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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】冷却構造体および電気機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20230728BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20230728BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20230728BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20230728BHJP
【FI】
H05K7/20 H
H01L23/46 C
H05K7/00 P
H05K9/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019236324
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021106201
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 崇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】尾下 慶明
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】森谷 茂之
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-268125(JP,A)
【文献】中国実用新案第209229696(CN,U)
【文献】特開2019-022293(JP,A)
【文献】特開2009-033900(JP,A)
【文献】米国特許第6477047(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0116255(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
H05K 7/20
H05K 9/00
H01L 23/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱面が形成されたベース部と、前記放熱面から突出し、前記放熱面側の基端から先端に向かって高さ方向に延びる複数の放熱フィンと、導電性を有する部材から形成され、前記放熱面から前記高さ方向に突出する突出部と、を有し、発熱源から受け取った熱を前記放熱面および複数の前記放熱フィンを通して放出する、本体部と、
空気導入口を有し、前記突出部と複数の前記放熱フィンとを前記先端側から覆うように配置され、前記放熱面および複数の前記放熱フィンと共に流路を形成する蓋部材と、
回転駆動されることにより、前記空気導入口の側が上流となり前記流路の側が下流となる気流を発生させるファン機構と、を備え、
前記蓋部材のうちの少なくとも前記突出部を覆うように配置されている部分は導電性を有しており、
前記ファン機構は、羽根部と、前記羽根部を回転させる駆動部と、前記駆動部に電力を供給するための配線と、を有し、
前記突出部は、第1貫通孔を有し、
前記ベース部は、前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を有し、
前記配線は、前記駆動部に接続されるとともに前記蓋部材と前記本体部との間に配置されている第1部分と、前記第1部分に連続し、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔に挿通されている第2部分と、を有している、
冷却構造体。
【請求項2】
前記突出部は、前記先端側に位置する頂面と、前記高さ方向において前記頂面よりも低い高さ位置に設けられている段差面と、を有し、
前記第1貫通孔は、前記段差面を貫通するように設けられており、
前記配線の前記第1部分は、前記蓋部材と前記段差面との間を通過するように配置されている、
請求項1に記載の冷却構造体。
【請求項3】
複数のうちの少なくとも1つの前記放熱フィンは、前記先端側に凹部を有しており、
前記配線の前記第1部分は、前記蓋部材と前記凹部との間を通過するように配置されている、
請求項1または2に記載の冷却構造体。
【請求項4】
前記突出部の側面は、前記蓋部材および前記放熱面と共に前記流路を形成している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却構造体。
【請求項5】
前記放熱面は、前記突出部および複数の前記放熱フィンが設けられていない平坦領域を含み、
複数の前記放熱フィンは、前記平坦領域の周囲の一部または全体を取り囲むように配置されており、
前記羽根部は、前記平坦領域に対向するように配置されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷却構造体。
【請求項6】
前記高さ方向において、前記羽根部および前記駆動部は、前記蓋部材と前記放熱面との間に配置されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷却構造体。
【請求項7】
前記配線は、帯状の形状を有するフラットケーブルから構成されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷却構造体。
【請求項8】
ケースと、
前記ケース内に収容された発熱源とを備え、
前記ケースには、請求項1から7のいずれか1項に記載の冷却構造体が設けられている、
電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、冷却構造体および電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平10-145079号公報(特許文献1)に開示されているように、電気機器においては、ケース内に各種の素子(発熱源)が収容される。ケースには放熱を目的として冷却構造体が設けられる。特許文献1に開示された冷却構造体は、ファン機構を備える。ファンモータを覆うようにファンカバーが配置されており、ファンカバーの内側にはファンカバーの内壁に沿ってシールド部材が環状に配置されている。ファンモータには、ハーネスが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-145079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された冷却構造体においては、ファンのみが主な放熱手段として設けられており、放熱性能の向上という点で改善の余地がある。また、ファンモータに接続されたハーネスは、その略全体が、ファンカバーの内側でむき出しの状態で配置されており、シールド性能の向上という点で改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、放熱性能およびシールド性能の双方を向上させることが可能な構成を備えた冷却構造体、および、そのような冷却構造体を備えた電気機器を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく冷却構造体は、放熱面が形成されたベース部と、上記放熱面から突出し、上記放熱面側の基端から先端に向かって高さ方向に延びる複数の放熱フィンと、導電性を有する部材から形成され、上記放熱面から上記高さ方向に突出する突出部と、を有し、発熱源から受け取った熱を上記放熱面および複数の上記放熱フィンを通して放出する、本体部と、空気導入口を有し、上記突出部と複数の上記放熱フィンとを上記先端側から覆うように配置され、上記放熱面および複数の上記放熱フィンと共に流路を形成する蓋部材と、回転駆動されることにより、上記空気導入口の側が上流となり上記流路の側が下流となる気流を発生させるファン機構と、を備え、上記蓋部材のうちの少なくとも上記突出部を覆うように配置されている部分は導電性を有しており、上記ファン機構は、羽根部と、上記羽根部を回転させる駆動部と、上記駆動部に電力を供給するための配線と、を有し、上記突出部は、第1貫通孔を有し、上記ベース部は、上記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を有し、上記配線は、上記駆動部に接続されるとともに上記蓋部材と上記本体部との間に配置されている第1部分と、上記第1部分に連続し、上記第1貫通孔および上記第2貫通孔に挿通されている第2部分と、を有している。
【0007】
上記冷却構造体においては、上記突出部は、上記先端側に位置する頂面と、上記高さ方向において上記頂面よりも低い高さ位置に設けられている段差面と、を有し、上記第1貫通孔は、上記段差面を貫通するように設けられており、上記配線の上記第1部分は、上記蓋部材と上記段差面との間を通過するように配置されていてもよい。
【0008】
上記冷却構造体においては、複数のうちの少なくとも1つの上記放熱フィンは、上記先端側に凹部を有しており、上記配線の上記第1部分は、上記蓋部材と上記凹部との間を通過するように配置されていてもよい。
【0009】
上記冷却構造体においては、上記突出部の側面は、上記蓋部材および上記放熱面と共に上記流路を形成していてもよい。
【0010】
上記冷却構造体においては、上記放熱面は、上記突出部および複数の上記放熱フィンが設けられていない平坦領域を含み、複数の上記放熱フィンは、上記平坦領域の周囲の一部または全体を取り囲むように配置されており、上記羽根部は、上記平坦領域に対向するように配置されていてもよい。
【0011】
上記冷却構造体においては、上記高さ方向において、上記羽根部および上記駆動部は、上記蓋部材と上記放熱面との間に配置されていてもよい。
【0012】
上記冷却構造体においては、上記配線は、帯状の形状を有するフラットケーブルから構成されていてもよい。
【0013】
本開示に基づく電気機器は、ケースと、上記ケース内に収容された発熱源とを備え、上記ケースには、本開示に基づく上記の冷却構造体が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示された構成によれば、放熱性能およびシールド性能の双方を向上させることが可能な構成を備えた冷却構造体、および、そのような冷却構造体を備えた電気機器を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1における冷却構造体50を備えた電気機器100を示す斜視図である。
図2】実施の形態1における冷却構造体50に備えられる本体部10を示す平面図である。
図3】実施の形態1における冷却構造体50の分解した状態を示す斜視図である。
図4図1中のIV-IV線に沿った矢視断面図であり、実施の形態1における冷却構造体50の断面構造を示している。
図5図1中のV-V線に沿った矢視断面図であり、実施の形態1における冷却構造体50の他の断面構造を示している。
図6】実施の形態2における冷却構造体に備えられる本体部10Aを示す平面図である。
図7】実施の形態3における冷却構造体に備えられる本体部10Bを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態について、以下、図面を参照しながら説明する。以下の説明において同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0017】
[実施の形態1]
(電気機器100)
図1は、冷却構造体50を備えた電気機器100を示す斜視図である。電気機器100は、ケース40と、ケース40内に収容された発熱源42とを備える。発熱源42は、各種の素子から構成され、駆動することにより発熱する。ケース40には、放熱を目的として冷却構造体50が設けられている。
【0018】
(冷却構造体50)
図2は、冷却構造体50に備えられる本体部10を示す平面図である。図3は、冷却構造体50の分解した状態を示す斜視図である。図4は、図1中のIV-IV線に沿った矢視断面図であり、図5は、図1中のV-V線に沿った矢視断面図である。図1図5(主として図3)に示すように、冷却構造体50は、本体部10、蓋部材20、および、ファン機構30を備える。
【0019】
(本体部10)
本体部10は、平板状のベース部11と、ベース部11上に立設された複数の放熱フィン13と、ベース部11上に立設された突出部13Tと、を備える。ベース部11の表面(ベース部11におけるベース部11の厚さ方向端部側に位置する面)は放熱面12(図4)を形成する。
【0020】
突出部13Tは、側面13pと、側面13pとは反対側の側面13qとを有する。突出部13Tと複数の放熱フィン13とは、放熱面12から突出しており、これらはいずれも放熱面12側の基端13a(図3)から先端13bに向かって高さ方向H(図3)に延びている。本開示における高さ方向Hとは、ベース部11の厚さ方向であるともいえる。ベース部11上には、ベース部11の3辺に沿って平面視で略U字状に延びる比較的大きな部位も設けられている。当該部位に形成されたU字状を有する内周面も、後述する流路18を形成しており、したがって当該部位も放熱フィン13としての機能を有し得る。
【0021】
複数のうちの少なくとも1つの放熱フィン13(ここでは、突出部13Tの一つ隣の放熱フィン13)は、先端側に凹部13dを有している。凹部13d内には、後述する配線31cの第1部分31dが配置される(図3図5)。
【0022】
突出部13Tは、導電性を有する部材から形成される。突出部13Tを含むベース部11の全体が、導電性を有する部材から形成されていてもよい。本実施の形態の突出部13Tは、流路18を形成する。すなわち、本開示の突出部13Tは放熱フィンとして機能してもよい。突出部13Tには、側面13p,13qの間に位置し、高さ方向Hに沿って延びる第1貫通孔13h(図5)が形成される。本実施の形態においては、突出部13Tは、先端側に位置する頂面13mと、高さ方向Hにおいて頂面13mよりも低い高さ位置に設けられている段差面13nと、を有する(図3図5)。第1貫通孔13hは、段差面13nを貫通するように設けられる。ベース部11には第2貫通孔11hが形成されている。第2貫通孔11hは、高さ方向Hに沿って延び、第1貫通孔13hに連通する。第1貫通孔13hと第2貫通孔11hとは同軸状に並んで配置されており、1つの貫通孔10h(図5)を形成している。
【0023】
放熱面12は、突出部13Tおよび複数の放熱フィン13が設けられていない平坦領域12aを含み、突出部13Tおよび複数の放熱フィン13は、平坦領域12aの周囲の一部または全体を取り囲むように配置されている(図2参照)。なお、ここでいう「突出部13Tおよび複数の放熱フィン13が設けられていない平坦領域12a」とは、細長く延びる複数の放熱フィン13によって区画された流路の下面の部分は含まれない。平面視において平坦領域12aは、複数の放熱フィン13によって区画された流路の下面(放熱面12によって形成される表面)よりも大きな表面積を有しており、後述するファン機構30のファン本体31よりも大きな表面積を有している。
【0024】
本体部10の上面14(図3)は、平坦な平面を形成している。上面14の四隅の位置にはネジ穴がそれぞれ設けられる。上面14とは、ベース部11の外周縁に沿って立設する上記U字状の部位(放熱フィン13)における、ベース部11とは反対側の面である。上面14とは、放熱フィン13における基端13aから先端13bに向かう方向と交差する方向に延びる面のうち、先端13bを構成している面である。上面14のネジ穴が本体部10における放熱フィンとして機能する部位に設けられていることは必須ではない。ネジ穴は、本体部10における任意の位置に設けることが可能であり、放熱フィンとして機能しない部位にネジ穴が設けられていてもよい。
【0025】
本体部10は、放熱面12から高さ方向Hに突出するボス部15をさらに有する。ボス部15は、放熱フィン13と同様に、放熱面12から突出し、放熱面12側の基端15s(図4)から先端15tに向かって高さ方向Hに延びている。ボス部15は、後述する台座部32が締結されるものである。ボス部15の上端面15a(詳述すると、ボス部15における基端15sから先端15tに向かう方向と交差する方向に延びる面のうち、先端15tを構成する面)は、高さ方向Hにおいて、上面14の位置よりも一段低い位置に設けられる。上端面15aにはネジ穴15bが設けられる。
【0026】
ケース40内の発熱源42(図1)で発生した熱は、ベース部11に伝達する。本体部10は、ベース部11を介して発熱源42から受け取った熱を、放熱面12、突出部13Tおよび複数の放熱フィン13を通して放出する。本体部10とケース40とが互いに別体として作成され、ケース40に本体部10が取り付けられていてもよい。本体部10は、ケース40の構成要素の一つとして、ケース40と予め一体的に形成されていてもよい。
【0027】
(蓋部材20)
蓋部材20は、平板状の形状を有し、本体部10に締結される。蓋部材20が複数の放熱フィン13を先端13b側から覆うように配置されることで、蓋部材20は、放熱面12および複数の放熱フィン13と共に、複数の流路18(図1)を形成する。ここでは、蓋部材20が突出部13Tを先端13b側から覆うように配置されることにより、突出部13Tの両側にも流路18(図1)が形成される。突出部13Tの側面13p,13qが、蓋部材20および放熱面12と共に、流路18を形成している。突出部13Tも放熱フィンとしての機能を有し得る。蓋部材20のうちの少なくとも突出部13Tを覆うように配置されている部分21t(図3図5)は、導電性を有している。部分21tを含む蓋部材20の全体が、導電性を有する部材から形成されていてもよい。
【0028】
蓋部材20の外周縁(ここでは四隅の位置)には、それぞれ貫通孔が形成されている。締結具が貫通孔にそれぞれ挿通され、本体部10の四隅のネジ穴にそれぞれ螺合する。これにより蓋部材20が本体部10に締結されることとなる(図1)。なおここでの4つ(四隅)という数字は例示であり、3つや5つ等の任意の複数であってよい。蓋部材20の外形形状も矩形状に限られず、多角形、楕円形、円形など、任意の形状であってよい。
【0029】
蓋部材20の略中央には空気導入口21Hが貫通して形成されている。蓋部材20のうちの空気導入口21Hの周囲には、貫通孔24a,24b,25が形成されている。詳細は後述するが、貫通孔24a,24b,25にはそれぞれ締結具28a,28b,29が挿通され、締結具28a,28b,29を利用してファン機構30の台座部32が、蓋部材20に締結される。
【0030】
(ファン機構30)
ファン機構30は、ファン本体31と台座部32とを有し、蓋部材20に締結される。ファン本体31は、羽根部31bと、羽根部31bを回転させる駆動部31aと、駆動部31aに電力を供給するための配線31cとを含む。蓋部材20が本体部10に締結された状態では、羽根部31bは放熱面12のうちの平坦領域12aに対向するように配置される(図3中の矢印AR参照)。高さ方向H(図4)において、駆動部31aおよび羽根部31bは、蓋部材20と放熱面12との間に配置されている。ファン本体31(羽根部31b)の周囲は突出部13Tおよび複数の放熱フィン13によって取り囲まれている。
【0031】
配線31cは、たとえば、帯状の形状を有するフラットケーブルから構成される。フラットケーブルの技術的概念には、FPC(Flexible Printed Circuits)や、帯状に整えられた(成形された)配線部材も含まれる。配線31cは、第1部分31dおよび第2部分31eを有する。第1部分31dは、駆動部31aに接続されるとともに、径方向外側に向かって駆動部31aから延出し、蓋部材20と本体部10との間に配置されている(図3図5)。ここでは、第1部分31dは、蓋部材20と段差面13nとの間を通過するように配置されている。第1部分31dはさらに、蓋部材20と凹部13dとの間を通過するようにも配置されている。第2部分31eは、第1部分31dに連続し、第1貫通孔13hおよび第2貫通孔11hに挿通されている。第2部分31eにおける第1部分31dとは反対側の先端はケース40内部の制御機器など(不図示)に接続されている。
【0032】
羽根部31bが回転駆動されることにより、空気導入口21H(図1)の側が上流となり、流路18(図1)の側が下流となる気流を発生させる。ファン本体31は、羽根部31bの回転軸の方向に沿って空気を空気導入口21Hを通して吸い込むとともに、回転半径方向の外側(複数の放熱フィン13が配列されている側)に向かって空気を効率よく吐出可能な、遠心ファン等(例えば、シロッコファンやターボファン)から構成され得る。
【0033】
台座部32は、薄板状の部材から形成されており、ファン本体31を保持すると共に、ファン本体31を蓋部材20に取り付ける。台座部32は、環状の外周部33aと、外周部33aの内側に設けられた中央部33bと、3つの接続部33cとを含む。3つの接続部33cは、径方向に沿って中央部33bから放射状に延出しており、中央部33bを外周部33aに接続している。なおここでの3つという数字は例示であり、2つや4つ等の任意の複数であってよい。ファン本体31の駆動部31aが、中央部33bに締結される。
【0034】
台座部32の外周部33aには、ネジ穴34a,34bおよび貫通孔35が形成されている。締結具28a,28bは、蓋部材20の貫通孔24a,24bにそれぞれ挿通され、台座部32のネジ穴34a,34bにそれぞれ螺合する。締結具29は、蓋部材20の貫通孔25と台座部32の貫通孔35とに挿通され、本体部10(ボス部15)のネジ穴15bに螺合する。台座部32は、締結具28a,28bにより蓋部材20に締結される。台座部32はさらに、締結具29により、本体部10のボス部15に締結されている。締結具29は、蓋部材20および台座部32を、ボス部15に共締めしている。台座部32は、蓋部材20とボス部15の上端面15aとにより挟み込まれている。
【0035】
(作用および効果)
図5に示すように、ベース部11(放熱面12)から導電性を有する突出部13Tが突出して設けられており、突出部13Tの第1貫通孔13hとベース部11の第2貫通孔11hとは貫通孔10h(図5)を形成している。配線31cの第1部分31dは、蓋部材20と本体部10との間に配置されており、配線31cの第2部分31eは、貫通孔10h(第1貫通孔13hおよび第2貫通孔11h)に挿通されている。蓋部材20のうちの少なくとも突出部13Tを覆うように配置されている部分21tは導電性を有している。
【0036】
特許文献1(特開平10-145079号公報)の場合、ファンモータに接続されたハーネスの略全体がファンカバーの内側でむき出しの状態で配置されている。上記実施の形態1の構成は、このような特許文献1の構成とは異なり、駆動部31aに接続された配線31cの大部分が導電性を有する部材によって取り囲まれており、シールド性能の向上を図ることが可能になっている。より高いシールド効果を得るために、突出部13Tの頂面13mは蓋部材20の部分21tと接触しているとよい。シールド性のために採用される導電性を有する部材としては、金属製の部材に限られず、金属粒子を内部に分散させた樹脂部材などであってもよい。
【0037】
冷却構造体50においては、ケース40内の発熱源42(図1)で発生した熱は、ベース部11に伝達する。熱は、放熱面12、突出部13Tおよび複数の放熱フィン13を通して放出される。ファン機構30によって放熱が促進される。突出部13Tおよび複数の放熱フィン13の存在により、特許文献1(特開平10-145079号公報)の場合に比べて放熱性能の向上を図ることが可能である。突出部13Tの側面13p,13qも流路18を形成しており、突出部13Tも放熱フィンとして機能し得るため、より高い放熱効果を発揮可能である。
【0038】
流路18(図1)を形成している蓋部材20に、ファン機構30が締結される。これに対し、ファン機構30がたとえば本体部10に締結される場合もある。このような場合、ファン本体31が本体部10によって安定して保持されているため、ファン本体31が回転駆動されたとしても、その影響が蓋部材20に伝わることはほとんどなく、蓋部材20の振動に起因した騒音等が発生することもほとんどない。一方、蓋部材20にファン機構30が締結される場合には、羽根部31bが回転することにより蓋部材20が振動しやすくなり、蓋部材20の振動に起因した騒音等が発生しやすくなる。
【0039】
上述のとおり実施の形態1の冷却構造体50においては、ファン本体31の台座部32が締結具29によって本体部10(ボス部15)に締結されている。蓋部材20のうちの四隅に設けられた締結箇所が固定端を形成するとともに、台座部32のうちのボス部15に接続されている部分も固定端を形成している。ファン機構30が両端支持に近い形態で保持されているため、羽根部31bが回転駆動された際であっても、蓋部材20が振動しにくくなっており、ひいては蓋部材20の振動に起因した騒音等が発生することも効果的に抑制されるものとなっている。
【0040】
上述のとおり冷却構造体50においては、ファン本体31の羽根部31bは、放熱面12のうちの平坦領域12aに対向するように配置されている。ベース部11(放熱面12)に平坦領域12aを形成することは必須ではないが、当該構成を採用することにより、ファン本体31からの空気などが平坦領域12aに当たって放射状に移動し、流路18へと効率的に流れ込むことが可能になる。
【0041】
上述のとおり冷却構造体50においては、突出部13Tに段差面13nが形成されており、配線31cの第1部分31dは蓋部材20と段差面13nとの間を通過するように配置されている。第1部分31dの表面のうち、より多くの部分が突出部13Tによって囲まれており高いシールド効果を奏することができる。また、配線31cを蓋部材20と突出部13T(段差面13n)との間の狭い隙間に配置可能となり、冷却構造体50の薄型化および小型化などを図ることが可能になる。これは、放熱フィン13に形成された凹部13dについても同様である。配線31cが、蓋部材20に沿って、段差面13n上および凹部13d内を通過するように配置されることで、空気などが流路18を流れることが配線31cの存在によって阻害されることも、効果的に抑制できる。配線31cが、段差面13n上および凹部13d内を通過するように配置されることで、配線31cの位置ずれも抑制可能である。
【0042】
また、上述のとおり冷却構造体50においては、高さ方向において、ファン本体31の羽根部31bおよび駆動部31aは蓋部材20と放熱面12との間に配置されている。当該構成は必須ではないが、当該構成が採用されていることによって、ファン本体31(羽根部31bおよび駆動部31a)の周囲を複数の放熱フィン13が取り囲むといった配置が可能となり、冷却構造体50の薄型化および小型化などを図ることが可能になる。配線31cが帯状の形状を有するフラットケーブルから構成されていることによっても、配線31cを蓋部材20と放熱面12との間の狭い隙間に配置可能となり、冷却構造体50の薄型化および小型化などを図ることが可能になる。
【0043】
上述のとおり冷却構造体50においては、本体部10にボス部15が設けられており、ファン本体31の台座部32は締結具29によってボス部15に締結されている。ボス部15を本体部10に設けることは必須ではないが、ボス部15の存在によれば、台座部32を本体部10側に締結するという構成、すなわち、台座部32を蓋部材20とボス部15の上端面15aとで挟み込んで固定端を形成するという構成を、容易かつ簡素に実現することが可能になる。
【0044】
台座部32を本体部10側に締結するための締結部としては、台座部32からブラケット等を垂設してベース部11や放熱面12の任意箇所にそのブラケットを接続するという構成が採用されてもよい。当該構成によっても、台座部32のうちのボス部15に接続されている部分が固定端を形成し、蓋部材20の振動に起因した騒音等が発生することは効果的に抑制される。上述のとおり冷却構造体50においては、締結具29が、蓋部材20および台座部32をボス部15に共締めしている。一つの締結具29により、蓋部材20をボス部15に締結するという構成と、台座部32をボス部15に締結するという構成との双方が実現可能となっている。
【0045】
ファン本体31の台座部32は、締結具29(締結具28a)によって本体部10に締結される。台座部32を本体部10側に締結するための締結部としては、ボルト締結によって実現されても、接着剤や溶接による締結によって実現されても、かしめ構造などによって実現されてもよい。すなわち、蓋部材における本体部に締結される箇所が締結部となる。しかしながら締結部としては、このような締結具29などを用いた構成は必須ではなく、たとえば、ファン本体31の台座部32は、本体部10から台座部32に対する付勢力を受けるような形態で、冷却構造体の中に組み込まれていてもよい。
【0046】
ボス部15の高さを高くする。当該構成によれば、締結具28a(図6)が用いられなくても、台座部32は、蓋部材20とボス部15の上端面15aとにより挟み込まれることとなり、ファン機構30が両端支持に近い形態で保持されているため、羽根部31bが回転駆動された際であっても、蓋部材20が振動しにくくなっており、ひいては蓋部材20の振動に起因した騒音等が発生することも効果的に抑制されるものとなる。締結具28aが用いられない分、部品点数の削減を図ることができる。
【0047】
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2における冷却構造体に備えられる本体部10Aを示す平面図である。配線31cからのノイズは、流路18の出口部分13eから外部に放射されやすい。したがってシールド性能をより向上させることを目的として、出口部分13eから、配線31cを視認しにくいように、あるいは視認できないように、放熱フィン13および突出部13Tを湾曲して構成するとよい。
【0048】
図6に示すような放熱フィン13および突出部13Tの構成を採用したとする。この場合、たとえば、出口部分13eから矢印DR1の方向に配線31cを見ようとしたとしても、放熱フィン13および突出部13Tの存在によって遮られて配線31cを視認することは実質的に不可能である。このような遮蔽効果の構成を採用することによって、より高いシールド性能を得ることが可能になる。
【0049】
[実施の形態3]
図7は、実施の形態3における冷却構造体に備えられる本体部10Bを示す平面図である。上述の実施の形態1(図2)においては、突出部13Tは放熱フィンとして機能する。一方で実施の形態3の本体部10Bにおいては、図7に示すような突出部13Tが採用される。
【0050】
突出部13Tがベース部11(放熱面12)から高さ方向Hに突出しているという点は実施の形態1,3で共通し、突出部13Tの側面13pは流路18を形成しているが、突出部13Tはフィン形状を有していない。突出部13Tの頂面13mは、本体部10の上面14によって形成されている。当該構成が採用される場合であっても、上述の実施の形態1と同様の作用及び効果を得ることが可能である。
【0051】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
10,10A,10B 本体部、10h,24a,24b,25,35 貫通孔、11 ベース部、11h 第2貫通孔、12 放熱面、12a 平坦領域、13 放熱フィン、13T 突出部、13a,15s 基端、13b,15t 先端、13d 凹部、13e 出口部分、13h 第1貫通孔、13m 頂面、13n 段差面、13p,13q 側面、14 上面、15 ボス部、15a 上端面、15b,34a,34b ネジ穴、18 流路、20 蓋部材、21H 空気導入口、21t 部分、28a,28b,29 締結具、30 ファン機構、31 ファン本体、31a 駆動部、31b 羽根部、31c 配線、31d 第1部分、31e 第2部分、32 台座部、33a 外周部、33b 中央部、33c 接続部、40 ケース、42 発熱源、50 冷却構造体、100 電気機器、AR,DR1 矢印、H 高さ方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7