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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20230728BHJP
   H02K 3/38 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
H02K3/04 J
H02K3/38 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021505221
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019069864
(87)【国際公開番号】W WO2020025405
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】1857082
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508075579
【氏名又は名称】ヴァレオ エキプマン エレクトリク モトゥール
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ロマニョーロ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、リッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド、マルブランク
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-076905(JP,A)
【文献】特開2001-286082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00- 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- ステータ本体(110)と電気巻線とを含むステータ(100)と、
- 前記ステータ(100)の延長部に配置された少なくとも1つの電気接続ユニット(150)と、
を備えた、自動車両用の回転電気機械であって、
前記電気巻線は、前記ステータ本体の軸方向端面から突出するコイル端部(125)を形成する複数の相巻線(120)を含み、
各相巻線は、巻線接続点(122)を形成する端部を含み、
前記電気接続ユニットは、電気絶縁材料でオーバーモールドされた少なくとも1つの導電性要素(155)であって、前記接続点(122)が接続される少なくとも2つの接続出力部(153、154)を形成するように前記電気絶縁材料から径方向に突出する導電性要素(155)を含み、
前記電気接続ユニット(150)は、前記コイル端部(125)の頂部に配置され、前記コイル端部に支持さ
前記電気巻線は、互いに接続されて複数の前記相巻線(120)を形成する複数の導電体と、それぞれが2つの別個の導電体を電気的に接続する反転ピン(130)と、を含み、
前記接続ユニット(150)は、前記反転ピン(130)のうちの少なくとも1つに支持される、
電気機械。
【請求項2】
前記電気絶縁材料は、少なくとも前記接続ユニット(150)の一端部において安定スタンドを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載の電気機械。
【請求項3】
前記接続ユニット(150)の前記接続出力部(153、154)と関連する前記巻線の前記接続点(122)との接触により形成される接触領域は、前記ステータの軸に対して平行な平面上を、特に前記軸を含む平面上を延びる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記接続ユニット(150)の前記接続出力部(153、154)と関連する前記巻線の前記接続点(122)とは、周方向において、特に前記周方向においてのみ互いに接触するように配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項5】
前記接続出力部(153、154)は、接続点(122)に沿って軸方向に延びる少なくとも1つの接続領域であって、前記接続点が接続される接続領域を、それぞれ含んでいる、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項6】
前記接続出力部(153、154)は、接続点(122)に沿って径方向に延びる少なくとも1つの接続領域であって、前記接続点が接続される接続領域を、それぞれ含んでいる、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項7】
前記接続ユニット(150)は、単一の電気絶縁材料でオーバーモールドされた複数の導電性要素(155)を含み、前記導電性要素の端部が接続出力部を形成する、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項8】
2つの隣接する導電性要素の2つの接続出力部(151、152)が、単一の接続点(122b)に接続される、
ことを特徴とする請求項に記載の電気機械。
【請求項9】
前記接続ユニット(150)の前記端部に位置する少なくとも前記接続出力部(153、154)は、前記接続点との接触を確保するように、それぞれ金属箔を施される、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項10】
前記電気巻線は波形タイプの巻線である、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互接続器の位置決めが単純化された、特に自動車両用の回転電気機械に関する。
【0002】
本発明は、発電機または電気モータとして動作可能なオルタネータまたは可逆機械等の回転電気機械の分野における用途を有する。
【背景技術】
【0003】
既知の態様において、回転電気機械は、ステータと、シャフトと一体のロータと、を含んでいる。ロータは、駆動シャフトおよび/または被動シャフトと一体であり得る。また、ロータは、オルタネータ、電気モータ、または両モードで動作可能なオルタネータ-スタータタイプの可逆機械の形態の回転電気機械に属し得る。
【0004】
ステータは、ローラーベアリングによりベアリング上でシャフトを回転させるように構成されたハウジングに装着されている。ロータは、「爪付きロータ」タイプであり、2つのマグネットホイールであって、極を形成するように互いに重ね合わされた爪をそれぞれ有するマグネットホイールと、ロータコイルが巻回されたコアと、を含んでいる。別の例によれば、ロータは、適切な締結システムにより束状に保持された金属板シートの積層体により形成された本体を含んでいる。ロータは、例えば、ロータの磁気集合体に設けられたキャビティに収容された永久磁石により形成された極を含んでいる。あるいは、いわゆる「突出」極構造においては、極はロータのアームに巻回されたコイルにより形成される。
【0005】
図1、2および3に示すように、ステータ100は、クラウンを形成する薄い金属板の積層体により構成される本体110を含み、その内面には相巻線120を受容するように内方に向かって径方向に開放したノッチ111が設けられている。これらの相巻線120は、ステータ本体においてノッチ111を通過し、ステータ本体110の両側にコイル端部125、126を形成する。相巻線120は、星形または三角形状で接続された多相巻線であり、その相入力部/出力部123は、電気制御モジュールに接続されている。
【0006】
相巻線120は、ピン121の形態の導電性要素から得られる。ピン121は、湾曲した頭部または側部により接続された2つの分岐、および、所定角度だけ互いに角度的にオフセットされた2つの別個のノッチの間に配置された中間直線部または中央部を有している。ピン121の頭部は、捩じられて上方コイル端部125、すなわち、巻線から上流に位置する相入力部/出力部を有するコイル端部を形成している。分岐の自由端部は、例えば溶接により互いに接続されて、下方コイル端部126、すなわち巻線から下流のコイル端部を形成するように捩じられている。
【0007】
ピン121は、互いに電気的に接続されている。単一の巻線の2つのピン121が、例えば溶接により互いに直接的に接続される。2つの相巻線120は、反転ピン130により互いに接続されている。各反転ピンは、巻線のうちの1つの最後のピン121aを他の巻線の最初のピン121bに電気的に接続する。一般に、反転ピン130は、上方コイル端部の上方、すなわち巻線の軸方向延長部に配置され、これにより、互いに離間して配置された第1および第2ピンを各々有する2つの巻線を互いに接続している。
【0008】
各相巻線120は、相出力部124と接続点122とを含んでいる。相巻線が星の形状で接続されている場合、接続点は中性点である。相巻線が三角形状で接続されている場合、接続点は、三角形の接続を形成するように2つの別個の巻線を接続させ得る点である。したがって、ステータの巻線は、複数の接続点122と、ステータ100の外縁に沿って分散配置された複数の相出力部124と、を含んでいる。ステータの巻線への良好な給電を保証するように、単一の相システムの接続点122同士は、相出力部124との電気的短絡を生じさせることなく互いに接続されなければならない。この目的のために、ステータ100は、一般に、相出力部124を回避しつつ接続点122同士を電気的に互いに接続する電気接続ユニット140を含んでいる。一般に、このタイプの接続ユニットは、複雑な形状を有することにより、サイズが大きい。
【0009】
図3に示すステータの例において、接続ユニットは、中性点122同士を電気的に互いに接続し、相出力部124を迂回している。しかしながら、この接続ユニットが複雑な構造を有していること、および、接続ユニットを相出力部から離間させておく必要があることから、ステータの製造において、接続ユニットをコイル端部の上方に正確に位置決めすることが必要であるとともに、中性点122同士を溶接するプロセスの間中、当該ユニットを所定位置に保持する必要がある。これにより、製造プロセスが困難で問題のあるものとなっている。
【発明の概要】
【0010】
ステータの製造の困難性および接続ユニットのサイズに関する上述の問題に対応すべく、本件出願人は、接続ユニットが部分的に電気絶縁材料でオーバーモールドされた回転電気機械を提案する。
【0011】
第1態様によれば、本発明は、
- ステータ本体と電気巻線とを含むステータと、
- 前記ステータの延長部に配置された少なくとも1つの電気接続ユニットと、
を備えた、特に自動車両用の回転電気機械であって、
前記電気巻線は、前記ステータ本体の軸方向端面から突出するコイル端部を形成する複数の相巻線を含み、
各相巻線は、巻線接続点を形成する端部を含み、
前記電気接続ユニットは、電気絶縁材料でオーバーモールドされた少なくとも1つの導電性要素であって、前記接続点が接続される少なくとも2つの接続出力部を形成するように前記電気絶縁材料から径方向に延出する導電性要素を含む、
電気機械に関する。
【0012】
このタイプの回転電気機械は、従来技術による機械と比較して小さいサイズを有する。
【0013】
一実施形態によれば、接続点は、巻線の中性点である。
【0014】
一実施形態によれば、前記電気巻線は波形タイプの巻線である。前記巻線は、例えば、分散型波形、分布型波形、複数層波形タイプ、あるいは単純波形タイプでもあり得る。このタイプの波巻線は、波巻線の相巻線の単一のコイルが複数のノッチに挿入されて複数の歯に巻回される点で、同心タイプの巻線とは異なる。同心タイプの巻線の相巻線のコイルは、単一の歯に巻回される。
【0015】
一実施形態によれば、前記電気巻線は、複数の前記相巻線を形成するよう互いに接続された複数の導電体を含んでいる。例えば、導電体のそれぞれは、「U」または「I」の形状を有する。導電性ピンを有する巻線について言及する。
【0016】
有利には、前記接続ユニットは、前記コイル端部の頂部に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、前記接続ユニットは、前記コイル端部に支持される。これらの実施形態により、機械の回転中における機械内部の振動を制限することができる。
【0018】
前記電気巻線が、互いに接続されて複数の前記相巻線を形成する複数の導電体と、それぞれが2つの別個の導電体を電気的に接続する反転ピンと、を含むいくつかの実施形態において、前記接続ユニットは、前記反転ピンのうちの少なくとも1つに支持される。
【0019】
これらの実施形態により、機械の製造中に、接続ユニットを位置決めすることが容易とされ得る。
【0020】
本発明による回転電気機械は、以下の特徴のうちの単数または複数を含み得る。
- 前記電気絶縁材料は、少なくとも前記接続ユニットの一端部において安定スタンドを形成する。
- 前記接続ユニットの接続出力部と関連する前記巻線の前記接続点との接触により形成される接触領域は、前記ステータの軸に対して平行な平面上を、特に前記軸を含む平面上を延びる。
- 前記接続ユニットの前記接続出力部と関連する前記巻線の前記接続点とは、周方向において、特に前記周方向においてのみ互いに接触するように配置される。
- 前記接続出力部は、接続点に沿って軸方向に延びる少なくとも1つの接続領域であって、前記接続点が接続される接続領域を、それぞれ含んでいる。
- 前記接続出力部は、接続点に沿って径方向に延びる少なくとも1つの接続領域であって、前記接続点が接続される接続領域を、それぞれ含んでいる。
- 前記接続ユニットは、単一の電気絶縁材料でオーバーモールドされた複数の導電性要素を含み、前記導電性要素の端部が接続出力部を形成する。
- 2つの隣接する導電性要素の2つの接続出力部が、単一の接続点に接続される。例えば、前記接続点は、前記2つの接続出力部の間において周方向に配置される。
- 前記接続ユニットの前記端部に位置する少なくとも前記接続出力部は、前記接続点との接触を確保するように、それぞれ金属箔を施される。
- 各接続点は、少なくとも1つの接続出力部に、レーザー溶接または電気溶接により溶接される。
- 前記回転電気機械は、前記巻線コイル端部の円周上に分散配置された少なくとも2つの接続ユニットを含んでいる。
【0021】
第2態様によれば、本発明は、
- ステータ本体と電気巻線とを含むステータであって、前記電気巻線は、前記ステータ本体の軸方向端面から突出するコイル端部を形成する複数の相巻線を含み、各相巻線は、巻線接続点を形成する端部を含むステータと、
- 前記接続点が接続される接続出力部を形成するように径方向に延びる少なくとも1つの端部をそれぞれが含む複数の導電性要素であって、電気接続ユニットを形成するようにオーバーモールドにより互いに接続される導電性要素と、
を備えた、特に自動車両用の回転電気機械に関する。
有利には、前記機械は、前記巻線コイル端部の円周上に分散配置された少なくとも2つの接続ユニットを備える。
【0022】
本発明の他の利点および特徴は、図面により示された詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来技術によるステータ巻線の斜視図。
図2】従来技術によるステータ巻線の部分図。
図3】従来技術による接続ユニットが設けられたステータの斜視図。
図4A】本発明の実施形態による回転電気機械の部分斜視図。
図4B】本発明の実施形態による回転電気機械の上面図。
図4C】本発明の実施形態による回転電気機械の部分正面図。
図5】本発明の別の実施形態による回転電気機械の部分正面図。
図6A】本発明の別の実施形態による回転電気機械を前方から見た部分斜視図。
図6B】本発明の別の実施形態による回転電気機械を前方から見た部分斜視図。
図6C】本発明の別の実施形態による回転電気機械を前方から見た部分斜視図。
図7】本発明の更に別の実施形態による回転電気機械の部分斜視図。
図8】本発明の更に別の実施形態による回転電気機械の部分斜視図。
図9】本発明の更に別の実施形態による回転電気機械の部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
接続ユニットが部分的に電気絶縁材料でオーバーモールドされた回転電気機械の実施形態を、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。これらの例は、本発明の特徴および利点を示す。しかしながら、本発明はこれらの例に限定されないことに留意されたい。
【0025】
図面において、同一の要素には同一の参照符号を付す。図面の見やすさを理由として、図示される要素間のサイズの縮尺は順守されていない。
【0026】
図4乃至9は、本発明の複数の実施形態による回転電気機械の様々な部分図である。関連する実施形態のいずれにおいても、回転電気機械は、軸Xを有するステータ100を含んでいる。ステータ100は、ステータの巻線を形成する相巻線120のうちの1つが通過するステータ本体110を含んでいる。上述のように、相巻線120は、ステータ本体110の各端部にコイル端部を形成している。接続ユニット150が、コイル端部125、126のうちの少なくとも一方の延長部に装着されている。図4乃至9に示す様々な例において、接続ユニット150は、上方コイル端部125の延長部に装着されているが、下方コイル端部126の延長部にも同様に装着され得ることを理解されたい。
【0027】
図4乃至9の例において、上方コイル端部125のみが見えており、ステータのハウジング112が下方コイル端部126を取り囲んでいる。サイズの制限を理由として、接続ユニット150は、好適には、コイル端部の軸方向延長部に配置されているが、サイズ以外の利点を得るために、オフセット配置も想定可能であることを理解されたい。
【0028】
相互接続器としても知られる接続ユニット150は、例えば銅から構成される単数または複数の導電性要素155を含んでいる。導電性要素155は、絶縁エンベロープ156を形成する電気絶縁材料でオーバーモールドされている。この相互接続器150は、電気絶縁性を有するとともに巻線の熱に対する耐性を有する材料を有している。相互接続器150は、ステータのコイル端部125に支持配置されることにより、相互接続器の存在により生じるサイズを制限し得るとともに、回転中の電気機械により生成される振動を制限し得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、相互接続器150は、単数または複数の反転ピン130に支持配置されることにより、特に相互接続器150の設置作業時における相互接続器の安定した位置決めが保証されている。実際に、ステータの製造作業中において、相互接続器の位置決めが、反転ピン130に配置されることで容易とされるとともに、相互接続器上の中性点の溶接がアセンブリの安定性により容易とされる。相互接続器を所定位置に保持するためにツールを使用する必要は、もはやない。
【0030】
相互接続器150は、導電性トラックとしても知られる複数の導電性要素155を含んでいる。これらは、主に絶縁エンベロープ156の内側で延び、この絶縁エンベロープの外側において、中性点122に対する接続出力部を形成している。図6Cに、絶縁エンベロープ156の内側で延びる2つの導電性要素155を有する相互接続器150を、部分的に示す。本図は、各々が接続出力部153、157を形成するように前記絶縁エンベロープ156から径方向に延びる導電性トラック155のそれぞれの端部を、より詳細に示している。出力接続部としても知られる導電性トラックの各端部153、157は、中性点122に接続されている。実際に、ステータの相巻線120は、それらの各端部において巻線中性点122を形成する。これらの中性点は、相互接続器150によって互いに接続される。
【0031】
この目的のために、各導電性トラック端部155は、絶縁エンベロープ156に対しておよそ90°の角度を形成しつつ、絶縁エンベロープ156から径方向に延びている。したがって、各接続出力部153、157は、中性点122に例えばレーザー溶接または電気溶接によって接続され得る接続フックを形成している。接続フックが径方向に延びることにより、中性点の溶接作業中に絶縁エンベロープが損傷するリスクが回避され得る。
【0032】
特に図6Cに示すように、中性点122は、2つの隣接する導電性トラックの端部同士の間に接続され得る。本例に示すように、導電性トラックの2つの端部、例えば端部153および157は、単一の絶縁エンベロープ156から得られる2つの隣接する導電性トラック155の端部である。これら2つの端部153、157は、中性点122を間に挟むように設計されたダブル接続フックを形成するように、絶縁エンベロープ156から実質的に平行に延びている。電気やレーザー等による溶接作業により、中性点122と各端部153、157との電気的接続が保証される。
【0033】
例えば円弧形状にある単一の相互接続器150は、巻線の全ての中性点122を接続し得る。それぞれが円弧形状にある複数の相互接続器、例えば2つの相互接続器が、各相互接続器が巻線の中性点122のうちのいくつかのみを接続した状態で、コイル端部125の円周上に分散配置され得る。このように相互接続器を分散配置することにより、回転電気機械内の通気性が良好になり得る。図4乃至9に示す例において、2つの相互接続器150a、150bが、それぞれ3つの中性点を接続した状態で、コイル端部125の円周上において互いに径方向に対向して配置されている。
【0034】
中性点122の相互接続器150aまたは150bに対する接続の種々の態様を、図4乃至9に示す。複数の相互接続器が機械に装着されている場合、当業者には、図4乃至9に示すように、中性点122の接続態様が相互接続器のそれぞれについて同一であり得るか、または逆に、接続態様が相互接続器毎に異なり得ることが理解されるであろう。以下に示す例において、2つの相互接続器150a、150bの接続態様は同様であるとみなされ得る。したがって、1つの相互接続器の接続態様について説明する。
【0035】
ステータ巻線の各中性点122は、導電性トラック155の1つまたは2つの端部に接続され得る。図4A-4Cの例において、中央中性点122bは、2つの導電性トラックの端部同士の間に接続され、2つの側方中性点122a、122cは、それぞれ導電性トラック155の1つの端部に接続されている。例えば、相互接続器150aの場合、側方中性点122aは、導電性トラック155の端部153に接続されている。中性点122aと導電性トラックの端部153とが互いに溶接されると、これらは接続点163を形成する。同様に、側方中性点122cと導電性トラックの端部154とが接続されると、これらは接続点161を形成する。一方、中央中性点122bは、導電性トラックの端部151と、同一の相互接続器150aの別の導電性トラックの端部152との間に接続されている。中性点122bと導電性トラックの端部151、152とが互いに溶接されると、これらは接続点162を形成する。これらの実施形態において、側方中性点122a、122cは、相互接続器の外側に溶接されて、相互接続器150aを閉じている。
【0036】
図5の例において、中央中性点122bは、図4A-4Cのように、導電性トラックの2つの端部151、152の間に接続され、2つの側方中性点122a、122cは、それぞれ導電性トラック155の1つの端部153および154に接続されている。しかしながら、本例において、側方中性点122a、122cは、相互接続器の内側に溶接されている。したがって、相互接続器150aを閉じるのは、端部153、154である。
【0037】
図6A、6B、6Cの例において、各中性点122a、122bおよび122cは、2つの導電性トラックの端部同士の間、すなわち、端部153と端部157との間、端部151と端部152との間、端部154と端部158との間に、それぞれ接続されている。換言すれば、中央であれ側方であれ各中性点は、ダブルフックの内部で接続されている。これらの例において、相互接続器150aの安定性確保を目的として、スタンド170が、コイル端部125上に支持されるように絶縁エンベロープ156の下方に設置され得る。変形例として、スタンドが、相互接続器150aの端部のそれぞれに設けられ得る。各スタンドは、相互接続器の旋回を防止するように設計された寸法を有する。このスタンド170は、絶縁材で構成された隆起部であり、導電性トラック155とコイル端部125との間に突出している。スタンド170は、絶縁エンベロープ156の下方に追加され得る、または電気絶縁材料に成形により形成され得る。
【0038】
相互接続器150がコイル端部上に支持されない図示しない実施形態において、相互接続器をコイル端部の延長部に保持することを目的として、中央スタンドが、例えば接続点162を含む部分に面するように相互接続器の下方に形成され得る。
【0039】
図4A-4C、5、および6A-6Cの実施形態において、各接続フックまたはダブルフックは、コイル端部125を径方向に横切って延びている。径方向フック/ダブルフックについて言及する。換言すれば、各接続点161、162、163は、導電性トラックの端部に、中性点122が巻線から出現する方向に対して垂直な方向に延びる接続領域を含んでいる。したがって、中性点と相互接続器との電気伝導を保証する溶接は、フックまたはダブルフックと中性点との交点においてなされる。
【0040】
図7乃至9の実施形態において、各接続フックまたはダブルフックは、巻線の延長部において軸方向に延びている。軸方向フック/ダブルフックについて言及する。換言すれば、各接続点164、165、166は、導電性トラックの端部に、中性点122が巻線から出現する方向に対して平行な方向に延びる接続領域を含んでいる。接続領域と中性点とが互いに平行に溶接されるため、2つの部品間の導電面積を増大させることができる。
【0041】
軸方向フック/ダブルフックを有する接続モードにおいて、各中性点122は、導電性トラックの1つの端部、または2つの導電性トラックの端部同士の間に接続され得る。図7の例において、各中性点122a、122bおよび122cは、導電性トラックの2つの端部の間、すなわち、端部153と端部157との間、端部151と端部152との間、端部154と端部158との間に、それぞれ軸方向に接続されている。換言すれば、中央であれ側方であり各中性点は、ダブルフックの内部で接続されている。本例において、前記相互接続器150aの安定性確保を目的として、スタンド170が、相互接続器の側方に、すなわちその両側において絶縁エンベロープ156の下方に設置されている。
【0042】
図8および9の例において、中央中性点122bは、2つの導電性トラックの端部同士の間に接続され、2つの側方中性点122a、122cは、導電性トラック155の1つの端部にそれぞれ接続されている。例えば、側方中性点122aは、導電性トラック155の端部153に接続される。端部153は、溶接後に接続点166を形成する端部である。対称的に、側方中性点122cは、導電性トラック155の端部154に接続される。端部154は溶接後に接続点164を形成する端部である。一方、中央中性点122bは、導電性トラックの端部151と、同一の相互接続器150aの別の導電性トラックの端部152との間に接続され、溶接後に接続点165を形成する。
【0043】
特に図8の例において、側方中性点122a、122cは、相互接続器150aの外側に溶接されることにより、相互接続器を閉じている。あるいは、図9の例において、側方中性点122a、122cは、接続器150aの内側に溶接されている。これにより、相互接続器を閉じるのは端部153、154である。
【0044】
側方中性点が単純な接続フック、すなわち1つの導電性トラック端部に接続される実施形態において、接続フックは、中性点と接続フックとの溶接の品質を高くするように、予め錫箔を施されている。
【0045】
いずれの実施形態においても、ステータ巻線の3つの中性点122a、122b、122cは、相互接続器150により互いに接続されている。この相互接続器150は、全ての相入力部および出力部を電子制御部に対して周方向にもたらすように、ステータの相出力部124同士を接続してもよい。
【0046】
上述の説明は、星の形状において接続された巻線を対象としている。星の形状における結合に代えて三角形状の結合を採用し、中性点に代えて相巻線を互いに接続して三角形状の接続を形成可能とする接続点を採用しても、本発明の要旨からの逸脱とはならないことを理解されたい。
【0047】
特定個数の例、変形例および実施形態により本発明による回転電気機械を説明したが、本発明による回転電気機械は、当業者に明らかになるであろう異なる変形例、修正例および改良例を、これらの変形例、修正例および改良例が以下の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲の一部を形成することを理解の上で含む。例えば、互いに溶接されて巻線を形成する複数の導電体に代えて、円形または矩形の断面を有する連続ワイヤを採用しても本発明の要旨からの逸脱とはならない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9