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  • 特許-飲料用パック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】飲料用パック
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/28 20060101AFI20230728BHJP
   B65D 77/08 20060101ALI20230728BHJP
   B65D 25/08 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
B65D77/28
B65D77/08 J
B65D25/08
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021203265
(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公開番号】P2023088494
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521548582
【氏名又は名称】石川 つたえ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】石川 つたえ
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-078143(JP,U)
【文献】実開昭56-147250(JP,U)
【文献】実開昭58-038576(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04-06、28
B65D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料(B)が密封状態で充填される直方体状のパック本体(2)と、
前記パック本体(2)の内部に設けられ、ストロー(3)を収納するための上端部が開口した空洞が形成されたストロー収納区画(4)と、
前記ストロー収納区画(4)の上端部の開口を塞ぐ封止部材(5)と、
を有し、前記ストロー収納区画(4)は、その下端部と前記パック本体(2)の底面との間に隙間をもって設けられ、前記ストロー収納区画(4)の下端部には易穿孔部(6)が形成されており、前記易穿孔部(6)に前記ストロー(3)を突き刺すことによって、前記ストロー(3)が前記パック本体(2)と連通して、当該パック本体(2)内に充填された飲料(B)を前記ストロー(3)によって吸うことが可能となり、
前記ストロー収納区画(4)が平面視において上端から下端まで同一形状の矩形または丸形となっている飲料用パック。
【請求項2】
前記ストロー収納区画(4)が平面視において矩形状をなし、その一辺の長さを、10mm以上30mm以下の範囲内とした請求項1に記載の飲料用パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料用パックに関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳やジュースなどの飲料は、例えば下記特許文献1に示す紙パックに充填された状態で販売されることが多い。この紙パックの側面には、樹脂製の袋2に封入されたストロー3が設けられている。需要者は、この袋2からストロー3を取り出し、紙パックの上面に形成されたストロー穴(開口部4)にストロー3を突き刺して、内部に充填された飲料をストロー3によって吸うことができる(特許文献1の図1などを参照)。
【0003】
特許文献1に示す紙パックにおいては、ストロー3を封入する袋2が紙パックの側面に接着剤によってしっかりと固定されていることが多く、高齢者や手に障がいがある人がその袋2からストロー3を取り出すのに手間取るおそれがある。そこで、下記特許文献2に示す紙パックにおいては、ストロー3の下端を紙パック本体2の下端に予め突き刺した状態とするとともに、その上端を紙パック本体2の折り代部8aとともに下向きに折り曲げて密封状態とし、この折り代部8aを上向きに展開することによってその密封状態を簡便に開放することができるように構成している(特許文献2の段落0011~0022、図1などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-313435号公報
【文献】登録実用新案第3180950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に係る紙パックは、ストロー3の下端を紙パック本体2に突き刺した状態としているため、この下端からの飲料の漏れが懸念される。また、ストロー3の上端を紙パック本体2の折り代部8aによって単に折り曲げているのに過ぎないため、紙パックの密封性が不十分となるおそれもある。
【0006】
そこで、本発明は、飲料用パックの密封状態を確保しつつ、容易にストローを使用状態とすることができることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、
飲料が密封状態で充填されるパック本体と、
前記パック本体の内部に設けられ、ストローを収納するための上端部が開口した空洞が形成されたストロー収納区画と、
前記ストロー収納区画の上端部の開口を塞ぐ封止部材と、
を有し、前記ストロー収納区画は、その下端部と前記パック本体の底面との間に隙間をもって設けられ、前記ストロー収納区画の下端部には易穿孔部が形成されており、前記易穿孔部に前記ストローを突き刺すことによって、前記ストローが前記パック本体と連通して、当該パック本体内に充填された飲料を前記ストローによって吸うことが可能となる飲料用パックを構成した。
【0008】
このようにすると、ストローを封入する袋からストローを取り出すための細かい作業が不要となるため、高齢者や手に障がいがある人でも、ストローを容易に使用状態とすることができる。また、ストローを易穿孔部に突き刺す前は、パック本体の密封状態が保たれているため、飲料の漏れなどのトラブルを確実に回避することができる。
【0009】
前記構成においては、
前記ストロー収納区画が平面視において矩形状をなし、その一辺の長さを、10mm以上30mm以下の範囲内とするのが好ましい。
【0010】
このようにすると、ストロー収納区画に収納したストローの取り出しやすさを維持しつつ、パック本体に充填可能な飲料の容量がストロー収納区画の形成に伴って大きく減少するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る飲料用パックは、パック本体の内部に、ストローを収納するためのストロー収納区画を独立して設けたので、パック本体の密封状態を確保しつつ、容易にストローを使用状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る飲料用パックの斜視図
図2図1中のII-II線に沿う断面図
図3図1に示す飲料用パックのストロー収納区画の斜視図であって、(a)は易穿孔部で塞いだストロー穴をストロー収納区画の側面下端に形成したもの、(b)は易穿孔部で塞いだストロー穴をストロー収納区画の底面に形成したもの、(c)はストロー収納区画の底面全体を易穿孔部としたもの
図4図1に示す飲料用パックを飲用可能とした状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る飲料用パック1を図面に基づいて説明する。この飲料用パック1は、図1に示すように、飲料B(図4参照)が密封状態で充填されるパック本体2と、パック本体2の内部に設けられ、ストロー3を収納するための上端部が開口した空洞が形成されたストロー収納区画4と、ストロー収納区画4の上端部の開口を塞ぐ封止部材5と、を主要な構成要素としている。
【0014】
パック本体2は、耐水性を備えた紙から構成される直方体状の部材である。その大きさは特に限定されないが、容量が200mL用の飲料用パック1の場合、例えば、縦40mm、横60mm、高さ80mm程度とされる。
【0015】
ストロー収納区画4は、耐水性を備えた紙から構成される図2に示すように平面視において矩形状をなす部材である。その大きさは特に限定されないが、その一辺の長さ(図3(a)中の矢印a、bで示す寸法)は10mm以上30mm以下の範囲内とするのが好ましく、この実施形態においては20mm程度としている。このストロー収納区画4は、パック本体2内の4隅の内の一つの隅に配置され、パック本体2とストロー収納区画4の上端位置は一致している。なお、ストロー収納区画4の平面視形状は矩形に限定されず、丸形などの他形状とすることもできる。
【0016】
ストロー収納区画4は、その下端部とパック本体2の底面との間に隙間をもって設けられている。この実施形態においては、ストロー収納区画4の高さを70mmとしたので、ストロー収納区画4の下端部とパック本体2の底面との間には約10mmの隙間が生じている。この隙間の大きさは、ストローで飲料をスムーズに吸うことができる限りにおいて、適宜変更することもできる。
【0017】
ストロー収納区画4の下端部には、図1図2、および、図3(a)に示すように、ストロー3の先端で容易に穿孔することが可能な易穿孔部6が設けられている。ここでいう「下端部」とは、ストロー収納区画4の底面のみならず側面の下部側も含むある程度広い範囲を指す。この実施形態においては、ストロー収納区画4の側壁の下端隅部にストロー穴7を形成し、このストロー穴7を封止するように薄肉のアルミニウム箔を設けることによって易穿孔部6を構成している。なお、易穿孔部6には、飲料用パック1の輸送時にストロー3の下端が接触しても不用意に破れない程度の強度をもたせている。
【0018】
図3(b)に示すように、ストロー収納区画4の底面にストロー穴7を形成し、このストロー穴7を封止するように薄肉のアルミニウム箔を設けたり、図3(c)に示すように、ストロー収納区画4の底面全体を開口させ、この開口部全体を封止するように薄肉のアルミニウム箔を設けたりすることによって、易穿孔部6を構成することもできる。
【0019】
なお、パック本体2とストロー収納区画4は、一枚のブランクから一体に形成してもよいし、別々に形成した上で接着剤などの手段で一体化してもよい。また、パック本体2とストロー収納区画4の素材は紙に限定されず、樹脂などの種々の素材から選択することができる。なお、パック本体2およびストロー収納区画4の寸法は例示に過ぎず、飲料用パック1の容量やストロー3の長さなどに対応して適宜変更される。
【0020】
封止部材5は、裏面側に粘着剤を設けた粘着シールである。この封止部材5は、パック本体2の上面から一側面に亘って貼り付けられている。この一側面には、封止部材5の一部がパック本体2に密着していない未着部8が形成されている。この未着部8は、必要がなければ省略することもできる。
【0021】
ストロー3は、ストロー収納区画4に収納されている。この実施形態に係るストロー3は、長さ方向の中程に蛇腹が形成されており、この蛇腹の部分を縮めた状態で屈曲させることができるようになっている。このストロー3は、蛇腹の部分を真っ直ぐに伸ばした状態で全長が約120mmとなる一方で、屈曲させた状態で全長が約70mmとなり、その屈曲状態でストロー収納区画4内にちょうど収めることができる(図1参照)。このように蛇腹式のストロー3を用いると、蛇腹の部分を真っ直ぐに引き伸ばす際にストロー3の先端をつまむ必要がないため、この先端の部分の衛生状態を確保することができる。
【0022】
ストロー3の太さは特に限定されないが、通常よりも若干太めの5mm程度にすると、高齢者や手に障がいがある人でもスムーズに扱うことができるため好ましい。また、ストロー3の素材は特に限定されないが、環境負荷の小さい紙製や木製とするのが好ましい。なお、蛇腹式のストロー3の代わりに、一般的に用いられている2段階の伸縮式のストローを採用することもできる。
【0023】
飲料用パック1に充填された飲料Bを飲むためには、まず、未着部8をつまんで封止部材5をはがす。そして、ストロー収納区画4に収納されたストロー3を取り出して、このストロー3の蛇腹の部分を引き伸ばして真っ直ぐの状態とする。さらに、図4に示すように、ストロー3の下端で易穿孔部6を破った上でストロー穴7に突き刺して、ストロー3とパック本体2を連通させる。このとき、真っ直ぐに引き伸ばしたストロー3の上端がパック本体2の上面よりも上側に突出した状態となり、パック本体2内に充填された飲料Bをストロー3によって容易に吸うことができる。
【0024】
上記の飲料用パック1は、パック本体2の内部にストロー3を収納するためのストロー収納区画4を設けたので、従来のようにストロー3を封入する袋からストロー3を取り出すための細かい作業が不要となり、高齢者や手に障がいがある人でも、ストロー3を容易に使用状態とすることができる。また、ストロー3を易穿孔部6に突き刺す前は、パック本体2の密封状態が保たれているため、飲料Bの漏れなどのトラブルを確実に回避することができる。
【0025】
上記の飲料用パック1は、平面視矩形状のストロー収納区画4の一辺の長さを10mm以上30mm以下の範囲内としたので、ストロー収納区画4に収納したストロー3の取り出しやすさを維持しつつ、パック本体2に充填可能な飲料Bの容量がストロー収納区画4の形成に伴って大きく減少するのを防止することができる。
【0026】
上記の飲料用パック1は、ストロー収納区画4の下端部とパック本体2の底面との間に若干の隙間を形成したので、この隙間を介して、ストロー3でパック本体2に充填された飲料Bをスムーズに吸うことができる。
【0027】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0028】
1 飲料用パック
2 パック本体
3 ストロー
4 ストロー収納区画
5 封止部材
6 易穿孔部
7 ストロー穴
8 未着部
B 飲料
図1
図2
図3
図4