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特許7320997医療材料セット管理システム、医療材料セット管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】医療材料セット管理システム、医療材料セット管理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230728BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019110629
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020201900
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000132194
【氏名又は名称】株式会社スズケン
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】残華 知彦
(72)【発明者】
【氏名】井手 義章
(72)【発明者】
【氏名】大八木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】井手 隆博
(72)【発明者】
【氏名】湯川 誠
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3199614(JP,U)
【文献】特開2007-106557(JP,A)
【文献】特開2018-041234(JP,A)
【文献】特開2005-202744(JP,A)
【文献】特開2006-178919(JP,A)
【文献】特開2017-148114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療材料の組み合わせを示す情報を含むリストファイルに基づいて集められた医療材料に付帯されたICタグから識別情報を取得することで第1セットデータを得る第1取得部と、
前記第1取得部によって識別情報の取得が行われた後において、払い出し前検品時に前記医療材料のICタグから識別情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部によって得られた第1セットデータと前記第2取得部によって得られた情報との相違に関する検品データを得て、前記第1セットデータに含まれており前記払い出し検品時に前記第2取得部によって得られた情報である第2セットデータに含まれていない識別情報については不足医療材料、前記第1セットデータに含まれており前記第2セットデータにも含まれている識別情報についてはリスト内医療材料、前記第1セットデータに含まれておらず前記第2セットデータに含まれる識別情報についてはリスト外医療材料、としていずれかのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別する検品部と、
前記検品データを出力する出力部と、
を有する医療材料セット管理システム。
【請求項2】
前記第2取得部は、返品チェック時に前記医療材料のICタグから識別情報を読み取り、
前記検品部は、前記第1取得部によって得られた情報である第1セットデータに含まれており前記返品チェック時に前記第2取得部によって得られた情報である第3セットデータに含まれていない識別情報については使用済み、前記第1セットデータに含まれており前記第3セットデータにも含まれている識別情報については未使用、前記第1セットデータに含まれておらず前記第3セットデータに含まれる識別情報についてはリスト外医療材料、としていずれかのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別する
請求項1に記載の医療材料セット管理システム。
【請求項3】
前記ステータスがリスト外医療材料に該当する識別情報を、使用された医療材料として前記リストファイルに登録する追加登録部
を有する請求項又は請求項に記載の医療材料セット管理システム。
【請求項4】
前記集められた医療材料は、コンテナに収容され、
前記コンテナには、コンテナ識別情報が付与され、
当該コンテナ識別情報は、前記リストファイルに登録される
請求項1から請求項のうちいずれか1項に記載の医療材料セット管理システム。
【請求項5】
第1取得部が、医療材料の組み合わせを示す情報を含むリストファイルに基づいて集められた医療材料に付帯されたICタグから識別情報を取得することで第1セットデータを取得し、
第2取得部が、前記第1取得部によって識別情報の取得が行われた後において、払い出し前検品時に前記医療材料のICタグから識別情報を取得し、
検品部が、前記第1取得部によって得られた第1セットデータと前記第2取得部によって得られた情報との相違に関する検品データを得て、前記第1セットデータに含まれており前記払い出し検品時に前記第2取得部によって得られた情報である第2セットデータに含まれていない識別情報については不足医療材料、前記第1セットデータに含まれており前記第2セットデータにも含まれている識別情報についてはリスト内医療材料、前記第1セットデータに含まれておらず前記第2セットデータに含まれる識別情報についてはリスト外医療材料、としていずれかのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別し、
出力部が、前記検品データを出力する
医療材料セット管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療材料セット管理システム、医療材料セット管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の医療機関においては、治療、検査、手術等を行う場合に、医療材料が使用される。このような医療材料は、使用実績を把握し、病院に保管されている医療材料の在庫が不足しないように管理が行われている。このような医療材料を管理するシステムとしては、使用済みの医療材料を管理するシステム(特許文献1参照)や、医療材料がどの部署においてどの患者に対して使用されたかを管理するシステム(特許文献2参照)等が提案されている。
ここで、病院において手術を行う場合には、手術内容に応じて必要な医療材料を、手術日から数日前に準備して手術セットとして保管することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-041234号公報
【文献】特開2019-008694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手術セットを準備していても、別の手術において緊急に医療材料が必要になった場合には、事前に準備された別の手術セットの中から抜き出して使用されることがある。このような場合、医療材料が抜き出された手術セットについては、後で補充等を行うことで、準備をし直す必要があるが、このような緊急時においてどの手術セットからどの医療材料を抜き出したかを管理することが煩雑である。また、事前に準備された手術セットの内容が、手術の当日においても変更されていないか確認をする必要があるが、セットされた医療材料の数や種類が多い場合には、確認の手間や時間がかかる。また、手術セットと実際に使用された医療材料との対応関係についても簡単に確認できることが好ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、手術セットの内容を簡単に確認することができる医療材料セット管理システム、医療材料セット管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、医療材料の組み合わせを示す情報を含むリストファイルに基づいて集められた医療材料に付帯されたICタグから識別情報を取得することで第1セットデータを得る第1取得部と、前記第1取得部によって識別情報の取得が行われた後において、払い出し前検品時に前記医療材料のICタグから識別情報を取得する第2取得部と、前記第1取得部によって得られた第1セットデータと前記第2取得部によって得られた情報との相違に関する検品データを得て、前記第1セットデータに含まれており前記払い出し検品時に前記第2取得部によって得られた情報である第2セットデータに含まれていない識別情報については不足医療材料、前記第1セットデータに含まれており前記第2セットデータにも含まれている識別情報についてはリスト内医療材料、前記第1セットデータに含まれておらず前記第2セットデータに含まれる識別情報についてはリスト外医療材料、としていずれかのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別する検品部と、前記検品データを出力する出力部と、を有する。
【0007】
また、本発明は、第1取得部が、医療材料の組み合わせを示す情報を含むリストファイルに基づいて集められた医療材料に付帯されたICタグから識別情報を取得することで第1セットデータを取得し、第2取得部が、前記第1取得部によって識別情報の取得が行われた後において、払い出し前検品時に前記医療材料のICタグから識別情報を取得し、検品部が、前記第1取得部によって得られた第1セットデータと前記第2取得部によって得られた情報との相違に関する検品データを得て、前記第1セットデータに含まれており前記払い出し検品時に前記第2取得部によって得られた情報である第2セットデータに含まれていない識別情報については不足医療材料、前記第1セットデータに含まれており前記第2セットデータにも含まれている識別情報についてはリスト内医療材料、前記第1セットデータに含まれておらず前記第2セットデータに含まれる識別情報についてはリスト外医療材料、としていずれかのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別し、出力部が、前記検品データを出力する医療材料セット管理方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、手術セットの内容を簡単に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態による医療材料セット管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。
図2】リストファイルの一例を示す図である。
図3】セットリストの一例を示す図である。
図4】セット伝票の一例を示す図である。
図5】医療材料セット管理システム1の動作を説明する概念図である。
図6】端末装置30の画面に表示される、検品結果の表示画面の一例を示す図である。
図7】端末装置30の画面に表示される、検品結果の表示画面の一例を示す図である。
図8】端末装置30の画面に表示される、検品結果の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による医療材料セット管理システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による医療材料セット管理システム1の構成を示す概略ブロック図である。
医療材料セット管理システム1は、ICラベル発行装置10、リーダライタ20、端末装置30、プリンタ35、医療材料セット管理装置40がネットワーク50を介して接続される。
ICラベル発行装置10は、ICラベル15に各種情報を印字する。印字される情報としては、例えば、IC(Integrated Circuit)ラベル15が付帯される対象の医療材料に関連する情報であり、医療材料の名称(商品名等)、医療材料の規格、医療材料を個別に識別する識別情報等である。識別情報は、英数字等の文字列によって表される情報であってもよいし、バーコードや二次元バーコード等の機械読取コードの形式で表される情報であってもよい。以下、医療材料を識別する識別情報をシリアル番号と称することがある。
また、付帯は、医療材料とICラベル15との対応関係がわかるような状態となっていればよく、例えば、医療材料に対してICラベル15を貼り付けたり、医療材料とICラベル15とを1つの袋の中に入れたりしてもよい。
医療材料は、医療機関において検査や手術を行う際に利用される材料であり、例えば、ガーゼ、包帯、シリンジ等である。このような医療材料は、一般に、繰り返し使用するものではなく消耗品であり、使用されることで在庫の補充も行われる。
【0011】
ICラベル15は、ラベルの表面に各種情報(医療材料の名称(商品名等)、医療材料の規格、医療材料を個別に識別する識別情報等)を印字することが可能な領域がある。またICラベル15の裏面には、粘着材が塗布された粘着層が設けられており、医療材料等に貼り付けることが可能である。また、ICラベル15には、ラベルの表面と裏面との間の層にICタグが設けられており、リーダライタ20と通信することが可能である。このICラベル15のICタグには、ICラベル15を個別に識別する識別情報が割り当てられ記憶されている。このICラベル15のICタグに記憶される識別情報とICラベル15の表面に印字される識別情報は同じ情報を用いることができる。
【0012】
リーダライタ20は、通信可能な一定の範囲内にあるICタグと通信を行い、各種情報を送信または受信する。リーダライタ20は、ICタグに記憶された識別情報を読み取り、読み取った結果を端末装置30に出力する。
ここで、リーダライタ20は、コンテナ25を載置可能な載置面を有する。この載置面には、ICラベル15が付帯された医療材料が収容されコンテナ用ICタグが取り付けられたコンテナ25が載置される。リーダライタ20は、この載置面に載置されたコンテナ25のコンテナ用ICタグ及びそのコンテナ25に収容された医療材料に付帯されたICラベル15から識別情報を取得する。コンテナ25のコンテナ用ICタグに記憶された識別情報は、コンテナ番号(セット番号とも称する)として利用される。なお、この実施形態において、コンテナ番号は、コンテナ用ICタグから読み出す場合について説明するが、コンテナ番号を表す機械読取コード(例えばバーコードまたは二次元バーコード等)が印刷されたシートをコンテナ25に取り付け、コンテナ番号については、バーコードリーダを用いて、この機械読取コードを読み取るようにしてもよい。
【0013】
コンテナ25は、複数の医療材料を収容可能な収容容器である。コンテナ25は、例えば、樹脂製である。コンテナ25は、複数準備されており、それぞれに、コンテナ用ICタグが取り付けられ、コンテナ25を識別するコンテナ番号(セット番号とも称する)が記述されたシートが、外部から視認可能な位置に取り付けられている。なお、コンテナ25のコンテナ用ICタグを用いずに、コンテナ番号を表す機械読取コード(例えばバーコードまたは二次元バーコード等)が印刷されたシートを用い、このシートをコンテナ25に取り付けるようにしてもよい。
【0014】
端末装置30は、ICラベル発行装置10、リーダライタ20、医療材料セット管理装置40と通信可能であり、各機器に対して各種情報の送信または受信を行う。端末装置30には、液晶表示パネル等の表示部や、キーボードやマウス等の入力装置が設けられている。
端末装置30は、例えばコンピュータである。端末装置30は、主に、病院内の作業担当者によって利用される。
プリンタ35は、ネットワーク50を介して端末装置30に接続され、端末装置30からの印刷指示に基づいて、印刷媒体に印刷をする。印刷される書面としては、例えば、手術セット伝票である。手術セット伝票は、医療材料セット管理装置40のセットリスト記憶部411に記憶されたセットリストに基づいて印刷される。
【0015】
医療材料セット管理装置40は、記憶部410、通信部420、発番管理部430、検品部440、追加登録部450、出力部460、制御部470を有する。
記憶部410は、リストファイル記憶部411を有する。
リストファイル記憶部411は、リストファイルを記憶する。
図2は、リストファイルの一例を示す図である。
リストファイルは、実施対象の手術毎において用いられる医療材料をコンテナ番号、患者ID及び手術名等とともに管理するデータである。
より具体的に、リストファイルは、セット番号、患者ID、手術名、商品コード、医療材料名、規格、シリアル番号、ステータスの情報を含むデータである。
セット番号は、手術式に個別に割り当てられたIDである。すなわち、同じ手術の名称であっても、手術する対象の患者や日程が異なる場合には、手術式に対して個別のIDが割り当てられる。また、このセット番号は、コンテナ25のICタグに記憶されたコンテナ識別情報に対応している。例えば、セット番号は、コンテナ識別情報と同じ情報を用いることができる。また、セット番号は、医療材料のシリアル番号とは異なることを識別することが可能な情報(例えば、セット番号の最も左の桁の文字がセット番号を示す特定の文字(あるいはフラグ)を含んでおり、シリアル番号には含まれていない情報)を含んでおり、これにより、シリアル番号とセット番号とをリーダライタ20で一緒に読み取った場合であっても、いずれがセット番号であるかを特定できるようになっている。また、セット番号には枝番が含まれており、同一手術式を識別することが可能となっている。
患者IDは、手術セットを用いて手術を行う対象の患者を識別するIDである。患者IDは、払出前検品後に払出前検品作業結果情報を用いてリストファイルに追加登録されてもよい。
手術名は、手術式の名称である。商品コードは、商品(医療材料)に割り当てられ当該商品を特定することが可能な情報である。医療材料名は、医療材料の名称である。規格は、医療材料のサイズや容量等を表す。
シリアル番号は、医療材料を個別に識別するIDである。すなわち、同じ名称の医療材料であっても、個別に識別することが可能なIDである。
ステータスは、検品部440によって検品された結果に応じた検品履歴やその他の各種情報を含むことができる。
【0016】
図1に戻り、通信部420は、端末装置30からネットワーク50を介して各種情報の送信や受信をする。通信部420は、第1取得部421と、第2取得部422とを有する。
第1取得部421は、医療材料の組み合わせを示す情報を含むリストファイルから得られるセットリストに基づいて集められた医療材料に付帯されたICタグから識別情報を取得する。このようにして識別情報が取得されると、第1取得部421は、セットリストに基づいて集められた医療材料に付帯されたICタグから得られた少なくとも1つの識別情報を第1セットデータとして得る。得られた第1セットデータは、端末装置30から医療材料セット管理装置40に対して送信される。
この第1セットデータを得るタイミングとしては、例えば、セットリストに基づく手術セット伝票に応じて、対象の医療材料を棚から取り出してコンテナ25に収容するピッキング作業が終了したとき(例えば、セット作成時)である。
【0017】
図3は、セットリストの一例を示す図である。このセットリストは、医療材料をピッキングするために印刷データ(セット伝票)データとして利用されるデータである。このセットリストは、端末装置30が、予め医療材料セット管理装置40のリストファイル記憶部411に記憶されたリストファイルを端末装置30の記憶領域にコピーし、このコピーされたリストファイルから抽出することで生成される。
セットリストは、手術の名称と当該手術において用いられる医療材料の組み合わせを把握可能な情報である。より具体的に、セットリストは、セット番号、手術名、商品コード、医療材料名、規格の情報を含むデータである。
このようなセットリストは、セット伝票として印刷される。そしてこのセット伝票を元に、医療材料をピッキングし、コンテナ25に収容することで、手術毎に対応した手術セットを作成することができる。
【0018】
図4は、セット伝票の一例を示す図である。手術セット伝票は、手術名と、商品名と、数量とが記載された伝票である。このセット伝票は、セット作成時において、端末装置30がプリンタによって印刷することで発行される。
商品名は、医療材料の名称である。数量は、セットリストにおいては、同じ商品コードの医療材料が複数である場合には、この個数に応じたレコード数のデータが記憶されるが(2個必要な場合には、2つのレコード)、セット伝票においては、数量としてその量が記述される。セットリストの段階において、同じ商品コードであっても複数のレコードにすることで、セット作成時の段階において、シリアル番号をそれぞれの商品コードに対応づけできるようになっている。一方で、セット伝票においては、個数が表示されることで、セット作成担当者は、必要な数を簡単に認識することができる。
【0019】
第2取得部422は、第1取得部421によって識別情報の取得が行われた後において、医療材料のICタグから識別情報を取得する。
また、第2取得部422は、第1取得部421によって識別情報の取得が行われた後であって、返品チェック時とは異なるタイミングにおいて医療材料のICタグから識別情報を取得する。このような識別情報は、第2セットデータとして端末装置30から医療材料セット管理装置40に対して送信される。第2セットデータを得るタイミングとしては、払い出し検品時である。払い出し検品は、ピッキング作業(セット作成)が終了した後であって、このコンテナ25に収容された医療材料を使用する手術が実施される前までの間に実施される。この払い出し検品が実施されるタイミングは、実施の手術が実施される前日または当日等であることが想定される。
また、第2取得部422は、医療材料のICタグから識別情報を取得することで第3セットデータを得ることもできる。第3セットデータは、端末装置30から医療材料セット管理装置40に対して送信される。この第3セットデータを得るタイミングとしては、返品チェック時である。返品チェックは、コンテナ25に収容された医療材料を使用する手術が実施された後に実施される。この返品チェックのタイミングは、手術が実施された翌日等であることが想定される。
【0020】
発番管理部430は、医療材料セット管理システム1において用いられる各種番号を発番する。例えば、発番管理部430は、商品コードに基づいてシリアル番号を発行する。
【0021】
検品部440は、第1セットデータと、第2セットデータまたは第3セットデータとの相違に関する検品データを得る。
検品部440は、払い出し検品時において得られた第2セットデータを対象として検品処理する場合において、第1セットデータに含まれており第2セットデータに含まれていない識別情報については不足医療材料、第1セットデータに含まれており第2セットデータにも含まれている識別情報についてはリスト内医療材料、第1セットデータに含まれておらず第2セットデータに含まれる識別情報についてはリスト外医療材料、としていずれのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別する。
また、検品部440は、返品チェック時において得られた第3セットデータを対象として検品処理する場合において、第1セットデータに含まれており第3セットデータに含まれていない識別情報について使用済み、第1セットデータに含まれており第3セットデータにも含まれている識別情報について未使用、第1セットデータに含まれておらず第3セットデータに含まれる識別情報をリスト外医療材料、としていずれかのステータスに該当するかを各識別情報のそれぞれに対して判別する。
【0022】
追加登録部450は、リスト外医療材料のステータスに該当する識別情報を、使用された医療材料(追加利用)として使用履歴データに登録する。また、追加登録部450は、リーダライタ20によって読み取った識別情報のうち、追加利用された医療材料の識別情報以外であっても、端末装置30から操作を行う事により、読み取られた識別情報を付与して使用履歴データに登録することもできる。例えば、セット作成時や払い出し検品時において、リストファイルにないシリアル番号の医療材料が検出された場合であっても、各種確認を行った上で問題ないと判断された医療材料であれば、リストファイルに登録することも可能である。
出力部460は、検品データを端末装置30に出力する。これにより端末装置30の表示画面に、検品データが表示される。
制御部470は、医療材料セット管理装置40の各部を制御する。
【0023】
ネットワーク50は、インターネット、LAN(local area network)、公衆回線網等のうちいずれか1つまたはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0024】
次に、上述した実施形態における医療材料セット管理システム1の動作を説明する。
図5は、医療材料セット管理システム1の動作を説明する概念図である。
医療材料セット管理システム1において、医療材料が業者等によって病院に納品されると、ICラベル発行装置10は、納品された医療材料のそれぞれに対応したICラベル15を印刷する(ステップS110)。ここでは、納品された医療材料の商品コードと数量と発番の指示が端末装置30から入力されると、発番管理部430が、この商品コードに基づいて、数量に応じた個数のシリアル番号を発番する。発番管理部430は、例えば、商品コードに対して個別の枝番を付加することで、医療材料を個別に識別可能な識別情報としてシリアル番号を生成し、生成したシリアル番号を通信部420によって、端末装置30に送信する。これを受けて、端末装置30は、プリンタによって、シリアル番号毎に個別のICラベル15に印刷する。これにより、例えば、注射針、シリンジ等のそれぞれに対応する個別のICラベル15が印刷される(符号501)。例えば、納品されたシリンジが100個ある場合には、100枚のICラベル15が印刷される。ICラベル15が印刷されると、ラベル発行担当者は、ICラベル15と印刷された対象の医療材料との対応関係が解るように、同じ棚に一時保管する。また、ここでは、シリアル番号は、商品コードに対して枝番を付加するようにしたので、シリアル番号を元に、どの商品かを特定できるようになっている。
【0025】
次に、手術セットを作成する場合、端末装置30は、手術セット伝票を印刷する(ステップS120)。ここでは、手術実施確定時に、医療材料セット管理装置40の制御部470が、発番管理部430によって発番されたセット番号とともに、リストファイル記憶部411にリストファイルを登録する。端末装置30は、このリストファイルをリストファイル記憶部411から端末装置30の記憶領域にコピーし、このコピーされたリストファイルから、セット伝票のデータを抽出し、プリンタ35によって印刷する。
【0026】
手術セット伝票が印刷されると、セット作成担当者は、手術セット伝票に記載された商品名と数量に従って、医療材料が保管されている棚から必要な医療材料について必要な数だけ取り出すとともに、その棚に収められている、対応するICラベル15を取り出し、医療材料にそれぞれICラベル15を貼り付ける。そしてセット作成担当者は、医療材料セット管理装置40から通知されたセット番号に対応するコンテナ25を、コンテナ保管棚から取り出し、ICラベル15が貼り付けられた医療材料を当該コンテナ25に入れる。あるいは、コンテナ25に対してコンテナ用ICラベルが用いられない場合には、利用されていないいずれかのコンテナ25を取り出し、セット伝票をコンテナ25に対して、所定の差し込み箇所に差し込む等によって取り付けられることで、コンテナ25をその手術セット用のコンテナとして用いることができる。また、この場合、コンテ25に割り当てられたコンテナ番号を表す機械読取コードもコンテナ25に取り付けられる。そして、そのコンテナ25をリーダライタ20に載置する。ここでは、セット作成担当者は、医療材料のそれぞれに付与されたシリアル番号を、それぞれバーコードリーダで読み取る等を作業を行わなくても、リーダライタ20にコンテナ25に収容された状態で載置することで、各シリアル番号を読み取りさせることができる。
【0027】
端末装置30は、医療材料が収容されたコンテナ25が載置されると、載置されたコンテナ25のICタグ及びコンテナ25に収容された医療材料に付帯されたICラベル15を、リーダライタ20によって読み出す。ここで、コンテナ25にコンテナ用ICタグが取り付けられておらず、機械読取コードが取り付けられている場合には、バーコードリーダによって当該機械読取コードを読み取るようにしてもよい。この場合、バーコードによって取得されたデータが、コンテナ識別情報(セット番号)として取得することができ、リーダライタ20によって得られた識別情報が医療材料のシリアル番号であるとして区別可能である。
端末装置30は、医療材料セット管理装置40のリストファイル記憶部411に記憶されたリストファイルを、予め医療材料セット管理装置40からコピーしておき、作業を行う際には、コピーしたリストファイルを用いてコンテナ番号から手術セット情報の抽出を行う。これに基づいて作業者は作業を行う。医療材料セット管理装置40からコピーされたリストファイル(符号502)は、セット番号、商品コード、商品名、規格、の情報が含まれており、この時点においては、シリアル番号については、未登録の状態である。
【0028】
端末装置30は、医療材料セット管理装置40からコピーされたリストファイルを参照し、得られたコンテナ25のセット番号と、ICラベル15から得られた識別情報とに基づいて、リストファイル(符号502)の商品コードに対応するシリアル番号を割り当てることで作業結果ファイル(符号503)を生成し、医療材料セット管理装置40に送信する(ステップS122)。
ここでは、例えば、端末装置30は、セット番号と商品コードとシリアル番号とを対応付けることで作業結果ファイル(符号503)を生成し、医療材料セット管理装置40に送信する。シリアル番号がどの商品コードに対応するかについては、シリアル番号の一部に商品コードが含まれているため、シリアル番号に含まれた商品コードを抽出してセットリストの商品コードと突合させることができる。
また、ここでは、端末装置30は、作業結果ファイルに基づく情報を表示画面上に表示することができる。これにより、作業担当者は、セット作成時において、コンテナ25に収容された医療材料の組み合わせが、セット伝票において指定された医療材料の組み合わせと一致しているか否かを把握することができる。
【0029】
医療材料セット管理装置40は、端末装置30から作業結果ファイルを受信すると、受信した作業結果ファイルのセット番号に基づいて、リストファイル記憶部411に記憶されたリストファイルから、更新対象のコンテナデータ内の医療材料リストを取得し、取得された医療材料リストの商品コードに対し、対応するシリアル番号を書き込むことで更新する(ステップS123)。この更新を行うことで、リストファイルの商品コードに対して、作業結果ファイルに含まれるシリアル番号を対応付けし、リストファイル記憶部411に記憶することができる(符号504)。
【0030】
このようにしてセット作成処理が完了すると、そのコンテナ25は、所定の棚に収められ、実際に手術が行われる当日まで数日間(1週間~2週間等)保管される。
【0031】
次に、端末装置30は、払い出し前検品のタイミングが到来すると(ステップS130)、検品担当者は、払い出し検品を行う対象のコンテナ25を棚から取り出し、リーダライタ20に載置する。端末装置30は、リーダライタ20によって、コンテナ25のICタグとコンテナ25に収容されたICラベル15のICタグに記憶された情報を読み出す。一方で、端末装置30は、シリアル番号が紐付けされたリストファイルをリストファイル記憶部411から端末装置30の記憶領域にコピーする(ステップS131)。端末装置30は、コピーされたリストファイルと、リーダライタ20によって読み出したシリアル番号との差分を検出し、検出結果を医療材料セット管理装置40に送信する(ステップS132)。医療材料セット管理装置40は、検出結果を受信すると、リストファイルに検出結果を対応付けて記憶する(符号505)。これにより、払い出し前において、コンテナ25に収容された医療材料の組み合わせが、セット作成時における組み合わせから変化があったか否かの履歴を残すことができる。なお、ここでは、セット番号を取得するにあたり、コンテナ25にコンテナ用ICタグが取り付けられておらず、機械読取コードが取り付けられている場合には、バーコードリーダによって当該機械読取コードを読み取ることで、セット番号を取得すればよい。
【0032】
また、端末装置30は、検出結果を表示画面上に表示する。これにより、検品担当者は、払い出し前において、コンテナ25に収容された医療材料の組み合わせが、セット作成時における組み合わせから変化があったか否かを把握することができる。
【0033】
そして、払い出し前検品が行われた結果に応じて、コンテナ25に収容された医療材料の組み合わせが正しい場合には、そのまま手術を実施する際に利用することができる状態であることが確認できる。一方、組み合わせが正しくない場合には、コンテナ25に収容される医療材料について必要な対応をすることで、手術に用いることができる状態となるように事前に手直しすることができる。
【0034】
次に、コンテナ25の手術セットが利用された後、コンテナ25が返却されると、検品担当者は、返品チェックを実施する(ステップS140)。ここでは、セット作成処理が行われた後、払い出し前検品の処理が行われ、返品チェックを実施する場合について説明するが、場合によっては、払い出し前検品が実施されずにコンテナ25が手術室に払い出され、そして返却された場合に、ステップS140の返品チェックを実施する場合もある。
【0035】
検品担当者は、返品チェック対象のコンテナ25をリーダライタ20に載置する。
端末装置30は、リーダライタ20によって、コンテナ25のICタグとコンテナ25に収容されたICラベル15に記憶された情報を読み出す。一方で、端末装置30は、シリアル番号が紐付けされたリストファイルをリストファイル記憶部411から端末装置30の記憶領域にコピーする(ステップS141)。なお、ここでは、セット番号を取得するにあたり、コンテナ25にコンテナ用ICタグが取り付けられておらず、機械読取コードが取り付けられている場合には、バーコードリーダによって当該機械読取コードを読み取ることで、セット番号を取得するようにしてもよい。
端末装置30は、コピーされたリストファイルと、リーダライタ20によって読み出したシリアル番号との差分を検出し、検出結果を医療材料セット管理装置40に送信する(ステップS142)。医療材料セット管理装置40は、検出結果を受信すると、セットリストに検出結果を対応付けて記憶する(符号506)。これにより、返品チェック時において、コンテナ25に収容された医療材料の組み合わせが、セット作成時における組み合わせから変化があったか否かの履歴や、使用された医療材料等の履歴を残すことができる。
また、端末装置30は、検出結果を表示画面上に表示する。これにより、検品担当者は、返品チェックにおいて、コンテナ25に収容された医療材料の組み合わせが、セット作成時における組み合わせから変化があったか否かを把握することができる。
【0036】
図6図7図8は、端末装置30の画面に表示される、検品結果の表示画面の一例を示す図である。
図6は、図5ステップS120のセット作成における検出結果が表示された画面の一例を示す図である。
この図において、画面左側には、検出結果とリストファイルとの関係を示す表示領域(符号550)が表示される。この表示領域では、リストファイルに含まれる商品コード、医療材料名、規格、シリアル番号が表示される。そして、リストファイルに含まれる医療材料のうち、ステップS120のセット作成が行われた際、読み取ることができたICラベル15のシリアル番号については、そのシリアル番号を含む医療材料について背景がグレーとして表示され(符号551、符号553)、読み取ることができなかったICラベル15のシリアル番号については、そのシリアル番号を含む医療材料について背景が白として表示される(符号552)。このように、端末装置30は、リストファイルに含まれる医療材料のそれぞれについて、読み取ることができたか否かに応じて異なる表示態様で表示する。これにより、コンテナ25をリーダライタ20で読み取ることで、コンテナ25に予め収容しておいた医療材料がリストファイルに登録された組み合わせとなるようにピッキングできているか否かを簡単に把握することができる。例えば、背景がグレーとして表示することで、当該医療材料が、リストファイルの通りコンテナ25に収容されていることを表すリスト内医療材料であることを表示することができる。
一方、背景が白で表示された医療材料は、リストファイルに登録されているにもかかわらずコンテナ25に収容されていない医療材料であることが把握できる。このように背景が白で表示された医療材料は、不足医療材料であることを表示することができる。これにより、不足医療材料であることが示された医療材料については、追加でコンテナ25に収容する等の必要な対応をすることができる。
【0037】
一方、画面右側には、リストファイルには登録されていなかったが、セット作成時に検出された医療材料であるリスト外医療材料の検出結果が表示される表示領域(符号5600)が表示される。これは、リストファイルに含まれていない医療材料を手術セット作成時に誤ってコンテナ25に入れてしまった場合や、リストファイルに商品コードがあるが、投入個数を多く入れてしまった場合、他の手術セットから混入した場合等が要因として挙げられる。ここでは、医療材料は、同じ商品コードであっても、異なるシリアル番号が付与されているため、商品コードが同じであっても個別の物品が異なる場合には、入れ替わっていることを検出することができる。
【0038】
ここで、検品担当者は、符号560の表示領域に表示されたリスト外医療材料と、符号550に表示された医療材料(特に符号552に示す、シリアル番号を読み取ることができなかった医療材料)とを参照し、シリアル番号に含まれる商品コードを元に、リストファイルに含まれていた商品コードと一致するかを確認することができる。そして一致する医療材料については、リストファイルに反映させるための所定の操作ボタンをマウス等でクリックする。これにより、追加登録部450が、リストファイルに追加登録する。これにより、セット作成時において、コンテナ25内に収容される医療材料の一部がリストファイルと異なっていたとしても、問題ないかを確認した上で、問題ない医療材料については、リストファイルに反映させることができ、セット作成時において生じた変化を許容することが可能となる。また、入れ替わりが適切でない場合には、適切でない医療材料を取り出す等の必要な対応をすることができる。
【0039】
図7は、図5ステップS130の払い出し検品における検出結果が表示された画面の一例を示す図である。
この図において、画面左側には、検出結果とリストファイルとの関係を示す表示領域(符号600)が表示される。この表示領域では、リストファイルに含まれる商品コード、医療材料名、規格、シリアル番号が表示される。そして、リストファイルに含まれる医療材料のうち、ステップS130の払い出し前検品の処理が行われた際、読み取ることができたICラベル15のシリアル番号については、そのシリアル番号を含む医療材料について背景がグレーとして表示され(符号610、符号630、符号650)、読み取ることができなかったICラベル15のシリアル番号については、そのシリアル番号を含む医療材料について背景が白として表示される(符号620、符号640)。このように、端末装置30は、リストファイルに含まれる医療材料のそれぞれについて、読み取ることができたか否かに応じて異なる表示態様で表示する。これにより、コンテナ25をリーダライタ20で読み取ることで、コンテナ25に予め収容しておいた医療材料が当初の予定通り、払い出し検品時においても存在するか否かを簡単に把握することができる。例えば、背景がグレーとして表示することで、当該医療材料が、当初の予定通りコンテナ25に収容されていることを表すリスト内医療材料であることを表示することができる。
一方、背景が白で表示された医療材料は、手術セット作成時と払い出し検品時との間のいずれかのタイミングでコンテナ25から取り出された医療材料であることが把握できる。このように背景が白で表示された医療材料は、不足医療材料であることを表示することができる。これにより、不足医療材料であることが示された医療材料については、追加でコンテナ25に収容する等の必要な対応をすることができる。
【0040】
一方、画面右側には、リストファイルには登録されていなかったが検品時に検出された医療材料であるリスト外医療材料の検出結果が表示される表示領域(符号700)が表示される。これは、リストファイルに含まれていない医療材料を手術セット作成時に誤ってコンテナ25に入れてしまった場合や、リストファイルに商品コードがあるが、投入個数を多く入れてしまった場合、手術セット作成時と払い出し検品時との間のいずれかのタイミングにおいて、医療材料を手術セットから取り出したため、補充する目的で同じ商品コードの医療材料を投入した場合等が要因として挙げられる。ここでは、医療材料は、同じ商品コードであっても、異なるシリアル番号が付与されているため、商品コードが同じであっても個別の物品が異なる場合には、入れ替わっていることを検出することができる。
【0041】
ここで、検品担当者は、符号700の表示領域に表示されたリスト外医療材料と、符号600に表示された医療材料(特に符号620、符号640に示す、シリアル番号を読み取ることができなかった医療材料)とを参照し、シリアル番号に含まれる商品コードを元に、リストファイルに含まれていた商品コードと一致するかを確認することができる。そして一致する医療材料については、リストファイルに反映させるための所定の操作ボタンをマウス等でクリックする。これにより、追加登録部450が、リストファイルに追加登録する。これにより、払い出し検品時において、コンテナ25内に収容された医療材料の一部が入れ替わっていたとしても、問題ないかを確認した上で、問題ない医療材料については、リストファイルに反映させることができ、セット作成時から生じた変化を許容することが可能となる。また、入れ替わりが適切でない場合には、適切でない医療材料を取り出す等の必要な対応をすることができる。
【0042】
図8は、図5ステップS140の返品チェックにおける検出結果が表示された場合の表示画面の一例を示す図である。
画面左側には、検出結果とリストファイルとの関係を示す表示領域(符号800)が表示される。この表示領域では、リストファイルに含まれる商品コード、医療材料名、規格、シリアル番号が表示される。そして、リストファイルに含まれる医療材料のうち、ステップS140の返品チェックの処理が行われた際、読み取ることができたICラベル15のシリアル番号については、その識別情報を含む医療材料について背景がグレーとして表示され(符号810、符号830)、読み取ることができなかったICラベル15のシリアル番号については、そのシリアル番号を含む医療材料について背景が白として表示される(符号820)。このように、端末装置30は、リストファイルに含まれる医療材料のそれぞれについて、読み取ることができたか否かに応じて異なる表示態様で表示する。これにより、コンテナ25をリーダライタ20で読み取ることで、コンテナ25に予め収容されていた医療材料のうち、いずれが実際に利用されたか否かを簡単に把握することができる。例えば、手術時に利用された医療材料については、コンテナ25から取り出されたあと、そのICラベル15はコンテナ25の外部の所定の廃棄ボックスに投入されることで破棄され、利用されなかった医療材料は、そのままコンテナ25に残る。そのため、背景がグレーとして表示された医療材料は、手術の際に利用された医療材料(使用済み医療材料)であることを示しており、背景が白で表示された医療材料は、手術セット作成時においてコンテナ25に入れられていたが、手術においては利用されずに返品されたこと(未使用医療材料)を示している。これにより、手術セットとして準備された医療材料が実際に利用されたか否かを、返却されたコンテナ25をリーダライタ20で読み取ることで、把握することができる。
【0043】
一方、画面右側には、リストファイルには登録されていなかったが返品チェック時に検出された医療材料について、リスト外医療材料として検出された結果が表示される表示領域(符号900)が表示される。ここで、手術においては、手術の状況によっては、リストファイルにない医療材料を使用するケースもあり得る。このような場合には、リストファイルにない医療材料が所定の棚などから取り出され、手術において追加で利用されると、その利用された医療材料のICラベル15がコンテナ25に投入される。このような追加利用された医療材料については、リスト外医療材料として表示される。このように検出されたリスト外医療材料については、返品チェック担当者から追加登録の指示が端末装置30の入力装置を介して入力され、医療材料セット管理装置40に送信されることで、追加登録部450が、その患者に対して利用された医療材料としてリストファイル記憶部411に使用実績として追加登録することができる。追加登録してよいか否かの判断は、表示領域(符号900)において、リスト外医療材料として判定された理由を参考にして決めることができる。使用された医療材料のICラベル15をコンテナ25に入れられた状態で読み取り、その結果を画面上で確認して追加登録の指示を入力することができるため、追加登録できるため、追加で利用された医療材料の管理を簡単に行うことができる。
【0044】
リスト外医療材料として判定された理由は、表示領域(符号900)において、シリアル番号に対応付けて表示される(符号910)。表示される理由は、例えば、「定数」、「セット違い」、「患者違い」、「セット違い/患者違い」、「非表示」等がある。
「定数」は、読み取られた医療材料が追加で利用された場合を示す。これは、検品部440が、リストファイルにはないが、返品チェック時にICラベル15が読み取られたことを検出された場合に、定数であると判定することができる。
【0045】
「セット違い」は、読み取られた医療材料に対応する患者IDは一致しているが、対応する手術セットが異なる場合を示す。このようなケースは、例えば、同じ患者に対して1度の手術において異なる複数種類の手術を行った場合において、第1の手術のために準備されたコンテナ25の手術セットの中から取り出された医療材料が、第2の手術のために準備されたコンテナ25の中に入れられた場合が考えられる。検品部440は、検出された医療材料のシリアル番号が、第1の手術セットに登録されているにもかかわらず同じ患者の第2の手術セットのコンテナ25とともに検出された場合に、理由を「セット違い」として判定し、出力する。
「患者違い」は、読み取った医療材料のシリアル番号に対応する手術名は一致しているが、対応する患者が異なる場合に相当する。このようなケースは、手術名は同じであるが、ある患者のコンテナ25の手術セットの中から取り出された医療材料が、別の患者のコンテナ25の中に入れられた場合が考えられる。検品部440は、検出された医療材料のシリアル番号に対応する手術名が対応しているが、患者IDがリストファイルとは異なる場合に、理由を「患者違い」として出力する。
【0046】
「セット違い/患者違い」は、読み取った医療材料のシリアル番号に対応する患者も手術名も異なる場合に相当する。このようなケースは、手術名が異なり、かつ患者も異なるコンテナ25どうしのうち、いずれの医療材料が、一方のコンテナ25から他方のコンテナ25に手術セットの中に入れられた場合が考えられる。検品部440は、検出された医療材料のシリアル番号に対応する手術名と患者IDが、リストファイルとは異なる場合に、理由を「セット違い/患者違い」として出力する。
「非表示」は、上記の理由のいずれにも該当しない場合に相当する。検品部440は、上記の理由のいずれにも該当しないことを検出した場合には、「非表示」とする。この場合、端末装置30は、理由の欄に理由が記述されない状態で表示する。
このように理由も特定することができため、どのような経緯で利用されたICラベル15(医療材料)であるかんも判別に役立つ。
【0047】
以上説明した実施形態によれば、バーコードではなく、ICラベルを用いて医療材料を管理するようにしたので、医療材料のそれぞれのバーコードにバーコードリーダで読み取るような操作が不要であり、読み取り操作を簡単にすることができる。これにより、読み取り作業時間も短縮することができる。
また、医療材料に個別のシリアル番号を割り当てるようにしたので、トレーサビリティの向上にも寄与する。
【0048】
上述した実施形態における医療材料セット管理装置40、あるいは端末装置30をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…医療材料セット管理システム、10…ICラベル発行装置、15…ICラベル、15…(Integrated Circuit)ラベル、20…リーダライタ、25…コンテナ、30…端末装置、35…プリンタ、40…医療材料セット管理装置、50…ネットワーク、410…記憶部、411…リストファイル記憶部、420…通信部、421…第1取得部、422…第2取得部、430…発番管理部、440…検品部、450…追加登録部、460…出力部、470…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8