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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】流体圧バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230728BHJP
   F16K 17/04 20060101ALI20230728BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
F16K17/04 A
F16K17/04 C
F16K17/04 D
F16K27/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018098339
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019203548
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 学
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-184382(JP,A)
【文献】実開昭53-031329(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0112208(US,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03221984(DE,A1)
【文献】米国特許第03942550(US,A)
【文献】実開平04-056987(JP,U)
【文献】実開昭64-036779(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104948786(CN,A)
【文献】米国特許第02233649(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 13/02 - 13/08
F15B 11/00 - 11/22
F15B 21/14
F16K 1/00 - 1/54
F16K 15/00 - 15/20
F16K 17/00 - 17/168
F16K 27/00 - 27/12
F16K 31/12 - 31/165
F16K 31/36 - 31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧サーボ機構において作動流体を流通させるために用いられる流体圧バルブであって、
第1ポート、第2ポート、及び当該第1ポートと当該第2ポートとを接続する流路を有するように一体形成されたハウジング部材を有するハウジングと、
前記流路を開閉する弁体と、
を備え、
前記流路は、前記第1ポートに接続されており、前記ハウジングの周方向に延伸する周回流路を有し、
前記ハウジングの前記ハウジング部材は、前記ハウジングの中心軸に沿う軸方向において前記弁体と対向する位置にバルブシートを形成しており、
前記弁体は、前記ハウジングの軸方向に移動可能に設けられ、閉止位置において前記バルブシートに当接することにより前記流路を閉塞するように構成され、
前記弁体は、その径が前記バルブシートの径よりも大きくなるように形成されており、
前記ハウジング部材の前記周回流路内に、前記中心軸周りの周方向において前記作動流体の流れが均一化するように前記作動流体の流れを整流する突起が形成されている、流体圧バルブ。
【請求項2】
流体圧サーボ機構において作動流体を流通させるために用いられる流体圧バルブであって、
第1ポート、第2ポート、及び当該第1ポートと当該第2ポートとを接続する流路を有するように一体形成されたハウジング部材を有するハウジングと、
前記流路を開閉する弁体と、
を備え、
前記ハウジングの前記ハウジング部材は、前記ハウジングの中心軸に沿う軸方向において前記弁体と対向する位置にバルブシートを形成しており、
前記弁体は、前記ハウジングの軸方向に移動可能に設けられ、閉止位置において前記バルブシートに当接することにより前記流路を閉塞するように構成され、
前記弁体は、その径が前記バルブシートの径よりも大きくなるように形成されており、
前記弁体の前記バルブシートと対向する端面に、前記中心軸周りの周方向において前記作動流体の流れが均一化するように前記作動流体の流れを整流する突起が形成されている、流体圧バルブ。
【請求項3】
前記ハウジングは、その軸方向に延在する第1ハウジング部分と、前記第1ハウジング部分と前記軸方向において隣接しており前記第1ハウジング部分よりも小さな外径を有するように形成された第2ハウジング部分と、を有しており、
前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記流路は、前記第1ハウジング部分に形成されている、
請求項1又は2に記載の流体圧バルブ。
【請求項4】
記周回流路の断面は、前記ハウジングの径方向における寸法が前記ハウジングの軸方向における寸法よりも小さい、
請求項1に記載の流体圧バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体圧バルブに関する。本開示は、より具体的には、流体圧サーボ機構において用いられる流体圧バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機の舵面などの様々な物体の位置や姿勢を制御するために流体圧サーボ機構が用いられている。流体圧サーボ機構は、制御対象の物体を駆動するための流体圧アクチュエータと、当該流体圧アクチュエータへの作動流体の流れを制御するための流体圧バルブと、を備える。流体圧アクチュエータは、ピストンにより区画された一対の流体圧室を有する。流体圧アクチュエータは、流体圧バルブの弁体の位置に応じて当該一対の流体圧室の一方へ作動流体が供給され他方の流体圧室から作動流体が排出されることにより作動される。
【0003】
従来の流体圧バルブは、例えば、特開平6-144385号公報及び特開2016-068889号公報に開示されている。同公報に記載されているように、従来の流体圧バルブは、中空のハウジングと、当該ハウジング内において2つのポート間の流路を遮断するための弁体と、を備えている。この2つのポート間の流路は、ハウジング内に嵌め込まれたリング状のバルブシート支持体、及び、当該バルブシート支持体内に嵌め込まれたバルブシートにより画定されている。弁体は、閉弁位置においてバルブシートの開口を閉塞することにより2つのポート間の連通を遮断し、他方、開弁位置においてバルブシートから離間することにより2つのポート間を連通させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-144385号公報
【文献】特開2016-068889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の流体圧バルブにおいては、ハウジングの内部に設けられたバルブシート支持体及びバルブシートによりポート間の流路が画定されている。このため、従来の流体圧バルブにおいては、流路を画定するための部材の厚みに応じて、その径方向の寸法が大型化するという問題がある。流路を画定するための部材は、作動流体から作用する流体圧に耐えられる構造的強度を持たなければならないため、肉厚に構成されることが多い。また、従来の流体圧バルブにおいては、バルブシート支持体とハウジングとの間及びバルブシート支持体とバルブシートとの間に、作動流体のリークを防止するためのシール部材が設けられる。このシール部材も流体圧バルブの径方向の寸法を大きくする原因となる。
【0006】
このように、従来の流体圧バルブにおいては、バルブシート支持体及びバルブシートを用いて2つのポート間の流路を画定しているため、ハウジングの径方向寸法を小型化することが難しいという問題がある。
【0007】
本開示の目的の一つは、上記の問題の少なくとも一部を緩和又は解消することである。本開示の具体的な目的の一つは、ハウジングの径方向における大型化を抑制可能な流体圧バルブを提供することである。本開示のこれ以外の目的は、本明細書全体を通じて明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による流体圧バルブは、第1ポート、第2ポート、及び当該第1ポートと当該第2ポートとを接続する流路を有するように一体形成されたハウジング部材を有するハウジングを備える。
【0009】
当該流体圧バルブにおいては、第1ポートと第2ポートとを接続する流路が一体形成されたハウジングにより画定されているため、当該流路を画定するためにハウジングと別の部材(例えば、バルブシート支持体)を設ける必要がない。また、第1ポートと第2ポートとを接続する流路が一体形成されたハウジングにより画定されているため、作動流体のリークを防止するためのシール部材を設ける必要がない。このように、上記態様により、流体圧バルブのハウジングの径方向の大型化を抑制することができる。
【0010】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいて、前記ハウジングは、その軸方向に延在する第1ハウジング部分と、第1ハウジング部分と前記軸方向において隣接しており前記第1ハウジング部分よりも小さな外径を有するように形成された第2ハウジング部分と、を有しており、前記第1ポート、前記第2ポート、及び前記流路は、前記第1ハウジング部分に形成されている。
【0011】
当該流体圧バルブによれば、ハウジングは、第1ポートと第2ポートとを接続する流路が形成されていない第2ハウジング部分の外径が小さくなるように形成される。これにより、第2ハウジング部分において、ハウジングの径方向の大型化を抑制できる。
【0012】
本発明の一態様による流体圧バルブは、前記流路を開閉する弁体をさらに備えている。本発明の一態様において、前記ハウジングは、その軸方向において前記弁体と対向する位置にバルブシートを有しており、前記弁体は、前記ハウジングの軸方向に移動可能に設けられ、閉止位置において前記バルブシートに当接することにより前記流路を閉塞するように構成されている。
【0013】
当該流体圧バルブによれば、弁体とハウジングに形成されたバルブシートとが当接することにより、別部材のバルブシートを設けなくとも、流路を閉鎖することができる。
【0014】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいて、前記弁体は、その径が前記バルブシートの径よりも大きくなるように形成されている。
【0015】
当該流体圧バルブによれば、弁体がハウジングのバルブシートに接触することにより、別体のバルブシートを設けなくとも、第1ポートと第2ポートとの間の流路を閉鎖することができる。
【0016】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいて、前記ハウジングに作動流体の流れを整流する突起が形成されている。
【0017】
当該流体圧バルブによれば、バルブシートに設けられた突起によって作動流体を整流することができる。これによって、作動流体の流れの最適化を図ることができる。
【0018】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいては、前記前記弁体の前記バルブシートと対向する端面に作動流体の流れを整流する突起が形成されている。
【0019】
当該流体圧バルブによれば、弁体に設けられた突起によって作動流体の流れを整流することができる。これによって、作動流体の流れの最適化を図ることができる。
【0020】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいて、前記流路は、前記ハウジングの周方向に延伸する周回流路を有し、前記周回流路の断面は、前記ハウジングの径方向における寸法が前記ハウジングの軸方向における寸法よりも小さい。
【0021】
当該流体圧バルブによれば、ハウジングの径方向において流路の周回流路の寸法を小さくすることができる。これにより、ハウジングの径方向の大型化が抑制される。
【0022】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいて、前記周回流路は、前記第1ポートに接続されており、前記周回流路の前記第1ポートから遠位にある第1の位置における流路断面積が、当該第1の位置よりも前記第1ポートの近位にある第2の位置における流路断面積よりも小さくなるように形成されている。
【0023】
当該流体圧バルブによれば、第1ポートから流入する作動流体を、第1ポートから遠位にある位置へも導きやすい。よって、弁体の開弁時に、第1ポートから流れ込んだ作動流体の流れを均一化することができる。
【0024】
本発明の一態様による流体圧バルブにおいて、前記ハウジングは、前記周回流路は、その流路断面の少なくとも一部が湾曲面で形成されている。
【0025】
当該流体圧バルブによれば、作動流体は、開弁時に湾曲面を通って周回流路から流れ出す。これにより、作動流体の圧力損失を低減することができる。このため、ハウジングの小型化が可能となる。
【0026】
本発明の一態様による流体圧サーボ機構は、一組の流体圧室を有する流体圧アクチュエータと、ハウジングを有し、前記一組の流体圧室のうちの少なくとも一方と連絡流路を介して連通する流体圧バルブと、を備える。当該流体圧式サーボ機構において、前記連絡流路の少なくとも一部は、前記ハウジングの外表面に沿って延伸している。
【0027】
当該流体圧式サーボ機構によれば、流体圧アクチュエータと流体圧バルブとを接続する連絡流路の長さの短縮化を図ることができる。例えば、流体圧アクチュエータに形成されたポートと流体圧バルブに形成されたポートとを隣接して配置することにより、当該ポート間を接続する連絡流路の長さを短縮化できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の各実施形態によれば、流体圧バルブのハウジングの径方向における大型化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による流体圧バルブが用いられるサーボ機構を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態による流体圧バルブが実装されたマニホールドを概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による流体圧バルブを図2のA-A線で切断した断面を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態による流体圧バルブを図3のB-B線で切断した断面を模式的に示す断面図である。
図5】ポート間の流路について説明するための図3の流体圧バルブの拡大断面図である。図5においては、ポート間の流路が開放されている。
図6】流体圧バルブのハウジングの一部の断面を模式的に示す断面図である。
図7図3の流体圧バルブの一部を拡大して示す拡大断面図である。図5においては、ポート間の流路が弁体により閉止されている。
図8図3の流体圧バルブの一部を拡大して示す拡大断面図である。図6においては、ポート間の流路が弁体により開放されている。
図9】本発明の別の実施形態による流体圧バルブの断面図である。
図10】本発明のさらに別の実施形態による流体圧バルブの断面図である。
図11】本発明のさらに別の実施形態による流体圧バルブに用いられる弁体の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を適宜参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。各図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0031】
本発明は、少なくとも2つのポートを有する流体圧バルブに適用され得る。図1を参照して、本発明の一態様による流体圧バルブが用いられるサーボ機構について説明する。
【0032】
図1は、本発明の一態様による流体圧バルブ5を備える流体圧サーボ機構1を示している。流体圧サーボ機構1は、アクチュエータ8を作動させることにより航空機の舵面1Aを駆動する舵面駆動機構である。流体圧サーボ機構1は、本発明による流体圧バルブが用いられるサーボ機構の一例である。本発明による流体圧バルブは、舵面駆動機構以外にも様々なサーボ機構において用いられ得る。
【0033】
流体圧サーボ機構1は、舵面1Aを駆動させるためのアクチュエータ8と、アクチュエータ8に作動流体を供給する流体圧源2と、アクチュエータ8から排出された作動流体を貯留するリザーバ3と、制御バルブ4と、流体圧バルブ5と、を備える。
【0034】
舵面1Aは、例えば、補助翼(エルロン)、方向舵(ラダー)、及び昇降舵(エレベータ)などの主操縦翼面、又は、フラップ及びスポイラーなどの二次操縦翼面である。
【0035】
図示の実施形態において、アクチュエータ8は、例えば油圧式アクチュエータである。アクチュエータ8は、圧油以外の作動液体により作動される液圧式アクチュエータ、圧縮空気により作動される空気圧式アクチュエータ、及びこれら以外の作動流体により作動される任意の流体圧式アクチュエータであってもよい。流体圧サーボ機構1は、複数のアクチュエータを備えてもよい。
【0036】
アクチュエータ8は、中空のシリンダ13内に設けられたピストン8cにより、第1流体圧室8a及び第2流体圧室8bに区画される。アクチュエータ8のシリンダ13は、その長手方向の一方が開口し他方が閉塞するように構成されている。ピストン8aには、ピストンロッド8bが接続されている。ピストンロッド8bは、その一部がシリンダ13の外部に突出している。
【0037】
制御バルブ4は、例えばソレノイドバルブである。制御バルブ4は、流体圧源2及びリザーバ3とアクチュエータ8との間に配されており、流体圧源2から第1流体圧室8a及び第2流体圧室8bへの作動流体の供給、及び、第1流体圧室8a及び第2流体圧室8bからリザーバ3への作動流体の排出を制御する。制御バルブ4は、流路12aにより流体圧源2に接続され、流路12bによりリザーバ3に接続され、流路11dによりアクチュエータ8の第1流体圧室8aに接続されている。制御バルブ4は、電磁コイルと、可動コイルと、を有しており、コントローラ10から入力される制御信号に基づいて電磁コイルを励磁し、この励磁された電磁コイルから生じる磁束により可動コアを変位させることで、各流体圧室8a,8bへ連通する圧油の経路を切り替え可能に構成される。具体的には、制御バルブ4は、第1流体圧室8aに油を供給し、第2流体圧室8bから油を排出する第1連通位置4X、第1流体圧室8aから油を排出し、第2流体圧室8bに油を供給する第2連通位置4Y、及び、各流体圧室8a,8bへの油の供給及び各流体圧室8a,8bからの油の排出を遮断する遮断位置4Zに切り替え可能である。
【0038】
流体圧バルブ5は、制御バルブ4と流路11aにより接続され、アクチュエータ8の第2流体圧室8bと流路11bにより接続され、流体圧源2と流路11cにより接続され、リザーバ3と流路11eにより接続されている。流体圧バルブ5は、チェックバルブ6と、リリーフバルブ7と、を備えている。チェックバルブ6は、第2流体圧室8bと制御バルブ4とを連通する連通位置6X、及び、第2流体圧室8bと制御バルブ4との連通を遮断する遮断位置6Yに切り替え可能である。チェックバルブ6は、流体圧源2から流路11cを介して流体圧(パイロット圧)が供給されているときには、連通位置6Xに設定される。リリーフバルブ7は、アクチュエータ8の第2流体圧室8bの液圧が規定値以上となったときにリザーバ3に作動流体を排出するように構成されている。チェックバルブ6には、遮断位置6Yに設定されたときにチェックバルブ6に形成される閉鎖流路からパイロット圧を取り出すための補助流路11fが設けられている。
【0039】
アクチュエータ8は、ピストン8cの位置を検出する位置センサ9を備えてもよい。この位置センサ9は、例えば、線形可変差動変圧器(LVDT)である。
【0040】
コントローラ10は、各種の演算処理を行うプロセッサと、各種プログラム及び各種データを格納するメモリと、位置センサ9及びこれ以外の機器と接続される機器インタフェースと、を備える。コントローラ10は、制御バルブ4に制御パルスを出力することで制御バルブ4を切り替えることができる。コントローラ10は、位置センサ9からの検知信号に基づいてピストン8cの位置を特定し、特定されたピストン8cの位置に基づいて、舵面1Aの位置が航空機の飛行状態に応じた目標位置となるようにフィードバック制御を行うことができる。
【0041】
流体圧サーボ機構1の動作について説明する。流体圧源2からの流体圧がパイロット圧として流体圧バルブ5に供給され、これにより、流体圧バルブ5が連通位置6Xとなる。
【0042】
コントローラ10からの制御信号に基づいて制御バルブ4が第1連通位置4Xに設定されたときには、流体圧源2の作動流体が制御バルブ4を介して第1流体圧室8aに供給され、第2流体圧室8bの作動流体が流体圧バルブ5及び制御バルブ4を介してリザーバ3に排出される。これにより、第1流体圧室8aが膨張し、第2流体圧室8bが収縮するため、舵面1Aが上側に移動する。
【0043】
コントローラ10からの制御信号に基づいて制御バルブ4が第2連通位置4Yに設定されたときには、流体圧源2の油が制御バルブ4及び流体圧バルブ5を介して第2流体圧室8bに供給され、第1流体圧室8aの油が制御バルブ4を介してリザーバ3に排出される。これにより、第2流体圧室8bが膨張し、第1流体圧室8aが収縮するため、舵面1Aが下側に移動する。
【0044】
次に、図2を参照して、流体圧バルブ5及びアクチュエータ8が実装されたマニホールドについて説明する。図2は、流体圧バルブ5及びアクチュエータ8がが実装されるマニホールド20を模式的に示す斜視図である。マニホールド20には、流体圧バルブ5、アクチュエータ8、及びこれら以外の様々な流体圧装置が実装される。
【0045】
図示のように、マニホールド20は、流体圧バルブ5の外殻となるハウジング51と、アクチュエータ8のシリンダ13と、制御バルブ4が接続されるジョイント4aと、流路11a~11f及び流路12a,12bと、を備える。流路11d,流路12a、及び流路12bは、シリンダ13の裏側に設けられているため、図2では描かれていない。制御バルブ4は、例えばボルトを用いて、ジョイント4aを介してマニホールド20に取り付けられる。マニホールド20には、制御バルブ4以外にも、アクチュエータ8及び/又は流体圧バルブ5と協働する様々な部材が取り付けられ得る。
【0046】
マニホールド20は、その全体、その主要部、又はその一部を一体として形成してもよい。例えば、流体バルブ5のハウジング51とアクチュエータ8のシリンダ13とが一体に形成されてもよい。
【0047】
流路11a~11f及び流路12a,12bの各々の一部又は全部は、アクチュエータ8のシリンダ13の外表面に沿って延伸するように形成されてもよい。図示の実施形態において、流路11aは、ジョイント4aから流体圧バルブ5のハウジング51までシリンダ13の外表面に沿って延伸しており、流路11bはシリンダ13に形成された第2流体圧室8bと連通するポート(不図示)から流体圧バルブ5までシリンダ13に沿って延伸している。
【0048】
本発明の一態様において、マニホールド20は、各種金属材料又は各種樹脂材料から積層造形法により形成される。マニホールド20用の金属材料として、チタン、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、ステンレス鋼、及びこれら以外の積層造形法に適した各種金属材料が用いられ得る。マニホールド20用の樹脂材料として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリアミド(PA)、ポリフタルアミド(PPA)、及びこれら以外の積層造形法に適した各種樹脂材料が用いられ得る。
【0049】
本発明に適用可能な積層造形法として、直接金属レーザー溶融法(DMLM)、直接金属レーザー焼結法(DMLS)、選択的レーザー焼結法(SLS)、選択的レーザー溶融法(SLM)、電子ビーム溶融法(EBM)、熱溶解積層法(FDM)、光造形法、熱溶解積層法、粉末固着法、前記以外の当業者に知られている積層造形法、又はこれらを組合せたプロセスが用いられ得る。
【0050】
上述したマニホールド20は例示であり、マニホールド20の形状、製造方法、配置、及びその他の特徴は、本明細書で明示的に説明された態様には限定されない。例えば、図示の実施形態においては、アクチュエータ8と流体圧バルブ5とは、それぞれの長手方向が互いに平行になるように配置されているが、アクチュエータ8の長手方向と流体圧バルブ5の長手方向とは平行でなくとも構わない。
【0051】
流体圧サーボ機構1の構成部材を上記のマニホールド20に実装することにより、流体圧アクチュエータ8と流体圧バルブ5とを接続する流路11bの長さの短縮化を図ることができる。例えば、流体圧アクチュエータ8に形成されたポート(不図示)と流体圧バルブ5に形成されたポート(後述する第1ポート61a)とを隣接して配置することにより、流路11bの長さを短縮化できる。
【0052】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の一実施形態による流体圧バルブ5についてさらに説明する。図3は、図2に示されている流体圧バルブ5をA-A線で切断した断面を模式的に示す断面図であり、図4は、当該流体圧バルブを図3のB-B線で切断した断面を模式的に示す断面図である。
【0053】
これらの図に示されているように、流体圧バルブ5は、筐体となるハウジング51を備えている。ハウジング51は、中心軸Cの方向に伸びる筒状に形成されている。ハウジング51には、中心軸Cに沿ってその内部を貫通する内部空間が形成されている。
【0054】
本明細書においては、中心軸Cに沿う方向がハウジング51の長手方向とされ、中心軸Cを通り中心軸Cに垂直な方向がハウジング51の径方向とされることがある。
【0055】
ハウジング51は、中心軸Cに沿う第2方向W2側の端部から第1方向W1側の端部に向かって、ハウジング部材51a、ハウジング部材51b、ハウジング部材51c、及びハウジング部材51dを有する。各ハウジング部材は、中心軸C方向に延在している。ハウジング部材51cは、隣接するハウジング部材51b及びハウジング部材51dのいずれよりも大きな外径を有するように構成されている。
【0056】
ハウジング51は、その全体が一体形成されていてもよい。ハウジング51は、その構成要素の一部分が一体形成されていてもよい。ハウジング51は、別体として形成された複数の単位部材を、例えばボルト締結、溶接、又はそれ以外の接合方法で接合することにより構成されてもよい。本発明の一実施形態において、ハウジング51のうちハウジング部材51cは、その全体が一体形成される。本明細書において、ハウジング又はハウジング部材が「一体形成」されている場合には、当該ハウジング又はハウジング部材は、単一の連続体であり、複数の部分に分離可能な複合体ではないことを意味する。したがって、一体形成されたハウジング及び一体形成されたハウジング部材には、複数の部分の境界となる接合面は存在しない。したがって、ハウジング51全体が一体形成されている場合には、当該ハウジング51は単一の連続体である。ハウジング部材51cが一体成形されている場合には、当該ハウジング部材51cは単一の連続体である。ハウジング51は、ハウジング部材51a、ハウジング部材51b、ハウジング部材51c、及びハウジング部材51dの4つの部材をそれぞれ一体形成し、このように一体形成された各ハウジング部材を隣接するハウジング部材と接合することにより作製されてもよい。
【0057】
ハウジング51には、その内部空間と外部とを連通する複数のポートが形成されている。図示の実施形態においては、第2流体圧室8bに連通する第1ポート61a、制御バルブ4に連通する第2ポート61b、及び流体圧源2に連通する第3ポート61cが示されている。ハウジング51には、図示されているポート以外にも、リザーバ3に連通する排出用ポート及び補助油路11fに連通する補助油路用ポートが形成されているが、図4においてはこれらの図示は省略されている。リザーバ3に連通する排出用ポートは、例えば第2ポート61bと第3ポート61cとの間に設けられる。補助油路11fに連通する補助油路用ポートは、例えば第3ポート61cよりも第1方向W1側に形成される。
【0058】
ハウジング51の内部空間には、キャップ52、弁体53、ロッド55、スライダ57、プランジャ58、プラグ59、及びこれら以外の流体圧バルブ5の構成部材が収容されている。
【0059】
キャップ52は、ハウジング51の第2方向W2側の端部に取り付けられている。キャップ52は、ハウジング51の第2方向W2側の端部の開口を閉塞している。図示の実施形態では、キャップ52は、キャップ基部52aと、キャップ基部52aから第1方向W1へ延伸する円筒形状のキャップスリーブ52bと、を有している。キャップ基部52aの外周面には雄ねじが形成されている。キャップ52は、この雄ねじがハウジング部材51aの内周面に形成された雌ねじと螺合され、キャップスリーブ52bがハウジング部材51bに内側から嵌め合わされることにより、ハウジング51に取り付けられている。キャップ基部52aには中心軸C方向に凹んでいる第1凹部52cが形成されており、キャップスリーブ52bには、第1凹部52cよりも大径の第2凹部52dが形成されている。
【0060】
弁体53は、弁体ヘッド53aと、この弁体ヘッド53aから第2方向W2へ延伸する弁体基部53bと、を有する。弁体53は、弁体基部53bの先端がキャップ52の第1凹部52c及び第2凹部52dに収容されるように設けられている。弁体ヘッド53aは、円柱形状に形成されており、ハウジング部材51cの内側に嵌め合わされている。図示の実施形態において、弁体ヘッド53aの第1方向W1を向いている端面53cは、中心軸Cと垂直な方向に延伸する平坦な形状を有している。弁体53は、中心軸Cに沿って摺動可能に設けられる。
【0061】
弁体53は、中心軸Cに沿った閉止位置において、第1ポート61aと第2ポート61bとの間の流路を遮断するように構成及び配置される。図4には、閉止位置にある弁体53が示されている。
【0062】
キャップ52のキャップスリーブ52bには、押圧ばね54が設けられている。押圧ばね54は、キャップ52の第2凹部52dの底面と弁体ヘッド53aとの間に配されており、弁体ヘッド53aを第1方向W1に向かって付勢する。
【0063】
スライダ57は、ハウジング51において第2ポート61bと第3ポート61cとの間に、ハウジング51に対して中心軸C方向において摺動可能に設けられている。スライダ57は、キャップ52側(第2方向W2側)に開口するカップ状に形成されている。スライダ57の内側には、ロッド55が設けられている。ロッド55は、円盤形状に形成されたロッド基部55aと、このロッド基部55aからキャップ52側(第2方向W2側)に延伸するロッド本体55bと、を有する。ロッド55は、ロッド基部55aを介してスライダ57に取り付けられている。ロッド本体55bの先端(第2方向W2側の端)は、弁体53に接触している。ロッド基部55aと、ハウジング51の内壁との間には、押圧ばね56が設けられている。押圧ばね56は、ロッド基部55aをプラグ59側(第1方向W1側)に付勢する。スライダ57は、第3ポート61cから供給されるパイロット圧により、中心軸Cに沿って第2方向W2へ移動することができる。スライダ57の第2方向W2への移動に伴って、ロッド55も第2方向W2へ移動する。これにより、ロッド本体55bが弁体53を第2方向W2へ押すため、弁体53も第2方向W2へ移動する。これにより、第1ポート61aと第2ポート61bとの間の流路が連通される。このようにして、流体圧シリンダ5に供給されるパイロット圧により、第1ポート61aと第2ポート61bとの間の流路が連通される。
【0064】
プラグ59は、ハウジング51の第1方向W1側の端部に取り付けられており、ハウジング51の第1方向W1側の端部の開口を閉塞している。
【0065】
プラグ59には、プラグ61側(第2方向W2側)に開口する凹部が設けられており、この凹部にプランジャ58が設けられている。プランジャ58とプラグ59の凹部との間には内部空間60cが形成されている。プラグ59には不図示の切り欠きが形成されており、内部空間60cは、この切り欠き及び不図示のポートを介して補助油路11fに連通している。プランジャ58は、その第2方向W2側の端面においてスライダ57と接触するように設けられる。
【0066】
図示のように、ハウジング51のハウジング部材51cには、中心軸Cの周方向に延伸する第1周回流路62と、中心軸C方向において第1周回流路62から第1方向W1側に離間した位置に形成されている第2周回流路68と、が形成されている。第1周回流路62は、第1ポート61aと接続されている。第2周回流路68は、第2ポート61bと接続されている。
【0067】
次に、図5をさらに参照して、ハウジング51内において第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路についてさらに説明する。図5は、流体圧バルブ5のハウジング部材51cの一部を拡大して示す拡大断面図である
【0068】
図示のように、第1周回流路62は、その流路断面が概ね方形となるように形成されている。第1周回流路62は、中心軸C方向に延伸し、第1ポート61aと接続される連通孔が形成された第1壁62aと、第1壁62aから概ね径方向に延伸する第2壁62bと、第1壁62aと対向するように当該第1壁62aよりも径方向内側に形成された第3壁62cと、第2壁62bと対向するように中心軸C方向において当該第2壁62bよりも第1方向W1側に形成された第4壁62dと、により画定されている。第3壁62cには、作動流体が径方向内側へ流れるための切り欠きが形成されている。本発明の一実施形態において、第1周回流路62は、その流路断面の径方向における寸法L1(第1壁62aと第3壁62cとの間隔L1)が中心軸C方向における寸法L2(第2壁62bと第4壁62dとの間隔L2)よりも小さくなるように形成される。
【0069】
第1周回流路62と同様に、第2周回流路68も、その流路断面が概ね方形となるように形成される。第2周回流路68は、中心軸C方向に延伸し、第2ポート62aと接続される連通孔が形成された第1壁68aと、第1壁68aから概ね径方向に延伸する第2壁68bと、第1壁68aと対向するように当該第1壁68aよりも径方向内側に形成された第3壁68cと、第2壁68bと対向するように中心軸C方向において当該第2壁68bよりも第1方向W1側に形成された第4壁68dと、により画定されている。第3壁68cには、作動流体が径方向内側へ流れるための切り欠きが形成されている。本発明の一実施形態において、第1周回流路68は、その流路断面の径方向における寸法L3(第1壁68aと第3壁68cとの間隔L3)が中心軸C方向における寸法L4(第2壁68bと第4壁68dとの間隔L4)よりも小さくなるように形成される。
【0070】
第1周回流路62に関し、第1壁62a、第2壁62b、第3壁62c、及び第4壁62dはそれぞれ、中心軸Cに沿う軸方向において湾曲していてもよい。第1壁62aは、中心軸Cと平行に延伸するように形成されてもよいし、中心軸Cに沿う軸方向において第3壁62cよりも大きな曲率半径を有する湾曲面であってもよい。これと同様に、第2周回流路68に関しても、第1壁68a、第2壁68b、第3壁68c、及び第4壁68dはそれぞれ、中心軸Cに沿う軸方向において湾曲していてもよい。第1壁68aは、中心軸Cと平行に延伸するように形成されてもよいし、中心軸Cに沿う軸方向において第3壁68cよりも大きな曲率半径を有する湾曲面であってもよい。
【0071】
第1周回流路62と第2周回流路68との間には、ハウジング部材51cの一部であるマウント70が配されている。マウント70は、ハウジング部材51cと一体形成されている。マウント70の一部は、第1周回流路62と第2周回流路68との間に介在している。マウント70は、ハウジング51の径方向の外側から内側に向かって突出するように形成されている。図示の実施形態において、マウント70は、第1周回流路62と第2周回流路68との間の領域から、第1周回流路62の径方向内側の領域まで延伸している。マウント70は、第1周回流路62の第3壁62cに接しているスロープ面71と、第1スロープ面に接しているシート面72と、シート面72に接している筒状面73と、筒状面73から第2周回流路68まで延伸する複数の管状面74と、を有する。スロープ面71、シート面72、筒状面73、及び複数の管状面74はいずれも、ハウジング部材51cの内壁の一部である。
【0072】
スロープ面71は、中心軸C周りの周方向、及び、第1周回流路62の第3壁62cから径方向内側に向かって中心軸Cに対して傾いている方向に延伸している。スロープ面71は、中心軸C方向において湾曲していてもよい。スロープ面71と第1周回流路62の第3壁62cとは湾曲面により接続されていてもよい。
【0073】
シート面72は、スロープ面71の径方向内側の端から概ね径方向に内側に向かって延伸している。シート面72の中心軸C付近には開口が形成されている。シート面72は、弁体53の端面53cと対向している。シート面72には、中心軸C方向において第1方向W1に向かって凹む凹部72aが形成されている。凹部72aは、中心軸C周りの周方向に延伸している。シート面72の凹部72aの径方向外側には外側バルブシート72bが設けられており、シート面72の凹部72aの径方向内側には内側バルブシート72cが設けられている。内側バルブシート72cは、中心軸Cの周回方向において延伸するリング形状を有している。この内側バルブシート72cの内周面により、シート面72の開口が画定される。このように、シート面72においては、その径方向の外側から内側に向かって、外側バルブシート72b、凹部72a、及び内側バルブシート72cが形成されている。弁体53は、弁体ヘッド53aが端面53cにおいて内側バルブシート72cと接触することにより、第1ポート61aと第2ポート61bとの間の流路を遮断する。この流路の遮断を確立するために、弁体53は、弁体ヘッド53aの径が内側バルブシート72cの径よりも大きくなるように形成される。
【0074】
スロープ面71には、第1方向W1に向かって凹んでいる4つの凹部64a,64b,64c,64dが形成されている。これらの凹部64a,64b,64c,64dの各々は、中心軸C周りの周方向において、ほぼ均等な間隔だけ互いから離間した位置に形成されている。凹部64a,64b,64c,64dの各々は、径方向において、スロープ面71からシート面72の外縁まで延伸している。このため、凹部64a,64b,64c,64dの各々は、凹部72aに接続されている。このように形成された凹部64a,64b,64c,64dにより、図3に示されているように、外側バルブシート72bは4つの部分に分離されている。この外側バルブシート72bの4つの部分の各々は、中心軸C周りの周方向に約90°未満延伸している。
【0075】
筒状面73は、概ね筒状に形成されており、シート面72の径方向内側の端から中心軸Cに沿って延伸している。筒状面73は、大径の第1筒状面73aと、第1筒状面73bよりも小径の第2筒状面73bと、第1筒状面73aと第2筒状面73bとを連結する傾斜面73cと、を有する。
【0076】
複数の管状面74の各々は、管状に形成されており、筒状面73の第1方向W1側の端から径方向外側に向かって中心軸Cに対して傾いている方向に延伸している。管状面の本数は、任意に定め得る。
【0077】
第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する作動流体の流路65について、図6をさらに参照して説明する。図6は、図3のB-B線で切断されたハウジング部材51cの断面図を示す。図6においては、流路をより明瞭に示すために、弁体53、ロッド55b、及び押圧ばね56の図示を省略している。
【0078】
図示のように、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する作動流体の流路65は、第1周回流路62、第1流路65a、第2流路65b、第3流路65c、及び第2周回流路68を有する。第1周回流路62及び第2周回流路68は、上述のとおり、中心軸Cまわりの周方向に延伸している。第1周回流路62は第1ポート61aと連通しており、第2周回流路68は第1ポート61bと連通している。第1流路65aは、第1周回流路62から径方向内側に向かって延伸している。第1流路65aの少なくとも一部は、スロープ面71及びシート面72により画定されている。第2流路65bは、筒状面73により画定されている。第2流路65bは、第1流路65aから中心軸Cに沿う第1方向W1に延伸している。第3流路65cは、管状面74により画定されている。第3流路65cは、第2流路65bと第2周回流路68とを接続する。この流路65に、弁体53及びロッド55bが配置される。
【0079】
このように、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路65は、ハウジング51(図示の実施形態ではハウジング51c)によって画定されている。よって、流体圧バルブ5においては、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路65を画定するために、ハウジング51の内部空間にハウジング51と別体の部材(例えば、従来技術におけるバルブシート支持体やハウジングとは別体のバルブシート)を設ける必要がない。流路65には、当該流路65を開閉するための弁体53及び当該弁体53を押すためのロッド55bが配置されているが、これらの部材は、流路65の開閉のための部材であり、流路65を画定するための部材ではない。よって、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路65は、当該流路65を開閉するための部材以外には、ハウジング51のみによって画定されるということができる。
【0080】
図7及び図8を参照して、流体圧バルブ5の弁体53の開弁動作について説明する。図7及び図8は、流体圧バルブ5のハウジング部材51c周辺を拡大して示す拡大断面図である。図7においては、弁体53が閉止位置にあり、図8においては、弁体53が開放位置にある。
【0081】
図7に示すように、閉止位置における弁体53は、その端面53cが4つの外側バルブシート72bの各々及び内側バルブシート72cと接触する閉止位置にある。
【0082】
弁体53は、例えば、第3ポート61cを介して流体圧源2からパイロット圧が供給されたときに、図7に示されている閉止位置から、中心軸Cに沿う第2方向W2に向かって、図8に示す開弁位置まで移動する。弁体53は、開放位置において、外側バルブシート72b及び内側バルブシート72cから離隔している。このように、弁体53は、閉止位置から開放位置に移動することができる。弁体53は、第3ポート61cを介して流体圧源2からパイロット圧が供給されたとき以外にも、パイロット圧未供給時において舵面1Aが動いたとき、及び弁体53と第2流体圧室8bとの間の閉鎖油路の圧力が規定値より高くなったときに閉止位置から開放位置へ移動することができる。
【0083】
弁体53が開放位置へ移動すると、第1周回流路62に溜まっていた作動流体及び第2流体圧室8bから排出された作動流体が、第1流路65a、第2流路65b、及び第3流路65cを通過して第2周回流路68に流れ込み、この第2周回流路68から、第2ポート61b、流路11a、制御バルブ4、及び流路12bを介してリザーバ3に流れ込む。
【0084】
上記の流体圧バルブ5によれば、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路65が、一体形成されたハウジング51(又はハウジング51の一部である、一体形成されたハウジング部材51c)により画定されているため、当該流路65を画定するためにハウジング51と別の部材(例えば、従来のバルブシート支持体)を設ける必要がない。また、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路65が一体形成されたハウジング51(又はハウジング51の一部である、一体形成されたハウジング部材51c)により画定されているため、作動流体のリークを防止するためのシール部材を設ける必要がない。このように、上記実施態様によれば、流体圧バルブ5のハウジング51の径方向の大型化を抑制することができる。
【0085】
流体圧バルブ5のハウジング51においては、第1ポート61aと第2ポート61bとを接続する流路が形成されているハウジング部材51c以外のハウジング部材(例えば、ハウジング部材51a、ハウジング部材51b、及びハウジング部材51dの少なくとも一つ)の外径寸法を、ハウジング部材51cの外径寸法よりも小さくすることができる。これにより、ハウジング部材51c以外の部分において、ハウジング51の径方向の大型化をさらに抑制できる。
【0086】
流体圧バルブ5によれば、弁体53とハウジング51に形成された内側バルブシート72cとが当接することにより、別部材のバルブシートを設けなくとも、流路65を閉鎖することができる。
【0087】
流体圧バルブ5によれば、弁体53がハウジング51の内側バルブシート72cに接触することにより、別体のバルブシートを設けなくとも、第1ポート61aと第2ポート61bとの間の流路を閉鎖することができる。
【0088】
流体圧バルブ5によれば、第1周回流路62のハウジング51の径方向における寸法を、その長手方向における寸法よりも小さくすることができる。これにより、ハウジング51の径方向の大型化がさらに抑制される。
【0089】
流体圧バルブ5によれば、第1周回流路62を画定する第1壁62a、第2壁62b、第3壁62c、及び第4壁62dの少なくとも一つを、中心軸Cに沿う軸方向において湾曲するように構成することをができる。これにより、作動流体は、開弁時に、湾曲面を通って第2流路65bに流れ込む。これにより、第1ポート61aから第2ポート61bに流れ込む作動流体の圧力損失を低減することができる。このため、ハウジング51の小型化が可能となる。
【0090】
次に、図9を参照して、本発明の別の態様による流体圧バルブについて説明する。図9は、本発明の別の実施形態による流体圧バルブ105をA-A線に対応する切断線で切断した断面図を示す。流体圧バルブ105は、第1周回流路62に作動流体の流れを整流するための突起が形成されている点で流体圧バルブ5と異なる。
【0091】
図示のように、流体圧バルブ105において、第1周回流路62には、突起106が形成されている。図示の実施形態において、突起106は、第1周回流路62を画定する第4壁62dから、中心軸Cに沿って第2方向W2に向けて突出するように形成されている。突起106は、ハウジング51と一体に形成される。すなわち、突起106は、ハウジング51の一部である。突起106は、例えば、第1ポート61aと中心軸C(又は第2流路65b)を結ぶ仮想線上に配される。
【0092】
この突起106により、第1ポート61aから第1周回流路62に流れ込んだ作動流体は、突起106を迂回して又は突起106を乗り越えて、第2流路65bに向かうように整流される。これにより、第1ポート61aから第2流路65bへ向かう作動流体の流れを、中心軸C周りの周方向においてより均一化することができる。より具体的には、第1ポート61aから真っ直ぐに第2流路65bへ向かう流れが突起106によって阻害され、中心軸C周りの周方向において突起106が形成されていない方向から第2流路65bへ向かう流れが促進される。このようにして第1ポート61aから第2流路65bへ向かう作動流体の流れを均一化することにより、作動流体からの流圧により弁体53及びロッド55bが中心軸Cに対して傾くことを防止できる。
【0093】
流体圧バルブ105に形成される突起106の数、形状、及び配置は、図示された態様には限定されない。例えば、突起106は、2個以上形成されてもよい。突起106は、第1ポート61aと中心軸Cを結ぶ仮想線上以外の様々な位置に形成され得る。突起106の数、形状、及び配置は、作動流体の流れを最適化する観点又はそれ以外の観点から適宜変更され得る。
【0094】
次に、図10を参照して、本発明のさらに別の態様による流体圧バルブについて説明する。図10は、本発明の別の実施形態による流体圧バルブ115をA-A線に対応する切断線で切断した断面図を示す。流体圧バルブ115には、第1周回流路62に代えて、第1周回流路162が形成されている。
【0095】
図示のように、第1周回流路162は、第1ポート61aから遠位にある第1位置P1における径方向の寸法L5が、第1ポート61aの近位にある第2位置P2における径方向の寸法L6よりも大きくなるように形成されている。これにより、第1周回流路162の第1位置P1における流路断面積は、第2位置P2における流路断面積よりも大きくなる。
【0096】
図10に示した実施形態において、ハウジング部材51cは、その第1位置P1における肉厚が第2位置P2における肉厚よりも薄くなるように形成されている。このように、ハウジング部材51cの肉厚を第1位置P1と周方向において第1位置P1から離間している第2位置P2とで異ならせることにより、ハウジング部材51cの流路断面積を周方向において異ならせることができる。第1周回流路162は、これ以外の方法により形成されてもよい。
【0097】
上記実施形態によれば、第1ポート61aから第1周回流路62へ流れ込んだ作動流体を、第1周回流路62において第1ポート61aから遠位にある第1位置P1に誘導しやすくなる。これにより、第1ポート61aから第2流路65bへ向かう作動流体の流れを、中心軸C周りの周方向においてより均一化することができる。よって、作動流体からの流圧により弁体53及びロッド55bが中心軸Cに対して傾くことを防止できる。
【0098】
次に、図11を参照して、本発明のさらに別の態様による流体圧バルブに用いられる弁体について説明する。図11は、本発明のさらに別の実施形態による流体圧バルブに用いられる弁体153を模式的に示す斜視図である。弁体153は、流体圧バルブ5及びそれ以外の本発明が適用される流体圧バルブにおいて、弁体53の代わりに用いられ得る。
【0099】
図示のように、弁体153は、弁体ヘッド153aと、この弁体ヘッド153aから延伸する弁体基部153bと、を有する。弁体153が流体圧バルブ5に取り付けられる場合には、弁体基部153bの先端がキャップ52の第1凹部52c及び第2凹部52dに収容される。
【0100】
弁体153の端面153cには、4つの突起154a~154dが形成されている。突起154a~154dは、弁体153の端面153cから突出している。突起154a~154dは、弁体153が流体圧バルブ5に取り付けられた際に、第1周回流路62内に配置される。弁体153は、突起154a~154dのうちの1つが第1ポート61aと中心軸C(又は第2流路65b)を結ぶ仮想線上に配されるように、流体圧バルブ5に取り付けられてもよい。
【0101】
突起154a~154dは、第1周回流路62内に配されることにより、第1周回流路62内を流れる作動流体を整流することができる。例えば、突起154a~154dのうちの1つを第1ポート61aと中心軸C(又は第2流路65b)を結ぶ仮想線上に配することにより、第1ポート61aから真っ直ぐに第2流路65bへ向かう流れを阻害することができる。これにより、作動流体からの流圧によりロッド55bが中心軸Cに対して傾くことを防止できる。
【0102】
弁体153に形成される突起154a~154dの数、形状、及び配置は、図示された態様には限定されない。例えば、弁体153には、3つ以下の突起が形成されてもよい。弁体153の端面153cに形成される突起の数、形状、及び配置は、作動流体の流れを最適化する観点又はそれ以外の観点から適宜変更され得る。
【0103】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0104】
図1に示されている流体圧サーボ機構1は、本発明が適用可能な流体圧サーボ機構の一例である。流体圧サーボ機構1は、当業者の知識に基づき、その用途に応じて適宜変更され得る。例えば、流体圧サーボ機構1は、本明細書及び添付図面において明示されていない流体圧装置を含むことができる。コントローラ10で行われる処理及び制御は、複数のコントローラによって分散されて実行されてもよい。
【0105】
本明細書及び添付図面で明示された流体圧バルブ5,105,115の構成部材の具体的な形状、配置、機能、及び材料は例示である。本発明の趣旨に反しない限り、流体圧バルブ5,105,115の各構成部材の形状、配置、機能、及び材料は、適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0106】
1 流体圧サーボ機構
5,105,115 流体圧バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11