(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】情報配信装置、情報取得装置、情報配信システム、コンピュータプログラム及び情報配信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/02 20180101AFI20230728BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20230728BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20230728BHJP
【FI】
H04W4/02
H04W4/44
H04W4/06 170
(21)【出願番号】P 2020083338
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】上野 高明
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087847(JP,A)
【文献】特開2001-326960(JP,A)
【文献】特開2008-294740(JP,A)
【文献】特開2003-122656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置において、
前記無線通信ネットワークの基地局エリア毎に最新の配信情報を記憶する配信情報記憶部と、
前記無線通信ネットワークの隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を記憶する隣接基地局エリア情報記憶部と、
車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得部と、
車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理部と、
車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信部と、
を備え
、
前記配信部は、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、
情報配信装置であり、
前記配信部は、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、
前記本エリア管理部は、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、
情報配信装置。
【請求項2】
前記配信部は、ある基地局エリアの配信情報が更新された場合、当該基地局エリアが配信情報の対象の基地局エリアである車両に対して当該基地局エリアの配信情報を配信する、
請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
車両に搭載される情報取得装置において、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の情報配信装置から無線通信ネットワークを介して配信情報を受信する配信情報受信部と、
前記情報配信装置から配信された配信情報を記憶する情報記憶部と、
車車間通信を行う車車間通信部と、
前記情報記憶部に記憶されている配信情報を前記車車間通信部により他の車両へ送信する制御部と、
を備える情報取得装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記車両が存在する基地局エリアが、前記情報配信装置が管理する前記車両の本エリアである場合には、前記車車間通信部による前記配信情報の送信を行い、前記車両が存在する基地局エリアが、前記本エリアではない場合には、前記車車間通信部による前記配信情報の送信を行わない、
請求項
3に記載の情報取得装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両が存在する基地局エリアが前記車両の本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアである場合に、当該準エリアに存在する他の車両から前記車車間通信部により受信した配信情報を前記情報記憶部に記憶させると共に、前記情報配信装置に対して当該準エリアを前記車両の本エリアとして登録する、
請求項
4に記載の情報取得装置。
【請求項6】
無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置と、車両に搭載される情報取得装置とを備える情報配信システムにおいて、
前記情報配信装置は、
基地局エリア毎に最新の配信情報を記憶する配信情報記憶部と、
隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を記憶する隣接基地局エリア情報記憶部と、
車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得部と、
車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理部と、
車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信部と、を備え、
前記情報取得装置は、
前記情報配信装置から無線通信ネットワークを介して配信情報を受信する配信情報受信部と、
前記情報配信装置から配信された配信情報を記憶する情報記憶部と、を備え
、
前記配信部は、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、
情報配信システムであり、
前記配信部は、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、
前記本エリア管理部は、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、
情報配信システム。
【請求項7】
無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置のコンピュータに、
基地局エリア毎に最新の配信情報を配信情報記憶部に記憶する配信情報記憶ステップと、
隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を隣接基地局エリア情報記憶部に記憶する隣接基地局エリア情報記憶ステップと、
車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得ステップと、
車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理ステップと、
車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム
であって、
前記配信ステップは、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、
コンピュータプログラムであり、
前記配信ステップは、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、
前記本エリア管理ステップは、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、
コンピュータプログラム。
【請求項8】
車両に搭載される情報取得装置のコンピュータに、
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の情報配信装置から無線通信ネットワークを介して配信情報を受信する配信情報受信ステップと、
前記情報配信装置から配信された配信情報を情報記憶部に記憶する情報記憶ステップと、
車車間通信を行う車車間通信ステップと、
前記情報記憶部に記憶されている配信情報を前記車車間通信ステップにより他の車両へ送信する制御ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置が、基地局エリア毎に最新の配信情報を配信情報記憶部に記憶する配信情報記憶ステップと、
前記情報配信装置が、隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を隣接基地局エリア情報記憶部に記憶する隣接基地局エリア情報記憶ステップと、
前記情報配信装置が、車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得ステップと、
前記情報配信装置が、車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理ステップと、
前記情報配信装置が、車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信ステップと、
を含
み、
前記配信ステップは、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、
情報配信方法であり、
前記配信ステップは、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、
前記本エリア管理ステップは、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、
情報配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配信装置、情報取得装置、情報配信システム、コンピュータプログラム及び情報配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)において、例えば事故や渋滞等の交通情報や信号情報等の動的な情報(動的情報)を車両が活用することにより、自動運転車の動作支援や自動車の運転の快適性及び利便性などの向上を図ることが検討されている。また、自動走行システムや自動車の安全な運転を支援する運転支援システムなどの実現のために、高精度な3次元地図情報と、例えば事故や渋滞等による通行規制などの位置情報とを組み合わせた「ダイナミックマップ」と呼ばれるデジタル地図の実用化が進められている(例えば、非特許文献1参照)。そのダイナミックマップシステムでは、例えば事故や渋滞等の交通情報や信号情報等の動的情報を配信サーバから車両へ配信することが検討されている。
【0003】
また、V2X(vehicle to X)通信と呼ばれる通信方式として、5.8GHz帯を利用したDSRC(dedicated short range communications:狭域通信)システムや、760MHz帯を利用した「ITS Connect」システムや、「3GPP Release 14」で規定されているセルラーV2X(C-V2X:Cellular Vehicle to Everything)PC5通信システムなどが知られている。それらV2X(vehicle to X)通信においては、各車両から位置情報や運転情報を周囲に定期的に拡散することにより、車両同士で位置情報や運転情報を交換している。V2X(vehicle to X)通信によって各車両は互いの位置情報や運転情報を把握し、把握された情報は例えば交差点などでの危険察知システムなどに活用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】葛巻清吾、“SIP自動走行システム”、第3回 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第1期記者勉強会、2018年5月11日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ダイナミックマップシステムにおいて、配信サーバがLTE(Long Term Evolution)等の移動通信ネットワークを介して全ての車両へ最新の動的情報を配信すると、移動通信ネットワークの無線リソースが逼迫する可能性がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、配信サーバ等の情報配信装置が移動通信ネットワークを介して動的情報等の配信情報を車両へ配信する際の移動通信ネットワークに対する通信負荷の軽減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置において、前記無線通信ネットワークの基地局エリア毎に最新の配信情報を記憶する配信情報記憶部と、前記無線通信ネットワークの隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を記憶する隣接基地局エリア情報記憶部と、車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得部と、車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理部と、車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信部と、を備え、前記配信部は、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、情報配信装置であり、前記配信部は、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、前記本エリア管理部は、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、情報配信装置である。
(2)本発明の一態様は、前記配信部は、ある基地局エリアの配信情報が更新された場合、当該基地局エリアが配信情報の対象の基地局エリアである車両に対して当該基地局エリアの配信情報を配信する、上記(1)又は(2)のいずれかの情報配信装置である。
【0008】
(3)本発明の一態様は、車両に搭載される情報取得装置において、上記(1)又は(2)のいずれかの情報配信装置から無線通信ネットワークを介して配信情報を受信する配信情報受信部と、前記情報配信装置から配信された配信情報を記憶する情報記憶部と、車車間通信を行う車車間通信部と、前記情報記憶部に記憶されている配信情報を前記車車間通信部により他の車両へ送信する制御部と、を備える情報取得装置である。
(4)本発明の一態様は、前記制御部は、前記車両が存在する基地局エリアが、前記情報配信装置が管理する前記車両の本エリアである場合には、前記車車間通信部による前記配信情報の送信を行い、前記車両が存在する基地局エリアが、前記本エリアではない場合には、前記車車間通信部による前記配信情報の送信を行わない、上記(3)の情報取得装置である。
(5)本発明の一態様は、前記制御部は、前記車両が存在する基地局エリアが前記車両の本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアである場合に、当該準エリアに存在する他の車両から前記車車間通信部により受信した配信情報を前記情報記憶部に記憶させると共に、前記情報配信装置に対して当該準エリアを前記車両の本エリアとして登録する、上記(4)の情報取得装置である。
【0009】
(6)本発明の一態様は、無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置と、車両に搭載される情報取得装置とを備える情報配信システムにおいて、前記情報配信装置は、基地局エリア毎に最新の配信情報を記憶する配信情報記憶部と、隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を記憶する隣接基地局エリア情報記憶部と、車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得部と、車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理部と、車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信部と、を備え、前記情報取得装置は、前記情報配信装置から無線通信ネットワークを介して配信情報を受信する配信情報受信部と、前記情報配信装置から配信された配信情報を記憶する情報記憶部と、を備え、前記配信部は、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、情報配信システムであり、前記配信部は、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、前記本エリア管理部は、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、情報配信システムである。
【0010】
(7)本発明の一態様は、無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置のコンピュータに、基地局エリア毎に最新の配信情報を配信情報記憶部に記憶する配信情報記憶ステップと、隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を隣接基地局エリア情報記憶部に記憶する隣接基地局エリア情報記憶ステップと、車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得ステップと、車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理ステップと、車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記配信ステップは、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、コンピュータプログラムであり、前記配信ステップは、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、前記本エリア管理ステップは、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、コンピュータプログラムである。
(8)本発明の一態様は、車両に搭載される情報取得装置のコンピュータに、上記(1)又は(2)のいずれかの情報配信装置から無線通信ネットワークを介して配信情報を受信する配信情報受信ステップと、前記情報配信装置から配信された配信情報を情報記憶部に記憶する情報記憶ステップと、車車間通信を行う車車間通信ステップと、前記情報記憶部に記憶されている配信情報を前記車車間通信ステップにより他の車両へ送信する制御ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0011】
(9)本発明の一態様は、無線通信ネットワークを介して車両に配信情報を配信する情報配信装置が、基地局エリア毎に最新の配信情報を配信情報記憶部に記憶する配信情報記憶ステップと、前記情報配信装置が、隣接する基地局エリアを示す隣接基地局エリア情報を隣接基地局エリア情報記憶部に記憶する隣接基地局エリア情報記憶ステップと、前記情報配信装置が、車両が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する車両位置情報取得ステップと、前記情報配信装置が、車両位置情報に基づいて車両の本エリアである基地局エリアを管理する本エリア管理ステップと、前記情報配信装置が、車両に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する配信ステップと、を含み、前記配信ステップは、本エリアと、本エリアに隣接する基地局エリアである準エリアと、準エリアに隣接している基地局エリアであって本エリア及び準エリア以外の基地局エリアである準々エリアとを、車両に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする、情報配信方法であり、前記配信ステップは、車両が準々エリアに移動するタイミングで、当該車両に対して、当該準々エリアを本エリアにした配信情報の配信を行い、前記本エリア管理ステップは、当該準々エリアを当該車両の本エリアにする、情報配信方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配信サーバ等の情報配信装置が移動通信ネットワークを介して動的情報等の配信情報を車両へ配信する際の移動通信ネットワークに対する通信負荷を軽減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る情報配信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る情報配信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る情報取得装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る基地局エリアの配置関係の例を示す配置図である。
【
図5】一実施形態に係る車両の移動の例を示す説明図である。
【
図6】一実施形態に係る車車間通信の説明図である。
【
図7】一実施形態に係る情報配信方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る車車間通信による情報取得方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報配信システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示す情報配信システム1において、情報配信装置10は、移動通信ネットワークNWを介して、車両3に配信情報を配信する。移動通信ネットワークNWは無線通信ネットワークである。情報配信装置10は、移動通信ネットワークNWを介して、車両3搭載される情報取得装置30と通信を行う。情報取得装置30は、移動通信ネットワークNWを介して、情報配信装置10から配信情報を受信する。
【0015】
車両3は、例えば自動車である。車両3は、カーナビゲーションシステムや運転支援システム等を備えた自動車であってもよい。車両3は、自動運転システムを備えた自動運転車であってもよい。
【0016】
情報配信装置10は、例えば、ダイナミックマップに適用される動的情報を車両3へ配信するダイナミックマップシステムのサーバである。動的情報は、例えば事故や渋滞等の交通情報や信号情報等の動的な情報である。なお、情報配信装置10が車両3へ配信する配信情報は、動的情報に限定されず、各種の情報が配信情報に適用可能である。
【0017】
図2は、本実施形態に係る情報配信装置の構成例を示すブロック図である。
図2において、情報配信装置10は、配信情報記憶部11と、隣接基地局エリア情報記憶部12と、車両位置情報取得部13と、本エリア管理部14と、配信部15とを備える。
【0018】
情報配信装置10の各機能は、情報配信装置10がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、情報配信装置10として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、情報配信装置10は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、情報配信装置10の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0019】
配信情報記憶部11は、基地局エリア毎に最新の配信情報を記憶する。基地局エリアは、移動通信ネットワークNWが備える一基地局が移動局との間で無線通信を行う範囲である。基地局エリアは、例えばセルラー方式におけるセルであってもよい。情報配信装置10は、各基地局エリアの配信情報を生成する配信情報生成機能を有してもよく、又は外部の配信情報生成装置から各基地局エリアの配信情報を取得してもよい。配信情報は、例えば、事故や渋滞等の交通情報や信号情報等の動的情報である。配信情報が生成されるタイミングは、定期的であってもよく、又は不定期であってもよい。各基地局エリアの配信情報は、該当の基地局エリアの識別子(基地局エリアID)やタイムスタンプを有する。タイムスタンプは、配信情報が生成された時刻を示す情報である。
【0020】
隣接基地局エリア情報記憶部12は、隣接基地局エリア情報を記憶する。隣接基地局エリア情報は、移動通信ネットワークNWが備える複数の基地局において隣接する基地局エリアを示す情報である。隣接基地局エリア情報は、例えばセルラー方式におけるセルの配置を示す情報である。
【0021】
車両位置情報取得部13は、車両3が存在する基地局エリアを示す車両位置情報を取得する。車両位置情報取得部13は、例えば移動通信ネットワークNWのMME(Mobility Management Entity)から、移動局(車両3)が存在する基地局エリアの基地局エリアIDを取得する。
【0022】
本エリア管理部14は、車両位置情報に基づいて車両3の本エリアである基地局エリアを管理する。車両3の本エリアは、車両3の電源が投入されて(例えばエンジンスタート時)基地局との無線通信が可能になったときに基地局に位置登録されることにより、当該基地局の基地局エリアが当該車両3の本エリアとして初期登録される。
【0023】
配信部15は、移動通信ネットワークNWを介して、車両3に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの配信情報を配信する。
【0024】
本実施形態では、配信部15は、本エリアと、準エリアと、準々エリアとを、車両3に配信する配信情報の対象の基地局エリアにする。
図4に、本エリアと、準エリアと、準々エリアとの配置関係が示される。
図4において、車両3の本エリアarea1と、当該車両3の準エリアarea2と、当該車両3の準々エリアarea3とが示される。
図4に示される車両3について、本エリアarea1は1個であり、準エリアarea2は6個であり、準々エリアarea3は12個である。準エリアarea2は、本エリアarea1に隣接する基地局エリアである。準々エリアarea3は、準エリアarea2に隣接している基地局エリアであって本エリアarea1及び準エリアarea2以外の基地局エリアである。
【0025】
配信部15は、
図4に示される車両3に対して、1個の本エリアarea1の配信情報と、6個の準エリアarea2の各配信情報と、12個の準々エリアarea3の各配信情報とを配信する。
【0026】
配信部15が、車両3に配信情報を配信するタイミングは、本エリアarea1の初期登録時と、車両3が準々エリアarea3に移動するタイミングと、車両3が受信する対象の基地局エリアの配信情報が更新されるタイミングとである。
【0027】
配信部15は、車両3の本エリアarea1の初期登録時に、当該車両3に対して、1個の本エリアarea1の配信情報と、6個の準エリアarea2の各配信情報と、12個の準々エリアarea3の各配信情報とを配信する。
【0028】
配信部15は、
図5に示されるように、車両3が準々エリアarea3へ移動するタイミングで、当該車両3に対して、当該移動先の準々エリアarea3を新たな本エリアにした配信情報の配信を行う。この配信される配信情報は、1個の新たな本エリアの配信情報と、当該新たな本エリアに対する6個の各準エリアの配信情報と、当該新たな本エリアに対する12個の各準々エリアの配信情報とである。車両3が準々エリアarea3へ移動するタイミングは、車両位置情報取得部13が取得する当該車両3の車両位置情報により認識される。
また、本エリア管理部14は、車両3が準々エリアarea3へ移動すると、当該準々エリアarea3を当該車両3の本エリアとして更新する。
【0029】
配信部15は、ある基地局エリアの配信情報が更新された場合、当該基地局エリアが配信情報の対象の基地局エリアである車両3対して当該基地局エリアの配信情報を配信する。これにより、
図4に示される車両3には、1個の本エリアarea1と、6個の準エリアarea2と、12個の準々エリアarea3とについて、配信情報が更新された場合に、更新された基地局エリアの配信情報が配信される。
【0030】
図3は、本実施形態に係る情報取得装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示される情報取得装置30は、車両3に搭載される。
図3において、情報取得装置30は、配信情報受信部31と、情報記憶部32と、車車間通信部33と、制御部34とを備える。
【0031】
情報取得装置30の各機能は、情報取得装置30がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、情報取得装置30として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。情報取得装置30として、例えばカーナビゲーションシステムや自動運転システムなどを適用してもよい。
【0032】
配信情報受信部31は、情報配信装置10から移動通信ネットワークNWを介して配信情報を受信する。
【0033】
情報記憶部32は、情報配信装置10から配信された配信情報を記憶する。情報記憶部32は、同じ基地局エリア(基地局エリアID)について、最新の配信情報を記憶する。最新の配信情報は、配信情報のタイムスタンプにより認識される。
【0034】
車車間通信部33は、V2V(vehicle to vehicle:車車間)通信を行う。V2V通信(車車間通信)として、例えば、DSRC(dedicated short range communications:狭域通信)システム、「ITS Connect」システム、セルラーV2X(C-V2X)PC5通信システムなどが適用可能である。
【0035】
制御部34は、自車両3が存在する基地局エリアが本エリア、準エリア又は準々エリアのいずれであるかを、情報配信装置10と同様に管理する。制御部34は、自車両3が存在する基地局エリア(基地局エリアID)を認識する機能を有する。制御部34は、配信情報受信部31が接続する移動通信ネットワークNWの基地局から、自車両3が存在する基地局エリアの基地局エリアIDを取得する。
【0036】
制御部34は、情報記憶部32に記憶されている配信情報を車車間通信部33により他の車両3へ一定周期で送信する。制御部34は、車車間通信部33により他の車両3へ送信する配信情報に対して、自車両3が存在する基地局エリアの基地局エリアIDを付加する。車車間通信部33は、V2V通信により配信情報をブロードキャストしてもよい。
【0037】
本実施形態では、制御部34は、自車両3が存在する基地局エリアが本エリアである場合には、車車間通信部33による配信情報の送信を行う。一方、制御部34は、自車両3が存在する基地局エリアが本エリアではない場合には、車車間通信部33による配信情報の送信を行わない。
【0038】
制御部34は、自車両3が存在する基地局エリアが自車両3の準エリアである場合に、車車間通信部33により他の車両3から配信情報を受信する。制御部34は、車車間通信部33により他の車両3から受信した配信情報に付加されている基地局エリアIDによって、当該送信元の他の車両3が存在する基地局エリアを認識する。
【0039】
制御部34は、自車両3が存在する準エリアに存在する他の車両3から車車間通信部33により配信情報を受信した場合には、当該受信した配信情報を情報記憶部32に記憶させると共に、情報配信装置10に対して当該準エリアを自車両3の本エリアとして登録する。情報配信装置10の本エリア管理部14は、当該車両3からの本エリア登録により、当該準エリアを当該車両3の本エリアとして更新する。
【0040】
一方、制御部34は、自車両3が存在する基地局エリア以外の他の基地局エリアに存在する他の車両3から車車間通信部33により配信情報を受信した場合には、当該受信した配信情報を情報記憶部32に記憶させずに破棄する。
【0041】
図6は、本実施形態に係る車車間通信の説明図である。
図6において、基地局エリア(area1)は、車両3-1の本エリア且つ車両3-2の準エリアである。車両3―3は、基地局エリア(area1)以外の他の基地局エリアに存在している。
【0042】
車両3-1は自己の本エリア(area1)に存在するので、車両3-1の情報取得装置30は、自己が保持する配信情報を車車間通信により例えばブロードキャストする。車両3-2,3-3の情報取得装置30は、車両3-1から送信された配信情報を車車間通信P-2,P-3により受信する。
【0043】
車両3-2は自己の準エリア(area1)に存在するので、車両3-2の情報取得装置30は、当該準エリア(area1)に存在する車両3-1から車車間通信により受信した配信情報を情報記憶部32に記憶させると共に、情報配信装置10に対して当該準エリア(area1)を自車両3-2の本エリアとして登録する。情報配信装置10の本エリア管理部14は、当該車両3-2からの本エリア登録により、当該準エリア(area1)を当該車両3-2の本エリアとして更新する。これにより、車両3-2の元の準々エリアが準エリアに更新されるので、車両3-2が準々エリアへ移動する頻度が減少する。これは、情報配信装置10において、車両3-2の準々エリアへの移動による車両3-2への配信情報の配信頻度が減少することになるので、移動通信ネットワークNWの通信負荷の軽減に寄与する。
【0044】
一方、車両3―3の情報取得装置30は、自車両3-3が存在する基地局エリア以外の他の基地局エリア(area1)に存在する他の車両3-1から車車間通信により受信した配信情報を情報記憶部32に記憶させずに破棄する。
【0045】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る情報配信方法を説明する。
図7は、本実施形態に係る情報配信方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0046】
情報配信装置10は、車両3の本エリアarea1の初期登録時に、当該車両3に対して最初の配信情報の配信を行う。以降、
図7の処理は、情報配信装置10が管理する全ての車両3に対して定常的に繰り返される。
【0047】
(ステップS11) 情報配信装置10は、車両3が準々エリアに移動したか否かを判断する。この判断の結果、車両3が準々エリアに移動した場合にはステップS12に進み、そうではない場合にはステップS13に進む。情報配信装置10は、車両3が準々エリアに移動した場合には、当該準々エリアを当該車両3の本エリアとして更新する。
【0048】
(ステップS12) 情報配信装置10は、車両3に対して配信情報の配信を行う。
【0049】
(ステップS13) 情報配信装置10は、配信情報が更新された基地局エリアがあるか否かを判断する。この判断の結果、配信情報が更新された基地局エリアがある場合にはステップS12に進み、そうではない場合には
図7の処理を終了する。配信情報が更新された基地局エリアがある場合には、当該基地局エリアが配信情報の対象の基地局エリアである車両3対して当該基地局エリアの配信情報の配信がステップS12により行われる。
【0050】
次に、
図8を参照して、本実施形態に係る車車間通信による情報取得方法を説明する。
図8は、本実施形態に係る車車間通信による情報取得方法の手順の例を示すフローチャートである。
図8の処理は、情報取得装置30において定常的に繰り返される。
【0051】
情報取得装置30は、自車両3が本エリアに存在する場合に、車車間通信による配信情報の送信を行う。一方、情報取得装置30は、車車間通信により他の車両3から配信情報を受信する。
【0052】
(ステップS21) 情報取得装置30は、車車間通信により他の車両3から配信情報を受信したか否かを判断する。この判断の結果、車車間通信により他の車両3から配信情報を受信した場合にはステップS22に進み、そうではない場合にはステップS21を継続する。
【0053】
(ステップS22) 情報取得装置30は、自車両3が存在する基地局エリア(基地局エリアID)が準エリアであり且つ車車間通信により受信した配信情報の基地局エリアID(送信元の他の車両3が存在する基地局エリアの基地局エリアID)が自車両3の基地局エリアIDに一致することを確認する。
【0054】
(ステップS23) ステップS22の確認の結果、自車両3が存在する基地局エリア(基地局エリアID)が準エリアであり且つ車車間通信により受信した配信情報の基地局エリアIDが自車両3の基地局エリアIDに一致する場合にはステップS24に進み、そうではない場合には
図8の処理を終了する。
【0055】
(ステップS24) 情報取得装置30は、他の車両3から車車間通信部33により受信した配信情報を情報記憶部32に記憶させると共に、情報配信装置10に対して自車両3が存在する準エリアを自車両3の本エリアとして登録する。
【0056】
上述したように本実施形態によれば、情報配信装置10が、基地局エリア毎に最新の配信情報を保持し、車両3に対して本エリアから移動する先の候補の基地局エリアの最新の配信情報を配信する。これにより、配信対象の配信情報や車両を限定することができるので、全ての車両へ全ての最新の例えば動的情報を配信する必要がなく、配信サーバ等の情報配信装置が移動通信ネットワークを介して動的情報等の配信情報を車両へ配信する際の移動通信ネットワークに対する通信負荷の軽減を図ることができる。
【0057】
また本実施形態によれば、車両3に搭載される情報取得装置30が、自己が保持する配信情報を車車間通信により他の車両3へ拡散し、拡散された配信情報を受信した他の車両3の本エリアが更新されることにより、情報配信装置10による配信情報の配信頻度を減少させることができる。これにより、移動通信ネットワークNWの通信負荷の軽減に寄与する効果が得られる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0059】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0060】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…情報配信システム、3…車両、10…情報配信装置、11…配信情報記憶部、12…隣接基地局エリア情報記憶部、13…車両位置情報取得部、14…本エリア管理部、15…配信部、30…情報取得装置、31…配信情報受信部、32…情報記憶部、33…車車間通信部、34…制御部、NW…移動通信ネットワーク