(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
H01R13/64
(21)【出願番号】P 2022000455
(22)【出願日】2022-01-05
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】長尾 訓成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 研一郎
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-521485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタと嵌合可能なコネクタであって、
軸方向に延び、前方に露出する一対の端子と、
前記一対の端子を保持するハウジングと、
前記一対の端子と離間して配置され、前記一対の端子とは電気的に切り離された導電体である通電認識ピンと、
前記通電認識ピンを、前記ハウジングに対してフローティング状態で取り付ける取付部材と、
規制部材と、を備え、
前記通電認識ピンは、ベース部と、前記ベース部から軸方向の前方へ向かって延び、前方に露出する一対の突部とを含み、
前記取付部材は、前記ベース部の少なくとも一部が前記ハウジングと前記取付部材の間に位置する状態で、前記ハウジングに対して取り付けられ
、
前記取付部材は、前記通電認識ピンの前記ベース部より軸方向の前方に位置する基部と、前記基部から軸方向の後方に延びる一対のアームと、前記一対のアームの各々から内側に向かって突出し、前記ハウジングに係合する一対のツメを有し、
前記ハウジングは、前記一対のツメの軸方向に垂直な方向の外側に設けられた開口を含み、
前記規制部材は、前記ハウジングの前記開口に挿入され、前記取付部材の前記一対のツメの部分が外側へ浮き上がるのを規制する、コネクタ。
【請求項2】
請求項
1に記載のコネクタであって、
前記規制部材は、前記一対の端子に係合し、前記一対の端子の前記ハウジングにおける
位置を決める端子位置保証部材である、コネクタ。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、前記一対の端子及び前記通電認識ピンの周りを囲み、軸方向前方を
開口する外周壁と、前記外周壁の内側の内壁とを含み、
前記通電認識ピンの前記ベース部の少なくとも一部が、軸方向において、前記取付部材と前記ハウジングの内壁との間に位置する状態で、前記取付部材は、前記ハウジングの内壁に取り付けられる、コネクタ。
【請求項4】
請求項
3に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、前記一対の端子の一方の端子を収容する第1端子収納部と、前記一対の端子の他方の端子を収容する第2端子収納部とを有し、
前記通電認識ピンの前記ベース部の少なくとも一部が、軸方向において、前記取付部材と、前記第1端子収納部と前記第2端子収納部の間の前記ハウジングの内壁との間に位置する状態で、前記取付部材は、前記ハウジングの内壁に固定される、コネクタ。
【請求項5】
請求項1
~4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、前記一対の端子及び前記通電認識ピンの周りを囲み、軸方向前方を開口する外周壁と、前記外周壁の内側の内壁とを含み、
前記ハウジングの内壁は、軸方向に垂直な方向において前記ハウジングの前記開口の内側に形成され、
前記内壁の前記開口に向く面に、前記取付部材の前記アームのツメが係合する係合部が設けられ、
前記規制部材は、前記開口に挿入され、前記アームに接した状態で、前記ハウジングに取り付けられる、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタは、例えば、特許第6852812号公報(特許文献1)に開示されるように、コネクタ位置保証(Connector Position assurance:CPA)部材を有するものがある。
【0003】
また、コネクタは、CPAに加えて、接続状態を電気的に検出するための構成を備える場合もある。例えば、特許第6610954号公報(特許文献2)には、インターロック端子を備える雄側コネクタと、ショート端子を備えるメス型コネクタが開示されている。雄側コネクタ及び雌側コネクタが正規嵌合されると、インターロック端子が、ショート端子と接続される。これにより、インターロック回路がON状態になり、雄側コネクタに接続された機器の回路が導通可能となる。インターロック端子とショート端子とが非接続状態になるとインターロック回路がOFF状態になり、機器の回路が遮断される。
【0004】
また、特許第5727469号公報(特許文献3)には、プラグコネクタ(スクイブ)がその対応する相手側部品に正確に接続していることを電気的に監視することを可能にするコネクタが開示される。プラグコネクタが対応するコネクタに接続されない状態又は不正確に接続された状態であるとき、プラグコネクタの2つの端子は接触手段により互いに電気的に接触し、端子に低い電流が供給される。プラグコネクタが対応するコネクタに正確に接続していると、2つの端子は、接続位置から切断されて電流が阻害される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6852812号公報
【文献】特許第6610954号公報
【文献】特許第5727469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは、コネクタが相手方コネクタと正しく接続されている場合に通電する通電認識ピンを備えるコネクタを検討した。通電認識ピンは、コネクタのハウジングに取り付けられる。このコネクタに、振動を加えたところ、通電認識ピンが摩耗する場合があることがわかった。
【0007】
本発明は、振動が加わっても摩耗しにくい通電認識ピンを備えるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態におけるコネクタは、相手方コネクタと嵌合可能なコネクタである。前記コネクタは、軸方向に延びる一対の端子と、前記一対の端子を保持するハウジングと、前記一対の端子と離間して配置され、前記一対の端子とは電気的に切り離された導電体である通電認識ピンと、前記通電認識ピンを、前記ハウジングに対してフローティング状態で取り付ける取付部材と、を備える。前記通電認識ピンは、ベース部と、前記ベース部から軸方向の前方へ向かって延び、前方に露出する一対の突部とを含む。前記取付部材は、前記ベース部の少なくとも一部が前記ハウジングと前記取付部材の間に位置する状態で、前記ハウジングに対して取り付けられる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、振動が加わっても摩耗しにくい通電認識ピンを備えるコネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態におけるコネクタ及び相手方コネクタの例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す相手方コネクタの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すコネクタの端子の部分を含むxz面における断面構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すコネクタの通電認識ピン及び取付部材の部分を含むxz面における断面構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す通電認識ピン、取付部材、及び、規制部材の部分の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す通電認識ピン、及び取付部材の部分の斜視図である。
【
図8】
図8は、コネクタが相手方コネクタと嵌合した状態の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態におけるコネクタは、相手方コネクタと嵌合可能なコネクタである。前記コネクタは、軸方向に延びる一対の端子と、前記一対の端子を保持するハウジングと、前記一対の端子と離間して配置され、前記一対の端子とは電気的に切り離された導電体である通電認識ピンと、前記通電認識ピンを、前記ハウジングに対してフローティング状態で取り付ける取付部材と、を備える。前記通電認識ピンは、ベース部と、前記ベース部から軸方向の前方へ向かって延び、前方に露出する一対の突部とを含む。前記取付部材は、前記ベース部の少なくとも一部が前記ハウジングと前記取付部材の間に位置する状態で、前記ハウジングに対して取り付けられる。
【0012】
上記構成によれば、通電認識ピンは、一対の突部が軸方向の相手方コネクタ側へ延びた状態で、且つ、ハウジングに対してフローティング状態で取り付けられる。これにより、コネクタが相手方コネクタに接続され、通電認識ピンが相手方コネクタの通電認識ソケットに挿入された状態で振動が加えられた場合に、通電認識ピンが振動に追随して動くことができる。そのため、振動による通電認識ピンの摩耗が抑えられる。すなわち、振動が加わっても摩耗しにくい通電認識ピンを備えるコネクタが提供される。
【0013】
通電認識ピンは、相手方コネクタの一対の通電認識ソケットと嵌合可能である。すなわち、一対の通電認識ピンは、コネクタが相手方コネクタと嵌合した状態において、一対の突部が通電認識ソケットに嵌合し、一対の通電認識ソケット間を短絡する。
【0014】
通電認識ピンがハウジングに対してフローティング状態であるとは、通電認識ピンが、コネクタと嵌合する相手方コネクタの通電認識ソケットと嵌合可能な範囲でハウジングに対して可動な状態でハウジングに支持される状態である。
【0015】
例えば、通電認識ピンの突部と取付部材との間に隙間がある状態で、取付部材がハウジングに対して取り付けられてもよい。これにより、軸方向に垂直な方向の振動による通電認識ピンの摩耗を効率よく抑えることができる。
【0016】
又は、取付部材又はハウジングの少なくとも一方と通電認識ピンのベース部との間に隙間がある状態で、取付部材がハウジングに対して取り付けられてもよい。これにより、軸方向の振動による通電認識ピンの摩耗を効率よく抑えることができる。
【0017】
なお、通電認識ピンの突部と取付部材との間、及び、取付部材又はハウジングの少なくとも一方と通電認識ピンのベース部との間の両方に隙間がある状態で、取付部材がハウジングに対して取り付けられてもよい。
【0018】
ハウジングは、例えば、外周壁とその内側の内部空間を有する筒状としてもよい。ハウジングの内部空間に、一対の端子が軸方向に挿入される。挿入された一対の端子は、軸方向に垂直な方向においてハウジングに対して動かないように、ハウジングの外周壁に支持される。ハウジングは、軸方向の前部において、軸方向に垂直な方向に延びる前壁を有してもよい。前壁の後面は一対の端子の一部に接してもよい。
【0019】
前記コネクタは、規制部材をさらに備えてもよい。前記取付部材は、前記通電認識ピンの前記ベース部より軸方向の前方に位置する基部と、前記基部から軸方向の後方に延びる一対のアームと、前記一対のアームの各々から内側に向かって突出し、前記ハウジングに係合する一対のツメを有してもよい。前記ハウジングは、前記一対のツメの軸方向に垂直な方向の外側に設けられた開口を含んでもよい。前記規制部材は、前記ハウジングの前記開口に挿入され、前記取付部材の前記一対のツメの部分が外側へ浮き上がるのを規制する。これにより、取付部材をハウジングに取り付けやすい構造とし、且つ、取付部材のツメがハウジングから外れにくくなる。前記規制部材は、例えば、前記一対のツメの部分を軸方向に垂直な方向の外側から抑えるよう配置されてもよい。
【0020】
一例として、取付部材の基部は、通電認識ピンの一対の突部が貫通する一対の貫通孔を有してもよい。この場合、取付部材の基部の貫通孔と通電認識ピンの間に隙間がある状態で、取付部材がハウジングに取り付けられてもよい。これにより、通電認識ピンの突部は、貫通孔の範囲で可動となる。
【0021】
取付部材の基部の一対の貫通孔は、例えば、一対のアームの間に配置されてもよい。すなわち、一対の貫通孔が並ぶ方向において、一対の貫通孔より外側に一対のアームが配置されてもよい。一対のアームを外側に配置することで、規制部材でツメの浮き上がりを規制しやすくなる。
【0022】
前記規制部材は、前記一対の端子に係合し、前記一対の端子の前記ハウジングにおける位置を決める端子位置保証部材(Terminal Position Assurance:TPA)であってもよい。この構成において、端子位置保証部材(TPA)の内側に取付部材のツメが位置する。すなわち、端子位置保証部材は、軸方向に垂直な方向から見て、取付部材のツメと重なる位置に設けられる。そのため、端子位置保証部材は、取付部材のツメの部分が外側へ浮き上がるのを規制する。これにより、部品数を増やすことなく、取付部材のツメをハウジングから外れにくくすることができる。
【0023】
一例として、端子位置保証部材は、前面で一対の端子に接し、内面で取付部材に接する位置に配置されてもよい。端子位置保証部材(規制部材)の前面は、軸方向の前方へ向く面であり、内面は、軸方向に垂直な方向において内側(内方)を向く面である。
【0024】
一例として、端子位置保証部材は、取付部材の一方のアームのツメの部分が外側へ浮き上がるのを規制する第1端子位置保証部材と、他方のアームのツメの部分が外側に浮き上がるのを規制する第2端子位置保証部材とを含んでもよい。
【0025】
端子位置保証部材は、軸方向の前面の一部が一対の端子の一部に接する位置に設けられてもよい。また、ハウジングの前壁と、端子位置保証部材により、一対の端子の軸方向の位置が拘束されてもよい。すなわち、ハウジングの前壁と、端子位置保証部材によって、一対の端子の軸方向の位置決めがなされてもよい。
【0026】
例えば、一対の端子をハウジングに挿入して一対の端子がハウジングの前壁に接する状態として、ハウジングの外周壁の開口から端子位置保証部材を挿入して、端子位置保証部材の前面が一対の端子の一部に接する状態で、端子位置保証部材をハウジングに取り付けることができる。これにより、一対の端子のハウジングにおける位置を固定、すなわち位置決めすることができる。
【0027】
前記ハウジングは、前記一対の端子及び前記通電認識ピンの周りを囲み、軸方向前方を開口する外周壁と、前記外周壁の内側の内壁とを含んでもよい。前記通電認識ピンの前記ベース部の少なくとも一部が、軸方向において、前記取付部材と前記ハウジングの内壁との間に位置する状態で、前記取付部材は、前記ハウジングの内壁に取り付けられてもよい。これにより、ハウジング内に端子及び通電認識ピンを効率よく配置することができる。この場合、前記通電認識ピンのベース部の少なくとも一部は、前記取付部材と、前記内壁の前面との間に配置されてもよい。
【0028】
前記内壁は、前記一対の端子の間に位置し、且つ、前記一対の端子の内側を支持してもよい。これにより、一対の端子の間に、通電認識ピンをフローティング状態で配置することができる。
【0029】
前記ハウジングは、前記一対の端子の一方の端子を収容する第1端子収納部と、前記一対の端子の他方の端子を収容する第2端子収納部とを有してもよい。前記通電認識ピンの前記ベース部の少なくとも一部が、軸方向において、前記取付部材と、前記第1端子収納部と前記第2端子収納部の間の前記ハウジングの内壁との間に位置する状態で、前記取付部材は、前記ハウジングの内壁に固定されてもよい。これにより、一対の端子をそれぞれハウジングで支持し、且つ一対の端子の間に通電認識ピンをフローティング構造で配置することができる。
【0030】
前記ハウジングの内壁は、軸方向に垂直な方向において前記ハウジングの前記開口の内側に形成されてもよい。この場合、前記内壁の前記開口に向く面に、前記取付部材の前記アーム部のツメが係合する係合部が設けられてもよい。前記規制部材は、前記開口に挿入され、前記アームに接した状態で、前記ハウジングに取り付けられてもよい。これにより、ハウジングの内壁の係合部に取付部材のアームのツメが係合した状態で、規制部材がアームを外側から抑える構造となる。
【0031】
前記コネクタは、さらに、前記ハウジングの外側の少なくとも一部を覆うシールドを有してもよい。或いは、前記コネクタは、さらに、前記ハウジングの外側に取り付けられるアウターシェルを有してもよい。アウターシェルは、前記相手方コネクタと前記コネクタが嵌合した状態で、前記相手方コネクタと係合する係合部を有してもよい。
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0033】
図1は、本発明の実施形態におけるコネクタ及び相手方コネクタの例を示す斜視図である。
図1の例では、コネクタ10及び相手方コネクタ30は、いずれも、電気的な接続を担う導電体の端子(コンタクト)と、端子を保持する絶縁体のハウジングを備える。コネクタ10のハウジングと相手方コネクタ30のハウジングが互いに正しく嵌合した状態で、コネクタ10の端子と相手方コネクタ30の端子が電気的に接続される。
図1の例では、コネクタ10はオス型コネクタであるプラグであり、相手方コネクタ30はメス型コネクタのレセプタクルである。
【0034】
コネクタ10の相手方コネクタ30に対する嵌合方向が、コネクタ10の軸方向である。言い換えると、コネクタ10は、相手方コネクタ30に対して軸方向にスライドして嵌合状態に至る。軸方向において、コネクタ10から相手方コネクタ30へ向かう方向を前方、その逆方向を後方とする。本実施形態では、説明をわかりやすくするため、
図1に示すように、軸方向をx方向とする直交座標系であるxyz座標系を定義する。
【0035】
(コネクタの構成例)
図2は、
図1に示すコネクタ10の分解斜視図である。
図2に示す例では、コネクタ10は、ハウジング2、一対の端子3a、3b、通電認識ピン4、取付部材5、及び規制部材6a、6bを備える。一対の端子3a、3bは、ハウジング2に対して軸方向に挿入される。ハウジング2は、挿入された一対の端子3a、3bを保持する。ハウジング2は、前面の一部が開口する。これにより、ハウジング2に収納された一対の端子3a、3bは前方に露出する。
【0036】
端子3a、3bは、金属等の導電体で形成される。端子3a、3bは、軸方向に細長い形状を有する。端子3a、3bの前部は、相手方コネクタ30の端子と接続される接続部となる。端子3a、3bの後部は、ケーブル(導線)に接続される。端子3a、3bの側面には、ランス(突起)が設けられる。端子3a、3bをハウジング2の奥まで挿入した状態でランスが、ハウジング2の内面の突起と係合する。これにより、端子3a、3bがハウジング2に抜け止め保持される。
図2に示す例では、端子3a、3bは、メス側コンタクト(ソケットコンタクト)であるが、端子3a、3bは、オス側コンタクト(ピンコンタクト)であってもよい。
【0037】
ハウジング2は、一対の端子3a、3bの軸方向の周りを囲む外周壁と、外周壁内部の内壁を有する。すなわち、ハウジング2は、端子3a、3b及び通電認識ピン4が挿入される内部空間を有する筒状体である。
【0038】
ハウジング2の内部は、軸方向に延びる内壁(
図2では図示せす)で区切られている。内壁で区切られた2つの空間に、一対の端子3a、3bがそれぞれ収納される。すなわち、ハウジング2は、一方の端子3aを収納する第1端子収納部と、他方の端子3bを収納する第2端子収納部が設けられる。
図2の例では、第1端子収納部と第2端子収納部の間の前方に開口した空間に、通電認識ピン4及び取付部材5が挿入される。なお、通電認識ピン4及び取付部材5の取付位置は、第1端子収納部と第2端子収納部の間でなくてもよい。
【0039】
通電認識ピン4は、取付部材5によって、ハウジング2の内壁にフローティング状態で取り付けられる。通電認識ピン4は、ベース部4bと、ベース部4bから軸方向前方に延びる一対の突部4aを有する。通電認識ピン4は、導電体で形成される。取付部材5は、基部5aと、基部5aから軸方向の後方に延びる一対のアーム5bを有する。一対のアーム5bの各々は、内側に向かって突出するツメを有する。アーム5bのツメがハウジング2の内壁に係合することで、取付部材5が、ハウジング2に取り付けられる。通電認識ピン4のベース部4bが、取付部材5とハウジング2との間に位置する状態で、取付部材5がハウジング2に取り付けられる(
図5も参照)。通電認識ピンは、取付部材5によってハウジング2に拘束される。これにより、通電認識ピン4は、フローティング状態で取り付けられる。このフローティング構造の例の詳細については後述する。取付部材5は、例えば、樹脂等の絶縁体で形成される。
【0040】
通電認識ピン4及び取付部材5は、ハウジング2の前方に開口した凹部に前方から挿入されて取り付けられる。これにより、通電認識ピン4の一対の突部4aは、前方に露出する。通電認識ピン4の突部4aは、相手方コネクタ30の通電認識ソケットと接触する接続部となる。
【0041】
通電認識ピン4は、コネクタ10と相手方コネクタ30が正しく嵌合された状態で、相手方コネクタ30が備える通電認識ソケットに電気的に接続される。通電認識ピン4が通電認識ソケットに接続されることで、通電認識ソケットに接続された通電認識回路を導通させる。通電認識回路は、相手方コネクタ30通電認識回路により、コネクタ10が相手方コネクタ30と正しく嵌合されたことを検出できる。
【0042】
ハウジング2の外周壁には、開口2ha、2hbが設けられる。開口2ha、2hbは、ハウジング2の内壁に取り付けられた取付部材5のツメの軸方向に垂直な方向の外側の位置に設けられる。開口2ha、2hbには、規制部材6a、6bが挿入される。規制部材6a、6bは、ハウジング2の内壁に取り付けられた取付部材5のツメの外側(軸方向に垂直な方向の外側)においてハウジング2に固定される。これにより、規制部材6a、6bは、ハウジング2の内壁に取り付けられた取付部材5のアーム5bのツメの部分が外側に浮き上がるのを規制する。
【0043】
規制部材6a、6bは、本体部と、本体部から軸方向に垂直な方向に延びる一対のアームを有する。規制部材6a、6bの一対のアームは内側に突出するツメを有する。規制部材6a、6bがハウジング2に取り付けられた状態では、規制部材6a、6bの本体部の少なくとも一部が開口2ha、2hbに挿入されハウジング2内に配置される。規制部材6a、6bは、本体部が取付部材5のアーム5bに接するようにハウジング2に取り付けられてもよい。規制部材6a、6bのアームのツメは、ハウジング2の外周壁に係合する。これにより、規制部材6a、6bがハウジング2に固定される。
【0044】
図2の例では、開口2ha、2hbは、ハウジング2の外周壁の2箇所に設けられる。2つの開口2ha、2hbは、軸方向の垂直な方向において互いに対向する。すなわち、取付部材5の一対のアーム5bそれぞれの外側に、開口2ha、2hb、及び、規制部材6a、6bが設けられる。一対のアーム5bの一方のアーム5bの外側の開口2ha(第1の開口2ha)に第1の規制部材6aが挿入され、他方のアーム5bの外側の開口2hb(第2の開口2hb)に第2の規制部材6bが挿入される。ハウジング2に取り付けられた第1の規制部材6aのアームのツメは、第2の開口2hbの縁に係合する。ハウジング2に取り付けられた第2の規制部材6bのアームのツメは、第1の開口2haの縁に係合する。
【0045】
本実施形態では、規制部材6a、6bは、端子位置保証部材(TPA)を兼ねている。すなわち、規制部材6a、6bは、ハウジング2に対する端子3a、3bの位置を保証する。
図2の例では、端子3a、3bがハウジング2の奥まで挿入された状態で、端子3a、3bの凹部がハウジング2の開口2ha、2hbに対応する位置に配置される。規制部材6a、6bは、開口2ha、2hbを通り、端子3a、3bの凹部に嵌るように取り付けられる。例えば、規制部材6a、6bは、その本体部が端子3a、3bの凹部に嵌るように取り付けられる。これにより、規制部材6a、6bにより、端子3a、3bがハウジング2から軸方向に抜けないように固定される。
【0046】
図2の例では、コネクタ10は、さらに、シール部材7、ケーブルクランプ8、シールドシェル9、及びアウターシェル11を備える。シール部材7は、リング状の弾性体で構成される。シール部材7は、ハウジング2の外周壁に外挿される。すなわち、シール部材7は、ハウジング2の外周の周方向の全体にわたって取り付けられる。コネクタ10が相手方コネクタ30と嵌合された状態で、シール部材7は、コネクタ10のハウジング2と、相手方コネクタ30のハウジングとの間をシールする。
【0047】
ケーブルクランプ8は、ハウジング2の軸方向の後部(端子3a、3bの後方)に取り付けられる。ケーブルクランプ8は、端子3a、3bに接続されるケーブル(電線:図示略)を保持する。ケーブルクランプ8は、ケーブルが挿入される貫通孔を有する。ケーブルクランプ8は、ケーブルとハウジング2の間をシールする構成であってもよい。なお、端子3a、3bとケーブルとの接続形態は、特に限定されないが、例えば、圧着、ボルト等の締結部材によるねじ止め、はんだ付け、又は、羽子板端子による接続とすることができる。
【0048】
シールドシェル9は、ハウジング2に取り付けられ、ハウジング2の軸方向の周囲を全周にわたって覆う。シールドシェル9は、例えば、導電性を有する材料で構成される。シールドシェル9により、コネクタ10からのノイズ漏えいが抑えられる。
【0049】
アウターシェル11は、ハウジング2に取り付けられる。アウターシェル11は、コネクタ10と相手方コネクタ30との嵌合状態を保持するためのロック機構を有する。ロック機構は、アウターシェル11の側面に設けられた一対のロックアーム11aを含む。一対のロックアーム11aは、軸方向の前方に延びる。一対のロックアーム11aのそれぞれは、内側に突出するツメを有する。ロックアーム11aのツメが相手方コネクタ30と係合することで、嵌合状態が保持される。ロックアーム11aは、嵌合状態において相手方コネクタ30と係合する係合部の一例である。
【0050】
(相手方コネクタの構成例)
図3は、
図1に示す相手方コネクタ30の分解斜視図である。相手方コネクタ30は、一対の端子32、一対の通電認識ソケット33、アウターハウジング31、及び、内部ホルダ34を備える。端子32及び通電認識ソケット33は、内部ホルダ34に取り付けられた状態で、アウターハウジング31に軸方向(x方向)に挿入される。保持された端子32及び通電認識ソケット33は、軸方向に細長い形状を有する。アウターハウジング31及び内部ホルダ34の組み合わせにより、端子32及び通電認識ソケット33を保持するハウジングが構成される。アウターハウジング31がハウジングの外周壁に相当し、内部ホルダ34がハウジングの内壁に相当する。
【0051】
図3に示す例では、アウターハウジング31は、湾曲した管で形成される。端子32及び通電認識ソケット33を保持する内部ホルダ34は、アウターハウジング31の管の一方端の開口から挿入される。この管の一方端側の内部において、端子32及び通電認識ソケット33の接続部が、外側に露出した状態で配置される。この管の他方端の管の外周には、外側に向かって張り出すフランジ31aが設けられる。フランジ31aは、例えば、相手方コネクタ30を、パネル等に固定するために用いられる。例えば、ボルト等の締結部材を用いて、フランジ31aをパネル等に固定することができる。
【0052】
アウターハウジング31の外周面には、突起31bが設けられる。相手方コネクタ30がコネクタ10と嵌合した状態で、アウターハウジング31の突起31bが、コネクタ10のアウターシェル11のロックアーム11aのツメと係合する。これにより、嵌合状態が保持される。
【0053】
図3に示す例では、アウターハウジング31の他方端から、インナーハウジング36が挿入される。インナーハウジング36は、アウターハウジング31に取り付けられる。インナーハウジング36の外周面と、アウターハウジング31の内周面の間には、リング状のシール部材35が設けられる。アウターハウジング31に取り付けられたインナーハウジングを貫通するように、一対の端子ねじ40が挿入される。端子ねじ40は、アウターハウジング31内で内部ホルダ34に保持された端子32に接続される。端子ねじ40は、導電体で形成される。端子ねじ40は、ブラケット39によりインナーハウジング36内で支持される。ブラケット39は、インナーハウジング36の内面に取り付けられる。また、インナーハウジング36には、筒状体の一対のカラー38が内蔵される。端子ねじ40はカラー38を貫通した状態で取り付けられる。
【0054】
(コネクタの詳細な構成例)
図4は、
図1に示すコネクタ10の端子3aの部分を含むxz面における断面構成を示す斜視図である。
図4に示す例では、端子3aの軸方向の周りの外周面は、ハウジング2の外周壁2gによって支持される。端子3aの前端は、ハウジングの前壁2maに支持される。端子3aの前面3amは、ハウジングの前壁2maに接する。ハウジングの前壁2maは開口2faを有する。前壁2maの開口2faは、軸方向から見て端子3aと重なる位置に設けられる。これにより、端子3aは、前方に露出する。相手方コネクタ30とコネクタ10が嵌合された状態では、相手方コネクタ30の端子32が、前壁2maの開口2faを通ってコネクタ10の端子3aに達する。
【0055】
ハウジング2の外周壁2gの開口2ha、2hbには、規制部材6a、6bが挿入される。規制部材6a、6bは、TPAとしても機能する。規制部材6a、6bの前面は、端子3aの後面3ar(軸方向の後方に向く面)に接する。
図4の例では、ハウジング2の外周壁2gの開口2haに対応する端子3aの外周面に凹部が形成される。凹部に規制部材6a、6bが嵌められる。規制部材6a、6bは、端子3aの凹部の側面である後面3arに接するようにハウジング2に取り付けられる。端子3aは、前面3amをハウジング2の前壁2maで支持され、後面3arを規制部材6a、6bで支持される。これにより、端子3aのハウジング2に対する軸方向の位置が固定される。
【0056】
図5は、
図1に示すコネクタ10の通電認識ピン4及び取付部材5の部分を含むxz面における断面構成を示す斜視図である。
図6は、
図5に示す通電認識ピン4、取付部材5、及び、規制部材6a、6bの部分の斜視図である。
図7は、
図5に示す通電認識ピン4、及び取付部材5の部分の
図6とは異なる方向から見た斜視図である。
【0057】
図5に示す例では、通電認識ピン4は、ハウジング2の外周壁2gの内部において、ハウジング2の内壁2nに固定された取付部材5によりフローティング状態で取り付けられる。このフローティング状態では、通電認識ピン4のベース部4bが、軸方向において、取付部材5と内壁2nとの間に位置し、且つ、通電認識ピン4の突部4aは、取付部材5よりも前方へ突出する。通電認識ピン4の一対の突部4aは、取付部材5の基部5aに設けられた孔を貫通して軸方向の前方へ延びる。通電認識ピン4が配置されるハウジング2内の空間は、前方に開口している。これにより、通電認識ピン4は、前方に露出する。取付部材5の一対のアーム5bのツメは、ハウジング2の内壁2nと係合する。
【0058】
ハウジング2の内壁2nは、通電認識ピン4のベース部4bに当接する前方を向く当接面と、当接面の軸方向に垂直な方向の両側から後方に延びる外周面(軸方向に垂直な方向を向く面)を有する。内壁2nの外周面は、当接面より軸方向の後方に設けられた係合部を有する。この内壁2nの係合部には、取付部材5のアーム5bのツメが係合する。内壁2nの係合部は、内壁2nの外周面における段差によって構成される。内壁に取り付けられた取付部材5のアーム5bは、軸方向に垂直な方向から見て、ハウジング2の外周壁2gの開口2ha、2hbと重なる。そのため、開口2ha、2hbに挿入される規制部材6a、6bは、軸方向に垂直な方向から見て、取付部材5のアーム5bと重なる位置に配置される。これにより、規制部材6a、6bは、内壁2nと係合するアーム5bのツメの部分が外側へ浮き上がるのを規制する。
【0059】
図5に示す例では、内壁2nの外周面の係合部は、軸方向に垂直な方向から見て、ハウジング2の外周壁2gの開口2ha、2hbと重なる位置に設けられる。これにより、係合部に係合するアーム5bのツメは、軸方向に垂直な方向から見て、規制部材6a、6bと重なる位置で、内壁2nと係合する。これにより、アーム5bの浮き上がりを直接的に規制部材6a、6bにより規制できる。なお、アーム5bのツメは、軸方向に垂直な方向から見て、必ずしも、規制部材6a、6bと重なっていなくてもよい。
【0060】
取付部材5のアーム5bがハウジング2の内壁2nに取り付けられた状態で、取付部材5の基部5aと内壁2nの当接面との間の軸方向の距離(寸法)は、通電認識ピン4のベース部4bの軸方向の寸法と同じか又は若干大きくてもよい。例えば、取付部材5又はハウジング2の内壁2nの少なくとも一方と通電認識ピン4のベース部4bとの間に隙間がある状態で、取付部材5がハウジングに対して取り付けられてもよい。この隙間の軸方向の寸法は、例えば、取付部材5の基部5aの軸方向の寸法の半分以下としてもよい。
【0061】
取付部材5の通電認識ピン4の突部4aが貫通する孔の直径は、突部4aの直径より若干大きくてもよい。すなわち、通電認識ピン4の突部4aと取付部材5の基部5aの孔との間に、隙間があってもよい。これにより、通電認識ピン4の突部4aと取付部材5との間に隙間がある状態で、通電認識ピン4をハウジング2に取り付けることができる。
【0062】
図5に示す例では、取付部材5の基部5aの孔に通電認識ピン4の突部4aが挿入された状態で、通電認識ピン4が、ハウジング2に対してフローティング支持される。この構成では、取付部材5の基部5aは、通電認識ピン4の突部4aの傾斜範囲を制限する。突部4aの傾斜を制限する構成としては、
図5~
図7のように、突部4aの軸方向の周りの全周を取付部材5の基部5aで囲む構成の他に、例えば、突部4aの軸方向の周りの一部を取付部材5の基部5aで囲む構成を採用してもよい。
【0063】
取付部材5は、アーム5bがハウジング2の内壁2nに係合することで軸方向に抜けないように、ハウジング2に取り付けられる。取付部材5のアーム5bの先端とハウジング2の間には、若干の隙間(遊び)が設けられてもよい。この場合、取付部材5は、軸方向に若干移動可能な状態で、ハウジング2に取り付けられる。
【0064】
取付部材5のアーム5bの外側(軸方向に垂直な方向の外側)には、規制部材6a、6bが取り付けられる。規制部材6a、6bは、取付部材5のアーム5bに接してもよい。
図5に示す例では、規制部材6a、6bは矩形の断面を有する。規制部材6a、6bの内面(軸方向に垂直な方向において内側を向く面)が、アーム5bに接する。この場合、規制部材6a、6bの前面(軸方向の前方を向く面)が端子3aに接してもよい(
図4参照)。なお、規制部材6a、6bは、アーム5bに接していなくてもよい。
【0065】
(嵌合状態の例)
図8は、コネクタ10が相手方コネクタ30と嵌合した状態の例を示す断面図である。
図8の例では、嵌合状態において、コネクタ10のハウジング2の外周壁2gの前部が、相手方コネクタ30のアウターハウジング31内に挿入される。また、嵌合状態において、コネクタ10の通電認識ピン4の突部4aが、相手方コネクタ30の通電認識ソケット33に挿入される。相手方コネクタ30の通電認識ソケット33を支持する内部ホルダ34は、コネクタ10の外周壁2g内の通電認識ピン4が配置される空間に挿入される。なお、図示しないが、嵌合状態において、コネクタ10の端子3aは、相手方コネクタ30の端子32と接続される。
【0066】
図8の例では、内部ホルダ34の先端が、取付部材5の基部5aに接する。嵌合状態において、取付部材5は、相手方コネクタ30からコネクタ10の方向へ押し込まれる。これにより、通電認識ピン4のベース部4bは、取付部材5及び内壁2nの間において、これら両方に接した状態となる。通電認識ピン4の突部4aと取付部材5の基部5aとの間には隙間がある。なお、嵌合状態において、内部ホルダ34の先端が、取付部材5の基部5aに接しないようにコネクタ10及び相手方コネクタ30が構成されてもよい。
【0067】
嵌合状態において、通電認識ピン4は、ハウジング2に対してフローティング状態で支持された状態となる。通電認識ピン4の突部4aは、取付部材5及びハウジング2で囲まれる範囲で、ハウジング2に対して可動となる。これにより、例えば、嵌合状態において、コネクタ10及び相手方コネクタ30が振動した場合、通電認識ピン4の摩耗が抑えられる。また、取付部材5のアーム5bのツメはハウジング2に係合し、さらにアーム5bのツメの外側に、規制部材6a、6bが配置される。このように、アーム5bのツメと規制部材6a、6bにより、取付部材5の抜け止め構成が2重になる。そのため、取付部材5による、通電認識ピン4のフローティング支持構造がより堅牢になる。さらに、規制部材6a、6bは、TPAの機能も兼ねるため、部品数が増えず、コネクタ10の軸方向の寸法の長大化を抑えることができる。
【0068】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、コネクタ10において、シール部材7、ケーブルクランプ8、シールドシェル9、及びアウターシェル11の少なくとも1つは省略してもよいし、ハウジング2の一部として形成されてもよい。また、コネクタは、さらに、例えば、コネクタ位置保証部材(CPA)等、追加の部材を備えてもよい。
【0069】
取付部材は、ツメでハウジングに係合する構成に限られない。例えば、取付部材はハウジングに溶着又はその他の手段で取り付けられてもよい。取付部材の一対のアームのツメは、内側に突出する構成でもよいし、外側に突出する構成でよい。
【0070】
通電認識ピンは、一対の端子の間に配置されてもよいし、一対の端子の外側に配置されてもよい。上記例では、通電認識ピンのベース部の全体が、取付部材とハウジングとの間に位置するように、通電認識ピンがハウジングに取り付けられる。これに対して、通電認識ピンのベース部の一部が、取付部材とハウジングとの間に位置するように、通電認識ピンがハウジングに取り付けられてもよい。
【0071】
コネクタの一対の端子は、ピンコンタクトであってもよいし、ソケットコンタクトであってもよい。コネクタは、プラグ(雄側コネクタ)であってもよいし、レセプタクル又はアダプタ(雌側コネクタ)であってもよい。例えば、コネクタと相手方コネクタの組み合わせは、プラグとレセプタクル、又は、プラグとアダプタ、等とすることができる。上記実施形態では、雄側コネクタに通電認識ピンが設けられる例であるが、雌側コネクタに通電認識ピンがフローティング状態で取り付けられてもよい。
【0072】
ハウジング、取付部材、及び、規制部材は、例えば、誘電性又は絶縁性を持つ材料で形成することができる。ハウジングは、一体成形品であってもよいし、複数の成形品を結合したものであってもよい。ハウジングの内壁と外周壁は一体成形されたものであってもよい。又は、内壁の成形品と外周壁の成形品が組み合わされてハウジングが構成されてもよい。
【0073】
本実施形態のコネクタは、これに限られないが、例えば、電源用コネクタとして好適に用いることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
2:ハウジング、3a、3b:端子、4:通電認識ピン、5:取付部材、6a、6b:規制部材、10:コネクタ、30:相手方コネクタ