(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-07-28
(45)【発行日】2023-08-07
(54)【発明の名称】検体処理装置及び検体処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
G01N35/02 C
(21)【出願番号】P 2019156737
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】309007184
【氏名又は名称】あおい精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 照明
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-064660(JP,A)
【文献】特開2018-136329(JP,A)
【文献】特開平06-102278(JP,A)
【文献】特開2006-106455(JP,A)
【文献】特開2018-047943(JP,A)
【文献】特表2007-510898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を撮像して前記検体容器の外周面の第1の画像を得る第1画像取得部と、
前記検体容器の外周に貼付されたラベルの少なくとも一部を取り除くラベル除去部と、 前記ラベルが除去された前記検体容器の第2の画像を得る第2画像取得部と、
前記第1の画像に基づき、コピーラベルを印刷するラベル印刷部と、
所定の搬送経路に沿って前記検体容器を搬送する搬送装置と、
前記コピーラベルを前記検体容器に付するラベル付部と、
を備える検体処理装置。
【請求項2】
前記コピーラベルは、前記ラベルの剥離部分に対応する少なくとも一部の情報を有する、請求項
1に記載の検体処理装置。
【請求項3】
検体を収容する検体容器を撮像して前記検体容器の外周面の第1の画像を得ることと、 前記第1の画像を得た後に、前記検体容器の外周に貼付されたラベルの少なくとも一部を取り除くことと、
前記ラベルが除去された前記検体容器の第2の画像を得ることと、
前記第2の画像から検体情報を検出することと、
前記第1の画像に基づき、コピーラベルを印刷することと、
前記第2の画像を得た後に、前記コピーラベルを前記ラベルが除去された前記検体容器の外周面に付することと、
を備える、検体処理方法。
【請求項4】
前記検体の生化学検査前に、
前記第2の画像から前記検体の色または濃淡に関する情報を検出し、前記検体の乳び、溶血、フィブリン、液相の液位、の少なくともいずれかの検体情報を検出する、請求項
3に記載の、検体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査処理装置、及び検体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば生化学分析等の各種血液検査などの処理において、前処理として検体容器の画像を取得し、当該画像に基づいて検査前の検体の状態を検出することが行われる。検体容器は例えばガラス等の透明な材料で構成されているが、多くの検体容器の外周面には、識別情報等の検体の情報が表示されたラベルが付されている。したがって、検体容器を撮像する前にラベルを除去することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラベルを除去すると、表示情報が不足し、検体の取り扱いが困難となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態にかかる検体処理装置は、検体容器を撮像して前記検体容器の外周面の第1の画像を得る第1画像取得部と、前記検体容器の外周に貼付されたラベルの少なくとも一部を取り除くラベル除去部と、前記ラベルが除去された前記検体容器の第2の画像を得る第2画像取得部と、前記第1の画像に基づき、コピーラベルを印刷するラベル印刷部と、所定の搬送経路に沿って前記検体容器を搬送する搬送装置と、前記コピーラベルを前記検体容器に付するラベル付部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示情報を確保しながら、検体容器の画像を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態にかかる検体処理装置の平面図。
【
図2】同検体処理装置の検査対象である検体容器の外観を示す説明図。
【
図3】同検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図。
【
図4】同検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図。
【
図5】他の実施形態にかかる検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図。
【
図6】他の実施形態にかかる検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図。
【
図7】他の実施形態にかかる検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照してこの発明に係わる検体検査装置及び検査方法の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係わる検体処理装置の構成を示す平面図である。
図2は検体容器の外観を示す説明図である。
図3及び
図4は、検体処理装置及び検体処理方法を示す説明図。なお、図中矢印X,Y,Zはそれぞれ直交する3方向を示すもので、X軸は搬送経路による搬送方向、Y軸は搬送経路の幅方向、Z軸は上下方向にそれぞれ対応している。
【0009】
検体処理装置10は、検体の分析処理に先立ち検体の状態を検査する前処理装置である。検体処理装置10は、装置本体と、搬送装置20と、第1画像取得部としての第1撮像装置30と、ラベル除去部としてのラベル剥離装置40と、第2画像取得部としての第2撮像装置50と、ラベル供給装置60と、データ処理ユニット90と、を備える。
【0010】
搬送装置20は、所定の搬送経路20aに沿って検体容器25を搬送するものであり、例えば装置本体の上部に設けられたコンベヤ式のホルダ搬送機構により構成される。搬送装置20は具体的には、一対のガイドレール21と、搬送ベルト22と、ベルト送り機構とを備えている。一対のガイドレール21は、図中X軸方向に延びる搬送経路20aに沿って一定幅で設置されている。
【0011】
搬送ベルト22は、ガイドレール21間において搬送経路20aにわたって配置されている。ベルト送り機構は例えばモータ等の駆動源に接続された搬送ローラであり、搬送ベルト22の裏側で回転駆動して搬送ベルト22を送る。
【0012】
搬送装置20は搬送ベルト22の送り運動により検体容器25を保持するホルダ24を搬送経路20aに沿って搬送する。そして、搬送経路20aに沿って設けられる各処理装置によって検体容器25または検体25aに各種の処理が行われる。
【0013】
また、搬送装置20には移載機構28が設けられる。移載機構28は例えば開閉可能な把持機構を備えるロボットアーム28aを有し、制御部92の制御によってホルダ24に保持された検体容器25を把持してピックアップして、各部の処理位置に移載し、各部にて処理を行った後に再び搬送経路20aに戻す移載処理を行う。例えば本実施形態においては第1撮像装置30と第2撮像装置50との間のピックアップ位置P1とラベル剥離装置40の剥離位置P2との間で検体容器を移動させる。
【0014】
検体容器25を保持するホルダ24は、一対のガイドレール21間において立位状態に支持され、搬送ベルト22の移動に伴って搬送される。検体容器25は、例えば
図2に示すように上端が開口されかつ下端が閉塞された透明なガラス円筒体からなる試験管であり、内部には血清等の検体が収容される。検体容器25の外周側面には、ラベル27が接着剤又は粘着剤により貼付されている。ラベル27には検体25aの識別情報等の各種表示情報として、バーコードや文字が表示されている。表示情報は例えば、検体の帰属を示す氏名や病棟、各種番号などである。
【0015】
検体容器25の内部の検体25aは、血餅層25b、分離剤(シリコン)層25c、及び血清層25dの3層が分離して下から順番に配置されている。血餅層25bと分離剤層25cとの間に第1の境界面25e、分離剤層25cと血清層25dとの間に第2の境界面25f、血清層25d上に検体液面25gが形成される。
【0016】
第1撮像装置30は、搬送経路20aの側部に設けられたカメラ31と、反対側の側部に設けられた回転装置32と、を備える。そして、搬送装置20によって検体容器25を回転させながらその側面に貼付されたラベル27の全周分の画像を得る。
【0017】
カメラ31は、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary MOS)を用いたカラー画像センサにより構成される。そして、カメラ31はデータ処理ユニット90の制御により作動して検体容器25の側方からの撮像を行い、得られた画像データをデータ処理ユニット90へ出力する。
【0018】
回転装置32は、ホルダ24の反対側の周面に接触あるいは係合した状態で回転することによりホルダ24を回転させる回転体32aを備える。データ処理ユニット90の制御により回転体を撮像時の所定のタイミングで回転させることで、ホルダ24を回転し、検体容器25を回転させる。例えばカメラ31がラインスキャンセンサであり、一定の角速度で回転させながら撮像を行う。
【0019】
ラベル剥離装置40は、ラベル27の少なくとも一部を剥離させるものであり、例えば搬送経路20a側部に設置されている。ラベル剥離装置40は、検体容器25を保持する保持部と、一対のピーラー43と、ピーラー43を昇降移動させるモータ等の駆動源を備えている。一対のピーラー43は、検体容器25を支持する支持部の両側部において相対向するように配置され、支持部に配された検体容器25に向かって延びている。ピーラー43は所定の幅及び長さを有する板状部材からなり、先端部が鋭利に形成されている。ピーラー43の先端部がラベル27に当接した状態で下降移動することにより、検体容器25のラベル27を一部削り取り、所定幅を有する前後一対の窓部27bを形成する。
【0020】
第2撮像装置50は、ラベル剥離装置40よりも下流側の搬送経路20aの一方の側部に設けられるカメラ51と、搬送経路20aの他方の側部に配される照明部53と、を備えている。照明部53上記搬送経路20aを挟んで相対向する位置に設置される光源53aを備える。光源53aは、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)を使用したもので、検体容器25の側方から上記剥離処理後の窓部27bを通して検体25aに対し白色光からなる照明光を照射する。
【0021】
カメラ51は、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary MOS)を用いたカラー画像センサにより構成される。そして、上記検体容器25の側方において、上記照明部53から照射された照明光の上記検体25aによる透過光を、上記剥離処理後の窓部27bを通して受光し、その画像データをデータ処理ユニットへ出力する。
【0022】
ラベル供給装置60は、ラベルを印刷して発行するラベル印刷部としてのラベルプリンタ61と、ラベルを検体容器に貼付けるラベル付部としての貼付装置62と、を一体に備える。例えばラベルプリンタ61は基材となるラベルシートにバーコードや文字を印字するサーマル式あるいはインクジェット式の印字ヘッドを備える。ラベルプリンタ61は、データ処理ユニット90の制御によりラベルの剥離処理前に取得した第1画像データの一部または全部に基づく情報を印字してコピーラベル127を作成し、印刷処理後のコピーラベル127を発行する。
【0023】
貼付装置62は第2撮像装置50よりも下流側の搬送経路20aの一方の側部に設けられ、データ処理ユニット90の制御により、ラベルプリンタ61から発行されたコピーラベル127を、搬送経路20aを流れてくる検体容器25の外面に供給し、貼付ける。
【0024】
データ処理ユニット90は、インタフェース部91と、制御部92と、記憶部93と、を備えている。
【0025】
インタフェース部91は、カメラインタフェース91aと、出力インタフェース91bとを有している。カメラインタフェース91aは、カメラ31,51から出力される画像データを受信してバッファメモリに一時保存する機能を有する。またカメラ31,51に対し撮像制御信号及び利得制御信号を送出する機能と、照明部53に対し照明のオンオフ制御信号を送出する機能も有する。出力インタフェース91bは、検体分析装置、或いはパーソナル・コンピュータ等の情報端末やプリンタに対し検査データを送信する機能を有する。
【0026】
制御部92は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)を備える。制御部92の制御処理は、プログラムを上記CPU又はDSPに実行させることにより実現される。
【0027】
制御部92は、第1の画像に基づいてコピ―ラベルを作成する。具体的には、第1の画像から各種情報を読み取り、ラベルシートに印刷する。このとき、一例として、ラベルを除去した二カ所の剥離部位に対応する2つのコピーラベルパーツを作成してもよいし、全周分のラベル全体に対応する1枚のコピーラベルを印刷してもよい。制御部は、第1の画像に基づいてコピーラベルを作成する。例えば画像に表示されたラベル情報を全て印字する他、剥離部に対応する一部の情報を印字して、コピーラベルパーツを作成する。
【0028】
制御部92は第2の画像データに基づいて、乳び、溶血等の検査阻害要因を検出する。例えば乳び検査として、画像データをモノクロ画像データに変換し、モノクロ画像データの濃淡レベルを検出し、この濃淡レベルに基づいて乳びのレベル判定を行い、その判定結果を表すデータを乳び検査データとして、検体の識別情報(Identification;ID)と関連付けて記憶部93に格納する処理を行う。なお、乳び、溶血の検査は、得られた画像に補正を行ってもよい。
【0029】
溶血検査として、画像データから色信号(RGB信号)のレベルを検出し、色信号レベルをもとに溶血レベルを判定し、その判定結果を表すデータを溶血検査データとして、検体の識別情報(ID)と関連付けて記憶部93に格納する処理を行う。
【0030】
制御部92は撮像制御信号をカメラ31,51に与えることにより、カメラ31,51に検体の撮像動作を行わせる処理を行う。また、制御部92は、カメラ51の撮像動作に同期して、照明部53に対し照明のオンオフ制御信号を与え、撮像動作期間に光源53aを点灯させる。
【0031】
また、制御部92は、1個の検体に対する上記乳び及び溶血の検査が終了するごと、或いは予定されている個数の検体群に対する上記乳び及び溶血の検査が終了したタイミングで、記憶部93から各検体についての乳び及び溶血の検査データを検体IDと共に読み出す。そして、この読み出された乳び及び溶血の検査データと検体IDを相互に関連付けた状態で、出力インタフェース91bから検体分析装置や情報端末等へ送信させる処理を行う。例えば制御部92は検出された乳び溶血の検査データに基づき、後続の処理を制御する。例えば後続処理として、検査を阻害する要因がある検体容器を搬送経路20aから外す等の仕分け処理行う。
【0032】
記憶部93は、記憶媒体としてハードディスク又はNAND型フラッシュメモリを用いたもので、後述する検査結果を表すデータを記憶するために使用される。
【0033】
次に、以上のように構成された検体処理装置による検体処理方法を、
図3及び
図4に従って、データ処理ユニット90の処理手順に沿って説明する。
【0034】
本実施形態にかかる検体処理方法は、例えば分析装置における検体の生化学検査前に、検体の画像から検体の色または濃淡に関する情報を検出し、検体の乳び、溶血、フィブリン、液相、の少なくともいずれかの検体情報を検出する方法である。
【0035】
検体処理方法は、第1画像取得工程と、ラベル除去工程と、第2画像取得工程と、検体情報検出工程と、コピーラベル印刷工程と、ラベル貼付工程と、を備える。
【0036】
データ処理ユニット90は、第1画像取得工程として、検体容器を撮像して検体容器の外周面の剥離前の画像である第1の画像を得る。具体的には、カメラインタフェース91aからカメラ制御信号がカメラ31に与えられ、カメラ31が検体の撮像動作を行う。そして、第1画像データがカメラ31からカメラインタフェース91aに送られて一時保存される。第1画像データはラベル27の全体の像を含む。
【0037】
データ処理ユニット90は、ラベル除去工程として、第1の画像を得た後に、検体容器25の外周に貼付されたラベルの少なくとも一部を取り除く。具体的には、第1画像から、ラベル27のうち剥離する二つの部位を特定する。そして、検体容器25を回転させ剥離部位をピーラー43の昇降路に配置し、ピーラー43を昇降移動することで、剥離部位のラベルを除去する。例えばラベルバーコードを基準にバーコード中心となる位置に剥離部位を定める。
【0038】
データ処理ユニット90は、第2画像取得工程として、ラベルが除去された検体容器の第2の画像を得る。具体的には、照明オン制御信号がカメラインタフェース91aから照明部53に与えられ、これにより照明部53の光源53aが点灯する。また、カメラ制御信号がカメラインタフェース91aからカメラ51に与えられ、カメラ51は検体の撮像動作を行う。照明の検体による透過光像がカメラ51により撮像され、その画像データがカメラ51からカメラインタフェース91aに送られて一時保存される。第2画像はラベルが少なくとも一部剥離されたラベル剥離部を含む検体容器の画像であり、ラベル剥離部に露呈する透明な検体容器の少なくとも一部の像が含まれている。すなわち、第2画像には、ラベル剥離部から見える内部の検体の外観が含まれるため、この第2画像から、検体の色情報や濃淡情報が検出可能である。
【0039】
検体情報検出工程としてデータ処理ユニット90は、第2の画像から検体情報を検出する。具体的には、カメラインタフェース91aから一時保存されている第2画像データを読み込む。そして読み込んだ第2画像データから濃淡情報やR,G,Bの各信号レベルを検出し、この検出された濃淡情報やR,G,Bの各信号レベルをもとに、乳び・溶血のレベルやフィブリンなどの不純物の有無、各液相の液位、を判定する。さらに、得られた判定結果を表すデータを、検体の識別情報(ID)と関連付けられて記憶部93に格納する。
【0040】
データ処理ユニット90は、コピーラベル印刷工程として、第1の画像に基づき、コピーラベルを印刷する。具体的には、ラベル剥離工程にて特定した剥離部位の表示情報をラベルシートに印刷することで、1つ以上のラベルパーツを含むコピーラベル127を作成する。
図3に示す例では、例えばコピーラベル127として、2カ所の剥離部位に対応する二つのコピーラベルパーツ127a,127bを印刷、発行する。
【0041】
さらに、データ処理ユニット90は、第2の画像を得た後に、ラベル貼付工程として、貼付装置62を駆動し、コピーラベルパーツ127a,127bを検体容器25の外周面のラベルが除去された窓部27bを含む領域に貼付する。
【0042】
本実施形態にかかる検体処理装置によれば、表示情報を確保しながら、検体容器の画像を得ることが可能となる。すなわち、検体25aの情報を取得する第2の撮像に先だって、ラベルを剥離する場合に、剥離前に撮像した外観情報に基づいてコピーラベルを印刷することで、ラベル27の表示情報を確保でき、識別機能を保持できる。
【0043】
さらに、対向する2カ所でラベル27を剥離し、背面側、すなわちカメラ51とは反対側の側方から光を照射して第2画像を撮像することにより、検体容器25の内部の色情報を高精度に検出できる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば画像データを取得するための具体的な手法や、検体の種類、検体検査装置の構成、検査処理手順と検査処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。例えば、撮像条件や検出条件が異なる複数回の撮像行い、複数種類の画像から検出してもよい。また、上記実施形態ではラインスキャンセンサを用いて一定の角速度で回転させながら撮像を行って全周の第1画像を得る例を示したが、これに限られるものではない。例えば、CCDカメラを用い、所定角度の回転移動と撮像を繰り返して複数の方向から画像を取得してもよい。CCDカメラなどで複数の画像を撮像する場合には、撮像と回転を交互に行い、複数枚の画像を取得してもよい。
【0045】
さらに、ラベル27の2カ所の剥離部位に対応する2パーツのコピーラベルパーツ127a,127bを作成し、2つの剥離部位の位置にラベルパーツ127a,127bを貼付ける例を示したが、これに限られるものではない。例えば他の実施形態にかかる検体処理方法として
図5及び
図6に示すように、剥離部位と残留部分に表示された両方の情報を含むラベル全体に対応するコピーラベル127cを印刷してもよい。この場合、ラベルの一部が剥離された検体容器の外周面に、重ねてコピーラベル127cを巻き付けて貼付けることで、ラベルの貼付け位置の調整が不要となる。
【0046】
また、上記実施形態において、ラベル剥離装置40は、移載装置28により、搬送経路20aからラベル剥離装置40に移載し、ラベル剥離処理後に搬送経路20aに戻す例を示したが、これに限られるものではない。例えば搬送経路20aにて剥離処理を行うこととしてもよい。例えば他の実施形態として
図7に示す検体処理装置10Aに設けられたラベル剥離装置140は、搬送経路20aの両側部にそれぞれ設置された一対のピーラー43と、ピーラー43を昇降移動させるモータ等の駆動源を備えている。一対のピーラー43は、搬送経路20aの両側部において相対向するように配置され、搬送経路20aに向かって延びている。ピーラー43は所定の幅及び長さを有する板状部材からなり、先端部が鋭利に形成されている。ピーラー43の先端部がラベル27に当接した状態で下降移動することにより、検体容器25のラベル27を一部削り取り、所定幅を有する前後一対の窓部27bを形成する。
【0047】
なおピーラー43の構成も上記実施形態に限られるものではない。例えばラベル27をより剥離しやすくするために、ピーラー43を加熱するヒータや、ピーラー43を振動させる振動体を備えていてもよい。さらに、ピーラー43の数や位置や移動範囲等も上記実施形態に限られるものではない。また、ラベル27の剥離部分は、軸方向の一部を全長にわたって剥離するものに限られず、例えば軸方向における一部分のみ剥離する構成としてもよいし、ラベル27全体を剥離する構成としてもよい。
【0048】
また、回転装置32についても、ホルダ24を回転させる構成を例示したが、これに限られるものではなく、例えばホルダ24や検体容器25の構成や位置関係によって、検体容器25のみを回転させる構成とすることも可能である。
【0049】
また、ラベル貼付装置62を搬送経路20aの側部に設けることで、搬送中の検体容器に順次ラベルを貼付ける例を示したが、これに限られるものではなく、例えば搬送装置20に設けられる移載機構28によって、検体容器25を把持してピックアップして、貼付け処理位置に移載し、処理を行った後に再び搬送経路20aに戻す移載処理を行う構成としてもよい。
【0050】
例えば他の実施形態として
図7に示すラベル剥離装置140のように、搬送経路20aに沿って、ラベル供給装置60の下流側に、後続の処理装置として、仕分け処理や分析処理等の処理装置80を備える構成としてもよい。例えば仕分け装置や分析装置等の処理装置80は、第2画像から取得される情報に基づいて、仕分け処理や分析処理を行う処理装置である。これらの実施形態においても、ラベル剥離前の第1の画像からコピーラベルを作成することで表示情報を確保しながら、検体容器の画像を得ることが可能な検体処理装置及び検体処理方法を提供することができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。 (1)
検体容器を撮像して前記検体容器の外周面の第1の画像を得る第1画像取得部と、
前記検体容器の外周に貼付されたラベルの少なくとも一部を取り除くラベル除去部と、
前記ラベルが除去された前記検体容器の第2の画像を得る第2画像取得部と、
前記第1の画像に基づき、コピーラベルを印刷するラベル印刷部と、
を備える検体処理装置。
(2)
所定の搬送経路に沿って前記検体容器を搬送する搬送装置と、
前記コピーラベルを前記検体容器に付するラベル付部と、を備える、(1)に記載の検体処理装置。
(3)
前記コピーラベルは、前記ラベルの剥離部分に対応する少なくとも一部の情報を有する、(1)または(2)に記載の検体処理装置。
(4)
検体を収容する検体容器を撮像して前記検体容器の外周面の第1の画像を得ることと、 前記第1の画像を得た後に、前記検体容器の外周に貼付されたラベルの少なくとも一部を取り除くことと、
前記ラベルが除去された前記検体容器の第2の画像を得ることと、
前記第2の画像から検体情報を検出することと、
前記第1の画像に基づき、コピーラベルを印刷することと、
前記第2の画像を得た後に、前記コピーラベルを前記ラベルが除去された前記検体容器の外周面に付することと、
を備える、検体処理方法。
(5)
前記検体の生化学検査前に、
前記第2の画像から前記検体の色または濃淡に関する情報を検出し、前記検体の乳び、溶血、フィブリン、液相の液位、の少なくともいずれかの検体情報を検出する、(4)に記載の、検体処理方法。
【符号の説明】
【0052】
10…検体処理装置、20…搬送装置、20a…搬送経路、21…ガイドレール、22…搬送ベルト、24…ホルダ、25…検体容器、25a…検体、25b…血餅層、25c…分離剤層、25d…血清層、25e…境界面、25f…境界面、25g…検体液面、27…ラベル、27b…窓部、30…撮像装置、31…カメラ、32…回転装置、32a…回転体、40…ラベル剥離装置、43…ピーラー、50…撮像装置、51…カメラ、53…照明部、53a…光源、60…ラベル供給装置、61…ラベルプリンタ、62…貼付装置、90…データ処理ユニット、91…インタフェース部、91a…カメラインタフェース、91b…出力インタフェース、127a…コピーラベルパーツ、127b…コピーラベルパーツ、127、127c…コピーラベル。