(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】タイムレコーダ及びタイムレコーダシステム
(51)【国際特許分類】
G07C 1/00 20060101AFI20230728BHJP
G16Y 10/00 20200101ALI20230728BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20230728BHJP
【FI】
G07C1/00 D
G16Y10/00
G16Y20/40
(21)【出願番号】P 2021212485
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2017233336の分割
【原出願日】2017-12-05
【審査請求日】2022-01-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年7月12日に、働き方改革Fair in TOKYOにて発表された。
(73)【特許権者】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】上山 浩行
(72)【発明者】
【氏名】川畑 幸広
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-081137(JP,A)
【文献】特開2015-109035(JP,A)
【文献】特開2001-249967(JP,A)
【文献】特開2003-242376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00- 9/38,
13/00-15/00
G07B 15/00
B42D 25/00
G06Q 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
ユーザが有するカードからカード識別情報を読み取り、当該カード識別情報と対応付けた打刻情報を生成する打刻部と、
前記読み取ったカード識別情報と前記打刻情報を対応付けて記憶部に記憶するとともに、前記カード識別情報と対応付けて、前記ユーザの愛称をユーザ識別情報として前記記憶部に記憶する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記打刻部により打刻された時点がカード一斉切替期間中である場合に、前記ユーザの愛称の入力を受け付けて、当該愛称を前記カード識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶し、
前記表示部は、前記打刻部により前記カード識別情報が読み取られた際に、読み取った前記カード識別情報に対応する愛称を表示する
タイムレコーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のタイムレコーダであって、さらに、
前記カード識別情報と前記愛称とを対応付けて記憶する管理装置と通信可能な通信部を具備し、
前記制御部は、
前記管理装置から前記通信部を介して前記カード識別情報と当該カード識別情報に対応付けられた前記愛称を受信すると、受信した前記カード識別情報と前記愛称を前記記憶部に記憶させて更新し、
前記打刻部により前記カード識別情報が読み取られた際に、読み取られた前記カード識別情報に対応する愛称を前記記憶部から読み出して前記表示部に表示させる
タイムレコーダ。
【請求項3】
1以上のタイムレコーダと管理装置を含むタイムレコーダシステムであって、
前記タイムレコーダは、
表示部と、
通信部と、
ユーザが有するカードからカード識別情報を読み取り、当該カード識別情報と対応付けた打刻情報を生成する打刻部と、
制御部と、
を具備し、
前記管理装置は、
前記タイムレコーダから前記読み取られたカード識別情報を受信した場合に、受信した前記カード識別情報に対応するユーザ識別情報としての愛称を前記タイムレコーダに送信し、
前記タイムレコーダの前記制御部は、
前記打刻部により前記カード識別情報が再度読み取られた際に、当該カード識別情報に対応する前記愛称を前記表示部に表示させ、
前記打刻部により打刻された時点がカード一斉切替期間中である場合に、
前記ユーザの愛称の入力を受け付けて、当該愛称を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
受信した愛称を前記カード識別情報に対応付けて記憶する
タイムレコーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、タイムレコーダ、タイムレコーダシステム、情報処理方法及びプログラムに係り、カードの使用者を切り替える作業を効率化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、労働条件の適正化や長時間労働の抑制は、規模を問わず、企業にとって喫緊の課題となりつつある。この課題に対し、比較的小規模の事業所や店舗向けに、小型軽量で設置場所を選ばないIC(Integrated Circuit)カード方式の多機能タイムレコーダが提案されている。また、そのようなタイムレコーダ、そのための打刻用ICカード(タイムカード)、勤怠管理用ソフトウェアプログラムなどをパッケージ化したタイムレコーダシステムも提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1には、就業者の出退勤に関する打刻情報を記録及び管理する就業管理装置及び就業管理システムが記載されている。特許文献1の就業管理システムは、就業管理サーバと就業管理装置(タイムレコーダ)を含み、就業管理装置が記録した打刻情報を管理者が就業管理サーバで確認できるようにしている。
【0004】
特許文献2には、月初めに新たなタイムカードが発行されるたびに、オペレータによる、タイムカードナンバーと個人情報とをリンクさせる作業が必要となることに鑑みて、その作業負担を軽減することを目的とする発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6219151号公報
【文献】特開2016-081137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記タイムレコーダシステムにおいて、異動や退職等で使用されなくなった打刻用のICカードは、使用者の切替作業を行うことで再利用されることがある。ICカード使用者の切替作業は、例えば、管理者が管理PC(Personal Computer)から勤怠管理用ソフトでICカードと使用者の紐付けを切り替える処理を行い、その結果を各タイムレコーダへ反映する必要がある。しかし、切り替え作業が特定の時期(例えば、4月と9月)に集中することがあり、管理者にとって負担となっていた。
【0007】
特許文献1、特許文献2のような従来技術は、就業管理システムやタイムカードナンバーと個人情報とのリンク作業負担の軽減について開示しているものの、上述のような切替作業における管理者の業務の負担については、なんら考慮されていない。
【0008】
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであって、カードの使用者切替作業の管理者への集中を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の一態様は、表示部と打刻部と制御部を具備するタイムレコーダである。
上記打刻部は、ユーザが有するカードからカード識別情報を読み取り、当該カード識別情報と対応付けた打刻情報を生成する。
上記制御部は、上記カード識別情報と上記打刻情報との対応関係を切り替え可能に設定された切替期間中に、上記打刻部により上記カード識別情報が読み取られた際に、上記表示部に上記カード識別情報と上記打刻情報との対応関係の切り替えの要否を選択させる切替要否選択画面を表示させ、切替要を選択するユーザ操作が受け付けられた場合に、上記打刻部に上記対応関係を切り替えた新たな打刻情報を生成させる。
【0010】
上記タイムレコーダによれば、打刻情報生成時に、ユーザに切替要否選択画面を提示し、ユーザ自身に要否を判断させ、切替要と判断された場合は新たな打刻情報を生成することができ、カードの使用者の切替作業の少なくとも一部をユーザ自身にしてもらうことによって、作業の管理者への集中を緩和することができる。ここでカード識別情報とは、典型的には英数字及び/又は記号からなるカードIDであるが、文字列等であっても構わない。
【0011】
上記タイムレコーダにおいて、
上記制御部は、上記ユーザによる打刻操作を可能とする通常モードと、管理者にのみ操作を可能とする管理者モードとを切り替えて実行可能であり、当該管理者モードにおいて、上記切替期間の設定操作を受け付けてもよい。
【0012】
上記タイムレコーダによれば、対応関係の切替期間中に打刻操作を行う場合に限り、上記切替要否選択画面を表示できるようになる。また、管理者モードを有することにより、その切替期間の設定を管理者の任意の期間に設定できるようになる。
【0013】
上記タイムレコーダは、さらに、
上記カード識別情報と対応付けられた上記打刻情報及び上記カード識別情報と対応付けられたユーザ識別情報に関する情報の対応管理情報を記憶する記憶部を具備してもよい。
この場合、上記制御部は、上記切替要を選択するユーザ操作が受け付けられた場合に、上記記憶部の上記打刻情報及び上記対応管理情報を消去してもよい。
【0014】
上記タイムレコーダによれば、切替要を選択するユーザ操作により、タイムレコーダ内の前ユーザの打刻情報及び対応管理情報が消去されるため、前ユーザと現ユーザの打刻情報の混在を防ぐことができる。
【0015】
上記タイムレコーダにおいて、
上記制御部は、上記切替要を選択するユーザ操作が受け付けられた場合に、上記表示部を介して上記ユーザの愛称の入力を受け付けて当該愛称を上記カード識別情報に対応付けてもよい。
この場合、上記表示部は、上記打刻部により上記カード識別情報が読み取られた際に、読み取った上記カード識別情報に対応する愛称を表示してもよい。
【0016】
上記タイムレコーダによれば、ユーザの愛称をタイムレコーダに設定できるため、表示画面等にはユーザが設定した愛称を表示させることができ、昨今の個人情報保護を重視する社会情勢に配慮することができる。
【0017】
上記タイムレコーダは、さらに、
上記カード識別情報とユーザ識別情報とを対応付けて記憶する管理装置と通信可能な通信部を具備してもよい。
この場合、上記制御部は、上記切替要を選択するユーザ操作が受け付けられた場合に、上記カード識別情報を上記通信部を介して上記管理装置に送信し、上記管理装置から上記カード識別情報に対応するユーザ識別情報を上記通信部を介して受信し、上記打刻部により上記カード識別情報が再度読み取られた際に、当該カード識別情報に対応する上記ユーザ識別情報の正誤をユーザに確認するユーザ識別情報確認画面を上記表示部に表示させてもよい。
【0018】
上記タイムレコーダによれば、管理装置から送信されたユーザ識別情報の正誤をユーザが確認可能になるため、重要な情報を管理者と利用者の双方で確認を行うことにより運用ミスが防げるようになる。ここでユーザ識別情報とは、典型的には英数字及び/又は記号からなるユーザIDであるが、例えばユーザの氏名等の文字列であっても構わない。
【0019】
上記タイムレコーダにおいて、
上記管理装置は、他のタイムレコーダと通信可能であり、上記他のタイムレコーダから上記切り替要を選択するユーザ操作に基づいて上記カード識別情報を受信した場合に、上記タイムレコーダへ当該カード識別情報の受信を示す情報を送信してもよい。
この場合上記制御部は、上記他のタイムレコーダからの上記カード識別情報の受信を示す情報を上記管理装置から上記通信部を介して受信した後、上記打刻部により上記カード識別情報が読み取られた場合に、上記切替要否選択画面の表示を抑制し、上記打刻部に上記対応関係を切り替えた新たな打刻情報を生成させてもよい。
【0020】
上記タイムレコーダによれば、一度、切替要否選択画面が表示され、要否選択がなされた後は、管理装置配下の複数のタイムレコーダ間で、切替情報が同期されるので、あるタイムレコーダで切替要否選択画面が表示された後にユーザが別のタイムレコーダで打刻した際に再度切替要否選択画面が表示されてしまいユーザが煩わしさを感じるのを防ぐことができ、利便性が向上する。
【0021】
本発明の別の一態様は、1以上のタイムレコーダと管理装置を含むタイムレコーダシステムである。
上記タイムレコーダは、表示部と、通信部と、打刻部と、制御部を具備する。
上記打刻部は、ユーザが有するカードからカード識別情報を読み取り、当該カード識別情報と対応付けた打刻情報を生成する。
上記制御部は、上記カード識別情報と上記打刻情報との対応関係を切り替え可能に設定された切替期間中に、上記打刻部により上記カード識別情報が読み取られた際に、上記表示部に上記カード識別情報と上記打刻情報との対応関係の切り替えの要否を選択させる切替要否選択画面を表示させ、切替要を選択するユーザ操作が受け付けられた場合に、上記打刻部に上記対応関係を切り替えた新たな打刻情報を生成させるとともに上記カード識別情報を上記通信部を介して上記管理装置に送信する。
上記管理装置は、上記カード識別情報を受信した場合に、受信した上記カード識別情報に対応するユーザ識別情報を上記タイムレコーダに送信する。
この場合、上記タイムレコーダの上記制御部は、上記打刻部により上記カード識別情報が再度読み取られた際に、当該カード識別情報に対応する上記ユーザ識別情報の正誤をユーザに確認するユーザ識別情報確認画面を上記表示部に表示させる。
【0022】
上記タイムレコーダシステムによれば、
打刻情報生成時に、ユーザに切替要否選択画面を提示し、ユーザ自身に要否を判断させ、切替要と判断された場合は新たな打刻情報を生成することができ、カードの使用者の切替作業の少なくとも一部をユーザ自身にしてもらうことによって、作業の管理者への集中を緩和することができる。
さらに、管理装置から送信されたユーザ識別情報の正誤をユーザが確認可能になるため、重要な情報を管理者と利用者の双方で確認を行うことにより運用ミスが防げるようになる。
【0023】
本発明の別の一態様は、
ユーザが有するカードからカード識別情報を読み取り、
上記カード識別情報と打刻情報との対応関係を切り替え可能に設定された切替期間中であるか否かを判断し、
上記切替期間中である場合に、上記カード識別情報と上記打刻情報との対応関係の切り替えの要否を選択させる切替要否選択画面を表示し、
上記切替要否選択画面に基づいて切替要を選択するユーザ操作を受け付け、
上記ユーザ操作に基づいて、読み取った上記カード識別情報との対応関係を切り替えた新たな打刻情報を生成する
情報処理方法である。
【0024】
本発明の別の一態様は、
タイムレコーダに、
ユーザが有するカードからカード識別情報を読み取る処理と、
上記カード識別情報と打刻情報との対応関係を切り替え可能に設定された切替期間中であるか否かを判断する処理と、
上記切替期間中である場合に、上記カード識別情報と上記打刻情報との対応関係の切り替えの要否を選択させる切替要否選択画面を表示させる処理と、
上記切替要否選択画面に基づいて切替要を選択するユーザ操作を受け付ける処理と、
上記ユーザ操作に基づいて、読み取った上記カード識別情報との対応関係を切り替えた新たな打刻情報を生成する処理
を実行させる
プログラムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、カードの使用者切替作業の管理者への集中を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係るタイムレコーダシステムの構成例を示す概略図である。
【
図2】上記実施形態に係る管理装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】上記実施形態に係るタイムレコーダ及びタイムカードの外観を示す図である。
【
図4】上記タイムレコーダの内部構成を示すブロック図である。
【
図5】上記タイムレコーダに記憶されているマスタ情報の構成例1である。
【
図6】上記タイムレコーダの通常モードにおけるタッチパネルの表示例である。
【
図7】上記タイムレコーダの管理者モードにおけるタッチパネルの表示例1である。
【
図8】上記タイムレコーダの管理者モードにおけるタッチパネルの表示例2である。
【
図9】上記タイムレコーダの情報処理を示すフローチャートである。
【
図10】上記タイムレコーダにおける打刻操作時のタッチパネルの表示例1である。
【
図11】上記タイムレコーダシステムにおける個人識別情報の確認処理を示すフローチャートである。
【
図12】上記タイムレコーダに記憶されているマスタ情報の構成例2である。
【
図13】上記タイムレコーダにおける打刻操作時のタッチパネルの表示例2である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
【0028】
[タイムレコーダシステム]
図1は、本実施形態に係るタイムレコーダシステムの構成例を示す概略図である。
図1に示すように、タイムレコーダシステム1は、管理装置50と、1以上のタイムレコーダ10とを有する。
【0029】
管理装置50は、企業等に所属する複数の従業員の各々の出退勤等を管理するための端末であり、人事部等の所定の担当者(管理者)により操作される。管理装置50としては、典型的には、パーソナルコンピュータ等が用いられる。
【0030】
1以上のタイムレコーダ10は、例えば、企業の事業所ごと、部署ごと、店舗ごとに配置される。各事業所の従業員等(ユーザ)は、配置されたタイムレコーダ10にタイムカード30をかざして、出勤や退勤等の時間をタイムレコーダ10に打刻させる。以下、このタイムカード30をかざす操作を「打刻操作」と称する。
【0031】
タイムレコーダ10は、ユーザの打刻操作に応じて、タイムカード30ごとに固有に設定されたカード識別情報311ごとに打刻情報123を蓄積する。蓄積された打刻情報123は、定期的に、例えば月ごとに、タイムレコーダ10から管理装置50に送られる。
【0032】
図1に示すように、本実施形態では、複数のタイムレコーダ10が単体の管理装置50に接続される。そしてタイムレコーダ10から管理装置50へ打刻情報123が送信される。タイムレコーダ10から送信される打刻情報123には、タイムレコーダ10を識別する識別情報が付加される。
【0033】
管理装置50とタイムレコーダ10とを通信可能に接続する方法は限定されない。例えば、有線データ通信を用いたり、近距離無線通信を用いたりしてもよい。SDカード(登録商標)やメモリスティック(登録商標)などの記録媒体を使用して打刻情報123を送信してもよい。データ通信のプロトコルにインターネット・プロトコル(IP)を用いてもよい。これらの接続は、常時維持されている必要はなく、打刻情報123を送る必要のあるときに管理者により接続されてもよい。
【0034】
図2は、管理装置50の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、管理装置50の内部には、CPU(Central Processing Unit)51とメモリ52とインターフェイス部54があり、これらがバス53を介して相互に接続している。
【0035】
インターフェイス部54は、入出力に関わるユニットとCPU51及びメモリ52のような制御部とを接続するユニットである。インターフェイス部54は、キーボード55と、マウス56と、モニタ57と、プリンタ58と、記録媒体接続部59と、外部通信部60といった入出力に関わるユニットと接続している。
【0036】
キーボード55とマウス56は、管理者の操作入力を管理装置50に入力する。モニタ57は、制御部の情報処理結果を表示出力する。プリンタ58は、制御部の情報処理結果を紙媒体に出力する。本実施形態において、プリンタ58は、CPU11のラベル印字データ作成部511が作成したラベル印字データに基づいて、タイムカード30のラベルシールを印刷する。
【0037】
記録媒体接続部59は、記録媒体の接続を可能にして、当該記録媒体からの情報の読み出し又は当該記録媒体への情報の書き出しを行う。外部通信部60は、無線ローカルエリアネットワークへのアダプタなどで構成され、IPネットワーク等への接続を可能にする。
【0038】
メモリ52は、ROMやRAM等から構成され、汎用PCのOS(不図示)のほか、管理用アプリ521、個人マスタ522、打刻情報523などを記憶する。管理用アプリ521は、タイムカードシステム1の管理用のアプリケーションソフトウェアであり、ラベル印字用アプリケーションソフトウェアの機能も備える。
【0039】
CPU51は、メモリ52に記憶されているソフトウェアを実行することで、種々の情報処理を行う。また、それにより、CPU51には、ラベル印字データ作成部511、個人マスタ管理部512、打刻情報管理部513を含む仮想的な機能ブロックが成立する。
【0040】
なお、上記ソフトウェアは、例えば記録媒体を介してインストールされてもよいし、ネットワークを介してインストールされてもよい。
【0041】
個人マスタ管理部512は、個人マスタ522の情報を管理する。打刻情報管理部513は、打刻情報523を管理する。個人マスタ522と打刻情報523については、タイムカード10が有する個人マスタ122と打刻情報123に関する説明の箇所で説明する。
【0042】
図3は、本実施形態に係るタイムレコーダ及びタイムカードの外観を示す図である。
図3A及びBに示すように、タイムレコーダ10は、打刻部16と、タッチパネル17を有する。
図3Cに示すように、タイムカード30は、ICチップ31とアンテナコイル(不図示)を有する。
【0043】
打刻部16は、RFID(Radio Frequency Identification)システムを利用し、ICチップ31とアンテナコイル(不図示)を有するタイムカード30を近づけると、電磁誘導によりICチップ31内に格納されている情報を読み取る。本実施形態では、カード識別情報311を読み取る。カード識別情報311は、タイムカード30それぞれに重複しないように設定されている情報である。
【0044】
タッチパネル17は、タイムレコーダ100の表示機能(表示部、表示手段)とユーザ操作の入力機能(操作入力部、操作入力手段)を兼ね備える。なお、タイムレコーダ10は、平置きの態様(
図3A)でも縦置きの態様(
図3B)でも使用できる。タッチパネル17は、タイムレコーダ10が
図3Aの向きでも
図3Bの向きでも使用可能なように、画面を回転させる機能を有している。
【0045】
タイムカード30は、プラスチック製のカードであり、内部にICチップ31とアンテナコイル(不図示)が埋め込まれている。タイムカード30は、紙製のタイムカードよりも若干高コストになる場合がある。したがって、小規模事業所などでは人事異動や退職のたびに新しいタイムカード30を購入するとコスト面での負担が大きい。そこで本実施形態ではタイムカード30の再利用を認め、再利用をしても問題が生じないように、タイムレコーダ10内の個人マスタ122や打刻情報123といったデータを書き換える。ただし、タイムカード30は上記ICチップ31の代わりに磁気ストライプや磁気シートを用いた磁気カードであっても構わない。
【0046】
図4は、タイムレコーダ10の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、タイムレコーダ10の内部には、CPU(Central Processing Unit)11とメモリ12とインターフェイス部14があり、これらがバス13を介して相互に接続している。
【0047】
インターフェイス部14は、入出力に関わるユニットとCPU11及びメモリ12のような制御部とを接続するユニットである。インターフェイス部14は、時計部15と、打刻部16と、タッチパネル17と、音声出力部18と、記録媒体接続部19と、外部通信部20といった入出力に関わるユニットと接続している。
【0048】
時計部15は、水晶振動子などにより時刻情報を生成してCPU11などに供給する。音声出力部18は、CPU11の情報処理に応じてビープ音などを出力する。記録媒体接続部19は、記録媒体の接続を可能にして、当該記録媒体からの情報の読み出し又は当該記録媒体への情報の書き出しを行う。外部通信部20は、無線ローカルエリアネットワークへのアダプタなどで構成され、IPネットワーク等への接続を可能にする。
【0049】
メモリ12は、ROMやRAM等から構成され、タイムレコーダ10の組み込み制御ソフトウェア(不図示)のほか、設定情報121、個人マスタ122、打刻情報123などを記憶する。
【0050】
CPU11は、メモリ12に記憶されているソフトウェアを実行することで、後述する種々の情報処理を行う。また、それにより、CPU11には、カード切替判断部111、個人マスタ管理部112、打刻情報管理部113を含む仮想的な機能ブロックが成立する。
【0051】
なお、上記ソフトウェアは、例えば記録媒体を介してインストールされてもよいし、ネットワークを介してインストールされてもよい。
【0052】
次に、メモリ12が記憶する情報について説明する。
【0053】
設定情報121は、タイムレコーダ10の運用に関する設定全般を有し、本実施形態では特に、一斉切替期間に関する設定情報を含む。この設定情報は、一斉切替期間設定の有効又は無効、有効である場合に期間の開始日、期間の長さ、といった情報を含む。
【0054】
打刻情報123は、「出勤/退勤/外出/戻り」などのユーザのアクションと、そのアクションがなされた時刻を、カード識別情報ごとに蓄積させた情報である。打刻情報123は、カード識別情報に代えてユーザ識別情報ごとに蓄積させることとしてもよい。
【0055】
個人マスタ122は、本実施形態では、ユニークユーザごとに、カード識別情報、ユーザ識別情報、その他の情報を記憶したマスタ情報である。
図5にその一例を示す。なお、
図5の例では、説明を簡略にするために、ユニークユーザの4人すべてがタイムカード30を渡されているものとしている。
【0056】
図5に示すように、各ユニークユーザはカード識別情報の一例としてカード識別子が割り当てられている。カード識別子は16進数8桁の数字などで構成され、各タイムカード30にユニークなものである。また、個人マスタ122は、ユーザごとに、システムから割り当てられている場合は当該ユーザのユーザ識別子を、システムに登録している場合は当該ユーザの氏名や愛称を、記憶する。ユーザ識別子、氏名、愛称は、ユーザ識別情報の一例である。
【0057】
また、個人マスタ122は、ユーザごとに、カード発行日、カード更新日、切替済フラグ、確認済フラグを記憶する。カード発行日、カード更新日、切替済フラグは、後述する一斉切替期間中の打刻操作時の処理で利用される。確認済フラグは、ユーザ識別情報の正誤の確認処理において利用される。
【0058】
管理装置50が有する個人マスタ522は、各タイムレコーダ10が記憶する個人マスタ122を収集し、名寄せして重複を除いたデータである。後述するユーザ識別情報の正誤の確認処理において、管理装置50がタイムレコーダ10のいずれかから、所定の確認済フラグの値とともにユーザ識別情報を受信すると、個人マスタ管理部512は当該ユーザ識別情報に係る個人マスタ522の一部を更新する。
【0059】
管理装置50が有する打刻情報523は、各タイムレコーダ10が記憶する打刻情報123を収集し、集積したデータである。
【0060】
次に、タイムレコーダ10の運用モードについて説明する。
【0061】
タイムレコーダ10は、運用モードとして、少なくとも、通常モードと、管理者モードを有する。
図6は、通常モードにおけるタッチパネル17の表示例であり、
図6Aと
図6Bは、それぞれ、待機画面例である。
図6Aと
図6Bには、「出勤/退勤/外出/戻り」などのユーザのアクションを示すボタンと、時刻情報が示されている。この画面が表示されている状態で、ユーザが打刻部16にタイムカード30を近づけると、原則的に、打刻処理が行われ、例えば、
図6Cに示すような画面が表示される。
【0062】
図6に示したような待機画面において、管理者モードへの移行ボタン171のタッチ及び管理者のタイムカード30の読み取りが行われると、タイムレコーダ10のCPU11は管理者モードへ移行する。なお、移行の手順については、この手順に限定されない。
【0063】
管理者モードにおいて設定できる事項は、ビープ音の音量や画面の表示濃度などを含む。本実施形態は、一斉切替期間に関する設定を可能にしている。
図7と
図8は、管理者モードにおけるタッチパネル17の表示例であり、その中でも特に、一斉切替期間に関する設定を行う管理者ユーザインターフェイスである。
【0064】
図7Aに示すように、タッチパネル17は、「戻る」「確定」などの操作キー172のほかに、一斉切替期間を設定するか否かを決定させるトグルキー173を提供する。
図7Aに示す状態のとき、開始月日やその期間などの設定に関する個別設定キー174は、操作不能になっていてもよく、グレーアウトになっていてもよい。
【0065】
管理者がトグルキー173を「あり」にした場合、
図7Bのような表示に切り替わり、一斉切替期間が設定可能になる。本実施形態において、一斉切替期間は、複数指定が可能である。図示の例では、一斉切替期間を2回設定可能な構成である。
【0066】
図7Bにおいて、管理者が個別設定キー174を選択すると、
図8に示すような表示に切り替わる。
図8Aは開始月日の、
図8Bは期間の設定画面例である。いずれもテンキー176でパラメータ177を設定可能に構成されている。タイムレコーダ10のCPU11は、これらの画面における管理者の入力に基づいて、一斉切替期間を設定する。
【0067】
図7と
図8の例示では、管理者がタイムレコーダ10を直接操作する場合を説明したが、これらの設定内容は、管理装置50からタイムレコーダ10に送信されることによって、おのおののタイムレコーダ10が自動的に設定するものとしてもよい。
【0068】
本実施形態において、各ユーザは、一斉切替期間中、自分でタイムカード30の使用者の切替の処理を、暫定的に行い、タイムレコーダシステム1は暫定的に切り替えられた情報を用いて仮運用をする。以下に、タイムレコーダ10の情報処理の手順を示す。
【0069】
[タイムレコーダの情報処理]
図9に、タイムレコーダ10に対してユーザの打刻操作があった際の、CPU11の処理手順の概要を示す。
【0070】
まず、ユーザの打刻操作があると、打刻部16は、タイムカード30からカード識別情報を読み取る(ステップS101)。続いて、CPU11及び個人マスタ管理部112は、読み取ったカード識別情報で個人マスタ122を検索する(ステップS102)。例えば、CPU11及び個人マスタ管理部112は、
図5のカード識別子フィールドを、読み取ったカード識別情報をキーとして、検索する。
【0071】
検索結果がない場合は(ステップS103/No)、当該タイムレコーダ10で始めて使用されたタイムカード30であるので、CPU11及び個人マスタ管理部112は、読み取ったカード識別情報で個人マスタ122の新しいエントリを新規作成する(ステップS112)。すなわち、
図5に例示した個人マスタ122に新しい1行が加わる。
【0072】
検索結果がある場合は(ステップS103/Yes)、CPU11は、時計部15が供給する時刻情報と、設定情報121に基づいて、現在がカード一斉切替期間であるか否かを判断する(ステップS104)。一斉切替期間中でない場合は(ステップS104/No)、通常の打刻が行われる。すなわち、CPU11及び打刻部16は、打刻情報123を生成し、タッチパネル17は
図6Cのような画面を表示する(ステップS113)。
【0073】
一斉切替期間中である場合は(ステップS104/Yes)、CPU11及び個人マスタ管理部112は、読み取ったカード識別情報で個人マスタ122を読み込む(ステップS105)。ステップS102の検索でヒットした個人マスタ122を読み込む。
【0074】
続いて、CPU11及びカード切替判断部111は、読み込んだ個人マスタ122に基づいて、これが切替済であるか否かを判断する(ステップS106)。CPU11及びカード切替判断部111は、切替済フラグ(
図5)が0である場合に切替未了と判断し、1である場合に切替済と判断する。判断の態様はこれに限定されず、カード発行日とカード更新日に基づいて判断されてもよい。
【0075】
個人マスタ122が切替済である場合は(ステップS106/Yes)、通常の打刻が行われる。個人マスタ122が切替済でない場合は(ステップS106/No)、CPU11及びタッチパネル17は、切替要否選択画面を表示する(ステップS107)。
図10Aに切替要否選択画面の一例を示す。
【0076】
図10Aにおいて、タイムカード30に係るカード識別情報とユーザ識別情報都の対応関係の切替が不要であるユーザ、つまり、継続利用のユーザは、「いいえ」を選択する。ユーザによる選択操作はタッチパネル17により受け付けられ、CPU11等に操作入力が入力される。この場合、CPU11は、初回利用でないと判断し(ステップS108/No)、通常の打刻が行われる。
【0077】
図10Aにおいて、タイムカード30に係るカード識別情報とユーザ識別情報都の対応関係の切替が必要であるユーザは、「はい」を選択する。ユーザによる選択操作はタッチパネル17により受け付けられ、CPU11等に操作入力が入力される。この場合、CPU11は、初回利用であると判断し(ステップS108/Yes)、
図10Bに示すような切替実行確認画面を表示する(ステップS109)。
【0078】
図10Bに示すように、タッチパネル17は、切替実行確認の入力をユーザに促す。ユーザが「はい」を選択すると、ユーザによる確定選択操作はタッチパネル17により受け付けられ、CPU11等に操作入力が入力される。この場合、CPU11は、切替実行が指示されたと判断する(ステップS110/Yes)。
【0079】
切替実行が指示されると、CPU11及び個人マスタ管理部112は、当該カード識別情報(S102で読み取ったもの)に対応する個人マスタ122を削除する(ステップS111)。また、CPU11及び打刻情報管理部113は、当該カード識別情報に対応する打刻情報123を削除する(ステップS111)。
【0080】
続いて、CPU11及び個人マスタ管理部112は、当該カード識別情報で新たな個人マスタを作成する(ステップS112)。
【0081】
続いて、CPU11及び打刻部16は、打刻情報123を生成し、タッチパネル17は
図6Cのような画面を表示する(ステップS113)。
【0082】
タイムレコーダ10は、上述のような情報処理を行うことによって、設定した一斉切替期間内に打刻したユーザに対して「はい/いいえ」形式で、タイムカード30の使用者の変更がないかを確認させる。これにより、タイムカード30の使用者を手軽に変更した上で、仮運用させることが可能になる。これは、管理装置50で管理者が全カード使用者の切替作業を行い、切替後のデータを各タイムレコーダ10に反映させるよりも、管理者の手間が軽減する。すなわち、切替作業の管理者への集中を避けることができる。
【0083】
また、タイムレコーダ10は、カード識別情報とユーザ識別情報都の対応関係の一斉切替期間における、初回打刻操作の場合に、初めてカードを使用するか(切替が必要か)、あるいは継続利用か(切替が不要か)を選択させるポップアップを表示する(ステップS107、
図10A)。初回利用であり切替が必要であることを、タイムカード30の使用者であるユーザ自身に選択させてはじめて、タイムレコーダ10は、切替作業(ステップS111、S112)を行う。これにより、円滑に仮運用を開始することができる。
【0084】
また、タイムレコーダ10は、カード識別情報とユーザ識別情報都の対応関係の一斉切替期間における初回打刻操作の際、切替要否確認画面を表示し、切替要が選択された場合に、読み込まれたカード識別情報に対応する以前のユーザの個人マスタ122と打刻情報123を削除する(ステップS111)。また、タイムレコーダ10は、新しいユーザに対応する個人マスタ122と打刻情報123を新たに作成する(ステップS112)。
【0085】
そのため、前ユーザの個人マスタ122に係る氏名等個人情報や勤怠履歴に係る打刻情報123がタイムレコーダ10側で削除される。これにより、例えば打刻情報の照会操作などで前ユーザと現ユーザの情報の混在した情報が提示されるといった不具合が生じない。また、個人情報も保護される。
【0086】
また、タイムレコーダ10は、ユーザ識別情報の一つとして、「愛称」を有し、仮運用開始時にユーザに愛称の入力を促す(
図5、ステップS110、
図10B)。CPU11は、ユーザによる打刻操作の際、この愛称を、氏名等に代えてタッチパネル17に表示させてもよい。この場合、タッチパネル17の表示画面を第三者に盗み見られたとしても個人情報の漏洩につながりにくくなる。
【0087】
この場合、管理者は、タイムカード30のカードラベルとして「愛称」を印字したシールを作成し、各ユーザに配布することにしてもよい。ユーザは、当該シールをタイムカード30に貼り付けて使用してもよく、この場合、フルネームではなく愛称が表示されるため、個人情報の漏洩につながりにくくなる。
【0088】
[ユーザ識別情報の正誤の確認]
本実施形態に係るタイムレコーダシステム1において、管理者は、仮運用の前後で、管理装置50において切替作業を行ってもよく、一斉切替期間経過後、本番運用の前に、当該切替作業の一つとして、ユーザ識別情報の正誤の確認をしてもよい。ただし、「一斉切替期間経過後、本番運用の前」というのは、ユーザ識別情報の正誤の確認をするタイミングの典型例の一つを例示したに過ぎず、その他のタイミングでもよい。
【0089】
図11に、ユーザ識別情報の正誤の確認をするための、管理装置50及び1以上のタイムレコーダ10のいずれか1つの情報処理の手順を示すフローチャートを示す。また、
図12に、ユーザ識別情報の遷移例を示す。なお、
図12は
図5に示した具体例に基づいている。
【0090】
図11において、タイムレコーダ10は、複数あるうちのいずれか1つでよい。
この場合、管理装置50のCPU51は、管理者の操作に応じて、各タイムレコーダ10に、個人マスタ522に含まれる情報の一部を配布する(ステップS201)。
【0091】
なお、管理装置50のCPU51が配布する情報は、送信先のタイムレコーダ10が有する個人マスタ122である。この個人マスタ122のうち、カード識別情報とユーザとの対応関係に変更があった情報については、0又はヌル値ではない値がセットされた切替済フラグが付加される。
【0092】
図12Aを参照すると、あるタイムレコーダ10に配布された個人マスタ122の一例が示されている。
図12Aに示す個人マスタにおいて、
図5でユーザ識別情報に欠けているところがあった「USR1010」と「USR1011」は、ユーザ識別子と氏名が補完されている。管理装置50による個人マスタ522に含まれる情報の一部の配布により、これらの情報が各タイムレコーダ10に記憶される個人マスタ122に補完される。
【0093】
タイムレコーダ10は、配布された個人マスタ122を受信し、カード識別情報(カード識別子)やユーザ識別子が一致する個人マスタ122の情報を更新する(ステップS202)。それと同時に、当該個人マスタ122に係る確認済フラグを0にセットする(ステップS203)。
【0094】
次に、タイムレコーダ10は、ユーザ識別情報に更新があったユーザ、あるいは、確認済フラグが0にセットされているユーザの打刻操作を待つ。CPU11は、そのようなユーザの打刻操作があった場合に(ステップS204/Yes)、確認済フラグが0か否かを判断する(ステップS205)。確認済フラグが0でなければ、CPU11は処理を終了する。0であれば、CPU11は、配布された個人マスタ122の情報の正誤をユーザに確認させるための確認画面(不図示)を生成し、これをタッチパネル17に表示する(ステップS206)。
【0095】
なお、打刻操作があった場合(ステップS204/Yes)、タイムレコーダ10は、
図9に示す通常の打刻処理も実行する。この通常の打刻処理においては、既に述べたように、当該打刻操作が行われた時期が既にカード一斉切替期間を過ぎていたり(ステップS104/No)、カード発行日やカード更新日、あるいは切替済フラグを参照することによって個人マスタが切替済であると判断されたり(ステップS106/Yes)する。CPU11は、
図11に示すユーザ識別情報の正誤の確認処理を、
図9に示す打刻処理に対して並列的に実行する。
【0096】
確認画面表示の処理(ステップS206)について説明を続ける。
配布された個人マスタ122の情報の正誤をユーザに確認させるための確認画面は、
図10に示したようなポップアップを表示し、修正があるか否かを「はい/いいえ」でユーザに答えさせるものでよい。この場合、「はい」が選択されると修正入力画面(不図示)に遷移する。修正入力画面は、氏名等のユーザ識別情報を表示し、誤りがある場合にタップするなどの操作入力に応じて修正可能に構成される。
【0097】
ステップS206において、修正があることも修正がないことも確認できない場合(例えばユーザ操作入力のタイムアウト)、CPU11は確認済としない。その場合(ステップS207/No)、何もせず、当該ユーザによる次の打刻操作を待つ(ステップS204)。
【0098】
確認済みとされた場合(ステップS207/Yes)、CPU11は、確認された個人マスタ122の確認済フラグを1又は2にセットする(ステップS208)。ステップS208における「確認済み」には、修正がない場合と修正がある場合の両方を含む。CPU11は、修正がない場合、確認済フラグを1にセットし、修正がある場合、2にセットする。
【0099】
図12Bを参照すると、ユーザによる個人マスタ122の情報の確認が行われた後の、個人マスタ122のデータ例が示されている。
図12Aと
図12Bを比較すると、「USR1010」と「USR1011」の確認済フラグが、両者とも1にセットされている。
【0100】
これはつまり、CPU11が、「USR1010」に係るユーザの打刻操作後のステップS208において確認済みフラグを1にセットし、これとは別のタイミングで、「USR1011」に係るユーザの打刻操作後のステップS208において確認済みフラグを1にセットしたことを示す。仮に氏名等情報に誤りがあってユーザによって情報が修正された場合は、確認済フラグには2がセットされる。
図12Bの例では修正がない場合を示した。
【0101】
次に、タイムレコーダ10のCPU11は、ユーザによりユーザ識別情報が確認された旨を示す確認済フラグと、ユーザ識別情報に変更がある場合は当該変更に係る情報とを管理装置50に送信する(ステップS209)。例えば、氏名に誤りがあることをユーザが発見し、訂正した氏名が入力された場合は、訂正後の氏名の情報もこのステップで管理装置50に送信される。
【0102】
CPU51及び個人マスタ管理部512は、受信した情報に基づいて、個人マスタ522を更新する(ステップS210)。CPU51及び個人マスタ管理部512は、タイムレコーダ10から受信した情報に含まれる確認済フラグに2がセットされていた場合、同じく受信した情報に含まれる変更に係る情報を用いて、個人マスタ522を更新する。
【0103】
次に、CPU51は、1又は2にセットされた確認済フラグを、各タイムレコーダ10に配布する(ステップS211)。タイムレコーダ10は、ユーザ識別情報あるいはカード識別情報と共に1にセットされた確認済フラグが管理装置50から送信されてきた場合は、当該ユーザ識別情報あるいは当該カード識別情報に係る確認済フラグを1にセットする(不図示)。
【0104】
タイムレコーダ10は、ユーザ識別情報あるいはカード識別情報と共に2にセットされた確認済フラグが管理装置50から送信されてきた場合は、当該ユーザ識別情報あるいは当該カード識別情報に係る確認済フラグを1にセットすると共に、ユーザ識別情報など修正がある部分を受信した情報で修正する(不図示)。
【0105】
なお、ステップS211の確認済フラグの配布先は、ステップS209で確認済の旨を送信したタイムレコーダ10を除いてもよい。
【0106】
上述したユーザ識別情報の正誤の確認処理によれば、重要な個人のマスタ情報を管理者とユーザの双方で確認されることになり、これにより、運用ミスを防ぐことができる。
【0107】
また、上述したユーザ識別情報の正誤の確認処理によれば、タイムカード30のカード識別情報とそのユーザとの対応関係に変更があった場合には管理装置50が切替済フラグをセットして各タイムレコーダ10に配布し(ステップS201)、それがユーザの打刻操作に引き続いて実行される打刻処理においては「切替要否選択画面」の表示を抑制するために用いられる(ステップS106)。
【0108】
そのため、一度、切替要否選択画面が表示され、要否選択がなされた後は、管理装置配下の複数のタイムレコーダ間で、切替情報が同期されるので、あるタイムレコーダで切替要否選択画面が表示された後にユーザが別のタイムレコーダで打刻した際に再度切替要否選択画面が表示されてしまいユーザが煩わしさを感じるのを防ぐことができ、利便性が向上する。
【0109】
なお、管理装置50からの切替済フラグの配布を管理者の手動によらず、管理装置50のCPU51が自動的に実行するように構成した場合、上記効果はさらに有効である。タイムレコーダ10がステップS112の個人マスタ新規作成を実行した場合、その直後などにCPU11が非ヌル値の切替済フラグを管理装置50に送信し、これを受信した管理装置50が非ヌル値の切替済フラグを他のタイムレコーダ10に直ちに送信するようにしてもよく、その場合、上記効果はさらに有効である。
【0110】
[変形例]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものではない。
【0111】
例えば、ステップS107で表示される切替要否選択画面は、
図10Aに示したものに限定されず、
図13Aに示すものでもよい。この場合、
図13Aにおいて、タイムカード30に係るカード識別情報とユーザ識別情報都の対応関係の切替が不要であるユーザ、つまり、継続利用のユーザは、「切替が不要」を選択する。ユーザによる選択操作はタッチパネル17により受け付けられ、CPU11等に操作入力が入力される。この場合、CPU11は、初回利用でないと判断し(ステップS108/No)、通常の打刻が行われる。
【0112】
図13Aにおいて、タイムカード30に係るカード識別情報とユーザ識別情報都の対応関係の切替が必要であるユーザは、「切替が必要」を選択する。ユーザによる選択操作はタッチパネル17により受け付けられ、CPU11等に操作入力が入力される。この場合、CPU11は、初回利用であると判断し(ステップS108/Yes)、
図10Bに示すような切替実行確認画面を表示する(ステップS109)。
【0113】
また、ステップS109で表示される切替実行確認画面は、
図10Bに示したものに限定されず、
図13Bに示すものでもよい。この場合、
図13Bに示すように、タッチパネル17は、仮運用期間中に用いる名前の入力をユーザに促す。ユーザが確定キーをタッチすると、ユーザによる確定選択操作はタッチパネル17により受け付けられ、CPU11等に操作入力が入力される。この場合、CPU11は、切替実行が指示されたと判断する(ステップS110/Yes)。
【0114】
切替実行が指示されると、CPU11及び個人マスタ管理部112は、当該カード識別情報(S102で読み取ったもの)に対応する個人マスタ122を削除する(ステップS111)。また、CPU11及び打刻情報管理部113は、当該カード識別情報に対応する打刻情報123を削除する(ステップS111)。
【0115】
続いて、CPU11及び個人マスタ管理部112は、当該カード識別情報で新たな個人マスタを作成する(ステップS112)。なお、新品のタイムカード30が支給されたユーザに対しては、ここで仮運用設定にかかる画面(
図13B)を提示してもよい。
【0116】
また、上述の実施形態においては、切替要否選択画面において切替要が選択され切替実行が指示されると、CPU11及び個人マスタ管理部112は、当該カード識別情報に対応する個人マスタ122を削除し、CPU11及び打刻情報管理部113は、当該カード識別情報に対応する打刻情報123を削除したが、これらの個人マスタ122及び打刻情報123は、切替前後のユーザ毎に明確に区別されていれば、削除されずに記憶されたままであってもよい。
【0117】
なお、上述の実施形態においては、ユーザ及び管理者が企業である場合の例を示しているが、これ以外にも、例えば、保育所において本タイムレコーダシステム1を運用してもよい。
【0118】
上述の変形例のほかにも、本発明の構成や詳細に対しては、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。なお、実施形態に開示した構成はすべて組み合わせて実施することが可能である。
【0119】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるネットワーク上のサーバも、本発明の範疇に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の技術は、特に正社員以外のパートタイマー、アルバイト等の就業者が多い小規模なオフィスや店舗の出退勤や、保育園や託児所といった施設での入登園など、利用者の入れ代わりが多い業種・業態において、打刻操作を管理するための就業管理装置及び就業管理システムとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0121】
1…タイムレコーダシステム
10…タイムレコーダ
11…CPU
111…カード切替判断部
112…個人マスタ管理部
113…打刻情報管理部
12…メモリ
121…設定情報
122…個人マスタ
123…打刻情報
16…打刻部
17…タッチパネル
20…外部通信部