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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ピールアウェイ式止血弁
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/06 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
A61M39/06 130
A61M39/06 110
A61M39/06 122
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020524481
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 US2018059486
(87)【国際公開番号】W WO2019090351
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】62/582,075
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】コルクーフ クリストファー ネイソン
(72)【発明者】
【氏名】ファントゥッツィ グレン ロバート
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0312190(US,A1)
【文献】特開平01-139077(JP,A)
【文献】国際公開第2017/147103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面、および該第一表面の反対にある第二表面;
該第一表面の外周と該第二表面の外周との間に延在する縁部;
該第一表面から該第二表面まで横断する、弁ボディの中央における複数のはすば状スリットであって、血管内への医療用デバイスの挿入中に該医療用デバイスの周りに密封を提供する、はすば状スリット;ならびに
一対の縦方向カットであって、各それぞれの縦方向カットが、該それぞれの縦方向カットの長さの少なくとも一部について、該第一表面から、該弁ボディを部分的に通り、該第二表面に達しない深さまで延在し、該縦方向カットが、剥ぎ取り動作中に該弁ボディが2つの部分に分離することを容易にする、一対の縦方向カット
を具備する、止血弁ボディであって、
各縦方向カットの内縁が該縦方向カットの該内縁に最も近いはすば状スリットから一定距離にあるように、各縦方向カットは該はすば状スリットから間隔があり、かつ該一定距離が該第一表面から該第二表面まで延在する該止血弁ボディの厚さにわたって維持される、止血弁ボディ
【請求項2】
縦方向カットに、はすば状スリットの回転角と同様の角度がつけられている、請求項1記載の止血弁ボディ。
【請求項3】
各それぞれの縦方向カットが、弁ボディの反対側に位置決めされている、請求項1又は2記載の止血弁ボディ。
【請求項4】
各それぞれの縦方向カットが、縁部付近で、該それぞれの縦方向カットの長さの少なくとも一部について、第一表面から第二表面まで横断している、請求項1~3のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項5】
弁の中央から放射方向外向きに延在する、第一表面上に形成された第一線群;および
弁の中央から放射方向外向きに延在する、第二表面上に形成された第二線群
をさらに具備し、
前記複数のはすば状スリットが、該第一線群から該第二線群まで横断している
請求項1~4のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項6】
第一線群が第二線群から角度的にオフセットしている、請求項5記載の止血弁ボディ。
【請求項7】
縁部からある距離のところにある、第一表面から第二表面まで横断している複数の通し穴をさらに具備し、
各それぞれの通し穴が、丸みを帯びた縁部、平らな縁部、および非対称形状のうち1つを具備する、請求項1~6のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項8】
前記複数の通し穴のうち少なくともいくつかが、角度的に等間隔である、請求項7記載の止血弁ボディ。
【請求項9】
隣接する通し穴間の角度が、25度に等しいかまたはそれより小さい、請求項8記載の止血弁ボディ。
【請求項10】
前記複数の通し穴が、イントロデューサハブの複数のポストを収容するようサイズ決定される、請求項7~9のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項11】
前記複数のポストが前記複数の通し穴に挿入される、請求項10記載の止血弁ボディ。
【請求項12】
挿入された前記複数のポストが、剥ぎ取り動作中に止血弁ボディを伸張状態に保つ、請求項11記載の止血弁ボディ。
【請求項13】
第一表面が第二表面に平行である、請求項1~12のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項14】
第一表面および第二表面が平面形状を具備する、請求項1~13のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項15】
第一表面が、円錐形、テーパー形、および凸形のうち1つを具備する、請求項1~14のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項16】
第一表面の浅い点が弁の中央にある、請求項1~15のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項17】
ディスク形状、円柱形、および立方形のうち1つを具備する、請求項1~16のいずれか一項記載の止血弁ボディ。
【請求項18】
血液ポンプ;ならびに
ハブとシースとを具備するイントロデューサアセンブリであって、該ハブが請求項1~17のいずれか一項記載の止血弁ボディを具備し、該止血弁ボディおよび該シースが該血液ポンプを受けるようサイズ決定される、イントロデューサアセンブリ
を具備する、患者の血管内に血液ポンプを挿入するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる、2017年11月6日に提出された米国特許仮出願第62/582,075号に対する恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は、ピールアウェイ式止血弁を実現するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心臓ポンプ、ガイドワイヤ、および診断用カテーテルなどの医療用デバイスを患者の動脈または静脈内に経皮的に挿入するため、イントロデューサシースが用いられる。止血弁およびハブはイントロデューサシースの一部であり、それらを通して医療用デバイスが挿入され、かつ、挿入された医療用デバイスからインラインで除去可能であるよう、設計される。医療用デバイスの挿入中、止血弁は、止血を維持しながら引き裂きに耐えるべきである。加えて、止血弁は、イントロデューサシースの剥ぎ取り動作中、許容可能な力によって2つのピースに分かれてもよい。
【0004】
ピールアウェイ式止血弁のいくつかの設計は、密封を助けるが引き裂きに大きな力を要する厚さを有する。ピールアウェイ式止血弁の他の設計は、引き裂きのための力を小さくするため弁ボディの厚さ全体を通してカットされているが、使用される医療用デバイスの周りを手技全体にわたって密封することが困難である。しかし、現在の多くのピールアウェイ式止血弁は、現代の心臓ポンプシステムを挿入するために必要な性能を呈さない。
【0005】
密封の性能および剥ぎ取りの容易さに加えて、止血弁はまた、心臓ポンプシステムの挿入中に、そして剥ぎ取り中にも、安定性をもたらすべきである。ピールアウェイ式止血弁のいくつかの設計は、弁が引き裂きに対する2つの明確な抵抗点を有する時に生じる、剥ぎ取り中の二重破断(double break)という難点を抱える。例えば、二重破断点が、弁の縁部付近と弁の中央とに位置する可能性がある。二重破断は、心臓ポンプシステムが患者の動脈または静脈内にある間に動くことを引き起こし、かつ、患者の動脈切開部の損傷および/または心臓ポンプシステムの損傷を引き起こしうる。剥ぎ取り中の二重破断を緩和し、かつ手技中の心臓ポンプシステム留置の安定性を向上させる、止血弁の設計に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に説明するシステム、方法、およびデバイスは、引き裂きのための力を小さくし、医療用デバイスの周りに強力な密封を提供し、かつ、医療用デバイスの挿入中および剥ぎ取り中の安定性を提供するための様式で設計された、ピールアウェイ式止血弁を可能にする。本開示の弁は、止血弁の外径に軸方向にアライメントした円柱状表面と、止血弁の中央にあるはすば状スリットのうち1つのらせん軌道にアライメントした縁部とによって規定される、縦方向カットを有する。既存の弁と比較して、本開示の弁における縦方向カットの設計は、剥ぎ取り動作中にピールアウェイ式止血弁を端から端まで引き裂くために要する力を低減させる。縦方向カットとはすば状スリットとは、弁の厚さにわたって一定距離によって分離され、このことは、弁全体を通して縦方向カットを有する止血弁と比較して、より良好な止血性能を提供する。本開示のピールアウェイ式止血弁はまた、その周囲に沿った通し穴も有する;通し穴は、止血弁をイントロデューサのハブに接続することを容易にし、かつ(通し穴にポストが挿入されている時は)剥ぎ取り動作中に止血弁の伸張を維持する。
【0007】
第一表面と、第一表面の反対にある第二表面と、縁部と、はすば状スリットと、一対の縦方向カットとを具備する止血弁ボディについて、本明細書に諸態様を開示する。縁部は、第一表面の外周と第二表面の外周との間に延在する。はすば状スリットは、弁ボディの中央に位置決めされ、かつ第一表面から第二表面まで横断する。はすば状スリットは、血管内への医療用デバイスの挿入中に、医療用デバイスの周りに密封を提供する。各それぞれの縦方向カットは、それぞれの縦方向カットの長さの少なくとも一部について、第一表面から、弁ボディを部分的に通り、第二表面に達しない深さまで延在する。縦方向カットは、剥ぎ取り動作中に弁ボディを2つの部分に分離することを容易にする。本明細書に開示する諸態様は、その中に挿入された医療用デバイスに対して良好に密封し、かつ小さい力で止血弁を剥ぎ取ることも可能にする、ピールアウェイ式止血弁を提供する。加えて、本発明のピールアウェイ式止血弁の設計は、二重破断を防ぎ、そして、手技中の医療用デバイスまたは心臓ポンプシステムの安定性を高める。
【0008】
特定の実施形態において、縦方向カットは、はすば状スリットからある距離のところに位置決めされてもよい。いくつかの実施形態において、縦方向カットは、はすば状スリットの回転角と同様の角度がつけられていてもよい。特定の実施形態において、各それぞれの縦方向カットは、弁ボディの反対側に位置決めされてもよい。いくつかの実施形態において、各それぞれの縦方向カットは、縁部付近で、それぞれの縦方向カットの長さの少なくとも一部について、第一表面から第二表面まで横断していてもよい。
【0009】
1つの実施形態において、止血弁ボディは、第一表面上に形成された第一線群と、第二表面上に形成された第二線群とを具備してもよい。第一線群は、弁の中央から放射方向外向きに延在してもよい。第二線群は、弁の中央から放射方向外向きに延在してもよい。いくつかの実施形態において、はすば状スリットは、第一線群から第二線群まで横断していてもよい。いくつかの実施形態において、第一線群は、第二線群から角度的にオフセットしていてもよい。
【0010】
特定の実施形態において、止血弁ボディは、縁部からある距離のところにある、第一表面から第二表面まで横断している通し穴を具備してもよい。いくつかの実施形態において、各それぞれの通し穴が、丸みを帯びた縁部、平らな縁部、および非対称形状のうち、1つを具備してもよい。いくつかの実施形態において、通し穴は、角度的に等間隔であってもよい。特定の実施形態において、隣接する通し穴間の角度は、25度に等しいかまたはそれより小さくてもよい。他の実施形態において、通し穴は、ポートを収容するようサイズ決定されてもよい。いくつかの実施形態において、通し穴は、(それを通ってポストが挿入されている時に)剥ぎ取り動作中に止血弁ボディを伸張状態に保ってもよい。
【0011】
1つの実施形態において、第一表面は第二表面に平行であってもよい。いくつかの実施形態において、第一表面および第二表面は平面形状を具備してもよい。いくつかの実施形態において、第一表面は、円錐形、テーパー形、および凸形のうち、1つを具備してもよい。特定の実施形態において、第一表面の浅い点が弁の中央にあってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、弁ボディはディスク形状を具備してもよい。1つの実施形態において、弁ボディは、円柱形および立方形のうち1つを具備してもよい。
【0013】
本開示のさらなる実施形態において、血液ポンプを患者の血管内に挿入するためのシステムが提供される。同システムは、血液ポンプ、および、シースと止血弁ボディを含むハブとを具備するイントロデューサアセンブリを含む。シースおよび止血弁ボディは、血液ポンプを受けるようサイズ決定されてもよい。イントロデューサハブは、イントロデューサハブの破断を容易にするウイングおよびノッチを含む。剥ぎ取り動作中にイントロデューサハブを破断させるため、医療サービス従事者がウイングに力を印加する。ノッチは、ウイングに充分な力が印加された時に破断する、ハブ上の脆弱点として意図的に実施される。縦方向カットに沿った大きな力を伴わなくても弁が破断するよう、止血弁ボディ上の縦方向カットは、ノッチに放射方向にアライメントしていてもよい。
【0014】
本開示のさらなる実施形態において、(1)(a)互いに反対に位置する第一および第二ウイングと、(b)第一および第二ウイング間の中点に位置する第一および第二ノッチと、を有するイントロデューサハブと;(2)第一および第二ノッチに放射方向にアライメントした第一および第二縦方向カットを有する、イントロデューサハブ内の止血弁と;(3)第一および第二ノッチにアライメントした縦方向スコアリングを有するイントロデューサシースと;を有するイントロデューサシースアセンブリを剥ぎ取るための方法を提供する。上述のように、ウイングおよびノッチはイントロデューサハブの破断を容易にする。この方法は、他の剥ぎ取り方法と比較して、イントロデューサハブ、止血弁、およびイントロデューサシース上に意図的に実施された脆弱点をアライメントすることによって、一貫した引き裂き経路に沿ったスムーズな剥ぎ取りを実現する。同方法は、イントロデューサシースから放射状である第一方向においてイントロデューサハブの第一ウイングに第一の力を印加し、かつ、第一方向と反対である第二方向においてイントロデューサハブの第二ウイングに第二の力を印加する段階、を具備する。同方法は、第一の力および第二の力をイントロデューサハブの第一および第二ノッチに伝達させ、これにより第一および第二ノッチを破断させる段階をさらに具備する。同方法は、第一および第二縦方向カットに沿って止血弁を破断させる段階をさらに具備する。同方法は、縦方向スコアリングに沿ってイントロデューサシースを分離する段階をさらに具備する。
[本発明1001]
第一表面、および該第一表面の反対にある第二表面;
該第一表面の外周と該第二表面の外周との間に延在する縁部;
該第一表面から該第二表面まで横断する、弁ボディの中央における複数のはすば状スリットであって、血管内への医療用デバイスの挿入中に該医療用デバイスの周りに密封を提供する、はすば状スリット;ならびに
一対の縦方向カットであって、各それぞれの縦方向カットが、該それぞれの縦方向カットの長さの少なくとも一部について、該第一表面から、該弁ボディを部分的に通り、該第二表面に達しない深さまで延在し、該縦方向カットが、剥ぎ取り動作中に該弁ボディが2つの部分に分離することを容易にする、一対の縦方向カット
を具備する、止血弁ボディ。
[本発明1002]
縦方向カットが、はすば状スリットからある距離に位置決めされている、本発明1001の止血弁ボディ。
[本発明1003]
縦方向カットに、はすば状スリットの回転角と同様の角度がつけられている、本発明1001および1002のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1004]
各それぞれの縦方向カットが、弁ボディの反対側に位置決めされている、本発明1001~1003のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1005]
各それぞれの縦方向カットが、縁部付近で、該それぞれの縦方向カットの長さの少なくとも一部について、第一表面から第二表面まで横断している、本発明1001~1004のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1006]
弁の中央から放射方向外向きに延在する、第一表面上に形成された第一線群;および
弁の中央から放射方向外向きに延在する、第二表面上に形成された第二線群
をさらに具備する、本発明1001~1005のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1007]
前記複数のはすば状スリットが、第一線群から第二線群まで横断している、本発明1006の止血弁ボディ。
[本発明1008]
第一線群が第二線群から角度的にオフセットしている、本発明1006および1007のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1009]
縁部からある距離のところにある、第一表面から第二表面まで横断している複数の通し穴をさらに具備する、本発明1001~1008のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1010]
各それぞれの通し穴が、丸みを帯びた縁部、平らな縁部、および非対称形状のうち1つを具備する、本発明1009の止血弁ボディ。
[本発明1011]
前記複数の通し穴のうち少なくともいくつかが、角度的に等間隔である、本発明1009および1010のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1012]
隣接する通し穴間の角度が、25度に等しいかまたはそれより小さい、本発明1011の止血弁ボディ。
[本発明1013]
前記複数の通し穴が、イントロデューサハブの複数のポストを収容するようサイズ決定される、本発明1009~1012のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1014]
前記複数のポストが前記複数の通し穴に挿入される、本発明1013の止血弁ボディ。
[本発明1015]
挿入された前記複数のポストが、剥ぎ取り動作中に止血弁ボディを伸張状態に保つ、本発明1014の止血弁ボディ。
[本発明1016]
第一表面が第二表面に平行である、本発明1001~1015のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1017]
第一表面および第二表面が平面形状を具備する、本発明1001~1016のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1018]
第一表面が、円錐形、テーパー形、および凸形のうち1つを具備する、本発明1001~1015のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1019]
第一表面の浅い点が弁の中央にある、本発明1001~1018のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1020]
ディスク形状、円柱形、および立方形のうち1つを具備する、本発明1001~1019のいずれかの止血弁ボディ。
[本発明1021]
血液ポンプ;ならびに
ハブとシースとを具備するイントロデューサアセンブリであって、該ハブが本発明1001~1020のいずれかの止血弁ボディを具備し、該止血弁ボディおよび該シースが該血液ポンプを受けるようサイズ決定される、イントロデューサアセンブリ
を具備する、患者の血管内に血液ポンプを挿入するためのシステム。
[本発明1022]
(1)(a)互いに反対に位置する第一および第二ウイングと、(b)該第一および第二ウイング間の中点に位置する第一および第二ノッチと、を有するイントロデューサハブ;
(2)該第一および第二ノッチに放射方向にアライメントした第一および第二縦方向カットを有する、該イントロデューサハブ内の止血弁;ならびに
(3)該第一および第二ノッチにアライメントした縦方向スコアリングを有するイントロデューサシース
を有するイントロデューサアセンブリ
を剥ぎ取る方法であって、以下の段階を具備する、方法:
該イントロデューサシースから放射状である第一方向において該イントロデューサハブの該第一ウイングに第一の力を印加し、かつ、該第一方向と反対である第二方向において該イントロデューサハブの該第二ウイングに第二の力を印加する段階;
該第一の力および該第二の力を該イントロデューサハブの該第一および第二ノッチに伝達させ、これにより該第一および第二ノッチを破断させる段階;
該第一および第二縦方向カットに沿って該止血弁を破断させる段階;ならびに
該縦方向スコアリングに沿って該イントロデューサシースを分離する段階。
[本発明1023]
イントロデューサアセンブリを剥ぎ取るためのシステムであって、以下の手段を具備する、システム:
イントロデューサハブの第一ウイングに対する第一の力と、該イントロデューサハブの第二ウイングに対する第二の力とを、受けるための手段;
該第一の力および該第二の力を該イントロデューサハブの第一ノッチおよび第二ノッチに伝達させ、これにより該第一ノッチおよび該第二ノッチを破断させるための手段;
該イントロデューサハブの止血弁を、該止血弁上の第一縦方向カットおよび第二縦方向カットに沿って破断させるための手段であって、該第一縦方向カットが該イントロデューサハブ上の該第一ノッチにアライメントされ、かつ該第二縦方向カットが該イントロデューサハブ上の該第二ノッチにアライメントされている、手段;ならびに
イントロデューサシースを、該イントロデューサシース上の縦方向スコアリングに沿って分離するための手段であって、該縦方向スコアリングが該第一ノッチおよび該第二ノッチにアライメントされている、手段。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以上および他の目的と利点とは、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することによって明らかになるであろう;添付の図面全体にわたって、同様の参照符号は同様の部品を参照する。
【0016】
図1】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された例示的な医療用デバイスを示した図である。
図2】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された、図1の医療用デバイスがその中を通って延在している、患者の血管内に挿入された例示的なイントロデューサを示した図である。
図3】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された、図2のイントロデューサのピールアウェイ式止血弁内に挿入された図1の医療用デバイスの断面を示した図である。
図4】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成されたピールアウェイ式止血弁の等角図である。
図5】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された、隠れ線を伴うピールアウェイ式止血弁の等角図である。
図6】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成されたピールアウェイ式止血弁の底面図である。
図7】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成されたピールアウェイ式止血弁の上面図である。
図8】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成されたピールアウェイ式止血弁の側面図である。
図9】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成されたイントロデューサハブの上面図である。
図10】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成されたイントロデューサハブの等角図である。
図11】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された、イントロデューサハブ内に挿入されたピールアウェイ式止血弁の上面図である。
図12】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された、イントロデューサハブ内に挿入されたピールアウェイ式止血弁の等角図である。
図13】本開示の1つまたは複数の局面に基づいて構成された、ピールアウェイ式止血弁を有するイントロデューサを剥ぎ取るためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
良好に密封し、かつ小さい力で止血弁を剥ぎ取ることを可能にする特徴を有する、ピールアウェイ式止血弁に対するニーズが存在する。本明細書に説明するピールアウェイ式止血弁は、止血弁の外径に軸方向にアライメントした円柱状表面と、止血弁の中央にあるはすば状スリットのうち1つのらせん軌道にアライメントした縁部とによって規定される、縦方向カットを組み入れることによって、これを実現する。本発明の縦方向カットの設計は、剥ぎ取り動作中にピールアウェイ式止血弁を端から端まで引き裂くために要する力を小さくする。縦方向カットとはすば状スリットとは一定距離によって分離され、このことは、全体を通してカットされている止血弁と比較して、より良好な止血性能を提供する。加えて、二重破断をきたさずかつ手技中の心臓ポンプシステムの安定性を高める、ピールアウェイ式止血弁に対するニーズも存在する。本明細書に説明するピールアウェイ式止血弁は、止血弁をイントロデューサのハブに接続し、かつ(通し穴を通ってポストが挿入されている時は)剥ぎ取り中に止血弁を伸張状態に保つ、止血弁の周囲に沿った通し穴を組み入れることによって、これを実現する。
【0018】
図1に、特定の実施形態に基づく血液ポンプ100などの例示的な医療用デバイスを示す。血液ポンプ100は、脈管内心臓ポンプ、可撓性シャフトと患者の体外に位置決めされたモーターとによって駆動される心臓ポンプ、植え込み可能モーターを含む心臓ポンプ、伸展可能ポンプローターを有する心臓ポンプ、または他の任意の好適なポンプであってもよい。血液ポンプ100は、ポンプハンドル110と、ポンプヘッド130と、ポンプハンドル110をポンプヘッド130に接続するカテーテル120と、接続ハブ160とを具備する。カテーテル120は管状であり、かつ実質的に均一な外径150を有する。カテーテル120は、ポンプヘッド130とポンプハンドル110とが電気機械的に連絡することを可能にする。ポンプハンドル110は、ポンプヘッド130の制御を可能にする制御回路と連絡する。ポンプヘッド130は、体内のある位置から血液をポンピングするなど、デバイスが患者の体内でさまざまなタスクを行うことを可能にする電気機械的コンポーネントを含有する。ポンプヘッド130は、カテーテル120の直径150より大きい直径140を有する。そのような経皮ポンプの1例はImpella 2.5(登録商標)システム(Abiomed, Inc., Danvers, Massachusetts)である。
【0019】
図2に示すように、血液ポンプ100はイントロデューサ200を用いて患者の血管240内に挿入される。イントロデューサ200はハブ210と細長シース202とを含む。ハブ210は、密封を提供しかつ血液ポンプ100の挿入中の流体損失を最少化する、止血弁300(以下に詳述する)を含む。細長シース202は患者の血管240内に挿入できるようサイズ決定される。イントロデューサ200は矢印248で示される方向に血管アパーチャ250を通って血管240内に進められ、そして次に、血液ポンプ100が、ハブ210および細長シース202を通り、そして血管240内に挿入される。血管240は大腿動脈であってもよく、そして血管アパーチャ250は動脈切開であってもよい。
【0020】
血液ポンプ100がイントロデューサ200を通って進められた後、イントロデューサ200は除去されてもよく、そしていくつかの実施形態において、より長期間の使用に適したデバイスに置換されてもよい。イントロデューサ200を除去するため、医療従事者は、ハブ210の第一および第二ウイング218aおよび218bを把持してもよく、そして、細長シース202に対する第一および第二ウイング218aおよび218bの配向に応じて、細長シース202に向かう方向または細長シース202に対して放射方向のいずれかにおいてウイング218aおよび218bに力を印加して、第一ウイング218aを第二ウイング218bに向かって押し付けてもよい。図2に示すようなウイング218aおよび218bの配向において、医療従事者は、ウイング218aおよび218bを互いに向かって動かすため、これらに放射方向の(細長シース202に対して放射方向の)力を印加する。第一および第二ウイング218aおよび218bは堅い材料で形成され、力が印加された時に屈曲しない。代わりに、印加された力は、ウイング218aおよび218bから、イントロデューサハブ210上の第一ノッチ214および第二ノッチ(図には示していない)に伝達される。第二ノッチは第一ノッチ214の反対に位置し、そして、第一ノッチ214および第二ノッチはいずれも、第一および第二ウイング218aおよび218b間の中点に位置する。ノッチにおける最小の厚さは、イントロデューサ200が第一ノッチ214および第二ノッチにおいて破断することを可能にする。細長シース202上の縦方向スコアリング222は、シースが細長シースの長さに沿って分離することを可能にし、そして、ハブ210および細長シース202は、経皮ポンプ100を血管240内の所定の位置に残しながら、剥ぎ取られて2つのピースになってもよい。
【0021】
図3に、図2のイントロデューサ200内に挿入された図1の血液ポンプ100の断面を示す。イントロデューサ200のハブ210は、密封を提供しかつ血液ポンプ100の挿入中の流体損失を最少化する、止血弁300を含む。図4~8に説明する止血弁300は、良好に密封し、かつ、後述するように、小さい力でピールアウェイ式止血弁を剥ぎ取ることを可能にする特徴を有する。
【0022】
図4にピールアウェイ式止血弁300の等角図を示す。ピールアウェイ式止血弁300は、第一表面302と、第一表面302の反対にありかつこれに平行な第二表面304と、第一表面302および第二表面304の外周の間に延在する縁部306とを含む。
【0023】
図4に示すように、ピールアウェイ式止血弁300は、第一表面302および第二表面304が平面かつ円形でありそして縁部306が第一および第二表面302および304の各々から垂直に延在する、ディスク形状を有する。一般に、ピールアウェイ式止血弁300は、円柱形または立方形を非限定的に含む、他の形状を取ってもよい。ディスク形状は、第一表面302の直径に対する縁部306の厚さの比が1より小さい、円柱の部分集合であってもよい。一般に、第一表面302および第二表面304の形状は、三角形、正方形、五角形、六角形、または他の任意の多角形など、任意の好適な形状であってよい。第一表面302および第二表面304は、図4において平面であるものとして図示されているが、表面302および304は、円錐形、テーパー形、凸形、凹形、または平面の任意の組み合わせを含んでもよい。具体的には、弁の厚さ308(すなわち、表面302および304上のそれぞれの点の間の距離)は、弁ボディ全体にわたってさまざまであってもよい。例えば、弁は、表面302および304のうち1つまたは両方がその中央に浅い点を含みうるよう、弁の中央において最も薄くてもよい。
【0024】
ピールアウェイ式止血弁300の厚さ308は、必要とされる固有の止血性能を実現するよう設定されてもよい。ピールアウェイ式止血弁の止血性能は、ピールアウェイ式止血弁300の厚さ308が大きな値に設定されると向上する。別の局面において、ピールアウェイ式止血弁300の厚さ308は、剥ぎ取り動作中に特定の大きさの力を必要とするよう設定されてもよい。剥ぎ取り動作中に必要とされる力の大きさは、ピールアウェイ式止血弁300の厚さ308が小さな値に設定されると小さくなる。いくつかの局面において、ピールアウェイ式止血弁300の厚さ308は、固有の止血性能と、剥ぎ取り動作中に必要とされる力の大きさとの間の、トレードオフを満たすよう設定されてもよい。
【0025】
ピールアウェイ式止血弁300はイントロデューサシースによって脈管構造内に挿入されてもよい。ピールアウェイ式止血弁300は、それを通して医療用デバイスが挿入されてもよく、かつ、挿入された医療用デバイスからインラインで除去可能であってもよい。医療用デバイスは、心臓ポンプ、ガイドワイヤ、診断用カテーテル、シース、および拡張器を含んでもよい。
【0026】
図5に、弁中に存在するカットを示す隠れ点線を伴う、ピールアウェイ式止血弁300の等角図を示す。図6にピールアウェイ式止血弁300の底面図を示す。ピールアウェイ式止血弁300は、弁の周辺に沿って位置決めされた通し穴312と、上面において弁の中央にある第一線群314と、下面において弁の中央にある第二線群324と、弁の中央を通って延在するはすば状スリット316と、弁の反対側上に位置決めされかつ互いから離れるように延在する縦方向カット318aおよび318bと、通しスリット322aおよび322bとを含む。
【0027】
図5および6に示すように、第一線群314は、第一表面302上に形成され、同じ中心を備えた3つの直径カットを含み、かつ、ピールアウェイ式止血弁300の中央から放射方向外向きに延在する。第二線群324は、第二表面304上に形成され、かつ第一線群314と同じ形状を有する。第一線群314および第二線群324は雪片形状を有する。雪片形状は、4回対称の放射対称、6回対称の放射対称、8回対称の放射対称、または他の任意の好適な放射対称を有してもよい。雪片形状内の線間の角度オフセットは、90°、60°、45°、30°、または他の任意の好適な角度であってもよい。別の局面において、雪片形状が放射対称を有さなくてもよい。
【0028】
はすば状スリット316が、第一表面302における第一線群314から、第二表面304における第二線群324まで、弁の中央を通って横断する。はすば状スリット316は、第一表面302と第二表面304との間でらせん軌道をたどる。第一線群314および第二線群324の長さがはすば状スリット316のサイズを決定する。はすば状スリット316のサイズは、止血性能と、ピールアウェイ式止血弁300を通って挿入された医療用デバイスの挿入および除去力とを、バランスさせるように設定されてもよい。第一線群314および第二線群324の長さが増大するほど、はすば状スリット316のサイズが増大し、ピールアウェイ式止血弁300の止血性能が低下し、かつ、ピールアウェイ式止血弁300を通って挿入された医療用デバイスの除去力が低下する。
【0029】
各縦方向カット318aおよび318bは、それぞれの縦方向カット318aまたは318bの長さの少なくとも一部について、第一表面302から、ピールアウェイ式止血弁300を部分的に通り、第二表面304に達しない深さまで、延在してもよい。
【0030】
縦方向カット318aおよび318bは、剥ぎ取り動作中にピールアウェイ式止血弁300を2つの部分に分離することを容易にする。縦方向カット318aおよび318bは、はすば状スリット316からある距離のところに位置決めされてもよい。各縦方向カット318aと318bとは、ピールアウェイ式止血弁300の反対側に位置決めされてもよい。各縦方向カット318aおよび318bは、縁部306付近の、それぞれの縦方向カット318aまたは318bの長さの少なくとも一部について、第一表面302から第二表面304まで横断していてもよい。縦方向カット318aまたは318bが止血弁300の厚さ308全部を通って横断している領域を、本明細書において通しスリット322aまたは322bと呼ぶ;通しスリットは、剥ぎ取り動作中に引き裂きが伝搬するための起点として役立ってもよい。ピールアウェイ式止血弁300の第一表面302における縦方向カット318aおよび318bの終端は、鋭い縁部であってもよい。
【0031】
いくつかの態様において、縦方向カット318aおよび318bには、はすば状スリット316の回転角と同様の角度がつけられる。図7に示すように、はすば状スリット316の角度αは、はすばスリット316が第一表面302から第二表面304まで弁300を横断する際に通る、角度のついた経路を規定する。一般に、αは、第一表面302上の第一線群314と第二表面304上の第二線群324との間の角度オフセットに一致する、任意の角度であってよい。別の局面において、角度αは、第一表面302上のはすば状スリット316のうち2つのスリットの角度オフセットに一致する。いくつかの局面において、αは360/nに等しい;ここで、nははすば状スリット316の数である。別の局面において、αは、第一表面302上の線314のうち2つの線の角度オフセットに関連しない。この場合、αは第一および第二表面302および304の間のはすばの回転角であり、2つの線314の間の角度に対応する必要はない;それにより、第一線群314と第二線群324とが互いに角度的にオフセットしてもよい。図8に示すように、縦方向カット318aおよび318bの角度βは、各縦方向カット318aおよび318bの2つの面の間の角度を規定する。角度αおよびβは互いに関連してもよい。いくつかの局面において、αおよびβは、互いの5%、10%、もしくは15%以内、または他の任意の好適なパーセンテージである。別の局面において、αおよびβは互いに比例する。縦方向カット318aおよび318bをはすば状スリット316にアライメントさせることによって(すなわち、はすば状スリット316内の対応するカットに最も近い縦方向カット318aおよび318bの面が、はすば状スリット316内の対応するカットの経路をたどるような、αおよびβにすることによって)、縦方向カット318と、はすば状スリット316における最も近い対応するカットとの間で、一定距離が維持される。縦方向カット318aおよび318bとはすば状スリット316との間の一定距離は、剥ぎ取り動作中に必要とされる力の大きさを微調整するため、適切に設定されてもよい。縦方向カット318aおよび318bとはすば状スリット316との間の一定距離が高値に設定されると、剥ぎ取り動作中により大きな力が必要となる。
【0032】
剥ぎ取り動作中、(弁の縁部306付近に位置する)通しスリット322aおよび322bにおいて引き裂きが始まり、そして第二表面304付近で縦方向カット318aおよび318bの一部分に沿って伝搬する。引き裂きは次に、縦方向カット318aおよび318bとはすば状スリット166との間の距離に沿って、第二表面304から第一表面302まで伝搬が進む。引き裂きが伝搬した結果として、説明した経路に沿ってピールアウェイ式止血弁300が2つのピースに分かれる。
【0033】
特定の実施形態において、ピールアウェイ式止血弁300は、(図11および12に関してさらに説明するように)イントロデューサ200のハブ210によって部分的に囲まれ、かつ、ピールアウェイ式止血弁300の縦方向カット318aおよび318bがハブ210上のノッチにアライメントされるように、同ノッチにアライメントされる。縦方向カット318aおよび318bとノッチとをアライメントすることにより、イントロデューサアセンブリ200を用いた剥ぎ取り動作中に、ユーザーが、小さな力を用いてピールアウェイ式止血弁300を2つのピースに容易に分けることができる。
【0034】
図9および10に、イントロデューサ200のハブ210の上面図および等角図をそれぞれ示す。図示のように、ハブ210は、その周囲に円形にアレンジされ、かつ、ハブ210のノッチに最も近いポスト260間の間隔を除いて角度的に等間隔である、ポスト260を有する。ハブ210はノッチに沿って破断するので、ハブ210のノッチに最も近いポスト260間の角度的な間隔は、他のポスト260間の間隔より大きい。ハブ210におけるポスト260は、ポスト260によってハブ210内への弁300の係留および確実固定が容易になるように、弁上の通し穴312を通って延在する。通し穴312は、弁の縁部306からある距離のところに位置し、かつ第一表面302から第二表面304まで横断する。図4~7に示す通し穴312は円形であるが、各通し穴312は、丸みを帯びた縁部、平らな縁部、または非対称形状を含んでもよい。図11および12に、ハブ210内に挿入された弁300の上面図および等角図をそれぞれ示す。図示のように、通し穴312は、ポスト260と角度的にアライメントされるが、軸方向にわずかにオフセットされる。具体的には、ポスト260は、通し穴312の中心線直径よりわずかに小さい中心線直径を有する。このオフセットは、弁がハブ内にある間は弁を伸張状態のままにすることによって、より向上した内向きの密封圧を弁300に提供する。いくつかの態様において、ポスト260は、通し穴312の中心線直径と同じ中心線直径を有する。
【0035】
図11および12に示す設計は、剥ぎ取り動作中に弁300が伸張されることを確実にし、それによって止血弁300のスムーズな破断を可能にしかつ二重破断を防ぐ。このことは、ハブ210のノッチに最も近いポスト260間の間隔を除いて、通し穴312を角度的に等間隔にすることによって実現される。いくつかの態様において、角度的な間隔は25度に等しいかまたはそれより小さい。外径が15 mmに等しいかまたはそれより大きく、かつ通し穴312の直径が0.75 mmに等しいかまたはそれより大きい止血弁300について、通し穴312の理想的な角度間隔は25度に等しいかまたはそれより小さく、通し穴312間の間隔は等しい。
【0036】
図13に、(1)(a)互いに反対に位置する第一および第二ウイング218aおよび218bと、(b)第一および第二ウイング218aおよび218b間の中点に位置する第一および第二ノッチ214と、を有するイントロデューサハブ210;(2)第一および第二ノッチ214に放射方向にアライメントした第一および第二縦方向カット318aおよび318bを有する、イントロデューサハブ210内のピールアウェイ式止血弁300;および(3)第一および第二ノッチ214にアライメントした縦方向スコアリング222を有するイントロデューサシース202;を有するイントロデューサ200を剥ぎ取るためのプロセス1300を示す。プロセス1300は、イントロデューサ200を通した医療用デバイスの挿入後に、医療健康専門家によって用いられてもよい。段階1302において、イントロデューサシース202から放射状である第一方向においてイントロデューサハブ210の第一ウイング218aに第一の力が印加され、かつ、第一方向と反対である第二方向においてイントロデューサハブ210の第二ウイング218bに第二の力が印加される。例えば、医療従事者は、ハブ210の第一および第二ウイング218aおよび218bを把持してもよく、そして、細長シース202に対する第一および第二ウイング218aおよび218bの配向に応じて、細長シース202に向かう方向または細長シース202から離れて放射状に延びる方向のいずれかにおいてウイング218aおよび218bに力を印加して、第一ウイング218aを第二ウイング218bに向かって押し付けてもよい。
【0037】
段階1304において、第一の力および第二の力がイントロデューサハブ210の第一ノッチ214および第二ノッチに伝達され、これにより第一および第二ノッチ214の破断が引き起こされる。例えば、印加された力は、ウイング218aおよび218bから第一ノッチ214および第二ノッチに伝達される。ノッチにおける最小の厚さは、イントロデューサハブ210が第一ノッチ214および第二ノッチにおいて破断することを可能にする。加えて、ノッチの形状が応力を集中させて、ハブ210がノッチに沿って分かれることを容易にする。ノッチの最小の厚さおよび形状は、ハブ210においてそこからクラックが開始されてもよい破断壁(break wall)を提供する。いくつかの実施形態において、ノッチの最小の厚さは0.075 mm~0.35 mmの範囲である。
【0038】
段階1306において、イントロデューサハブ210の止血弁300が第一縦方向カット318aおよび第二縦方向カット318bに沿って破断される。第一縦方向カット318aは第一ノッチ214にアライメントし、かつ第二縦方向カット318bは第二ノッチにアライメントする。例えば、弁の縁部306付近に位置する通しスリット322aおよび322bと、それぞれの縦方向カット318aおよび318bの放射方向端部とにおいて、引き裂きが始まる。引き裂きは次に、第二表面304付近で縦方向カット318aおよび318bの一部分に沿って放射方向内向きに伝搬する。この結果として、縦方向カット318aおよび318bは、弁の厚さを通る完全なカットとなる。この時点で、弁300は、縦方向カットとはすば状スリットとの間の領域においてまだインタクトである。引き裂きは次に、縦方向カット318aおよび318bとはすば状スリット166との間のこの領域を通って伝搬が進む。この領域における引き裂きの伝播は、放射方向において生じるか、弁300の厚さを通る方向において生じるか、または、両方向の成分を有するベクトルにおいて生じてもよい。この領域において引き裂きが伝播した結果として、説明した経路に沿ってピールアウェイ式止血弁300が2つのピースに分かれる。
【0039】
段階1308において、イントロデューサシース202は、イントロデューサシース202上の縦方向スコアリング222に沿って分離する。縦方向スコアリング222は第一ノッチ214および第二ノッチに放射方向にアライメントする。例えば、細長シース202上の縦方向スコアリング222は、細長シース202の長さに沿ってシースが分離することを可能にし、そして、ハブ210および細長シース202は剥ぎ取られて2つのピースになる。イントロデューサが剥ぎ取られた後、経皮ポンプ100は血管240内の所定の位置に残される。
【0040】
本発明のさまざまな局面の他の目的、利点、および局面は、本発明の分野における当業者に明らかであると考えられ、かつ、本明細書の説明および添付の図面の範囲内である。例えば、構造的または機能的な要素が再編成されてもよいが、それに限定されるわけではない。同様に、本発明に基づく原理が他の例に適用されてもよく、そうした例は、本明細書に具体的に説明されていなくとも、本発明の範囲内に入る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13