(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】生検路止血物品
(51)【国際特許分類】
A61L 31/04 20060101AFI20230728BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61L31/04 120
A61L31/14 400
A61L31/14 500
(21)【出願番号】P 2021547357
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 US2019018292
(87)【国際公開番号】W WO2020167319
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】ドゥー,ヒープ
(72)【発明者】
【氏名】アディソン,ジョーダン
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06356782(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0289861(US,A1)
【文献】米国特許第06056970(US,A)
【文献】特表2002-513645(JP,A)
【文献】特表2009-508653(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102056564(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0143243(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0144661(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0179589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微孔質構造を有する生体吸収体を含む生検路止血物品であって、
該生体吸収体が、生体吸収性止血粉末(4~7重量/体積%)、加水分解デンプン(2~4重量/体積%)、ヒアルロン酸(0.3~1.3重量/体積%)、カルボキシメチルセルロース(0.3~1.3重量/体積%)、及び水を含む溶液である混合物によって形成され、
該微孔質の気泡の孔径が、20ナノメートルから5ミクロンの範囲内であり、
該微孔質の気泡が
、フリーズドライ法により、水を除去することによって形成される、
上記生検路止血物品。
【請求項2】
ヒアルロン酸対カルボキシメチルセルロースの比が1:1から4:1の範囲内である、請求項1に記載の生検路止血物品。
【請求項3】
生体吸収性止血粉末対前記加水分解デンプンの比が1:1から3:1の範囲内である、請求項1又は2に記載の生検路止血物品。
【請求項4】
生体吸収体の孔径が、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を上昇させることによって大きくなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の生検路止血物品。
【請求項5】
生体吸収体の孔径が、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を低下させることによって小さくなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の生検路止血物品。
【請求項6】
生体吸収体が、血液と接触すると直ちに血液を脱水し、血液をゲル化する、請求項1~5のいずれか1項に記載の生検路止血物品。
【請求項7】
生体吸収体が、時間の経過とともに完全に吸収される、請求項1~6のいずれか1項に記載の生検路止血物品。
【請求項8】
生体吸収性止血粉末が、加水分解デンプンとは異なるデンプンの材料の植物性デンプン粉末である、請求項1~7のいずれか1項に記載の生検路止血物品。
【請求項9】
生体吸収体に結合されたマーカー要素を含み、該マーカー要素が、少なくとも1種の撮像法の下で画像形成可能な材料から形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の生検路止血物品。
【請求項10】
マーカー要素が生体吸収体に付着されている、請求項9に記載の生検路止血物品。
【請求項11】
マーカー要素が生体吸収体内に含有される、請求項9又は10に記載の生検路止血物品。
【請求項12】
生体吸収体が縦軸、第一の本体区分、及び第二の本体区分を有し、第一の本体区分が縦軸に沿って第二の本体区分から間隔を空けられて第一の本体区分と第二の本体区分との間に空隙を形成し、マーカー要素が第一の本体区分と前記第二の本体区分との間の空隙に置かれ、
空隙を被包し、且つ第一の本体区分及び第二の本体区分のそれぞれに連結する生体吸収性スリーブをさらに含む、
請求項9に記載の生検路止血物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]なし。
[0002]本発明は、生検手順において使用するための生検物品に関するものであり、より詳細には、止血特性を有する生検路物品に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]定位生検手順は、生検プローブ、例えば、針を患者に刺入して、生検部位へ路を形成することによって実践され、生検プローブは、1つまたは複数の生検試料を収集し、組織除去の結果として空洞を形成する。かかる生検手順は典型的に、生検がすっかり完了した後で、生検空洞を含み得る路で著しい出血を起こす結果になる。また、ほとんどの生検の後で、組織マーカーが、生検部位に配備されて、生検部位の位置を標識する。組織マーカーは、例えば、超音波、MRIおよびX線などの1種または複数の撮像法の下で可視化されるように設計される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0004]当該技術分野において必要とされるものは、路止血栓として働き得る、および場合によって、生検部位を標識し、生検部位での出血を有効に制御する、その両方のために、組織マーカーを運搬し得る、生検路止血物品である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]本発明は、路止血栓として働き得る、および場合によって、生検部位を標識し、生検部位での出血を有効に制御する、その両方のために、組織マーカーを運搬し得る、生検路止血物品提供する。
【0005】
[0006]一様式における本発明は、生検路止血物品を対象とする。生検路止血物品は、微孔質構造を有する生体吸収体を含む。生体吸収体は、生体吸収性止血粉末、加水分解デンプン、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースを含む、混合物によって形成される。場合によって、マーカー要素が、生体吸収体に結合されていてよく、マーカー要素は、少なくとの1種の撮像法の下で画像形成可能な材料から形成される。
【0006】
[0007]本発明の1つの有利な点は、生体吸収体が、親水性材料および微孔質構造の効果によって、血液と接触すると直ちに血液を脱水し、ゲル化することである。
[0008]この発明の上述およびその他の特色および有利な点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せてなされる本発明の実施形態の以下の説明を参照することによって、より明白になり、本発明は、よりよく理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0009]微孔質構造の生体吸収体を有する、生検路止血物品の側面図である。
【
図2】[0010]
図1の生検路止血物品を運搬および送達するための導入デバイスの側面図である。
【
図3】[0011]
図2のライン3-3に沿って切り取った
図2の導入デバイスの遠位部の断面図である。
【
図4】[0012]
図4Aは、生体吸収体に付着されている組織マーカーを有する、生検路止血物品の側面図である。[0013]
図4Bは、生体吸収体中に含有された組織マーカーを有する、生検路止血物品の側面図である。
【
図5】[0014]マーカー要素を運搬する空隙を規定する、第二の本体区分から分離された第一の本体区分を有する、生体吸収体を含み、空隙が、生体吸収性スリーブによって被包される、生検路止血物品の別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0015]一致する符号は、いくつかの図面全体を通じて一致する部分を示す。本明細書に提示される例証は、本発明の少なくとも1つの実施形態を説明し、かかる例証は、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきではない。
【0009】
[0016]さて、図面に関して、より詳細には
図1に関して、本発明に従って生検路止血物品10が示される。
[0017]また、
図2に関して、生検路止血物品10は、導入デバイス12によって運搬され、排出されるように設計される。本発明の実施形態において、生検路止血物品10は、細長い円柱状の形を有するが、その他の形も、例えば、生検路止血物品10が使用される予定の適用に基づいて、選択されてよいと考えられる。導入デバイス12は、ハンドル本体14、プランジャー16、およびカニューレ18を含む。本実施形態において、ハンドル本体14は、カニューレ18まで型成形される。
【0010】
[0018]また、
図3に関して、カニューレ18は、遠位末端18-1および管腔18-2を含む。管腔18-2は、遠位末端18-1の遠位で終わり、管腔18-2に付随した送達口18-3を規定する。プランジャー16は、プランジャーヘッド16-1、およびプランジャーヘッド16-1から延びるプランジャーシャフト16-2を含む。プランジャー16のプランジャーシャフト16-2の遠位部16-3は、カニューレ18の管腔18-2の中に摺動自在で収容される。生検路止血物品10は、プランジャー16の遠位部16-3より遠位のカニューレ18の管腔18-2に置かれる。
【0011】
[0019]遠位方向20へプランジャーヘッド16-1を押圧することによって、プランジャーシャフト16-2は、カニューレ18の送達口18-3から生検路止血物品10を排出するように、遠位方向20へ動く。
【0012】
[0020]当業者は、カニューレ18の遠位末端18-1が、示された通りの斜めに切られた先端の形状以外の形状を有し得ることを認識するであろう。例えば、遠位末端18-1が、尖っていない、円形である、対照的に尖っている、非対称的に尖っている等の可能性があると考えられる。また、送達口18-3がカニューレ18の遠位末端18-1に位置するのに代わる方法として、送達口18-3が、カニューレ18の側壁に形成されて、カニューレ18から生検路止血物品10の側面送達を推進してよいと考えられる。
【0013】
[0021]生検路止血物品10は、生体吸収体10-1が、生体吸収性、止血性であり、微孔質構造を有するように設計される。本実施形態において、生体吸収体10-1は、生体吸収性止血粉末、加水分解デンプン、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースを含む、混合物、例えば溶液、によって形成される。生体吸収性止血粉末、加水分解デンプン、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースのそれぞれは、親水性材料であり、従って、本実施形態において、生体吸収体10-1は、4種の異なる親水性材料を使用して形成される。
【0014】
[0022]生体吸収性止血粉末は、加水分解デンプンとは異なるデンプンの材料の植物性デンプン粉末である。生体吸収性止血粉末は、例えば、非加水分解デンプンであってよい。一様式において、生体吸収性止血粉末は、C.R.Bard,Inc.から商品名Arista(商標)で市販されている(例えば、米国特許第6,060,461号を参照)。Arista銘柄のデンプンは、多数のグルコース単位を含む非加水分解デンプン(植物性)である。Arista銘柄デンプンと対照的に、加水分解デンプンは、より短いグルコース単位を含有する(例えば、単糖類、二糖類または三糖類)。
【0015】
[0023]加水分解デンプンは、初期のデンプンより小さい糖分子からなる。デンプンは、グリコシド結合によって結合された多数のグルコース単位からなるポリマー炭水化物である。デンプン(多糖類)分子が加水分解される場合には常に、単糖類、二糖類または三糖類のいずれかを形成する。
【0016】
[0024]ヒアルロン酸は、陰イオン性、非硫酸化グリコサミノグリカンであり、反復する二糖単位からなる、長く枝分かれのない多糖類である。
[0025]カルボキシメチルセルロース(CMC)は、セルロース骨格を構成するグルコピラノースモノマーのヒドロキシル基のいくつかに結合されたカルボキシメチル基を有する、セルロース誘導体である。
【0017】
[0026]混合物が、水、例えば蒸留水、を含有する溶液である場合、混合物は、水を除去し、生体吸収体10-1を形成するために凍結乾燥または圧縮される。本実施形態において、その他のいずれの成分も、この溶液に加えられない。しかし、所望であれば、生理活性成分を送達できる気泡を発生させるために、薬物または増殖因子を溶液に組み込むことができると考えられる。
【0018】
[0027]一例において、本発明の止血性および生体吸収性の特徴を有する、微孔質構造を達成するために、ヒアルロン酸対カルボキシメチルセルロースの比は、1:1から4:1の範囲内であり、生体吸収性止血粉末対加水分解デンプンの比は、1:1から3:1の範囲内である。生体吸収体10-1の孔径は、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を上昇させることによって、大きくなり得ることが、観察された。逆に、生体吸収体10-1の孔径は、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を低下させることによって、小さくなり得る。
【0019】
[0028]一実施形態において、生検路止血物品10は、生体吸収性止血粉末(4から7重量/体積%)、加水分解デンプン(2から4重量/体積%)、ヒアルロン酸(0.3から1.3重量/体積%)、およびカルボキシメチルセルロース(0.3から1.3重量/体積%)を含む、溶液から形成される。推定される全孔径範囲は、20ナノメートルから5ミクロンもの大きさまでである。
【0020】
[0029]以下は、詳細な実施例である。
【実施例】
【0021】
[0030]本実施例において、本発明に従って微孔質構造を有する生体吸収体は、蒸留水に、生体吸収性止血粉末、例えば、Arista銘柄デンプン粉末(5重量/体積%)、加水分解デンプン(4重量/体積%)、ヒアルロン酸(0.313重量/体積%)、およびカルボキシメチルセルロース(0.626重量/体積%)を溶解させることによって形成される、溶液を作ることによって形成される。溶液は、15分間または全ての粒子が溶解されるまで混合され、次に、上開き容器中へ注ぎ入れ、次に、容器は予め冷却された棚へ置かれ、微孔質の気泡は、昇華法またはフリーズドライ法により、水を除去することによって形成される(例えば、方法全体は約24時間かかる)。この実施例の微孔質の気泡の孔径は、20ナノメートルから約5ミクロンの範囲内である。
【0022】
[0031]有利なことに、生検路止血物品10の生体吸収体10-1は、親水性材料および微孔質構造の効果によって、血液と接触すると直ちに血液を脱水し、ゲル化する。また、生検路止血物品10は、時間の経過とともに完全に吸収され、生体吸収性止血粉末は、アミラーゼの24時間から48時間以内に吸収される。繰り返しになるが、生体吸収性止血粉末は、加水分解デンプンとは異なるデンプンの材料の植物性デンプン粉末である。
【0023】
[0032]生検路止血物品10の生体吸収体10-1は、いずれの生検路に入れられてよく、生検の後の止血を達成すると考えられる。かかる生検は、例えば、乳房生検または例えば肝臓もしくは腎臓生検などの臓器生検を含んでよい。さらに、肺臓生検はまた、生検路止血物品10の生体吸収体10-1で塞栓形成されて、胸膜の表面で血餅を形成、気胸を予防し、いったん血餅が形成されるとすぐに、肺臓実質の組織再構築を促進し得ると考えられる。
【0024】
[0033]
図4Aおよび4Bの実施形態に関して、生検路止血物品10は、少なくとも1種の撮像法、例えば、x線、MRI、または超音波の下で画像形成可能な材料から形成される組織マーカーを含むように改変されてよい。
【0025】
[0034]例えば、
図4Aに描かれている通り、生検路止血物品10は、生体吸収体10-1に結合されたマーカー要素22を含むように改変されてよい。マーカー要素22は、少なくとも1種の撮像法、例えば、x線、MRI、または超音波の下で画像形成可能な材料から形成される。例えば、所望の撮像法がx線またはMRIの場合、マーカー要素22は、ステンレススチールまたはチタンから形成されてよい。所望の撮像法が超音波の場合、マーカー要素22は、反射表面を含むように形成されてよい。
図4Aに描かれた本実施形態において、マーカー要素22は、生体吸収体10-1の外面に付着されている外面バンドである。
【0026】
[0035]
図4Bに描かれた実施例において、生検路止血物品10は、マーカー要素24を含有するように改変されてよく、次に、生体吸収体10-1内に含有されることによって、生体吸収体10-1に結合されている。マーカー要素24は、少なくとも1種の撮像法、例えば、x線、MRI、または超音波の下で画像形成可能な材料から形成される。例えば、所望の撮像法がx線またはMRIの場合、マーカー要素24は、ステンレススチールまたはチタンから形成されてよい。所望の撮像法が超音波の場合、マーカー要素24は、反射表面を含むように形成されてよい。
図4Bに描かれた本実施形態において、マーカー要素24は、リボン形を有するが、しかし、マーカー要素24のその他の形、例えば、リング、平面、らせん、ループ、フック、多角形、球形、楕円形、星、リボン、組合せ等が、医療適用または使用者の選好に基づいて使用されてよいことが認識されるべきである。
【0027】
[0036]上記の実施形態において、生検路止血物品10の生体吸収体10-1は、細長い円柱状の形を有するとして描かれるが、その他の形が、例えば、生検路止血物品10が使用される予定の適用に基づいて、選択されてよいと考えられる。例えば、生検路止血物品10の生体吸収体10-1は、巻いた平らなシート、または複数の平らなシートでもあり得て、シート中またはシートとシートの間に包埋された、放射線不透過性またはその他の画像形成可能なマーカー要素を含んでよいと考えられる。
【0028】
[0037]
図5は、本発明の別の実施形態に従って、生検路止血物品100の実施形態を示す。生検路止血物品100は、生検空洞および/または路、例えば、組織試料が除去された乳房生検空洞などを標識するために使用されてよい。
【0029】
[0038]生検路止血物品100は、生体吸収体102、生体吸収性スリーブ104、空隙106、およびマーカー要素108を含む。本実施形態において、生検路止血物品10は、細長い円柱状の形を有し、また導入デバイス、例えば、
図2に示された導入デバイス12によって、運搬および送達されてよい。
【0030】
[0039]生体吸収体102は、第一の本体区分102-1および第二の本体区分102-2を含む。第一の本体区分102-1および第二の本体区分102-2は、縦軸110に沿って配置される。第一の本体区分102-1は、縦軸110に沿って第二の本体区分102-2から距離112を空けて、第一の本体区分102-1と第二の本体区分102-2との間に空隙106を形成する。マーカー要素108は、第一の本体区分102-1と第二の本体区分102-2との間の空隙106に置かれる。生体吸収性スリーブ104は、空隙106を被包して、マーカー要素108を含有し、生体吸収性スリーブ104は、例えば、摩擦適合性または生体適合性接着剤によって、第一の本体区分102-1および第二の本体区分102-2のそれぞれに連結する。
【0031】
[0040]生体吸収体102は、上述の生体吸収体10-1と同じ化学組成物を有する。従って、第一の本体区分102-1および第二の本体区分102-2のそれぞれもまた、上述の生体吸収体10-1と同じ化学組成物を有する。第一の本体区分102-1および第二の本体区分102-2は、個別に形成されてよい、または例えば、生体吸収体10-1を2つの本体区分に分けることによって、同じ母体の生体吸収体から分離されてよい。
【0032】
[0041]生体吸収性スリーブ104は、上述の通り、生体吸収体10-1と同じ化学組成物を有してよい、または代替方法として、生体吸収性材料の別の種類から形成されるチューブであってよい。
【0033】
[0042]空隙106は、空気空間であってよい、または代替方法として、生体適合性流体、例えば、生理食塩水またはMRI造影剤で満たされてよい。
[0043]マーカー要素108は、少なくとも1種の撮像法、例えば、x線、MRI、または超音波の下で画像形成可能な材料から形成される。マーカー要素108は、長方形として概略的に示されるが、しかし、特定の目的のために、決定されるまたは望まれるようないずれかの適切な形であってよい。例えば、マーカー要素108の形は、リング、平面、らせん、ループ、フック、多角形、球形、楕円形、星、リボン、組合せ等であってよい。所望の撮像法がx線またはMRIの場合、マーカー要素108は、ステンレススチールまたはチタンから形成されてよい。所望の撮像法が超音波の場合、マーカー要素108は、反射表面を含むように形成されてよい。空隙106は、それ自体が、超音波およびMRI造影剤であってよいと知られている。また、マーカー要素108は、それ自体が、複数の個別のマーカー要素であってよいと考えられる。
【0034】
[0044]本明細書で使用されるとき、用語「連結されている」または「付着されている」は、1つの成分の別の成分への直接または間接的付加を意味する。用語「約」、および程度のその他の語は、そのように変更された指標からの許容可能な変動を示すように意図された相対的な変更因子である。
【0035】
[0045]以下の項目もまた、本発明に関する。
[0046]生検路止血物品は、微孔質構造を有する生体吸収体を含む。生体吸収体は、生体吸収性止血粉末、加水分解デンプン、ヒアルロン酸、およびカルボキシメチルセルロースを含む、混合物によって形成されてよい。
【0036】
[0047]場合によって、ヒアルロン酸対カルボキシメチルセルロースの比は、1:1から4:1の範囲内であってよい。
[0048]場合によって、生体吸収性止血粉末対加水分解デンプンの比は、1:1から3:1の範囲内であってよい。
【0037】
[0049]生体吸収体の孔径は、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を上昇させることによって、大きくなり得る、および/または孔径は、20ナノメートルから5ミクロンの範囲内である。
【0038】
[0050]生体吸収体の孔径は、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を低下させることによって、小さくなり得る、および/または孔径は、20ナノメートルから5ミクロンの範囲内である。
【0039】
[0051]場合によって、混合物は、水を含有する溶液であってよく、混合物は、凍結乾燥または圧縮されて水を除去し、生体吸収体を形成してもよい。
[0052]場合によって、混合物は、生体吸収性止血粉末(4から7重量/体積%)、加水分解デンプン(2から4重量/体積%)、ヒアルロン酸(0.3から1.3重量/体積%)、およびカルボキシメチルセルロース(0.3から1.3重量/体積%)を含む、溶液であってよい。
【0040】
[0053]少なくとも一つの実施形態において、生体吸収体は、血液と接触すると直ちに血液を脱水し、ゲル化するように、設計される。
[0054]少なくとも一つの実施形態において、生体吸収体は、時間の経過とともに完全に吸収されるように、設計される。
【0041】
[0055]場合によって、生体吸収性止血粉末は、植物性デンプン粉末であってよい、および/または加水分解デンプンとは異なるデンプンの材料からできている。
[0056]場合によって、マーカー要素は、生体吸収体に結合されていてよい。マーカー要素は、少なくとも1種の撮像法の下で画像形成可能な材料から形成されてよい。
【0042】
[0057]場合によって、マーカー要素は、生体吸収体に付着されていてよい。
[0058]場合によって、代替方法としてまたは追加方法として、マーカー要素は、生体吸収体内に含有されてよい。
【0043】
[0059]別の任意の配置において、生体吸収体は、縦軸、第一の本体区分、および第二の本体区分を有してよく、第一の本体区分は、縦軸に沿って第二の本体区分から間隔を空けられて、第一の本体区分と第二の本体区分との間に空隙を形成する。場合によって、マーカー要素は、第一の本体区分と第二の本体区分との間の空隙に置かれる。生体吸収性スリーブは、空隙を被包し、第一の本体区分および第二の本体区分のそれぞれに連結してよい。
【0044】
[0060]この発明は、少なくとも1つの実施形態に関して説明されたが、本発明は、この開示の精神および範囲内でさらに変更されることができる。従って、この出願は、その原理全般を使用する発明のいずれの変形、使用、または改変も網羅することが意図される。さらに、この出願は、発明が属するおよび添付の特許請求の範囲の限定内にある、当技術分野における既知または通例の実施内にあるような、本開示からの逸脱も網羅することが意図される。
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]微孔質構造を有する生体吸収体を含む生検路止血物品であって、該生体吸収体が、生体吸収性止血粉末、加水分解デンプン、ヒアルロン酸、及びカルボキシメチルセルロースを含む混合物によって形成される、生検路止血物品。
[態様2]ヒアルロン酸対カルボキシメチルセルロースの比が1:1から4:1の範囲内である、態様1に記載の生検路止血物品。
[態様3]生体吸収性止血粉末対前記加水分解デンプンの比が1:1から3:1の範囲内である、態様1又は2に記載の生検路止血物品。
[態様4]生体吸収体の孔径が、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を上昇させることによって大きくなる、態様1~3のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様5]生体吸収体の孔径が、カルボキシメチルセルロースに対するヒアルロン酸の割合を低下させることによって小さくなる、態様1~3のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様6]混合物が、水を含有する溶液であり、該混合物が、凍結乾燥又は圧縮されて水を除去し、生体吸収体を形成する、態様1~5のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様7]混合物が、生体吸収性止血粉末(4~7重量/体積%)、加水分解デンプン(2~4重量/体積%)、ヒアルロン酸(0.3~1.3重量/体積%)、及びカルボキシメチルセルロース(0.3~1.3重量/体積%)を含む溶液である、態様1~6のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様8]生体吸収体が、血液と接触すると直ちに血液を脱水し、血液をゲル化する、態様1~7のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様9]生体吸収体が、時間の経過とともに完全に吸収される、態様1~8のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様10]生体吸収性止血粉末が、加水分解デンプンとは異なるデンプンの材料の植物性デンプン粉末である、態様1~9のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様11]生体吸収体に結合されたマーカー要素を含み、該マーカー要素が、少なくとも1種の撮像法の下で画像形成可能な材料から形成される、態様1~10のいずれか1に記載の生検路止血物品。
[態様12]マーカー要素が生体吸収体に付着されている、態様11に記載の生検路止血物品。
[態様13]マーカー要素が生体吸収体内に含有される、態様11又は12に記載の生検路止血物品。
[態様14]生体吸収体が縦軸、第一の本体区分、及び第二の本体区分を有し、第一の本体区分が縦軸に沿って第二の本体区分から間隔を空けられて第一の本体区分と第二の本体区分との間に空隙を形成し、マーカー要素が第一の本体区分と前記第二の本体区分との間の空隙に置かれ、
空隙を被包し、且つ第一の本体区分及び第二の本体区分のそれぞれに連結する生体吸収性スリーブをさらに含む、
態様11に記載の生検路止血物品。