(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】燃料ポンプモジュール
(51)【国際特許分類】
F02M 37/08 20060101AFI20230728BHJP
F02M 37/04 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
F02M37/08 E
F02M37/04 A
(21)【出願番号】P 2019171968
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 太一
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/143072(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/073587(WO,A1)
【文献】特開2017-180130(JP,A)
【文献】特開平07-114970(JP,A)
【文献】特開平10-193363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00-37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータを内蔵し、吸入した燃料を加圧して吐出するポンプ本体と、
樹脂製の周壁を有し、当該周壁の内部に前記ポンプ本体が収容されるモジュールケースと、
前記周壁に一部が埋設されたケース側給電端子と、
前記周壁の内部に収容されて、前記ケース側給電端子と前記電動モータの給電部を電気的に接続する中継ケーブルユニットと、
前記周壁の一端側の開口を閉塞するモジュールカバーと、を備え、
前記ケース側給電端子は、
前記周壁の軸方向に沿って延び、前記周壁の内側で前記中継ケーブルユニットに接続される内側端子部と、
前記周壁の軸方向と交差する方向に延び、前記周壁の外側で給電ケーブルに接続される外側端子部と、
前記内側端子部と前記外側端子部の基端同士を連結し、かつ前記周壁に埋設される周壁埋設部と、を備え、
前記ケース側給電端子の前記内側端子部、及び、前記電動モータの前記給電部は、前記周壁の内部において前記開口に向かって突出し、
前記中継ケーブルユニットは、
前記内側端子部に接続されるケース接続側コネクタと、
前記給電部に接続されるモータ接続側コネクタと、
前記ケース接続側コネクタ及び前記モータ接続側コネクタを接続する中継ケーブルと、を有し、
前記中継ケーブルは、前記モジュールカバーと対向する位置で折り返して前記周壁の内側に収容され、
前記周壁埋設部は、前記モジュールケースの軸方向において、前記開口と逆側にクランク状に屈曲していることを特徴とする燃料ポンプモジュール。
【請求項2】
電動モータを内蔵し、吸入した燃料を加圧して吐出するポンプ本体と、
樹脂製の周壁を有し、当該周壁の内部に前記ポンプ本体が収容されるモジュールケースと、
前記周壁に一部が埋設されたケース側給電端子と、
前記周壁の内部に収容されて、前記ケース側給電端子と前記電動モータの給電部を電気的に接続する中継ケーブルユニットと、を備え、
前記ケース側給電端子は、
前記周壁の軸方向に沿って延び、前記周壁の内側で前記中継ケーブルユニットに接続される内側端子部と、
前記周壁の軸方向と交差する方向に延び、前記周壁の外側で給電ケーブルに接続される外側端子部と、
前記内側端子部と前記外側端子部の基端同士を連結し、かつ前記周壁に埋設される周壁埋設部と、を備え、
前記周壁埋設部は、
前記外側端子部の基端から前記内側端子部の先端と離間する側に向かって屈曲して延びる第1延出領域と、
前記第1延出領域の延出方向の端部から前記周壁の径方向内側に向かって屈曲して延びる第2延出領域と、
前記第2延出領域の延出方向の端部と前記内側端子部の基端を接続する接続領域と、を有することを特徴
とする燃料ポンプモジュール。
【請求項3】
前記周壁埋設部の延出方向と交差する断面の周囲には接着剤層が設けられていることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の燃料ポンプモジュール。
【請求項4】
前記周壁埋設部の延出方向と交差する断面の周囲には接着剤層が設けられ、
前記接着剤層は、前記第2延出領域に設けられ、
前記第1延出領域は、前記第2延出領域に対して鈍角を成すように傾斜していることを特徴とする
請求項2に記載の燃料ポンプモジュール。
【請求項5】
複数の前記ケース側給電端子を前記周壁埋設部で保持する保持ブロックをさらに備え、
前記保持ブロックは、前記周壁に埋設されていることを特徴とする
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の燃料ポンプモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に燃料を供給するための燃料ポンプモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車等の内燃機関を搭載する車両において、燃料タンクの外側に配置され燃料タンク内の燃料を内燃機関に供給する燃料ポンプモジュールを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の燃料ポンプモジュールは、モジュールケースの樹脂製の周壁の内側にポンプ本体が収容され、モジュールケースの周壁には、一部が周壁に埋設されたケース側給電端子が取り付けられている。ケース側給電端子は、周壁の内側で周壁の軸方向に沿って延びる内側端子部と、周壁の外面から周壁の外側に突出する外側端子部と、内側端子部と外側端子部を略L字状に連結し、かつ周壁に埋設される周壁埋設部と、を有している。ケース側給電端子の内側端子部には、当該内側端子部とポンプ本体の給電部(モータ側給電端子)を接続する中継ケーブルユニットの一端が接続されている。また、ケース側給電端子の外側端子部には、外部の電源ケーブルが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の燃料ポンプモジュールは、通常、ケース側給電端子は金属材料によって形成され、モジュールケースの周壁は樹脂材料によって形成される。そして、ケース側給電端子をモジュールケースの周壁と一体のユニットとして形成する場合には、周壁の造形時に、モールド成形によってケース側給電端子の一部(周壁埋設部)を周壁の樹脂内に埋設する。
【0006】
しかし、この種の燃料ポンプモジュールは、一端側が内側端子部に連続し他端側が外側端子部に連続する略L字状の埋設部が周壁の樹脂内に埋設されている。このため、周壁の肉厚を充分に確保できない場合には、モジュールケースの端子設置部のシール性能が低下してしまう。また、逆に、端子設置部のシール性能を高めようとすると、モジュールケースの周壁の肉厚が厚くなり、製品の大型・重量化を招く原因となる。
【0007】
そこで本発明は、モジュールケースの周壁の肉厚増加を抑制しつつ、周壁とケース側給電端子の間のシール性能を高めることができる燃料ポンプモジュールを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る燃料ポンプモジュールは、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の一態様に係る燃料ポンプモジュールは、電動モータを内蔵し、吸入した燃料を加圧して吐出するポンプ本体と、樹脂製の周壁を有し、当該周壁の内部に前記ポンプ本体が収容されるモジュールケースと、前記周壁に一部が埋設されたケース側給電端子と、前記周壁の内部に収容されて、前記ケース側給電端子と前記電動モータの給電部を電気的に接続する中継ケーブルユニットと、前記周壁の一端側の開口を閉塞するモジュールカバーと、を備え、前記ケース側給電端子は、前記周壁の軸方向に沿って延び、前記周壁の内側で前記中継ケーブルユニットに接続される内側端子部と、前記周壁の軸方向と交差する方向に延び、前記周壁の外側で給電ケーブルに接続される外側端子部と、前記内側端子部と前記外側端子部の基端同士を連結し、かつ前記周壁に埋設される周壁埋設部と、を備え、前記ケース側給電端子の前記内側端子部、及び、前記電動モータの前記給電部は、前記周壁の内部において前記開口に向かって突出し、前記中継ケーブルユニットは、前記内側端子部に接続されるケース接続側コネクタと、前記給電部に接続されるモータ接続側コネクタと、前記ケース接続側コネクタ及び前記モータ接続側コネクタを接続する中継ケーブルと、を有し、前記中継ケーブルは、前記モジュールカバーと対向する位置で折り返して前記周壁の内側に収容され、前記周壁埋設部は、前記モジュールケースの軸方向において、前記開口と逆側にクランク状に屈曲していることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様に係る燃料ポンプモジュールは、電動モータを内蔵し、吸入した燃料を加圧して吐出するポンプ本体と、樹脂製の周壁を有し、当該周壁の内部に前記ポンプ本体が収容されるモジュールケースと、前記周壁に一部が埋設されたケース側給電端子と、
前記周壁の内部に収容されて、前記ケース側給電端子と前記電動モータの給電部を電気的に接続する中継ケーブルユニットと、を備え、前記ケース側給電端子は、前記周壁の軸方向に沿って延び、前記周壁の内側で前記中継ケーブルユニットに接続される内側端子部と、前記周壁の軸方向と交差する方向に延び、前記周壁の外側で給電ケーブルに接続される外側端子部と、前記内側端子部と前記外側端子部の基端同士を連結し、かつ前記周壁に埋設される周壁埋設部と、を備え、前記周壁埋設部は、前記外側端子部の基端から前記内側端子部の先端と離間する側に向かって屈曲して延びる第1延出領域と、前記第1延出領域の延出方向の端部から前記周壁の径方向内側に向かって屈曲して延びる第2延出領域と、前記第2延出領域の延出方向の端部と前記内側端子部の基端を接続する接続領域と、を有することを特徴とする。
【0010】
前記周壁埋設部の延出方向と交差する断面の周囲には接着剤層が設けられるようにしても良い。
【0011】
前記接着剤層は、前記第2延出領域に設けられ、前記第1延出領域は、前記第2延出領域に対して鈍角を成すように傾斜するようにしても良い。
【0012】
燃料ポンプモジュールは、複数の前記ケース側給電端子を前記周壁埋設部で保持する保持ブロックをさらに備え、前記保持ブロックは、前記周壁に埋設されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ケース側給電端子の周壁埋設部がクランク形状に形成されているため、ケース側給電端子の周壁埋設部がモールド成形によってモジュールケースの周壁に埋設されると、周壁埋設部が周壁の樹脂に対して長く、かつ屈曲した経路で接触することになる。したがって、本発明を採用した場合には、モジュールケースの周壁の肉厚増加を抑制しつつ、周壁とケース側給電端子の間のシール性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態の燃料ポンプモジュールの外観斜視図。
【
図2】実施形態の燃料ポンプジュールの分解斜視図。
【
図3】実施形態の燃料ポンプモジュールの
図6のIII-III断面に対応する断面図。
【
図4】実施形態の燃料ポンプモジュールの
図6のIV-IV断面に対応する断面図。
【
図8】実施形態のポンプ本体をポンプ吐出口側から見た斜視図。
【
図9】実施形態のポンプ本体をポンプ吸入口側から見た斜視図。
【
図10】実施形態の燃料ポンプモジュールの
図3のX矢視図。
【
図11】実施形態の燃料ポンプモジュールの
図1のXI-XI線に沿う断面図。
【
図12】実施形態のケース側給電端子の端子アッシーの斜視図。
【
図13】実施形態の端子アッシーの接着剤層の成形工程を示す断面図。
【
図14】実施形態の端子アッシーを周壁の成形金型に組み付ける工程を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態の燃料ポンプモジュール1の外観斜視図である。
図2は、燃料ポンプモジュール1の分解斜視図である。また、
図3は、
図6のIII-III断面に対応する断面図である。
本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、例えば、自動二輪車等の鞍乗型車両の燃料タンク(図示略)の外部に配置されて、燃料タンク内のガソリン等の液体燃料(以下、「燃料」と呼ぶ。)を内燃機関(不図示)に向けて圧送する用途に適用される。燃料ポンプモジュール1は、勿論、それ以外の自動四輪車両等の車両に搭載することも可能である。
【0017】
燃料ポンプモジュール1は、軸方向に長い略円筒状のモジュールケース2と、モジュールケース2の軸方向の一端側の開口3を閉塞する第1モジュールカバー4(モジュールカバー)と、モジュールケース2の軸方向の他端側の開口(不図示)を閉塞する第2モジュールカバー6と、を備えている。モジュールケース2と第1,第2モジュールカバー4,6とは、いずれも樹脂材料によって形成されている。本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、例えば、モジュールケース2の中心軸線を水平方向に向けた姿勢で、燃料タンク(不図示)の下方に搭載される。モジュールケース2の外周面には、燃料タンクから燃料を吸入する吸入配管7と、吸入した燃料を内燃機関に送出する送出配管8と、余剰燃料を燃料タンクに戻すリターン配管9と、が設けられている。これらの配管(吸入配管7、送出配管8、リターン配管9)は、ホース等を介して、燃料タンク側及び内燃機関側に接続される。燃料ポンプモジュール1は、吸入配管7とリターン配管9のホース接続端を上方側に向けた姿勢で燃料タンクの下方に搭載される。
【0018】
略円筒状のモジュールケース2の内部には、吸入配管7を通して内部に導入された燃料を濾過するフィルタカートリッジ10と、フィルタカートリッジ10のフィルタ10aを通過した燃料を加圧して吐出するポンプ本体11と、が収容されている。フィルタカートリッジ10は、蛇腹状に折り畳まれたフィルタ10a(フィルタエレメント)が環状に配置されている。フィルタ10aは、樹脂製のケース部10bに取り付けられている。環状に配置されたフィルタ10aは、外周側が燃料の導入側(濾過前側)とされ、内周側が燃料の導出側(濾過後側)とされている。ポンプ本体11は、電動モータ11a(
図3参照)を内蔵し、電動モータ11aの動力によって駆動される。ポンプ本体11は、フィルタ10aを通過した燃料を軸方向の一端側のポンプ吸入口11bから吸入し、軸方向の他端側のポンプ吐出口11cから吐出する。
【0019】
吸入配管7と送出配管8とリターン配管9とは、モジュールケース2の軸方向の一端側(開口3側)からモジュールケース2の軸長のほぼ3分の2の長さ分離間した位置に突設されている。モジュールケース2の内部のうちの、モジュールケース2の軸方向の一端側からモジュールケース2の軸長のほぼ3分の2の長さ分離間した位置には、モジュールケース2の内部をポンプ収容室12とフィルタ収容室(不図示)とに隔成する隔壁 (不図示)が形成されている。吸入配管7は、フィルタ収容室側に連通し、送出配管8とリターン配管9は、ポンプ収容室12側に連通している。モジュールケース2の隔壁には、貫通孔(不図示)が設けられ、その貫通孔にフィルタカートリッジ10のケース部10bの内筒10cが接続されている。なお、
図2中の符号13aは、内筒10cと貫通孔の間を密閉するためのシール部材である。内筒10cは、貫通孔を通してポンプ本体11のポンプ吸入口11bと接続されている。
【0020】
また、モジュールケース2のポンプ収容室12の内部には、
図3に示すように、ポンプ本体11を保持するためのポンプ保持壁14が一体に形成されるとともに、送出配管8が延設されている。送出配管8は、モジュールケース2の周壁からモジュールケース2の径方向内側に延びた後に、開口3に向かってモジュールケース2の軸方向に略沿って延びている。また、モジュールケース2のポンプ収容室12の外側を取り囲む周壁2bには、三相の電源ケーブルを接続するための給電コネクタ15が一体に設けられている。給電コネクタ15の三相のケース側給電端子60は、ポンプ収容室12の内部において、中継ケーブルユニット16を介してポンプ本体11(電動モータ11a)のモータ側給電端子35(
図8~
図11参照)に接続されている。モータ側給電端子35は、電動モータ11aの給電部を構成している。
【0021】
第2モジュールカバー6は、モジュールケース2の他端の開口を覆うカバー底壁6aと、カバー底壁6aの外周縁部から軸方向に屈曲して延びる複数のロック舌片6bと、を有している。複数のロック舌片6bは、カバー底壁6aの外周縁部に等間隔に離間して延設されている。また、ロック舌片6bには、当該ロック舌片6bの厚み方向に貫通する係合孔6cが形成されている。一方、モジュールケース2の軸方向の他端側の外周面には、複数のロック凸部2aが突設されている。ロック凸部2aは、第2モジュールカバー6のロック舌片6bと一対一で対応するように設けられている。第2モジュールカバー6は、カバー底壁6aでモジュールケース2の開口を覆った状態において、各ロック舌片6bを弾性変形させつつ、各ロック舌片6bの係合孔6cが、対応するロック凸部2aに嵌合される。これにより、第2モジュールカバー6は、モジュールケース2の軸方向の端部にスナップフィット式に固定される。第2モジュールカバー6は、モジュールケース2のフィルタ収容室にフィルタカートリッジ10を収容した後に、モジュールケース2の軸方向の端部に固定される。なお、
図2中の符号13bは、第2モジュールカバー6とモジュールケース2の間を密閉するためのシール部材である。
【0022】
図4は、
図6のIV-IV断面に対応する断面図である。
図5は、第1モジュールカバー4の斜視図である。
第1モジュールカバー4は、モジュールケース2の軸方向の一端側の開口3を覆う円板状のベース壁4aと、ベース壁4aの外周縁部から径方向外側に延びる円環状の溶着壁4bと、ベース壁4aと溶着壁4bの境界部から(溶着壁4bの径方向内側位置から)円筒状に突出する内側周壁4cと、溶着壁4bの外周縁部から内側周壁4cと同側に突出する円筒状の外側周壁4dと、を備えている。内側周壁4cと外側周壁4dは、円板状のベース壁4aに対して同軸に形成されている。内側周壁4cは、モジュールケース2の軸方向の一端側の開口3内に挿入される。外側周壁4dは、モジュールケース2の軸方向の一端側の周壁2bの外周側を覆う。溶着壁4bには、モジュールケース2の周壁2bの軸方向の一端側の端面2cが突き当てられ、その状態で一端側の端面2cが溶着によって固定されている。
【0023】
モジュールケース2の周壁2bの軸方向の一端側の端面2cは、その内周縁部に面取り部2dが設けられている。面取り部2dは、周壁2bの先端側に向かって周壁2bの肉厚が次第に薄くなるようにテーパー状に形成されている。周壁2bの面取り部2dは、第1モジュールカバー4の内側周壁4cとの間でバリ受容部17を形成する。バリ受容部17は、モジュールケース2の周壁2bの端面2cに第1モジュールカバー4の溶着壁4bが溶着される際に、溶融した樹脂を受容する空間部である。
【0024】
また、第1モジュールカバー4の内側周壁4cは、モジュールケース2の開口3に微小な隙間を挟んで挿入される環状基部18と、環状基部18の突出端側に環状の段差面19を挟んで連設される小径部20と、を有する。小径部20の外周面は、環状基部18の外周面に対して小径に形成されている。小径部20の環状基部18寄りの外周面と段差面19とは、環状のシール部材21を保持するためのシール保持部22を構成している。シール部材21は、シール保持部22に保持された状態において、内側周壁4c(小径部20)の外周面とモジュールケース2の開口3の内周面とに密接する。
【0025】
第1モジュールカバー4の外側周壁4dは、溶着壁4bからの突出長さが溶着壁4bからシール保持部22(シール部材21)までの長さよりも長く設定されている。このため、シール部材21を装着した第1モジュールカバー4をモジュールケース2の周壁2bに仮組みする際には、最初に外側周壁4dの端部をモジュールケース2の周壁2bの端部に外嵌することにより、周壁2bの端部とシール部材21との強接触を回避しつつ、第1モジュールカバー4をモジュールケース2に対してセンタリングすることができる。
なお、モジュールケース2の周壁2bの一端部寄りの外周面には、径方向外側に突出して、外側周壁4dの端面に対向する帯状の保護壁32が一体に設けられている。保護壁32の突出高さは、外側周壁4dの外径寸法よりも高くなるように設定されている。
【0026】
モジュールケース2内の第1モジュールカバー4の裏面に対向する位置には通路ブロック23が組み付けられている。以下では、説明の便宜上、通路ブロック23については、第1モジュールカバー4の裏面に対向する側を正面と呼び、正面と逆側を背面と呼ぶ。
【0027】
図6は、通路ブロック23の背面図であり、
図7は、通路ブロック23を正面側から見た斜視図である。
通路ブロック23は、樹脂材料によって全体が短軸円柱状に形成されている。通路ブロック23の軸方向は、モジュールケース2の開口3の深さ方向に沿う方向とされている。通路ブロック23の背面側の端面(軸方向のモジュールケース2内に臨む側の端面)には、ポンプ本体11のポンプ吐出口11cが接続される第1凹部24と、送出配管8のモジュールケース2内の端部が接続される第2凹部25と、圧力調整弁26(プレッシャレギュレータ)が圧入によって組付けられる第3凹部27と、が形成されている。
【0028】
第1凹部24、第2凹部25、第3凹部27は、いずれも略円形状の穴によって形成されている。第1凹部24には、ポンプ本体11のポンプ吐出口11cの形成されるボス部11dが嵌入され、第2凹部25には、送出配管8のモジュールケース2内の端部が嵌入されている。ポンプ本体11のポンプ吐出口11cには、
図3に示すように、通路ブロック23方向からの燃料の逆流を防止するための逆止弁50が取り付けられている。また、第1凹部24とボス部11d、第2凹部25と送出配管8の各間には、燃料の漏出を防止するためのシール部材51が介装されている。
【0029】
第3凹部27は、通路ブロック23の端面において、第1凹部24と第2凹部25の軸心を結ぶ直線に対してオフセットした位置に形成されている。即ち、第1凹部24、第2凹部25、及び、第3凹部27は、通路ブロック23の端面から見たときに、仮想の三角形の各頂点となる位置に配置されている。
【0030】
通路ブロック23には、第1凹部24と第2凹部25の底部同士を接続する第1接続孔28と、第3凹部27と第2凹部25の底部同士を接続する第2接続孔29が形成されている。第1接続孔28と第2接続孔29は、通路ブロック23の軸方向の同一高さ位置において、通路ブロック23の軸方向と略直交する方向に延びている。第1接続孔28の軸線28oと第2接続孔29の軸線29oは、第2凹部25の底部の近傍において相互に交差している。
本実施形態の場合、第1凹部24と第1接続孔28と第2凹部25が、ポンプ吐出口11cと送出配管8を接続する接続通路30を構成し、第2接続孔29と第3凹部27が接続通路30から分岐する分岐通路31を構成している。
【0031】
第3凹部27に組み付けられる圧力調整弁26は、
図4に示すように、燃料排出口52aを有する略筒状のケーシング52の内部に、弁孔53aを有する弁座部品53と、弁孔53aを開閉する球状の弁体54と、弁体54を閉弁方向(弁孔53aを閉じる方向)に付勢するスプリング55と、を備えている。弁体54は、モジュールケース2のポンプ収容室12側から弁孔53aを開閉する。圧力調整弁26は、ポンプ吐出口11cと送出配管8を接続する接続通路30内の燃料の圧力が設定圧力よりも高まると、弁体54がスプリング55の付勢力に抗して弁孔53aを開き、余剰の燃料を、燃料排出口52aを通してポンプ収容室12内に戻す。これにより、送出配管8に送られる燃料の圧力は、設定圧力以下になるように調圧される。圧力調整弁26は、金属製のケーシング52が第3凹部27に圧入される。また、第3凹部27と圧力調整弁26の間には、燃料の漏出を防止するためのシール部材56が介装されている。
【0032】
また、通路ブロック23は、
図7等に示すように、モジュールケース2の開口3に微小な隙間を挟んで挿入される大径周壁23aと、大径周壁23aの軸方向の一端部に段差壁23bを挟んで連設された小径周壁23cと、小径周壁23cの端部を閉塞する頂部壁23dと、を有している。小径周壁23cの外径は大径周壁23aの外径よりも小さく設定されている。小径周壁23cと頂部壁23dとは、
図4に示すように、第1モジュールカバー4の内側周壁4cの内側に配置されている。段差壁23bには、第1モジュールカバー4の内側周壁4cの突出端(小径部20の突出端)が当接している。これにより、通路ブロック23は、第1モジュールカバー4の内側周壁4cによって外周縁部を軸方向で押さえ込まれ、その結果、軸方向の変位を規制されている。この状態において、通路ブロック23の頂部壁23dと第1モジュールカバー4のベース壁4aとの間には、所定の隙間dが確保されている。
また、段差壁23bの外周縁部には、第1モジュールカバー4の内側周壁4cの突出端(小径部20の突出端)の径方向の変位を規制するための規制突起23eが突設されている。
【0033】
第1凹部24の底部と第2凹部25の底部を接続する第1接続孔28と、第3凹部27の底部と第2凹部25の底部を接続する第2接続孔29は、通路ブロック23の型成形時に、図示しない成形ピンによって造形される。このとき、軸線28o,29oが第2凹部25の近傍で交差するように各成形ピンが配置される。各成形ピンは、通路ブロック23の小径周壁23cの一部を貫通するように配置されるため、通路ブロック23を型成形した後には、成形ピンを引き抜いた後の孔が小径周壁23cに残る。この孔は、孔の周縁部を熱かしめすることによって閉塞される。
【0034】
具体的には、通路ブロック23の型成形時には、小径周壁23c上の成形ピンの引き抜き孔が残る部分に径方向外側に突出するボス部が造形されるようにし、型成形の完了後に、凹球面状のかしめ治具によって、ボス部の先端部を球面状に潰すようにして熱かしめを行う。これにより、ボス部の先端部が中心方向に流れ込むように溶融し、その結果、残存している孔の端部が溶融樹脂によって閉塞される。
図7中の符号33は、熱かしめによる孔の閉塞部である。
【0035】
図8は、ポンプ本体11をポンプ吐出口11c側から見た斜視図であり、
図9は、ポンプ本体11をポンプ吸入口11b側から見た斜視図である。また、
図10は、燃料ポンプモジュール1の
図3のX矢視図であり、
図11は、燃料ポンプモジュール1の
図1のXI-XI線に沿う断面図である。なお、
図10中の矢印UPは、燃料ポンプモジュール1を軸線が略水平に向くように車両に搭載したときにおける鉛直上方を指している。
ポンプ本体11は、図示しないポンプ機構と、ポンプ機構を作動させるための電動モータ11a(
図3参照)が円筒状のケーシング42の内部に収容されている。なお、本実施形態では、電動モータ11aは、三つのモータ側給電端子35を有する三相ブラシレスモータによって構成されている。ケーシング42の軸方向の一端側の端部壁43aにはポンプ吸入口11bが設けられ、ケーシング42の軸方向の他端側の端部壁43bにはポンプ吐出口11cが設けられている。
【0036】
一端側の端部壁43aには、ポンプ本体11の作動時に、ポンプ室(不図示)内の気体と燃料の一部をポンプ収容室12内に排出する脱気孔45がさらに設けられている。端部壁43aに形成されたポンプ吸入口11bと脱気孔45は、いずれも端部壁43aの中心からオフセットした位置に形成されている。脱気孔45は、燃料ポンプモジュール1を軸線が略水平に向くように車両に搭載した状態(以下、「車載状態」と呼ぶ。)において、上端部がモジュールケース2の中心軸線oとほぼ同高さとなる位置に配置されている(
図10参照)。なお、
図10における線pは、中心軸線oを通る(脱気孔45の上端部の近傍を通る)水平な仮想線である。
【0037】
他端側の端部壁43bには、電動モータ11aに電力を供給するための三つの(三相の)モータ側給電端子35が突設されている。端部壁43bに形成されたポンプ吐出口11cは、端部壁43bの中心からオフセットした位置に配置されている。三つのモータ側給電端子35は、端部壁43bの外周縁部に等間隔に離間して突設されている。三つのモータ側給電端子35は、端部壁43bのうちのポンプ吐出口11cが偏心配置される側と逆側の縁部に突設されている。各モータ側給電端子35は、端部壁43bからの突出方向の長さが幅方向よりも長い略長方形状の金属板から成り、その金属板の幅方向が、円形の端部壁43bの接線方向に沿うように配置されている。
【0038】
中継ケーブルユニット16は、三本の中継ケーブル36と、三本の中継ケーブル36の各一端側に接続されるケース接続側コネクタ37と、三本の中継ケーブル36の各他端側に接続されるモータ接続側コネクタ38と、を備えている。ケース接続側コネクタ37は、給電コネクタ15の三つの(三相の)ケース側給電端子60に接続される三つの雌型コネクタ部37aを有する。各雌型コネクタ部37aは、給電コネクタ15側の対応するケース側給電端子60に接続される図示しない雌型端子を内蔵している。三つの雌型コネクタ部37aは、給電コネクタ15側の三つのケース側給電端子60の配列に対応して略直線状に並び、かつ、一体のブロックによって構成されている。各雌型コネクタ部37aは、給電コネクタ15の対応するケース側給電端子60に嵌合されることによって電気的に接続されている。また、中継ケーブル36は、第1モジュールカバーの裏面と対向する位置で折り返して周壁2bの内側に収容される。
【0039】
モータ接続側コネクタ38は、ケース接続側コネクタ37と同様に、給電コネクタ15の三つの(三相の)モータ側給電端子35に接続される三つの雌型コネクタ部38aを有する。各雌型コネクタ部38aは、ポンプ本体11側の対応するモータ側給電端子35に接続される図示しない雌型端子を内蔵している。三つの雌型コネクタ部38aは、ポンプ本体11側の三つのモータ側給電端子35の配列に対応して略円弧状に並び、かつ、一体のブロックによって構成されている。各雌型コネクタ部38aは、ポンプ本体11の対応するモータ側給電端子35に嵌合されることによって電気的に接続されている。
モータ接続側コネクタ38は、モータ側給電端子35との接続部41を端部壁43bの中心側から覆う遮蔽壁38bをさらに有している。遮蔽壁38bは、モータ接続側コネクタ38がモータ側給電端子35に接続された状態において、ポンプ収容室12内の滞留水からモータ側給電端子35との接続部41を遮蔽する。
【0040】
本実施形態の場合、ポンプ本体11の三つモータ側給電端子35のうちの一つは、車載状態において、
図10に示すように、ポンプ本体11の脱気孔45よりも下方側となる位置に配置されている。したがって、モータ側給電端子35と中継ケーブルユニット16(モータ接続側コネクタ38)の一つの接続部41は、ポンプ本体11の脱気孔45よりも下方に配置されている。
ポンプ本体11の三つモータ側給電端子35のうちの残りの二つは、車載状態において、ポンプ本体11の脱気孔45よりも上方側となる位置に配置されている。したがって、モータ側給電端子35と中継ケーブルユニット16(モータ接続側コネクタ38)の残りの二つ接続部41は、ポンプ本体11の脱気孔45よりも上方に配置されている。
【0041】
また、
図10に示すように、リターン配管9のポンプ収容室12側の連通口40は、鉛直方向に関して、圧力調整弁26の燃料排出口52aと一部が同一高さとなる(ラップする)ように形成されている。
【0042】
また、通路ブロック23に組付けられた圧力調整弁26は、車載状態において、その燃料排出口52aがポンプ本体11の脱気孔45よりも若干低くなる位置に配置されている。
【0043】
本実施形態の燃料ポンプモジュール1では、車載状態でポンプ本体11が作動すると、ポンプ本体11の脱気孔45や圧力調整弁26の燃料排出口52aからポンプ収容室12内に燃料が噴出される。このため、ポンプ収容室12内の脱気孔45や燃料排出口52aの近傍では、燃料の噴出流によってポンプ収容室12内の滞留水がリターン配管9の方向に誘導される。このため、ポンプ収容室12内の滞留水の水位が脱気孔45や燃料排出口52aと同じ高さまで上昇する前に、滞留水を、リターン配管9を通してポンプ収容室12の外部に排出することができる。
【0044】
図12は、給電コネクタ15の三つのケース側給電端子60の端子アッシー100を示す斜視図である。
図11,
図12に示すように、端子アッシー100は、三つのケース側給電端子60が所定の姿勢に調整された状態で樹脂製の保持ブロック64によって保持されている。端子アッシー100と保持ブロック64は、モールド成形によって一体化されている。各ケース側給電端子60は、導電性を有する金属プレートによって形成されている。
【0045】
ケース側給電端子60は、内側端子部60aと、外側端子部60bと、周壁埋設部60cと、を備えている。内側端子部60aは、
図11に示すように、周壁2bの軸方向に沿って延び、周壁2bの径方向内側で中継ケーブルユニット16のモータ接続側コネクタ38に接続される。外側端子部60bは、周壁2bの径方向外側に(軸方向と交差する方向に)延び、周壁2bの外側で外部の給電ケーブルに接続される。周壁埋設部60cは、内側端子部60aの基端と外側端子部60bの基端を連結し、かつ周壁2bの一部に埋設される。
以下では、説明の便宜上、ケース側給電端子60に関しては、内側端子部60aの延びる方向を軸方向と呼び、外側端子部60bの延びる方向を径方向と呼ぶ。また、外側端子部60bの先端から基端に向かう方向を径方向内側と呼ぶ。
【0046】
周壁埋設部60cは、第1延出領域60c-1と、第2延出領域60c-2と、接続領域60c-3と、を有する。第1延出領域60c-1は、外側端子部60bの基端から、軸方向において、内側端子部60aの先端と離間する側に向かって屈曲して延びている。第2延出領域60c-2は、第1延出領域60c-1の延出方向の端部から径方向内側に向かって屈曲して延びている。接続領域60c-3は、第2延出領域60c-2の延出方向の端部と内側端子部60aの基端を接続している。周壁埋設部60cは、これらの第1延出領域60c-1、第2延出領域60c-2、及び、接続領域60c-3によって内側端子部60aから離間する屈曲したクランク形状に形成されている。ただし、第1延出領域60c-1と第2延出領域60c-2の間の屈曲部60dは、直角に屈曲しているのではなく、第1延出領域60c-1が第2延出領域60c-2に対して鈍角α(
図13参照)を成すように屈曲している。
【0047】
また、径方向に延びる第2延出領域60c-2の中間部分には、延出方向と交差する方向に波形状に膨出する膨出部61が形成されている。第2延出領域60c-2のうちの、この膨出部61の形成されている部分の周域には(延出方向と交差する断面の周囲)には、
図11に示す接着剤層62が設けられている。なお、
図12は、接着剤層62が形成される前の状態が示されている。
【0048】
図13は、端子アッシー100のケース側給電端子60に接着剤層62を成形する工程を示す断面図である。
図13中の符号110は、所定の接着剤を第2延出領域60c-2に塗布するための塗布ガンである。接着剤は、塗布ガン110によって第2延出領域60c-2の周域に塗布するが、第2延出領域60c-2のうちの第1延出領域60c-1が側部に近接する側の面に接着剤を塗布する際には、塗布ガン110が第1延出領域60c-1と干渉し易くなる。しかし、本実施形態では、第1延出領域60c-1が第2延出領域60c-2に対して鈍角α(
図13参照)を成すように屈曲しているため、
図13に示すように、塗布ガン110の先端部外面が第1延出領域60c-1と干渉するのを避けることができる。
【0049】
上記のようにして第2延出領域60c-2に塗布された接着剤は、乾燥させることによって固化する。この結果、第2延出領域60c-2の一部(波形状の膨出部61のある部分)に接着剤層62が形成される。
【0050】
また、三つのケース側給電端子60をアッシーする保持ブロック64は、
図12,
図13等に示すように、各ケース側給電端子60の接続領域60c-3がモールド成形によって一体化される薄型の長方体状のベース部64aを有している。保持ブロック64は、さらにベース部64aの端部から内側端子部60aの先端側と逆向きに次第に窄まりつつ膨出するテーパ状の膨出部64bを有している。
【0051】
図14は、端子アッシー100を周壁2bの成形金型200に組み付ける工程を示す断面図である。
図14中の符号250は、端子アッシー100を把持して成形金型200内の所定位置に移動させる搬送装置の把持アームである。
図14に示すように、搬送装置の把持アーム250は、端子アッシー100の保持ブロック64の部分を把持する。より詳細には、把持アーム250は、保持ブロック64のうちの膨出部64bを把持する。この部分は、先端側に向かって先細り状に窄まっているため、把持アーム250によって位置出しを行いつつ、端子アッシー100を適正な姿勢に維持して把持することができる。成形金型200内に保持ブロック64がセットされ、その状態で成形金型内200に樹脂が充填されると、保持ブロック64と各ケース側給電端子60(周壁埋設部60c)が樹脂内に埋設される。この後に樹脂が固化することにより、端子アッシー100が周壁2bと一体化されて造形される。
【0052】
(実施形態の効果)
本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、各ケース側給電端子60の周壁埋設部60cがクランク形状に形成されているため、周壁埋設部60cがモールド成形によってモジュールケース2の周壁2bに埋設されると、周壁埋設部60cが周壁2bの樹脂に対して長く、かつクランク状に屈曲した経路で接触することになる。したがって、本実施形態の燃料ポンプモジュール1を採用した場合には、モジュールケース2の周壁2bの肉厚増加を抑制しつつ、周壁2bとケース側給電端子60との間のシール性能を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態の燃料ポンプモジュール1では、金属製のケース側給電端子60の周壁埋設部60cの周域に(延出方向と交差する断面の周囲に)接着剤層62が密着して固定されている。このため、モジュールケース2の周壁2bのモールド成形時には、周壁埋設部60cの周囲に密着して固定された接着剤層62の周囲に溶融樹脂が回り込む。したがって、本実施形態の燃料ポンプモジュール1を採用した場合には、金属から成る周壁埋設部60cと周壁2bの樹脂とを接着剤層62を介して密着状態に維持することができる。
【0054】
また、本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、ケース側給電端子60の周壁埋設部60cのうちの、第1延出領域60c-1が第2延出領域60c-2に対して鈍角を成すように傾斜し、第2延出領域60c-2に接着剤層62が設けられている。第2延出領域60c-2に接着剤層62を形成する際に、接着剤の塗布ガン110の先端側の周囲が第1延出領域60c-1と干渉するのを回避することができる。したがって、本実施形態の燃料ポンプモジュール1を採用した場合に、接着剤層の形成が容易になる。
【0055】
さらに、本実施形態の燃料ポンプモジュール1は、複数のケース側給電端子60が周壁埋設部60cで保持ブロック64と一体化され、その保持ブロック64がケース側給電端子60とともに周壁2bに埋設されている。このため、複数のケース側給電端子60を予め所定の整列状態に配置し、その状態で各周壁埋設部60cを保持ブロック64に保持させておき、その状態で、複数のケース側給電端子60を保持ブロック64とともに、周壁2bの樹脂内に埋設することができる。このため、複数のケース側給電端子60を所定の整列状態で、周壁2bの成形型内に容易にセットすることができる。したがって、本実施形態の燃料ポンプモジュール1を採用した場合には、燃料ポンプモジュール1の生産効率を高めることができる。
【0056】
また、本実施形態の燃料ポンプモジュール1では、中継ケーブルユニット16の中継ケーブル36が、第1モジュールカバー4の裏面と対向する位置で折り返して周壁2bの内側に収容され、ケース側給電端子60周壁埋設部60cが、モジュールケース2の軸方向において、開口3と逆側にクランク状に屈曲している。この場合、ケース接続側コネクタ37の位置が第1モジュールカバー4に近接していると、中継ケーブル36の第1モジュールカバー4との間の引き回しスペースが小さくなり、その結果、中継ケーブル36の折り返し部の曲げ曲率が大きくなる。その結果、中継ケーブル36の折り返し部での発生応力が大きくなり、経時使用時における中継ケーブル36のダメージが大きくなる。しかし、本実施形態の燃料ポンプモジュール1の場合、ケース側給電端子60の周壁埋設部60cが開口3と逆側にクランク状に屈曲していることから、ケース側給電端子60の内側端子部60aを外側端子部60bより第1モジュールカバー4から離間した位置に配置することができる。このため、車体取り付けの都合によりケース側給電端子60の外側端子部60bの設置位置を変更できない場合であっても、モジュールケース2の軸長を拡大することなく、中継ケーブル36の第1モジュールカバー4との間の引き回しスペースを大きく確保することができる。したがって、本実施形態の燃料ポンプモジュール1を採用した場合には、モジュールケース2の大型化を回避しつつ、中継ケーブル36の折り返し部に作用する応力を軽減することができる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…燃料ポンプモジュール
2…モジュールケース
2b…周壁
3…開口
4…第1モジュールカバー(モジュールカバー)
11…ポンプ本体
11a…電動モータ
16…中継ケーブルユニット
35…モータ側給電端子(給電部)
36…中継ケーブル
37…ケース接続側コネクタ
38…モータ接続側コネクタ
60…ケース側給電端子
60a…内側端子部
60b…外側端子部
60c…周壁埋設部
60c-1…第1延出領域
60c-2…第2延出領域
60c-3…接続領域
60d…屈曲部
62…接着剤層
64…保持ブロック