(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ワイパアーム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/46 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
B60S1/46 D
(21)【出願番号】P 2020014750
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 伸敬
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193340(JP,A)
【文献】特開2010-076503(JP,A)
【文献】実開昭48-042235(JP,U)
【文献】実開昭60-189461(JP,U)
【文献】特公平05-507896(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0009751(US,A1)
【文献】特開2015-221616(JP,A)
【文献】特開2017-056751(JP,A)
【文献】米国特許第04782547(US,A)
【文献】米国特許第05842251(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームヘッドと、
前記アームヘッドの先端に連結され
、開口部を有するシャンクと、
前記シャンクの内部に配置され
たウォッシャ液の流路
と、前記ウォッシャ液の流路と一体に形成され、前記シャンクの前記開口部を覆う平坦面からなるベース部材と、からなるチューブと、
を有し、
前記シャンクは、該シャンクの長手方向に沿って設けられ、かつ、前記チューブを保持する保持部を備え、
前記チューブ
の前記ベース部材は、前記保持部と係合する係合部を備え
、
前記平坦面には、前記チューブの前記流路にそれぞれ繋げられた複数の噴射孔が設けられていることを特徴とするワイパアーム。
【請求項2】
前記シャンクは、フレーム部材と、前記フレーム部材を覆うカバー部材と、から構成され、
前記保持部は、前記フレーム部材の幅方向の端部を内側に折り曲げた折り曲げ部であることを特徴とする請求項1に記載のワイパアーム。
【請求項3】
前記フレーム部材は、金属製であり、かつ、前記カバー部材は、樹脂製であり、
前記フレーム部材は、前記折り曲げ部を除いた部分が前記カバー部材に埋設されていることを特徴とする請求項2に記載のワイパアーム。
【請求項4】
前記係合部は、前記ベース部材が前記シャンクの
前記開口部の少なくとも一部を塞ぐように前記折り曲げ部に係合されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のワイパアーム。
【請求項5】
前記係合部は、前記折り曲げ部の案内により前記シャンクの長手方向に沿ってスライド可能に係合されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のワイパアーム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭面を払拭するワイパ装置に設けられるワイパアームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両にはワイパ装置が搭載されている。ワイパ装置は、駆動源であるワイパモータと、ワイパモータの駆動により揺動されるワイパアームと、ワイパアームに装着されるワイパブレードとを備えている。
【0003】
そして、上記のようなワイパアームの一例として、払拭面に対してウォッシャ液(洗浄液)を噴射させるウォッシャノズルと、該ウォッシャノズルにウォッシャ液を供給するチューブとが設けられたワイパアームが知られている。
【0004】
上記のようなウォッシャノズル及びチューブが設けられたワイパアームとして、例えば、第1ホルダや第2ホルダ等の複数の固定部材を用いてチューブが固定されたワイパアームが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されたワイパアームには、チューブを固定するために第1ホルダや第2ホルダ等の複数の固定部材が設けられており、その結果、部品点数が多くなるという課題があった。
【0007】
また、ウォッシャ液はシャンクの先端に設けられたノズルからのみ噴射されるため、ウォッシャ液の散布範囲を広げるために、様々なタイプのノズルをユニット化して設け、ウォッシャ液の噴射方向を精密に設定する必要があった。
【0008】
さらに、シャンクの裏面側が開口しているため、高速走行中にシャンクが裏面側から風を受けて払拭面から浮き上がり、洗浄性が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、部品点数を削減しつつ、洗浄性の向上が図られたワイパアームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、アームヘッドと、前記アームヘッドの先端に連結され、開口部を有するシャンクと、前記シャンクの内部に配置されたウォッシャ液の流路と、前記ウォッシャ液の流路と一体に形成され、前記シャンクの前記開口部を覆う平坦面からなるベース部材と、からなるチューブと、を有し、前記シャンクは、該シャンクの長手方向に沿って設けられ、かつ、前記チューブを保持する保持部を備え、前記チューブの前記ベース部材は、前記保持部と係合する係合部を備え、前記平坦面には、前記チューブの前記流路にそれぞれ繋げられた複数の噴射孔が設けられている。
【0011】
本発明の他の態様では、前記シャンクは、フレーム部材と、前記フレーム部材を覆うカバー部材と、から構成され、前記保持部は、前記フレーム部材の幅方向の端部を内側に折り曲げた折り曲げ部である。
【0012】
本発明の他の態様では、前記フレーム部材は、金属製であり、かつ、前記カバー部材は、樹脂製であり、前記フレーム部材は、前記折り曲げ部を除いた部分が前記カバー部材に埋設されている。
【0013】
本発明の他の態様では、前記係合部は、前記ベース部材が前記シャンクの前記開口部の少なくとも一部を塞ぐように前記折り曲げ部に係合される。
【0014】
本発明の他の態様では、前記係合部は、前記折り曲げ部の案内により前記シャンクの長手方向に沿ってスライド可能に係合される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワイパアームにおいて、部品点数を削減しつつ、洗浄性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のワイパアームを含むワイパ装置の構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すワイパ装置のブレード側の構造を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すワイパ装置のブレードを外した状態を示す裏面図である。
【
図5】
図1に示すシャンクによるチューブの保持状態を示す断面図である。
【
図6】
図1に示すシャンクのフレーム部材の構造を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示すカバー付きチューブの構造を示す斜視図である。
【
図8】
図1に示すチューブのフレーム部材への装着方法を示す斜視図である。
【
図9】
図1に示すチューブの噴射孔の形成方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1および
図2に示すワイパ装置10は、例えば、自動車等の車両に設けられたリヤガラス等の払拭面を払拭する装置である。ワイパ装置10は、細長いアームシャンク(シャンク)12を備えたワイパアーム11と、上記払拭面を払拭するブレードラバー16を備えたワイパブレード15と、アームシャンク12とワイパブレード15とを連結するアダプタ14(
図3参照)と、を有している。
【0020】
なお、ワイパアーム11は、アームシャンク12と、アームシャンク12を回動自在に支持するアームヘッド13と、からなる。
【0021】
また、ワイパブレード15は、アームシャンク12の長手方向Eの中央部付近にアダプタ14を介して連結されている。さらに、ワイパアーム11の基端側(アームヘッド13が配置された側)には、ワイパ装置10を形成するワイパモータの出力軸(図示せず)が固定されている。
【0022】
そして、車室内等に設けたワイパスイッチをオン操作することで、上記ワイパモータの出力軸が正逆方向に回転してワイパアーム11が揺動する。これにより、ワイパブレード15に取り付けられたブレードラバー16がリヤガラスなどの払拭面の所定の払拭範囲を往復払拭動作し、これにより、リヤガラス等の払拭面に付着した雨水等の汚れを払拭することができる。
【0023】
アームヘッド13に連結されるアームシャンク12は、細長い棒状に形成され、アームシャンク12の先端側の太さは、基端側の太さよりも細く形成されている。より具体的には、アームヘッド13とアームシャンク12とからなるワイパアーム11は、その基端側から先端側に向かうにつれて徐々に細くなる先細り形状に形成されている。これにより、ワイパアーム11のデザイン性を向上させている。ただし、ワイパアーム11の外観形状は上述の形状に限定されるものではない。
【0024】
また、ワイパアーム11のアームシャンク12には、リヤガラス等の払拭面に向けてアームシャンク12を倒す方向に押圧力が作用しており、したがって、ワイパブレード15の往復払拭動作時において、ワイパブレード15が脱落するようなことは無い。なお、上記押圧力は、アームシャンク12の基端側に設けられた引っ張り用のスプリング19のバネ力により発生する。
【0025】
本実施の形態のワイパアーム11では、アームヘッド13の先端にアームシャンク12が連結されている。そして、アームシャンク12の内部には、
図5に示すウォッシャ液22を供給するための流路20dを形成するチューブ20が配置されている。本実施の形態では、アームシャンク12の内部に2本のチューブ20が配置されている場合を一例として説明するが、アームシャンク12内の配置されるチューブ20の本数は2本に限定されるものではない。
【0026】
なお、アームシャンク12の内部に配置された2本のチューブ20のそれぞれは、
図2に示すように、基端側チューブ17と接続されており、基端側チューブ17を介してウォッシャ液22が供給される。
【0027】
ここで、本実施の形態のアームシャンク12は、
図3に示すように、フレーム部材12aと、フレーム部材12aを覆うカバー部材12bと、から構成されている。カバー部材12bは、フレーム部材12aの材料よりも軟質で、かつ、弾性のある材料によって形成されている。言い換えれば、フレーム部材12aは、カバー部材12bよりも硬質の材料によって形成されており、カバー部材12bを補強する芯材としての役割を有する。例えば、フレーム部材12aは、金属製であり、一方、カバー部材12bは、樹脂製である。具体的には、フレーム部材12aは、
図6に示すように、鉄または鋼などからなる板状の部材を折り曲げて成形したものであり、一方、カバー部材12bは、エラストマなどから成形されたものである。
【0028】
なお、本実施の形態のアームシャンク12においては、金属製のフレーム部材12aが、樹脂製のカバー部材12bの内部に埋設されている。つまり、アームシャンク12は、表面的には、樹脂製のカバー部材12bが露出しているが、その内部に芯材として金属製のフレーム部材12aが埋め込まれている。このようなアームシャンク12は、例えば、フレーム部材12aが配置された金型内に溶融させたエラストマを加圧供給することによって成形することが可能である。すなわち、アームシャンク12は、インサート成形法(インジェクション成形法)によって成形される。もっとも、
図1に示すように、フレーム部材12aは、アームシャンク12の長手方向全域(=カバー部材12bの長手方向全域)に亘って埋設されているわけではなく、アームシャンク12の長手方向Eにおける一部の領域にのみ埋設されている。具体的には、フレーム部材12aは、アームシャンク12の基端側にのみ埋設されている。より具体的には、フレーム部材12aは、アームシャンク12の長手方向中央または略中央よりも基端側の領域にのみ埋設されている。これにより、アームシャンク12の基端側の強度を確保することができる。
【0029】
そして、アームシャンク12の中央付近より先端側は、フレーム部材12aが存在することなく、樹脂製のカバー部材12bのみで構成されている。これにより、アームシャンク12の中央付近より先端側は、柔軟性が高く、払拭面に対して追従性が高められるようになっている。
【0030】
また、アームシャンク12の幅方向F(
図6参照)において、フレーム部材12aは、
図5に示すように、後述する折り曲げ部12cを除いた部分がカバー部材12bに埋設されている。言い換えれば、フレーム部材12aの折り曲げ部12cがカバー部材12bから露出している。
【0031】
なお、
図3に示すように、ワイパブレード15に固定されたアダプタ14は、フレーム部材12aに固定される連結支持部18を介してフレーム部材12aに固定される。
【0032】
また、
図1に示すように、ワイパブレード15は直線状であるが、実際のワイパブレード15は湾曲している。具体的には、ワイパブレード15は、後端(ワイパブレード15の長手方向でアームヘッド13に近い側)がアームシャンク12から最も離間し、長手方向中央から先端(後端と反対側の他の一端)がアームシャンク12に最も近接するように湾曲している。そして、
図2に示すように、ブレードラバー16の先端部は、カバー部材12bの先端部にはめ込まれている。
【0033】
また、本実施の形態のアームシャンク12は、このアームシャンク12の長手方向Eに沿って設けられ、かつ、チューブ20を保持する保持部を備えている。
図6に示すように、本実施の形態では、上記保持部は、金属製のフレーム部材12aの幅方向F(長手方向Eに直交する方向)の両側の端部を内側に折り曲げた折り曲げ部12cである。一方、チューブ20は、
図5および
図7に示すように、フレーム部材12aの折り曲げ部12cと係合する係合部20aを備えている。
【0034】
ここで、
図7に示すように、チューブ20は、
図5に示すウォッシャ液22の流路20dを形成し、かつ、平坦面20cを有するベースカバー(ベース部材)20bと一体に成形された部材である。チューブ20は、例えば、エラストマやEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などの樹脂からなる。なお、ベースカバー20bは、
図2に示すように、アームシャンク12の裏面側開口部12dの少なくとも一部を塞ぐようにアームシャンク12に取り付けられる。つまり、ベースカバー20bは、
図5に示すように、アームシャンク12の天壁12eと対向し、かつ、
図2に示すアームシャンク12の裏面側開口部12dの一部を塞ぐようにアームシャンク12に取り付けられる。
【0035】
すなわち、本実施の形態のワイパアーム11は、ウォッシャ液22の流路20dを形成するチューブ付きカバー(ベースカバー20b)を有しており、このチューブ付きカバー(ベースカバー20b)が、フレーム部材12aに形成された折り曲げ部12cに嵌め込まれている。
【0036】
ここで、チューブ20は、その両側部に係合部20aを有している。係合部20aは、
図6に示すフレーム部材12aの折り曲げ部12cに嵌め込むことが可能な形状となっている。本実施の形態のチューブ20の係合部20aは、例えば、コ字型であり、
図8に示すように、コ字型の係合部20aがフレーム部材12aの折り曲げ部12cに嵌め込まれている。したがって、チューブ20は、折り曲げ部12cの案内により
図1に示すアームシャンク12の長手方向Eに沿ってスライド可能に係合される。すなわち、チューブ20をアームシャンク12のフレーム部材12aに組付けまたは取り外す際に、
図8に示すように、E方向にスライドさせながら組付けまたは取り外しを行うことができ、チューブ20のアームシャンク12への組付けおよび取り外しを容易に行うことができる。
【0037】
なお、コ字型の係合部20aは、押し出し成形で形成することが可能なため、チューブ20と係合部20aとを押し出し成形によって一体に成形することができる。その際、2種類の樹脂を用いた2色成形を実施することで、チューブ20と係合部20aとを一体に成形することができる。つまり、チューブ20と係合部20aとが互いに異なる樹脂からなる場合であっても押し出し成形によりチューブ20と係合部20aとを一体にして成形することが可能である。その際、係合部20aをチューブ20より硬質な樹脂で成形することで、チューブ20の組付け強度を向上させることができる。一方、係合部20aをチューブ20より軟質な樹脂で成形することで、ストレートではなく曲がった形状のアームシャンク12の場合であっても、係合部20aを折り曲げ部12cの形状に追従させることができ、チューブ20の組付けおよび取り外しをさらに容易に行うことができる。
【0038】
また、係合部20aは、
図2に示すように、チューブ20のベースカバー20bがアームシャンク12の裏面側開口部12dの少なくとも一部を塞ぐように、
図5に示す折り曲げ部12cに係合される。別の言い方をすれば、係合部20aは、チューブ20のベースカバー20bがアームシャンク12の天壁12eと対向し、かつ、
図2に示すアームシャンク12の裏面側開口部12dの一部を塞ぐように折り曲げ部12cに係合される。
【0039】
また、本実施の形態のチューブ20においては、
図7に示すように、チューブ20のベースカバー20bに、
図5に示すウォッシャ液22を噴射する複数の噴射孔20eが設けられている。
図7に示すチューブ20では、そのベースカバー20bにチューブ20の流路20dとそれぞれ繋がる8個の噴射孔20eが設けられている。なお、複数の噴射孔20eのそれぞれは、例えば、
図9に示すように、レーザ21によって形成される。ここで、チューブ20は、該チューブ20と一体に成形されたベースカバー20bが平坦面20cを有しているため、チューブ20の成形後に噴射孔20eを形成する際に、チューブ20が転がることなく、チューブ20を容易に位置決めすることができる。そして、この位置決めされたチューブ20に対して、レーザ21などを使用して複数の噴射孔20eを形成する。
【0040】
なお、チューブ20のベースカバー20bが有する複数の噴射孔20eの形成方法については、チューブ20の成形後であれば、レーザ21の照射に限定されずに、例えば、針などを突き刺して形成してもよい。また、噴射孔20eの形成については、チューブ20の成形方法が押し出し成形ではなく、型を用いた成形であれば、チューブ20の成形時に一緒に形成することも可能である。
【0041】
本実施の形態のワイパアーム11は、ウォッシャ液22の流路20dを形成するチューブ付きカバー(ベースカバー20b)を有しており、このチューブ付きカバーが、アームシャンク12のフレーム部材12aの保持部に取り付けられている。これにより、チューブ20を固定するための部品が必要なく、部品点数を減らすことができる。また、ウォッシャ液22を、チューブ20と一体に成形されたベースカバー20bの複数の噴射孔20eから噴射させることができ、ウォッシャ液22の散布範囲を広げることができる。さらに、ベースカバー20bによってアームシャンク12の裏面側開口部12dの一部を塞ぐため、走行中にアームシャンク12が風を受けて払拭面から浮き上がることを抑制できる。これにより、ウォッシャ液22の散布範囲を広げることと合わせて払拭面の洗浄性を高めることができる。すなわち、ワイパアーム11において、部品点数を削減しつつ、洗浄性の向上を図ることができる。
【0042】
また、アームシャンク12において、チューブ20が有する係合部20aがフレーム部材12aの折り曲げ部12cに嵌め込まれている(係合する)ことで、チューブ付きカバーのアームシャンク12への組付け工数を削減することができる。
【0043】
なお、ウォッシャ液22の流路20dを形成するチューブ付きカバー(ベースカバー20b)を押し出し成形法により成形することで、同じ金型を用いて長さが異なるチューブ付きカバーを成形することが可能な標準金型とすることができ、長さが異なるチューブ付きカバーを成形する場合であっても、金型のコストを抑えることができる。
【0044】
また、チューブ20のベースカバー20bに形成される噴射孔20eを、チューブ付きカバー成形後にレーザ照射などで加工することにより、車種ごとに最適な射点位置を設定することが可能になる。
【0045】
また、チューブ付きカバー(ベースカバー20b)によってアームシャンク12の裏面側開口部12dの一部を塞ぐことにより、アームシャンク12の裏面側開口部12dの内部を隠すことができ、ワイパアーム11を裏面側から眺めた際の見栄えを向上させることができる。なお、チューブ付きカバーによって塞がれていない領域であっても、チューブ20を固定するための部品がないため、上述の見栄えを向上させることができる。
【0046】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、インサート成形されたフレーム部材にチューブを保持する保持部が設けられている場合を説明したが、シャンク自体が金属によって形成され、このシャンク自身に保持部が形成されたワイパアームであってもよい。
【0047】
さらに、フレーム部材またはシャンクに対するチューブの係合については、スナップフィット構造を採用してもよい。スナップフィット構造の場合にも、チューブと一体で樹脂成形によって成形することができる。
【0048】
また、上記実施の形態では、ワイパアームを、自動車等の車両のリヤガラス等の払拭面を払拭するリヤワイパ装置に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、自動車等の車両のフロント側に搭載されるワイパ装置や、船舶,航空機,鉄道車両等に搭載されるワイパ装置にも適用することができる。
【0049】
また、上記実施の形態では、アームシャンクの内部に2本のチューブが設けられる場合を説明したが、アームシャンクの内部に設けられるチューブの本数は、1本でも3本以上でもよい。
【0050】
また、アームシャンクの先端にノズル付きキャップが設けられていてもよく、その場合には、洗浄液は、チューブに設けられた噴射孔とキャップのノズルとの両方から噴射させることができ、払拭面の洗浄性をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 ワイパ装置
11 ワイパアーム
12 アームシャンク(シャンク)
12a フレーム部材
12b カバー部材
12c 折り曲げ部(保持部)
12d 裏面側開口部
12e 天壁
13 アームヘッド
14 アダプタ
15 ワイパブレード
16 ブレードラバー
17 基端側チューブ
18 連結支持部
19 スプリング
20 チューブ
20a 係合部
20b ベースカバー(ベース部材)
20c 平坦面
20d 流路
20e 噴射孔
21 レーザ
22 ウォッシャ液