(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230728BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20230728BHJP
A43B 5/00 20220101ALI20230728BHJP
A43B 7/00 20060101ALI20230728BHJP
A63B 71/00 20060101ALI20230728BHJP
G01N 21/95 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G06T7/70 A
A43B5/00
A43B7/00
A63B71/00 Z
G01N21/95 Z
(21)【出願番号】P 2019063078
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 規之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸司
(72)【発明者】
【氏名】平井 森
(72)【発明者】
【氏名】山田 雄貴
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112999(JP,A)
【文献】特開2017-000522(JP,A)
【文献】特開2006-141651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0089617(US,A1)
【文献】特表2011-525118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G06T 7/00 - G06T 7/90
A43B 1/00 - A43B 23/30
A43C 1/00 - A43C 19/00
A43D 1/00 - A43D 999/00
A63B 49/00 - A63B 51/16
A63B 55/00 - A63B 60/64
A63B 71/00 - A63B 71/16
B29D 35/00 - B29D 35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を情報処理装置が出力する方法であって、
前記情報処理装置が、使用後の前記スポーツ用品、マークが付された状態の使用後の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記画像取得ステップで取得された画像に対し、変色箇所、変形箇所又は前記マークの検出を行い、その後、検出した前記マークの前記スポーツ用品における位置を特定するか、又は前記スポーツ用品の複数の部分のうち、検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する画素の数
の,検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する全部の画素の数に対して占める割合が最も大きい部分の位置を特定する位置特定ステップと、
前記情報処理装置が、前記位置特定ステップによって特定された位置に基づいて、複数種類の前記スポーツ用品からいずれかを選択し、選択したスポーツ用品を特定する情報を前記特徴情報として出力する情報出力ステップとを実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記位置特定ステップにおいて、前記情報処理装置が、前記変色箇所の検出を、前記スポーツ用品の使用前における前記スポーツ用品又は前記装着ツールの画像を参照して行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理方法において、
前記スポーツ用品は、シューズの構成部品であることを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の情報処理方法において、
前記スポーツ用品は、打撃用具であることを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を出力する情報処理装置であって、
使用後の前記スポーツ用品、マークが付された状態の使用後の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得された画像に対し、変色箇所、変形箇所又は前記マークの検出を行い、その後、検出した前記マークの前記スポーツ用品における位置を特定するか、又は前記スポーツ用品の複数の部分のうち、検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する画素の数
の,検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する全部の画素の数に対して占める割合が最も大きい部分の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部によって特定された位置に基づいて、複数種類の前記スポーツ用品からいずれかを選択し、選択したスポーツ用品を特定する情報を前記特徴情報として出力する情報出力部とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を情報処理装置に出力させるプログラムであって、
使用後の前記スポーツ用品、マークが付された状態の使用後の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップで取得された画像に対し、変色箇所、変形箇所又は前記マークの検出を行い、その後、検出した前記マークの前記スポーツ用品における位置を特定するか、又は前記スポーツ用品の複数の部分のうち、検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する画素の数
の,検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する全部の画素の数に対して占める割合が最も大きい部分の位置を特定する位置特定ステップと、
前記位置特定ステップによって特定された位置に基づいて、複数種類の前記スポーツ用品からいずれかを選択し、選択したスポーツ用品を特定する情報を前記特徴情報として出力する情報出力ステップとを上記情報処理装置に実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項7】
請求項4に記載の情報処理方法において、
前記情報出力ステップは、前記位置特定ステップによって特定された位置と、複数種類の前記スポーツ用品の各位置における反発係数とに基づいて、前記複数種類の前記スポーツ用品からいずれかを選択し、選択したスポーツ用品を特定する情報を前記特徴情報として出力するものであることを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を情報処理装置が出力する方法であって、
前記情報処理装置が、使用後の前記スポーツ用品、マークが付された状態の使用後の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得ステップと、
前記情報処理装置が、前記画像取得ステップで取得された画像に対し、変色箇所、変形箇所又は前記マークの検出を行い、その後、検出した前記マークの前記スポーツ用品における位置を特定するか、又は前記スポーツ用品の複数の部分のうち、検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する画素の数
の,検出した前記変色箇所又は前記変形箇所に相当する全部の画素の数に対して占める割合が最も大きい部分の位置を特定する位置特定ステップと、
前記情報処理装置が、前記位置特定ステップによって特定された位置に基づいて
、使用者に適したスポーツ用品の重量を示す情報を前記特徴情報として出力する情報出力ステップとを実行することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を出力する情報処理方法、情報処理装置、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マーカーを装着した状態で走行する被験者を撮影することにより得られた動画データに基づいて、被験者のランニングフォームに関する特徴情報を生成する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スポーツ用品、又は当該スポーツ用品に装着された装着ツールの外観に現れる使用の痕跡に基づいて、特徴情報を得たいという要望がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スポーツ用品、又は当該スポーツ用品に装着された装着ツールの外観に現れる使用の痕跡に基づいて、特徴情報を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の形態は、スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を情報処理装置が出力する方法であって、前記情報処理装置が、使用後の前記スポーツ用品、変色箇所及び変形箇所の少なくとも一方にマークが付された状態の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得ステップと、前記情報処理装置が、前記画像取得ステップで取得された画像に対し、変色箇所、変形箇所又は前記マークの検出を行うことにより、前記スポーツ用品における損傷しやすい位置を特定する位置特定ステップと、前記情報処理装置が、前記位置特定ステップによって特定された位置に基づいて、前記特徴情報を出力する情報出力ステップとを実行することを特徴とする。
【0007】
この第1の形態では、スポーツ用品、又は当該スポーツ用品に装着された装着ツールの外観に現れる使用の痕跡、すなわち変色及び変形の少なくとも一方に基づいて、特徴情報を得られる。
【0008】
また、情報処理装置が、スポーツ用品又は装着ツールの画像に基づいて特徴情報を生成でき、特徴情報の生成に動画データを使用する必要がないので、情報処理装置に設けられる記憶装置の記憶容量を削減できる。
【0009】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記位置特定ステップにおいて、前記情報処理装置が、前記変色箇所の検出を、前記スポーツ用品の使用前における前記スポーツ用品又は前記装着ツールの画像を参照して行うことを特徴とする。
【0010】
この第2の形態では、変色箇所と、スポーツ用品の柄との色が類似している場合でも、変色箇所の適切な検出が可能になる。
【0011】
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記特徴情報は、複数種類の前記スポーツ用品からいずれかを特定する情報であることを特徴とする。
【0012】
この第3の形態では、提供者及び使用者が、特徴情報を参照することにより、使用者に適したスポーツ用品を認識できる。
【0013】
本発明の第4の形態は、第1又は第2の形態において、前記特徴情報は、前記位置特定ステップによって特定された位置を示す情報であることを特徴とする。
【0014】
この第4の形態では、提供者及び使用者が、特徴情報を参照することにより、スポーツ用品における損傷しやすい位置を認識できる。
【0015】
本発明の第5の形態は、第1~第4のいずれか1つの形態において、前記スポーツ用品は、シューズの構成部品であることを特徴とする。
【0016】
この第5の形態では、提供者及び使用者が、シューズの構成部品及び当該構成部品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を取得できる。
【0017】
本発明の第6の形態は、第1~第4のいずれか1つの形態において、前記スポーツ用品は、打撃用具であることを特徴とする。
【0018】
この第6の形態では、提供者及び使用者が、打撃用具、及び当該打撃用具の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を取得できる。
【0019】
本発明の第7の形態は、スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を出力する情報処理装置であって、使用後の前記スポーツ用品、マークが付された状態の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得された画像に対し、変色箇所又は前記マークの検出を行うことにより、前記スポーツ用品における損傷しやすい位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部によって特定された位置に基づいて、前記特徴情報を出力する情報出力部とを備えたことを特徴とする。
【0020】
この第7の形態では、スポーツ用品、又は当該スポーツ用品に装着された装着ツールの外観に現れる使用の痕跡、すなわち変色及び変形の少なくとも一方に基づいて、特徴情報を得られる。
【0021】
また、情報処理装置が、使用後のスポーツ用品又は装着ツールの画像に基づいて特徴情報を生成でき、特徴情報の生成に動画データを使用する必要がないので、情報処理装置に設けられる記憶装置の記憶容量を削減できる。
【0022】
本発明の第8の形態は、スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を情報処理装置に出力させるプログラムであって、使用後の前記スポーツ用品、マークが付された状態の前記スポーツ用品又は前記スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップで取得された画像に対し、変色箇所又は前記マークの検出を行うことにより、前記スポーツ用品における損傷しやすい位置を特定する位置特定ステップと、前記位置特定ステップによって特定された位置に基づいて、前記特徴情報を出力する情報出力ステップとを上記情報処理装置に実行させることを特徴とする。
【0023】
この第8の形態では、スポーツ用品、又は当該スポーツ用品に装着された装着ツールの外観に現れる使用の痕跡、すなわち変色及び変形の少なくとも一方に基づいて、特徴情報を得られる。
【0024】
また、情報処理装置が、使用後のスポーツ用品又は装着ツールの画像に基づいて特徴情報を生成でき、特徴情報の生成に動画データを使用する必要がないので、情報処理装置に設けられる記憶装置の記憶容量を削減できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、スポーツ用品、又は当該スポーツ用品に装着された装着ツールの外観に現れる使用の痕跡に基づいて、特徴情報を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態1に係る情報処理装置を備えた情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る情報処理装置を備えた情報処理システムを用いてインソールを使用者に提供する手順を示すフローチャートである。
【
図3】マークが付された状態の使用後のインソールを撮影した画像を示す図である。
【
図4】(a)は、撮影されたインソールを座標平面上に示す図であり、(b)は、
図4(a)のA線上におけるR値を示すグラフである。
【
図5】特定されたインソールの輪郭を座標平面上に示す図である。
【
図6】(a)は、インソールの輪郭の回帰直線を座標平面上に示す図であり、(b)は、
図6(a)で示される回帰直線の傾き分、インソールの輪郭を座標平面上で回転させた図である。
【
図7】(a)は、インソールの輪郭のうち踵側略半分の内側部分の回帰直線を座標平面上に示す図であり、(b)は、
図7(a)で示される回帰直線の傾き分、
図6(b)に示されるインソールの輪郭を座標平面上で回転させた図である。
【
図8】(a)は、撮影されたインソールの画像を示す図であり、(b)は、
図8(a)のB線上におけるR値を示すグラフであり、(c)は、
図8(a)のB線上におけるB値を示すグラフであり、(d)は、
図8(a)のB線上におけるG値を示すグラフである。
【
図9】(a)は、撮影されたインソールの画像を示す図であり、(b)は、
図9(a)のC線上におけるR値を示すグラフであり、(c)は、
図9(a)のC線上におけるB値を示すグラフであり、(d)は、
図9(a)のC線上におけるG値を示すグラフである。
【
図10】撮影されたインソールの画像上において特定されたマークの位置を示す説明図である。
【
図11】
図7(b)で示されるインソールの輪郭に対応するマークの位置を座標平面上で示す説明図である。
【
図12】本発明の実施形態2に係る情報処理装置を備えた情報処理システムを用いて、特徴情報を取得する手順を示すフローチャートである。
【
図13】(a)は、使用後のバットを撮影した写真の二値化画像であり、(b)は、
図13(a)の二値化画像に基づいて推定された打点位置の分布を示す表である。
【
図14】(a)は、3種類のバットの各部位における反発係数を示す表であり、(b)は、
図14(a)の表に相当するグラフである。
【
図16】ステップ404で推定されたフェース面の輪郭を示す概略図である。
【
図17】使用後のゴルフクラブのヘッドのフェース面を撮影した写真の二値化画像である。
【
図18】使用後のゴルフクラブのヘッドのソール面に設けた3つの領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0028】
(実施形態1)
図1は、情報処理システム100の構成を示す。この情報処理システム100は、撮影機能を有するスマートフォン10と、スマートフォン10により撮影された画像に基づいて、シューズの構成部品としてのインソール20に関する特徴情報を生成する本発明の実施形態1に係る情報処理装置30と、情報処理装置30によって生成された特徴情報を出力する出力装置40とを備えている。
【0029】
スマートフォン10は、カメラ11を有し、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信機能や無線LAN(Local Area Network)等の無線通信機能によって、カメラ11により撮影した画像を情報処理装置30に送信できるように構成されている。情報処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、およびソフトウェア等を含み、たとえばPC(パーソナルコンピュータ)により構成され、USB等の有線通信機能や無線LAN等の無線通信機能によって、外部機器から情報を受信する機能を有している。出力装置40は、たとえば、視覚的に情報を出力するモニタやプリンタにより構成される。なお、出力装置40は、音声など視覚以外の態様で、または、視聴覚情報のように2以上の出力態様の組み合わせで、診断結果を出力してもよい。
【0030】
次に、上述のように構成された情報処理システム100を用いてインソール20を使用者に提供する手順について、
図2のフローチャートを参照して説明する。なお、この手順において、情報処理装置30の機能は、光ディスク、メモリカード等の記録媒体に格納されたプログラム、又は通信機器を介してダウンロードされるプログラムをCPUに実行させることにより実現される。また、この手順において、情報処理装置30は、画像取得部、位置特定部、及び情報出力部の機能を果たす。
【0031】
また、インソール20は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)等で構成され、インソール20の上面における後端部近傍には、ロゴマーク21が白色で表示され、当該ロゴマーク21を除くインソール20の上面は、黒色になっている。
【0032】
まず、ステップ(S)201では、提供者又は使用者が、使用後のインソール20における最もすり減ってくぼんだ箇所(変形箇所)の上面に緑色の円形のマーク(シール)Mを付す。
【0033】
次に、ステップ202において、提供者又は使用者が、スマートフォン10のカメラ11により、インソール20の上面を撮影する。撮影は、インソール20の上面にスマートフォン10のカメラ11を約50cmの間隔を空けて対向させ、インソール20の背景を白色にした状態で、インソール20のつま先が写真の上方に向くように行う。
図3は、ステップ202における撮影で得られた画像を示す。なお、
図3中、マークMを点々模様の領域で示している。
【0034】
次に、ステップ203において、スマートフォン10が、インターネット通信機能や無線LANの機能によって、ステップ202で撮影した画像を情報処理装置30に送信する。
【0035】
そして、ステップ204において、情報処理装置30が、インターネット通信機能や無線LANの機能によって、ステップ203で送信された画像を受信して取得する。
【0036】
次に、ステップ205において、ステップ204で受信した画像のRGB値を、情報処理装置30が読み込む。例えば、RGB値は、Matlab(登録商標)のimread関数を用い、8ビット符号なし整数配列で読み込まれる。
【0037】
次に、ステップ206において、情報処理装置30が、撮影されたインソール20の輪郭を座標平面上で特定する。詳しくは、座標平面上でY軸方向に延びる各直線上においてステップ205で読み込まれたR値、G値、B値のいずれか1つが大きく変動する点を、輪郭を構成する点として特定する。ここで、Y軸は、踵から前足部に向かって徐々にY座標が大きくなるように延びている。
図4(a)中、Aは、Y軸方向に延びる直線の1つを示す。直線A上においては、
図4(b)にも示すように、y座標の値がY1、Y2となる点を、輪郭を構成する点として特定している。なお、輪郭を構成する点の特定は、
図4(b)に示すグラフの勾配が所定の閾値以上となる点を特定する方法等、既知のエッジ検出の手法を用いることにより行える。
図5は、ステップ206において特定されたインソール20の輪郭を座標平面上に示す。
【0038】
次に、ステップ207において、情報処理装置30が、ステップ206において特定されたインソール20の輪郭を構成する点の重心(幾何中心)が原点に位置するようにインソール20の輪郭を座標平面上で平行移動させる。
図6(a)に、ステップ207における平行移動後のインソールの輪郭を示す。
【0039】
次に、ステップ208において、情報処理装置30が、ステップ207における平行移動後のインソール20の輪郭を構成するすべての点に対し、直線回帰を行い、
図6(a)に示す回帰直線を導き出す。そして、
図6(b)に示すように、
図6(a)で示される回帰直線の傾き分、インソール20の輪郭を座標平面上で回転させる。
【0040】
次に、ステップ209において、情報処理装置30が、ステップ208における回転後のインソール20の輪郭のうち、踵側略半分の内側部分を構成するすべての点に対し、直線回帰を行い、
図7(a)に示す回帰直線を導き出す。そして、
図7(b)に示すように、
図7(a)で示される回帰直線の傾き分、インソール20の輪郭を座標平面上で回転させる。
【0041】
次に、ステップ210において、情報処理装置30が、ステップ205で読み込んだ画像のRGB値のうち、座標平面上でY軸方向に延びる各直線におけるインソール20の輪郭よりも内側の部分のRGB値をグラフ化する。そして、R値、G値、及びB値のいずれか1つが閾値THを超える一方、残りの2つが閾値TH以下となる領域を、マークMの領域として特定(検出)する。ここで、閾値THは、200に設定されるが、他の適切な値に設定してもよい。
図8(a)中、Bは、Y軸方向に延び、かつロゴマーク21を通過する直線である。直線Bのインソール20の輪郭よりも内側の部分では、
図8(b)~
図8(d)に示すように、ロゴマーク21に相当する箇所で、R値、G値、及びB値のすべてが、閾値THを超えている。
図9(a)中、Cは、Y軸方向に延び、かつマークMを通過する直線である。直線Cのインソール20の輪郭よりも内側の部分では、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、マークMに相当する箇所で、R値及びB値が閾値TH以下となっている。一方、
図9(d)に示すように、マークMに相当する箇所では、G値が閾値THを超えている。
【0042】
そして、ステップ211において、情報処理装置30が、ステップ210で特定されたマークMの領域のうち、Y軸方向両端の距離が最大となる箇所のY軸方向両端の中点を、マークMの位置として特定する。
図10中、D及びEは、ステップ210で特定されたマークMの領域のうち、Y軸方向両端の距離が最大となる箇所のY軸方向両端を示し、Fは、Y軸方向両端の中点を示す。
【0043】
次に、ステップ212において、情報処理装置30が、ステップ211で特定したマークMの位置に対し、ステップ207、ステップ208、及びステップ209でインソール20の輪郭に対して実施した平行移動及び回転を実施する。
【0044】
そして、ステップ213において、情報処理装置30が、ステップ209における回転後のインソール20の輪郭に基づいて、
図11に示すように、当該輪郭の足幅で当該輪郭の足長分延びる枠FLを作成する。そして、情報処理装置30が、ステップ212における平行移動及び回転の実施後のマークMの枠FL内における位置を、インソール20における損傷しやすい位置として特定する。損傷には、劣化による損傷も含まれる。具体的には、マークMと踵(枠FLの下端)との足長方向の間隔が、足長の何%になるか、及びマークMと内甲(枠FLの左端)との足幅方向の間隔が、足幅の何%になるかを特定する。
【0045】
次に、ステップ214において、情報処理装置30が、ステップ213で特定した位置を示す情報を、特徴情報として出力する。そして、出力装置40は、情報処理装置30によって出力された特徴情報を出力する。
【0046】
次に、ステップ215において、インソール20の提供者が、ステップ214で出力された特徴情報を参照し、撮影されたインソール20における特徴情報により示された位置を補強部材で補強する。補強部材は、ポリウレタン(PU:polyurethane)等のへたりにくい材料で構成される。
【0047】
したがって、本実施形態1によると、使用後のインソール20の外観に現れる使用の痕跡に基づいて特徴情報を取得できる。
【0048】
情報処理装置30が、使用後のインソール20の画像に基づいて特徴情報を生成し、特徴情報の生成に動画データを使用する必要がないので、情報処理装置30に設けられる記憶装置の記憶容量を削減できる。また、動画データを得るために、使用者に試験走行をして貰う手間が不要となる。
【0049】
また、マークMは、画像のRGB値に基づいて容易に検出できるので、マークMを使用しない場合に比べ、損傷しやすい位置のより確実な特定を可能にできる。
【0050】
(実施形態1の変形例)
なお、上記実施形態1では、情報処理装置30が、ステップ213で特定した位置を示す情報を、特徴情報として出力したが、ステップ213で特定した位置に基づいて、インソール20の使用者による使用方法の改善方法を示す情報を、特徴情報として出力するようにしてもよい。例えば、インソール20が、ウォーキング用である場合には、使用者による歩き方(使用方法)の改善方法を示す情報を、特徴情報として出力するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態1では、ステップ215において、インソール20の提供者が、撮影されたインソール20を補強したが、インソール本体と当該インソール本体の一部を補強する補強部材とを備えたインソール20全体を新たに提供するようにしてもよい。かかる場合、インソール本体をエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)で構成するとともに、補強部材をポリウレタン等のへたりにくい材料で構成し、当該インソール本体における補強部材による補強箇所を、特徴情報により示された位置とすることにより、インソール20の長寿命化を実現できる。
【0052】
また、上記実施形態1では、情報処理装置30がインソール20の画像に基づいてインソール20に関する特徴情報を出力したが、アウトソールの画像に基づいて、アウトソールにおける損傷しやすい位置を示す特徴情報を出力するようにしてもよい。そして、アウトソールの提供者が、撮影されたアウトソールにおける特徴情報により示された位置を補強するようにしてもよい。また、アウトソールの提供者が、特徴情報により示された位置が補強部材で補強されたアウトソール全体を新たに提供するようにしてもよい。アウトソール全体をゴムで構成する場合、補強部材を、補強部材以外の部分よりも耐摩耗性の優れたゴムで構成することにより、アウトソールの長寿命化を実現できる。
【0053】
また、提供者又は使用者が、シューズのアッパーの破れた箇所及び損傷した箇所にマークMを付した状態でアッパーを撮影し、情報処理装置30が、撮影した画像に基づいて、アッパーにおける損傷しやすい位置を示す特徴情報を出力するようにしてもよい。そして、アッパーの提供者が、撮影されたアッパーにおける特徴情報により示された位置を補強するようにしてもよい。アッパーの補強方法としては、特徴情報により示された位置に樹脂コーティング剤を塗布する方法が挙げられる。また、アッパーの提供者が、特徴情報により示された位置に補強部材が重ねられたアッパー全体を新たに提供するようにしてもよい。
【0054】
また、提供者又は使用者が、すり減ったクリーツにマークMを付した状態でシューズの底面を撮影し、情報処理装置30が、撮影した画像に基づいて、シューズの底面に設けられた複数の樹脂製のクリーツから損傷しやすいクリーツを特定する特徴情報を出力するようにしてもよい。そして、シューズの提供者が、特徴情報により特定されたクリーツを、先端の材料が他のクリーツよりも耐摩耗性の高い材料で構成されたクリーツに交換するようにしてもよい。また、シューズの提供者が、特徴情報により特定されたクリーツとして、先端の材料が他のクリーツよりも耐摩耗性の高い材料で構成されたクリーツを採用した新たなシューズを提供するようにしてもよい。損傷しやすい位置のクリーツの先端の材料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU:Thermoplastic Polyurethane)を採用し、他のクリーツの先端の材料としては、ポリアミドエラストマーを採用できる。
【0055】
なお、上記実施形態1では、マークMを緑色としたが、赤色又は青色としてもよく、インソール20と異なる色であればよい。マークMを緑色、赤色又は青色とすることにより、RGB値に基づくマークMの位置の特定が容易になる。
【0056】
また、インソール20の上面にマークMと同じ色の部分がある場合には、当該部分を黒色で塗りつぶすことにより、マークMの位置の誤検出を防止できる。
【0057】
また、上記実施形態1では、インソール20の上面におけるロゴマーク21を除く領域を黒色としたが、白色としてもよい。かかる場合、ステップ202の撮影時におけるインソール20の背景を黒色とすることで、インソール20の輪郭の特定が容易になる。また、インソール20の上面におけるロゴマーク21を除く領域を黒色及び白色以外の色としてもよい。かかる場合には、ステップ202の撮影時におけるインソール20の背景を、インソール20の外周部と異なる色とすることにより、インソール20の輪郭の特定が可能になる。
【0058】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る情報処理装置30を備えた情報処理システム100は、
図12に示す手順により、打撃用具としてのバットに関する特徴情報を取得するのに用いられる。本実施形態2に係る情報処理装置30の機能は、実施形態1の情報処理装置30とは異なるプログラムをCPUに実行させることにより実現される。
【0059】
まず、ステップ301において、提供者又は使用者が、スマートフォン10のカメラ11により、使用後の黒色のバットの先端部分を撮影する。
【0060】
次に、ステップ302において、スマートフォン10が、インターネット通信機能や無線LANの機能によって、ステップ301で撮影した画像を情報処理装置30に送信する。
【0061】
そして、ステップ303において、情報処理装置30が、インターネット通信機能や無線LANの機能によって、ステップ302で送信された画像を受信する。
【0062】
次に、ステップ304において、情報処理装置30が、ステップ303で受信した画像の二値化画像を生成(取得)する。
図13(a)は、ステップ304で生成される二値化画像を示す。
【0063】
次に、ステップ305において、情報処理装置30が、ステップ304で生成した二値化画像に対し、新品(使用前)のバットの二値化画像から増加した白色の画素(変色箇所)の検出を行う。そして、検出した白色の画素の分布を、打点位置の分布として推定する。具体的には、バットの先端部分を長手方向に分割した各部位について、各部位で増加した白色の画素の数が、増加した白色の全部の画素の数に対して占める割合を算出する。ここで参照される新品のバットの二値化画像は、情報処理装置30によって予め記憶されている。
図13(b)は、ステップ305で推定される打点位置の分布を示す。このように、打点位置の分布を推定するために、使用前のバットの二値化画像を参照するので、二値化画像において白色となる柄がバットに設けられた場合でも、打点位置の分布を適切に推定できる。
【0064】
次に、ステップ306において、情報処理装置30が、打点位置(増加した白色の画素の数)の割合が最も大きい部位を、バットにおける損傷しやすい位置として特定する。
図13(b)中、ステップ306で特定された部位における打点位置の割合を○で囲んでいる。
【0065】
次に、ステップ307において、情報処理装置30が、3種類のバットA~Cから、ステップ306で特定された部位の長手方向中央における反発係数が最も高いバットを選択する。そして、情報処理装置30は、選択したバットを特定する情報を特徴情報として出力する。
図14(a)及び
図14(b)は、バットA~Cの各位置における反発係数を示す。先端からの長さが4.5~5.5インチの部位がステップ306で特定された場合、バットA~Cの先端から5インチの位置における反発係数は、順に、0.50、0.51、0.52であるので、バットCが選択される。そして、出力装置40が、情報処理装置30によって出力された特徴情報を出力する。これにより、使用者又は提供者は、出力装置40により出力された特徴情報を取得することにより、使用者にとって最適なバットの種類を認識できる。
【0066】
その他の情報処理システム100の構成は、実施形態1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0067】
(実施形態2の変形例)
上記実施形態2では、ステップ307において、情報処理装置30が、3種類のバットA~Cから、ステップ306で特定された部位における反発係数が最も高いバットを選択するようにしたが、反発係数の期待値が最も大きくなるバットを選択するようにしてもよい。反発係数の期待値は、バットの各部位の長手方向中央における反発係数と、ステップ305で算出された打点位置の割合との積の総和である。例えば、上記実施形態2のバットA~Cの期待値は、順に0.492、0.500、0.498であるので、期待値が最も高いバットBが選択される。
【0068】
また、上記実施形態2では、撮影した画像に対し、白色の画素の検出を行うことにより、バットにおける損傷しやすい位置を特定したが、実施形態1と同様に、白くなった箇所(変色箇所)にマークMを付した状態でバットの撮影を行い、撮影した画像に対してマークMの検出を行うことにより、損傷しやすい位置を特定するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態2では、バットを撮影した画像に対し、変色箇所の検出を行ったが、変形箇所の検出を行い、検出した変形箇所を、損傷しやすい位置として特定するようにしてもよい。例えば、バットを撮影した画像におけるバットの輪郭のアール(丸みの半径)が急激に変動する箇所を、変形箇所として検出するようにしてもよい。
【0070】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る情報処理装置30を備えた情報処理システム100は、
図15に示す手順により、打撃用具としてのゴルフクラブに関する特徴情報を取得するのに用いられる。本実施形態3に係る情報処理装置30の機能は、実施形態1の情報処理装置30とは異なるプログラムをCPUに実行させることにより実現される。
【0071】
まず、ステップ401において、提供者又は使用者が、スマートフォン10のカメラ11により、使用後のゴルフクラブのヘッドのフェース面を撮影する。
【0072】
次に、ステップ402において、スマートフォンが、インターネット通信機能や無線LANの機能によって、ステップ401で撮影した画像を情報処理装置30に送信する。
【0073】
そして、ステップ403において、情報処理装置30が、インターネット通信機能や無線LANの機能によって、ステップ402で送信された画像を受信する。
【0074】
次に、ステップ404において、ステップ403で受信した画像のRGB値を、情報処理装置30が読み込み、読み込んだRGB値に基づいて、撮影されたフェース面の輪郭を推定する。
図16に、推定されたフェース面の輪郭OLを示す。なお、輪郭OLの推定は、既知のエッジ検出の手法により行える。
【0075】
次に、ステップ405において、情報処理装置30が、ステップ404で推定したフェース面の輪郭OLに基づいて、フェース面の寸法データを取得する。寸法データは、例えば、フェース面の左右方向の幅(フェース面における左右方向に最も幅広な箇所の幅)、フェース面の上下方向の長さ(フェース面における上下方向に最も長い箇所の長さ)、及びフェース面の重心位置(図心)等を示すデータである。なお、ゴルフクラブがフェース面の輪郭OLの検知が不可能なアイアン等である場合には、最も長いスコアラインの長さと、最上のスコアライン及び最下のスコアラインの長さの差分とに基づいてフェース面を推測することにより、寸法データを取得してもよい。
【0076】
次に、ステップ406において、情報処理装置30が、ステップ405で取得した寸法データと、複数種類のゴルフクラブの寸法データとの差分を算出する。複数種類のゴルフクラブの寸法データは、情報処理装置30によって予め記憶されている。
【0077】
次に、ステップ407において、情報処理装置30が、ステップ406で算出された差分が最も小さくなるゴルフクラブを複数種類のゴルフクラブから特定し、特定したゴルフクラブを特定ゴルフクラブとする。
【0078】
次に、ステップ408において、情報処理装置30が、特定ゴルフクラブの商品名を出力装置40に出力させる。使用者は、出力装置40に出力された商品名を確認し、商品名が正しいこと、商品名が正しくないこと、及び商品名が正しいか否か不明であることのいずれか1つを示す入力を情報処理装置30に対して行う。
【0079】
次に、ステップ409において、情報処理装置30が、ステップ408で行われた入力が商品名が正しくないことを示すものである場合には、ステップ410に進む一方、ステップ408で行われた入力が商品名が正しいこと、又は商品名が正しいか否か不明であることを示すものである場合には、ステップ412に進む。
【0080】
ステップ410では、情報処理装置30が、商品名が正しくないことを示す入力を情報処理装置30が受け付けた回数が、1回であるか否かを判定し、1回である場合には、ステップ411に進む一方、2回以上である場合には、ステップ412に進む。
【0081】
ステップ411では、情報処理装置30が、ステップ406で算出された差分が2番目に(次に)小さくなるゴルフクラブを複数種類のゴルフクラブから特定し、特定したゴルフクラブを特定ゴルフクラブとし、ステップ408に進む。
【0082】
ステップ412では、情報処理装置30が、ステップ404で取得した寸法データに基づいて、フェース面の重心(図心)を、
図16に示すフェースセンターFCとして特定する。そして、フェースセンターFCを中心として、ステップ404で推定した輪郭OLに囲まれた領域を、3行3列の9つの領域A~Iに分割する。最も上の行には、領域A~Cがシャフト側から順に並び、中央の行には、領域D~Fがシャフト側から順に並び、最も下の行には、領域G~Iがシャフト側から順に並んでいる。領域B,E,Hの左右方向の幅は、フェース面の左右方向の幅(フェース面における左右方向に最も幅広な箇所の幅)の1/3、領域D~Fの上下方向の長さは、フェース面の上下方向の長さ(フェース面における上下方向に最も長い箇所の長さ)の1/3となる。次に、ステップ413において、情報処理装置30が、ステップ403で受信した画像の二値化画像を生成(取得)する。
図17は、ステップ413で生成される二値化画像を示す。
【0083】
次に、ステップ414において、情報処理装置30が、ステップ413で生成した二値化画像に対し、使用前の特定ゴルフクラブの二値化画像から増加した白色の画素(変色箇所)の検出を行う。そして、各領域A~Iで検出された白色の画素の数を取得する。ここで参照される特定ゴルフクラブの二値化画像は、情報処理装置30によって予め記憶されている。
【0084】
最後に、ステップ415において、情報処理装置30が、領域A~Iのうち、ステップ414で取得された白色の画素の数が最も多い領域を、損傷しやすい位置として特定し、特定した領域を示す情報を特徴情報として出力する。そして、出力装置40が、情報処理装置30によって出力された特徴情報を出力する。これにより、使用者及び提供者は、出力装置40により出力された特徴情報を参照することにより、使用者のスイング(使用方法)には、特徴情報により示される位置にボールを当て易い傾向があることを認識できる。
【0085】
その他の情報処理システム100の構成は、実施形態1と同じであるので、その詳細な説明を省略する。
【0086】
(実施形態3の変形例)
上記実施形態3では、情報処理装置30が、領域A~Iから選択した領域を特定する情報を特徴情報として出力したが、各領域A~Iで検出された白色の画素の数に基づいて、使用者に適したゴルフクラブの重量を算出し、算出した重量を特定する情報を特徴情報として出力するようにしてもよい。より詳しくは、例えば、
図16における領域B(フェース上打点)で検出された白色の画素の数の割合が多い場合は、所定の重量(予め記憶された特定グラフクラブの重量等)よりも軽い重量を算出する一方、
図16における領域H(フェース下打点)で検出された白色の画素の数の割合が多い場合は、所定の重量(予め記憶された特定グラフクラブの重量等)よりも重い重量を算出するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態3では、情報処理装置30が、ゴルフクラブのヘッドのフェース面を撮影した画像に対して変色箇所の検出を行い、フェース面の領域A~Iから選択した領域を特定する情報を特徴情報として出力した。しかし、使用後のアイアンゴルフクラブのヘッドのソール面を撮影した画像に対して白色の画素(変色箇所)の検出を行い、ソール面に設けた複数の領域で検出された白色の画素の数に基づいて、使用者に適したゴルフクラブのライ角を算出し、算出したライ角を特徴情報として出力するようにしてもよい。例えば、
図18に示すように、ソール面に3つの領域L~Nをヒール側から順に設けた場合、アイアンゴルフクラブのソールのヒール側(シャフト側)の領域Lで検出された白色の画素の数の割合(検出された全ての白色の画素の数に対して占める割合)が最も大きい場合には、領域Lを損傷しやすい位置として特定し、撮影されたアイアンゴルフクラブのライ角から所定値を減算した値を新たなライ角として出力する。その一方で、アイアンゴルフクラブのソールのトウ側(反シャフト側)の領域Nで検出された白色の画素の数の割合が最も大きい場合には、領域Nを損傷しやすい位置として特定し、撮影されたアイアンゴルフクラブのライ角に所定値を加算した値を新たなライ角として出力する。また、アイアンゴルフクラブのソールのセンター領域Mで検出された白色の画素の数の割合が最も大きい場合には、領域Mを損傷しやすい位置として特定し、撮影されたアイアンゴルフクラブのライ角をそのまま出力する。
【0088】
また、上記実施形態3では、情報処理装置30が、ゴルフクラブのフェース面におけるボールが良く当たる領域を特定する情報を、特徴情報として出力するようにしたが、ボールが良く当たる領域の反発係数が最も高いゴルフクラブ、又は反発係数の期待値が最も大きくなるゴルフクラブを複数種類のゴルフクラブから選択し、選択したゴルフクラブを特定する情報を、特徴情報として出力するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態3では、フェース面における損傷しやすい位置の特定を、撮影した画像に対する白色の画素の検出により行ったが、撮影時に付されたマークMの検出により行うようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態1~3では、本発明をシューズ、バット、又はゴルフクラブに適用したが、本発明は、野球のグローブ等、他のスポーツ用品にも適用できる。本発明を野球のグローブに適用する場合には、情報処理装置30に、野球のグローブにおける傷の多い箇所を、損傷しやすい位置として特定させ、特定した位置を示す情報を、特徴情報として出力させることができる。これにより、使用者又は提供者は、特徴情報を参照し、使用者の捕球動作の癖、及び使用者に提供するグローブにおいて強度が求められる箇所を知ることができる。
【0091】
また、上記実施形態1~3では、スポーツ用品における損傷しやすい位置の特定に、スポーツ用品自体の画像を用いたが、スポーツ用品の使用中に当該スポーツ用品に装着された装着ツールの画像を用いるようにしてもよい。例えば、装着ツールとして感圧紙を装着した状態でインソール、アウトソール、又はバットを使用し、使用後の感圧紙の画像と使用前の感圧紙の画像(外観データ)との差分に基づいて、圧力が大きく作用した位置を損傷しやすい位置として特定するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態1~3では、スポーツ用品における損傷しやすい位置の特定に、カメラ11で撮影した画像を用いたが、スキャナから取り込んだ画像を用いてもよい。
【0093】
また、上記実施形態1~3では、情報処理装置30が、スポーツ用品の画像の取得を、無線通信により行ったが、有線通信、又は記録媒体からの読み出しにより行ってもよい。
【0094】
また、上記実施形態1~3では、スマートフォン10とは別に、情報処理装置30を設けたが、本発明に係る情報処理装置30の機能を、スマートフォン10に持たせてもよい。つまり、本発明に係る情報処理装置30の機能を、スマートフォン10にアプリケーションプログラムを実行させることにより実現するようにしてよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、スポーツ用品、及び前記スポーツ用品の使用者による使用方法の少なくとも一方に関する特徴情報を出力する情報処理方法、情報処理装置、及び情報処理プログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0096】
20 インソール(スポーツ用品、シューズの構成部品)
30 情報処理装置(画像取得部、位置特定部、情報出力部)
M マーク