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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】データ送信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20230728BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230728BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230728BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04Q9/00 311J
G06K7/10 464
G06K19/06 112
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020544159
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 FI2018050805
(87)【国際公開番号】W WO2019086763
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】20175981
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520152559
【氏名又は名称】ログモレ オユ
【氏名又は名称原語表記】LOGMORE OY
【住所又は居所原語表記】Korkeavuorenkatu 35,00130 Helsinki,Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ユハラ,ヤンネ
(72)【発明者】
【氏名】タピオ,アンティ
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-187857(JP,A)
【文献】特開2011-022720(JP,A)
【文献】特開2000-302211(JP,A)
【文献】特開2002-282217(JP,A)
【文献】特開2012-173434(JP,A)
【文献】特開2011-166295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00- 7/14
G06K 19/00-19/18
H03J 9/00- 9/06
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
H04Q 9/00- 9/16
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定データ(19)を作成および収集するためのメモリ(16)を備えた測定手段(15)と、
前記測定手段(15)を使用して作成された前記測定データ(19)を含む機械読み取り可能なコード(12)を示すための出力デバイス(14、14’)と、
前記出力デバイス(14、14’)および前記測定手段(15)用の電源(17)と、
前記測定データ(19)を処理および/または格納するためのサーバ構成(11)と、
前記出力デバイス(14、14’)から前記コード(12)を読み取り、前記サーバ構成(11)のデータ送信が設定された1つまたは複数の読み取りデバイス(13.1、13.2)と、を具備し、
出力デバイス(14、14’)とメモリ(16)を備えた測定手段(15)とがモニタリング対象(20.1、20.2)に配置され、前記モニタリング対象(20.1、20.2)のうち1つまたはそれ以上を配置したデータ送信システム(10)において
前記出力デバイス(14、14’)は、前記出力デバイス(14、14’)がゼロパワーに設定されるパッシブ状態を有し、
前記出力デバイス(14、14’)は、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)を使用して読み取り可能なコード(12)を、前記ゼロパワーパッシブ状態で示すように設定され
前記読み取りデバイス(13.1、13.2)の少なくとも一部は、データ出力手段(32’)を備え、
前記モニタリング対象(20.1、20.2)に関するコンテキストデータ(33)は、前記サーバ構成(11)から前記読み取りデバイス(13.1、13.2)に移動して、前記データ出力手段(32’)によって前記読み取りデバイス(13.1、13.2)上に示されるように設定され、さらに、
前記コンテキストデータ(33)の少なくとも一部は、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)によって読み取られ、前記コード(12)から処理され且つ前記コード(12)に基づいて前記サーバ構成(11)によって作成されることを特徴とするデータ送信システム。
【請求項2】
前記サーバ構成(11)と測定手段(15)および出力デバイス(14、14’)から形成される測定装置(30)との間のデータ送信は、双方向に前記読み取りデバイス(13.1、13.2)を介して行われる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記測定手段(15)および前記出力デバイス(14)から形成されるように設定された測定装置(30)の動作は、読み取りデバイス(13.1、13.2)を介してサーバ構成(11)によって制御されるように設定され、
前記制御により、
前記測定装置(30)から測定データ(19)を収集する要求、
前記測定装置(30)に属する測定手段(15)および/または出力デバイス(14、14’)の励起、
前記測定装置(30)のクロックの同期、
例えば、起動および/または設定の変更に関連する前記測定手段(15)および/または出力デバイス(14)の設定、
のうち1つまたはそれ以上が、前記サーバ構成(11)から前記測定装置(30)に送信されるように設定される請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記測定装置(30)の設定を行うため、
前記サーバ構成(11)は、前記設定が符号化されたウェブコンテンツ(34)を作成し(604)、前記作成したウェブコンテンツ(34)を読み取りデバイス(13.1、13.2)上に示すように設定され、
前記読み取りデバイス(13.1、13.2)は、前記サーバ構成(11)から前記ウェブコンテンツ(34)を受信し(607)、前記測定装置(30)に設定を入力するために前記受信したウェブコンテンツ(34)を示す(608)ように設定され、
前記測定装置(30)は、前記ウェブコンテンツ(34)を検出し、前記検出したウェブコンテンツ(34)から前記設定を復号する(609)ように設定される請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記測定装置(30)の設定は、前記サーバ構成(11)が前記読み取りデバイス(13.1、13.2)を介して前記測定装置(30)の制御を行う前に前記サーバ構成(11)によって作成されたウェブページを介して、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)によって前記サーバ構成(11)に決定される(603)ように設定される請求項3または4に記載に記載のシステム。
【請求項6】
受信手段(27’)は、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)を介して前記サーバ構成(11)によって前記測定装置(30)の制御を行うように、前記測定装置(30)に接続して配置され、
データ入力手段(32’’)は、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)によって前記測定装置(30)の前記制御を行うように、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)に接続して配置される請求項2~5のいずれか一項に記載に記載のシステム。
【請求項7】
前記読み取りデバイス(13.1、13.2)のディスプレイ(32)などの光を形成するように配置された要素(32*)は、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)のデータ入力手段(32’’)として機能するように配置される請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記測定装置(30)から測定データ(19)を収集する要求が、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)によって読み取られた前記コード(12)への応答として作成および送信され、前記応答に基づいて送信が行われるように設定される請求項3~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記サーバ構成(11)は、前記測定装置(30)から測定データ(19)を収集する必要があるか否かを、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)によって読み取られた前記コード(12)に基づいて判定するように設定される請求項3~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記測定手段(15)は、
測定データ(19)を作成するための1つまたはそれ以上の形成手段(18)と、
前記出力デバイス(14、14’)用の形成手段(18)によって作成された前記測定データ(19)を処理するプロセッサ手段(21)と、を具備する請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記測定手段(15)は、前記メモリ(16)と共に低電力である請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記出力デバイス(14、14’)は、出力1つまたはそれ以上のバッチである動的な電子ペーパーディスプレイまたはワンユースの出力手段であり、
前記読み取りデバイス(13.1、13.2)は、モバイルデバイス、データ送信手段を備えたカメラデバイス、ARメガネ、およびVRメガネのうち1つまたはそれ以上を含む請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
紙状または同様のワンユースの出力手段は、前記測定手段(15)によって作成されたおよび/またはそこで処理された前記測定データ(19)から、例えば、物理的、化学的、および/または電気的効果によって、コード(12)を作成する出力デバイス(14’)となるように設定され、前記ワンユースの出力手段は、例えば、モニタリングが終了した際にモニタリング対象(20.1)から取り外すことができる請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記測定手段(15)のメモリ(16)は、例えばFRAMタイプのメモリなど不揮発性の低電力メモリを含んで配置される請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記機械読み取り可能なコード(12)は、前記測定装置(30)に属するディスプレイコントローラ(23)によって作成される前記コード(12)の主要部分を形成する静的部分(12’、12’’’)を含むように、または物理的なプリントアウトとして設定される、および特に測定データ(19)および/または同様の可変データ用に設定された可変部(12’’)として設定される請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記測定手段(15)は、例えばワンユースの暗号化キー(62)を使用するXOR暗号化方法などの低電力暗号化方法を使用して前記測定データ(19)を暗号化するように設定される、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記暗号化された測定データ(63)は、すでに暗号化に使用された前記暗号化キー(62)のメモリ位置に格納されるように設定される請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記モニタリング対象(31)は、暗号化に基づいて認証されるように設定される請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記読み取りデバイス(13.1、13.2)のユーザ(29)の、前記モニタリング対象(20.1、20.2)に対する存在を認証し、
前記サーバ構成(11)は、認証IDが符号化されたウェブコンテンツを作成し、前記読み取りデバイス(13.1、13.2)上に示すように設定され、
前記読み取りデバイス(13.1、13.2)は、前記サーバ構成(11)から前記ウェブコンテンツ受信し、前記測定装置(30)に前記認証IDを入力するために前記受信したウェブコンテンツ示すように設定され、
前記測定装置(30)は、前記ウェブコンテンツを検出し、前記検出したウェブコンテンツから前記認証IDを復号する(609)ように設定され、
前記測定装置(30)は、前記認証IDに基づいて前記コード(12)を更新し、前記更新したコード(12)を出力デバイス(14、14’)に示すように設定され、
前記読取デバイス(13.1、13.2)は、前記コード(12)を読み取り、前記コード(12)中に配置されたデータを前記サーバ構成(11)に送信するように設定され、
前記サーバ構成(11)は、前記データに基づいて、前記ユーザ(29)の前記モニタリング対象(20.1、20.2)に対する存在を認証するように設定される請求項2~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
モニタリング対象(20.1、20.2、31)をモニタリングする請求項1~19のいずれか一項に記載のデータ送信システム(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信システムに関し、前記データ送信システムは、
測定データを作成および収集するためのメモリを備えた測定手段と、
前記測定手段を使用して作成された前記測定データを含む機械読み取り可能なコードを示すための出力デバイスと、
前記出力デバイスおよび前記測定手段用の電源と、
前記測定データを処理および/または格納するためのサーバ構成と、
前記出力デバイスから前記コードを読み取り、前記サーバ構成の前記データ送信が設定された1つまたは複数の読み取りデバイスと、を具備し、
出力デバイスとメモリを備えた測定手段とがモニタリング対象に配置され、前記モニタリング対象のうち1つまたはそれ以上が前記システムに配置される。
【背景技術】
【0002】
動的QRコード(登録商標)、より広義にはコードを利用したモニタリングソリューションは、国際公開WO 2013/046231 A1により既知である。その中で、モニタリングされている対象の状態が変化すると、QRコードも、当該状態に対応するように更新される。言い換えると、対象の状態データは、サーバのURLアドレスを含むQRコードに含むことができる。QRコードは、例えばモバイルデバイスのカメラおよびQRコードアプリケーションを利用する既知の方法で読み取ることができる。当該読み取りに基づいて、QRコードで特定されたサーバにサービス要求が送信され、QRコードに含まれる対象状態データおよび測定データも、同じサービス要求を利用して送信される。
【0003】
また、上述の種類の別のソリューションが、米国特許出願公開US 2017/0270249 A1から既知である。ここで既知であるのは、動的QRコードを使用して埋め込みURLアドレスにデータを転送することであり、これは医療機器に利用されている。
【0004】
しかしながら、上述のソリューションのいくつかの欠点は、それらの電力消費の高さと、外部からの継続的な電力供給を受けない対象に対する適用性の低さである。さらに、上記ソリューションは、例えば、物流アプリケーションへの適用が困難である。物流デリバリチェーンでは、通常、膨大なグループのモニタリング対象が、常時モニタリングされるだけでなく、デリバリチェーンの様々な段階においてモニタリングされる。これにより、システムのユーザビリティに困難が生じる。対象のモニタリングに関連する動作は、可能な限り簡単にする必要がある。例えば、システムを起動する場合、データを読み取り、これをサーバに送信することで、対象のモニタリングが、実質的にコストに影響しなくなる。より広いレベルでは、モニタリングの利便性についても同様のことが言える。また、読み取りデバイスを実装する場合、システムは可能な限りシンプルにする必要があり、これにより、システムの実装に関連する読み取りデバイスの特別な設定または特徴をシステムが要求することなく、機械読み取り可能なコード読み取り機能を備えたコンシューマデバイスを用いることができる。
【0005】
上記に加え、測定手段の動作を制御する場合、例えば、起動中における当該測定手段のプログラミングなど、同様の利便性の問題が生じる。従って、価格が上昇し、特に大容量アプリケーションでのユーザビリティが低下するため、測定手段は、要件の厳しいデータ入力手段を備えることができない。データの読み取りと送信に加えて、測定手段の起動とプログラミングも可能な限りシンプルにする必要があり、これにより、大容量アプリケーションであってもシステムのユーザビリティが劣化しない、すなわち、システムに関連する動作に過度の時間や労力がかからない。
【0006】
既知のソリューションでの暗号化と認証であっても、実装の信頼性に多くの課題が残る。QRコードで送信されるデータの量は限られており、多くの場合不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開WO 2013/046231 A1
【文献】米国特許出願公開US 2017/0270249 A1
【発明の概要】
【0008】
本発明は、改善されたデータ送信システムを作成することを目的とする。本発明に係るシステムの特徴は、添付の請求項1に記載の通りである。
【0009】
本発明は、例えば、幹線電力など外部からの継続的な電力供給を受けない大容量のモニタリング対象のための、利便性に優れたデータ送信システムを可能にする。本発明では、測定手段により作成された測定データを含む機械読み取り可能なコードを示し、モニタリング対象に配置される出力デバイスは、ゼロパワーになるように設定されたパッシブ状態を有する。さらに、出力デバイスは、読み取りデバイスで読み取り可能なコードを、ゼロパワーのパッシブ状態で示すように設定される。その場合、出力デバイスは低電力であると言うことができる。モニタリング対象に配置される出力デバイスも測定手段の電源も、セルフパワー式とすることができる。出力デバイスに加えて、測定手段も、メモリ同様に低電力にすることができる。本発明によれば、好ましくはモニタリング対象の全寿命を通して持続する、非常にエネルギー効率の高いシステムを実施することができる。
【0010】
システムのユーザビリティに関連する重大な利点は、読み取りデバイスで読み取り可能なコードをパッシブ状態のゼロパワーで示すように設定される出力デバイスの特徴によっても、実現される。また、電力を抑えることに加えて、測定手段をセルフパワー式として実装することができるとともに、所望のコードを読み取り、ユーザに特別な操作を行わせることなく、表示することができる。これは、読み取るべきモニタリング対象が大量にあり、コードの呼び出しに関する操作が動作を遅くする場合の大容量アプリケーションのユーザビリティに対する重大な利点である。本特徴によれば、コードを、例えば常時読み取ることができる。
【0011】
一実施形態によれば、本発明では、測定手段および出力デバイスで形成される測定装置とサーバ構成との間で双方向にデータ送信を行うことができ、好ましくは、読み取りデバイスによる送信が行われる。従って、測定データを測定手段からサーバ構成に送信することに加えて、サーバ構成を使用して、より具体的にはサーバ構成を介して、測定装置を制御することができる。この制御によって、読み取りデバイスは異なる複数のタスクを行うことができる。読み取りデバイスは、測定装置の設定に用いることができる。これには、例えば、読み取りデバイスを使用して測定装置に設定を入力することが含まれる。一方で、当該設定は、サーバ構成から、または元の読み取りデバイス自体から入力される。従って、読み取りデバイスを使用した測定装置の設定においては、設定を入力することに加えて、このように、測定装置をそれぞれプログラミングする前に、読み取りデバイスからサーバ構成に対して設定を行うことを含んでもよい。読み取りデバイスによる設定、または他の方法でサーバ構成に対して行う設定に基づいて、サーバ構成は、例えばウェブコンテンツを形成することができ、当該ウェブコンテンツは、設定が符号化されており、読み取りデバイスを使用してサーバ構成から受信される。続いて、読み取りデバイス側において、当該ウェブコンテンツ内に符号化されている設定が、測定装置に入力される。これにより、上述のように既知のコンシューマデバイスを使用する場合であっても、追加の特徴、機能、またはソフトウェアを必要とせずに測定装置に関連する設定を容易に行うことができるため、システムのユーザビリティが向上する。
【0012】
さらに、一実施形態によれば、双方向データ送信によって、読み取りデバイスが、1つのビジュアルコードに一致しない測定対象から測定データを読み取ることができる。読み取りデバイスは、前のコードを読み取ってサーバ構成に送信した直後に、次のコードを要求できることが望ましい。これにより、大量のデータを簡単に読み取ることが可能になる。さらに、双方向データ送信によって、測定装置および/またはそれに属する出力デバイスの励起のみならず、サーバ構成による測定装置のクロック同期も可能になる。
【0013】
一実施形態によれば、本発明は、低電力を使用して暗号化を実施することも可能にする。低電力暗号化を実施する1つの方法は、乱数とXOR暗号化方式とに基づくワンユース鍵暗号化である。これにより、より大きなプロセッサパワーを必要とする暗号化アルゴリズムなしに、必要となるメモリ容量が比較的小さく、エネルギー効率の高い暗号化を実施するための簡単な方法を提供することができる。
【0014】
本発明によれば、対象のデータを収集、作成、送信および処理するための、改善がされ、利便性に優れ、エネルギー効率が良く、データのセキュリティが高いデータ送信システムを実施することが可能である。低電力出力デバイス、プロセッサ、および測定手段に属し、測定装置および/またはモニタリング対象の耐用年数を満たすように容量が設定されたメモリは、簡単なユーザビリティ、および効率的かつシンプルに実現可能な暗号化と組み合わせて、本発明によるデータ送信システムの上記利点および既知のシステムに関連する改善を実現可能にする。本発明の他の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されており、得られる追加の利点は、明細書部分に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の説明において、本発明は、以下に示される実施形態に限定されず、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【0016】
図1図1は、データ送信システムの一例を簡略化して示す概略図である。
図2図2は、モニタリング対象に位置する測定装置の一例を簡略化して示す概略図を、ブロック図として示す概略図である。
図3図3は、ディスプレイデバイスおよび当該デバイスの示すコードの概略例を示す図である。
図4図4は、本発明によるシステムの動作を段階的に示すフロー図である。
図5図5は、測定データを処理する際の、システムに設けられた様々なパーツ間のシーケンス図である。
図6図6は、測定装置で設定を行う際の、システムに設けられた様々なパーツ間のシーケンス図である。
図7図7は、本発明において暗号化および復号化に使用される暗号化方法の一例を示す図である。
図8図8a~8cは、読み取りデバイスの実装に関連する別の実施形態の例を示す図である。
図9図9は、測定装置に属する電子機器の例を示す図である。
図10図10aおよび10bは、低電力実装としての機械読み取り可能なコードに関連する複数の例を示す図である。
図11図11は、例えば図10aまたは10bの低電力機械読み取り可能なコードを実装する1つの方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、データ送信システム10の一例を簡略化して示す概略図である。システム10の基本構成要素は、サーバ構成11、1つまたはそれ以上の読み取りデバイス13.1、13.2、およびモニタリング対象20.1、20.2に配置された測定装置30を含む。この測定装置30は、そのパーツとして、出力デバイス14と、メモリ16を備えた測定手段15と、電源17とを含む(図2)。出力デバイス14および、メモリ16を備えた測定手段15は、より広義には測定装置30は、モニタリング対象20.1、20.2に配置され、1つまたはそれ以上のモニタリング対象がシステム10に配置されてもよい。モニタリング対象は、固定であってもよいし、移動してもよい。固定のモニタリング対象の一例は、建物であり、例えば、湿度が測定されて格納される。移動するモニタリング対象の一例は、冷凍品の搬送手段とその中の搬送ユニットである。この場合、例えば搬送手段またはその中の個々の製品パッケージのコールドチェーンの温度を測定して格納することができる。
【0018】
図1は、測定装置30の出力デバイス14のみをより詳細に示す。出力デバイス14は、測定手段15によって作成された測定データ19に含まれる機械読み取り可能なコード12を示すことで、読み取りデバイス13.1、13.2によって読み取られる測定データ19を提供することを目的とする。コードの代わりに、機械読み取り可能なグラフィック識別子を参照してもよい。モニタリング対象20.1、20.2に関連するデータは、符号化された形式でコード12に配置される。さらに、コード12は、コード12の符号化データ19が読み取られた後どこに送信されるかについての情報を含むこともできる。
【0019】
出力デバイス14は、例えば、読み取り可能なコード12を示すのに使用することのできる読み取り可能なデバイス、ディスプレイであり、従って、コード12は、可視光学コード24であることが好ましい。コード12の一例はQR(クイックレスポンス)コード24である。コード12は、高速に復号および読み取りがされることをその特徴としてもよい。さらに、コード12の読み取りについて、当該コード12を読み取る特別なデバイスを配置する必要はなく、既知のコンシューマモデルの読み取りデバイスを使用して処理できる点において有利である。コード12は、主に、出力デバイス14上で常時可視である。一方、設定された基準に基づいて、出力デバイス14上で可視とすることもできる。これらの一例として、測定装置30用の設定基準による励起、設定基準による測定装置30の位置データ、および/または他の基準(例えば、システム10のユーザ/管理者が設定可能な時間ベースの基準)を用いてもよい。
【0020】
コード12を示すための励起として、例えば、出力デバイス14のボタンを押下してもよいし、光または音声信号など、出力デバイス14で検出され励起として識別される信号であってもよい。励起は、例えば、読み取りデバイス13.1、13.2によって与えることができる。励起は、例えばサーバ構成11によって生成することができる。励起は、例えば、読み取りデバイス13.1、13.2を介して、出力デバイス14に送信してもよい。これは、サーバ構成11による、読み取りデバイス13.1、13.2を介した、出力デバイス14および/または測定手段15の、より広義には測定装置30の、遠隔制御をより広義に指してもよい。
【0021】
出力デバイス14、14’は、電力消費の状態が異なるタイプであってもよい。これらの出力デバイス14、14’の状態の1つは、パッシブな電力消費状態を示してもよい(例えば、「スリープモード」)。パッシブ状態では、出力デバイス14、14’はゼロ電流に設定される、すなわち、実質的には電力を消費しない。さらに、出力デバイス14、14’は、読み取りデバイス13.1、13.2を使用して読み取り可能なコード12を、ゼロパワーのパッシブ状態で示すように設定される、あるいはそのように設定されるべきである。出力デバイス14、14’は、コード12が更新された場合にのみ電流を使用すると言うことができる。出力デバイス14、14’は、低電流であるとも言うことができる。さらに、セルフパワー式で実装することもできる。出力デバイス14、14’の更新を停止してもよい。これは、例えばコード12を読み取らないことが分かっている場合など、特定の場合に実行可能である。これは、例えば、手動で設定された期間であってもよい。または、測定装置30に属するフォトセンサ27に基づく適応省電力状態であってもよい。この場合、例えば真っ暗な場合、出力デバイス14、14’は更新されない。さらに、温度および/または振動に基づく基準を用いてもよい。
【0022】
コード12が出力デバイス14、14’にいつ示されるかは、例えば、上述したように適宜設定することができる。システム10のユーザビリティの観点からも、パッシブ状態の場合にコード12を示す出力デバイス14、14’が望ましい。コード12を呼び出すための操作を別途行う必要がなく、必要なときにいつでも読み取ることができる。本特徴は、実質的にモニタリング対象20.1、20.2の読み取りを高速化する。
【0023】
出力デバイス14の例として、例えばe-Inkまたはe-Paperディスプレイとして一般に知られる電子ペーパーディスプレイ技術に基づく表示手段を用いることができる。商用例の1つとして、Good Display社製のGDEW0154T8が挙げられる。出力デバイスは、ワンユースの出力手段14’(図8a~8c)であってもよいし、例えば、パルス式のディスプレイであってもよい。従って、出力デバイス14、14’は動的であっても静的であってもよい。
【0024】
システム10は、出力デバイス14から測定データ19を含むコード12を読み取り、サーバ構成11とデータ送信を行う、1つまたはそれ以上の読み取りデバイス13.1、13.2を含む。さらに、読み取りデバイス13.1、13.2の少なくとも一部は、サーバ構成11との双方向データ送信用に設定してもよい。読み取りデバイスは、例えば、カメラ付き移動局、「スマートフォン」、タブレットデバイスなど人13.1が操作する読み取りデバイス13.1であってもよいし、例えば、ARまたはVR(Augmented Reality:拡張現実/Virtual Reality:仮想現実)メガネであってもよい。読み取りデバイス13.1は、光学およびグラフィックコード12を読み取るための機能28(例えば、QRコード24読み取りデバイスとして使用されるカメラ、および送信/サービス要求用のQRコードを処理する機能)を備えることができる、および/または出力デバイス14の励起を生成することができる。機能28は、ビジュアルQRコード24をデータに復号するため、さらに、好ましくはデータをQRコード24に含まれるインターネットアドレスに送信するために、用いることができる。
【0025】
読み取りデバイス13.2は自動であってもよい。読み取りデバイス13.2は、データ送信ネットワークに結合されることでデータ送信手段を得たカメラを使用して実装可能であり、コード12として機能する光学コード24を移動局のように読み取るデータ送信手段を備えることができる、および/または出力デバイス14の励起を生成することができる。例えば、まさに移動局などの読み取りデバイス13.2は、例えば、コンベアベルト上を移動するモニタリング対象をモニタリングしてもよく、対象が読み取りデバイス13.2を通過する際に自動的に読み取りを行う。
【0026】
システム10に属するサーバ構成11は、例えば、測定手段15、すなわち測定装置30からコード12を読み取ることで得られた測定データ19を処理および/または格納するためのものである。サーバ構成11は、少なくとも1台のサーバコンピュータを含むクラウドシステムまたはサービスを形成してもよい。コード12を読み取った結果、読み取りデバイス13.1、13.2は、測定装置30からサーバ構成11に測定データ19を送信する。次に、サーバ構成11は、測定データ19を格納および処理し、必要に応じて、例えば、読み取りデバイス13.1、13.2に返送する。読み取りデバイス13.1、13.2、およびサーバ構成11は、例えば、モバイルネットワークなどの無線データ送信ネットワークを介して、相互に結合してもよい。
【0027】
図2は、モニタリング対象20.1に属する動作の一例を簡略化して示す概略図である。この図における動作は、測定装置30の広義な名称の下で理解することができる。測定装置30は、出力デバイス14、すなわちディスプレイを含む。データ送信コードとして機能するコード12、ここではすなわち光学QRコード24が形成され、出力デバイス14によって視覚的に示される。ディスプレイの少なくとも一部は、例えば、以下に記載されるように、LCDディスプレイで形成してもよいし、または、上述したように、ディスプレイ上に描かれた図形を維持するのに電気を必要としないディスプレイで形成してもよい。このようなディスプレイ技術の例としては、e-Inkまたはe-Paperディスプレイなどの電子ペーパーディスプレイ技術(EPD)に基づくディスプレイがある。図形が1回限り描画されるワンユースディスプレイも、ディスプレイ技術として機能することができる。当然ながら、描画は1つまたはそれ以上のバッチで、例えば、ディスプレイの異なる領域で行うことができる。図8a~8cは、本実施形態を幾分詳細に示す。
【0028】
測定装置30は、出力デバイス14だけでなく、測定データ19を形成して収集するためのメモリ16を備えた測定手段15も含む。測定データ19は、所定の方式でメモリ16に格納される。コード12、ここではすなわちQRコード24が、メモリ16に格納された測定データ19から、出力デバイス14で表示するために形成される。測定手段15は、測定データ19を作成するための1つまたはそれ以上の形成手段18と、形成手段18によって作成された測定データ19を出力デバイス14用に処理し(QRコード24の作成)、場合に応じて(QRコード24の作成前に)測定データ19を暗号化するプロセッサ手段21と、を含んでもよい。メモリ16を備えた手段18および21は、データ収集デバイスまたはデータロガーと呼ばれてもよい。このように、形成デバイス18は、所定の方式で測定データ19を作成して、例えば、物流チェーンにおいてより長期間にわたってモニタリング対象20.1、20.2を常時モニタリングし、メモリ16内の測定データ19を収集することができる。
【0029】
形成手段18は、データを生成する任意のデバイスであってよく、例えば、温度、圧力、または湿度などの測定データを生成する1つまたはそれ以上のセンサ18.1などであってもよい。形成手段18は、例えば、別の測定装置など他の装置への接続などの、外部データソース18.2であってもよい。形成手段18は、例えば、データ変換器18.3であってもよい。形成手段18は、例えば、外部データソースをリスニングし、プロセッサ手段21との互換性を有するようにデータを変換することができる。作成手段は、数学的アルゴリズムを理解することができる。これにより、すでに測定手段15と接続中のセンサデータによって生成された生データから、より洗練された測定データを作成することができる。
【0030】
プロセッサ手段21は、少なくとも1つのプロセッサ21’を含み、これは、例えば、形成手段21によって出力デバイス14用に作成された測定データ19を処理し、場合に応じて測定データ19を暗号化するためのものである。プロセッサ21’は、形成手段18からデータ19を読み取って格納し、場合に応じて暗号化を行い、送信することが意図され、好ましくは暗号化された測定データ19に基づいて、光データ送信に使用されるコード12、識別子コードを形成する。プロセッサ21は、例えば、プロセッサ基盤22上に位置してもよいし、処理に必要なメモリ16を含んでもよい。測定データ19およびそれから形成されたコード12を格納するのに必要なメモリ16は、独立したメモリであってもよいし、またはプロセッサ回路内に組み込まれてもよい。出力デバイス14に加えて、メモリ16を備えた測定手段15も低電力とすることができる。低電力測定手段15のプロセッサ21のプロセッサ回路の一例として、Texas Instruments社製のMSP430シリーズが挙げられる。
【0031】
一実施形態によれば、測定手段15に属する低電力メモリ16は、例えば、不揮発性メモリであってもよい。この一例として、例えば、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory:強誘電体ランダムアクセスメモリ)タイプのメモリが挙げられる。この場合の不揮発性とは、メモリ16にデータを保持するためにメモリを常時リフレッシュする必要がないことを指し、まさに低電力の所以である。他の既知のFRAMタイプのメモリは、一般に、プロバイダに応じて、F-RAMまたはFeRAMの略称で知られる。また、メモリは、既知のFRAMタイプのメモリの動作原理に基づいて開発中のタイプに対応する低電力メモリのみであってもよい。これらは、メモリの内容が、例えばFLASHメモリと比較して比較的低消費電力で変更できることを特徴としており、これにより、メモリ側での電力が低下する。適切な低電力メモリの別の例として、FRAMタイプのメモリの代わりに、抵抗性RAMタイプのメモリ(RRAMまたはReRAM)を用いてもよい。不揮発性メモリの代わりに、所要電力が極めて低いタイプを、例えばメモリストレージおよび/またはメモリのメンテナンスに用いることもできるが、それらは、0.5~3年など適切な動作期間持続するように設定されている。
【0032】
また、プロセッサ手段21は、省電力特性を備えることができる。一実施形態によれば、プロセッサ手段21は低電力モード(LPM)を有することができ、当該モードは、必要でない場合には、割り込みを利用してプロセッサをオフに切り替えることができる。その場合の消費電力は極めて僅かである。FRAMタイプのメモリの場合、動作電圧は、例えば0.5~4ボルト、特に1~2ボルトであるが、これは、フラッシュメモリの電圧要件の典型例である10ボルトよりも明らかに小さくなるように設定されている。
【0033】
また、測定装置30は、プロセッサ21’から得られたデータに基づいてディスプレイを制御するディスプレイコントローラ23を含んでもよい。ディスプレイコントローラ23は、プロセッサ回路またはディスプレイパネル中に組み込んでもよい。
【0034】
また、測定装置30は、出力デバイス14および測定手段15用の電源17を含む。測定装置30に属するデバイスおよび手段は、必要に応じて電源17から動作電力を得る。電源17は、例えば、電池17.1であってもよいし、例えば、電磁波、振動、光、または熱からエネルギーを生成することのできるエネルギーハーベスタ17.2であってもよい。しかしながら、出力デバイス14および測定手段15用の電源17は、ローカルのセルフパワー式であることが好ましい。これにより、モニタリング対象20.1、20.2は、その動作時間のほとんどの間、固定主電源なしで用いることができる。電源17は、例えば、測定期間または測定装置30の寿命、例えば、0.5~3年だけ持続するサイズであってもよい。また、測定の期間または測定装置30の寿命の基準の一可能性として、メモリ16がいっぱいになる期間を用いてもよい。
【0035】
図9は、測定装置30に属する電子機器の一例を示す図である。その主要部分には、上記の参照番号が付される。図9は、回路基盤38上に配置された電池17.1、CPU21’、温度センサ18.1、および外部接続用のプログラミングピンとピン18’を示す。出力デバイス14は、基盤へのリボン接続37を有する。測定装置30において、出力デバイス14は、リボン接続37から回路基板38の後部に向けて折り畳まれる。
【0036】
図3は、出力デバイス14とそこに示されるコード12の例を概略的に示す。出力デバイス14では、コード12は、例えばQRコード24などの動的な視覚的グラフィック要素で示される。QRコード24は、あるいはより広義にはコード12は、常時表示してもよいし、必要な場合または要求のあった場合にのみ表示してもよい。加えて、出力デバイス14は、例えば、適宜更新が可能な、瞬時的測定値25を示すのに用いることができる。データ25および測定データ19は、例えば、温度、湿度、加速度、二酸化炭素、何らかの電気的変数、もしくはその他任意の測定可能な変数であってもよいし、測定可能な変数の最小値、最大値、平均値、または履歴に基づく他の値であってもよいし、測定された変数から計算された結果であってもよい。
【0037】
さらに、出力デバイス14を使用して、例えば、可視警告サイン26を表示してもよく、その外観を測定装置30でプログラミングしてもよい。警告サインは、例えば、温度または超過温度の合計が所定の制限値を超えた場合に表示してもよい。
【0038】
一実施形態によれば、受信手段27’は、測定装置30と接続して配置され、例えば、読み取りデバイス13によって中継される、測定装置30から測定データ19を収集する要求を検出する。より広義には、受信手段27’は、サーバ構成11が読み取りデバイス13.1、13.2を介して測定装置30を制御するように、測定装置30に接続して配置されると言うことができる。受信手段27’については、例えば、出力デバイス14のボディに開口部を備えてもよく、この後ろに、出力デバイス14を励起するのに必要なセンサ27がある。センサ27は、例えば、マイクロフォンやフォトセンサであってもよいし、より深くすることのできる場合には磁力計であってもよい。このようなセンサ27を用いることで、例えばスマートフォンなどの読み取りデバイス13.1は、出力デバイス14のみならず測定手段15と通信を行い、特に、これらを制御することができる。このように、スマートフォンは、例えば、コード12を更新する必要があること、または次のコード12を順番に表示する必要があることを、出力デバイス14に通知することができる。また、このようにして、例えば測定装置30の設定を行うことも可能である。これらの実施形態は、以下の説明において適宜再度参照する。フォトセンサ27の商業的実施の例として、例えば、Lite-On社製のLTR-308ALS-01が挙げられる。
【0039】
図4は、モニタリング対象20.1からサーバ構成11に測定データ19を送信したい場合における、本発明に係るシステム10の動作を段階的なフロー図として示す。ステージ401において、出力デバイス14上で示したいビジュアルコード12が、読み取りデバイス13.1によって読み取ることができるか否かを確認する。読み取ることができない場合、すなわち、例えば可視でない場合、その励起ステージ402~405が行われる。ステージ402において、自動励起が可能か否かを確認する。可能である場合、ステージ404において、読み取りデバイス13.1から出力デバイス14に励起が送信され、その結果、ステージ405において、出力デバイス14が読み取り可能なコード12を示す。ステージ402において自動励起が不可能な場合、ステージ403では、例えば出力デバイス14のボタンを押すなどして、手動で励起がされる。再びステージ405の結果として、出力デバイス14はコード12を示す。
【0040】
ステージ401においてコード12が読み取り可能な場合、または励起手順の結果に基づいて、次のステージ406では、読み取りデバイス13.1がコード12を読み取る。読み取りデバイス13.1によって読み取られたコード12をサーバ構成11が受信し、それに基づいてデータ送信を行った場合、ステージ407で、測定手段15からの追加のデータが必要であると判断され、ステージ401に戻る。
【0041】
ステージ408では、読み取りデバイス13.1を使用して、データがサーバ構成11に送信される。ステージ409では、サーバ構成11および/または読み取りデバイス13.1は、読み取ったおよび/または送信されたデータから、追加のデータが必要か否か、すなわち、例えばデータが不足している可能性があるか否かを調べることができる。必要な場合には、再度ステージ401に戻る。
【0042】
図5は、システム10に属する様々なパーツのシーケンス図を並列タイムラインとして示す。図5は、1つの状態更新手順を行うためのステージを示す。なお、ステージ501では、出力デバイス14には光学QRコード24があり、これは常時可視であり、読み取りデバイス13.1のカメラによって読み取られる。従って、読み取りデバイス13.1は、いつでもQRコード24を読み取ることができ、事前に出力デバイス14を励起/通知する必要はない。これにより、出力デバイス14、14’側では、出力デバイス14、14’をゼロパワーのパッシブ状態をすることができ、実質的に電力を使用せずにコード12を示すことができる。
【0043】
ステージ502において、読み取りデバイス13.1、例えば移動局は、出力デバイス14が示す、例えばQRコード24などの光学コード12の読み取りに成功し、データは、これを介して読み取りデバイス13.1に転送される。光学コード12内から読み取るデータは、例えば、Webアドレスまたはその他のデータであってもよい。ウェブリンクの場合、サーバ構成11に送信されるモニタリング対象20.1の測定データ19は、図3に示すように、QRコード24に含まれるウェブリンクに埋め込まれる。QRコード24に含まれるデータに既知のウェブリンクがない場合は、読み取りデバイス13.1には、所定の方式でデータを処理および送信するコードがあってもよい。
【0044】
ステージ503において、読み取りデバイス13.1は、例えばモバイルネットワークなどのデータ送信ネットワークを介して、データをサーバ構成11に送信する。QRコード24が通常のウェブリンクを含む場合、ユーザ29はQRコード24をスキャンしてそれによって決定されたウェブリンクを開くと、QRコード24から解凍されたデータ19が自動的にリンク(「URL」)にあるサーバ構成11に転送される。測定装置30の識別子IDは、読み取られたQRコード24および解凍されたリンクにも埋め込まれているため、サーバ構成11は、ユーザ29がどの測定装置30をスキャンしたかを把握することができる。
【0045】
ステージ504で、サーバ構成11は、読み取りデバイス13.1によって送信されたデータを受信、格納、および処理する。データが暗号化されている場合、サーバ構成11はデータの復号化も行う。データが圧縮されている場合、サーバ構成11はデータの解凍も行う。読み取りデバイス13.1が読み取って送信したデータは、サーバ構成11に格納される。同様に、QRコード24に含まれるウェブリンクをアクティベートすることで、ユーザ29を、サーバ構成11によって管理される情報ページに誘導することができる。
【0046】
一実施形態によれば、サーバ構成11と、例えば測定手段15および出力デバイス14で形成されるように配置された測定装置30との間におけるデータ送信は、双方向にかつ好ましくは読み取りデバイス13.1、13.2を介して行われるように設定される。そして、サーバ構成11と読み取りデバイス13.1の間、さらには読み取りデバイス13.1と測定装置30の間のデータ送信も双方向である。サーバ11と測定装置30との間の双方向データ送信により、複数の利点が得られた。例えば、読み取りデバイス13.1を介して、サーバ構成11によって測定装置30を制御することができる。
【0047】
さらに、サーバ構成11に送信されたデータは、例えば、1つのQRコード24で既に送信できたものよりもさらに多くの利用可能なデータをモニタリング対象20.1、すなわち出力デバイス14が有するかについての情報を、ヘッダデータとして含んでもよい。これにより、サーバ構成11は、出力デバイス14から追加のデータを取得する必要があるか否かを決定することができる。これにより、サーバ構成11は、例えば前回の送信から、読み取りデバイス13.1、13.2のコード12に基づいて、測定手段15から測定データ19を収集する必要があるか否かを判定するように設定される。
【0048】
必要なデータがすべてサーバ構成11に既に格納されているとサーバ構成11によって判断された場合、追加のデータは不要である。代わりに、データがまだ存在している/必要であると判断された場合、プロセス505において、サーバ構成11は、送信要求応答として、読み取りデバイス13.1に追加のデータを読み取らせるプロンプトデータを送信することができる。次に、読み取りデバイス13.1は、測定手段15から測定データ19を収集する要求を、サーバ構成11から測定手段15に送信するように設定される。測定手段15から測定データ19を収集する要求は、読み取りデバイス13.1、13.2によって事前に読み取られたコード12に対する応答として作成および中継され、これに基づいて送信、すなわちハンドシェイクが行われるように設定される。
【0049】
ステージ506では、読み取りデバイス13.1は、サーバ構成11によって作成および送信された要求を受信して、出力デバイス14から、あるいはより広義にはモニタリング対象20.1から、追加のデータを収集して読み取る。読み取りデバイス13.1は要求を受信し、それに基づいて、出力デバイス14に送信される設定に従って信号コマンドを作成する。追加のデータが必要ない場合、サーバ構成11は、データ送信手順が正常に終了したことのみ確認する。
【0050】
ステージ507では、読み取りデバイス13.1は、例えば光信号、音声信号などのコマンドを出力デバイス14に送信する、またはコマンドを作成して出力デバイス14に示すために、読み取りデバイス13.1のユーザ29に読み取りデバイス13.1/出力デバイス14の設定ボタンを押すようにガイドする。読み取りデバイス13.1は、このようにコマンドを使用して、サーバ構成11から要求された次の1つまたは複数の測定手段15のデータ19を要求する。
【0051】
ステージ508で、出力デバイス14は、次のデータバッチで光学コード12を更新する。ステージ509でコード12が更新されると、ステージ501に戻り、次のデータバッチに含まれるコード12を、読み取りデバイス13.1によって出力デバイス14から読み取ることができる。上述のように、ステージ502~504が繰り返される。この処理は、所望の場合にまたは必要に応じて、続けてもよい。
【0052】
一実施形態によれば、ステージ510において、サーバ構成11は、双方向データ送信の一部として、読み取りデバイス13.1、13.2がデータ出力手段32’を使用して示すモニタリング対象20.1、20.2に関するコンテキストデータ33を、読み取りデバイス13.1、13.2に転送するように設定される。サーバ構成11は、例えばユーザ29のユーザ権利レベルに基づいて、当該情報33をユーザ29に示すことができる。このコンテキストデータ33の少なくとも一部は、読み取りデバイス13.1、13.2によって読み取られたコード12および当該コード12から処理されたデータに基づいて、サーバ構成11によって作成される。このように、QRコード24を読み取った結果としてサーバ構成11に送信され、場合に応じてそこで処理されたデータ、および/または当該データをより洗練させた情報を、あるいはより広義にはコンテキスト情報33を、必要に応じて、ステージ511において読み取りデバイス13.1に転送し、例えば、ユーザ29に対して、直接、ウェブページなどの読み取りデバイス13.1のディスプレイ32にクリアテキストとして表示することができる。最もシンプルには、例えば、物流におけるモニタリング対象用に必要な場合、当該情報は、コールドチェーンに破損がないことを示すものであってもよい。この情報に基づいて、モニタリング対象の製品は、コールドチェーンが維持されている場合は、使用が承認され、コールドチェーンが破損している場合は、使用が拒否されるか、追加の確認が行われる。より広義に、ディスプレイ32は、情報出力手段32’と呼ばれてもよい。読み取りデバイス13.1、13.2の少なくとも一部は、情報出力手段32’を備えてもよい。
【0053】
図7は、本発明で使用される可能性がある、低電力でエネルギー効率の高い暗号化方法の一例を示す。当該方法は、まず、図の左側のブロック61において、暗号化キー62を使用してデータ63を暗号化し、次に、図の右側のブロック65において、暗号化キー66を使用して暗号化を解く方法である。このように、一実施形態によれば、測定手段15は、QRコード24を読み取った結果、すなわちQRコード24に基づいて、測定装置30からサーバ構成11に送信された測定データ19を暗号化するように設定されている。
【0054】
ブロック61は、測定手段15に関連して行われる。暗号化キー62は、測定手段15のメモリ16の全長であってもよいし、例えば、ワンユースの乱数キューであってもよい。暗号化キー62が同程度の長さを有することができる場合、メモリ16は、例えば、200Mbまたは1Gbとしてもよい。暗号化されたデータ63は、測定手段15のメモリ16に格納するデータであってもよいし、例えば、温度測定のデータであってもよい。暗号化するデータ63と暗号化キー62をXOR動作で組み合わせて、暗号化された測定データ64を得る。暗号化された測定データ64も、測定手段15のメモリ16に格納される。暗号化された測定データ64は、使用時に測定手段15のメモリ16に格納された暗号化キーのメモリ位置を置き換えることができる。言い換えると、暗号化された測定データ63は、その文字が使用される場合に、ワンユース暗号化キー62を上書きする。このように、メモリ16を非常に効率的に利用することができる。同時に、暗号化のために暗号化キー62が破壊され、測定手段15のメモリ16を読み取っても暗号化された測定データ63を開くことができない。
【0055】
暗号化キー62、66は乱数であってもよく、サーバ構成11にも格納される。暗号化キー62は、製造時に測定手段15のメモリ16に配置される。このように、各測定手段15は、それぞれ固有の乱数キューを暗号化キーとして有する個体である。サーバ構成11は、個々の測定手段15およびそれぞれの暗号化キー66を把握している。暗号化された測定データ63は測定手段15内に位置し、暗号化後の測定データ63は、暗号化キー62なしに外部エージェントによって開かれることはない。メモリ内において、その上に暗号化された測定データを格納することが好ましい。サーバ構成11へのデータ送信が何らかの理由で成功しない場合であっても、測定データは測定手段15のメモリ16内にあり、暗号化された測定データ63がQRコード24に基づいてサーバ構成11に送信されるまでは、読み取ることができない。
【0056】
ブロック65は、暗号化キー66を使用したデータ復号を示す。これはサーバ構成11で行われる。各測定手段15の暗号化キー66は、サーバ構成11に格納することもできる。この場合、サーバ構成11に送信された暗号化データ67は、XOR動作によって復号され、元の測定データ68を形成することができる。さらに、暗号化によって、モニタリング対象または製品31の認証も可能になる。言い換えれば、特定の測定手段15に割り当てられた暗号化キーを決定するための特定の数値範囲のデータが、当該測定手段15から来る。暗号化された測定データは、認証を行うための符号ビットを含んでもよい。暗号化された測定データが、例えば8ビットである場合、7ビットが暗号化された測定データであり、1ビットは、例えば、対応する暗号化キーのポイントから取得された符号ビットである。サーバは、符号ビットがどのポイントにあるかを把握しており、暗号化された測定データの出所、すなわち、真正の測定手段15からのものであることを、認証することができる。このように、モニタリング対象31は、暗号化に基づいて認証を行うように設定してもよい。XOR暗号化は、複雑なコンピューティングまたは暗号化アルゴリズムを必要としない。XOR暗号化は、軽いプロセッサ実装を使用して実現することができ、軽いデータ処理要件で実装される。さらにもう1つの利点として、暗号化アルゴリズムがなく、暗号化アルゴリズムを実際に暗号化する必要がない。暗号化キーまたは測定データが1つの測定手段ユニットから外部エージェントに漏洩した場合であっても、外部エージェントは、他の測定データユニットの測定データを開くことはできない。
【0057】
図8a~8cは、出力デバイス14’の可能な実装に関するさらに別の実施形態の例を示す。ここでの適用例は、冷却デリバリ31である。一実施形態によれば、出力デバイス14’は、ワンユース出力用であってもよい。このとき、デリバリ31の受信者は、例えば、経路、温度履歴などデリバリ31に関する情報、および/またはデリバリ元が本物であることを認証するクリアテキストの文書を印刷することもできる。ここで、出力デバイス14’は、紙状の、または同様のワンユースの出力手段として構成されており、この出力手段では、測定手段15によって作成された、またはそこで処理された測定データ19から、例えば、物理的(例えば、マトリックスまたは熱)、化学的、および/または電気的効果によって、情報を形成することができる。例えば感熱紙などのワンユース出力手段は、例えば、モニタリング終了時に、モニタリング対象20.1から取り外すことができるのが好ましい。ここでも、QRコード24は最初に移動局を使用して読み取られてサーバ構成11に送信され、サーバ構成11は、データが本物であることをデリバリ31の受信者に対して認証する。
【0058】
図8aではパッケージ31が搬送され、その間、出力デバイス14’はパッシブ状態である。このとき、指示可能なデータは空であってよい。ただし、搬送中、パッケージ31とその周辺(温度)に関する測定は常時行われ、パッケージ31が割り当てられた測定手段15を使用してメモリ16に格納される。
【0059】
図8bでは、パッケージ31が受信者の元に到着する。受信者は、例えば、自分の移動局のフラッシュまたはその他の光信号で、出力デバイス14’に内蔵された感光センサ27を介して、出力デバイス14’を励起することができる。当該励起により、QRコード24が、より広義にはコード12が、出力デバイス14’上に表示されて移動局で読み取り可能になるとともに、例えば、その時点の温度値が読み取り可能になる。上述のように、受信者は、自分の移動局でQRコード24を読み取ることで、パッケージ31に対応するQRコード24に含まれる履歴データを認証することができる。そして、移動局は、QRコード24に含まれる測定データ19を、例えば、サーバ構成11に宛てたQRコード24から決定されるWebアドレスに暗号化する。サーバ構成11は、QRコード24内の測定データ19をクリアテキストに復号化し、出力デバイス14’およびパッケージ31自体に示されるデータの出所を同時に認証して移動局に戻す。
【0060】
図8cによれば、出力デバイス14’は、パッケージ31から取り外すこともできる。受信者は、例えば自身におけるアーカイブ化の必要性に応じて、出力デバイス14’を取得することができる。ここで出力デバイス14’はワンユースであるため、非常に安価であり、大量生産にも適している。
【0061】
ワンユースの出力デバイス14’は、例えば、そのQRコード24を1回またはそれ以上の回数描画する、すなわち、1つまたはそれ以上のバッチで出力できることが好ましい。最初にQRコード24の一部を出力デバイス14’上で描画し、QRコード24用に確保されている出力デバイス14’の他の領域は空のままにしてもよい。データは後からQRコード24に追加することができ、すなわち、空の領域を埋めることができる。このように、QRコードのエラー訂正アルゴリズムを利用することで、ビジュアルコード24の様々な部分を埋めることができる。読み取りデバイス13.1、13.2は、上述の方法で更新および補足されるコード24を読み取る際に、このことを考慮に入れることができる。
【0062】
本発明によれば、ビジュアルコード12のみを読み取り、その後、埋め込まれたURLリンクを開く/承認することで、データ送信を、主には自動的に、かつ安全に行うことができる。これにより、システム10をユーザ29にとって使いやすいものにすることができる。認証に必要な情報がビジュアルコード12内においてすでに結合されているため、認証を自動的に行うことも可能である。
【0063】
また本発明によれば、モニタリング対象20.1、20.2の位置データを、読み取りデバイス13.1、13.2によって決定することができる。例えば、図5のステージ503の後、ユーザ29が読み取りデバイス13.1、13.2のブラウザ上でサーバ構成11のウェブページをダウンロードすると、サーバ構成11は、例えばHTML5 Geolocation APIを使用して、ユーザ29に位置データを要求することができる。これにより、読み取りデバイスとして機能する電話に追加のソフトウェアをインストールする必要なしに、読み取りデバイス13.1、13.2、さらにはモニタリング対象20.1、20.2を測位することができる。HTML5 Geolocation APIは、例えば、GPSやその他の測位方法を同様に用いることができる。電話、すなわち読み取りデバイス13.1、13.2がデータの読み取りおよびそれに続くデータ送信に関連する位置データを共有することをユーザ29が受け入れる場合、測定装置30の位置もサーバ構成11に格納される。従って、サーバ構成11は、測定装置30の走査位置を把握し、そして、地図上に描くこともできる。
【0064】
双方向データ送信に関する実施形態として、サーバ構成11は、測定手段15および/または出力デバイス14、より広義には測定装置30の動作を、読み取りデバイス13.1、13.2を介して制御するように構成される。読み取りデバイス13.1、13.2を使用して、1つまたはそれ以上の動作が設定され、サーバ構成11から測定装置30に送信される。双方向データ送信によって、例えば、サーバ構成11の制御下で、測定手段15/出力デバイス14が励起され、コード12が更新される。これにより、測定装置30自身が正確に設定されたクロックを有さなくても、タイムスタンプ下でデータを正確に組み合わせることが可能になる。これにより、エネルギーが節約される。
【0065】
また、本発明に係る双方向データ送信によれば、測定手段15および/または出力デバイス14、より広義には測定装置30のメモリ16における設定およびその他の値は、サーバ構成11の制御下で変更が可能である。例えば起動中における測定装置30のプログラミング/コンフィギュレーション、すなわちその設定を変更すること/設定を行うことについても同様のことが言える。
【0066】
図6は、例えば起動中または再コンフィギュレーション中における測定手段15、より広義には測定装置30、のコンフィギュレーションの一例を示す。ここでも、サーバ構成11と測定装置30の間における、読み取りデバイス13.1、13.2による双方向のデータ送信が利用される。すなわち、データはサーバ構成11から測定装置30へ送信される。
【0067】
サーバ構成11が読み取りデバイス13.1、13.2を介して測定装置30のプログラミングを行う前に、読み取りデバイス13.1、13.2は、例えば、起動中および/または設定変更中に測定装置30のプログラミングを行うようにサーバ構成11を制御するように設定される。読み取りデバイス13.1、13.2により、測定装置30の設定を決定してサーバ構成11に格納することについても同様のことが言える。例えば、最初にステージ601において、モニタリング対象20.1自体を識別することができる。これには複数の方法がある。当該識別は、例えば、読み取りデバイス13.1、13.2を使用して、モニタリング対象20.1、20.2のバーコード識別子または他の同様の識別子を読み取ることにより、あるいは、ユーザ29が読み取りデバイス13.1、13.2を用いた操作によってデータを作成し、次に、ステージ602においてモニタリング対象の識別データをサーバ構成11に送信することにより、可能である。もちろん、モニタリング対象は、当該対象に接続して配置された測定装置30の設定を決定する際に識別してもよいし、またはその後の別の動作において識別してもよい。測定装置30のID識別子または対象に取り付けるための運送状は、その識別として同様に機能することができる。モニタリング対象を識別することで、特定のモニタリング対象(例えば、パッケージまたはパレット)を、当該対象に配置される測定装置30に紐づけることができる。言い換えると、結果として、サーバ構成11は、測定装置30によって作成および示される際に読み取られるコード12が、どのモニタリング対象に関係するかを常時把握することができる。
【0068】
読み取りデバイス13.1、13.2が、サーバシステム11を、測定装置30のプログラミングを行う、より広義には設定を行うように制御することで、システム10のユーザ29は、例えば、測定を行うために、および/または測定装置30によってモニタリング対象のデータから形成されたデータを示すのに必要な測定装置30の設定または測定装置30に関する他の情報を、設定または変更することができる。設定は、サーバ構成11によって作成されたウェブページ上で決定することができ、当該ウェブページは、読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32上に示され、当該設定は、サーバ構成11に格納される。ユーザ29は、サーバ構成11によって作成されたウェブページ上で、例えば「タグを設定」を選択し、ステージ603のウェブページから設定を決定することができる。これらの設定は、例えば、測定間隔、ディスプレイ14の更新間隔、バッテリー節約設定、または、例えば測定手段15に関連する他の装置設定であってもよい。もちろん、読み取りデバイス13.1、13.2の代わりに、例えば、一部の外部デバイスから集中的にサーバ構成11の設定を行うこともできる。ステージ604では、例えば、ウェブページ上に示す視覚的表示または同様のウェブコンテンツが、サーバ構成11を使用して作成される。より広義には、サーバ構成11は、設定が符号化されたウェブコンテンツ34を作成して、読み取りデバイス13.1、13.2上に示すように設定される。視覚的表示とは別に、または一緒に、コンテンツ34は、例えば、音声を含んでもよい。
【0069】
ステージ605では、ユーザ29に、読み取りデバイス13.1、13.2および測定装置30を、これらのデバイスおよび装置の間でコンテンツデータ送信、あるいはプログラミングが行われるように、相互に設定するように要求することができる。さらに、サーバ構成11によって作成されたウェブコンテンツのダウンロード、および当該ウェブコンテンツの読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32上での表示をアクティベートするようにユーザ29に要求することができる。
【0070】
ユーザ29がサーバ構成11において所望の設定を決定し終えると、ステージ606の結果、ユーザ29は、当該設定を、ステージ604でサーバ構成11によって作成されたウェブページから、測定装置30に、例えば読み取りデバイス13.1、13.2を使用してダウンロードすることができる。これは、例えば、読み取りデバイス13.1、13.2のWebブラウザ39(図1)を使用して、あるいは、読み取りデバイス13.1、13.2に必要な他の装置、ケーブル、または特別な特徴やソフトウェアを用いることなく、行うことができる。このように、ステージ606および607では、サーバ構成11が読み取りデバイス13.1、13.2にウェブコンテンツ34を送信し、その結果、読み取りデバイス13.1、13.2は、サーバ構成11からウェブコンテンツ34を受信するように設定される。ステージ608において、測定装置30に設定を入力するために、あるいは送信するために、読み取りデバイス13.1、13.2は、そのディスプレイ32上にウェブコンテンツ34を表示するように設定される。このように、読み取りデバイス13.1、13.2を介して行われるように設定される、測定装置30の設定の実行/変更は、サーバ構成11から受信した設定を測定装置30に入力することを含む。これは、例えば視覚的表示について行ってもよいし、例えば、サーバ構成11によって作成されたウェブページ上に示すコンテンツ34について行ってもよい。
【0071】
より具体的には、ステージ607では、サーバ構成11が、白黒にフラッシュする領域などのコンテンツを含むウェブページを、読み取りデバイス13.1、13.2に送信する。従って、サーバ構成11から測定装置30に送信されるデータは、例えば、長さが異なる白色および黒色のフラッシュに符号化することができる。ステージ605の結果、サーバ構成11によって作成され、読み取りデバイス13.1、13.2に送信されるウェブページのフラッシュ領域を含む、電話、携帯型コンピュータ、またはデスクトップPC、あるいはより広義には読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32に、ユーザが、例えば、フォトセンサ27などの測定装置30の受信手段27’を配置すると、ステージ608および609において、読み取りデバイス13.1、13.2が、コンテンツを測定装置30に送信し、測定装置30のプログラミングを行うことができる。すなわち、読み取りデバイス13.1、13.2のデータ出力手段32’、あるいはディスプレイ32は、驚くべきことに、読み取りデバイス13.1、13.2を使用して測定装置30を制御するデータ入力手段32’’としても使用される。より広義には、例えば、読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32など、光を生成するように設定された要素32*は、読み取りデバイス13.1、13.2のデータ入力手段32’’として機能するように設定されている。例えば、読み取りデバイス13.1、13.2に属するラウドスピーカーなどの音源を、同様の目的に用いることができる。ウェブコンテンツ34のフォーマットは、例えば、Youtubeビデオであってもよいし、もっとシンプルな、ウェブページ上の単純なアニメーションなどであってもよい。アニメーションは、例えば、白黒にフラッシュするフレームであってもよい。
【0072】
ステージ610では、測定装置30は、測定装置30に属するフォトセンサ27でフラッシュ光を介してデータを受信する。最後に、測定装置30は、自装置に割り当てられた設定をコンテンツ34から復号し、自装置のメモリに格納する。これらの設定に従って、測定が行われ、および/またはディスプレイ14が制御される。このように、測定装置30は、読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32上に示されるウェブコンテンツ34を観察し、これより設定を復号するように設定されている。
【0073】
このように、測定装置30は、サーバ構成11によって、例えばサーバ構成11が作成したウェブページを使用して、読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32およびフォトセンサ27によって、ウェブページを介して、無線で、容易に設定することができる。フラッシュ光を介して送信するデータは暗号化することもできるため、他のソースやクラウドシステムから誤った設定を行うことはできない。上記手順によれば、測定装置30の設定を非常に簡単に行うことができる。これは、モニタリング対象が多く存在する場合におけるシステムのユーザビリティの観点から非常に重要である。また、これにより測定装置30の実装が簡略化される。読み取りデバイス13.1、13.2の場合、システムは、多くのデバイスですでに利用可能な標準のQRコード読み取りデバイスを用いて実現可能であるため、読み取りデバイス13.1、13.2は、測定装置30のプログラミングを行うための特別な特徴を必要としない。QRコードの場合、当該機能は、例えばiPhoneデバイスにすでに内蔵されている。
【0074】
測定装置30を特定のモニタリング対象20.1、20.2に接続可能にすることに加えて、本手順は、例えば搬送チェーンの途中で、測定装置の30の設定の変更に用いることができる。これは、例えば、ある搬送モードから別の搬送モードに(例えば、トラックから航空機に)移行するときに必要となり得る。もちろん、モニタリング対象20.1、20.2が事前に測定装置30に紐づいているため、例えばステージ601、602、および603は(部分的に)手順から省略してもよい。
【0075】
本発明は、例えば、QRコード24または同様の読み取り可能なコード12によって決定されたリンクに基づいてユーザ29を認証することを可能にするため、ユーザ29を特定することはできないが、当該ユーザ29がモニタリング対象20.1、20.2の位置に物理的に存在するまたは存在していたことを把握することができる。次に、ユーザ29は、読み取りデバイス13.1、13.2を使用して、QRコード24または同様のコード12を読み取る。当該コードが、例えば過去30分間など所定の時間における有効かつ暗号化された測定データを含む場合、これによって、ユーザを認証および承認する。
【0076】
ユーザ29が、正確な時間において(例えば、1分の時間窓内で)、モニタリング対象20.1、20.2の位置にあることを確実にしたい場合、例えば、モニタリング対象20.1、20.2の測定データをサーバ構成11に送信するまたは送信した際に、ユーザ29にさらなる認証を要求することができる。実装方法の一つによると、サーバ構成11は、上述の方法で暗号化されたウェブコンテンツを作成し、自身のウェブページ上で示すことができる。当該ウェブコンテンツは、上記の図6に示すように、ステージ606、607において示され、その後、読み取りデバイス13.1、13.2のディスプレイ32から測定装置30に送信される。ウェブコンテンツは、暗号化された認証IDであってもよく、測定装置30によって復号化される。この認証IDは、QRコード24のデータリンクに密かに埋め込まれ、ユーザ29はこのQRコード24を読み取るように求められる。
【0077】
ユーザ29がQRコード24を再度読み取ると、読み取りデバイス13.1、13.2は、埋め込まれた認証IDなどをサーバ構成11に送信し、これにより、当該ユーザ29が実際に、例えば数秒前にモニタリング対象20.1、20.2の位置にいたことが確認でき、測定装置30の位置に物理的に存在したことが確認できる。認証IDを測定装置30に転送するのと同時に、他のメタデータも転送することができる。この実施形態によれば、ユーザ29が、モニタリング対象20.1、20.2が既にないにも関わらずQRコード24で決定されたリンクを再度開くのを防止する。例えば、ユーザ29を認証した後、例えば、モニタリング対象20.1、20.2に関するコンテキストデータ33をユーザ29に送信することができる。このように、読み取りデバイス13.1、13.2は、認証も同様に実現することができ、追加の特徴を必要としない。
【0078】
例えば、物流チェーンにおいてデリバリサイクルが比較的短い大量生産製品などに特に適した低消費電力の機械読み取り可能なコードは、以下のように作成することもできる。図10aに示す第1の実施形態によれば、キャラクターディスプレイ12’を用いることができる。これは、例えば、QRコード24の本体を1ビットで示すように設定される。さらに、QRコード24には、送信されるデータ(例えば、温度が所定の制限内に維持されているか否かを示すデータ)を示すのに配置される少なくとも1データピクセルの領域12’’が埋め込まれている。QRコード24の代わりに、例えば、Aztecコードなどの規格に準拠した二次元コードも、静的領域12’と、可変データを含む領域12’’とを作成するのに、同様に用いることができる。
【0079】
図10bに示す第2の実施形態によれば、出力デバイス14上に示されるQRコード24の大部分は、予め印刷されたパターン12’’’である。さらに、QRコード24は、その中心に、少なくとも1データピクセルで形成されるデータ転送用のデータ領域12’’を有する。予め印刷されたパターン12’’’は、例えば、サーバアドレスの大部分または全体、あるいはその他同様の不変の情報を示すことができる。予め印刷されたパターン12’’’は、例えば、1回目の読み取りで読み取って決定することができる。1回目の読み取りで、サーバアドレスと一緒または別々に読み取り、別の2回目の読み取りで、少なくとも1ピクセルのデータ領域12’’の中央にある、QRコード24のデータピクセルを読み取る。ここでは、または上述の実施形態では、可変のデータ領域12’’は、例えば、LCDディスプレイなどを使用して実装することができる。
【0080】
図11は、可変データ領域12’’を実現する1つの方法を示し、これは、別の場合においては、固定的に実現されるQRコード24である。データ領域12’’は、例えば3×3のマトリクス形式でデータが配置される、小さなLCDディスプレイ36を使用して形成される。データ領域12’’は、LCDディスプレイ36への制御ラインc1~c9が導出するコントローラ35によって制御される。次に、コントローラ35は、例えば、CPU21’を使用して制御される(図2)。LCDディスプレイ36上に示されるパターンの要素数は、必要に応じて変更することができる。例えば、16個まで増やしたり、4個のみにしたりできる。コントローラ35内においてパターン12、12’’の要素ごとに1つの制御ピンを備えることができるため、コントローラ35は、ピンを介してそれぞれを直接制御するように設定される。このように、各ピクセルは、所望の情報を示すために、互いに独立してコントローラ35によって個別に制御することができる。例えば、ディスプレイに16個のセグメントがある場合、16進制御を利用して、直接ディスプレイを制御することができる。セグメントの数は異なってもよい。例えば、2^2個、2^4個、2^6個などであってもよいし、より広義に、x=1~8として、2^x個であってもよい。このように、モニタリング対象の状態データは可変データであり、LCDディスプレイ36によって形成される動的データ領域12’’において示され、コントローラ35によって、ピクセルごとに変化するデータに基づいて制御されるように設定される。
【0081】
これに関連する、データ収集を実装する1つの方法は、例えば、測定を開始する際にコード12から読み取りを行う方法、またはサーバに格納するために送信される測定基準点(例えば、温度)を格納する方法である。温度には、制限値を設定してもよい。そして、モニタリング中、基準値に対する温度の偏差のみが格納され、最後に、当該偏差が所定の制限値内に留まったか否かが示される。別の可能性として、例えば、最初と最後の読み取り値、および/または最大値/最小値、および/または標準偏差などに基づいて、温度測定の角度係数を格納する方法がある。
【0082】
上述の実施形態では、ディスプレイコントローラ23が、キャラクターディスプレイ12’をQRコード24に形成するように設定され、または、ディスプレイが、例えば、予めインクで印刷された静的パターン12’’’を含むように設定される。これらはいずれも、例えばサーバのアドレスなどを特定することができる。より広義には、機械読み取り可能なコード12は、測定装置30に属するディスプレイコントローラ23を使用して形成されるコード12の大部分を形成する静的部分12’、12’’’に、または、印刷部、および特に測定データ19または同様の可変データ用に配置された可変部12’’として配置された物理データキャリアとして、配置される。
【0083】
図10aおよび10bに示す、出力デバイスを実装するためのこれらの方法は、例えば、食品業界における適用に特に有用である。そして、各製品パッケージには、工場から店舗、そしてコンシューマへの移動における測定を行う測定装置30を、工場で装着することができる。そして、非常にシンプルで安価な実装により、製品のコールドチェーンに破損がないこと、または製品の出所を、例えばエンドユーザに証明することができる。可変データを含む機械読み取り可能なコードの非常に小さな領域でこれに十分であるため、電力消費もない。個々の製品に測定装置を配置しても、実質的に価格に影響しない。
【0084】
また、本発明は、データ送信システム10に加えて、モニタリング対象20.1、20.2をモニタリングするためのデータ送信システム10の上述の使用に関する。モニタリング対象は、固定であってもよいし、移動してもよい。移動するモニタリング対象の非常に典型的な例は、物流の対象、搬送物品、またはそれらで形成された搬送ユニットである。モニタリングする変数はどのような変数であってもよく、そこから計算される、例えば、温度、湿度、圧力、光、位置、VOC、ラドン、pHなどであってもよい。より具体的には、変数は、変化する可能性があるものであってよい。その一例は、冷却デリバリである。
【0085】
上記の説明および関連する図面は、本発明を例示することのみを目的としていることが理解されるものとする。従って、本発明は、上記の説明または特許請求の範囲で決定される実施形態のみに限定されず、添付の特許請求の範囲によって決定される発明の趣旨の範囲内において、本発明の多くの異なる変形および修正が可能であることは、当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0086】
10:データ送信システム
11:サーバ構成
12:グラフィックコード、ビジュアルコード
12’:静的領域
12’’:可変データを含む領域、データ領域
12’’’:パターン
13、13.1、13.2:読み取りデバイス
14、14’:出力デバイス
15:測定手段
16:メモリ
17:電源
17.1:電池
17.2:エネルギーハーベスタ
18:形成手段、形成デバイス
18’:ピン
18.1:センサ
18.2:外部データソース
18.3:データ変換器
19:測定データ、符号化データ
20.1、20.2:モニタリング対象
21:プロセッサ手段
21’:プロセッサ、CPU
22:プロセッサ基盤
23:ディスプレイコントローラ
24:可視光学コード、QRコード
25:瞬時的測定値、データ
26:可視警告サイン
27:フォトセンサ、センサ
27’:受信手段
28:機能
29:ユーザ
30:測定装置
31:製品、冷却デリバリ、パッケージ
32:ディスプレイ
32’:データ出力手段
33:コンテキストデータ、情報
34:ウェブコンテンツ
35:コントローラ
36:LCDディスプレイ
37:リボン接続
38:回路基盤
39:Webブラウザ
61、65:ブロック
62、66:暗号化キー
63、64、68:測定データ
67:暗号化データ
401、402、403、404、405、406、407、408、409、502、503、504、506、507、508、510、511、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610:ステージ
505:プロセス
c1~c9:制御ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9
図10a
図10b
図11