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  • 特許-減速機の水冷構造及び減速機アセンブリ 図1
  • 特許-減速機の水冷構造及び減速機アセンブリ 図2
  • 特許-減速機の水冷構造及び減速機アセンブリ 図3
  • 特許-減速機の水冷構造及び減速機アセンブリ 図4
  • 特許-減速機の水冷構造及び減速機アセンブリ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-27
(45)【発行日】2023-08-04
(54)【発明の名称】減速機の水冷構造及び減速機アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20230728BHJP
【FI】
F16H57/04 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022514678
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2019114073
(87)【国際公開番号】W WO2021042468
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】201910827634.7
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522084131
【氏名又は名称】精▲進▼▲電▼▲動▼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】李 建文
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 旭▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】余 平
(72)【発明者】
【氏名】袁 ▲軍▼▲偉▼
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6997238(US,B1)
【文献】中国実用新案第203500440(CN,U)
【文献】特表2008-500497(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2721975(FR,A1)
【文献】特開2007-294891(JP,A)
【文献】特開昭51-1862(JP,A)
【文献】特開2007-2871(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2387206(GB,A)
【文献】特開2012-237358(JP,A)
【文献】特開2010-939(JP,A)
【文献】特開2019-140276(JP,A)
【文献】実開昭59-38118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機の水冷構造であって、
前記水冷構造が、減速機ハウジングによって形成されたチャンバー、及びカバープレートを含み、前記カバープレートが前記チャンバーに固定接続されており、
前記チャンバーに水入口及び水出口がそれぞれ設けられており、前記チャンバーの対向する両側壁にさらに奇数個の仕切り板が設けられており、前記仕切り板が、千鳥状に配置されており、前記チャンバーの一方の側壁のみに接続され、対向する他方の側壁との間に隙間が存在することにより、曲がりくねった水路が形成されており、前記水入口及び水出口が前記チャンバーの同じ側に設けられており、
前記仕切り板、及び前記仕切り板に平行なチャンバーの側壁に、さらに複数のバッフル板が垂直に設けられており、前記バッフル板が千鳥状に配置されており、その一端が前記仕切り板又は前記仕切り板に平行な前記チャンバーの側壁に接続され、他端と前記仕切り板又は前記仕切り板に平行な前記チャンバーの側壁との間に隙間が存在し、
前記チャンバーの底部にさらに減速機アセンブリの潤滑油によって伝達された熱を取り除くための波状の放熱リブが設けられていることを特徴とする減速機の水冷構造。
【請求項2】
前記チャンバーの底部にさらに放熱柱が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の水冷構造。
【請求項3】
前記減速機ハウジングによって形成されたチャンバーが前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、又は固定接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の水冷構造。
【請求項4】
前記仕切り板及びバッフル板と前記チャンバーとの間、及び、仕切り板とバッフル板との間が、鋳造成形されるか、又は溶接成形されている、ことを特徴とする請求項1に記載の水冷構造。
【請求項5】
前記放熱柱が前記チャンバーと鋳造成形されるか、又は溶接成形されている、ことを特徴とする請求項2に記載の水冷構造。
【請求項6】
前記放熱柱の横断面が、円形、楕円形、多角形のいずれか1つの形状である、ことを特徴とする請求項2又は5に記載の水冷構造。
【請求項7】
前記チャンバーが、前記減速機ハウジングの底部及び/又は前記減速機ハウジングの両側壁に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の水冷構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の水冷構造を含む、ことを特徴とする減速機アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機の製造分野に関し、具体的に、減速機アセンブリの運転温度を低減するための、減速機の水冷構造及び減速機アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
純粋な電気自動車又はハイブリッド新エネルギー自動車に使用される電動機は、回転域が広くて回転速度が速く、減速機アセンブリが高回転域で運転する場合、ギアのオイル撹拌損失が大きく、大量の熱が発生するため、減速機アセンブリの温度が急速に上昇するようになり、同時に、モータの作動時に発生した熱がハウジングを介して減速機アセンブリへ伝導され、減速機アセンブリの温度上昇が更に急激になる。
【0003】
現在の減速機アセンブリのほとんどは、空冷設計を採用しており、冷却効果が悪く、放熱がタイムリーではないため、減速機アセンブリの内部温度が高くなりすぎ、ベアリング、ギア、オイルシールなどの部品が高温で長時間運転すると、早期故障が発生しやすく、減速機アセンブリの設計寿命と信頼性が低下し、新エネルギー自動車の設計要件に応えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みて提案されたものであり、上記課題を解決するか、又は少なくとも部分的に解決するための技術案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明の1つの局面では、減速機の水冷構造が提供されており、前記水冷構造が、減速機ハウジングによって形成されたチャンバー、及びカバープレートを含み、前記カバープレートが前記チャンバーに固定接続されており、
前記チャンバーに水入口及び水出口がそれぞれ設けられており、前記チャンバーの対向する両側壁にさらに1つ又は複数の仕切り板が設けられており、前記仕切り板が、千鳥状に配置されており、前記チャンバーの一方の側壁のみに接続され、対向する他方の側壁との間に隙間が存在することにより、曲がりくねった水路が形成されており、前記水入口及び水出口がそれぞれ水路の両端に設けられており、かつ、
前記仕切り板、及び前記仕切り板に平行なチャンバーの側壁に、さらに複数のバッフル板が垂直に設けられており、前記バッフル板が千鳥状に配置されており、その一端が前記仕切り板又は前記チャンバーの側壁に接続され、他端と前記仕切り板又は前記チャンバーの側壁との間に隙間が存在する。
【0007】
また、前記チャンバーの底部にさらに複数の放熱柱が設けられていてもよい。
【0008】
また、前記チャンバーの底部にさらに波状の放熱リブが設けられていてもよい。
【0009】
また、前記チャンバーが前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、又は固定接続されていてもよい。
【0010】
また、前記カバープレートが前記チャンバーと一体的に鋳造成形されるか、又は固定接続されていてもよい。
【0011】
また、前記仕切り板及びバッフル板と前記チャンバーとの間、及び、仕切り板とバッフル板との間が、鋳造成形されるか、又は溶接成形されていてもよい。
【0012】
また、前記放熱柱が前記チャンバーと鋳造成形されるか、又は溶接成形されていてもよい。
【0013】
また、前記放熱柱の横断面が、円形、楕円形、多角形のいずれか1つの形状であってもよい。
【0014】
また、前記チャンバーが、前記減速機ハウジングの底部及び/又は前記減速機ハウジングの両側壁に設けられていてもよい。
【0015】
本発明のもう1つの局面では、上記のいずれか1項に記載の水冷構造を含む減速機アセンブリが提供されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下の利点を有する。
【0017】
本発明の水冷構造は、減速機ハウジングと共に1つの部品に統合されており、構造が簡単であり、スペースが節約され、車両での配置が便利であると同時に、構成部品の点数が減少し、減速機アセンブリの複雑性が低減され、簡単で信頼性が高い。
【0018】
本発明は、水路の底部に、隆起した放熱柱及び波状の放熱リブが設計されており、冷却液が水入口から流入し、多段の放熱柱及びバッフル板を順次に通過し、放熱柱の表面によって十分に熱交換し、そして、前記波状の放熱リブによって放熱接触面積が増加し、冷却効率がさらに向上し、車両の高回転速度での運転要件に応えられる。
【0019】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎず、本発明の技術手段をより明らかに理解して、それらを明細書の内容に従って実施することができるように、また、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点をより容易に理解するために、以下、特に本発明の具体的な実施形態を例示する。
【0020】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施例における減速機の水冷構造が減速機アセンブリの側面に位置する模式図である。
図2図2は、図1の左側面図である。
図3図3は、図1におけるA-Aに沿った断面図である。
図4図4は、図3におけるB-Bに沿った断面図である。
図5図5は、本発明の別の実施例における減速機の水冷構造が減速機アセンブリの底部に位置する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は、様々な形態で実現されてもよく、ここに記載の実施例によって制限されないことを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供されるものである。
【0023】
本発明に記載される「及び/又は」とは、それぞれが単独で存在する場合も、両方が同時に存在する場合も含むことを指す。
【0024】
本発明に記載される「内、外」とは、装置自体に関して、装置の内部を指し示す方向が「内」であり、逆の方向が「外」であることを指す。
【0025】
図3及び図4を参照して、本発明の実施例による水冷構造が、減速機ハウジングによって形成されたチャンバー、及びカバープレートを含み、前記カバープレートが前記チャンバーに固定接続されており、前記チャンバーに水入口1及び水出口2がそれぞれ設けられており、前記チャンバーの対向する両側壁にさらに1つ又は複数の仕切り板6が設けられており、前記仕切り板6が千鳥状に配置されており、前記チャンバーの一方の側壁のみに接続され、対向する他方の側壁との間に隙間が存在することにより、曲がりくねった水路が形成されており、前記水入口1及び水出口2がそれぞれ水路の両端に設けられており、かつ、
前記仕切り板6、及び前記仕切り板6に平行なチャンバーの側壁に、さらに複数のバッフル板4が垂直に設けられており、前記バッフル板4が千鳥状に配置されており、その一端が前記仕切り板又は前記チャンバーの側壁に接続され、他端と前記仕切り板又は前記チャンバーの側壁との間に隙間が存在する。
【0026】
そのうち、図4には、仕切り板6が1つのみ存在する場合が示されているが、本発明の仕切り板の数が1つに限られない。前記仕切り板が奇数個である場合、前記水出口及び水入口がチャンバーの同じ側にあるため、取り付けが便利であり、スペースが節約される。さらに、図4におけるバッフル板4はすべて縦置きで対称に配置されているが、不規則に分布されていてもよい。
【0027】
本発明の当該実施例は、仕切り板及びバッフル板の設計により、冷却水が水冷チャンバー内を十分に流れ、仕切り板及びバッフル板と熱交換し、冷却効率が向上される。
【0028】
1つの好ましい実施例において、前記チャンバーの底部にさらに複数の放熱柱3が設けられており、前記放熱柱3がチャンバーの底部に規則的に又は組をなして配置されてもよいし、不規則に分布されてもよく、これにより、多段的かつ多階層的にチャンバーの底部の他側の潤滑油を冷却するという目的が実現される。
【0029】
好ましくは、前記チャンバーの底部にさらに波状の放熱リブ5が設けられており、前記放熱リブ5が複数組又は1組設けられてもよく、これにより、放熱接触面積が増加し、潤滑油が波状の放熱リブ5の内側を流れ、冷却水が波状の放熱リブ5の外側を流れ、減速機アセンブリの潤滑油によって伝達された熱を取り除く。
【0030】
一実施例において、前記チャンバーが前記減速機ハウジングと一体的に鋳造成形されるか、又は固定接続されており、前記カバープレートが前記チャンバーと一体的に鋳造成形されるか、又は固定接続されている。そのうち、上記の固定接続は、溶接、ボルト接続などの様々な形式が可能であるが、ここでは特に限定しない。
【0031】
一実施例において、前記仕切り板及びバッフル板と前記チャンバーとの間、及び、仕切り板とバッフル板との間が、鋳造成形されるか、又は溶接成形されており、かつ、前記放熱柱が前記チャンバーと鋳造成形されるか、又は溶接成形されている。一体的に鋳造成形されるか、又は溶接成形されることで、仕切り板、バッフル板及び放熱柱とチャンバーの底部との接続強度が保証され、製造のフローが簡素化される。
【0032】
一実施例において、前記放熱柱の横断面が、円形、楕円形、多角形のいずれか1つの形状であり、その中、多角形としては、三角形、ひし形などの四辺形であってもよいし、より良い放熱効果を達成するために、5つ以上の辺を持つ多角形であってもよい。
【0033】
好ましくは、前記チャンバーが、前記減速機ハウジングの底部及び/又は前記減速機ハウジングの両側壁に設けられている。勿論、前記水冷構造が、必要に応じて、減速機ハウジングのいずれの位置にも設けられ得る。
【0034】
本発明に開示された水冷構造は、減速機ハウジングと共に1つの部品に統合されており、構造が簡単であり、スペースが節約されると同時に、水路の底部に、隆起した放熱柱3及び波状の放熱リブ5が設計されており、冷却効率がさらに向上する。
【0035】
本発明の水冷構造の作動フローは、次の通りである。冷却液が、水入口1から流入し、多段の放熱柱3及びバッフル板4を順次に通過し、放熱柱3の表面によって十分に熱交換し、そして、波状の放熱リブ5によって放熱接触面積が増加し、潤滑油が波浪リブ5の内側を流れ、冷却液が波浪リブ5の外側を流れ、減速機アセンブリの潤滑油によって伝達された熱が取り除かれ、冷却液が冷却器の底部に到達してから再び折り返され、同様に多段の放熱柱3及びバッフル板4を再び通過してから、水出口2から流出し、このように、1回の冷却循環が完了される。
【0036】
本発明のもう1つの局面では、上記減速機の水冷構造を含む減速機アセンブリが提供されている。
【0037】
上記したのは、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲はこれに限定されない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に想到され得るあらゆる変更又は置換は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の保護範囲に基づくべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 水入口、2 水出口、3 放熱柱、4 バッフル板、5 波浪リブ、6 仕切り板
図1
図2
図3
図4
図5