(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】低吸着性吸湿フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20230728BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20230728BHJP
B32B 27/28 20060101ALI20230728BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230728BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230728BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20230728BHJP
B65D 81/26 20060101ALI20230728BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230728BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
B32B27/18 Z
B32B27/36
B32B27/28 102
B32B27/00 A
B32B27/32 Z
C08K3/34
B65D81/26 L
B65D65/40 D
B65D30/02
(21)【出願番号】P 2018224037
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【氏名又は名称】塩川 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 謙太
(72)【発明者】
【氏名】角田 香織
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-197692(JP,A)
【文献】特開2017-035829(JP,A)
【文献】特開2014-091547(JP,A)
【文献】特開2006-255996(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145322(WO,A1)
【文献】特開平11-059743(JP,A)
【文献】特開2001-009985(JP,A)
【文献】特開2009-297936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
B65D 30/00-33/38、65/00-65/46、
67/00-79/02、81/18-81/30、
81/38、85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、前記基材層上の吸湿層、及び前記吸湿層上の低吸着層を具備しており、かつ
前記吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び前記熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有しており、
前記低吸着層が
、ポリエステル系樹
脂を、前記低吸着層の質量全体を基準として、50質量%以上含有しており、
前記吸湿層の前記低吸着層側に、スキン層を更に有し、かつ
前記スキン層が、前記吸湿層と融着されている、
低吸着性吸湿フィルム。
【請求項2】
前記ポリエステル系樹脂が、ヒートシール性ポリエステル系樹脂である、請求項
1に記載の低吸着性吸湿フィルム。
【請求項3】
基材層、前記基材層上の吸湿層、及び前記吸湿層上の低吸着層を具備しており、かつ
前記吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び前記熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有しており、
前記低吸着層が、環状オレフィン系樹脂、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを、前記低吸着層の質量全体を基準として、50質量%以上含有している
最外層であり、
かつ
前記吸湿層の前記低吸着層側に、スキン層を更に有する、
低吸着性吸湿フィルム。
【請求項4】
前記低吸着層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を、前記低吸着層の質量全体を基準として、75~92質量%含有しており、かつ酸変性ポリオレフィンを、前記低吸着層の質量全体を基準として、8質量%~25質量%含有している、請求項3に記載の低吸着性吸湿フィルム。
【請求項5】
前記低吸着層の水蒸気透過度が、0.5g/(m
2・day)以上である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
【請求項6】
前記吸湿剤が、親水性ゼオライトである、請求項1~
5のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
【請求項7】
前記基材層が、バリア層及び基材樹脂層を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
【請求項8】
前記基材層が、第二の低吸着層である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムで少なくとも一部が構成されている、包装袋。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムを封入している、包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低吸着性吸湿フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等のための包装材料には、包装体内の水蒸気によって内容物の品質が低下しないよう、種々の吸湿フィルムが用いられている。また、これらの内容物によっては、フィルムが吸湿性を有する一方で、内容物の有効成分を吸着しないことが求められることがある。かかる要望を満足するため、種々の包装材料が提案されている。
【0003】
特許文献1では、所定の質量比のエチレン-ビニルアルコール共重合体及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系重合体からなる熱接着性を備える非吸着性フィルムと、所定の質量比のポリオレフィン及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系重合体からなる熱接着層と気体成分又は水分を吸収する吸着層が積層された機能性フィルムとからなり、上記非吸着性フィルムと上記機能性フィルムの熱接着層とがヒートシールされて袋状に形成してなる、包装袋が開示されている。
【0004】
なお、特許文献2では、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするポリエステル樹脂で構成され、少なくとも1層のヒートシール層を有する2層以上からなり、所定量の非晶成分を含有して特定のヒートシール強度及び特定の熱収縮率を有するシーラント用途のポリエステル系フィルムが開示されている。また、前記のシーラント用途のポリエステル系フィルムを少なくとも1層として他のフィルムと積層体と、該積層体を用いた包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6340154号公報
【文献】特開2017-165059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、非吸着性フィルムと、吸湿層が積層された機能性フィルムとを対向させてヒートシールして袋にしている。機能性フィルム側には非吸着性がないため、薬効成分などが吸着してしまうことがある。一方で、非吸着フィルム側では吸湿層がないことから吸湿できる量が全面に吸湿層があるときと比較して半減してしまうことがある。
【0007】
したがって、吸湿性及び低吸着性を兼ね備えた、低吸着性吸湿フィルムを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈態様1〉基材層、前記基材層上の吸湿層、及び前記吸湿層上の低吸着層を具備しており、かつ
前記吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び前記熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有している、
低吸着性吸湿フィルム。
〈態様2〉前記低吸着層が、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを主成分として含有している、態様1に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様3〉前記低吸着層が、ポリエステル系樹脂を主成分として含有している、態様2に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様4〉前記ポリエステル系樹脂が、ヒートシール性ポリエステル系樹脂である、態様3に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様5〉前記低吸着層の水蒸気透過度が、0.5g/(m2・day)以上である、態様1~4のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様6〉前記吸湿剤が、親水性ゼオライトである、態様1~5のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様7〉前記吸湿層の前記低吸着層側に、スキン層を更に有する、態様1~6のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様8〉前記スキン層が、前記吸湿層及び前記低吸着層と融着されている、態様7に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様9〉前記基材層が、バリア層及び基材樹脂層を有する、態様1~8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様10〉前記基材層が、第二の低吸着層である、態様1~8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様11〉態様1~10のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムで少なくとも一部が構成されている、包装袋。
〈態様12〉態様1~10のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムを封入している、包装袋。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸湿性及び低吸着性を兼ね備えた、低吸着性吸湿フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の低吸着性吸湿フィルムの一態様を示す側面断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の低吸着性吸湿フィルムの一態様を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の包装袋の一態様を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《低吸着性吸湿フィルム》
図1及び2に示すように、本発明の低吸着性吸湿フィルム100a、100b、100c、100d、100e、100fは、
基材層10a、10b、基材層10a、10b上の吸湿層20、及び吸湿層20上の低吸着層30aを具備しており、かつ
吸湿層20が、熱可塑性樹脂、及び熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有している。
【0012】
本発明者らは、上記の構成により、吸湿性及び低吸着性を兼ね備えることができることを見出した。
【0013】
図1に示すように、基材層10aは、バリア層12及び基材樹脂層14を有していてよく、又は
図2に示すように、基材層10bは、第二の低吸着層30bであってよい。
【0014】
いずれの態様においても、低吸着性吸湿フィルム100b、100c、100e、100fは、吸湿層20の低吸着層30a側に、スキン層40を更に有していてよい。また、スキン層40は、吸湿層の基材層10a、10b側に更に存在していてもよい。
【0015】
低吸着性吸湿フィルムは、例えば低吸着性吸湿フィルムの各層を構成する材料を、必要に応じて溶融混錬し、製膜し、そして各層を積層することにより製造することができる。
【0016】
溶融混練は、例えばニーダー、ヘンシェルミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機、二軸混練機などの連続混練機などを用いて行うことができる。
【0017】
製膜は、例えばインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、キャスティング法、熱プレス成形、押出成形又は射出成形等により行うことができる。
【0018】
積層は、サンドラミネート法等の押出ラミネート法、ヒートシール法、熱プレス成形等により行うことができる。また、特に第一の基材層の積層は、接着層を介して行うことができる。接着層としては、例えばドライラミネート接着剤、アンカーコート接着剤、ホットメルト接着剤、水溶性接着剤、エマルション接着剤、ノンソルベントラミネート接着剤、及び押出ラミネート用の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
【0019】
また、共押出インフレーション法及び共押出Tダイ法等の共押出法により、製膜及び積層を同時に行ってもよい。
【0020】
以下では、本発明の各構成要素について説明する。
【0021】
〈基材層〉
基材層は、バリア性を有していてよい。また、基材層は、バリア層及び基材樹脂層を有していてよい。
【0022】
基材層とガス吸収フィルムとの積層、及び基材層を構成することができる下記の層の積層は、例えば接着層を介して行うことができる。接着層としては、例えばドライラミネート接着剤、アンカーコート接着剤、ホットメルト接着剤、水溶性接着剤、エマルション接着剤、ノンソルベントラミネート接着剤、及び押出ラミネート用の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
【0023】
(バリア層)
バリア層としては、外部からの水分、有機ガス、及び酸素等の無機ガスがガス吸収層へと透過することを抑制することができる材料を用いることができる。バリア層としては、例えば、これに限られないが、アルミニウム箔、若しくはアルミニウム合金等の金属箔、アルミニウム蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、若しくはシリカ・アルミナ二元蒸着膜等の無機物蒸着膜、又はポリ塩化ビニリデンコーティング膜、若しくはポリフッ化ビニリデンコーティング膜等の有機物コーティング膜を用いることができる。特に、バリア性及び取り扱い性を両立させやすくする観点から、バリア層としては、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
【0024】
バリア層の厚さは、7μm以上、10μm以上、又は15μm以上であることが、強度及びバリア性を確保する観点から好ましく、また45μm以下、40μm以下、又は35μm以下であることが、取り扱い性を向上させる観点から好ましい。
【0025】
(基材樹脂層)
基材樹脂層としては、耐衝撃性、耐摩耗性等に優れた熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン、ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド等を単独で、又は2種類以上組み合わせて複層で使用することができる。この基材樹脂層は、延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよい。また、この基材樹脂層は、バリア層の片面又は両面に存在していてもよい。この基材樹脂層により、バリア層を保護することができる。
【0026】
ポリオレフィンとしては、環状オレフィン系ポリマー、及び非環状オレフィン系ポリマーが挙げられる。
【0027】
環状オレフィン系ポリマーは、環状オレフィン部分を有するポリマーである。より具体的には、スキン層に関して下記に言及する。
【0028】
非環状オレフィン系ポリマーは、環状オレフィン部分を有しないポリマーである。非環状オレフィン系ポリマーとしては、環状オレフィン部分を有しないポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0029】
本明細書において、ポリエチレン系樹脂とは、ポリマーの主鎖にエチレン基の繰返し単位を、50mol%超、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂である。かかるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレンを用いてもよく、エチレンと、カルボキシル基又はエステル基を有するエチレン系モノマーとの共重合体を用いてもよい。
【0030】
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂とは、ポリマーの主鎖にプロピレン基の繰返し単位を、50mol%超、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂である。かかるポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
ビニル系ポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。
【0032】
ポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0033】
ポリアミドとしては、例えばナイロン(登録商標)6、ナイロンMXD6等のナイロン等が挙げられる。
【0034】
基材樹脂層の厚さは、7μm以上、10μm以上、又は15μm以上であることが、バリア層を良好に保護する観点から好ましく、また55μm以下、50μm以下、又は45μm以下であることが、取り扱い性を向上させる観点から好ましい。
【0035】
〈吸湿層〉
吸湿層は、熱可塑性樹脂、及び吸湿剤を含有している層である。吸収剤は、熱可塑性樹脂に分散されていてよい。
【0036】
吸湿層中の吸湿剤の含有率は、良好な吸湿能力を確保する観点から、吸湿層全体の質量を基準として、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、又は10質量%以上であることが好ましく、また良好な製膜性を確保する観点から、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は50質量%以下であることが好ましい。
【0037】
吸収層の厚さは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であることが、良好な吸収能力を確保する観点から好ましく、また100μm以下、90μm以下、又は80μm以下であることが、包装材のしなやかさを確保する観点から好ましい。
【0038】
(熱可塑性樹脂)
吸湿層の熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンとしては、基材樹脂層に関して挙げたポリオレフィンを用いることができる。
【0039】
熱可塑性樹脂の熱特性は、例えば、そのメルトマスフローレートが、ポリエチレンの条件を用いてJIS K6922-1に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g/10min以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、200g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下であってよい。また、例えばメルトマスフローレートは、ポリプロピレンの条件を用いてJIS K7210に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、5.0g/10min以上、又は10g/10min以上であり、200g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下であってよい。
【0040】
(吸湿剤)
吸湿剤としては、親水性ゼオライト、シリカゲル等の物理吸湿剤、酸化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の化学吸湿剤等を用いることができる。
【0041】
親水性ゼオライトとしては、例えばA型、X型、又はLSX型のゼオライトを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
【0042】
〈低吸着層〉
低吸着層は、水蒸気は透過するが、l-メントール、d-リモネン、サルチル酸メチル、カンファー、トコフェロール等の揮発成分、わさび、からし、マスタード等の食品の香気成分の吸着が少なく、特に実質的に吸着せず、包装容器内部の香気成分等を維持することができる層である。低吸着層は、単層であってもよく、又は積層体であってもよい。
【0043】
ここで、本発明において、「低吸着」とは、10cm×10cmのサイズにカットした各低吸着性吸湿フィルムの低吸着性層側を、40℃環境下で飽和l-メントール蒸気に一週間曝露後、吸着したl-メントールをメチルエチルケトンで抽出し、抽出液中のl-メントール量をガスクロマトグラフィーで定量したときに、l-メントール吸着量が、10mg以下であることを意味するものである。この吸着量は、7mg以下、5mg以下、3mg以下、2mg以下、1mg以下、0.5mg以下、0.3mg以下、又は0.1mg以下であることができ、また0mg超であることができる。
【0044】
低吸着層は、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを主成分として含有していてよい。ここで、本発明において、「主成分として」とは、低吸着層のうちの上記の物質を含有している層中の含有率が、この層の質量全体を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であり、かつ100質量%以下、又は100質量%未満であることを意味するものである。
【0045】
低吸着層のJIS K 7129に準拠する水蒸気透過度は、低吸着性層全体として、0.5g/(m2・day)以上であることが、良好な吸収速度を確保する観点から好ましい。この水蒸気透過度は、1g/(m2・day)以上、2g/(m2・day)以上、3g/(m2・day)以上、又は4g/(m2・day)以上であることができ、また100g/(m2・day)以下、90g/(m2・day)以下、80g/(m2・day)以下であることができる。70g/(m2・day)以下、60g/(m2・day)以下、50g/(m2・day)以下、40g/(m2・day)以下、又は30g/(m2・day)以下であることができる。
【0046】
中でも、低吸着性層は、ポリエステル系樹脂を主成分として含有していることが、有効成分の低吸着性及び水蒸気の透過性を両立させる観点から好ましい。
【0047】
また、低吸着性層は、他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、例えば酸変性ポリオレフィン等を用いることができる。
【0048】
低吸着性層の厚さは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であることが、低吸着性を良好にする観点から好ましく、また100μm以下、90μm以下、80μm、70μm以下、60μm以下、又は50μm以下であることが、吸湿性を確保する観点から好ましい。
【0049】
(環状オレフィン系樹脂)
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン部分を有する樹脂であり、環状オレフィン樹脂、及び/又はα-オレフィン-環状オレフィン共重合体であることができる。
【0050】
(環状オレフィンポリマー)
本発明において、環状オレフィンポリマー(COP)を構成するモノマーとしては、例えば、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン及びこれらの誘導体、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクテン等のモノシクロアルケン及びこれらの誘導体、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ-4-エン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ-3-エン、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]ヘキサデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]ヘキサデカ-4-エン等の多環式アルカン及びこれらの誘導体、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0051】
(α-オレフィン-環状オレフィンコポリマー)
本発明において、α-オレフィン-環状オレフィンコポリマー(COC)とは、α-オレフィン部分と環状オレフィン部分とを共重合させたものを意味する。
【0052】
ここで、本発明において、コポリマーとは、2種以上のモノマーから成るコポリマーを意味する。
【0053】
α-オレフィン部分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1ーペンテン、4-メチル-ペンテン、3-メチル-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、及び1-デセン等、並びにこれらの組合せが挙げられる。
【0054】
環状オレフィン部分としては、環状オレフィンポリマーについて挙げたモノマーが挙げられる。
【0055】
オレフィン-環状オレフィンコポリマーのうち、α-オレフィン部分に由来する構造単位は、10mol%以上、20mol%以上、30mol%以上、40mol%以上、又は50mol%以上であることができ、また95mol%以下、90mol%以下、80mol%以下、70mol%以下、又は60mol%以下であることができる。
【0056】
(エチレン-ビニルアルコール共重合体)
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物であり、エチレン単位の含有量は特に制限はないが、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、又は25モル%以上であることができ、また70モル%以下、60モル%以下、又は55モル%以下であることができる。また、EVOHのビニルエステル単位のケン化度としては90モル%以上、95モル%以上、99モル%以上、又は100モル%であることができる。ケン化度が高いと、結晶化しやすく、低吸着性も高まる。そして、溶融時の熱安定性も安定するため、ケン化度は高い方が好ましい。ここでビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表例として挙げられるが、その他にプロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステルも挙げられる。これらのビニルエステルは1種又は2種以上混合して使用してもよい。またEVOHはエチレン含有量、ケン化度、重合度の内の少なくとも一つが異なるEVOHを混合して使用してもよい。EVOHには本発明の目的が阻害されない範囲で他の共重合成分を含有させてもよい。これらのEVOHを複数種組み合わせて用いてもよい。
【0057】
(ポリエステル系樹脂)
ポリエステル系樹脂としては、随意のポリエステル系樹脂を用いることができるが、ヒートシール性ポリエステル系樹脂を用いることが、別途の接着層を必要としない観点から好ましい。
【0058】
ここで、本発明において、「ヒートシール性ポリエステル系樹脂」とは、低吸着層を互いに接着させたときに、JIS K 6854-3に準拠するヒートシール強さが、5N/15mm以上であるポリエステル樹脂を意味するものである。このヒートシール強さは、7N/15mm以上,10N/15mm以上、12N/15mm以上、14N/15mm以上、又は15N/15mm以上であることができ、また100N/15mm以下、80N/15mm以下、60N/15mm以下、50N/15mm以下、40N/15mm以下、30N/15mm以下、又は25N/15mm以下であることができる。
【0059】
かかるヒートシール性ポリエステル系樹脂としては、非晶性ポリエステル、共重合ポリエステル等を用いることができる。
【0060】
非晶性ポリエステルとしては、「非晶性ポリエステル」として商業的に入手可能な非晶性ポリエステル、例えば非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。かかる非晶性PETとしては、例えばタマポリ株式会社から入手可能なハイトロンPG等を用いることができる。
【0061】
共重合ポリエステルとしては、例えば特許文献2に記載のポリエステル系フィルムを用いることができる。
【0062】
(酸変性ポリオレフィン)
酸変性ポリオレフィンは、酸を、ポリオレフィンにグラフト重合したものである。酸変性ポリオレフィンとしては、例えば無水マレイン酸変性ポリオレフィン等が用いられる。ポリオレフィンとしては、上記のポリオレフィンが好適に用いられる。これらの酸変性ポリオレフィンを複数種組み合わせて用いてもよい。
【0063】
例えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィン100質量部に対して、無水マレイン酸を0.05質量部以上、0.1質量部以上、0.3質量部以上、0.5質量部以上、又は1.0質量部以上で、50質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、又は5.0質量部以下でグラフト重合したものを用いることができる。このような無水マレイン酸変性ポリオレフィンとしては、特開平9-278956号公報に記載のものを挙げることができる。
【0064】
〈スキン層〉
スキン層は、吸湿層の片側又は両側に存在している層であってよい。また、スキン層は、吸湿層に融着されていてもよい。
【0065】
スキン層は、吸湿剤の脱落や内容物への接触を防止することができる。また、スキン層は、吸湿剤を含有していない層であってよい。
【0066】
スキン層は、例えばポリオレフィンで構成されていてよい。ポリオレフィンとしては、例えば基材樹脂層に関して挙げたポリオレフィンを用いることができる。
【0067】
スキン層の厚さは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は7μm以上であることができ、また50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であることができる。
【0068】
《包装袋》
図3(a)に示すように、本発明の包装袋200aは、一態様においては、上記の低吸着性吸湿フィルム100aで少なくとも一部が構成されている。この態様においては、基材層10aは、バリア層及び基材樹脂層を有していてもよく、又は、図示していないが、第二の低吸着層であってもよい。また、内容物110が包装袋200aの内部に封入されていてもよい。
【0069】
また、
図3(b)に示すように、本発明の包装袋は、一態様においては、内容物110と共に上記の低吸着性吸湿フィルム100dを封入している。この態様においては、基材層10bは、第二の低吸着層30bであってもよく、又は、図示していないが、バリア層及び基材樹脂層を有していてもよい。この態様において、「封入している」状態は、低吸着性吸湿フィルムを内容物と独立させて封入した状態のみならず、低吸着性吸湿フィルムを内容物と一体として封入した場合、例えば基材層、及び基材層上の薬効成分含有粘着剤層を具備している薬効成分貼付材用の、粘着剤層保護シートとして低吸着性吸湿フィルムを用い、これを封入した状態も含む。
【0070】
また、図示していないが、いずれの態様においても、上記の低吸着性吸湿フィルムは、
図1(b)~(c)及び
図2(b)~(c)に示すように、スキン層を有していてもよい。
【0071】
〈他のフィルム〉
包装袋を構成する他のフィルムは、バリア性を有するフィルムであってよい。他のフィルムは、例えば上記のバリア層及び上記の基材樹脂層を有していてよい。また、他のフィルムは、シーラント層を更に有していてもよい。
【0072】
シーラント層としては、封止対象の材質によって選択されるが、例えばポリエチレン系樹脂でよい。これらの樹脂は、例えば、延伸又は無延伸フィルム、押出積層用の溶融樹脂、ホットメルト用の塗料などの形態でよい。
【0073】
また、シーラント層としては、これらの樹脂で構成されていない、市販のイージーピール樹脂やイージーピールシーラントフィルムを用いてもよい。
【0074】
〈内容物〉
内容物としては、水蒸気との接触によって劣化しうる物であれば限定されるものではなく、薬剤の他、食品、化粧品、医療器具、医療機器、電子部材、精密機械、記録材料等を挙げることができる。また、薬剤としては、医薬品製剤の他、洗浄剤、農薬等を含む。また、内容物は、基材層、及び基材層上の薬効成分含有粘着剤層を具備している薬効成分貼付材であってもよい。
【実施例】
【0075】
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0076】
《低吸着性吸湿フィルムの作製》
〈実施例1〉
熱可塑性樹脂としてのエチレン-メタクリル酸共重合体47質量部、及び吸湿剤としての親水性ゼオライト53質量部を溶融混錬し、吸湿層用樹脂組成物を作製した。
【0077】
次いで、作製した吸湿層用樹脂組成物、及びスキン層を構成する熱可塑性樹脂としての直鎖状低密度ポリエチレンを用い、2種3層フィルムの空冷方式インフレーションによる共押出成形により、スキン層/吸湿層/スキン層の層構成となるようにして、吸湿層及びスキン層の製膜を行った。吸湿層の厚さは、30μmで、スキン層の厚さは、それぞれ10μmであった。
【0078】
作製した積層体の一方のスキン層側に、バリア層としての厚さ9μmのアルミニウム箔を接着し、ここに基材樹脂層としての厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を接着させた。接着層としては、タケラックA-525S(三井化学株式会社)9質量部と、タケネートA-52(三井化学株式会社)1質量部とを混合し、これを酢酸エチルで希釈させたものを用いた。
【0079】
作製した積層体の他方のスキン層側に、低吸着層としての環状オレフィンフィルム(COXEC TCS-1、倉敷紡績株式会社、厚さ20μm)を、上記の接着層を用いて接着させて、実施例1の低吸着性吸湿フィルムを作製した。
【0080】
(実施例2~5)
低吸着層として、表1に示すものを用いたことを除き、実施例1と同様にして、実施例2~5の低吸着性吸湿フィルムを作製した。
【0081】
低吸着層の詳細は、以下のとおりである:
結晶性ポリエステル:E5100、東洋紡株式会社、厚さ12μm
非晶性ポリエステル:ハイトロンPG、タマポリ株式会社、厚さ30μm
共重合ポリエステル:オリエステル(登録商標)SS DE046、東洋紡株式会社、厚さ30μm
EVOH積層体:ノンキャッチ(登録商標)、共同印刷株式会社、厚さ50μm
【0082】
なお、EVOH積層体は、ポリオレフィン樹脂40~70質量部及び酸変性ポリオレフィン60~30質量部で構成されている中間層の両側に、EVOH樹脂75~92質量部及び酸変性ポリオレフィンを8~25質量部で構成されている最外層が積層されている積層体である。
【0083】
(比較例1)
低吸着層を積層させなかったことを除き、実施例1と同様にして、比較例1の低吸着性吸湿フィルムを作製した。
【0084】
《評価》
〈低吸着性〉
10cm×10cmのサイズにカットした各低吸着性吸湿フィルムの低吸着性層側を、40℃環境下で飽和l-メントール蒸気に一週間曝露後、吸着したl-メントールをメチルエチルケトンで抽出し、抽出液中のl-メントール量をガスクロマトグラフィーで定量したときに、単位面積当たりのl-メントール吸着量を算出した。
【0085】
〈吸湿速度〉
作製した各低吸着性吸湿フィルムを10cm×10cmのサイズにカットし、23℃50%RH環境で保管し経時で重量測定を実施した。重量増加が起こらなくなるまで測定を続け、飽和に達した時間を読み取った。
【0086】
〈飽和吸湿量〉
まず、瓶に水を浸した不織布を敷き、60℃のオーブンに入れることで高温多湿な環境を準備した。次いで、作製した各低吸着性吸湿フィルムをそれぞれ10cm角に切り分けて質量を測定し、そしてこの瓶に入れ、これを60℃のオーブン中で14時間保管した。
【0087】
保管後、サンプルを取り出して表面の水分を拭き取り、23℃相対湿度50%RH環境で3時間静置し、そして質量を測定した。吸湿前後の質量差を算出して、飽和吸湿量とした。
【0088】
〈ヒートシール強さ〉
作製した各低吸着性吸湿フィルムの低吸着層側(比較例については、スキン層側)を対向させ、温度150℃、シール時間0.5秒、シール圧力0.2MPaの条件でヒートシールさせた。
【0089】
次いで、ヒートシールさせた各低吸着性吸湿フィルムを15mm幅に切り出し、JIS K 6854-3に準拠して、引張試験機を用いて、引張速度300mm/minの条件でT型剥離させ、ヒートシール強さを測定した。
【0090】
実施例及び比較例の構成及び評価結果を表1に示す。
【0091】
【0092】
表1から、低吸着層を有する実施例1~5の低吸着性吸湿フィルムは、吸湿性及び低吸着性を兼ね備えていることが、飽和吸湿量及びl-メントール吸着量の結果から理解できよう。中でも、ポリエステル系樹脂を用いた実施例2~4は、飽和吸湿までの日数が短いことから、吸湿速度に優れていることが理解できよう。ポリエステル系樹脂の中では、非晶性ポリエステル及び共重合ポリエステルを用いた場合には、ヒートシール強さも良好であることが理解できよう。
【0093】
なお、実施例2~4の低吸着層の水蒸気透過度は、測定していないが、実施例2~4の低吸着性吸湿フィルムは、実施例1及び5の低吸着性吸湿フィルムよりも吸湿速度が良好であることから、実施例2~4の低吸着層の水蒸気透過度は、実施例1及び5のそれよりも有意に高いことが推測できよう。
【0094】
《対向品としての評価》
以下では、吸湿フィルム及び低吸着性フィルムを同一容器内に入れた場合における評価を行った。
【0095】
〈サンプルの作製〉
(比較例2)
吸湿フィルムとしては、比較例1のフィルム、すなわちPET//AL//スキン層/吸湿層/スキン層の層構成を有するフィルムを用いた。
【0096】
低吸着性フィルムとしては、低吸着層としての上記の環状オレフィンに、バリア層としての厚さ9μmのアルミニウム箔を接着し、ここに基材樹脂層としての厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を接着させたものを用いた。
【0097】
(比較例3)
比較例3は、低吸着層として、上記のEVOH積層体を用いたことを除き、比較例2と同一の条件である。
【0098】
〈評価〉
(低吸着性)
10cm×10cmのサイズにカットした吸湿フィルムのスキン層側及び低吸着性フィルムの低吸着性層側を、40℃環境下で飽和l-メントール蒸気に一週間曝露後、吸着したl-メントールをメチルエチルケトンで抽出し、抽出液中のl-メントール量をガスクロマトグラフィーで定量したときに、単位面積当たりのl-メントール吸着量の、吸湿フィルム及び低吸着性フィルムの平均値を算出した。
【0099】
(飽和吸湿量)
まず、瓶に水を浸した不織布を敷き、60℃のオーブンに入れることで高温多湿な環境を準備した。次いで、作製した吸湿フィルム及び低吸着性フィルムをそれぞれ10cm角に切り分けて質量を測定し、そしてこの瓶に入れ、これを60℃のオーブン中で14時間保管した。
【0100】
保管後、サンプルを取り出して表面の水分を拭き取り、23℃相対湿度50%RH環境で3時間静置し、そして質量を測定した。吸湿前後の質量差の、吸湿フィルム及び低吸着性フィルムの平均値を算出して、飽和吸湿量とした。
【0101】
比較例2及び3の構成及び評価結果を表2に示す。
【0102】
【0103】
表1及び表2から、低吸着層を有しない吸湿フィルム及び低吸着フィルムが併存している場合、l-メントール吸着量が大きくなり、かつ飽和吸湿量も実施例の低吸着性吸湿フィルムよりも低くなっていることが理解できよう。このことから、低吸着性及び吸湿性を両立させるためには、実施例の積層構成が必要であることが理解できよう。
【符号の説明】
【0104】
10a、10b 基材層
12 バリア層
14 基材樹脂層
20 吸湿層
30a、30b 低吸着層
100a、100b、100c、100d、100e、100f 低吸着性吸湿フィルム
110 内容物
120 他のフィルム
200a、200b 包装袋