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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】係止構造
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20230728BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
G01N35/04 G
G01N35/02 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020551223
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 JP2019040027
(87)【国際公開番号】W WO2020075806
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018192195
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591122956
【氏名又は名称】株式会社LSIメディエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 美幸
(72)【発明者】
【氏名】森谷 正道
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243636(JP,A)
【文献】特開平07-260795(JP,A)
【文献】国際公開第2006/107016(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/206841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュベットを挿入して保持するための保持部を備えるテーブルに前記キュベットを保持させるための係止構造であって、
前記保持部の周縁の所定の位置に係止部材を備え、
前記係止部材は、その長手方向の一端側から他端側へ伸び、
前記一端側が前記テーブルに固定され、
前記他端側と前記テーブルの表面との間に、前記キュベットが備える、前記テーブルの表面に載置するための載置用突出片を挟んで係止し、
記他端側は、断面視において前記テーブルの上方へ向かって立ち上がると共に、その上部にアールがつけられて前記テーブルの方向且つ前記一端側へ屈曲した丸め部が設けられている
係止構造。
【請求項2】
前記保持部の周縁に、前記保持部を基準として対向する位置に設けられる一対の前記係止部材を備える、
請求項1に記載の係止構造。
【請求項3】
前記係止部材の前記他端側は、縦断面視において前記テーブルの上方且つ前記一端側へ向かって立ち上がる
請求項1又は2に記載の係止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルにキュベットを保持させるための係止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定方法の異なる複数種の分析を行うことができる装置が提案されている(例えば特許文献1)。当該装置は、(1)複数の生体サンプルを搭載することができるサンプルラックを備えるサンプル供給ユニット、(2)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第1光学系測定手段を備える第1測定ユニット、(3)サンプル供給ユニットから、第1測定ユニット上の反応キュベットに生体サンプルを搬送することのできるサンプル搬送手段、(4)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第2光学系測定手段を備える第2測定ユニット、(5)第1測定ユニット上の反応キュベットを、第2測定ユニットに移送させることのできるキュベット移送手段、(6)第1測定ユニットでの測定及び第2測定ユニットでの測定に用いる試薬を備える試薬供給ユニット、及び(7)試薬供給ユニットから第1測定ユニット及び/又は第2測定ユニット上の反応キュベットに相互に独立して反応試薬を搬送することのできる試薬搬送手段を含み、第2測定ユニット上の反応キュベットは、第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、キュベット移送手段によって第1測定ユニットから第2測定ユニットに移送されて担持されるものとし、そして第1測定ユニットと第2測定ユニットとで別異の測定を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2006/107016号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キュベットを分析装置に載置する場合、特にキュベットが変位する場合には基台にある程度固定されていることが好ましい。しかしながら、何らかの係止構造を採用する場合、例えばキュベットの着脱時に、挿入位置の誤差等が原因で係止構造とキュベットとが干渉するおそれがある。そこで、本発明は、キュベットの係止構造について、キュベットの脱着時に干渉する可能性を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る係止構造は、キュベットを挿入して保持するための保持部を備えるテーブルにキュベットを保持させる。具体的には、保持部の周縁に係止部材を備え、係止部材は、一端側がテーブルに固定され、他端側で、キュベットが備える、テーブルの表面に載置するための載置用突出片を、テーブルの表面との間に挟んで係止し、係止部材の他端側は、断面視においてその外形にアールがつけられている。
【0006】
断面視においてその外形にアールがつけられているため、キュベット等を挿入する位置に誤差があっても端部が干渉する可能性を低減させることができる。
【0007】
また、保持部の周縁に、前記保持部を基準として対向する位置に設けられる一対の係止部材を備えるようにしてもよい。
【0008】
また、係止部材は板バネであり、係止部材の他端は、キュベットを挿入する方向または当該方向と鋭角をなす方向を向くようにしてもよい。例えばこのような構成により、キュベット等を挿入する位置に誤差があっても端部が引っかかる可能性が低減される。
【0009】
なお、課題を解決するための手段に記載の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0010】
キュベットの係止構造について、キュベットの脱着時に干渉する可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】複合分析装置の一例を示す図である。
図2】複合分析装置の測定ユニット収容部の内部の構成の一例を示す平面図である。
図3A】サンプルラックの一例を示す図である。
図3B】サンプルラックの一例を示す図である。
図4】キュベット供給ユニットの一例を示す図である。
図5】サンプルノズルユニットの一例を示す図である。
図6】部分的な試薬テーブルの一例を示す図である。
図7】試薬蓋開閉ユニットの一例を示す図である。
図8】試薬ノズルユニットの一例を示す図である。
図9】凝固テーブルの一例を示す図である。
図10】LPIAテーブルの一例を示す図である。
図11】キュベットチャックユニットの一例を示す図である。
図12A】レールの一例を示す平面図である。
図12B】レールの一例を示す正面図である。
図13】キュベットの一例を示す斜視図である。
図14】キュベットの一例を示す断面図である。
図15】LPIAテーブルの1つの保持孔付近の一例を表す断面図である。
図16】バネの一例を示す斜視図である。
図17】キュベットをLPIAテーブルの保持孔に挿入する過程を示す断面図である。
図18】キュベットがLPIAテーブルの保持孔に保持された状態の一例を示す断面図である。
図19】LPIAテーブルに載置されたキュベットが攪拌された状態の一例を示す断面図である。
図20】3つの測定ユニットを備える複合分析装置の一例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る複合分析装置について、図面を用いて説明する。
【0013】
<装置構成>
図1は、複合分析装置1000の外観の一例を示す図である。複合分析装置1000は、生化学的分析や免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種類の分析を行う分析装置である。複合分析装置1000は、例えば、LPIA(Latex Photometric Immunoassay:ラテックス近赤外比濁法)や、血液の凝固時間測定等を行うことができる。また、複合分析装置1000は、測定ユニット収容部1と、タンク等収容部2と、モニタ3と、ステータス出力部4とを備える。測定ユニット収容部1は、実施形態に係る複数の測定ユニット等を収容する。タンク等収容部2には、純水、洗浄水及び廃水をそれぞれ貯留するタンクや、廃棄されるキュベットを集積する廃棄ボックス、測定ユニット収容部1が行う処理を制御するコンピュータ等を収容する。モニタ3は、コンピュータと接続され、測定の進捗状況や結果等を出力する。また、モニタ3は、例えばタッチパネルのように、使用者による入力操作が可能な入出力装置であってもよい。ステータス出力部4は、コンピュータ等と接続され、測定ユニット収容部1が実行する処理において異常が発生した場合に使用者に通知するため警告灯を点滅させたり点灯させたりする。
【0014】
図2は、複合分析装置1000の測定ユニット収容部1の内部の構成の一例を示す平面図である。測定ユニット収容部1は、サンプルラックの搬送スペース101と、キュベット供給ユニット102と、サンプルノズルユニット103と、試薬テーブル104と、試薬蓋開閉ユニット105と、試薬ノズルユニット106と、凝固テーブル107と、LPIAテーブル108と、キュベットチャックユニット109と、レール110と、キュベット廃棄口111とを備える。搬送スペース101には、サンプルラック1011が載置され、所定の溝に沿って突出片が移動する機構によってテーブル上を搬送される。サンプルラック1011は、血液検体等の生体サンプルを収容するサンプル容器を複数保持する。キュベット供給ユニット102は、所定形状のキュベットを、複合分析装置1000で使用するために供給する。なお、キュベットは、順に1つずつキュベット供給口1021から供給される。サンプルノズルユニット103は、ポンプと接続されたノズルを備え、コンピュータによる制御に基づいて、所定の可動範囲を移動し、サンプル容器からサンプルを採取すると共にLPIAテーブル108のキュベットへ吐出するユニットである。サンプルノズルユニット103は、所定の回動軸を中心にして平面視において円弧状に回動する。また、サンプルノズルユニット103が移動する円弧状の軌道と、LPIAテーブル108に円形に配置されるキュベットが回転させられて移動する円状の軌道との平面視における交点に、分注位置1031が設けられる。また、平面視において、サンプルノズルユニット103が移動する軌道上には、ノズル洗浄槽1032も設けられる。試薬テーブル104は、試薬を収容する試薬容器を複数保持し、コンピュータによる制御に基づいて回転するディスク状の保持部である。保持される試薬容器は、所定の採取位置1041において試薬ノズルユニット106で採取される。試薬蓋開閉ユニット105は、コンピュータによる制御に基づいて、所定の可動範囲を移動し、試薬容器の蓋を開閉するためのユニットである。試薬ノズルユニット106は、ポンプと接続されたノズルを備え、コンピュータによる制御に基づいて所定の稼働範囲を移動し、試薬容器から試薬を採取すると共にキュベットへ吐出するユニットである。平面視において、上述の試薬ノズルユニット106が直線的に移動する経路上には、試薬ノズルの洗浄槽1061が設けられている。凝固テーブル107は、キュベットの内容物の凝固の程度を測定するため、複数のキュベットを並べて保持するための複数の孔を備える保持部である。なお、保持されるキュベットを挟んで光源と受光部とが配置され、内容物の吸光度又は透過率に基づいて凝固の程度を測定する。また、キュベットチャックユニット109が移動する軌道との平面視における交点に着脱位置1071が設けられている。LPIAテーブル108は、LPIAにより検体中の抗原量を測定するため、複数のキュベットを平面視において円形に並べて保持すると共に、コンピュータによる制御に基づいて回転する、ディスク状の保持部である。保持されるキュベットは、所定の着脱位置1081においてキュベットチャックユニット109によって着脱されると共に、所定の分注位置1082において試薬が分注される。キュベットチャックユニット109は、コンピュータによる制御に基づいて、所定の可動範囲を移動し、キュベットを把持して移動させる。レール110は、直線状のレールである。試薬ノズルユニット106及びキュベットチャックユニット109はそれぞれレール110に接続され、レール110が延在する方向に沿ってレール110とほぼ平行に移動する。キュベット廃棄口111は、タンク等収容部2に格納される廃棄ボックスに連通する開口部であり、キュベット廃棄口111内にキュベット等を廃棄することができる。
【0015】
図3A図3Bは、サンプルラックの一例を示す図である。サンプルラック1011は、サンプルを収容するサンプル容器1012を保持するためのホルダを複数備えている。また、サンプルラック1011は、コンピュータによる制御に基づいて搬送され、所望のサンプル容器1012を、所定の採取位置に配置することができる。採取位置は、サンプルノズルユニット103が平面視において円弧状に移動する軌道上に存在し、サンプルはサンプルノズルユニット103によってLPIAテーブル108の保持孔に保持されたキュベットに分注される。なお、複合分析装置1000は、サンプル容器1012のラベルに付されたバーコード又は二次元コード等の識別情報を光学的に読み取る読取装置を備え、所望のサンプル容器を特定できるようにしてもよい。また、サンプル容器の上にサンプルカップを配置し、サンプルカップに希釈されたサンプルや混合されたサンプル等が調製されるようにしても良い。
【0016】
図4は、キュベット供給ユニットの一例を示す図である。キュベット供給ユニット102は、ホッパ1022に投入されるキュベットを、所定の機構により、スロープ状の出口の端部であるキュベット供給口1021から1つずつ所定の向きで供給する。
【0017】
図5は、サンプルノズルユニットの一例を示す図である。サンプルノズルユニット103は、所定の回転軸1033を中心として、平面視上で円弧状の軌道を描いてノズル1034が移動する。そして、サンプルノズルユニット103は、採取位置に移動させたサンプルラック1011のサンプル容器1012から、注入位置に移動させたLPIAテーブル108のキュベットへ、サンプルを分注する。サンプルノズルユニット103を、本発明に係る「分注機構」とも呼ぶ。
【0018】
図6は、部分的な試薬テーブルの一例を示す平面図である。試薬は、例えばラテックスや、凝固時間試薬であるが、これらには限定されない。測定原理の種類に応じて、試薬テーブルの構成は、適宜変更することができる。試薬テーブル104は、所定の回転軸を中心に回転するディスク状のテーブルであり、テーブルには、試薬容器を保持するための複数の設置部1042がリング状に設けられている。なお、本実施形態では二重のリング状に設置部1042が設けられているが、設置部1042の数やリングの数は特に限定されない。また、試薬テーブル104は、設置部1042の周囲に、鉛直上向きに突出する棒状の凸部1043を備える。本実施形態では、各設置部1042について回転軸側に凸部1043が設けられている。また、本実施形態に係る試薬容器は、ほぼ円柱形状であり、その側面には上述した凸部1043を挿入することができる係合部を備える。係合部は、鉛直方向に貫通した貫通孔又は鉛直下方に開いた凹部であり、係合部に凸部1043を挿入して試薬容器を固定することができる。また、テーブルは、コンピュータによる制御に基づいて、時計回り又は反時計回りに回転すると共に、所定の位置で停止する。例えば、各設置部1042は、平面視において試薬ノズルユニット106のノズルが移動する軌道との交点である試薬採取位置、試薬蓋開閉ユニット105の下の蓋開閉位置、使用者が試薬容器を着脱するための着脱位置等で停止する。なお、複合分析装置1000は、試薬容器のラベルに付されたバーコード又は二次元コード等の識別情報を光学的に読み取る読取装置を備え、所望の試薬容器を特定することができるようにしてもよい。例えば、読取装置は、平面視において、試薬テーブル104の外側から回転軸の方向に向けて設けられる。また、二重のリング状に設けられる複数の設置部1042は、例えば内周側の設置部1042と外周側の設置部1042とを円周に沿った千鳥配置にすることで、読取装置から見て試薬容器が重ならず、試薬テーブル104を回転させることですべての試薬容器のラベルを読み取ることができる。なお、設置部1042は、3つ以上の同心円状に設けられていてもよい。保持孔が複数の同心円状に設けられる場合は、テーブルは、一体として回転する1つのディスクであってもよいし、複数の同心円が互いに独立して回転可能な複数のリング状のディスクによって形成されるようにしてもよい。複数のリング状のディスクが独立して回転する構造の場合には、コンピュータによる制御に基づいて、個々のリングが独立して時計回り又は半時計回りに回転すると共に、互いに独立に停止する。測定方法によって使用する試薬の種類や数は異なるが、試薬テーブル104を回転させることにより、所望の試薬容器が配置された設置部1042を採取位置1041に移動させることができ、測定に応じて使用することができる。また、複合分析装置1000が試薬容器に貼付された識別情報を読み取り、試薬テーブル104上の試薬容器の配置を自動的に記憶するようにすれば、使用者は設置場所を気にすることなく測定に必要な試薬容器を設置するだけで準備を完了することができ、利便性が向上する。また、試薬テーブル104は、複数の設置部1042を備えているため、試薬容器を入れ替えることなく測定できる項目を増やすことができ、利便性が高い。
【0019】
図7は、試薬蓋開閉ユニットの一例を示す図である。試薬蓋開閉ユニット105は、その先端部1051で試薬容器の蓋を開閉する。本実施形態に係る試薬容器の蓋はヒンジで接続され、蓋に所定の開閉方向のモーメントを加えることにより開閉する。試薬容器の蓋には、蓋に対してほぼ垂直な方向に突出し、先端部1051によって力を作用させるための凸部が設けられている。凸部に対して所定の開蓋方向に力を加えると、ヒンジを支点として開蓋する方向に蓋を回転させるモーメントがヒンジに作用する。試薬蓋開閉ユニット105の先端部1051は、平面視において試薬テーブル104の径方向に沿って移動し、試薬テーブル104の回転により試薬容器が移動する軌道上に変位すると共に、蓋から突出する凸部と接触して蓋を開ける。また、試薬蓋開閉ユニット105の先端部1051は、所定の駆動機構により、鉛直方向にも変位する。先端部1051は、蓋に対して、開蓋方向とは逆方向である閉蓋方向に力を作用させると共に、蓋を鉛直下方に押圧することにより、試薬容器を閉蓋することができる。
【0020】
図8は、試薬ノズルユニットの一例を示す図である。本実施形態に係る試薬ノズルユニット106は、試薬を採取及び吐出するためのノズル1062を2本備えている。2本のノズル1062は、互いに独立して鉛直方向に上下し、試薬を採取及び吐出することができる。また、試薬ノズルユニット106は、コンピュータによる制御に基づいてレール110に沿って移動し、試薬テーブル104上の試薬容器の採取位置において試薬容器から試薬を採取し、LPIAテーブル108上のキュベットの分注位置1082においてキュベットへ試薬を吐出する。このように、試薬ノズルユニット106は、試薬テーブル104上の所定位置とLPIAテーブル108上の所定位置との間を、レール110に沿って直線的に移動可能になっている。また、平面視において、採取位置1041は、本実施形態に係る試薬ノズルユニット106の一方のノズル1062が直線的に移動する経路と、試薬テーブル104の二重のリング状に配置されたキュベットのうち外周側の軌道との交点に設けられる。また、本実施形態に係る2本の試薬ノズルユニット106の他方のノズル1062が直線的に移動する経路と、内周側の軌道との交点にも設けられる。また、分注位置1082は、平面視において、上述の2本の試薬ノズルユニット106の各々が直線的に移動する経路と、LPIAテーブル108において1つのリング状に配置されたキュベットが回転する際の軌道との交点にそれぞれ設けられる。なお、ノズル1062の数は2本には限定されない。また、ノズル1062の数は、1つの測定に使用する試薬の数で設定するのが好ましい。凝固測定やラテックス測定においては、1つの試薬を用いる測定及び2つの試薬を用いる測定がある。また、3本以上のノズル1062を設けるようにしてもよい。
【0021】
図9は凝固テーブルの一例を示す図である。凝固テーブル107は、例えば、血液凝固時間測定を実施する際にキュベットを載置するテーブルである。凝固テーブル107は、キュベットを保持するための保持孔1072を、レール110が延在する方向に対してほぼ垂直な方向に直線状に複数備える。また、保持孔1072に保持されるキュベットを挟んで一方には光源1073が配置され、他方には受光部1074が配置されている。そして、キュベットの内容物の、所定の波長の光の吸光度又は透過率によって、内容物の凝固の程度を測定する。また、凝固テーブル107は、レール110が延在する方向とはほぼ垂直な方向にテーブルをスライドさせる駆動部1075を備える。そして、所望の保持孔1072をキュベットチャックユニット109が移動する軌道との交点である着脱位置1071に移動させることができる。また、キュベットチャックユニット109は、所定の着脱位置1071において、保持孔1072にキュベットを保持させたり、保持孔1072からキュベットを取り外したりすることができる。凝固テーブル107の保持孔1072へは、LPIAテーブル108の保持孔においてサンプルが分注されたキュベットが、キュベットチャックユニット109によって搬送される。なお、光源1073及び受光部1074は保持孔1072の数だけ設けられ、保持孔1072、光源1073及び受光部1074は一体として移動する。したがって、テーブルが移動する間であっても各キュベットについて吸光度等を測定し続けることができる。
【0022】
図10はLPIAテーブルの一例を示す図である。LPIAテーブル108は、例えばラテックス凝集法による抗原量の測定を実施する際にキュベットを載置するテーブルである。LPIAテーブル108は、所定の回転軸1083を中心に回転するディスク状のテーブルであり、円周に沿ってリング状に、キュベットを保持するための保持孔1084が複数設けられている。テーブルは、コンピュータによる制御に基づいて、時計回り又は反時計回りに回転すると共に、所定の位置で停止する。また、各保持孔1084には、キュベットを押さえるためのバネ1085が設けられている。
【0023】
図11はキュベットチャックユニットの一例を示す図である。キュベットチャックユニット109は、その先端に二指グリッパ1091を備え、キュベットを把持して搬送するユニットである。また、キュベットチャックユニット109は、レール110に沿って水平方向に直線的に移動し、試薬テーブル104やLPIAテーブル108の着脱位置、キュベット供給口1021、キュベット廃棄口111等でキュベットを把持したり投下したりする。
【0024】
図12Aは、キュベットチャックユニット及び試薬ノズルユニットを備えるレールの一例を示す平面図である。図12Bは、キュベットチャックユニット及び試薬ノズルユニットを備えるレールの一例を示す正面図である。レール110は、試薬ノズルユニット106やキュベットチャックユニット109と接続され、試薬ノズルユニット106やキュベットチャックユニット109が移動する際のガイドとなるレール状の部材である。すなわち、複合分析装置1000においては、試薬テーブル104や凝固テーブル107、LPIAテーブル108の着脱位置、キュベット供給口1021、キュベット廃棄口111は、レール110とほぼ平行な直線上に配置されている。また、試薬テーブル104の採取位置や凝固テーブル107の試薬の分注位置、LPIAテーブル108の試薬の分注位置1082も、レール110とほぼ平行な直線上に配置されている。なお、試薬ノズルユニット106のノズル1062や、キュベットチャックユニット109の二指グリッパ1091は、鉛直方向には上下する。ただし、前後(正面又は奥行き)方向には移動しないようにしてもよい。試薬ノズルユニット106及びキュベットチャックユニット109は、レール110の正面側に接続され、レール110を共用して移動する。例えばキュベットチャックユニット109を平面視及び正面視における左側に退避させることで、試薬ノズルユニット106のノズル1062をLPIAテーブル108の分注位置1082まで移動させることができる。また、例えば試薬ノズルユニット106を平面視及び正面視における右側に退避させることで、キュベットチャックユニット109の二指グリッパ1091をキュベット供給ユニット102のキュベット供給口1021まで移動させることができる。なお、レール110は、直線的なものに限らず、少なくとも一部が曲線的に設けられるものや、2以上の直線的な区間又は曲線的な区間を有するものであってもよい。また、レール110を、本発明に係る「ガイドレール」とも呼ぶ。試薬ノズルユニット106やキュベットチャックユニット109のレール110への接続構造は、既存の技術を採用することができる。
【0025】
また、キュベット廃棄口111は、タンク等収容部2内に格納された廃棄ボックスにキュベットを集積するために、キュベットチャックユニット109がキュベットを放下する投入口である。タンク等収容部2内には、キュベット廃棄口111から廃棄ボックスの上方へ向けて、廃棄されたキュベットを案内する管を設けるようにしてもよい。
【0026】
凝固テーブル107及びここに設置されるキュベットの内容物を測定するセンサ等、LPIAテーブル108及びここに設置されるキュベットの内容物を測定するセンサ等は、それぞれ所定の測定を行う測定ユニットの一例である。本発明においては、一方を「第1の測定ユニット」と呼び、他方を「第2の測定ユニット」とも呼ぶ。また、キュベットチャックユニット109を「搬送ユニット」とも呼ぶ。
【0027】
<効果>
本実施形態によれば、複数の測定ユニットを備える複合分析装置が、測定する検査項目の順序を使用者が自由に指定できるランダム測定を実施する場合において、キュベットチャックユニット109や試薬ノズルユニット106の移動を単純な直線的動作にすることで、移送する機構を小型化して装置全体のコストを抑制できる。さらに、レール110をキュベットチャックユニット109及び試薬ノズルユニット106で共用することができ、装置全体の大型化を抑制できる。さらに、限られた測定時間や空間を効率良く利用することが可能となり、測定処理能力を向上させることができる。
【0028】
<分析処理>
例えばラテックス凝集測定を実施する場合、LPIAテーブル108が回転し、所定の保持孔が着脱位置に移動して停止する。また、キュベットチャックユニット109はキュベット供給口1021からキュベットを1つ把持してLPIAテーブル108の着脱位置にある保持孔まで移動させ、保持孔に保持させる。その後、キュベットを保持した保持孔は、所定の分注位置1082へ移動する。なお、着脱位置と分注位置は同じであってもよい。また、サンプルラック1011は、所望のサンプル容器が所定の採取位置へ移動するように搬送される。そして、サンプルノズルユニット103は、採取位置において、予めサンプルラック1011に保持されているサンプル容器からサンプルを採取し、LPIAテーブル108の分注位置1082でキュベット内へ吐出する。また、試薬テーブル104が回転すると共に、試薬蓋開閉ユニット105の先端部が試薬容器の蓋と接触するように所定のタイミングで移動し、予め試薬テーブル104に保持されている所定の試薬容器を開蓋する。そして、開蓋された試薬容器は、所定の採取位置へ移動する。この時、また、試薬ノズルユニット106は所定の採取位置において試薬を採取し、LPIAテーブル108の分注位置1082においてキュベット内へ試薬を吐出する。その後、試薬テーブル104が回転すると共に試薬蓋開閉ユニット105の先端部によって試薬容器の蓋が閉じられる。なお、試薬蓋開閉ユニット105は、試試薬容器の鉛直上方から下方に向けて蓋を押圧して、閉蓋することができる。また、LPIAテーブル108が回転し、キュベットは、所定の攪拌位置に移動する。攪拌位置においては、キュベットの底面に設けられた凹部に鉛直下方から攪拌棒を挿入し、攪拌棒の先端が水平面上に円を描くように変位することによりキュベットの内容物を攪拌する。なお、複数の試薬を分注するようにしてもよい。また、LPIAテーブル108の回転により、キュベットは、光源と受光部とによって形成される光学測定部を通過し、光学測定部において特定波長の透過率や吸光度、散乱光等に基づいて内容物の反応に基づく変化が測定される。所定の測定が完了した場合、キュベットはLPIAテーブル108の着脱位置においてキュベットチャックユニット109によって保持孔から取り外される。また、キュベットチャックユニット109は、取り外したキュベットをキュベット廃棄口111へ搬送し、廃棄する。このような処理を、LPIAテーブル108に保持される複数のキュベットに対して並列に行うことができる。
【0029】
また、例えば凝固時間測定を実施する場合、凝固テーブル107がスライドし、所定の保持孔が着脱位置に移動して停止する。また、キュベットチャックユニット109はキュベット供給口1021からキュベットを1つ把持してLPIAテーブル108の着脱位置にある保持孔まで移動させ、保持孔に保持させる。その後、キュベットを保持した保持孔は、所定の分注位置1082へ移動する。なお、着脱位置と分注位置は同じであってもよい。また、サンプルラック1011は、所望のサンプル容器が所定の採取位置へ移動するように搬送される。そして、サンプルノズルユニット103は、採取位置において、予めサンプルラック1011に保持されているサンプル容器からサンプルを採取し、LPIAテーブル108の分注位置1082でキュベット内へ吐出する。そして、キュベットが保持された保持孔は、LPIAテーブル108の着脱位置に移動し、キュベットはキュベットチャックユニット109によって把持され、凝固テーブル107の着脱位置へ移送される。また、試薬テーブル104が回転すると共に、試薬蓋開閉ユニット105の先端部が試薬容器の蓋と接触するように所定のタイミングで移動し、予め試薬テーブル104に保持されている所定の試薬容器を開蓋する。そして、開蓋された試薬容器は、所定の採取位置へ移動する。また、試薬ノズルユニット106は所定の採取位置において試薬を採取し、凝固テーブル107の分注位置においてキュベット内へ試薬を吐出する。その後、試薬テーブル104が回転すると共に試薬蓋開閉ユニット105の先端部によって試薬容器の蓋が閉じられる。なお、試薬蓋開閉ユニット105は、試薬容器の鉛直上方から下方に向けて蓋を押圧して、閉蓋することができる。また、凝固テーブル107がスライドし、キュベットは、所定の攪拌位置に移動する。攪拌位置においては、キュベットの底面に設けられた凹部に鉛直下方から攪拌棒を挿入し、攪拌棒の先端が水平面上に円を描くように変位することによりキュベットの内容物を攪拌する。なお、複数の試薬を分注するようにしてもよい。また、凝固テーブル107の各保持孔には、キュベットを挟むように光源と受光部とによって形成される光学測定部が設けられており、光学測定部において特定波長の透過率や吸光度等に基づいて内容物の凝固に基づく変化が測定される。所定の測定が完了した場合、キュベットは凝固テーブル107の着脱位置においてキュベットチャックユニット109によって保持孔から取り外される。また、キュベットチャックユニット109は、取り外したキュベットをキュベット廃棄口111へ搬送し、廃棄する。このような処理を、凝固テーブル107に保持される複数のキュベットに対して並列に行うことができる。なお、凝固時間測定においても、試薬の分注をLPIAテーブル108の分注位置1082において行い、その後に凝固テーブル107に搬送するようにしてもよい。
【0030】
<スケジューリング>
また、複数種類の分析を実施できる分析装置において、異なる測定原理の測定が混在すると、一般的には一連の測定処理の間で測定スケジュールを設定することが難しくなり、測定処理能力は低下する。本実施形態においては、上記各ユニットの所定の単位の動作が一定の時間内に完了するように設計されることが好ましい。各ユニットの所定の単位の動作に要する時間は異なっていても良いが、同じである方が、コンピュータが測定処理をスケジュールする上で好ましい。このようにすれば、複数種類の分析を実施できる分析装置においても、容易に測定スケジュールを決定することが可能となり、複数の測定の種類(例えば、上記のラテックス凝集測定や凝固時間測定等が挙げられる)が混在している場合であっても、処理能力の低下を抑えることができる。
【0031】
例えば、サンプルノズルユニット103は、サンプルをサンプル容器から採取する工程、サンプルをキュベットへ吐出する工程、サンプルノズルを洗浄する工程等の各工程を、一定の間隔(秒)で行う。間隔は、例えば30秒、好ましくは20秒、更に好ましくは15秒、更により好ましくは10秒等である。試薬ノズルユニット106は、試薬を試薬容器から採取する工程、試薬を加温する工程、試薬をキュベットへ吐出する工程、試薬ノズルを洗浄する工程等の各工程を、一定の間隔(秒)で行う。間隔は、例えば30秒、好ましくは20秒、更に好ましくは15秒、更により好ましくは10秒等である。また、例えば、キュベットチャックユニット109は、キュベット供給口からキュベットを測定用の保持孔に移動し保持させる工程、測定が終了したキュベットを保持孔から取り外しキュベット廃棄口に搬送し、廃棄する工程等の各工程を、一定の間隔(秒)で行う。間隔は、例えば30秒、好ましくは20秒、更に好ましくは15秒、更により好ましくは10秒等である。例えば、これらを15秒間隔で行うことにより、240テスト/時間という、高い測定処理能力を達成することができる。
【0032】
<係止構造>
図13は、キュベットの一例を示す斜視図である。図14は、キュベットの一例を示す断面図である。本実施形態に係るキュベット113は、ほぼ四角柱状のキュベット本体1131の上端部1132付近に、一対のピックアップ用突出片1133を備え、更にその下方に一対の載置用突出片1134を備えている。また、キュベット113の下部にはテーパが付いて先細りになっている。キュベット113は、LPIAテーブル108に設けた保持孔1084に、キュベット本体1131の下方から挿入することによって載置される。ピックアップ用突出片1133は、例えば、キュベットチャックユニット109の二指グリッパ1091が保持する部分である。載置用突出片1134は、キュベット本体1131の上部且つピックアップ用突出辺133よりも下方に設けられており、キュベット113をLPIAテーブルの保持孔1084に載置したときにLPIAテーブル108が備えるバネ1085と係合し、キュベット113がLPIAテーブル108から容易に外れないよう押さえられる部分である。また、キュベット113は、キュベット本体1131の底面1135に、例えば半球状の凹部1136を設け、凹部1136に、攪拌棒115の先端部を挿入可能な挿入口1137を有している。載置用突出片の数や形状は、当業者であれば、キュベットの形状や、装置への載置構造に従って、適宜設計して使用することができる。例えば、一つでも、二つ以上でも良いが、形状が容易で、且つ、安定して載置できるため、特に、二つが好ましい。
【0033】
図15は、LPIAテーブルの1つの保持孔付近の一例を表す断面図である。図16は、バネの一例を示す斜視図である。LPIAテーブル108の上面には、保持孔1084を挟んで一対のバネ1085が、LPIAテーブル108の表面(上面)にほぼ沿って取り付けられる。バネ1085は、板バネを所定の形状に屈曲して形成され、保持孔1084に挿入されるキュベット113が容易に外れないように緩く押さえるための係止部材である。本実施形態では、2つのバネ1085を一対として、各バネ1085は、その長手方向の一端側に設けられた通し穴等の固定部10851にビス等の固定部材1086を通し、LPIAテーブル108のビス穴に固定する。なお、図15に示す符号114は、一対のバネ1085の取り付け位置及び間隔を調整するための治具の一例を示している。また、保持孔1084の周縁に1つのバネ1085が設けられ、キュベット113を保持孔1084の内壁に押し付けるように付勢して保持する構成であってもよく、保持孔1084の周縁に3つ以上のバネ1085が設けられていてもよい。
【0034】
また、バネ1085は、長手方向の中央部分に、断面視(側面視)において逆U字状に突出して戻る凸部10852を備える。凸部10852は、断面視において固定部10851を軸としてバネ1085の長手方向の他端が円弧状の軌道でしなる弾性変形だけでなく、バネ1085の長手方向に長さが縮む弾性変形を許容する緩衝部である。また、バネ1085の長手方向の他端側には、断面視においてLPIAテーブル108の上方にやや鋭角にアールを付けて屈曲する屈曲部10853が設けられている。また、バネ1085の長手方向のさらに他端側には、断面視においてLPIAテーブル108側(すなわち、保持孔1084にキュベット113を挿入する方向)にアールを付けて屈曲する丸め部10854が設けられている。すなわち、バネ1085の長手方向の他端側は、断面視において巻かれるように屈曲することにより、アールを付けて面取りされた形状になっている。また、バネ1085の長手方向の他端は保持孔1084の縁よりもバネ1085の固定部10851側に戻った位置に、保持孔1084にキュベット113を挿入する方向に沿った方向を向いて存在する。前記アールの形状は、キュベットの脱着時にキュベットと係止構造が干渉を抑制することが可能であれば限定せず、当業者であれば、適宜設計して使用することができる。
【0035】
図17は、キュベットをLPIAテーブルの保持孔に挿入する過程を示す断面図である。図18は、キュベットがLPIAテーブルの保持孔に保持された状態の一例を示す断面図である。キュベット113を保持孔1084に挿入すると、載置用突出片1134が屈曲部10853に接触する。さらにキュベット113を保持孔1084に押し入れると、図17に示すように凸部10852がたわんで一対のバネ1085の間隔が広がり、キュベット113の載置用突出片1134がLPIAテーブル108の上面とバネ1085との間を通過する。そして、図18に示すように、載置用突出片1134はLPIAテーブル108の上面とバネ1085との間に挟まれて緩く押さえつけられ(付勢され)、キュベット113はLPIAテーブル108の保持孔1084から容易には外れないように保持される。バネ1085の他端側は、断面視においてその外形にアールがつけられているため(具体的には、バネ1085の他端が、キュベット113の挿入方向に対して鋭角をなす方向を向いているため)、仮にバネ1085が塑性変形した場合であっても、キュベット113を保持孔1084に挿入する際または治具114をバネ1085に当てる際に、その端部がキュベット113や治具114に引っかかる可能性が低減される。
【0036】
図19は、LPIAテーブルに載置されたキュベットが攪拌された状態の一例を示す断面図である。所定の攪拌位置には、LPIAテーブル108の鉛直下方に攪拌装置(図示せず)が設けられている。攪拌装置は、攪拌棒115の先端を半球状の凹部1136に挿入させ、その先端を水平面上で回転させてキュベット113を攪拌する。このとき、バネ1085は、キュベット113が偏心して周回運動させられる際に載置用突出片1134がLPIAテーブル108の表面を離れることを許容すると共に、キュベット113が保持孔1084から外れることは抑制する。キュベット113は、サンプル内に攪拌棒115を挿入することなく、サンプルを攪拌することができる。サンプル内に攪拌棒を挿入して攪拌すると凝固系に影響を与え、測定結果が不正確になることがあるため、凝固試験に好適である。また、キュベット113は、ほぼ四角柱状であり、4側面がそれぞれほぼ平行な平坦面であるため、例えば生化学的な測定項目やLPIAにおける濁度測定のような透過光を利用する測定に好適である。本実施形態に係る保持孔1084は、貫通していない凹部等であってもよいが、サンプル内に攪拌棒を挿入することなく攪拌するためには貫通孔が好ましい。貫通孔および貫通していない凹部等を本発明に係る「保持部」とも呼ぶ。
【0037】
<変形例>
上述の実施形態および変形例は例示であり、本発明は上述した構成には限定されない。また、実施形態および変形例に記載した内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【0038】
図20は、3つの測定ユニットを備える複合分析装置1000の一例を示す模式的な図である。上述した測定ユニットの数は、2つには限定されない。図20の例では、第3の測定ユニット112が、平面視においてLPIAテーブル108の左側に追加されている。3つ以上の測定ユニットを備える場合も、キュベットチャックユニット109や試薬ノズルユニット106がレール110に沿って直線的に移動し、レールとほぼ平行な直線上に3つの測定ユニットを配置する。このようにすれば、キュベットチャックユニット109や試薬ノズルユニット106の移動を単純な直線的動作にして省電力化することができる。また、レール110をキュベットチャックユニット109及び試薬ノズルユニット106で共用することができ、装置全体を小型化することができる。
【0039】
また、本発明は、上述した処理を実行する方法やコンピュータプログラム、当該プログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む。当該プログラムが記録された記録媒体は、プログラムをコンピュータに実行させることにより、上述の処理が可能となる。
【0040】
ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータから取り外し可能なものとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としては、HDDやSSD(Solid State Drive)、ROM等がある。
【符号の説明】
【0041】
1000 :複合分析装置
1 :測定ユニット収容部
101 :搬送スペース
1011 :サンプルラック
1012 :サンプル容器
102 :キュベット供給ユニット
1021 :キュベット供給口
1022 :ホッパ
103 :サンプルノズルユニット
1031 :回転軸
1032 :ノズル
104 :試薬テーブル
1041 :採取位置
1042 :設置部
1043 :凸部
105 :試薬蓋開閉ユニット
1051 :先端部
106 :試薬ノズルユニット
1061 :ノズル
107 :凝固テーブル
1071 :着脱位置
1072 :保持孔
1073 :光源
1074 :受光部
1075 :駆動部
108 :LPIAテーブル
1081 :着脱位置
1082 :分注位置
1083 :回転軸
1084 :保持孔
1085 :バネ
10851:固定部
10852:凸部
10853:屈曲部
10854:丸め部
1086 :固定部材
109 :キュベットチャックユニット
1091 :二指グリッパ
110 :レール
111 :キュベット廃棄口
112 :第3の測定ユニット
113 :キュベット
1131 :キュベット本体
1132 :上端部
1133 :ピックアップ用突出片
1134 :載置用突出片
1135 :底面
1136 :凹部
1137 :挿入口
2 :タンク等収容部
3 :モニタ
4 :ステータス出力部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20