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特許7320981ルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚、後調整機能付きルームユニット支持脚
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚、後調整機能付きルームユニット支持脚
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20230728BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
E04H1/02
E04H1/12 301
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019087859
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020183650
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517382895
【氏名又は名称】J建築研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】蓮尾 孝一
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 悠生
(72)【発明者】
【氏名】手塚 慎一
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-136635(JP,A)
【文献】特開2017-193829(JP,A)
【文献】特開2006-265925(JP,A)
【文献】実開昭57-038042(JP,U)
【文献】実開昭57-027026(JP,U)
【文献】特開平11-241413(JP,A)
【文献】実公平03-051466(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/14
E04G 21/14 -21/22
E04B 1/348
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブと前記ルームユニットとの間に配置される伸縮可能なルームユニット支持脚に取り付けられるルームユニット支持脚用後調整部材であって、
前記ルームユニット支持脚に接する底面と、前記ルームユニットに対面する天面との間の高さが伸長可能な伸長部と、該伸長部の伸長を前記ルームユニットの外側から行う伸長操作手段と、を備え、
前記伸長部は、前記高さ方向に傾斜した第1傾斜面を有する第1傾斜部材と、前記高さ方向に傾斜し、前記第1傾斜面に対して移動可能に接する第2傾斜面を有し、該第2傾斜面の傾斜方向が前記第1傾斜面に対して逆になるように配された第2傾斜部材とを備えたことを特徴とするルームユニット支持脚用後調整部材。
【請求項2】
前記伸長操作手段は、前記第1傾斜面に対する前記第2傾斜面の接する位置を傾斜方向に沿って可変させる操作部材を有することを特徴とする請求項記載のルームユニット支持脚用後調整部材。
【請求項3】
建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブと前記ルームユニットとの間に配置される伸縮可能なルームユニット支持脚に取り付けられ、前記ルームユニット支持脚に接する底面と、前記ルームユニットに対面する天面との間の高さが伸長可能な伸長部と、該伸長部の伸長を前記ルームユニットの外側から行う伸長操作手段と、を備えたルームユニット支持脚用後調整部材と、前記ルームユニット支持脚とを有する後調整部材付きルームユニット支持脚であって、
前記ルームユニット支持脚は、前記床スラブに接する第1底板および該第1底板から立ち上がる第1側壁を有する第1基体と、該第1基体の上面を覆い、前記ルームユニット支持脚用後調整部材が設けられる第1天板および該第1天板から垂下し前記第1側壁に摺動可能に接する第2側壁を有する第1蓋体と、を備え、
前記第1底板、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1天板によって内部空間が区画され、
前記第1基体に対して前記第1蓋体を鉛直方向に沿った任意の高さ位置で固定することにより前記ルームユニットの設置高さを調整可能にすることを特徴とする後調整部材付きルームユニット支持脚。
【請求項4】
前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1天板のうち少なくとも1つには、前記内部空間に連通する第1貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項記載の後調整部材付きルームユニット支持脚。
【請求項5】
建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める後調整機能付きルームユニット支持脚であって、
前記床スラブに接する第2底板および該第2底板から立ち上がる第3側壁を有する第2基体と、該第2基体の上面を覆い、前記ルームユニットに接する第2天板および該第2天板から垂下し前記第3側壁に摺動可能に接する第4側壁を有する第2蓋体と、を備え、
前記第2底板、前記第3側壁、前記第4側壁、前記第2天板によって内部空間が区画され、
前記第3側壁、及び前記第4側壁は円周面を成し、前記円周面には周回方向に沿ってネジ溝が形成され、
前記第2蓋体を前記ルームユニットの外側から回転させる回転操作手段が形成され、前記第2基体に対して前記第2蓋体を鉛直方向に沿った任意の高さ位置で固定することにより前記ルームユニットの設置高さを調整可能にすることを特徴とする後調整機能付きルームユニット支持脚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内設備をユニット化したルームユニットを建築物の床スラブ上に設置する際に、ルームユニットの高さ位置を調節するためのルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚、後調整機能付きルームユニット支持脚、およびルームユニットの設置高さ調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマンションやホテルなどの建築物では、システムキッチン,トイレ,バスユニット,洗面化粧台,クローゼットなどの屋内設備を、それぞれ独立した部材として搬入して建築現場で組み立て、建物躯体に据え付けていた。しかし、このような屋内設備の構成部品を現場で組み立てて据え付ける工法では、人件費の増大による建設コストの上昇、工事期間の長期化、品質のバラツキ等、様々な課題が生じている。
【0003】
上述した課題を解決する方法として、予め工場などで屋内設備などを組み込んだルームユニットを製造し、このルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。こうしたルームユニットを用いることにより、建築現場では、複数のルームユニットを設置して互いに連結し、必要に応じてルームユニットに電気配線や上下水道の配管を接続するだけで、短期間に屋内設備(内装)を完成させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-312168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法では、建築物の床スラブが必ずしも均一な水平面であるとは限らないため、隣接配置するルームユニットどうしの高さ位置を合致させて、ユニット床面どうしを段差なく接続するための高さ調節に多くの手間が掛かるという課題があった。
特に、ルームユニットの設置前に床スラブ上にルームユニットを水平に支持するための支持部材などを複数配置したとしても、ルームユニットの設置後にこれら複数の支持部材のうち、いくつかの支持部材はルームユニットとの間に隙間が生じてしまうこともある。この場合、特定の支持部材にルームユニットの荷重が過剰に加わり、支持部材の破損やルームユニットの歪みなどを生じさせる懸念もある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法において、ルームユニットの設置高さ位置の調節を容易にして、短時間で効率的にルームユニットの設置を可能にするルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚、後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニットの設置高さ調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明のルームユニット支持脚用後調整部材は、建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブと前記ルームユニットとの間に配置される伸縮可能なルームユニット支持脚に取り付けられるルームユニット支持脚用後調整部材であって、前記ルームユニット支持脚に接する底面と、前記ルームユニットに対面する天面との間の高さが伸長可能な伸長部と、該伸長部の伸長を前記ルームユニットの外側から行う伸長操作手段と、を備え、前記伸長部は、前記高さ方向に傾斜した第1傾斜面を有する第1傾斜部材と、前記高さ方向に傾斜し、前記第1傾斜面に対して移動可能に接する第2傾斜面を有し、該第2傾斜面の傾斜方向が前記第1傾斜面に対して逆になるように配された第2傾斜部材とを備えたことを特徴とする
【0011】
また、本発明では、前記伸長操作手段は、前記第1傾斜面に対する前記第2傾斜面の接する位置を傾斜方向に沿って可変させる操作部材を有していてもよい。
【0012】
本発明の後調整部材付きルームユニット支持脚は、建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブと前記ルームユニットとの間に配置される伸縮可能なルームユニット支持脚に取り付けられ、前記ルームユニット支持脚に接する底面と、前記ルームユニットに対面する天面との間の高さが伸長可能な伸長部と、該伸長部の伸長を前記ルームユニットの外側から行う伸長操作手段と、を備えたルームユニット支持脚用後調整部材と、前記ルームユニット支持脚とを有する後調整部材付きルームユニット支持脚であって、前記ルームユニット支持脚は、前記床スラブに接する第1底板および該第1底板から立ち上がる第1側壁を有する第1基体と、該第1基体の上面を覆い、前記ルームユニット支持脚用後調整部材が設けられる第1天板および該第1天板から垂下し前記第1側壁に摺動可能に接する第2側壁を有する第1蓋体と、を備え、前記第1底板、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1天板によって内部空間が区画され、前記第1基体に対して前記第1蓋体を鉛直方向に沿った任意の高さ位置で固定することにより前記ルームユニットの設置高さを調整可能にすることを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、前記第1側壁、前記第2側壁、前記第1天板のうち少なくとも1つには、前記内部空間に連通する第1貫通孔が形成されていてもよい。
【0014】
本発明の後調整機能付きルームユニット支持脚は、建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める後調整機能付きルームユニット支持脚であって、前記床スラブに接する第2底板および該第2底板から立ち上がる第3側壁を有する第2基体と、該第2基体の上面を覆い、前記ルームユニットに接する第2天板および該第2天板から垂下し前記第3側壁に摺動可能に接する第4側壁を有する第2蓋体と、を備え、前記第2底板、前記第3側壁、前記第4側壁、前記第2天板によって内部空間が区画され、前記第3側壁、及び前記第4側壁は円周面を成し、前記円周面には周回方向に沿ってネジ溝が形成され、前記第2蓋体を前記ルームユニットの外側から回転させる回転操作手段が形成され、前記第2基体に対して前記第2蓋体を鉛直方向に沿った任意の高さ位置で固定することにより前記ルームユニットの設置高さを調整可能にすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明では、前記回転操作手段は、一端が前記第2蓋体に係着された紐状体であってもよい。
【0016】
本発明の後調整機能付きルームユニット支持脚は、建築物の床スラブの上にルームユニットを設置する際に、前記床スラブに設置され、前記ルームユニットを受け止める後調整機能付きルームユニット支持脚であって、前記床スラブに接する第3底板および該第3底板から立ち上がる第4側壁を有する第3基体と、該第3基体の上面を覆い、前記ルームユニットに接する第3天板および該第3天板から垂下し前記第4側壁に摺動可能に接する第5側壁を有する第3蓋体と、を備え、前記第3底板、前記第4側壁、前記第5側壁、前記第3天板によって内部空間が区画され、前記第4側壁には前記内部空間に連通する管状部が形成され、前記第3天板の中央部分には凹部が形成され、該凹部の周縁には前記内部空間に連通する第2貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明のルームユニットの設置高さ調整方法は、前記各項記載の後調整部材付きルームユニット支持脚を用いたルームユニットの設置高さ調整方法であって、複数の前記後調整部材付きルームユニット支持脚を所定の間隔で前記床スラブに設置する設置工程と、複数の前記後調整部材付きルームユニット支持脚をそれぞれ構成する前記ルームユニット支持脚の前記第1基体に対して前記第1蓋体を任意の高さ位置に調整する前調整工程と、複数の前記後調整部材付きルームユニット支持脚に支持させるように前記ルームユニットを載置するルームユニット載置工程と、複数の前記後調整部材付きルームユニット支持脚のうち、前記ルームユニットと前記ルームユニット支持脚用後調整部材の前記天面との間に隙間が生じている前記後調整部材付きルームユニット支持脚について、前記伸長操作手段によって、前記天面が前記ルームユニットに接する位置まで前記伸長部を伸長させる後調整工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ルームユニットを建築物の床スラブ上に複数設置する工法において、ルームユニットの設置高さ位置の調節を容易にして、短時間で効率的にルームユニットの設置を可能にするルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚、後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニットの設置高さ調整方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のルームユニット支持脚用後調整部材を備えた後調整部材付きルームユニット支持脚とこれに支持されたルームユニットとを示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。
図3図2に示す後調整部材付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
図4】後調整部材付きルームユニット支持脚を構成するルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。
図5図5は、図4に示すルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
図6】本発明の第2実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。
図7図6に示す後調整部材付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
図8】第2実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚の動作を示す断面図である。
図9】本発明の第1実施形態の後調整機能付きルームユニット支持脚を示す斜視図である。
図10図9に示す後調整機能付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
図11】本発明の一実施形態のルームユニットの設置高さ調整方法を段階的に示した説明図である。
図12】本発明の一実施形態のルームユニットの設置高さ調整方法を段階的に示した説明図である。
図13】本発明の一実施形態のルームユニットの設置高さ調整方法を段階的に示した説明図である。
図14】本発明の一実施形態のルームユニットの設置高さ調整方法を段階的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態のルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚、後調整機能付きルームユニット支持脚、ルームユニットの設置高さ調整方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0021】
(ルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚:第1実施形態)
図1は、本発明のルームユニット支持脚用後調整部材を備えた後調整部材付きルームユニット支持脚とこれに支持されたルームユニットとを示す斜視図である。
本実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚1は、建築物の床スラブS上に予め設定された支持脚設置位置に設置され、例えばルームユニットUの下側梁UBに接して、床スラブSから所定の高さ位置でルームユニットUを支持する。こうした後調整部材付きルームユニット支持脚1は、下側梁UBに沿って所定の間隔をあけて複数個配置され、複数個の後調整部材付きルームユニット支持脚1,1…によってルームユニットUを支持する。例えば、1つの重量が3トン~5トン程度のルームユニットUを、12個~15個の後調整部材付きルームユニット支持脚1によって支持する。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。図3は、図2に示す後調整部材付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
後調整部材付きルームユニット支持脚1は、本発明のルームユニット支持脚用後調整部材2と、ルームユニット支持脚10とを備えている。なお、ルームユニット支持脚用後調整部材2とルームユニット支持脚10とは、互いに一体に形成されていても、それぞれ個別に形成されたものを接合したものであってもよい。本実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚1は、ルームユニット支持脚用後調整部材2とルームユニット支持脚10とが互いに分離可能に形成されている。
【0023】
ルームユニット支持脚用後調整部材2は、例えば略筒状を成す中空体(伸長部)3を備えている。中空体(伸長部)3は、ルームユニット支持脚10に接する底面3aと、ルームユニットU(図1参照)に対面する天面3bとの間の高さが伸長可能にされている。本実施形態では、中空体(伸長部)3の周面3rは、伸縮自在な蛇腹状に形成されている。
【0024】
中空体(伸長部)3は、蛇腹状の周面3r、底面3a、および天面3bで区画された内部空間E1に気体や液体などの流体を注入することで、内部空間E1の体積を高さ方向に膨張させ、底面3aと天面3bとの間の高さを伸長させることができる。本実施形態では、流体として機械油を用い、油圧によって中空体(伸長部)3の内部空間E1を膨張させている。なお、内部空間E1に導入する流体としては、機械油以外にも、スラリー状のセメント、未硬化の接着剤、圧搾空気なとを用いることができ、流体の種類が限定されるものでは無い。
【0025】
中空体(伸長部)3には、一端が内部空間E1に接続され他端がルームユニットU(図1参照)の外側に延びる流体注入管5が形成されている。即ち、流体注入管5の他端は、ルームユニットUを上から俯瞰した時に、ルームユニットUの外周面よりも外側に位置するように形成されている。本実施形態の流体注入管5は、例えば耐圧性および耐油性のチューブから構成される。また、この流体注入管5の一端側には、逆止弁9が形成されていることが好ましい。
【0026】
また、流体注入管5の他端は、ルームユニットUの外側から機械油を注入作業が可能な位置まで延びている。そして、流体注入管5の他端には、この流体注入管5を介して中空体(伸長部)3の内部空間E1に流体である機械油を注入するための流体注入部6が接続されている。本実施形態では、流体注入部6は、例えば、油槽Tと、油圧送ポンプPなどから構成されていればよい。本実施形態では、こうした流体注入管5および流体注入部6によって、中空体(伸長部)3の伸長をルームユニットUの外側から行う伸長操作手段7を構成している。
【0027】
図4は、後調整部材付きルームユニット支持脚を構成するルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。図5は、図4に示すルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
ルームユニット支持脚10は、外形形状が略円筒形を成し、上面11tが例えば開放面を成す第1基体11と、第1基体11の上面(開放面)11tを覆う第1蓋体21とを有する。第1基体11は、使用時において床スラブSに接する第1底板12と、この第1底板12から立ち上がり、所定の領域、本実施形態では円柱状の空間を区画する円筒形の第1側壁13とを備えている。なお、この第1底板12と第1側壁13とは、同一の材料、例えば硬質樹脂で一体に形成されていればよい。
【0028】
第1底板12の第1側壁13よりも外側には、複数の係合穴14が形成されている。こうした係合穴14に、第1底板12と床スラブSとを結合させる締結部材G、例えばコンクリート釘やネジを貫通させることで、第1基体11を床スラブSに締結させることができる。なお、こうした係合穴14を特に設けずに、両面テープなどでルームユニット支持脚10を床スラブSに固定することもできる。
【0029】
第1基体11の第1側壁13の内周面(円周面)13aには、内周面13aの周回方向に沿って螺旋状に内ネジ(ネジ溝)16が形成されている。こうした内ネジ(ネジ溝)16は、本実施形態のように内周面13a全体に形成されている以外にも、例えば、上面11tから第1底板12に向かって所定の範囲まで形成されていてもよい。
【0030】
第1蓋体21は、第1基体11の開放面である上面11tを覆う第1天板22と、この第1天板22から垂下し、第1基体11の第1側壁13の内周面13aに対して摺動可能に接する円筒形の第2側壁23とを備えている。なお、この第1天板22と第2側壁23とは、同一の材料、例えば硬質樹脂で一体に形成されていればよい。
【0031】
第1天板22は、例えば円板状の部材であり、この第1天板22の上面22aに、前述したルームユニット支持脚用後調整部材2が形成されている。ルームユニット支持脚10を構成する第1天板22と、ルームユニット支持脚用後調整部材2を構成する中空体(伸長部)3の底面3aとは、一体に形成されていても、着脱自在に形成されていても良い。ルームユニット支持脚用後調整部材2をルームユニット支持脚10とは別体に用いる場合には、ルームユニット支持脚10の第1天板22の上面22aに、ルームユニット支持脚用後調整部材2を係止するための係止部材(図示略)などが形成されていることも好ましい。
【0032】
ルームユニット支持脚用後調整部材2をルームユニット支持脚10とは別体に形成する場合、ルームユニット支持脚10の第1天板22には、上面22aと、第1蓋体21の内面を成す下面22bとの間を貫通し、後述する内部空間E2に連通する第1貫通孔を成す注入孔(第1貫通孔)24と空気孔(第1貫通孔)25とが形成されている。本実施形態では、注入孔24は、第1天板22の中心に1箇所形成され、また空気孔25は、第1天板22の周縁の近くに等間隔で4箇所形成されている。なお、本実施形態では、第1貫通孔として注入孔24と空気孔25とを形成しているが、これらを兼用した径の大きい第1貫通孔とすることもできる。
【0033】
第1蓋体21を構成する第1天板22に形成された注入孔(第1貫通孔)24は、第1基体11の第1底板12および第1側壁13と、第1蓋体21の第1天板22および第2側壁23とで区画されるルームユニット支持脚10の内部空間E2に硬化性材料Bを充填するための穴である。また、空気孔(第1貫通孔)25は、内部空間E2に硬化性材料Bを充填する際に、内部空間E2の空気をルームユニット支持脚10の外部に出すための穴である。なお、こうした注入孔24や空気孔25の形成数や形成位置は本実施形態に限らず、任意の位置に任意の数だけ形成することができる。
【0034】
なお、ルームユニット支持脚用後調整部材2とルームユニット支持脚10とが一体に形成された後調整部材付きルームユニット支持脚1の場合には、上述した注入孔(第1貫通孔)24や空気孔(第1貫通孔)25は、ルームユニット支持脚用後調整部材2の中空体(伸長部)3に重ならない第1蓋体21の第2側壁23などに形成されていればよい。
【0035】
第1蓋体21の第2側壁23の外周面(円周面)23bには、外周面23bの周回方向に沿って螺旋状に外ネジ(ネジ溝)26が形成されている。こうした外ネジ(ネジ溝)26は、第1基体11の第1側壁13に形成された内ネジ(ネジ溝)16と螺合する。これにより、例えば、床スラブSに固定された第1基体11に対して、第1蓋体21を回転させることにより、第1天板22の高さ位置、即ち、ルームユニット支持脚10の高さを自在に可変させることができる。
【0036】
なお、後調整部材付きルームユニット支持脚1を構成するルームユニット支持脚10は、使用時において、第1蓋体21を回転させて高さ位置を調節した後、注入孔24から内部空間E2内を埋める(閉塞する)ように、硬化前の流動性の硬化性材料Bが充填され、その後、硬化される。こうした硬化性材料Bを内部空間E2内に充填、および硬化させることで、ルームユニット支持脚10の強度が保たれ、かつ、第1蓋体21の回動を防止する。硬化性材料Bとしては、例えば、2液混合によって硬化する硬化剤や、熱や紫外線を加えることによって硬化する硬化剤や水和反応によって硬化する硬化剤など、各種の硬化剤が適用可能であり、限定されるものでは無い。
【0037】
以上のような構成の後調整部材付きルームユニット支持脚1は、第1基体11に対して第1蓋体21を鉛直方向に沿った任意の高さ位置で固定することによりルームユニットUの設置高さを調整可能にする。即ち、第1蓋体21を回転させて複数のルームユニット支持脚10の高さを揃えた後、注入孔24から内部空間E2内に流動性の硬化性材料Bを充填して硬化させる。
【0038】
そして、ルームユニット支持脚10にルームユニット支持脚用後調整部材2を重ねて載置してからルームユニットUを設置するだけで、ルームユニットUの設置高さ位置を容易に所望の位置にすることが可能になる。これによって、ルームユニットUの設置高さ位置の調整が容易になり、床スラブS上に、互いの設置高さ位置が揃った複数のルームユニットUを短時間で効率的に設置することが可能になる。
【0039】
そして、複数の後調整部材付きルームユニット支持脚1に渡ってルームユニットUを設置したのち、特定の後調整部材付きルームユニット支持脚1のルームユニット支持脚用後調整部材2とルームユニットUとの間に隙間が形成されている場合には、隙間が生じた後調整部材付きルームユニット支持脚1のルームユニット支持脚用後調整部材2を用いてこの隙間を解消する。
【0040】
即ち、ルームユニットUとの間に隙間が生じているルームユニット支持脚用後調整部材2の中空体(伸長部)3の内部空間E1に、流体注入部6から流体注入管5を介して流体、例えば機械油を注入する。これによって中空体(伸長部)3の内部空間E1が油圧によって高さ方向に膨張する。
【0041】
そして、中空体(伸長部)3の天面3bがルームユニットUの下側梁UBに接するまで中空体(伸長部)3を膨張させれば、ルームユニットUとルームユニット支持脚用後調整部材2の間の隙間を解消できる。全ての後調整部材付きルームユニット支持脚1が隙間なくルームユニットUに接することで、ルームユニットUが傾くことなく水平に安定して支持でき、かつ特定の後調整部材付きルームユニット支持脚1に過剰な荷重が加わることを防止できる。
【0042】
(ルームユニット支持脚用後調整部材、後調整部材付きルームユニット支持脚:第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚を示す外観斜視図である。図7は、図6に示す後調整部材付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
なお、本実施形態では、後調整部材付きルームユニット支持脚を構成するルームユニット支持脚は、第1実施形態と同様のものを用いており、重複する詳細な説明は省略する。
本実施形態では、後調整部材付きルームユニット支持脚31は、ルームユニット支持脚10と、ルームユニット支持脚用後調整部材32とから構成されている。
【0043】
ルームユニット支持脚用後調整部材32は、互いに対面して摺動可能に形成された第1傾斜部材34と第2傾斜部材35とを有する伸長部33を備えている。
第1傾斜部材34は、例えば一面が傾斜面を成す矩形で略平板状の部材であり、全体が例えば樹脂材料で形成されている。第1傾斜部材34は、他面34bに対して所定の角度で高さ方向に傾斜した第1傾斜面34aを有する。第1傾斜部材34の他面34bは、ルームユニット支持脚10の第1蓋体21に接する。
【0044】
第2傾斜部材35は、例えば一面が傾斜面を成す矩形で略平板状の部材であり、全体が例えば樹脂材料で形成されている。第2傾斜部材35は、他面35bに対して所定の角度で高さ方向に傾斜した第2傾斜面35aを有する。第2傾斜部材35の他面35bは、ルームユニットUの下側梁UB(図1参照)に接する。即ち、第1傾斜部材34の他面34bと第2傾斜部材35の他面35bとは、後調整部材付きルームユニット支持脚31の使用時においては、略水平に広がる面となる。
【0045】
第1傾斜部材34の第1傾斜面34aと第2傾斜部材35の第2傾斜面35aとは、傾斜方向が互いに逆方向になるように傾斜している。これにより、第1傾斜面34aと第2傾斜面35aとが摺動可能に接した状態では、第1傾斜部材34の他面34bと第2傾斜部材35の他面35bとは互いに平行な略水平面を成す。
【0046】
このように、第1傾斜部材34と第2傾斜部材35とは、互いに傾斜面どうしを向き合わせることによって、例えば、図8に示すように、第1傾斜部材34に対して第2傾斜部材35を第2傾斜面35aに沿って摺動させることで、第1傾斜部材34と第2傾斜部材35との合計厚みであるルームユニット支持脚用後調整部材32の高さ、即ち第1傾斜部材34の他面34bと第2傾斜部材35の他面35bとの間の距離を増加させることができる。
【0047】
第1傾斜部材34の第1傾斜面34aおよび第2傾斜部材35の第2傾斜面35aには、それぞれ互いに嵌合する断面三角形の突条36a,37aが多数配列されてなる係合部材36,37が形成されている。このような係合部材36と係合部材37との噛合によって、第1傾斜部材34と第1傾斜面34aと第2傾斜面35aとが任意の位置で係止される。
【0048】
第1傾斜部材34に対して第2傾斜部材35を第2傾斜面35aに沿って摺動させる際には、第1傾斜面34aに形成された突条36aを、第2傾斜面35aに形成された突条37aが乗り越えるように移動する。
【0049】
なお、本実施形態では、突条36a,37aの三角形の断面形状は、一方の辺が第1傾斜面34aや第2傾斜面35aに対して90°を成し、他方の辺が第1傾斜面34aや第2傾斜面35aに対して90°未満の角度で傾斜している。これによって、第1傾斜部材34に対して第2傾斜部材35を、他面34bと他面35bとの間の距離が増加させる方向には摺動可能であるが、これとは逆方向への摺動は抑止される。
【0050】
第2傾斜部材35の端部には、伸長操作手段である紐部材(操作部材)38の一端38aが係着されている。紐部材(操作部材)38は、例えば繊維や樹脂からなる紐、あるいは金属製のワイヤなどから構成される。こうした紐部材(操作部材)38の他端38bは、ルームユニットU(図1参照)の外側に延びるように配置される。即ち、紐部材(操作部材)38の他端38bは、ルームユニットUを上から俯瞰した時に、ルームユニットUの外周面よりも外側に位置するように配置される。
【0051】
以上のような構成のルームユニット支持脚用後調整部材32を備えた後調整部材付きルームユニット支持脚31は、第1実施形態のルームユニット支持脚10と同様に、ルームユニット支持脚10の高さを調整した後、本実施形態のルームユニット支持脚用後調整部材32をルームユニット支持脚10に重ねて載置する。そして、複数の後調整部材付きルームユニット支持脚31に渡って支持されるようにルームユニットUを設置したのち、特定の後調整部材付きルームユニット支持脚31のルームユニット支持脚用後調整部材32とルームユニットUとの間に隙間が形成されている場合には、隙間が生じた後調整部材付きルームユニット支持脚31のルームユニット支持脚用後調整部材32を用いてこの隙間を解消する。
【0052】
即ち、ルームユニットUとの間に隙間が生じているルームユニット支持脚用後調整部材32を構成する第2傾斜部材35に係着された紐部材(操作部材)38を引っ張り、第2傾斜部材35を第1傾斜部材34に対して、第1傾斜面34aや第2傾斜面35aに沿って摺動させる。これにより、第1傾斜部材34と第2傾斜部材35との係合位置が変化し、他面34bと他面35bとの間の距離が広がり、ルームユニット支持脚用後調整部材32の高さが増加する。
【0053】
これにより、ルームユニットUとルームユニット支持脚用後調整部材32の間の隙間を解消できる。全ての後調整部材付きルームユニット支持脚31が隙間なくルームユニットUに接することで、ルームユニットUが傾くことなく水平に安定して支持でき、かつ特定の後調整部材付きルームユニット支持脚31に過剰な荷重が加わることを防止できる。
【0054】
(後調整機能付きルームユニット支持脚)
図9は、本発明の後調整機能付きルームユニット支持脚の一例を示す斜視図である。また、図10は、図9に示す後調整機能付きルームユニット支持脚の高さ方向に沿った断面図である。
本発明の後調整機能付きルームユニット支持脚40は、外形形状が略円筒形を成し、上面41tが例えば開放面を成す第2基体41と、第2基体41の上面(開放面)41tを覆う第2蓋体51とを有する。第2基体41は、使用時において床スラブSに接する第2底板42と、この第2底板42から立ち上がり、所定の領域、本実施形態では円柱状の空間を区画する円筒形の第3側壁43とを備えている。なお、この第2底板42と第3側壁43とは、同一の材料、例えば硬質樹脂で一体に形成されていればよい。
【0055】
第2底板42の第3側壁43よりも外側には、複数の係合穴44が形成されている。こうした係合穴44に、第2底板42と床スラブSとを結合させる締結部材G、例えばコンクリート釘やネジを貫通させることで、第2基体41を床スラブSに締結させることができる。なお、こうした係合穴44を特に設けずに、両面テープなどで後調整機能付きルームユニット支持脚40を床スラブSに固定することもできる。
【0056】
第2基体41の第3側壁43の内周面(円周面)43aには、内周面43aの周回方向に沿って螺旋状に内ネジ(ネジ溝)46が形成されている。こうした内ネジ(ネジ溝)46は、本実施形態のように内周面43a全体に形成されている以外にも、例えば、上面41tから第2底板42に向かって所定の範囲まで形成されていてもよい。
【0057】
第2蓋体51は、第2基体41の開放面である上面41tを覆う第2天板52と、この第2天板52から垂下し、第2基体41の第3側壁43の内周面43aに対して摺動可能に接する円筒形の第4側壁53とを備えている。なお、この第2天板52と第4側壁53とは、同一の材料、例えば硬質樹脂で一体に形成されていればよい。
【0058】
第2天板52は、例えば円板状の部材であり、後調整機能付きルームユニット支持脚40の使用時において、第2天板52の上面52aがルームユニットUの下側梁UBに接する。
【0059】
後調整機能付きルームユニット支持脚40の第2天板52には、上面52aと、第2蓋体51の内面を成す下面52bとの間を貫通し、後述する内部空間E3に連通する第1貫通孔を成す注入孔(第1貫通孔)54と空気孔(第1貫通孔)55とが形成されている。本実施形態では、注入孔54は、第2天板52の中心に1箇所形成され、また空気孔55は、第2天板52の周縁の近くに等間隔で4箇所形成されている。なお、本実施形態では、第1貫通孔として注入孔54と空気孔55とを形成しているが、これらを兼用した径の大きい第1貫通孔とすることもできる。
【0060】
第2蓋体51を構成する第2天板52に形成された注入孔(第1貫通孔)54は、第2基体41の第2底板42および第3側壁43と、第2蓋体51の第2天板52および第4側壁53とで区画される後調整機能付きルームユニット支持脚40の内部空間E3に硬化性材料Bを充填するための穴である。また、空気孔(第1貫通孔)55は、内部空間E3に硬化性材料Bを充填する際に、内部空間E3の空気を後調整機能付きルームユニット支持脚40の外部に出すための穴である。なお、こうした注入孔54や空気孔55の形成数や形成位置は本実施形態に限らず、任意の位置に任意の数だけ形成することができる。
【0061】
第2蓋体51の第4側壁53の外周面(円周面)53bには、外周面53bの周回方向に沿って螺旋状に外ネジ(ネジ溝)56が形成されている。こうした外ネジ(ネジ溝)56は、第2基体41の第3側壁43に形成された内ネジ(ネジ溝)46と螺合する。これにより、例えば、床スラブSに固定された第2基体41に対して、第2蓋体51を回転させることにより、第2天板52の高さ位置、即ち、後調整機能付きルームユニット支持脚40の高さを自在に可変させることができる。
【0062】
なお、後調整機能付きルームユニット支持脚40は、使用時において、第2蓋体51を回転させて高さ位置を調節した後、注入孔54から内部空間E3内を埋める(閉塞する)ように、硬化前の流動性の硬化性材料Bが充填され、その後、硬化される。硬化性材料Bとしては、例えば、2液混合によって硬化する硬化剤や、熱や紫外線を加えることによって硬化する硬化剤など、各種の硬化剤が適用可能であり、限定されるものでは無い。
【0063】
第2蓋体51の外周面53bの任意の位置には、回転操作手段である紐状体(回転操作手段)59の一端59aが係着されている。また、紐状体59の他端59bは、ルームユニットU(図1参照)の外側に延びるように配置される。即ち、紐状体59の他端59bは、ルームユニットUを上から俯瞰した時に、ルームユニットUの外周面よりも外側に位置するように配置される。
【0064】
こうした紐状体59は、例えば繊維や樹脂からなる紐、あるいは金属製のワイヤなどから構成される。そして、紐状体59は、後調整を行う前の状態においては、第2蓋体51の外周面53bに沿って数回、巻き回されてからルームユニットU(図1参照)の外側に延びるように配置される。
【0065】
以上のような構成の後調整機能付きルームユニット支持脚40は、複数配置された後調整機能付きルームユニット支持脚40の高さを所望の位置まで調整した後、複数の後調整部材付きルームユニット支持脚31に渡って支持されるようにルームユニットUを設置する。そして、特定の後調整機能付きルームユニット支持脚40とルームユニットUとの間に隙間が形成されている場合には、第2蓋体51を更に回転させて隙間を解消し、第2蓋体51を構成する第2天板52の上面52aをルームユニットUの下側梁UBに接するようにする。
【0066】
具体的には、ルームユニットUとの間に隙間が生じている後調整機能付きルームユニット支持脚40の第2蓋体51の外周面53bに巻き回されている紐状体59の他端59b側を引っ張る。これにより、第2蓋体51が回転し、第2蓋体51は外ネジ(ネジ溝)56と内ネジ(ネジ溝)46との螺合よって、より高い位置に上昇する。なお、紐状体59は、あらかじめ想定される最大隙間を解消するために必要な第2蓋体51の回転数以上の回数だけ、第2蓋体51の外周面53bに巻き回しておけばよい。
【0067】
これにより、ルームユニットUと後調整機能付きルームユニット支持脚40との間の隙間を解消できる。全ての後調整機能付きルームユニット支持脚40が隙間なくルームユニットUに接することで、ルームユニットUが傾くことなく水平に安定して支持でき、かつ特定の後調整部材付きルームユニット支持脚に過剰な荷重が加わることを防止できる。
【0068】
(ルームユニットの設置高さ調整方法)
上述した第1実施形態の後調整部材付きルームユニット支持脚1を用いた、ルームユニットの設置高さ調整方法の一例について説明する。
図11~13は、一実施形態のルームユニットの設置高さ調整方法を段階的に示した説明図である。
まず、図11(a)に示すように、建築物の床スラブSにおけるルームユニットUを設置する領域に、後調整部材付きルームユニット支持脚1を構成する第1実施形態に示したルームユニット支持脚10を所定の間隔で設置する(設置工程)。この時、床スラブSにルームユニット支持脚の設置位置を予めマーカーなどで示しておくことが好ましい。
【0069】
この後、設置したルームユニット支持脚10の第1底板12の周縁に形成された係合穴14に締結部材Gを貫通させて、ルームユニット支持脚10を床スラブSに締結させておくことも好ましい。
【0070】
次に、図11(b)に示すように、床スラブSに設置したルームユニット支持脚10の高さ調整を行う(前調整工程)。ルームユニット支持脚10の高さ調整にあたっては、例えば、床スラブSからルームユニット支持脚10の第1天板22の上面22aまでの高さ(設置高さ)を定規Kなどによって測定しつつ、ルームユニット支持脚10の第1蓋体21を回転させて、設置高さが予め設定した高さになるように、第1蓋体21の高さを調節することによって行う。こうした前調整工程を設置した全てのルームユニット支持脚10に対して行う。
【0071】
前調整工程において全てのルームユニット支持脚10の高さ調整が完了したら、次に、図11(c)に示すように、ルームユニット支持脚10の内部空間E2内に硬化性材料Bを注入する(注入工程)。この注入工程では、第1蓋体21が回転しないように注意しつつ、高さ調整済みのルームユニット支持脚10の第1蓋体21に形成された注入孔(第1貫通孔)24から、例えば、2液混合硬化タイプの硬化性材料Bを注入し、空気孔(第1貫通孔)25から内部空間E2内の空気を排出させて、内部空間E2内を硬化性材料Bで置換する。そして、所定の硬化時間以上保持して、内部空間E2内の硬化性材料Bを硬化させる(図12(a)参照)。
【0072】
次に、複数のルームユニット支持脚10の第1蓋体21に重ねて、後調整部材付きルームユニット支持脚1を構成するルームユニット支持脚用後調整部材2を載置する(図12(b)参照)。この時、図13に示すように、全てのルームユニット支持脚用後調整部材2の中空体(伸長部)3からそれぞれ延びる流体注入管5を1つに纏めて、流体注入管5の他端5b側をルームユニットUの外周面よりも外側まで延ばし、流体注入部6を構成する油圧送ポンプPを介して油槽Tに接続しておく。
【0073】
次に、図14に示すように、工場などで別途制作していたルームユニットUを建築物内に運び込み、複数の後調整部材付きルームユニット支持脚1によって支持されるように床スラブS上に載置する。
【0074】
このように、ルームユニットUを設置した後の複数の後調整部材付きルームユニット支持脚1のうち、ルームユニットUとルームユニット支持脚用後調整部材2の中空体(伸長部)3の天面3bとの間に隙間が生じている後調整部材付きルームユニット支持脚1について、天面3bがルームユニットUに接する位置まで中空体(伸長部)3を伸長させる(後調整工程)。
【0075】
具体的には、後調整工程では、伸長操作手段7である油圧送ポンプPを動作させ、油槽Tから流体注入管5を経て、それぞれのルームユニット支持脚用後調整部材2の中空体(伸長部)3の内部空間E1内に機械油を注入する。そして、中空体(伸長部)3を油圧によって高さ方向に伸長させる。この時、ルームユニットUと中空体(伸長部)3の天面3bとの間に隙間が無い後調整部材付きルームユニット支持脚1は、中空体(伸長部)3がそれ以上伸長することが無い。
【0076】
一方、ルームユニットUと中空体(伸長部)3の天面3bとの間に隙間がある後調整部材付きルームユニット支持脚1は、中空体(伸長部)3の伸長を負荷が無いので、天面3bがルームユニットUに接するまで中空体(伸長部)3が油圧によって伸長する。
【0077】
これにより、ルームユニットUと中空体(伸長部)3の天面3bとの間に隙間がある後調整部材付きルームユニット支持脚1だけ、選択的に中空体(伸長部)3を伸長させ、全ての後調整部材付きルームユニット支持脚1をルームユニットUに対して隙間なく密着させることができる。
【0078】
こうして全ての後調整部材付きルームユニット支持脚1に隙間なく接するように設置されたルームユニットUは、床スラブS上に所定の高さになるように調節された複数の後調整部材付きルームユニット支持脚1によって支持されるため、床スラブSの表面に傾斜や凹凸が存在していても、ルームユニットUを水平を保って設置することが可能になる。そして、複数のルームユニットUどうしは、床面の連結部分に段差などが生じることなく、高さ位置が正確に合致した状態で接続することができる。
【0079】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1…後調整部材付きルームユニット支持脚
2…ルームユニット支持脚用後調整部材
3…中空体(伸長部)
5…流体注入管
6…流体注入部
7…伸長操作手段
10…ルームユニット支持脚
11…第1基体
12…底板
13…第1側壁
21…第1蓋体
22…第1天板
23…第2側壁
24…注入孔(第1貫通孔)
25…空気孔(第1貫通孔)
E1,E2,E3…内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14