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特許7321253電気力学的断片化のためのシステムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】電気力学的断片化のためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/00 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
B02C19/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021508076
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019060740
(87)【国際公開番号】W WO2019207108
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】102018003512.4
(32)【優先日】2018-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520420562
【氏名又は名称】ディール、ディフェンス、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング、ウント、コンパニー、コマンディトゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】DIEHL DEFENCE GMBH & CO. KG
(73)【特許権者】
【識別番号】594102418
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer-Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D-80686 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100206243
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貴士
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト、シュタルク
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー、トーメ
(72)【発明者】
【氏名】ゼーフェリン、ザイフェルト
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン、ディットリヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ビッケス
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン、ウルバン
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-154286(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014008989(DE,A1)
【文献】特表2018-506429(JP,A)
【文献】特開2009-247942(JP,A)
【文献】特表2014-528355(JP,A)
【文献】国際公開第2013/053066(WO,A1)
【文献】特開平11-169743(JP,A)
【文献】特開2003-211092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 19/00-19/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料(5)に対する電気力学的断片化のための断片化システム(1)であって、
入口(3)
前記材料(5)のための少なくとも一つの出口(4)
前記入口(3)から前記出口(4)に至る搬送路(8)であって、前記材料(5)を搬送方向(9)に前記搬送路(8)に沿って搬送するための前記搬送路(8)
前記搬送路(8)に沿って順次配置された複数の分別セクション(18)であって、
各分別セクション(18)が、高電圧放電(19)を発生させるための少なくとも一つの第1電極(10a)および少なくとも一つの第2電極(10b)を含む高電圧パルス源(11)を備え、
各分別セクション(18)の前記高電圧パルス源(11)が、電圧および電力の少なくとも一つを含む動作パラメータで動作し、
各分別セクション(18)の前記高電圧パルス源(11)の前記動作パラメータの大きさは、前記入口(3)から続く前記搬送路(8)に沿って前記分別セクション(18)が順次配置されるにつれて連続的に減少する、
複数の分別セクション(18)と、
前記材料(5)、および/または、最小直径よりも小さい直径を有する前記材料の断片、を導いて前記分別セクション(18)のうちの少なくとも一つの少なくとも一部分を通過させるために、前記搬送路(8)において前記材料(5)を選択的に抽出するための選択手段と、を備える、
断片化システム(1)。
【請求項2】
前記選択手段が、前記第1電極(10a)と前記第2電極(10b)とから構成される、
ということを特徴とする請求項1に記載の断片化システム(1)。
【請求項3】
前記第1電極(10a)と前記第2電極(10b)がレールを形成している、
ということを特徴とする請求項1または2に記載の断片化システム(1)。
【請求項4】
前記分別セクション(18)が、前記搬送方向(9)に対して下方に傾斜した傾斜面を形成している、
ということを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項5】
前記第1電極(10a)および前記第2電極(10b)は長手方向に延びた範囲を有し、
前記第1電極(10a)および前記第2電極(10b)は、前記長手方向に延びた範囲が前記搬送方向(9)と同じ方向となるように配置されている、
ということを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項6】
前記電極(10a,b)のうちの少なくとも二つが、前記材料(5)のための傾斜台を形成し、前記傾斜台が、重力方向に関連して搬送方向(9)において下向きに傾斜している
ということを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項7】
前記傾斜台の少なくとも一つの前記電極(10a,b)の長さおよび/もしくは傾斜角度、ならびに/または、前記傾斜台の少なくとも二つの前記電極(10a,b)間の距離が、可変である、
ということを特徴とする請求項6に記載の断片化システム(1)。
【請求項8】
前記材料(5)の搬送を支援するために、媒体(16)を媒体運搬方向に搬送するための運搬装置(14)
によって特徴付けられる請求項1ないし7のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項9】
前記第1電極(10a)と前記第2電極(10b)との間の距離が可変および/または設定可能である、
ということを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項10】
前記少なくとも一つの高電圧パルス源(11)が、10kV以上の作動電圧を有する高電圧パルスを、高電圧放電(19)として、出力するように構成されている、
ということを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項11】
前記搬送路(8)が、1時間当たり10トン以上の前記材料(5)を運搬するように構成されている、
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項12】
傾斜面として下向きに傾斜している前記分別セクション(18)が、前記材料(5)を搬送するための、ダウンヒルフォースに基づく傾斜角度を有し、
前記傾斜角度は、前記分別セクション(18)に沿った前記材料の搬送速度を設定するために、設定可能である、
ということを特徴とする請求項3ないし11のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項13】
前記分別セクション(18)が運搬構造体を有する、
ということを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【請求項14】
前記搬送路(8)が、前記材料(5)の極めて小さい断片を抽出するための少なくとも一つのふるい構造を有する、
ということを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の断片化システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を搬送路に沿って搬送するための入口と出口と、高電圧放電を発生させるための少なくとも一つの高電圧パルス源と、を備える、材料を電気力学的断片化のための断片化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
文献WO2013/053066A1には、高電圧放電による材料の断片化のための方法が記載されている。材料は、処理液とともにプロセスチャンバ内に導入される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、材料の断片化のための改良されたシステムを提供することである。
【0004】
当該目的は、請求項1の特徴を有する断片化システムによって達成される。さらに、当該目的は、請求項16の特徴を有する電気力学的断片化のための方法によって達成される。本発明の好ましいおよび/または有利な実施形態、並びに発明のその他のカテゴリーもまた、更なる請求項、以下の説明、および添付の図から、明らかである。
【0005】
材料に対する電気力学的断片化のための断片化システムが提案されている。典型的には、断片化システムは、連続して操作可能な断片化システムである。典型的には、断片化システムは、材料の工業的な断片化および/または大規模に設計された材料の断片化のために構成されている。好ましくは、断片化は、分離された断片化である。そのシステムは、サイズ、タイプおよび/または組成に応じた、分離された断片化に適している。材料は、好ましくは無機材料であり、典型的には複合材料である。材料は、有機成分から構成されていてもよい。一例として、材料は、コンクリート、スラグ、セラミック、または鉱業材料である。材料の断片化は、好ましくは、二次原料を得るために、例えば、砂利、砂および/またはセメント代替原料を得るために、役立つ。
【0006】
断片化システムは、入口と出口とを備える。一例として、断片化システムは、ハウジングおよび/またはプロセス容器を備え、入口および/または出口は、プロセス容器および/またはハウジング内に配置されている。材料は、入口によって提供および/または供給され得る。一例として、入口は、材料貯蔵庫、例えばフィードバンカーに接続されており、材料はフィードバンカー内に貯蔵され得る。出口は、典型的には、供給された材料、その断片、および/またはその構成要素を、搬送および/または運搬するために機能し、例えば材料のためのシンクを構成する。入口と出口との間で、材料は、搬送方向の搬送路に沿って搬送される。搬送路は、直線経路、ループ状の経路、またはギザギザの経路であってもよい。搬送路は、二次元または三次元のパスおよび/またはルートである。入口と出口との間の材料搬送は、典型的には、材料および/または質量の保存のために十分であり、例えば、供給された材料の質量は、搬送された材料の出口における質量に相当する。断片化システムは、典型的には、複数の出口および/または入口を備えることができる。
【0007】
断片化システムは、少なくとも一つの高電圧パルス源を備える。一例としては、高電圧パルス源は、マルクスジェネレーターである。高電圧パルス源は、典型的には、高電圧パルス源それぞれは、放電チャンバ内に高電圧放電を発生させるための少なくとも一つの第1電極および少なくとも一つの第2電極を備える。以下では、例示のために、特に第1電極および第2電極が常に言及される。しかし、記載は、複数の電極についても同様に類似的に理解され得る。好ましくは、放電チャンバは、第1電極と第2電極との間に配置される。あるいは、放電チャンバは、第1電極と第2電極とを接続する環境内に配置され得る。第1電極と第2電極は、同一の種類のもの、または、異なる種類のものとして、具体化され得る。例えば、第1電極および/または第2電極は、金属電極、グラファイト電極またはその他の電極である。好ましくは、第1電極はカソードを形成し、第2電極はアノードを形成する。典型的には、第1電極または第2電極が接地電位に接続されるように規定を設け、残りの電極がより高い電位またはより低い電位に接続されるようにもできる。
【0008】
高電圧パルス源は、典型的には、高電圧放電を発生させるために、第1電極と第2電極との間に作動電圧を印加するように構成されている。高電圧放電は、例えば、第1電極から材料を通って第2電極に至るまで、行われ得る。高電圧放電は、典型的には、高電圧パルスである。高電圧パルスおよび/または高電圧放電は、パルス長を有する/有する。パルス長は、好ましくは1マイクロ秒未満、典型的には100ナノ秒未満、特には50ナノ秒未満である。好ましくは、高電圧パルスおよび/または高電圧放電は、1パルスあたり500ジュール未満、典型的には1パルスあたり300ジュール未満、特には1パルスあたり100ジュール未満のエネルギーを有する。好ましくは、高電圧パルス源は、100メガヘルツ以上の周波数を有する高電圧放電を発生させるように構成されている。高電圧放電および/または高電圧パルスは、パルス振幅を有する。パルス振幅は、好ましくは、作動電圧と同一であり、かつ/または10キロボルトから10メガボルトの間である。特に好ましくは、パルス振幅は、100キロボルトと5メガボルトの間である。
【0009】
高電圧源(発電機)は、典型的には、可変的な形式で、または柔軟な発電機として、具体化される。この点において、それぞれの材料に対するエネルギー消費量を最適化することができる。この点において、例えばコンクリートの断片化については、2.3kWh/t(75J/パルス)の最小エネルギー消費量を測ることが可能であり、これは機械的処理の範囲内である。他の断片化システムと比較して、本発明によるシステムは、もはや音響的に隔離されている必要はなく、処理媒体(水、以下を参照)の加熱をもたらす熱エネルギーとしての余分なエネルギーが失われることはない。これらの技術の経済的な使用は、このような発電機で可能である。
【0010】
典型的には、立ち上がりの時間および/または振幅および/またはパワーおよび/またはパルスエネルギーの内容は、発電機で設定可能である。
【0011】
搬送路は、少なくとも一つの分別セクションを有する。分別セクションは、例えば、搬送路の一部の区間である。分別セクションは、主経路を形成してもよいし、主経路に対するバイパスを形成してもよい。分別セクションは、好ましくは10cm、特に好ましくは50cmを超える長さを有する。分別セクションは、少なくとも第1電極と第2電極との間の部分で延びている。より典型的には、分別セクションは第1電極と第2電極を備え、および/または、第1電極と第2電極は分別セクションを形成する。分別セクションは、放電チャンバを通って延びている。典型的には、分別セクション全体が放電チャンバ内において延びている。また、分別セクションは、高電圧放電が効果的に行われるおよび/または効果的に行われ得る搬送路の区間として理解され得る。
【0012】
断片化システムは、搬送路内の材料を選択的に抽出するための選択手段を備える。選択手段は、好ましくは、搬送路に位置する材料および/または搬送路で搬送される材料を選択するように構成されており、例えば、サイズ、種類および/または形状に応じて前述の材料を選択するように構成されている。選択手段は、分別セクションのうちの少なくとも一つの少なくとも一つの部分、または分別セクションのうちの少なくとも一つ、を通過する最小の直径よりも小さな直径を有する材料および/または材料の断片を導くように構成されている。選択手段は、典型的には、最小直径よりも大きい直径を有する材料のみが、分別セクションのうちの特定の一つを通過し、および/またはその分別セクション内で搬送されることを確実にするのに役立つ。選択手段は、例えばフィルタ手段、特にはサイズフィルタを形成する。例えば、最小直径よりも小さい材料および/またはその断片は、選択手段によって、例えばバイパスまたは迂回路で、分別セクションの先に動かされ得る。また、迂回路は、基部またはふるいを通る落下を構成することができる。選択手段は、典型的には、分別セクションの上流側(搬送方向に対して)、分別セクション内、または分別セクションの下流側に位置している。さらに、分別セクションは、入口の領域に配置されていてもよい。
【0013】
典型的には、選択手段は、上流での高電圧放電による材料の処理中に発生する最小直径よりも小さい直径を有する材料の断片を分離するように構成されている。
【0014】
本発明は、材料および小さな断片、すなわち一定のサイズ分布の材料を早期に抽出した結果、後者が後続の下流の分別セクションを占有せず、そのため、そこで高電圧放電が、より大きな断片に的を絞って使用される、という考えに基づいている。これにより、エネルギー効率が高く、高スループットの断片化システムを実現する。
【0015】
オプションとして、選択手段は、少なくとも一つの高電圧パルス源の第1電極および第2電極を備えることができ、代替的には、少なくとも一つのさらなる電極を備えることもできる。典型的には、第1電極および第2電極は、選択手段を形成することができる。一例として、第1電極および第2電極は、最小直径よりも大きい直径を有する材料および/または材料の断片のためのふるい構造または保持手段を形成する。これにより、選択手段と分別セクションとが少なくとも部分的に一体的に形成された実施形態が得られる。
【0016】
特に好ましくは、第1電極と第2電極はレールを形成する。そして、第1電極と第2電極との間の距離はレールの距離であり、典型的には、最小直径以下である。第1電極と第2電極は、レール内で機械的に、例えばストラットによって、接続することができる。あるいは、第1電極と第2電極は、レール内で機械的に接続されていない。典型的には、電気絶縁体が、第1電極と第2電極との間の機械的接続である。
【0017】
材料は、例えば、レールを介して、分別セクションを搬送されている間に、粉砕される。前述の材料がレールの間に落ちるのに十分小さい場合(選択)、それは分別セクション内で選択され、分別セクションの外に導かれる。この点においては、それは、分別セクションの一部のみを通過し、その残りの部分(レールの残りの長さ)の先に導かれる。
【0018】
本発明は、複合材料、例えばコンクリート、をリサイクルできることが望ましいという事実に基づいている。ここでの目的は、二次原料を得ることにある。一例として、コンクリートを分離し、その構成成分を再利用することが努められている。この場合、特に、砂利や砂などの添加剤は、周囲のセメントマトリックスから選択的に解放される。これまでは、手動で操作されるシステムおよび実験室規模のシステムがこのために使用されてきた。そのようなシステムおよび/または方法でのスループットは、これまでのところ、毎時3トン未満であった。また、そのようなシステムでは、断片化の程度も、しばしば80%未満である。より高いスループット率は、機械的方法によって今日まで達成されてきたが、そのような方法は、分離が不足で、処理された材料の品質が低下している。例えば、研削加工の結果として砂利粒にマイクロクラックが発生し、それらはRCコンクリートの機械的強度を低下させる。
【0019】
典型的には、材料は、入口と出口とでは、異なる状態を有し、例えば、材料は、入口では、結合されているおよび/または塊状であり、一方、出口では、断片化さおよび/または分離されている。断片化は、例えば、高電圧パルスによってもたらされる。具体的には、材料の断片は、典型的には1cm未満の粒径を有する。
【0020】
オプションとして、断片化システムは、分別セクションが下方に傾斜した傾斜面として具体化されることを提供する。分別セクションは、典型的には、搬送方向に下向きに傾斜する。分別セクションは、厳密に単調に傾斜することができる。あるいは、分別セクションは、サドルおよび/または旋回点を有する下方に傾斜する傾斜面として具体化され得る。分別セクションは、その材料についての搬送方向の材料搬送が、電気的駆動なしに、ならびに/または、重力および/またはダウンヒルフォースに基づいて、行われ得るように、典型的には具体化される。分別セクションは、効率的で省エネルギーな搬送装置を提供し、典型的には、傾斜面内の重力効果に基づいて搬送路に沿ったサイズおよび/または質量の選択を達成することを意図している。このようにして、大量の材料を搬送することを可能にする搬送装置が提供される。さらに、断片化システムは、材料搬送の重力駆動により、典型的には省エネルギーである。
【0021】
オプションとして、第1電極および/または第2電極が長手方向の範囲を有するような規定がなされる。例えば、第1電極および/または第2電極は、棒状、例えば丸棒の形状で具体化されている。第1電極および/または第2電極の長手方向の広がりは、好ましくは、電極の直径の少なくとも10倍の大きさである:電極は、電極長さを有し、電極長さは、好ましくは、10cmよりも大きく、特に好ましくは、50cmよりも大きい。第1電極および/または第2電極は、その長手方向の広がりが搬送方向と同じ方向および/または搬送方向と平行になるように配置されている。一例として、第1電極と第2電極は、互いに平行に配置されている。第1電極および第2電極は、レール状の形式にて配置され、例えばトップハットレールを形成することが特に好ましい。一例として、第1電極および第2電極が搬送面内に配置されている場合、材料の搬送は、搬送面内で行われる。あるいは、第1電極および/または第2電極は、搬送面と同じ方向ではあるが、搬送面に対してオフセットして配置されていてもよい。このような構成は、構造的に簡単な方法で得ることができ、省エネルギーで良好な材料の細断が可能な細断装置を提供することを考慮したものである。
【0022】
本発明によれば、棒状および/または平面状の電極が使用され、典型的には、傾斜による材料のさらなる搬送および分別のために使用される一種のレールシステムを形成する。
【0023】
一例として、分別セクションは、傾斜台を形成し、傾斜台は、好ましくは、電極によって横方向に区切られる。高電圧放電は、好ましくは、搬送方向に対して60度から120度の間の角度で行われる。特に好ましくは、高電圧放電は、搬送方向に対して垂直に行われる。
【0024】
本発明の一つの好ましい実施形態では、電極の少なくとも二つは、材料のための傾斜台を形成し、前述の傾斜台は、重力方向との関係で、搬送路内で下方に傾斜している。
【0025】
本発明によれば、材料は電極上をスライドして移動することができる。そして、材料のかけらが十分に粉砕されることなく、例えば、その端部のみが断片化されたために、傾斜台全体に沿ってスライドするといった状況が起こり得る。このようにして、それは電極または傾斜台の端で取り出され得るし、プロセスの停止を防ぐことができる。前述の材料のかけらは、例えば、再び分別セクションに導入され得るし、さらなるプロセス、恐らくは異なる種類のプロセス(例えば、埋立材として段階的に廃棄されたり、低品質の使用のためにジョークラッシャーを使用して粉砕されたり)に供給され得る。傾斜している電極は、(重力に対してまたは水平に対して)「受動的なコンベアベルト」として動作する。材料の搬送速度は、オプションの角度設定(下記参照)により設定され得る。特に(下記参照)、傾斜台内の電極間の距離は可変的に設定できる。
【0026】
本発明によれば、傾斜に関して任意に設定可能な電極は、材料のための傾斜台(「受動的なコンベアベルト」)として動作する。このようにして、材料の大きさおよび重量と、「レール電極」の角度位置と、に応じて、材料の搬送およびその速度は、材料の自重によってかなりの範囲で効果を発揮する。さらに、材料の流れまたはその速度は、レールシステムに対して傾斜した状態での速度成分を有する周囲の媒体(例えば、水、以下を参照)の流速によって支えられ得る。
【0027】
対応する傾斜台は、クロスフローの分類なしに、重力のみを考慮して、またオプションでは媒体の流れの支援を介して、典型的には、それぞれの電極または傾斜台の端で材料を抽出することを可能にする。理想的なケースでは、反応容器からの抽出後、露出した材料を再び反応容器に戻す必要はない。電極は、オプションの媒体(例えば水)の他に、反応容器を通過する材料の経路を決定する搬送媒体でもある。
【0028】
電動搬送手段、例えば運搬ベルトは、ここでは特に実際の断片化プロセスにおいて必要ではない。このような手段は、例えば、プロセスに材料を供給するため、またはプロセスから材料を搬出するために必要であれば提供され得る。
【0029】
この実施形態の一つの好ましい変形例では、傾斜台の電極のうちの少なくとも一つの長さおよび/または傾斜角度、および/または、傾斜台の電極のうちの少なくとも二つの間の距離は、可変である。
【0030】
本発明によれば、典型的には、材料がスライドする電極の長さおよび/または傾斜角度が可変であり、断片化されていない材料は、重力方向に関して横方向に、適切な場合には搬送媒体に関しても横方向に、反応容器を通って移動し、一方、特に断片化されてはならない(もはやそれ以上)材料、例えば2mm未満の微細な材料は、断片カスとして、最も短い経路(重力方向)を通って直接底部に排出される。2mmという特定のサイズは、例えばコンクリートの処理に関連しており、2mmは砂の粒径に対応している。媒体によって搬送を支援することもオプション的には可能であり、プロセス制御の自由度(媒体の種類、媒体の速度、媒体の方向)をさらに高めることを可能にする。
【0031】
この点においては、各材料について、典型的には、可能な限り高い露出度を得るために、可変の電極距離を有する電極または傾斜台上の最適な滞留時間を規定することが可能である。電極の長さが可変であることを考慮して、材料は、単に重力方向に沈む場合よりも長い経路をプロセス容器内でカバーしなければならない。その結果、電気パルス処理がより頻繁に行われ、その結果、露出度を最大にすることができる。さらに、処理経路が長くなることで、より多くの材料を同時に処理され得るし、スループットを増加させることができ、産業用アプリケーションを可能にする。
【0032】
プロセス容器内の粒子(材料)の滞留時間は、本発明によれば可変であり、したがって、異なる材料および/または断片のサイズ(プロセス内で異なる滞留時間を必要とする)のための最適化の可能性がある。
【0033】
電極の距離は、典型的には、2mm、4mm、8mm、16mm、32mm、64mmといった最大値および/または最小値がある。距離の中間の大きさも選択可能で、必要に応じて自由に設定可能である。
【0034】
一つの好ましい実施形態では、傾斜台または電極のうちの少なくとも一つが振動可能であることが提供される。傾斜台等を振動させると、結果として傾斜台に沿った材料の搬送が均質化されて、傾斜台上での材料の詰まりがより困難になる。代替的または追加的には、適切な電極の形状が与えられ、それ自身の長手方向軸について回転可能に取り付けられ、このプロセスを支援する電極もまた考えられる。
【0035】
本発明によれば、電極は、このように、粉砕工程だけでなく、搬送工程においても加わる。
【0036】
全体的に、傾斜したレールシステムは、特には、レールシステムに沿って材料を搬送すること(例えば、まだ粉砕されてない、または、粉砕可能ではない、成分)と、レールシステムを介して材料を搬送すること(例えば、十分に粉砕された/小さい成分)を可能にする。どちらもまた、搬送媒体(水、石油、ガスなど)によって支援され得る。ここでは、電極が搬送プロセスを大いに支援する。
【0037】
傾斜したレール方式の場合、断片化されるべき成分は、断片化電極間の距離より大きくてもさらに搬送され(より小さな粒子は落下して、より大きな粒子はレール電極によって予め定められた傾斜面に沿ってスライドする)、断片化領域から抽出され、再び別の場所に導かれるか、または「廃棄物」としてシステムの外に搬送されて別の用途に供給され得る。
【0038】
このようなレールシステムは、傾斜の結果として目詰まりを起こさない。材料は、機械的な可動部がなくても、すなわち重力やダウンヒルフォースを利用して、さらに搬送される。材料の流量または速度は、レールシステムの角度位置によって設定することができ、さらに流動媒体によって支援することができる。さらには、運転中に角度位置を変更することによって、または(典型的にはわずかに)電極を振動させることによって、さらなる搬送が支援され得る。
【0039】
本発明による重力運搬の場合、材料は電極の先に動かされるのではなく(だけでなく)、むしろ、さらに電極を通過してまたは電極によって動かされ搬送される。本発明によれば、材料の流れは、電極配置の先に動かされるのではなく(だけでなく)、むしろ、電極配置自体が材料の流れの一部であるか、または、いわば、材料の流れに統合されているか、または材料の流れを指示する。電極配置(自身が動作/電極配置として顕在化する、傾斜台/レールシステム)は、材料の流れがそもそも流れることができることを確実にする決定的な要因である。
【0040】
本発明によれば、電極配置の場合の搬送速度は、「傾斜台/レール電極」の傾斜によって決定的に同時に決定され得る。その後、搬送速度は、材料の自重(もはや多くはピースサイズが全てではないが)に、電極の角度位置に、およびレール電極の間の距離よりも小さい端数サイズを有する材料の部分に、かなりの程度まで依存する。この材料の部分は、その後、レールシステム(電極)を通って下方に落下し、次により小さい断片サイズとともに、次のプロセスステップに直接転送される。材料の流れは、さらに、処理液または恐らくは処理ガスの流れによって同時に支援され得る。これも同様に、例えばレール電極の追加のバイブレーションやシェイキングによって支援され得る。
【0041】
電極は、典型的には処理液またはそれに対応する適切なガス中に位置している。電極の供給は、あらゆる側面から行われ得る。材料または材料の流れは、典型的には完全にまたは少なくとも部分的にプロセスチャンバ内の電極を通して動かされる。
【0042】
典型的には本発明による電極配置はまた、レール電極/電極対の間の最大距離よりも大きな分別セクションのサイズを可能にする。後者は、電極としてレールシステム上に横たわり、それらは後者によって動かされもし、材料搬送中に同時に処理され得る。ここでは、レール電極間のそれぞれの距離よりも大きいピースサイズは、それぞれの断片サイズも関連する処理ステップにおいてさらに断片化されることを可能にするために必須の前提条件である。小さいピースサイズの場合には、その部分はレールシステムを通って落下し、次の処理ステップに供給される。
【0043】
レール電極間の距離は、一様である必要はなく、むしろ、例えば、レールシステム(電極)に沿って増加または減少し得る。これは、次のプロセスステップ/プロセス段階に対する適応の間に、付随して考慮され得る。
【0044】
理想的な場合のレール電極システムによって、材料全体が一回のパスで完全に断片化され得る。同時に、レール電極の端にある十分に断片化されていない部分は、適切な運搬手段によって、再びプロセスまたは分別セクションに供給されるか、または廃棄物/拒絶物として別の用途(例えば、埋立地、道路建設など)に供給される。
【0045】
本発明によれば、一般に、全ての電極は、自由に「浮いている」ように扱われ得る。電極対は、二つの高電圧電極から構成され得るし、それにより、例えば、適切な高電圧パルス発生器によって、同じ高電圧ではあるが反対の符号を持つように瞬間的に上昇される。
【0046】
レール電極システムは、様々な電極構成で構成することができ、例えば、最も単純な構成はレール対であり、必要なのは、対応する高電圧パルスが、個々の電極に対して、断片化に適した対応する放電が電極間で行われるような電位または電位差にすることだけである。この場合、個々の電極の電極電位は、正、負、または接地電位とされ得る。
【0047】
レール電極の配置の他の構成は、レール電極/電極対のU字型またはリング型または星型の配置である;他の配置も考えられる。
【0048】
本発明の一つの構成によれば、断片化システムは、媒体を媒体運搬方向に運搬するための運搬装置を備える。また、断片化システムは、媒体を備えることができる。媒体は、好ましくは液体であり、媒体は典型的には水である。あるいは、媒体は気体であってもよい。運搬装置は、例えば、媒体を運搬するためのポンプを備える。媒体は、材料の搬送を支援する役割を果たす。一例として、媒体運搬方向への媒体の運搬は、材料の要素が沿って運ばれるおよび/または混入されるので、材料の部分化および/または断片化という結果となる。例示的には、媒体は、例えばクロマトグラフィーの原理で、断片を分離するために機能する。特に好ましくは、一定および/または連続的な媒体運搬が提供される。媒体の運搬は、好ましくは、典型的には搬送路に沿って搬送方向に行われる。より具体的には、媒体の運搬は、分別セクションにおいて行われる。一例として、媒体は、運搬デバイスによって、分別セクションおよび/または搬送路を通って勢いよく流される。運搬装置は、材料の断片を自動的に抽出するために役立つ。
【0049】
本発明の実施例では、媒体の導電性、特に処理液の導電性は二次的に重要である。特定のパルス形状に基づいて、非常に低い導電率と高い導電率の両方を採用することができる。プロセスの過程において、処理液の導電率は、概して、鉱物成分や塩類の放出のために、予期通りに増加する。
【0050】
高い導電率は、他の従来の方法では、むしろ不利である。高い導電率は、処理液を通る電流を増加させ、その結果、処理液中のより多くのエネルギーが熱として変換され、処理液の加熱をもたらす。その結果、材料の断片化に必要なエネルギーの大部分が熱の形で失われる。さらに、プロセスは冷却されなければならない。これは、プロセスが明らかに非効率的になる原因となり、これは、パルスあたりに必要な電力が著しく高くなることにも反映される。
【0051】
媒体は、典型的には、高電圧放電のパラメータ範囲、例えばパルス長および/またはパルス振幅に関する、において絶縁体を形成する媒体である。特に、媒体の絶縁破壊強度は、室内空気の絶縁破壊強度よりも大きい。このような構成は、高電圧放電が媒体を介して行われるのではなく、むしろ、高電圧放電が材料を介して行われ、その結果、材料が細断されることを考慮したものである。より典型的には、材料の搬送中に媒体が材料を取り囲む。
【0052】
媒体運搬方向またはこの方向の少なくとも一つの構成要素が、搬送方向に対向する方向に向けられることが特に好ましい。例えば、搬送方向は、重力方向に関連して上から下に向けられており、そして、媒体運搬方向は、下から上に向けられる。あるいは、媒体運搬方向またはこの方向の少なくとも一つの構成要素が、搬送方向と同じ方向にあるように規定され得る。媒体運搬方向は、上から下に向けられてもよいし、下から上に向けられてもよい。典型的には、媒体が再利用可能であるように、および/または再利用されるように規定されている。一例として、搬送路を通過した後、または運搬が行われた後、媒体は収集され、再び搬送される。収集された媒体は、再び運搬に使用される前に、何らかの他の方法で濾過および/または洗浄されることが好ましい。このような構成は、第1に材料の断片の良好な分離を達成し、第2に資源節約型の断片化システムを提供することについての考慮に基づく。
【0053】
典型的には、媒体は水である。典型的には、媒体は蒸留水である。媒体は、好ましくは、1ミリメートル当たり20キロボルトより大きい絶縁破壊強度を有する。より特別には、媒体は、1ミリメートルあたり40キロボルトを超える破壊強度を有し、典型的には1ミリメートルあたり60キロボルトを超える破壊強度を有する。媒体は、さらに、油、特に乾燥油として具体化することができる。例示的には、媒体は変圧器油である。このような構成は、断片化の程度が向上し、材料の断片化の省エネルギーを可能にする断片化システムを提供することについての考慮に基づく。
【0054】
典型的には、断片化システムが返還装置を備えるように規定がなされ得る。この場合、保持された材料、例えば、選択手段によって保持された材料は、入口の方向に戻るよう搬送される。そのように戻された材料は、その後、再び高電圧放電で処理されるように、再びプロセスを通過しなければならない。
【0055】
第1電極と第2電極は、最小直径よりも小さい距離に配置されていることが特に好ましい。第1電極と第2電極は、搬送方向に平行に、収束的に、または発散的に、配置されていてもよい。一例として、第1電極と第2電極は、楔状および/またはV字状の形式に配置される。収束的に配置された第1電極および第2電極は、例えば、側面境界としての選択装置を形成する;一例として、第1電極と第2電極との間の距離がその直径よりも小さい場合には、過度に大きな材料の塊を搬送方向にさらに搬送することができない。
【0056】
本発明の一構成では、第1電極と第2電極との間の距離が設定可能である。例えば、第1電極と第2電極との間の距離は、所望の分解度、粒度、または断片化の程度が達成されるように選択可能である。第1電極と第2電極とが収束的に配置されている場合、例えば、第1電極と第2電極との間の角度は可変であり得る。前記角度は、好ましくは、所望の断片化の程度が達成されるように設定される。角度を増加させることは、例えば、より大きな直径を有する断片をより速くおよび/またはより遠くに搬送方向に搬送することができるという効果を達成する。第1電極と第2電極との間の角度を小さくすることは、より大きな断片部分をより長く留めることができ、小さな成分のみを前進させることができるので、より良い断片化を達成する。このような構成は、断片化の程度が改善されたおよび/または設定可能な断片化システムを提供するという考慮に基づく。
【0057】
断片化システムは、複数の高電圧パルス源を備えることが特に好ましい。典型的には、断片化システムは、少なくとも二つの高電圧パルス源を備え、典型的には、少なくとも三つの高電圧パルス源を備える。高電圧パルス源またはその電極は、搬送路に沿って配置される。典型的には、複数の高電圧パルス源は、多段式システムを形成する。複数の高電圧パルス源を備える断片化システムはまた、複数の分別セクションも備える。異なる高電圧パルス源および/または高電圧パルス源の電極は、異なる分別セクションに配置されている。高電圧パルス源および/または分別セクションは、典型的には、互いに離間して配置され、かつ/または互いに重ならないように配置されている。高電圧パルス源は、高電圧パルスを出力するように構成され、および/または高電圧放電を発生させるように構成されている。典型的には、断片化システムの高電圧パルス源は、異なる高電圧パルスおよび/または高電圧放電を出力する。典型的には、断片化システムの複数の高電圧パルス源の動作電圧は異なる。高電圧パルス源の作動電圧は、例えば、断片化の程度および/またはそれぞれの分別セクションにおける粒径に適応可能である。作動電圧の他に、異なる高電圧パルス源に対して異なる更なるパルスパラメータ、例えばパルス長および/またはパルス周波数のための規定を設けることもできる。より具体的には、高電圧パルス源の動作電圧が、搬送路に沿って小さくなるという規定がなされ得る。このような構成は、異なる高電圧パルス源の動作の結果として、断片化システムが改善された断片化を達成するという考慮に基づく。典型的には、作動電圧は、それぞれの一般的な直径および/または粒径に適応可能である。
【0058】
典型的には、個々の分別セクション18は、分別セクションに対応する最大サイズよりも小さい断片化された材料が、例えば重力および流動媒体の支援によって、次の断片化のステージに直接移送され得るような方法で、別のもの上に、または別のものの下に配置される(図1)。あるいは、分別セクション18はまた、連続して、または互いに隣接して、または高スループットを促進する形態でも配置され得る。この場合、分別セクション間の材料の移動は、例えば機械的、電気的、または他の流体力学的な搬送方法によって、より多くの範囲で行われる。他の方法も考えられる。
【0059】
典型的には、断片化システムが、搬送路に沿って運搬される毎時10トン以上の材料を有するような規定がなされる。好ましくは、搬送路に沿って運搬される材料は、毎時20トンを超え、典型的には毎時50トンを超える。材料は、例えば、フィードバンカーからおよび/またはフィードバンカー外に得られ、出口の一つにあるそれぞれの収集容器に搬送される。
【0060】
傾斜面は、傾斜角を有することが特に好ましい。傾斜角度は、典型的には、分別セクションおよび/または搬送路と水平面とのなす角度である。傾斜角度は、典型的には、設定可能である。典型的には、傾斜角度は、運搬速度および/または材料の搬送速度が設定可能であるように/または設定可能であることが好ましい。例えば、より多くの材料を後から供給することを意図している場合、および/または搬送速度を増加させることを意図している場合には、当該角度を急角度に設定し得る。材料の積み上げの場合には、例えば、最初に存在する材料が分離および/または断片化されるように、傾斜角度を減少させ、傾斜面を平坦に設定する規定がなされ得る。
【0061】
オプションとして、分別セクションおよび/または搬送路が運搬構造体を備える規定がなされる。運搬構造体は、例えば、ローラとして具体化される。典型的には、運搬構造体および/またはローラは、例えば、モータ駆動を伴わない、ドライブレスの形式で具体化される。電極は、運搬構造体の一部であることができ、および/または運搬構造体を形成することができる。運搬構造体は、材料の搬送を支援および/または促進するように構成される。
【0062】
本発明の一つの構成は、分別セクションおよび/または搬送路は、極めて小さい断片を抽出するためのふるい構造を有することを提供する。極めて小さい断片は、例えば、材料の断片および/または材料の部分のうち、直径および/または粒径が最小直径よりも小さいもの、例えば2mm以下のものである。このような極めて小さい断片は、例えば、ふるい構造体を通過して落下して迅速に更なる工程から抽出され、粗粒化された断片のみが残って、さらに分解される。この構成は、産業規模での材料の断片化を可能にする断片化システムを提供するという考慮に基づく。典型的には、運搬構造物、運搬デバイス、傾斜面および/またはふるい構造物を使用して、動的平衡を確立することができ、前述の動的平衡は、材料および/または材料の断片を複数の場所で断片化および/または分離され得るし、それによってスループットが増加するという効果を有するということが提供される。特に、極めて微細な材料および/またはそれ以上分断することができない極めて小さな断片は、自動的に抽出され、例えば媒体、例えば水を用いて除去され得るし、これが、プロセスをさらに妨害することもなく、および/または負担をかけることもない。
【0063】
また、断片化システムが乾燥装置を提供するための規定もなされ得るし、ここでは、断片は乾燥装置で乾燥される。断片の選別も同様に可能であり、例えば、各セクションからの抽出中に装置を用いて直接選別することができる。この場合、断片化された材料が再利用され得るし、例えばフレッシュなコンクリートの製造のための更新された材料サイクルに供給され得るといったことが提供される。
【0064】
本発明のさらなる主題は、典型的には上述の断片化システムを使用して、材料に対する電気力学的断片化についての方法によって構成され、材料は、入口から搬送路に沿って出口に向かって搬送され、搬送路は、分別セクションを有し、少なくとも一つの高電圧パルス源は、少なくとも一つの第1電極と、少なくとも一つの第2電極と、を有し、高電圧パルス源が放電チャンバ内で高電圧放電を発生し、放電チャンバが第1電極と第2電極との間に配置され、最小直径よりも小さい直径を有する材料および/または材料の断片が、分別セクションのうちの少なくとも一つの部分を通過するように導かれる。
【0065】
さらなる利点、効果および構成は、添付の図およびその説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1は、断片化システムの一つの例示的な実施形態を示す。
図2は、第1の例示的な実施形態としての搬送路の詳細を示す。
図3は、第2の例示的な実施形態としての搬送路を示す。
図4は、さらなる例示的な実施形態としての搬送路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、断片化システム1を模式的に示している。断片化システム1は、ハウジング2を備える。ハウジング2は、金属製のハウジングである。ハウジング2は、サイロの形態で構築されている。ハウジング2は、入口3と、複数の出口4と、を有する。入口3、ここではハウジング2内の穴として構成されている、を介して、材料5はハウジング2内に導入される。断片化された材料6は、出口4を介してハウジング2から除去される。各ケースにおいて、複数の出口4を介して、断片化された材料6の断片化の異なる程度が、取り出される。断片化システム1は、材料貯蔵庫7に接続されている。
【0068】
材料貯蔵庫7は、バンカーまたはサイロとして具体化されている。材料5は、断片化まで材料貯蔵庫7に貯蔵され得る。ここでの材料5は、粗い材料であり、ブロックや石の形をした要素を含む。ここでは、材料は、浄化されて断片化されることを目的としたコンクリートである。材料貯蔵庫7は、材料5を材料貯蔵庫からハウジング2内に搬入するために、ラインによって入口3に接続されている。
【0069】
ハウジング2内には、搬送路8が設けられている。搬送路8は、入口3から出口4に至る。搬送路8は、ここではレールタイプの形式で具体化されている。材料5は、搬送路8に沿って搬送方向9のほうに搬送される。搬送路8は、下方に傾斜した傾斜面の連続として具体化されている。典型的には、搬送路8は、下方に傾斜したジグザグ状の傾斜面として具体化される。搬送路8および/または搬送路8のセクションの勾配は、図示されていない方法で設定可能である。搬送路の傾斜角度は、好ましくは、水平に対して20度から80度の間で設定可能である。搬送路8に沿った材料の運搬速度は、搬送路8の傾斜角度の設定によって設定可能および/または可変である。
【0070】
搬送路8は、分別セクションを有する。各ケースにおいて、第1電極10aおよび第2電極10bが分別セクションのそれぞれに配置されている;この点においては、図2および図4も参照されたい。電極10aおよび10bはレールを形成している。この場合、電極間の距離は、それぞれの最小直径よりも小さい。最小直径は、異なる分別セクションのために異なるものであり、ここで、分別セクションの最小直径および/または電極間の距離は、搬送路8のコースにおいて減少する。材料5および/または材料の断片は、レールならびに/または電極10aおよび10b上に、部分的に支えられることができる。材料5および/または材料の断片は、電極上を、滑るおよび/または搬送されることができる。
【0071】
断片化システムは、複数の高電圧パルス源11を備え、各ケースにおいて、高電圧パルス源11の各々は、第1電極10aのうちの一つおよび第2電極10bのうちの一つを備える。高電圧パルス源11は、電極10aおよび10bによって放電チャンバ内に高電圧放電を発生させるように構成されている。搬送路8上に位置し、電極10a、bの間または当該放電チャンバ内に位置する材料5は、高電圧パルスおよび/または高電圧放電によって断片化される。高電圧放電は、材料5が分別セクションに位置している場合に、材料5ごとに行われる。材料5の断片化は、粉砕、特に物質固有の粉砕および/または浄化に相当する。高電圧パルス源11は、10キロボルトより大きい電圧での高電圧放電を発生させるように構成される。
【0072】
ここでの断片化システム1は、六つの高電圧パルス源11と、異なる位置に、搬送路8に沿って配置された、それぞれ六つの電極10aおよび10bと、を備える。高電圧パルス源11は、異なる動作パラメータ、典型的には、電圧、パルス長および/または電力、で動作する。高電圧パルス源11の電力および/または電圧は、配置のコースにおいて、または入口3から出口4への搬送方向9において、減少する。これは、典型的には、前述の材料を断片化および/または分離するために、入口3の近傍の材料5にはより高い電力が必要であり、出口4の近傍における既に部分的に粉砕された材料5および/または材料の断片には、より低い動作パラメータおよび電力で十分である、という事実のためである。
【0073】
それぞれのケースにおいて、ふるい手段12およびシェイキングベルト13が出口4(ここでは後者から離れた位置に象徴的に示されている)に配置されている。これらは、例えば、小さな断片が直接抽出され、より大きな断片がハウジング2内に戻されるか、またはハウジング2内に残って更なる断片化を受けるような方法で、材料の断片を選別するのに役立つ。
【0074】
断片化システム1は、運搬装置14を備える。運搬装置14は、媒体タンク15を備える。媒体タンク15内には、液体の媒体16、ここでは水、が配置されている。媒体16は、運搬装置14によって運搬方向に搬送される。この場合、媒体16は、例えば入口3の領域でハウジングに供給され、および/または搬送路8に供給され、出口4で収集される。
【0075】
収集された媒体16は、フィルタデバイスによって濾過され、濾過された媒体16が再び搬送されるように、媒体タンク15内にポンプで戻される。運搬装置14は、媒体16を搬送路8に沿って搬送する手段によって、搬送路8に沿った材料5の搬送を支援するのに役立つ。一例として、媒体16の運搬速度を設定することによって、搬送路8に沿った材料5の搬送速度を設定することができる。
【0076】
断片化された材料6は、収集容器17に収集されて収納される。典型的には、ふるいにかけられた断片化された材料6が、収集容器17に収集されて貯蔵される。断片化された材料6は、粉砕された材料5であり、好ましくは、サイズおよび/またはタイプが精製された材料5、および/または分離された材料5、である。
【0077】
図2は、搬送路8の一区間を象徴的に示しており、材料5が搬送方向9に搬送されている。搬送路8は、複数の分別セクション18を有する。搬送路8および/または分別セクション18は、例えばトップハットレールのような、レールタイプの形式で具体化されている。各ケースにおいて、第1電極10aおよび第2電極10bが分別セクション18に沿って配置されている。この例示的な実施形態では、第1電極10aおよび第2電極10bは、互いに平行に配置されている。第1電極10aおよび第2電極10bは、幅の観点から、搬送路8を区切る。電極10aおよび10bは、それぞれ長手方向の広がりを有し、長手方向の広がりは、典型的には、10cmよりも大きく、特には100cmよりも大きい。
【0078】
好ましくは、第1電極10aはカソードを形成し、第2電極10bはアノードを形成する。高電圧パルス源11によって、高電圧パルス19a、19b、および19cが、高電圧放電(矢印として象徴される)として生成されることができる。異なる分別セクション18の電極10aおよび10bは、各ケースにおいて、それぞれ、高電圧パルス源11の動作パラメータが異なる状態で動作する。この点において、高電圧パルス19aは、高電圧パルス19bよりも強いパルスであり、高電圧パルス19bは、高電圧パルス19cよりも強いパルスである。より強いパルスとは、典型的には、電圧が大きいこと、および/または電力が大きいこと、を意味する。第1の分別セクション18の開始前の材料5は第1の直径を有しているが、第1の分別セクションと第2の分別セクションとの間で部分的に断片化された材料5は、より小さな直径を有している。第1の高電圧パルス19aの結果として断片が発生し、最小直径よりも小さい直径を有する断片は、第2の高電圧パルス19bの領域を通過しないように、レール、ならびに/または、電極10aおよび10bを通して、落下する。第2の高電圧パルス19bの結果として生じる断片についても同様である。最小直径よりも小さい直径を有する断片化された材料6は、最後の高電圧パルスの後に存在する。
【0079】
図3は、搬送方向9における材料の搬送のための搬送路8のさらなる象徴的な例示的な実施形態を示している。搬送路8は、再びレールタイプの形式で具体化されている。高電圧パルス源11は、各ケースにおいて、再び第1電極10aおよび第2電極10bを有する。この例示的な実施形態では、電極10aおよび10bは、搬送方向9に対して垂直に配置されている。電極10aおよび10bは、それらの長手方向軸について回転可能なローラとして具体化されている。ローラ状の電極10aおよび10bは、材料の搬送を支援するように構成されている。電極10aおよび10bの間には、それぞれ、高電圧パルス源11によって高電圧パルス19を発生させることが可能であり、ここで、高電圧パルス19は、搬送方向9と同じ方向に向けられている。電極10aおよび10bの間では、各ケースにおいて、高電圧パルス19によって材料の粉砕が可能である。
【0080】
図4は、搬送方向9における材料の搬送のための搬送路8のさらなる象徴的な例示的な実施形態を示す。高電圧パルス源11は、各ケースにおいて、再び第1電極10aおよび第2電極10bを有する。ここでの電極10aおよび10bは、搬送方向9と同じ方向に配置されている。ただし、高電圧パルス源11の電極10aおよび10bは、搬送路8と平行に配置されるのではなく、搬送方向9に対して斜めに形成されている。第1電極10aおよび第2電極10bは、それぞれV字状の形式で配置されている。第1電極10aおよび第2電極10bとの間の距離、特に狭窄部の距離は、搬送方向9における搬送路8のコースに伴って減少する。このことに関して、電極10aおよび10bは、典型的には、過度に大きな材料の断片が保持されるように、それらの狭窄部において搬送保持を形成することができる。高電圧パルス19は、図2と同様の方法で、搬送方向9に対して垂直または角度をつけている。
【符号の説明】
【0081】
1 断片化システム
2 ハウジング
3 供給口
4 出口
5 材料
6 材料
7 材料貯蔵庫
8 搬送路
9 搬送方向
10a,b 電極
11 高電圧パルス源
12 ふるい分け手段
13 シェイキングベルト
14 運搬装置
15 媒体タンク
16 媒体
17 収集容器
18 分別セクション
19a-19c 高電圧パルス
図1
図2
図3
図4