(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】空気より水を取り出す方法及びそれを用いた造水装置
(51)【国際特許分類】
E03B 3/28 20060101AFI20230728BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20230728BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
E03B3/28
C02F1/00 L
B01D5/00 B
(21)【出願番号】P 2022124474
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】503279301
【氏名又は名称】松崎 正信
(72)【発明者】
【氏名】松崎 正信
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-035970(JP,U)
【文献】特開2003-116377(JP,A)
【文献】特開2014-224399(JP,A)
【文献】特開2005-023711(JP,A)
【文献】再公表特許第2005/116349(JP,A1)
【文献】特開2005-282197(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110924470(CN,A)
【文献】実開昭60-091654(JP,U)
【文献】国際公開第2014/184965(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 3/28
C02F 1/00
B01D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を取り込んで空気中に含まれる水分を凝縮して水を造る造水装置において、空気の流れに沿って順に、外気取込口と、流路と、暖気回収室と、排出煙突を有し、前記流路は冷水槽との間に設けられた第1の壁と暖気回収室との間に設けられた第2の壁とに挟まれて形成されており、前記第1の壁に熱交換板が設けられ、前記第2の壁に前記暖気回収室に通じる暖気開口部が設けられ、空気が前記熱交換板付近で冷却されることで生じる凝縮水を回収する回収部を有
し、
前記流路が斜め上方に形成されており、前記流路の上側に前記暖気回収室が配置され、前記流路の下側に前記冷水槽が配置されていることを特徴とする造水装置。
【請求項2】
前記暖気開口部が、前記第2の壁において水平方向に長く形成されており、前記暖気開口部の鉛直上方部に暖気取入れ用板を有することを特徴とする請求項
1記載の造水装置。
【請求項3】
前記熱交換板が、空気の流れ方向にスリットが設けられていることを特徴とすることを特徴とする請求項
2記載の造水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水に関し、特に空気中より凝縮作用を利用し水を生成する装置である。
【背景技術】
【0002】
従来より凝縮を利用した造水装置は知られている。
【0003】
このものは自然エネルギーを最大限に生かし省エネでかつ大量の凝縮水を生成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-5683
【文献】国際公開番号WO2005/116349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来はこの種の技術は特許文献1に記載されているように吸水部材を通して凝縮水を生成するようになっていたので、大量に水ができないという課題があった。
【0006】
また特許文献2に記載されているように、複雑な機械加工技術を伴っていて、水の生成量とメンテナンスに課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の請求項1記載の造水装置は、外気を取り込んで空気中に含まれる水分を凝縮して水を造る造水装置において、空気の流れに沿って順に、外気取込口と、流路と、暖気回収室と、排出煙突を有し、前記流路は冷水槽との間に設けられた第1の壁と暖気回収室との間に設けられた第2の壁とに挟まれて形成されており、前記第1の壁に熱交換板が設けられ、前記第2の壁に前記暖気回収室に通じる暖気開口部が設けられ、空気が前記熱交換板付近で冷却されることで生じる凝縮水を回収する回収部を有していることを特徴とするものである。
【0008】
このような構成にすることによって、熱交換板付近で凝縮して発熱した空気を暖気回収室に回収することができるため、熱交換板付近に熱がこもることを防止でき、空気の冷却効率を高めて造水を促進することができる。
【0009】
また、本発明の請求項2記載の造水装置は、前記流路が斜め上方に形成されており、前記流路の上側に前記暖気回収室が配置され、前記流路の下側に前記冷水槽が配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
このような構成にすることによって、熱交換板付近で凝縮して発熱した空気が鉛直上方に上昇しようとする流れを利用して、より効果的に暖気回収室に回収することができるため、熱交換板付近に熱がこもることをより効果的に防止でき、空気の冷却効率を高めて造水をより促進することができる。
【0011】
更に、本発明の請求項3記載の造水装置は、前記暖気開口部が、前記第2の壁において水平方向に長く形成されており、前記暖気開口部の鉛直上方部に暖気取入れ用板を有することを特徴とするものである。
【0012】
このような構成にすることによって、熱交換板付近で凝縮して発熱した空気が鉛直上方に上昇し、第2の壁の表面に沿って流れる際に、暖気取入れ用板に遮られて暖気回収室へ誘導されるため、より効果的に暖気回収室に回収することができるため、熱交換板付近に熱がこもることをより効果的に防止でき、空気の冷却効率を高めて造水をより促進することができる。
【0013】
更に、本発明の請求項4記載の造水装置は、前記熱交換板が、空気の流れ方向にスリットが設けられていることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0014】
このような構成にすることによって、熱交換板付近で凝縮して発熱した空気を鉛直上方により素早く移動させることができるため、熱交換板付近に熱がこもることをより効果的に防止でき、空気の冷却効率を高めて造水をより促進することができる。
【0015】
更に、本発明の請求項5記載の造水装置は、冷水の製造に冷凍機と蒸発器を有し、電源として風力発電と太陽光発電設備を有することを特徴とするものである。
【0016】
このような構成にすることによって、電源等が整備されていない地域においても、自律的に造水装置を稼働できる。
【0017】
更に、本発明の請求項6記載の造水装置は、飲料用と樹木用に分かれ、飲料用はろ過装置を経て消毒を行い、樹木用は必要な栄養素を添加し給水車で給水することを特徴とするものである。
【0018】
このような構成にすることによって、造水装置で作られた水を多目的に利用できる。
【0019】
更に、本発明の請求項7記載の造水装置は、排出煙突に翼車でエネルギー回収を行うことを特徴とするものである。
【0020】
このような構成にすることによって、造水装置としてのエネルギー効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の造水装置によれば、乾燥地域、電源が整備されていない地域においても、自律的に造水できるようになっており、日常的に又干ばつ時にも水不足に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】は本発明の造水装置の熱交換板の拡大図である。
【
図3】は本発明の造水装置の暖気開口部と暖気取入れ用板の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図3に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した造水装置の断面模式図、
図2は
図1の造水装置の熱交換板の拡大図、
図3は
図1の造水装置の暖気開口部と暖気取入れ板の拡大図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の造水装置は、外気取込口2と、
流路6と、暖気回収室10と、排出煙突13を有し、前記流路6は冷水槽4との間に設けられた第1の壁61と暖気回収室10の間に設けられた第2の壁62とに挟まれて形成されており、前記第1の壁61に熱交換板5が設けられ、前記第2の壁62に前記暖気回収室10に通じる暖気開口部9が設けられ、空気が前記熱交換板5付近で冷却されることで生じる凝縮水15を回収する回収部を有し、回収された凝縮水15は貯留槽16に貯めることができる。外気から取り入れられた空気は、外気取込口2、流路6、暖気開口部9、暖気回収室10及び排気煙突13を順次経由して、造水装置から排出される。
【0025】
また、流路6は斜め上方に形成されており、流路6の上側に暖気回収室10が配置され、流路6の下側に冷水槽4が配置することができる。
【0026】
冷水の製造に冷凍機27と蒸発器23を有し、これらの機器を動かすために風力発電設備35や太陽光発電設備36を活用することもできる。
【0027】
凝縮水15は、飲料水20と樹木用水33に分かれ、飲料水20はろ過装置17を経て消毒19を行い、樹木用水33は必要な栄養素を添加し、各々飲料用給水車21と樹木用給水車34で給水することもできる。
【0028】
排出煙突13には、翼車29を取り付けてエネルギー回収を行うこともできる。
【0029】
また、
図2に示すように、本発明の造水装置の熱交換板5は、冷水槽4側に突出する冷水槽内熱交換板51と流路6側に突出する空気流れ部熱交換板52からなり、空気流れ部熱交換板52は空気の流れ方向にスリットが設けられている。
【0030】
また、
図3に示すように、本発明の造水装置の暖気開口部9と暖気取入れ用板8は、暖気開口部9が、流路6内における空気の流れに略直交する方向に幅広で形成されており、暖気開口部9の鉛直上方部に暖気取入れ用板8を有する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
乾燥地域において、確実に安全に空気中より一定量の水を生成し、且つ干ばつ対策に対応することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 空気の流れ
2 外気取込口
3 フィルター
4 冷水槽
5 熱交換板
6 流路
7 凝縮熱
8 暖気取入れ板
9 暖気開口部
10 暖気回収室
11 熱交換器
12 上部暖気流れ
13 煙突
14 大気解放
15 凝縮水
16 貯留槽
17 ろ過装置
18 活性炭槽
19 消毒槽
20 飲料水
21 飲料用給水車
22 補給水
23 蒸発器
24 蒸発器よりの冷水
25 温水
26 給水
27 冷凍機
28 冷凍機よりの冷水
29 翼車
31 真空タンク
32 熱交換器用補給水
33 樹木用水
34 樹木用給水車
35 風力発電設備
36 太陽光発電設備
51 冷水槽内熱交換板
52 空気流れ部熱交換板
61 第1の壁
62 第2の壁
【要約】
【課題】乾燥地域など水不足の地域において確実に安全に水を確保する事。
【解決手段】煙突効果により集められた空気1は空気取込口2とフィルター3を通り、凝縮装置に入っていく。凝縮装置の冷水槽4と熱交換板5で反応した空気には凝縮水15が発生し、凝縮熱7が発生する。凝縮熱7は暖気取入れ用板8と暖気開口部9を経て、上部暖気流れ12に抜け、煙突13より大気中14に解放される。発生した凝縮水15を集め貯留槽16にため飲料水20と樹木用水33に分け、必要箇所に供給するシステムとなっている。
【選択図】
図1