(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】統合型多極コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20230728BHJP
H01R 13/6582 20110101ALI20230728BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H01R13/46 B
H01R13/6582
H01R13/52 301E
H01R13/52 301G
H01R13/52 301H
(21)【出願番号】P 2019189978
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0159583
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】519373305
【氏名又は名称】キョンシン、コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】KYUNGSHIN CORP.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ユンジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テクユ
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-515788(JP,A)
【文献】特開平10-284166(JP,A)
【文献】特開2007-213960(JP,A)
【文献】特開2017-098103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/46
H01R 13/6582
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電場遮蔽のためのシールドコンタクトが備えられた第1電線ユニットと、電場遮蔽のためのシールドカバーが備えられ、前記第1電線ユニットと異なる電流容量を有する第2電線ユニットとが組立てられたフィメールハウジングと;
前記フィメールハウジングと結合される時、前記第1電線ユニットと電気接続される第1メール端子と、前記第2電線ユニットと電気接続される第2メール端子とが組立てられたメールハウジングと;
前記メールハウジングの内側に配置され、前記第1メール端子と第2メール端子の電場を遮蔽するメールシールドシェルと;
前記フィメールハウジングの内側に配置され、前記フィメールハウジングとメールハウジングとが結合される時、前記メールシールドシェルと連結されることにより、前記フィメールハウジングとメールハウジングとの間に電場遮蔽を可能にするフィメールシールドシェルと;を含む統合型多極コネクタ。
【請求項2】
前記フィメールシールドシェルは、メールシールドシェルの前端部と連結されるフィメールシールドシェルの前端部に、前記メールシールドシェルの前端部の内側面に接触する第1接触部が備えられたことを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項3】
前記第1接触部は、前記フィメールシールドシェルの前端部が前記メールシールドシェルの内側に挿入される時、前記メールシールドシェルの前端部の内側面に弾力的に接触するように形成されたことを特徴とする請求項2に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項4】
前記フィメールシールドシェルは、その後端部に、前記シールドコンタクトと接触して連結される第2接触部が備えられたことを特徴とする請求項2に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項5】
前記第2接触部は、第1電線ユニットが前記フィメールシールドシェルを貫通する時、前記シールドコンタクトの外側に弾力的に接触するようにフィメールシールドシェルに形成されたことを特徴とする請求項4に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項6】
前記第1電線ユニットは、フィメールハウジングの第1回路挿入部に組立てられる時、前記フィメールシールドシェルを貫通することを特徴とする請求項5に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項7】
前記フィメールシールドシェルは、その後端部に、第2電線ユニットのシールドカバーと接触して連結される第3接触部が備えられたことを特徴とする請求項2に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項8】
前記第3接触部は、第2電線ユニットが前記フィメールシールドシェルを貫通する時、前記シールドカバーの外側に弾力的に接触するようにフィメールシールドシェルに形成されたことを特徴とする請求項7に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項9】
前記第2電線ユニットは、フィメールハウジングの第2回路挿入部に組立てられる時、前記フィメールシールドシェルを貫通することを特徴とする請求項8に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項10】
前記第1電線ユニットは、その前端部が前記フィメールシールドシェルの内側に配置される1つ以上の小電流電線と、前記小電流電線の中央部の外側縁に配置される前記シールドコンタクトとを含み、前記小電流電線は、電流が流れるように形成された心線部と、前記心線部の電場遮蔽のための電線遮蔽網とを含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項11】
前記第1電線ユニットは、前記心線部と電線遮蔽網との間に配置され、前記心線部の電気絶縁を行う心線部絶縁体と、前記電線遮蔽網の外側に配置され、前記電線遮蔽網の電気絶縁を行う遮蔽網絶縁体とを含むことを特徴とする請求項10に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項12】
前記電線遮蔽網の前端部の外側縁に前記シールドコンタクトが配置され、前記フィメールシールドシェルと前記電線遮蔽網が前記シールドコンタクトの前後に配置されることを特徴とする請求項10に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項13】
前記第2電線ユニットは、
その前端部が前記フィメールシールドシェルの内側に配置される1つ以上の大電流電線と;
前記大電流電線の後端部が挿入されるシールドカバーと;
前記シールドカバーの後端部の外側に固定され、前記大電流電線の後端部を取り囲む遮蔽編組網と;を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項14】
前記メールハウジングが電気配電装置の電場遮蔽のための遮蔽ハウジングに設けられる時、前記メールシールドシェルの後端部が前記遮蔽ハウジングに接触によって連結され、前記遮蔽ハウジングとメールハウジングとの間に電場遮蔽が可能になったことを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項15】
前記第1電線ユニットの外側縁に小電流ワイヤシールが配置され、フィメールハウジングと第1電線ユニットとの間に水分が流入するのを防止することを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項16】
前記第2電線ユニットの外側縁にカバーシールが配置され、前記フィメールハウジングと第2電線ユニットとの間に水分が流入するのを防止することを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項17】
前記大電流電線の外側縁に大電流ワイヤシールが配置され、前記大電流電線と前記大電流電線の外側に配置されたシールドカバーとの間に水分が流入するのを防止することを特徴とする請求項13に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項18】
前記フィメールハウジングの内側にフィメールコネクタシールが設けられ、前記フィメールハウジングとメールハウジングとの間に水分が流入するのを防止することを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項19】
前記遮蔽ハウジングと接触する前記メールハウジングの後端部にメールコネクタシールが配置され、前記メールハウジングと前記遮蔽ハウジングとの間に水分が流入するのを防止することを特徴とする請求項14に記載の統合型多極コネクタ。
【請求項20】
前記フィメールハウジングにはフィメールインターロック端子が配置され、前記メールハウジングにはメールインターロック端子が配置され、
前記フィメールインターロック端子とメールインターロック端子との間に電気接続が完了する時、第1電線ユニットと第1メール端子との間に電流通電および第2電線ユニットと第2メール端子との間に電流通電が可能になり、前記フィメールシールドシェルとメールシールドシェルとが接触によって連結されることを特徴とする請求項1に記載の統合型多極コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合型多極コネクタに関し、詳細には、互いに異なる電流容量と遮蔽構造が適用される複数のコネクタを統合した多極コネクタとして使用できる統合型多極コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コネクタは、電流容量と遮蔽方式などによってその仕様が区分される。通常、1つのコネクタは、1つの電線に同等水準の電流を印加する。
【0003】
電気モータが駆動源として用いられるハイブリッド車両の場合、前記電気モータだけでなく、車両に設けられている各種電気負荷に電源を分配するために電気配電装置が設けられる。前記電気配電装置は、車両に搭載されたバッテリの電力が供給され、前記電気モータと電気負荷に電源を分配する。
【0004】
前記電気モータは、前記電気負荷対比で非常に高い高電流を消耗するため、前記電気モータに電流を印加するコネクタと前記電気負荷に電流を印加するコネクタは、異なる仕様のコネクタが用いられている。
【0005】
また、従来のコネクタは、その電流容量に応じて互いに異なる遮蔽構造が適用されている。コネクタの電流容量は、しきい電流値を基準として小電流と大電流とに区分される。費用および重量節減などの理由によって、小電流回路用コネクタの場合、それぞれの端子と接続される電線ごとに個別的に遮蔽構造が適用されており、大電流回路用コネクタの場合、複数の端子に対して一括的に遮蔽構造が適用されている。
【0006】
最近、車両の電流容量の増加に伴ってコネクタのサイズも大きくなっており、それによって、車両内の電気配電装置がコネクタを収容するために必要とする面積がますます増加している。
【0007】
これを改善するために、同一仕様の遮蔽構造が適用される複数の小電流回路用コネクタを統合させた多極コネクタが開発されている。しかし、個別の遮蔽構造が適用される小電流回路用コネクタと一括の遮蔽構造が適用される大電流回路用コネクタは、統合によるサイズ増大および防水の問題が存在するため、統合が難しい状況である。
【0008】
同一仕様の遮蔽構造が適用されるコネクタの場合、統合時のサイズ縮小が可能であるが、異なる仕様の遮蔽構造が適用されるコネクタの場合、統合時のサイズ縮小が困難なため、新たな遮蔽構造が必要である。また、異なる仕様の遮蔽構造が適用されたコネクタの統合のために新たな遮蔽構造が適用されても、遮蔽構造に対する防水の問題などが解決できなければ、コネクタの腐食および破損の問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、互いに異なる電流容量と遮蔽構造が適用される複数の電気コネクタを統合した多極コネクタとして使用できる統合型多極コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明では、統合型多極コネクタを提供する。前記統合型多極コネクタは、電場遮蔽のためのシールドコンタクトが備えられた第1電線ユニットと、電場遮蔽のためのシールドカバーが備えられ、前記第1電線ユニットと異なる電流容量を有する第2電線ユニットとが組立てられたフィメールハウジングと;前記フィメールハウジングと結合される時、前記第1電線ユニットと電気接続される第1メール端子と、前記第2電線ユニットと電気接続される第2メール端子とが組立てられたメールハウジングと;前記メールハウジングの内側に配置され、前記第1メール端子と第2メール端子の電場を遮蔽するメールシールドシェルと;前記フィメールハウジングの内側に配置され、前記フィメールハウジングとメールハウジングとが結合される時、前記メールシールドシェルと連結されることにより、前記フィメールハウジングとメールハウジングとの間に電場遮蔽を可能にするフィメールシールドシェルと;を含んで構成される。
【0011】
具体的には、前記フィメールシールドシェルは、メールシールドシェルの前端部と連結されるフィメールシールドシェルの前端部に、前記メールシールドシェルの前端部の内側面に接触する第1接触部が備えられる。前記第1接触部は、前記フィメールシールドシェルの前端部が前記メールシールドシェルの内側に挿入される時、前記メールシールドシェルの前端部の内側面に弾力的に接触するように形成される。また、前記フィメールシールドシェルは、その後端部に、前記シールドコンタクトと接触して連結される第2接触部が備えられる。前記第2接触部は、第1電線ユニットが前記フィメールシールドシェルを貫通する時、前記シールドコンタクトの外側に弾力的に接触するようにフィメールシールドシェルに形成される。前記第1電線ユニットは、フィメールハウジングの第1回路挿入部に組立てられる時、前記フィメールシールドシェルを貫通することができる。また、前記フィメールシールドシェルは、その後端部に、第2電線ユニットのシールドカバーと接触して連結される第3接触部が備えられる。前記第3接触部は、第2電線ユニットが前記フィメールシールドシェルを貫通する時、前記シールドカバーの外側に弾力的に接触するようにフィメールシールドシェルに形成される。前記第2電線ユニットは、フィメールハウジングの第2回路挿入部に組立てられる時、前記フィメールシールドシェルを貫通することができる。
【0012】
前記第1電線ユニットは、その前端部が前記フィメールシールドシェルの内側に配置される1つ以上の小電流電線と、前記小電流電線の中央部の外側縁に配置される前記シールドコンタクトとを含んで構成される。前記小電流電線は、電流が流れるように形成された心線部と、前記心線部の電場遮蔽のための電線遮蔽網とを含んで構成される。また、前記第1電線ユニットは、前記心線部と電線遮蔽網との間に配置され、前記心線部の電気絶縁を行う心線部絶縁体と、前記電線遮蔽網の外側に配置され、前記電線遮蔽網の電気絶縁を行う遮蔽網絶縁体とを含むことができる。前記電線遮蔽網の前端部の外側縁に前記シールドコンタクトが配置され、前記フィメールシールドシェルと前記電線遮蔽網が前記シールドコンタクトの前後に配置される。
【0013】
前記第2電線ユニットは、その前端部が前記フィメールシールドシェルの内側に配置される1つ以上の大電流電線と;前記大電流電線の後端部が挿入されるシールドカバーと;前記シールドカバーの後端部の外側に固定され、前記大電流電線の後端部を取り囲む遮蔽編組網と;を含んで構成される。
【0014】
そして、前記統合型多極コネクタは、前記メールハウジングが電気配電装置の電場遮蔽のための遮蔽ハウジングに設けられる時、前記メールシールドシェルの後端部が前記遮蔽ハウジングに接触によって連結され、前記遮蔽ハウジングとメールハウジングとの間に電場遮蔽が可能になる。
【0015】
また、前記統合型多極コネクタは、前記第1電線ユニットの外側縁に小電流ワイヤシールが配置され、フィメールハウジングと第1電線ユニットとの間に水分が流入するのを防止することができる。前記統合型多極コネクタは、前記第2電線ユニットの外側縁にカバーシールが配置され、前記フィメールハウジングと第2電線ユニットとの間に水分が流入するのを防止することができる。前記統合型多極コネクタは、前記大電流電線の外側縁に大電流ワイヤシールが配置され、前記大電流電線と前記大電流電線の外側に配置されたシールドカバーとの間に水分が流入するのを防止することができる。前記統合型多極コネクタは、前記フィメールハウジングの内側にフィメールコネクタシールが設けられ、前記フィメールハウジングとメールハウジングとの間に水分が流入するのを防止することができる。前記統合型多極コネクタは、前記遮蔽ハウジングと接触する前記メールハウジングの後端部にメールコネクタシールが配置され、前記メールハウジングと前記遮蔽ハウジングとの間に水分が流入するのを防止することができる。
【0016】
同時に、前記統合型多極コネクタは、前記フィメールハウジングにはフィメールインターロック端子が配置され、前記メールハウジングにはメールインターロック端子が配置され、前記フィメールインターロック端子とメールインターロック端子との間に電気接続が完了する時、第1電線ユニットと第1メール端子との間に電流通電および第2電線ユニットと第2メール端子との間に電流通電が可能になり、前記フィメールシールドシェルとメールシールドシェルとが接触によって連結される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る統合型多極コネクタは、互いに異なる電流容量と遮蔽構造を有する複数の電気コネクタが統合された構造で構成されることにより、互いに異なる電流容量を有する複数の電線ユニットの電気接続のために用いられるコネクタの種数の縮小を図ることができ、前記複数の電線ユニットに電気を配電する電気配電装置のサイズ縮小を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係るフィメールコネクタを示す図である。
【
図2】本発明に係るフィメールコネクタを示す図である。
【
図3】本発明に係るメールコネクタを示す図である。
【
図4】本発明に係るメールコネクタを示す図である。
【
図11】本発明に係るフィメールシールドシェルを示す図である。
【
図12】本発明に係るフィメールシールドシェルを示す図である。
【
図13】本発明に係るフィメールハウジングと第1電線ユニットを示す図である。
【
図14】本発明に係るフィメールコネクタを示す切開図である。
【
図15】本発明に係るフィメールハウジングに第1電線ユニットが組立てられた状態を示す図である。
【
図16】本発明に係るフィメールハウジングと第2電線ユニットを示す図である。
【
図17】本発明に係るフィメールハウジングとシールドカバーとの間の結合構造を示す図である。
【
図18】本発明に係るフィメールハウジングと第2電線ユニットとの組立前の状態を示す図である。
【
図19】本発明に係るフィメールハウジングと第2電線ユニットとの組立後の状態を示す図である。
【
図20】本発明に係るレバー部材の作動およびフィメールコネクタとメールコネクタとの間の結合過程を示す図である。
【
図21】本発明に係るレバー部材の作動およびフィメールコネクタとメールコネクタとの間の結合過程を示す図である。
【
図22】本発明に係るレバー部材の作動およびフィメールコネクタとメールコネクタとの間の結合過程を示す図である。
【
図23】電気配電装置に結合されたメールコネクタを示す図である。
【
図24】電気配電装置に結合された統合型多極コネクタを示す図である。
【
図25】インターロック端子の接続前の状態を示す図である。
【
図26】インターロック端子の接続後の状態を示す図である。
【
図27】本発明に係る統合型多極コネクタに発生しうる水分流入を防止するための構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を当該技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように説明する。
【0020】
本発明に係る統合型多極コネクタ1は、フィメールコネクタ10と、前記フィメールコネクタ10に挿入されて接続されるメールコネクタ20とを含んで構成される。
【0021】
図1および
図2に示されるように、前記フィメールコネクタ10は、フィメールインナーハウジング112とフィメールアウターハウジング111とからなるフィメールハウジング11と、前記フィメールインナーハウジング112とフィメールアウターハウジング111との間に配置されるフィメールシールドシェル14とを含んで構成される。
【0022】
前記フィメールインナーハウジング112は、第1電線ユニット12と第2電線ユニット13の端子122、132を保護できるように形成され、第1電線ユニット12の端子122を保護するための第1フィメール端子保護部112aと、第2電線ユニット13の端子132を保護するための第2フィメール端子保護部112bとを有する。
【0023】
前記フィメールシールドシェル14は、メールコネクタ20のシールドシェル(すなわち、メールシールドシェル)22と接触して、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との間に遮蔽構造を形成できるように構成される(
図24参照)。前記フィメールシールドシェル14は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との結合時、メールシールドシェル22と接触して連結される。前記フィメールシールドシェル14は、メールシールドシェル22と連結されることにより、フィメールハウジング11とメールハウジング21との間に電場遮蔽を可能にする。
【0024】
前記フィメールアウターハウジング111は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との間に結合のためのレバー軌跡ホール17bと、メールコネクタ20の挿入力が増加するのを防止できるレバー部材17とが備えられる(
図20参照)。前記レバー軌跡ホール17bは、メールコネクタ20がフィメールコネクタ10の内側に挿入される時、メールコネクタ20のレバー軌跡突起17aがレバー軌跡ホール17bに沿って移動可能に形成される。前記レバー部材17は、フィメールアウターハウジング111の外側に一定角度で回転可能に設けられる。前記メールコネクタ20のレバー軌跡突起17aがレバー軌跡ホール17bに位置する時、前記レバー部材17が回転して、フィメールハウジング11の内側に進入するメールコネクタ20の挿入量を調節することができる。
【0025】
前記フィメールインナーハウジング112は、フィメールシールドシェル14の内側に挿入されて配置され、前記フィメールシールドシェル14は、フィメールアウターハウジング111の内側に挿入されて配置される。この時、フィメールハウジング11に組立てられた第1電線ユニット12の遮蔽部材(すなわち、シールドコンタクト)と第2電線ユニット13の遮蔽部材(すなわち、シールドカバー)とが、フィメールシールドシェル14に接触することにより、第1電線ユニット12からフィメールハウジング11までの遮蔽が可能になり、第2電線ユニット13からフィメールハウジング11までの遮蔽が可能になる(
図24参照)。
【0026】
図25および
図26を参照すれば、フィメールインターロック端子15は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との結合時、フィメールコネクタ10の端子(すなわち、フィメール端子)とメールコネクタ20の端子(すなわち、メール端子)との間に接触および接続が完了した後に、メールインターロック端子25と接触および接続され、前記フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に電流通電を可能にする。前記フィメールインターロック端子15は、フィメールインナーハウジング112の内側に組立てられて固定される。前記フィメールインナーハウジング112には、フィメールインターロック端子15が挿入されて配置されるフィメールインターロック端子組立部112gが備えられる。
【0027】
フィメールコネクタシール16は、フィメールアウターハウジング111の内側に組立てられて配置される。前記フィメールコネクタシール16は、フィメールハウジング11とメールハウジング21との結合時、すなわち、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との結合時、フィメールアウターハウジング111とメールアウターハウジング211との間に配置されることにより、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との間に水分が流入するのを防止することができる(
図27参照)。
【0028】
図3および
図4に示されるように、前記メールコネクタ20は、メールインナーハウジング212とメールアウターハウジング211とからなるメールハウジング21と、メールインナーハウジング212とメールアウターハウジング211との間に配置されるメールシールドシェル22とを含んで構成される。
【0029】
前記メールインナーハウジング212は、電線ユニット12、13に備えられる端子122、132、15、23、24、25を保護できるように形成される。前記端子は、第1電線ユニット12と電気接続される第1メール端子23と、第2電線ユニット13と電気接続される第2メール端子24などである。前記メールインナーハウジング212は、第1メール端子23が挿入されて保護される第1メール端子保護部212aと、第2メール端子24が挿入されて保護される第2メール端子保護部212bとを有する(
図26参照)。前記第1メール端子保護部212aと第2メール端子保護部212bは、前記第1メール端子23と第2メール端子24を動かないように支持するように形成される。
【0030】
前記メールシールドシェル22は、第1メール端子23と第2メール端子24の電場を遮蔽できるように構成される。前記メールシールドシェル22は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20とが結合される時、フィメールシールドシェル14の前端部に対向するメールシールドシェル22の前端部がフィメールシールドシェル14と接触する。前記メールシールドシェル22の後端部は、電気配電装置の遮蔽ハウジング2と接触して、メールコネクタ20と電気配電装置との間に電場遮蔽を実現することができる。メールシールドシェル22の前端部は、フィメールハウジング11とメールハウジング21とが結合される時、フィメールハウジング11の内側に挿入される。
【0031】
図23に示すように、前記メールアウターハウジング211は、電気配電装置に締結されて固定される。メールアウターハウジング211の後端部には、ボルティング方式で電気配電装置の遮蔽ハウジング2に結合されるマウンティングブラケット211aが備えられる。前記マウンティングブラケット211aのマウンティング地点には、振動防止のためにブッシングが備えられる。
【0032】
図25および
図26に示すように、メールインターロック端子25は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との結合時、フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に接触による接続が完了した後に、フィメールインターロック端子15と接続され、前記フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に電流通電を可能にする。前記メールインターロック端子25は、メールインナーハウジング212の内側に組立てられて固定される。前記メールインナーハウジング212は、その内部に挿入されたメールインターロック端子25を保護するように形成される。
【0033】
メールコネクタシール26は、メールアウターハウジング211の後端部(具体的には、マウンティングブラケットの後端部)に配置されるように組立てられる。前記メールコネクタシール26は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との結合時、メールアウターハウジング211と電気配電装置の遮蔽ハウジング2との間に配置されることにより、メールハウジング21と遮蔽ハウジング2との間に水分が流入するのを防止することができる(
図27参照)。それによって、前記メールコネクタシール26は、メールコネクタ20と電気配電装置の遮蔽ハウジング2との間に水分が流入するのを防止することができる。メールコネクタ20が前記遮蔽ハウジング2に結合される時、前記メールアウターハウジング211の後端部が遮蔽ハウジング2の表面に接触し、メールインナーハウジング212の後端部が前記遮蔽ハウジング2を貫通する。
【0034】
図2および
図5に示されるように、第1電線ユニット12は、1つ以上の小電流電線121(あるいは「第1電線」という)と、前記小電流電線121の外側縁に配置されるシールドコンタクト123とを含んで構成される。前記シールドコンタクト123は、電場遮蔽機能を有するもので、小電流電線121の長手方向の中央部に配置される。前記小電流電線121は、大電流電線131(あるいは「第2電線」という)の電流容量より一定値以上低い電流容量を有することができる。前記第1電線ユニット12は、互いに同一の電流容量を有する複数の小電流電線121を含んで構成される。
【0035】
図5~
図7に示されるように、前記小電流電線121は、電流通電のための回路を形成する小電流心線部121aと、前記心線部121aを取り囲む心線部絶縁体121bと、前記心線部絶縁体121bの外側に配置される電線遮蔽網121cと、前記電線遮蔽網121cの外側に配置される遮蔽網絶縁体121dとを含んで構成される。前記心線部121aは、電流が流れるように形成される。前記心線部絶縁体121bは、心線部121aの外周面を全体的に取り囲んで、心線部121aに流れる電流が心線部絶縁体121bの外部に漏洩しないように遮断する。前記電線遮蔽網121cは、心線部121aに流れる電流によって生成される電場が小電流電線121の外部に影響を及ぼさないように電場遮蔽を行う。前記遮蔽網絶縁体121dは、電線遮蔽網121cの電気絶縁を行って、外部電流が遮蔽網絶縁体121dの内側に流入するのを防止する。
【0036】
このような小電流電線121は、回路遮蔽のために、心線部121aに小電流フィメール端子122(あるいは「第1フィメール端子」という)が圧着されて接続された後、心線部絶縁体121bの外側縁にシールドベース124が組立てられて配置され、前記シールドベース124の外側縁に前記電線遮蔽網121cが配置される。この時、前記電線遮蔽網121cがシールドベース124を覆う。そして、電線遮蔽網121cで覆われたシールドベース124の外側にシールドコンタクト123が組立てられて配置される。前記シールドコンタクト123と電線遮蔽網121cおよびシールドベース124が重なって積層配置された部位は、設備によって圧着されて固定される。この時、電線遮蔽網121cの前端部の外側縁に前記シールドコンタクト123が配置される。前記小電流電線121は、フィメールハウジング11に挿入されて組立てられる時、その前端部(第1フィメール端子が備えられている部分である)がフィメールシールドシェルの内側に配置される(
図24参照)。これによって、前記フィメールシールドシェル14と前記電線遮蔽網121cが、前記シールドコンタクト123の前後に配置される。前記シールドコンタクト123を基準として、前記フィメールシールドシェル14は、シールドコンタクト123の外側からメールシールドシェル22側に延びて配置され、前記電線遮蔽網121cは、シールドコンタクト123の内側からメールシールドシェル22の反対側に延びて配置される。
【0037】
図8~
図10に示されるように、前記第2電線ユニット13は、1つ以上の大電流電線131と、前記大電流電線131の後端部が挿入されて配置されるアルミニウムシールドカバー133と、前記シールドカバー133の後端部の外側に固定される遮蔽編組網135とを含んで構成される。前記大電流電線131の前端部は、フィメールシールドシェル14の内側に配置される。前記遮蔽編組網135は、大電流電線131の後端部を取り囲むことができる。前記第2電線ユニット13は、互いに同一の電流容量を有する複数の大電流電線131を含んで構成される。
【0038】
前記大電流電線131は、大電流心線部131aと、前記心線部131aを取り囲む心線部絶縁体131bと、大電流フィメール端子132とを含んで構成される。前記心線部131aに大電流フィメール端子132(あるいは「第2フィメール端子」という)が圧着されて接続された後、シールドカバー133の内側に大電流電線131の後端部を貫通させて組立てる。前記大電流電線131の後端部(大電流フィメール端子が結合されない部分)が挿入されたシールドカバー133の後端部の外側縁に遮蔽編組網135を配置してシールドカバー133の後端部と大電流電線131の後端部を取り囲む。前記遮蔽編組網135は、電線から発生する磁場を遮蔽することができる。そして、クリンプリング134は、前記遮蔽編組網135上においてシールドカバー133の外側縁に挟んで配置される。前記クリンプリング134は、設備によってシールドカバー133側に圧着される。前記クリンプリング134上に保護用グロメット136が組立てられて配置される。前記グロメット136は、シールドカバー133の開放された後端部を覆って大電流電線131の後端部を保護することができる。前記シールドカバー133は、アルミニウムなどの電場遮蔽機能を有する金属素材で形成される。
【0039】
前記シールドカバー133と大電流電線131との間に水分が流入するのを防止するために、大電流電線131の外側縁に大電流ワイヤシール138が組立てられて配置される(
図27参照)。そして、前記シールドカバー133とフィメールコネクタ10との間に防水のためにカバーシール137が使用できる。前記カバーシール137は、シールドカバー133の前端部に組立てられて配置される。すなわち、第2電線ユニット13の外側縁に前記カバーシール137が組立てられて配置される。前記カバーシール137は、フィメールハウジング11と第2電線ユニット13との間に水分が流入するのを防止することができる。
【0040】
図11および
図12に示されるように、前記フィメールシールドシェル14は、第1接触部141と、第2接触部142と、第3接触部143とを備える。
【0041】
前記第1接触部141は、フィメールシールドシェル14の前端部のうち上側端と下側端に形成される。前記第1接触部141は、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20とが結合される時、メールシールドシェル22の前端部の内側面に接触する(
図24参照)。前記第1接触部141は、フィメールシールドシェル14の前端部がメールシールドシェル22の内側に挿入される時、前記メールシールドシェル22の前端部の内側面に弾力的に接触するように形成される。
【0042】
前記第2接触部142と第3接触部143は、フィメールシールドシェル14の後端部に形成される。
図14および
図15に示されるように、前記第2接触部142は、第1電線ユニット12がフィメールハウジング11の第1回路挿入部112cに挿入されて組立てられる時、小電流電線121のシールドコンタクト123と接触して、前記シールドコンタクト123につながる電場遮蔽構造を形成することができる。前記第3接触部143は、第2電線ユニット13がフィメールハウジング11の第2回路挿入部112dに挿入されて組立てられる時、第2電線ユニット13のシールドカバー133と接触して、前記シールドカバー133につながる電場遮蔽構造を形成することができる。
【0043】
前記第2接触部142は、第1電線ユニット12がフィメールアウターハウジング111とフィメールインナーハウジング112との間に配置されたフィメールシールドシェル14を貫通する時、シールドコンタクト123の外側に弾力的に接触して連結されるようにフィメールシールドシェル14の後端部に形成される。前記第3接触部143は、第2電線ユニット13がフィメールシールドシェル14を貫通する時、シールドカバー133の外側に弾力的に接触するようにフィメールシールドシェル14の後端部に形成される。前記第1電線ユニット12は、フィメールハウジング11の第1回路挿入部112cに挿入されて組立てられる時、前記フィメールシールドシェル14の後端部を貫通する。前記第2電線ユニット13は、フィメールハウジング11の第2回路挿入部112dに組立てられる時、前記フィメールシールドシェル14の後端部を貫通する。
【0044】
具体的には、前記第2接触部142と第3接触部143は、第1電線ユニット12および第2電線ユニット13がフィメールシールドシェル14の後端部を貫通する時、弾力的に撓みながら変形できるように形成され、その変形時に生成される弾性復元力によってシールドコンタクト123およびシールドカバー133と安定的に接触することができる。
【0045】
このようなフィメールシールドシェル14は、フィメールインターロック端子15とメールインターロック端子25との間に電気接続が完了する時、メールシールドシェル22と接触によって連結される。
【0046】
図13~
図15に示されるように、第1電線ユニット12は、フィメールアウターハウジング111の後端部(第1回路保護部)を貫通してフィメールインナーハウジング112の第1回路挿入部112cに挿入されて組立てられる時、第1フィメール端子122がフィメールインナーハウジング112の第1端子ランス112eによって支持されて固定される。この時、第1電線ユニット12のシールドコンタクト123がフィメールシールドシェル14の後端部を貫通して第2接触部142と接触式で連結される。
【0047】
図16~
図19に示されるように、第2電線ユニット13は、フィメールアウターハウジング111の後端部を貫通してフィメールインナーハウジング112の第2回路挿入部112dに挿入される時、第2フィメール端子132がフィメールインナーハウジング112の第2端子ランス112fによって支持されて固定される。この時、第2電線ユニット13のシールドカバー133が、フィメールシールドシェル14の後方で、フィメールシールドシェル14の第3接触部143と接触して連結される。また、この時、第2電線ユニット13のシールドカバー133に突出形成されている係止段133aは、フィメールアウターハウジング111の両側に形成されている固定部111bにそれぞれ係止固定される。
【0048】
図20~
図22に示されるように、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20とが結合される時、電気配電装置の遮蔽ハウジング2に固定されているメールコネクタ20側にフィメールコネクタ10が移動し、前記フィメールコネクタ10の内側にメールコネクタ20が挿入される。
【0049】
図20に示されるように、メールコネクタ20がフィメールコネクタ10に挿入される時、メールアウターハウジング211の外側に突出形成されたレバー軌跡突起17aがフィメールアウターハウジング111に形成されたレバー軌跡ホール17bに進入する。前記メールコネクタ20は、レバー軌跡突起17aがレバー軌跡ホール17bの中間に位置するまでフィメールコネクタ10の内側に1次挿入される。
【0050】
前記のように、メールコネクタ20がフィメールコネクタ10の内側に1次挿入された後には、
図21に示されるように、フィメールアウターハウジング111に設けられたレバー部材17を回転させる。前記レバー部材17が回転するに伴って、フィメール端子122、132がメール端子23、24と接触する方向に、フィメールコネクタ10が移動し始める。前記レバー部材17の回転によって、前記レバー軌跡突起17aがレバー軌跡ホール17bの末端部に移動しながら、フィメールコネクタ10に挿入されるメールコネクタ20の2次挿入が進行する。前記レバー部材17の回転によって、レバー軌跡ホール17b内でレバー軌跡突起17aの移動が制限され、フィメールコネクタ10に挿入されるメールコネクタ20の移動量が調節される。
【0051】
図22に示されるように、前記レバー部材17の回転が完了する時点で、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20との間に結合が完了する。すなわち、前記レバー部材17の回転が完了する時点で、フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に接触による接続が完了し、フィメールコネクタ10に挿入されるメールコネクタ20の移動が完了する。この時、前記フィメール端子122、132とメール端子23、24とは電流通電が可能な状態になる。また、前記レバー部材17の回転が完了する時点で、フィメールシールドシェル14の第1接触部141がメールシールドシェル22の前端部の内表面に接触する。前記フィメールシールドシェル14とメールシールドシェル22とが接触式で連結されることにより、第1電線ユニット12と第2電線ユニット13の遮蔽構造がフィメールコネクタ10からメールコネクタ20まで延びる。
【0052】
図23および
図24に示されるように、メールコネクタ20は、メールアウターハウジング211のマウンティングブラケット211aが電気配電装置に締結されて固定される。前記電気配電装置は、電気配電装置の電場遮蔽のための遮蔽ハウジング2を含んで構成され、前記遮蔽ハウジング2にメールアウターハウジング211が装着されて固定される。前記遮蔽ハウジング2の一側には、メールインナーハウジング212の後端部が挿入できる貫通ホール2aが形成される。
【0053】
前記遮蔽ハウジング2にメールコネクタ20のマウンティングブラケット211aが締結されると、前記遮蔽ハウジング2の内側面(貫通ホールを取り囲む表面である)とメールシールドシェル22の遮蔽接触部221とが互いに接触し、それによって、前記遮蔽ハウジング2とメールシールドシェル22との間に磁場遮蔽が可能になる。前記電気配電装置は、前記遮蔽ハウジング2が全体的にアルミニウムなどの遮蔽性金属素材からなっていて、前記電気配電装置の内部空間すなわち、電気配電のための部品が配置されている前記遮蔽ハウジング2の内部空間は、電場遮蔽が可能になっている。したがって、フィメールコネクタ10とメールコネクタ20および電気配電装置の内部で電流が流れるすべての領域が、磁場遮蔽領域になる。
【0054】
図25および
図26に示されるように、メールコネクタ20とフィメールコネクタ10とが結合される時には、フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に接続およびフィメールシールドシェル14とメールシールドシェル22との間に連結が開始された後、メールコネクタ20がフィメールコネクタ10に挿入完了する時点で、前記フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に接続およびフィメールシールドシェル14とメールシールドシェル22との間に連結も完了する。メールインターロック端子25とフィメールインターロック端子15とは、前記フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に接続が完了する前に、前記フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に電流が流れるのを防止する。すなわち、前記メールインターロック端子25とフィメールインターロック端子15とは、フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に接続が完了する前には未接続となる。前記メールインターロック端子25とフィメールインターロック端子15とが接続されることにより、フィメール端子122、132とメール端子23、24との間に電流通電が可能になる。すなわち、前記メールインターロック端子25とフィメールインターロック端子15とが接続されることにより、フィメール端子122、132およびメール端子23、24の間に電流通電が可能になる。また、前記メールインターロック端子25とフィメールインターロック端子15とが接続完了する時、メールシールドシェル22とフィメールシールドシェル14とが接触によって連結される。
【0055】
前記フィメールコネクタ10とメールコネクタ20および電気配電装置の間の結合が完了した状態で、前記フィメールコネクタ10とメールコネクタ20および電気配電装置の遮蔽ハウジング2の間には、
図27に示された矢印の方向に水分流入が発生しうる。前記フィメールコネクタ10とメールコネクタ20および電気配電装置の遮蔽ハウジング2の間に水分流入が発生するのを防止するために、水分流入が発生しうる位置ごとに防水のためのシール部材が設けられることが好ましい。前記シール部材は、コネクタの内部に水分が流入するのを防止することにより、コネクタの遮蔽に関連する部品が水分によって遮蔽性能が低下するのを防止することができる。また、前記シール部材による防水が困難なシールドカバー133の後端部は、グロメット136で覆われていて、外部からの水分流入が防止される。
【0056】
前記シール部材は、小電流ワイヤシール125、大電流ワイヤシール138、カバーシール137、フィメールコネクタシール16、メールコネクタシール26などが適用可能である。前記小電流ワイヤシール125は、フィメールアウターハウジング111の第1回路保護部111aと小電流電線121との間に水分流入を防止するように構成される。前記第1回路保護部111aは、第1電線ユニット12の小電流電線121の後端部が挿入されて支持される部分である。前記小電流ワイヤシール125は、第1電線ユニット12の外側縁(具体的には、小電流電線の後端部の外側縁)に設けられて配置される。第2回路保護部111cは、第2電線ユニット13のシールドカバー133の前端部が挿入されて支持される部分である。
【0057】
上記のように構成される本発明の統合型多極コネクタ1は、先に説明した効果以外に、次の利点がさらに存在する。
1.従来の小電流電線用コネクタと大電流電線用コネクタの機能が統合された構造で構成されることにより、電気配電装置に収容されるコネクタの種数を縮小することができる。それによって、電気配電装置のサイズが縮小可能である。
2.電気配電装置に収容されるコネクタの種数が減少することにより、ワイヤリングハーネスの作業工数を簡素化することができる。前記コネクタの種数が減少するにつれ、コネクタのインターロック端子によって形成されるインターロック回路も減少し、ワイヤリングハーネスの配線時にインターロック回路を構成するための作業工数が簡素化され、インターロック回路を構成する端子および電線などの部品の縮小も可能である。それによって、コネクタ製造時のコスト節減および生産性増大が可能である。
【0058】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は上述した実施例に限定されず、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良も本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1:統合型多極コネクタ
10:フィメールコネクタ
11:フィメールハウジング
111:フィメールアウターハウジング
111a:第1回路保護部
111b:固定部
111c:第2回路保護部
112:フィメールインナーハウジング
112a:第1フィメール端子保護部
112b:第2フィメール端子保護部
112c:第1回路挿入部
112d:第2回路挿入部
112e:第1端子ランス
112f:第2端子ランス
112g:フィメールインターロック端子組立部
12:第1電線ユニット
121:小電流電線(第1電線)
121a:(小電流)心線部
121b:心線部絶縁体
121c:電線遮蔽網
121d:遮蔽網絶縁体
122:第1フィメール端子(小電流フィメール端子)
123:シールドコンタクト
124:シールドベース
125:小電流ワイヤシール
13:第2電線ユニット
131:大電流電線(第2電線)
131a:(大電流)心線部
131b:心線部絶縁体
132:第2フィメール端子(大電流フィメール端子)
133:シールドカバー
133a:係止段
134:クリンプリング
135:遮蔽編組網
136:保護用グロメット
137:カバーシール
138:大電流ワイヤシール
14:フィメールシールドシェル
141:第1接触部
142:第2接触部
143:第3接触部
15:フィメールインターロック端子
16:フィメールコネクタシール
17:レバー部材
17a:レバー軌跡突起
17b:レバー軌跡ホール
20:メールコネクタ
21:メールハウジング
211:メールアウターハウジング
211a:マウンティングブラケット
212:メールインナーハウジング
212a:第1メール端子保護部
212b:第2メール端子保護部
22:メールシールドシェル
221:遮蔽接触部
23:第1メール端子
24:第2メール端子
25:メールインターロック端子
26:メールコネクタシール
2:電気配電装置の遮蔽ハウジング
2a:貫通ホール