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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20230731BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20230731BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20230731BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230731BHJP
   F21V 25/00 20060101ALI20230731BHJP
   F21V 21/03 20060101ALI20230731BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230731BHJP
【FI】
H05B47/19
F21S9/02 200
F21V23/04 500
F21V23/00 170
F21V23/00 115
F21V23/00 113
F21V25/00 100
F21V21/03 456
F21Y115:10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019170849
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021048090
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-06-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発表した刊行物:「Nuシリーズ防災灯」パンフレット 発行者名:NECライティング株式会社(現株式会社ホタルクス) 発表年月日:平成30年10月 発表したウェブサイト:http://www.hotalux.com/corporate/press/2019-05-30.html 発行者名:株式会社ホタルクス 発行年月日:令和1年5月30日 発表した展示会:「2019防災産業展in東京」 発表者名:株式会社ホタルクス 発表年月日:令和1年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(73)【特許権者】
【識別番号】591186671
【氏名又は名称】株式会社エルコ
(73)【特許権者】
【識別番号】518250081
【氏名又は名称】株式会社エヴァース
(73)【特許権者】
【識別番号】503041063
【氏名又は名称】沖本 成正
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】真野 泰広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 満
(72)【発明者】
【氏名】沖本 成正
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-219152(JP,A)
【文献】特開2019-083136(JP,A)
【文献】特開2018-098213(JP,A)
【文献】特開2019-133899(JP,A)
【文献】特開2016-219155(JP,A)
【文献】特開2018-133172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0268697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 19/00-19/06
23/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の前面側に配置され複数のLEDが実装された基板からなる光源と、
前記本体に配置されたEPSS受信機、蓄電池および電源回路と、
前記本体の前面側の全面を包むように覆うセードと、
を備えた照明器具であって、
前記EPSS受信機は、EPSS送信機からの停電検知信号を受信するとともに、前記蓄電池の充放電制御を行うものであって
通常時は、前記電源回路は配線系統から出力された商用電源を直流電力に変換して前記光源と前記EPSS受信機に供給するとともに、前記EPSS受信機により前記蓄電池の充電制御を行い
停電発生時は、前記EPSS受信機が前記停電検知信号を受信し前記蓄電池から直流電力が前記EPSS受信機を介して前記光源に供給される、ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記本体の背面側に開口が配置され、
前記開口内部に前記EPSS受信機、蓄電池および電源回路が収納されるとともに、
前記本体は取付部品に収納可能である、
ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記本体の背面に設けられた一対の保持部材と
前記一対の保持部材と対向するように、前記取付部品に設けられた一対の係止部材と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記電源回路は前記本体の背面の前記一対の保持部の間に設けられ、
前記EPSS受信機と前記蓄電池は前記一対の保持部の外側に設けられたことを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項5】
前記電源回路に接続する電源端子台が前記取付部品に設けられたことを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項6】
前記本体は中央に形成された開口と前記開口を中心に天井側に突出する凸部と、
前記凸部付近に配置された前記蓄電池および前記EPSS受信機、前記開口に挿通され配線器具に取り付けられて前記本体を支持する取付アダプタと、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項7】
前記EPSS信機は前記商用電源が遮断され停電が発生したことを検知して停電検知信号を発信し、前記EPSS信機は前記停電検知信号を受信して前記蓄電池から直流電力を出力して前記光源を点灯することを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項8】
前記照明器具の点灯/消灯は、通常時は壁スイッチ、前記EPSS送信機に設けられた操作スイッチまたはリモートコントローラにより操作されることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項9】
前記EPSS送信機は交流電力が供給されるコンセントに機械的及び電気的に接続されるものであることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項10】
前記EPSS送信機は、裏面にコンセントに差し込まれて電気的に接続するプラグと、表面に照明器具の消灯/点灯を操作する操作スイッチと前記EPSS送信機の作動状態を表示する表示用LEDと、前記EPSS信機とペアリングを行うためのペアリング確定ボタンを備えていることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項11】
前記EPSS送信機又は前記光源に設けられた照度センサまたは人感センサの検知信号により前記光源の消灯/点灯が操作されることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項12】
前記EPSS送信機と前記EPSS受信機の間の無線通信は、2.4GHZの特定小電力無線、その他周波数帯域の無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、赤外線のうちの一つの無線信号が用いられることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項13】
前記光源に前記蓄電池が接続された状態で前記EPSS受信機のペアリング用ボタンを操作し、前記EPSS信機のペアリング確定ボタンを操作することにより、前記EPSS受信機と前記EPSS送信機とのペアリングが確立することを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項14】
前記EPSS受信機を内蔵する複数の照明器具であって、前記EPSS送信機から送信された停電検知信号が前記EPSS受信機で受信され、前記照明器具が同時に操作されることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項15】
前記本体の前面側にはリモートコントローラから送信される無線信号の受信部が配設されていることを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項16】
前記基板の周辺部に前記本体に対し垂直に立ち上がる隔壁と、
前記隔壁に隣接して配置された台形部と一対の脚部からなるインジケータ支持台と、
前記インジケータ支持台の台形部に前記隔壁に沿うように載置されたインジケータを有することを特徴とする請求項記載の照明器具。
【請求項17】
前記インジケータは赤色に発光するLEDと緑色に発光するLEDがそれぞれ内蔵された外径が筒状であることを特徴とする請求項16に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平常時は通常の照明器具として、非常時は防災灯として使用できる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、照明器具は、戸建住宅、事務所などの一般建築物をはじめ、学校、体育館、病院、劇場、展示場、百貨店、工場、倉庫などの特殊建築物の屋内などで広く使用されている。これらの建築物に用いられる照明器具は、通常、天井(器具取付面)や壁面等の高所に設置され、商用電源などの供給を受けて点灯する。そして、これらの照明器具は、屋内配線の途中に設けられた壁スイッチや、照明器具付属のリモートコントローラ(リモコン)のボタン操作等によって、照明器具の点灯/消灯等が操作される。
【0003】
正常時以外を想定して設置される防災照明器具として、誘導灯と非常灯が知られている。誘導灯は、消防法で規定され、初期段階の避難誘導を目的とし、24時間毎日稼動することを前提としている。
【0004】
非常灯(非常用照明器具)は、建築基準法、電気用品安全法で特殊建築物や無窓の居室を有する建築物での設置が義務付けられており、火災に伴って生じる停電の際に点灯し、消防隊の救助作業時の照明確保を目的として非常灯の設置基準が定められている。
一般社団法人日本照明工業会が認定する非常灯は、非常点灯時間30分以上、蓄電池(バッテリ)としてJIS規格のニッケル水素電池(Ni-MH)を用いること、非常点灯時連続点灯することが必要である。蓄電池の交換目安は4年から6年であり、制御回路不要である反面、常時充電の専用回路が必要とされる。
【0005】
一方、地震や台風など自然災害や発電設備の不具合などにより商用電源の送電が停止し、停電が発生した場合、それまで点灯していた照明器具が突然消灯することになる。特に夜間に停電が発生時は、身近なところに、懐中電灯、ランタンやろうそくなどがあればしばらくあかりを確保することができ、非常灯が設置されているときは、非常灯が点灯し、30分以上の点灯時間を確保することができる。
しかしながら、上記のような非常灯が設置されていたとしても、地震等の発生に起因する停電は、30分ほどの短時間では送電が回復する見込みは少なく、また、たとえ、懐中電灯などのあかりが用意されたとしても、薄あかりであって、長時間耐えられるものではない。戸建住宅などでは非常灯が設置されてないため、停電発生に伴う照明器具の消灯が長時間に亘って継続することになる。
【0006】
そこで、突然の停電時の解決策として、非常時に点灯させる非常用電源(バッテリ)を備えた照明器具が知られている。停電を検知すると、非常用電源(バッテリ)からの電力供給によって、点灯し、非常灯としての役割を果たす照明器具が提案されている(特許文献1、2、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-92586号公報
【0008】
【文献】登録実用新案第3154761号公報
【0009】
【文献】特開2016―39033号公報
【0010】
【文献】特開2014―197494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、商用電源の停電時に停電検知信号を発信するリモコン送信機を電源コンセントに接続した状態でセットしておき、停電が発生時に、リモコン送信機から発信された停電検知信号により点灯する照明器具を提供するものである。しかしながら、この照明器具は蛍光ランプを使用する丸形のシーリングライトであり、LED等の発光素子に比べ多くの電力が必要とされるため、バッテリの消費量は大きく、比較的短時間の点灯に限られる。また、壁スイッチを使用しないため、照明器具の操作は、リモコン送信器に限られるなどの課題があった。
【0012】
特許文献2では、シーリングライト等、LEDを用いた照明器具において、地震等による停電を検出センサで検知し、照明器具に備えられた充電式電池からの電力供給によって照明器具を点灯させるものである。ここでは、停電検知センサが照明器具内に備えられたものであり、壁スイッチによる照明器具の点灯/消灯操作に関係なく、停電検知センサには常時電力が供給されているため、照明器具を点灯/消灯する壁スイッチ経由の電力系統の回路の他に、停電検知センサを常時起動させておくための別の電力系統が必要となり、そのための専用工事が必要となるなど照明器具の設置上の課題があった。
【0013】
特許文献3では、LED光源を正面側に支持する本体を有する光源と、本体を収容可能な取付部品を備え、本体または取付部品に設けられた保持部材と係止部材との係合により組み立てられるタイプの、いわゆる一体化ベース照明といわれる照明器具が記載されているが、防災灯の機能を有するものではない。
【0014】
また、特許文献4では、コンセントに接続して商用電源等の停電を検知し他の機器に停電検知信号を発信する機器が記載されている。
【0015】
そこで、本発明は、先行技術文献の課題を解決するために、LEDを光源とする照明器具であって、停電検知機能を備えたEPSS送信機と照明器具内に設置されたEPSS受信機と蓄電池を用いることにより、通常時は照明器具として機能し、非常時は長時間点灯する防災灯として機能する照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の観点に係る照明器具は、
本体の前面側に配置され複数のLEDが実装された基板からなる光源と、
前記本体に配置されたEPSS受信機、蓄電池および電源回路と、
前記本体の前面側の全面を包むように覆うセードと、
を備えた照明器具であって、
通常時は、前記電源回路は配線系統から出力された商用電源を直流電力に変換して前記光源と前記EPSS受信機に供給し、
前記EPSS受信機は前記蓄電池に直流電力を供給し、
停電発生時は、前記蓄電池は前記EPSS受信機を通して前記光源に直流電力を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、照明器具にEPSS受信機と蓄電池を備え、停電時にコンセントに設置されたEPSS送信機から送信された送信信号を照明器具に配置されたEPSS受信機で受信し、照明器具内に備えた蓄電池から電力を供給することによって、専用工事を必要とせずに、照明器具を長時間点灯可能な防災灯として機能させることができる。
なお、EPSSとは、Emergency Power Supply Systemの略であり、非常時給電システムを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1に係る照明器具を示す平面図、正面図、側面図である。(A)が平面図、(B)が正面図、(C)が側面図である。
図2図1に示す照明器具のA-A線の断面図である。
図3】実施の形態1に係る取付部品を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る取付部品の係止部材を示す斜視図である。
図5】(A)実施の形態1に係る光源を示す斜視図、(B)実施の形態1に係る光源の端部を基板側からみた斜視図である。
図6】光源の各部品の配線概略図である。
図7】(A)実施の形態1に係る照明器具の動作手順の概略説明図、(B)実施の形態に係る照明器具の動作手順の概略説明図である。
図8】(A)実施の形態2に係る照明器具の概略斜視図、(B)同照明器具の概略断面図である。
図9】(A)実施の形態2に係る照明器具の概略斜視図、(B)他の実施の形態に係る照明器具の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の理解を容易にするために本発明の実施の形態1に係る照明器具の例を図1乃至図4を参照して説明する。本発明の実施の形態1に係る照明器具は、一般に一体化ベース照明と称されるLEDが基板上に一直線に並ぶ形で実装された光源を有する照明器具である。
【0020】
なお、以下に説明する実施の形態1は、本発明の一具体例を示すものであるから、実施の形態に記載されている構成部品の配置、機能、数値などは、あくまで一例であって、これらによって本発明の範囲が限定解釈されるものではない。
また、照明器具を構成する配線など部材の一部は、図面が煩雑になるため省略してある。
【0021】
(実施の形態1) 図1は、本発明の実施の形態1に係る照明器具を示す平面図、正面図、側面図である。
(A)が平面図、(B)が正面図、(C)が側面図である。図1に示すように、実施の形態1に係る照明器具1は、取付部品2と光源3とを備えている。取付部品2は天井9などの照明器具1の設置場所(器具取付面)に固定され、光源3が取り付けられた後、これを保持する部品である。取付部品2は、照明器具本体、搭載器具等の名称で呼ばれる部品である。光源3は、照明器具1の光源を構成する光源部品であり、光源モジュール、光源ユニット等の名称で呼ばれる部品である。
【0022】
取付部品2は、底面長方形かつ断面台形の形状に形成され、その中央に光源3が配置されている。光源3は、略直方体の形状に形成されている。以下、取付部品2と光源3の構造について断面図を参照しながら説明する。なお、図2等において、電源回路36などの構成部品は、概略断面図として描き、断面を表すハッチングおよび内部構造は省略した。
【0023】
図2は、図1に示す照明器具のA-A線の断面図である。図2は、照明器具1が天井9に設置された状態を示す。照明器具1が天井9に設置された状態で、鉛直方向(設置面に垂直な方向)をZ軸と定める。A-A線断面に直交する方向(図1で光源3の長辺方向)をX軸、A-A線断面内でZ軸に直交する方向(図1で光源3の短辺方向)をY軸と定める。照明器具1が天井9に設置された状態で、XY平面は水平面である。図2に示す取付部品2は、板状部材(例えば、板金)が折り曲げられることにより形成されている。取付部品2は、端から、ベース部29、反射板28、光源取付部21、反射板28、ベース部29の順で、各構造物が配置されている。取付部品2は、建物の天井9に器具取付具27によって固定されている。
【0024】
器具取付具27は、取付部品2を照明器具1の設置場所に取り付けるための部材である。器具取付具27は、締結具(ボルトおよびナット等)で構成される。
【0025】
ベース部29は、照明器具1の設置場所である器具取付面(天井9等)に設置可能な設置面を構成する部材である。ベース部29が設置場所に当接した状態で、取付部品2は器具取付具27によって設置場所に固定される。
【0026】
反射板28は、白色塗料等が塗装されて形成され、光源3からの光を照明器具1正面側に反射する。反射板28は、光源取付部21の両側の傾斜面に配置される。
【0027】
光源取付部21は、光源3が嵌め込まれる凹部構造である。光源取付部21の底面と光源3の本体背面31Aが、光源3が光源取付部21に嵌め込まれる際に対向する。図2の例では、器具取付具27は、天井9に埋め込まれたボルトである。ボルトを通す孔が光源取付部21の底面に形成されている。ボルトを孔に通してナットで締め付けて光源取付部21を天井9に固定する。光源取付部21の内側には、光源3に電力を供給するための電源端子台(図示せず)が収容される。電源端子台は、交流電源(商用電源等)を入力し、AC入力ケーブル38Aを介して電源回路36に交流電力を供給する。
【0028】
光源取付部21には、第1係止部材40および第2係止部材50とからなる係止部材53が設けられている。後述する光源3には、係止部材53と対向する保持部材52が設けられている。第1係止部材40および第2係止部材50と、光源3が備える第1係止部材40と対向する第1保持部材60および第2係止部材50と対向する第2保持部材70とがそれぞれ係合する。
【0029】
セード37は、LED35を覆うカバーであり、グローブ等の名称で呼ばれる部品である。セード37は、例えば、光拡散性を有する透光性の樹脂材料(例えば、ポリカーボネート樹脂)によって中空でかつ、開口を有する略直方体状に形成される。セード37は、開口側が本体正面31Bに向けられた状態で、本体31に固定され、開口内にはLED35が実装された基板34が配置される。セード130は、光源120など本体110の前面部の全体を包むように前面側(床面側)から覆う。セード37は、LED35を保護するとともにLED35からの光を拡散する。
【0030】
本体31は、セード37を支持し、電源回路36、EPSS受信機90および蓄電池80を収容する筐体である。本体31は、開口を有する、正面略長方形の略直方体形状に形成されている。本体31は、本体背面31A側に開口が配置され、開口内部に電源回路36、EPSS受信機90および蓄電池80が収容される。本体31の開口と反対側には、LED35が実装された基板34が配置される。保持部材52は、係止部材53と係合することにより、本体31は取付部品2に取り付けられる。
【0031】
係止部材53は、光源3を取付部品2に取り付けるための接続具である。光源3の本体背面31Aが取付部品2側に向けられた状態で、第1係止部材40および第2係止部材50がそれぞれ、第1保持部材60に形成された第1挿入孔および第2保持部材70に形成された第2挿入孔に挿入されて、光源3が取付部品2に取り付けられる。以下に、取付部品2の第1係止部材40および第2係止部材50について説明する。
【0032】
図3は、実施の形態1に係る取付部品を示す斜視図である。取付部品2は、光源取付部21の底面に、本体背面31Aに向かって突出する第1係止部材40および第2係止部材50を備えている。取付部品2全体では、2組の第1係止部材40および第2係止部材50が配置されている。図3の例では、取付部品2の長手方向の中心から第1係止部材40および第2係止部材50の一方の組への距離と、該中心から第1係止部材40および第2係止部材50の他方の組への距離とが異なる。このことにより、作業者が光源3を誤った方向に向けて取付部品2に取り付けることを防止することが可能となる。
【0033】
図4は、実施の形態1に係る取付部品の第1係止部材および第2係止部材を示す斜視図である。第1係止部材40および第2係止部材50の少なくとも一方は、第1係止部材40と第2係止部材50が対向する方向(図2のY軸方向)からの押圧により弾性変形する。第1係止部材40は、光源取付部21の底面の向きから本体背面31Aに向かって屈曲する第1屈曲部41と、第1屈曲部41に連続し本体背面31Aに向かって延びる中間部42と、先端に形成された、後述する第1保持部材60に係止する形状を有する先端部43とを有する形状に形成されている。先端部43は、中間部42から第1屈曲部41の突出する側に湾曲し、光源取付部21の底面に向かって屈曲する。
【0034】
図4の例では、第1係止部材40は光源取付部21の底面から本体背面31Aに向かって延び、第1屈曲部41において、光源取付部21の底面の向きから第2係止部材50とは反対側に突出して本体背面31Aに向かって円弧状に屈曲する。第2係止部材50とは反対側に突出するというのは、第1屈曲部41の湾曲している部分が第2係止部材50とは反対側に凸になっていることを意味する。また第1係止部材40は、先端部43において、第2係止部材50とは反対側に湾曲し、光源取付部21の底面に向かって円弧状に屈曲する。
【0035】
第2係止部材50は、光源取付部21の底面の向きから本体背面31Aに向かって屈曲する第2屈曲部51を有する形状に形成されている。第2屈曲部51は、第1屈曲部41とは反対向きに突出する。図4の例では、第1屈曲部41は第2係止部材50とは反対側に突出し、第2屈曲部51は第1係止部材40とは反対側に突出する。すなわち、第2屈曲部51の湾曲している部分は第1係止部材40とは反対側に凸になっている。また第2係止部材50は光源取付部21の底面から本体背面31Aに向かって延び、第2屈曲部51において、光源取付部21の底面の向きから第1係止部材40とは反対側に突出して本体背面31Aに向かって円弧状に屈曲する。第1係止部材40と第2係止部材50との間には係止連結部45が設けられ、留め具46によって取付部品2の光源取付部21の底面に取り付けられている。
【0036】
図5(A)は、実施の形態1に係る光源を示す斜視図、図5(B)は実施の形態1に係る光源の端部を基板側からみた斜視図である。図5(A)に示すように、光源3の本体背面31Aに、第1保持部材60、第2保持部材70および第1保持部材60、第2保持部材70を連結する連結部材65が設けられている。第1保持部材60に第1挿入孔61、第2保持部材70に第2挿入孔71、連結部材65に第3挿入孔72、第4挿入孔74がそれぞれ形成されている。第1保持部材60、第2保持部材70および連結部材65は、本体背面31Aから光源取付部21の底面に向かって突出している。光源3全体では、第1保持部材60、第2保持部材70および連結部材65からなる2組の保持部材52が配置されている。
【0037】
光源3は、LED35と、電源回路36と、蓄電池80と、EPSS受信機90と、セード37(図2参照)と、本体31とで構成される。本体31は、LED35を正面側に保持する。光源3の本体背面31Aには、保持部材52を構成する第1保持部材60および第2保持部材70が設けられる。
【0038】
また、本体背面31Aの保持部材52の間に電源回路36が、保持部材52の外側に蓄電池80およびEPSS受信機90が設置されている。なお、図5等において、電源回路36、蓄電池80、EPSS受信機90等に接続するコード、コネクタ、電源回路36に接続する電源端子台等の部品は一部を除き記載を省略してある。
【0039】
図5(B)は、本体31の端部を本体正面31B側からみた斜視図である。基板34にはLED35が複数実装され、基板34の端部付近に設けられた入力端子33に接続するDC出力ケーブル(B)36BとDC出力ケーブル(A)91Aから直流電力が供給される。
【0040】
光源3には、複数のLED35が配置されている。LED35は、白色LEDまたは赤色、青色、緑色の組み合わせからなるLEDで構成され、平面略長方形状の基板34に、列状にほぼ等間隔で実装されている。なお、基板34に実装されるLEDは、必ずしも1列に並ぶものに限られず、例えば、複数列が平行となるように実装されていてもよい。
【0041】
図6に示すように、電源回路36は、図示しない電源端子台からAC入力ケーブル38Aを通して交流電源(商用電源)の供給を受け、直流電力に変換し、それぞれDC出力ケーブル(A)36AとDC出力ケーブル(B)36Bを通して、EPSS受信機90と、LED35が実装された基板34に、直流電力を供給する。また、電源回路36は、印加する電圧、電流を制御することにより、光源3の点灯/消灯などの調光と、昼白色、白色、電球色の発光などの調色を行う。これらの調光、調色の操作は、本体31に設けられた操作スイッチ(図示省略)またはリモートコントローラ(図示省略)を設けることによって行ってもよい。
【0042】
EPSS受信機90は、蓄電池80とDCケーブル81によって配線接続されており、蓄電池80の充放電を制御するとともに、光源3ともDC出力ケーブル(A)91Aによって配線接続している。また、EPSS受信機90は、DC出力ケーブル(B)91Bによって2つのインジケータ32A、インジケータ32Bと接続し、停電時のLED35の点灯、光源3の端部に設けられた2つのインジケータ32A、インジケータ32Bの点灯制御を行う。インジケータ32A、32Bは、EPSS送信機95とEPSS受信機90のペアリング状況や、蓄電池80の充電状況を表示する機能を有する。
【0043】
本体31の端部付近の基板側には、基板34の端部付近から本体31に対しほぼ垂直に立ち上がる隔壁32が設けられている。隔壁に隣接して、台形部と一対の脚部からなるインジケータ支持台32Cが配置されている。インジケータ支持台32Cの台形部には赤色に発光するLEDと緑色に発光するLEDがそれぞれ内蔵された筒状のインジケータ32A、32Bが、隔壁32に沿うように載置されている。隔壁32は、基板34に実装されたLED35から出射される光とインジケータ32A、32Bから出射される光が無用な干渉を生じないような高さに設定されている。
【0044】
一般に電気用品安全法に規定され一般社団法人日本照明工業会が認定する非常灯は、蓄電池としてJIS規格であるニッケル水素電池(Ni-MH)を用い、制御回路不要で安価であるが、常時充電専用回路が必要であり、交換目安は4年から6年と短く、非常点灯時連続点灯が要件である。
本発明の照明器具における光源3の連続点灯時間は蓄電池80の容量にも依存するが、凡そ10時間程度持続するように設計されている。蓄電池80としては、例えば、リン酸鉄リチウムイオン電池が使用される。この電池はリチウムイオン電池の中では、過充電/過放電に強く、長寿命であることが特徴である。
【0045】
本体背面31Aの端部に設けられた蓄電池80は、通常時はEPSS受信機からDCケーブル81を通して直流電力の供給を受けて充電され、充電が満了した段階で直流電力の供給が停止される。また、地震等に起因する商用電源の異常事故による電力供給の停止や、過負荷や短絡などの要因による配線用遮断器(ブレーカ)の電源供給の遮断などによる停電発生時には、蓄電池80から直流電力がEPSS受信機90を介して光源3に供給され点灯が開始される。
【0046】
EPSS受信機90は、本体背面31Aの保持部材52の端部側に配設されている。停電が発生すると、コンセント11に接続されたEPSS送信機95が停電を検知し、停電検知信号をEPSS受信機90に送信する。EPSS受信機90はEPSS送信機95から送信された停電検知信号を受信し、照明器具1内の電源回路36から光源3へ電力供給がされていないことを確認した後、蓄電池80から直流電力を光源3へ送電する。
コンセント11に配置されたEPSS送信機95と照明器具1に配置されたEPSS受信機90との間の無線通信は、2.4GHzの特定小電力無線を用いるが、その他周波数領域の無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信等を用いてもよい。
【0047】
また、図5(A)に示すように、EPSS受信機90の筐体の上面には、EPSS受信機90の状態を表示する表示用LED92と、EPSS送信機95との接続を確立(ペアリング)するために使用するペアリング用ボタン93が設けられている。
【0048】
図7(A)、(B)に示すように、EPSS送信機95は、略直方体の箱形の筐体を有し、裏面にコンセントに差し込まれるプラグ(図示省略)が設けられている。筐体の表面には、操作スイッチ98、表示用LED96とペアリング確定ボタン97が配置されている。
【0049】
EPSS送信機95には、電気二重層コンデンサ(図示省略)が内蔵されているが、電気二重層コンデンサの他にリチウムイオンやニッケル水素電池(Ni-MH)などの2次電池や乾電池、コイン形電池などの1次電池を内蔵し、これらを併用していてもよい。
【0050】
通常時は、コンセント11から充電され、停電発生時は電気二重層コンデンサの電力により作動する。EPSS送信機95の表面に設けられた操作スイッチ98は、照明器具1の消灯/点灯操作ができるため、コンセント11から取り外しても照明器具1を操作するリモートコントローラとして活用することができる。ただし、日常的には、商用電源の停電に備え、コンセント11に差し込まれた状態で配置される。
【0051】
EPSS送信機95は、商用電源の出力先である壁などに設置されたコンセント11に端子を差し込むことによって作動する。EPSS送信機95は、商用電源から電力供給を受け、屋内配線を通じて商用電源からの送電があることを常時監視する。地震発生、台風等の自然災害や発電所や送電線のトラブルなどに起因する非常時の停電が発生した場合、商用電源の供給が停止することにより、EPSS送信機95への送電が遮断する。そこで、EPSS送信機95は停電を検知し、停電検知信号をEPSS受信機90に送信し、EPSS受信機90は、停電検知信号を受けて蓄電池80からの電力供給によって、照明器具1は非常点灯を開始する。
【0052】
なお、戸建住宅等において許容電力を超える電力使用により、安全ブレーカが遮断したときなどに停電が発生することがある。この場合においても、電源遮断により一部又は全部の照明器具1が消灯することがあるが、EPSS送信機95は非常時と同様に停電を検知し停電検知信号をEPSS受信機90に送信し、EPSS受信機90は、停電検知信号を受けて蓄電池80による非常点灯を開始する。このような場合を想定して、照明器具1を安全ブレーカ近傍に配備しておくことによって、あかりのなかで作業ができ、早期に電源復帰を行うことができる。
【0053】
戸建住宅のほか、建築物の屋内の壁面などには、照明器具1を操作するための壁スイッチ10が配置されている。壁スイッチ10のON/OFFの操作によって、照明器具1の点灯/消灯が操作される。なお、照明器具1の点灯/消灯を操作するスイッチは、本実施の形態1では埋込型の壁スイッチ10を用いているが、これに限らず、押ボタンスイッチ、トグルスイッチなど、照明器具1の点灯/消灯を操作するスイッチであればよい。
【0054】
図7(A)に示すように、商用電源が供給される配線系統は、壁スイッチ10の手前で分岐し、一方は壁スイッチ10を経由して照明器具1に接続する。他方の配線系統は、壁面に配置されたコンセント11に接続する。照明器具1は、通常時は、壁スイッチ10のON/OFFの操作によって点灯/消灯が操作される。EPSS送信機95が接続されたコンセント11の配線系統と、照明器具1を操作する壁スイッチ10の配線系統とは、互いに独立している。
【0055】
EPSS送信機95は、壁スイッチ10のON/OFFの操作に関わりなく、コンセント11に図示しない端子を差し込むことによって、配線系統から交流電力の供給を受けて作動を開始し、通常時は通電状態を保持する。
【0056】
ここで、図7(A)を参照して、照明器具1の通常時の動作について説明する。
室内の壁面には、壁スイッチ10とコンセント11が配置され、天井(図示省略)には、3台の照明器具1が取り付けられている。本実施の形態では、1室に3台の照明器具1が配置されているが、これに限らず、照明器具1は複数の部屋にそれぞれ1台ずつ取り付けられていてもよいし、1室に1台、または1室に複数台の照明器具1が配置されていてもよい。
【0057】
EPSS送信機95には、押ボタン式の操作スイッチ98が設けられている。操作スイッチ98を1回押し下げることによって照明器具1を消灯し、もう1回押し下げることによって照明器具1を点灯する。操作スイッチ98による照明器具1の消灯/点灯操作は、通常時において、壁スイッチ10がONのときにすることができる。また、商用電源の遮断による停電等による照明器具1の非常点灯時は、蓄電池80から直流電源が出力され、点灯状態(非常点灯)を維持することになるが、照明器具1の明かりが必要でないときは、操作スイッチ98を1回ずつ押し下げることによって照明器具1の消灯/点灯操作をすることができる。
【0058】
例えば、停電等の非常時であっても、昼間であって室内が十分明るい場合など、照明器具1の明かりが必要でないときは、操作スイッチ98を押し下げる上げることで、照明器具1を消灯し、蓄電池80の節電をして夜間の点灯に備えることができる。また、必要なときは、操作スイッチ98を押し下げることによって、照明器具1を点灯することができる。
【0059】
照明器具1の停電電検知機能を作動させるには、EPSS送信機95とEPSS受信機90とをペアリングすることが必要である。設定方法は下記のとおりである。
【0060】
まず、最初に、照明器具1の近隣のコンセント11に、EPSS送信機95を差し込むと表示用LED96が赤色に点滅し10数秒後に赤色点灯に変わる。その後、送信機の操作スイッチ98を押し下げながらペアリング確定ボタン97を押し上げると表示用LED96が高速点滅しペアリング準備モードとなる。次に、EPSS受信機90に光源3に搭載された蓄電池80のコネクタ(図示省略)を接続、またはAC入力端子38BにAC入力しEPSS受信機90が給電された状態でEPSS受信機90のペアリング用ボタン93を押し下げ、EPSS送信機95の表示用LED96が高速点滅状態になったことを確認する。そして、EPSS送信機95のペアリング確定ボタン97を押し下げると、EPSS受信機90とEPSS送信機95のペアリングが完了する。
【0061】
また、複数の照明器具1を連携させる場合には、1台目の照明器具1の近隣のコンセント11に、EPSS送信機95を差し込み、表示用LED96が赤色に点滅し10数秒後に赤色点灯に変わった後、送信機の操作スイッチ98を押し下げながらペアリング確定ボタン97を押し上げると表示用LED96が高速点滅しペアリング準備モードとなり、次に接続する照明器具1の光源3に搭載された蓄電池80のコネクタ(図示省略)を各EPSS受信機90に接続し、EPSS受信機90のペアリング用ボタン93を押し下げ、表示用LED96が高速点滅状態になったことを確認後、EPSS送信機95のペアリング確定ボタン97を押し下げると、EPSS受信機90とEPSS送信機95のペアリングが完了する。
【0062】
以下、同様の操作を繰り返すことによって、複数の照明器具1に設置された各EPSS受信機90と、EPSS送信機95とをペアリンスすることができる。
複数の照明器具1を同一のEPSS送信機95とペアリングさせることにより、1台のEPSS送信機95で複数台の照明器具1を制御することが可能となる。
【0063】
なお、上記のようなペアリング設定のときは、あらかじめ光源3に蓄電池80のみを接続した状態で複数台を操作し、ペアリングが完了後に、光源3を照明器具1の本体31に取り付けるとよい。また、EPSS送信機95の電波は、建物の壁の構成材質により異なるが周囲が金属で覆われて電波が遮蔽されるような場合を除き、概ね100m程度到達可能である。
【0064】
また、EPSS送信機95をコンセント11に設置するときは、照明器具1の点灯/消灯を行う壁スイッチ10と連動しない配線系統に置く必要がある。
【0065】
次に、図7(B)を参照して、照明器具1の停電発生時(電源遮断時)の動作について説明する。
【0066】
地震等によって電源が遮断し停電が発生した場合、EPSS送信機95への電源が遮断する。EPSS送信機95は、停電検知を行い、ただちに停電検知信号を照明器具1のEPSS受信機90に送信する。EPSS受信機90は、停電検知信号を受信後、蓄電池80の直流出力によって照明器具1内の光源3を点灯し、非常点灯を開始する。また、複数の照明器具1がペアリングしているときは、各照明器具1に設置された各EPSS受信機90が、EPSS送信機95から停電検知信号を受信することによって、複数の照明器具1が一斉に点灯(非常点灯)を開始する。
【0067】
また、上記したように、EPSS送信機95には、照明器具1の点灯/消灯を操作する操作スイッチ98が設けられているが、さらに光源3に明るさを検知する照度センサや人の動きを検知する人感センサを設けることによって、地震等の非常時において、例えば、(1)EPSS受信機90がEPSS送信機95から停電検知信号を受信したとしても、室内が明るいときは非常点灯しない、(2)朝になり室内が明るくなったら消灯する、(3)人がいないときは点灯しない、などの機能を付加することができ、蓄電池80の節電や交換期間の長期化など、蓄電池80を含む照明器具1の効率的な運用を図ることができる。
【0068】
本発明は、一般住宅用のシーリングライト等の照明器具に適用することができる。以下、本発明の実施の形態2について説明する。
【0069】
(実施の形態2)
図8(A)は、本発明の実施の形態2に係る照明器具100の全体の構成を示す斜視図、図8(B)はその断面図である。
図8(A)に示すように、実施の形態2に係る照明器具100は、円形状の本体110と本体110の前面側(床面側)に配置された光源120を備えた、いわゆるシーリングライトと称される照明器具である。
【0070】
一般住宅では、天井9に、シーリングライト等を取り付けるための引掛シーリングローゼット、引掛シーリングボディ、引掛シーリング、引掛ローゼットなどと称される配線器具101が取り付けられている。配線器具101は、商用電源を出力するとともに、照明器具100を支持する役割を担っている。
【0071】
天井9に取り付けられた配線器具101に、照明器具100の専用部品として付属する取付アダプタ112が取り付けられることで、配線器具101と取付アダプタ112とが機械的及び電気的に接続される。配線器具101と取付アダプタ112との接続により、住宅内の配線系統から配線器具101を通して取付アダプタ112に交流電力が供給される。
【0072】
図8(A)は、照明器具100を取付アダプタ112、本体110、セード130に分離した斜視図であり、図8(B)はその断面図である。そこで、図8(A)、(B)を参照して、照明器具100の構成について説明する。照明器具100は、LED121が表面実装された基板122からなる光源120、中央部に開口を有する円形状の本体110、本体110の背面側(天井側)に設置された電源回路36、蓄電池80、EPSS受信機90と取付アダプタ112、本体110を覆うセード130などから構成される。
なお、他の図面と同様、図8等において、電源回路36、蓄電池80、EPSS受信機90等に接続するコード、コネクタ、電源回路36に接続する電源端子台等の部品は一部を除き記載を省略してある。
【0073】
基板122は、略円形状の平板である。基板122に実装されたLED121は、略直方体形状であって、基板122上に円環状にほぼ等間隔で実装されている。LED121は、白色LEDまたは赤色、青色、緑色の組み合わせからなるLEDで構成されている。なお、基板122は略円形状の平板に限られず、正方形、円環状の平板で構成されていてもよい。また、基板122に実装されるLED121は、必ずしも1列の環状配置に限られるものでなく、二重列以上の複数列の環状配置や碁盤目状のマトリックス形の配置、図形、アルファベット、かな、漢字形状の配置など、適宜の配置形態を採ることができる。
【0074】
本体110の背面側に設置された電源回路36は、配線器具101と機械的および電気的に接続する取付アダプタ112から延出する入力ケーブル113から電力供給を受け、基板122と、EPSS受信機90に直流電力を供給する。電源回路36は、印加する電圧、電流を制御することにより、照明器具100の点灯/消灯などの調光と、昼白色、白色、電球色の発光などの調色を行う。これらの調光、調色の操作は、本体110に設けられた操作スイッチ(図示省略)またはリモートコントローラ135によって行われる。
【0075】
EPSS受信機90は、蓄電池80と配線接続されており、蓄電池80の充放電を制御するとともに、基板122とも配線接続して、停電時のLED121の点灯、基板122の端部に設けられた2つのインジケータ32A、インジケータ32Bの点灯制御を行う。インジケータ32A、32Bは、EPSS送信機95とEPSS受信機90のペアリング状況や、蓄電池80の充電状況を表示する機能を有する。
なお、図8(B)では、壁状の隔壁123が示されているが、隔壁123、インジケータ支持台32C、インジケータ32A、32Bの構成については、図5(B)に示す実施の形態1と同じなので、ここでは図示を省略する。
【0076】
LED121が実装された基板122上の周辺部には、本体110に対しほぼ垂直に立ち上がる隔壁123が設けられている。隔壁123に隣接して、台形部と一対の脚部からなるインジケータ支持台32Cが配置されている。インジケータ支持台32Cの台形部には赤色に発光するLEDと緑色に発光するLEDがそれぞれ内蔵された筒状のインジケータ32A、32Bが、隔壁32に沿うように載置されている。隔壁32は、基板34に実装されたLED35から出射される光とインジケータ32A、32Bから出射される光が無用な干渉を生じないような高さに設定されている。
【0077】
ここで、照明器具100の天井9への取付けについて説明する。照明器具100は、取付アダプタ112を用いて配線器具101に取り付けられる。照明器具100の本体110は、金属などから形成された平板であり、中央には開口部111を有し、全体としてリング状をなしている。取付アダプタ112のツメ114は、本体110の開口部111の周辺を下から支えるように作用する。これにより、本体110を含む照明器具100は、取付アダプタ112から脱落しないように、ツメ114で保持される。本体110の前面側(床面側)には、LED35が実装された基板122からなる光源120、隔壁123のほかリモートコントローラ135から送信される無線信号の受信部124などが配設されている。
【0078】
また、本体110の背面側(天井側)には、電源回路36、蓄電池80などが配設されている。なお、光源120、電源回路36、蓄電池80、EPSS受信機90、インジケータ32A,32Bなどを構成する部材間は、図示しない配線によって接続されている。
【0079】
本体110の前面側(床面側)には、光源120からの光を床面に向けて効率よく反射するように、表面に白色塗装が施されている。
【0080】
本体110は、受信部124を備え、受信部124とリンクするリモートコントローラ135によって遠隔操作される。リモートコントローラ135は、ユーザなどによって行われた操作によって指示される内容(照明器具100をどのように制御するかの制御内容)を示す赤外線信号を出力する。赤外線信号は、例えば、制御内容を示すIR(Infrared)コードを示す信号などであればよい。リモートコントローラ135は、例えば、操作内容に応じたIRコードを示す赤外線信号を出力することで、照明器具100の制御内容を示す赤外線信号を出力する。
【0081】
本体110に設けられた受信部124は、リモートコントローラ135からの赤外線信号を受信する。受信部124は、赤外線信号を受光可能な受光素子(例えば、赤外線センサなど)によって構成される。受信部124は受信した赤外線信号を電気信号に変換し、電源回路36に供給する。電源回路36は、受信部124から供給された電気信号(例えば、赤外線信号が示す制御内容)に従って、光源120を制御して点灯/消灯、調光などを行う。すなわち、受信部124は、リモートコントローラ135から送信された赤外線信号を検出する検出部として機能する。
【0082】
これら受信部124および電源回路36等の動作によって、リモートコントローラ135による光源120の遠隔操作が実現する。例えば、ユーザがリモートコントローラ135に対して光源120を点灯させる操作を行うと、点灯を示す赤外線信号を光源120に供給し、電源回路36は、受信部124によって赤外線信号を受信し、赤外線信号に基づいて、光源120を点灯させる。例えば、ユーザがリモートコントローラ135に対して光源120を消灯させる操作を行うと、消灯を示す赤外線信号を光源120に供給し、電源回路36は、受信部124によって赤外線信号を受信し、当該赤外線信号に基づいて、光源120を消灯させる。また、ユーザが、リモートコントローラ135で光源120を調光する操作を行うと、リモートコントローラ135は、調光およびどのような調光を行うかを示す赤外線信号を送信すると、当該赤外線信号に基づいて、光源120を調光する。
【0083】
リモートコントローラ135と照明器具100の受信部124との無線通信は、赤外線信号のほか、EPSS送信機95とEPSS受信機90の間で使用される2.4GHzの特定小電力無線、その他周波数領域の無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信等を用いてもよい。
なお、本発明の実施の形態2で使用されるリモートコントローラ135の構成は、実施の形態1におけるリモートコントローラ(図示省略)にも適用することができる。
【0084】
そこで、地震等によって電源が遮断し停電が発生した場合、EPSS送信機95への電源が遮断する。実施の形態1と同様に、EPSS送信機95は、停電検知を行い、ただちに停電検知信号を照明器具100のEPSS受信機90に送信する。EPSS受信機90は、停電検知信号を受信後、蓄電池80の直流出力によって照明器具100内の光源120を点灯し、非常点灯を開始する。また、複数の照明器具100がペアリングしているときは、各照明器具100に設置された各EPSS受信機90が、EPSS送信機95から停電検知信号を受信することによって、複数の照明器具1が一斉に点灯(非常点灯)を開始する。
【0085】
EPSS送信機95には、押ボタン式の操作スイッチ98が設けられている。操作スイッチ98を1回押し下げることによって照明器具100を消灯し、もう1回押し下げることによって照明器具100を点灯する。操作スイッチ98による照明器具100の消灯/点灯操作は、通常時において、壁スイッチ10がONのときにすることができる。また、商用電源の遮断による停電等による照明器具100の非常点灯時は、蓄電池80から直流電源が出力され、点灯状態(非常点灯)を維持することになるが、照明器具1の明かりが必要でないときは、操作スイッチ98を1回ずつ押し下げることによって照明器具100の消灯/点灯操作をすることができる。
【0086】
上記のEPSS送信機95に設けられた押ボタン式の操作スイッチ98による照明器具100の点灯/消灯の操作は、リモートコントローラ135から行うこともできる。
【0087】
また、上記したように、EPSS送信機95には、照明器具1の点灯/消灯を操作する操作スイッチ98が設けられているが、さらに光源120に明るさを検知する照度センサや人の動きを検知する人感センサを設けることによって、地震等の非常時において、例えば、(1)EPSS受信機90がEPSS送信機95から停電検知信号を受信したとしても、室内が明るいときは非常点灯しない、(2)朝になり室内が明るくなったら消灯する、(3)人がいないときは点灯しない、などの機能を付加することができ、蓄電池80の節電や交換期間の長期化など、蓄電池80を含む照明器具100の効率的な運用を図ることができる。
【0088】
セード130は、光源120から出射した光を拡散する部材であり、グローブ等の名称で呼ばれる部品である。また、セード130は、光源120など本体110の前面部の全体を包むように前面側(床面側)から覆う。セード130は、照明器具100の本体110の縁部に設けられた係止部材等によって、本体110に着脱自在に取り付けられる。また、セード130は、例えば、光拡散性を有する透光性の樹脂材料(例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂)によって中空でかつ、開口を有する形状に形成される。
【0089】
図9(A)は、実施の形態2に係る照明器具を天井側からみた概略斜視図、同図(B)は他の実施の形態に係る照明器具の概略斜視図である。
図9(A)には、中央に開口部111を有し背面側に凸部115を有する円形の本体110が図示されている。円形の平板状の本体110の凸部115の周辺部に蓄電池80とEPSS受信機90が開口部111を取り囲むように載置されている。当接部材116は、天井9と本体110の凸部115との間に位置して照明器具100がぐらつかないように固定するものである。電源回路36は、本体110の凸部115内に基板122の背面側に収納されている。
【0090】
図9(B)は、本発明の実施の形態2の変形例を示す。図9(B)には、円形の平板状の本体110の凸部115の周辺部には電源回路36と蓄電池80とEPSS受信機90が開口部111を取り囲むように載置されている。
【0091】
本発明によれば、光源を備えた照明器具にEPSS受信機と蓄電池を備えることにより、通常時は照明器具として機能し、非常時はコンセントに設置されたEPSS送信機から送信された送信信号を照明器具に配置されたEPSS受信機で受信し、照明器具内に備えた蓄電池から電力を供給することによって、専用工事を必要とせず、照明器具を長時間点灯可能な防災灯として機能させることができる。
【0092】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、上記実施の形態に対して種々の変形および応用が可能である。
【0093】
上述の実施の形態では、天井(取付部)9に設置される照明器具1、100に利用されるEPSS送信機95の構成例を説明したが、照明器具1、100の取付場所やEPSS送信機95の設置場所は、天井(取付部)9や壁に設置されたコンセント11に限定されない。例えば、壁面に設置された照明器具1、100に、照明器具1、100の点灯操作を行うスイッチの配線系統と異なるコンセント11にEPSS送信機95を設置することにより、上述の実施の形態と同様の効果を期待することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 照明器具
2 取付部品
3 光源
9 天井(取付部)
10 壁スイッチ
11 コンセント
21 光源取付部
27 器具取付具(ボルト、ナット)
28 反射板
29 ベース部
31 本体
31A 本体背面
31B 本体正面
32 隔壁
32A インジケータ(赤)
32B インジケータ(緑)
32C インジケータ支持台
33 入力端子
34 基板
35 LED
36 電源回路
36A DC出力ケーブル(A)
36B DC出力ケーブル(B)
37 セード
38A AC入力ケーブル
38B AC入力端子
40 第1係止部材
41 第1屈曲部
42 中間部
43 先端部
45 係止連結部
46 留め具
50 第2係止部材
51 第2屈曲部
52 保持部材
53 係止部材
60 第1保持部材
61 第1挿入孔
65 連結部材
70 第2保持部材
71 第2挿入孔
72 第3挿入孔
73 第4挿入孔
80 蓄電池
81 DCケーブル
90 EPSS受信機
91A DC出力ケーブル(A)
91B DC出力ケーブル(B)
92 表示用LED
93 ペアリング用ボタン
95 EPSS送信機
96 表示用LED
97 ペアリング確定ボタン
98 操作スイッチ
100 照明器具(シーリングライト)
101 配線器具(引掛シーリングローゼット)
110 本体
111 開口部
112 取付アダプタ
113 入力ケーブル
114 ツメ
115 凸部
116 当接部材
120 光源
121 LED
122 基板
123 隔壁
124 受信部
130 セード
135 リモートコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9