(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】半導体装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20230728BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20230728BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H01L29/78 654A
H01L29/78 655A
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 655G
(21)【出願番号】P 2020157529
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 剛史
(72)【発明者】
【氏名】末代 知子
(72)【発明者】
【氏名】岩鍜治 陽子
(72)【発明者】
【氏名】糸数 裕子
(72)【発明者】
【氏名】もたい 貴子
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-345969(JP,A)
【文献】特開2012-114321(JP,A)
【文献】特開2008-112936(JP,A)
【文献】特開2016-167539(JP,A)
【文献】特開2008-227251(JP,A)
【文献】特開2017-054935(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/739
H01L 29/06
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、
前記第2半導体層上に選択的に設けられた前記第1導電形の第3半導体層と、
前記第2半導体層上に選択的に設けられ、前記第3半導体層に並ぶ前記第2導電形の第4半導体層であって、前記第2半導体層の上面に平行な平面内において、前記第4半導体層の面積は、前記第3半導体層の面積よりも広い、第4半導体層と、
第2導電形の第5半導体層であって、前記第1半導体層は、前記第2半導体層と前記第5半導体層との間に位置する、第5半導体層と、
前記第3半導体層の上面から前記第1半導体層中に至る深さのトレンチの内部に設けられた制御電極であって、前記第1半導体層、前記第2半導体層および前記第3半導体層から第1絶縁膜により電気的に絶縁され、前記第2半導体層は、前記第1絶縁膜を介して前記制御電極に向き合い、前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜に接した、制御電極と、
前記第3半導体層に電気的に接続された第1電極と、
前記第4半導体層に電気的に接続された第2電極と、
前記第5半導体層に電気的に接続された第3電極と、
前記制御電極に電気的接続された制御端子と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の制御方法であって、
前記第2電極を介して前記第4半導体層に接続される電位を、前記第1電極を介して前記第3半導体層に接続される電位よりも低くする半導体装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置の制御方法であって、
前記第1電極と前記第3電極との間の電圧が所定の値を超えた時、前記第2電極を介して前記第4半導体層に接続される電位を、前記第1電極を介して前記第3半導体層に接続される電位よりも低くする半導体装置の制御方法。
【請求項4】
前記制御端子と前記第1電極との間に、前記制御電極のしきい値電圧よりも高い電圧を印加している間に、前記第4半導体層に接続される電位を、前記第1電極を介して前記第3半導体層に接続される電位よりも低くする請求項3記載の半導体装置の制御方法。
【請求項5】
前記第2電極を介して前記第4半導体層に接続される電位を、前記第1電極を介して前記第3半導体層に接続される電位よりも低くする前に、前記第3半導体層と同じ電位を前記第2電極を介して前記第4半導体層に供給する請求項3または4に記載の半導体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータなどの電力変換器を構成する半導体装置には、短絡電流などに対する破壊耐量を向上させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】T. Hoshii et al.,"Verification of the injection enhancement effect in IGBTs by measuring the electron and hole currents separately", 2018 48th European Solid-State Device Research Conference, ESSDERC 2018, p26-29 (Oct 8, 2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、破壊耐量を向上させた半導体装置およびその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る半導体装置は、第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられた第2導電形の第2半導体層と、前記第2半導体層上に選択的に設けられた前記第1導電形の第3半導体層と、前記第2半導体層上に選択的に設けられ、前記第3半導体層と並ぶ前記第2導電形の第4半導体層と、第2導電形の第5半導体層と、を備える。前記第1半導体層は、前記第2半導体層と前記第5半導体層との間に位置する。前記第4半導体層は、前記第2半導体層の上面に平行な平面内において、前記第4半導体層の面積は、前記第3半導体層の面積よりも広い面積を有する。前記半導体装置は、前記第3半導体層の上面から前記第1半導体層中に至る深さのトレンチの内部に設けられた制御電極と、前記第3半導体層に電気的に接続された第1電極と、前記第4半導体層に電気的に接続された第2電極と、前記第5半導体層に電気的に接続された第3電極と、前記制御電極に電気的接続された制御端子と、をさらに備える。前記制御電極は、前記第1半導体層、前記第2半導体層および前記第3半導体層から第1絶縁膜により電気的に絶縁される。前記第2半導体層は、前記第1絶縁膜を介して前記制御電極に向き合い、前記第3半導体層は、前記第1絶縁膜に接する。
【0007】
前記半導体装置の制御方法は、前記第2電極を介して前記第4半導体層に接続される電位を、前記第1電極を介して前記第3半導体層に接続される電位よりも低くする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図2】実施形態に係る半導体装置を示す模式平面図である。
【
図3】実施形態に係る半導体装置の特性を示すグラフである。
【
図4】実施形態に係る半導体装置の制御方法を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施形態の変形例に係る半導体装置の制御方法を示すタイミングチャートである。
【
図6】比較例に係る電力変換器を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0010】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Traansistor)である。
【0012】
図1に示すように、半導体装置1は、第1導電形の第1半導体層11と、第2導電形の第2半導体層13と、第1導電形の第3半導体層15と、第2導電形の第4半導体層17と、第2導電形の第5半導体層19と、第1制御電極20と、第2制御電極30と、を備える。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0013】
第1~第5半導体層は、例えば、シリコンである。第1半導体層11は、例えば、n形ベース層である。第2半導体層13は、例えば、p形ベース層である。第2半導体層13は、第1半導体層11の上に設けられる。
【0014】
第3半導体層15は、例えば、n形エミッタ層である。第3半導体層15は、第2半導体層13の上に選択的に設けられる。第3半導体層15は、例えば、第1半導体層11の第1導電形不純物よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。
【0015】
第4半導体層17は、例えば、p形エミッタ層である。第4半導体層17は、第2半導体層13の上に選択的に設けられる。第4半導体層17は、例えば、第2半導体層13の第2導電形不純物よりも高濃度の第2導電形不純物を含む。第3半導体層15および第4半導体層17は、第2半導体層13上に並ぶ。
【0016】
第5半導体層19は、例えば、p形コレクタ層である。第1半導体層11は、第2半導体層13と第5半導体層19との間に設けられる。
【0017】
第1制御電極20は、例えば、ゲート電極である。第1制御電極20は、例えば、導電性のポリシリコンであり、トレンチGT1の内部に設けられる。トレンチGT1は、例えば、Z方向に延在し、第3半導体層15の上面から第1半導体層11中に至る深さを有する。また、トレンチGT1は、例えば、Y方向にも延在する。第1制御電極20は、トレンチGT1の内部において、例えば、X方向およびY方向に延在し、第1絶縁膜23により第1半導体層11、第2半導体層13および第3半導体層15から電気的に絶縁される。第1絶縁膜23は、例えば、ゲート絶縁膜である。第1絶縁膜23は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0018】
第1制御電極20は、第1半導体層11中に延在する部分を有する。第1半導体層11は、第1絶縁膜23を介して、第1制御電極20に向き合う。また、第2半導体層13は、第1絶縁膜23を介して、第1制御電極20に向き合う。第3半導体層15は、第1絶縁膜23に接する。
【0019】
第2制御電極30は、例えば、フィールドプレートである。第2制御電極30は、例えば、導電性のポリシリコンであり、トレンチGT2の内部に設けられる。トレンチGT2は、例えば、Z方向に延在し、第4半導体層17の上面から第1半導体層11中に至る深さを有する。また、トレンチGT2は、例えば、Y方向にも延在する。第2制御電極30は、トレンチGT2の内部において、例えば、X方向およびY方向に延在し、第2絶縁膜33により第1半導体層11、第2半導体層13および第4半導体層17から電気的に絶縁される。第2絶縁膜33は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0020】
第2制御電極30は、第1半導体層11中に延在する部分を有する。第1半導体層11は、第2絶縁膜33を介して、第2制御電極30に向き合う。また、第2半導体層13は、第2絶縁膜33を介して、第2制御電極30に向き合う。第4半導体層17は、例えば、第2絶縁膜33に接する。
【0021】
半導体装置1は、例えば、第1電極ET1と、第2電極ET2と、第3電極CTと、制御端子GTEと、をさらに備える。
【0022】
第1電極ET1は、第3半導体層15に電気的に接続される。第2電極ET2は、第4半導体層17に電気的に接続される。第3電極CTは、第5半導体層19に電気的に接続される。
【0023】
制御端子GTEは、第1制御電極20に電気的に接続される。制御端子GTEは、例えば、第1制御電極20の上端を覆う絶縁膜25に設けられたコンタクトホールを介して、第1制御電極20に電気的に接続される。絶縁膜25は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0024】
また、第1制御電極20は、例えば、Y方向の端において、トレンチGT1の外側に延在するコンタクト部(図示しない)を有し、制御端子GTEは、第1制御電極20のコンタクト部に電気的に接続される。
【0025】
第2制御電極30は、第1制御電極20とは独立に制御される。第2制御電極30は、例えば、第1電極ET1と同電位になるように制御される。第2制御電極30は、その上端を覆う絶縁膜35に設けられたコンタクトホール(図示しない)を介して、例えば、第1電極ET1に電気的に接続される。絶縁膜35は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0026】
また、第2制御電極30は、第1電極ET1および第1制御電極20とは異なる電位になるように制御されても良い。
【0027】
図2(a)~(d)は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式平面図である。
図2(a)~(d)は、第3半導体層15および第4半導体層17の配置を表す模式図である。各図に示すCH1およびCH2は、図示しない層間絶縁膜に設けられるコンタクトホールを示している。
【0028】
図2(a)~(d)に示すように、第3半導体層15および第4半導体層17は、X-Y平面内において、並べて配置される。X-Y平面内において、第4半導体層17の面積は、第3半導体層15の面積よりも広く設けられる。
【0029】
第1電極ET1は、コンタクトホールCH1を介して、第3半導体層15に電気的に接続される。第2電極ET2は、コンタクトホールCH2を介して、第4半導体層17に電気的に接続される。
【0030】
図3は、実施形態に係る半導体装置1の特性を示すグラフである。横軸は、第1電極ET1と第3電極CTとの間に印加されるコレクタ電圧Vceである。縦軸は、第1電極ET1と第3電極CTとの間に流れるコレクタ電流Icである。
【0031】
この例では、第1電極ET1の電位Ve1を0V、第1制御電極20と第1電極ET1とに間に印加されるゲート電圧Vg1を15V、第2制御電極30と第1電極ET1とに間に印加される電圧を0Vとしている。この場合、第1制御電極20の閾値電圧は、15Vよりも低い。
【0032】
図3は、第1電極ET1の電位Ve1に対して、第2電極ET2の電位Ve2を変化させた場合のコレクタ電流Icを表している。例えば、第2電極ET2の電位Ve2を0Vとした時、
図3に示すコレクタ電流Icは、第3半導体層15および第4半導体層17の両方に電気的に接続されたエミッタ電極を有する通常のIGBTの特性を表す。
【0033】
図3に示すように、第2電極ET2の電位Vc2を、第1電極ET1の電位Vc1(=0V)に対して、-0.5V、-2Vおよび-4Vと低下させるにつれて、コレクタ電流Icは小さくなる。また、第2電極ET2の電位Vc2を0.5Vにすると、コレクタ電流Icは大きくなる。
【0034】
図4は、実施形態に係る半導体装置1の制御方法を表すタイミングチャートである。
図4は、コレクタ電圧Vce、コレクタ電流Ic、ゲート電圧Vg1、第1電極ET1の電位Ve1および第2電極ET2の電位Ve2の時間変化を表している。
【0035】
ここで、コレクタ電圧Vceは、第1電極ET1と第3電極CTとの間に印加される電圧である。コレクタ電流Icは、第1電極ET1と第3電極CTとに間に流れる電流である。また、ゲート電圧Vg1は、第1電極ET1と第1制御電極20との間に印加される電圧である。
【0036】
例えば、時間t1において、第1電極ET1と第3電極CTとの間に所定のコレクタ電圧Vceが印加された状態で、第1電極ET1と第1制御電極20との間のゲート電圧Vg1をマイナス電圧からしきい値電圧よりも高い+15Vへ変化させる。この時、第1電極ET1の電位Ve1および第2電極ET2の電位Ve2は、共に0Vである。
【0037】
第1制御電極20の電位により、第1絶縁膜23と第2半導体層13との界面に第1導電形の反転層が誘起され、コレクタ電流Icは、所定のオン電流のレベルに上昇する。
【0038】
続いて、時間t1よりも後の時間t2において、例えば、短絡故障(
図6参照)によるコレクタ電圧Vceの上昇が検出されると、第2電極ET2の電位Ve2を第1電極ET1の電位Ve1よりも低いレベル、例えば、-4Vに低下させる。これにより、コレクタ電流Icは減少する(
図3参照)。例えば、短絡故障は、コレクタ電圧Vceが所定のしきい値を超えた時に検知される。
【0039】
図6(a)および(b)は、比較例に係る電力変換器2を示す模式図である。
図6(a)は、電力変換器2の回路図である。
図6(b)は、電力変換器2の故障時の動作を例示するタイミングチャートである。
【0040】
図6(a)に示すように、電力変換器2は、例えば、単相インバータである。電力変換器2は、半導体装置1A~1Dを含む。半導体装置1A~1Dは、例えば、n形エミッタ層およびp形エミッタ層の両方にエミッタ電極が電気的に接続された、通常のIGBTである。
【0041】
図6(b)は、半導体装置1Bのコレクタ電圧Vce、コレクタ電流Icおよびゲート電圧Vgの時間変化を表している。
【0042】
電力変換器2は、例えば、時間t1において、半導体装置1Bおよび半導体装置1Cがオン状態となり、半導体装置1Aおよび半導体装置1Dがオフ状態となるように制御される。半導体装置1Bのゲート電圧Vgは、オフレベルからオンレベル、例えば、15Vに上昇する。これに伴い、コレクタ電流Icは、オン電流のレベルに上昇し、コレクタ電圧は、オン電圧のレベルに低下する。
【0043】
例えば、時間t2において、半導体装置1Aが短絡故障したとすれば、コレクタ電圧Vceは、例えば、電源電圧Vccのレベルまで上昇する。これに伴い、コレクタ電流Icも上昇し、所謂、熱暴走の状態に突入する。この結果、半導体装置1Bも破壊され、電力変換器2が爆発的破壊に至る場合がある。
【0044】
これに対し、半導体装置1A~1Dとして、実施形態に係る半導体装置1を用いるとすれば、例えば、半導体装置1Aの短絡故障を検知した場合、半導体装置1Bにおいて、第2電極ET2の電位Ve2を第1電極ET1の電位Ve1よりも低いレベルに低下させる。これにより、コレクタ電流Icの増加を抑制し、熱暴走を防ぐことが可能となる。
【0045】
なお、上記の実施形態では、半導体装置1のオン状態において、第2電極ET2の電位Ve2を低下させる例を示したが、これに限定される訳ではない。例えば、半導体装置1がオフ状態にある時、コレクタ電圧Vceの上昇を検知し、第2電極ET2の電位Ve2を低下させても良い。これにより、半導体装置1がオン状態となった時のコレクタ電流Icのレベルを抑制し、熱暴走を回避することができる。また、第2電極ET2の電位Ve2を低下させるタイミングの検出は、コレクタ電圧Vceの上昇に限定される訳ではなく、例えば、電力変換器2における他のパラメータの変化を検出し、第2電極ET2の電位Ve2を低下させても良い。
【0046】
図5は、実施形態の変形例に係る半導体装置1の制御方法を示すタイミングチャートである。
図5は、コレクタ電圧Vce、コレクタ電流Ic、ゲート電圧Vg1、第1電極ET1の電位Ve1および第2電極ET2の電位Ve2の時間変化を表している。
【0047】
この例では、第2電極ET2の電位Ve2は、常に、第1電極ET1の電位Ve1よりも低いレベル、例えば、-4Vに維持される。これにより、時間t1において、ゲート電圧Vg1をマイナス電圧から閾値電圧よりも高い15Vに上昇させ、第2半導体層13と第1絶縁膜23との界面に第1導電形の反転層を誘起するとしても、コレクタ電流Icは、本来のオン電流のレベルまで上昇することはない。すなわち、第2電極ET2の電位Ve2を制御することにより、定常的にオン電流を抑制することができる。
【0048】
このような制御方法によれば、例えば、半導体装置1の本来のオン電流のレベルが高過ぎる場合に、所望のレベルに抑制することができる。また、オン電流の増加により、ゲート電圧Vg1に振動が生じる場合がある(
図6(b)参照)。このような振動は、熱暴走に限らず、通常の動作時におけるオン電流のレベルが高過ぎる場合にも生じる。このため、
図5に示す制御方法を用いることにより、ゲート電圧Vg1の振動を抑制することも可能となる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1、1A~1D…半導体装置、 2…電力変換器、 11…第1半導体層、 13…第2半導体層、 15…第3半導体層、 17…第4半導体層、 19…第5半導体層、 20…第1制御電極、 23…第1絶縁膜、 25、35…絶縁膜、 30…第2制御電極、 33…第2絶縁膜、 CH1、CH2…コンタクトホール、 ET1…第1電極、 ET2…第2電極、 CT…第3電極、 GTE…制御端子、 GT1、GT2…トレンチ