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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】可撓性継手を有する不織布研磨ベルト
(51)【国際特許分類】
   B24D 11/06 20060101AFI20230728BHJP
   B24D 11/00 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
B24D11/06 A
B24D11/00 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021503832
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019043366
(87)【国際公開番号】W WO2020023704
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】62/703,404
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010770
【氏名又は名称】サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド
(73)【特許権者】
【識別番号】507169495
【氏名又は名称】サン-ゴバン アブラジフ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュー、チョン
(72)【発明者】
【氏名】ラビシャンカル、サザンジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ライス、ウィリアム シー.
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス、フェルナンド ホタ.
(72)【発明者】
【氏名】ランゲル、ジョセ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スー、シィグエイ
(72)【発明者】
【氏名】カイ、イン
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、ジェレミー ビー.
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/083167(WO,A1)
【文献】特開平05-229071(JP,A)
【文献】特表2018-511489(JP,A)
【文献】特開平05-192871(JP,A)
【文献】米国特許第04215516(US,A)
【文献】特開2012-076174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 11/06
B24D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨を行うための第1の主面、前記第1の主面と反対側の第2の主面、第1の端部および第2の端部を有する不織布研磨ウェブを備えた不織布研磨ベルトであって、
前記第1の端部と前記第2の端部とが、突合せ継手によって接着されており、
前記第1の端部の前記第1の主面の一部又は前記第2の端部の前記第1の主面の一部が、削取部分を含み、
前記突合わせ継手は、第1の接着性ポリマー組成物によって前記第1の端部と前記第2の端部とを接着し、
前記突合わせ継手は、第2の接着性ポリマー組成物とパッチの層によって前記第1の端部の前記第2の主面と前記第2の端部の前記第2の主面とを接着し、
前記削取部分は、前記不織布研磨ベルトの中央位置で測定される平均厚さの50%以上且つ80%以下の平均厚さを有し、
前記第1の端部と前記第2の端部との間の継ぎ目に、前記第1の接着性ポリマー組成物が配置され、
前記第2の主面上に、前記第2の接着性ポリマー組成物の前記層が配置され、
前記層上に前記パッチが配置される、
不織布研磨ベルト。
【請求項2】
前記第1の端部の前記第1の主面の一部及び前記第2の端部の前記第1の主面の一部が、削取部分を含む、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項3】
前記突合せ継手が、少なくとも300N・mm、たとえば、少なくとも400N・mm、少なくとも500N・mm、又は少なくとも550N・mmの剛性を有し、
前記突合せ継手が、1000N・mm以下、たとえば、900N・mm以下、800N・mm以下、又は700N・mm以下の剛性を有する、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項4】
前記不織布研磨ベルトが、45.72cm(18インチ)の長さを有し、
前記第1の接着性ポリマー組成物及び前記第2の接着性ポリマー組成物の総量が、前記不織布研磨ベルトの総重量の0.2重量%以上且つ1.82重量%以下の量である、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項5】
前記不織布研磨ベルトが、45.72cm(18インチ)の長さを有し、
前記第1の接着性ポリマー組成物及び前記第2の接着性ポリマー組成物の総量と前記不織布研磨ウェブの量とが、1:200以上から1:50以下の比率(接着剤:ウェブ)で存在する、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項6】
前記第1の接着性ポリマー組成物が、150℃の温度で、少なくとも6.5×10Paから9.9×10Pa以下の貯蔵弾性率を有する、請求項に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項7】
前記第1の接着性ポリマー組成物が、ポリウレタンを含む、請求項に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項8】
前記パッチが、合成繊維、ポリマー・フィルム、又はそれらの組合せを有する、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項9】
前記不織布研磨ウェブが、1500g/m以上且つ2500g/m以下の平均重量を有する、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項10】
前記不織布研磨ウェブが、網目状の弾力性のある繊維と、前記繊維上に配置されたポリマー結合剤組成物と、前記ポリマー結合剤上及び前記ポリマー結合剤内に配置された研磨粒子とを備える、請求項1に記載の不織布研磨ベルト。
【請求項11】
前記網目状の弾力性のある繊維が、180g/m以上且つ250g/m以下の重量を有し、
前記ポリマー結合剤が、500g/m以上、900g/m以下の重量を有し、
前記研磨粒子が、400g/m以上、1400g/m以下の重量を有する、請求項10に記載の不織布研磨ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広く言えば、可撓性突合せ継手を有する不織布研磨ベルト、並びに、そのベルト及び継手の作製及び使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不織布研磨ベルト及び他の不織布ループ研磨品は、さまざまな業界で使用されている。たとえば、研磨ベルトは、特に、やすりベルト・サンダを含むさまざまなタイプのベルト・サンダで使用され、物品の研削、並びに、精仕上げ及び艶出しを実現するために、さまざまなタイプの被加工材、たとえば、木、石、セラミック、及び金属を研磨するのに使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不織布研磨ベルトを形成するために、従来は、不織布研磨基材の端部が、継手を形成するために接合され、テープ又はパッチによって継手で一緒に固定され、通常は、接着剤を含む。このような不織布ベルトは、ベルトがツール・ガイド・プーリのまわりを回転するときの恒常的な曲げ、並びに、被工作材と接触しているときの研磨応力のために、継続的な熱的応力及び機械的応力(たとえば、繰返し引張り荷重及び遠心応力荷重)を受ける。適切な研磨性能を実現して、ベルトの早期損傷を避けることは難しい。
【0004】
不織布研磨ベルト技術を改善しようと試みるさまざまな努力が過去に行われてきたが、そのすべてが、さまざまな欠点に悩まされてきた。したがって、新規の改善された不織布研磨ベルトが求められ続けてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面の参照によって、本開示はより良好に理解することができ、その多数の特色及び利点は当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】可撓性突合せ継手を含む不織布研磨ベルト具体例の説明図である。
図2】可撓性突合せ継手を含む図1の不織布研磨ベルト具体例の詳細図の説明図である。
図3】可撓性突合せ継手を含む不織布研磨ベルト具体例の作製方法の具体例のプロセス・フロー図である。
図4】可撓性突合せ継手を含む不織布研磨ベルト具体例の、ある具体例のベルト・サイクル時間及び合格率対厚みの減少のグラフである。
図5】従来の不織布ベルトと不織布研磨ベルト具体例との、ベルト・サイクル時間対継手剛性の比較データの図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
異なる図面中の同じ符号の使用は、類似又は同一の要素を示す。
【0008】
本明細書に開示される教示の理解を助けるために、図と組み合わせた以下の説明が提供される。以下の議論は、当該教示の特定の実施態様及び具体例に焦点を絞る。この議論は、教示の説明を助けるために与えられるのであり、教示の範囲又は適用可能性に対する限定と解釈されるべきではない。
【0009】
「平均化された」という用語は、値を指す場合、平均、幾何平均、又は中央値を意味することが意図される。本明細書で使用される場合、「備える、有する(comprises、comprising)」、「含む(includes、including)」、「有する(has、having)」という用語、又は任意の他のこれらの変化形は、非排他的包含を網羅するように意図される。たとえば、特色のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特色にのみ限定されないが、かかるプロセス、方法、物品、又は装置の明示的にリストされない他の特色又は固有の他の特色を含むことができる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consists essentially of又はconsisting essentially of)」という語句は、この語句が述べる主題が実質的に主題の特性に影響するその他の構成要素を含まないことを意味する。
【0011】
さらに、相反する明示的な記載がない限り、「又は」は、「包含的な又は」を指し、「排他的な又は」を指さない。たとえば、「条件A又はB」は以下のいずれか1つを満たす。「Aは真であり(又は存在する)且つBは偽である(又は存在しない)」、「Aは偽であり(又は存在しない)且つBは真である(又は存在する)」、並びに「A及びBの両方は真である(又は存在する)」。
【0012】
「a又はan」を使用して、本明細書において記載される要素及び構成要素を記載する。これは単に便宜上及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この記述は1つ又は少なくとも1つを含むように解釈されるべきであり、単数であることを明らかに意味しない限り、単数は複数も含み、逆もまた同じである。
【0013】
さらに、範囲中に明示される値への参照は、その範囲内の各々の値及びすべての値を含む。「約(about又はapproximately)」という用語は、数値の範囲を述べている場合など、数値に対して先行する場合、正確な数値もまた含まれることが意図されている。たとえば、「約(about)25」で開始する数値の範囲は、正確に25から開始する範囲を含むこともまた意図されている。さらに、「少なくとも約(at least about)」、「より大きい(greater than)」、「より小さい(less than)」、又は「以下(not greater than)」と明示される値への参照は、そこで言及される任意の最小値又は最大値の範囲を含むことができることが理解されるであろう。
【0014】
本明細書で使用される場合、「平均粒径(average particle diameter)」という語句は、平均値、平均、又は、当該技術分野においては一般的にD50とも呼ばれる中央粒径への言及であることが可能である。
【0015】
別途定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。材料、方法、及び実例は、単に例示であって、限定することを目的としているものではない。本明細書に記載されていない範囲について、特定の材料及び行程の実行に関する多くの詳細は、従来のものであって、研磨布紙技術の範囲の教科書及び他の情報源で得ることが可能である。
【0016】
図1は、第1の主面(103)(本明細書では「第1の側」、「上面」、又は「作用面」とも称される)と、第2の主面(105)(本明細書では「第2の側」、「下面」、又は「非作用面」とも称される)と、第1の端部(107)と、第2の端部(109)とを有する不織布研磨ウェブ(101)を備え、第1の端部と第2の端部とは、突合せ継手(111)によって接着されており、第1の端部の第1の主面の一部は、削取部分(113)(本明細書では「上部削取」部分とも称される)を含み、且つ/又は、第2の端部の第1の主面の一部は、削取部分(113a)を含む、不織布研磨ベルト100の具体例を示す。ある具体例において、第1の端部(107)の第1の主面(103)の一部及び第2の端部(109)の第1の主面(103)の一部の両方は、削取部分(113、113a)を含むことができる。第1の主面(103)の削り取りは、本明細書では、研磨ウェブの「上部削り取り」とも称される。
【0017】
図2は、図1の不織布研磨ベルト具体例の突合せ継手部分の詳細を示す。突合せ継手111は、互いに当接する、不織布研磨ウェブ101の第1の端部107及び第2の端部109と、第1の端部107と第2の端部109との間の継ぎ目117に配置された接着性ポリマー組成物115と、第1の端部107及び第2の端部109が互いに当接するところの反対側の、不織布研磨ウェブの第2の主面105上に配置されたパッチ119と、パッチ119と第2の主面105との間に配置された接着性ポリマー組成物121の層とを備える。ある具体例において、継ぎ目に配置された接着性ポリマー組成物115は、不織布研磨ウェブの第2の側にパッチを接着する接着性ポリマー組成物121と分離させることができる、又は、一体とすることができる。接着性ポリマー組成物115は、接着性ポリマー組成物121と同じものとすることができる、又は、異なるものとすることができる。不織布研磨ウェブは、繊維123と、研磨粒子125と、ポリマー結合剤組成物(図示せず)との不織布ウェブを備え、研磨粒子は、ポリマー結合剤組成物によって繊維に接着されている。ある具体例において、不織布研磨ウェブは、補強スクリム材料127を含むことができる。
【0018】
図3は、不織布研磨ベルトの作製方法の具体例のプロセス・フロー図300を示す。ステップ301において、第1の上部削取部分を形成するために、不織布ウェブの第1の端部の第1の主面から一部(すなわち、厚さ)を削り取ることが行われる。ステップ303において、第2の上部削取部分を形成するために、不織布ウェブの第2の端部の第1の主面から一部(すなわち、厚さ)を削り取ることが行われる。ある具体例において、不織布研磨ウェブの第1の端部又は第2の端部のいずれかで、或いは、不織布研磨ウェブの第1の端部及び第2の端部の両方で、不織布研磨ベルトの厚さの少なくとも20%から50%以下を、第1の主面から削り取ることができる。ステップ305において、第1の上部削取部分の反対側の、不織布ウェブの第1の端部の第2の主面上にポリマー接着剤組成物を配置することが行われる。ステップ307において、第2の上部削取部分の反対側の、不織布ウェブの第2の端部の第2の主面上にポリマー接着剤組成物を配置することが行われる。ある具体例において、ステップ305及び307は、同時に行うことができる。ステップ309において、第1の端部及び第2の端部が突合せ継手を形成するために当接するように、不織布ウェブの第1の端部及び第2の端部を引き合わせることが行われる。ある具体例において、突合せ継手は継ぎ目を有することができる。ある具体例において、第1の端部及び第2の端部が当接する(すなわち、引き合わされる)と、第1の上部削取部分及び第2の上部削取部分は、不織布研磨ウェブの第1の主面に沿って、チャネルを形成することができる。ステップ311において、パッチがチャネルの反対側の突合せ継手の下にあるように、第2の主面上に位置づけられたポリマー接着剤組成物上にパッチを配置することが行われる。ステップ313において、ポリマー接着剤組成物を硬化させることが行われる。ある具体例において、ポリマー接着剤組成物を硬化させることは、望ましい圧力及び温度で突合せ継手を圧縮及び加熱することによって行うことができる。ステップ315において、突合せ継手の継ぎ目にポリマー接着剤組成物を配置することが行われる。
【0019】
ステップ317において、不織布研磨ベルトを形成するために、継ぎ目のポリマー接着剤組成物を硬化させることが行われる。ある具体例において、継ぎ目のポリマー接着剤組成物の硬化は、望ましい圧力及び温度で突合せ継手を圧縮及び加熱することによって行うことができる。
【0020】
別の具体例において、作製方法は、第1の端部及び第2の端部を引き合わせる前に、第1の下部削取部分を形成するために、不織布ウェブの第1の端部の第2の主面から一部(すなわち、厚さ)を削り取ることと、第2の下部削取部分を形成するために、不織布ウェブの第2の端部の第2の表面から一部(すなわち、厚さ)を削り取ることとをさらに含むことができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトの厚さの20%以下を、不織布研磨ウェブの第1の端部及び/又は第2の端部の第2の主面から削り取ることができる。ある具体例において、第1の端部及び第2の端部が当接する(すなわち、引き合わされる)と、第1の下部削取部分及び第2の下部削取部分は、不織布研磨ウェブの第2の主面に沿ってチャネルを形成することができる。ある具体例において、第2の主面に沿ったチャネルの深さは、パッチの厚さと略等しくすることができる。ある具体例において、ステップ311の変化形として、パッチがチャネルの反対側の突合せ継手の下にあるように、第2の主面上に位置づけられたポリマー接着剤組成物上にパッチを配置することが行われる。
【0021】
継手剛性
突合せ継手は、適切な可撓性を提供する有利な継手剛性を保有することができ、同時に、所要の強度を保持する。ある具体例において、突合せ継手は、1000N・mm以下、たとえば、900N・mm以下、800N・mm以下、又は700N・mm以下の剛性を備えることができる。ある具体例において、突合せ継手は、少なくとも300N・mm、たとえば、少なくとも400N・mm、少なくとも500N・mm、又は少なくとも550N・mmの剛性を備えることができる。突合せ継手剛性は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、突合せ継手剛性は、300N・mm~1000N・mm、たとえば、450N・mm~850N・mm、又は、550N・mm~700N・mmとすることができる。
【0022】
ベルト寿命性能評価
不織布研磨ベルトは、有利な寿命研磨性能評価を保有することができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、正規化された寿命研磨性能評価、たとえば、少なくとも基準被加工材の特定の最小量の正規化された平均材料除去率、たとえば、少なくとも最小量の時間の間に、ステンレス鋼被工作材から除去される材料のグラム数、たとえば、少なくとも180秒の間の、少なくとも、ベルト2.54cm(1インチ)あたりの、1分ごとの材料のグラムの評価を備えることができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、有利な寿命研磨性能評価、たとえば、単一の被工作物基準材料、複数の被工作物基準材料、又は、異なる基準被加工材の組合せに対する正規化された寿命研磨性能評価を備えることができる。特定の具体例において、不織布研磨ベルトは、ステンレス鋼、炭素鋼、インコネル、又はその組合せに関する有利な研磨性能評価を有することができる。
【0023】
突合せ継手
突合せ継手は、特定の有利な構造的特徴又は寸法を有することができる。ある具体例において、突合せ継手は、端部(107、109)から略等距離に位置づけられる不織布研磨ベルトの中央位置(121)で測定されるような、有利な平均厚さを備えることができる。ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの平均厚さの50%以上である平均厚さ、たとえば、不織布研磨ベルトの平均厚さの52%以上、54%以上、又は56%以上を備えることができる。ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの平均厚さの80%以下である平均厚さ、たとえば、不織布研磨ベルトの平均厚さの75%以下、70%以下、又は65%以下を備えることができる。突合せ継手厚さは、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの平均厚さの50%以上且つ80%以下である平均厚さを備えることができる。
ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの全長と比較して、有利な長さを備えることができる。ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの長さの5%以上である長さ、たとえば、不織布研磨ベルトの長さの6%以上、7%以上、又は8%以上である長さを備えることができる。ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの長さの15%以下である長さ、たとえば、不織布研磨ベルトの長さの14%以下、13%以下、12%以下、又は11%以下である長さを備えることができる。突合せ継手長さは、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの長さの5%以上且つ15%以下である長さを備えることができる。
【0024】
継手接着剤
ある具体例において、突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量(すなわち、継ぎ目内に配置された接着性ポリマー組成物の量と、不織布ウェブの第2の主面にパッチを接着する接着性ポリマー組成物の量とを加えた量)は、量を有利に変えることができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、45.72cm(18インチ)の長さを有し、突合せ継手は、不織布研磨ベルトの総重量の0.2重量%以上、たとえば、0.45重量%以上、たとえば、0.55重量%以上、0.70重量%以上、0.73重量%以上、0.82重量%以上、又は0.91の重量%以上の接着性ポリマー組成物の総量を備えることができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、45.72cm(18インチ)の長さを有し、突合せ継手は、1.95%以下、たとえば、1.82重量%以下、1.73重量%以下、1.64重量%以下、1.55重量%以下、1.45重量%以下、又は1.36重量%以下の接着性ポリマー組成物の総量を備えることができる。突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、45.72cm(18インチ)の長さを有し、突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量は、不織布研磨ベルトの重量の0.45重量%以上から1.82重量%以下を備えることができる。たとえば、ある具体例において、不織布研磨ベルトは、45.72cm(18インチ)の長さと、220gの重量とを有し、突合せ継手は、1グラム~4グラムの接着性ポリマー組成物の総量を備える。
【0025】
或いは、接着性ポリマー組成物の総量は、定量として表すことができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、1.27cm(0.5インチ)の幅を有し、突合せ継手は、0.06g以上、たとえば、0.07g以上、0.08g以上、0.09g以上、0.1g以上、又は0.12g以上の接着性ポリマー組成物の総量を備えることができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、1.27cm(0.5インチ)の幅を有し、突合せ継手は、0.24g以下、たとえば、0.22g以下、0.21g以下、0.20g以下、0.19g以下、又は0.18g以下の接着性ポリマー組成物の総量を備えることができる。突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。
【0026】
ある具体例において、不織布研磨ベルトは、1.27cm(0.5インチ)の幅を有し、突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量は、0.06g以上から0.24g以下を備えることができる。
【0027】
別の具体例において、不織布研磨ベルトは、21.59cm(8.5インチ)の幅を有し、突合せ継手は、1g以上、たとえば、1.2g以上、1.4g以上、1.6g以上、1.8g以上、又は2g以上の接着性ポリマー組成物の総量を備えることができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、21.59cm(8.5インチ)の幅を有し、突合せ継手は、4g以下、たとえば、3.8g以下、3.6g以下、3.4g以下、3.2g以下、又は3g以下の接着性ポリマー組成物の総量を備えることができる。突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、21.59cm(8.5インチ)の幅を有し、突合せ継手を備える接着性ポリマー組成物の総量は、1g以上から4g以下を備えることができる。
【0028】
突合せ継手を備える接着性ポリマー樹脂の総量と不織布研磨ウェブの量とは、有利な比率(接着剤:ウェブ)で存在することができる。ある具体例において、不織布研磨ベルトは、45.72cm(18インチ)の長さを有し、接着性ポリマー樹脂の総量(すなわち、重量)と、不織布研磨ウェブの量(すなわち、重量)とは、1:200以上から1:50以下の比率(接着剤の総量:不織布研磨ウェブの量)で存在することができる。
【0029】
接着性ポリマー組成物は、特定の温度において測定される有利な貯蔵弾性率を備えることができる。ある具体例において、接着性ポリマー組成物は、150℃の温度で少なくとも6.5MPa、たとえば、150℃の温度で、少なくとも6.7MPa、少なくとも6.9MPa、少なくとも7.1MPa、少なくとも7.3MPa、少なくとも7.5MPa、少なくとも7.7MPa、少なくとも7.9MPa、又は少なくとも8.0MPaの貯蔵弾性率を備えることができる。ある具体例において、接着性ポリマー組成物は、150℃の温度で9.9MPa以下、たとえば、150℃の温度で、9.7MPa以下、9.5MPa以下、9.3MPa以下、9.1MPa以下、8.9MPa以下、8.7MPa以下、8.5MPa以下、8.3MPa以下、又は8.1MPa以下の貯蔵弾性率を備えることができる。貯蔵弾性率は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。
【0030】
接着性ポリマー組成物は、ウレタン・ポリマー、又はウレタン・ポリマーの組合せを備えることができる。
【0031】
突合せ継手パッチ
不織布研磨ベルトは、(当該技術分野において「継手パッチ」又は「継手テープ」として知られている)パッチを備えることができる。ある具体例において、パッチは、合成繊維、ポリマー・フィルム、又はその組合せを備えることができる。
【0032】
不織布ウェブ
不織布研磨ベルトは、不織布研磨ウェブを備える。不織布ウェブは、有利な織物重量を備えることができる。ある具体例において、不織布ウェブの平均重量は、180g/m(「GSM」)以上、たとえば、185g/m以上、190g/m以上、195g/m以上、又は200g/m以上とすることができる。ある具体例において、不織布ウェブの平均重量は、250g/m(「GSM」)以下、たとえば、245g/m以下、240g/m以下、235g/m以下、又は230g/m以下とすることができる。不織布ウェブの平均重量は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、不織布ウェブの平均重量は、185g/m以上から250g/m以下を備えることができる。
【0033】
ある具体例において、不織布ウェブは、天然繊維、合成繊維、又はその組合せを備えることができる。特定の具体例において、不織布ウェブは、ポリアミド繊維(たとえば、ナイロン繊維)を備えることができる。
【0034】
研磨粒子
不織布研磨ベルトは、有利な量の研磨粒子を備えることができる。
【0035】
ある具体例において、研磨粒子の平均重量は、400g/m(「GSM」)以上、たとえば、500g/m以上、600g/m以上、700g/m以上、又は800g/m以上とすることができる。ある具体例において、研磨粒子の平均重量は、1400g/m(「GSM」)以下、たとえば、1300g/m以下、1200g/m以下、1100g/m以下、又は1000g/m以下とすることができる。研磨粒子の平均重量は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、研磨粒子の平均重量は、400g/m以上から1400g/m以下を備えることができる。
【0036】
研磨粒子は、(破砕性酸化アルミニウム及び半破砕性酸化アルミニウムなどの、溶融酸化アルミニウム、並びに、ドーピングされた又はドーピングされていないゾルゲル・アルミナなどの、セラミック酸化アルミニウムを含む)酸化アルミニウム、ジルコニア、炭化ケイ素、ダイヤモンド、それらの混合物、及びそれらの組合せを備えることができる。
【0037】
研磨粒子は、50μm~1000μmを含む平均粒子サイズを有することができる。
【0038】
ポリマー結合剤
不織布研磨ベルトは、有利な量のポリマー結合剤組成物を備えることができる。ある具体例において、ポリマー結合剤組成物の平均重量は、500g/m(「GSM」)以上、たとえば、550g/m以上、600g/m以上、又は650g/m以上とすることができる。ある具体例において、ポリマー結合剤組成物の平均重量は、900g/m(「GSM」)以下、たとえば、850g/m以下、800g/m以下、又は、750g/m以下とすることができる。ポリマー結合剤組成物の平均重量は、上記の最大値又は最小値のいずれかの範囲内とすることができることが理解されるであろう。ある具体例において、ポリマー結合剤組成物の平均重量は、500g/m以上から900g/m以下を備えることができる。
【0039】
ポリマー結合剤組成物は、ポリマー樹脂又はポリマー樹脂の組合せ、1つ又は複数の充填剤(たとえば、タルク、ステアリン酸リチウム)、1つ又は複数のレオロジー改質剤(たとえば、ヒュームド・シリカ)、1つ又は複数の着色剤、並びに、それらの組合せを備えることができる。ある具体例において、ポリマー結合剤組成物は、ポリウレタン樹脂、充填剤、レオロジー改質剤、着色剤、及びそれらの組合せを備えることができる。
【0040】
具体例
「具体例1」
第1の主面、第2の主面、第1の端部および第2の端部を有する不織布研磨ウェブ
を備え、
前記第1の端部と前記第2の端部とが、突合せ継手によって接着されており、
前記第1の端部の前記第1の主面の一部又は前記第2の端部の前記第1の主面の一部が、削取部分を含む、不織布研磨ベルト。
【0041】
「具体例2」
前記第1の端部の前記第1の主面の一部及び前記第2の端部の前記第1の主面の一部が、削取部分を含む、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0042】
「具体例3」
前記突合せ継手が、1000N・mm以下、たとえば、900N・mm以下、800N・mm以下、又は700N・mm以下の剛性を有する、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0043】
「具体例4」
前記突合せ継手が、少なくとも300N・mm、たとえば、少なくとも400N・mm、少なくとも500N・mm、又は少なくとも550N・mmの剛性を有する、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0044】
「具体例5」
前記不織布研磨ベルトが、45.72cm(18インチ)の長さを有し、
前記突合せ継手が、前記不織布研磨ベルトの総重量の0.2重量%以上且つ1.82重量%以下の量の、接着性ポリマー組成物を有する、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0045】
「具体例6」
前記突合せ継手が、接着性ポリマー組成物を有し、
前記接着性ポリマー樹脂の量と前記不織布研磨ウェブの量とが、1:200以上から1:50より大きい比率(接着剤:ウェブ)で存在する、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0046】
「具体例7」
前記突合せ継手が、前記第1の端部及び遠位端と接触した前記突合せ継手に配置された接着性ポリマー組成物を有する、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0047】
「具体例8」
前記接着性ポリマー組成物が、150℃の温度で、少なくとも6.5×106Paから9.9×106Pa以下の貯蔵弾性率を有する、具体例7に記載の不織布研磨ベルト。
【0048】
「具体例9」
前記接着性ポリマー組成物が、ポリウレタンを含む、具体例7に記載の不織布研磨ベルト。
【0049】
「具体例10」
前記突合せ継手が、
互いに当接する前記第1の端部及び前記第2の端部と、
前記第1の遠位端と前記第2の遠位端との間に配置された接着性ポリマー組成物と、
第1の遠位端及び第2の遠位端が互いに当接するところの反対側の、前記第2の主面上に配置されたパッチと、
前記パッチと前記第2の主面との間に配置されたポリマー接着剤組成物の層と
を備える、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0050】
「具体例11」
前記接着性ポリマー組成物が、前記第1の遠位端と前記第2の遠位端との間に接着性ポリマー組成物の継ぎ目を有する、具体例10に記載の不織布研磨ベルト。
【0051】
「具体例12」
前記突合せ継手が、前記不織布研磨ベルトの中央位置で測定される平均厚さの50%以上且つ80%以下、たとえば、52%以上且つ75%以下、54%以上且つ70%以下、又は、56%以上且つ65%以下である平均厚さを有する、具体例10に記載の不織布研磨ベルト。
【0052】
「具体例13」
前記突合せ継手が、前記第1の遠位端及び前記第2の遠位端の上に重なる前記不織布ウェブの前記第1の主面上に配置された接着性ポリマー組成物の層をさらに備える、具体例10に記載の不織布研磨ベルト。
【0053】
「具体例14」
前記パッチが、合成繊維、ポリマー・フィルム、又はそれらの組合せを有する、具体例10に記載の不織布研磨ベルト。
【0054】
「具体例15」
前記不織布研磨ウェブが、1500g/m以上且つ2500g/m以下の平均重量を有する、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0055】
「具体例16」
前記不織布研磨ウェブが、
網目状の弾力性のある繊維と、
前記繊維上に配置されたポリマー結合剤組成物と、
前記ポリマー結合剤上及び前記ポリマー結合剤内に配置された研磨粒子と
を備える、具体例1に記載の不織布研磨ベルト。
【0056】
「具体例17」
前記網目状の弾力性のある繊維が、180g/m以上且つ250g/m以下の重量を有する、具体例16に記載の不織布研磨ベルト。
【0057】
「具体例18」
前記ポリマー結合剤が、500g/m以上から900g/m以下の重量を有する、具体例16に記載の不織布研磨ベルト。
【0058】
「具体例19」
前記研磨材が、400g/m以上から1400g/m以下の重量を有する、具体例16に記載の不織布研磨ベルト。
【実施例
【0059】
「実施例1」
サンプル不織布研磨ベルトS3及びS4は、本明細書に記載されるように作られ、コントロール不織布研磨ベルトC2と比較する研磨性能試験(ベルト・サイクル時間)を受けた。コントロール・ベルトは、本明細書に記載されたものを除いて、あらゆる点でサンプル・ベルトと同じであった。結果は、図4図5、及び下の表に示されている。
【表1】
【0060】
非削取ベルトの平均ベルト寿命(又は、サイクル時間)は、わずか45秒であり、180秒での合格率は0%であった。対照的に、削り取りによって厚みを約37%減少させたベルトS4については、ベルト寿命は416秒であった(合格率100%)。
【0061】
「実施例2」
サンプル不織布研磨ベルトS1及びS2は、本明細書に記載されるように作られ、コントロール不織布研磨ベルトC1と比較する性能試験(ベルト・サイクル時間)を受けた。コントロール・ベルトは、本明細書に記載されたものを除いて、あらゆる点でサンプル・ベルトと同じであった。結果は、図5及び下の表に示されている。
【表2】
【0062】
削り取りによって厚みを約21%減少させたベルトの約290秒と比較して、非削取ベルトの平均ベルト寿命(又は、サイクル時間)は約100秒であった。
【0063】
概要又は実例における上記の作用のすべてが要求されるとは限らないこと、特定の作用の一部は要求されなくてもよいこと、及び1つ又は複数のさらなる作用が記載されたものに加えて実行されてもよいことに注目されたい。なおさらに、作用がリストされる順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。
【0064】
前述の明細書において、概念は特定の具体例を参照して記載された。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲において以下に記載されるような本発明の範囲から逸脱せずに、さまざまな変更及び変形を加えることができることを認識する。したがって、明細書及び図は制限的な意味よりむしろ例示的な意味で考慮されるべきであり、かかる変更はすべて発明の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5