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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】農作業機用作業時間測定システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20230731BHJP
   A01B 63/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A01B33/08 Z
A01B63/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019102747
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020195316
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 盛人
(72)【発明者】
【氏名】池内 善活
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/070393(WO,A1)
【文献】特開2016-084014(JP,A)
【文献】特開2010-000076(JP,A)
【文献】特開2004-187584(JP,A)
【文献】特開2019-033673(JP,A)
【文献】特開2010-172267(JP,A)
【文献】特開2011-140832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00 - 33/16
A01B 63/00 - 63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用作業時間測定システムにおいて、
前記農作業機に備えられ前記農作業機の振動を検知するための振動用センサと、前記振動用センサからの情報を取得可能な演算部と、表示部と、リセットスイッチを有する操作部とを備え、
前記表示部と前記操作部は、前記演算部と遠隔で無線通信できる機能を有しタッチパネルで構成される表示画面を備える持ち運び可能な表示操作部として一体で構成され、
前記リセットスイッチは前記表示画面にリセット表示として表示され、
前記演算部は、前記振動用センサの情報から検知される振動が予め定めた所定以上の振動である場合の時間について、初期からの合計の積算時間と、前記リセット表示の操作により前回リセットされた時からの合計の積算時間とで算出し、
前記表示操作部は、初期からの合計の積算時間と、前回リセットされた時からの合計の積算時間を並べて表示すると共に、前記リセット表示を同時に表示し、前記リセット表示に触れるとその情報は無線送信により前記演算部へ送られ前記前回リセットされた時からの合計の積算時間が0となることを特徴とする農作業機用作業時間測定システム。
【請求項2】
トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用作業時間測定システムにおいて、
前記農作業機に備えられ前記農作業機の振動を検知するための振動用センサと、前記農作業機に備えられ前記農作業機の前後方向の傾き角度を検知するための角度用センサと、前記振動用センサ及び前記角度用センサからの情報を取得可能な演算部と、表示部と、リセットスイッチを有する操作部とを備え、
前記表示部と前記操作部は、前記演算部と遠隔で無線通信できる機能を有しタッチパネルで構成される表示画面を備える持ち運び可能な表示操作部として一体で構成され、
前記リセットスイッチは前記表示画面にリセット表示として表示され、
前記演算部は、前記角度用センサの情報から検知される前方向への傾き角度が予め定めた所定以下の角度である場合で、かつ、前記振動用センサの情報から検知される振動が予め定めた所定以上の振動である場合における時間について、初期からの合計の積算時間と、前記リセット表示の操作により前回リセットされた時からの合計の積算時間とで積算し、
前記表示操作部は、初期からの合計の積算時間と、前回リセットされた時からの合計の積算時間を並べて表示すると共に、前記リセット表示を同時に表示し、前記リセット表示に触れるとその情報は無線送信により前記演算部へ送られ前記前回リセットされた時からの合計の積算時間が0となることを特徴とする農作業機用作業時間測定システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用作業時間測定システムにおいて、
前記所定以上の振動は、振動の値が予め定めた一定値以上となる振動であることを特徴とする農作業機用作業時間測定システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の農作業機用作業時間測定システムにおいて、
前記所定以上の振動は、振動の値が予め定めた一定値以上を予め定めた一定時間以上検知される振動であることを特徴とする農作業機用作業時間測定システム。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の農作業機用作業時間測定システムにおいて、
前記表示操作部は、初期からの合計の積算時間と、前回リセットされた時からの合計の積算時間の表示と併せて、前記農作業機の水平状態と深さ状態を含む農作業機の状態を表示することを特徴とする農作業機用作業時間測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機用作業時間測定システムに関し、特に、トラクタに装着する農作業機の作業時間を測定する農作業機用作業時間測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタに装着して農作業を行う農作業機に対して、実作業時間を測定するためのアワーメータ等の測定器は付属していなかった。このため、作業者は、農作業機の実作業時間を取得するために、トラクタに装備されたアワーメータの時間を記録すること等を行っていた。
【0003】
また、特許文献1には、トラクタのPTO軸にジョイント等の回転伝達手段を介して回転を伝達して作業を行う農作業機において、回転部の回転により作業時間を算出する稼働時間確認手段を設けたことを特徴とする農作業機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-44928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、トラクタのアワーメータの時間の記録は、作業の始めと終わり毎に記録を取る必要があり、手間のかかる作業になると共に、記録の付け忘れなども発生するリスクがある。さらに、トラクタは、農作業の種類毎で農作業機を付け替えることができるため、種類の異なる作業のために他の農作業機に付け替えた場合は、どの機械の作業時間であるか分からなくなる可能性がある。また、トラクタのキースイッチを入れた場合は、実作業していなくてもメーター表示が進むため、農作業機自体の作業時間を正確に記録することは、かなり難しい作業であった。
【0006】
一方、特許文献1の発明では、回転部の回転を検知するための手段を設ける必要がある。また、回転伝達手段が回転している場合は、実作業を行っていない場合でも稼働時間にカウントされる可能性も存在する。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する農作業機の作業時間を、より正確に測定することができる農作業機用作業時間測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、代表的な本発明の農作業機用作業時間測定システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用作業時間測定システムにおいて、前記農作業機に備えられ前記農作業機の振動を検知するための振動用センサと、前記振動用センサからの情報を取得可能な演算部と、表示部と、リセットスイッチを有する操作部とを備え、前記表示部と前記操作部は、前記演算部と遠隔で無線通信できる機能を有しタッチパネルで構成される表示画面を備える持ち運び可能な表示操作部として一体で構成され、前記リセットスイッチは前記表示画面にリセット表示として表示され、前記演算部は、前記振動用センサの情報から検知される振動が予め定めた所定以上の振動である場合の時間について、初期からの合計の積算時間と、前記リセット表示の操作により前回リセットされた時からの合計の積算時間とで算出し、前記表示操作部は、初期からの合計の積算時間と、前回リセットされた時からの合計の積算時間を並べて表示すると共に、前記リセット表示を同時に表示し、前記リセット表示に触れるとその情報は無線送信により前記演算部へ送られ前記前回リセットされた時からの合計の積算時間が0となることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の農作業機用作業時間測定システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う農作業機に適用する農作業機用作業時間測定システムにおいて、前記農作業機に備えられ前記農作業機の振動を検知するための振動用センサと、前記農作業機に備えられ前記農作業機の前後方向の傾き角度を検知するための角度用センサと、前記振動用センサ及び前記角度用センサからの情報を取得可能な演算部と、表示部と、リセットスイッチを有する操作部とを備え、前記表示部と前記操作部は、前記演算部と遠隔で無線通信できる機能を有しタッチパネルで構成される表示画面を備える持ち運び可能な表示操作部として一体で構成され、前記リセットスイッチは前記表示画面にリセット表示として表示され、前記演算部は、前記角度用センサの情報から検知される前方向への傾き角度が予め定めた所定以下の角度である場合で、かつ、前記振動用センサの情報から検知される振動が予め定めた所定以上の振動である場合における時間について、初期からの合計の積算時間と、前記リセット表示の操作により前回リセットされた時からの合計の積算時間とで積算し、前記表示操作部は、初期からの合計の積算時間と、前回リセットされた時からの合計の積算時間を並べて表示すると共に、前記リセット表示を同時に表示し、前記リセット表示に触れるとその情報は無線送信により前記演算部へ送られ前記前回リセットされた時からの合計の積算時間が0となることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の農作業機用作業時間測定システムの一つは、前記所定以上の振動は、振動の値が予め定めた一定値以上となる振動であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用作業時間測定システムの一つは、前記所定以上の振動は、振動の値が予め定めた一定値以上を予め定めた一定時間以上検知される振動であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用作業時間測定システムの一つは、前記表示操作部は、初期からの合計の積算時間と、前回リセットされた時からの合計の積算時間の表示と併せて、前記農作業機の水平状態と深さ状態を含む農作業機の状態を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トラクタに装着する農作業機の作業時間を測定する農作業機用作業時間測定システムにおいて、農作業機の作業時間を、より正確に測定することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の農作業機用作業時間測定システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2】本発明の農作業機用作業時間測定システムの第1の実施形態のフローチャートの第1の例を示す。
図3】本発明の農作業機用作業時間測定システムの第1の実施形態のフローチャートの第2の例を示す。
図4】本発明の農作業機用状態検知システムで適用可能な農作業機の平面図である。
図5】本発明の農作業機用状態検知システムで適用可能な農作業機の第1の状態を示す側面図である。
図6】本発明の農作業機用状態検知システムで適用可能な農作業機の第2の状態を示す側面図である。
図7】本発明の農作業機用状態検知システムにおける表示部及び操作部の例を示す図である。
図8】本発明の農作業機用作業時間測定システムの第2の実施形態のフローチャートの第1の例を示す。
図9】本発明の農作業機用作業時間測定システムの第2の実施形態のフローチャートの第2の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の農作業機用作業時間測定システムの一実施形態を示すブロック図である。
【0017】
図1の実施形態では、農作業機用作業時間測定システムとして、演算部11、記録部12、制御部13、入出力部14を備えている。これらは、制御ボックス10内に設けることができる。さらに、表示部16、操作部17は必要に応じて制御ボックス10に備えることができる。また、作業機センサ部21、表示部26、操作部27を備えている。制御ボックス10は周りをケースで覆い、防塵・防水機能を有することが可能である。
【0018】
ここで、制御ボックス10、作業機センサ部21は、トラクタに装着する農作業機側に備えている。また、表示部26は、制御ボックス10からの情報に基づき遠隔で表示させることが可能な構成である。操作部27は制御ボックス10へ操作情報を遠隔で送信することが可能な構成である。このため、表示部26と操作部27は、トラクタの運転席付近に配置することが可能であり、表示部26と操作部27は一体に構成することも可能である。
【0019】
演算部11は、作業時間を算出するための処理を行う。演算部11は、作業機センサ部21からの情報を取得して、農作業機が実作業を行っている時間を積算していく。ここで、後述するように、作業機センサ部21からの情報に基づき作業を行っている状態か否かを判定することができる。また、演算部11は、操作部17や操作部27による操作の情報を受信して処理に用いることができる。また、演算部11は、表示部16や表示部26での表示のための必要な処理を行うこともできる。演算部11は、CPU等の演算等のために必要な電子デバイス等で構成されている。また、タイマ等も備えている。
【0020】
記録部12は、演算部11で算出された情報、作業機センサ部21からの情報、表示部26の表示情報、操作部27の操作情報等の情報を記録しておくことができる。このために必要なデバイスで構成される。
【0021】
制御部13は、演算部11に対する演算の制御、演算部11や記録部12に対する情報の入出力の制御、操作部17からの操作情報の入力制御、表示部16の表示の制御、作業機センサ部21からの情報の入力制御、表示部26への情報の出力制御、操作部27からの操作情報の入力制御等を行う。制御部13は、CPU等の制御等のために必要な電子デバイス等で構成されている。なお、演算部11と制御部13は処理部として一体に構成することもできる。
【0022】
入出力部14は、作業機センサ部21、表示部26、操作部27と情報の入出力を行う。図1では、入出力部14は、作業機センサ部21、表示部26、操作部27とそれぞれ有線接続されている例が示されている。一方、表示部26と操作部27は、制御ボックス10と無線通信による情報のやりとりをする構成でもよく、この場合、入出力部14は、無線送受信部としての機能を果たす。
【0023】
表示部16は、制御ボックス10に必要に応じて設けられ、後述する積算時間を表示できる。表示部16は、例えば、液晶、有機EL、LED等による表示画面を備えており、ここに積算時間を表示する。積算時間の表示は、初期からの通算の積算時間の表示やリセット後の積算時間の表示等である。表示部16は、制御ボックス10の外から確認できる外周部等の位置に設けられる。
【0024】
操作部17は、制御ボックス10に必要に応じて設けられ、表示部16の表示のON(入)やOFF(切)、初期からの通算の積算時間の表示とリセット後の積算時間の表示との切り替え、積算時間のリセット等を行うためのスイッチ類等を備えている。このスイッチは、例えば、押しボタンスイッチ等である。操作部17は、制御ボックス10の外から操作できる外周部等の位置に設けられる。なお、表示部16と操作部17は一体に設けてもよい。
【0025】
作業機センサ部21は、トラクタに装着する農作業機の作業時間を検出するために用いるセンサである。特に作業している状態を検知するセンサとして、例えば、農作業機の振動を検知するためのセンサ、農作業機の前後方向の傾きを検知するためのセンサ等を利用できる。作業機センサ部21のセンサとしては、例えば、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、振動センサ、多軸センサ、傾斜センサ、地磁気センサ等を適用できる。これ以外に、作業機センサ部21のセンサとしては、例えば、回転センサ、ポテンショメータ、リミットスイッチ、ストロークセンサ等、農作業機の状態を検知するセンサ等を備えていてもよい。
【0026】
表示部26は、後述する積算時間の表示をすることができる。表示部26は、例えば、液晶、有機EL、LED等による表示画面を備えており、ここに後述する積算時間を表示する。積算時間の表示は、初期からの通算の積算時間の表示やリセット後の積算時間の表示等である。また、積算時間の表示と併せて、農作業機の状態を表示させてもよい。操作部27は、表示部16の表示のON(入)やOFF(切)、初期からの通算の積算時間の表示とリセット後の積算時間の表示との切り替え、積算時間のリセット等を行うためのスイッチ類等を備えている。ここで、表示部26と操作部27は、一体として構成することができる。具体的には、操作しやすくするために、表示画面をタッチパネルの方式を採用して、表示部26と操作部27を一体に構成してもよい。例えば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等の汎用の持ち運び可能な端末を適用できる。ここにアプリケーションを導入して、積算時間の表示やリセットボタンを表示させることができる。
【0027】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の農作業機用作業時間測定システムの第1の実施形態のフローチャートの第1の例を示す。ここでは、図1の演算部11による処理を示している。
【0028】
電源が入ると(S101)、振動信号を入力しているか否かを判定する(S102)。所定以上の振動信号を入力していると判定した場合は、次のS103へ行く。また、S102で、振動信号を入力していないと判定した場合は、S102の判定を再び行う。
【0029】
ここで、S102の所定以上の振動信号を入力しているか否かの判定について説明する。ここでの所定以上の振動信号を入力したと判定する場合は、作業中と想定される振動信号を入力していると判定した場合である。トラクタに装着する農作業機は、圃場に対して作業を行うため、農作業中は一定以上の振動が発生する。特に、農作業機は、トラクタからのPTO(Power take-off)動力を入力して、伝動機構(ギア、チェーン、軸等)を介して、爪を備える耕耘部が回転する構成を有する場合が多い。この場合、伝動機構の回転により生じる振動や、爪が圃場に対して作用を及ぼす際に生じる振動がある。この農作業中の振動を演算部11で判別することで判定を行う。
【0030】
具体的には、S102で用いる作業機センサ部21は、農作業機の振動を検知するための振動用センサである。振動用センサとしては、例えば、加速度センサ、角速度センサ、振動センサ等のうち少なくとも1つを用いることができる。これらは複数の方向(例えば3軸方向)で検知可能な多軸センサであってもよい。作業機センサ部21から振動に関する情報が演算部11へ入力された場合に、演算部11では、その情報に基づき現在の振動が予め定めた所定以上の振動であるか否かを判定することで、農作業中の振動であるか否かをより正確に判定できる。
【0031】
ここで、所定以上の振動は、例えば、作業機センサ部21が検知する振動の値に対する閾値を一定値以上に予め設定しておき、その振動の値が閾値以上である場合に所定以上の振動であると判定できる。ここで、振動の値は、例えば、振動における、振幅値、加速度値、速度値、振動数等であり、これらのうち少なくとも1つを含むことができる。これらの値のうち、一定値以上で作業中であると推定される値を予め設定しておけばよい。さらに、誤検知を防止するため、連続する(一定値以上の)振動が予め定めた一定時間以上検知されたときから時間積算を開始し、その検知時間に上記一定時間を加えて積算することにより、より正確に作業時間を測定することができる。この場合は、振動の値が一定値以上の振動が一定時間以上検知された場合に、所定以上の振動信号を入力したと判定する。
【0032】
S103では、信号入力時間の積算を行う。すなわち、振動信号を入力している時間をカウントしていき、この時間を積算していく処理を行う。例えば、振動信号が所定時間入力した後、間を置いて、振動信号がさらに所定時間入力された場合は、振動信号が入力されている時間だけを積算していく。このことで、作業をしていないと想定される時間を省いて、より正確な作業時間を測定することができる。
【0033】
次に、積算時間の記録を行う(S104)。ここでは、記録部12に積算時間を記録する。
【0034】
次に、データ出力を行う(S105)。ここでの出力は、算出された積算時間を制御部13や入出力部14を通して表示部26に出力する。表示部26では、入力されたデータに基づき、積算時間を表示画面の表示形式に合わせて表示させる。また、表示部16を備える場合は、制御部13の制御により、表示部16に積算時間を出力し表示を行う。データ出力が終了するとS102へ戻る。
【0035】
図3は、本発明の農作業機用作業時間測定システムの第1の実施形態のフローチャートの第2の例を示す。ここでは、図1の演算部11による処理を示している。
【0036】
図3では、図2に対して、S104とS105の間に、S201とS202を追加した構成であり、それ以外は基本的に同様の処理であるので説明を省略する。
【0037】
S201では、積算時間のリセットを行うか否かを判定する。ここでのリセットは、操作部27又は操作部17からリセットのための操作信号を入力したか否かにより判定できる。例えば、操作部27又は操作部17のリセットボタンを触れた又は押したこと等による操作信号の入力がある場合は、リセットを行う等である。積算時間のリセットを行う場合は、積算時間を0(h)として、0を出力し(S202)、S102へ戻る。このことで、改めて積算時間が0から算出されていく。また、積算時間のリセットを行わない場合は、S105へ行き現在の積算時間を出力して、S102へ戻り積算を継続する。
【0038】
図4は、本発明の農作業機用状態検知システムで適用可能な農作業機の平面図である。図5は、本発明の農作業機用状態検知システムで適用可能な農作業機の第1の状態を示す側面図である。図6は、本発明の農作業機用状態検知システムで適用可能な農作業機の第2の状態を示す側面図である。図4~6は、トラクタ1に装着する農作業機として代掻き作業機100による実施形態を示している。以下、代掻き作業機100の進行方向を前方向として説明している。図4の左右方向が代掻き作業機100の横方向(左右方向)であり、図4の上下方向が代掻き作業機100の前後方向である。図5、6の左右方向が代掻き作業機100の前後方向であり、図5、6の上下方向が代掻き作業機100の上下方向である。また、図4ではトラクタ1の図示は省略し、図5、6ではトラクタ1の図示を簡略化し、後ろ側部分のみを示している。
【0039】
トラクタ1の出力軸8から出力された動力は(図示を省略した)ジョイント等を介して、入力軸101から入力され、ミッションケース102内のギヤや軸等の伝動機構、左フレームパイプ103内の軸、チェーンケース105内のチェーンを介するなどして、耕耘部カバー112の下側に位置する耕耘部130に伝達される。耕耘部130は、複数の代掻き爪132(図5、6では1つのみ図示)を有する耕耘軸131等により構成され、耕耘軸131を回転させることにより代掻き作業を行う。
【0040】
ここで、ミッションケース102の左側に左フレームパイプ103が備えられており、ミッションケース102の右側に右フレームパイプ104が備えられている。さらに、左フレームパイプ103の左側端部はチェーンケース105が取り付けられており、右フレームパイプ104の右側端部はブラケット107が取り付けられている。チェーンケース105及びブラケット107は下側に向けて設けられ、耕耘軸131の両端の側面まで延在している。左フレームパイプ103と右フレームパイプ104の途中には前方に向けてヒッチ取付板108がそれぞれ備えられ、この前側でヒッチ122が取り付けられている。ミッションケース102、左フレームパイプ103、右フレームパイプ104の下側には、チェーンケース105とブラケット107の間で、耕耘部カバー112を備えている。さらに、耕耘部カバー112の後ろ側では、第1整地体114が、後方下側へ向けて、横方向に延びる中心軸114aを中心として耕耘部カバー112に対して回動可能に取り付けられている。さらに、第1整地体114の後方下側では、第2整地体115が、後方へ向けて、横方向に延びる中心軸115aを中心に回動可能に取り付けられている。また、第2整地体115の両端には延長整地体116が、回動軸116aを中心に回動させて、延長整地体116を外側に延長するか内側に折り畳むかを選択できるように構成されている。さらに、第2整地体115は、土引き用リンク機構118と連結されており、レバー118aと連動して第2整地体115を下側へ回動させて土引き作業状態にできるように構成されている。
【0041】
ここで、図4~6では、図1で示した制御ボックス10は耕耘部カバー112の上部面に取り付けられている。具体的には、フレームパイプ103、104の下側で左右のヒッチ取付板108よりも内側の左右中央付近である。図4では、左側のヒッチ取付板108とミッションケース102の間で左フレームパイプ103の下の耕耘部カバー112上に取り付けられている。図4~6に示される制御ボックス10には、内部に作業機センサ部21が備えられており、作業機センサ部21は振動を検出するためのセンサで構成されている。耕耘部カバー112の下では、耕耘軸131が回転して代掻き作業を行うため、作業中の振動を検出することに適した位置となる。また左右中央付近であれば、代掻き作業機100の全体的な振動を検知しやすい。この作業機センサ部21からの入力により、上述した図2、3のS102の処理を行う。
【0042】
図5、6に示されるように、代掻き作業機100は、トラクタ1の後部に装着されている。このとき、マスト121やヒッチ122を有する装着部120を、トラクタ1側の後部に取り付けられている連結部9に装着する。連結部9は、トラクタ1側のロワーリンク4とトップリンク3を介してトラクタ1側に取り付けられている。
【0043】
トップリンク3は、一端が回動中心3aを中心としてトラクタ1に対して回動可能に取り付けられ、他端は連結部9の上部で連結部9に対して回動中心3bを中心として回動可能に取り付けられている。ロワーリンク4は、一端が回動中心4aを中心としてトラクタ1に対して回動可能に取り付けられ、他端は連結部9の下部両側で連結部9に対して回動中心4bを中心として回動可能に取り付けられる。ここで、トップリンク3は、ロワーリンク4よりも上部に配置されている。作業者はロワーリンク4をトラクタ1の運転席から操作すると、ロワーリンク4は回動中心4aを中心に回動する。これにより他端の回動中心4bが上下するため、連結部9が上下し、代掻き作業機100を上下に位置移動させることができる。なお、トップリンク3は、連結部9の左右中心付近に1つ、ロワーリンク4は連結部9の左右に2つ設けられている。
【0044】
図5の状態は、代掻き作業機100を作業位置まで下げた作業状態を示している。代掻き作業は、田植えの前の圃場に水を入れて土を細かく砕いてかきならし田面を均平にする作業である。トラクタ1のトラクタタイヤ7は耕盤Gに接地し、前進しながら作業を行う。代掻き作業機100は、耕耘部130の下部が水面Sより下側にある土を細かく砕いていき、第1整地体114、及び、水面S付近に位置する第2整地体115により田面を均平にしていく。このときの作業による振動は、耕耘部カバー112上の作業機センサ部21が検出する。
【0045】
図6の状態は、代掻き作業機100を上に持ち上げた非作業状態である。この状態では代掻き作業機100の全体は、水面Sよりも高い位置にある。このとき、通常は耕耘部130は回転していないので基本的に振動は発生しない。たとえ、耕耘部130が回転したとしても、土を砕く作業を行わないので、図5の状態よりも小さい振動となる。また、これ以外に、トラクタ1からのエンジンの振動なども考えられるが、図5の作業中の状態よりも遙かに小さい振動である。このため、耕耘部カバー112上の作業機センサ部21は、たとえ、これらの小さい振動を検出したとしても、上述した図2、3のS102の処理により、作業中の振動信号を入力していないと判定される。
【0046】
図7は、本発明の農作業機用状態検知システムにおける表示部及び操作部の例を示す図である。
【0047】
図7では、図1で示した、表示部26と操作部27を一体に構成した表示操作部40とした具体例を示している。表示操作部40は、遠隔で無線通信できる機能を有し持ち運び可能な構成であり、例えば、トラクタ1の運転席近傍に配置して表示内容を確認することができる。ここで、表示操作部40の表示画面40aはタッチパネルで構成されている。この場合の表示操作部40としては、例えば、タッチパネル機能を有する汎用のスマートフォンやタブレット型コンピュータを適用でき、ここにアプリケーションを導入することで、図7で示す表示や操作が実現可能となる。
【0048】
表示操作部40の表示画面40aには、ODO表示41、TRIP表示42、リセット表示43が表示されている。図7の例では、これらの表示は表示画面40aの上部で横方向に並んで表示されている。
【0049】
ODO表示41は、図2の処理で算出された積算時間が表示される。図2ではリセット機能がないため、初期からの合計の積算時間がODO表示41で表示されることになる。この時間は、代掻き作業機100の使い始めからの合計の作業時間となる。このとき、演算部11で演算された図2の処理による積算時間の情報は、制御部13、入出力部14を介して表示操作部40へ無線送信されて、ここで表示される。図7の表示ではHR(時間)の単位で表示されている。
【0050】
TRIP表示42は、図3の処理で算出された積算時間が表示される。図3ではリセット機能を有するため、前回にリセットされた時からの合計の積算時間がTRIP表示42で表示されることになる。この時間は、代掻き作業機100の前回のリセット時からの合計の作業時間となる。このとき、演算部11で演算された図3の処理による積算時間の情報は、制御部13、入出力部14を介して表示操作部40へ無線送信されて、ここで表示される。図7の表示ではHR(時間)の単位で表示されている。
【0051】
リセット表示43は、操作部27のリセットスイッチに相当し、リセット操作するための表示である。リセット表示43に触れると、その情報は、無線送信により、入出力部14、制御部13を介して演算部11へ送られる。このとき、図3で示したS201のリセット処理が行われて、積算時間が0となり、再び時間の積算が開始される。このため、リセット表示43のリセット操作を行うとTRIP表示42の表示が一度、0になる。
【0052】
また、図7において、ODO表示41、TRIP表示42、リセット表示43の下には、水平状態表示50と深さ状態表示60が横方向に並んで表示されている。これらは、農作業機である代掻き作業機100の状態を表示するものである。これらの状態表示のために、作業機センサ部21として必要なセンサを代掻き作業機100に設けるが、上述した図2図3等で使用するセンサと同じものを使用可能な場合は共通化することができる。
【0053】
水平状態表示50では、代掻き作業機100の水平に対する左右方向の傾き状態を示しており、上部にタイトル表示51(図7では「水平」)、下部には基準設定表示52とその横側に設定解除表示53が表示されている。基準設定表示52に触れると現在の傾きを水平の基準とする処理がされ、設定解除表示53に触れると現在の水平基準が解除される処理がされる。水平状態表示50のブロックの範囲を示す枠表示54の内側には、上側に図表示56がその下側に状態表示58が表示されている。図表示56は、図又は絵で代掻き作業機100の水平に対する現在の傾き状態を表示するものである。状態表示58は、数値と目盛りの組み合わせにより水平に対する現在の傾き状態を分かり易く表示するものである。これらは、左右方向の傾きの検知に必要なセンサを有する作業機センサ部21を設け、演算部11により必要な演算をして、そこからの情報により傾き度合いに応じて表示を変更する処理が行われる。
【0054】
深さ状態表示60では、代掻き作業機100の作業深さの状態を示しており、上部にタイトル表示61(図7では「深さ」)、下部には基準設定表示62とその横側に設定解除表示63が表示されている。基準設定表示62に触れると現在の作業深さを基準とする処理がされ、設定解除表示63に触れると現在の作業深さの基準が解除される処理がされる。深さ状態表示60のブロックの範囲を示す枠表示64内には、左側に図表示66が右側に状態表示68が表示されている。図表示66は、図又は絵で代掻き作業機100の現在の作業深さの状態を表示するものである。状態表示68は、数値と目盛りの組み合わせにより現在の作業深さの状態を分かり易く表示するものである。これらは、作業深さの検知に必要なセンサを有する作業機センサ部21を設け、演算部11により必要な演算をして、そこからの情報により作業深さの度合いに応じて表示を変更する処理が行われる。なお、作業深さの検知は、前後方向の傾き角度を検知して行うことも可能である。
【0055】
このように第1の実施形態では、作業機センサ部21が振動を検知することにより、農作業機が作業中であることを正確に判別して、積算の作業時間を計測することができる。特に、図2で説明したように、所定以上の振動を考慮することで、より正確な計測とすることができる。また、図3のように積算時間のリセットを行うことで、必要な時期の積算時間を計測することが可能となる。また、作業機センサ部21を図5、6のように制御ボックス10内に設けることで、演算部11や制御部13等と防塵・防水機構を1つにできコストを抑えることができる。さらに、作業機センサ部21を演算部11や制御部13と同じ基板上に設けることで、さらにコストを抑えることができる。
【0056】
また、これらの計測された時間の表示は、表示操作部40のように遠隔で表示することで、作業者は手元で随時確認することが可能となる。さらに、図7で示すように、初期からの合計の積算時間であるODO表示41と前回のリセット時からの積算時間であるTRIP表示42を表示させることで、所望の作業時間の把握が可能となる。これにより、例えば、農作業機のメンテナンスや買い換えの時期の情報等を把握することが可能である。具体的には、代掻き作業機100であれば、代掻き爪132の交換時期を把握すること等が可能となる。交換後は、リセット表示43の操作によりTRIP表示42をリセットすればよく、次の代掻き爪132の使用時間が計測される。また、農作業機の買い換えであれば、ODO表示41によりこの農作業機の通算の作業時間により判断できる。
【0057】
また、図7のように、ODO表示41、TRIP表示42と併せて、水平状態表示50と深さ状態表示60等の農作業機の状態を表示することにより、農作業機の状態を多角的に把握することが可能となる。また、表示操作部40は、タッチパネルを使用することにより、扱い易くなると共に、汎用のスマートフォンやタブレット型コンピュータの使用により、アプリケーションのみの適用で構成することができ、コストを抑えることができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の農作業機用作業時間測定システムの第2の実施形態のフローチャートの第1の例を示す。ここでは、図1の演算部11による処理を示している。なお、第2の実施形態では、図4~6で説明した代掻き作業機100は、第1の実施形態と同様に適用することができる。
【0059】
図8では、図2に対して、S101とS102の間に、S301を追加した構成であり、それ以外は基本的に図2と同様の処理であるので説明を省略する。なお、S105のデータ出力の後はS301へ戻る。
【0060】
S301では、作業姿勢であるか否かを判定する。ここで作業姿勢とは、農作業機が農作業を行うことができる状態であるものであり、具体的には、農作業機を下に降ろして、圃場に対して農作業を行う状態である。この場合、農作業機を上に上げた状態は、作業姿勢でないと判定される。ここでの判定は、作業機センサ部21からの情報を用いて行う。このため、作業機センサ部21のセンサは、作業姿勢を検知するためのセンサが用いられる。このセンサにより、農作業機を所定以下の高さまで降ろしていると判断されれば、作業姿勢であると判定できる。
【0061】
例えば、図5、6で示した代掻き作業機100であれば、図5の状態は、トラクタ1に対して農作業機である代掻き作業機100を下に降ろして農作業ができる状態であるので、作業姿勢であると判定される。また、図6の状態は、トラクタ1に対して代掻き作業機100を上に上げて農作業ができない状態であるので、作業姿勢でないと判定される。ここで、作業姿勢は農作業機の機種毎に異なるが、概ね水平か、もしくは、水平に対して少し前傾から少し後傾の間が作業姿勢である場合が多い。
【0062】
また、図5、6において、作業機センサ部21のセンサとしては、代掻き作業機100の角度を検知するセンサを用いればよい。これは、トップリンク3やロワーリンク4のリンク機構により、代掻き作業機100を上に上げるに従い、前側に傾いていく構成になっている性質を利用したものである。この場合、前側へ傾く角度方向を正方向とする。図5であれば、作業機センサ部21を備える制御ボックス10が取り付けられる耕耘部カバー112上面(測定基準)の角度は水平よりθ1度だけ後ろ側に傾いており、前方向の傾きが水平に対して-θ1度となっている。図6であれば、耕耘部カバー112上面の角度は水平よりθ2度だけ前側に傾いており、前方向の傾きが水平に対して+θ2度となっている。
【0063】
このように、前後方向の傾き(横方向に延びる回転軸とした場合の傾き)の角度をセンサで検知することで、作業姿勢であるか否かを判定することができる。すなわち、センサで取得される前方向への傾き角度が、作業姿勢と想定される予め定めた所定以下の角度である場合は、作業姿勢であると判定される。図5、6では、例えば水平0度以下とすれば、それより後傾であるときのみ作業姿勢であると判断される。さらに、誤検知を防止するため、前方向への傾き角度が予め定めた角度以下である時間を予め定めた一定時間以上検知した場合に作業姿勢と判定してもよい。
【0064】
ここでの作業機センサ部21は前後方向の傾き角度を検知するための角度用センサである。角度用センサとしては、例えば、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、傾斜センサ、地磁気センサ等のうち少なくとも1つを用いることができる。これらは複数の方向(例えば3軸方向)で検知可能な多軸センサであってもよい。この場合、作業機センサ部21は、制御ボックス10内に設けることが可能である。また、加速度センサ又は角速度センサを用いて算出する場合は、S102の振動を検出するセンサと共通化することも可能である。また、複数の方向(例えば3軸方向)の、加速度と角速度、又は、いずれか一方を検出できる多軸センサを用いて共通化してもよい。
【0065】
S301で、作業姿勢であると判定した場合は、次のS102へ行く。また、S301で、作業姿勢でないと判定した場合は、S301の判定を再び行う。S102では、図2で説明したように振動信号を入力しているか否かを判定する。このため、第2の実施形態では、作業姿勢と、その後の振動による2つのファクターにより農作業機が作業中であるか否かが判定される。すなわち、農作業機が作業姿勢であり、かつ、農作業機の振動が作業中の振動であると判定された場合に、作業時間の積算が行われる。
【0066】
図9は、本発明の農作業機用作業時間測定システムの第2の実施形態のフローチャートの第2の例を示す。ここでは、図1の演算部11による処理を示している。
【0067】
図9では、図3に対して、S101とS102の間に、S301を追加した構成であり、それ以外は基本的に図3と同様の処理であるので説明を省略する。さらに、S301は上述した図8のS301と同様である。なお、S105のデータ出力の後はS301へ戻り、S202の0出力の後はS301へ戻る。この図9の構成でも、図8と同様に、作業姿勢と振動の2つのファクターにより農作業機が作業中であるか否かが判定され、作業時間の積算が行われる。
【0068】
第2の実施形態では、図7で説明した表示操作部40を第1の実施形態と同様に適用することができる。この場合、ODO表示41は、図8の処理で算出された積算時間を表示でき、TRIP表示42は、図9の処理で算出された積算時間が表示できる。
【0069】
このように、第2の実施形態では、農作業機が作業姿勢であり、かつ、農作業機の振動が作業中の振動であると判定された場合に、作業時間の積算が行われるため、さらに正確に作業時間を測定することが可能となる。
【0070】
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の実施形態の構成に置き換えたり、あるいはまた、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、農作業機の例として、代掻き作業機100の例を示したが、本発明は、これ以外に、例えば、ロータリー作業機、畦塗り機、施肥播種機、施肥機、草刈り機等のトラクタに装着する農作業機に適用することが可能である。
【0072】
また、制御ボックス10は、農作業機に備えることを説明したが、有線接続する等してトラクタ側に備えることも可能である。ただしこの場合は、作業機センサ部21は農作業機側に別に備えられる。
【0073】
また、図5、6では、作業機センサ部21は耕耘部カバー112上に設置することを説明したが、これ以外の振動や角度を検知できる場所でも適用できる。例えば、ミッションケース102や左フレームパイプ103に取り付ける等である。
【0074】
また、図7では表示操作部40について説明したが、この表示内容をトラクタ1に備える表示装置に表示をさせてもよい。この場合、トラクタ1に備える表示装置へアプリケーションを導入することで表示できる。また、ODO表示41とTRIP表示42は同時に表示することで分かり易く表示できるが、切り換えスイッチ等を用いて1つの表示範囲でこれらの表示を切り替える方式でも適用できる。
【0075】
また、図8、9では、S301で作業姿勢であるか否の判定について説明したが、例えば、図5、6で、トラクタ1から、ロワーリンク4の上下位置の信号(例えば、最上げが100%、最下げを0%とした場合のパーセント表示の信号等)が出力されている場合、これを利用することもできる。この信号を演算部11で受信して、農作業機である代掻き作業機100の高さが作業姿勢の高さであるか否かを判定してもよい。
【0076】
また、上記実施形態で説明した演算部11で算出された積算時間の情報は、制御ボックス10の入出力部14、又は、表示操作部40等を介して、別に設けられたサーバー等にインターネットを介するなどして送信され、そこで農作業機ごとに管理することも可能である。ここでは、農作業機ごとのデータが集約される。これにより、顧客が所有する農作業機ごとにメンテナンスの管理が可能となると共に、農作業機ごとの使用データを蓄積して今後の開発に活用すること等が可能となる。例えば、代掻き作業機100であれば、代掻き爪132の交換時期や代掻き作業機100自体の買い換え時期などを、顧客に知らせることが可能となる。また、これらの使用状況についてデータを蓄積することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1 トラクタ
3 トップリンク
4 ロワーリンク
9 連結部
10 制御ボックス
11 演算部
12 記録部
13 制御部
14 入出力部
16、26 表示部
17、27 操作部
21 作業機センサ部
40 表示操作部
40a 表示画面
41 ODO表示
42 TRIP表示
43 リセット表示
50 水平状態表示
60 深さ状態表示
100 代掻き作業機
112 耕耘部カバー
114 第1整地体
115 第2整地体
120 装着部
130 耕耘部
132 代掻き爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9