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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】強化された膨張可能な音波減衰システム
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20230731BHJP
   E04B 1/86 20060101ALI20230731BHJP
   G10K 11/162 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
G10K11/16 120
G10K11/16 110
E04B1/86 D
G10K11/162
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018543100
(86)(22)【出願日】2017-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 US2017017060
(87)【国際公開番号】W WO2017139411
(87)【国際公開日】2017-08-17
【審査請求日】2020-02-07
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】62/388,942
(32)【優先日】2016-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518285603
【氏名又は名称】ジェームズ グレー ピラー
【氏名又は名称原語表記】PILAAR, James Gray
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ グレー ピラー
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】五十嵐 努
【審判官】樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-545900(JP,A)
【文献】特表2008-540881(JP,A)
【文献】特表平6-509755(JP,A)
【文献】特開2015-176017(JP,A)
【文献】特開2002-138591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K11/00-13/00
E04B1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮可能な音波減衰コアであって、
.1つ以上の膨張可能なチャンバと、
b.追加の強化された音波減衰、吸収、拡散性能を提供する1つ以上の音波バッフルと、
c.前記膨張可能なチャンバの第1の表面に固着されている音波減衰材料(SAM)の少なくとも第1のシートと、を含み、
前記音波バッフルが、前記膨張可能なチャンバの内部にある内部の同心形の三次元の音波バッフルであり、
前記膨張可能なチャンバが、隔壁状吸収空気空洞であり、
前記音波減衰コアが膨張したときに、膨張した前記膨張可能なチャンバに適用された少なくとも前記第1のシートの組み合わせが、持ち運び可能/移動可能な十分軽量なままであり、自然/室内光を前記音波減衰コアに取り入れ
前記音波減衰材料と膨張した前記チャンバが、これらを通して、音響透過損失(STL)を提供するように音波を遮断、吸収及び拡散するように適合され、
少なくとも25.4mm(1インチ)の、圧縮された厚さを有する、圧縮可能な音波減衰インサート。
【請求項2】
前記膨張可能なチャンバの外側の第2の表面に固着されている音波減衰材料の少なくとも第2のシートを更に含み、前記第2の表面が、前記膨張可能なチャンバの前記第1の表面の反対側にある、請求項1に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項3】
音波減衰材料の前記少なくとも第1又は第2のシートが取り付けられている前記第1又は第2の表面が、前記膨張可能なチャンバの第1又は第2のバリア表面である、請求項2に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項4】
前記1つ以上の内部音波バッフルが、前記膨張可能なチャンバの向かい合うバリア表面に取り付けられている、請求項1に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項5】
前記1つ以上のバッフルが、実質的に平行に向かい合うコア表面を提供し、前記向かい合う表面が、バリア表面である、請求項1に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項6】
音波減衰材料の前記第2のシートが、音波減衰材料の前記第1のシートに対して全く同じ又は異なるものである、請求項2または3に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項7】
前記音波減衰材料が、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、又は他の高質量/高密度材料からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項8】
前記1つ以上の音波バッフルが、円筒形、同心形、矩形、ピラミッド形、直方体形及びこれらの組み合わせから選択される形状を有し、前記1つ以上の音波バッフルが、気体、液体又は固体で満たされているチャンバを含み、前記気体が、空気、窒素、ヘリウム、水素及び酸素からなる群から選択され、前記液体が、水、海水、油及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記固体が、音響フォームビーズ、ガラスビーズ、セルロース、繊維ガラス、鉱物綿、セメント系フォーム、フェノール樹脂フォーム、砂、ポリイソシアヌレートフォーム、ポリウレタンフォーム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の圧縮可能な音波減衰コア
【請求項9】
パーティション、壁、エンクロージャ、構造体、オフィス、航空機格納庫、及びブースからなる群から選択される様々な防音デバイスを構築するために使用されることができる持ち運び可能な音波減衰パネルを形成するように、相互連結性、支持及び一体性を提供する押し出し成形されたフレームシステムによってさらに囲まれている、請求項1に記載の圧縮可能な音波減衰コア。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2016年2月10日に出願された「ENHANCE INFLATABLE SOUND ATTENUATION SYSTEM」という名称の米国特許仮出願第62/388,942号の利益を主張するものであり、この仮出願の開示内容全体を参照によって本明細書に引用したものとする。
【技術分野】
【0002】
本教示は、固着された膨張可能なコアと音響バリア材料とからなる、膨張可能な、騒音減衰、騒音吸収、騒音拡散、騒音隔離、断熱、音波遮断及び音波封じ込めのチャンバ、コア、パネル、バリア又はエンクロージャに関するものであり、膨張式音波減衰技術(Inflatable Sound Attenuation Technology)(ISAT(商標)システム)に帰結する。ISATシステムは、一定の防音及び/又は断熱から利益を得る様々な構造体及び施工プロセスにおいて使用することができる。
【背景技術】
【0003】
本発明は、全般的には、現行の対策よりも容易かつ迅速にさほど侵襲的でない方法で展開することができ、持ち運び可能、モジュール式、小型、手頃な価格にすることができ、また輸送及び発送の容易さ、重量、並びにリサイクル性に関して低い二酸化炭素排出量を有することで更なるコスト削減をもたらすことができる、ISATシステムを用いて防音対策を講じている構造体に関する。
【0004】
今日の社会では、騒音減衰、騒音吸収、騒音拡散、騒音隔離、断熱、音波遮断及び音波封じ込めのうちの少なくとも1つ以上を提供することが望ましい可能性のある状況がしばしば存在するが、これらを達成することは困難であり得る。例としては、音波減衰、音波絶縁、音波遮断及び音波封じ込めのうちの少なくとも1つから利益を得ることができる、オフィスビル、展示会フロア、屋外の会合場所及び舞台装置、アパート、コンドミニアム、タウンハウス、隣家との距離がほとんどない一戸建て住宅、並びに密集し得る又は可分の空間、屋内及び部屋を含み得る他の構造体の内部での、医療用途、軍事用途、輸送用途、建築用途、レコーディング用途、撮影用途、イベント用途、治療用途、娯楽用途及び商業用途が挙げられる。これらのタイプの構造体の占有者は、外部、例えば、街頭騒音などからの保護を含めて、静かな会議エリア、商談ブース、音楽練習室又はエリア、ホームシアター、スタジオ、子供の遊び場、ヨガ又は祈りの場、医療上の会話の秘密を守れる部屋を有することを所望し得るが、実用的かつ手頃な価格の音波減衰、音波絶縁、音波遮断及び音波封じ込めのシステムの欠如により、これらを取得又は作成することは困難であり得る。
【0005】
更に、音波減衰、音波絶縁、音波遮断及び音波封じ込めは、短時間にわたって、又は急に、恒久的な音波バリアを構築することが実用的でない若しくは手頃な価格でない状況において所望され得る。こうした状況としては、企業がプライバシーに関する懸念のために防音ブース又は防音室から利益を得ることができる展示会が挙げられるであろう。他の状況としては、近隣住民と建設現場との間の一時的な遮音壁が所望され得る、又は軍事活動の場合でも、音波減衰特性を有する膨張式の航空機格納庫がミッション中に配備され、その後、初期ミッションの完了時に撤去され(又は恒久的な構造体に置き換えられ)得る、道路建設計画が挙げられるであろう。
【0006】
それに応じて、防音、音波減衰、音波絶縁、音波遮断及び音波封じ込めを含む特性のうちの少なくとも1つ以上を有する、膨張可能な、(よって場合により単一構造の)モジュール式の、かつ持ち運び可能なシステム、デバイス、及び方法を提供することが所望される。開示される発明は、個人用途、医療用途、軍事用途、輸送用途、建築用途、レコーディング用途、撮影用途、娯楽用途、及び商業用途を含むがこれらに限定されない、幅広い種類の使用に対して音波減衰、音波絶縁、音波遮断及び音波封じ込めの改善を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、幅広い種類の個人使用、商業使用、医療使用、軍事使用、輸送使用、建築使用、レコーディング使用、撮影使用、娯楽使用、及び商業使用に対して、折り畳み可能かつ持ち運び可能な音波減衰デバイス及びシステム、並びに防音構造体を構築するための新規な押出管フレーム及び方法を提供する。
【0008】
一実施形態では、膨張可能なチャンバと膨張可能なチャンバの内部にある1つ以上の内部音波バッフルとを有する圧縮可能な音波減衰コアが開示される。チャンバはまた、優勢な表面が見えている表面であり得るとき、優勢な表面と称される膨張可能なチャンバの第1の表面に固着している音波減衰材料(SAM)の第1のシートも有することができる。チャンバはまた、第1の表面の反対側である膨張可能なチャンバの第2の表面に固着している音波減衰材料の第2のシートも有することができる。内部音波バッフルは、図2Bに示されているように膨張可能なチャンバの向かい合う内側表面に取り付けられることができ、また起伏のある又は実質的に直方体状の外側コア表面を提供し、ひいては、コアの性能に対して有益な音波減衰特性をもたらすことができる。別の実施形態では、このようなバッフルは、膨張可能なチャンバとSAMの両方を互いに取り付けさせるのではなくて、SAMを膨張可能にするようにSAM内へ直接的に組み込まれることもできる。
【0009】
一実施形態では、膨張可能なチャンバと膨張可能なチャンバの内部にある1つ以上の内部音波バッフルとを有する圧縮可能な音波減衰コア、及び優勢な表面が見えている表面であり得るとき、優勢な表面と称される膨張可能なチャンバの第1の表面に固着している音波減衰材料の第1のシートが開示される。チャンバはまた、膨張可能なチャンバの第2の表面に固着された音波減衰材料の第2のシートも有することができ、音波減衰材料の第2のシートは膨張可能なチャンバの第1の表面の反対側にすることができる。
【0010】
別の実施形態では、音波減衰材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、布又はプラスチックなどの鉛含浸材料、質量負荷ビニル(mass loaded vinyl)(MLV)、TPU(BASFのエラストランなどの熱可塑性ポリウレタン)からなる群から選択される。加えて、可撓性又は硬質フォームもまた、より高い音波吸収能力をパネルに提供するためにSAMに加えて(又はこれの代わりに)使用することができる。布又はプラスチックは、様々な厚さのフェルト、Terrastrand(登録商標)布、繊維ガラス、及びキルト状繊維ガラス吸収材からなる群から選択されることができる。可撓性又は硬質フォームは、SONEX(登録商標)フォーム、CFAB(商標)セルロースパネル、メラミンフォーム及びポリウレタンフォームからなる群から選択されることができる。更に他の実施形態では、音響パネルもまた、音波減衰コア、パネル/モジュール、及び膨張可能なチャンバに取り付けることができる。
【0011】
一実施形態では、音波減衰コアを枠にはめるための新規な押出矩形管が開示される。フレームを構築するために使用される矩形管は、幅の狭い方の寸法において、内側表面に沿った2本の平行な長手方向チャネル、中央の長手方向開口部、及び2本の平行な長手方向チャネルの反対側にある、任意追加的に1つ以上の切欠き部を有する、長手方向溝を有し、2本の長手方向チャネルは中央の長手方向開口部の下方に位置し、長手方向溝は、中央の長手方向開口部の上方にあり得、その一方で、幅の広い方の、矩形管の両側は滑らかで平行である。長手方向開口部の内側は、長手方向開口部の両側に、長手方向溝に平行であり得る長手方向突出部を有することができる。一実施形態では、長手方向溝は、長手方向開口部に開口しているが、突出部は無傷なままである、少なくとも1つの切欠き部を有することができる。
【0012】
別の実施形態では、圧縮可能な音波減衰コアと、引張り強度及び構造的一体性を提供する押出フレームと、を有する音波減衰パネルが開示され得る。フレームは、膨張した膨張可能なチャンバの優勢な表面に取り付けられている音波減衰材料のシートの外周縁部を受容することができる、少なくとも1本の長手方向チャネル又は少なくとも1本の長手方向溝を有することができる。
【0013】
別の実施形態では、パーティション、壁、ブース、防音エンクロージャ、部屋、劇場、又は外郭を形成する、複数の音波減衰パネル(構造防音パネル)を有する音波減衰構造体、別名ISATシステムが開示され得る。音波減衰構造体は、電気コンセント、セキュリティキーパッドロック、照明システム、インターネットルータシステム、スピーカシステム、照明システム(パネルごとに個別にプログラムして、スクロールするテキスト、ライトショーなどの効果を作成することができる、LEDなど)、A/Vシステム、及び暖房換気空調システムからなる群から選択される設備を更に有することができる。
【0014】
別の実施形態では、圧縮可能な音波減衰コアとSAMバリアとを有する音波減退インサートが考えられ得る。音波減退インサートは、少なくとも1層又は少なくとも2層のSAMを有することができる。2層のSAMが存在するとき、これらは、音波減衰コアの向かい合った優勢な表面に固着される。別の実施形態では、2つの音波減退コアが3層のSAMの間に配置され得、その結果、SAMの層はそれぞれの音波減衰コアの外側表面上に存在することができ、第3の層は2つの音波減衰コアの間に存在し、これらのそれぞれの隣接内側表面に固着されることができる(「クラブサンドイッチ」設計)。
【0015】
別の実施形態では、音波減退インサートは、非構造フレームに取り付けられて、非構造防音パネルを形成し得る。フレームは、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネートなどの可撓性及び/又は半硬質材料から作製されることができる。構造的一体性は、テントポールケージ(即ち、アルミニウム、炭素繊維、又は支柱を受け支えるために使用される他の材料から作製された水平及び/又は垂直及び/又は角度付きの剛性要素を使用している骨組み構造体)の使用によって達成することができる。非構造防音パネルは、構造支持材がエンクロージャ又は構造体を構築するようにテントポール構造体に固着されることができる。このようなテントポールは、例えば、テント、ファーマーズマーケットの売店、美術展の展示ブース、展示会のブースなどの持ち運び可能な構造体において一般に使用される。)
【0016】
図面及び特許請求の範囲を含めて、本明細書の残り部分を参照することにより、本発明の他の特徴及び利点は理解されるであろう。本発明の更なる特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び操作は、添付の図面に関して以下に詳細に説明される。図面においては、同様の参照番号は、全く同じ又は機能的に類似の要素を示す。
【0017】
本明細書に引用するとき、雑誌論文、原稿、書籍、教科書、特許及び公開された特許出願、URL並びにdoiジャーナル参照は、あらゆる目的のためにその内容全体を参照によって本明細書に引用したものとする。
定義
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「膨張可能なコア」及び膨張可能なチャンバ」は交換可能に使用することができ、また少なくとも1つのチャンバと、膨張可能なコアのチャンバ内部にある1つ以上の音波バッフルと、を有する膨張可能なデバイスを指すことができる。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「音波バッフル」及び「バッフル」は交換可能に使用することができ、また膨張可能なコアの内部にある少なくとも1つの内側の優勢な表面に固着されることができる、膨張可能なコアの内部にある少なくとも1つのデバイスを指すことができる。バッフルはまた、膨張可能なコアの内側側面に固着されることもでき、コアが2つ以上の膨張可能なチャンバからなる場合は、コアの内部の追加のチャンバに固着されることもできる。バッフルは、平面形状、角張った形状、直方体形状、円錐形状、ピラミッド形状、及び同心形状を含むがこれらに限定されない、2次元又は3次元の形状を有することができる。バッフルは、膨張可能なコアの優勢なバリア表面に対して実質的に直方体状の表面を確立するのに役立つだけでなく、複数のバッフルは、膨張可能なコアの平坦な(優勢な表面が平行の)、起伏のある、突出している(凸状の)、陥凹している(凹状の)又は波型の表面を促進及び助長するように、配置、高さ、形状、直径などが様々であり得る。それぞれが同じ又は異なる気体又は流体又は固体又はこれらの組み合わせで満たされている(filed)、追加の膨張可能なチャンバ及び/又はコア音波バッフルで、膨張可能なコアを更に増強できることにより、強化された音波減衰を提供することが可能である。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「音波減衰コア」、「音波減衰チャンバ」、「膨張可能な音波減衰コア」及び「圧縮可能な音波減衰コア」は、交換可能に使用することができ、また少なくとも1つの膨張可能なチャンバと、膨張可能なチャンバの内部にある1つ以上の音波バッフルと、を有する膨張可能かつ圧縮可能なデバイスを指すことができる。音波減衰コアは、利用者が減衰しようとし得る騒音の周波数に従って自由に修正することができる、膨張のレベル、膨張材料、並びに膨張可能なコア内のチャンバ及び/又はバッフルの数、配置及び構成に応じて、音波減衰、吸収及び拡散のための「調整可能な構築ブロック」デバイスの構成要素を提供する。加えて、音波減衰コアは、膨張可能なコアの片側又は両側の優勢な外側表面に固着されている1つ以上の同じ又は異なる音波減衰材料(SAM)の1つ以上の層を有することができる。
【0021】
用語「音波減衰材料(SAM)」及び「SAMバリア」は、交換可能に使用することができ、また本明細書で使用するときは、音波、とりわけ、低い周波数の音波を減衰及び吸収するために、材料が、鉛、バリウム塩、シリカなどを含むがこれらに限定されない、金属又は質量を提供する他の材料を含浸しているかどうかに関係なく、可撓性のプラスチック、布、フェルト又はフォーム材料を指すことができる。音響学及び音波減退の当業者にとっては周知であるように、SAM材料の例としては、質量負荷ビニル(MLV)、高質量/高密度PVC又はTPU(熱可塑性ポリウレタン)、並びに複合材MLV及び吸収性フォームバリアなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「パネル」及び「モジュール」及び「ISATパネル」及び「構造ISATパネル」及び「非構造ISATパネル」は、交換可能に使用することができ、また押出フレームを含むがこれに限定されない少なくとも1つのフレームを有し、膨張可能かつ圧縮可能な音波減衰コアデバイスを取り囲んで収容し、音波減衰コアに固着されている少なくとも1枚のSAMのシートを有する、圧縮可能かつ持ち運び可能なモジュール式防音デバイスを指すことができる。SAM材料は、フレームに固着することができる。防音用途に応じて、パネルは、少なくとも1つの音波減衰コアを収容している2つのフレームを有することができ、少なくとも1層のSAMが向かい合った優勢な表面の上に存在し、それによって、それぞれの同じ層が向かい合ったフレームに固着されることができる。フレームはサンドイッチのパンであると見なすことができ、減衰コアは具材であると見なすことができる。「クラブサンドイッチ」ならば、3つのフレームと、少なくとも3枚のSAMシートと、を有することになる。中央のSAMシートは、第1の面上で上部音波減衰コアに及び第2の面上で下部音波減衰コアに固着されており、中央のフレーム内に取り付けられることができる。追加のSAM層もまた、所望により、音波減退による利益を高めるために付加することができる。
【0023】
接続されたパネルの配置は、壁、パーティション及びエンクロージャを形成して、防音構造体を提供することができる。構造体は、屋内及び屋外用途での使用のために自立式にすることができる。
【0024】
用語「インサート」又は「音波減退インサート」又は「音波減衰インサート」は、交換可能に使用することができ、また膨張可能、圧縮可能、かつ持ち運び可能であるモジュール式の防音デバイスであって、膨張可能かつ圧縮可能である膨張可能なチャンバと、膨張可能なチャンバに固着された少なくとも1枚のSAMのシートと、を有する防音デバイスを指すことができる。換言すれば、フレームのない上記の「パネル」、非構造ISATパネルである。
【0025】
用語「減衰」及び「減退」は、交換可能に使用することができ、また本明細書で使用するときは、音波振動が媒体内を伝わるときのエネルギの損失を指す。エネルギの損失は、音源から発生した音の減少として感知される音波強度の損失と一致し、また所望されていない音であり得る「騒音」の減少であるとも考えられる。
【0026】
本明細書で使用するときの用語「隔壁状吸収空気空洞」は、SAMを含むがこれに限定されない、可撓性の表面を指すことができる。SAMは振動して音波エネルギを吸収するものであり、音波が、膨張したチャンバを通過するとき、チャンバは音波を吸収及び拡散することができ、その結果、音波は膨張可能なチャンバの反対側にあるSAMを十分に貫通しない。したがって、元の音は減衰及び拡散し得る。一実施形態では、SAMバリアは、例えば、空気で満たされている可撓性コアによって分離されながらも一体に保持されることから、SAMバリア間の「固い」又は直接接続は存在し得ないので、音波減衰性能が向上し得る。
【0027】
用語「フレーム」及び「構造フレーム」は、交換可能に使用することができ、また本明細書で使用するときは、特注の押出材及び「在庫のある」商業的に作製された押出材を指すことができる。フレームは、当業者にとっては周知であるように、任意の大きさに、様々な材料、例えば、アルミニウム、プラスチック及びポリカーボネートから作製することができる。
【0028】
成句「膨張式音波減衰技術」(ISAT)及び「ISATシステム」は、交換可能に使用することができ、また1つ以上のバッフルを有する1つ以上の膨張可能なチャンバを有し、かつ、それに固着されている少なくとも1つの音響SAMバリア材料を有するデバイスを指すことができる。フレームを付けると、構造ISATパネルを形成することができ、耐力フレームなしでは、非構造ISATパネルを形成することができる。ISATシステムは、一定の防音及び/又は断熱から利益を得る様々な構造体及び施工プロセスにおいて使用することができる。ISATシステムは、騒音減衰、騒音吸収、騒音拡散、騒音隔離、断熱、音波遮断を含むがこれらに限定されない、音波減退が所望され得る様々な用途に、音波封じ込めチャンバ、コア、パネル、バリア又はエンクロージャとして、使用することができる。
【0029】
音は、振幅(振動の大きさ。音量因子に影響する)及び/又は持続時間(音が持続する時間の長さ)を制御することによって減衰させることができる。音波減衰材料は、音の反射を防ぐことと、バリアとして音がISATパネルの音の発生側から反対側に到達するのを防ぐことと、の両方によって騒音エネルギを吸収することができる。音がISATモジュールの中を伝わるとき、可撓性の加圧されたコアの隔壁吸収効果は、SAMバリアの粘弾性の性質と組み合わさって、音の振動を微量の熱に変換し、音を材料全体にわたって散逸させ、その結果、有意な音波透過損失(STL)をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図は、本発明によるデバイス及びシステムの様々な態様及び構成要素を示している。
図1A】一実施形態による、膨張した膨張可能なコアを有する膨張した音波減衰パネルの断面図である(「普通のサンドイッチ」)。
図1B】一実施形態による、膨張した膨張可能なコアと、フルエッジ及びハーフエッジの接続ブラケットと、を有する膨張した音波減衰パネルの別の実施形態の断面図である。
図1C】一実施形態による、発送又は保管のために圧縮した膨張可能なコアを有する圧縮した音波減衰パネルの断面図である。
図1D】一実施形態による、2つの膨張した膨張可能なコアと3層のSAMとを有する「クラブサンドイッチ」音波減衰パネルの断面図である。
図1E】一実施形態による、発送又は保管のために圧縮された、2つの圧縮した膨張可能なコアと3層のSAMとを有する、「クラブサンドイッチ」パネルである図1Dの断面図である。
図1F】一実施形態による、図1Cの音波減衰パネルを膨張させるための、膨張可能なコアと操作可能に係合されている、自動空気ポンプの斜視図である。
図1G】一実施形態による、膨張した図1Fのパネルの斜視図である。
図1H】一実施形態による、膨張した音波減衰コア及びSAMバリア及び2層のSAMの斜視図である。
図1I】一実施形態による、音波減衰コア及びSAMバリア及び1層のSAMの斜視図である。
図2A】一実施形態による、膨張した構造ISATパネルの両方の外側(優勢な)バリア表面上に不透明な音波減衰材料を有する膨張した音波減衰パネルの斜視図である。
図2B】一実施形態による、膨張可能なコアの内部にある内部音波バッフルと、膨張した構造ISATパネルの両方の外側(優勢な)バリア表面上にある透明な音波減衰材料と、を有する膨張した構造ISATパネルの斜視図である。
図3A】一実施形態による、新規な押出フレームの横断面図である。
図3B図3Aの新規な押出フレームの長手方向斜視図である。
図4A】フレームと、音波減衰パネルの優勢なバリア表面に取り付けられたSAMのシートとの切り取り図を、構造ISATパネルの内側フレーム及び膨張可能なコアの内側図と共に示しており、図2Aに示されているフレームのそれぞれのコーナーを組み立てるために、1つは図3Bのフレーム(垂直フレーム部品)である、2つのフレーム部品を接合している直角のブラケットが示されている。
図4B図4Aの内側図の反対側から見たときの膨張した構造ISATパネルの斜視図であり、2つのフレームが、それぞれのフレームに取り付けられ、膨張可能なコアに固着されているSAMと共に示されている。
図5A】互いに上に積み重ねられているか隣接して位置付けられているかのいずれかである、2つの音波減衰パネルの2つの外側フレームエッジを垂直に又は水平に接合する接続ブラケットの一実施形態の斜視図であり、2つのフレームの外側エッジコーナーは接し、例えば、図3Bのフレームから構築される。
図5B】4枚の、例えば、図2Aの構造ISATパネルを接合する接続ブラケットの実施形態の斜視図であり、4枚のパネルのコーナーは接している、又は4枚の、例えば、図4Bのパネルのコーナーが接し、かつ図4Bに示されているように図3Aの新規な押出フレームから構築されている。
図5C】2枚の構造ISATパネル、例えば、図4Bを接合する接続ブラケットの一実施形態の斜視図であり、フレームのエッジは、図3A及び図3Bのフレームを使用して、パーティション、壁若しくはエンクロージャ又は構造体の外側フレームエッジで接している。
図5D】およそ90度の角度を作るように2枚の構造ISATパネル、例えば、図4Bを接合する連結ブラケットの一実施形態の斜視図であり、一方のフレームのエッジは、図3B又は図4Bのフレームを使用して、パーティション、壁、エンクロージャ又は構造体の内部にあるパネルの上部又は下部において他方のパネルのフレームエッジに接している。
図5E】互いに上に積み重ねられている2枚の音波減衰パネルが、互いに上に積み重ねられている他の2枚の音波減衰パネルに対しておよそ90度の角度をなしている、4枚の構造ISATパネルを接合する接続ブラケットの一実施形態の斜視図であり、フレームのエッジは、図3B又は図4Bのフレームを使用して接している。
図5F】一実施形態による、第1の構造ISATパネルに隣接して構造ISATパネルを接合するように図5Aの接続ブラケットを受容するパーティション又は壁又はチャンバの外側エッジにおいて図3Bに示されているフレームを有する構造ISATパネルの外側エッジの斜視図である。
図5G】一実施形態による、図3Bに示されているフレームを有する構造ISATパネルの外側エッジを床、壁、表面又は天井に取り付ける際に使用する右側取り付けブラケットの一実施形態の斜視図である。
図5H】一実施形態による、図3Bに示されているフレームを有する構造ISATパネルの外側エッジを床、壁、表面又は天井に取り付ける際に使用する左側取り付けブラケットの一実施形態の斜視図である。
図5I】一体に接続された3枚の膨張したパネルを示している上面図である。2枚のパネルは接合されると直角を形成し、2枚のパネルは互いに隣接している。
図6A】一実施形態において構造ISATパネルを接合する2つの異なる機械的に自由な(即ち、ねじを必要としない)接続ブラケットの斜視図を示す。
図6B】一実施形態において2枚の構造ISATパネルを外側エッジで接合する機械的に自由な接続ブラケットの斜視図を示す。
図6C】一実施形態において構造ISATパネルを接合する、図6Aに示した機械的に自由な接続ブラケットのうちの1つの斜視図を示す。
図6D】一実施形態において、互いに上に積み重ねられた2枚の減衰パネルを互いに上に積み重ねられた2枚の追加の減衰パネルの外側エッジにおよそ90度の角度で接合するように、互いに上に積み重ねられた2枚の音波減衰パネルに4枚の構造ISATパネルを接合する機械的に自由な接続ブラケットの斜視図を示す。
図6E図6Dに示されているように4枚の構造ISATパネルを接合する機械的に自由な接続ブラケットの斜視図を示しており、相互接続された3枚のパネルが示されている。
図7A】一実施形態による、9枚の膨張した音波減衰パネルの組立体の斜視図である。
図7B】一実施形態による、9枚の膨張した音波減衰パネル(SAMで増強された1つの膨張した膨張可能なインサート(即ち、膨張可能なコア)及び2層のSAM(図示せず))の組立体から構築された音波減衰壁の斜視図であり、音波減衰パネルを枠にはめるために図3Bのフレームが使用された。
図7C】音波減衰パネルの下部エッジを底/敷板に固着するように位置付けられている、底/敷板、安定床支持材、及び図7Dに示されているブラケットデバイスからなる、図7Bからの拡大斜視図である。
図7D図2A図2Bの音波減衰パネルを底/敷板に取り付けるためのブラケットデバイス斜視図である。
図7E図7Dのブラケットの逆斜視図である。
図7F】一実施形態による、9枚の膨張した音波減衰パネル(膨張したインサートは図示せず)の組立体から構築された自立式の音波減衰壁の斜視図であり、音波減衰パネルを枠にはめるために図3Aのフレームが使用された。
図8A】一実施形態による、自立式の壁に組み立てられている、図2A又は図2Bに示されている18枚の音波減衰パネル及び膨張したインサートのない1枚の音波減衰パネルフレーム、並びに互いに上に積み重ねられ、かつ、12枚のパネルからなる壁に直角に位置付けられている3枚のパネルからなる2つの壁により形成されている区分けされた領域の斜視図である。
図8B】一実施形態による、自立式の壁に組み立てられている、図2A又は図2Bに示されている30枚の音波減衰パネルの斜視図であり、2つの区分けされた直方体状の領域を有する。
図9A】一実施形態による、28枚の音波減衰パネルで構築された正方形音響バリアチャンバの左側斜視図であり、24枚のパネルは、4つの側面、即ち、それぞれに6枚のパネルを有する3つの側面と、二つ折りドアに作り上げられた6枚のパネルを有する第4の側面と、を形成し、追加の4枚のパネルは天井を形成している。
図9B図9Aのチャンバの右側斜視図である。
図9C】一実施形態による、45枚の音波減衰パネルで構築された正方形音響バリアチャンバの斜視図であり、36枚のパネルは、4つの側面、即ち、それぞれに9枚のパネルを有する3つの側面と、9枚のパネルのうちの6枚が二つ折りドアを形成する、9枚のパネルを有する第4の側面と、を形成し、追加の9枚のパネルは天井を形成している。
図9D】ISATシステムのいくつかの実施形態を示しているフロー図である。
図10A】耐力フレームなしで作製された非構造ISATパネルを支持するのに適しているテントポールケージの斜視図であり、その結果、テントポールケージは構造的一体性を提供することができるので、エンクロージャもやはりこのようなパネルから構築されることができる。
図10B】上部骨組み組立体を示している、図10Aのケージのより大きい斜視図である。
図10C図10A及び図10Bの組立体を示している、図10Bからの拡大斜視図である。この設計により、パネルはテントポールフレームに緊密に嵌合することができ、その結果、良好な防音性能を提供するために、全体的なISATシステムの一態様に過ぎない、構造体及びシステムの全ての要素間での緊密な封止が維持されることに注意されたい。
図10D図10Aのケージのフレーム部材及び敷板の斜視図である。
図10E】一実施形態による、図6Cに示されているのと同様の連結デバイスを使用しての敷板への図10Dのフレームの取り付けを示している、図10Dからの拡大斜視図である。
図10F】ケージの下側から見たときの図10Aのケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書で開示するのは、騒音減衰、騒音吸収、騒音拡散、騒音隔離、断熱、音波遮断及び音波封じ込めを実現する、音波減衰、断熱、音波遮断及び音波封じ込めのためのISATシステム及び構成要素の実施形態である。システム、方法及びキットを利用して自身で組み立てるためのISATシステムの構成要素及び方法の混成が提供される。
【0032】
様々な実施形態への参照を行うことになり、これらの実施形態の実施例は添付の図面に示されている。なお、示されている実施形態は一定の縮尺ではないので、図面は例示であり、大きさ、寸法及び比率は図面から解釈すべきではない。
【0033】
以下に説明するように、開示される膨張可能なコア、膨張可能なパネル、音波減衰材料(SAM)は、発明の膨張可能な音波減衰コア、エンクロージャ及び部屋、骨組みシステム、パネル、パーティション、壁、ブース並びに構造体を増強するものであり、これらの全てがいくつかの固有の利点を有することは理解されよう。本明細書で使用するとき、膨張可能なコアは、可撓性の膨張したチャンバを指す。用語「SAMで増強された膨張可能なコア」又は「SAMで増強されたコア」は、交換可能に使用することができ、また本明細書で使用するときは、これに固着された、当該技術分野において質量負荷ビニル(MLV)としても知られる高質量ビニルを含むがこれに限定されない、少なくとも1つのSAMを有する膨張可能なコアの優勢な表面のうちの少なくとも1つを指すことができる。
【0034】
MLVは、当業者にとって周知の製品であり、米国及びカナダの全土でほとんどの建築基準に適合する。MLVは、バリウム塩及びシリカを含有することも、高質量/高密度PVCから作製することもでき、鉛に匹敵する防音品質を提供するが、鉛に関連した危険及び問題は存在しない。MLVは、例えば、床又は木製構造体での音を減少させるために、乾式壁シート又は木製パネルの間にホチキス留め又は接着すること、及び空気伝搬騒音を小さくするために垂幕にすることができる。MLVは、どのようにパーティションに適用できるかによって、場合により、5~10STCポイントから追加することができる。防音目的でのMLVの配備は、通常、面倒で侵襲的なプロセスであり得る。
【0035】
開示される発明は、音波減衰を改良するものであり、またMLVなどのSAMの配備及び再使用が大幅に簡単になる、新規なフレーム構造を提供する。本発明者は、いずれも「Inflatable sound attenuation system」という名称である、2011年8月9日に発行された米国特許第7,992,678号及び2013年6月25日に発行された米国特許第8,469,144号の単独発明者でもあり、これらの特許の開示内容全体をあらゆる目的のために参照によって本明細書に引用したものとする。
【0036】
開示される膨張可能なコア及びSAMで増強されたコアの利点及び改良点としては、一実施形態では、膨張可能な構成要素、SAM、フレーム及び連結デバイスの中に繊維が存在しないことが挙げられ、このことは、クリーンルーム(無塵)環境及び用途で使用するために不可欠である。膨張可能なコア、SAMで増強されたコア、音波減衰パネル(フレーム内にあるSAMで増強されたコア)の構築、パネル組立体のモジュール性、並びにコア、SAMで増強されたコア及びパネルの接続性は、持ち運び、組み立て、使用していないときの保管を容易にし、また乗用車又はトラック、エレベータなどで容易に輸送することを可能にする。コア、パネル、チャンバ及び構造体は、一実施形態では、膨張していないときに、保管が容易になる大きさ、即ち、備品の下、背後に収まることができるような小さい設置面積にそれぞれ圧縮可能である。相対的に(他の防音オプションと比較して)低い重量のそれぞれの膨張可能なコア、コアとフレーム、音波減衰パネルのおかげで、結果として生じる梱包作業及び発送作業は、簡単に、かつ従来の防音対策に比べて低いコストで行うことができ、輸送に対して低い二酸化炭素排出量を有する。またパネルの構成要素の多くが再生利用可能であるのに伴い、他の防音オプションと比べてより環境に優しいものであり得る。膨張可能なコア及びSAMの更なる利点は、単独でだけでなく組み合わせであっても、それぞれが、音響透過クラス(STC)(音波遮断)値及び騒音低減係数(NRC):(音波吸収)値に加えて、断熱、即ち、寒冷環境での熱及び暑熱環境での冷却空気を維持するR値も提供することであり得る。加えて、コア材料及びSAMの両方は、発熱、並びに布地及び芸術作品の退色及び劣化を妨げるように、UV-A及びUV-Bからの保護及びこれらのフィルタリングを提供するように修正されることができる。一実施形態では、本明細書に記載される及び当業者によって想定されるパネル、パーティション、壁及びエンクロージャを作製するために使用されたフレームの剛性により、それぞれは、追加/外部の支持材を必要とせずにこれらの「独立型」パネルで作製されることができ、また、軽量かつ薄いが頑丈な断面により、フレームはたったの約1/2インチの厚さにすることができ、圧縮時には、パネルをたったの約1インチの厚さにすることができるのと同時に、最終膨張厚さは約1.5インチ、約2インチ、約3インチ、約4インチ、約5インチ、約6インチ、約7インチ、約8インチ、約9インチから、約10インチまでの厚さ又はそれ以上及び約1.5インチ~約10インチ又はそれ以上の厚さの増分幅にすることができる。図3Aの開示される新規なフレーム55の一実施形態では、2本の平行なチャネルの存在により、少なくとも1つのSAMを固着させるためのチャネルが提供される。当業者にとっては周知であるように、SAMは、透き通った結合剤(例えばVLP接着剤)、ロックタイトの透き通ったアクリル系接着剤などのUV有効化結合剤、音響コーキング材(例えば、Green Glue防音化合物-www.greengluecompany.com)、及びVelcro(登録商標)ストリップで、フレーム、及びコアに結合されたSAMに結合される、又はフレームにねじ止めされることができる。他方のチャネルは、連結デバイスがパネル又はチャンバを床底板に固定するための取り付け部、又は当業者なら理解するであろう他の用途を提供することができる。別の態様では、新規な押出フレーム55の外側エッジにある長手方向溝56は、当業者にとっては周知であるように、2つの隣接するフレームの間の音漏れに対してバリアを提供するように、溝の輪郭に合わせたガスケットを受容することができる。
【0037】
本発明は、音響バリア構造体を構築するために使用される可撓性の膨張可能なコアを含み、このコアが少なくとも1枚の音波減衰パネルに周囲を囲まれている、複合体、及び1つ以上のコア、パネル又は構造体を組み立て及び設置し、パーティション、壁及びエンクロージャを屋根及び/又はドアのあり又はなしで作製するための方法を提供する。図1Aは、内装及び外装フレーム14及び16にそれぞれ取り付けられている膨張したコア12を有する音波減衰パネル10の断面図を示している。本明細書で使用するとき、音波減衰パネルは、膨張可能なコアと、優勢な表面(図示せず)上でコアに固着された少なくとも1枚のSAMのシート(図示せず)と、少なくとも1つのフレームと、を含む。パネルの寸法は、長さ、幅及び高さに関して任意の大きさであり得る。例示のみを目的として、図面に示されているパネルは、長さ24インチ、高さ27インチ及び膨張幅約4.25インチを有し、例示のフレーム実施形態に応じてフレーム厚さ約1/2インチ~約20mmを有する。図示されているように、パネル10は、空気又は他の流体、例えば、液体又は気体により膨張したときに、実質的に直方体状の優勢な表面を提供する膨張可能なコア12を含む。弁口15は、パネル10の側面上に示されているが、優勢な表面の上に存在することもできる。弁口15は、膨張可能なコア12の膨張(及び収縮)を可能にするようにポンプ機構と連結されることができ、また膨張可能なコアの側面又はバリア表面19(図2A)、及び一般に膨張に都合の良い膨張可能なコア上の任意の場所に、個々に、連続的に又は縦一列に配置されることができる。一実施形態では、図1F及び図1Gに示されているように、膨張可能なコアは、例えば、可撓性の膨張可能な区画内に2つ以上の内部チャンバが存在するときに、2つ以上の弁口15を有することができる。加えて、弁口は、直列に接合されたコアの同時膨張を提供するように、直列に連結されることができる。パネル10は、例えば、図1A及び図2Bにおいて複数の内部音波バッフル22を有するコア12と共に示されている。
【0038】
一実施形態では、膨張可能なコアは、充填されたときに、コアの優勢な表面が実質的に直方体状になるように、2つ以上の気体、固体又は液体受容チャンバ、少なくとも1つ又は複数の内部音波バッフル22を含むことができる。特定の態様では、優勢な表面の概ね全体的な形状は、その反対側の表面に向かって実質的に直方体状であり得る。音波減衰パネルの優勢な表面及び音響バリア構造体は、場合により見え、音波減衰パネル及び音響バリアの寸法を画定することができるので、本明細書ではバリア表面19と称する。コア12は、好ましくは、PVC、ポリウレタン、TPU(熱可塑性ポリウレタン)又は他のプラスチック若しくはポリマー若しくはコポリマー材料、又はゴムから作製されることができ、バリア表面19は、平坦な、平面の、起伏のある、突出している、凸状の、凹状の、又は波型の表面を有することができるが、これらに限定されない。一実施形態では、1つのバリア表面のみが、それに取り付けられた少なくとも1層の音波減衰材料(SAM)を含むことができる。一実施形態では、SAMとしては、質量負荷ビニル(MLV)を挙げられるが、有用な音波減衰特性を有する他の材料も使用することができる。他の有用な音波減衰材料の例としては、高質量/高密度PVC、TPU、鉛及び他の金属が含浸している布又はプラスチックなどの材料、並びに、布、フォーム又はプラスチックなど、他の可撓性又は硬質材料が挙げられるが、これらに限定されない。MLVは市販の材料であり、当業者にとっては周知であるように、1/2ポンド毎平方フィート、3/4ポンド毎平方フィート、1ポンド毎平方フィート、2ポンド毎平方フィートの重量、又はそれ以上の重量を含むがこれらに限定されない、様々な重量を有する様々な厚さで、及び様々な不透明度(例えば、不透明、透明及び半透明)で入手することができる。
【0039】
別の実施形態では、音波減衰層は、接着剤、UV硬化結合方法又は他の接着材料を使用して膨張可能なコアのバリア表面に取り付けることができるが、Velcro(登録商標)接着ストリップ、締結具などの他の取り付け要素を使用することもできる。音波減衰層が複数の音波減衰層(例えば、同じ又は異なるSAMの1枚以上のシートからなる積層体)を含み得ることは理解されたい。一実施形態では、これらの積層体は、追加の音波減衰の利益をもたらすように、可能な限り多くの空気ポケットをSAMの追加層の間に設ける態様で構成されることができる。加えて、追加の音波吸収が必要とされ得るときは、パネルは、当業者にとっては周知であるように、willtec(登録商標)フォームから作製されたSONEX(登録商標)パネルを含むがこれに限定されない、音波吸収開放気泡型フォーム材料を含むように修正されることができる。
【0040】
図1Bは、内部音波バッフルのないチャンバ12の別の実施形態を示している。膨張したチャンバ7を有するパネル6はSAM(図示せず)に取り付けられており、SAMは押出直管55に固定されている。また、フルエッジ72及びハーフエッジ74の接続ブラケットも示されている。フルエッジブラケット72は、4つのフレームコーナーが接している4枚のパネルを一体に接合することができ、ハーフエッジ74ブラケットは、2枚の端部パネルを、それらが垂直方向に位置付けられたときに、一方を他方の上にして接合することができ、又は2枚の隣接する上部パネルを、それらが直線的にかつ互いに隣接して位置付けられたときに、壁又はパーティションでのように接合することができる。ブラケットは、図3A及び3Bに示されているように、溝56の下部表面を形成している溝基部58の約1/2~約1インチをフレーム55の両端部で除去することによって形成された陥凹部/切欠き部51に挿入されることができる。
【0041】
一態様では、パネル10は、保管及び輸送を容易にするために、膨張可能なコアがコアを取り囲んでいる/コアに取り付けられているフレームの間で圧縮されることができるように、持ち運び可能かつ可撓性/圧縮可能であり得る。図1Cは、フレーム55に収縮状態で取り付けられている膨張可能なコア12を有するパネル10を示している。図示されているように、パネルは、平坦な/圧縮された構成であり得る。軽量かつ薄いが頑丈な断面により、フレームは、たったの約1/2インチの厚さであり得、圧縮時には、パネル厚さはたったの約1インチの厚さであり得ると同時に、最終膨張厚さは約1.5インチ~約10インチの厚さ又はそれ以上であり得る。このような圧縮性は、発送用に複数のパネルのコンパクトな梱包を提供し、更には、使用していないときに、収縮したパネルを備品の下若しくは背後に又はクローゼット若しくは他の限られた大きさの保管領域内に滑り込ませることを可能にする。図1Cの圧縮したパネル10の厚さは約1インチになり得るので、60枚を超えるパネルが、基本的な衣類用クローゼットの大きさでさえない、約24インチ×27インチの高さ約65インチの領域に積み重ねられることは、容易に想像することができる。これは、有意な改善であり得、防音においてこれまで知られていない利益を提供する。単一のコンテナで大量のパネルを発送することができ、他の防音材料に比べて好ましい環境上の利益を提供する(即ち、展開/膨張時の大きさの25%未満でパネルが発送される)。一実施形態では、透き通ったMLVの使用は、IATSパネルから作製されたエンクロージャの内部での追加の照明を不要にし、その結果、電力需要及びそれに伴う温室効果ガスを削減する。
【0042】
別の実施形態では、押出管の直径は、用途に応じて、上記の厚さ約14mm(~9/16インチ)×奥行き29mm(~1 5/16インチ)のフレームよりも少なくとも1.5倍、2倍、3倍又はそれ以上大きいものであり得る。例えば、非常に大きくかつ厚いフレームとしては、膨張式の高速道路用の壁又は膨張式の防音化された航空エンジン試運転用格納庫を含むがこれらに限定されない、工業用構造体で使用するフレームが挙げられるが、これらに限定されない。これらの構造体は、選択された場所で膨張させるためにフラットベッドトラックで輸送されるなど、持ち運び可能であり得る。
【0043】
別の実施形態では、図1Dに示されているように、追加の増強された防音のために2つの膨張可能なコアを組み合わせることができる。少なくとも2つの膨張可能なコアを3つの新規なフレームの間で組み合わせる場合であっても、2つのコアのうちの1つ以上の1つ以上のバリア表面に固着された少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ及び少なくとも4つ又はそれ以上のSAMの有無に関係なく、圧縮された厚さは、図1Cの音波減衰パネルと同様に発送、二酸化炭素排出量及び組み立てを容易かつ手頃な価格なものにする、2インチ未満のままであり得る。
【0044】
パネル10又はパネル6は、有利な音波減衰品質を提供する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、音波減衰は、バリア表面間の封止された空気空洞(又は以下に説明するように、空洞内の他の気体、固体及び/又は液体並びにこれらの組み合わせ)の内部での音の抑制、所望の減衰を達成するように様々であり得る、空洞の厚さ、膨張可能なコアの内部の内部気圧差の考えられる寄与及びコアが膨張し得る環境によって、また音波減衰材料層と組み合わされることによっても、潜在的に達成されることができる。1つのバリア表面上にのみ存在する単一層のSAMは、それぞれのバリア表面上に少なくとも1つのSAM層が存在するときと比べて減少した音波減衰特性を有し得る。バリア表面に衝突した音波は、SAM層(例えば、MLV)によってだけでなく、場合により、チャンバ12又はチャンバ7のバリア表面19間の加圧された空気空洞によっても、あるいは前述した隔壁吸収効果によっても、有意に減衰され得る。
【0045】
SAMは、様々な材料から作製されることができ、また供給メーカーの幅広い選択から入手することができる。SAMの例又はSAMシート若しくは層に追加されるものの例としては、MLV(質量負荷ビニル)、高質量/高密度PVC、鉛、バリウム塩、シリカ又は他の重金属が含浸している布又はプラスチックなどの材料、並びに他の可撓性又は硬質材料、布及びプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。MLVは、市販の材料、即ち、SONEX(登録商標)音響フォーム、Auralexスタジオ用フォーム、Sealed Air Corp防水フォーム:Stratocell及びEthafoam、Ecoustic製品群などのUnika Vaev音波吸収パネル、Mitesco製品群などのSnowSound騒音吸収パネル、CFAB(商標)セルロースパネル(「グリーン」音波吸収フォーム)、メラミンフォーム及びポリウレタンフォーム、様々な厚さのフェルト、Terrastrand(登録商標)布(Chilewich(登録商標)Sultan LLC、New York、NY)などの他の布、繊維ガラス、キルト状繊維ガラス吸収材、ポリエステル音響パネル、LEAD(Acousti-Leadシート)、AlphaSorbバリア、Quiet Rock(乾式壁)、SoundBreak石膏ボード、並びにガラスであり得、また様々な厚さで、及び様々な不透明度(例えば、不透明、透明及び半透明)で入手することができる。一態様では、膨張可能なコアが、MLVに加えて又はこれの代わりに1つ以上のSAMシート又は層に囲まれ又はこれらの間に配置され得ることに留意されたい。
【0046】
当業者にとっては周知であるように、音波バリア(減衰器)は高密度及び可撓性の両方であり得る。音波バリアを構成する材料及び音響材料の音響透過クラス(STC)に応じて、より大きい減衰は、適用されるときの材料の厚さ及び密度の増加により達成され得る。しかしながら、密度及び厚さを増加させると、場合によっては、剛性の問題が、密度の効果を打ち消す可能性がある。様々なレベルの防音を達成するために必要な一般の防音材料及び厚さが、表1の音波バリアチャートに示されている。
【表1】

Radiation Protection Products,Inc.(www.radiationproducts.com/acoustical-board.htm)から引用。
【0047】
階段状の線より下にある材料は、それらの重量が防音に効率よく使用されることができるほどの十分な柔軟性を有するが、線より上にある材料は、それらの重量が所望の防音材料としての効果を超えるほどの十分な柔軟性がない。なお、特許請求される音波減衰コアは、1インチの圧縮された厚さから始まり、最大4.5インチ、最大10インチ、最大18インチ、又はそれ以上の厚さで使用され得る。
【0048】
図2Aは、膨張したチャンバ7の両側のバリア表面19上に不透明な音波減衰材料18を有する、膨張した状態の図1Bのパネル6の斜視図である。図示されているように、一方のバリア表面は、それに取り付けられた不透明な又は半透明な又は透明な音波減衰材料18の層を含み、他方のバリア表面もまた、それに取り付けられた不透明な又は半透明な音波減衰材料18の層を含む。一代替実施形態では、1つのバリア表面のみが、それに取り付けられた音波減衰材料の層を含むことができる。一実施形態では、音波減衰材料としては、透き通った質量負荷ビニル(MLV)を挙げられるが、有用な音波減衰特性を有する他の材料も使用することができる。図2Bに示されているように、膨張した音波減衰パネル10の斜視図は、複数の内部音波バッフル22を有する膨張したコア12の両側のバリア表面19上に音波減衰材料18の透明な層を有することができる。
【0049】
1つのバリア表面のみが、それに取り付けられた音波減衰材料を含む場合は、2つのSAM層を使用する場合と比較して、音波減衰特性は低下し得る。また、音波減衰層(例えば、MLV)の厚さは変化し得ること、及びコア6及び12の厚さは、膨張時に、音波減衰を最大限に活用するように変化し得ることも理解されたい。例えば、特定の状況では、使用されている材料及び減衰する周波数に部分的に応じて、約3インチの、約4インチの、約5インチの、及び約6インチの(膨張時の)コア厚さを有することが望ましい可能性があり、他の状況では、厚さは約7インチ、約8インチ、約9インチ、約10インチ又はそれ以上であることが望ましい可能性がある。一般に、膨張可能なコアの厚さは、約1インチ~約10インチ又はそれ以上になるように構成され得る。加えて、2枚の膨張可能な音波減衰パネルは、増強された音波減衰を提供するために、図1Dのように組み合わされることができる。また、音波減衰材料シート又は層(例えば、MLV)の厚さは、約1~2mm及び約1若しくは2インチ又はそれ以上であり得る。例えば、航空機格納庫又は他の工業上の環境において使用され得るものなど、大規模な音波減衰システムに対しては、より大きい厚さのシートが望ましい可能性がある。また、可撓性材料のより優れた音波減衰及び/又は吸収品質により、可撓性材料は好ましいものであり得る。音波は通常、より低い剛性及び/又はより高い可撓性を有する材料ほど確実に突き通ることが困難になる。加えて、向かい合うそれぞれのバリア表面上で異なる厚さのSAMを有することが可能であり得る。向かい合うバリア表面上のSAMの厚さの違いは、改善された防音性能を提供するのに役立ち得る。例えば、第1のバリア表面は、1ポンド毎平方フィートの重さがあるMLVを有することができ、第2のバリア表面は、約1/2ポンド毎平方フィートの重さがあるMLVを有することができる。本明細書で使用するとき、用語「約」は、SAMの重量を考慮する際に、4オンスの増減があることを指すことができる。
【0050】
一態様では、当業者は、膨張可能なコア6及び12の内部に少なくとも2つ、少なくとも3つ及び少なくとも4つ又はそれ以上の内部チャンバが存在し得ることを理解することができる。それぞれの内部チャンバは、空気、ヘリウム、ネオン、アルゴン、水、鉱油、綿実油及び菜種油などの植物油、砂などを含むが、これらに限定されない、様々な気体、固体又は液体で満たされることができる。図1F及び図1Gを見ると、膨張可能なコア12は垂直な内部チャンバを有する。図1F及び図1Gは、ポンプ28の機構を使用した膨張可能なコア12の膨張前及び後のパネル10の斜視図を示している。
より強化された膨張可能なコアのフレーム
【0051】
図3Aに示されているように、一実施形態では、断面で示されている新規な金属製又はポリマー製押出直管55は、膨張可能なコア6及び12を枠にはめるために使用され得る。フレームは、輪郭で示されている共通の上部横水平壁58を有しており、中央長手方向相互連結チャネル52並びに下側長手方向相互連結チャネル53及び54などのチャネルの形態で相互連結手段を画定している。フレームはまた、その上部横水平壁58の上方に延在している上部長手方向陥凹溝56も画定している。下側長手方向相互連結チャネル53及び54は、角張ったC形状の平行なチャネルを示唆しており、中央横水平壁57を画定している。向かい合った、相互連結チャネル53及び54は、SAMエッジが(例えば53に)受容されて固定されること及び/又はチャネル54に挿入された連結デバイスが、フレーム55を有する音波減衰パネルを床取り付けブラケットに固定することを可能にする。中央長手方向相互連結チャネル52内への内部突出部と同様に、横壁57及び58は、強度及び支持をフレーム55に提供する。図3Bは、一実施形態における図3Aの長手方向の図を提供しており、図4Aに示されているように、垂直側部16及び14(片方のみ図示あり)並びに上部11(図示せず)フレーム部品を直角ブラケット3によっておよそ90度の角度で接合するための、(長さを調整された)押出フレームの両端部にある陥凹孔49を更に示している。
【0052】
パネル10用のフレームの組立体が、図4Aに示されている。直角ブラケット3は、外側16及び内側14の垂直フレーム側部への取り付けのために、孔59に及びブラケット3に挿入されて螺嵌されたねじ60(図示せず)によって、パネルのそれぞれのコーナーを水平上部接合フレーム11及び水平下部接合フレーム17に90度で接合している。図4Bは、完成した音波減衰パネル10における組み立てられた水平及び垂直フレーム部材の斜視図を示している。孔に入っているねじはどちらも、直角なフレーム部品を共に保持するが、MLVを含むがこれに限定されないSAMをチャネル内で保持することもできる。SAMは、接着剤、コーキング材又は他の結合剤によって更に保持されることができる。
【0053】
フレーム部材を含むパネルの組み立てのために、様々な接続ブラケットを図4Bのフレームと共に使用することができる。図3B及び図4Bのフレーム示されているように、ブラケットは、切欠き部51に適合するように設計されている。切欠き部は、2枚の隣接するパネルのフレームを接合するために、接続ブラケットを受容することができ、それぞれのフレームは、音波減衰パネルを構築するために使用される直方体状パネルではバリア表面とも称される、優勢な表面の外周を囲んでいる。矩形管/フレームは、アルミニウム、若しくはアルミニウム合金などの金属、又は、ポリカーボネートを含むがこれに限定されない、ポリ塩化ビニル(PVC)、炭素繊維若しくは別のプラスチック材料などのポリマーから押出成形することができる。
【0054】
図5A図5B図5C図5D図5E図5F図5Gは、端部パネルを接合するためのブラケットの例示であり、壁又はパーティションに関しては、図5Aは、互いに上に積み重ねられた2枚のパネルにブラケット30を使用して端部パネルを接合するためのものであり、図5Bは、4枚のパネルのコーナーが接している4枚のパネルを接合するためのブラケット31であり、図5Cは、2枚の隣接する上部又は下部パネルを接合するためのブラケット32であり、図5Dは、2枚の隣接する上部又は下部パネルを互いに直角に接合するためのブラケット33であり、図5Eは、4枚のパネルのコーナーが接している4枚のパネルを互いに直角に接合するためのブラケット34である。図5Fは、前側フレームにおける新規な押出フレーム55の切欠き部51内への図5Aのブラケット30の配置を示している。同様の取り付けが、パネルの反対側のフレームを接続するために行われることもあり得る。フレームの前側及び裏側のそれぞれに2つのブラケットを取り付けるために、4本のねじ、即ち、前側パネルフレーム1つにつき2本及び反対側/裏側パネルフレーム1つにつき2本が使用され、ブラケット30に同様に取り付けられている隣接したパネルを接合するために、更に4本のねじが使用される。こうした多様なブラケット及び組立構成オプションは、実質上無制限の壁、パーティション、キュービクル及びチャンバ構成の選択を利用者に提供する。こうした音波減衰/ISATパネルのモジュール性及び相互連結性は、寸法又は大きさによらず、以下に説明するように、様々な用途、状況、利用において使用されるパネルを提供する。パネルの大きさ、厚さ及び重量は、効果的かつ効率的な音波減衰、隔離、遮断及び封じ込め、並びに持ち運びできること、発送できること及び配備が容易であることを達成するように最適化されている。図5G及び図5Hはそれぞれ、組み立てられたパネルの右側面及び左側面で音波減衰壁を既存の壁に固定するための新規なブラケット設計の斜視図である。
【0055】
ブラケット31並びに30及び32はそれぞれ、フレーム3B及び4Bの切欠き部51内に配置されるとき、4枚及び2枚の隣接するパネルを接合するために使用することができる。加えて、ブラケット33及び34はそれぞれ、フレーム3B及び4Bの切欠き部51内に配置されるとき、直角を形成し、2枚又は4枚のいずれかのパネルを90度で取り付けるために使用することができる。90度の角度を形成するとき、使用されているフレームに応じて、それぞれのブラケットに入る、パネル1枚当たり2本又は4本のねじが存在し得る。図5Iは、共に接続されている3枚のパネルを示している。2枚のパネルは接合されると直角を形成し、2枚のパネルは互いに隣接している。パネルを接続するために使用される可能性のあるブラケットとしては、図5D及び図5Eに示されている直角ブラケットが挙げられる。隣接するパネルのための接続ブラケットは、図5A図5B、及び図5Cに示されている。パネル1枚につき1、2、3、又は4本のねじを有する他の接続ブラケットも想定される。
【0056】
一実施形態によれば、音響バリア構造体は、1枚又は複数枚の接続されたパネル6又は10を含む。例えば、単一のパネルは、例えば、部屋の間に、又は壁、床、天井などに対して、音波バリアを提供するように適当に位置付けることができる。また、複数枚のパネルは、拡大したバリア、囲まれた若しくは部分的に囲まれたチャンバを提供するように、又は音波減衰、若しくは既存の壁の改装を補強するように、位置付けて構成することができる。一態様では、1枚又は複数枚のパネル6又は10は、上述の様々な接続デバイスを使用して一体に保持される。別の実施形態では、内部音波バッフル22の配置又は形状は、音波減衰を補助するためのものだけでなく、審美的、芸術的、状況固有の特徴又は企業ブランディングを提供するためのものであり得る。一態様では、内部音波バッフルは、膨張したときに、前述したように、内部音波バッフルを有する膨張可能な音波チャンバの利益を維持したまま、企業ブランド又はロゴの形状又はデザインが、膨張した内部音波バッフル内において見えるように、配置されることができる。
【0057】
一実施形態では、膨張可能なチャンバ内のバッフルは、同心であることができ、自動車用のマフラ、スピーカコーン、又はライフル用の消音器の内部にあるバッフルと類似の態様で、バリア層及びその対応の厚さ、チャンバ内の加圧された空気、並びにバッフルの形状及び長さの組み合わせによって減衰される、吸収される、及び/又は拡散される音響エネルギのいくらかを集中させることの利益を提供することができる。別の実施形態では、バッフルは、音波が伝わるより大きい及びより小さい「漏斗状リング」を形成している追加の材料層を有することができ、追加の強化された音波減衰、吸収及び拡散性能を提供することができる。別の実施形態では、バッフルは、追加の減衰、吸収及び拡散性能を提供するために、液体、固体又は空気以外の気体を収容し得るチャンバを備えることができる。
【0058】
それぞれのパネルの構築体内のバッフルの数は、膨張可能な隔壁吸収装置として機能する構造又は非構造ISATパネルの両方の能力を高めることができる。一実施形態では、個別の「衝撃吸収装置」又は「内側マットレススプリング」として機能し得る、20個のバッフルは、音波エネルギがパネルの入口側又は出口側のいずれかでバリア層に衝突したときに、SAMバリアが上下及び/又は前後に曲がることを可能にし得る。バッフルの形状、長さ及び周囲寸法は、パネル全体の厚さの決定要因の1つであり得、それぞれの個々の構造又は非構造ISATパネル内に、より多い又はより少ない数のバッフルの配置を可能にし得る。
【0059】
図7Aは、音波減衰壁78、即ち、複数の接続デバイスで一体に連結されている9枚のパネル10からなる壁の例を示している。図示されているように、壁78は、複数枚のパネル10を含んでおり、それぞれのパネルは不透明なSAM層(例えば、MLV)を有し、その結果、壁もまた目に見えるバリアを提供する。任意の又は全てのパネルが透明な又は半透明な材料から製造されて「透けて見える」壁を提供し得ることを理解されたい。上述したように、パネル10は、様々な接続デバイスを使用して一体に接続されることができる。特定の態様では、長手方向溝又はチャネルを有する、フレームは、深さ全体にわたっており、かつ、隣接している溝56又はチャネル65の中に挿入されている、SAMのストリップ、又はガスケットのいずれかを更に含むことができる。
【0060】
図7Bは、9枚の膨張した音波減衰パネル10(1つの膨張したコアは図示せず)の組立体から構築された自立式の音波減衰パーティション79の斜視図である。図3Aの新規なフレームで構築されたときの敷板80、安定床支持材81及び統合されたパネルホルダ130の拡大図82が、図7Cに示されている。当業者なら理解することができるように、水平フレーム部材は、端部に切込みが入ってなく、垂直フレーム部材は、2枚のパネル又は4枚のパネルをそれらのコーナーで接続するための図5A図5B、及び図5Cに示されているような接続ブラケットを受容するために切込みが入っている。フレーム下部13は、図7D図7Eに示されているような統合されたパネルホルダ130を使用して敷板80に取り付けられることができる。床支持材81は、敷板80に取り付けられることができる。
【0061】
図7Dの統合されたパネルホルダ130の斜視図は、図7Eのように逆転されたときに、より内側の下側接続チャネル53又は54に重なり合う2本の長手方向チャネル132からなっている。ブロックねじ134は、敷板の下部に螺嵌することによって、統合されたパネルホルダ130を敷板80に取り付ける。ねじは、締められたときに、基部底面に面一になり得る。六角ねじ136(図7E)は、孔137に挿入され、ガルウィング状クランプ138を直方体状の金属(例えば、アルミニウム)ブロック140の左部、中央部又は右部に位置付けるように作用する。図7B及び図7Cに示されているように、パネルを敷板120の中央に又は敷板120の片側に、敷板120がエンクロージャ/チャンバ(エッジに)又は壁若しくはパーティション(中央に)の一部であり得るかどうかに応じて、位置付ける/固定するために、六角ねじによって、クランプ138は左部、中央部又は右部に固定されることができる。
【0062】
図7Fは、市販の80/20フレームで構築された、(それぞれのパネルの膨張したコアは除いて)図示されている自立式の音波減衰パーティション壁100を作っている9枚のパネルのフレーム組立体の斜視図である。当業者なら理解することができるように、陥凹状の長手方向チャネルは、2枚のパネル又は4枚のパネルを隣接するエッジ又はコーナーにおいて接続するように、接続ブラケットを受容することになる。敷板80及び安定床支持材81が示されており、構造体100の支持を提供する。フレーム下部9は、複数の統合されたパネルホルダ130を使用して、又は当業者にとって周知の他の手段で、敷板80に取り付けられることができる。パネルホルダは、一体に連結されることができる。床支持材81は、敷板80に取り付けられることができる、又は自立型であり得る。
【0063】
図8Aは、仕切られた音波減衰壁40を形成するように複数の接続デバイスで一体に接続されている複数枚のパネル10を含んでいる音響バリア構造体の例を示している。図示されているように、壁40は、複数(18)枚の音波減衰パネル10を含んでおり、それぞれが透明な又は半透明な音波減衰層(例えば、MLV)を有し、その結果、壁は「透けて見える」壁であり得る。壁は、膨張可能なコア12のない1枚のパネル41を有することが更に可能であり得る。壁がどこでどのように利用され得るかに応じて審美性、偽装、又は洗浄、殺菌消毒などの容易さを提供するために、任意の又は全てのパネルが不透明な材料、装飾用の布などを含む音波減衰層を有し得ることを理解されたい。図8Bは、仕切られた音波減衰壁45を形成するように複数の接続デバイスで一体に接続されている複数枚のパネル10を含んでいる音響バリア構造体の別の例を示している。図示されているように、壁45は、複数(30)枚のパネル10を含んでおり、それぞれが不透明な音波減衰層(例えば、MLV)を有し、その結果、キュービクルは「プライベート」である。図8A及び図8Bに示されているように、パネル10は、図5A図5E、及び図5G図5Hに示されているような様々な連結デバイスを使用して一体に連結されている。
【0064】
任意の骨組みデバイスは、任意の所望の大きさのサービスパネルに特注で作り上げることができ、所望により、換気、暖房換気空調システムの循環口及び電力、並びにセキュアなITケーブル配線/インターネット路、オーディオ及び/若しくはビジュアル(A/V)システム、又は他の特徴のための入口を含むことができる。示されている骨組みの構成は、ユーティリティケーブル及びワイヤを収容し、SAMの強度及び安定性並びに取り付けを提供するように、様々な断面及び形状を呈し得ることも理解されたい。加えて、構造体の用途を拡張するために、LED照明、ホワイトボード、作業棚などが、組み立てられたパネル、パーティション、壁、チャンバ及び構造体に取り付けられ得る。
【0065】
図9Aに示されているように、パネルは、例えば、展示会で商談に使用するブースに、私的な会話用の電話室に、個人用のレコーディング又はリスニングルームに、及びデジタルメディアの手段によってオーディオ若しくはビデオコンテンツを再生若しくはレコーディングするために(後で送信するために)、又は音波封じ込め、防音若しくは音波遮断が所望される任意の空間のために、組み立てられることができる。28枚の音波減衰パネル10で作製された増強されたチャンバ44は、透明なチャンバ及び天井の左斜視図を示している。天井は4枚のパネルを有し、チャンバの1つの側面の外装の修正は、二つ折りドア45の取り付けを可能にしている。当業者なら理解することができるように、外装に対する代替修正は、スライド開き、スイング開き、リフトアップ開き又は一方向開きのドアのために行われ得る。同様に、二つ折りドアを含むパネルのフレームは、ドアをスライドさせて開閉するために、ドア取り付け金具並びにヒンジ及び建具の両方を有する。チャンバは、図7D図7Eに示されているデバイスで、図7Cに示されているように敷板80に取り付けられている状態で示されているが、図9Aでは、パネルは、敷板80の外側エッジにオフセットされている。図9Bは、チャンバ44の右からの別の斜視図を提供している。チャンバは任意の寸法であり得るが、示されているように、一辺がおよそ48インチの正方形及び高さ81インチであり得る。別の実施形態では、エンクロージャにドアを設けるために、Residential Acoustics(www.residential-acoustics.com)などの企業から市販されているものなど、「音響カーテン」ドアデバイスが使用され得る。
【0066】
一実施形態では、図9Cに示されているように、図9A図9Bのブースの使用に加えて、オフィス、会議室又はミーティングルームとして使用するためのより大きい増強されたエンクロージャ46を有することも、大幅に大きい(例えば、航空機格納庫)エンクロージャ46を有することも可能であり得る。図9Cのエンクロージャ46は、開示される発明の45枚のパネル10を使用して組み立てられた。エンクロージャ46の右斜視図は、二つ折りドア45によってエンクロージャへの出入りアクセスを示した。敷板80は図示されていない。
【0067】
一態様では、例えば、構造体が、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500又はそれ以上の個別の座席、ボックス、ケース、クレート、人又は動物を収容する能力を有するときに、音波減衰パネルを恒久的な内部又は外部骨組みシステムに取り付けるように所望され得る。図10Aを見ると、Tスロット押出管で作製されたテントポールケージ構造体48が示されているが、当業者にとっては周知であるように、この管は、構造体の大きさに応じて、直径がより大きいものになり得る。Iスロットフレームを含むがこれに限定されない、押出フレーム、及び連結デバイスは、MiSUMi,Schambury,IL(http://us.misumi-ec.com)及び80/201ID,Inc.(https://8020.net/shop)などの様々な提供元から入手することができる。図10Aは、スイングドア49を有するように修正され得、また敷板47に取り付けられ得る、構造体48を示している。図10Bは、構造体48の上部のクローズアップ図を提供しており、図10Cは、2つのフレームを直角に接合する直角ブラケット36と、4つのフレーム、即ち、並列の2つのフレームを他の並列の2つのフレームに、第1の2つのフレームに対して90度で接合するブラケット37と、を有するテントポールフレームの組立体の拡大図24である。図10Dは、敷板47に対する構造体48の下側の組立体を示しており、図10Eは、ポールフレームを敷板47に直角に接合する直角ブラケット36及び板38を取り付けるねじで2枚の敷板48を敷板47に直角又は直線的に接合する接続板38を使用したテントポールフレームの組立体の拡大図26である。図10Fは、図10Eに示されているように、敷板47へのポール43の接続及び敷板の接合を示す、図10Aの裏側の斜視図である。
【0068】
有利なことに、本発明の音波減衰パネル、コア及び構造体を使用して製造されたエンクロージャは、並外れた挿入損失を有することがわかった。例えば、ある試験エンクロージャは、約2,000Hz以上において50dBを超える挿入損失を有することがわかっており、騒音レベルの10dBの減少は、音の大きさを半分以下にするものとして知覚され得る。一態様では、選択されたSAMの重量を変化させること及びそれぞれのバリア表面上で2枚以上のSAMのシートを使用することもまた、開示される膨張可能なコア、パネル及び構造体で達成されるSTCレベルを改善し得る。
【0069】
膨張可能なコアの優勢な表面を覆うようにSAMを使用することはまた、SAMの断熱特性及び膨張した膨張可能なコアの表面間の空気間隙に起因してR値を増加させることも確認されている。したがって、開示される発明は、用途に応じて、フレームあり又はなしで、断熱及び防音を組み合わせた対策の提供において使用することができる。
代替及び使用の例(xamples)
【0070】
本発明の音波減衰、音波絶縁、音波遮断及び音波封じ込めシステム及びデバイスは、好ましくは、防音品質が所望される以下のタイプの音波バリア構造体の構築を含むが、これらに限定されない、様々な目的のためにそれらを使用することを可能にする、様々な形状及び大きさで構成可能なものである:オフィスキュービクル、オフィス、ミーティングルーム、会議室、展示会ブース/ルーム、商談ブース、パーティション及びブースエンクロージャ、楽器練習室、ホームレコーディングスタジオ、ホームシアタールーム、ゲーム/プレイ/学習ルーム、工場フロア制御室、粉塵、粒子状物質及び繊維状物質のないクリーンルーム、内部使用のための消音壁、天井、床(例えば、他の近所の家又はユニットで修理工事が行われているときに、一時的な防音を家、アパートメント、タウンハウス及びコンドミニアムに提供するため)。加えて、開示される発明は、HIPAAに準拠した医療会話空間、ICUパーティション、無菌エンクロージャ、音波隔離及び音波療法室並びに陸軍外科移動病院(M.A.S.H.)ユニットを提供するために使用されることができる。開示される発明は、患者のモニタリング及び観察活動を容易にすると同時に、未だ対処されていない、静かな環境での医療の提供の改善に必要なものを提供する。加えて、開示される膨張可能なコアは、丈夫なVelcro(登録商標)ストリップ、磁石及びこれらの組み合わせを使用して表面に取り付けることもできるほどに十分に軽量であり得る。
【0071】
一態様では、たった1枚のパネルは、騒々しいアパーメントの間に単純な壁又は天井バリアとして機能するように設置することができる、即ち、所望により、フレームの幅を含めて又は加えて、48インチ×96であり得る。組み立てられたパネルの組み合わせは、外部使用のための音波封じ込め壁(例えば、道路工事の迂回路が近隣住区を通過する場所に設置されなければならないときに、一時的な音波バリアとして使用するため)、音波偏向壁(例えば、恒久的な壁が使用可能ではない状況で高速道路用音波バリアとして使用するため)、一時的な、屋外の音楽用円形劇場の外郭構造及び航空エンジン試運転用格納庫/エリア(軍事又は民生利用のため)に使用することができる。
【0072】
特定の態様では、音響バリア材料が表面に適用され得る「支持的なシェル」(例えば、膨張可能なコア)に剛性を提供するために、固体又は空気などの流体(気体又は液体)を使用することができるので、組み合わされた材料は依然として本発明によるシステムを簡単に持ち運び可能/移動可能にするほど十分軽量なままであり、一般に平方フィート当たりの重さがウォーターベッドよりも軽くなるので、平均的な居住用建物での内部使用にさえも適した構造体の設計及び構築が可能である。一態様では、膨張可能なコアは、構造体、パーティション又はパネル内への環境光が、より建設的かつ生産的な労働環境をもたらし、同僚との協同的な相互作用を促進することができるように、透明な/透き通ったSAMで構築されることができる。チャンバは、UVフィルタリング機能を備えることもできる。更に、一実施形態では、非構造ISATパネルは、それぞれたった11ポンドの重さであり、したがって、ほぼあらゆる体格の成人がそれらを容易に配備することができる。
【0073】
上述の使用のために、十分に囲まれた「部屋内の部屋」、又は十分に囲まれた「部屋内の部屋」を形成しない壁、天井及び床の様々な組み合わせを含む外郭は、比較的に大きな音を聴く又は作り出す又は遮断する場所を利用者に提供する有用な音波減衰特性を提供することになり、その結果、利用者は、構造体の外側にいる人々へ騒音公害を与えるのを回避/制限すること、及び/又は大きな音を締め出す静かな部屋を提供することが可能になる。使用としては、持ち運び可能な又は即席の会議室、オフィスパーティション、より静かな(quitter)キュービクル及び公共の作業環境、展示会の会話及び商談ブース、美術館の美術作品の隔離及び観覧エリア、楽器の演奏又は歌唱を練習する場所、利用者が大音量のサラウンドサウンドシステムを聴くことができるホームシアタールーム、子供が騒々しいゲームを遊ぶ場所(ビデオゲーム、グループボードゲーム又は更には幼い子供の騒々しい遊びなど)、並びに勉強、プライバシー、瞑想、マインドフルネス/ウェルネストレーニング、又は祈りのための静かな部屋が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
システムはまた、好ましくは配備可能な屋外設備でもある。パネルは、好ましくは防水であり、また大幅な温度変動(暑さ及び寒さ)に曝され得る。
【0075】
一実施形態では、24インチ×27インチの寸法の構造ISATパネルはまた、標準的なドアを通り抜け、狭い階段の吹き抜け及び標準的なエレベータで運び上げることも容易であると同時に、約16ポンドの重さしかない。非常に大きくて重くかさばり、そのため、大きな商業用及び工業用スペース以外へのアクセスは不可能である、従来の防音エンクロージャコンポーネントと比べて、これらのパネルは容易にかつ短時間で設置される。従来の防音材料の標的エリアへのアクセス性の問題はまた、過大な支援を有する必要性、標的エリアだけでなく、場合によっては標的エリアへのアクセスの取り壊し、その後の粉塵及び泥、並びに長期化する設置時間及び努力も含む。したがって、本発明は、以前は容易に又は手頃な価格でこのような構造体を収容することができなかった空間又は場所に配備されることができる相当な防音品質を有する構造体(記載のもの、及び他のもの)の開発を可能にする。
本発明の追加の注目に値する態様:
【0076】
一実施形態では、膨張可能なコアは、少なくとも1つの内部音波バッフルを備えることができる。バッフルは、膨張可能なコアの優勢なバリア表面に対して実質的に直方体状の表面を確立するのに役立つだけでなく、膨張可能なコアの平坦な(優勢な表面が平行の)、起伏のある、突出している(凸状の)、陥凹している(凹状の)若しくは波型の表面又は膨張可能なコアの波型の表面を促進及び助長するように、個数、配置、高さ、形状、直径などが様々であり得る。それぞれが同じ又は異なる気体又は流体又は固体又はこれらの組み合わせで満たされている、追加の膨張可能なコア音波バッフルで、膨張可能なコアを更に増強できることにより、強化された音波減衰を提供することが可能である。
【実施例
【0077】
空気伝播音の透過損失(TL)に関する「音響透過試験」についての圧縮可能な音波減衰コアの評価が、可変の重量及び層数のSAMを有する構造ISATパネル内の音波減衰コアに対して実施された。試験は、米国内の認定試験所の試験施設内で行われた。試験は、ASTM E90、Standard Test Method for Laboratory Measurement of Airborne Sound Transmission Loss of Building Partitions(http://www.astm.org/cgi-bin/resolver.cgi?E90-09(2016)に従って行われた。
【0078】
実施例1:
【0079】
この試験の目的は、2×2の構成で一体に組み立てられている4枚のパネル(それぞれ24インチ×27インチ)を有する構造ISATパネルシステムに組み立てられている音波減衰コア(パネル1枚当たり20個のバッフルを有する)のSTC値及び音波吸収特性を決定することであった。それぞれのパネルは、2つのSAM層を有した(音波減衰コアの外側及び内側の優勢な表面のそれぞれの上に1層のMLV(1ポンド/フィート)STC値は、ASTM:E413,「Determination of Sound Transmission Class」のSTC基準コンターにTL値を適用することによって決定された。TL値は、音源室から受音室まで、単一方向での音の伝搬を測定することによって得られたものであり、16~59デシベル(dB)の範囲のTL値で80~5000の範囲の19個の音波周波数において測定された。それぞれの周波数での透過損失は、以下の計算から決定された。
TL=NR+10logS-10logA2
ここで、TL=透過損失(dB)、NR=騒音低減(dB)、S=両側に共通している表面積(平方フィート)、A2=適当な位置にサンプルを有する受音室の音波吸収(セービン)である。
【0080】
OITC試験手順は、ASTM:El332(10),「Determination of Outdoor-Indoor Transmission Class」に従った。80~4000Hzの範囲の音波TL値を使用して、ASTM El332(10)の表1に規定されている基準音源スペクトルから試料のA特性音圧レベル低減を決定した。
【0081】
結果により、構造ISATパネルシステムは、音響透過クラス(STC)34、欠損(Def)24、及び屋外-屋内透過クラス(Outdoor-Indoor Transmission Class)(OITC)26を有することが決定された。パネル組立体の総重量は、平方フィート当たりの重量が3.4ポンドである、62.0ポンドであった(データは示さない)。なお、以前の試験では、結果はSTC38であった(データは示さない)。
【0082】
結論:STC35では、大きい話し声は聞こえるが、内容を理解するのは難しい。木製スタッドから構築され、絶縁体(典型的には内壁)を有しない、壁のそれぞれの側面にある単一層の1/2インチ乾式壁から作製されたパーティション壁(バリア)は、STC33を有した。したがって、試験されたときのパネルは、大きな話し声を遮断することにおいて標準的な壁パーティションの改良されたものであった。
【0083】
実施例II:
【0084】
この試験の目的は、STC値を決定し、2×2の構成で一体に組み立てられている4枚のパネル(それぞれ24インチ×27インチ)を有する構造ISATパネルシステムに組み立てられている音波減衰コア(パネル1枚当たり20個のバッフルを有する)の音波吸収特性に対して、音源に面した2倍の厚さのMLVが与える影響を評価することであった。それぞれのパネルは、2つのSAM層(音波減衰コアのそれぞれの優勢な表面上に1層のMLV(1ポンド/フィート)を有した。実施例Iとは異なり、MLVの追加の層(1ポンド/フィート)が外側(音源側)MLV層の上に両面テープで貼り付けられ、エッジはアルミニウムフレームの表面にビニルテープで留められ、パネルの継ぎ目は露出したままの状態にされた。試験は、実施例1に記載されているとおりに実施された。
【0085】
結果により、構造ISATパネルシステムは、音響透過クラス(STC)37、欠損(Def)27、及び屋外-屋内透過クラス(OITC)29を有することが決定された。パネル組立体の総重量は、平方フィート当たりの重量が4.3ポンドである、77.0ポンドであった(データは示さない)。
【0086】
結論:STC35では、大きい話し声は聞こえるが、内容を理解するのは難しい。木製スタッドから構築され、絶縁体(典型的には内壁)を有しない、壁のそれぞれの側面にある単一層の1/2インチ乾式壁から作製されたパーティション壁(バリア)は、STC33を有したが、繊維ガラス絶縁体を追加すると、STCは39に増加する。したがって、試験されたときのパネルは、大きな話し声を遮断することにおいて、繊維ガラスで絶縁された壁と同程度の性能を有する、標準的な壁パーティションの改良されたものであった。
【0087】
実施例III:
【0088】
この試験の目的は、STC値を決定し、2×2のパネル構成で一体に組み立てられている4枚のパネル(それぞれ24インチ×27インチ)を有する構造ISATパネルシステムに組み立てられている音波減衰コア(パネル1枚当たり20個のバッフルを有する)の音波吸収特性に対して、音源に面した2倍の厚さのMLV及び内側表面上のより軽いMLVの追加の層が与える影響を評価することであった。それぞれのパネルは、2つのSAM層(音波減衰コアのそれぞれの優勢な表面上に1層のMLV(1ポンド/フィート))を有した。MLVの追加の層(1ポンド/フィート)が外側MLV層に両面テープで貼り付けられ、更にMLVの追加の層(0.5ポンド/フィート が内側MLV層に両面テープで貼り付けられた。追加のMLV層のエッジはアルミニウムフレームの表面にビニルテープで留められ、パネルの継ぎ目は露出したままの状態にされた。試験は、実施例1に記載されているとおりに実施された。
【0089】
結果により、構造ISATパネルシステムは、音響透過クラス(STC)40、欠損(Def.)31、及び屋外-屋内透過クラス(OITC)31を有することが決定された。パネル組立体の総重量は、平方フィート当たりの重量が4.7ポンドである、84.5ポンドであった(データは示さない)。
【0090】
結論:STC40は、「プライバシー」の始まりであると見なされる。繊維ガラス絶縁体を有する、木製スタッドから構築された壁のそれぞれの側面にある単一層の1/2インチ乾式壁から作製されたパーティション壁(バリア)は、STC39を有する。したがって、試験されたときのパネルは、大きな話し声を遮断することにおいて、繊維ガラスで絶縁された壁と同程度の性能を有する、標準的な壁パーティションの改良されたものであった。
【0091】
実施例IV:
【0092】
この試験の目的は、音響試験を実施し、それぞれのパネルが、膨張可能なコアによって隔てられたMLVの2つのSAM層(それぞれのMLV層は1ポンド/フィート)を有する、構造ISATパネルシステムの騒音低減係数(NRC)を測定することであった。1つのSAM層は、音波減衰コア内の膨張可能なチャンバの外側及び内側の優勢な表面のそれぞれに固着されることができる。それぞれの音波減衰コア(パネル1枚当たり20個のバッフルを有する)は、初期試験用に2×3のパネル構成(54インチ×72インチ)で6枚のパネル(それぞれ27インチ×24インチ)「構築ブロック」から構造ISATパネルシステムに組み立てられた。次いで、Sonex(登録商標)Value Line35フォームパネルの追加が組立体の両面に両面テープで固定された後に、パネルは、2度目として試験された。Sonex Value Line 35フォームパネルはそれぞれ、寸法が21 1/2インチ×24 1/2インチ、重さが0.24ポンドであった。
【0093】
音波吸収試験は、ASTM C 423-09a「Sound Absorption and Sound Absorption Coefficient by the Reverberation Room Method」の規定のとおりに実施された。組立体は、タイプKの取り付け方法で床に位置付けられた。音波吸収係数を250、500、1000、及び2000Hzにおいて測定し、それぞれの値を0.05単位で丸めることにより、NRC値を算出した。音波吸収平均(SAA)は、200Hz~2500Hzの12個の周波数に対する音波吸収係数(1/3オクターブ帯域)を0.01単位で丸めることによって算出された。
【0094】
第1の試験(フォームパネルなし)の結果により、構造ISATパネルシステムはNRC0.20及びSAA0.19を有することが決定された(データは示さない)。組立体の両側の優勢な表面においてSAMの上にフォームが更に貼り付けられたときは、構造ISATパネルシステムは、NRC0.85及びSAA0.82を有した(データは示さない)。単独では、Sonex Value Line 35フォーム壁パネルは、NRC0.75を有すると報告されていた。
【0095】
結論:Sonex Value Line 35フォーム壁パネルの追加を有する構造ISATパネルシステムの音響特性は、音波吸収をおよそ4倍に改善しており、SAM材料(1ポンド/平方フィートのMLV)表面は単独で音波エネルギを反射する能力を有するものの、フォームが音波エネルギを強力に吸収することが示唆された。したがって、フォームパネルの追加を有する構造ISATパネルシステムは、全体としてシステムの音波吸収性特性を改善した。意義深いことには、Sonex(登録商標)Value Line 35フォームパネルが構造ISATパネルシステムと併用されるときに、潜在的な相乗効果があるように見える。
【0096】
実施例V:
【0097】
この試験の目的は、それぞれのパネルが、膨張可能なコアによって隔てられたMLVの2つのSAM層(それぞれのMLV層は1ポンド/フィート)を有する、構造ISATパネルシステムの実効熱抵抗を決定することであった。1つのSAM層は、音波減衰コア内の膨張可能なチャンバの外側及び内側の優勢な表面のそれぞれに固着された。試験は、サンプルが均質ではなかったので、手順指針として使用されるASTM C518-10「Standard Test Method for Steady-State Thermal Transmission Properties by Means of the Heat Flow Meter Apparatus」と共に熱流計装置を使用して、試験サンプルを介した定常熱貫流を測定した。したがって、結果として生じる値は、試験したサンプルの実効抵抗を表す。よって、他のサンプルの具体的な組成に起因して他のサンプルのわずかな変動を有することが想定されるであろう。試験は、サンプルが、NISTにトレーサブルな標準的な基準材料と比較される比較法であった。トレーサブルな材料はまた、熱流計装置の較正にも使用された。
【0098】
試験の結果により、構造ISATパネルシステムは、熱流束=35Btu/(h・ft)、熱伝導率=1.84674Btu・in/(h・ft)、熱コンダクタンス=0.462Btu/(h・ft)、熱抵抗率=0.54°F・ft・h/Btu/in、及び熱抵抗、「R」値=2.16°F・ft・h/Btuを有することが決定された(データは示さない)。
【0099】
結論:構造ISATパネルシステムの熱抵抗、「R」値は、打設コンクリート、れんが、ガラス及びほとんどの堅木のR値の2.5倍を超えている2.16である(https://en.wikipedia.org/wiki/R-value_(insulation)を参照されたい)。したがって、構造ISATパネルシステムは、多くの一般の建設材料と対比して強化された熱的性能を有し、透明性、低い二酸化炭素排出量、リサイクル性、可搬性、並びに組み立て及び保管の容易さを提供する。
【0100】
一実施形態では、開示される発明は、図5A図5Iに示されているように、発明された押出フレームを接続するように発明された接続デバイスで、想定されるパネル、パーティション、壁、エンクロージャ及び構造体を支持するために、軽量であるが優れた引張強度を有するように設計された、フレームとしての押出管を含む。フレームとしての新規な管で枠にはめられたパネルは、実質的に減少して圧縮された幅、即ち、増加した強度を有しており、接続デバイスと併用されたときに、特別な工具、訓練、専門的技術又は設備を必要とせずに、音波減衰壁、パーティション、部屋、構造体及びエンクロージャを容易にかつ短時間で組み立てることを可能にする。更に、枠にはめられた特注の大きさのパネル内の膨張可能なコアのモジュール性により、二酸化炭素排出量、発送コスト、輸送の容易さ、組み立ての素早さ及び容易さは、配送及び組み立てのための発送及び労働コスト並びに解体時間/労働及び保管スペースの要件を実質的に減少させる。したがって、本発明は、開示される新規なコア、パネル及び構造体なしでは、防音を容易に提供することが、又は防音を手頃な価格で提供することが以前はできなかった空間又は場所に配備されることができる、相当な防音品質を有する構造体(記載のもの、及び他のもの)の開発を可能にする。本開示の発明は、防音を、自宅、学校、コミュニティグループ、オフィス、展示会、会議、病院などにおいて、静けさを提供し、集中力、生産性、及び創造性を促進する、より清潔であり、より静かであり、居住の、工業の及び商業の作業環境及び領域に適し得る、新しい建築設計のため及び改装、改築のための、容易に手頃な価格にすることができ、かつ仕様に含まれる要件にする。更に、当業者なら想定することができるように、開示される発明は、航海、航空、軍事、無塵の製造、例えば、マイクロチップ及びナノ加工並びに回路基板組み立てにおける用途を有する。
音波減衰パネル接続デバイス:
【0101】
発明された音波減衰パネル接続デバイスは、特定の構成及び構造タイプを形成するように、一組の音波減衰パネルを一体に取り付けるために使用される一連のデバイスを備える。特定の態様では、コネクタもまた、それ自体が騒音を減衰させる構成要素として機能することができ、パネル間の隙間を通って音が「漏れる」のを防ぐのに役立つ。コネクタデバイスは、好ましくは剛構造を含む。コネクタデバイスは、一連のパネルを論理的な場所(壁中央部、壁コーナー、天井部分など)で一体に接合することを容易にするように設計された多様な形状及び大きさを呈し得る。接続部は、直方体状、球状、測地線状、円錐状、ピラミッド状、角張った形状などを含むがこれらに限定されない、パネルの幾何学的形状、パネルが形成している構造体の幾何学的形状に応じて、任意の角度であり得る。特定の態様では、コネクタデバイス、又は2つのフレーム部材の交差部はまた、音響バリア(例えば、質量負荷ビニルバリア)材料の1つ以上の層で被覆される又は積層されることもできる。別の実施形態では、図3A図3Bに示されているフレームは、2枚の隣接するパネルの溝56に適合して音漏れを防止することができるガスケットを有することができる。
【0102】
少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500又はそれ以上の個別の座席、ボックス、ケース、クレート、人又は動物を収容することができる、会議室、公演用のシェル及びホール、娯楽用シェルター、展示用のホール及びエリア、保管エリアなど、長期間開かれている広々とした場所が構築される、より大きい構造体は、強度、安定性及び支持を提供するために、パネル取り付け用のテントポールケージ構造を含むことができる。加えて、ケージは、パネルが取り付けられる航空エンジン試運転用格納庫の可搬性をサポート及び支援するために使用されることもできる。
床:
【0103】
本発明の音波減衰システムで作製された構造体用の音波絶縁床システムは、所望により、含めることができる。所望により、持ち上げた床システムの下に膨張可能な音波減衰システムの追加のパネルを挿入して、追加の音波減衰品質を任意の所与の構造の床に提供することができる。
換気:
【0104】
一態様によれば、膨張可能な音波減衰システムパネル及び/又は単一若しくは複数部品の部屋構造体は、自身の騒音制限機能を有する任意追加の暖房換気空調システムの使用によって新鮮な空気が構造体内へ絶えず循環されることを可能にする機能を含む。この換気システムは、内部に構築された一連のバッフル付き空気路を有する(市販の毒性のない音響バリアフォームでフィルタリングする)特別な「換気促進」音波減衰パネル(又は一体成形の膨張可能な部屋の壁の部分)からなることができ、その結果、システムの最大音波バリア品質を維持しながら、空気は、両方向で、壁を通り抜けるように押されることができる。例えば、一態様では、空気は、市販のファンを使用して構造体(例えば、パネル及び/又は連結要素)の「換気促進」部分を通り抜けるように押される/引かれることができる。別の態様では、空気流は、開示又は記載のフレームに作製された小さい通路を通して、当業者にとっては周知であるように、バッフル付き構造アプローチを使用することを含むがこれに限定されない、このような通路を介した音波透過/音波貫通を最小化するような方法で、空気(又は別の気体、例えば、酸素)を押す/引くことによって達成され得る。
電源:
【0105】
一態様では、電源コードは、パネルで組み立てられた部屋のいずれか1つの特定パネルの又は一体成形の構造体のコーナーで一体化されるか、又はこのコーナーにある小さい、特にバッフル/フォームが付けられた(できるだけ高い防音品質を与える)「ポート」を通して挿入されることができる。システムは、所望により、組み込みの電源パネル又はプラグシステムを含むことができる。例えば、連結要素又はパネルは、一体化された電源を含むことができる。
照明:
【0106】
一態様では、一体成形の部屋のエンクロージャ、構造体又は部分を構築するために使用されているパネルのいくつか又は全て(パネル及びドアの窓領域)は、自然/室内光が構造体の中に入るように、少し不透明な又は透き通った材料(膨張可能なコアを構築するために使用される材料及びSAMの両方は、様々な不透明度で使用することができる)を使用して構築されることができ、又は利用者は、構造体の内部で望むときに、自身の照明デバイスを使用することができる。システムはまた、所望により、フレームに統合された又はフレーム取り付けられた、パスカード、生体認証及びコード入力を含むがこれらに限定されない、セキュリティキーパッド、並びに照明器具又はシステム、例えば、パネル、構造体又はエンクロージャのフレームの内部に配置された又はこれに取り付けられたLED光ストリップを含むこともできる。それぞれの個々のパネルが「ピクセル」になることができるように、また芸術的な、審美的な及び/又はマーケティングの目的のために、特殊照明効果及び/又はテキストメッセージが、それぞれのパネル上/内で「スクロール」することができるように、LED光は、個々の透き通った又は半透明なパネルを照らし、コンピュータチップ/ARDUINO型のマイクロコントローラによって制御されることができる。
枠のない膨張可能な構造体:
【0107】
一態様では、建設分野の熟練者にとっては周知であるように、膨張可能なコアは、2インチ×6インチ又は2インチ×4インチの骨組みが約8フィート、9フィート、10フィート、12フィート又はそれ以上などの長さで板を張るときに、住宅を含むがこれに限定されない、例えば、6インチ又は4インチのいずれかのフレーム奥行きを有する心々16インチの構造骨組みの内部に適合することができるように、様々な幅及び厚さを有する、少なくとも100フィート若しくはメートル又はそれ以上の連続直線長さとして構築されることができる。これにより、膨張可能なコアの長さは、標準的でない、例えば、8フィート未満又はそれ以上の、例えば、カテドラル型天井の高さ及び角度に適合するように現場で切断され、ヒートシールされることが可能になる。一実施形態では、SAM材料の選択は、所望の防音レベル及びR値を提供するために様々であり得る。SAM材料は、現場にて、特注の大きさの膨張した膨張可能なコアに片側又は両側の優勢な表面上で取り付けることができる。
【0108】
別の実施形態では、膨張した構造体の形状、大きさ及び輪郭は、膨張可能なコアに対して直方体状の表面又は輪郭を作成することに基づいて設計され得る。輪郭付けられたコアは、イグルー及びドーム状、ピラミッド状又は円錐状を含むがこれらに限定されない、幾何学的形状を形成することができる。特注形状の構造体の輪郭付けられたコアが、相互連結された流体弁口と共にコア間で相互連結/封止されるとき、縦一列に並んだコアの膨張は、自立式の膨張可能な構造体をもたらすことができる。このような構造体は、暖房換気空調システム及び照明システムを有することができるが、構造体が膨張した状態を維持するように空気を導入するための連続した直線の送風機の必要性を回避することができる。したがって、膨張したときに、構造体は、前述の様々な目的に適しているエンクロージャを提供する。膨張した構造体の内側及び/又は外側壁は、それに取り付けられた音波減衰材料、例えば、コアのバリア表面に取り付けられた1つ又は複数のMLVのシートを含むことができる。音波減衰材料シートは、事前に取り付けられることも、構造体が部分的に又は完全に膨張した後に利用者によって取り付けられることもできる。特定の態様では、構造体は、統合された自己膨張デバイスを含むことができるが、外部ポンプとの接続が可能となるように、ポートが提供され得る。流体の流れによる膨張は、連続的又は非連続的であり得る。換気ポートもまた、外部換気システムとの接続が可能となるように提供され得る。入口部分(例えば、ドア)は、好ましくは、構造体に入る及び構造体から出ることができるように提供され得る。構造的一体性を提供するために、追加の支持要素が使用され得る。
【0109】
それぞれの一体成形の構造体(オフィスパーティション、展示会ブース、会議室、練習室、ホームシアター、ゲーム室などを含むがこれらに限定されない)は、好ましくは、利用者が単にデバイスのプラグを差し込むだけで、部屋をその最大サイズにまで自動的に膨張させることができるように、1つ以上の高性能な内部膨張ポンプを備えることができる。
【0110】
個々のパネルは、標準的な空気マットレス型ポンプ(より小さいパネル用)又は工業グレードの膨張デバイス(高速道路用の壁、航空エンジン試運転用格納庫など用)のいずれかと併用され得る1つ以上の膨張弁を備える。一態様では、それぞれのパネルは、コアに組み込まれるか別の方法で統合された個々の膨張デバイスを含む。弁はコアの任意の表面上に配置され得、コアの膨張及び/又は収縮を常に容易にするために(例えば、壁又は部屋が既に設置されているときに、コアの追加の膨張が所望され得る場合)、2つ以上の弁が提供され得る。
【0111】
より大きいバリアのために、ヘリウム又は他の低密度の気体が、コアを膨張させるために使用され得る。例えば、ヘリウムの使用は、膨張可能なコアの配備及び膨張を更に容易にして、膨張したコアを起立させる又は持ち上げるのに役立つ支えを提供する。
【0112】
一態様では、追加の構造支持を提供するために軽量のテントで行うことができるのと同じように、コアは、他のポールに相互連結されることができる板又は伸縮ポールなどの剛性材料を受容し保持するように構成されたサイドポケットを含み得る。
追加の特徴:
【0113】
ISAT(商標)システムで可能なそれぞれの使用カテゴリでは(防音室、高速道路用の壁、飛行場格納庫、医用室、絶縁壁、船舶、航空路、宇宙船、自動車及び他の輸送モードの絶縁など)、様々な色/大きさ/形状/使用カテゴリが利用可能である。大きさは、ディメンションランバー、例えば、4フィート×8フィート、4フィート×10フィート、4フィート×12フィート、建築用筋交い、例えば、心々12インチ、14インチ、16インチ、18インチ幅、並びに当業者にとっては周知のとおりのメートル法の寸法及び筋交いなどに準拠し得、防音室に関する多様性の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。練習スタジオの大きさ:単一楽器の練習、ボーカルブース、及びオーディオ又ビデオプレゼンテーションのレコーディングのための一人用エンクロージャ。より大きいグループの人/楽器を収容する練習室。練習用アップライトピアノを入れるためのより長い/より幅の狭い形状の部屋。グランドピアノを入れるためのより幅の広い/より正方形に近い形状の部屋。パネル及び構造体、例えば、部屋及び練習室には様々な色が使用され得る。様々な膨張式の部屋に対する拡張としては、以下が挙げられ得る。壁に追加の音波吸収材料(例えば、音響フォーム)を有する「膨張式レコーディングスタジオ」。様々な大きさのスピーカを掛ける/配置するように壁に組み込まれている特別なコンテナを有する「膨張式ホームシアター」。迷路又は小型滑り台など、エンクロージャに組み込まれている様々なタイプの子供に安全な遊戯構造体を有する「膨張式遊戯室」。高くした床の内部に設置されたISATシステム及び部屋の壁に掛けられた鏡を有する「ダンス練習室」。持ち運び可能な会議室、ミーティングルームなども考えられる。一態様では、内部音波バッフルの構成及び配置は、企業ブランディング、又は子供、チーム若しくは学校、礼拝所、団体などの機関に気に入られるデザインなどを具体化し得る。デザインとしては、チームロゴ、マスコット、ギリシャ文字、標語、シンボル、エンブレム、トーテム、商標、記章、モノグラム、スタンプ、家紋及び紋章などが挙げられ得る。
キット
【0114】
一実施形態では、持ち運び可能な膨張式の「インスタントレコーディングスタジオ」を含むがこれに限定されない、持ち運び可能なシステムは、テーブル又はスタンドとして使用されることもできるスーツケース又はクレートなどのコンテナ又は運搬デバイスに入れられて提供されることができる。運搬デバイス又は外殻は、運搬を容易にするハンドル及び車輪を含み得、中身は、1枚以上の壁又は部屋を作ることになるパネル及びコネクタに加えて、組み込み式の空気循環システム及び電源並びにシステムを作り上げるパネル構成要素の膨張のための膨張デバイスを含み得る。また、パネルコネクタ、布又はフェルト、フォーム、空気ファン/循環/暖房換気空調デバイス、電気コード及びコネクタ、照明、例えば、LED照明、インターネットポート、組み立て、使用、及び清掃の説明書も含まれることができる。パネルは、容易かつ安全な商用の輸送、配備及び保管のために、車輪付き又は車輪なしの、「ロードケース」タイプのボックスにパッケージ化され得る。
【0115】
代替実施形態では、膨張可能な音波減衰コアは、音波減衰材料から作製されることができ、その結果、音波減衰材料(例えば、MLV)の追加のシート又は層は必要とされなくなり得る。これにより、音波減衰が減少し得るが、可搬性は向上し得る。
【0116】
いくつかの構造体では、パネル又は構造体全体を支持するのに役立つように、追加の支持が所望され得る。例としては、床又は壁の筋交い及びアンカー並びに他の類似の筋交いデバイスが挙げられ得る。
【0117】
好ましくは、音波減衰材料(例えば、MLV)は、膨張可能なコア又は膨張可能な構造体を、内部に面している及び/又は外に面しているバリア表面/優勢な表面上で、覆うことができる。例えば、単一のMLVのシートは、複数の膨張可能なコアを支持するように取り付けられることができる。代替的には、膨張可能なコアの部分又は1つの側面のみが覆われることができ、好ましくは、構造体が直立させられ得るときに、構造体が、それを完全に囲んでいる音波減衰材料を、内側若しくは外側のいずれかに、又は構造体が完全には囲まれない可能性がある場合には少なくとも1つの側面上に、有するように覆われることができる。
覆いは、所望により、構成要素又は完全な構造体を覆うように提供されることができる。覆いは、好ましくは、保護、装飾、材料の香りの改質などを提供するように、布、騒音吸収材料又は他の好適な材料から作製されることができる(例えば、バーラップカーボンカーテン)。
【0118】
一態様では、フレーム、連結要素及び支持テントポールを構築するために、透き通った硬質アクリル樹脂材料が使用され得る。例えば、透き通ったポリカーボネートから作製されたときは、透き通ったMLV及び透き通ったPVC製の空気で膨張したパネルの膨張可能なコアと組み合わされたフレームは、できるだけ多くの光が外部から構造体の中に入ることを可能にし得るものである(したがって、電気照明は不要である)。別の態様では、連結要素及び支持梁は、例えば、ブース内部の暗闇が所望の特徴であり得るブースを作製する場合は、不透明な硬質のPVCから作製される(この場合、不透明なMLV及び不透明な、空気で膨張可能なコアも好ましくは使用されることになる)。
【0119】
実施例を手段として及び具体的な実施形態に関して発明が記載されてきたが、本発明は、開示された実施形態によって限定されるものではないことを理解されたい。逆に、当業者には明白であるように、様々な修正及び類似の構成に範囲が及ぶことが意図され得る。例えば、連結要素及びデバイスは、膨張可能なコアを含むこともできる。したがって、添付の特許請求の範囲は、全てのこのような修正及び類似の構成を包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【0120】
本発明の原理が具体的な実施形態に結びつけて記載されてきたが、これらの説明が実施例としてのみ記載されており、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことを明確に理解されたい。本明細書に開示されている内容は、例示及び説明を目的として提供されているものである。網羅的であることも、開示され得る内容を記載されている正確な形態、寸法又は形状に制限することも、意図してはいない。多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。開示される内容は、記載の技術分野において開示された実施形態の原理及び実用的な応用を最もよく説明するように選択され、記載されたものであり、これにより、当業者は、企図される特定の用途に適している様々な実施形態及び様々な修正を理解することが可能になる。開示される内容の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F