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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
A45D33/00 615F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019217381
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021083968
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】本間 友梨
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099867(JP,A)
【文献】特開2006-176177(JP,A)
【文献】実開昭63-143213(JP,U)
【文献】特開2014-004246(JP,A)
【文献】特開2005-296668(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1930227(KR,B1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0009031(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D33/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に内容物が収容される有底筒状の収容体と、
前記収容体の開口を覆う弾性変形可能なメッシュと、
前記収容体の内側に軸回りに回転可能に設けられた複数のワイパー、及び当該複数のワイパーに接続され前記収容体の外側に設けられた操作部を有する回転体と、を備え
前記メッシュを前記収容体の底部に向けて押し込んでいない状態において、前記複数のワイパーは前記メッシュから離間して配置されているコンパクト容器。
【請求項2】
前記複数のワイパーは、弾性変形可能に形成されている、請求項1に記載のコンパクト容器。
【請求項3】
前記収容体の前記開口を前記メッシュとともに密閉可能なシール部を有した中蓋を備える、請求項1または2に記載のコンパクト容器。
【請求項4】
前記収容体及び前記回転体を少なくとも有するレフィル容器を収容する容器本体を備え、
前記容器本体は、前記レフィル容器を着脱可能に係止する係止部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、流動性を有する、例えば液状やゲル状、またはクリーム状などの内容物が収容された有底筒状の収容体と、この収容体の開口を覆う弾性変形可能なメッシュと、を備えるコンパクト容器が知られている。内容物を被塗布部に塗布する際には、塗布具をメッシュの上面に押し当て、当該メッシュを収容体の底部に向けて押し込むことで、収容体内の内容物をメッシュの網目を通して塗布具に付着させる。使用者はこの塗布具を被塗布部に押し当てることで、内容液を被塗布部に塗布することができる。また、内容物はメッシュの網目を通して塗布具に供給されるため、一度に大量の内容物が塗布具に付着することを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-99867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のコンパクト容器においては、メッシュは収容体の開口を覆っているため、塗布具をメッシュの上面に押し当てると、メッシュの中央部分が下方に向けて大きく変位する。このため、収容体の中央に収容されていた内容物が収容体の側壁に向けて押し出されたり、収容体の中央に収容されていた内容物が優先的に塗布具に対して供給されたりして、中央に比べて側壁の近傍の内容物が塗布具に対して供給されにくい場合がある。このような状態では、塗布具によってメッシュの中央部分を軽い力で下方に押し込んだだけでは内容物が塗布具に付着しにくく、メッシュ上の塗布具を側壁に向けて力強く押し込まなければならない場合がある。すなわち、従来のコンパクト容器においては、収容体内の内容物が減少した際に内容物を塗布具に供給しにくくなり、供給不可となった時点で多量の内容物が収容体内に残ってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、収容体内の内容物が減少した場合でも、内容物を塗布具に対して良好に供給でき、よって収容体内の内容物を無駄なく使用できるコンパクト容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。すなわち、本発明のコンパクト容器は、内側に内容物が収容される有底筒状の収容体と、前記収容体の開口を覆う弾性変形可能なメッシュと、前記収容体の内側に軸回りに回転可能に設けられたワイパー、及び当該ワイパーに接続され前記収容体の外側に設けられた操作部を有する回転体と、を備える。
【0007】
塗布具によってメッシュの中央部分を下方に向けて変位させ、メッシュを通して収容体内の内容物を塗布具に供給することで、収容体の中央に収容されていた内容物が収容体の側壁に向けて押し出されたり、収容体の中央に収容されていた内容物が優先的に塗布具に対して供給されたりして、側壁の近傍に比べて中央の内容物が減少する。本発明によれば、このような場合に操作部を操作してワイパーを回転させることで、ワイパーが収容体の側壁近傍に位置する内容物を中央に向けて掻き出し、再び中央に内容物を位置させることができる。この状態では、塗布具によってメッシュの中央部分を軽い力で下方に押し込むのみで、内容物を塗布具に対して良好に供給することができる。
また、収容体における側壁の近傍に比べて中央の内容物が減少した際に、ワイパーの回転を繰り返し行うことで、供給不可となりやすい側壁近傍の内容物を順次中央に向けて掻き出すことができるため、供給不可となった時点での内容物の残量を従来に比べて低減できる。すなわち、本発明によれば、収容体内の内容物を無駄なく使用することができる。
【0008】
また、前記ワイパーは、弾性変形可能に形成されてもよい。
【0009】
この場合、回転時にワイパーが内容物や収容体の内面から抵抗を受けて弾性変形するため、弾性変形したワイパーによって、中央に向かう付勢力を側壁近傍の内容物に対して効果的に付与することができ、効率よく中央に内容物を集めることができる。また、ワイパーが弾性変形可能に形成されていることで、塗布具がメッシュを収容体の底部に向けて押し込んだ際に、当該メッシュによってワイパーを容易に弾性変形させることができ、ワイパーが内容物の塗布具への供給を妨げてしまうことを抑制できる。
【0010】
また、本発明のコンパクト容器が、前記収容体の前記開口を前記メッシュとともに密閉可能なシール部を有した中蓋を備えてもよい。
【0011】
この場合、中蓋が収容体の開口を密閉できるため、収容体内の内容物の乾燥やその成分の揮発などを抑制することができる。また、内容物が液状やゲル状であっても、収容体の開口からメッシュを通して内容物が漏出してしまうことを適切に防止できる。
【0012】
また、本発明のコンパクト容器が、前記収容体及び前記回転体を少なくとも有するレフィル容器を収容する容器本体を備え、前記容器本体は、前記レフィル容器を着脱可能に係止する係止部を有してもよい。
【0013】
この場合、特別な接続部材等を用いずともレフィル容器を容器本体内に収容して保持でき、また、内容物の使用を終えたレフィル容器を、内容物が収容されている他のレフィル容器と容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコンパクト容器によれば、収容体内の内容物が減少した場合でも、内容物を塗布具に対して良好に供給でき、よって収容体内の内容物を無駄なく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】外蓋を取り外して中蓋を開放した状態における、本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の縦断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の使用方法を示す説明図であって、第1の状態を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の使用方法を示す説明図であって、第2の状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の使用方法を示す説明図であって、第3の状態を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の使用方法を示す説明図であって、第4の状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の使用方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るコンパクト容器について図1図7を参照して説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態のコンパクト容器1は、平面視円形状の扁平容器である。コンパクト容器1は、有底筒状の容器本体2と、容器本体2の開口を開放可能に閉塞する有頂筒状の外蓋4と、容器本体2内に収容されたレフィル容器3と、を備える。以下の説明では、容器本体2の中心軸線を容器軸O(軸)といい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。コンパクト容器1の、上下方向に沿う外蓋4側を上側とし、上下方向に沿う容器本体2側を下側とする。また、上下方向から見た平面視で、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。なお、特に断らない限り、外蓋4が容器本体2の開口を閉塞している状態を説明する。容器本体2及び外蓋4は、樹脂材料等によって形成されており、それぞれの外径は互いに同等となっている。外蓋4の頂部の下面には、鏡Mが設けられている。
【0018】
容器本体2における周方向の一部には、径方向内側に向けて窪む凹部2aが形成されており、外蓋4から突出する不図示の連結部が、凹部2a内に不図示のヒンジ部を介して回転可能に連結されている。これにより、外蓋4は、容器本体2の開口を閉塞する位置と開放する位置との間で回動可能となっている。容器本体2の、径方向において容器軸Oを挟んだ凹部2aの逆側には、係合部2bが設けられている。係合部2bには、外蓋4から突出する不図示の係合爪が着脱可能となっている。係合部2bには例えばプッシュボタンが設けられ、このプッシュボタンは使用者の操作によって径方向に移動でき、係合部2bに外蓋4の前記係合爪が係合している状態でプッシュボタンを径方向内側に押し込むと、この係合を解除することができる。ただし、このようなプッシュボタンは本発明のコンパクト容器1に必須の要素では無く、設けられずともよい。単に使用者が外蓋4に対して容器本体2から離間させる方向に力を加えるのみで、外蓋4における前記係合爪の係合部2bに対する係合が解除される構成であってもよい。
【0019】
なお、以下の説明では、径方向のうち、図1に示す容器軸Oと凹部2aとを結ぶ方向を前後方向といい、前後方向と上下方向とのいずれにも直交する方向を左右方向という。また、コンパクト容器1の、前後方向に沿う凹部2a側を後側とし、前後方向に沿う係合部2b側を前側とする。外蓋4は、左右方向に延びる軸回りに回動可能となっている。
容器本体2の底部には、上下方向に貫通する孔部2cが形成されている。
【0020】
レフィル容器3は、流動性を有する、例えば液状やゲル状、またはクリーム状などの内容物を収容可能であり、外蓋4が容器本体2の開口を開放した状態で容器本体2内に着脱可能な容器である。レフィル容器3は、内側に内容物が収容される有底筒状の収容体11を有するレフィル本体10と、収容体11の上端開口を覆う弾性変形可能なメッシュ20と、収容体11の内側に容器軸O回りに回転可能に設けられたワイパー34、及び当該ワイパー34に接続され収容体11の外側に設けられた操作突片36(操作部)を有する回転体30と、収容体11の開口を開放可能に閉塞する中蓋40と、を備える。
【0021】
レフィル本体10は、容器軸Oと同軸に設けられている収容体11と、収容体11を径方向外側から囲繞する囲繞筒部12と、収容体11及び囲繞筒部12を互いに連結する連結環13と、囲繞筒部12の上端から径方向外側に向けて突出するとともに周方向に延びるフランジ15と、を備える。図2は、容器軸Oを含む面におけるコンパクト容器1の縦断面図であるが、この図2に示すように、容器軸Oを含む断面図において、収容体11の筒状の側壁と底壁との接続部分は、外側に向けて膨出する円弧状に形成されている。レフィル容器3が容器本体2内に収容されている状態では、収容体11の底部は、容器本体2の孔部2cに嵌合されており、収容体11の底部の下面は外部に露出している。このため、使用者は、指等で容器本体2の下方側から収容体11の底部を上方に向けて押し上げることが可能である。
【0022】
囲繞筒部12は、容器軸Oと同軸に設けられている。囲繞筒部12の下端は収容体11の底部よりも上方に位置し、囲繞筒部12の上端は収容体11の側壁の上端よりも上方に位置している。連結環13は、環状に形成され、収容体11の側壁の外周面と、囲繞筒部12の内周面とを互いに連結している。連結環13は、収容体11の側壁の上下方向中間部に連結されるとともに、囲繞筒部12の上下方向中間部に連結されている。このため、収容体11の側壁と囲繞筒部12と連結環13とによって、上方に向けて開口し周方向に延びる周溝が形成されている。連結環13には、上下方向で貫通するスリット14が2つ形成されている。2つのスリット14は、容器軸Oを挟んで、前後方向に並んで配置されている。スリット14は周方向に延びており、すなわち容器軸Oを中心とする円弧状に形成されている。スリット14は、囲繞筒部12と平行に延びている。
【0023】
フランジ15の外径は、容器本体2及び外蓋4の各外径と同等となっている。レフィル容器3が容器本体2内に収容されている状態において、フランジ15は容器本体2の側壁における上端開口縁に載置されている。また、外蓋4が閉じられている状態では、フランジ15は、容器本体2の側壁と外蓋4の側壁とによって挟持されている。フランジ15の周方向の一部には、径方向外端から径方向内側に向けて窪む第1切欠15aが形成されている。レフィル容器3が容器本体2内に収容されている状態で、第1切欠15aは、平面視において容器本体2の凹部2aと同等の位置に設けられているが、凹部2aよりも僅かに大きく形成されている。フランジ15の、径方向において容器軸Oを挟んだ第1切欠15aの逆側には、第2切欠15bが形成されている。レフィル容器3が容器本体2内に収容されている状態で、第2切欠15bは、平面視において容器本体2の係合部2bと同等の位置に設けられている。
【0024】
フランジ15には、周方向に延びるとともに上方に向けて開放されたガイド溝17が形成されている。ガイド溝17は、収容体11の側壁の、径方向外側に隣接して設けられている。ガイド溝17は容器軸Oを中心とした円弧状に形成されており、ガイド溝17の周方向の中心は、各スリット14の周方向の中心から容器軸O回りで90°ずれた位置に配置されている。ガイド溝17の径方向の幅は、例えば、フランジ15の径方向の幅の約3分の2となっている。フランジ15の下面には、下方に向けて突出する係止爪16が複数設けられている。この係止爪16は、容器本体2の側壁の内周面から径方向内側に突出する係止部2dに着脱可能に係止している。すなわち、容器本体2は、収容体11及び回転体30を少なくとも有するレフィル容器3を着脱可能に係止する係止部2dを有している。
【0025】
フランジ15の上面には、上方に向けて突出する支持突片18が2つ設けられ、これら2つの支持突片18に軸部19が架け渡されている。軸部19は、前後方向に延びている。軸部19は、フランジ15の、径方向において容器軸Oを挟んだガイド溝17の逆側に設けられている。
なお、レフィル本体10を構成する収容体11、囲繞筒部12、連結環13、フランジ15、係止爪16、支持突片18、及び軸部19は、射出成形等によって樹脂材料等を用いて一体に形成されている。
【0026】
回転体30は、容器軸Oと同軸に設けられた回転筒31と、回転筒31から下方に向けて延びる複数の垂下片33と、各垂下片33の下端から径方向内側に向けて延びるワイパー34と、回転筒31の外周面に連結された操作突片36と、を備えている。
【0027】
回転筒31の下部は、収容体11の側壁と囲繞筒部12と連結環13とによって形成された周溝内に上方から挿入されている。回転筒31は、前記周溝内に挿入された状態で、容器軸O回りに回転可能となっている。回転筒31の上端は、囲繞筒部12の上端よりも上方に位置している。回転筒31の内周面の上下方向中間部には、径方向内側に向けて突出するとともに周方向に延びる第1突条31aが設けられている。第1突条31aは、回転筒31の全周に亘って設けられている。第1突条31aは、収容体11の側壁における上端開口縁に載置されている。第1突条31aの径方向内端には、下方に向けて突出するとともに周方向に延びる第2突条31bが設けられている。すなわち、第2突条31bは容器軸Oを中心とする筒状に形成されている。第2突条31bと回転筒31との間に、収容体11の側壁の上端部が挟持されており、第2突条31bの外周面は、収容体11の側壁の内周面に密に係合している。このため、第2突条31bと収容体11の側壁との間を介した内容物の漏出が防止されている。
【0028】
回転筒31の下端には、下方に向けて突出する係止爪31cが2つ設けられている。これら2つの係止爪31cは、レフィル本体10における2つのスリット14に各別に挿通されて、連結環13の下面に係止されている。また、係止爪31cはスリット14に挿通された状態で、周方向に移動可能となっているため、係止爪31cとスリット14とによって回転体30の容器軸O回りの回転範囲が規定されている。
【0029】
回転筒31における第2突条31bの内周面には、複数の垂下片33が周方向で等間隔に設けられている。本実施形態では6つの垂下片33が設けられているが、その設置数は適宜変更してよい。垂下片33は、第2突条31bの内周面から下方に向けて延びている。垂下片33は、収容体11の側壁の内周面に沿いつつ、収容体11の底壁まで延びている。このため、垂下片33は、容器軸Oを含む断面視において外側に向けて膨出する円弧状に形成されている。垂下片33は、収容体11の側壁の内周面に接触している状態で、収容体11に対して周方向に相対移動可能となっている。なお、本実施形態の複数の垂下片33は、容器軸O回りの全周に亘って周方向に延びる連結環33aによって互いに連結されている。垂下片33及び連結環33aは、同一の材料によって一体に成形されている。
【0030】
ワイパー34は、径方向及び上下方向に延びる板状に形成されている。本実施形態のワイパー34は、その上下方向の高さよりも径方向の長さが大きい。垂下片33の周方向の幅は、ワイパー34の周方向の厚みよりも大きい。本実施形態では6つのワイパー34が設けられているが、その設置数は垂下片33に合わせて適宜変更してよい。ワイパー34は、収容体11の底壁の上面に接触している状態で、収容体11に対して周方向に相対移動可能となっている。本実施形態のワイパー34は、垂下片33の下端から容器軸Oに向けて直線状に延びている。
【0031】
操作突片36は、回転筒31の外周面から径方向外側に延びるとともに、上下方向にも延びている板状の部材である。操作突片36はレフィル本体10のガイド溝17内に収容されており、ガイド溝17内で周方向に移動可能となっている。すなわち、操作突片36の移動範囲は、ガイド溝17によって規定されている。操作突片36は、使用者が摘まんで周方向に移動できるように構成されている。
【0032】
回転体30を構成している回転筒31、垂下片33、連結環33a、ワイパー34及び操作突片36は、射出成形等によって一体に成形されている。ここで、本実施形態の回転体30は2種類の樹脂材料等を用いて形成されており、垂下片33、連結環33a及びワイパー34を形成する第1の材料の剛性は、回転筒31及び操作突片36を形成する第2の材料よりも低い。例えば、第1の材料はポリエチレン(PE)であり、第2の材料はポリプロピレン(PP)である。ただし、第1の材料の剛性が第2の材料よりも低いのであれば、第1及び第2の材料は種々の材料から適宜選択してよい。回転筒31及び操作突片36を形成する第2の材料の剛性が比較的高いため、操作突片36の操作に同期して、回転筒31、垂下片33及びワイパー34を適切に容器軸O回りで回転させることができる。なお、まず回転筒31及び操作突片36を成形し、これをインサート品とするインサート成形によって垂下片33、連結環33a及びワイパー34を成形して、回転体30を成形してもよい。
【0033】
ワイパー34は、弾性変形可能に形成されている。すなわち、ワイパー34は力を受けることで湾曲したり屈曲したりするが、その力が解除されれば元の形状に復元可能である。
【0034】
メッシュ20は、円環状のメッシュ枠21と、メッシュ枠21の開口を塞ぐように設けられたメッシュシート22と、を備える。メッシュシート22は、網目を有する部材であればよく、例えば樹脂の射出成形によって形成された部材や、繊維を編むことで得られた部材などが挙げられる。メッシュシート22は、弾性変形可能な樹脂やゴム等のシートに複数の微細孔が形成された部材であってもよい。メッシュシート22は、後述する塗布具Pの押圧によって上下方向に変位するに十分な弾性変形性や伸縮性を有している。メッシュシート22のメッシュ枠21への接続方法は特に限定されず、例えば接着等でもよいが、最初にメッシュシート22を作成し、このメッシュシート22を金型内に配置した状態で樹脂を射出してメッシュ枠21を形成する、インサート成形によってメッシュ20を作成してもよい。この場合、メッシュシート22の網目にメッシュ枠21を構成する樹脂が入り込むため、メッシュシート22とメッシュ枠21とを強固に接続することができる。
【0035】
メッシュ20のメッシュ枠21は、レフィル本体10における第1突条31aの上面に載置されており、さらに、メッシュ枠21が回転筒31の内周面に設けられた係合凸部に係合している。すなわちメッシュ20は、回転筒31の径方向内側に配置され、収容体11の開口11aを覆っている。なお、内容物が収容されたレフィル容器3を準備する場合には、空のレフィル本体10に回転体30を取り付け、収容体11内に内容物を充填した後に、メッシュ20を第1突条31aの上面に取り付ければよい。
【0036】
中蓋40は、収容体11の開口11aを開放可能に閉塞する部材である。なお、特に断らない限り、中蓋40が収容体11の開口11aを閉塞している状態を説明する。中蓋40は有頂筒状に形成されている。中蓋40が開口11aを覆っている状態において、中蓋40はメッシュ20の全面を上方から覆っている。中蓋40の側壁の周方向における一部には、外側に向けて突出する連結部42が設けられている。連結部42は、レフィル本体10の軸部19を回動可能に把持しており、左右方向断面視で略C字状に形成されている。連結部42が軸部19に連結されることで、中蓋40は、開口11aを閉塞する位置と開放する位置との間を、軸部19回りに回動可能となっている。中蓋40は、前後方向に延びる軸回りに回動可能であり、上述した外蓋4は、左右方向に延びる軸回りに回動可能であり、中蓋40を回動可能に支持する軸部19と外蓋4を回動可能に支持するために用いられる凹部2aとは、容器軸O回りで90°ずれた位置に配置されている。このため、外蓋4を開いた後に中蓋40を開いた状態でも、中蓋40によって外蓋4の鏡Mの視認が阻害されることを防止できる。
【0037】
中蓋40の、径方向において容器軸Oを挟んだ連結部42の逆側には、把持突片43が設けられている。把持突片43は、中蓋40の頂部よりも高い位置に設けられており、把持突片43の下側に使用者の指を挿入できる十分な隙間が確保されている。中蓋40の側壁の内周面には、回転体30における回転筒31の外周面に係止可能な係止突起41が設けられている。使用者が把持突片43を下方に押し込むことで、係止突起41は回転筒31に係止され、さらにこの状態で使用者が把持突片43を上方に引き上げることで、係止突起41と回転筒31との係止が解除される。
【0038】
中蓋40の頂部の下面には、下方に向けて突出し、収容体11の開口11aを密閉可能なシール筒44(シール部)が設けられている。すなわち中蓋40は、収容体11の開口11aをメッシュ20とともに密閉可能なシール筒44を有している。シール筒44は容器軸Oと同軸に設けられている。中蓋40が開口11aを閉塞している状態において、シール筒44の外周面は回転筒31の内周面に密に係合している。このため、収容体11内を気密に保つことができ、収容体11内の内容物の乾燥やその成分の揮発などを適切に防止できる。さらに、シール筒44と回転筒31との間を介した内容物の漏出が適切に防止されている。
【0039】
中蓋40と外蓋4とがいずれも閉じられている場合において、中蓋40の頂部と鏡Mとの間には、パフ等の塗布具Pを配置可能な領域が設けられている。
【0040】
次に、上述したコンパクト容器1の使用方法として、塗布具Pを用いて収容体11内に収容されている内容物を被塗布部に塗布する方法を、図3図7を参照して説明する。
図3に示すように、収容体11内には内容物Gが収容されている。この内容物Gは、リキッドファンデーション等の化粧料である。外蓋4を開放し、さらに中蓋40を開放して、メッシュ20を露出させる。
【0041】
次に、図4に示すように、塗布具Pをメッシュ20の上面に押し当て、メッシュ20を収容体11の底部に向けて押し込むことで、収容体11内の内容物Gをメッシュ20の網目を通して塗布具Pに付着させる。使用者は、内容物Gが付着した塗布具Pを被塗布部に押し当てることで、内容物Gを被塗布部に塗布することができる。
【0042】
このような内容物Gの塗布具Pに対する供給を繰り返すと、図5に示すように、収容体11の中央に収容されていた内容物Gが収容体11の側壁に向けて押し出されたり、収容体11の中央に収容されていた内容物Gが優先的に塗布具Pに対して供給されたりして、収容体11の側壁の近傍に比べて中央の内容物Gが減少する。
【0043】
ここで、本実施形態によれば、図6及び図7に示すように、使用者が回転体30の操作突片36を摘まんで周方向(図7の矢印R参照)に移動させることで、回転筒31や垂下片33が容器軸O回りに回転し、よってワイパー34を回転させることができる。また、使用者は操作突片36を摘まんで容器軸O回りの一方向(例えば時計回り方向)及び他の方向(反時計回り方向)に交互に移動させることで、ワイパー34を容器軸O回りの時計回り方向及び反時計回り方向に交互に回転させることができる。これにより、ワイパー34が収容体11の側壁近傍に位置する内容物Gを中央に向けて掻き出し(図6の矢印参照)、再び中央に内容物Gを位置させることができる。この状態では、塗布具Pによってメッシュ20の中央部分を軽い力で下方に押し下げるのみで、内容物Gを塗布具Pに対して良好に供給することができる。
また、収容体11における側壁の近傍に比べて中央の内容物Gが減少した際に、ワイパー34の回転を繰り返し行うことで、供給不可となりやすい側壁近傍の内容物Gを順次中央に向けて掻き出すことができるため、供給不可となった時点での内容物Gの残量を従来に比べて低減できる。すなわち、本実施形態によれば、収容体11内の内容物Gを無駄なく使用することができる。
【0044】
また、本実施形態のワイパー34は、弾性変形可能に形成されている。
この場合、回転時にワイパー34が内容物Gや収容体11の内面から抵抗を受けて弾性変形するため、弾性変形したワイパー34によって、中央に向かう付勢力を側壁近傍の内容物Gに対して効果的に付与することができ、効率よく中央に内容物Gを集めることができる。また、ワイパー34が弾性変形可能に形成されていることで、塗布具Pがメッシュ20を収容体11の底部に向けて押し込んだ際に、当該メッシュ20によってワイパー34を容易に弾性変形させて押し倒し、ワイパー34の高さを低くすることができ、よってワイパー34が内容物Gの塗布具Pへの供給を妨げてしまうことを抑制できる。
また、本実施形態のワイパー34は、垂下片33の下端から容器軸Oに向けて直線状に延びているので、このワイパー34を容器軸O回りの時計回り方向及び反時計回り方向のいずれの方向に回転させた場合でも、内容物Gを収容体11の中央付近に好適に集めることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態のコンパクト容器1は、収容体11の開口11aをメッシュ20とともに密閉可能なシール筒44を有した中蓋40を備えている。
この場合、中蓋40が収容体11の開口11aを密閉できるため、収容体11内の内容物Gの乾燥やその成分の揮発などを抑制することができる。また、内容物Gが液状やゲル状であっても、収容体11の開口11aからメッシュ20を通して内容物Gが漏出してしまうことを適切に防止できる。
【0046】
また、本実施形態のコンパクト容器1は、収容体11及び回転体30を少なくとも有するレフィル容器3を収容する容器本体2を備え、容器本体2は、レフィル容器3を着脱可能に係止する係止部2dを有している。
この場合、特別な接続部材等を用いずともレフィル容器3を容器本体2内に収容して保持でき、また、内容物Gの使用を終えたレフィル容器3を、内容物Gが収容されている他のレフィル容器3と容易に交換することができる。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態の回転体30は2種類の樹脂材料等を用いて形成されているが、これに限定されず、回転体30が同一の材料によって形成されてもよい。
また、ワイパー34を形成する材料が、回転筒31、垂下片33及び操作突片36を形成する材料と異なっていてもよい。
【0049】
本実施形態のワイパー34は、垂下片33の下端から容器軸Oに向けて直線状に延びているが、これに限定されず、垂下片33の下端から径方向内側に向かうに従い、周方向の一方向(例えば時計回り方向)に向かうように傾斜する構成でもよい。この場合、操作突片36に対する操作によって、ワイパー34を周方向の他の方向(例えば反時計回り方向)に回転させることで、内容物を収容体11の中央に向けて掻き出すことができる。また、この場合、ワイパー34を弾性変形が抑制された材料で形成してもよい。
ワイパー34が、平面視で湾曲した形状であってもよい。
【0050】
また、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 コンパクト容器
2 容器本体
2d 係止部
3 レフィル容器
11 収容体
11a 開口
20 メッシュ
30 回転体
34 ワイパー
36 操作突片(操作部)
40 中蓋
44 シール筒(シール部)
G 内容物
O 容器軸
P 塗布具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7