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特許7320908半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230728BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230728BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 A
G01R31/26 J
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019084288
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020181900
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】田島 純平
(72)【発明者】
【氏名】黄 鐘日
(72)【発明者】
【氏名】布上 真也
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/155697(WO,A1)
【文献】特開2004-274036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、
ステージと、
を備え、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性であ
前記ステージと前記導電部材との間に前記半導体装置が置かれ、
前記検出部は、前記ステージを介して、前記半導体装置と前記導電部材との間に前記第1電圧を印加し、前記ステージを介して、前記半導体装置と前記第1プローブとの間に前記導電部材電圧を印加する、半導体装置の検査装置。
【請求項2】
前記第1極性は正であり、第2極性は負である、請求項1記載の半導体装置の検査装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記第1電圧の絶対値を変化させて前記電流を検出する、請求項1または2に記載の半導体装置の検査装置。
【請求項4】
前記半導体装置の第3部分と接触可能な第2プローブをさらに備え、
前記検出部は、前記半導体装置と前記第1プローブとの間に前記第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に前記導電部材電圧を印加するときに、前記半導体装置と前記第2プローブとの間に、前記第1電圧と前記導電部材電圧との間の第2電圧を印加する、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項5】
前記第2部分の少なくとも一部は、前記第1部分と前記第3部分との間にある、請求項記載の半導体装置の検査装置。
【請求項6】
前記導電部材は、第1孔及び第2孔を含み、
前記第1プローブは、前記第1孔を介して前記第1部分と接触可能であり、
前記第2プローブは、前記第2孔を介して前記第3部分と接触可能である、請求項またはに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項7】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、
第2プローブと、
を備え、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性であ
前記第2プローブは、前記半導体装置の第3部分と接触可能であり、
前記検出部は、前記半導体装置と前記第1プローブとの間に前記第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に前記導電部材電圧を印加するときに、前記半導体装置と前記第2プローブとの間に、前記第1電圧と前記導電部材電圧との間の第2電圧を印加し、
前記導電部材は、第1孔及び第2孔を含み、
前記第1プローブは、前記第1孔を介して前記第1部分と接触可能であり、
前記第2プローブは、前記第2孔を介して前記第3部分と接触可能である、半導体装置の検査装置。
【請求項8】
保持部をさらに備え、前記保持部は、前記第1プローブの前記導電部材に対する位置を固定し、前記第2プローブの前記導電部材に対する位置を固定する、請求項~7のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項9】
前記導電部材は、第1孔を含み、
前記第1プローブは、前記第1孔を介して前記第1部分と接触可能である、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項10】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、
を備え、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性であ
前記導電部材は、第1孔を含み、
前記第1プローブは、前記第1孔を介して前記第1部分と接触可能である、半導体装置の検査装置。
【請求項11】
絶縁層をさらに備え、
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にある、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項12】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、
絶縁層と、
を備え、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性であ
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にあり、
前記導電部材は、第1孔を含み、
前記第1プローブは、前記第1孔を介して前記第1部分と接触可能である、半導体装置の検査装置。
【請求項13】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
絶縁層と、
を備え、
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にあ
前記導電部材は、第1孔を含み、
前記第1プローブは、前記第1孔を介して前記第1部分と接触可能である、半導体装置の検査装置。
【請求項14】
前記絶縁層の厚さは、5nm以上500nm以下である、請求項11~13のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項15】
前記導電部材は、複数の第1孔を含む、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項16】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、
絶縁層と、
を備え、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性であ
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にあり、
前記導電部材は、複数の第1孔を含む、半導体装置の検査装置。
【請求項17】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
絶縁層と、
を備え、
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にあ
前記導電部材は、複数の第1孔を含む、半導体装置の検査装置。
【請求項18】
前記複数の第1孔の1つは、前記複数の第1孔の別の1つの周りにある、請求項15~17のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項19】
前記半導体装置の第3部分と接触可能な第2プローブをさらに備えた、請求項1~1のいずれか1つに記載の半導体装置の検査装置。
【請求項20】
前記第2部分の少なくとも一部は、前記第1部分と前記第3部分との間にある、請求項1記載の半導体装置の検査装置。
【請求項21】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、
を備え、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性であ
前記半導体装置は、前記第1部分及び前記第2部分を含む第1面を含み、
前記第1プローブ及び前記導電部材を含むヘッド部と、前記半導体装置と、の相対的な位置は、前記第1面に沿って可変である、半導体装置の検査装置。
【請求項22】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、
前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、
絶縁層と、
を備え、
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にあ
前記半導体装置は、前記第1部分及び前記第2部分を含む第1面を含み、
前記第1プローブ及び前記導電部材を含むヘッド部と、前記半導体装置と、の相対的な位置は、前記第1面に沿って可変である、半導体装置の検査装置。
【請求項23】
半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、を含むヘッド部を用いて、前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出し、
前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性であり、
前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性である、半導体装置の検査方法。
【請求項24】
前記ヘッド部は、絶縁層をさらに備え、
前記導電部材が前記第2部分と対向したときに、前記絶縁層は前記第2部分と前記導電部材との間にある、請求項23記載の半導体装置の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば窒化物半導体を用いた半導体装置がある。半導体装置の効率的な検査が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-146431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、効率的な検査ができる半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置の検査装置は、前記半導体装置の第1部分と接触可能な第1プローブと、前記半導体装置の第2部分と対向可能な導電部材と、前記半導体装置と前記第1プローブとの間に第1電圧を印加し、前記半導体装置と前記導電部材との間に導電部材電圧を印加して、前記第1プローブに流れる電流を検出する検出部と、を含む。前記半導体装置の電位を基準にしたときに、前記第1電圧は正及び負の一方の第1極性である。前記半導体装置の前記電位を前記基準にしたときに、前記導電部材電圧は正及び負の他方の第2極性である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式図である。
図2図2は、半導体装置の検査特性を例示するグラフ図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の検査状態を例示する模式図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の一部を例示する模式的断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の動作を例示する模式的斜視図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式的平面図である。
図8図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式図である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の一部を例示する模式的断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の動作を例示する模式的斜視図である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式的平面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式図である。
図1(a)は、図1(b)のA1-A2線断面図である。図1(b)は、平面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る半導体装置の検査装置110は、第1プローブ61、導電部材51、及び、検出部70を含む。導電部材51は、ヘッド部50の少なくとも一部である。
【0010】
例えば、検査装置110は、ステージ55を含んでも良い。ステージ55の上に、半導体装置10が置かれる。半導体装置10は、検査対象である。半導体装置10は、半導体装置となるウェーハでも良い。以下では、検査対象が半導体を含むウェーハである場合も、検査対象を半導体装置10とする。
【0011】
この例では、半導体装置10は、第1半導体層11及び第2半導体層12を含む。第1半導体層11は、例えば、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第2半導体層12は、例えば、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。これらの半導体層は、導電形を制御する不純物などを含んでも良い。
【0012】
この例では、半導体装置10は、基板15(例えばシリコン基板)を含む。半導体装置10は、中間層14をさらに含んでも良い。基板15と第2半導体層12との間に第1半導体層11が設けられる。基板15と第1半導体層11との間に、中間層14が設けられる。中間層14は、例えば、AlGaNなどを含む。中間層14は、例えば、積層された複数の窒化物膜を含んでも良い。中間層14は、例えばバッファ層でも良い。
【0013】
例えば、半導体装置10のウェーハを用いて、HEMT(High Electron Mobility Transistor)などが形成される。半導体装置10は、例えば、HEMT用ウェーハである。上記は例であり、半導体装置は、他の構成(例えばpn接合など)を有しても良い。
【0014】
第1プローブ61は、半導体装置10の第1部分10aと接触可能である。導電部材51は、半導体装置10の第2部分10bと対向可能である。
【0015】
第1部分10a及び第2部分10bは、半導体装置10の第1面10Pに含まれる。第1面10Pは、例えば、半導体装置10の上面(表面部分)である。
【0016】
ステージ55の表面をX-Y平面とする。X-Y平面に対して垂直な方向をZ軸方向とする。X-Y平面に沿う1つの方向をX軸方向とする。X-Y平面に沿い、X軸方向に対して垂直な方向がY軸方向に対応する。第1面10Pは、X-Y平面に沿う。
【0017】
検出部70は、第1プローブ61と電気的に接続される。この例では、配線70aにより、検出部70及び第1プローブ61が、互いに電気的に接続される。検出部70は、導電部材51と電気的に接続される。この例では、配線70bにより、検出部70及び導電部材51が、互いに電気的に接続される。
【0018】
検出部70は、半導体装置10と電気的に接続される。この例では、検出部70は、配線70eにより、ステージ55と電気的に接続される。例えば、半導体装置10がステージ55と接触することで、半導体装置10は、ステージ55と電気的に接続される。または、半導体装置10とステージ55との間に導電性の材料(例えば液体などでも良い)が設けられることで、半導体装置10は、ステージ55と電気的に接続される。
【0019】
検出部70は、半導体装置10と第1プローブ61との間に第1電圧V1を印加し、半導体装置10と導電部材51との間に導電部材電圧Vgを印加する。そして、検出部70は、第1プローブ61に流れる電流を検出する。
【0020】
例えば、検出部70は、ステージ55と第1プローブ61との間に、第1電圧V1を印加しても良い。例えば、検出部70は、ステージ55と導電部材51との間に、導電部材電圧Vgを印加しても良い。
【0021】
半導体装置10の電位を基準にしたときに、第1電圧V1は第1極性である。半導体装置10の電位を基準にしたときに、導電部材電圧Vgは第2極性である。第1極性は、正及び負の一方である。第2極性は、正及び負の他方である。1つの例において、第1極性は正であり、第2極性は負である。半導体装置10の電位は、例えば、ステージ55の電位でも良い。
【0022】
例えば、半導体装置10がHEMTウェーハである場合、第1半導体層11の第2半導体層12の近傍にキャリア領域11Eが形成される。キャリア領域11Eは、例えば、2次元電子ガスである。この場合において、第1プローブ61により、第1極性(例えば正)の第1電圧V1を第1部分10aに印加することで、第1部分10aをZ軸方向に沿って流れる電流が検出される。一方、導電部材51により、第2極性(例えば負)の導電部材電圧Vgを第2部分10bに印加すると、第2部分10bに第2極性(例えば負)の電界が印加される。第2部分10bにおいては、キャリア領域11E(例えば2次元電子ガス)が消える。このため、第2部分10bには、電流が流れない。
【0023】
実施形態によれば、第2部分10bに流れる電流を抑制した状態で、第1部分10aを流れる電流を検出できる。これにより、第2部分10bなどの影響を受けることが抑制され、所望の電流を効率良く検出できる。
【0024】
例えば、導電部材51を設けずに、第1プローブ61を用いて電流を検出する第1参考例が考えられる。この場合、半導体装置10の広い面積の部分で、キャリア領域11Eが存在する。このため、広い領域のどこかの位置(例えば欠陥などの位置)で、局所的に大きな電流が流れると、欠陥などを除いた部分を正しく検査することが困難である。
【0025】
一方、半導体装置10をいくつかの部分にパターニングし、独立した複数の領域を形成し、この複数の領域のそれぞれの特性を測定する第2参考例が考えられる。第2参考例においては、欠陥などの影響を小さくすることができる。しかしながら、第2参考例では、半導体装置10をいくつかの部分にパターニングのための工程が必要となる。
【0026】
これに対して、実施形態に係る検査装置110においては、第1プローブ61及び導電部材51が設けられる。導電部材51に印加される導電部材電圧Vgにより、導電部材51と重なる第2部分10bでは、キャリア領域11Eが消える。これにより、キャリア領域11Eに存在する可能性がある欠陥などの影響が抑制される。これにより、第1部分10aを流れる電流を正しく検査できる。実施形態によれば、効率的な検査ができる半導体装置の検査装置を提供できる。
【0027】
例えば、半導体装置10と第1プローブ61との間の距離は、可変である。半導体装置10と、導電部材51(またはヘッド部50)と、の間の距離は、可変である。これらの距離は、Z軸方向に沿う長さである。半導体装置10と第1プローブ61との間の距離が実質的に0になることで、第1プローブ61を介して第1部分10aに電流が流れる。半導体装置10と第1プローブ61との間の距離が短くなることで、第2部分10bに電界が印加される。これらの距離は、独立して変更されても良い。これらの距離は、連動して変更されても良い。
【0028】
例えば、第1プローブ61と導電部材51との間のZ軸方向に沿う相対的な位置は、可変である。例えば、半導体装置10の第1面10Pの上に、導電部材51が置かれた状態で、第1プローブ61の高さ(Z軸方向に沿う位置)が可変でも良い。第1プローブ61の先端は、第1面10Pに接触する状態と、第1面10Pから離れた状態と、を有しても良い。
【0029】
図1(a)に示すように、導電部材51は第1孔50hを含む。第1孔50hは、例えば、開口部である。半導体装置10は、開口部に対応する部分を含む。開口部に対応する部分が、第1部分10aに対応する。第1プローブ61は、第1孔50hを介して、第1部分10aと接触可能である。
【0030】
図1(b)に示すように、導電部材51は、複数の第1孔50hを含んでも良い。この場合、複数の第1部分10aが設けられる。例えば、第1プローブ61と半導体装置10との間のX-Y平面内の相対的な位置は、可変でも良い。例えば、相対的な位置の変更は、X-Yステージなどにより行うことができる。例えば、第1プローブ61の位置が変更され、複数の第1孔50hのそれぞれを介して、複数の第1部分10aに接触可能でも良い。
【0031】
実施形態において、複数の第1プローブ61が設けられても良い。複数の第1プローブ61の1つが、複数の第1孔50hの1つを介して、複数の第1部分10aの1つと接触可能でも良い。
【0032】
第1孔50hの幅(X-Y平面に沿う1つの方向に沿う長さ)は、例えば、100μm以上1mm以下である。第1孔50hの形状は、円形状または多角形状などであり、任意である。
【0033】
1つの例において、第1電圧V1は、+1000Vである。導電部材電圧Vgは、-30Vである。これらの値は、例であり、検査対象の半導体装置の特性に合わせて変更しても良い。
【0034】
例えば、半導体装置10がHEMTウェーハであり、キャリア領域11Eが2次元電子ガスである場合、第1電圧V1は正であり、導電部材電圧Vgは負である。これにより、導電部材電圧Vgが印加される第2部分10bにおいて、キャリア領域11Eが消える。
【0035】
例えば、キャリア領域11Eが2次元ホールガスである場合、第1電圧V1は負であり、導電部材電圧Vgは正である。これにより、導電部材電圧Vgが印加される第2部分10bにおいて、キャリア領域11Eが消える。例えば、第1半導体層11が、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)を含み、第2半導体層12は、Alx2Ga1-x2N(0≦x1<1、x2<x1)の場合に、キャリア領域11Eは、2次元ホールガスを含む。
【0036】
例えば、半導体装置10がpn接合を含み、第1半導体層がp形で第2半導体層がn形である場合、第1電圧V1は負であり、導電部材電圧Vgは正である。
【0037】
上記において、第2部分10bの表面が絶縁性である場合、導電部材電圧Vgを第2部分10bに印加することで、第2部分10bに実質的に電流が流れずに、第2部分10bに電界が印加される。これにより、第2部分10bにおけるキャリア領域11Eが消失する。
【0038】
第2部分10bの表面が導電性である場合、導電部材51と第2部分10bとの間を電気的に絶縁することで、第2部分10bに実質的に電流が流れずに、第2部分10bに電界を印加できる。
【0039】
実施形態において、導電部材51の第2部分10bに対応する部分が絶縁性でも良い。または、絶縁層52を設けられても良い。
【0040】
検査装置110は、図1に例示する絶縁層52をさらに含んでも良い。導電部材51が第2部分10bと対向したときに、絶縁層52は、第2部分10bと導電部材51との間にある。例えば、導電部材51及び絶縁層52は、ヘッド部50に含まれる。
【0041】
第2部分10bの表面が導電性の場合においても、絶縁層52が設けられることで、第2部分10bに実質的に電流が流れずに、第2部分10bに電界を印加できる。
【0042】
絶縁層52の厚さt52(図1(a)参照)は、例えば、5nm以上500nm以下である。これにより、導電部材電圧Vgに応じた電界を第2部分10bに有効に印加できる。厚さt52は、例えば、10nm以上100nm以下でも良い。厚さは、Z軸方向に沿う長さである。
【0043】
実施形態において、導電部材51は、例えば、シリコンまたは金属を含んでも良い。絶縁層52は、例えば、導電部材51に含まれる元素(例えば、シリコンまたは金属)の酸化物、その元素の窒化物、または、その元素の酸窒化物などを含んでも良い。例えば、導電部材51は、シリコンを含み、絶縁層52は、酸化シリコンを含む。安定した絶縁性が得やすくなる。
【0044】
図2は、半導体装置の検査特性を例示するグラフ図である。
図2は、半導体装置10がHEMT用ウェーハであるときの測定結果を例示している。図2の横軸は、第1電圧V1である。縦軸は、第1プローブ61に流れる電流I1である。図2に示すように、第1電圧V1を上昇させると、電圧Vdにおいて、電流I1が急激に大きくなる。このような電圧Vdが、半導体装置10の耐圧に対応する。
【0045】
実施形態において、検出部70は、第1電圧V1の絶対値を変化させて、電流I1を検出しても良い。このような電圧-電流特性を測定することで、半導体装置10の特性(耐圧など)をより正確に検査できる。
【0046】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の検査状態を例示する模式図である。
図3に示すように、検査時において、半導体装置10の第1面10Pと、ヘッド部50と、の間に、液体58が設けられても良い。液体58は、絶縁性である。液体58の体積抵抗率は、例えば、1×10Ωm以上1×1015Ωm以下である。液体58は、例えば、シリコーン、及び、フッ素系不活性液体よりなる群から選択された少なくとも1つなどを含む。フッ素系不活性液体は、例えば、PFC(Per-fluoro Carbon)及びPFPE(perfluoropolyether)よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。液体58を用いることで、例えば、高湿環境におけるヘッド部50と半導体装置10の間の短絡が抑制できる。例えば、高湿環境におけるヘッド部50と第1プローブ61との間の短絡を抑制できる。液体58を用いることで、安定した電界を第2部分10bに印加できる。ヘッド部50と半導体装置10との間の距離を適正に保つことができる場合には、絶縁層52を省略できる。
【0047】
液体58は必要に応じて設けられ、省略しても良い。以下に説明する図では、液体58が設けられる状態を例示する。以下に説明する図では、検出部70(図1などを参照)は、適宜省略される。
【0048】
図4(a)及び図4(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式図である。
図4(a)は、断面図である。図4(b)は、検査装置の一部を拡大して例示する斜視図である。
【0049】
図4(a)に示すように、検査装置120においては、半導体装置10のサイズに比べて、導電部材51のサイズは、半導体装置10のサイズよりも小さい。この場合、第1プローブ61が導電部材51と一緒に動いても良い。半導体装置10の第1面10Pの所望の位置の特性を検査できる。
【0050】
第1プローブ61が導電部材51と一緒に動く場合、ヘッド部50は、第1プローブ61を含むとみなしても良い。例えば、第1プローブ61及び導電部材51を含むヘッド部50と、半導体装置10と、の相対的な位置は、第1面10Pに沿って可変である。第1面10Pは、既に説明したように、例えば、半導体装置10の上面である。
【0051】
図4(b)は、ヘッド部50を拡大して例示している。導電部材51(またはヘッド部50)の幅w1は、例えば、2mm以上5mm以下である。第1孔50hの幅w3は、例えば、100μm以上1mm以下である。導電部材51(またはヘッド部50)の、第1孔50hを除く部分の幅w2は、例えば、1mm以上2mm以下である。幅w1~w3は、X-Y平面に沿う1つの方向に沿う長さである。
【0052】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の一部を例示する模式的断面図である。
図5は、検査装置121におけるヘッド部50を拡大して示している。図5に示すように、検査装置121は、第1プローブ61、導電部材51、及び、検出部70(図5では省略)に加えて、保持部65(例えば第1構造体65a)をさらに含む。保持部65(例えば第1構造体65a)は、例えば、絶縁性である。保持部65(例えば第1構造体65a)は、第1プローブ61の導電部材51に対する位置を固定する。
【0053】
例えば、ヘッド部50は、導電部材51、第1プローブ61及び保持部65(例えば第1構造体65a)を含む。必要に応じてヘッド部50に、絶縁層52が設けられても良い。
【0054】
この例では、導電部材51の幅w1は、絶縁層52の幅w5よりも大きい。幅w5は例えば、200μm以上1000μm以下である。絶縁層52の、第1孔50hを除く部分の幅w4は、例えば、50μm以上500mm以下である。幅w4及びw5は、X-Y平面に沿う1つの方向に沿う長さである。
【0055】
幅w5を小さくすることで、導電部材電圧Vgが印加される領域(第2部分10b)を小さくできる。
【0056】
図5に示すように、導電部材51の側面のうちで、絶縁層52が設けられる側面部分は、テーパ状でも良い。小さい絶縁層52を安定して保持しつつ、導電部材51において十分な機械的強度が得られる。例えば、半導体装置10の表面の凹凸(異物などを含む)と、導電部材5と、の接触の可能性を低くすることができる。
【0057】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の動作を例示する模式的斜視図である。
図6に示すように、検査装置121において、ヘッド部50が、半導体装置10(例えばウェーハ)の第1面10Pの上方にある。ヘッド部50及び第1面10Pの相対的な高さ(Z軸方向の位置)、及び、X-Y平面内の位置が変更可能である。半導体装置10の任意の位置の特性が検査できる。
【0058】
このように、第1プローブ61及び導電部材51を含むヘッド部50と、半導体装置10と、の相対的な位置は、第1面10Pに沿って可変である。
【0059】
図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式的平面図である。
これらの図は、導電部材51及び絶縁層52の形状(X-Y平面内の形状)を例示している。
【0060】
図7(a)に例示する検査装置121においては、絶縁層52は、環状である。
【0061】
図7(b)に例示する検査装置122においては、複数の絶縁層52が設けられる。複数の絶縁層52は、第1孔50hの周りに設けられる。複数の絶縁層52の間の距離が短い場合、半導体装置10のうちの、複数の絶縁層52の間の領域に対向する部分においても、キャリア領域11Eが実質的に消える。
【0062】
図8(a)及び図8(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式図である。
図8(a)は、図8(b)のB1-B2線断面図である。図8(b)は、平面図である。
【0063】
図8(a)に示すように、検査装置130は、第1プローブ61、導電部材51、及び、検出部70に加えて、第2プローブ62を含む。第2プローブ62は、半導体装置10の第3部分10cと接触可能である。
【0064】
検出部70は、例えば、配線70dにより、第2プローブ62と電気的に接続される。検出部70は、半導体装置10と第1プローブ61との間に第1電圧V1を印加し、半導体装置10と導電部材51との間に導電部材電圧Vgを印加するときに、半導体装置10と第2プローブ62との間に、第2電圧V2を印加する。第2電圧V2は、第1電圧V1と導電部材電圧Vgとの間である。
【0065】
第2電圧V2の絶対値は、例えば、第1電圧V1の絶対値よりも小さい。第2電圧V2の絶対値は、例えば、導電部材電圧Vgの絶対値よりも小さい。第2電圧V2は、例えば、0ボルトである。第2電圧V2を印加することで、半導体装置10の特性をより安定して検査できる。
【0066】
図8(a)及び図8(b)に示すように、第2部分10bの少なくとも一部は、第1部分10aと第3部分10cとの間にある。
【0067】
図8(a)に示すように、例えば、導電部材51は、第1孔50h及び第2孔50iを含む。第1プローブ61は、第1孔50hを介して第1部分10aと接触可能である。第2プローブ62は、第2孔50iを介して第3部分10cと接触可能である。
【0068】
図8(b)に示すように、複数の第1孔50hが設けられても良い。この例では、第2孔50iの数は、1である。複数の第2孔50iが設けられても良い。複数の第1孔50hが設けられ、複数の第1孔50hの1つが、第2孔50iと見なしても良い。
【0069】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の一部を例示する模式的断面図である。
図9は、検査装置131におけるヘッド部50を拡大して示している。図9に示すように、検査装置131は、第1プローブ61、第2プローブ62、導電部材51、及び、検出部70(図9では省略)に加えて、保持部65をさらに含む。保持部65は、例えば、第1構造体65a及び第2構造体65bを含んでも良い。第2構造体65bは、第1構造体65aと連続していても良い。保持部65(第1構造体65a及び第2構造体65b)は、例えば、絶縁性である。保持部65(例えば第1構造体65a)は、第1プローブ61の導電部材51に対する位置を固定する。保持部65(例えば第2構造体65b)は、第2プローブ62の導電部材51に対する位置を固定する。
【0070】
例えば、第1プローブ61、第2プローブ62、導電部材51、第1構造体65a及び第2構造体65bは、ヘッド部50に含まれる。
【0071】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置の動作を例示する模式的斜視図である。
図10に示すように、検査装置131において、ヘッド部50が、半導体装置10(例えばウェーハ)の第1面10Pの上方にある。ヘッド部50及び第1面10Pの相対的な高さ(Z軸方向の位置)、及び、X-Y平面内の位置が変更可能である。半導体装置10の任意の位置の特性を検査できる。
【0072】
このように、第1プローブ61、第2プローブ62及び導電部材51を含むヘッド部50と、半導体装置10と、の相対的な位置は、第1面10Pに沿って可変である。
【0073】
図11は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式的平面図である。 図11は、導電部材51の形状(X-Y平面内の形状)を例示している。図11に示すように、導電部材51は複数の孔を有しても良い。複数の孔は、例えば同心である。例えば、複数の第1孔50hの1つは、複数の第1孔50hの別の1つの周りにある。例えば、導電部材51の複数の円形部のそれぞれに、導電性部材電圧Vgが切り替えられて印される。例えば、面積が異なる領域の電流を簡単に測定することができる。例えば、短い時間で、異なる面積での特性を検査できる。例えば、第1プローブ61と半導体装置10との接触が一度であるときに、面積が異なる領域の電流を測定できる。このため、例えば、半導体装置10の表面において、汚れまたは傷が生じることが抑制できる。
【0074】
図12は、第1実施形態に係る半導体装置の検査装置を例示する模式的平面図である。 図12に示すように、検査装置140において、複数の第1プローブ(プローブ61a、61b及び61cなど)と、第2プローブ62と、が設けられる。導電部材51は、複数の第1孔(孔50ha、50hb及び50hcなど)を含む。プローブ61aの少なくとも一部は、孔50haに入る。プローブ61bの少なくとも一部は、孔50hbに入る。プローブ61cの少なくとも一部は、孔50hcに入る。
【0075】
この例では、保持部65が設けられている。保持部65は、第1構造体65a及び第2構造体65bを含む。この例では、複数の第1構造体65aが設けられている。第1構造体65aは、複数の第1プローブ(プローブ61a、61b及び61cなど)の導電部材51に対する位置を固定する。第2構造体65bは、第2プローブ62の導電部材51に対する位置を固定する。
【0076】
このような構成を有するヘッド部50が、半導体装置10(例えばウェーハ)の第1面10Pの任意の位置に置かれ、半導体装置10を検査できる。
【0077】
例えば、孔50haの幅wa1は、50hbの幅wb1よりも大きい。50hbの幅wb1は、50hcの幅wc1よりも大きい。これらの幅は、Z-Y平面に沿う1つの方向に沿う長さである。例えば、幅wa1は、750μm以上1500μm以下である。例えば、幅wb1は、250μm以上750μm未満である。例えば、幅wc1は、10μm以上250μm未満である。
【0078】
このような幅が異なる複数の孔を用いることで、異なる面積での検査を効率的に行うことができる。
【0079】
(第2実施形態)
本実施形態は、半導体装置10の検査方法に係る。この検査方法においては、ヘッド部50(例えば、図1(a)参照)を用いる。ヘッド部50は、第1プローブ61及び導電部材51を含む(例えば、図1(a)参照)。第1プローブ61は、半導体装置10の第1部分10aと接触可能である。導電部材51は、半導体装置10の第2部分と対向可能である。この検査方法では、このようなヘッド部50を用いて、半導体装置10と第1プローブ61との間に第1電圧V1を印加し、半導体装置10と導電部材51との間に導電部材電圧Vgを印加して、第1プローブ61に流れる電流を検出する。半導体装置10の電位を基準にしたときに、第1電圧V1は正及び負の一方の第1極性である。半導体装置10の電位を基準にしたときに、導電部材電圧Vgは正及び負の他方の第2極性である。
【0080】
このような導電部材電圧Vgを印加することで、第2部分10bにおけるキャリア領域11Eを局所的に消すことができる。第2部分10bの影響を抑制した状態で、第1部分10aの特性を検査できる。実施形態によれば、半導体装置の効率的な検査ができる検査方法が提供できる。
【0081】
第2実施形態において、第1実施形態に関して説明した構成を適用できる。例えば、ヘッド部50は、絶縁層52を含んでも良い。導電部材51が第2部分10bと対向したときに、絶縁層52は、第2部分10bと導電部材51との間にある。例えば、第2プローブ62がさらに設けられても良い。第2プローブ62により上記の第2電圧V2が印加されても良い。
【0082】
実施形態において、0ボルトの印加も、「電圧の印加」に含まれる。
【0083】
実施形態によれば、効率的な検査ができる半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法が提供できる。
【0084】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、検査装置に含まれるプローブ、導電部材及び検出部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0086】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0087】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置の検査装置及び半導体装置の検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0088】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10…半導体装置、 10P…第1面、 10a~10c…第1~第3部分、 11…第1半導体層、 11E…キャリア領域、 12…第2半導体層、 14…中間層、 15…基板、 50…ヘッド部、 50h…第1孔、 50ha~50hc…孔、 50i…第2孔、 51…導電部材、 52…絶縁層、 55…ステージ、 58…液体、 61…第1プローブ、 61a~61c…プローブ、 62…第2プローブ、 65…保持部、 65a、65b…第1、第2構造体、 70…検出部、 70a、70b、70d、70e…配線、 110、120、121、122、130、131、140…検査装置、 I1…電流、 V1、V2…第1、第2電圧、 Vd…電圧、 Vg…導電部材電圧、 t52…厚さ、 w1~w5、wa1~wc1…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12