(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ガス用ボンベ管理装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20230731BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230731BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230731BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230731BHJP
【FI】
F17C13/02 301Z
H04Q9/00 311H
H04M11/00 301
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2019056892
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】516053475
【氏名又は名称】有限会社日本OMC
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】百武 省彦
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-171331(JP,A)
【文献】特開平08-226599(JP,A)
【文献】実公昭47-001947(JP,Y1)
【文献】特開平07-269797(JP,A)
【文献】米国特許第06123187(US,A)
【文献】独国特許出願公開第19911032(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
H04Q 9/00
H04M 11/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが充填されるボンベ本体と、前記ボンベ本体の上部に設けられたバルブと、前記バルブを囲うハンドルと、前記バルブに連結され、燃焼機器へのホースが接続される連結器とを備えたガス用ボンベを、電気通信回線を介して管理センターにて管理するためのガス用ボンベ管理装置であって、
前記管理センターと通信する通信部と、前記ガス用ボンベの現在地を測位する測位部と、前記測位部からの位置情報を前記管理センターに前記通信部を介して送信する制御部とが内蔵された装置本体と、
前記装置本体の下部に設けられ、前記バルブに前記連結器が連結された状態で
前記ハンドルの上端部に嵌め込まれることにより、前記装置本体を前記ハンドルの上
方に設置
して前記連結器を覆い、保護するための搭載部とを備えたガス用ボンベ管理装置。
【請求項2】
前記搭載部の底面に、前記ハンドルの上端部に嵌まる溝が形成された請求項1記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項3】
前記搭載部には、前記バルブを臨む切り欠きが形成された正面となる位置に、前記連結器を臨ませる切り欠きが形成された請求項1または2記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項4】
搭載部の両方の側面であり、前記ハンドルを把持する際に指を通すための把持用孔の上方となる位置に、側面孔が形成された請求項1から3のいずれかの項に記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項5】
前記装置本体の底面には、前記連結器における前記バルブとの連結部分の遊びによる傾斜を規制する保護壁が形成された請求項1から4のいずれかの項に記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項6】
前記搭載部を前記ハンドルから脱着不可能にする施錠部が、前記搭載部に設けられた請求項1から5のいずれかの項に記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項7】
前記装置本体に、前記施錠部の施錠状態を施錠状態情報として出力する施錠状態検出部を備え、
前記制御部は、前記施錠状態検出部からの施錠状態情報を前記管理センターに前記通信部を介して送信する請求項6記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項8】
前記装置本体に、前記ガス用ボンベの傾斜状態を測定する傾斜測定部を備え、
前記制御部は、前記傾斜測定部からの傾斜情報を前記管理センターに前記通信部を介して送信する請求項1から7のいずれかの項に記載のガス用ボンベ管理装置。
【請求項9】
前記装置本体の直径は、前記ガス用ボンベの胴部の直径より小さく、前記ハンドルの直径より大きい請求項1から8のいずれかの項に記載のガス用ボンベ管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス用ボンベの管理を遠隔地から管理するためのガス用ボンベ管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス用ボンベは、販売業者により家屋に隣接した場所に設置され、使用した量によって費用が決まる体積販売と、ガス用ボンベにガスが充填された状態でユーザーに販売され、使用が終わるとガス用ボンベが返却されることにより、ガスの重さによって費用が決まる質量販売とがある。
質量販売では、ガス用ボンベを各ユーザーが移動先に設置して使用することになるため、所在が不明になるおそれがあり、販売業者では管理が困難である。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の物体情報の集中管理システムでは、市中に多数存在するプロパンガスボンベなどの物体の所在を、通信網を介して一元的に管理すると共に、ボンベの異常状態を検出し、迅速な防犯、防災管理を行うというものである。
【0004】
そのために、この集中管理システムでは、情報管理ユニットが、ガスボンベの底部を支えるボンベ受け台に、ユニットホルダを介して取り付けられ、震度センサ、温度センサ、重量センサ、GPSセンサ、時計、サンプリングパルス発生回路、電池、電池残量検知部、PHS通信部、センサ情報メモリ、端末IDメモリを備えている。
【0005】
ガスボンベに1対1で対応する情報管理ユニットは、一つ一つにID番号が付与され、集中管理センターでは、ガスボンベに対応したID番号を監視することで、ガス販売店に供給したガスボンベの設置保管場所をGPS情報により管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
質量販売では、ユーザー側で燃焼機器への接続が行われることから、ガスが充填されるボンベ本体の上部に設けられたバルブに、燃焼機器へのホースが接続され、減圧するための調整器を有する連結器が連結される。
一方、特許文献1に記載の物体情報の集中管理システムでは、通信網を介して、集中管理センターにて、一元管理できるものの、情報管理ユニットが、ガスボンベの底部を支えるボンベ受け台に、ユニットホルダを介して取り付けられているため、ガスボンベの上部に位置するバルブは、剥き出しのままの状態である。
【0008】
従って、バルブに連結器が連結された状態で、ユーザーが保管、管理するガス用ボンベでは、その扱いが粗雑であると、連結器に物を当ててしまうおそれがある。そうなると、バルブから連結器が外れたり、連結器が破損したりするおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、管理センターにて所在を一括管理できると共に、ユーザーが取り扱ってもガス用ボンベの安全性を確保することができるガス用ボンベ管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガス用ボンベ管理装置は、ガスが充填されるボンベ本体と、前記ボンベ本体の上部に設けられたバルブと、前記バルブを囲うハンドルと、前記バルブに連結され、燃焼機器へのホースが接続される連結器とを備えたガス用ボンベを、電気通信回線を介して管理センターにて管理するためのものであって、前記管理センターと通信する通信部と、前記ガス用ボンベの現在地を測位する測位部と、前記測位部からの位置情報を前記管理センターに前記通信部を介して送信する制御部とが内蔵された装置本体と、前記装置本体の下部に設けられ、前記バルブに前記連結器が連結された状態で、前記装置本体を前記ハンドルの上端部に設置するための搭載部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明のガス用ボンベ管理装置によれば、制御部が、測位部から現在地を位置情報として通信部を介して管理センターへ通信部を介して送信するため、管理センターにて、ガス用ボンベの位置を把握することができる。連結器がバルブに連結され、連結器の高さ位置がハンドルの高さより高くなっても、ガス用ボンベ管理装置が連結器を覆い、保護するため、ガス用ボンベの扱いが粗雑であっても、直接、連結器に物が当たることを防止することができる。
【0012】
前記搭載部の底面に、前記ハンドルの上端部に嵌まる溝が形成されていると、容易に、搭載部をガス用ボンベに搭載することができる。
【0013】
前記搭載部には、前記バルブを臨む切り欠きが形成された正面となる位置に、前記連結器を臨ませる切り欠きが形成されていると、連結器に燃焼機器からのホースを接続する際に、容易にホースを連結器に接続することができる。
【0014】
搭載部の両方の側面であり、前記ハンドルを把持する際に指を通すための把持用孔の上方となる位置に、側面孔が形成されていると、把持用孔に人差し指から小指までを差し込むと、側面孔に親指を差し込むことができ、容易に、ガス用ボンベを持ち運びすることができる。
【0015】
前記装置本体の底面には、前記連結器における前記バルブとの連結部分の遊びによる傾斜を規制する保護壁が形成されていると、ホースを連結器に接続する際に、連結器が押圧されても、連結器におけるバルブとの連結部分の遊びにより、連結器が傾斜することを保護壁が規制することができる。
【0016】
前記搭載部を前記ハンドルから脱着不可能にする施錠部が、前記搭載部に設けられていると、ユーザーが、勝手にガス用ボンベから本発明のガス用ボンベ管理装置を取り外してしまうことを防止することができる。
【0017】
前記装置本体に、前記施錠部の施錠状態を施錠状態情報として出力する施錠状態検出部を備え、前記制御部は、前記施錠状態検出部からの施錠状態情報を前記管理センターに前記通信部を介して送信することができる。また、施錠状態情報により、ユーザーがガス用ボンベ管理装置をガス用ボンベから取り外そうとしていることを管理センターにて検出することができる。
【0018】
前記装置本体に、前記ガス用ボンベの傾斜状態を測定する傾斜測定部を備え、前記制御部は、前記傾斜測定部からの傾斜情報を前記管理センターに前記通信部を介して送信することができる。傾斜測定部が測定する傾斜情報により、ガス用ボンベが危険な傾斜状態で保管されていたり、転倒状態で保管されていたりすることが管理センターにて検出できる。
【0019】
前記装置本体の直径は、前記ガス用ボンベの胴部の直径より小さく、前記ハンドルの直径より大きく形成されていることで、ガス用ボンベが転倒しても、装置本体が設置場所に衝突して衝撃を受けることを軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のガス用ボンベ管理装置によれば、ガス用ボンベの位置が把握できるため、ガス用ボンベがどこに保管されていても、管理センターにて管理することができると共に、
ガス用ボンベの扱いが粗雑であっても、直接、連結器に物が当たることを防止することができる。よって、本発明のガス用ボンベ管理装置は、管理センターにて所在を一括管理できると共に、ユーザーが取り扱ってもガス用ボンベの安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係るガス用ボンベ管理装置と、管理センターとを説明するための図である。
【
図2】
図1に示すガス用ボンベ管理装置がガス用ボンベから分離した状態の図であり、(A)は正面図、(B)は連結器にジョイント付きホースを接続した状態の右側面図である。
【
図3】
図2に示すガス用ボンベ管理装置がガス用ボンベに搭載された状態の正面図である。
【
図4】
図2に示すガス用ボンベ管理装置の底面図である。
【
図5】
図2に示すガス用ボンベ管理装置の装置本体の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態に係るガス用ボンベ管理装置を図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施の形態に係るガス用ボンベ管理装置30は、ガス用ボンベ10の管理を遠隔地である管理センター20から管理するためのものである。
【0023】
まず、ガス用ボンベ10について、
図2(A)および同図(B)に基づいて説明する。
ガス用ボンベ10は、ガスが充填されるボンベ本体11と、ボンベ本体11の上部に設けられたバルブ12と、バルブ12を囲うハンドル13と、バルブ12に連結され、燃焼機器へのジョイント付きホースHが接続される連結器14とを備えている。
ボンベ本体11は、例えば、液化プロパンガスが充填される。ボンベ本体11は、ボンベ本体11の外皮とハンドル13とが一体的に形成されたポリエチレン製のアウターケースと、グラスファイバー製の圧力容器と、液化されたガスを貯留するポリエチレン製のライナーの3層から形成されている。
【0024】
バルブ12は、ボンベ本体11の上部から突出している。このバルブ12には、開放と閉鎖とを切り替えるコックを備える。
ハンドル13は、バブル12の前方を除く範囲を囲うために、前部にバルブ12を臨ませる切り欠き13aが形成されていると共に、両方の側面に、ハンドル13を把持する際に指を通すための把持用孔13bが一対形成されている。
ハンドル13がボンベ本体11の胴部11aより先細り形状に形成されているため、胴部11aの直径D1は、ハンドル13の上端縁部に形成された鍔部13cの直径D2より大きく形成されている。
【0025】
連結器14は、バルブ12の先端部に連結されることで、バルブ12より更に高い位置に配置される。連結器14には、ボンベ本体11から高圧ガスを減圧して燃焼機器へ送る調整器(減圧器)を備えている。連結器14は、バルブ12との連結部分に遊びを有しており、ボンベ本体11から垂直に突出したバルブ12に対して連結器14に水平方向の押圧力が掛かると、連結器14は傾斜した状態になる。
【0026】
このガス用ボンベ10は、HEXAGON RAGASCO社製のプラコンポ(商標)が使用できる。
【0027】
次に、管理センター20について、
図1に基づいて説明する。
管理センター20は、ガス用ボンベ10の販売業者またはガス用ボンベ10の管理会社により運営される。管理センター20には、電気通信回線の一例であるインターネットWに、中継装置21を介して接続する管理サーバ22が設置されている。また、管理センター20には、管理サーバ22に中継装置21を介して接続して、ガス用ボンベ10の設置状態を監視するための端末装置23が設置されている。
【0028】
中継装置21は、インターネットWと管理センター20内のイントラネットとを接続するルータとすることができる。また、管理センター20に設置される端末装置23の台数が数多い場合には、中継装置21は、ルータとルータ配下に接続されるハブとすることができる。
【0029】
次に、ガス用ボンベ10の上部に搭載されるガス用ボンベ管理装置30について、
図2から
図4に基づいて説明する。
図2に示すように、ガス用ボンベ管理装置30は、管理センター20(
図1参照)へ情報を送信する機器が内蔵された装置本体40と、装置本体40をハンドル13の上部に搭載するための搭載部50と、搭載部50をハンドル13から脱着不可能にする施錠部60とを備えている。
【0030】
装置本体40は、例えば、半球状に形成することができる。装置本体40の直径D3は、胴部11aの直径D1より小さく、ハンドル13の鍔部13cの直径D2より大きく形成されている。
図2および
図4に示すように、装置本体40の底面40aには、連結器14を保護するために、連結器14の前方を除く範囲の三方を囲う保護壁40bが垂下した状態で形成されている。この保護壁40bは、連結器14の連結部分の遊びにより、連結器14が限界まで傾斜する前の位置に形成されている。
【0031】
図5に示すように、装置本体40には、通信部41と、制御部42と、設置状態検出部43と、電源部44と、二次電池45とが内蔵され、太陽光発電パネル46が装置本体40の外側面に設けられている。
【0032】
通信部41は、インターネットWから基地局Bを通じて送信された無線信号を受信した通信情報を装置本体40内の制御部42へ出力すると共に、制御部42からの通信情報を無線信号により基地局Bへ送信することで、インターネットWと通信するものである。
【0033】
通信部41と基地局Bとの間は、例えば、携帯電話会社が提供する、通信規格(1G-5G)による携帯電話回線サービスにより通信することが可能である。通信部41が、携帯電話回線サービスにより通信することで、サービス提供エリアであれば、ガス用ボンベ10の設置場所を通信部41により管理センター20に通知することができる。
【0034】
制御部42は、設置状態検出部43からの設置状態情報を読み取り、通信部41を介して管理サーバ22へ送信するものである。制御部42は、ガス用ボンベ管理装置30固有の識別情報を有しており、設置状態情報を送信する際には、識別情報も一緒に送信する。
【0035】
設置状態検出部43は、測位部431と、傾斜測定部432と、温度測定部433と、湿度測定部434と、施錠状態検出部435とを備えている。
測位部431は、現在地を位置情報として測位するセンサである。位置情報は、経度、緯度、高さの各情報が含まれる。測位部431は、例えば、GPS(Global Positioning System)とすることができる。
傾斜測定部432は、ガス用ボンベ10の傾斜状態を測定して傾斜情報として出力する傾斜センサである。
温度測定部433は、温度を測定して温度情報として出力する温度センサである。
湿度測定部434が、湿度を測定して湿度情報として出力する湿度センサである。
施錠状態検出部435は、搭載部50の後述する施錠部の施錠状態を施錠状態情報として出力する。
【0036】
電源部44は、二次電池45または太陽光発電パネル46による電源を調整して各部へ供給したり、太陽光発電パネル46からの電流により二次電池45を充電したりするものである。
二次電池45は、充電可能な電池であり、例えば、小型で容量が大きいリチウムイオン電池とすることができる。
太陽光発電パネル46は、装置本体40の半球状の天面40cに配置されている。
【0037】
図2(A)および同図(B)に示すように、搭載部50は、装置本体40の下部40dに設けられ、バルブ12に連結器14が連結された状態で、装置本体40をハンドル13の上端部13dに設置するための脚部である。
図2および
図4に示すように、搭載部50は、装置本体40における底面40aの周縁40eからハンドル13に向かって延び、ハンドル13の切り欠き13aを除く範囲の円弧状に形成されている。搭載部50の正面となる前部50bには、連結器14を臨ませる切り欠き50aが形成されている。また、搭載部50の両方の側面50cであり、ハンドル13を把持する際に指を通すための把持用孔13bの上方となる位置に、側面孔50dが形成されている。
搭載部50の下端50eには、ハンドル13の上端部に嵌まる溝51が形成されている。
【0038】
また、施錠部60は、搭載部50における両方の側面50cの下端50eから下方にハンドル13の把持用孔13bまで延びる一対の支持部61を備えている。
また、施錠部60は、一方の支持部61に穿孔された一対の貫通孔61aを挿通して、ハンドル13の一方の把持用孔13bを挿通し、他方の把持用孔13bを挿通して、他方の支持部61に穿孔された一対の貫通孔61aを挿通する施錠用棒62を備えている。
【0039】
施錠用棒62は、一方の先端部62aをヒンジ部62bで、他方の先端部62cの方向へ回転させることで、U字状から長方形状に変形する。施錠用棒62の一方の先端部62aには貫通孔62dが形成され、他方の先端部62cにも貫通孔62eが形成されており、施錠用棒62を長方形状に変形させたときに、貫通孔62d,62e同士が上下に重なる。
更に、施錠部60は、施錠用棒62の一方の先端部62aを回転させ、他方の先端部62cに重ねると、上下に重なる貫通孔62d,62eに、フック部63aが挿通する錠前63を備えている。
【0040】
支持部61には、支持部61に形成された一対の貫通孔61aに施錠用棒62が挿通していることを検出する一対の電極(図示せず)が設けられている。
図5に示す施錠状態検出部435は、この電極が導通状態のときに施錠部60が施錠状態であるとして通知せず、非導通状態となることで解錠状態となったことを検出して制御部42に通知する。
【0041】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るガス用ボンベ管理装置30の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
ガス用ボンベ10は、
図2に示すように、液化プロパンガスなどのガスが充填され、ガス用ボンベ管理装置30が搭載された状態で、ユーザーが量販店にて購入する。
購入の際には、ガス用ボンベ管理装置30の識別情報に対応付けて、ユーザー(購入者)の氏名、住所、連絡先(電話番号等)を登録する。
ユーザーは、ガス用ボンベ10を自宅で使用したり、バーベキューを行うレジャー施設で使用したりすることができる。
ユーザーは、ガス用ボンベ10からガスの供給を受け、ガスコンロやバーベキューグリルなどの燃焼機器により調理するときには、燃焼機器に接続されたジョイント付きホースHを、ガス用ボンベ10の連結器14に接続する。
【0042】
ガス用ボンベ管理装置30では、制御部42が、測位部431から現在地を位置情報として読み取る。そして、制御部42は、識別情報と共に、通信部41を介して管理センター20(管理サーバ22)へ通信部41を介して送信する。
制御部42は、傾斜測定部432が測定したガス用ボンベ10(装置本体40)の傾斜状態を傾斜情報として読み取る。そして、制御部42は、識別情報と共に、傾斜情報を管理センター20(管理サーバ22)へ通信部41を介して送信する。
【0043】
制御部42は、温度測定部433が測定したガス用ボンベ10(装置本体40)の周囲の温度を温度情報として、また、湿度測定部434が測定したガス用ボンベ10(装置本体40)の周囲の湿度を湿度情報として読み取る。そして、制御部42は、識別情報と共に、温度情報および湿度情報を管理センター20(管理サーバ22)へ通信部41を介して送信する。
更に、制御部42は、施錠状態検出部435から施錠部60の施錠状態を施錠状態情報として読み取る。そして、制御部42は、識別情報と共に、施錠状態情報を管理センター20(管理サーバ22)へ通信部41を介して送信する。
【0044】
制御部42は、位置情報を定期的に送信することが可能であり、ガス用ボンベ10の現在地が変化したことを契機に位置情報を送信することも可能である。
制御部42は、傾斜情報を定期的に送信することが可能であり、ガス用ボンベ10の傾斜状態が変化したことを契機に傾斜情報を送信することも可能である。また、制御部42は、ガス用ボンベ10の傾斜状態が許容される範囲を超えたことを契機に傾斜情報を送信することも可能である。
【0045】
また、制御部42は、温度情報および湿度情報を定期的に送信することが可能であり、所定の温度範囲および所定の湿度範囲を超えたことを契機に温度情報および湿度情報を送信することも可能である。
更に、制御部42は、施錠状態情報を定期的に送信することが可能であり、解錠状態が検知されてことを契機に施錠状態情報を送信することも可能である。
【0046】
管理サーバ22では、日時と、識別情報と、傾斜情報と、位置情報と、温度情報と、湿度情報と、解錠情報とを関連付けて、管理情報として記憶する。端末装置23は、管理サーバ22にアクセスすることにより、管理情報を閲覧することができる。
【0047】
管理サーバ22では、定期的に傾斜情報や位置情報、温度情報、湿度情報を送信される場合には、傾斜情報が許容される傾斜範囲を超えたか否か、位置情報の変化、温度情報が許容される温度範囲を超えたか否か、湿度情報が許容される湿度範囲を超えたか否か、施錠部60が解錠されたことを判定することで、端末装置23での閲覧に警告を報知することが可能である。
【0048】
このようにして管理センター20にて、ガス用ボンベ10の位置が把握できるため、ガス用ボンベ10がどこに保管されていても、管理サーバ22により管理することができ、端末装置23により閲覧して、監視することができる。
また、傾斜情報により、ガス用ボンベ10が危険な傾斜状態で保管されていたり、転倒状態で保管されていたりすることが管理センター20にて検出できる。
温度情報および湿度情報により、ガス用ボンベ10が許容される環境状態では無い場所に保管されていることを検出することができる。
従って、ガス用ボンベ10が安全な状態で保管されていることを管理センター20にて確認することができ、管理することができる。
【0049】
ガス用ボンベ管理装置30の搭載部50は、装置本体40の下部40dに設けられ、バルブ12に連結器14が連結された状態で、装置本体40をハンドル13の上端部13dに設置している。
従って、連結器14がバルブ12に連結され、連結器14の高さ位置がハンドル13の高さより高くなっても、ガス用ボンベ管理装置30が連結器14を覆い、保護する。そのため、ガス用ボンベ10の扱いが粗雑であっても、直接、連結器14に物が当たることを防止することができるので、バルブ12から連結器14が外れたり、連結器14が破損したりすることが防止できる。
よって、ガス用ボンベ10が質量販売されるボンベであり、ユーザーが量販店で購入して、任意の場所で使用するものであっても、ガス用ボンベ管理装置30は、管理センター20にて所在を一括管理できると共に、ユーザーが取り扱ってもガス用ボンベ10の安全性を確保することができる。
【0050】
ガス用ボンベ管理装置30は、搭載部50の下端50eに形成された溝51によりハンドル13の上端部に嵌め込まれ、搭載されるため、容易に、ガス用ボンベ管理装置30(搭載部50)をガス用ボンベ10に搭載することができる。
【0051】
搭載部50の正面となる前部50bに、連結器14を臨ませる切り欠き50aが形成されているため、連結器14に燃焼機器からのホースHを接続する際に、容易にホースHを連結器14に接続することができる。
【0052】
搭載部50の両方の側面50cであり、ハンドル13を把持する際に指を通すための把持用孔13bの上方となる位置に、側面孔50dが形成されている。そのため、把持用孔13bに人差し指から小指までを差し込むと、側面孔50dに親指を差し込むことができ、容易に、ガス用ボンベ管理装置30を搭載したガス用ボンベ10を持ち運びすることができる。
【0053】
装置本体40の底面40aには、保護壁40bが垂下した状態で形成されているため、ホースHを切り欠き50aを通して連結器14に接続する際に、連結器14が後方へ押圧されても、連結器14におけるバルブ12との連結部分の遊びにより、連結器14の傾斜を保護壁40bが規制する。
従って、連結器14へホースHを接続する度に連結器14の遊びの限界まで傾斜することを繰り返すことで、連結の悪化を招いてしまう事態を回避することができる。
【0054】
搭載部50をハンドル13から脱着不可能にする施錠部60が、搭載部50に設けられているため、ユーザーが、勝手にガス用ボンベ10からガス用ボンベ管理装置30を取り外して移動することが防止できる。
また、施錠状態情報により、ユーザーがガス用ボンベ管理装置30をガス用ボンベ10から取り外そうとしていることを管理センター20にて検出することができる。
従って、ガス用ボンベ管理装置30がガス用ボンベ10から取り外され、ガス用ボンベ10の所在が不明となることを防止することができる。
【0055】
図2(A)および同図(B)に示すように、装置本体の直径D3は、ガス用ボンベ10の胴部11aの直径D1より小さく、ハンドル13の直径D2より大きく形成されている。そのため、ガス用ボンベ10が転倒しても、装置本体40が設置場所に衝突して衝撃を受けることを軽減することができる。また、複数のガス用ボンベ10を隣接させて保管する場合でも、保管時に隣接するガス用ボンベ10に搭載されたガス用ボンベ管理装置30同士が接触することを回避することができる。
【0056】
本実施の形態では、ガス用ボンベ管理装置30が太陽光発電パネル46を備えているため、電源が取れない屋外であっても、装置本体40の各部に電源部44を介して電源を供給することができる。また、二次電池45を備えているため、夜間や曇天など、太陽光発電パネル46による発電が期待できない場合に、晴天時に太陽光発電パネル46により充電された二次電池45により、装置本体40の各部に電源部44を介して電源を供給することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、ガス用ボンベ10が樹脂製であったが、ハンドルがバルブに連結された連結器より高くなる金属製のガス用ボンベであっても、本発明のガス用ボンベ管理装置を搭載することで、上方からの物の落下により連結器に損傷を与えることが防止できるため、本発明のガス用ボンベ管理装置を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のガス用ボンベ管理装置は、ガス用ボンベの管理に好適であり、特に、質量販売されるガス用ボンベの管理に最適である。
【符号の説明】
【0059】
10 ガス用ボンベ
11 ボンベ本体
11a 胴部
12 バルブ
13 ハンドル
13a 切り欠き
13b 把持用孔
13c 鍔部
13d 上端部
14 連結器
20 管理センター
21 中継装置
22 管理サーバ
23 端末装置
30 ガス用ボンベ管理装置
40 装置本体
40a 底面
40b 保護壁
40c 天面
40d 下部
40e 周縁
41 通信部
42 制御部
43 設置状態検出部
431 測位部
432 傾斜測定部
433 温度測定部
434 湿度測定部
435 施錠状態検出部
44 電源部
45 二次電池
46 太陽光発電パネル
50 搭載部
50a 切り欠き
50b 前部
50c 側面
50d 側面孔
50e 下端
51 溝
60 施錠部
61 支持部
61a 貫通孔
62 施錠用棒
62a 一方の先端部
62b ヒンジ部
62c 他方の先端部
62d,62e 貫通孔
63 錠前
63a フック部
B 基地局
W インターネット
D1,D2,D3 直径
H ホース