(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】キュベット廃棄ユニット
(51)【国際特許分類】
G01N 35/04 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
G01N35/04 D
(21)【出願番号】P 2020551232
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 JP2019040068
(87)【国際公開番号】W WO2020075818
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2018192194
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591122956
【氏名又は名称】株式会社LSIメディエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 美幸
(72)【発明者】
【氏名】森谷 正道
(72)【発明者】
【氏名】浅野 敬
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-101211(JP,A)
【文献】特開2003-83986(JP,A)
【文献】国際公開第2017/47240(WO,A1)
【文献】特開平6-148204(JP,A)
【文献】特開2005-345253(JP,A)
【文献】特開平2-221866(JP,A)
【文献】特開2006-17727(JP,A)
【文献】特開平8-212410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
前記キュベット受け入れ部は、前記収容フレームの天板に取り付けられ、
前記天板には、前記キュベット受け入れ部が前記投入口から受け入れた使用済みキュベットを前記キュベット廃棄容器の前記上部開口に投入するための天板開口部を有し、
前記天板開口部は、可動する前記キュベット受け底部と干渉しないように形成されている、
請求項1から3の何れか一項に記載のキュベット廃棄ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キュベット廃棄ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液サンプルや尿サンプル等の生体サンプル中の成分を測定する自動分析装置(自動測定装置)が知られている(例えば特許文献1)。この種の自動分析装置は、キュベット(検体容器)に生体サンプル及び試薬が分注された後、適宜攪拌操作を受けた後、光学的測定手段などを用いてキュベット内での反応に基づく変化を測定することで、生体サンプル中の成分を分析する。また、使用済みのキュベットは、自動測定装置のキュベットチャックユニットなどによってキュベット廃棄口まで移送された後、キュベット廃棄口の下方に設けられたキュベット廃棄容器へと、キュベット廃棄口に接続される廃棄パイプを通じて廃棄される。
【0003】
キュベット廃棄容器に溜まった廃棄キュベットは、自動分析装置におけるキュベット廃棄容器の収容スペースからキュベット廃棄容器を取り出された後に廃棄される。通常、キュベット廃棄容器には廃棄袋が予めセットされており、使用済みキュベットは廃棄袋内に収容される。キュベット廃棄容器に溜まった廃棄キュベットを廃棄する場合には、廃棄キュベットが入っている廃棄袋をキュベット廃棄容器から取り外し、新しい廃棄袋をキュベット廃棄容器にセットすることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、キュベット廃棄容器に溜まった廃棄キュベットを捨てて、空になったキュベット廃棄容器を自動分析装置に再セットするまでの時間は、分析装置による測定動作を一時中断せざるを得なかった。本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、キュベット廃棄容器に溜まった廃棄キュベットを廃棄する間に分析動作が一時中断することを回避することの可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係るキュベット廃棄ユニットは、上部開口から使用済みキュベットを廃棄可能なキュベット廃棄容器と、前記キュベット廃棄容器を収容可能な収容フレームと、前記キュベット廃棄容器の上部に配置され、分析装置で使用された使用済みキュベットが投入される投入口を有するキュベット受け入れ部と、を備え、前記キュベット受け入れ部は可動式のキュベット受け底部を有し、前記キュベット受け底部は、前記キュベット廃棄容器が前記収容フレームに収容された状態においては、前記投入口から受け入れた使用済みキュベットを下方に位置する前記キュベット廃棄容器の前記上部開口に投入可能な退避姿勢に維持され、前記キュベット廃棄容器が前記収容フレームに収容されていない状態においては、前記投入口から受け入れた使用済みキュベットを受け止める一時受け姿勢に維持されることを特徴とする。
【0007】
また、前記キュベット受け底部を前記退避姿勢から前記一時受け姿勢に切り替わる方向に付勢する付勢手段を更に備え、前記キュベット受け底部は、外部から前記キュベット廃棄容器が前記収容フレームに収容される際に当該キュベット廃棄容器と接触することで押動される被押動部材を有し、前記付勢手段の付勢力に抗して前記被押動部材が押動されることによって前記キュベット受け底部が前記一時受け姿勢から前記退避姿勢に切り替えられてもよい。
【0008】
また、前記収容フレームは、内部に収容する前記キュベット廃棄容器に前記被押動部材を介して作用する前記付勢手段の付勢力によって当該キュベット廃棄容器が正規位置からずれることを抑制する位置決め手段を有していてもよい。
【0009】
また、前記キュベット受け入れ部は、前記収容フレームの天板に取り付けられ、前記天板には、前記キュベット受け入れ部が前記投入口から受け入れた使用済みキュベットを前記キュベット廃棄容器の前記上部開口に投入するための天板開口部を有し、前記天板開口部は、可動する前記キュベット受け底部と干渉しないように形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キュベット廃棄容器に溜まった廃棄キュベットを廃棄する間に分析動作が一時中断することを回避することの可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、複合分析装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、複合分析装置の測定ユニット収容部の内部の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、キュベット廃棄ユニットの斜視図である。
【
図8】
図8は、キュベット受け入れ部の詳細構造を説明する図である。
【
図9】
図9は、キュベット受け入れ部の詳細構造を説明する図である。
【
図10】
図10は、キュベット廃棄ユニットにおける動作を説明する図である。
【
図11】
図11は、キュベット廃棄ユニットにおける動作を説明する図である。
【
図12】
図12は、キュベット廃棄ユニットにおける動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、廃棄容器収容状態におけるキュベット受け底部の状態を示す図である。
【
図14】
図14は、廃棄容器引き抜き状態におけるキュベット受け底部の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係るキュベット廃棄ユニット10及びキュベット廃棄ユニット10が適用される複合分析装置1000について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るキュベット廃棄ユニット10が適用される複合分析装置1000である。複合分析装置1000は、生体サンプル中の成分を分析する装置であり、例えば、LPIA(Latex Photometric Immuno assay:ラテックス近赤外比濁法)や、血液の凝固時間測定等を行うことができる。また、複合分析装置1000は、測定ユニット収容部1、タンク等収容部2、モニタ3、ステータス出力部4等を備える。測定ユニット収容部1は、各種の測定ユニットを収容する。タンク等収容部2には、純水、洗浄水及び排水をそれぞれ貯留するタンクや、使用済みのキュベットを廃棄するためのキュベット廃棄ユニット10(
図3参照)、測定ユニット収容部1が行う処理を制御するコンピュータ等を収容する。
【0014】
モニタ3は、コンピュータと接続され、測定の進捗状況や結果等を出力する。また、モニタ3は、例えばタッチパネルのように、使用者による入力操作が可能な入出力装置であってもよい。ステータス出力部4は、コンピュータ等と接続され、測定ユニット収容部1が実行する処理において異常が発生した場合に使用者に通知するため警告灯を点滅させたり点灯させたりする。
【0015】
図2は、複合分析装置1000の測定ユニット収容部1の内部の構成の一例を示す平面図である。測定ユニット収容部1は、サンプルラックの搬送スペース101と、キュベットフィーダー102と、サンプルノズルユニット103と、試薬テーブル104と、試薬蓋開閉ユニット105と、試薬ノズルユニット106と、凝固テーブル107と、LPIAテーブル108と、キュベットチャックユニット109と、レール110と、キュベット廃棄口111とを備える。
【0016】
キュベットフィーダー102は、所定形状のキュベットを、複合分析装置1000で使用するために供給する。なお、キュベットは、順に1つずつキュベット供給口1021から供給される。
【0017】
サンプルノズルユニット103は、ポンプと接続されたノズルを備え、コンピュータによる制御に基づいて、所定の可動範囲を移動し、採血管からサンプルを採取すると共にLPIAテーブル108のキュベットへ吐出するユニットである。
【0018】
試薬テーブル104は、試薬を収容する試薬瓶を複数保持し、コンピュータによる制御に基づいて回転するディスク状の保持部である。保持される試薬瓶は、所定の採取位置1041において試薬ノズルユニット106で採取される。
【0019】
試薬蓋開閉ユニット105は、コンピュータによる制御に基づいて、所定の可動範囲を移動し、試薬瓶の蓋を開閉するためのユニットである。
【0020】
試薬ノズルユニット106は、ポンプと接続されたノズルを備え、コンピュータによる制御に基づいて所定の稼働範囲を移動し、試薬瓶から試薬を採取すると共にキュベットへ吐出するユニットである。
【0021】
凝固テーブル107は、キュベットの内容物の凝固の程度を測定するため、複数のキュベットを並べて保持するための複数の孔を備える保持部である。なお、保持されるキュベットを挟んで光源と受光部とが配置され、内容物の吸光度又は透過率に基づいて凝固の程度を測定する。なお、凝固テーブル107は、所定の着脱位置1071においてキュベットチャックユニット109によってキュベットの着脱が行われる。
【0022】
LPIAテーブル108は、LPIAにより検体中の抗原量を測定するため、複数のキュベットを平面視において円形に並べて保持すると共に、コンピュータによる制御に基づいて回転する、ディスク状の保持部である。保持されるキュベットは、所定の着脱位置1081においてキュベットチャックユニット109によって着脱されると共に、所定の分注位置1082において試薬が分注される。
【0023】
キュベットチャックユニット109は、コンピュータによる制御に基づいて、所定の可動範囲を移動し、キュベットを把持して移動させる。また、キュベットチャックユニット109は、凝固テーブル107やLPIAテーブル108の着脱位置、キュベット供給口1021、キュベット廃棄口111等でキュベットを把持したり投下したりする。また、レール110は、直線状のレールである。試薬ノズルユニット106及びキュベットチャックユニット109はそれぞれレール110に接続され、レール110が延在する方向に沿ってレール110とほぼ平行に移動することができる。
【0024】
キュベット廃棄口111は、タンク等収容部2に格納されるキュベット廃棄ユニット10(
図3を参照)に連通する開口部であり、キュベット廃棄口111内にキュベット等を廃棄することができる。例えば、ラテックス凝集測定や凝固時間測定の実施後、使用済みのキュベットはキュベットチャックユニット109によって着脱位置1071や着脱位置1081からキュベット廃棄口111まで搬送され、キュベット廃棄口111に投下されることで、キュベット廃棄ユニット10に廃棄される。当該キュベット廃棄ユニット10は、キュベット廃棄口111(
図2を参照)の下に配置されるのが好ましい。
【0025】
図3は、実施形態に係るキュベット廃棄ユニット10の斜視図である。キュベット廃棄ユニット10は、キュベット廃棄容器20と、キュベット廃棄容器20を収容可能な収容フレーム30と、キュベット受け入れ部40とを有する。
図3に示すキュベット廃棄容器20は、前壁21、後壁22、左側壁23、右側壁24、底板25を有する直方体形状の箱型容器である。また、キュベット廃棄容器20は、上面が開放された上部開口26を有しており、内部に使用済みキュベットを収容するキュベット収容部27が形成されている。キュベット廃棄容器20は、上部開口26から投入される使用済みキュベットをキュベット収容部27に溜めておくことができる。なお、キュベット廃棄容器20のキュベット収容部27に廃棄袋をセットしておくことで、廃棄袋に使用済みキュベットを収容することができる。その場合、廃棄袋を固定するために、キュベット廃棄容器20の上部に嵌め込むことができる袋抑えを設けることが好ましい。
【0026】
図3に示すように、収容フレーム30は、概略直方体形状を有するフレーム部材であり、前面が開放されることで、前面開口31を有している。また、
図4は、収容フレーム30の正面図である。
図5は、収容フレーム30の上面図である。
図6は、収容フレーム30の左側面図である。
図7は、収容フレーム30の右側面図である。
【0027】
収容フレーム30は、内部にキュベット廃棄容器20を収容するためのスペースである容器収容部300が形成されている。また、収容フレーム30は、前面開口31からキュベット廃棄容器20を容器収容部300内に挿入したり、逆に、容器収容部300内のキュベット廃棄容器20を前面開口31から引き抜いたりすることができる。ここで、収容フレーム30は、底板32、天板33、左側板34、右側板35、後板36(
図4を参照)等を有する。ここで、
図3及び
図5に示すように、天板33には矩形状の天板開口部330が設けられており、天板開口部330を介して収容フレーム30の外部と内部が連通されている。但し、天板開口部330の形状については矩形状に限定されない。また、
図4等に示すように、収容フレーム30は、キュベット廃棄容器20のキュベット収容部27に溜まっている廃棄キュベットの高さが規定高さに到達したことを検知するセンサー38a,38bが左側板34及び右側板35に設置されている。センサー38a,38bの一方は投光側のセンサーであり、他方は受光側のセンサーである。なお、左側板34及び右側板35において、センサー38a,38bが設けられる位置にはセンサーから出力されたビーム等を妨げないように貫通孔が設けられている。なお、センサー38a,38bからの出力は、複合分析装置1000のコンピュータに送られ、キュベット廃棄容器20(キュベット収容部27)が廃棄キュベットで満杯に近づいたときには、例えば、モニタ3に警告表示をするなどして、キュベット廃棄容器20における廃棄袋の交換タイミングをユーザに報知することができる。
【0028】
図3及び
図4に示すように、収容フレーム30における左側板34及び右側板35の内面には、それぞれ側方ガイド部材37が取り付けられている。これら一対の側方ガイド部材37は、収容フレーム30の上部側に設けられており、上方から落下してくる使用済みキュベットをキュベット廃棄容器20の上部開口26にガイドするための部材である。側方ガイド部材37はガイド面37aを有し、使用済みキュベットがガイド面37aを滑って斜め下方に落下することで、キュベット収容部27へと投入される。また、収容フレーム30における天板33における前縁側には、使用済みキュベットを斜め後ろ下方にガイドする前方ガイド部材38が取り付けられている。
【0029】
更に、収容フレーム30における底板32のうち、前面開口31よりの部分には、段差ストッパー320が突設されている。段差ストッパー320は、収容フレーム30の横幅方向と平行に伸びている。段差ストッパー320は、キュベット廃棄容器20を容器収容部300に収容する際におけるキュベット廃棄容器20の位置決めを行う部材として利用される。キュベット廃棄容器20を容器収容部300に挿入する際、キュベット廃棄容器20が段差ストッパー320を乗り越えて、キュベット廃棄容器20の前端が段差ストッパー320の後端縁に沿って位置合わせされた状態で、キュベット廃棄容器20が容器収容部300内における正規位置にセットされることになる。
【0030】
次に、キュベット受け入れ部40について説明する。キュベット受け入れ部40は、複合分析装置1000における測定ユニット収容部1から移送されてくる使用済みキュベットを受け入れる部位であり、全ての使用済みキュベットはキュベット受け入れ部40を経てキュベット廃棄容器20に廃棄されるようになっている。
【0031】
図3~
図7に示す例では、キュベット受け入れ部40は、収容フレーム30における天板33に取り付けられることで、収容フレーム30の上部に設置されている。なお、キュベット受け入れ部40は、天板33における天板開口部330に対応する位置に配置されている。以下、
図8~
図10も参照してキュベット受け入れ部40の詳細について説明する。
図8~
図10は、キュベット受け入れ部40の詳細構造を説明する図である。
【0032】
キュベット受け入れ部40は、ダクト部50と、可動式のキュベット受け底部60を備えている。ダクト部50は、収容フレーム30の天板33に固定される概略直方体形状のフレーム部材であり、天板51、前壁52、左壁53、右壁54、及び後壁55を有している。前壁52、左壁53、及び右壁54の下端にはそれぞれ固定用ブラケット52a,53a,54aが側方に向けて設けられている。各固定用ブラケット52a,53a,54aは、収容フレーム30の天板33における天板開口部330の縁部に接合されている。ダクト部50は、下端側にダクト底部開口50a(
図10を参照)が開口している。ダクト部50のダクト底部開口50aと、収容フレーム30の天板33に形成された天板開口部330は、ダクト底部開口50aよりも天板開口部330の方が大きく、天板開口部330にダクト底部開口50aが含まれるように双方の開口部が重なっている。具体的には、ダクト底部開口50aと天板開口部330における前縁、左側縁、右側縁の位置は概ね一致しており、天板開口部330の後縁がダクト底部開口50aの後縁よりも収容フレーム30の後方側に後退している。
【0033】
また、ダクト部50の天板51には、使用済みキュベットが投入される投入口51aが開口している。キュベット受け入れ部40におけるダクト部50の投入口51aには、一端側にキュベット廃棄口111が形成された廃棄パイプ112の他端側が接続されている。したがって、測定ユニット収容部1におけるキュベット廃棄口111に投下された使用済みキュベットは、廃棄パイプ112を通じてキュベット受け入れ部40に移送され、投入口51aからダクト部50内に投入される。
【0034】
次に、キュベット受け入れ部40における可動式のキュベット受け底部60について説明する。
図10に示すように、ダクト部50における後壁55の左右両端には、キュベット受け底部60を取り付けるための接続片55a,55aが後方に向けて突設されている。
【0035】
キュベット受け底部60は、ダクト部50における下端側に開口するダクト底部開口50aを塞ぐことの可能な底蓋61と、底蓋61の後方における左右両端に設けられる接続片62a,62aを有している。底蓋61は、
図10に示すように概略四角形の底板610と、底板610の各辺から立設する前壁611、後壁612、左側壁613、右側壁614を有している。なお、底蓋61の前壁611は、底板610から斜め前方に向かって延設されている。また、底蓋61の後壁612、左側壁613、及び右側壁614は、底板610から上方に向かって垂直に延設されている。これにより、一時受け姿勢での液漏れを防止することができる。
【0036】
可動式のキュベット受け底部60は、ダクト部50に設けられた一対の接続片55a,55aに対して、底蓋61に設けられた接続片62a,62aを、回動軸部材63を介して接続されている。これにより、キュベット受け底部60は、ダクト部50に対して回動軸部材63を中心として回動自在となっている。なお、左右一対の接続片62a,62a及び左右一対の接続片55a,55aには、回動軸部材63の両端を挿通するための軸受け孔が設けられており、これら軸受け孔に回動軸部材63が挿通されることで、ダクト部50の接続片55a,55aに対してキュベット受け底部60の接続片62a,62aが回動自在となっている。
【0037】
更に、本実施形態におけるキュベット受け入れ部40は、
図8に示すように付勢機構70(付勢手段)を備えている。付勢機構70は、付勢バネ71、付勢バネ71の両端を係留する係留部72,73を含んでいる。係留部72は、ダクト部50の右壁54に固定され、付勢バネ71の一端を係留している。また、係留部73は、キュベット受け底部60の接続片62a,62aに固定され、付勢バネ71の他端を係留している。
図8に示すように、付勢機構70における係留部73は、回動軸部材63の位置よりも底蓋61に対して近い位置に設けられている。そのため、付勢バネ71が収縮しようとする弾性力がキュベット受け底部60に作用することで、キュベット受け底部60がダクト部50のダクト底部開口50aを塞ぐ方向にキュベット受け底部60が常時付勢される。なお、
図9及び
図10においては、キュベット受け入れ部40における付勢機構70の図示を省略している。
【0038】
ここで、
図10に示すように、キュベット受け入れ部40におけるキュベット受け底部60は操作用ロッド80を備えている。操作用ロッド80は、
図10に示すように底蓋61の底板610に接合された棒状部材であり、底板610から下方に向けて垂直に延設されている。また、
図10に示すように、操作用ロッド80は、底板610における後端近傍の位置で底蓋61と接合されている。詳しくは後述するが、操作用ロッド80は、収容フレーム30の外部からキュベット廃棄容器20が収容フレーム30に収容される際に当該キュベット廃棄容器20の後壁22と接触することで押動される被押動部材として機能し、キュベット廃棄容器20された際にキュベット受け底部60(底蓋61)の姿勢を切り替える機能を有する。
【0039】
図11及び
図12は、キュベット廃棄ユニット10における動作を説明する図である。
図11は、キュベット廃棄容器20が収容フレーム30の容器収容部300に収容されている状態(以下、「廃棄容器収容状態」という)を示す。
図12は、キュベット廃棄容器20が収容フレーム30の容器収容部300から引き抜かれた状態(以下、「廃棄容器引き抜き状態」という)を示す。
図13は、廃棄容器収容状態におけるキュベット受け底部60の状態を示す図である。
図14は、廃棄容器引き抜き状態におけるキュベット受け底部60の状態を示す図である。なお、
図13及び
図14等において、付勢バネ71の図示を省略している。
【0040】
ここで、廃棄容器収容状態にあるときには、
図11及び
図13に示すように、キュベット廃棄容器20の後壁22との接触によって、付勢バネ71の弾性力(付勢力)に対抗して操作用ロッド80が容器収容部300における後方側に押動された状態(以下、「ロッド押動状態」という)に維持される。言い換えると、操作用ロッド80は、キュベット廃棄容器20が収容フレーム30の容器収容部300に収容されているときには、ロッド押動状態に維持されるように、その長さが調整されている。
【0041】
そして、
図11に示すように、操作用ロッド80がロッド押動状態のときには、キュベット受け底部60(底蓋61)が、ダクト部50のダクト底部開口50aを塞ぐことないように当該ダクト底部開口50aから退避(後退)した退避姿勢に維持される。キュベット受け底部60(底蓋61)が上記退避姿勢に維持されている状態では、廃棄パイプ112を通じてキュベット受け入れ部40(ダクト部50)の投入口51aから受け入れた使用済みキュベットは、ダクト底部開口50a及び天板開口部330を通過し、下方に位置するキュベット廃棄容器20の上部開口26に投入された後、キュベット廃棄容器20のキュベット収容部27に廃棄される。
【0042】
そして、キュベット廃棄容器20(キュベット収容部27)が廃棄キュベットで満杯に近づき、キュベット廃棄容器20における廃棄袋の交換タイミングが到来した場合、ユーザは、適切な保護用具を着用した状態でキュベットの廃棄作業を行う。すなわち、キュベット廃棄ユニット10が収容されているタンク等収容部2の扉等を開いた状態で、キュベット廃棄容器20を手前の段差ストッパー320に引っ掛からないように持ち上げながら、収容フレーム30における容器収容部300からキュベット廃棄容器20を完全に引き出す。そして、廃棄キュベットが入っている廃棄袋をキュベット廃棄容器20から取り出し、新しい廃棄袋をキュベット廃棄容器20にセットする。
【0043】
従来においては、キュベット廃棄容器に溜まった廃棄キュベットの廃棄作業(廃棄袋の交換作業)を行う間は、装置による測定動作を一時中断せざるを得なかった。
【0044】
これに対して、本実施形態におけるキュベット廃棄ユニット10によれば、
図12に示すように、ユーザによって収容フレーム30の容器収容部300からキュベット廃棄容器20が引き抜かれて廃棄容器引き抜き状態となった場合、キュベット廃棄容器20における後壁22との接触による操作用ロッド80のロッド押動状態が解除される。そのため、付勢機構70における付勢バネ71の弾性力(付勢力)によって、キュベット受け底部60がダクト部50のダクト底部開口50aを塞ぐ方向にキュベット受け底部60が回動軸部材63を中心に回動し、
図12及び
図14に示すように、キュベット受け底部60によってダクト部50のダクト底部開口50aが塞がれる。この状態においては、キュベット受け底部60は、キュベット受け入れ部40(ダクト部50)の投入口51aから受け入れた使用済みキュベットを底蓋61によって受け止める一時受け姿勢に維持される。本実施形態においては、付勢機構70における付勢バネ71が、キュベット受け底部60を退避姿勢から一時受け姿勢に切り替わる方向に付勢する付勢手段に相当する。
【0045】
上記のように、本実施形態におけるキュベット廃棄ユニット10によれば、収容フレーム30の容器収容部300からキュベット廃棄容器20を引き抜いた時点で、キュベット受け底部60の姿勢が退避姿勢に維持から一時受け姿勢に切り替えられるため、キュベット受け底部60が一時受け姿勢に維持されている間は、廃棄パイプ112を通じて移送されてくる使用済みキュベットを、底蓋61によって一時的に受け止め、底蓋61上に保持することができる。これにより、キュベット廃棄容器20に溜まった廃棄キュベットの廃棄作業中(廃棄袋の交換作業中)においても、複合分析装置1000による分析動作を継続して行うことができ、当該分析動作が一時中断することを回避できる。また、キュベット受け入れ部40は、底蓋61に溜まっている廃棄キュベット数をモニタするセンサーを有していてもよい。それにより、廃棄作業に残された時間をユーザーに知らせることができる。
【0046】
そして、キュベット廃棄容器20に溜まった廃棄キュベットの廃棄作業(廃棄袋の交換作業)の完了後、空になったキュベット廃棄容器20が収容フレーム30の容器収容部300に挿入される過程で、キュベット廃棄容器20の後壁22によって操作用ロッド80が後方に押動される。これにより、操作用ロッド80に接合されるキュベット受け底部60(底蓋61)が付勢バネ71の弾性力(付勢力)に対抗して回動し、一時受け姿勢から退避姿勢に切り替えられる。その結果、収容フレーム30からキュベット廃棄容器20が引き抜かれていた間にキュベット受け底部60の底蓋61に一時的にストックしていた使用済みキュベットが、キュベット受け底部60の底蓋61から落下し、下方に位置する上部開口26を通じて空になったキュベット廃棄容器20のキュベット収容部27へと廃棄される。その後、再びキュベット廃棄容器20が収容フレーム30から引き抜かれるまで、キュベット受け底部60の姿勢が退避姿勢に維持されることなり、キュベット受け底部60によってダクト底部開口50aが塞がれない。そのため、新たに廃棄パイプ112からキュベット受け入れ部40に送られてくる使用済みキュベットは、キュベット受け底部60によって一時的に受けることなく、下方に位置するキュベット廃棄容器20の上部開口26へと落下させ、キュベット収容部27に廃棄することができる。なお、本実施形態におけるキュベット廃棄ユニット10は、キュベット受け底部60の姿勢が一時受け姿勢と退避姿勢との間で切り替えられたことを検知するためのセンサーを設けてもよい。
【0047】
ところで、本実施形態に係る収容フレーム30は、キュベット受け入れ部40(ダクト部50)が投入口51aから受け入れた使用済みキュベットをキュベット廃棄容器20の上部開口26に投入するために、収容フレーム30の天板33には天板開口部330が形成されている。また、キュベット受け入れ部40のキュベット受け底部60は可動式であり、上記退避姿勢と一時受け姿勢との間で姿勢を切り替え可能である。そこで、収容フレーム30における天板開口部330は、可動するキュベット受け底部60と干渉しないように形成されている。これにより、キュベット受け底部60の姿勢が退避姿勢と一時受け姿勢との間で切り替えられる際に、例えばキュベット受け底部60が天板開口部330の縁部と干渉し、所望の姿勢に切り替えられなくなることを回避できる。なお、収容フレーム30はキュベット受け入れ部と廃棄容器20との位置を固定できるものであればよく、その形状は限定されない。また、収容フレーム30の天板等にキュベット受け入れ部40が取り付けられてもよいし、収容フレーム30内部にキュベット受け入れ部40を設置してもよい。
【0048】
また、本実施形態におけるキュベット廃棄ユニット10によれば、キュベット受け入れ部40におけるキュベット受け底部60が、収容フレーム30へのキュベット廃棄容器20の挿入動作、及び、収容フレーム30からキュベット廃棄容器20の引き抜き動作に連動して、キュベット受け底部60の姿勢を自動で切り替えることができる。すなわち、キュベット廃棄容器20に溜まった廃棄キュベットを廃棄する際に、例えば、キュベット廃棄容器20とは別の一時受け用の廃棄容器を人手によってセットする必要もないため、人手による作業負荷が増加することがない。また、一時受け用の廃棄容器を人手でセットする必要がないため、人為的な差し込みエラーが起こることがなく、当該差し込みエラーに起因して装置が停止することで分析動作が中断されてしまうこともない。
【0049】
また、本実施形態における収容フレーム30は段差ストッパー320を備えている。そのため、収容フレーム30の容器収容部300における正規位置に収容された状態のキュベット廃棄容器20が、当該正規位置から不用意にずれてしまうことを抑制できる。すなわち、本実施形態においては、収容フレーム30の容器収容部300に収容された状態のキュベット廃棄容器20には、ロッド押動状態に維持された操作用ロッド80を介して付勢バネ71の弾性力(付勢力)が作用する。そして、付勢バネ71の弾性力(付勢力)によってキュベット廃棄容器20が前面開口31側に押し戻されてしまうと(正規位置からずれてしまうと)、キュベット受け底部60が不用意に退避姿勢から一時受け姿勢に切り替わってしまうとも考えられる。
【0050】
これに対して、本実施形態における収容フレーム30によれば、段差ストッパー320(位置決め手段)を備えるため、収容フレーム30に収容されたキュベット廃棄容器20が正規位置から不用意に位置ずれしてしまうことを抑制し、例えば、キュベット廃棄容器20に溜まっている廃棄キュベットの数が少ないにも関わらず、キュベット受け底部60が退避姿勢から一時受け姿勢に意図せず切り替わり、キュベット廃棄容器20に使用済みキュベットを廃棄できなくなることを好適に抑制できる。
【0051】
なお、本実施形態におけるキュベット受け入れ部40は、ダクト部50に対してキュベット受け底部60を回動させることでキュベット受け底部60の姿勢を退避姿勢と一時受け姿勢との間で切り替えるようにしているが、これには限られない。可動式のキュベット受け底部60の姿勢を退避姿勢と一時受け姿勢との間で切り替えることができればよく、例えば、ダクト部50に対してキュベット受け底部60をスライド自在に配置してもよい。また、キュベット受け入れ部40は、複数のキュベット廃棄容器を保持してもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、操作用ロッド80や付勢バネ71等といった機械的要素を利用して、キュベット受け底部60の姿勢を退避姿勢と一時受け姿勢との間で切り替えるようにしているが、キュベット廃棄容器20が収容フレーム30に収容されているかどうかをセンサー等で検出し、その検出結果に基づいて、適宜の駆動源を利用してキュベット受け底部60の姿勢を退避姿勢と一時受け姿勢との間で切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10・・・キュベット廃棄ユニット
20・・・キュベット廃棄容器
30・・・収容フレーム
40・・・キュベット受け入れ部
50・・・ダクト部
60・・・キュベット受け底部
61・・・底蓋
70・・・付勢機構
71・・・付勢バネ