(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】HFO-1336mzz(Z)及びHFO-1336mzz(E)を含有する熱可塑性発泡体を製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
C08J 9/14 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
C08J9/14 CET
(21)【出願番号】P 2020520260
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(86)【国際出願番号】 US2018055186
(87)【国際公開番号】W WO2019075040
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティノス コントマリス
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02706086(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009886(US,A1)
【文献】特表2018-522908(JP,A)
【文献】特表2018-508623(JP,A)
【文献】特表2009-513815(JP,A)
【文献】特表2015-514814(JP,A)
【文献】特開2017-149943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/14
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60,67/20
C08L
C08K
C09K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリマーを調製するプロセスであって、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を前記E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度において、前記Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及び少なくとも1つの追加の共発泡剤の存在下で前記ポリマーを加熱するステップを含
み、
前記追加の共発泡剤が、HFC-152a、HFC-134、HFC-134a、HFC-236ea、HFC-245fa、HFC-365mfc、E-HCFO-1233zd、Z-HCFO-1233zd、E-HCFO-1224yd、及びZ-HCFO-1224yd、又はこれらの任意の組み合わせから選択されるプロセス。
【請求項2】
前記発泡剤が、前記加熱するステップの前に前記E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを実質的に含まない、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を前記E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、少なくとも250℃である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
約100psi~約5000psiの圧力で実施される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
ハロゲン化難燃剤、ポリマー難燃剤、及びハロゲン化水素からなる群から選択される異性化触媒の存在下で実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ハロゲン化難燃剤が、臭素化難燃剤又は塩素化難燃剤である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ポリマー難燃剤が、PolyFRである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ハロゲン化水素が、臭化水素又は塩化水素である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
前記Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を前記E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、約200℃以上である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項10】
前記追加の共発泡剤が、前記加熱するステップの間に前記熱可塑性ポリマー中のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの溶解度を増加させる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記発泡剤が、約75重量パーセント以下の前記Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約10重量パーセント以上が、前記E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
タルク、グラファイト、及びケイ酸マグネシウムから選択される成核剤の存在下で実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記熱可塑性ポリマーが、アルケニル芳香族ポリマーである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記熱可塑性ポリマーを押出加工して、熱可塑性ポリマー発泡体を形成するステップを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記押出加工が、約100℃~約150℃のダイ温度及び約100psi~約5000psiの圧力で実施される、請求項
16に記載のプロセス。
【請求項18】
E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)前記ポリスチレンを、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)前記第1のポリスチレン混合物を約250℃より高い温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)前記第2のポリスチレン混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、前記熱可塑性ポリスチレン発泡体を形成するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項19】
E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)前記ポリスチレンを、PolyFR、約75重量パーセント以下のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤、及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)前記第1のポリスチレン混合物を約200℃より高い第1の温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)前記第2のポリマー混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、熱可塑性ポリマー発泡体を形成するステップと、
を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月10日出願の米国特許仮出願第62/570,422号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、HFO-1336mzz(E)を含む熱可塑性発泡体を調製するプロセス、より具体的には、HFO-1336mzz(Z)である発泡剤及び共発泡剤の存在下でHFO-1336mzz(E)を含む熱可塑性発泡体を調製するプロセスであって、HFO-1336mzz(Z)の少なくとも一部をHFO-1336mzz(E)に異性化するのに十分な条件で実施される、プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な種類の発泡体の製造においては、発泡剤として、クロロフルオロカーボン(すなわち、CFC)が歴史的に使用されてきた。CFCがもたらす発泡体は、全般に、断熱性が良好で、可燃性が低く、寸法の安定性に優れたものである。しかしながら、上記の利点にもかかわらず、CFCは、成層圏オゾンの破壊に関与しているという点、及び地球温暖化への寄与に関与しているという点によって、これまでその評価は芳しいものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ODP(oxygen depletion potential、酸素欠乏係数)及びGWP(global warming potential、地球温暖化係数)の両方が低い発泡剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は、とりわけ、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(すなわち、HFO-1336mzz(E)又はE-1336mzz)を含む熱可塑性ポリマーを調製するプロセスであって、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(すなわち、HFO-1336mzz(Z)又はZ-1336mzz)の少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度において、当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及び少なくとも1つの追加の共発泡剤の存在下で当該ポリマーを加熱するステップ、を含む、プロセスを提供する。
【0006】
本願は、更に、本明細書に記載のプロセスの1つ以上に従って調製される、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡性組成物(すなわち、熱可塑性ポリマー組成物、熱可塑性ポリマー溶融物など)を提供する。
【0007】
本願は、更に、熱可塑性発泡体(例えば、本明細書に記載のプロセスの1つ以上に従って調製される、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む独立気泡発泡体を提供する。
【0008】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料が本明細書に記載されており、また、当該技術分野において既知の他の好適な方法及び材料を使用してもよい。材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】未希釈のHFO-1336mzz(E)、HFC-152a、及び参照発泡剤HFC-134a/HFC-134/HFC-152a(41:9:50重量%)(すなわち、Formacel(登録商標)Z-6)の溶解度と比較した、179℃における、ポリスチレンCX-5197中HFC-152a/HFO-1336mzz(E)(50/50重量%)ブレンドの溶解度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
熱可塑性発泡体、例えば、押出加工されたポリスチレン発泡体(XPS)(extruded polystyrene foam)を膨張させるための、高い地球温暖化係数(GWP)を有する現用剤は、規制による圧力下にある。HFO-1336mzz(Z)及びHFO-1336mzz(E)は、原理上、ポリスチレン(又は他の熱可塑性ポリマー)を高い断熱能を有する発泡体に膨張させるための低GWP剤として使用することができる。HFO-1336mzz(Z)とHFO-1336mzz(E)との混合物を含有する発泡体の断熱は、発泡体の気泡内のHFO-1336mzz(E)は気体状態のままであるが、HFO-1336mzz(Z)は凝縮する温度において、HFO-1336mzz(Z)のみを含有する発泡体の断熱よりも優れていると予想される。しかしながら、ポリスチレン発泡体を膨張させるために使用される、発泡剤(例えば、HFO-1336mzz(Z)/HFO-1336mzz(E)ブレンド又はHFO-1336mzz(Z)/HFO-1336mzz(E)/HFC-152aブレンド)中のHFO-1336mzz(E)の割合は、
図1に示すように、現用の押出加工プロセスの動作条件下で溶融ポリスチレン中のHFO-1336mzz(E)の溶解度が低いことによって制限を受ける。例えば、溶融ポリスチレン中のZ-1336mzzの溶解度は5.7重量%であると既に求められており、溶融ポリスチレン中のE-1336mzzの溶解度は2.4重量%であると既に求められており、溶融ポリスチレン中のこれらの異性体の溶解度は、圧力に対して実質的に非感受性であることが見出されている(例えば、国際出願第PCT/US2017/031052号を参照されたい)。したがって、押出加工されたポリスチレン発泡体中のHFO-1336mzz(E)の実現可能な含有量を増加させる手段は、有利である。したがって、本願は、HFO-1336mzz(Z)のHFO-1336mzz(E)への立体異性化を促進する、ポリスチレン発泡体の押出加工条件を提供する。
【0011】
定義
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。更に、明示的にこれに反する記載がない限り、「又は」は、包括的な「又は」を指し、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下、即ち、Aが真であり(又は存在し)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)のいずれか1つにより満たされる。
【0012】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び成分を記述するために採用される。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別段の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「約」は、実験誤差による変動(例えば、示された値のプラスマイナス約10%)を考慮することを意味する。本明細書で報告される全ての測定値は、特に明記しない限り、用語「約」が明示的に使用されているかどうかに関わらず、用語「約」によって修飾されるものと理解される。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「からなる」は、指定されていない、いかなる要素、工程、又は成分も除外する。特許請求の範囲における場合、このような句は、材料に通常付随する不純物を除き、列挙された材料以外の材料を含むことに対する特許請求の範囲を完結することになる。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく請求項の本文の条項内に現れている場合、その条項に記載されている要素のみを限定するものであり、他の要素が特許請求の範囲全体から除外されるわけではない。
【0015】
本発明で使用するとき、「から本質的になる」は、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、成分、又は要素が、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)、特に本発明のプロセスのいずれかの所望の結果を達成するための作用機序に実質的に影響を及ぼさないことを条件に、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、組成物、方法を定義するために使用される。用語「から本質的になる(consists essentially of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」は、「含む」と「からなる」との間の中間の立場をとる。
【0016】
量、濃度、又はその他の値若しくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、又は好ましい上方値及び/若しくは好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられている場合に、これらは、範囲が別個に開示されているかにかかわらず、任意の範囲上限値又は好ましい上方値及び任意の範囲下限値又は好ましい下方値の任意の対から形成される全ての範囲を、具体的に開示するものとして、理解されるものとする。本明細書に数値範囲が記述されている場合、特に指示しない限り、この範囲は、その端点を包含し、かつその範囲内の全ての整数及び分数を包含することが意図されている。
【0017】
本明細書で使用するとき、単独で又は他の用語と組み合わせて使用される用語「Cn~mアルキル」は、n~m個の炭素を有する、直鎖状又は分枝状であり得る飽和炭化水素基を指す。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「Cn~mアルケニル」は、1つ以上の二重炭素-炭素結合を有し、n~m個の炭素を有するアルキル基(すなわち、直鎖状又は分枝状であり得る飽和炭化水素基)を指す。アルケニル基の例としては、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、sec-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アルケニル部分は、2~6、2~4、又は2~3個の炭素原子を含有する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「アリール」は、単環式又は多環式(例えば、2、3、又は4個の縮合環を有する)であり得る芳香族炭化水素基を指す。用語「Cn~mアリール」は、n~m個の環炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基はフェニルである。
【0020】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較した、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への寄与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の効果を示す。100年間を対象期間とする地球温暖化係数(GWP)が、一般的に参照される値である。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「オゾン層破壊係数(ODP)」は、「The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project」のセクション1.4.4、ページ1.28~1.31(このセクションの最初の段落を参照)で定義されている。オゾン層破壊係数(ODP)は、フルオロトリクロロメタン(CFC-11)の質量に対する質量を基準とした化合物から予想される成層圏オゾン層破壊の度合いを指す。
【0022】
本発明のプロセス及び発泡体
本願は、とりわけ、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(すなわち、HFO-1336mzz(E))を含む熱可塑性ポリマーを調製するプロセスであって、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(すなわち、HFO-1336mzz(Z))の少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(すなわち、HFO-1336mzz(E))に異性化(例えば、立体異性化)するのに十分な条件下で実施される、プロセスを提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスに従って調製される熱可塑性ポリマーは、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンとZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンとの混合物を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な条件は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な、温度、圧力、及び混合時間(すなわち、保持時間)の任意の組み合わせを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)において、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及び少なくとも1つの追加の共発泡剤の存在下でポリマーを加熱するステップ、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、加熱するステップの前にE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを実質的に含まない。例えば、いくつかの実施形態では、発泡剤は、加熱するステップの前に、約1モルパーセント未満、約0.5モルパーセント未満、約0.1モルパーセント未満、約0.01モルパーセント未満、又は約0.001モルパーセント未満のE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、共発泡剤は、加熱するステップの前にE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを実質的に含まない。例えば、いくつかの実施形態では、共発泡剤は、加熱するステップの前に、約1モルパーセント未満、約0.5モルパーセント未満、約0.1モルパーセント未満、約0.01モルパーセント未満、又は約0.001モルパーセント未満のE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、発泡剤及び共発泡剤は、各々、加熱するステップの前にE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを実質的に含まない。例えば、いくつかの実施形態では、発泡剤及び共発泡剤は、各々、加熱するステップの前に、約1モルパーセント未満、約0.5モルパーセント未満、約0.1モルパーセント未満、約0.01モルパーセント未満、又は約0.001モルパーセント未満のE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、少なくとも175℃である。
【0030】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、少なくとも200℃である。
【0031】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、少なくとも230℃である。
【0032】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、少なくとも250℃である。
【0033】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、約175℃~約350℃である。
【0034】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、約200℃~約300℃である。
【0035】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、約225℃~約275℃である。
【0036】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、約250℃~約350℃である。
【0037】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、約250℃~約275℃である。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の温度において加熱するステップは、約100psi~約5000psi、例えば、約100psi~約4000psi、約100psi~約2000psi、約100psi~約1000psi、約1000psi~約5000psi、約1000psi~約4000psi、約1000psi~約2000psi、約2000psi~約5000psi、約2000psi~約4000psi、又は約4000psi~約5000psiの第1の圧力で実施される。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1の温度において加熱するステップは、約500psi~約4000psiの第1の圧力で実施される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の温度において加熱するステップは、約750psia~約3000psiaの第1の圧力で実施される。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の温度において加熱するステップは、約900psia~約2750psiaの第1の圧力で実施される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、第1の温度よりも高い第2の温度において、発泡剤及び共発泡剤の存在下でポリマーを加熱するステップ、を更に含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに富む相をポリマーから相分離させるのに十分な温度である。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン及びE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの分解温度よりも低い温度である。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約10重量パーセント未満を分解するのに十分な温度である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約5重量%未満を分解するのに十分な温度である。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約1重量パーセント未満を分解するのに十分な温度である。
【0048】
いくつかの実施形態では、相分離は、スピノーダル相分離を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤(例えば、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンのE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンへの異性化を促進する化合物)の存在下又は非存在下で実施される。
【0050】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の非存在下で実施される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の非存在下で実施され、第1の温度は250℃よりも高い。
【0052】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の存在下で実施される。
【0053】
いくつかの実施形態では、異性化触媒又は異性化促進剤は、塩素、臭素、及びヨウ素からなる群から選択される少なくとも1つの原子を含有する化合物を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、異性化触媒又は異性化促進剤は、ハロゲン化難燃剤、ハロゲン化水素、又はこれらの組み合わせを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、異性化触媒又は異性化促進剤は、ハロゲン化難燃剤を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化難燃剤は、臭素化難燃剤又は塩素化難燃剤である。
【0057】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化難燃剤は、テトラブロモ-ビスフェノールAである。
【0058】
いくつかの実施形態では、異性化触媒又は異性化促進剤は、ポリマー難燃剤である。
【0059】
いくつかの実施形態では、異性化触媒又は異性化促進剤は、PolyFRである。
【0060】
いくつかの実施形態では、異性化触媒又は異性化促進剤は、ハロゲン化水素を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化水素は、臭化水素又は塩化水素である。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の存在下で実施され、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は約200℃以上である。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の存在下で実施され、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は、約200℃~約350℃、例えば、約200℃~約300℃、約200℃~約275℃、約200℃~約250℃、約250℃~約350℃、約250℃~約300℃、約250℃~約275℃、約275℃~約350℃、約275℃~約300℃、又は約300℃~約350℃である。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の存在下で実施され、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は約230℃よりも高い。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒の存在下で実施され、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は約230℃である。
【0066】
いくつかの実施形態では、追加の共発泡剤は、当該加熱するステップの間に熱可塑性ポリマー中のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの溶解度を増加させる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、異性化触媒又は異性化促進剤の存在下で実施され、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部をE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度(例えば、第1の温度)は約230℃~約350℃である。
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスで使用される共発泡剤は、150以下のGWPを有する共発泡剤である。
【0069】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスで使用される共発泡剤は、100以下のGWPを有する共発泡剤である。
【0070】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスで使用される共発泡剤は、75以下のGWPを有する共発泡剤である。
【0071】
いくつかの実施形態では、追加の共発泡剤は、HFC-152a、HFC-134、HFC-134a、HFC-236ea、HFC-245fa、HFC-365mfc、CO2、ジメチルエーテル、エタノール、ギ酸メチル、CO2、ジメチルエーテル、E-HFO-1234ze、Z-HFO-1234ze、E-HCFO-1233zd、Z-HCFO-1233zd、E-HCFO-1224yd、Z-HCFO-1224yd、及びHFO-1234yf、又はこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0072】
いくつかの実施形態では、追加の共発泡剤は、HFC-152aである。
【0073】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約75重量パーセント以下、例えば、約70重量パーセント以下、約60重量パーセント以下、約50重量パーセント以下、約40重量パーセント以下、約30重量パーセント以下、約20重量パーセント以下、又は約10重量パーセント以下のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約75重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約70重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約60重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約75重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、約90~約25重量パーセントの共発泡剤とを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約70重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、約90~約30重量パーセントの共発泡剤とを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約60重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、約90~約40重量パーセントの共発泡剤とを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約40~約60重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、約60~約40重量パーセントのHFC-152aとを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、約10~約20重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンと、約90~約80重量パーセントのHFC-152aとを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約0.1重量パーセント以上、例えば、約1重量パーセント以上、約10重量パーセント以上、約20重量パーセント以上、約35重量パーセント以上、約50重量パーセント以上、約75重量パーセント以上、約90重量パーセント以上、約95重量パーセント以上、約97重量パーセント以上、約99重量パーセント以上、又は約99.5重量パーセント以上が、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化される。
【0083】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約0.1重量パーセント~約99.9重量パーセントがE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化され、例えば、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約0.1~約99重量パーセント、約0.1~約95重量パーセント、約0.1~約75重量パーセント、約0.1~約50重量パーセント、約0.1~約25重量パーセント、約0.1~約10重量パーセント、約10~約99.9重量パーセント、約10~約99重量パーセント、約10~約95重量パーセント、約10~約75重量パーセント、約10~約50重量パーセント、約10~約25重量パーセント、約25~約99.9重量パーセント、約25~約99重量パーセント、約25~約95重量パーセント、約25~約75重量パーセント、約25~約50重量パーセント、約50~約99.9重量パーセント、約50~約99重量パーセント、約50~約95重量パーセント、約50~約75重量パーセント、約75~約99.9重量パーセント、約75~約99重量パーセント、約75~約95重量パーセント、約95~約99.9重量パーセント、約95~約99重量パーセント、又は約99~約99.9重量パーセントが、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化される。
【0084】
いくつかの実施形態では、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約10重量パーセント~約20重量パーセントが、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化される。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、1つ以上の添加剤の存在下でポリマー、発泡剤、及び共発泡剤を加熱するステップ、を更に含む。例示的な添加剤としては、所望の効果が得られる量の、成核剤、気泡安定剤、界面活性剤、防腐剤着色剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、帯電防止剤、IR減衰剤、押出助剤、可塑剤、粘度調整剤、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、成核剤の存在下で実施される。
【0087】
いくつかの実施形態では、成核剤は、タルク、グラファイト、及びケイ酸マグネシウムから選択される。
【0088】
いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、アルケニル芳香族ポリマーである。本明細書で使用するとき、用語「アルケニル芳香族ポリマー」は、アルケニル-芳香族モノマー単位から形成されるポリマーを指す。いくつかの実施形態では、アルケニル-芳香族モノマー単位は、C2~6アルケニル-C6~10アリールモノマー単位である。いくつかの実施形態では、アルケニル-芳香族モノマー単位は、C2~6アルケニル-フェニルモノマー単位であり、当該フェニルは、所望により置換されている。いくつかの実施形態では、アルケニル芳香族ポリマーはポリスチレンである。
【0089】
ポリスチレンはスチレンホモポリマーであってもよく、又はスチレン以外の共重合モノマーを含有していてもよい(すなわち、ポリスチレンコポリマー)。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリスチレンと追加の熱可塑性ポリマーとのブレンドを含む。いくつかの実施形態では、追加の熱可塑性ポリマーは、スチレンとスチレン以外のモノマー(例えば、アクリロニトリル)とのコポリマーである。
【0090】
いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、及びこれらのブレンドから選択される。
【0091】
発泡している熱可塑性ポリマーがポリスチレンであろうと、ポリスチレンと他の熱可塑性ポリマーとのブレンドであろうと、好ましくは、スチレンが、発泡している熱可塑性ポリマーにおける主な重合モノマー(単位)である。いくつかの実施形態では、スチレンの重合単位は、熱可塑性ポリマーの重合モノマー単位の少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、又は少なくとも100モル%を構成する。
【0092】
熱可塑性ポリマーがスチレンコポリマーを含有する場合、スチレンと共重合する追加のモノマーの量は、当該コポリマーの総モル数(すなわち、100%)に基づいて、当該コポリマーのスチレン含有量が当該コポリマーの少なくとも60モル%、当該コポリマーの少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、又は少なくとも90モル%になるような量である。これらの比は、スチレンコポリマーが熱可塑性ポリマー中の唯一のスチレン含有ポリマーであろうと、他の熱可塑性ポリマーとのブレンドであろうと、例えばスチレンホモポリマーであろうと他のスチレンコポリマーであろうと、当てはまることが理解される。
【0093】
いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、スチレンホモポリマーを含む。熱可塑性ポリマーが上記のようなポリスチレンと他の熱可塑性ポリマーとのブレンドであるとき、このブレンドのポリスチレン成分は、好ましくは、ポリスチレンと他の熱可塑性ポリマーとの合計重量の少なくとも80重量%を構成するスチレンホモポリマーである。
【0094】
発泡しているポリスチレンを含む熱可塑性ポリマーの分子量は、発泡体の用途の要件に必要な強度を提供するのに十分に高い。強度の要件が、発泡生成物の最低密度を決定する。また、ポリスチレンを含む熱可塑性ポリマーの高い分子量は、発泡生成物の強度にも寄与する。分子量の指標は、規定の荷重下で規定のオリフィスを通って溶融ポリマーが流れる速度である。流速が遅いほど、分子量が高い。メルトフローレートの測定値は、ASTM D 1238に従って200℃で、また溶融ポリマーに対して5kgの重りを使用して求められる。規定の期間の時間にオリフィスを通って流れる溶融ポリマーの重量によって、メルトフローレートをg/10分で報告することが可能になる。好ましくは、ポリスチレンを含む熱可塑性ポリマーのメルトフローレートは、20g/10分以下、より好ましくは15g/10分以下、最も好ましくは10g/10分以下である。驚くべきことに、分子量が高い(メルトフローレートが低い)ほど、発泡生成物上で滑らかな皮膜がなおも得られると同時に、特に低密度発泡生成物の獲得可能性に関して、発泡結果がより良好になる。好ましくは、本明細書に開示される全てのメルトフローレートの最低メルトフローレートは、少なくとも1g/10分であり、それによって、本明細書に開示されるメルトフローレート範囲は、1~25、1~20、1~15、及び1~10g/10分である。いくつかの実施形態では、メルトフローレートは、溶融ポリマーに対して5kgの重りを使用して、200℃でASTM D 1238の手順に従って求めたとき、約25g/10分以下である。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスに従って調製されるE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリマーは、発泡性組成物(すなわち、ポリマー溶融組成物)である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、熱可塑性ポリマーを押出加工して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリマー発泡体を形成するステップ、を更に含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、1)発泡性組成物を所望の形態に形成し、2)発泡性組成物を押出加工して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリマー発泡体を形成するために押出加工機内で実施される。
【0098】
本発明のプロセスが押出加工機内で実施されるとき、熱可塑性ポリマーは、押出加工機への供給原料を形成する。発泡剤及び共発泡剤は、好ましくは、供給原料と押出加工機の押出端との中間の位置で押出加工機に、典型的には、押出スクリューが供給原料を押出加工機の長さに沿って押出加工機まで前進させるときに作製される発泡性組成物に供給される。追加の添加剤は、便利な場合、添加剤の状態によって記述され得るように添加され得る。例えば、固体添加剤は、押出加工機の供給端に、場合によっては粒子状形態のポリマー供給原料との混合物として押出加工機に便利に添加することができる。押出加工機内で得られた発泡性組成物をダイに通して押出加工し、それによって、発泡性組成物を所望の形状(例えば、シート、板、ロッド、又はチューブ)の発泡生成物に膨張させ、その後冷却する。
【0099】
本発明のプロセスが押出加工機内で実施されるとき、押出加工が実施される温度が、好ましくは少なくとも125℃、より好ましくは少なくとも130℃になるように、熱可塑性ポリマー(すなわち、発泡性組成物)を冷却する。いくつかの実施形態では、押出加工が実施される温度は、本発明のプロセスの第1の温度よりも低い温度である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される全ての最低押出加工温度についての最高値は、約150℃以下である。いくつかの実施形態では、押出加工は、約100℃~約150℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、押出加工は、約110℃~約140℃の温度で実施される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される押出加工温度は、押出加工時のポリマー溶融物の温度である。
【0101】
本発明のプロセスが押出加工機内で実施されるとき、押出加工は、好ましくは少なくとも1500psi(103バール)、より好ましくは少なくとも1600psi(110バール)の圧力で実施される。本明細書に開示される最低押出圧力についての最高値は、好ましくは2000psi(138バール)以下である。いくつかの実施形態では、押出加工は、約1500psi~約2000psiの圧力で実施される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される押出加工圧力は、押出ダイ内部の圧力である。
【0102】
いくつかの実施形態では、押出加工は、約100psi~約5000psi、例えば、約100psi~約4000psi、約100psi~約2000psi、約100psi~約1000psi、約1000psi~約5000psi、約1000psi~約4000psi、約1000psi~約2000psi、約2000psi~約5000psi、約2000psi~約4000psi、又は約4000psi~約5000psiの圧力で実施される。
【0103】
いくつかの実施形態では、押出加工は、約500psi~約4000psiの圧力で実施される。
【0104】
いくつかの実施形態では、押出加工は、約750psia~約3000psiaの圧力で実施される。
【0105】
いくつかの実施形態では、押出加工は、約900psia~約2750psiaの圧力で実施される。
【0106】
所望の特定の発泡構造を得るために、本明細書に記載のメルトフローレート、温度、及び圧力を本発明の実施において任意の組み合わせで使用してよいことが理解される。
【0107】
いくつかの実施形態では、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリマー発泡体は、以下の特性のうちの1つ以上を含む。
・独立気泡-少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%であることと、例えば、約0.02~約5mmの平均気泡サイズを有すること、
・約40g/m3以下、約35kg/m3以下、又は約30kg/m3以下の密度であること、及び
・上記のような滑らかな皮膜であること。
【0108】
いくつかの実施形態では、本願は、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)ポリスチレンを、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)当該第1のポリスチレン混合物を約250℃より高い温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)当該第2のポリスチレン混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、熱可塑性ポリスチレン発泡体を形成するステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0109】
いくつかの実施形態では、プロセスは、工程iii)の押出加工の前に、第2のポリスチレン混合物を第1の温度よりも高い第2の温度まで加熱するステップ、を更に含む。
【0110】
本願は、更に、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)ポリスチレンを、約75重量パーセント以下のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)当該第1のポリスチレン混合物を約250℃より高い温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)当該第2のポリスチレン混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、当該熱可塑性ポリスチレン発泡体を形成するステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0111】
いくつかの実施形態では、プロセスは、工程iii)の押出加工の前に、第2のポリスチレン混合物を第1の温度よりも高い第2の温度まで加熱するステップ、を更に含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、本願は、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)ポリスチレンを、PolyFR、約75重量パーセント以下のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤、及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)当該第1のポリスチレン混合物を約200℃より高い第1の温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)当該第2のポリマー混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、当該熱可塑性ポリマー発泡体を形成するステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0113】
いくつかの実施形態では、プロセスは、工程iii)の押出加工の前に、第2のポリスチレン混合物を第1の温度よりも高い第2の温度まで加熱するステップ、を更に含む。
【実施例】
【0114】
本発明を、具体的な実施例によって、より詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のために提供され、いかなる意味でも、本発明を限定することを意図するものではない。
【0115】
ポリスチレン発泡体の押出加工条件下で化学的反応性を試験するための装置及び全般的方法
押出加工されたポリスチレン(XPS)発泡体の製造において使用される発泡剤(BA)(Blowing agents)を、化学的に反応し、変換され得る条件に、押出加工プロセスの間に曝露した。HFO-1336mzz(Z)を含有する候補BA配合物を、XPS発泡体製造の代表的な条件下における化学的安定性について本明細書に記載の実施例において試験した。
【0116】
材料(例えば、ポリスチレン樹脂、成核剤、難燃剤、着色剤、BA、及び/又はco-BA)を、反応容器として機能する400mL又は210mLのHastelloy(登録商標)C-276シェーカーチューブに充填した。シェーカーチューブは、約450℃まで達することができる電気ヒーターを備えていた。シェーカーチューブの内容物を、ポリスチレン発泡体の押出加工の間にBAが曝露され得る温度-滞留時間プロファイルに近い所定の温度-時間スケジュールに曝露した。チューブを前後に「振盪して」、試験の間にわたってチューブの内容物を撹拌する。所定の反応スケジュールの完了後に、シェーカーチューブ内の流体混合物の代表的なサンプルを収集し、ガスクロマトグラフィー及び質量分析によって分析した。
【0117】
実施例1.発泡剤としてHFO-1336mz(Z)/HFC-152aの50/50重量%ブレンドを使用したポリスチレン発泡体押出加工条件下におけるHFO-1336mzz(E)の生成
この実施例は、ポリスチレン発泡体を押出加工するために実施され得る条件下でHFO-1336mzz(Z)がHFO-1336mzz(E)に立体異性化しやすいことを実証する。以下の材料を、反応容器として機能する400mLのHastelloy(登録商標)C-276シェーカーチューブに入れた:メルトフローインデックス5を有するポリスチレンホモポリマー66グラム、成核剤1グラム、臭素化難燃剤1グラム、50重量%のHFO-1336mzz(Z)及び50重量%のHFC-152aからなる発泡剤10グラム。反応器の内容物を2.5時間で230℃のコア温度まで加熱した。反応器の内容物の室温よりも高い温度への曝露が完了した後のシェーカーチューブ内の流体混合物の分析によって、重量比87.5~12.5でHFO-1336mzz(Z)及びHFO-1336mzz(E)の両方が存在することが示された。
【0118】
実施例2.発泡剤としてHFO-1336mz(Z)/HFC-152aの15/85重量%ブレンドを使用したポリスチレン発泡体押出加工条件下におけるHFO-1336mzz(E)の生成
この実施例は、ポリスチレン発泡体を押出加工するために使用され得る条件下でHFO-1336mzz(Z)がHFO-1336mzz(E)に立体異性化しやすいことを実証する。以下の材料を、反応容器として機能する210mLのHastelloy(登録商標)C-276シェーカーチューブに入れた:メルトフローインデックス5を有するポリスチレンホモポリマー66グラム、成核剤1グラム、臭素化難燃剤1グラム、15重量%のHFO-1336mzz(Z)及び85重量%のHFC-152aからなる発泡剤10グラム。反応器の内容物を2.5時間で230℃のコア温度まで加熱した。反応器内容物の室温よりも高い温度への曝露が完了した後のシェーカーチューブ内の流体混合物の分析によって、重量比86.5~13.5でHFO-1336mzz(Z)及びHFO-1336mzz(E)の両方が存在することが示された。
【0119】
他の実施形態
1.本願は、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリマーを調製するプロセスであって、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度において、当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及び少なくとも1つの追加の共発泡剤の存在下で当該ポリマーを加熱するステップ、を含む、プロセスを提供する。
2.当該発泡剤が、当該加熱するステップの前に当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを実質的に含まない、実施形態1に記載のプロセス。
3.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、少なくとも250℃である、実施形態1又は2に記載のプロセス。
4.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、約250℃~約350℃である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のプロセス。
5.約100psi~約5000psiの圧力で実施される、実施形態1~4のいずれか1つに記載のプロセス。
6.異性化触媒の存在下で実施される、実施形態1~5のいずれか1つに記載のプロセス。
7.当該異性化触媒がハロゲン化難燃剤を含む、実施形態6に記載のプロセス。
8.当該ハロゲン化難燃剤が、臭素化難燃剤又は塩素化難燃剤である、実施形態7に記載のプロセス。
9.当該異性化触媒が、ポリマー難燃剤である、実施形態6に記載のプロセス。
10.当該ポリマー難燃剤が、PolyFRである、実施形態9に記載のプロセス。
11.当該異性化触媒が、ハロゲン化水素である、実施形態6に記載のプロセス。
12.当該ハロゲン化水素が、臭化水素又は塩化水素である、実施形態11に記載のプロセス。
13.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、約200℃以上である、実施形態6~12のいずれか1つに記載のプロセス。
14.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、約200℃~約350℃である、実施形態6~12のいずれか1つに記載のプロセス。
15.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、少なくとも約230℃である、実施形態6~12のいずれか1つに記載のプロセス。
16.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの少なくとも一部を当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化するのに十分な温度が、約230℃である、実施形態6~12のいずれか1つに記載のプロセス。
17.当該追加の共発泡剤が、当該加熱するステップの間に当該熱可塑性ポリマー中のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの溶解度を増加させる、実施形態1~16のいずれか1つに記載のプロセス。
18.当該追加の共発泡剤が、HFC-152a、HFC-134、HFC-134a、HFC-236ea、HFC-245fa、HFC-365mfc、CO2、ジメチルエーテル、エタノール、ギ酸メチル、CO2、ジメチルエーテル、E-HFO-1234ze、Z-HFO-1234ze、E-HCFO-1233zd、Z-HCFO-1233zd、E-HCFO-1224yd、Z-HCFO-1224yd、及びHFO-1234yf、又はこれらの任意の組み合わせから選択される、実施形態1~17のいずれか1つに記載のプロセス。
19.当該追加の共発泡剤が、HFC-152aである、実施形態1~17のいずれか1つに記載のプロセス。
20.当該発泡剤が、約75重量パーセント以下の当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載のプロセス。
21.当該発泡剤が、約10~約75重量パーセントのZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載のプロセス。
22.当該熱可塑性ポリマーが、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンとZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンとの混合物を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載のプロセス。
23.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約10重量パーセント以上が、当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化される、実施形態1~22のいずれか1つに記載のプロセス。
24.当該Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの約10重量パーセント~約20重量パーセントが、当該E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンに異性化される、実施形態1~22のいずれか1つに記載のプロセス。
25.成核剤の存在下で実施される、実施形態1~24のいずれか1つに記載のプロセス。
26.当該成核剤が、タルク、グラファイト、及びケイ酸マグネシウムから選択される、実施形態25に記載のプロセス。
27.当該熱可塑性ポリマーが、アルケニル芳香族ポリマーである、実施形態1~26のいずれか1つに記載のプロセス。
28.当該熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、及びこれらのブレンドから選択される、実施形態1~27のいずれか1つに記載のプロセス。
29.当該熱可塑性ポリマーを押出加工して、熱可塑性ポリマー発泡体を形成するステップ、を更に含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載のプロセス。
30.当該押出加工が、約100℃~約150℃のダイ温度で実施される、実施形態29に記載のプロセス。
31.当該押出加工が、約110℃~約140℃のダイ温度で実施される、実施形態29又は30に記載のプロセス。
32.当該押出加工が、約100psi~約5000psiの圧力で実施される、実施形態29~31のいずれか1つに記載のプロセス。
33.本願は、更に、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)ポリスチレンを、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)当該第1のポリスチレン混合物を約250℃より高い温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)当該第2のポリスチレン混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、当該熱可塑性ポリスチレン発泡体を形成するステップと、を含む、プロセスを提供する。
34.本願は、更に、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む熱可塑性ポリスチレン発泡体を調製するプロセスであって、
i)ポリスチレンを、PolyFR、約75重量パーセント以下のZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む発泡剤、及びHFC-152aである追加の共発泡剤と混合して、第1のポリスチレン混合物を形成するステップと、
ii)当該第1のポリスチレン混合物を約200℃より高い第1の温度まで加熱して、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む第2のポリスチレン混合物を形成するステップと、
iii)当該第2のポリマー混合物を約110℃~約140℃の温度で押出加工して、熱可塑性ポリマー発泡体を形成するステップと、を含む、プロセスを提供する。
【0120】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を例示することを意図し、かつ限定するものではないことを理解すべきである。その他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。本発明が、本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載される特徴のいずれも、本明細書に記載される任意のその他の態様及び/又は本発明の実施形態のいずれかのその他の特徴のうちの1つ以上と組み合わせることができ、組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更することができることが、当業者により理解されるべきである。このような組み合わせは、本開示により企図される本発明の一部であると見なされる。