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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】飲料組成物
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/14 20060101AFI20230728BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20230728BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20230728BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A23F3/14
A23L2/38 M
A23L2/00 B
A23L2/52
A23L2/38 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019100178
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020191830
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 余里子
(72)【発明者】
【氏名】石井 駿介
(72)【発明者】
【氏名】小林 由典
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-017867(JP,A)
【文献】特公平03-035898(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0243935(US,A1)
【文献】YANG Z. et al.,Analysis of coumarin and its glycosidically bound precursor in Japanese green tea having sweet-herba,Food Chem.,2009年,vol.114, no.1,pp.289-294
【文献】食品成分表2016 本表編,2016年,pp.210-211
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F,A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPlus/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)タンニン 固形分中に1.2~12質量%
(B)デキストリン 固形分中に18~95質量%
(C)クマリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種
固形分中に1.8質量ppm以上
を含有し、
成分(B)に係るデキストリンは、デキストロース当量が2~30であり、
成分(C)に係るクマリン誘導体は、7-メトキシクマリン、4-ヒドロキシクマリン又は3,4-ジヒドロクマリンであり、
成分(A)と成分()との質量比[(C)/(A)]が0.70×10-4以上300×10-4以下である、
飲料組成物。
【請求項2】
固形分中の成分(C)の含有量が1.8~18質量ppmである、請求項1記載の飲料組成物。
【請求項3】
成分()として少なくともクマリンを含有する、請求項1又は2記載の飲料組成物。
【請求項4】
成分(A)として、少なくとも(A1)非重合体カテキン類を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の飲料組成物
【請求項5】
成分(A)として(A1)非重合体カテキン類を含み、成分(A)と成分(A1)との質量比[(A1)/(A)]が0.01~1である、請求項1~4のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項6】
飲料組成物が茶飲料組成物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【請求項7】
飲料組成物が緑茶飲料組成物、ウーロン茶飲料組成物又はルイボス茶飲料組成物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の飲料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タンニンは茶葉等に含まれるポリフェノールの1種であり、抗酸化作用をはじめとする様々な生理活性を有することが知られている。このような生理効果を発現させるためには、タンニンを継続して摂取する必要があり、それを生活習慣として簡便に摂取する手段として飲料がある。しかしながら、タンニンは強い渋味を有するため、飲料を継続して摂取するうえで障害となりやすい。そこで、ポリフェノールの渋味の抑制について検討され、例えば、シクロデキストリンやソーマチンがタンニン等のポリフェノールの渋味に対してマスキング作用を有するとの報告がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-221019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タンニン等のポリフェノールにデキストリンを添加すると、口に含んだ際に感じる渋味は抑制できるものの、口に含んだ後に渋味が余韻として残り、後に引きやすい。このような後に引く渋味を抑制するために、デキストリンを増量することが考えられるが、デキストリンは、粉っぽさ、苦味、雑味といった独特の異味を有するため、多量に添加するには限界がある。以下、本明細書において、口を含んだ後に余韻として残り、後に引く渋味を「後渋味」という。
本発明の課題は、デキストリン由来の異味を抑制しつつ、タンニン由来の後渋味が低減された飲料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、タンニンとデキストリンをそれぞれ特定量含有させ、タンニンに対して特定の香気成分を特定の質量比で含有させることで、デキストリン由来の異味を抑制しつつ、タンニン由来の後渋味が低減された飲料組成物が得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)タンニン 固形分中に1.2~12質量%
(B)デキストリン 固形分中に18~95質量%
(C)クマリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種
を含有し、
成分(A)と成分(C)との質量比[(C)/(A)]が0.70×10-4以上300×10-4以下である、
飲料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デキストリン由来の異味を抑制しつつ、タンニン由来の後渋味が低減された飲料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の飲料組成物は、例えば、液状でも、固形状でもよく、適宜の形態を採り得る。
例えば、本発明の飲料組成物が液状である場合、飲料の形態は、RTD飲料のみならず、濃縮還元飲料、ゼリー状、濃縮液状、スラリー状等の形態でもよい。中でも、利便性の観点から、RTD飲料が好ましい。ここで、本明細書において「RTD飲料」とは、希釈せずにそのまま飲用できる飲料をいう。ゼリー状である場合、容器に備え付けられた吸い口やストローから飲料組成物を吸引できれば、その固形分濃度は特に限定されず、適宜選択可能である。また、本発明の飲料組成物が固形状である場合、常温(20℃±15℃)において固体であればその形状は特に限定されず、粉末状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状等の種々の形状とすることができる。固形飲料組成物は、固形分量が通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいい、「固形分量」とは、その残分の質量をいう。
【0009】
本発明の飲料組成物は、本発明の効果を享受しやすい点で、茶飲料組成物が好ましい。ここで、本明細書において「茶飲料組成物」とは、植物抽出物を茶原料として含み、専ら飲用に供される組成物をいう。
植物抽出物の原料としては特に限定されないが、例えば、Camellia属の茶葉、穀物、Camellia属以外の茎葉、根を挙げることができる。なお、植物抽出物の抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、植物の種類に応じて公知の方法を採用することができる。
【0010】
Camellia属の茶葉としては、例えば、C.sinensis.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉(Camellia sinensis)が挙げられる。茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができ、1種又は2種以上を使用することができる。なお、茶葉の茶品種及び採取時期は特に限定されず、また茶葉は火入れ加工が施されていてもよい。不発酵茶としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、焙じ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶葉が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等のウーロン茶葉が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶葉が挙げられる。
穀物としては、例えば、大麦、小麦、ハト麦、ライ麦、燕麦、裸麦等の麦;玄米等の米;大豆、黒大豆、ソラマメ、インゲン豆、小豆、エビスクサ、ササゲ、ラッカセイ、エンドウ、リョクトウ等の豆;ソバ、コーン(トウモロコシ)、白ゴマ、黒ゴマ、粟、稗、黍、キヌワ等の雑穀を挙げることができる。穀物は、1種又は2種以上を使用することができる。
Camellia属以外の茎葉、根としては、例えば、イチョウの葉、柿の葉、ビワの葉、桑の葉、ゴボウ、チコリの葉、タンポポの葉又は根、クコの葉、杜仲の葉、エゴマの葉、小松菜、ルイボス、クマザサ、ヨモギ、ドクダミ、アマチャヅル、スイカズラ、ツキミソウ、カキドオシ、カワラケツメイ、ギムネマ・シルベスタ、黄杞茶(クルミ科)、甜茶(バラ科)、キダチアロエ等が挙げられる。更に、カモミール、ハイビスカス、ペパーミント、レモングラス、レモンピール、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー等のハーブも用いることができる。Camellia属以外の茎葉、根は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0011】
中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、Camellia属の茶葉、穀物及びルイボスから選択される少なくとも1種を原料とすることが好ましく、Camellia属の茶葉及びルイボスから選択される少なくとも1種を原料とすることが更に好ましい。
茶飲料組成物の種類としては、例えば、緑茶飲料、ウーロン茶飲料、紅茶飲料、ルイボス茶飲料、麦茶飲料、コーン茶飲料が好ましく、緑茶飲料、ウーロン茶飲料、ルイボス茶飲料が更に好ましい。
【0012】
本発明の飲料組成物は、成分(A)としてタンニンを含有する。ここで、本明細書において「タンニン」とは、後掲の実施例に記載の方法により測定されるものであって、非重合体カテキン類、没食子酸、そのエステル及びそれらの縮合物、並びにクロロゲン酸類及びその縮合物を包含する概念である。また、本明細書において「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキン等の非ガレート体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のガレート体を併せての総称であり、本発明においては上記8種のうち少なくとも1種を含有すればよい。また、「クロロゲン酸類」とは、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸及び5-カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3-フェルラキナ酸、4-フェルラキナ酸及び5-フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸を併せての総称であり、本発明においては上記6種のうち少なくとも1種を含有すればよい。
【0013】
本発明の飲料組成物は、固形分中の成分(A)の含有量が1.2~12質量%であるが、生理活性の観点から、1.3質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、1.7質量%以上が更に好ましく、また後渋味抑制の観点から、10質量%以下が好ましく、8.5質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。かかる成分(A)の範囲としては、飲料組成物の固形分中に、好ましくは1.3~10質量%であり、より好ましくは1.5~8.5質量%であり、更に好ましくは1.7~7質量%である。なお、成分(A)の分析は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0014】
本発明の飲料組成物は、成分(A)として、少なくとも非重合体カテキン類(以下、「成分(A1)」とも称する)を含有することが好ましい。
本発明の飲料組成物中の成分(A)と成分(A1)との質量比[(A1)/(A)]は、渋味の観点から、0.01以上が好ましく、0.015以上がより好ましく、0.018以上が更に好ましい。なお、かかる質量比[(A1)/(A)]の上限は特に限定されないが、1であってもよい。かかる質量比[(A1)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.01~1であり、より好ましくは0.015~1であり、更に好ましくは0.018~1である。
【0015】
本発明の飲料組成物は、固形分中の成分(A1)の含有量が、0.01質量%以上であることが好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.03質量%以上が更に好ましく、また後渋味抑制の観点から、9質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。かかる成分(A1)の範囲としては、飲料組成物の固形分中に、好ましくは0.01~9質量%であり、より好ましくは0.02~8質量%であり、更に好ましくは0.03~7質量%である。なお、成分(A1)の含有量は、上記8種の非重合体カテキン類の合計量に基づいて定義される。また、成分(A1)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0016】
本発明の飲料組成物は、成分(B)としてデキストリンを含有する。ここで、本明細書において「デキストリン」とは、でんぷん分解物の一種であり、でんぷんを酸処理又は加熱処理して部分的に加水分解し低分子化した化合物である。デキストリンは、糖がグリコシド結合によって重合した分子構造を有しており、グリコシド結合は、鎖状に結合していても、環状に結合していても、これらの混合物であっても構わない。糖の結合方式としては、α-1,4結合、α-1,6結合、β-1,2結合、β-1,3結合、β-1,4結合、β-1,6結合等が挙げられ、単一の結合方式のみでも、2種以上の結合方式でも構わない。
【0017】
成分(B)は、本発明の効果を享受しやすい点から、デキストロース当量(DE)が、1以上が好ましく、2以上が更に好ましく、そして30以下が好ましく、21以下がより好ましく、13以下が更に好ましく、5以下が更に好ましい。かかるDEの範囲としては、好ましくは1~30であり、より好ましくは2~21であり、更に好ましくは2~13であり、殊更に好ましくは2~5である。なお、デキストロース当量(DE)は、通常知られているデキストロースの測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0018】
本発明の飲料組成物は、固形分中の成分(B)の含有量が18~95質量%であるが、後渋味抑制の観点から、20質量%以上であることが好ましく、35質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、また異味抑制の観点から、93質量%以下が好ましく、90質量%以下が更に好ましい。かかる成分(B)の範囲としては、飲料組成物の固形分中に、好ましくは20~95質量%であり、より好ましくは35~93質量%であり、更に好ましくは50~90質量%である。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0019】
本発明の飲料組成物は、成分(C)としてクマリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種を含有する。ここで、本明細書において「クマリン」とは、ベンゾ-α-ピロンであり、また「クマリン誘導体」とは、7-メトキシクマリン、4-ヒドロキシクマリン及び3,4-ジヒドロクマリンである。クマリン及びその誘導体は、甘い香りを有する香気成分として知られているが、同様に甘い香りを有するバニリンやマルトールは、デキストリン由来の異味抑制効果やタンニン由来の渋味低減効果が不十分であり、クマリン及びその誘導体がデキストリン由来の異味抑制やタンニン由来の渋味低減に有効であることを本発明者らは見出した。中でも、本発明の効果を享受しやすい点から、成分(C)として、少なくともクマリンを含有することが好ましく、クマリン及びその誘導体を含有することが更に好ましい。なお、成分(C)としては飲食品の分野において通常使用されているものであれば由来は特に限定されず、例えば、天然由来品でも、化学合成品でも、市販品でも、原料由来のものでもよい。
【0020】
本発明の飲料組成物は、固形分中の成分(C)の含有量が、渋味抑制の観点から、1.8質量ppm以上が好ましく、2.3質量ppm以上がより好ましく、2.8質量ppm以上が更に好ましく、また異味抑制の観点から、18質量ppm以下が好ましく、14質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以下が更に好ましい。成分(C)の含有量の範囲としては、飲料組成物の固形分中に、好ましくは1.8~18質量ppmであり、より好ましくは2.3~14質量ppmであり、更に好ましくは2.8~10質量ppmである。なお、成分(C)の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、GC/MS法により測定することができる。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
【0021】
本発明の飲料組成物は、成分(A)と成分(C)との質量比[(C)/(A)]が0.70×10-4以上300×10-4以下であるが、後渋味及び異味の抑制の観点から、0.75×10-4以上が好ましく、0.85×10-4以上がより好ましく、0.95×10-4以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、250×10-4以下が好ましく、200×10-4以下がより好ましく、150×10-4以下が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.75×10-4以上250×10-4以下であり、より好ましくは0.85×10-4以上200×10-4以下であり、更に好ましくは0.95×10-4以上150×10-4以下である。なお、質量比[(C)/(A)]は、成分(A)と成分(C)の含有量の単位を揃えて算出するものとする。
【0022】
本発明の飲料組成物は、所望により、甘味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、エステル、花蜜エキス、色素、乳化剤、乳成分、ココアパウダー、保存料、調味料、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有することができる。添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0023】
また、本発明の飲料組成物が固形飲料組成物である場合、必要に応じて許容される担体を含有することができる。例えば、賦形剤(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類、スクロース、ラクトース、ラクトース、パラチノース等の二糖類、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、還元パラチノース等の糖アルコール);結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等);崩壊剤(例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等);滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等);嬌味剤(例えば、ステビア等);オリゴ糖、寒天、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、希釈剤等の担体が挙げられる。なお、担体の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することが可能である。
【0024】
本発明の飲料組成物がRTD飲料である場合、あるいは本発明の飲料組成物が固形飲料組成物又は濃縮飲料組成物であって、該固形飲料組成物又は濃縮飲料組成物を還元飲料とした場合、pH(20℃)は、4以上が好ましく、4.5以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.8以下がより好ましく、6.5以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは4~7であり、より好ましくは4.5~6.8であり、更に好ましくは5~6.5である。なお、固形飲料組成物又は濃縮飲料組成物を還元飲料とする場合、固形飲料組成物又は濃縮飲料組成物を液体に希釈溶解すればよく、液体の温度は問わない。液体は飲料に還元できれば特に限定されないが、例えば、水、炭酸水、牛乳、豆乳等を挙げることができる。また、pHは、20℃に温度調整をしてpHメータにより測定するものとする。
【0025】
本発明の飲料組成物がRTD飲料である場合、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して容器詰飲料とすることができる。
また、RTD飲料の場合、加熱殺菌済でもよい。殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されない。例えば、茶飲料を容器包装に充填し、密栓若しくは密封した後殺菌するか、又は自記温度計をつけた殺菌器等で殺菌したもの若しくはろ過器等で除菌したものを自動的に容器包装に充填した後、密栓若しくは密封すればよい。より具体的には、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。
【0026】
また、本発明の飲料組成物が固形飲料組成物である場合、例えば、瓶等に容器詰し飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分け包装したスティックタイプ等とすることができる。更に、本発明の飲料組成物が濃縮飲料組成物である場合、例えば、カップ1杯分毎に小分け包装したポーションタイプの希釈飲料とすることができる。なお、カップの容量は30~320mLであることが好ましく、また小分け包装の内容量はカップ容量に適合するように適宜設定することが可能である。小分け包装は、アルミ蒸着フィルム等を材質とする包装材料で包装することができる。なお、容器内及び包材内は窒素ガスを充填してもよく、また包材は酸素透過性の低いものが品質維持の点で好ましい。
【0027】
本発明の飲料組成物は適宜の方法で製造することができるが、例えば、成分(A)、(B)及び(C)、必要により他の成分を配合し、成分(A)及び(B)の含有量、並びに質量比[(C)/(A)]を調整して製造することができる。
【0028】
成分(A)としては、市販の試薬を用いてもよいが、成分(A)を豊富に含む植物の抽出物の形態で含有させることができる。
植物としては、成分(A)を含み、飲食品の分野において通常使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、Camellia属の茶葉、柿葉、栗皮、ヒマワリ種子、リンゴ、コーヒー豆、シモン葉、マツ、サトウキビ、南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ種子、ブドウ果皮等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。中でも、タンニン含量、風味の観点から、Camellia属の茶葉、コーヒー豆及びリンゴから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。なお、コーヒー豆は、生コーヒー豆でも、焙煎コーヒー豆でもよく、焙煎条件は、適宜選択することができる。また、抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【実施例
【0029】
1.タンニンの分析
試料中のタンニン量の測定は酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求めた(参考文献:「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo.10)。
純水で溶解した試料5mLを酒石酸鉄標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線からタンニン量を求めた。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとした。
リン酸緩衝液の調製 :1/15mol/Lリン酸水素二ナトリウム溶液と1/15mol/Lリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整した。
【0030】
2.非重合体カテキン類の分析
純水で溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L-カラムODS、4.6mmφ×250mm 粒子径5μm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定する。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行う。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
【0031】
濃度勾配条件(体積%)
時間 A液濃度 B液濃度
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
【0032】
3.デキストリンの分析
(1)定量法
試料、及び各濃度の標準溶液1.5mLに、1N-NaOH水溶液を250μLと0.5 MのPMP(3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン)-メタノール溶液を500μL加え、70℃で30分加熱する。得られた溶液に 対し、1N-HCl水溶液を250μLにて中和し、5mLのクロロホルムを加え分配し、水層を測定試料とする。上記操作により得られた測定試料について、高速液体クロマトグラフ質量分析を用い、下記条件にて測定する。
【0033】
分析条件
・HPLC装置:型式ACQUITY UPLC、Waters製
・MS装置 :型式SYNAPT G2-S HDMS型、Waters製
・イオン化 :ESI
・質量範囲 :m/z 100-2500
・カラム :型式Unison UK-C18 UP(2.0×100mm,3μm),インタクト社製
・移動相 :E液:ギ酸0.05%水溶液、F液:アセトニトリル(%F=15→90)
・流量 :0.6mL/min
・注入量 :1μL
【0034】
(2)デキストロース当量
(I)分析は、デキストリンに含まれているぶどう糖、麦芽糖などの還元糖分をぶどう糖として定量する場合に適用し、次の手順にしたがって行う。
・水分の定量
・レイン・エイノン法による還元糖分の定量
・ぶどう糖として計算した還元糖の含有率(DE値、%)の計算
【0035】
(II)試料の調製及び力価の標定
(II-A)試料の調製
(II-1)標準転化糖溶液
スクロース(試薬)4.75gを正確に量り取り、90mLの水を使用して500mL容メスフラスコに移し入れる。これに塩酸(比重1.18)5mLを加え、20~30℃で3日間放置した後、水を加えて定容し、冷暗所に保存する。その50mLを200mL容メスフラスコにとり、フェノールフタレインを指示薬として1mol/L水酸化ナトリウム溶液で中和した後、水を加えて定容する。これを転化糖溶液としてフェーリング溶液の力価の標定に用いる。
(II-2)メチレンブルー溶液
1%メチレンブルー1gを水に溶かして100mLとする。
(II-3)フェーリング溶液
G液:硫酸銅(CuSO4・5H2O)34.639gを水に溶かして500mLとし、2日間放置後ろ過する。
H液:酒石酸カリウムナトリウム(KNaC4H4O6・4H2O)173gと水酸化ナトリウム50gを水に溶かして500mLとし、これを2日間放置後ろ過する。
【0036】
(II-B)フェーリング溶液の力価の標定
フェーリング溶液G液5.0mL及びH液5mLを200mL容三角フラスコにとり、50mL容ビュレットを用いて標準転化糖溶液19.5mLを加える。電熱器上で2分間沸騰させた後、メチレンブルー溶液4滴を加え、沸騰しながら標準転化糖溶液を滴下し、青色が消失したところを終点とする。滴定は沸騰し始めてから3分以内に終了する。この滴定を3回行い、平均値を求める。但し、3回の平均値を滴定値とするが、各滴定値の差は0.1mL以内とする。また、力価の小数点以下第4位を四捨五入し、1±0.02の範囲内に収める。
【0037】
【数1】
【0038】
〔式中、Aは、消費した標準転化糖溶液の量(mL)を示す。〕
【0039】
(III)試料の調製
分析試料は、試料の性状に応じて、次により調製する。
(III-1)液体試料
液体中に結晶又は塊状物が析出している場合には、密閉容器に入れ、60~70℃の水浴に浸漬して溶解し、よく振り混合した後、室温に冷却する。
(III-2)固体試料
粉末又は結晶状とし、塊がある場合には砕き、よく混合する。
【0040】
(IV)水分の定量
水分の定量は、試料の性状により、次の方法で行う。
(IV-1)液体試料
乾燥助剤として、予め秤量瓶に海砂を約15g取り、ガラス棒とともに105℃の乾燥機中で乾燥して恒量を求める。次に、前記(III)で調製した均一試料を固形分として約2gに相当する量を正確に量り取り、必要があれば少量の水を全体が浸るまで加え、時々ガラス棒でかき混ぜながら水浴上で加熱して大部分の水を揮散させる。更に、105℃の乾燥機内で時々かき混ぜ、ほとんど乾燥するまで乾かした後、真空乾燥機に移し、70℃で4時間乾燥する。デシケータ中で室温まで放冷した後、重量を量る。1時間ずつ真空乾燥を繰り返して恒量を求める。減量が、2mg以下の変化になった時を恒量に達したとみなす。
(IV-2)固体試料
前記(III)で調製した均一試料約2gを予め恒量にした秤量瓶に正確に量り取り、真空乾燥機で70℃、4時間乾燥する。次に、デシケータ中で室温まで放冷した後、重量を量る。更に、1時間ずつ真空乾燥を繰り返して、減量が2mg以下の変化になった時を恒量に達したとみなす。
(IV-3)水分の計算
試料中の水分は、次式により算出する。数値は小数点以下第2位を四捨五入する。
【0041】
【数2】
【0042】
〔式中、Wは試料の採取量(g)を示し、Wは乾燥後の試料の重量(g)を示す。〕
【0043】
(V)DE値の定量
(V-1)検液の調製
前記(III)で調製した均一試料約10gを正確に量り取り、水に溶かして500mL容メスフラスコに移し入れ、水を加えて容定し検液とする。
(V-2)滴定操作
フェーリング溶液G液5.0mL及びH液5mLを200mL容三角フラスコに採り、50mL容ビュレットを用いて、(V-1)で調製した検液15mLを加え、(II-B)の要領にしたがって滴定し、これを予備滴定とする。更に同様にして、予備滴定で得た滴定数より約1mL少ない量の検液を加え、(II-B)の要領にしたがって滴定する。ここで得た検液の消費量にフェーリング溶液の力価を乗じ、この数値から表1に示すレイン・エイノン糖量表(ぶどう糖)を用いて還元糖濃度(DE値,mg/100mL)をぶどう糖として求める。
(V-3)DE値の計算
試料の乾燥状態におけるぶどう糖として計算したDE値は、次式により算出する。数値は、小数点以下第2位を四捨五入する。
【0044】
【数3】
【0045】
〔式中、
は、表1に示すレイン・エイノン糖量表(ぶどう糖)を用いて求めた検液100mL中のぶどう糖量(mg)を示し、
Mは、(IV)で秤量した試料の水分(%)を示し、
Sは、(V-1)で秤量した試料の採取量(g)を示す。〕
【0046】
【表1】
【0047】
4.クマリン及びその誘導体の分析
試料10mLをGC用ヘッドスペースバイアル(20mL)に採取し、塩化ナトリウム4gを添加した。その後、バイアルに攪拌子を入れて密栓し、スターラーで30分間撹拌しながら、SPMEファイバー(シグマアルドリッチ社製、50/30μm、DVB/CAR/PDMS)に含有成分を吸着させた。吸着後、SPMEファイバーを注入口で加熱脱着し、GC/MS測定を行った。分析機器は、Agilent 7890A/5975Cinert(アジレント・テクノロジー社製)を使用した。
【0048】
分析条件は次のとおりである。
・カラム :VF-WAX(60m(長さ)、0.25mm(内径)、1.0μm(膜厚))
・カラム温度 :40℃ (3min)→ 20℃/min→ 250℃
・カラム圧力 :定流量モード(31kPa)
・カラム流量 :lmL/min(He)
・注入口温度 :250℃
・注入方式 :スプリットレス
・検出器 :MS
・イオン源温度:230℃
・イオン化方法:EI(70eV)
・スキャン範囲:m/z10~500
・定量イオン :クマリン m/z146、7-メトキシクマリン m/z176、4-ヒドロキシクマリン m/z162、3,4-ジヒドロクマリン m/z148
【0049】
定量は以下の手順にて行った。
各成分の標準試薬をエタノールで溶解し、段階希釈して標品を調製した。所定濃度の標品を試料に添加し、試料単体と同様にSPMEファイバーに吸着させ、GC/MS測定を行った。そして、測定された各成分の定量イオンのピーク面積と調製濃度から検量線を作成し、試料中のクマリン及びその誘導体の含有量を求めた。
【0050】
5.pHの測定
茶飲料を20℃に温度調整し、pHメータ(HORIBA コンパクトpHメータ、堀場製作所製)を用いて測定した。
【0051】
製造例1
茶抽出液IIの製造
煎茶葉(宮崎県産、鹿児島県産)30gを90℃の熱水2000gに投入し、3分間抽出を行い、茶殻を除去した後、液温20℃まで冷却し、緑茶抽出液を得た。当該緑茶抽出液を「茶抽出液II」とする。得られた茶抽出液IIは、タンニンの含有量が0.028質量%であり、非重合体カテキン類の含有量が0.02質量%であり、クマリンの含有量が10質量ppbであった。
【0052】
製造例2
茶抽出液IIIの製造
烏龍茶葉(ユニリーバ社)3gを90℃の熱水150gに投入し、8分間抽出を行い、茶殻を除去した後、液温20℃まで冷却し、ウーロン茶抽出液を得た。当該ウーロン茶抽出液を「茶抽出液III」とする。得られた茶抽出液IIIは、タンニンの含有量が0.020質量%であり、非重合体カテキン類の含有量が0.007質量%であり、クマリンの含有量が10質量ppbであった。
【0053】
製造例3
茶抽出液IVの製造
ルイボス茶ティーパック(株式会社 国太楼)2gを90℃の熱水200gに投入し、30秒抽出を行い、ティーパックを除去した後、液温20℃まで冷却し、ルイボス茶抽出液を得た。当該ルイボス茶抽出液を「茶抽出液IV」とする。得られた茶抽出液IVは、タンニンの含有量が0.016質量%であり、クマリンの含有量が5.6質量ppbであった。なお、非重合体カテキン類は検出されなかった。
【0054】
製造例4
茶抽出液Vの製造
コーン茶葉(株式会社 ほんぢ園)4gを90℃の熱水150gに投入し、5分間抽出を行い、茶殻を除去した後、液温20℃まで冷却し、コーン茶抽出液を得た。当該コーン茶抽出液を「茶抽出液V」とする。得られた茶抽出液Vは、クマリン含有量が11.3質量ppbであった。なお、タンニン及び非重合体カテキン類は検出されなかった。
【0055】
製造例5
茶抽出液VIの製造
麦茶葉(株式会社 小川生薬)2gを90℃の熱水140gに投入し、3分間抽出を行い、茶殻を除去した後、液温20℃まで冷却し、麦茶抽出液を得た。当該麦茶抽出液を「茶抽出液VI」とする。得られた茶抽出液VIは、クマリン含有量が5.4質量ppbであった。なお、タンニン及び非重合体カテキン類は検出されなかった。
【0056】
参考例1
重曹と、賦形剤とを表4に示す割合で配合して固形飲料組成物を得た。次いで、得られた固形飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0057】
比較例1
茶抽出物I(Teavigo、太陽化学社製、タンニン94質量%、非重合体カテキン類94質量%、クマリン未検出、以下、同様である。)と、重曹と、賦形剤とを表4に示す割合で配合して固形緑茶飲料組成物を得た。次いで、得られた固形緑茶飲料組成物について、参考例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0058】
比較例2
更に、デキストリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例1と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例1と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0059】
実施例1~5
更に、ジヒドロクマリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例2と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0060】
比較例3
リンゴ抽出物(リンゴポリフェノール アップリン、ユニテックフーズ株式会社、タンニン22質量%、非重合体カテキン類0.4質量%、クマリン未検出、以下、同様である。)と、重曹と、賦形剤とを表4に示す割合で配合して固形飲料組成物を得た。次いで、得られた固形飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0061】
比較例4
更に、デキストリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例3と同様の操作により固形飲料組成物を得た。得られた各固形飲料組成物について、比較例3と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0062】
実施例6~9
更に、ジヒドロクマリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例4と同様の操作により固形飲料組成物を得た。得られた各固形飲料組成物について、比較例4と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0063】
比較例5
コーヒー抽出物(クロロゲン酸含有製剤、長谷川香料株式会社、タンニン20質量%、非重合体カテキン類0質量%、クマリン未検出、以下、同様である。)と、重曹と、賦形剤とを表4に示す割合で配合して固形飲料組成物を得た。次いで、得られた固形飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0064】
比較例6
更に、デキストリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例5と同様の操作により固形飲料組成物を得た。得られた各固形飲料組成物について、比較例5と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0065】
実施例10
更に、ジヒドロクマリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例6と同様の操作により固形飲料組成物を得た。得られた各固形飲料組成物について、比較例6と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0066】
比較例7
茶抽出物Iと、コーヒー抽出物と、重曹と、賦形剤とを表4に示す割合で配合して固形飲料組成物を得た。次いで、得られた固形飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0067】
比較例8
更に、デキストリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例7と同様の操作により固形飲料組成物を調製した。得られた各固形飲料組成物について、比較例7と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0068】
実施例11
更に、ジヒドロクマリンを表4に示す割合で配合したこと以外は、比較例8と同様の操作により固形飲料組成物を調製した。得られた各固形飲料組成物について、比較例8と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0069】
官能評価1
各固形飲料組成物2gを20℃のイオン交換水で希釈し、全量を120gとして還元飲料を調製した。そして、還元飲料の「後渋味」、「デキストリンの異味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、次の手順で行った。
【0070】
(1)後渋味の評価
先ず、参考例1の還元飲料にエピガロカテキンガレート(EGCG)を表2に示す割合で配合して「後渋味」の強さを10段階に調整した「後渋味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「後渋味標準飲料」について、表2に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがEGCG濃度の低い「後渋味標準飲料」から順に摂取し、「後渋味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各還元飲料を摂取し、「後渋味」の程度を評価し、「後渋味標準飲料」の中から「後渋味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「後渋味」が強く感じられることを意味する。
【0071】

【表2】
【0072】
(2)デキストリンの異味の評価
先ず、参考例1の還元飲料にデキストリン(サンデック#30、三和澱粉株式会社)を表3に示す割合で配合して「デキストリンの異味」の強さを5段階に調整した「異味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「異味標準飲料」について、表3に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがデキストリン濃度の低い「異味標準飲料」から順に摂取し、「デキストリンの異味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各還元飲料を摂取し、「デキストリンの異味」の程度を評価し、「異味標準飲料」の中から「デキストリンの異味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「異味」が強く感じられることを意味する。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
比較例9
茶抽出物Iと、重曹と、賦形剤とを表5に示す割合で配合して固形緑茶飲料組成物を得た。次いで、得られた固形緑茶飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を、参考例1の結果とともに表5に示す。なお、表5中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0076】
比較例10
更に、デキストリンを表5に示す割合で配合したこと以外は、比較例9と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた固形緑茶飲料組成物について、比較例9と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表5に示す。なお、表5中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0077】
実施例12~14
更に、ジヒドロクマリンを表5に示す割合で配合したこと以外は、比較例10と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例10と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、参考例1の結果とともに表5に示す。なお、表5中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0078】
比較例11
リンゴ抽出物と、重曹と、賦形剤とを表5に示す割合で配合して固形飲料組成物を得た。次いで、得られた固形飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を、参考例1の結果とともに表5に示す。なお、表5中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0079】
比較例12
更に、デキストリンを表5に示す割合で配合したこと以外は、比較例11と同様の操作により固形飲料組成物を得た。得られた固形飲料組成物について、比較例11と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表5に示す。なお、表5中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0080】
実施例15~17
更に、ジヒドロクマリンを表5に示す割合で配合したこと以外は、比較例12と同様の操作により固形飲料組成物を得た。得られた各固形飲料組成物について、比較例12と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、参考例1の結果とともに表5に示す。なお、表5中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0081】
【表5】
【0082】
比較例13
茶抽出物Iと、重曹と、賦形剤とを表6に示す割合で配合して固形緑茶飲料組成物を得た。次いで、得られた固形緑茶飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を、参考例1の結果とともに表6に示す。なお、表6中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0083】
比較例14
更に、デキストリンを表6に示す割合で配合したこと以外は、比較例13と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例13と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、参考例1の結果とともに表6に示す。なお、表6中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0084】
実施例18、19及び比較例15
更に、ジヒドロクマリンを表6に示す割合で配合したこと以外は、比較例14と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例14と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、参考例1の結果とともに表6に示す。なお、表6中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0085】
【表6】
【0086】
比較例16
茶抽出物Iと、重曹と、賦形剤とを表7に示す割合で配合して固形緑茶飲料組成物を得た。次いで、得られた固形緑茶飲料組成物について分析を行い、官能評価1にしたがって評価した。その結果を、参考例1の結果とともに表7に示す。なお、表7中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0087】
比較例17
更に、デキストリンを表7に示す割合で配合したこと以外は、比較例16と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例16と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、参考例1の結果とともに表7に示す。なお、表7中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0088】
実施例20
更に、ジヒドロクマリンを表7に示す割合で配合したこと以外は、比較例17と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例17と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、参考例1の結果とともに表7に示す。なお、表7中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0089】
【表7】
【0090】
比較例18、19
デキストリンを表8に示す割合に変更したこと以外は、比較例2と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、比較例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、比較例2及び参考例1の結果とともに表8に示す。なお、表8中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0091】
実施例21、22
デキストリンを表8に示す割合に変更したこと以外は、実施例2と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、実施例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、実施例2及び参考例1の結果とともに表8に示す。なお、表8中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0092】
【表8】
【0093】
比較例20
更に、バニリンを表9に示す割合で配合したこと以外は、比較例2と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた固形緑茶飲料組成物について、比較例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、比較例2及び参考例1の結果とともに表9に示す。なお、表9中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0094】
比較例21
更に、マルトールを表9に示す割合で配合したこと以外は、比較例2と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた固形緑茶飲料組成物について、比較例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、比較例2及び参考例1の結果とともに表9に示す。なお、表9中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0095】
実施例23~27
ジヒドロクマリンに代えて、表8に示す割合のクマリン及び/又はクマリン誘導体を配合したこと以外は、実施例2と同様の操作により固形緑茶飲料組成物を得た。得られた各固形緑茶飲料組成物について、実施例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を、実施例2及び参考例1の結果とともに表9に示す。なお、表9中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0096】
【表9】
【0097】
参考例2
製造例1で得られた茶抽出液IIと、重曹と、イオン交換水とを表12に示す割合で配合して緑茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られた緑茶飲料について分析を行い、官能評価2にしたがって評価した。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0098】
比較例22
茶抽出物Iと、製造例1で得られた茶抽出液IIと、重曹と、イオン交換水とを表12に示す割合で配合して緑茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られた緑茶飲料について、参考例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0099】
比較例23
更に、デキストリンを表12に示す割合で配合したこと以外は、比較例22と同様の操作により緑茶飲料(RTD飲料)を得た。得られた緑茶飲料について、比較例22と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0100】
比較例24
製造例1で得られた茶抽出液IIと、リンゴ抽出物と、重曹と、イオン交換水とを表12に示す割合で配合して緑茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られた緑茶飲料について、参考例2と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0101】
比較例25
更に、デキストリンを表12に示す割合で配合したこと以外は、比較例24と同様の操作により緑茶飲料(RTD飲料)を調製した。得られた緑茶飲料について、比較例24と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0102】
実施例28~30
更に、ジヒドロクマリンを表12に示す割合で配合したこと以外は、比較例23と同様の操作により緑茶飲料(RTD飲料)を得た。得られた緑茶飲料について、比較例23と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0103】
実施例31~33
更に、ジヒドロクマリンを表12に示す割合で配合したこと以外は、比較例25と同様の操作により緑茶飲料(RTD飲料)を得た。得られた緑茶飲料について、比較例25と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表12に示す。なお、表12中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0104】
官能評価2
各緑茶飲料の「後渋味」、「デキストリンの異味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、次の手順で行った。
【0105】
(1)後渋味の評価
先ず、参考例2の緑茶飲料にエピガロカテキンガレート(EGCG)を表10に示す割合で配合して「後渋味」の強さを10段階に調整した「後渋味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「後渋味標準飲料」について、表10に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがEGCG濃度の低い「後渋味標準飲料」から順に摂取し、「後渋味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各緑茶飲料を摂取し、「後渋味」の程度を評価し、「後渋味標準飲料」の中から「後渋味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「後渋味」が強く感じられることを意味する。
【0106】
【表10】
【0107】
(2)デキストリンの異味の評価
先ず、参考例2の緑茶飲料にデキストリン(サンデック#30、三和澱粉株式会社)を表11に示す割合で配合して「デキストリンの異味」の強さを5段階に調整した「異味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「異味標準飲料」について、表11に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがデキストリン濃度の低い「異味標準飲料」から順に摂取し、「デキストリンの異味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各緑茶飲料を摂取し、「デキストリンの異味」の程度を評価し、「異味標準飲料」の中から「デキストリンの異味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「異味」が強く感じられることを意味する。
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
参考例3
製造例2で得られた茶抽出液IIIと、重曹と、イオン交換水とを表15に示す割合で配合してウーロン茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られたウーロン茶飲料について分析を行い、官能評価3にしたがって評価した。その結果を表15に示す。なお、表15中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0111】
比較例26
茶抽出物Iと、製造例2で得られた茶抽出液IIIと、重曹と、イオン交換水とを表15に示す割合で配合してウーロン茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られたウーロン茶飲料について、参考例3と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表15に示す。なお、表15中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0112】
比較例27
更に、デキストリンを表15に示す割合で配合したこと以外は、比較例26と同様の操作によりウーロン茶飲料(RTD飲料)を得た。得られたウーロン茶飲料について、比較例26と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表15に示す。なお、表15中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0113】
実施例34~36
更に、ジヒドロクマリンを表15に示す割合で配合したこと以外は、比較例27と同様の操作によりウーロン茶飲料(RTD飲料)を得た。得られたウーロン茶飲料について、比較例27と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表15に示す。なお、表15中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0114】
官能評価3
各ウーロン茶飲料の「後渋味」、「デキストリンの異味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、次の手順で行った。
【0115】
(1)後渋味の評価
先ず、参考例3のウーロン茶飲料にエピガロカテキンガレート(EGCG)を表13に示す割合で配合して「後渋味」の強さを10段階に調整した「後渋味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「後渋味標準飲料」について、表13に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがEGCG濃度の低い「後渋味標準飲料」から順に摂取し、「後渋味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各ウーロン茶飲料を摂取し、「後渋味」の程度を評価し、「後渋味標準飲料」の中から「後渋味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「後渋味」が強く感じられることを意味する。
【0116】
【表13】
【0117】
(2)デキストリンの異味の評価
先ず、参考例3のウーロン茶飲料にデキストリン(サンデック#30、三和澱粉株式会社)を表14に示す割合で配合して「デキストリンの異味」の強さを5段階に調整した「異味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「異味標準飲料」について、表14に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがデキストリン濃度の低い「異味標準飲料」から順に摂取し、「デキストリンの異味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各ウーロン茶飲料を摂取し、「デキストリンの異味」の程度を評価し、「異味標準飲料」の中から「デキストリンの異味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「異味」が強く感じられることを意味する。
【0118】
【表14】
【0119】
【表15】
【0120】
参考例4
製造例3で得られた茶抽出液IVと、重曹とイオン交換水とを表18に示す割合で配合してルイボス茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られたルイボス茶飲料について分析を行い、官能評価4にしたがって評価した。その結果を表18に示す。なお、表18中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0121】
比較例28
茶抽出物Iと、製造例3で得られた茶抽出液IVと、重曹とを表18に示す割合で配合してルイボス茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られたルイボス茶飲料について、参考例4と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表18に示す。なお、表18中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0122】
比較例29
更に、デキストリンを表18に示す割合で配合したこと以外は、比較例28と同様の操作によりルイボス茶飲料(RTD飲料)を得た。得られたルイボス茶飲料について、比較例28と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表18に示す。なお、表18中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0123】
実施例37~39
更に、ジヒドロクマリンを表18に示す割合で配合したこと以外は、比較例29と同様の操作によりルイボス茶飲料(RTD飲料)を得た。得られたルイボス茶飲料について、比較例29と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表18に示す。なお、表18中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0124】
官能評価4
各ルイボス茶飲料の「後渋味」、「デキストリンの異味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、次の手順で行った。
【0125】
(1)後渋味の評価
先ず、参考例4のルイボス茶飲料にエピガロカテキンガレート(EGCG)を表16に示す割合で配合して「後渋味」の強さを10段階に調整した「後渋味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「後渋味標準飲料」について、表16に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがEGCG濃度の低い「後渋味標準飲料」から順に摂取し、「後渋味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各ルイボス茶飲料を摂取し、「後渋味」の程度を評価し、「後渋味標準飲料」の中から「後渋味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「後渋味」が強く感じられることを意味する。
【0126】
【表16】
【0127】
(2)デキストリンの異味の評価
先ず、参考例4のルイボス茶飲料にデキストリン(サンデック#30、三和澱粉株式会社)を表17に示す割合で配合して「デキストリンの異味」の強さを5段階に調整した「異味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「異味標準飲料」について、表17に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがデキストリン濃度の低い「異味標準飲料」から順に摂取し、「デキストリンの異味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各ルイボス茶飲料を摂取し、「デキストリンの異味」の程度を評価し、「異味標準飲料」の中から「デキストリンの異味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「異味」が強く感じられることを意味する。
【0128】
【表17】
【0129】
【表18】
【0130】
参考例5
製造例4で得られた茶抽出液Vと、重曹と、イオン交換水とを表21に示す割合で配合してコーン茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られたコーン茶飲料について分析を行い、官能評価5にしたがって評価した。その結果を表21に示す。なお、表21中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0131】
比較例30
茶抽出物Iと、製造例4で得られた茶抽出液Vと、重曹と、イオン交換水とを表21に示す割合で配合してコーン茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られたコーン茶飲料について、参考例5と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表21に示す。なお、表21中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0132】
比較例31
更に、デキストリンを表21に示す割合で配合したこと以外は、比較例30と同様の操作によりコーン茶飲料(RTD飲料)を得た。得られたコーン茶飲料について、比較例30と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表21に示す。なお、表21中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0133】
実施例40~42
更に、ジヒドロクマリンを表21に示す割合で配合したこと以外は、比較例31と同様の操作によりコーン茶飲料(RTD飲料)を得た。得られたコーン茶飲料について、比較例31と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表21に示す。なお、表21中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0134】
官能評価5
各コーン茶飲料の「後渋味」、「デキストリンの異味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、次の手順で行った。
【0135】
(1)後渋味の評価
先ず、参考例5のコーン茶飲料にエピガロカテキンガレート(EGCG)を表19に示す割合で配合して「後渋味」の強さを10段階に調整した「後渋味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「後渋味標準飲料」について、表19に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがEGCG濃度の低い「後渋味標準飲料」から順に摂取し、「後渋味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各コーン茶飲料を摂取し、「後渋味」の程度を評価し、「後渋味標準飲料」の中から「後渋味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「後渋味」が強く感じられることを意味する。
【0136】
【表19】
【0137】
(2)デキストリンの異味の評価
先ず、参考例5のコーン茶飲料にデキストリン(サンデック#30、三和澱粉株式会社)を表20に示す割合で配合して「デキストリンの異味」の強さを5段階に調整した「異味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「異味標準飲料」について、表20に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがデキストリン濃度の低い「異味標準飲料」から順に摂取し、「デキストリンの異味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各コーン茶飲料を摂取し、「デキストリンの異味」の程度を評価し、「異味標準飲料」の中から「デキストリンの異味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「異味」が強く感じられることを意味する。
【0138】
【表20】
【0139】
【表21】
【0140】
参考例6
製造例5で得られた茶抽出液VIと、重曹と、イオン交換水とを表24に示す割合で配合して麦茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られた麦茶飲料について分析を行い、官能評価6にしたがって評価した。その結果を表24に示す。なお、表24中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0141】
比較例32
茶抽出物Iと、製造例5で得られた茶抽出液VIと、重曹と、イオン交換水とを表24に示す割合で配合して麦茶飲料(RTD飲料)を得た。次いで、得られた麦茶飲料について、参考例6と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表24に示す。なお、表24中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0142】
比較例33
更に、デキストリンを表24に示す割合で配合したこと以外は、比較例32と同様の操作により麦茶飲料(RTD飲料)を得た。得られた麦茶飲料について、比較例32と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表24に示す。なお、表24中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0143】
実施例43~45
更に、ジヒドロクマリンを表24に示す割合で配合したこと以外は、比較例33と同様の操作により麦茶飲料(RTD飲料)を得た。得られた麦茶飲料について、比較例33と同様に分析及び官能評価を行った。その結果を表24に示す。なお、表24中の計算値又は分析値の濃度は、固形分濃度である。
【0144】
官能評価6
各麦茶飲料の「後渋味」、「デキストリンの異味」について専門パネル4名が官能試験を行った。官能試験は、次の手順で行った。
【0145】
(1)後渋味の評価
先ず、参考例6の麦茶飲料にエピガロカテキンガレート(EGCG)を表22に示す割合で配合して「後渋味」の強さを10段階に調整した「後渋味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「後渋味標準飲料」について、表22に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがEGCG濃度の低い「後渋味標準飲料」から順に摂取し、「後渋味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各麦茶飲料を摂取し、「後渋味」の程度を評価し、「後渋味標準飲料」の中から「後渋味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「後渋味」が強く感じられることを意味する。
【0146】
【表22】
【0147】
(2)デキストリンの異味の評価
先ず、参考例6の麦茶飲料にデキストリン(サンデック#30、三和澱粉株式会社)を表23に示す割合で配合して「デキストリンの異味」の強さを5段階に調整した「異味標準飲料」を調製した。次に、専門パネル4名が各濃度の「異味標準飲料」について、表23に示す評点とすることを合意した。次いで、各専門パネルがデキストリン濃度の低い「異味標準飲料」から順に摂取し、「デキストリンの異味」の強さを記憶した。次いで、各専門パネルが各麦茶飲料を摂取し、「デキストリンの異味」の程度を評価し、「異味標準飲料」の中から「デキストリンの異味」が最も近いものを決定した。そして、各専門パネルが決定した評点に基づいて、協議により「0.5」刻みで最終評点を決定した。なお、評点は、数値が大きいほど、「異味」が強く感じられることを意味する。
【0148】
【表23】
【0149】
【表24】
【0150】
表4~9、12、15、18、21及び24から、タンニンとデキストリンをそれぞれ特定量含有させ、タンニンに対してクマリン及び/又はその誘導体を特定の質量比で含有させることで、デキストリン由来の異味を抑制しつつ、タンニン由来の後渋味が低減された飲料組成物が得られることがわかる。