(組成物の全質量の約25.09wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.167重量部(組成物の全質量の約8.33wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.174重量部(組成物の全質量の約42.98wt%である)。
【0053】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0054】
実施例5
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.207重量部(組成物の全質量の約23.87wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.483重量部(組成物の全質量の約9.55wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.174重量部(組成物の全質量の約42.98wt%である)。
【0055】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0056】
実施例6
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.760重量部(組成物の全質量の約26.00wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.930重量部(組成物の全質量の約7.42wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.174重量部(組成物の全質量の約42.98wt%である)。
【0057】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0058】
実施例7
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.704重量部(組成物の全質量の約25.78wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.986重量部(組成物の全質量の約7.64wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.747重量部(組成物の全質量の約18.26wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.393重量部(組成物の全質量の約43.82wt%である)。
【0059】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0060】
実施例8
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.704重量部(組成物の全質量の約25.78wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.986重量部(組成物の全質量の約7.64wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.638重量部(組成物の全質量の約17.84wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.502重量部(組成物の全質量の約44.24wt%である)。
【0061】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0062】
実施例9
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.322重量部(組成物の全質量の約24.32wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.872重量部(組成物の全質量の約7.20wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.670重量部(組成物の全質量の約44.88wt%である)。
【0063】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0064】
実施例10
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.130重量部(組成物の全質量の約23.58wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.816重量部(組成物の全質量の約6.98wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.918重量部(組成物の全質量の約45.84wt%である)。
【0065】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0066】
実施例11
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:5.747重量部(組成物の全質量の約22.10wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.702重量部(組成物の全質量の約6.55wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:12.415重量部(組成物の全質量の約47.75wt%である)。
【0067】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0068】
比較例1
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約7.11wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:4.136重量部(組成物の全質量の約25.13wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.632重量部(組成物の全質量の約15.99wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:3.816重量部(組成物の全質量の約23.19wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:4.704重量部(組成物の全質量の約28.58wt%である)。
【0069】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0070】
比較例2
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約8.78wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:4.136重量部(組成物の全質量の約31.05wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.632重量部(組成物の全質量の約19.76wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:3.816重量部(組成物の全質量の約28.64wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:1.568重量部(組成物の全質量の約11.77wt%である)。
【0071】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0072】
比較例3
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.03wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:4.136重量部(組成物の全質量の約14.26wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.632重量部(組成物の全質量の約9.08wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:3.816重量部(組成物の全質量の約13.16wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:17.248重量部(組成物の全質量の約59.47wt%である)。
【0073】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0074】
比較例4
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約2.45wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:4.136重量部(組成物の全質量の約8.65wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.632重量部(組成物の全質量の約5.50wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:3.816重量部(組成物の全質量の約7.98wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:36.064重量部(組成物の全質量の約75.42wt%である)。
【0075】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0076】
比較例5
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.300重量部(組成物の全質量の約5.0wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.667重量部(組成物の全質量の約25.64wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.975重量部(組成物の全質量の約7.60wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.940重量部(組成物の全質量の約19.00wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.118重量部(組成物の全質量の約42.76wt%である)。
【0077】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0078】
比較例6
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.822重量部(組成物の全質量の約26.24wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.868重量部(組成物の全質量の約7.18wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.174重量部(組成物の全質量の約42.98wt%である)。
【0079】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0080】
比較例7
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.704重量部(組成物の全質量の約25.78wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.986重量部(組成物の全質量の約7.64wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.547重量部(組成物の全質量の約17.49wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.593重量部(組成物の全質量の約44.59wt%である)。
【0081】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0082】
比較例8
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:5.747重量部(組成物の全質量の約22.10wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.702重量部(組成物の全質量の約6.55wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:5.348重量部(組成物の全質量の約20.57wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:12.033重量部(組成物の全質量の約46.28wt%である)。
【0083】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0084】
比較例9
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:7.087重量部(組成物の全質量の約27.26wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.100重量部(組成物の全質量の約8.08wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.813重量部(組成物の全質量の約18.51wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:10.830重量部(組成物の全質量の約41.65wt%である)。
【0085】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0086】
比較例10
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.130重量部(組成物の全質量の約23.58wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.816重量部(組成物の全質量の約6.98wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:5.195重量部(組成物の全質量の約19.98wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.689重量部(組成物の全質量の約44.96wt%である)。
【0087】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0088】
比較例11
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.704重量部(組成物の全質量の約25.78wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.986重量部(組成物の全質量の約7.64wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:5.124重量部(組成物の全質量の約19.71wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.016重量部(組成物の全質量の約42.37wt%である)。
【0089】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0090】
比較例12
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:5.364重量部(組成物の全質量の約20.63wt%である)、
中鎖トリグリセリド:1.588重量部(組成物の全質量の約6.11wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:5.501重量部(組成物の全質量の約21.16wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:12.377重量部(組成物の全質量の約47.60wt%である)。
【0091】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0092】
比較例13
アビラテロン酢酸エステルを含む組成物は以下の成分を含む:
アビラテロン酢酸エステル:1.170重量部(組成物の全質量の約4.50wt%である)、
グリセロールモノリノレアート:6.134重量部(組成物の全質量の約23.59wt%である)、
中鎖トリグリセリド:2.556重量部(組成物の全質量の約9.83wt%である)、
ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油:4.966重量部(組成物の全質量の約19.10wt%である)、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル:11.174重量部(組成物の全質量の約42.98wt%である)。
【0093】
調製過程は次のとおりである。グリセロールモノリノレアート、中鎖トリグリセリド、ポリオキシエチレン40水添ヒマシ油を割合で取り、攪拌して均一に混合した後、アビラテロン酢酸エステルを加え、光を避けて十分に溶解してから、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成した後、前記アビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。
【0094】
効果試験実施例1
上記実施例1~11及び比較例1~8の使用量の配置方法に従ってアビラテロン酢酸エステルを含む組成物が得られた。各実施例で得られた組成物の成分の配合比を表5に示す。そして、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物のそれぞれに対して安定性試験を行った。安定性試験は、すなわち、実施例1~11及び比較例1~13で得られたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物を、室温、4℃、室温かつ10wt%の水を加えた条件下、室温かつ15wt%の水を加えた条件下で24h放置し、アビラテロン酢酸エステルを含む組成物の安定性を観察することである。その結果を表6に示す。
【0095】
【表5】
注:油相/エマルジョン相の値は油相とエマルジョン相との全質量に対するものである。
【0096】
【0097】
比較例1では、API含有量が相対的に高すぎて、担体の最大薬物担持量を超えるため、担体と添加剤が析出して、系が濁っていた。比較例2では、HP含有量が低すぎ、かつAPI含有量が相対的に高すぎるため、APIが析出し、組成物の底部に薬物粒子結晶が現れた。少量の水を添加した後、比較例1と比較例2はいずれもAPIが析出し、一般的に、調製した薬物組成物はその後の長期貯蔵過程において吸湿しやすいため、水分含有量が増大する。比較例5では、API含有量が高すぎるため、APIが大量に析出した。比較例6では、CCの含有割合が大きすぎるため、油相が相対的に多すぎ、さらに湿気または過湿条件下(すなわち少量の水分を添加した後)で油滴が析出した。比較例7では、HPの含有割合が大きすぎるため、湿気または過湿条件下で、大量のHPが水中に分散した後に親水性になり、薬物の一部が完全に溶解できずに析出し、そしてHP含有量が相対的に高すぎるため、薬物の毒性および副作用が増大した。比較例8、比較例10、比較例11は、いずれもHP含有量が相対に低いため、良好な乳化効果を達成できなかった(その中、比較例11では、HP含有量が相対に低すぎて、マイクロエマルジョンを形成できなかった)ため、湿気または過湿条件下で二層に分離した現象が現れた。比較例9では、エマルジョン相の含有量が低く、マイクロエマルジョンを形成できず、そして油相の含有量が相対的に高いため、湿気または過湿条件下で、油滴が大量に析出した。比較例12では、油相の含有量が低いため、エマルジョン相の含有量が相対的に高く、さらにHP含有量が相対的に多く、HPが水に分散した後に親水性になり、薬物の一部が完全に溶解できずに析出した。比較例13では、CC含有量が相対的に低すぎるため、形成された自己マイクロエマルジョンシステムのAPIに対する担持量が低くなり、それによってAPIが析出した。実施例7と実施例8では、油相とエマルジョン相との配合の比が一定である場合、エマルジョン相におけるHPの含有割合がやや高いため、HP含有量は相対的にやや高く、湿気または過湿条件下で、少量のHPが水に分散した後に親水性になり、それによって微量の薬物が完全に溶解せずに析出した。
【0098】
さらに、実施例2および比較例1-4における乳化した後に得られた自己マイクロエマルジョンシステムを、それぞれ温度30℃±5℃の条件下で24h、48h放置し、自己マイクロエマルジョンシステムの安定性を観察し、その結果を表7に示す。
【表7】
【0099】
上記表7からわかるように、比較例3と比較例4は、自己マイクロエマルジョンシステムを形成した後、いずれも担体(API)が析出した。それは、両方の自己マイクロエマルジョンシステムの長期安定性が悪いことを示した。比較例4では、油相の含有量が低く、透明溶液を形成するために、乳化助剤(HP)を含有量が70%以上となるように添加したが、乳化助剤が水に分散した後に親水性になり、APIの一部は完全に溶解できずに析出し、また乳化助剤の含有量が高すぎて、薬物の毒性および副作用が増加した。比較例3では、油相の含有量が相対的に低く、乳化後の粒子が大きく、その後の吸収に影響を与え、一定時間貯蔵した後、薬物が析出した。
【0100】
応用例1
本発明に調製されたアビラテロン酢酸エステルを含む組成物および先行技術WO2021057042における実施例1(以下が比較例14と記する)を用いて、薬物動態試験を行った。
【0101】
試験方法および被験体:6匹の健康なビーグル犬を2匹ずつの三つのグループに無作為に分け、試験周期中のウォッシュアウト期間(Washout Period)は3日間であった。
【0102】
試験は空腹試験と食後試験に分けられた。
空腹試験:試験前に10時間絶食させ、空腹時に投与し、投与後4時間に給食した。
食後試験:試験前に10時間絶食させ、高脂肪食を与えた後、投与した(給食と投与は30分以内に完了した)。
【0103】
試験カプセルは、本発明の実施例および比較例14により提供されたアビラテロン酢酸エステルを含むカプセルであり、各カプセルにはアビラテロン酢酸エステル50mgが含まれている。
【0104】
採取:投与後15min、30min、1h、1.5h、2.0h、2.5h、3h、4h、6h、8h、10h、12h、24hに血液サンプル2mLを採取し、血漿を遠心分離した。本発明のアビラテロン酢酸エステルを含む組成物をカプセルに調製した後、薬物動態試験を行い、その結果を表8に示す。
【0105】
【0106】
表8からわかるように、ビーグル犬に実施例2のアビラテロン酢酸エステルカプセルを空腹時に経口投与した場合の経口バイオアベイラビリティは、ビーグル犬に比較例14のアビラテロン酢酸エステルカプセルを空腹時に経口投与した場合の経口バイオアベイラビリティの136.71%であった。それは、本発明のアビラテロン酢酸エステル薬物組成物は、比較例14と比べて、経口バイオアベイラビリティが約1.36倍向上し、且つ最高血中濃度到達時間(Tmax)、最高血中濃度(Cmax)及び吸収レベルの個体間変動程度が低いことを示した。比較例14のアビラテロン酢酸エステルカプセル(アビラテロン酢酸エステル50mgを含む)を服用したビーグル犬に対して、空腹時および高脂肪食後の最高血中濃度到達時間は、明らかな違いがなく、食後の経口バイオアベイラビリティは、食前の経口バイオアベイラビリティの1.21倍である。実施例2のアビラテロン酢酸エステルカプセル(アビラテロン酢酸エステル50mgを含む)を服用したビーグル犬に対して、空腹時および高脂肪食後の最高血中濃度到達時間は、明らかな違いがなく、食後の経口バイオアベイラビリティは、食前の経口バイオアベイラビリティの1.13倍である。これで分かるように、本発明により提供されるアビラテロン酢酸エステルカプセルは、食前と食後の違いをさらに減少させた。
【0107】
表8からわかるように、本発明により提供されるアビラテロン酢酸エステルカプセルは、食後の経口バイオアベイラビリティが食前の経口バイオアベイラビリティの0.95~1.14倍の範囲であり、これは、食前と食後の違いが小さいことを示した。そして、ビーグル犬に本発明により提供されるアビラテロン酢酸エステルカプセルを空腹時に経口投与した場合の経口バイオアベイラビリティは、ビーグル犬に比較例14のアビラテロン酢酸エステルカプセルを空腹時に経口投与した場合の経口バイオアベイラビリティの130.83%~142.55%であり、それは、本発明により提供されるアビラテロン酢酸エステルカプセルが空腹時の経口バイオアベイラビリティをさらに向上させたことを示した。
【0108】
応用例2
1.アビラテロン酢酸エステルカプセルの組織分布
【0109】
1.1投与
雄ラットを9匹ずつのグループに無作為に分けた。具体的な投与方法は以下のとおりである。
第1グループの雄ラット9匹に、先発医薬品Zytigaを経口投与し、投与量は500mgであった。
第2~5グループの雄性ラット36匹に、本発明で調製したアビラテロン酢酸エステルカプセル(比較例14、実施例2、実施例6、実施例10)を経口投与し、投与量は50mgであった。
【0110】
1.2サンプルの採取および処理
先発医薬品Zytigaグループでは、胃内投与後0.5時間、2時間、4時間の各時点でラット3匹を致死させ、アビラテロン酢酸エステルカプセルグループでは、胃内投与後0.5時間、2時間、4時間の各時点でラット3匹を致死させた。静脈血0.5mLを採取し、その後迅速に解剖し、心臓、肝臓、脾臓、肺、腎臓、胃、腸、痰、脳、脊柱、脳脊髄液、神経、胸腺、リンパ節、動脈壁、膵臓、胆嚢、前立腺、睾丸、甲状腺、副腎、視床下部、下垂体、眼、耳、膀胱、筋肉、皮膚、白血球、骨、軟骨、関節組織、滑液および脂肪組織などを取り出した。取り出した組織は生理食塩水を用いて表面の血痕を洗浄し、更に、それぞれ濾紙で乾燥させ、重量を測定した。そして、吸収されていない薬物の量を測定するために、ラットの腸管内の糞サンプルを採取し、重量を測定する必要がある。
【0111】
採取した血液サンプルは、ヘパリンナトリウムを用いて抗凝固処理されて、採取後1時間以内に、2~8℃の条件下、3500rpmで10分間遠心分離し、分離した血漿を試験まで-80℃冷蔵庫に保存する。リンパ球、下層の赤血球も試験まで-80℃の冷蔵庫に回収して保存する。
【0112】
各組織サンプルを一定量(約0.2g)採取し、組織1gあたり生理食塩水3mLを加え、氷浴中で電動ホモジナイザーを用いて十分に粉砕し、-80℃の冷蔵庫に入れて、試験まで保存する。均質化されていない残りの組織は回収して-80℃の冷蔵庫に入れて保存する必要がある。
【0113】
サンプルの採取および処理の過程は、いずれも光を避ける必要がある。
【0114】
1.3サンプルの検出
ラットの血漿サンプル、組織サンプル(睾丸と前立腺を含む)および糞サンプル中のアビラテロン酢酸エステルの濃度をLC-MS/MS法によりそれぞれ測定し、その結果を以下の表9~10に示す。
【0115】
【0116】
その結果、表9に示すように、血漿サンプル中のアビラテロン酢酸エステルの濃度を基準対照として、本発明のアビラテロン酢酸エステル組成物(比較例14、実施例2、実施例6、実施例10)は、睾丸サンプルと前立腺サンプルにおける薬物濃度が高い。これは、アビラテロンが睾丸と前立腺に凝集し、特定の局所組織において濃度が高く、標的位置に入るのに有利であり、かつより良い薬効を生み出すことができることを示している。
【0117】
【0118】
その結果、表10に示すように、投与4h後、本発明の実施例のアビラテロン酢酸エステル組成物を投与したラットは、対照薬物を投与したラットより、同じ重量の糞におけるアビラテロンの濃度が明らかに低く、これは、本発明の実施例のアビラテロン酢酸エステル組成物におけるアビラテロンがより多く吸収されたことを示した。