特許 7321491 梱包機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-07-28

(45)【発行日】2023-08-07

(54)【発明の名称】梱包機

(51)【国際特許分類】

   B65B 13/22 20060101AFI20230731BHJP

   B65B 13/18 20060101ALN20230731BHJP

【ＦＩ】

B65B13/22 A

B65B13/18 A

【請求項の数】 6

(21)【出願番号】P 2019010170

(22)【出願日】2019-01-24

(65)【公開番号】P2020117277

(43)【公開日】2020-08-06

【審査請求日】2022-01-19

(73)【特許権者】

【識別番号】000107697

【氏名又は名称】ストラパック株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002398

【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】籾山 裕樹

【審査官】佐藤 秀之

(56)【参考文献】

【文献】実開昭５０－０５９１９０（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開平０５－２７８７０８（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開昭６０－０６８８２０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１０－２５４３０６（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭４８－００８０８４（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６５Ｂ １３／００

Ｂ６５Ｈ ７５／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

バンドが巻かれたバンドリールと，前記バンドリールからバンドを引き出して送り出すと共に，送り出したバンドを引き戻して被梱包物の外周に巻き付けるフィードユニットを備え，前記バンドリールとして，前記フィードユニットによって引き戻されたバンドを自動で巻き戻す，ゼンマイバネ内蔵型のバンドリールを備えた梱包機において，
前記バンドリールの外周側に配置され，前記バンドリールからの前記バンドを外周に掛けて，該バンドの向きを前記フィードユニットに向けて変更するガイドローラと，
一端側が軸支されていると共に，他端側に前記ガイドローラが取り付けられて，前記フィードユニットに対する前記ガイドローラの距離を拡縮するよう擺動するスイングアームと，
前記フィードユニットによる前記バンドの送り出し時，前記ガイドローラが前記フィードユニットに対し近接した位置へ移動し得る付勢力で，前記バンドの巻き戻し時，前記ガイドローラを前記フィードユニットから遠ざける方向に前記スイングアームを付勢する付勢手段を設け，
さらに，前記バンドリールが，バンドリール本体と，該バンドリール本体と共に回転するシャフトを備え，前記バンドリールの支持機構に設けた軸受に，前記シャフトを挿入することで回転可能に取り付けられており，
前記支持機構が，前記シャフトの外周を覆う円筒状の空間であるゼンマイバネ室を備え，
前記バンドリールのゼンマイバネが，外周端を，前記ゼンマイバネ室内に固定することなく，前記ゼンマイバネ室の内周面に摺接されていると共に，
前記シャフトに，外周方向に突出する係合突起を設け，
前記ゼンマイバネの内周端を内周側に折り返して形成した係止爪を設け，前記ゼンマイバネの内周端を前記シャフトに固定することなく，前記係止爪と係合突起で係脱可能に係合させたことを特徴とする梱包機。

【請求項2】

前記スイングアームの前記一端側を，前記バンドリールと同心上に軸支して，前記ガイドローラを，前記バンドリールの同心外周上を移動可能に構成したことを特徴とする請求項１記載の梱包機。

【請求項3】

前記バンドリールに加える回転抵抗を可変とするブレーキ手段を設けたことを特徴とする請求項１又は２記載の梱包機。

【請求項4】

前記バンドリールが，バンドリール本体と，該バンドリール本体と共に回転するシャフトを備え，
前記ブレーキ手段が，前記シャフトが挿入されるシャフト孔に対し直交方向に連通するボルト孔と，前記ボルト孔に螺合されて先端を前記シャフトと接触させるボルトによって構成したことを特徴とする請求項３記載の梱包機。

【請求項5】

前記ブレーキ手段の前記ボルトの先端に，一定の摩擦係数の樹脂杆を発条を介して取り付けたことを特徴とする請求項４記載の梱包機。

【請求項6】

前記ゼンマイバネ室の前記内周面を，一定の摩擦係数の材料により内装したことを特徴とする請求項１記載の梱包機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は，被梱包物にバンドを巻き付けて梱包を行う梱包機に関する。

【背景技術】

【0002】

バンドＢを被梱包物Ｗに巻き付けて梱包する梱包機１００では，図８に示すように被梱包物Ｗを載置するテーブル１０７と，梱包に使用するＰＰバンド等のバンドＢが巻かれたバンドリール１１０と，一例として，前記バンドリール１１０よりバンドＢを引き出して前記テーブル１０７上に送り出すと共に，送り出したバンドＢを引き戻し，被梱包物Ｗに対して引き締める少なくとも一対のローラを備えるフィードユニット１２０，及び，前記テーブル１０７の下方に配置され，前記バンドＢの先端及び供給側を把持すると共に，該バンドＢの供給端側端部を切断し，前記バンド先端及び供給端側重合部の溶着を行うシールユニット１４０を備えている。

【0003】

このような梱包機１００では，フィードユニット１２０のメインローラ１２１が正転（図示の例では反時計回りに回転）してバンドリール１１０よりバンドＢを引き出すと共にテーブル１０７上に送り出し〔図８（Ａ）〕，所定長さバンドＢを送り出すと，フィードユニット１２０が停止してバンドＢの送り出しが終了する。

【0004】

このようにしてテーブル１０７上にバンドＢを所定長さ送り出してフィードユニット１２０が停止した状態において，ユーザが，テーブル１０７上に載置した被梱包物Ｗの外周を囲むループを形成するようにバンドＢの先端をテーブル１０７下方に配置されたシールユニット１４０の所定の位置に差し込むと〔図８（Ｃ）参照〕，バンドＢの先端が挿入されたことを検知したセンサの検知信号によってシールユニット１４０のバンド把持機構がバンドＢの先端部を把持すると共に，フィードユニット１２０のメインローラ１２１が逆転（図示の例では時計回りの回転）を開始してバンドＢの引き戻しを行い，被梱包物Ｗの外周にバンドＢの巻き付けと，巻き付けたバンドＢの引き締めが行われる〔図８（Ｃ）参照〕。

【0005】

このようにして被梱包物Ｗの外周に対するバンドＢの巻き付け及び引き締めが完了すると，シールユニット１４０がバンドＢの供給端の切断とバンドＢの先端及び供給端側端部の重合部を溶着して，バンドＢによる被梱包物Ｗの梱包が終了する。

【0006】

以上のように構成された梱包機１００において，フィードユニット１２０によってバンドＢの引き戻しが行われると，引き戻されたバンドＢは，フィードユニット１２０とバンドリール１１０の間に溜まる〔図８（Ｃ）参照〕。

【0007】

そのため，小型の被梱包物Ｂの梱包を行う場合のように，引き戻されるバンドＢの長さが長くなると，フィードユニット１２０とバンドリール１１０間に溜まるバンドＢの長さも長くなり，溜まったバンドＢに絡みや捩れ等が生じることで，次回のバンド送りの際に，絡んだり捩れたりしたバンドＢが，バンド給送路内に噛み込む等してバンドＢを送り出すことができなくなるといった作動不良が発生する。

【0008】

このような作動不良の発生を防止するために，バンドリール１１０にゼンマイバネを内蔵して，バンドＢが引き出される際のバンドリール１１０の回転（以下，バンドＢが引き出される際のバンドリール１１０の回転を「正転」という。）によってゼンマイバネを巻き上げてゼンマイバネに回転力を貯えると共に，フィードユニット１２０によってバンドＢの引き戻しが開始されると，ゼンマイバネの力によってバンドリール１１０を，バンドＢの巻き取りを行う方向に回転（以下，バンドを巻取る方向のバンドリール１１０の回転を「逆転」という。）させて，フィードユニット１２０とバンドリール１１０間に，フィードユニット１２０が引き戻したバンドＢが溜まらないようにした，ゼンマイバネ内蔵型のバンドリールを備えた梱包機も提案されている（特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0009】

【文献】実開平２－３７８０３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0010】

以上で説明したゼンマイバネ内蔵型のバンドリールを備えた梱包機１００では，フィードユニット１２０によるバンドＢの引き戻しによってバンドリール１１０側に戻されたバンドは，ゼンマイバネによって逆転するバンドリール１１０が巻き取ることで，フィードユニット１２０とバンドリール１１０間にバンドが溜まることがなく，従って，溜まったバンドＢが絡んだり捩れたりすることによって生じる，バンドＢの噛み込み等の作動不良が生じ難くなっている。

【0011】

しかし，電動モータによって駆動されるフィードユニット１２０によるバンドＢの引き戻しは，引き戻しの開始初期より比較的早い引き取り速度で行われる一方，バンドリール１１０の逆転動作は，比較的重いバンドリール１１０をゼンマイバネの力で逆転させることから，慣性によって動作開始初期の巻取り速度が遅くなる。

【0012】

その結果，フィードユニット１２０によるバンドの引き戻しに対し，バンドリール１１０によるバンドＢの巻取りに遅れが生じ，フィードユニット１２０とバンドリール１１０間のバンドＢに，大きなたるみが生じる場合があり，バンドＢの絡みやバンドＢの捩れに伴い生じるバンド噛み等の作動不良を完全には防止し得ないものとなっていた。

【0013】

このように，フィードユニット１２０によるバンドＢの引き戻し速度に対する，バンドリール１１０の巻取り速度の遅れを減少させてバンドに生じるたるみを可及的に小さなものとするためには，バンドリール１１０に強力なゼンマイバネを装備して，バンドリール１１０による巻取り速度を高めることが考えられる。

【0014】

しかし，バンドリール１１０に強力なゼンマイバネを装備すると，バンドリール１１０からバンドＢを引き出すときにも大きな力が必要となり，その結果，フィードユニット１２０に設ける電動モータ（図示せず）を高出力のものとする必要がある。

【0015】

一般に，電動モータは高出力なもの程大型で高価になると共に，消費電力も増大することから，高出力の電動モータの搭載は，梱包機１００の大型化と製造コストの高騰を招くだけでなく，ユーザが負担するランニングコスト（電気料金）も高めることとなる。

【0016】

そのため，バンドリール１１０に搭載するゼンマイバネの付勢力を増大させることなく，フィードユニット１２０とバンドリール１１０間のバンドＢに，バンド絡みやバンドの捩れが生じるような大きなたるみが発生することを防止することができれば，バンド噛み等の作動不良の発生を防止しつつ，小型で低価格，低消費電力の梱包機１００の提供が可能となる。

【0017】

また，前述したように，フィードユニット１２０によるバンドＢの引き戻し時，フィードユニット１２０とバンドリール１１０間のバンドにはたるみが生じる。

【0018】

そのため，バンドリール１１０は，フィードユニット１２０によるバンドＢの引き戻しが終了した後，バンドリール１１０がたるみ分のバンドＢを巻き取った時に，バンドＢがピンと張って，バンドＢによってバンドローラ１１０の回転力が受け止められたときに逆転を停止する。

【0019】

その結果，バンドリール１１０が逆転を停止する際，バンドＢのテンションは瞬間的に増大し，フィードユニット１２０による引き締めによって適切な強さで被梱包物Ｗの外周に巻き付けられていたバンドＢが，このテンションの増大によって更に引き締められる。

【0020】

バンドリール１１０に巻かれているバンドＢの残量が多く，バンドリール１１０の重量，従って慣性力が増大している程大きなものとなるが，バンドリール１１０に巻かれているバンドＢの残量が少なくなるとバンドリール１１０の巻取りスピードが上がり結果的にショックが大きくなってしまうことになる。

【0021】

従来の梱包機１００では，ゼンマイバネ内蔵型のバンドリール１１０が停止する際に生じるバンドＢのテンション増大は，減衰されることなくそのままバンドＢに加えられており，増大したテンションによって，被梱包物Ｗに対する引き締め力が増大していたため，脆弱な被梱包物Ｗを梱包対象とする場合，被梱包物を破損させてしまうおそれがあり，脆弱な被梱包物Ｗの梱包に使用した場合であっても，被梱包物Ｗを破損等させることなく，高い信頼性を以て梱包することができる梱包機１００が要望されている。

【0022】

そこで本発明は，上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので，比較的簡単な構成でありながら，フィードユニットによって引き戻されたバンドを，フィードユニットとバンドリール間に溜めることなく，また，この位置でバンドを大きくたるませることなくバンドリールに巻き取らせることができ，しかも，バンドリールの逆転停止時におけるバンドのテンション急増を防止して，脆弱な被梱包物であっても破損等させることなく梱包することができる梱包機を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0023】

以下に，課題を解決するための手段を，発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は，特許請求の範囲の記載と，発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり，言うまでもなく，本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。

【0024】

上記目的を達成するために，本発明の梱包機１は，
バンドＢが巻かれたバンドリール１０と，前記バンドリール１０からバンドＢを引き出して送り出すと共に，送り出したバンドＢを引き戻して被梱包物Ｗの外周に巻き付けるフィードユニット２０を備え，前記フィードユニット２０によって引き戻されたバンドＢを自動で巻き戻す，ゼンマイバネ内蔵型のバンドリール１０を備えた梱包機１において，
前記バンドリール１０の外周側に配置され，前記バンドリール１０からの前記バンドＢを外周に巻掛けて，該バンドＢの向きを前記フィードユニット２０に向けて変更するガイドローラ３１と，
一端３２ａ側が軸支されていると共に，他端３２ｂ側に前記ガイドローラ３１が取り付けられて，前記フィードユニット２０に対する前記ガイドローラ３１の距離を拡縮するよう擺動するスイングアーム３２と，
前記フィードユニット２０による前記バンドＢの送り出し時，前記ガイドローラ３１が前記フィードユニット２０に対し近接した位置へ移動し得る付勢力で，前記バンドＢの巻き戻し時，前記ガイドローラ３１を前記フィードユニット２０から遠ざける方向に前記スイングアーム３２を付勢する付勢手段３３を設け，
更に，前記バンドリール１０を，バンドリール本体１１と，該バンドリール本体１１と共に回転するシャフト１２を備えた構成とし，前記バンドリール１０の支持機構６０に設けた軸受６３に，前記シャフト１２を挿入することで回転可能に取り付け，
前記支持機構６０に，前記シャフト１２の外周を覆う円筒状の空間であるゼンマイバネ室６４を設け，
前記バンドリール１０のゼンマイバネ６５を，外周端を，前記ゼンマイバネ室６４内に固定することなく，前記ゼンマイバネ室６４の内周面６４ａに摺接するように収容し，
更に，前記シャフト１２に，外周方向に突出する係合突起１４を設けると共に，
前記ゼンマイバネの内周端６５ａを内周側に折り返して形成した係止爪６６を設け，前記ゼンマイバネ６５の内周端６５ａを前記シャフト１２に固定することなく，前記係止爪６６と係合突起１４で係脱可能に係合させたことを特徴とする（請求項１）。

【0025】

上記構成の梱包機１において，前記スイングアーム３２の前記一端３２ａ側を，前記バンドリール１０と同心上に軸支して，前記ガイドローラ３１を，前記バンドリール１０の同心外周上を移動可能に構成することが好ましい（請求項２）。

【0026】

更に，上記構成の梱包機１には，前記バンドリール１０に加える回転抵抗を可変とするブレーキ手段５０を設けることができる（請求項３）。

【0027】

この場合，前記バンドリール１０を，バンドリール本体１１と，該バンドリール本体１１と共に回転するシャフト１２を備えた構造とし，
前記ブレーキ手段５０を，前記シャフト１２が挿入されるシャフト孔６２に対し直交方向に連通するボルト孔５１と，前記ボルト孔５１に螺合されて先端を前記シャフト１２と接触させるボルト５２によって構成するものとしても良い（請求項４）。

【0028】

この場合，更に，前記ブレーキ手段５０の前記ボルト５２の先端に，発条５４を設け，この発条５４にウレタンやナイロン等の一定の摩擦係数の樹脂杆５３を取り付けることが好ましい（請求項５）。

【0030】

前記ゼンマイバネ室６４の前記内周面６４ａを，ここでは，一定の摩擦係数を有する材料，例えば，シリコンゴムなどのゴムでコーティング等により内装することが好ましい（請求項６）。

【発明の効果】

【0032】

以上で説明した本発明の構成により，本発明の梱包機１では，フィードユニット２０によるバンドＢの送り出し時，バンドＢのテンションによって，スイングアーム３２が付勢手段３３の付勢力に抗して，ガイドローラ３１をフィードユニット２０に近付ける方向に擺動する。

【0033】

その結果，フィードユニット２０によるバンドの引き戻しが開始して，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢのテンションが減少し，又はゼロテンションになると，付勢手段３３の付勢力によってスイングアーム３２が擺動してガイドローラ３１をフィードユニット２０より離間させる方向に移動させることで，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢに，大きなたるみが生じることが防止され，バンド絡みやバンド捩れの発生に伴うバンド噛み等の作動不良の発生を防止することができた。

【0034】

しかも，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻し時には，ガイドローラ３１は，フィードユニット２０より離間する方向に移動していることから，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻しが終了した後，バンドリール１０が慣性力やゼンマイバネ６５の力で逆転を継続してフィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢのテンションを増大させたとしても，バンドＢのテンションが増大するに伴い，ガイドローラ３１がフィードユニット２０に近付く方向に移動してテンションの急激な上昇を緩和することで，被梱包物Ｗに対するバンドＢの締め付け力が急激に増大することを防止でき，脆弱な被梱包物Ｗであっても破損等させることなく梱包することができた。

【0035】

前記スイングアーム３２の前記一端３２ａ側を，前記バンドリール１０と同心上に軸支して，前記ガイドローラ３１を，前記バンドリール１０の同心外周上を移動可能とした構成では，図２に正面視で示したように，スイングアーム３２がバンドリール１０と重なる位置に設けられることで，スイングアーム３２が他の構成機器より出っ張ることがなく装置全体をコンパクトな構成とすることができるものでありながら，ガイドローラ３１の移動幅を大きくとることで，比較的大きなたるみであっても吸収することができた。

【0036】

更に，バンドリール１０に与える回転抵抗を可変となすブレーキ手段５０を設けた構成では，スイングアーム３２に設けた付勢手段３３の付勢力を変更することなく，バンドリール１０の回転抵抗を変化させることで，各動作時にバンドリールの回転タイミング（速度など）を調整することができる

【0037】

バンドリール１０の回転に抵抗を与えることで，無抵抗で回転させる場合に比較して，バンドリール１０の逆転を緩やかに停止させることができ，前述したスイングアーム３２の擺動によるバンドＢの急激なテンションの増大が吸収されることとも相俟って，バンドリール１０の逆転停止時にバンドＢに加わる衝撃をより小さなものとすることができ，脆弱な被梱包物Ｗを梱包対象とした場合であっても，破損等することをより確実に防止することができた。

【0038】

前述したブレーキ手段５０を，シャフト孔６２に対し直交方向に連通するボルト孔５１と，前記ボルト孔５１に螺合されて先端をバンドリール１０のシャフト１２と接触させるボルト５２によって構成することで，比較的簡単な構成でありながら，ボルト５２のねじ込み深さの調整によってバンドリール１０の回転抵抗の微調整を可能とすることができた。

【0039】

特に，ボルト５２の先端にウレタンやナイロン等の一定の摩擦係数の樹脂杆５３を取り付けた構成では，バンドリール１０に与える回転抵抗が過大になることを防止しつつ，適度な回転抵抗を与えることができると共に，回転抵抗の更なる微調整が容易である。

【0040】

バンドリール１０に設けたゼンマイバネ６５の外周端を，ゼンマイバネ室６４内に固定することなく，ゼンマイバネ室６４の内周面６４ａに摺接させた状態に収容した構成により，ゼンマイバネ６５に蓄えられた力が必要以上に大きくなると，ゼンマイバネ６５の外周がゼンマイバネ室６４内で滑って空回りすることにより適度にゼンマイバネ６５の力が開放されることで，逆転時におけるバンドリール１０の回転力が必要以上に大きくなることを防止することできると共に， 前記シャフト１２に，外周方向に突出する係合突起１４を設け，かつ，前記ゼンマイバネの内周端６５ａを内周側に折り返して形成した係止爪６６を設け，前記ゼンマイバネ６５の内周端６５ａを前記シャフト１２に固定することなく，前記係止爪６６と係合突起１４で係脱可能に係合させた構成により，ゼンマイバネ６５が伸び切った状態でバンドリール１０が更に慣性等によって逆転すると，係合突起１４と係止爪６６との係合が解除されてバンドリール１０をゼンマイバネ６５から切り離した状態で逆転させることができ，ゼンマイバネ６５が破損することを好適に防止することができた。

【0041】

また，その結果，ゼンマイバネ６５に過大な力が貯えられることでバンドリール１０の逆転停止時に生じるバンドＢの急激なテンション増大を抑制して，被梱包物Ｗに対するバンドＢの締め付け力が必要以上に増大することを防止できた。

【0042】

一方，ゼンマイバネ６５の外周がゼンマイバネ室６４内で過度に空転してしまうと，ゼンマイバネ６５に蓄えられた力が必要以上に開放されてバンドＢを最後まで巻き取ることができなくなるが，ゼンマイバネ室６４の内周面６４ａにシリコンゴムをコーティングした構成では，このような過剰な空転を好適に防止することができた。

【図面の簡単な説明】

【0044】

【図1】本発明の梱包機の正面概略図。

【図2】本発明の梱包機の背面概略図。

【図3】本発明の梱包機におけるバンドリール部分の斜視図。

【図4】バンドリールの支持機構に設けた軸受箱部分の正面図。

【図5】バンドリール本体を取り付けた状態における図４のV-V線断面図。

【図6】ゼンマイバネ内周端に設けた係止爪とバンドリールのシャフトに設けた係合突起の係合状態に関する説明図であり，（Ａ）はゼンマイバネが伸び切った状態でバンドリールが正転を開始した，ゼンマイバネの巻はじめ状態，（Ｂ）は，巻き上げられたゼンマイバネが開放されながらバンドリールを逆転させている状態，（Ｃ），（Ｄ）はゼンマイバネが伸び切った状態で更にバンドリールが逆転している状態。

【図7】各工程におけるガイドローラの動作位置の説明図であり，（Ａ）は初期位置（バンドを掛けていない状態），（Ｂ）はフィードユニットによるバンド送り出し時，（Ｃ）はフィードユニットによるバンド引き戻し時，（Ｄ）はバンド引き戻し終了時。

【図8】従来の梱包機の説明図であり，（Ａ）はバンド送り出し時，（Ｂ）はバンド送り出し後，引き戻し開始前，（Ｃ）はバンド引き戻し時。

【発明を実施するための形態】

【0045】

以下に，添付図面を参照しながら本発明の梱包機１について説明する。

【0046】

本発明の梱包機１は，図１及び図２に示すように，被梱包物Ｗを載置するテーブル７と，梱包に使用するＰＰバンド等のバンドＢが巻かれたバンドリール１０と，前記バンドリール１０よりバンドを所定長さ引き出して前記テーブル７上に送り出すと共に，送り出したバンドＢを引き戻すフィードユニット２０，及び，前記テーブル７の下方に配置され，前記バンドＢの端部を把持すると共に，該バンドＢの切断と溶着を行うシールユニット４０を備えている。

【0047】

そして，フィードユニット２０によってテーブル７上に送り出されたバンドＢを，被梱包物Ｗの外周を囲むループを形成するように，その先端をユーザがテーブル７の下方に配置されたシールユニット４０の所定の位置に差し込むと，シールユニット４０のバンド把持機構がバンドＢの先端を把持すると共に，フィードユニット２０がバンドＢを引き戻して被梱包物Ｗの外周にバンドＢを巻付けると共に引き締め，その後，シールユニット４０がバンドＢの切断とバンド端部間の溶着を行って梱包が終了する点は，図８を参照して説明した従来の梱包機と同様である。

【0048】

本発明の梱包機１では，前述したバンドリール１０としてゼンマイバネ６５を内蔵したゼンマイバネ内蔵型のバンドリール１０を採用しており，このゼンマイバネ６５の力でバンドＢの巻き戻しを行うことで，フィードユニット２０とバンドリール１０の間に，引き戻されたバンドＢが溜まらないようにしている。

【0049】

本実施形態において，バンドリール１０は，バンドＢが巻かれるバンドリール本体１１と，該バンドリール本体１１と共に回転するシャフト１２を備え（図５参照），このシャフト１２を，梱包機１のケーシングの側方に突設された支持アームから成るバンドリールの支持機構６０に回転可能に軸支している。

【0050】

前述の支持アーム６０には，図４に示すようにバンドリール１０のシャフト１２が挿入されるシャフト孔６２を備えた軸受箱６１が設けられており，この軸受箱６１に設けたシャフト孔６２内に軸受（ベアリング）６３を挿入し，この軸受６３にバンドリール１０のシャフト１２を軸支させている。

【0051】

この軸受箱６１には，前述した軸受６３の取り付け位置よりもバンドリール本体１１側に，バンドリール１０のシャフト１２の外周を囲む円筒状の空間がゼンマイバネ室６４として形成されており（図４及び図５参照），このゼンマイバネ室６４内にゼンマイバネ６５が収容されている。

【0052】

ゼンマイバネ室６４内に収容するゼンマイバネ６５は，その外周端をゼンマイバネ室６４内に固定して収容するものとしても良いが，本実施形態では，ゼンマイバネ６５の外周端を，ゼンマイバネ室６４の内周面６４ａに摺接するように収容している。

【0053】

このようにゼンマイバネ６５の外周と摺接させるゼンマイバネ室６４の内周面６４ａは，軸受箱６１の材質である樹脂や金属，セラミックス等の材質そのままの状態であっても良いが，好ましくは一定の摩擦係数を有する材料，例えば，シリコンゴムなどのゴムでコーティング等により内装する。

【0054】

前述のゼンマイバネ６５は，図４に示すようにその内周端６５ａを内周側に折り返して形成された係止爪６６を備えており，この係止爪６６に，バンドリール１０のシャフト１２に設けた係合突起１４（図５及び図６参照）を係合させることができるように構成されている。

【0055】

図示の構成では，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａに形成した係止爪６６は，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａをＵ字状に折り返して形成したものとなっているが，この係止爪６６は，図４及び図６に示した形状に限定されず，例えばＶ字状に折り返すことにより形成しても良い。

【0056】

このように，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａに設けた係止爪６６を，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａを折り返して形成したことで，図６（Ａ）に示すようにバンドリール１０の正転によってバンドリール１０のシャフト１２に設けた係合突起１４が紙面反時計回り方向に回転する際には，シャフト１２に設けた係合突起１４が係止爪６６と係合して，ゼンマイバネ６５を巻き上げる。

【0057】

また，図６（Ｂ）に示すように，ゼンマイバネ６５が巻かれて力を貯えた状態で，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａが紙面時計回り方向に移動しているときには，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａに設けた係止爪６６がシャフト１２に設けた係合突起１４と係合して，ゼンマイバネ６５によってバンドリール１０の逆転が行われる。

【0058】

しかし，図６（Ｃ）に示すように，ゼンマイバネ６５が伸び切った状態で更にバンドリール１０が慣性等によって逆転して係合突起１４が紙面時計回り方向に回転すると，係合突起１４と係止爪６６との係合が解除されて，バンドリール１０はゼンマイバネ６５から切り離されて回転する。

【0059】

しかも，図６（Ｄ）に示すように，係止爪６６は，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａを内向きに折り返して形成されていることで，バンドリール１０が更に逆回転を継続して，時計回り方向で係止爪６６に衝突すると，この衝突によりゼンマイバネ６５の内周端６５ａは，外周方向に押し退けられてバンドリール１０は更にゼンマイバネ６５と切り離された状態で逆転を行う。

【0060】

その結果，ゼンマイバネ６５が完全に伸び切った状態から更に紙面時計回り方向にゼンマイバネ６５が回転されることによって生じる破損を防止できるようになっている。

【0061】

バンドリール１０のシャフト１２を軸支する前述の支持アーム６０には，更にこのバンドリール１０に与える回転抵抗を可変と成す，ブレーキ手段５０が設けられている。

【0062】

このブレーキ手段５０としては，既知の各種のブレーキ手段を採用可能であるが，本実施形態にあっては，図５に示すように，軸受箱６１に設けたシャフト孔６２と直交方向に連通するボルト孔５１を設け，このボルト孔５１にボルト５２を螺合して，このボルト５２の先端をシャフト孔６２内に挿入されバンドリール１０のシャフト１２の外周と接触させることで，ボルト５２のねじ込み量の調整によってバンドリール１０の回転抵抗を可変するブレーキ手段５０を構成した。

【0063】

このブレーキ手段５０を構成するボルト５２の先端には，ウレタンやナイロン等の一定の摩擦係数の樹脂杆５３を取り付けけることが好ましく，本実施形態では，図５中に拡大図で示したように，ボルト５２の先端部に形成したた発条５４の先端に一定の摩擦係数の樹脂杆５３を取り付けることで，シャフト１２の外周と接触させる部分の一定の摩擦係数の樹脂杆５３が摩滅した場合には容易に交換することができるようにした。

【0064】

以上のようにして支持アーム６０に回転可能に軸支したバンドリール１０の外周位置には，図１～３に示すようにガイドローラ３１が設けられており，バンドリール１０より引き出したバンドＢを，このガイドローラ３１の外周に掛けてその向きを変換した後，フィードユニット２０に導入することができるように構成されている。

【0065】

このガイドローラ３１は，一端３２ａ側が軸支されて擺動可能とされたスイングアーム３２の他端３２ｂ側に回転自在に取り付けられており，スイングアーム３２の擺動によって，ガイドローラ３１は，フィードユニット２０との間の距離が拡縮するように移動できるように構成されている。

【0066】

このスイングアーム３２は，バンドリール１０の外周位置においてガイドローラ３１をフィードユニット２０に近付け及び遠ざける方向に移動させることができるものであれば，特に，その構造は限定されないが，好ましくは，図２及び図３に示すように，スイングアーム３２の一端３２ａ側を，バンドリール１０のシャフト１２と同軸上に軸支し，ガイドローラ３１がバンドリール１０の同心外周上を移動するように構成する。

【0067】

このように構成することで，図１に示す正面図においてスイングアーム３２の殆どの部分をバンドリール１０と重なる位置（バンドリール１０の裏側）に配置して，スイングアーム３２を設けた構成としながら梱包機１に大きな出っ張りが生じず全体的にコンパクトな形状とすることができ一方，ガイドローラ３１の移動幅を比較的大きくとることができ，バンドＢの大きなたるみについても吸収することができるものとなっている。

【0068】

前述のスイングアーム３２には，ガイドローラ３１をフィードユニット２０から遠ざける方向にスイングアーム３２を付勢する付勢手段３３が設けられており，本実施形態ではこの付勢手段３３としてコイルスプリングを採用している。

【0069】

この付勢手段３３によるスイングアーム３２の付勢は，バンドＢにテンションが掛かっていない状態ではガイドローラ３１をフィードユニット２０より最も離れた位置に移動させる一方，フィードユニット２０によるバンドＢの送り出しによってバンドＢにテンションが掛かると，ガイドローラ３１がフィードユニット２０に近接した位置に移動できる程度の付勢力によって行われている。

【0070】

なお，フィードユニット２０によるバンドＢの送り出し時にバンドＢに掛かるテンションは，バンドリール１０の回転抵抗が大きい程，大きくなる。

【0071】

従って，フィードユニット２０によるバンドＢの送り出し時に，ガイドローラ３１がフィードユニット２０に近接した位置へ移動するようにする調整は，付勢手段３３の交換や取り付け位置の変更等の，付勢手段３３側の付勢力の調整によって行うことができるだけでなく，バンドリール１０の回転抵抗を可変とするブレーキ手段５０を設けた本実施形態の梱包機１にあっては，ブレーキ手段５０を操作して，バンドリール１０に与える回転抵抗を変化させることによって調整するものとしても良い。

【0072】

〔作用等〕
以上のように構成された本発明の梱包機１において，スイングアーム３２は，付勢手段３３によってガイドローラ３１をフィードユニット２０から遠ざける方向に付勢されており，図７（Ａ）に示すように，その初期位置では，ガイドローラ３１は，フィードユニット２０から最も離れた位置に移動している。

【0073】

この状態から，バンドリール１０より引き出したバンドＢをガイドローラ３１に掛けた後，フィードユニット２０に通し，フィードユニット２０によるバンドＢの送り出しを開始すると，フィードユニット２０とバンドリール間のバンドＢが，フィードユニット２０側に引き込まれてバンドのテンションが増大し，図７（Ｂ）に示すようにスイングアーム３２に取り付けられているガイドローラ３１がローラユニット２０に近接した位置に移動する。

【0074】

また，バンドＢに対するテンションが，バンドリール１０を回転させるまで上昇すると，バンドリール１０からのバンドＢの引き出しが開始され，このようにしてフィードユニット２０がバンドリール１０から引き出したバンドＢがテーブル７上に送り出される。

【0075】

このようにして，所定長さのバンドＢが送り出されると，フィードユニット２０は正転を停止して，バンドＢの送り出しが終了する。

【0076】

バンドリール１０からバンドＢが引き出されてバンドリール１０が正転している時，バンドリール１０のシャフト１２に設けた係合突起１４が，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａに設けた係止爪６６と係合してゼンマイバネ６５の巻き上げが行われ，ゼンマイバネ６５には，バンドリール１０を逆転させる方向の力が貯えられている。

【0077】

ゼンマイバネ６５は，巻き上げが進行するに従い，直径が狭まるように変形することで，ゼンマイバネ６５にある程度の力が貯えられると，ゼンマイバネ６５の外周は，ゼンマイバネ室６４の内周面６４ａとの接触状態を維持できなくなってゼンマイバネ室６４内で空転して貯えた力を一部開放する。

【0078】

なお，例えば樹脂や金属，セラミックス等で形成されているゼンマイバネ室６４の内周面６４ａに，直接，ゼンマイバネ６５の外周を摺接された構成では，前述したゼンマイバネ６５の外周が空転した際に，必要以上の空転が生じてゼンマイバネ６５に蓄えた力も必要以上に開放されてしまう場合があり，フィードユニット２０が引き戻したバンドＢを全量，バンドリール１０に巻き取れない場合が生じ得る。

【0079】

これに対し，ゼンマイバネ室６４の内周面６４ａにシリコンゴムをコーティングした本発明の構成では，ゼンマイバネ６５の外周端がゼンマイバネ室６４内の固定されておらず，摺接された状態にあるため，必要以上にゼンマイバネ６５の巻き上げが行われた場合にゼンマイバネ６５の外周がゼンマイバネ室６４内で空転して必要以上に蓄えた力を一部開放する点には同様であるが，シリコンゴムのコーティングによってゼンマイバネ６５の外周とゼンマイバネ室６４の内周面６４ａとの摩擦抵抗は高まっているために，両者間が滑り難くなっていることで，ゼンマイバネ６５の外周が必要以上に空転することを防止でき，その結果，ゼンマイバネ６５を，バンドＢの巻き戻しに必要な力を貯えた状態に維持できるものとなっている。

【0080】

このようにして，フィードユニット２０が正転を停止しても，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢには，バンドリール１０の正転時に力を貯えたゼンマイバネ６５によるバンドリール１０の逆転力によってテンションが掛かった状態にあることから，ガイドローラ３１は，フィードユニット２０に対する最近接位置に移動した状態に維持される。

【0081】

この状態から，ユーザが，テーブル上に載置された被梱包物Ｗの外周を囲むループを形成するように，バンドＢの先端をシールユニット４０の所定の位置に挿入すると，シールユニット４０は挿入されたバンドＢの端部を把持すると共に，フィードユニット２０のメインローラ２１が逆転を開始して，バンドＢの引き戻しが開始される。

【0082】

このようにして，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻しが行われることで，フィードユニット２０からバンドリール１０側にバンドＢが戻されると，ゼンマイバネ６５によって逆転方向の回転力が与えられているバンドリール１０が逆転を開始するが，比較的重量があるバンドリール１０は，慣性によって停止状態から逆転速度が上昇するまでに時間を要するため，電動モータで迅速にバンドＢの引き戻しを開始するフィードユニット２０による引き戻しに対し，バンドリール１０によるバンドＢの巻取りは遅れて行われ，何ら処置を講じない場合，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドに大きなたるみが生じ得る。

【0083】

しかし，このようなバンドリール１０の動作遅れによって，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢのテンションが低下し，又はゼロテンションになると，コイルスプリング３３の付勢力によってスイングアーム３２が擺動して，ガイドローラ３１を，フィードユニット２０から遠ざける方向〔図７（Ｃ）に示すように紙面半時計回り方向〕に移動させることで，バンドＢに大きなたるみが生じることが防止される。

【0084】

このように，バンドリール１０は，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻しに遅れてバンドＢの巻き取りを行うことから，フィードユニット２０のよるバンドの巻き戻しが行われている際には，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢは，殆どテンションがかかっていない状態，又は，図７（Ｃ）に示すように僅かに弛んだゼロテンションの状態となっており，付勢手段３３の付勢力によってスイングアーム３２が擺動することで，ガイドローラ３１は，図７（Ｃ）に示すようにフィードユニット２０から遠ざかった位置に移動した状態にある。

【0085】

このようにして，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻しが行われ，所定量のバンドＢの引き戻しが完了してフィードユニット２０が逆転を停止すると，バンドリール１０はたるみ分のバンドＢを巻き取った時点で逆転できなくなることで，フィードユニット２０に僅かに遅れて逆転を停止する。

【0086】

このとき，フィードユニット２０とバンドリール１０間のバンドＢは，ゼンマイバネ６５の力と慣性によって回転を継続しようとするバンドリール１０の回転力を受け止めることでテンションが増大する。

【0087】

従来の梱包機では，バンドがピンと張ってバンドリールの逆転を停止するために，バンドリール１０の逆転停止時にはバンドＢのテンションが急激に上昇するものとなっていたが，本発明の梱包機１では，フィードユニット２０の停止後，バンドリール１０がバンドを巻き取るに従ってバンドＢに掛かるテンションが増加するに従い，図７（Ｄ）に示すように，フィードユニット２０から最も離間した位置にあったガイドローラ３１が，フィードユニット２０に近付く方向に移動することで緩衝してバンドＢに掛かる急激なテンションの増大を防止することができるものとなっている。

【0088】

その結果，本発明の梱包機１にあっては，脆弱な被梱包物Ｗを梱包対象とした場合であっても被梱包物Ｗに破損等を生じさせ難いものとなっている。

【0089】

なお，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａをバンドリール１０のシャフト１２に固定している場合，ゼンマイバネ６５が伸び切った後も，バンドリール１０が慣性等によってさらに逆転を継続すると，ゼンマイバネ６５を限界以上に伸ばそうとして破断させるおそれがあったが，本発明の梱包機では，図６を参照して説明したように，ゼンマイバネ６５が伸び切った状態で更にバンドリール１０が逆転すると，ゼンマイバネ６５の内周端６５ａに設けた係止爪６６と，バンドリール１０のシャフト１２に設けた係合突起１４との係合が解除されてバンドリール１０がゼンマイバネから切り離された状態で逆転することで，ゼンマイバネ６５の破損が防止されている。

【0090】

また，バンドリール１０の回転抵抗を可変とするブレーキ手段５０を設けた構成では，ブレーキ手段５０によってバンドリール１０に回転抵抗を与えておくことで，バンドリール１０の逆転が停止する際にバンドＢに与えるテンション増加を更に低減させることができる。

【0091】

このようにして，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻しが終了すると，シールユニット４０においてバンドＢの切断とバンド端間の溶着が行われて，梱包が終了する。

【0092】

このように，本発明の梱包機１によれば，フィードユニット２０によるバンドＢの引き戻し時にバンドＢに大きなたるみが生じることを防止でき，バンドＢの絡みや捩れの発生に伴う噛み込み等の作動不良を好適に防止できるだけでなく，バンドリール１０の停止に伴って被梱包物Ｗに巻回されたバンドが絞め込まれることを防止して，脆弱な被梱包物であっても破損等を生じさせることなく，高い信頼性を以て梱包することができた。

【符号の説明】

【0093】

１ 梱包機
７ テーブル
１０ バンドリール
１１ バンドリール本体
１２ シャフト
１４ 係合突起
２０ フィードユニット
２１ メインローラ
３１ ガイドローラ
３２ スイングアーム
３２ａ 一端（スイングアームの）
３２ｂ 他端（スイングアームの）
３３ 付勢手段（コイルスプリング）
４０ シールユニット
５０ ブレーキ手段
５１ ボルト孔
５２ ボルト
５３ 樹脂（樹脂杆）
５４ 発条
６０ 支持機構（バンドリールの）
６１ 軸受箱
６２ シャフト孔
６３ 軸受（ベアリング）
６４ ゼンマイバネ室
６４ａ 内周面（ゼンマイバネ室の）
６５ ゼンマイバネ
６５ａ 内周端（ゼンマイバネの）
６６ 係止爪
１００ 梱包機
１０７ テーブル
１１０ バンドリール
１２０ フィードユニット
１２１ メインローラ
１４０ シールユニット
Ｂ バンド
Ｗ 被梱包物

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】