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特許7321254S字状繊維を含む膨張可能な医療用バルーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】S字状繊維を含む膨張可能な医療用バルーン
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20230728BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 550
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021509966
(86)(22)【出願日】2018-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2018047946
(87)【国際公開番号】W WO2020040790
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100220065
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸輝
(72)【発明者】
【氏名】モッファラー,メイア
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0297871(US,A1)
【文献】特表2015-518776(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0193609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0318029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用機器であって、
平面図においてS字形状を持つ部分を有する少なくとも1本の繊維を含む膨張可能バルーンであって、前記膨張可能バルーンが完全に膨張させられたときに前記S字形状が保たれる膨張可能バルーン
を備え、
前記少なくとも1本の繊維と同じ方向に延在する隣接したS字状繊維が、前記少なくとも1本の繊維と重ならず、
前記膨張可能バルーンがノンコンプライアントである、医療用機器。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記膨張可能バルーンが、概して円筒形の部分、ならびに前記概して円筒形の部分に連結された第1および第2のテーパ部分を備える、医療用機器。
【請求項3】
請求項2に記載の医療用機器であって、
前記概して円筒形の部分のみが、S字状部分を有する前記少なくとも1本の繊維を含む、医療用機器。
【請求項4】
請求項2に記載の医療用機器であって、
前記第1または第2のテーパ部分のみが、S字状部分を有する前記少なくとも1本の繊維を含む、医療用機器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の医療用機器であって、
前記少なくとも1本の繊維が、周方向に延在するフープ繊維を含む、医療用機器。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の医療用機器であって、
前記少なくとも1本の繊維が、前記膨張可能バルーンの長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維を含む、医療用機器。
【請求項7】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記少なくとも1本の繊維が、周方向に延在する第1のフープ繊維を含み、かつ、長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維をさらに含み、前記長手方向繊維もまたS字状部分を有する、医療用機器。
【請求項8】
請求項1に記載の医療用機器であって、
前記少なくとも1本の繊維が、S字状部分に連結された概して直線状の部分を含む、医療用機器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の医療用機器であって、
前記膨張可能バルーンが、前記少なくとも1本の繊維が接着剤によって固定して取り付けられるベースバルーンを備える、医療用機器。
【請求項10】
医療用機器を形成する方法であって、
平面図においてS字状部分を有する少なくとも1本の繊維を膨張可能バルーンに固定するステップであって、前記膨張可能バルーンが完全に膨張させられたときに前記S字状部分がS字形状を保持する、ステップ
を含み、
前記少なくとも1本の繊維と同じ方向に延在する隣接したS字状繊維が前記少なくとも1本の繊維と重ならず、
前記膨張可能バルーンがノンコンプライアントである、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記固定するステップが、前記少なくとも1本の繊維をベースバルーンに接着によって取り付けるステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記固定するステップが、前記少なくとも1本の繊維の前記S字状部分を前記膨張可能バルーンの概して円筒形の部分に沿ってのみ固定するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記固定するステップが、前記少なくとも1本の繊維を貼り付けるステップの間に完了される、方法。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の医療用機器であって、
前記少なくとも1本の繊維が非弾性繊維である、医療用機器。
【請求項15】
請求項10から13のいずれか一項に記載の方法であって、
前記少なくとも1本の繊維が非弾性繊維である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
[0001]本明細書に述べられるすべての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個々に参照により援用される場合と同じ程度で、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]医療処置では、バルーンなどの、繊維をベースとする装置および拡張可能な装置が広く使用されている。バルーンの場合、バルーンは通常はカテーテルの端部において、バルーンが対象の領域に到達するまで挿入される。バルーンに圧力を加えることにより、バルーンが膨張する。使用の一変形形態では、バルーンが膨張すると、バルーンにより体内に空間が作り出される。
【0003】
[0003]バルーンは、バルーン大動脈弁形成術(BAV)の間、および経カテーテル大動脈弁植込み術(TAVI)の間を含め、心臓弁に使用される場合もある。バルーンを使用して、狭窄した大動脈弁を開くことができる。狭窄弁は硬い石灰沈着病変を有する場合があり、石灰沈着病変により、バルーンが引き裂かれ、または突き刺される傾向にある場合がある。さらに、安全性および制御性を高めるために、バルーン直径を正確に膨張させることが所望される場合がある。
【0004】
[0004]血管形成術または末梢血管構造の処置などの間に、バルーンを使用して、血管内腔の中心部から血管構造壁に向かってプラークを移動させることができる。この処置の間、先端にバルーンが付いたカテーテルが血管閉塞部に配置される。バルーンが膨張させられると血管の狭窄部が拡張され、その結果血流が改善する。
【0005】
[0005]2つの基本的なタイプのバルーンが利用されている。一方は、高圧のローコンプライアンスバルーンである。他方は、より低圧のハイコンプライアンスバルーンである。
[0006]ハイコンプライアンス医療用バルーンは、ウレタン、ラテックス、シリコーン、PVC、Pebax、および他のエラストマーから形成されることが多い。ハイコンプライアンスバルーンの圧力が高まると、バルーンの寸法が拡張する。圧力が下げられると、ハイコンプライアンス医療用バルーンはその元の形状に、またはほぼその元の形状に戻ることができる。ハイコンプライアンス医療用バルーンは、ゼロ膨張圧とバースト(破裂)との間で、容積を複数回容易に拡張することができる。
【0006】
[0007]多くの理由から、従来のハイコンプライアンス医療用バルーンが適切でない場合がある。ハイコンプライアンスまたは高弾性の医療用バルーンは、その壁の引張り強度が小さく、バルーンが拡張するとその壁が薄くなるので、通常は高い圧力に到達することができない。場合によっては、ハイコンプライアンス医療用バルーンでは処置を完了するのに必要な力が与えられない。ハイコンプライアンス医療用バルーンの定格圧力を超過すると、バルーンが破損する過度のリスクが生じ、これにより、患者の重篤な合併症が引き起こされる恐れがある。さらに、ハイコンプライアンス医療用バルーンは形状の制御性も不十分である。ハイコンプライアンス医療用バルーンが拡張するとき、バルーンは、臨床目標によってではなく患者の体内環境の特性によって主に定められる形状を取る場合がある。場合によっては、これは医師が望むものに反することがある。多くの医療処置は、特定のバルーン形状を確実に形成することを前提としている。さらに、ハイコンプライアンス医療用バルーンは突刺し抵抗および引裂き抵抗が不十分であることが多い。
【0007】
[0008]ローコンプライアンスの高圧医療用バルーンは、比較的高い圧力下でその形状を実質的に保持する。PET(ポリエチレンテレフタラート)は、高圧ローコンプライアンスバルーンに使用される最も一般的な材料である。PETは、高性能な血管形成術バルーンに一般に使用されている。PETは他のポリマーよりも強く、種々の形状に成形することができ、また非常に薄く作成することができ(たとえば5μmから50μm(0.0005cm(0.0002インチ)から0.005cm(0.002インチ)))、そのため、これらのバルーンに薄いプロファイルが与えられる。しかし、PETの壁から作成されたバルーンは脆弱であり、破れやすい。狭窄部など、体内の硬いまたは鋭い表面に押し付けられるとき、PETバルーンの突刺し抵抗は不十分である。PETは非常に剛直であり、したがって、PETから作成されたバルーンは畳まれるかまたは折り重なって小さい直径になることが困難な場合があり、また追従性(すなわち蛇行した血管に配置されたガイドワイヤの上で摺動および湾曲する能力)が不十分な場合がある。さらに、PETから作成されたバルーンは均一ポリマー(homogenous polymer)から作成された他の大半のバルーンよりは強いが、それでも、いくつかの医療処置を完了するのに必要な圧力を保持するのに十分な強さはない場合がある。さらに、バルーン直径が大きい(たとえば20mmかまたはそれを上回る)場合、PETバルーンは、BAVやTAVIなどの処置においては、依然としてコンプライアンスが過大である。ナイロンバルーンが、ローコンプライアンス高圧バルーンの代替的な材料になる。しかし、これらのナイロンバルーンは通常はPETバルーンよりも弱く、したがってより弱い圧力にしか耐えることができない。ナイロンは容易に水を吸収し、このことは、いくつかの状況ではナイロンの材料特性に悪影響を及ぼす場合がある。ナイロンはPETに勝る改善された突刺し抵抗を有し、PETよりも柔軟である。
【0008】
[0009]繊維強化複合材料バルーンが、別の代替的なローコンプライアンス高圧医療用バルーンである。有利には、こうした繊維強化複合材料バルーンは高圧に耐えることができ、精密な形状制御を可能にし、引裂きおよび突刺しに強い抵抗性がある。しかし、繊維強化バルーンの製造プロセスは、所望の支持を得るために複数の様々な繊維層を貼り付ける必要があるので、複雑でありかつ費用がかかる場合がある。これらの層の少なくとも1つは、ベースバルーンの周りに巻かれた、布のデコンボリューション(de-convolution)パターン層から構成されることが多い。布のパターン層をこのように形成して巻くことは複雑である場合があり、労働集約的かつ設備集約的である場合があり、また時間がかかる場合がある。さらに、破裂時の繊維強化バルーンの引裂きパターン(その「破断(rip)」特性または「破断ストップ(rip-stop)」特性と呼ばれることがある)により、繊維の配向に応じて、シャフトを通してバルーンを取り出すことの困難さが増す場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[00010]したがって、高圧に耐え、精密な形状制御を可能にし、高度に制御された引裂き特性を有するその能力を依然として維持しながら、薄いプロファイルおよび向上した追従性を備えた、迅速かつ容易に製造することができる、バルーンなどの繊維強化装置を作り出す必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[00011]したがって、本発明の一目的は、高圧に耐え、精密な形状制御を可能にし、高度に制御された引裂き特性を有するその能力を依然として維持しながら、薄いプロファイルおよび向上した追従性を備えた、迅速かつ容易に製造することができる、バルーンなどの繊維強化装置を作り出すことである。
【0011】
[00012]一般に、一実施形態では、この目的は、膨張可能バルーンを備える医療用機器によって達成され、この膨張可能バルーンは、平面図においてS字形状を持つ部分を有する少なくとも1本の繊維を含む、ノンコンプライアントのものであってよく、このS字形状は、膨張可能バルーンが完全に膨張させられたときに保たれる。いくつかの実施形態では、膨張可能バルーンは、概して円筒形の部分、ならびに概して円筒形の部分に連結された第1および第2のテーパ部分を備える。いくつかの実施形態では、概して円筒形の部分のみが、S字状部分を有する少なくとも1本の繊維を含み、他の実施形態では、第1または第2のテーパ部分のみが、S字状部分を有する少なくとも1本の繊維を含む。
【0012】
[00013]少なくとも1本の繊維は、周方向に延在するフープ繊維を含み得る。少なくとも1本の繊維は、膨張可能バルーンの長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維を含み得る。少なくとも1本の繊維は、周方向に延在する第1のフープ繊維を含み、かつ、長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維をさらに含んでもよく、長手方向繊維もまた、S字状部分を有する。少なくとも1本の繊維は、S字状部分に連結された概して直線状の部分を含み得る。少なくとも1本の繊維は、接着剤によりベースバルーンに固定して取り付けられ得る。
【0013】
[00014]本開示のさらなる態様によれば、医療用機器が、概して円筒形の部分と、概して円筒形の部分に連結された第1および第2のテーパ部分と、S字形状を有する第1の部分を含む少なくとも1本の繊維とを含む膨張可能バルーンを備え、第1の部分は、膨張可能バルーンの概して円筒形の部分に沿ってのみ延在する。少なくとも1本の繊維は、膨張可能バルーンの第1または第2のテーパ部分の一方に沿って延在する第2の直線状部分を含み得る。少なくとも1本の繊維は、周方向に延在するフープ繊維を含み得る。少なくとも1本の繊維は、膨張可能バルーンの長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維を含み得る。少なくとも1本の繊維は、周方向に延在する第1のフープ繊維を含み、かつ、長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維をさらに含んでもよく、長手方向繊維もまた、S字状部分を有する。
【0014】
[00015]本開示は、医療用機器を形成する方法にも関し、この方法は、平面図においてS字状部分を有する少なくとも1本の繊維を膨張可能バルーンに固定するステップを含み、S字状部分は、膨張可能バルーンが完全に膨張させられたときにS字形状を保持する。固定するステップは、繊維をベースバルーンに接着によって取り付けるステップを含み得る。固定するステップは、少なくとも1本の繊維のS字状部分を膨張可能バルーンの概して円筒形の部分に沿ってのみ固定するステップを含み得る。固定するステップは、少なくとも1本の繊維を貼り付けるステップの間に完了されてもよい。
【0015】
[00016]本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲において具体的に述べられる。本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、本発明の特徴および利点がより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[00017]完全に膨張した状態における膨張可能バルーンを示す図である。
図2】[00018]折り畳まれた状態における膨張可能バルーンを示す図である。
図3】[00019]図1のバルーンの部分破断図である。
図4】[00020]図1のバルーンのバレル壁の部分的な長手方向断面図である。
図5】[00021]図5は、ノンコンプライアント医療用バルーン上でのヘビ状構成を有するフープ繊維の配置を示す図である。 [00022]図5Aは、図5のバルーンの一部分の拡大図である。
図6】[00023]医療用バルーン上でのヘビ状構成を有する長手方向繊維の配置を示す図である。
図7】[00024]医療用バルーン上でのヘビ状構成を有する長手方向繊維およびフープ繊維の両方の配置を示す図である。
図8】[00025]図8は、医療用バルーンの作業長さ上のみでのヘビ状構成を有するフープ繊維の配置を示す図である。 [00026]図8Aは、図8のバルーンの一部分の拡大図である。
図9】[00027]医療用バルーンのバレル部分上では部分的に直線状の構成を有しまた医療用バルーンのテーパ部分上ではヘビ状構成を有する長手方向繊維の配置を示す図である。
図10】[00028]ヘビ状構成を有するように繊維をバルーンに貼り付けるための装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[00029]次に、同様の要素を示すために同様の参照番号が全体にわたって使用されている図面を参照しながら、セミコンプライアント医療用バルーンの種々の図および実施形態を例示しかつ説明し、また、他の可能な実施形態を説明する。図は、必ずしも一定の縮尺で描かれているものではなく、場合によっては、図面は、単に例示する目的のために、所々で強調および/または簡易化されている。当業者は、以下の可能な実施形態の例に基づいて多くの可能な適用および変形形態を理解するであろう。
【0018】
[00030]図1は、一実施形態による繊維強化医療用拡張バルーンの側面図である。図示のように、医療用バルーン100が、外径を表わす寸法D1によって示されるように完全に膨張した状態で示されており、このことは、ノンコンプライアントバルーンの場合、バルーンの内部区画への圧力下での流体のさらなる導入がこの寸法に対していかなる有意な変化ももたらさないことを意味する。バルーン100は、テーパ付けされたコーン(又は、円錐形)部分104間に配置された概して円筒形の部分またはバレル部分102と、バルーンの長手方向軸108に沿ってコーン部分から延在する円筒形のネック部分106とを含む。コーン部分104の外側表面110は、バレル部分102の壁の長手方向範囲に対して角度112(「円錐角」)を形成する。一般に、円錐角が大きいほど、バルーンの全長はより短くなる。いくつかの実施形態では、バルーン100は、12度から22度の範囲内の円錐角112を有する場合があり、他の実施形態では、18度から22度の範囲内の円錐角112を有する場合がある。いくつかの実施形態では、円錐角112は、約20度である。
【0019】
[00031]図2を参照すると、バルーン100が、収縮状態で示されている。バルーン100の収縮状態では、バルーン100のバレル部分102およびコーン部分104の壁は、プリーツまたはひだ120を形成し、ひだの間にはしわ122が含まれる。図示のように、ひだ120は、一方のネック部分106から反対側のネック部分106まで長手方向に延在する。コーンセクション104およびバレルセクション106のプリーツ構造は、バルーン100の直径を縮小させて、その収縮状態にあるバルーンの挿入を容易にする。所望の部位に位置決めされると、バルーン100は、カテーテルを通じて、生理食塩水などの加圧流体で膨張させられ得る。バルーン100が膨張させられると、バルーンは図1に示されるような公称直径D1を有する完全に膨張したサイズに達するので、ひだ120およびしわ122は、実質的に消失する。
【0020】
[00032]上記のように、バルーン100はノンコンプライアントであってよく、このことは、バルーンを膨張させるために使用される流体の圧力のさらなる増大(すなわち、公称直径D1に達するのに必要とされる圧力を超えること)がさらなる有意な拡張をもたらさないことを意味する。しかし、本開示のいくつかの態様は、セミコンプライアントバルーンまたはコンプライアントバルーンに適用可能であり得、そのため、本開示は、ノンコンプライアントバルーンのみに限定されると見なされるべきではない。バルーン100は任意の寸法に構成され得るが、約4フレンチ単位(すなわち、約0.053インチまたは1.35ミリメートル)から約12フレンチ単位(すなわち、約0.158インチまたは4.0ミリメートル)までの範囲内の収縮時直径を有するバルーンが、心臓病学、放射線医学、整形外科、および泌尿器科学の分野で有用である。一実施形態では、バルーン100は、4から12フレンチ単位の範囲内の収縮時直径と、約0.0254mm(0.0010インチ)から約0.1524mm(0.0060インチ)までの折り畳み時(たとえば、バルーンが収縮させられたときの)壁厚とを有する。
【0021】
[00033]図3は、バルーンの構造をさらに示す、バルーン100の部分断面図である。一実施形態では、バルーン100は、ベース層またはベースバルーン130を含む。ベースバルーン130は、約25から約54ショアDまでのショアD硬度を有するナイロンなどの適切なポリマーまたはPEBAX(登録商標)ブランドのPEBAなどのポリエーテルブロックアミド(PEBA)から形成される。一実施形態では、ベースバルーン130は、約0.03048mm(0.0012インチ)から約0.04064mm(0.0016インチ)までの二重壁厚を有する。長手方向に延在する複数の非弾性繊維134を含む第1の繊維層132が、ベースバルーン130上に位置決めされる。
【0022】
[00034]一変形形態では、繊維134は、実質的に同じ長さであり、かつ、バルーン100の第1の端部136から第2の端部138まで延在する。他の実施形態では、繊維134は、異なる長さを有し得る。たとえば、長手方向繊維134の1つの群が、バルーン100の全長にわたって延在する一方で、繊維の別の群が、バレル102の長さにわたってのみ延在するか、またはバレルの長さにわたってまた部分的にコーンにわたって延在し得る。長手方向に配向される強化用繊維134は、互いに対して平行にまたは実質的に平行に配向され、かつ、約10度から15度の範囲内でバルーンの長手方向軸108に対して垂直に配向され得る。一実施形態では、繊維134は、ポリウレタン、可溶性の溶着可能な材料などの適切な接着剤によりベースバルーン130に付着され、かつ/またはポリマーマトリクスに埋め込まれてよく、また、以下で論じられるように、そのような付着の結果として所定の位置に留まることになる。
【0023】
[00035]使用される非弾性繊維は、種々の材料から形成され得る。たとえば、繊維は、Kevlar、Vectran、Spectra、Dacron、Dyneema、Turlon(PBT)、Zylon(PBO)、ポリイミド(PIM)、および超高分子量ポリエチレン、またはそれらの任意の組合せを含む得る。一変形形態では、非弾性強化用繊維は、多繊維Technora(登録商標)ブランドのパラフェニレン/3,4-オキシジフェニレン/テレフタルアミドコポリマーであり得る。
【0024】
[00036]一実施形態では、第2の繊維層140が、第1の繊維層132上に位置決めされ、かつ、1本または複数本のフープ繊維または周方向強化用繊維142を含む。一変形形態では、1本の連続的なフープ繊維142が、バルーン100の第1の端部136から第2の端部128まで第1の繊維層132上に巻き付けられる。周方向強化用繊維142は、互いに対して平行または実質的に平行であり、かつ、長手方向に配向された強化用繊維134に対して約15度内で垂直であり得る。他の実施形態では、第2の繊維層は、織繊維材料、不織繊維材料、編繊維材料、または組繊維材料を含み得る。繊維142は、ポリウレタンなどの適切な接着材により所定の位置に固着され、かつ/またはポリマーマトリクスに埋め込まれ得る。
【0025】
[00037]図示の実施形態では、バルーン100は、外部層144を含む。外部層144は、任意選択のものであり、かつ、バルーン100の穿刺抵抗および表面平滑性を高めるために、追加の材料を提供し得る。外部層144は、ベースバルーン130と同じ材料から、または異なる材料から形成され得る。外部層144は、ナイロンなどの適切なポリマー、またはPEBAX(登録商標)ブランドのPEBAなどのポリエーテルブロックアミドから形成され得る。
【0026】
[00038]図4は、バルーン100の構造をさらに示す、バルーン100の壁118の部分的な長手方向断面図である。図示のように、長手方向繊維134およびフープ繊維142のうちの1本または複数本が、バルーン100に対して所定の位置に固定され、かつ、少なくとも1つのS字状部分を有する。図示されるように、このS字状部分は、連続的に反復して、蛇行状のまたは正弦曲線の繊維(繊維が同じ仮想対称軸を横断する一方でその軸のどちらかの側で反対方向に曲がっていることを意味する)を作り出すことができる。この間隔を空けられたS字状繊維のパターンは、繊維通路の数を増やすことなしに、使用される反復S字形状の点から見て各繊維通路によって覆われるバルーン100の表面積の大きさを増大させ、したがって、所望の薄いプロファイルおよび改善された追従性を維持する(より低密度のフープ繊維は血管構造を通って追従する目的のための長手方向軸の周りでの柔軟性を改善するので、フープ繊維がS字状または蛇行状である場合には、特にそうである)。
【0027】
[00039]おそらく図5から最も良く理解されるように、1つまたは複数のS字状部分を持つ蛇行状のフープ繊維204を含むバルーン200の一例が示される。これらのフープ繊維204は、長手方向繊維202に重なるかまたは下に位置してよく、長手方向繊維202は、ベースバルーン206の上に設けられ、かつ、所定の位置に固定され得る。バルーン200は、ノンコンプライアントであってよく、また、完全に膨張した状態で示されている。したがって、図5Aから理解することができるように、フープ繊維204は、バルーン200の完全膨張時にS字形状を保持し、そのような形状は、結果的に消失することがない。言い換えれば、繊維202は、実質的にベースバルーン206(および/または下にある任意の長手方向繊維202)に付着されたままであり、したがって、S字形状を含まないフープ繊維よりも大きな表面積にわたってバルーン200の破裂強度に貢献する。
【0028】
[00040]バルーン200に貼り付けられた任意の繊維のS字状部分は、曲線が存在する対応する方向において任意所望の振幅を有し得る(長手方向繊維134の場合は周方向であり、フープ繊維142の場合は長手方向であるが、どちらの場合でも、バルーン表面を上方から見下ろしたときの平面図において曲がっている)。所望の振幅にかかわらず、繊維134または142は、完全に膨張したときでさえ、S字状部分の点から見て少なくとも3回、同じ仮想の円周軸または長手方向軸を横断する(図5Aにおける仮想軸I、ならびに交差点A、BおよびCに留意されたい)。図示の実施形態では、同じ方向に(たとえば、周方向に)延在する隣接した繊維は互いに重ならず、それにより設けられた第1の層の全厚が薄くなることが、理解され得る。
【0029】
[00041]S字状部分は、長手方向繊維に提供されてもよく、したがって、長手方向繊維は、正弦曲線または蛇行状の構成を有すると見なされる。たとえば、図6に示されるように、バルーン300が、概して真っ直ぐな線に沿って周方向に延在するかまたは直線状であるフープ繊維302と、反復するS字状部分を含む長手方向繊維304と、を含む。この場合もやはり、図6におけるバルーン300はノンコンプライアントであり、したがって、長手方向繊維304は、バルーン300の完全膨張にかかわらず、所定の位置に固定されて、それらのS字状構成を完全に維持する。
【0030】
[00042]S字状部分は、長手方向繊維およびフープ繊維の両方に提供されてもよい。したがって、図7に示されるように、バルーン400が、S字状の長手方向繊維402、およびS字状のフープ繊維404を備え得る。上記の実施形態におけるように、繊維402、404は、ベースバルーン406上に敷設されてよく、ベースバルーン406は、図示のように、バルーン400が完全に膨張させられたときに繊維がそれらの形状を維持するように、ノンコンプライアントであってよい。
【0031】
[00043]S字状繊維は、膨張可能バルーンの選択された部分に沿ってのみ設けられてもよい。たとえば、図8に示されるように、S字状フープ繊維504が、長手方向繊維502(真っ直ぐに示されているが、上記のようにS字状であってもよい)を含むバルーン500のバレル部分102に沿って、しかし円錐形部分104またはネック部分106には沿わずに、設けられ得る。図8~8aに示されるように、フープ繊維504などのS字状繊維は、バルーン500の完全膨張時にそれらの形状を保持する。円錐形部分またはテーパ部分104(延伸ブロー成形によるベースバルーン506の形成により、肉厚になる傾向がある)上に積み重ねられる繊維を少なくすることにより、追従性が有利に改善される。
【0032】
[00044]同様に、個々の繊維は、不定の形状を有し得る。たとえば、図9に示されるように、バルーン600の長手方向繊維602は、円錐形部分104およびネック部分106ではS字状であるが、バレル部分102では直線状である。直線状部分とS字状部分との間の境界は、バルーンの特定の部分に限られる必要はない(たとえば、長手方向繊維602は、バレル102またはコーン部分104の一部に沿って直線でありかつこれらの部分の一部に沿ってS字状であってよい)。S字状繊維はまた、バルーンの任意の部分に沿って同じ方向に延在する直線状繊維と重なってよい。
【0033】
[00045]S字状部分(反復するかまたはそうではないもの)を含む上述の繊維のいずれも、自動アプリケータ700を使用してベースバルーン上に貼り付けられかつ固定され得る。図10に示されるように、アプリケータ700は、回転可能にマウントされたスプール702からバルーンの表面全体にわたって繊維を送達するように構成することができ、バルーンは、クランプまたは保持器704によって両方の端部から定位置に保持され得る。貼付け前、または貼付け中、繊維は、接着剤、溶剤、またはその両方を含浸またはコーティングされてもよい。アプリケータ700は回転および並進して、ベースバルーンと接触するように繊維を位置決めすることができる。アプリケータ700は表面に対して垂直に圧力を印加して、それがあてがわれている表面に繊維を取り付け、かつ/または繊維トウのモノフィラメントを広げる助けとなることができる。いくつかの実施形態では、繊維をベースバルーンに付着させる助けとするために、接着剤、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの熱溶着可能な材料が塗布されてもよい。接着剤は、繊維がアプリケータ700を出て行く点に隣り合って、リザーバ706からノズル708を通って供給され得る。ホットメルト接着剤の場合、流動性が良好に保たれることを確実とするために、リザーバ706とノズル708の両方を加熱することができる。
【0034】
[00046]さらに、いくつかの実施形態では、繊維は貼付け中に、溶媒和された接着剤、またはTPUなどの熱溶着可能な材料に浸されてもよい。いくつかの実施形態では、材料は噴霧することによって塗布されてもよい。溶媒和された熱溶着可能材料と熱溶着可能材料の両方が使用される場合、有利には、そのままの熱溶着可能材料が溶媒和された熱溶着可能材料と交わって、接着剤特性を促進する助けとなることができる。接着剤、または熱溶着可能材料は、繊維の貼付け中に塗布されてもよく、巻付けが終了した後に塗布されてもよい。
【0035】
[00047]いずれの場合にも、反復するS字状部分を有する、本明細書において説明された繊維134または142は、最小限の機械設備を用いて敷設することができる。プロセスは自動化され、また容易に更新することができる。繊維貼付けプロセスは、特に長手方向軸に対して平行な撚り糸の貼付けでは、迅速に実施することができる。さらに、アプリケータ700の経路はソフトウェアを実行するコンピュータによって制御することができるので、自動化されたプロセスにより、膨張可能バルーンの様々なサイズおよび形状の間での簡単な変更が可能になる。ベースバルーンが装着された後、人間が介在する必要なしに、すべての繊維の貼付けを自動で行うことができる。
【0036】
[00048]本開示は、以下の項目に関連すると考えられ得る。
「項目1」
医療用機器であって、
平面図においてS字形状を持つ部分を有する少なくとも1本の繊維を含む膨張可能バルーンであって、上記少なくとも1本の繊維が、上記膨張可能バルーンが膨張させられたとき、特に完全に膨張させられたときにS字形状が保たれかつ/または存在するように構成される、膨張可能バルーン
を備える、医療用機器。
【0037】
したがって、本発明は、
バルーンの膨張状態時に平面図においてS字形状を持つ部分を有する少なくとも1本の繊維を含む膨張可能バルーン
を備える、医療用機器に関する。
「項目2」
項目1に記載の医療用機器であって、
上記膨張可能バルーンが、概して円筒形の部分、ならびに上記概して円筒形の部分に連結された第1および第2のテーパ部分を備える、医療用機器。
「項目3」
項目2に記載の医療用機器であって、
上記概して円筒形の部分のみが、上記S字状部分を有する上記少なくとも1本の繊維、特に上記S字状部分を含む、医療用機器。
「項目4」
項目2に記載の医療用機器であって、
上記第1または第2のテーパ部分のみが、上記S字状部分を有する上記少なくとも1本の繊維、特に上記S字状部分を含む、医療用機器。
「項目5」
項目1から4のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、周方向に延在するフープ繊維を含む、医療用機器。
【0038】
上記S字状部分は、上記周方向に延在し得る。
「項目6」
項目1から4または5のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、上記膨張可能バルーンの長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維を含む、医療用機器。
【0039】
上記S字状部分は、上記膨張可能バルーンの上記長手方向軸に沿って上記長手方向軸方向に延在し得る。
「項目7」
項目1から6のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、周方向に延在する第1のフープ繊維を含み、かつ、長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維をさらに含み、上記長手方向繊維もまたS字状部分を有する、医療用機器。
「項目8」
項目1から7のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、上記S字状部分に連結された概して直線状の部分を含む、医療用機器。
「項目9」
項目1から8のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記膨張可能バルーンがノンコンプライアントである、医療用機器。
「項目10」
項目1から9のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記膨張可能バルーンが、上記少なくとも1本の繊維が接着剤によって固定して取り付けられるベースバルーンを備える、医療用機器。
「項目11」
医療用機器であって、
概して円筒形の部分と、上記概して円筒形の部分に連結された第1および第2のテーパ部分と、S字形状を有する第1の部分を含む少なくとも1本の繊維と、を含む膨張可能バルーンを備え、上記第1の部分が、上記膨張可能バルーンの上記概して円筒形の部分に沿ってのみ延在する、医療用機器。
「項目12」
項目11に記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、上記膨張可能バルーンの上記第1または第2のテーパ部分の一方に沿って延在する第2の直線状部分を含む、医療用機器。
「項目13」
項目11または12に記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、周方向に延在するフープ繊維を含む、医療用機器。
「項目14」
項目11から13のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、上記膨張可能バルーンの長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維を含む、医療用機器。
「項目15」
項目11から14のいずれかに記載の医療用機器であって、
上記少なくとも1本の繊維が、周方向に延在する第1のフープ繊維を含み、かつ、長手方向軸に対して概して平行に延在する長手方向繊維をさらに含み、上記長手方向繊維もまたS字状部分を有する、医療用機器。
【0040】
項目11の医療用機器は、項目8から10によっても特徴付けられる。
「項目16」
医療用機器を形成する方法であって、
平面図においてS字状部分を有する少なくとも1本の繊維を膨張可能バルーンに固定するステップであって、上記膨張可能バルーンが完全に膨張させられたときに上記S字状部分がS字形状を保持する、ステップ
を含む、方法。
「項目17」
項目16に記載の方法であって、
上記固定するステップが、上記繊維をベースバルーンに接着によって取り付けるステップを含む、方法。
「項目18」
項目16または17に記載の方法であって、
上記固定するステップが、上記少なくとも1本の繊維の上記S字状部分を上記膨張可能バルーンの概して円筒形の部分に沿ってのみ固定するステップを含む、方法。
「項目19」
項目16、17または18に記載の方法であって、
上記固定するステップが、上記少なくとも1本の繊維を貼り付けるステップの間に完了される、方法。
「項目20」
項目16から19のいずれかに記載の方法であって、
上記医療用機器が、項目1から15のいずれかに記載の医療用機器である、方法。
【0041】
[00049]本明細書において使用される、文法的な単数形「a」、「an」、および「the」で記載される以下の用語のそれぞれは、「少なくとも1つの」、あるいは「1つまたは複数の」を意味する。本明細書で「1つまたは複数の」という語句を使用することは、「a」、「an」、または「the」のこの所期の意味を変更するものではない。したがって、そうでないことが本明細書に具体的に定義もしくは記載されていなければ、または文脈から明らかにそうでないことが示されていなければ、本明細書において使用される「a」、「an」、および「the」という用語は、複数の提示された主体または物体も指しかつ包含することができる。たとえば、本明細書において使用される「ユニット」、「装置」、「組立体」、「機構」、「構成要素」、「要素」、および「ステップまたは手順」という語句は、それぞれ複数のユニット、複数の装置、複数の組立体、複数の機構、複数の構成要素、複数の要素、および複数のステップまたは手順も指しかつ包含することができる。
【0042】
[00050]本明細書において使用される以下の用語「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「備える」および「備えている」、ならびにこれらの言語学的/文法的な変化形、派生形、または/および活用形のそれぞれは、「~を含むが限定されない」を意味しており、また提示される構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを指定するものと考えられるべきであり、1つまたは複数の追加の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはこれらの群を追加することを排除するものではない。これらの用語のそれぞれの意味は、「本質的に~から構成されている」という語句に相当すると考えられる。本明細書において使用される「~構成されている」および「~構成される」という語句のそれぞれは、「~を含み、それに限定される」を意味する。「本質的に~から構成されている」という語句は、開示された本発明の例示的な一実施形態の全体もしくは一部であり、または/かつ開示された本発明の例示的な一実施形態を実施するために使用される、提示される主体または項目(システム、システムユニット、システムサブユニット装置、組立体、サブ組立体、機構、構造体、構成要素の要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、方法もしくはプロセス、ステップもしくは手順、サブステップもしくはサブ手順)が、(システムユニット、システムサブユニット装置、組立体、サブ組立体、機構、構造体、構成要素もしくは要素、または周辺機器ユーティリティ、アクセサリ、または材料、ステップもしくは手順、サブステップもしくはサブ手順である)少なくとも1つの追加の特徴または特性を含んでもよいということを意味するが、これは、こうしたそれぞれの追加の特徴または特性により、特許請求された項目の新規かつ発明的な基本的特性または特別な技術的特徴が著しく変更されない場合に限られる。
【0043】
[00051]本明細書において使用される「方法」という用語は、開示された本発明の関連分野の実務者に知られているか、または開示された本発明の関連技術の実務者により、知られているステップ、手順、方式、手段または/および技法から容易に開発されるステップ、手順、方式、手段または/および技法を含むが限定はされない所与のタスクを行うためのステップ、手順、方式、手段または/および技法を指す。
【0044】
[00052]本明細書において使用される、約、実質的に、ほぼ、という用語などの近似の用語は、提示された数値の±10%を指す。平行または垂直という用語の使用は、そうでないことが指定されていない限り、この条件をほぼ満たすことを意味することを意図している。
【0045】
[00053]説明を明瞭するために複数の個別の実施形態の文脈またはフォーマットにおいて例示的に説明および提示された本発明のいくつかの態様、特性、および特徴は、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける任意の適した組合せまたは部分的組合せにおいても例示的に説明および提示され得ることを完全に理解されたい。逆に、単一の実施形態の文脈またはフォーマットにおける組合せまたは部分的組合せにおいて例示的に説明および提示された本発明の種々の態様、特性、および特徴も、複数の個別の実施形態の文脈またはフォーマットにおいて例示的に説明および提示され得る。
【0046】
[00054]特定の例示的な実施形態およびその例によって本開示の本発明を例示的に説明および提示してきたが、その多くの代替形態、変更形態、または/および変形形態が当業者には明らかであろうことは明白である。したがって、こうしたあらゆる代替形態、変更形態、または/および変形形態は、添付の特許請求の範囲に記載の広い範囲の趣旨に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲に記載の広い範囲によって包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図8A
図9
図10